(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025037995
(43)【公開日】2025-03-18
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20250311BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20250311BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
A61L9/20
F24F8/22
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】40
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024211556
(22)【出願日】2024-12-04
(62)【分割の表示】P 2024544472の分割
【原出願日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2022177896
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023016028
(32)【優先日】2023-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592026211
【氏名又は名称】ナカ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181434
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 正明
(74)【代理人】
【識別番号】100180035
【弁理士】
【氏名又は名称】生塩 智邦
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】松田 寿
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 英人
(57)【要約】 (修正有)
【課題】空気中のウイルスを不活化する場合に、比較的簡単な構成でその用途や目的に応じて最適化しやすい空気清浄機を提供する。
【解決手段】ウイルスを不活性化できる波長の紫外線を放射する紫外線光源3と、空気の第1入口56と空気の第1出口57を備え、第1入口56から入った空気が第1出口57から出るまでに紫外線が照射される空気流路58とを有し、空気流路58の内部と外部の少なくとも一方の位置に紫外線光源3を設けたことを特徴とする。必要によって空気流路58内の空気が滞在する時間を調整する送風装置75を備える。送風装置75は空気流速調整装置20として機能する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルスを不活性化できる波長の紫外線を放射する紫外線光源と、
空気の入口と空気の出口を備え、前記入口から入った前記空気が前記出口から出るまでに前記紫外線が照射される空気流路とを有し、
前記空気流路の内部と外部の少なくとも一方の位置に前記紫外線光源を設けたことを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記空気流路の前記外部に前記紫外線光源が設けられる場合は、前記空気流路が前記紫外線を透過する素材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記空気流路の前記内部に位置する前記紫外線光源からの前記紫外線を前記空気流路内に反射する反射面が、前記空気流路の内面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記空気流路から見て外側に位置する前記紫外線光源からの前記紫外線を前記空気流路へと反射する反射面が、前記紫外線光源の外側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記空気流路の前記内部と前記外部の両方に前記紫外線光源を設け、前記空気流路は前記紫外線を透過する素材で構成されており、前記空気流路から見て外側に位置する前記紫外線光源からの前記紫外線を前記空気流路へと反射する反射面が、前記紫外線光源の外側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項6】
前記紫外線光源の前記紫外線の波長が100nm以上310nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項7】
前記空気流路内の前記空気が滞在する時間を調整する空気流速調整装置と、を有し、
前記空気流速調整装置は、回転羽根を備え、前記回転羽根を回転させることで前記空気流路内の前記空気の流速を調整する送風装置を有していることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項8】
前記空気流路内の前記空気が滞在する時間を調整する空気流速調整装置と、を有し、
前記空気流速調整装置は、前記空気流路から流れ出る空気流量を調整する調整弁を有していることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項9】
前記空気流路内の前記空気が滞在する時間を調整する空気流速調整装置と、を有し、
前記紫外線光源が前記紫外線の照射量を変化できる光源であり、前記紫外線光源の前記照射量に基づいて、前記空気流速調整装置が前記空気の流速を調整することを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項10】
前記入口に上流側接続管が接続され、前記出口に下流側接続管が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項11】
前記空気流速調整装置としての前記送風装置が、前記空気流路の前記内部に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の空気清浄機。
【請求項12】
前記入口に上流側接続管が接続され、前記出口に下流側接続管が接続されており、
前記送風装置が前記上流側接続管又は前記下流側接続管に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の空気清浄機。
【請求項13】
前記空気流路内の前記空気が滞在する時間を調整する空気流速調整装置と、を有し、
前記空気流速調整装置は、回転羽根を備え、前記回転羽根を回転させることで前記空気流路内の前記空気の流速を調整する送風装置と、前記空気流路から流れ出る空気流量を調整する調整弁と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項14】
前記紫外線を透過する素材で構成されるとともに、空気が流れる少なくとも一つの内部流路が、前記空気流路内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項15】
回転羽根を備え、前記回転羽根を回転させることで前記空気流路内の前記空気の流速を調整する送風装置を設け、前記内部流路の入口又は出口に前記送風装置を設けたことを特徴とする請求項14に記載の空気清浄機。
【請求項16】
前記空気流路内に空気の流れを均一化する均一化部材を設け、前記均一化部材が格子形区分壁で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項17】
前記空気流路内に空気の流れを均一化する均一化部材を設け、前記均一化部材がハニカム形区分壁で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項18】
前記空気流路内に、外側開口を形成する小幅板体と、内側開口を有する大幅板体とを、空気の流れる方向に交互に並べて、前記外側開口と前記内側開口を連ねた蛇行路を形成したこと特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項19】
前記紫外線を透過する素材で構成されるとともに、空気が流れる少なくとも一つの内部流路が、前記空気流路内に設けられており、
前記空気流路内に空気の流れを均一化する均一化部材を設け、前記均一化部材が格子形区分壁とハニカム形区分壁とを有していることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項20】
外周面が鏡面の外鏡体を前記空気流路の中心軸位置に設けたことを特徴とする請求項4に記載の空気清浄機。
【請求項21】
前記紫外線光源と前記空気流路の外周面との距離を変化させる紫外線光源位置変化装置を有していることを特徴とする請求項4に記載の空気清浄機。
【請求項22】
前記紫外線光源位置変化装置は、
前記空気流路の中心軸の軸方向に延びる一対の支軸と、
前記一対の支軸に回動自在に支持された一対の回動部と、
前記一対の回動部に固定された一対のアクチュエータ部と、
前記一対のアクチュエータ部が備える一対の進退ロッドと、を有し、
前記一対の進退ロッドの先端部に前記紫外線光源が固定されており、
前記紫外線光源位置変化装置は、前記一対の進退ロッドの進退動作によって前記一対のアクチュエータ部を前記一対の支軸回りに回動させて前記紫外線光源と前記空気流路の外周面との距離を変化させることを特徴とする請求項21に記載の空気清浄機。
【請求項23】
前記空気流路の上流位置に設けられた湿度調整装置と、前記湿度調整装置より下流側で前記空気流路の上流位置に設けられた湿度検出部と、前記湿度検出部で検出された湿度に基づいて前記湿度調整装置を制御する制御部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項24】
人又は動物のいる部屋の空気中のウイルス、前記部屋に入る空気中のウイルス、又は前記部屋から出る空気中のウイルスを不活化するために使用することを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項25】
ウイルスが含まれる可能性のある外部の空気を使用者の吸気として不活化するために用いられる空気清浄機であって、
人が鼻又は口から呼吸するための吸気口と呼気口とを備え、少なくとも鼻及び口を外部から密閉する人用密閉部と、
前記吸気口と前記出口とを連通する人側吸気管路とを有したことを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項26】
ウイルスが含まれている可能性のある使用者の呼気を不活化して外部に排出するために用いられる空気清浄機であって、
人が鼻又は口から呼吸するための吸気口と呼気口とを備え、少なくとも鼻及び口を外部から密閉する人用密閉部と、
前記呼気口と前記入口とを連通する人側呼気管路とを有したことを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項27】
使用者の移動に伴って共に移動する装着具に搭載したことを特徴とする請求項25又は請求項26に記載の空気清浄機。
【請求項28】
所定方向に延びて前記紫外線を通過する素材で形成された内筒と、
前記内筒の外側回りに設けられた複数の前記紫外線光源と、
前記内筒、前記紫外線光源を内部に収容する外筒容器と、
前記内筒と前記外筒容器の内部とを連通する内筒内口と、
前記内筒と外部を連通する内筒外口と、
前記外筒容器の内部と外部とを連通する連通口と、
前記外筒容器内に設けられ、前記外筒容器内の空気が滞在する時間を調整する空気流速調整装置と、を有し、
前記空気流速調整装置が、前記外筒容器内で前記内筒内口に臨んで設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項29】
前記外筒容器の内面に設けられ、前記紫外線光源の前記紫外線を前記外筒容器内に向けて反射する反射面を有することを特徴とする請求項28に記載の空気清浄機。
【請求項30】
前記空気流速調整装置が、空気の撹拌具と、前記撹拌具を回転させるモータと、を有していることを特徴とする請求項28又は請求項29に記載の空気清浄機。
【請求項31】
前記反射面に紫外線拡散用の凹凸部を形成したことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の空気清浄機。
【請求項32】
前記紫外線光源を内部流路の延びる方向に複数個設けられた紫外線発光素子で構成し、
前記内部流路側に向けて配設された前記紫外線発光素子と、
前記反射面側に向けて配設された前記紫外線発光素子と、
を有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の空気清浄機。
【請求項33】
上流側接続管の流路径よりも大きな衝突部を前記空気流路の前記内部に有し、前記衝突部の表面が紫外線反射面とされていることを特徴とする請求項3に記載の空気清浄機。
【請求項34】
前記空気流路の前記内部に空気流を前記紫外線光源にそって漏流がないように蛇行させる邪魔板部を有し、前記邪魔板部の表面が紫外線反射面とされていることを特徴とする請求項33に記載の空気清浄機。
【請求項35】
前記人側吸気管路と前記人用密閉部の間に設けられた空気滞留室部と、
前記空気滞留室部と前記人用密閉部とを連通する吸気接続路と、
を有していることを特徴とする請求項25に記載の空気清浄機。
【請求項36】
前記人用密閉部に、前記人用密閉部の外側の空気を吸うことは防止しつつ、使用者の呼気だけを排出する構成の排気弁を設けたことを特徴とする請求項35に記載の空気清浄機。
