(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025038057
(43)【公開日】2025-03-18
(54)【発明の名称】Tn-MUC1キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20250311BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N15/62 Z
C12N5/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024217382
(22)【出願日】2024-12-12
(62)【分割の表示】P 2021557613の分割
【原出願日】2020-03-26
(31)【優先権主張番号】62/824,532
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/881,269
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ポージー エイヴリー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ジューン カール エイチ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】改変された免疫細胞またはその前駆細胞を提供する。
【解決手段】MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む、改変された免疫細胞またはその前駆細胞であって、該キメラ抗原受容体が、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、該重鎖可変ドメインが特定の重鎖相補性決定領域配列を含み、該軽鎖可変ドメインが特定の軽鎖相補性決定領域配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む、改変された免疫細胞またはその前駆細胞が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変された免疫細胞またはその前駆細胞であって、
CARが、
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
膜貫通ドメインと;
共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む、
改変された免疫細胞またはその前駆細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願には、米国特許法第119条(e)の下、2019年3月27日付で出願された米国仮特許出願第62/824,532号および2019年7月31日付で出願された米国仮特許出願第62/881,269号への優先権が与えられており、それらの出願は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞は、特定の腫瘍関連抗原を認識し、続いて腫瘍細胞を死滅させるように遺伝的に改変されているエフェクター免疫細胞である。CAR T療法の成功が血液悪性腫瘍への使用の承認につながったとはいえ、乳がんなどの固形腫瘍の処置におけるCAR T療法の有効性は、依然として不確かである。固形腫瘍におけるCAR T療法にはいくつかの障壁がある。最初に、腫瘍によって発現される、同定され最も研究された細胞表現抗原の大部分は、正常組織によっても発現され、CAR T細胞による非特異的標的化をもたらす(オンターゲットの腫瘍外(off-tumor)活性)。第二に、固形腫瘍は、一般的に免疫抑制性の腫瘍微小環境を有し、CAR T細胞が腫瘍に到達し抗原を認識した後で、この微小環境がCAR T細胞の活性を阻害する場合がある。第三に、抗腫瘍応答の耐久性は養子移入された細胞の持続性と高く相関し、固形腫瘍においてCAR T細胞の持続性が最高であっても、造血器悪性腫瘍で観察された持続性にまだ及ばない。
【0003】
腫瘍特異抗原を同定することは、固形腫瘍へのCAR T細胞療法の継続的な適用に不可欠である。乳がんなどの固形腫瘍を処置する新規な組成物および方法の必要性が存在する。本発明は、この必要性を満たすものである。
【発明の概要】
【0004】
概要
ムチン1(MUC1)は、典型的にはグリカンの逐次付加を受けて高グリコシル化タンパク質を形成する細胞表面ムチンである(
図1)。O-グリコシル化過程は、セリンおよびトレオニン残基へのGalNAc付加で始まる。伸長は、コア1合成酵素(C1GalT1およびそのシャペロンC1GalT1C1(Cosmc)から構成される)によるガラクトースの付加またはコア3合成酵素(B3GNT6)によるGlcNAc付加で始まる。Cosmcのエピジェネティックサイレンシングのようなこの逐次グリコシル化の異常は、低グリコシル化産物、Tn-MUC1をもたらし、(ST6GALNAC-1)によってTn-MUC1にシアル酸が付加されてSTn-MUC1を形成する場合がある。
【0005】
本開示は、Tn-MUC1に対するCAR T細胞が様々ながん細胞株に対してインビトロで強力な細胞溶解活性を、そしてインビボで有意な腫瘍根絶を示したという発見に基づく。一局面では、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変された免疫細胞またはその前駆細胞が提供され、ここで、CARは、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0006】
ある特定の例示的な態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインは、MUC1のグリコエピトープに特異的である。ある特定の例示的な態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインは、MUC1の切断型グリコエピトープに特異的である。
【0007】
ある特定の例示的な態様では、VHドメインは、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含む。ある特定の例示的な態様では、VLドメインは、SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含む。ある特定の例示的な態様では、VHドメインは、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含む。ある特定の例示的な態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインは、SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を含む。
【0008】
ある特定の例示的な態様では、膜貫通ドメインは、I型膜貫通タンパク質、T細胞受容体アルファ、ベータ、またはゼータ鎖、CD28、CD2、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD7、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134(OX-40)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、CD278(ICOS)、CD357(GITR)、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択されるタンパク質の膜貫通領域を含む。ある特定の例示的な態様では、膜貫通ドメインは、CD8膜貫通領域を含む。ある特定の例示的な態様では、膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:7に示されるアミノ酸配列を含む。
【0009】
ある特定の例示的な態様では、共刺激シグナル伝達ドメインは、TNFRスーパーファミリーのメンバー、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD5、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、DAP10、DAP12、Lck、Fas、およびそれらの任意の誘導体またはバリアントからなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメインを含む。ある特定の例示的な態様では、共刺激シグナル伝達ドメインはCD2共刺激シグナル伝達ドメインである。ある特定の例示的な態様では、共刺激シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含む。
【0010】
ある特定の例示的な態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ、FcyRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)保有細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、およびCD66dからなる群より選択されるタンパク質のシグナル伝達ドメインを含む。ある特定の例示的な態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインを含む。ある特定の例示的な態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:30に示されるアミノ酸配列を含む。
【0011】
ある特定の例示的な態様では、CARは、リーダー配列をさらに含む。ある特定の例示的な態様では、リーダー配列はCD8リーダー配列である。ある特定の例示的な態様では、リーダー配列は、SEQ ID NO:48に示されるアミノ酸配列を含む。
【0012】
ある特定の例示的な態様では、CARは、ヒンジドメインをさらに含む。ある特定の例示的な態様では、ヒンジドメインは、抗体のFc断片、抗体のヒンジ領域、抗体のCH2領域、抗体のCH3領域、人工スペーサー配列、CD8のアミノ酸配列を含むヒンジ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるタンパク質由来である。ある特定の例示的な態様では、ヒンジドメインはCD8ヒンジドメインである。ある特定の例示的な態様では、ヒンジドメインは、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
ある特定の態様では、改変された免疫細胞は、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をさらに含む。
【0014】
ある特定の態様では、ドミナントネガティブ型受容体は、負のシグナルに関連する野生型タンパク質の切断型バリアントである。一態様では、野生型タンパク質の切断型バリアントは、SEQ ID NO:76に示されるアミノ酸配列を含む負のシグナルに関連する。
