(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025037805
(43)【公開日】2025-03-18
(54)【発明の名称】マイクロレンズアレー積層体、光学デバイス及びLiDARセンサーユニット
(51)【国際特許分類】
G02B 3/00 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
G02B3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024126062
(22)【出願日】2024-08-01
(31)【優先権主張番号】202311141909.4
(32)【優先日】2023-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202410874831.5
(32)【優先日】2024-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524290990
【氏名又は名称】YKソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】山木 繁
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スポット接着方式に依存しない改良されたマイクロレンズアレー積層体、光学デバイス及びLiDARセンサーユニットの提供。
【解決手段】マイクロレンズが平面状に展開されたマイクロレンズアレー130を複数の枚数貼り合わせたマイクロレンズアレー積層体140が提供される。貼り合わされるマイクロレンズアレー間には、接着シート150が配置される。貼り合わされるマイクロレンズアレーは接着シートを介して、面状に接着されている。接着シートはマイクロレンズの光路を確保するために、開口が形成されている。接着シートは吸光性の材料(黒色の材料など)からなる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロレンズが平面状に展開されたマイクロレンズアレーを複数の枚数貼り合わせたマイクロレンズアレー積層体であって、
貼り合わされるマイクロレンズアレー間には、接着シートが配置されており、
貼り合わされるマイクロレンズアレーは前記接着シートを介して、面状に接着されている、
マイクロレンズアレー積層体。
【請求項2】
前記接着シートは、貼り合わされるマイクロレンズアレーの個々のマイクロレンズに対応するエリアを除くエリアを接着エリアとしてカバーするように配置されている、請求項1に記載のマイクロレンズアレー積層体。
【請求項3】
前記接着シートは、吸光性材料で構成される、請求項1に記載のマイクロレンズアレー積層体。
【請求項4】
前記接着シートは黒色である、請求項3に記載のマイクロレンズアレー積層体。
【請求項5】
複数種のマイクロレンズを貼り合わせてレンズ積層体が形成された光学デバイスであって、
前記レンズ積層体の最下層のマイクロレンズと隣接する光学部品との間に面状の接着エリアを形成する第1の接着シートが配置されており、
前記第1の接着シートは、吸光性材料で構成されており、
前記第1の接着シートは、前記隣接する光学部品に対して、面状に接着されており、
前記第1の接着シートは、セルギャップを調整するスペーサ機能を有する、
光学デバイス。
【請求項6】
前記レンズ積層体の底部に画像センサーが配置されており、
前記最下層のマイクロレンズと前記画像センサーとの間で光路が確保されるように、前記第1の接着シートには開口が形成されている、請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記レンズ積層体の底部に画像センサーが配置されており、
前記隣接する光学部品の一方は、前記最下層のマイクロレンズであり、前記隣接する光学部品の他方は、前記第1の接着シートに隣接し、前記画像センサー上に配置されるガラスカバーである、請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記レンズ積層体の最上層のマイクロレンズと、最上層のマイクロレンズと隣接するマイクロレンズとの間に面状の接着エリアを形成する第2の接着シートが配置されており、
前記第2の接着シートは、吸光性材料で構成されており、
前記第2の接着シートは、前記最上層のマイクロレンズ及び前記最上層のマイクロレンズと隣接するマイクロレンズを面上に接着し、
前記第2の接着シートは、前記光学デバイスにおける光を絞るための絞り部としての機能を有する、請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記第1の接着シート及び前記第2の接着シートは、黒色である、請求項8に記載の光学デバイス。
【請求項10】