【請求項37】
前記人側呼気管路と前記人用密閉部の間に設けられた空気滞留室部と、
前記空気滞留室部と前記人用密閉部とを連通する呼気接続路と、
を有していることを特徴とする請求項26に記載の空気清浄機。
【請求項38】
前記人用密閉部に、使用者の呼気が前記人用密閉部の外に漏れることは防止しつつ、前記使用者の吸気だけを前記人用密閉部の内部に吸引できる構成の吸気弁を設けたことを特徴とする請求項37に記載の空気清浄機。
【請求項39】
前記人側吸気管路と前記人用密閉部の間に設けられた空気滞留室部と、を有し、
前記空気滞留室部が前記人用密閉部に連設されていることを特徴とする請求項25に記載の空気清浄機。
【請求項40】
前記人側呼気管路と前記人用密閉部の間に設けられた空気滞留室部と、を有し、
前記空気滞留室部が前記人用密閉部に連設されていることを特徴とする請求項26に記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を照射することによってウイルスを不活化する機能を有した空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、新型コロナウイルスは世界中で大きな脅威となっている。
SARS-CoV-2の感染者が吐く呼気中や、感染者がいる居住空間には、多くのSARS-CoV-2が含まれていることが予想され、このような空気中に存在するSARS-CoV-2を殺菌することが緊急の課題として求められている。
【0003】
従来から、紫外線を使ってウイルスを不活化できる技術が知られている。例えば、特許文献1によれば、利用者から発せられた呼気を捉えるための入り口となるベルマウス形状の吸引口を一端に備える吸引パイプと、吸引パイプの他の一端に連結される本体装置とを有し、本体装置は、吸引口から前記本体装置内へと気流を発生させる送風機と、吸引パイプを介して本体装置内に流入した空気に対して222nmまたは254nmの紫外線を照射する紫外線ランプとを有することを特徴とするウイルス不活性化装置を開示している。この特許文献1では、呼気が発せられた直後において呼気に対するウイルスの不活性化を行うことにより、周囲へのウイルス拡散による感染リスクを効果的に抑制することができる効果を有すると記載されている。
【0004】
一方、非特許文献1は、SARS-CoV-2を含む液体培地に30cmの距離から、253.7nmの波長の紫外線を500μW/cm2の放射照度で30秒間照射することにより、時間依存的な感染性(ウイルス力価)が減少し、SARS-CoV-2の感染性が99.99%減少するという実験結果を開示している。また、この非特許文献1は、それらの減少が有意なウイルスRNA(RiboNucleic Acid:リボ核酸)量の減少(ウイルスゲノムの損傷)によるものであることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“UVC disinfects SARS-CoV-2 by induction of viral genome damage without apparent effects on viral morphology and proteins”,Chieh-Wen Lo,Ryosuke Matsuura,Kazuki Iimura,Satoshi Wada,Atsushi Shinjo,Yoshimi Benno,Masaru Nakagawa,Masami Takei & Yoko Aida,Scientific Reports volume 11,Article number:13804(2021).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1に基づいて30秒の照射時間を確保することは必然的にその照射時間を確保するための人間の吸気、呼気の量を考慮した紫外線照射空間の大きさ(長さ)が必要になる。この制限によって空気清浄機の装置の大型化を招くという課題があった。
また、ウイルスを不活化する場合に、ウイルスが含まれる空気の単位時間当たりの処理量や、用途や目的に応じて空気清浄機を最適化しなければならず、その最適化設計に大変な労力が必要になっていた。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。
本発明の目的は、短時間で大量の紫外線を空気に照射することで、ウイルスの不活化に要する時間を短縮できる空気清浄機を提供することにある。
本発明の他の目的は、人の吸気、呼気の少なくとも一方の空気に含まれるウイルスを不活化できる小型の空気清浄機を提供することにある。
本発明の他の目的は、空気中のウイルスを不活化する場合に、比較的簡単な構成でその用途や目的に応じて最適化しやすい空気清浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様に係る空気清浄機は、ウイルスを不活性化できる波長の紫外線を放射する紫外線光源と、空気の入口と空気の出口を備え、前記入口から入った前記空気が前記出口から出るまでに前記紫外線が照射される空気流路とを有し、前記空気流路の内部と外部の少なくとも一方の位置に前記紫外線光源を設けたことを特徴とする。
本発明の第2態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流路の前記外部に前記紫外線光源が設けられる場合は、前記空気流路が前記紫外線を透過する素材で形成されていることを特徴とする。
本発明の第3態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流路の前記内部に位置する前記紫外線光源からの前記紫外線を前記空気流路内に反射する反射面が、前記空気流路の内面に形成されていることを特徴とする。
本発明の第4態様は、前記第2態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流路から見て外側に位置する前記紫外線光源からの前記紫外線を前記空気流路へと反射する反射面が、前記紫外線光源の外側に設けられていることを特徴とする。
本発明の第5態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流路の前記内部と前記外部の両方に前記紫外線光源を設け、前記空気流路は前記紫外線を透過する素材で構成されており、前記空気流路から見て外側に位置する前記紫外線光源からの前記紫外線を前記空気流路へと反射する反射面が、前記紫外線光源の外側に設けられていることを特徴とする。
本発明の第6態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記紫外線光源の前記紫外線の波長が100nm以上310nm以下であることを特徴とする。
本発明の第7態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流路内の前記空気が滞在する時間を調整する空気流速調整装置と、を有し、前記空気流速調整装置は、回転羽根を備え、前記回転羽根を回転させることで前記空気流路内の前記空気の流速を調整する送風装置を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明の第8態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流路内の前記空気が滞在する時間を調整する空気流速調整装置と、を有し、前記空気流速調整装置は、前記空気流路から流れ出る空気流量を調整する調整弁を有していることを特徴とする。
本発明の第9態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流路内の前記空気が滞在する時間を調整する空気流速調整装置と、を有し、前記紫外線光源が前記紫外線の照射量を変化できる光源であり、前記紫外線光源の前記照射量に基づいて、前記空気流速調整装置が前記空気の流速を調整することを特徴とする。
本発明の第10態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記入口に上流側接続管が接続され、前記出口に下流側接続管が接続されていることを特徴とする。
本発明の第11態様は、前記第7態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流速調整装置としての前記送風装置が、前記空気流路の前記内部に設けられていることを特徴とする。
本発明の第12態様は、前記第7態様に記載の空気清浄機であって、前記入口に上流側接続管が接続され、前記出口に下流側接続管が接続されており、前記送風装置が前記上流側接続管又は前記下流側接続管に設けられていることを特徴とする。
本発明の第13態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流路内の前記空気が滞在する時間を調整する空気流速調整装置と、を有し、前記空気流速調整装置は、回転羽根を備え、前記回転羽根を回転させることで前記空気流路内の前記空気の流速を調整する送風装置と、前記空気流路から流れ出る空気流量を調整する調整弁と、を有していることを特徴とする。
【0011】
本発明の第14態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記紫外線を透過する素材で構成されるとともに、空気が流れる少なくとも一つの内部流路が、前記空気流路内に設けられていることを特徴とする。
本発明の第15態様は、前記第14態様に記載の空気清浄機であって、回転羽根を備え、前記回転羽根を回転させることで前記空気流路内の前記空気の流速を調整する送風装置を設け、前記内部流路の入口又は出口に前記送風装置を設けたことを特徴とする。
本発明の第16態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流路内に空気の流れを均一化する均一化部材を設け、前記均一化部材が格子形区分壁で構成されていることを特徴とする。
本発明の第17態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流路内に空気の流れを均一化する均一化部材を設け、前記均一化部材がハニカム形区分壁で構成されていることを特徴とする。
本発明の第18態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流路内に、外側開口を形成する小幅板体と、内側開口を有する大幅板体とを、空気の流れる方向に交互に並べて、前記外側開口と前記内側開口を連ねた蛇行路を形成したこと特徴とする。
本発明の第19態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記紫外線を透過する素材で構成されるとともに、空気が流れる少なくとも一つの内部流路が、前記空気流路内に設けられており、前記空気流路内に空気の流れを均一化する均一化部材を設け、前記均一化部材が格子形区分壁とハニカム形区分壁とを有していることを特徴とする。
本発明の第20態様は、前記第4態様に記載の空気清浄機であって、外周面が鏡面の外鏡体を前記空気流路の中心軸位置に設けたことを特徴とする。
本発明の第21態様は、前記第4態様に記載の空気清浄機であって、前記紫外線光源と前記空気流路の外周面との距離を変化させる紫外線光源位置変化装置を有していることを特徴とする。
【0012】
本発明の第22態様は、前記第21態様に記載の空気清浄機であって、前記紫外線光源位置変化装置は、前記空気流路の中心軸の軸方向に延びる一対の支軸と、前記一対の支軸に回動自在に支持された一対の回動部と、前記一対の回動部に固定された一対のアクチュエータ部と、前記一対のアクチュエータ部が備える一対の進退ロッドと、を有し、前記一対の進退ロッドの先端部に前記紫外線光源が固定されており、前記紫外線光源位置変化装置は、前記一対の進退ロッドの進退動作によって前記一対のアクチュエータ部を前記一対の支軸回りに回動させて前記紫外線光源と前記空気流路の外周面との距離を変化させることを特徴とする。
本発明の第23態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流路の上流位置に設けられた湿度調整装置と、前記湿度調整装置より下流側で前記空気流路の上流位置に設けられた湿度検出部と、前記湿度検出部で検出された湿度に基づいて前記湿度調整装置を制御する制御部を設けたことを特徴とする。
本発明の第24態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、人又は動物のいる部屋の空気中のウイルス、前記部屋に入る空気中のウイルス、又は前記部屋から出る空気中のウイルスを不活化するために使用することを特徴とする。
本発明の第25態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、ウイルスが含まれる可能性のある外部の空気を使用者の吸気として不活化するために用いられる空気清浄機であって、人が鼻又は口から呼吸するための吸気口と呼気口とを備え、少なくとも鼻及び口を外部から密閉する人用密閉部と、前記吸気口と前記出口とを連通する人側吸気管路とを有したことを特徴とする。
本発明の第26態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、ウイルスが含まれている可能性のある使用者の呼気を不活化して外部に排出するために用いられる空気清浄機であって、人が鼻又は口から呼吸するための吸気口と呼気口とを備え、少なくとも鼻及び口を外部から密閉する人用密閉部と、前記呼気口と前記入口とを連通する人側呼気管路とを有したことを特徴とする。