【0015】
ある特定の態様では、スイッチ受容体は、負のシグナルに関連する第1のポリペプチドに由来する第1のドメインと;正のシグナルに関連する第2のポリペプチドに由来する第2のドメインとを含む。一態様では、第1のドメインは、負のシグナルに関連する第1のポリペプチドの細胞外ドメインの少なくとも一部分を含み、第2のドメインは、正のシグナルに関連する第2のポリペプチドの細胞内ドメインの少なくとも一部分を含む。一態様では、スイッチ受容体は、スイッチ受容体の膜貫通ドメインをさらに含む。一態様では、スイッチ受容体の膜貫通ドメインは、負のシグナルに関連する第1のポリペプチドの膜貫通ドメイン;または正のシグナルに関連する第2のポリペプチドの膜貫通ドメインを含む。一態様では、負のシグナルに関連する第1のポリペプチドは、CTLA4、PD-1、BTLA、TIM-3、およびTGFβRからなる群より選択される。一態様では、正のシグナルに関連する第2のポリペプチドは、CD28、ICOS、4-1BB、およびIL-12Rからなる群より選択される。
【0016】
一態様では、スイッチ受容体は、PD1の細胞外ドメインの少なくとも一部分を含む第1のドメインと;CD28の膜貫通ドメインの少なくとも一部分を含むスイッチ受容体の膜貫通ドメインと;CD28の細胞内ドメインの少なくとも一部分を含む第2のドメインとを含む。一態様では、スイッチ受容体は、SEQ ID NO:78に示されるアミノ酸配列を含む。一態様では、スイッチ受容体は、PD1の細胞外ドメインの少なくとも一部分を含む第1のドメインと;PD1の膜貫通ドメインの少なくとも一部分を含むスイッチ受容体の膜貫通ドメインと;CD28の細胞内ドメインの少なくとも一部分を含む第2のドメインとを含む。
【0017】
一態様では、スイッチ受容体は、SEQ ID NO:80に示されるアミノ酸配列を含む。
【0018】
一態様では、第1のドメインは、アミノ酸位置132にアラニン(A)からロイシン(L)への置換を含むPD1の細胞外ドメインの少なくとも一部分を含む。
【0019】
一態様では、スイッチ受容体は、SEQ ID NO:82に示されるアミノ酸配列を含む。
【0020】
一態様では、スイッチ受容体は、アミノ酸位置132にアラニン(A)からロイシン(L)への置換を含むPD1の細胞外ドメインの少なくとも一部分を含む第1のドメインと;CD28の細胞内ドメインの少なくとも一部分を含む第2のドメインとを含む。
【0021】
一態様では、スイッチ受容体は、アミノ酸位置132にアラニン(A)からロイシン(L)への置換を含むPD1の細胞外ドメインの少なくとも一部分を含む第1のドメインと;4-1BBの細胞内ドメインの少なくとも一部分を含む第2のドメインとを含む。
【0022】
一態様では、スイッチ受容体は、SEQ ID NO:86に示されるアミノ酸配列を含む。
【0023】
一態様では、スイッチ受容体は、TIM-3の細胞外ドメインの少なくとも一部分を含む第1のドメインと;CD28の細胞内ドメインの少なくとも一部分を含む第2のドメインとを含む。
【0024】
一態様では、スイッチ受容体は、SEQ ID NO:92に示されるアミノ酸配列を含む。
【0025】
一態様では、スイッチ受容体は、TGFβRの細胞外ドメインの少なくとも一部分を含む第1のドメインと;ILl2Rαlの細胞内ドメインの少なくとも一部分を含む第2のドメインとを含む。
【0026】
一態様では、スイッチ受容体は、SEQ ID NO:88に示されるアミノ酸配列を含む。
【0027】
一態様では、スイッチ受容体は、TGFβRの細胞外ドメインの少なくとも一部分を含む第1のドメインと;ILl2Rβ1の細胞内ドメインの少なくとも一部分を含む第2のドメインとを含む。
【0028】
一態様では、スイッチ受容体は、SEQ ID NO:90に示されるアミノ酸配列を含む。
【0029】
ある特定の例示的な態様では、改変された細胞は、改変されたナチュラルキラー(NK)細胞、改変されたナチュラルキラーT(NKT)細胞、または改変されたT細胞である。ある特定の例示的な態様では、改変された免疫細胞は改変されたT細胞である。ある特定の例示的な態様では、改変された免疫細胞は自己由来である。
【0030】
別の局面では、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変されたT細胞が提供され、ここで、CARは、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;ヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;CD2共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0031】
別の局面では、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変されたT細胞が提供され、ここで、CARは、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;ヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;SEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含むCD2共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0032】
別の局面では、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変されたT細胞が提供され、ここで、CARは、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;CD8ヒンジドメインと;CD8膜貫通ドメインと;SEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含むCD2共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0033】
別の局面では、SEQ ID NO:2、39、41、43、45、または47に示されるアミノ酸配列を含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変されたT細胞が提供される。
【0034】
別の局面では、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ抗原受容体をコードする単離された核酸配列が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0035】
ある特定の例示的な態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインは、MUC1のグリコエピトープに特異的である。ある特定の例示的な態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインは、MUC1の切断型グリコエピトープに特異的である。
【0036】
ある特定の例示的な態様では、VHドメインは、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含む。ある特定の例示的な態様では、VLドメインは、SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含む。ある特定の例示的な態様では、VHドメインは、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含む。ある特定の例示的な態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインは、SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を含む。
【0037】
ある特定の例示的な態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインは、SEQ ID NO:3に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる。
【0038】
ある特定の例示的な態様では、膜貫通ドメインは、I型膜貫通タンパク質、T細胞受容体アルファ、ベータ、またはゼータ鎖、CD28、CD2、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD7、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134(OX-40)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、CD278(ICOS)、CD357(GITR)、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択されるタンパク質の膜貫通領域を含む。ある特定の例示的な態様では、膜貫通ドメインは、CD8膜貫通領域を含む。ある特定の例示的な態様では、膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:8に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる。
【0039】
ある特定の例示的な態様では、共刺激シグナル伝達ドメインは、TNFRスーパーファミリーのメンバー、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD5、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、DAP10、DAP12、Lck、Fas、およびそれらの任意の誘導体またはバリアントからなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメインを含む。ある特定の例示的な態様では、共刺激シグナル伝達ドメインはCD2共刺激シグナル伝達ドメインである。ある特定の例示的な態様では、共刺激シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含む。ある特定の例示的な態様では、共刺激シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:29に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる。
【0040】
ある特定の例示的な態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインを含む。ある特定の例示的な態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:31に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる。