請求項8に記載の光学デバイスを搭載した、LiDARセンサーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロレンズアレー積層体、光学デバイス及びLiDARセンサーユニットに関し、特に、WLO(wafer level optics)技術などに基づいて作製されるマイクロレンズアレー積層体、光学デバイス及びLiDARセンサーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のマイクロレンズ光学装置の製造には、マイクロレンズアレーを貼り合わせてマイクロレンズアレー積層体を形成するプロセスがある。この積層体形成プロセスでは、マイクロレンズを平面状に展開したマイクロレンズアレーを複数の枚数準備しておいて、これら複数枚のマイクロレンズアレーを相互に貼り合わせる。従来は、各マイクロレンズアレーの平面上にある各マイクロレンズに対してスポット状(点状)に接着剤を塗布し、接着剤の接着力によって、マイクロレンズアレーを相互に貼り合わせていた。
【0003】
また、この種のマイクロレンズ光学装置の製造において、カメラ型光学デバイスを最終製品として作製する場合がある。従来、この種のカメラ型光学デバイスでは、レンズ積層体(マイクロレンズアレー積層体)と画像センサーの間にスペーサが設けられる。スペーサはセルギャップを一定に調整するもので、画像センサー面上の結像を改善するように機能する。従来において、画像センサーの各セルに対応するスペーサのスポットに接着剤を塗布し、接着剤の接着力によって、スペーサに隣接する光学部品に接着していた。
【0004】
また、従来のフォトリソグラフィー法では、微細孔加工ができず、高い遮光特性を出すことができなかったため、薄く、かつ遮光特性が高い光学部品を製造することができなかった。特に、LiDARセンサーユニット等で使用される距離センサーは、高い遮光特性を有することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-089230
【特許文献2】WO2020/145091
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、スポット接着方式に依拠する従来のマイクロレンズアレー積層体には改良の余地があることを見出した。また、本発明者は、スポット接着方式に依拠する従来の光学デバイスには改良の余地があることを見出した。
【0007】
したがって、本発明の課題は、スポット接着方式に依拠しない、改良されたマイクロレンズアレー積層体を提供することである。また、本発明の課題は、スポット接着方式に依拠しない、改良された光学デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によれば、
マイクロレンズが平面状に展開されたマイクロレンズアレーを複数の枚数貼り合わせたマイクロレンズアレー積層体であって、
貼り合わされるマイクロレンズアレー間には、接着シートが配置されており、
貼り合わされるマイクロレンズアレーは前記接着シートにより、接着されている、
マイクロレンズアレー積層体が提供される。
【0009】
一実施形態では、接着シートは、貼り合わされるマイクロレンズアレーの個々のマイクロレンズに対応するエリアを除くエリアを接着エリアとしてカバーするように配置されている。
【0010】
一実施形態では、接着シートは、吸光性材料で構成され、たとえば黒色の材料で構成されている。吸光性材料の接着シートは、画像のゴーストやフレアを低減する働きがある。
【0011】
本発明の第2の側面によれば、
複数種のマイクロレンズを貼り合わせてレンズ積層体が形成された光学デバイスであって、
レンズ積層体の最下層のマイクロレンズと隣接する光学部品との間に面状の接着エリアを形成する第1の接着シートが配置されており、
第1の接着シートは、吸光性材料で構成されており、
第1の接着シートは、隣接する光学部品に対して面状に接着されており、
第1の接着シートは、セルギャップを調整するスペーサ機能を有する、
光学デバイスが提供される。
【0012】
一実施形態では、レンズ積層体の底部に画像センサーが配置されており、
最下層のマイクロレンズと画像センサーとの間で光路が確保されるように、第1の接着シートには開口が形成されている。
【0013】
一実施形態では、レンズ積層体の底部に画像センサーが配置されており、
隣接する光学部品の一方は、最下層のマイクロレンズであり、隣接する光学部品の他方は、第1の接着シートに隣接し、画像センサー上に配置されるガラスカバーである。
【0014】
一実施形態において、接着シートは、黒色の材料で構成される。
【0015】
一実施形態において、レンズ積層体の最上層のマイクロレンズと、最上層のマイクロレンズと隣接するマイクロレンズとの間に面状の接着エリアを形成する第2の接着シートが配置されており、