【0013】
本発明の第27態様は、前記第25態様又は前記第26態様に記載の空気清浄機であって、使用者の移動に伴って共に移動する装着具に搭載したことを特徴とする。
本発明の第28態様は、前記第1態様に記載の空気清浄機であって、所定方向に延びて前記紫外線を通過する素材で形成された内筒と、前記内筒の外側回りに設けられた複数の前記紫外線光源と、前記内筒、前記紫外線光源を内部に収容する外筒容器と、前記内筒と前記外筒容器の内部とを連通する内筒内口と、前記内筒と外部を連通する内筒外口と、前記外筒容器の内部と外部とを連通する連通口と、前記外筒容器内に設けられ、前記外筒容器内の空気が滞在する時間を調整する空気流速調整装置と、を有し、前記空気流速調整装置が、前記外筒容器内で前記内筒内口に臨んで設けられていることを特徴とする。
本発明の第29態様は、前記第28態様に記載の空気清浄機であって、前記外筒容器の内面に設けられ、前記紫外線光源の前記紫外線を前記外筒容器内に向けて反射する反射面を有することを特徴とする。
本発明の第30態様は、前記第28態様又は前記第29態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流速調整装置が、空気の撹拌具と、前記撹拌具を回転させるモータと、を有していることを特徴とする。
本発明の第31態様は、前記第3態様又は前記第4態様に記載の空気清浄機であって、前記反射面に紫外線拡散用の凹凸部を形成したことを特徴とする。
本発明の第32態様は、前記第3態様又は前記第4態様に記載の空気清浄機であって、前記紫外線光源を内部流路の延びる方向に複数個設けられた紫外線発光素子で構成し、前記内部流路側に向けて配設された前記紫外線発光素子と、前記反射面側に向けて配設された前記紫外線発光素子と、を有することを特徴とする。
本発明の第33態様は、前記第3態様に記載の空気清浄機であって、上流側接続管の流路径よりも大きな衝突部を前記空気流路の前記内部に有し、前記衝突部の表面が紫外線反射面とされていることを特徴とする。
【0014】
本発明の第34態様は、前記第33態様に記載の空気清浄機であって、前記空気流路の前記内部に空気流を前記紫外線光源にそって漏流がないように蛇行させる邪魔板部を有し、前記邪魔板部の表面が紫外線反射面とされていることを特徴とする。
本発明の第35態様は、前記第25態様に記載の空気清浄機であって、前記人側吸気管路と前記人用密閉部の間に設けられた空気滞留室部と、前記空気滞留室部と前記人用密閉部とを連通する吸気接続路と、を有していることを特徴とする。
本発明の第36態様は、前記第35態様に記載の空気清浄機であって、前記人用密閉部に、前記人用密閉部の外側の空気を吸うことは防止しつつ、使用者の呼気だけを排出する構成の排気弁を設けたことを特徴とする。
本発明の第37態様は、前記第26態様に記載の空気清浄機であって、前記人側呼気管路と前記人用密閉部の間に設けられた空気滞留室部と、前記空気滞留室部と前記人用密閉部とを連通する呼気接続路と、を有していることを特徴とする。
本発明の第38態様は、前記第37態様に記載の空気清浄機であって、前記人用密閉部に、使用者の呼気が前記人用密閉部の外に漏れることは防止しつつ、前記使用者の吸気だけを前記人用密閉部の内部に吸引できる構成の吸気弁を設けたことを特徴とする。
本発明の第39態様は、前記第25態様に記載の空気清浄機であって、前記人側吸気管路と前記人用密閉部の間に設けられた空気滞留室部と、を有し、前記空気滞留室部が前記人用密閉部に連設されていることを特徴とする。
本発明の第40態様は、前記第26態様に記載の空気清浄機であって、前記人側呼気管路と前記人用密閉部の間に設けられた空気滞留室部と、を有し、前記空気滞留室部が前記人用密閉部に連設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明であれば、短時間で大量の紫外線を空気に照射することで、ウイルスの不活化に要する時間を短縮できる空気清浄機を提供することができる。
また、本発明であれば、人の吸気、呼気の少なくとも一方の空気に含まれるウイルスを不活化できる小型の空気清浄機を提供できる。
本発明であれば、空気中のウイルスを不活化する場合に、比較的簡単な構成でその用途や目的に応じて最適化しやすい空気清浄機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】空気流路の基本構成と紫外線光源を中心に設けた構成を示す実施形態の斜視図である。
【
図2】空気流路内に複数の紫外線光源を均一に設けた構成を示す実施形態の斜視図である。
【
図3】空気流路の外に紫外線光源を設けた構成の一例を示す実施形態の斜視図である。
【
図4】紫外線を透過する素材の空気流路の内外に紫外線光源を設けるとともに、反射面を設けた実施形態を示す斜視図である。
【
図5】空気流速調整装置を空気流路に繋がる通路に調整弁を設けることで構成した実施形態を示す斜視図である。
【
図6】空気流速調整装置を空気流路に連通した上流側接続管に送風装置を設けることで構成した実施形態を示す斜視図である。
【
図7】空気流速調整装置を空気流路に面した下流位置に送風装置を設けることで構成した実施形態を示す斜視図である。
【
図8】空気流速調整装置を空気流路に連通した下流側接続管に送風装置を設けることで構成した実施形態を示す斜視図である。
【
図9】空気流速調整装置を複数個の送風装置を設けることで構成した実施形態を示す斜視図である。
【
図10】均一化部材を格子形区分壁で構成した実施形態を示す斜視図である。
【
図11】均一化部材をハニカム形区分壁で構成した実施形態を示す斜視図である。
【
図12】空気流路内に例えば透明な内部流路を設けた実施形態を示す斜視図である。
【
図13】送風装置,格子形区分壁,ハニカム形区分壁,内部流路を有する実施形態を示す斜視図である。
【
図14】空気流路内に蛇行部を形成した実施形態を示す斜視図である。
【
図15】空気流路内に蛇行部を形成した実施形態を示す縦断面図である。
【
図16】湿度調整装置と紫外線光源位置変化装置を有する実施形態の構成を示す概略構成図である。
【
図17】(a)は空気流路と紫外線光源の配置関係の一例を示す斜視図、(b)は紫外線遮蔽部材の一例を示す斜視図である。
【
図19】紫外線光源位置変化装置を示す模式的な斜視図である。
【
図20】人や動物の居住空間内のウイルス不活化を説明するための図である。
【
図21】鳥、牛、豚等の動物が飼育されている部屋のウイルス不活化を説明するための図である。
【
図22】マスクの吸気における空気清浄機の使用の一例を示す図である。
【
図23】マスクの呼気における空気清浄機の使用の一例を示す図である。
【
図24】フルフェイスヘルメットの吸気における空気清浄機の使用の一例を示す図である。
【
図25】フルフェイスヘルメットの呼気における空気清浄機の使用の一例を示す図である。
【
図26】マスクを使用し、吸気と呼気の両方において不活化を行う携帯型空気清浄機における使用の一例を示す図である。
【
図27】フルフェイスヘルメットを使用し、吸気と呼気の両方において不活化を行う携帯型空気清浄機における使用の一例を示す図である。
【
図28】(a)は本発明のより具体的な実施形態に係る空気清浄機の縦断面図、(b)は撹拌ユニットの正面図、(c)は撹拌ユニットを下方から見た図である。
【
図29】より具体的な実施形態に係る空気清浄機における
図28のA-A横断面図である。
【
図30】より具体的な実施形態に係る空気流速調整装置の効果を説明するための図であり、空気清浄機の縦断面図である。
【
図31】反射面の変形例を説明するための図であり、(a)は外筒の縦断面図、(b)は凹凸部の部分拡大図である。
【
図32】吸気と呼気を不活化する空気清浄機の構成を示す斜視図である。
【
図33】本発明の各実施形態において適用可能な利用形態の一例を示す図であり、(a)は吸気呼気を共に不活化する空気清浄機の利用形態を示す図、(b)は吸気専用の空気清浄機の利用形態を示す図、(c)は呼気専用の空気清浄機の利用形態を示す図である。
【
図34】紫外線光源の一例としての紫外線発光素子を示す模式図である。
【
図35】本発明の変形例を説明するための図であり、(a)は支柱の平面図、(b)は支柱の正面図である。
【
図36】本実施形態に係る人用密閉部の他の構成を示す図であり、少なくとも口及び鼻を外部から密閉したヘルメットの一例を示す図である。
【
図37】空気流路内に衝突部と邪魔板部を設けた実施形態を説明するための図であり、(a)は空気流路の側面図、(b)は斜視図、(c)は模式断面図、(d)は空気流のシュミレーション図である。
【
図38】空気流路内に衝突部と邪魔板部を設けた実施形態を説明するための図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は空気流のシュミレーション図である。
【
図39】(a)はマスクユニットを装着した使用者の模式側面図、(b)はその模式正面図、(c)はその模式背面図である。
【
図40】(a)は携帯型の吸気側不活化ユニットを示す図、(b)はマスクユニットの構成を示す模式斜視図である。
【
図41】吸気呼気を共に不活化する構成を説明するための図であり、(a)はマスクユニットの側面図、(b)はマスクユニットを後ろから見た図である。
【
図42】(a)は連設型マスクを正面側から見た図、(b)は連設型マスクを裏側から見た図、(c)は連設型マスクを使用者の頭部に装着した状態を示す図である。
【
図43】人用密閉部としてフルフェイスヘルメットを採用し、そのフルフェイスヘルメットに空気滞留室部を設けた実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る一実施形態である空気清浄機について詳細に説明する。
具体的な実施形態の構成を説明する前に、本実施形態における考え方及び重視する観点について説明する。
[小型化及び短時間処理の構成]
コロナウイルスは2週間に一度のような短期間にその構造が変異するとされており、今後、コロナウイルス等のウイルスは変異を繰り返し、人体に悪影響を及ぼす変異種が発生する可能性が高い。また、サル痘、天然痘などのような他のウイルスの流行も懸念されている。ここで、ウイルスはRNA(リボ核酸)やDNA(デオキシリボ核酸)で構成され、核酸を含んで構成されていることは同じなので、短時間で一度に強い強度の紫外線を大量に照射すると、ウイルスの不活化の程度は大きくなると予想できる。
【0018】
本実施形態は、上記のような技術的予想によって、コロナウイルス等の人体に有害なウイルスを従来の紫外線光源を備えた空気清浄機の構成に比べて短時間で、不活化するとともに、簡単な構成で、ウイルスを不活化させために必要な処理時間を最適状態に設定できる空気清浄機を提供することを一つの目的とするものである。
本実施形態の各構成は処理対象であるウイルスを不活化できる紫外線量及び強度を実験などによって求めることを前提としている。また、本空気清浄機の構成において、対象とするウイルスにおいて、99.99%以上の不活化率を達成することを目標とする。
【0019】
本発明の各実施形態の空気清浄機は、単位時間当たりの紫外線の強度及び照射量を従来の構成に比べて、大きくすることができ、紫外線照射時間を短縮できる。したがって、空気に対して紫外線を照射する空間を小さくできるので、使用者のマスク等に清浄な空気を供給する空気清浄機又は使用者のマスク等から出る呼気を清浄な空気にする空気清浄機に好適に採用できる。
【0020】
[ウイルス不活化における対応性の向上]
次に、本発明の高次の目的として、ウイルス不活化における各種の目的及び用途に応じて柔軟に対応できる空気清浄機1を提供することがある。まず、この高次の目的を達成する構成について説明する。
この観点からの本発明に係る空気清浄機1は、例えば
図1に示すように、ウイルスを不活性化できる波長の紫外線を放射する紫外線光源3と、空気の第1入口56と空気の第1出口57を備え、第1入口56から入った空気が第1出口57から出るまでに紫外線が照射される空気流路58と、を有し、空気流路58の内部と外部の少なくとも一方の位置に紫外線光源3を設けたことを特徴としている。
なお、紫外線光源3から出た紫外線が空気清浄機1の外に放射されないように、空気清浄機の所定個所には紫外線遮蔽部材が設けられる。後述する反射面はその反射機能と紫外線遮蔽機能を有すると言える。
使用する紫外線は、UV-Cの波長である100nm以上280nm以下、及びUV-Bの波長である280nm以上310nm以下のものが多く使用される。
紫外線光源3は、紫外線の照射量を変化できる光源とすることもできる。この場合、紫外線の照射量を大きくすれば、空気の不活化に必要な空気流路58の滞在時間は短くできる。
【0021】
[第1実施形態]
図1に示す空気清浄機1の空気流路58は、筒体60と、上流側の壁体である第1壁体61と下流側の壁体である第2壁体62とを有し、空気流路58は空気容器として構成してある。第1壁体61に第1入口56が形成され、第2壁体62に第1出口57が形成してある。第1入口56には上流側接続管63が接続され、第1出口57には下流側接続管64が接続されている。上流側接続管63の上流側端部に第2入口65が形成してある。下流側接続管64の下流側端部に第2出口66が形成してある。
【0022】
なお、
図1~
図15において、空気流路58の延びる方向を延在方向又は軸方向と称し、その軸方向と直交する方向を幅方向又は半径方向と称する。また、周方向とは円形に限定されず、四角形などの多角形の周りの方向の意味で用いている。