【0041】
ある特定の例示的な態様では、CARは、CD8リーダー配列をさらに含む。ある特定の例示的な態様では、リーダー配列は、SEQ ID NO:48に示されるアミノ酸配列を含む。
【0042】
ある特定の例示的な態様では、CARは、CD8ヒンジドメインをさらに含む。ある特定の例示的な態様では、ヒンジドメインは、SEQ ID NO:14に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
【0043】
別の局面では、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;ヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;CD2共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ抗原受容体をコードする単離された核酸配列が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0044】
別の局面では、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;ヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;SEQ ID NO:29に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列を含むCD2共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ抗原受容体をコードする単離された核酸配列が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0045】
別の局面では、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;CD8ヒンジドメインと;CD8膜貫通ドメインと;SEQ ID NO:29に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列を含むCD2共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ抗原受容体をコードする単離された核酸配列が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0046】
別の局面では、SEQ ID NO:1、38、40、42、44、または46に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列を含む、キメラ抗原受容体をコードする単離された核酸配列が提供される。
【0047】
別の局面では、SEQ ID NO:27に示されるヌクレオチド配列を含むICOS共刺激シグナル伝達ドメインをコードする単離された核酸配列が提供される。
【0048】
別の局面では、前記態様のいずれか1つに記載の核酸によってコードされる、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)が提供される。
【0049】
別の局面では、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;ヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0050】
別の局面では、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;ヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;SEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含むCD2共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0051】
別の局面では、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;CD8ヒンジドメインと;CD8膜貫通ドメインと;SEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含むCD2共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0052】
別の局面では、SEQ ID NO:47に示されるアミノ酸配列を含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)が提供される。
【0053】
別の局面では、前記態様のいずれか1つに記載の単離された核酸を含む発現構築物が提供される。ある特定の例示的な態様では、発現構築物は、EF-1αプロモーターをさらに含む。ある特定の例示的な態様では、発現構築物は、rev応答エレメント(RRE)をさらに含む。ある特定の例示的な態様では、発現構築物は、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)をさらに含む。ある特定の例示的な態様では、発現構築物は、cPPT配列をさらに含む。ある特定の例示的な態様では、発現構築物は、EF-1αプロモーター、rev応答エレメント(RRE)、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)、およびcPPT配列をさらに含む。
【0054】
ある特定の例示的な態様では、発現構築物は、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルスベクターからなる群より選択されるウイルスベクターである。ある特定の例示的な態様では、発現構築物はレンチウイルスベクターである。ある特定の例示的な態様では、発現構築物は自己不活化レンチウイルスベクターである。
【0055】
別の局面では、前記態様のいずれか1つに記載の単離された核酸または前記態様のいずれか1つに記載の発現構築物を免疫細胞またはその前駆細胞内に導入する段階を含む、前記態様のいずれか1つに記載の改変された免疫細胞またはその前駆細胞を生成するための方法が提供される。
【0056】
別の局面では、前記態様のいずれか1つに記載の改変された免疫細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む、それを必要とする対象におけるMUC1関連がんを処置する方法が提供される。
【0057】
ある特定の例示的な態様では、MUC1関連がんは、多発性骨髄腫、非小細胞肺がん、乳がん、膵臓腺がん、ならびに卵巣および卵管がんからなる群より選択される。
【0058】
ある特定の例示的な態様では、MUC1関連がんは乳がんである。ある特定の例示的な態様では、乳がんは、MUC1の異常なグリコシル化によって特徴付けられる。ある特定の例示的な態様では、乳がんは、ホルモン受容体陽性乳がん、ホルモン受容体陰性乳がん、エストロゲン受容体陰性乳がん、プロゲステロン受容体陰性乳がん、およびHer2受容体陰性乳がんからなる群より選択される。ある特定の例示的な態様では、乳がんは転移性乳がんである。ある特定の例示的な態様では、乳がんはトリプルネガティブ乳がんである。
【0059】
別の局面では、それを必要とする対象におけるMUC1関連がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0060】
別の局面では、それを必要とする対象におけるMUC1関連多発性骨髄腫を処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0061】
別の局面では、それを必要とする対象におけるMUC1関連非小細胞肺がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0062】
別の局面では、それを必要とする対象におけるMUC1関連トリプルネガティブ乳がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0063】
別の局面では、それを必要とする対象におけるMUC1関連膵臓腺がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0064】
別の局面では、それを必要とする対象におけるMUC1関連卵巣および卵管がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0065】
ある特定の例示的な態様では、前記態様のいずれか1つに記載の方法は、リンパ球枯渇化学療法を対象に施す段階をさらに含む。ある特定の例示的な態様では、リンパ球枯渇化学療法は、シクロホスファミドの治療有効量を対象に投与する段階を含む。ある特定の例示的な態様では、リンパ球枯渇化学療法は、フルダラビンの治療有効量を対象に投与する段階を含む。ある特定の例示的な態様では、リンパ球枯渇化学療法は、シクロホスファミドの治療有効量およびフルダラビンの治療有効量を対象に投与する段階を含む。
【0066】
ある特定の例示的な態様では、前記態様のいずれか1つに記載の方法は、サイトカイン放出症候群(CRS)の管理レジメンを対象に施す段階をさらに含む。ある特定の例示的な態様では、CRSの管理レジメンは、トシリズマブの治療有効量を含む。ある特定の例示的な態様では、CRSの管理レジメンは、トシリズマブおよび/またはコルチコステロイドの治療有効量を含む。
【0067】
ある特定の例示的な態様では、改変された免疫細胞または改変されたT細胞は自己由来である。
【0068】
ある特定の例示的な態様では、改変された免疫細胞または改変されたT細胞の投与は、腫瘍内送達を介して行われる。ある特定の例示的な態様では、改変された免疫細胞または改変されたT細胞の投与は、静脈内送達を介して行われる。ある特定の例示的な態様では、改変された免疫細胞または改変されたT細胞の投与は、腹腔内送達を介して行われる。
【0069】
前記態様のいずれか1つに記載の改変された免疫細胞またはその前駆細胞は、前記態様のいずれか1つに記載の方法に使用するためのものである。前記態様のいずれか1つに記載の単離された核酸配列は、前記態様のいずれか1つに記載の方法に使用するためのものである。前記態様のいずれか1つに記載のキメラ抗原受容体は、前記態様のいずれか1つに記載の方法に使用するためのものである。前記態様のいずれか1つに記載の発現ベクターは、前記態様のいずれか1つに記載の方法に使用するためのものである。
[本発明1001]
MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変された免疫細胞またはその前駆細胞であって、
CARが、
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
膜貫通ドメインと;
共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む、