第2の接着シートは、吸光性材料で構成されており、
第2の接着シートは、最上層のマイクロレンズ及び最上層のマイクロレンズと隣接するマイクロレンズを面上に接着し、
第2の接着シートは、光学デバイスにおける光を絞るための絞り部としての機能を有する。
【0016】
一実施形態において、第1の接着シート及び第2の接着シートは、黒色である。
【0017】
一実施形態において、上述した光学デバイスを搭載した、LiDARセンサーユニットが提供される。
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】マイクロレンズ光学装置のレンズ成型プロセスを説明する図である。
【
図2】マイクロレンズ光学装置の硬化プロセスを説明する図である。
【
図3】マイクロレンズ光学装置の離型プロセスを説明する図である。
【
図4】マイクロレンズ光学装置のレンズ貼り合わせプロセスを説明する図である。
【
図5】
図4に示すレンズ貼り合わせプロセスによって作製されたマイクロレンズアレー積層体に対して実施されるダイシングプロセスを説明する図である。
【
図6】
図5に示すダイシングプロセスによって作製されたマイクロレンズ積層体を説明する図である。
【
図7】従来のスポット状(点状)接着方式を説明する図である。
【
図8】従来のスポット状(点状)接着方式における、各接着スポットを例示した平面図である。
【
図9】1つのマイクロレンズとともに、1つのマイクロレンズに対して配置された透明と黒色の接着シートを例示した平面図である。
【
図10】マイクロレンズアレーに対して適用される開口部が形成された、黒色ないし吸光性の接着シートを例示する平面図である。
【
図11】レンズ積層体と画像センサーの間にスペーサが配置されたカメラ型光学デバイスを例示する図である。
【
図12】スペーサに代え、スペーサの機能を有する接着シートが配置されたカメラ型光学デバイスの実施形態を説明する図である。
【
図14】マイクロレンズの間に絞り部が配置された光学デバイスを例示する図である。
【
図16】スペーサの機能を有する接着シート及びマイクロレンズの間に絞り部が配置された光学デバイスの実施形態を説明する図である。
【
図17】スペーサの機能を有する接着シート及びマイクロレンズの間に絞り部が配置された光学デバイスの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1から
図6を参照して、WLO(ウェハレベル光学)の各種工程を説明する。
まず、レンズ成型プロセス(
図1)により、上下の型(マイクロレンズアレーの型)110の間に、樹脂120をセットする。
【0021】
次に、硬化プロセス(
図2)により、樹脂120を熱硬化またはUV硬化により硬化させる。
【0022】
次に、離型プロセス(
図3)により、型110を取り外して、硬化した樹脂であるマイクロレンズアレー130を取り出す。ここに、マイクロレンズアレー130はマイクロレンズが平面状ないし2次元上に展開された平面マイクロ光学素子を構成する。
【0023】
次に、貼り合わせプロセス(
図4)により、複数(2枚以上)のマイクロレンズアレー130-1、130-2、130-3・・・を接着剤で貼り合わせて、マイクロレンズアレー積層体140(
図5参照)を作製する。この貼り合わせプロセスにおいて、従来は、スポット状(点状)接着方式で貼り合わせが行われていたが、本発明では、接着シート150を用いて、面状接着方式で貼り合わせが行われる。
【0024】
次に、マイクロレンズアレー積層体140に対してダイシング装置160により、ダイシングプロセス(
図5)を実施して、レンズ毎のチップ状のレンズモジュールに切り分ける。ダイシング装置160としては、レーザーでダイシングを実施する装置あるいはブレードでダイシングを実施する装置が使用される。複数種のレンズモジュールを貼り合わせてレンズ積層体が形成され、レンズ積層体の底部に画像センサーが配置されたカメラ型光学デバイス500を作製する(
図6参照)。
【0025】
接着シートによる貼り合わせテクノロジー・・・マイクロレンズアレー積層体
第1に、本発明は、マイクロレンズアレー(130-1、130-2、130-3・・・)の貼り合わせプロセス(
図4)を通じて作製されるマイクロレンズアレー積層体140に関係している。
【0026】
従来は、複数のマイクロレンズアレーを貼り合わせる際に、
図7、
図8に示すように、個々のマイクロレンズの区画の4隅Sに接着剤をスポット状(点状)に塗布して、接着していた。
図7において、1つのマイクロレンズの区画が図示され、その区画の4隅Sに接着剤がスポット状(点状)に塗布されている。実際には、たとえば、