第1入口56と第1出口57は同じ第1壁体61に形成してもよい。この場合は、第1壁体61に上流側接続管63と下流側接続管64とが接続された構成になる。
紫外線光源3は筒体60の中心軸位置に配設されているので、中心軸位置から筒体60の内部を流れる空気に対して均等に紫外線を照射できる。
図1に示すこの第1実施形態では、空気流路58の内部に1個の紫外線光源3が設けられた構成としてある。
図2に示す構成では、空気流路58の内部に複数個、例えば4個の紫外線光源3が設けられた構成としてある。複数個の紫外線光源3が設けられた構成では空気流路58を流れる空気55に対して多量の紫外線を照射することが可能になる。
【0023】
この第1実施形態の構成では、ウイルスの不活化処理したい所定量の空気を、所定の照射量(放射強度×時間)に達するまで暴露できるよう保持する容器として空気流路58が使用されることになる。空気流路58の外部には周囲に紫外線の影響が及ばないように紫外線遮蔽部材が設けられているが省略して記載している。本願の図面に示される空気清浄機1においては、紫外線遮蔽部材は適宜、省略して描いている。
なお、本願の
図1~
図27に係る図面において紫外線光源3は空気流路58の内部にある場合でも見やすいように実線で描き、実線で示される紫外線光源3の内部を灰色で描いている。
【0024】
[第2実施形態]
図3に示す空気清浄機1は、空気流路58の外部に紫外線光源3を配設し、少なくとも紫外線光源3が配設された位置に対応する空気流路58の部分が紫外線を通す素材(例えば透明部材など)で形成されていることを特徴としている。紫外線光源3が空気流路58の外部に設けられているので、紫外線光源3の交換が容易になる利点がある。また、紫外線光源3が空気流路58の内部にないので、空気の流れが円滑になる利点がある。
【0025】
[第3実施形態]
図4に示す空気清浄機1は、空気流路58の内部と外部の両方の位置に紫外線光源3を配設した点と、空気流路58の筒体60が紫外線を通す素材で構成された点と、空気流路58から見て外側に位置する紫外線光源3からの紫外線を空気流路58側へと反射する反射面67が紫外線光源3の外側に設けられている構成を備えた点を特徴としている。これらの構成を設けることで、紫外線光源3からの紫外線を効率よく空気に照射することが可能になる。この反射面67は
図17(b)に示す内鏡筒体121で構成されることが好ましい。
また、空気流路58の内部位置と外部位置の両方に紫外線光源3を設ける構成を採用することで、より高強度の紫外線が空気流路58内を流れる空気に効果的に照射でき、装置全体をコンパクト及び不活化処理時間を短くすることができる。また、コンパクトであっても照射量を多くできるので、単位時間当たりに供給できる不活化された空気の量を増やすことができる。
【0026】
[第4実施形態]
図5に示す空気清浄機1は、滞在時間調整装置が第2出口66位置に配設された調整弁68で構成されたことを特徴としている。滞在時間調整装置の一例として空気流速調整装置20がある。空気流速調整装置20が調整する空気の滞在時間が長いほど紫外線の照射量(照射強度×時間)は大きくなる。したがって調整弁68の開閉動作等で流量を調整することによって紫外線の照射量を変化させることができる。調整弁68を設ける位置は空気流路58の第1出口57や下流側接続管64の任意の位置に設けることができる。空気55の圧力や図示しない送風装置などによって処理しようとする空気55が空気流路58内に送られる場合、例えば、調整弁68の弁を絞って空気流路58から流れ出る空気の量を減らせば空気の滞在時間を増やすことができ、調整弁68の弁を全開にして空気流路58から流れ出る空気の量を増やせば滞在時間を減らすことができる。このように、調整弁68によって空気流路58内の空気の滞在時間を調整することができる。
【0027】
[第5実施形態]
図6~
図9に示す空気清浄機1は、空気流速調整装置20が送風装置75によって構成された実施形態を説明するための図である。
送風装置75の回転羽根59(
図6参照)の回転速度等を変化させることで、空気流路58内の流速を変化させて滞在時間を調整できる構成となっている。
送風装置75が設けられる位置は、上流側接続管63、下流側接続管64又は/及び空気流路58に設けることができる。
図6は上流側接続管63の第2入口65に送風装置75を設けた構成、
図7は第1出口57に送風装置75を設けた構成、
図8は下流側接続管64の第2出口66に送風装置75を設けた構成である。
図9は、第2入口65と第2出口66の両方に送風装置75を設けた構成である。複数個所に送風装置75を設けることによって各箇所において精緻に風速の制御ができる。複数の送風装置75を設けた構成では、仮に1個の送風装置75が故障したとしても一定の流速及流量を維持できる利点がある。
図28に後述するように、空気流路内に設けられる少なくとも一つの内部流路に臨んで送風装置を設ける構成も採用できる。
【0028】
[第6実施形態]
図10に示す空気清浄機1は、空気流路58内に空気の流れを均一化する均一化部材76を設けたことを特徴としている。
図10に示す構成では、均一化部材76は格子形区分壁77で構成されている。空気流路58の内部で格子形区分壁77の上流側には上流側空間部80が設けられている。上流側空間部80は単なる空間でもよい。格子形区分壁77を設けることで格子形区分壁77が存在しない構成よりは、空気流路58内の空気をほぼ均等に分配することができる。また、このような構成を設けることで、空気の流れを一様化でき、不活化対象となる空気の照射量を均一化することが可能となる。
[第7実施形態]
図11に示す空気清浄機1は、均一化部材76をハニカム形区分壁78で構成したことを特徴とする。
図11では、第1壁体61にほぼ面してハニカム形区分壁78が設けられた構成が示してある。しかし、
図10に示すような上流側空間部80を設ける構成も採用できる。
また、
図10及び
図11に示される構成において、均一性を高めるために、上流側接続管63内に縮小した格子又はハニカムに区画する区画壁(図示せず)を設け、空気流路58内の拡大された格子又はハニカムに連通する格子毎又はハニカム毎の空気筒路(図示せず)を設ける構成も採用できる。
【0029】
[第8実施形態]
図12に示す空気清浄機1は、空気流路58の内部に少なくとも一つの内部流路81を設けたことを特徴とする。内部流路81は紫外線を透過する素材で構成されることが好ましい。また、
図12に示す空気清浄機1では空気流路58の外部に紫外線光源3が設けられているので、筒体60の全周面も紫外線を透過する素材で構成されている。
図12に示す構成では第2入口65の位置に設けられた送風装置75と、4個の円管形の内部流路81が設けられた構成が示してある。なお、内部流路81の断面形状は特に限定されない。内部流路81を設けることで、空気の流れを均一化することができる。
内部流路81は第1入口56又は第1出口57に直接、接続するように設けることもできる。
内部に複数の紫外線光源3(
図12においては図示せず)と複数の内部流路81とを設ける構成の場合は、紫外線光源3と内部流路81が空気流路58の円周方向に互い違いに配設することが好ましい。
【0030】
[第9実施形態]
図13に示す空気清浄機1は、空気流路58に連通する所定位置に送風装置75を設けた構成と、空気流路58内に格子形区分壁77を設けた構成と、空気流路58内にハニカム形区分壁78を設けた構成と、空気流路58内に内部流路81を設けた構成とを一緒に有することを特徴としている。適宜、前記実施形態で説明した各構成を選択して組み合わせることで、空気の流れが均一化され、滞在時間が最適化された空気清浄機1が提供できる。
【0031】
[第10実施形態]
図14は第10実施形態に係る空気清浄機1の斜視図、
図15は、その空気清浄機1の空気流路58の中心軸における縦断面図である。
この第10実施形態は、紫外線光源3と、外側開口82を形成する小幅板体83と、内側開口84を有する大幅板体85とを空気流路58内に設けた空気清浄機1であって、小幅板体83と大幅板体85を空気流路58の延びる方向に交互に配設することで外側開口82と内側開口84を連ねた蛇行路86を形成したことを特徴としている。
図14、
図15に示す構成では紫外線光源3は空気流路58の中心軸位置に1個、設けられた構成が示してある。但し、空気流路58の中心近く位置に複数の紫外線光源3を設ける構成も採用できる。紫外線光源3は空気流路58の外部に設けてもよく、空気流路58の内部と外部の両方に設けても良い。
この構成であれば、空気は蛇行路86を流れるので、直線的に空気流路58内を流れる場合に比べて滞在時間を長くすることができ不活化の程度を高めることができる。
また、小幅板体83と大幅板体85は、紫外線を透過する素材で構成されることが好ましい。
【0032】
[第11実施形態]
図16~
図19は第11実施形態を説明するための図である。
図16は制御系も含めた全体構成を示す概略図である。
図17(a)は空気流路と紫外線光源の一配置例を示す図、
図17(b)は
図17(a)に示す全ての構成部材を収容する紫外線遮光部材を示した図である。
図17(b)では紫外線遮光部材は内鏡筒体で構成された例が示してある。
図18は紫外線光源位置変化装置の正面図であり、紫外線光源が空気流路の回りに6個設けられた例を示す図である。
図19は紫外線光源位置変化装置を示す模式的な斜視図である。
【0033】
図16に示すように、この実施形態に係る空気清浄機1は、透明ガラスで構成された空気流路58の回りに紫外線光源3が設けられた構成で、外周面が鏡面の外鏡体107を空気流路58の中心軸位置に設けたことを一特徴としている。この構成では、空気流路58の外周面と外鏡体107の間の円環通路108が空気の流れる通路になる。
紫外線光源3から放射された紫外線は
図17(b)に示す内鏡筒体121の反射面67によって反射されるとともに外鏡体107においても反射されるので、外鏡体107と内鏡筒体121の間で多重反射を繰り返し、効果的に空気に紫外線を照射できる利点がある。
なお、本実施形態において「中心軸位置」とは、中心軸回りの360゜において外鏡体107と内鏡筒体121との間における多重反射を効率よく実現できるとともに、円環通路108の紫外線の照射量において実際上問題となる偏りがないような空気流路58の中心域の位置を言う。
【0034】
また、この実施形態に係る空気清浄機1は、紫外線光源3と空気流路58の外周面との距離を変化させる紫外線光源位置変化装置105を有していることを一特徴とする。
図18及び
図19に示すように、紫外線光源位置変化装置105は、空気流路58の中心軸の軸方向に延びる少なくとも一対の支軸112と、一対の支軸112に回動自在に支持された一対の回動部113と、一対の回動部113に固定された一対のアクチュエータ部116と、一対のアクチュエータ部116が備える一対の進退ロッド115と、を有し、一対の進退ロッド115の先端部に紫外線光源3が固定された構成となっている。なお、支軸112の数は紫外線光源3の数に従って増減される。この実施形態では6個の紫外線光源3が設けられているので、6本の支軸112を空気流路58の周りに60゜間隔で設けた構成となっている。
【0035】
アクチュエータ部116としてはソレノイドなどが例示できる。そのようなソレノイドは進退ロッド115を駆動するシリンダ114を有している。
紫外線光源位置変化装置105であれば、例えば進退ロッド115をシリンダ114から突出させることによって支軸112から紫外線光源3までの距離が長くなり、一対のアクチュエータ部116は空気流路58の外周面に近づく方向に回動駆動され、その位置で紫外線光源3は固定される。また、進退ロッド115をシリンダ114内に収容されるように後退させることによって一対のアクチュエータ部116空気流路58の外周面に遠ざかる方向に回動駆動され、その位置で紫外線光源3は固定される。このようにして空気流路58までの距離を変えることによって、空気流路58内を流れる空気への紫外線の照射強度を変えることができる。
【0036】
また、この実施形態は、空気流路58の上流側に設けられた湿度調整装置103と、湿度調整装置103より下流側で空気流路58の上流側に設けられた湿度センサ110と、湿度センサ110で検出された湿度に基づいて湿度調整装置103を制御する制御部118を設けたことを一特徴としている。
湿度調整装置103の制御について説明する前に、
図16に示す構成について概略的に説明する。
この実施形態に係る空気流路58は、空気流路58の上流側位置に均一化部材76を備えている。空気流路58の入口には入口側接続管101が接続され、空気流路58の出口には出口側接続管102が接続されている。入口側接続管101、出口側接続管102はそれぞれ前記した円環通路108と上流側接続管63、下流側接続管64とを繋げる形状に構成されている。なお、入口側接続管101は上流側接続管63の一部でもあり、出口側接続管102は下流側接続管64の一部でもある。
【0037】
図16に示す構成では、湿度調整装置103は上流側接続管63に設けられている。
図16においては送風装置75の下流側で均一化部材76の上流側に湿度調整装置103が設けられた構成が示してある。湿度調整装置103の構成としては電気で駆動する公知の除湿装置を採用することができる。他には湿度調整装置103がシリカゲル等の水分吸収部材(図示せず)を収容した構成である場合も採用できる。水分吸収部材が所定量の水分を吸収した場合は、湿度調整装置103を上流側接続管63から取り外して交換する構成が採用できる。また、湿度調整装置103には、シリカゲル等の水分を飛ばす加熱装置(図示せず)を併設してもよい。水分吸収部材は加熱装置の加熱によって再利用される。