改変された免疫細胞またはその前駆細胞。
[本発明1002]
MUC1特異的抗原結合ドメインが、MUC1のグリコエピトープに特異的である、本発明1001の改変された免疫細胞。
[本発明1003]
MUC1特異的抗原結合ドメインが、MUC1の切断型グリコエピトープに特異的である、本発明1001または1002の改変された免疫細胞。
[本発明1004]
VHドメインが、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含む、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1005]
VLドメインが、SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含む、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1006]
VHドメインが、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含む、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1007]
MUC1特異的抗原結合ドメインが、SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を含む、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1008]
膜貫通ドメインが、I型膜貫通タンパク質、T細胞受容体アルファ鎖、T細胞受容体ベータ鎖、T細胞受容体ゼータ鎖、CD28、CD2、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD7、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134(OX-40)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、CD278(ICOS)、CD357(GITR)、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択されるタンパク質の膜貫通領域を含む、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1009]
膜貫通ドメインが、CD8膜貫通領域を含む、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1010]
膜貫通ドメインが、SEQ ID NO:7に示されるアミノ酸配列を含む、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1011]
共刺激シグナル伝達ドメインが、TNFRスーパーファミリーのメンバー、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD5、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、DAP10、DAP12、Lck、Fas、およびそれらの任意の誘導体またはバリアントからなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメインを含む、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1012]
共刺激シグナル伝達ドメインが、CD2共刺激シグナル伝達ドメインである、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1013]
共刺激シグナル伝達ドメインが、SEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含む、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1014]
細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータ、FcyRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)保有細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、およびCD66dからなる群より選択されるタンパク質のシグナル伝達ドメインを含む、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1015]
細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインを含む、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1016]
細胞内シグナル伝達ドメインが、SEQ ID NO:30に示されるアミノ酸配列を含む、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1017]
CARが、リーダー配列をさらに含む、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1018]
リーダー配列が、CD8リーダー配列である、本発明1017の改変された免疫細胞。
[本発明1019]
リーダー配列が、SEQ ID NO:48に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1017または1018の改変された免疫細胞。
[本発明1020]
CARが、ヒンジドメインをさらに含む、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1021]
ヒンジドメインが、抗体のFc断片、抗体のヒンジ領域、抗体のCH2領域、抗体のCH3領域、人工スペーサー配列、CD8のアミノ酸ヒンジ配列、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるタンパク質由来である、本発明1020の改変された免疫細胞。
[本発明1022]
ヒンジドメインが、CD8ヒンジドメインである、本発明1020または1021の改変された免疫細胞。
[本発明1023]
ヒンジドメインが、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1020~1022のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1024]
改変されたナチュラルキラー(NK)細胞、改変されたナチュラルキラーT(NKT)細胞、または改変されたT細胞である、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1025]
改変されたT細胞である、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1026]
自己由来である、前記本発明のいずれかの改変された免疫細胞。
[本発明1027]
MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変されたT細胞であって、
CARが、
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
ヒンジドメインと;
膜貫通ドメインと;
CD2共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む、
改変されたT細胞。
[本発明1028]
MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変されたT細胞であって、
CARが、
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
ヒンジドメインと;
膜貫通ドメインと;
SEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含むCD2共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む、
改変されたT細胞。
[本発明1029]
MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変されたT細胞であって、
CARが、
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
CD8ヒンジドメインと;
CD8膜貫通ドメインと;
SEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含むCD2共刺激シグナル伝達ドメインと;
CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む、
改変されたT細胞。
[本発明1030]
SEQ ID NO:2、39、41、43、45、または47に示されるアミノ酸配列を含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)
を含む、改変されたT細胞。
[本発明1031]
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
膜貫通ドメインと;
共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含むキメラ抗原受容体をコードする、単離された核酸配列。
[本発明1032]
MUC1特異的抗原結合ドメインが、MUC1のグリコエピトープに特異的である、本発明1031の単離された核酸配列。
[本発明1033]
MUC1特異的抗原結合ドメインが、MUC1の切断型グリコエピトープに特異的である、本発明1031または1032の単離された核酸配列。
[本発明1034]
VHドメインが、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1031~1033のいずれかの単離された核酸配列。
[本発明1035]
VLドメインが、SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1031~1034のいずれかの単離された核酸配列。
[本発明1036]
VHドメインが、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1031~1035のいずれかの単離された核酸配列。
[本発明1037]
MUC1特異的抗原結合ドメインが、SEQ ID NO:3に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる、本発明1031~1036のいずれかの単離された核酸配列。
[本発明1038]