図8に示すように、マイクロレンズアレー積層体における各マイクロレンズ区画の各隅(それぞれ、隣接する4区画毎に、90度扇×4の円で示している)に接着剤がスポット状(点状)に塗布される。このスポット状(点状)接着方式の場合、マイクロレンズの区画面積に対するスポット状の接着領域の面積が小さいため、十分な接着力を確保することが困難になる。また、200mmウエハのなかに、20000個のマイクロレンズがアレイ状に展開されるアプリケーションでは、スポット接着の個数は80000個に及ぶことになるため、接着作業が手間取る。また、意図していたスポット接着領域から外れた場所にまで接着剤がはみだして歩留まりの低下を招くなどの問題がある。
【0027】
スポット(点状)接着方式とは対照的に、本発明では、貼り合わせるマイクロレンズアレー間に面状の接着エリアを提供する接着シート150が使用される(
図4参照)。
【0028】
図9は、1個のマイクロレンズに対して接着シートがどのように配置されるかを示した説明図である。
図9の左端に示すのは1個のマイクロレンズ240自体を簡略化して示したものである。
図9の中央に示すものは、1個のマイクロレンズの周囲の面に配置される接着シート250Aである。接着シート250Aは透明な材料であり得るが、好ましくは吸光性の材料(吸光性材料)が好ましい。また、マイクロレンズの貼り合わせは加熱状態下で行われてよく、接着シート250Aは、この加熱状態下で所要の粘着性を発現する材料であることが好ましい。
【0029】
図9の右端に示すのは1個のマイクロレンズの周囲の面に配置される吸光性の接着シート、たとえば黒色の接着シート250Bである。
【0030】
好ましくは、マイクロレンズ240に対応する領域には接着シート250A、250Bが存在しないように、接着シート250A、250Bには開口部が形成される。この接着シート250A,250Bの開口部は、マイクロレンズの光路を提供する。特に、黒色などの吸光性の材料(例えば、黒色の材料)で接着シートを構成した場合には、レンズの透過光は実質、開口部を通ることになるので、ゴーストやフレアの少ないレンズ透過光を提供することができる。
【0031】
スポット接着方式(
図7、
図8)に比べ、接着シート方式(
図9)のマイクロレンズアレーの貼り合わせでは、接着面積が広くなるので、マイクロレンズアレー相互の接着を確実なものにすることができる。
【0032】
図10は、マイクロレンズアレーに対して使用される接着シート350の具体例を示す。マイクロレンズアレーの個々のマイクロレンズに対応する箇所には開口部が形成されている。
図10の例では、マイクロレンズアレーの外周が矩形であることを想定しているが、マイクロレンズアレーの外周が円形であれば、マイクロレンズアレーの形状に合わせて外周が円形の接着シートを使用することができる。接着シート350の開口部はたとえば、レーザーによって形成することができる。
【0033】
接着シートによるスペーサ実装・・・光学デバイス
第2に、本発明は、複数種のマイクロレンズを貼り合わせてレンズ積層体が形成され、レンズ積層体の底部に画像センサーが配置された光学デバイス、特にカメラ型光学デバイス(
図6参照)に関係している。この種のカメラ型光学デバイスとして様々なアプリケーションが知られており、本発明は各種アプリケーションに適用することができる。アプリケーションとしては、たとえば、顔認証の3Dカメラのアプリケーション、赤外線センサーにより暗闇にも適用可能なAR(拡張現実)、VR(仮想現実)のアプリケーション、内視鏡アプリケーション、車間距離調整のための測距アプリケーションなどである。
【0034】
この種のカメラ型光学デバイスを
図11、
図12に参照符号600、700で示す。この種のカメラ型光学デバイスでは、レンズ積層体と画像センサーの間にスペーサが設けられる。
【0035】
図11のカメラ型光学デバイス600において、レンズ積層体は、マイクロレンズ602、604、606、608が貼り合わされて構成され、カメラ型光学デバイス600の底部には、画像センサー618が配置される。画像センサー618とレンズ積層体の一番下のマイクロレンズ608との間には、好ましくは、画像センサー618上に配置されるカバーガラス616とマイクロレンズ608との間には、セルギャップを一定に調整するためにスペーサ614が配置される。従来は、このスペーサ614と隣接する光学部品(カバーガラス616、マイクロレンズ608)は接着剤によって接着していた。
【0036】
図12のカメラ型光学デバイス700において、レンズ積層体は、マイクロレンズ702、704、706が貼り合わされて構成され、カメラ型光学デバイス700の底部には、画像センサー718が配置される。画像センサー718とレンズ積層体の一番下(レンズ積層体の最下層)のマイクロレンズ706との間には、好ましくは、画像センサー718上に配置されるカバーガラス716とマイクロレンズ706との間には、セルギャップを一定に調整するためにスペーサ714が配置される。従来は、このスペーサ714と隣接する光学部品(カバーガラス716、マイクロレンズ706)は接着剤によって接着される。これに対して、本発明では、スペーサと接着剤との組み合わせに代えて、第1の接着シートとして接着シート720を使用する(