【0038】
加熱装置を併設し、水分吸収部材を再生できるとともに、水分吸収部材に付着したウイルスをウイルスの死滅温度(例えば核酸破壊温度)以上に上げることによって、水分吸収部材の再生と共に水分吸収部材によるウイルス拡散の防止を実現することができる。
図16において、一点鎖線で示された湿度調整装置103は、湿度調整装置103の配設位置の変形例を示すものであり、送風装置75の上流側に湿度調整装置103を設けた構成を示している。一点鎖線で示される位置に通常のエアコン(空気調和機)に用いられる除湿装置を設けても、前記した水分吸収部材を収容した除湿装置を設けてもよい。
【0039】
図16において、下流側接続管64の位置には流速検出部としての流速センサ111が設けられ、流速センサ111の検出流速に基づいて送風装置75のファン等の回転速度を調整して必要とする流速を得るように制御部118が制御する。
また、制御部118は、湿度調整装置103の制御情報、紫外線光源3にかける電圧等を増減することで紫外線照射量を変化させる制御情報、紫外線光源位置変化装置105に対して空気流路58までの距離を変化させる紫外線光源3の個数と位置を指定する制御情報などを出力する。
制御部118には操作パネルやリモコンなどで構成された入力部119が接続してある。
制御部118は、各ウイルスの種別に応じた必要不活化条件が記憶された記憶部122又は種類を問わずウイルスを不活化する必要不活化条件を記憶した記憶部122を有しており、ユーザが入力した必要とする空気処理流量と前記各記憶部122に記憶された各必要不活化条件に対応する不活化モードに基づいて空気流路58を流れる空気中のウイルスを不活化する。
例えば、6個の紫外線光源3の最大照射量でウイルスを不活化できる最大流量まで、ユーザの指示によって不活化処理する流量を上げることができる。
なお、別の実施形態の構成として、
図16に示す構成において、空気流路58の内部構成を
図28に示すような内部流路に臨んで送風装置を設けた構成に変更することもできる。この場合は、制御部118は、流速センサ111において検出された流速に基づいて、最終的に所望される流速を得ることができるように、内側送風装置の調整変数(パラメータ)等と外側送風装置を制御することになる。
なお、
図16においては、流速センサ111は空気流路58の下流位置に設けられている構成が示してあるが、空気流路58内に設ける構成も必要に応じて採用できる。
【0040】
[第12実施形態]
図20に示す第12実施形態は、人間89や愛玩動物95が生活する居住空間である部屋88に空気清浄機1を配設して空気中のウイルス90を不活化することを特徴とする。
不活化する空気は、
図20に示す部屋88内の空気である場合と、部屋88に外部からのウイルスのある空気を取り入れる場合(図示せず)がある。
部屋88内の空気又は部屋に入る空気に対して、本実施形態に係る空気清浄機1を設けることで感染力のあるウイルスの数を減らすことができるので、部屋88内に住む人間89や愛玩動物95へのウイルスの感染可能性を低下させることができる。なお、不活化されていないウイルスは黒く表示するとともに符号90で表し、不活化されたウイルスは白く表示するとともに符号90aで表している。
【0041】
[第13実施形態]
図21に示す空気清浄機1は、各種の動物92、例えば卵を産む鶏が飼育されている部屋91の空気中のウイルスを不活化するために使用することを特徴としている。鳥インフルエンザ等に悩まされている鶏卵生産業者の生産工場において使用する空気を本発明の空気清浄機1で不活化することが考えられる。鳥インフルエンザが流行しやすい時期のみに不活化処理を行うこともできる。
他の動物92としては牛、豚等があげられる。不活化処理する空気が
図21に示す部屋91内の空気である場合と、外部からのウイルスのある空気を部屋91内に取り入れる場合(図示せず)がある。
【0042】
[第14実施形態]
図22、
図23に示す空気清浄機1は、人用密閉部41をマスク93で構成したことを特徴としている。本明細書において、「人用密閉部41」は「人が鼻又は口から呼吸するための吸気口と呼気口とを備え、少なくとも鼻及び口を外部から密閉する部材」と定義される。「人用密閉部41」は、少なくとも人の鼻と口の部分を密閉し、人の顔面又は頭部を外部から密閉できるマスク93やフルフェイスヘルメット94(
図24参照)などを含む。
図22は吸気用の部分を抜き出して描いた図であり、不活化されていないウイルス90を含む空気87を空気清浄機1である吸気側不活化ユニット37に取り込み、人側吸気管44を経て、マスク93の吸気口42から鼻及び口に不活化された空気を供給できるように構成してある。なお、マスク93には図示しない呼気口が設けられる。吸気専用の空気清浄機1として用いる場合は、呼気口に呼吸によって開閉する弁体を設け、その弁体はマスク93内の空気を出すときにだけ開く弁(例えば逆止弁)にすることもできる。
【0043】
また、
図23は呼気用の部分を抜き出して描いた図であり、マスク93の呼気口43を介して人体から出る不活化されていないウイルス90を含む呼気が、人側呼気管45を介して呼気側不活化ユニット38に取り込まれる。そして呼気側不活化ユニット38によって不活化したウイルス90aを含む清浄化された空気87aとして、送り出すように構成してある。
なお、マスク93には図示しない吸気口42が設けられる。呼気専用の空気清浄機1として用いる場合は、吸気口42に呼吸によって開閉する弁体を設け、その弁体はマスク93内の空気を吸うときにだけ開く弁(例えば逆止弁)にすることもできる。
図22、
図23において、ウイルスの不活化されていない空気を符号87で表し、灰色の矢印で示している。また、ウイルスが不活化された空気を符号87aで表し、白抜きの矢印で示している。
【0044】
[第15実施形態]
図24、
図25に示す空気清浄機1は、人用密閉部41をフルフェイスヘルメット94で構成したことを特徴としている。
図24が吸気用の部分を抜き出して描いた図、
図25が呼気用の部分を抜き出して描いた図である。本実施形態に係るフルフェイスヘルメット94は首から上の頭全体を密閉することができ、鼻及び口は外部から密閉できるように構成されている。フルフェイスヘルメット94には吸気口42及び呼気口43が設けられている。
なお、
図24及び
図25に示す人側吸気管44、人側呼気管45の構成は曲げたりしやすいように蛇腹形の人側吸気管44,人側呼気管45で構成されている。
【0045】
[第16実施形態]
図26に示す空気清浄機1は、マスク93を採用して携帯型の空気清浄機1とした構成を示す図である。
図27に示す空気清浄機1は、フルフェイスヘルメット94を採用して携帯型の空気清浄機1とした構成を示す図である。両方の実施形態ともに、空気清浄機1を使用者の移動に伴って共に移動する装着具97に搭載したことを特徴としている。装着具97としては、装着用衣服96、ベルトなどが例示できる。
図26、
図27に示す構成では、装着用衣服96に吸気側不活化ユニット37と呼気側不活化ユニット38を搭載した構成にしてある。吸気側不活化ユニット37において吸気中のウイルスを不活化し、呼気側不活化ユニット38によって呼気中のウイルスを不活化できるので、装着用衣服96を装着した人は、自分から感染力のあるウイルスを外部空間に放出することもなく、また、外部から感染力のあるウイルスを体内に取り込む危険性をなくすことができる。このような構成であれば、より日常生活に近い形での空気清浄が可能になる。
【0046】
[第17実施形態]
図28(a)は第17実施形態に係る空気清浄機の縦断面図、
図28(b)は撹拌ユニットにおける蓋壁と撹拌棒の接続構成を示す正面図、
図28(c)は撹拌ユニットを下方から見た図、
図29は
図28における空気清浄機のA-A横断面図、
図30は空気清浄機の空気の流れと攪拌棒の効果を説明するための縦断面図である。
なお、
図28に示す本実施形態の空気清浄機1において、内筒2の延びる方向を軸方向と称し、その軸方向を
図28において矢印Xで示す。本実施形態では軸方向Xは上下方向に設定されている例が示してあるが、軸方向Xは水平方向、斜め方向である構成例も適宜、採用できる。軸方向Xに対して直交する外筒容器4の広がり方向を半径方向又は横方向と称し、
図28において矢印Yで示す。なお、内筒2の回りの方向を、内筒2の横断面形状が円形、角形等の形状を問わず、周方向と称す。
【0047】
<空気清浄機1の構成>
本実施形態に係る空気清浄機1は、所定方向に延びて紫外線を通過する素材で形成された内筒2と、内筒2の外側回りに設けられた複数の紫外線光源3と、内筒2、紫外線光源3を内部に収容する外筒容器4と、外筒容器4内に設けられ、外筒容器4内の空気が滞在する時間を調整する滞在時間調整装置と、を有している。なお、滞在時間調整装置は空気流速調整装置20を含んでいる。
【0048】
また、外筒容器4の内部と内筒2とを連通する内筒内口6と、内筒2と外部を連通する内筒外口7と、外筒容器4の内部と外部とを連通する連通口8とを有している。
また、空気流速調整装置20は、外筒容器4内で内筒内口6に臨んで設けられている。「臨んで設ける」とは対向して設けられる構成を含む。
外筒容器4は、外筒10の軸方向に延びる空気容器であり、外筒10と交差する方向に設けられた2つの壁面と、外筒10とで構成されている。
図28~
図30に示す構成では外筒容器4は、外筒10と上壁面11と下壁面12によって空気容器形に構成されている。
外筒容器4は前記空気流路58の一例である。
【0049】
(内筒2)
内筒2は、紫外線を通過する素材、例えばガラス、PMMA等の透明度の高い合成樹脂等の素材で形成された空気流路である。流路の形状、延出される方向は特に限定されない。一般的には、内筒2は直線形のダクト形状に形成される。ダクトの断面形状は円形、多角形でも構成でき、特に限定されない。
内筒2は前記内部流路81の一例である。
【0050】
但し、
図28~
図30に示すように、周方向に複数の紫外線光源3を配置した構成では、内筒2の断面形状は円形が好ましい。
内筒2は折れ曲がった形状や曲線形であることを除外しない。空気清浄機1の空間的配置の制約から内筒2が曲線形である場合もある。その場合は、その内筒2の3次元形状に対応して、紫外線光源3と外筒10の形状も適宜、変形される。
【0051】
(外筒容器4)
外筒容器4は外筒10を含み、空気中のウイルスを不活化する空間を形成する空気収容のための容器である。一般的に言うと、内筒2の延びる方向に向けて、外筒容器4は延びるように形成してある。
外筒10、上壁面11及び下壁面12の形状は、少なくとも内筒2と紫外線光源3を内部に収容できる構成であれば、特に限定されない。
本実施形態の構成では、外筒10は円筒で形成され、下壁面12、上壁面11はそれぞれ円板で形成してある。
また、外筒10の中心位置に内筒2を設けている。
【0052】
(紫外線光源3)
紫外線光源3は、ウイルスを不活化できる強度を持った紫外線を発光できる光源であれば、光源の種類は問わない。円筒面を持った紫外線ランプ9や、紫外線発光素子73(
図34参照)を用いてもよい。本実施形態では内筒2が外筒容器4内で上下方向に延びる構成なので、内筒2と平行に上下方向に延びる細筒形の紫外線ランプ9を紫外線光源3として用いている。
また、
図29に示すように、内筒2の360゜周囲に60゜の等間隔で上下方向に延びる6個の紫外線ランプ9が設けられている。
【0053】
内筒2の周囲(360゜)に設置される紫外線光源3の数は、1個~8個であることが好ましい。
紫外線光源3を保持する回転型の保持部(図示せず)と、保持部を外筒容器4の中心軸回りに回転させるモータ(図示せず)とを設けることもできる。保持部は、紫外線光源3を保持する円環盤又は円盤などで構成され、外筒容器4や反射面5に対して回転できる構成になる。この構成であると、紫外線光源3は外筒容器4内の空気に対して移動することになるので、紫外線照射量を外筒容器4内の空気に対して均一化できる利点がある。
【0054】
(内筒内口6)
内筒2は内筒内口6と内筒外口7を有している。
内筒内口6は、外筒容器4の内部空間に存在する空気を、内筒2内に送り出すための開口である。
図28~
図30に示す構成では、内筒内口6は、外筒容器4の内部空間の端部に位置し、下壁面12よりも上壁面11に近い位置において内筒2の開口部として設けられている。具体的には内筒内口6は内筒2の先端側(上部側)に設けられている。
(内筒外口7)
内筒外口7は内筒2内と外筒容器4外部とを連通する外側の開口である。また、内筒外口7は、空気の流れにおいて外筒容器4の排気口とも言える開口である。
本実施形態においては、内筒外口7は内筒2の基端側(下部側)に設けられている。即ち、外筒容器4の下壁面12に内筒外口7を下方に向けて設けられている。
内筒外口7は前記第1出口57の一例である。
【0055】
(連通口8)
連通口8は外筒容器4内部と外部を連通する開口である。本実施形態では外筒容器4の下壁面12に均等に連通口8を6個設けた構成が示してある。6個の連通口8は、それぞれ隣り合う紫外線光源3の周方向の間隔の中間位置に設けられている。6個の連通口8の周方向の間隔は60゜間隔となっている。なお、この個数は一例にすぎず、少なくとも1個の連通口8が外筒容器4に設けられておればよい。
連通口8は前記第1入口56の一例である。
【0056】