膜貫通ドメインが、I型膜貫通タンパク質、T細胞受容体アルファ鎖、T細胞受容体ベータ鎖、T細胞受容体ゼータ鎖、CD28、CD2、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD7、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134(OX-40)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、CD278(ICOS)、CD357(GITR)、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択されるタンパク質の膜貫通領域を含む、本発明1031~1037のいずれかの単離された核酸配列。
[本発明1039]
膜貫通ドメインが、CD8膜貫通領域を含む、本発明1031~1038のいずれかの単離された核酸配列。
[本発明1040]
膜貫通ドメインが、SEQ ID NO:8に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる、本発明1031~1039のいずれかの単離された核酸配列。
[本発明1041]
共刺激シグナル伝達ドメインが、TNFRスーパーファミリーのメンバー、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD5、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、DAP10、DAP12、Lck、Fas、およびそれらの任意の誘導体またはバリアントからなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメインを含む、本発明1031~1040のいずれかの単離された核酸配列。
[本発明1042]
共刺激シグナル伝達ドメインが、CD2共刺激シグナル伝達ドメインである、本発明1031~1041のいずれかの単離された核酸配列。
[本発明1043]
共刺激シグナル伝達ドメインが、SEQ ID NO:29に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる、本発明1031~1042のいずれかの単離された核酸配列。
[本発明1044]
細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインを含む、本発明1031~1043のいずれかの単離された核酸配列。
[本発明1045]
細胞内シグナル伝達ドメインが、SEQ ID NO:31に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる、本発明1031~1044のいずれかの単離された核酸配列。
[本発明1046]
CARが、CD8リーダー配列をさらに含む、本発明1031~1045のいずれかの単離された核酸配列。
[本発明1047]
リーダー配列が、SEQ ID NO:48に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1046の単離された核酸配列。
[本発明1048]
CARが、CD8ヒンジドメインをさらに含む、本発明1031~1047のいずれかの単離された核酸配列。
[本発明1049]
ヒンジドメインが、SEQ ID NO:14に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる、本発明1048の単離された核酸配列。
[本発明1050]
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
ヒンジドメインと;
膜貫通ドメインと;
CD2共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含むキメラ抗原受容体をコードする、単離された核酸配列。
[本発明1051]
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
ヒンジドメインと;
膜貫通ドメインと;
SEQ ID NO:29に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列を含むCD2共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含むキメラ抗原受容体をコードする、単離された核酸配列。
[本発明1052]
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
CD8ヒンジドメインと;
CD8膜貫通ドメインと;
SEQ ID NO:29に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列を含むCD2共刺激シグナル伝達ドメインと;
CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインと
を含むキメラ抗原受容体をコードする、単離された核酸配列。
[本発明1053]
SEQ ID NO:1、38、40、42、44、または46に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列を含む、キメラ抗原受容体をコードする単離された核酸配列。
[本発明1054]
SEQ ID NO:27に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列を含む、ICOS共刺激シグナル伝達ドメインをコードする単離された核酸配列。
[本発明1055]
本発明1031~1053のいずれかの核酸によってコードされる、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)。
[本発明1056]
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
ヒンジドメインと;
膜貫通ドメインと;
共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)。
[本発明1057]
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
ヒンジドメインと;
膜貫通ドメインと;
SEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含むCD2共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)。
[本発明1058]
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
CD8ヒンジドメインと;
CD8膜貫通ドメインと;
SEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含むCD2共刺激シグナル伝達ドメインと;
CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)。
[本発明1059]
SEQ ID NO:2、39、41、43、45、または47に示されるアミノ酸配列を含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)。
[本発明1060]
本発明1031~1053のいずれかの単離された核酸を含む、発現構築物。
[本発明1061]
EF-1αプロモーターをさらに含む、本発明1060の発現構築物。
[本発明1062]
rev応答エレメント(RRE)をさらに含む、本発明1060または1061の発現構築物。
[本発明1063]
ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)をさらに含む、本発明1060~1062のいずれかの発現構築物。
[本発明1064]
cPPT配列をさらに含む、本発明1060~1063のいずれかの発現構築物。
[本発明1065]
EF-1αプロモーター、rev応答エレメント(RRE)、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)、およびcPPT配列をさらに含む、本発明1060~1064のいずれかの発現構築物。
[本発明1066]
レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルスベクターからなる群より選択されるウイルスベクターである、本発明1060~1065のいずれかの発現構築物。
[本発明1067]
レンチウイルスベクターである、本発明1060~1066のいずれかの発現構築物。
[本発明1068]
自己不活化レンチウイルスベクターである、本発明1060~1067のいずれかの発現構築物。
[本発明1069]
本発明1031~1053のいずれかの単離された核酸、または本発明1060~1067のいずれかの発現構築物を、免疫細胞またはその前駆細胞内に導入する段階を含む、本発明1001~1030のいずれかの改変された免疫細胞またはその前駆細胞を生成するための方法。
[本発明1070]
本発明1001~1030のいずれかの改変された免疫細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む、それを必要とする対象におけるMUC1関連がんを処置する方法。
[本発明1071]
MUC1関連がんが、多発性骨髄腫、非小細胞肺がん、乳がん、膵臓腺がん、ならびに卵巣および卵管がんからなる群より選択される、本発明1070の方法。
[本発明1072]
MUC1関連がんが、乳がんである、本発明1071の方法。
[本発明1073]
乳がんが、MUC1の異常グリコシル化によって特徴付けられる、本発明1072の方法。
[本発明1074]
乳がんが、ホルモン受容体陽性乳がん、ホルモン受容体陰性乳がん、エストロゲン受容体陰性乳がん、プロゲステロン受容体陰性乳がん、およびHer2受容体陰性乳がんからなる群より選択される、本発明1071または1072の方法。
[本発明1075]
乳がんが、転移性乳がんである、本発明1071~1074のいずれかの方法。
[本発明1076]
乳がんが、トリプルネガティブ乳がんである、本発明1071~1075のいずれかの方法。
[本発明1077]
それを必要とする対象におけるMUC1関連がんを処置する方法であって、
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
任意でヒンジドメインと;
膜貫通ドメインと;
共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階
を含む、方法。
[本発明1078]
それを必要とする対象におけるMUC1関連多発性骨髄腫を処置する方法であって、
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
任意でヒンジドメインと;
膜貫通ドメインと;
共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階
を含む、方法。
[本発明1079]