図12参照)。
【0037】
接着シート720はスペーサの機能と接着機能を兼備しているのでカメラ型光学デバイスの生産性が高められる。また、接着シート720は、開口部を通じて、マイクロレンズ706から画像センサー718への光路を確保するとともに、接着シート720の材料を吸光性の材料、たとえば、黒色の材料で構成することにより、ゴーストやフレアが低減された画像を、画像センサー718を通して得ることができる。
【0038】
上述した実施例に記載の接着シートの構造は、LiDARセンサーユニット等の光学デバイスにも適用できる。
【0039】
図13は、従来のLiDARセンサーユニット等の光学デバイスを示す図である。レンズ802を通った光810は、光を絞る絞り部804の開口部806を通過し、受光部808に集光する。従来のLiDARセンサーユニット等の光学デバイスは、レンズ802、絞り部804及び受光部808が別々の構成となっていた。そこで、上述した実施例に記載の接着シートの構造を、絞り部にも適用した。
【0040】
図14は、本発明の光学デバイスを示す図である。
図11との違いは、マイクロレンズ602及び604の間に光を絞るための絞り部902を設けた点及び画像センサー618が無い点で異なるが、その他の構成は
図11と同じであるため、説明を省略する。
図15に示すように、絞り部902には開口部904が形成されている。開口部904は、マイクロレンズの光路を提供する。また、絞り部902は、黒色などの吸光性の材料で構成されている。
【0041】
図14に示す通り、絞り部902は、マイクロレンズ602及び604を貼り合わせることができる。つまり、絞り部902が、レンズ積層体の最上層のマイクロレンズ602及び最上層のマイクロレンズ602と隣接するマイクロレンズ604との間に配置されることにより、マイクロレンズ602及び604を接着させることができる。
【0042】
また、絞り部902は、黒色などの吸光性の材料で構成されているため、光を遮る機能を有している。つまり、上述の接着シート250Bを絞り部902として使用している。
【0043】
したがって、このような構成を採ることにより、光を遮る機能と接着機能の両方を兼ねる絞り部を提供することができる。
【0044】
図16は、本発明の光学デバイスを示す図である。
図12との違いは、マイクロレンズ702及び704の間に光を絞るための絞り部902を設けた点及び画像センサー718が無い点で異なるが、その他の構成は
図12と同じであるため、説明を省略する。絞り部902は、黒色などの吸光性の材料で構成されている。上述の接着シート250Bを絞り部902として使用している。
【0045】
図17は、
図16の光学デバイスを上下に分解した図である。絞り部902は、レンズ積層体の最上層のマイクロレンズ702及びマイクロレンズ702に隣接するマイクロレンズ704との間に設けられている。絞り部902は、マイクロレンズ702及び704を貼り合わせることができる。また、スペーサと接着剤との組み合わせに代えて、接着シート720を使用している。つまり、カバーガラス716及びマイクロレンズ706は接着シート720によって接着される。
【0046】
図16及び
図17では、接着シート720が第1の接着シートとして使用されている。また、
図16及び
図17では、絞り部902が第2の接着シートとして使用されている。
【0047】
したがって、従来の光学デバイスでは、レンズ802、絞り部804及び受光部808が別々の構成となっていたが(
図13参照)、
図17に示した構成を採ることにより、レンズ、絞り部及び受光部を一体化することができる。また、光を遮る機能と接着機能の両方を兼ねる絞り部を提供することができる。
【0048】
図14~
図17に示した光学デバイスは、LiDARセンサーユニット等で使用される距離センサーに用いることができる。したがって、本発明の光学デバイスを搭載したLiDARセンサーユニット等で使用される距離センサーは、高い遮光特性を有することができる。また、本発明の光学デバイスを搭載したLiDARセンサーユニット等で使用される距離センサーは、レンズ、絞り部及び受光部を一体化することができる。
【0049】
なお、本発明の光学デバイスを搭載したLiDARセンサーユニット等で使用される距離センサーは、40μmの孔を約6000個のピッチで孔開けさせることが好ましい。従来のフォトリソグラフィー法では、光学濃度(OD値)が2程度であったが、接着シートを黒色などの吸光性の材料で構成し、かつ40μmの孔を約6000個のピッチで孔開けする構成を採ることにより、OD値を3以上とすることができる。
【0050】
以上で、詳細な説明を終えるが、当業者には本発明の範囲内で、種々の変更、改善が自明である。