但し、空気の対流及び滞留について内筒2の回りの状態ができるだけ均一になるように連通口8を設けることが好ましい。例えば、連通口8を2,3,4,5,6個と設ける場合は、周方向の間隔を等間隔にして、180゜,120゜,90゜,72゜,60゜というように設けることが好ましい。
【0057】
(反射面5)
反射面5は、紫外線光源3の紫外線を外筒容器4内に向けて反射する面である。外筒容器4内を移動する空気、滞留する空気、対流する空気に対して紫外線光源3からの紫外線を反射できる位置に配置される。
そのような配設位置として好ましいのは、外筒容器4の外筒10の内面に反射面5を形成することである。なお、外筒10の内面だけでなく、外筒10、上壁面11、下壁面12にも反射面5を設けることが好ましい。
紫外線を反射する方向は、内筒2に向けて反射することが好ましい。外筒10を円筒管で形成することで、反射面5によって反射される紫外線を内筒2側へ集めることができる。
【0058】
図31(a)は反射面の変形例を示す外筒の縦断面図、
図31(b)はその反射面の部分拡大図である。
この変形例では、反射面5aに、例えば、0.1mm以上30mm以下の凹凸部70が形成され、その凹凸部70が鏡面加工されている。
図31(b)に示す構成では、その断面が略半円形又は略楕円形状の凸部71が形成された例が示してある。
【0059】
このような凹凸部70は、外筒10の内面だけでなく、上壁面11及び下壁面12にも設けることが好ましい。
外筒容器4の内面に、このような鏡面加工された凹凸部70を設けることで、紫外線光源から放射された紫外線は反射面5aの表面で乱反射して、紫外線の拡散機能を有する。また、外筒容器4内を流れる空気に均一に紫外線を照射することができ、外筒容器4内を移動する空気に紫外線が照射されにくい領域が生じることを防止できる。
【0060】
(空気の空気流速調整装置20)
空気清浄機1は、外筒容器内の空気が滞在する時間を調整する空気流速調整装置20を備えている。
空気流速調整装置20は、前記したように、
図9に示すような少なくとも一つの送風装置75や、
図5に示すような調整弁68で構成することが可能である。
図28に示すように、本実施形態では空気流速調整装置20は、少なくとも回転する撹拌具21を含んで構成してある。即ち、空気流速調整装置20は、撹拌具21と、撹拌具21を回転する手段としてのモータ22とを有している。撹拌具21とモータ22などは、空気流路58の内側送風装置として機能する。
前記したように空気流速調整装置20は、回転羽根59(
図6参照)を有する送風装置75(
図6参照)で構成される場合がある。送風装置75として、前記した
図6~
図9に示すような空気清浄機1に備えられた送風装置75を使用することもできる。外筒容器4内に空気を送り込む又は吸い出すための必要な空気の流れを起こす少なくとも一つの送風装置75は、
図28の図面では省略してある。例えば
図9に示すような送風装置75は、空気流路58の外側送風装置として機能する。
【0061】
撹拌具21は、攪拌棒31や撹拌羽根などで構成される。撹拌具21は、
図6などに示す前記回転羽根59の一例である。
本実施形態では、例えば、攪拌羽根を使用すると空気の流れが効率的になりすぎる場合は、攪拌棒31を使用して空気の流れが効果的になりすぎることを阻害する。これによって、例えば5秒以上紫外線が照射される時間を確保し、ウイルスの不活化を確実に実現する。撹拌具21について、一般的に言えば、要求される空気の流れが遅い(弱い)場合は撹拌棒を採用し、要求される空気の流れが速い(強い)場合は撹拌羽根を採用する。
モータ22の回転の方向は正転、逆転が行える構成のものが採用されることが好ましい。
【0062】
図28に示す撹拌ユニット25は、内筒内口6を略覆うように設けられた蓋壁24と、その蓋壁24から内筒2の延びる方向に突出された複数の攪拌棒31とを有している。蓋壁24の横方向の長さは、内筒2の直径の長さと略等しくなるように構成してある。
また、必要により、撹拌具21の蓋壁24と内筒内口6との間の間隔(隙間d)を調整する撹拌具移動装置35を設けることができる。撹拌具移動装置35は回転軸23のみを上下方向に移動させる構成でも、モータ22全体を上下方向に移動させる構成でもよい。
【0063】
空気流速調整装置20の撹拌具21は、内筒2の内筒内口6に臨んで設けられ、攪拌棒31の延出方向と内筒2の延出方向は同じ方向とすることが好ましい。撹拌具21の回転軸23は、内筒2の中心軸にほぼ一致するように配置してある。
モータ22は上壁面11の上面に設置され、モータ22から回転軸23を外筒容器4内に突入させて、その回転軸23の先端部に蓋壁24と撹拌具21を取り付けてある。撹拌具21は鉛直又は斜め下方に向かって延びる棒材又は羽根で構成してある。
【0064】
撹拌具21の下部先端側域は、内筒2の上端部から内筒2内に突入された状態になっている。攪拌棒31(ファン)の回転により空気が攪拌されると同時に遠心力が働くことになる。この遠心力によって空気を送ることができる。
なお、撹拌具21の長さは、内筒2の全長を100%とすると、5%以上50%以下に設定することもできる。
内筒2内に突入される撹拌具21の長さは、5mm以上100mm以下に設定することもできる。
【0065】
外筒容器4の容量にも左右されるが、蓋壁24と内筒2の上下方向の隙間dは、5mm以上100mm以下にすることもできる。
【0066】
(装置側吸気管15、装置側排気管16)
図28~
図30に示すように、下壁面12の下方に複数個の連通口8が設けられた外筒容器4の領域を包含するように、装置側吸気管15が設けられている。本実施形態の構成では、連通口8は、内筒2の回りに円周形に8個設けられているので、装置側吸気管15は、下壁面12の下面の連通口8を全て覆うような吸気室18を有している。
また、内筒外口7から外部方向に引き出すように装置側排気管16が設けられている。装置側排気管16は吸気室18の側壁、底壁などの壁面18hを突き通すように設けられている。装置側吸気管15と装置側排気管16で吸呼気マニホールド17が構成されている。
装置側吸気管15は前記上流側接続管63の一例である。
装置側排気管16は前記下流側接続管64の一例である。
【0067】
<第17実施形態の作用>
上記構成の作用について説明する。
本空気清浄機1において、回転される撹拌具21は、外部の空気が外筒容器4内に吸引された場合に、必要とする照射時間を満足するように、外筒容器4内の空気の空気流速を制御するように回転駆動される。この場合、回転される撹拌具21は、極低圧タービンのように作用させることが多くなる。また、撹拌具21とは別に、前記した
図6~
図9に示すような送風装置75を空気清浄機1の所定箇所に設けることができる。
【0068】
なお、この実施形態では、連通口8を外部の空気を外筒容器4内に導入する導入口32として使用するとともに、内筒外口7を紫外線照射後の空気の排気口33として使用し、導入口32から外筒容器4内に入った空気に対して紫外線光源3からの紫外線を照射しつつ、内筒内口6から内筒外口7を経て排出することで、外筒容器4内に導入された空気中のウイルスを不活化する構成になる。
【0069】
本出願人は本実施形態により、前記したように、SARS-CoV-2を含む液体培地に30cmの距離から、253.7nmの波長の紫外線を500μW/cm2の放射照度で30秒間照射することにより、時間依存的な感染性(ウイルス力価)が減少し、SARS-CoV-2の感染性が99.99%減少するという結果について、その照射距離30cm及び照射時間30秒の大幅な短縮を図り、少なくとも内筒2の長さである照射距離10cm以下、照射時間は5秒以内を目指す構成となっている。
したがって、本実施形態によれば、複数の紫外線光源3を有した構成において、5秒間照射できる空気の滞在時間を外筒容器4内において達成できれば、SARS-CoV-2ウイルスの不活性化が達成できることになる。
【0070】
この所定の紫外線光源に基づく10cmの距離、5秒間という数値は、不活化の程度において、より好ましい構成(紫外線光源の照射強度向上により、10cmよりも短い距離、又は5秒より短い時間)を設計することも可能である。しかし、現時点においても、人の吸気側と呼気側の空気におけるSARS-CoV-2ウイルスの不活性化を人の呼吸のタイミングにおいてリアルタイムで連続的に不活化する性能を示していると言える。
【0071】
また、ウイルスを不活化する空気清浄機に求められる連続的に処理する空気量は、様々な使用形態に応じて変化することが予想できるので、本空気清浄機1は、不活化における条件を最適化できる調整変数(パラメータ)を有している。
具体的には、調整変数(パラメータ)は撹拌具21のモータ22の回転数であり、必要により、撹拌具21と内筒内口6との間隔(隙間d)の大きさを含めることができる。
【0072】
この2つの調整変数の個別調整により、吸気側又は/及び吸気側において、ウイルスで汚染されているかもしれない空気に紫外線が最低でも5秒以上照射されるように、うまく空気のよどみをつくり、不活化に必要な滞在時間を確保するように構成している。
なお、前記したように紫外線光源の強度を高め、その配置本数を増やすことで、ウイルスの不活化時間を短縮できる可能性はある。また、SARS-CoV-2ウイルス、変異ウイルス又は他のウイルスの特性・構成に応じて、不活化に必要な条件を定めることができることは明らかである。
【0073】
以下、本実施形態における空気清浄機の空気の流れに関する作用の一例について説明する。
図示しない送風装置75の作用とともに、撹拌具21が回転することで、外筒容器4内が少し負圧状態になり装置側吸気管15から吸気室18内にある空気は、空気の導入口32として機能する連通口8から外筒容器4内に導入される。
【0074】
ここで、
図30に示すように、撹拌具21が回転することで、外筒容器4の内筒2がある中心から側方(
図30に示す構成では半径方向に延びる方向)に向けて気流が広がるような渦流26が生じる。この渦流26は、内筒2の外周位置にある空気が、内筒2の上端部の内筒内口6から入ることを抑制する低圧のエアーカーテンとして機能することになる。
また、撹拌具21が回転して、上部側に渦流26が生じると、内筒2の回りに外旋流27が生じることになる。外旋流27の発生によって空気が直ぐに上昇して内筒2の内筒内口6に吸入されることが抑制できる。
【0075】
渦流26は、外筒容器4の上部で内筒2の内筒内口6の略同じ高さ位置で生じるので、連通口8から吸入される吸気は、内筒2の側方のバッファゾーンにおいて滞留することになる。
図30に示すように、この滞留の流れは、バッファゾーンにおいて上下方向に旋回するエアバッファ流28となって、内筒2の内筒内口6から空気が吸い込まれることを抑制することになる。
【0076】
内筒2内においても内筒2内に突入された撹拌具21によって、内筒旋回流が生じる。この渦流26、外旋流27、内筒旋回流の強さの程度はモータ22の回転数や、必要により設けられる撹拌具移動装置35による隙間dの調整によって、図示しない送風装置の基本的な流れを制御でき、外筒容器4内の空気の滞在時間を精緻に調整できる。
【0077】
また、第16実施形態の構成では外筒容器4の内面において反射面5,5aが形成されているので、内筒2の外側回りに設けられた複数の紫外線光源3からの紫外線を空気に当てることができるとともに、反射面5,5aからの紫外線も外筒容器4内の空気に当てることができるので単位時間当たりの紫外線の照射量を多くして、ウイルスの不活性化時間を短縮できる利点がある。
また、紫外線光源3による外筒容器4内部に存在する空気に対して第1の紫外線照射と、反射面5,5aによる紫外線照射の第2の紫外線照射の2つの紫外線照射があるので、簡単な構成でウイルスを強力に不活化できる。
【0078】
[第18実施形態]
第18実施形態は、人に付随して移動できる構成を想定した空気清浄機の一例を示す実施形態である。
図32は、第17実施形態に係る空気清浄機の主要部の構成を示す図である。なお、
図32において吸気側不活化ユニット37と呼気側不活化ユニット38の外筒容器4内部にある構成部材は見えないが、分かりやすいように実線で描いている。
図33(a)は吸気呼気を共に不活化する空気清浄機の利用形態を示す図、
図33(b)は吸気専用の空気清浄機の利用形態を示す図、
図33(c)は呼気専用の空気清浄機の利用形態を示す図である。
【0079】
図32に示すように、この空気清浄機1は、吸気側不活化ユニット37と呼気側不活化ユニット38とを備えており、人の吸気側と呼気側の両方で使用するものであり、この空気清浄機1のみでウイルスを人の呼吸のタイミングでリアルタイム(空気の吸気、呼気において連続的)に不活化できる構成である。
【0080】
吸気側不活化ユニット37は、ウイルスが含まれる可能性のある外部の空気を使用者の吸気として不活化するために用いられる空気清浄機であって、吸気口42と呼気口43とを備えたマスク40(人用密閉部41の一例)と、その吸気口42と内筒外口7(排気口33)とを連通する人側吸気管44(人側吸気管路)とを有している。人用密閉部41は人の顔面又は頭部を外部から密閉できる装着部材であり、マスク40の他にフルフェイスヘルメットや、又は少なくとも鼻及び口を密閉する部材が例示できる。
図36は、
図22~
図27に示したマスク93、フルフェイスヘルメット94以外の人用密閉部41の一例としてのヘルメット51の一例を示す図である。
このヘルメット51は、頭部を覆うヘルメット部52と、使用者の呼吸における頭部を所定程度、密閉するガード部53と、ガード部53の密閉程度を高める密閉具54とを有している。つまり、このヘルメット51は、少なくとも人の鼻と口の部分を密閉し、人の顔面又は頭部を外部から密閉できる構成になっている。