それを必要とする対象におけるMUC1関連非小細胞肺がんを処置する方法であって、
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
任意でヒンジドメインと;
膜貫通ドメインと;
共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階
を含む、方法。
[本発明1080]
それを必要とする対象におけるMUC1関連トリプルネガティブ乳がんを処置する方法であって、
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
任意でヒンジドメインと;
膜貫通ドメインと;
共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階
を含む、方法。
[本発明1081]
それを必要とする対象におけるMUC1関連膵臓腺がんを処置する方法であって、
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメインと;
任意でヒンジドメインと;
膜貫通ドメインと;
共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階
を含む、方法。
[本発明1082]
それを必要とする対象におけるMUC1関連卵巣および卵管がんを処置する方法であって、
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインであって、VHドメインが、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインが、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、MUC1特異的抗原結合ドメイと;
任意でヒンジドメインと;
膜貫通ドメインと;
共刺激シグナル伝達ドメインと;
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階
を含む、方法。
[本発明1083]
リンパ球枯渇化学療法を対象に施す段階をさらに含む、本発明1070~1082のいずれかの方法。
[本発明1084]
リンパ球枯渇化学療法が、シクロホスファミドの治療有効量を対象に投与することを含む、本発明1083の方法。
[本発明1085]
リンパ球枯渇化学療法が、フルダラビンの治療有効量を対象に投与することを含む、本発明1083または1084の方法。
[本発明1086]
リンパ球枯渇化学療法が、シクロホスファミドの治療有効量およびフルダラビンの治療有効量を対象に投与することを含む、本発明1083~1085のいずれかの方法。
[本発明1087]
サイトカイン放出症候群(CRS)の管理レジメンを対象に施す段階をさらに含む、本発明1070~1086のいずれかの方法。
[本発明1088]
CRSの管理レジメンが、トシリズマブの治療有効量を含む、本発明1087の方法。
[本発明1089]
CRSの管理レジメンが、トシリズマブおよび/またはコルチコステロイドの治療有効量を含む、本発明1087または1088の方法。
[本発明1090]
改変された免疫細胞または改変されたT細胞が自己由来である、本発明1070~1089のいずれかの方法。
[本発明1091]
改変された免疫細胞または改変されたT細胞の投与が、腫瘍内送達を介して行われる、本発明1070~1090のいずれかの方法。
[本発明1092]
改変された免疫細胞または改変されたT細胞の投与が、静脈内送達を介して行われる、本発明1070~1090のいずれかの方法。
[本発明1093]
改変された免疫細胞または改変されたT細胞の投与が、腹腔内送達を介して行われる、本発明1070~1090のいずれかの方法。
【図面の簡単な説明】
【0070】
本発明の特定の態様の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとさらによく理解されるであろう。本発明を例証するために、例示的な態様が図面に示されている。しかし、本発明は図面に示される態様の正確な配置および手段に限定されないことが理解されるべきである。
【0071】
【
図1】コアのグリカンおよび関連するグリコトランスフェラーゼを強調したO-グリカン生合成の開始を示す図である。
【
図2A】qPCRによるMUC1およびグリコシル化酵素の遺伝子発現解析を示すプロットのセットである。4つの乳がん細胞株(BT-20、MCF7、MDA-MB-231、およびMDA-MB-453)における遺伝子発現を測定し、それをMCF10A非腫瘍形成性乳房上皮細胞株と比較した。
【
図3】抗5E5抗体を用いた免疫組織化学により評価された乳がん組織におけるTn-MUC1の発現を示す画像のセットである。
図3Aは、周囲の間質が染色されていない、乳がん組織中の3+染色を示す。
図3Bは、周囲の間質が染色されていない、乳がん組織中の2+染色を示す。
【
図4】抗Tn-MUC1 CAR T細胞および4つの乳がん細胞株を使用する細胞傷害性アッセイからの結果を図示する一連のプロットである。5E5-CAR、CD19特異的CAR、またはNTD T細胞を乳がん細胞株と共に10:1のエフェクター:標的比で共培養した。T細胞の添加後、リアルタイムで15分ごとにインピーダンスを100時間測定することにより細胞溶解を測定した。
【
図5A】5E5-CAR T細胞の腹腔内および腫瘍内送達が抗腫瘍効力を強化するという知見を示す一連のプロットおよび画像である。
【
図6】ヒトMUC1トランスジェニックマウスにおけるマウスHMFG1-CAR T細胞の腹腔内送達がマウス5E5-CAR T細胞から観察されない腫瘍外オンターゲット毒性を引き起こすという知見を示す一連のプロットおよび画像である。
【
図7A】50個の患者由来乳がん試料におけるMUC1、ST6GALNAC1、B3GNT6、C1GALT1、およびC1GALT1C1の遺伝子発現を、マッチする10個の患者由来正常乳房組織試料の平均遺伝子発現と比較して示す一連のプロットである。
【
図8】表示の様々なTnMUC1 CAR導入遺伝子の発現を示すフローサイトメトリープロットのセットである。
【
図9】表示の様々なTnMUC1 CAR-T細胞がMCF7細胞に応答して増殖することを示す、CFSEアッセイの結果を示す。
【
図10】左から右に、表示の様々なTnMUC1 CAR-T細胞のIL-2、TNFa、およびIFNgの分泌レベルを示す3つのチャートのセットである。
【
図11】表示の様々なTnMUC1 CAR-T細胞の静脈内投与後のマウスにおいて経時的に測定された、総フラックス(光子/秒)を示すグラフである。
【
図12】注入後42日目の、注入されたマウスの末梢血中から測定された様々なTnMUC1 CAR-T細胞のレベルを示すプロットである。
【
図13】Hs766T膵臓がん細胞株に対するCART-TnMUC1、CART-TnMUC1-BBz、および陰性対照細胞(CART-19およびNTD)の細胞傷害性を示すグラフである。
【
図14】表示の様々な細胞株のCART-TnMUC1細胞による標的化細胞死滅を示す一連のグラフである。
【
図15】表示の様々な細胞株のTn抗原に応答したCART-TnMUC1細胞による標的化細胞死滅を示す一連のグラフである。
【
図16】膵臓がんのマウスモデルにおける腫瘍負荷の生物発光イメージングをプロットする一連のグラフを示す。
【
図17】抗原発現標的細胞に応答するCART-TnMUC1細胞の増殖を示す一連のグラフおよび画像である。
【
図18】表示の様々な細胞株におけるサイトカインおよびケモカインの産生を示す一連のグラフである。
【
図19】IFNγ ELISA実験から得られたデータを示すグラフである。
【
図20】T細胞注入後21日および42日目のマウスの末梢血中の表示の様々なT細胞の定量を示す一連のグラフである。
【
図21】抗TnMUC1抗体で染色したJurkat CBG/GFP CD19-P2A-Cosmc細胞(左)およびMCF-7細胞(右)の顕微鏡写真である。
【
図22】TnMUC1 CTAアッセイの再現性を試験するための実験設定を示す概略図である。
【
図23】pTRPE_5E5(H2L)_CD2zのプラスミドマップの概略図である。
【
図24】pGEM-SS1-CD2zのプラスミドマップの概略図である。
【
図25】pTRPE_5E5-BBzのプラスミドマップの概略図である。
【
図26】pTRPE_5E5(H2L)ベクターの骨格を示す概略図である。
【
図27】臨床試験の第1相および第1a相部分の試験デザインを示す概略図である。
【
図28】臨床試験の患者パスウェイ全体を示す概略図である。
【
図29】臨床試験の用量漸増スキームを示す概略図である。
【
図30】臨床試験の用量漸増コホートを示す概略図である。
【
図31】表示のCARを形質導入された5人の異なる健常ドナーからのT細胞の総細胞数を示す一連のグラフである。
【
図32】表示のCARを形質導入された5人の異なる健常ドナーからのT細胞の集団倍加数を示す一連のグラフである。
【
図33】表示のCARを形質導入された4人の異なる健常ドナーからのT細胞の平均細胞体積を示す一連のグラフである。
【
図34】5人の異なる健常ドナーからのT細胞における表示のCARの発現を示すフローサイトメトリープロットのセットである。
【発明を実施するための形態】
【0072】
詳細な説明
定義
特に定義されない限り、本明細書において用いられる科学用語および技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似する、またはそれと等価である任意の方法および材料を本発明の試験のための実施に使用することができるものの、好ましい材料および方法が本明細書に記載される。本発明を説明および請求するにあたり、以下の用語が使用される。
【0073】
本明細書において使用される用語法は、特定の態様だけを説明することを目的とし、限定的であることは意図しないことも理解されたい。
【0074】
「1つの(a)」および「1つの(an)」という冠詞は、本明細書においてその冠詞の文法的対象物の1つまたは1つよりも多く(すなわち、少なくとも1つ)をいうように用いられる。例として、「1つの(an)要素」は、1つの要素または1つよりも多い要素を意味する。
【0075】
量、時間的持続期間などのような測定可能な値をいう場合に本明細書において用いられる「約」は、特定された値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、なおより好ましくは±0.1%のばらつきを包含するものとするが、これはそのようなばらつきが、開示された方法を実施する上で妥当なためである。
【0076】
本明細書において用いられる「活性化」とは、検出可能な細胞増殖を誘導するように十分に刺激されたT細胞の状態のことを指す。活性化はまた、誘導されたサイトカイン産生、および検出可能なエフェクター機能に関連することができる。「活性化T細胞」という用語は、特に、細胞分裂を起こしているT細胞のことを指す。
【0077】