ガード部53は、ヘルメット部52から下方に向けて接続され、透明で、使用者の視界を妨げない素材で構成されている。
密閉具54は、ガード部53を、例えば使用者の首などにおいて密閉する紐、ゴムなどの弾性部材等で構成され、使用者が呼吸する場合において、外部空間と、使用者の呼吸する内部空間とを隔離する程度を向上する部材で構成されている。
ガード部53又はヘルメット部52には、吸気口42と呼気口43が設けられている。
なお、
図36に示す構成は、外部空間と内部空間とを隔離する構成を有しておれば、ヘルメット部52を有していなくても、他の人用密閉部41として採用することもできる。例えば、少なくとも鼻及び口を密閉し、外部空間と内部空間とを隔離する密閉型のフェイスガードとして構成することも可能である。
【0081】
図32に示すように、呼気側不活化ユニット38は、ウイルスが含まれている可能性のある使用者の呼気を不活化して外部に排出するために用いられる空気清浄機であって、吸気口42と呼気口43とを備えたマスク40(人用密閉部41の一例)と、呼気口43と連通口8(導入口32)とを連通する人側呼気管45(人側呼気管路)とを有している。
【0082】
吸気側不活化ユニット37と呼気側不活化ユニット38は空気清浄機ユニットとしてケース部39(
図33(a)参照)内に収容して、人の移動に伴って移動する形態を採用することも可能である。この場合、空気清浄機ユニットはベッドや車椅子に付属して設けられてもよく、使用者の移動に伴って移動できるワゴン、各種台車、リュックサック等に搭載することもできる。
【0083】
図33(b)に示すように吸気側不活化ユニット37だけをリュックサックに収容して、外部のウイルスを含む空気を不活化する構成を採用することもできる。
図33(c)に示すように、呼気側不活化ユニット38だけを使用して、自分の呼気中に含まれるかもしれないウイルスを不活化する構成を採用することもできる。
なお、図示はしていないが、空気清浄機1の吸気側不活化ユニット37と呼気側不活化ユニット38には、撹拌具21のモータ22、紫外線光源3の駆動源としての電池(図示せず)と、撹拌具21の回転数や隙間dの制御を行う制御部(図示せず)が設けられる。
また、
図33に示す各利用形態は、
図32に係る構成に限定されず、本明細書において記載された各実施形態の構成を採用することが可能である。
【0084】
<第18実施形態の作用>
図32に示す空気清浄機1の作用について説明する。
図示しない吸気側の送風装置75を利用するともに、吸気側不活化ユニット37の撹拌具21を回転させることで、撹拌具21を極低圧タービンとして機能させて、外部のウイルスで汚染されている可能性のある空気を装置側吸気管15から吸気側不活化ユニット37の外筒容器4内に吸い込む。紫外線光源3を保持する回転型の保持部を設けた空気清浄機1の構成では、必要に応じて紫外線光源3を回転させる。
【0085】
内筒2の回りのバッファゾーンに吸い込まれた空気は撹拌具21の回転によって旋流する。バッファゾーン内において紫外線が照射され、ウイルスは不活化される。また、撹拌具21の回転によって空気を十分に不活化させるための低圧エアーカーテンが気流の膜を作り、空気を滞留させる。そして、順次、不活化された空気が内筒2内で降下してゆく。滞留の程度を撹拌具21の回転数や隙間dによって制御できる。
マスク40を装着した使用者は人側吸気管44を介してウイルスを不活化された空気を吸うことになり、外部の空気にウイルスが存在していても安全な吸気を行うことができる。つまり、吸気側不活化ユニット37は、有害なウイルスが大量に存在する可能性のある外部の吸気から使用者を守るための装置となる。
【0086】
一方、図示しない呼気側の送風装置75を利用するともに、呼気側不活化ユニット38の撹拌具21を回転させることで、マスク40内で使用者がウイルスで汚染された呼気が人側呼気管45を経て呼気側不活化ユニット38の外筒容器4内に装置側吸気管15から吸い込まれる。
そして、内筒2の回りのバッファゾーンで吸い込まれた空気に紫外線が照射され、不活化される。バッファゾーン内の空気は撹拌具21の回転によって旋流する。撹拌具21の回転によって空気を十分に不活化させるための低圧エアーカーテンが気流の膜を作り、空気を滞留させ、順次、不活化された空気が内筒2内で降下してゆき、最終的に装置側排気管16から外部に排出される。呼気側不活化ユニット38は、使用者の呼気中のウイルスから室内又は外部にいる人を守るための装置となる。
【0087】
図32に示す構成であれば、人間の呼吸において、連続的に吸気側不活化ユニット37はウイルスが不活化された空気を常時、供給できるとともに、呼気側不活化ユニット38は使用者の呼気に含まれるウイルスを不活化した状態で常時、外部に排出できることになる。
【0088】
以下、本実施形態の変形例を説明する。
[変形例1]
前記実施形態では空気を例に取り説明したが、空気だけでなく、ウイルスで汚染された気体がある場合には、そのような気体においても同様に本発明に係る空気清浄機を適用することが可能である。その意味で本発明に係る空気清浄機は、気体清浄機であるとも言える。
【0089】
[変形例2]
図28~
図30に示す本体側装置である空気清浄機1において、外筒容器4内の空気に対して行う紫外線照射の照射量及び強度が、対象とするウイルスを不活化できる程度に十分であれば、空気の導入口32と排気口33の割当は適宜、変更し得る。
前記実施形態では、連通口8を空気の導入口32とするとともに、内筒外口7を排気口33として使用した構成で説明したが、必要に応じて連通口8を空気の排気口とするとともに、内筒外口7を外部空気の導入口として使用する構成も採用できる。この構成では必要により送風装置75の設置とともに撹拌具21の回転方向は内筒2内に空気を吸引できる方向に設定される。
【0090】
[変形例3]
図34は紫外線発光素子の一例としての紫外線発光LEDモジュールからの発光の様子を示す模式図、
図35(a)は紫外線発光素子を支柱表面に取り付けて紫外線光源とした例を示す平面図、
図35(b)はその正面図である。
【0091】
図34に示すように、紫外線発光素子73における発光部73hの配光角は90゜以上120゜以下の素子が多い。また、紫外線発光素子73の照射距離も100mm程度のものが多い。
内筒2と平行に延びる紫外線光源3として、紫外線発光LEDモジュールのような紫外線発光素子73を採用する構成では、外筒容器4内の空気に隅々まで紫外線を照射させるために、支柱74などの部材の長手方向に複数個の紫外線発光素子73を取り付けることが好ましい。
【0092】
また、反射面5,5aを設けた空気清浄機において、紫外線発光素子73を採用する場合には、内筒2に向ける側だけでなく、反射面5,5aに向ける側にも紫外線発光素子73を配設して、外筒容器4内に滞留する空気に反射面5,5aから反射した紫外線の照射が行えるようにすることが好ましい。
【0093】
なお、
図35に示す支柱は、横断面が四角形状の支柱が示してあるが、横断面が円形又は三角形状又は多角形状であってもよい。支柱74の各面に紫外線発光素子73を設けた構成では、支柱74回りにほぼ均等に紫外線を照射でき、円筒形の紫外線ランプと同等の均一性を得ることができる。
【0094】
[変形例4]
人に連続的に吸気を供給又は呼気を処理する空気清浄機1の場合は、ウイルスの感染性を99.99%以上、不活化することが好ましい。但し、それ以下の不活化率であっても、ウイルス不活化用の空気清浄機として採用が可能である。
【0095】
ウイルスが引き起こす疾病は、喉の粘膜等に付着するウイルスの量に応じて、感染、発症の可能性が左右されると言われている。粘膜等に付着するウイルスの量が多ければ感染、発症の可能性が高まり、粘膜等に付着するウイルスの量が少ない場合は感染、発症の可能性が低くなる。したがって、99.99%以上の不活化でなくとも、目的とする数値範囲の不活化率を達成できれば、本空気清浄機はウイルスによる感染、発症の可能性を低くでき、利用価値があると言える。
【0096】
また、
図1~
図19、
図28~
図31などに示す空気清浄機1は、
図20、
図21に示したように空気中に存在するウイルスを不活化する用途に広範囲に使用可能である。
例えば、使用者が居住する部屋などに付設して設けられる不活化処置空間(不活化ボックス)内に本発明に係る空気清浄機を設置してウイルスの不活化を達成する構成も採用できる。また、必要に応じて繰り返し空気を本空気清浄機に通す構成も採用できる。
【0097】
[第19実施形態]
図37は空気流路の別の実施形態を説明するための図であり、
図37(a)は空気流路の側面図、
図37(b)は斜視図、
図37(c)は模式断面図、
図37(d)は空気流のシュミレーションを示す図である。
以下の明細書の説明において、
図37及び
図38に示すように、前後方向とは空気流路の延びる方向であって図中Xで示す方向である。横方向(左右方向)とは前後方向に対して直交する方向であって図中Yで示す方向である。なお、右左の向きは空気の進行方向から見たものを示している。上下方向とは前後方向及び横方向と直交する方向であって、図中Zで示す方向である。
この実施形態に係る空気流路58の特徴は、上流側接続管63の横断断面積よりも大きい面積を持った衝突部130が上流側接続管63の入口と対向するように空気流路58内の上流側位置に設けられている点と、衝突部130の後方に、前後方向に所定間隔で空気流を紫外線光源3に沿って漏れることなく蛇行させる邪魔板部131を設けた点と、衝突部130と邪魔板部131が共に鏡面加工(紫外線反射加工)された点を特徴としている。紫外線光源3は、空気流路58の横方向及び上下方向のほぼ中心位置に設けられる。
図37に示す構成では、空気流路58は円筒形に構成され、後方側の右側面部に下流側接続管64を設けた構成となっている。
【0098】
空気の進行方向から見て右側に位置する内周壁に隙間なく接続される右半円形板の邪魔板部131aと、左側の位置する内周壁に隙間なく接続される左半円形板の邪魔板部131bとを有している。
邪魔板部131a,131bは紫外線光源3の形状に対応した凹部141,141(
図37(b)参照)を有している。邪魔板部131aの外縁は空気流路58の右内周壁に隙間なく接続されるとともに、凹部141を紫外線光源3の右側面に嵌合させる。同様に邪魔板部131bの外縁は空気流路58の左内周壁に隙間なく接続されるとともに、凹部141を紫外線光源3の左側面に嵌合させる。嵌合させる形態は紫外線光源3の長手方向に延びる中心線を挟んで左右に略2等分するように嵌合させている。この構成によって空気の蛇行路が形成される。
また、
図37(c)に示すように、紫外線光源3から放射される紫外線が上流側接続管63の入口から漏出することを防止するために、少なくとも2枚の漏出防止壁部133がそれぞれ上流側接続管63の内方向に延びて突設されている。上流側接続管63の対向する壁面において、前後方向に隣り合う漏出防止壁部133が互い違いに異なる壁面から突出するように設けられている。漏出防止壁部133は前後方向から見て中心部において重なった領域を有しているので、紫外線は漏出防止壁部133において遮断される。漏出防止壁部133は180゜と角度の等しい又はより角度の大きい略半円形板等で構成してもよい。
【0099】
上流側接続管63の上流側に接続される上流接続チューブ134が、上下左右などの所定方向に曲げられて、紫外線が空気流の方向に抜けないように構成することもできる。上流接続チューブ134を曲げる場合は、曲げた箇所に紫外線の漏出を防止する防止部(図示せず)を設けることもできる。そのような防止部として鏡面加工を上流接続チューブ134に設ける構成や、紫外線吸収面を形成する構成などが例示できる。なお、必要に応じて漏出防止壁部133及び防止部は下流側接続管64側にも設けられる。
【0100】
図37(d)は空気流路58の空気流をコンピュータシュミレーションで予想したものであり、衝突部130を設けることによって空気流路58に侵入した空気流がマッシュルーム状の逆流を生じさせ、逆流と邪魔板部131によって蛇行した空気流は不活化に必要な滞在時間を得ることができる。また、紫外線光源3は2方向からの凹部141によって挟まれることで、紫外線強度が急激に増える紫外線光源3の表面近くにおいて空気流を移動させることが可能になり、不活化効果を高めることができる。この効果は、衝突部130,邪魔板部131,及び空気流路58の内壁が鏡面加工などの紫外線反射面を有していることによって強化される。また、このような構成であれば、多重反射室145が空気流路58の延びる方向に蛇行して連設された構成となる。多重反射室145は、前後方向に隣り合う2個の邪魔板部131と空気流路58の内周壁と紫外線光源3の表面に囲まれた室内空間になる。
【0101】
図38は、直方体形状の空気流路58に衝突部130と邪魔板部131を設けた実施形態を説明するための図であり、
図38(a)は斜視図、
図38(b)は平面図、
図38(c)は空気流のシュミレーション図である。この空気流路58は、空気流路58内に例えば、複数個(図では2本)の横方向などの所定方向に並んだ紫外線光源3を有している。衝突部130は上流側接続管63の面積よりも大きい四角形板で構成され、右側に位置する邪魔板部131aは空気流路58の上内壁、右側内壁、下内壁に隙間なく接続された四角形板で構成されており、右側光源3aを挿通する挿通孔143aと、左側光源3bの約半分に嵌合する凹部141を有している。同様に、左側に位置する邪魔板部131bは空気流路58の上内壁、左側内壁、下内壁に隙間なく接続された四角形板で構成されており、左側光源3bを挿通する挿通孔143bと、右側光源3aの約半分に嵌合する凹部141を有している。また、衝突部130,邪魔板部131,及び空気流路58の内壁が鏡面加工されている。このような構成であれば、上下左右などの所定位置に複数本の紫外線光源3が設けられた場合でも、適宜、挿通孔143と凹部141を有する邪魔板部131を構成することで、不活化に必要な滞在時間と紫外線強度を確保することができる。