本明細書において使用される場合、疾患を「緩和する」は、疾患の1つまたは複数の症状の重症度を低減することを意味する。
【0078】
「同種」とは、同じ種の異なる動物に由来する任意の材料をいう。
【0079】
本明細書において用いられる「抗体」という用語は、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子をいう。抗体は、天然供給源または組み換え供給源に由来する無傷の免疫グロブリンであることができ、無傷の免疫グロブリンの免疫応答性部分であることができる。抗体は、典型的には、免疫グロブリン分子の四量体である。本発明における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、FabおよびF(ab)2、ならびに一本鎖抗体(scFv)およびヒト化抗体を含む、種々の形態で存在し得る(Harlow et al., 1999, In: Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY; Harlow et al., 1989, In: Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York; Houston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; Bird et al., 1988, Science 242:423-426)。
【0080】
「抗体フラグメント」という用語は、無傷の抗体の一部分をいい、無傷の抗体の抗原決定可変領域をいう。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab'、F(ab')2およびFvフラグメント、直鎖状抗体、scFv抗体、ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0081】
本明細書において用いられる「抗体重鎖」は、天然に存在する立体配座にある全抗体分子中に存在する2つのタイプのポリペプチド鎖のうち大きい方をいう。
【0082】
本明細書において用いられる「抗体軽鎖」は、天然に存在する立体配座にある全抗体分子中に存在する2つのタイプのポリペプチド鎖のうち小さい方をいう。αおよびβ軽鎖は、2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプをいう。
【0083】
本明細書において用いられる用語「合成抗体」とは、例えば、本明細書において記述されるバクテリオファージによって発現される抗体のような、組み換えDNA技法を用いて生成された抗体を意味する。この用語はまた、抗体タンパク質またはその抗体を規定するアミノ酸配列を発現する抗体コードDNA分子の合成によって生成された抗体であって、そのDNA配列またはアミノ酸配列が、利用可能でかつ当技術分野において周知であるDNA配列またはアミノ酸配列の合成技術を用いて得られた抗体も意味すると見なされるべきである。
【0084】
本明細書において用いられる「抗原」または「Ag」という用語は、免疫応答を引き起こす分子と定義される。この免疫応答には、抗体産生、または特異的免疫適格細胞の活性化のいずれかまたは両方が含まれ得る。当業者は、事実上、すべてのタンパク質またはペプチドを含む任意の高分子が抗原として働くことができることを理解するであろう。さらに、抗原は、組み換えDNAまたはゲノムDNAに由来することができる。当業者は、免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含む任意のDNAが、それゆえ、本明細書においてその用語が用いられるとおりの「抗原」をコードすることを理解するであろう。さらに、当業者は、抗原が遺伝子の完全長ヌクレオチド配列のみによってコードされる必要はないことを理解するであろう。本発明が、1つよりも多い遺伝子の部分ヌクレオチド配列の使用を含むが、これに限定されるわけではないこと、およびこれらのヌクレオチド配列が、所望の免疫応答を誘発するために様々な組み合わせで配置されることは、容易に明らかである。さらに、当業者は、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要はまったくないことを理解するであろう。抗原が生物学的試料から生成、合成または由来することができることは、容易に明らかである。そのような生物学的試料は、組織試料、腫瘍試料、細胞または生体液を含むことができるが、それに限定されるわけではない。
【0085】
本明細書において用いられる場合、「自己由来」という用語は、後にその個体に再び導入される、同じ個体に由来する任意の材料をいうよう意図される。
【0086】
本明細書において用いられる「キメラ抗原受容体」または「CAR」という用語は、免疫エフェクター細胞上で発現されるように操作され、抗原と特異的に結合する人工T細胞受容体をいう。CARは、養子細胞移入を伴う療法として用いられ得る。T細胞を患者から取り出し、特定の形態の抗原に特異的な受容体を発現するように改変する。いくつかの態様では、CARは、選ばれた標的、例えばMUC1に特異性を有する。CARはまた、細胞内活性化ドメイン、膜貫通ドメイン、および抗原結合領域を含む細胞外ドメインも含み得る。
【0087】
「切断する」という用語は、核酸分子の骨格などにおける共有結合の破壊またはペプチド結合の加水分解を指す。切断は、ホスホジエステル結合の酵素的または化学的加水分解を含むが、それに限定されるわけではない多種多様な方法によって開始することができる。一本鎖切断および二本鎖切断の両方が可能である。二本鎖切断は、2つの別個の一本鎖切断事象の結果として起こることができる。DNAの切断は、平滑末端または付着末端のいずれかの産生を生じることができる。ある特定の態様では、融合ポリペプチドは、切断された二本鎖DNAを標的化するために使用される場合がある。
【0088】
本明細書において用いられる「保存的配列改変」という用語は、アミノ酸配列を含有する抗体の結合特性に顕著に影響も、それを変更もしないアミノ酸改変を指すことが意図される。そのような保存的改変は、アミノ酸の置換、付加および欠失を含む。改変は、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発などの、当技術分野において公知の標準的な技法により本発明の抗体に導入することができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられる置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、当技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ-分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。したがって、抗体のCDR領域内の1つまたは複数のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基と置き換えることができ、変更された抗体は、抗原に結合する能力について、本明細書に記載される機能的アッセイを用いて試験されることができる。
【0089】
「共刺激リガンド」は、この用語が本明細書で使用される場合、抗原提示細胞(例えば、aAPC、樹状細胞、B細胞など)上の分子であって、T細胞上の同族共刺激分子と特異的に結合し、それによって、例えばペプチドが負荷されたMHC分子とのTCR/CD3複合体の結合によって提供される一次シグナルに加えて、増殖、活性化、分化などを非限定的に含むT細胞応答を媒介するシグナルを提供する、分子を含む。共刺激リガンドは、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンベータ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、Tollリガンド受容体と結合するアゴニストまたは抗体、およびB7-H3と特異的に結合するリガンドを含むことができるが、それに限定されるわけではない。共刺激リガンドはまた、とりわけ、非限定的に、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3などのT細胞上に存在する共刺激分子と特異的に結合する抗体、およびCD83と特異的に結合するリガンドも包含する。
【0090】
「共刺激分子」は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それにより、非限定的に増殖などのT細胞による共刺激応答を媒介する、T細胞上の同族結合パートナーを指す。共刺激分子には、MHCクラスI分子、BTLAおよびTollリガンド受容体が含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0091】
「共刺激シグナル」は、本明細書において使用される場合、TCR/CD3の連結などの一次シグナルとの組み合わせで、T細胞増殖および/または鍵となる分子のアップレギュレーションもしくはダウンレギュレーションを導くシグナルを指す。
【0092】
「疾患」は、動物が恒常性を維持できず、疾患が改善されなければその動物の健康が悪化し続ける、動物の健康状態である。対照的に、動物における「障害」は、その動物が恒常性を維持できるが、その動物の健康状態が障害のない場合よりも好ましくない健康状態である。未処置のまま放置されても、障害が必ずしも動物の健康状態のさらなる低下を引き起こすとは限らない。
【0093】
「ドナー抗原」は、レシピエントに移植されるドナー細胞により発現される抗原を意味する。
【0094】
「レシピエント抗原」は、ドナー抗原に対する免疫応答の対象を意味する。
【0095】
用語「ダウンレギュレーション」は、本明細書において使用される場合、1つまたは複数の遺伝子の遺伝子発現の減少または消失を指す。
【0096】
「有効量」または「治療的有効量」は、本明細書において互換的に用いられ、特定の生物学的結果を達成するのに有効な、または治療的もしくは予防的利益をもたらす、本明細書において記述される化合物、製剤、材料または組成物の量のことを指す。そのような結果には、哺乳動物に投与した場合に、本発明の組成物の非存在下で検出される免疫応答と比較して検出可能なレベルの免疫抑制または耐容性を引き起こす量が含まれ得るが、それに限定されるわけではない。免疫応答は、おびただしい数の当技術分野において認識されている方法によって容易に評価することができる。当業者は、本明細書において投与される組成物の量が、変動すること、そして、処置されている疾患または状態、処置されている哺乳動物の齢および健康および身体の状態、疾患の重症度、投与されている特定の化合物などの多数の要因に基づいてこれを容易に決定できることを理解するであろう。
【0097】