なお、
図37及び
図38に示す空気流路58の前後方向長さを150mm、直径又は横幅を80mmの比較的小型に設計しても、後述するマスク部40に必要な単位時間当たりの空気供給量を想定した場合に空気流路58内の滞在時間が約3秒程度確保でき、一般的な紫外線光源を用いても今後予想されるコロナ変異株などの各種変異ウイルスを不活化できることが予想できる。
【0102】
[第20実施形態]
図39は、人用密閉部41を利用した他の構成例を示す図であり、
図39(a)はマスクユニット140を装着した使用者の模式側面図、
図39(b)はその模式正面図、
図39(c)はその模式背面図である。
図40(a)は吸気側不活化ユニット37を示す図であり、空気流路58を収容した携帯型の構成を示す模式図、
図40(b)はマスクユニット140の構成を示す模式斜視図である。
なお、
図40(a)に示すように、吸気側不活化ユニット37内に配置される空気流路58は、
図37で示された構成を採用している。
図39に示す構成では、人用密閉部41がマスク部40で構成されている。また、
図39(b)に一例として示すように、マスク部40は、吸気口42と排気弁136を有している。この
図39に示す構成では、マスクユニット140は、人側吸気管44とマスク部40の間に設けられた空気滞留室部124と、空気滞留室部124とマスク部40とを連通する接続連通路125とを有している。
空気滞留室部124の材質としては弾力性があり、室内の容積を確保できる構成であれば、ゴム、合成樹脂等の可撓性及び弾力性のある部材を用いることができる。接続連通路125は、通常の断面円形のチュープのみならず、空気滞留室部124の断面積が広く、マスク部40側の断面積が小さい、先細り形状のチューブを採用することも可能である。
【0103】
空気滞留室部124は配置部によって使用者の後頭部に配置される。配置部は図示しない別の装着具によって構成することもできる。また、配置部は、接続連通路125の伸縮性で使用者の頭部をマスク部40と空気滞留室部124によって前後から挟み込むように固定することで構成してもよい。
図40(b)に示すように空気滞留室部124は、人側吸気管44が接続される接続穴と、接続連通路125に接続される左右一対の空気連通口を有している。一対の接続連通路125は、マスク部40の一対の吸気口に連通される。
空気流路58を有する空気清浄機1によって吸気のみを不活化する構成のマスク部であれば、使用者の呼気はマスク部40に設けられた排気弁136から排出される。この排気弁36はマスク部40の外側の空気を吸うことは防止しつつ、使用者の呼気だけを排出する構成の弁が採用されている。そのような弁としては逆止弁が採用できる。
一方、空気流路58を有する空気清浄機1によって呼気のみを不活化する構成のマスク部40であれば、使用者の吸気はマスク部40に設けられた吸気弁(図示せず)からマスク部40から内部に吸引することができる。この吸気弁は使用者の排気がマスク部40の外に漏れることは防止しつつ、使用者の吸気だけをマスク部40の内部に吸引できる構成の弁が採用される。
【0104】
使用者の動きに制限がないように、空気流路8を備えた下部不活化部126と空気滞留室部124は使用者から見て後方に位置させることが好ましい。その理由は、ウイルスに感染する虞れの高い医療従事者などにおいて、身体と手を動きやすくするためである。
吸気と排気の一方だけを不活化する構成だけでなく、
図32に示すように吸気と排気の両方を不活化する構成も採用できる。
図41(a)はそのような構成のマスクユニット140の側面図、
図41(b)は後ろから見た図である。この構成では空気滞留室部124に人側吸気管44と人側呼気管45を接続し、接続連通路125を人側吸気管44と人側呼気管45に対応する吸気と呼気をマスク部40に送るため、頭部の左右それぞれ一対、合計4本の接続連通路125が設けてある。4本の接続連通路125はそれぞれマスク部40の吸気口42と呼気口43に接続される。
以上、説明したように空気滞留室部124を設けることで、マスク部40に必要な空気を安定して供給することができる。また、
図41に一例と示すように、人側吸気管44と人側呼気管45を設けた場合でも接続連通路125が垂れ下がったりすることがなく動きやすくできる。
【0105】
空気滞留室部124を設ける位置は、使用者の後頭部だけでなく、マスク部40に連設して設けることも可能である。
図42(a)はそのような連設型マスク144を正面側から見た図、
図42(b)は連設型マスク144を裏側から見た図、
図42(c)は連設型マスク144を使用者の頭部に装着した状態を示す図である。
この連設型マスク144では、
図42(c)に示すように吸気だけを不活化する構成であって、マスク部40には逆止弁である排気弁136が使用者側から見てマスク部の左片側に上下方向に並んで2個設けられている。
図42(b)に示すように、吸気口42は右片側に上下方向に並んで2個設けられている。この連設型マスク144の空気滞留室部124は、四角柱形の基室部139から2つの指形の引き出し部138が設けられ、2個の吸気口42にそれぞれ接続されている。基室部139の裏側には図示しない人側吸気管44と接続する接続管137が設けられている。
このような連設型マスク144であれば、接続連通路125が不要になり、接続連通路125が外部のものに引っかかるという不都合の発生がない。また、マスク部40を装着するだけで空気滞留室部124も装着できるので、装着及び取り外しが簡単化できる。
なお、連設型マスク144に設けられる空気滞留室部124は
図42に示す構成に限定されず、所定の空気量を滞留させるだけの容積があれば、適宜、形状は変更できる。
【0106】
図43は人用密閉部41をマスク部40ではなく、フルフェイスヘルメット94で構成した実施形態を示す図である。この構成では、フルフェイスヘルメット94の後部位置に空気滞留室部124が付設されている。空気滞留室部124には吸気を不活化する構成の場合、人側吸気管44が接続されている。空気滞留室部124からフルフェイスヘルメット94の内部に向けて一対の接続連通路125が延びており、接続連通路125の不活化された空気放出口となる開口125aは、鼻又は口周辺に位置されている。一対の接続連通路125の下側には一対の排気弁136が設けられてる。しかし、
図43に示す、接続連通路125の本数、排気弁136の数及び接続連通路125と排気弁136の上下関係は一例に過ぎず、
図43に限定されず、各種の構成が採用できる。また、
図43では接続連通路125はチューブ形状のものが示してあるが、その他、フルフェイスヘルメット94の部材と一体化された接続連通路125で構成されてもよい。
フルフェイスヘルメット94の下部にはフルフェイスヘルメット94内と外部とを密閉する密閉具146が設けられている。密閉具146は使用者の首周り周辺を密閉する密閉手段で構成されることが多い。
この構成であれば、マスク部40を使用する場合に比べて、フルフェイスヘルメット94を装着する構成では、フルフェイスヘルメット94と密閉具146によって外部との密閉度・隔離度を高くできるとともに、マスク部40に比べて外部からの衝撃や引っ掛かりなどによって、フルフェイスヘルメット94が外れる危険性を低減でき、安全性を高めることができるという利点がある。なお、
図27又は
図36に示す人側吸気管44と人側呼気管45が共にフルフェイスヘルメット94に導かれる構成であっても図示はしないが、フルフェイスヘルメット94に空気滞留室部124を設けることができる。
【0107】
以下、本発明において、主に前記第28態様に付随する構成例を付記という形で、記載する。この付記の記載で「前記」とは、請求項及び[課題を解決するための手段]の欄に記載された部材や構成要素に対応している。
(付記1)
前記空気流路の上流位置、下流位置の少なくとも一方の位置に設けられた外側送風装置と、
前記空気流路の内部位置に設けられた内側送風装置と、
前記空気流路の流速を検出する流速検出部と、
前記流速検出部において検出された流速に基づいて、前記外側送風装置及び前記内側送風装置を制御する制御部と、を有していることを特徴とする空気清浄機。
(付記2)
前記撹拌具の一部が前記内筒内口に入っていることを特徴とする空気清浄機。
(付記)
前記連通口を外部の空気を前記外筒容器内に導入する導入口として使用するとともに、前記内筒外口を紫外線照射後の空気の排気口として使用し、前記導入口から前記外筒容器内に入った空気に対して前記紫外線光源からの紫外線を照射しつつ、前記内筒内口から前記内筒外口を経て排出することで、前記外筒容器内に導入された空気中のウイルスを不活化することを特徴とする空気清浄機。
(付記3)
前記内筒が前記外筒容器の中心軸位置に設けられた内筒で構成され、前記反射面が前記外筒容器の前記内面に形成され、
前記紫外線光源が前記内筒の外側の円周位置に複数個、配設されていることを特徴とする空気清浄機。
(付記4)
前記導入口が前記外筒容器の上壁面又は下壁面に複数個設けられ、前記導入口を覆う吸気室を設けたことを特徴とする空気清浄機。
(付記5)
前記導入口が、前記内筒の外側の円周方向において、隣り合う前記紫外線光源の間の位置に設けられていることを特徴とする空気清浄機。
(付記6)
前記撹拌具と前記内筒内口との間の間隔を調整する撹拌具移動装置を設けたことを特徴とする空気清浄機。
(付記7)
前記内筒の軸方向の長さが前記外筒容器の軸方向の長さよりも短く形成され、前記外筒容器と前記内筒の間の空間に前記撹拌具を設けたことを特徴とする空気清浄機。
(付記8)
前記撹拌具が前記内筒内口とは反対側に蓋壁を有し、前記蓋壁が前記内筒内口と略同じ大きさを有していることを特徴とする空気清浄機。
(付記9)
ウイルスが含まれる可能性のある外部の空気を使用者の吸気として不活化するために用いられる空気清浄機であって、
人が鼻又は口から呼吸するための吸気口と呼気口とを備え、少なくとも鼻及び口を外部から密閉する人用密閉部と、
前記吸気口と前記排気口とを連通する人側吸気管路とを有したことを特徴とする空気清浄機。
(付記10)
ウイルスが含まれている可能性のある使用者の呼気を不活化して外部に排出するために用いられる空気清浄機であって、
人が鼻又は口から呼吸するための吸気口と呼気口とを備え、少なくとも鼻及び口を外部から密閉する人用密閉部と、
前記呼気口と前記導入口とを連通する人側呼気管路とを有したことを特徴とする空気清浄機。
(付記11)
前記内筒外口を外部の空気を前記外筒容器内に導入する導入口として使用するとともに、前記連通口を紫外線照射後の空気の排気口として使用し、前記内筒外口から前記内筒内口を経て前記外筒容器内に入る空気に対して前記紫外線光源からの紫外線を照射しつつ、前記連通口から空気を排出することで、前記外筒容器内に導入された空気中のウイルスを不活化することを特徴とする空気清浄機。
(付記12)
前記紫外線光源を保持する保持部と、前記保持部を前記外筒容器の中心軸回りに回転させるモータと、を有することを特徴とする空気清浄機。
【0108】
以上、実施形態を例示して本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の構成には限定されない。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて判断されるべきであり、その範囲内であれば、多様な変形や構成の追加、又は改良が行えることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0109】
1:空気清浄機
2:内筒
3:紫外線光源
4:外筒容器
4a:外筒容器内面
5,5a:反射面
6:内筒内口
7:内筒外口
8:連通口
11:外筒容器の上壁面
12:外筒容器の下壁面
18:吸気室
20:空気流速調整装置(滞在時間調整装置の一例)
21:撹拌具
22:モータ
24:蓋壁
32:導入口
33:排気口
35:撹拌具移動装置
40:マスク部
41:人用密閉部
42:吸気口
43:呼気口
44:人側吸気管(人側吸気管路の一例)
45:人側呼気管(人側呼気管路の一例)
56:第1入口(入口)
57:第1出口(出口)
58:空気流路
59:回転羽根
63:上流側接続管
64:下流側接続管
67:反射面
68:調整弁(空気流速調整装置の一例)
70:凹凸部
73:紫外線発光素子(紫外線光源の一例)
75:送風装置(空気流速調整装置の一例)
76:均一化部材
77:格子形区分壁
78:ハニカム形区分壁
81:内部流路
82:外側開口
83:小幅板体
84:内側開口
85:大幅板体
86:蛇行路
88:部屋
91:部屋
93:マスク(人用密閉部の一例)
94:フルフェイスヘルメット(人用密閉部の一例)
96:装着用衣服
97:装着具
103:湿度調整装置
105:紫外線光源位置変化装置
107:外鏡体
111:流速センサ(流速検出部の一例)
112:支軸
113:回動部
115:進退ロッド
116:アクチュエータ部
118:制御部
110:湿度センサ(湿度検出部の一例)
124:空気滞留室部
125:接続連通路(吸気接続路と呼気接続路の一例)
130:衝突部
131:邪魔板部
144:連設型マスク