「コードする」とは、定義されたヌクレオチド(すなわち、rRNA、tRNAおよびmRNA)配列または定義されたアミノ酸配列のいずれかを有する、生物学的過程において他のポリマーおよび高分子の合成のための鋳型として働く、遺伝子、cDNAまたはmRNAのようなポリヌクレオチドにおける特定のヌクレオチド配列の固有の特性ならびにそれに起因する生物学的特性をいう。したがって、遺伝子は、その遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳によって細胞または他の生体系においてタンパク質が産生される場合、タンパク質をコードする。mRNA配列と同一であり通常は配列表に示されるヌクレオチド配列であるコード鎖も、遺伝子またはcDNAの転写のための鋳型として用いられる非コード鎖も共に、その遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードするということができる。
【0098】
本明細書において用いられる場合、「内因性」とは、生物、細胞、組織もしくは系の内部に由来するか、またはそれらの内部で産生される、任意の材料をいう。
【0099】
用語「エピトープ」は、本明細書において使用される場合、免疫応答を誘発し、B細胞応答および/またはT細胞応答を誘導することができる、抗原上の小化学分子として定義される。抗原は、1つまたは複数のエピトープを有することができる。ほとんどの抗原は、多くのエピトープを有する;すなわち、これらは多価である。一般に、エピトープは、おおよそ約10アミノ酸および/または糖のサイズである。いくつかの例示的態様では、エピトープは、約4~18アミノ酸、約5~16アミノ酸、約6~14アミノ酸、約7~12アミノ酸、または約8~10アミノ酸である。一般には、分子の特定の直鎖状配列よりも全体の三次元構造が抗原の特異性の主な基準であること、それゆえ、これによってあるエピトープが別のエピトープと区別されることを、当業者は理解する。本開示に基づいて、本発明のペプチドは、エピトープであることができる。
【0100】
本明細書において用いられる場合、「外因性」という用語は、生物、細胞、組織もしくは系の外部から導入されるか、またはそれらの外部で産生される、任意の材料をいう。
【0101】
本明細書において用いられる「増大する」という用語は、T細胞の数の増加のように、数が増加することをいう。一態様では、エクスビボで増大したT細胞は、培養物中に当初存在している数と比べて数が増加する。別の態様では、エクスビボで増大したT細胞は、培養物中の他の細胞型と比べて数が増加する。本明細書において用いられる「エクスビボ」という用語は、生物(例えば、ヒト)から取り出され、生物の外側で(例えば、培養皿、試験管、またはバイオリアクタ中で)繁殖させた細胞をいう。
【0102】
本明細書において用いられる「発現」という用語は、そのプロモーターによって駆動される特定のヌクレオチド配列の転写および/または翻訳と定義される。
【0103】
「発現ベクター」とは、発現されるべきヌクレオチド配列に機能的に連結された発現制御配列を含む組み換えポリヌクレオチドを含むベクターをいう。発現ベクターは、発現のために十分なシス作用性エレメントを含み;発現のための他のエレメントは、宿主細胞によって、またはインビトロ発現系において供給されることができる。発現ベクターには、組み換えポリヌクレオチドを組み入れたコスミド、プラスミド(例えば、裸のもの、またはリポソーム中に含まれるもの)ならびにウイルス(例えば、センダイウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)のような、当技術分野において公知のすべてのものが含まれる。
【0104】
本明細書において用いられる「相同の」は、2つのポリマー分子の間、例えば、2つの核酸分子、例えば2つのDNA分子もしくは2つのRNA分子の間、または2つのポリペプチド分子の間のサブユニット配列の同一性を指す。2つの分子の両方におけるサブユニットの位置が、同じモノマーサブユニットによって占められている場合;例えば、2つのDNA分子の各々における位置がアデニンによって占められているならば、それらはその位置で相同である。2つの配列の間の相同性は、マッチする位置または相同の位置の数の一次関数であり;例えば、2つの配列中の位置の半分(例えば、10サブユニット長のポリマーで5つの位置)が相同ならば、これら2つの配列は50%相同であり;位置の90%(例えば、10個のうち9つ)がマッチするまたは相同ならば、これら2つの配列は90%相同である。
【0105】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含んだキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそのフラグメント(Fv、Fab、Fab'、F(ab')2または抗体の他の抗原結合部分配列のような)である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性および容量を有するマウス、ラットまたはウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基によって置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、持ち込まれたCDRまたはフレームワーク配列にも見出されない残基を含むことができる。これらの改変は、抗体の性能をさらに洗練および最適化するためになされる。一般に、ヒト化抗体は、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、かつFR領域のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つの、および典型的には2つの、可変ドメインの実質的にすべてを含む。また、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれを任意で含む。さらなる詳細については、Jones et al., Nature, 321: 522-525, 1986; Reichmann et al., Nature, 332: 323-329, 1988; Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2: 593-596, 1992を参照されたい。
【0106】
「完全ヒト」は、分子全体がヒト起源であるか、または抗体のヒト形態と同一のアミノ酸配列からなる、抗体などの免疫グロブリンを指す。
【0107】
本明細書において用いられる「同一性」とは、2つのポリマー分子間の、特に2つのポリペプチド分子間のような2つのアミノ酸分子間のサブユニット配列の同一性をいう。2つのアミノ酸配列が同じ位置に同じ残基を有する場合;例えば、2つのポリペプチド分子の各々における位置がアルギニンによって占有されているなら、それらはその位置で同一である。2つのアミノ酸配列がアライメントにおいて同じ位置に同じ残基を有する同一性または程度は、百分率として表現されることが多い。2つのアミノ酸配列間の同一性は、一致しているまたは同一である位置の数の一次関数である;例えば、2つの配列における位置の半分(例えば、10アミノ酸長のポリマーにおける5つの位置)が同一であるなら、2つの配列は50%同一であり;位置の90%(例えば、10中9)が一致しているまたは同一であるなら、2つのアミノ酸配列は90%同一である。
【0108】
本明細書に使用される「免疫グロブリン」または「Ig」という用語は、抗体として機能するタンパク質のクラスとして定義される。B細胞によって発現される抗体は、時に、BCR(B細胞受容体)または抗原受容体と呼ばれる。このクラスのタンパク質に含まれる5つのメンバーは、IgA、IgG、IgM、IgD、およびIgEである。IgAは、唾液、涙液、母乳、消化管分泌物ならびに呼吸器および尿生殖器の粘液分泌物などの身体分泌物中に存在する一次抗体である。IgGは、最も多く見られる循環抗体である。IgMは、大部分の対象における一次免疫応答において産生される主な免疫グロブリンである。これは、凝集、補体結合、および他の抗体応答における最も効率的な免疫グロブリンであり、細菌およびウイルスに対する防御に重要である。IgDは、抗体の機能が分からない免疫グロブリンであるが、抗原受容体として役立つ場合がある。IgEは、アレルゲンに曝露された際にマスト細胞および好塩基球からのメディエーターの放出を引き起こすことにより即時型過敏反応を媒介する免疫グロブリンである。
【0109】
本明細書において用いられる「免疫応答」という用語は、リンパ球が抗原分子を外来と同定し、抗体の形成を誘導し、かつ/またはリンパ球を活性化して抗原を除去した場合に起こる、抗原に対する細胞応答として定義される。
【0110】
「免疫刺激性」という用語は、免疫応答全体を増加させることを指すために本明細書において用いられる。
【0111】
「免疫抑制性」という用語は、免疫応答全体を低減することを指すために本明細書において用いられる。
【0112】
本明細書において用いられる「説明資料」は、本発明の組成物および方法の有用性を伝達するために使用することができる刊行物、記録、図、または任意の他の表現媒体を含む。本発明のキットの説明資料は、例えば、本発明の核酸、ペプチド、および/もしくは組成物が入った容器に貼付される場合があり、または核酸、ペプチド、および/もしくは組成物が入った容器と一緒に輸送される場合がある。あるいは、説明資料は、その説明資料および化合物がレシピエントによって協同的に使用される意図で容器と別々に輸送される場合がある。
【0113】
「単離された」は、自然状態から変更された、または取り出されたことを意味する。例えば、生きた動物中に自然に存在する核酸またはペプチドは「単離されて」いないが、その自然状態の共存材料から部分的または完全に分離された同じ核酸またはペプチドは、「単離されている」。単離された核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在することができ、または例えば宿主細胞などの非天然環境中に存在することができる。
【0114】
本明細書において用いられる「ノックダウン」という用語は、1つまたは複数の遺伝子の遺伝子発現における減少を指す。
【0115】
本明細書において用いられる「ノックアウト」という用語は、1つまたは複数の遺伝子の遺伝子発現の消失を指す。
【0116】
本明細書において用いられる「レンチウイルス」は、レトロウイルス科の属を指す。レンチウイルスは、非分裂細胞に感染することができる点がレトロウイルスの中で独特であり;レンチウイルスは、宿主細胞のDNA内にかなりの量の遺伝情報を送達することができるので、遺伝子送達ベクターの最も効率的な方法の1つである。HIV、SIV、およびFIVは、すべて、レンチウイルスの例である。レンチウイルス由来のベクターは、かなりのレベルのインビボ遺伝子導入を達成する手段を与える。
【0117】
本明細書において用いられる「限られた毒性」という用語は、インビトロまたはインビボのいずれかで健康な細胞、非腫瘍細胞、非罹患細胞、非標的細胞またはそのような細胞の集団に対して実質的にマイナスの生物学的効果、抗腫瘍効果、または実質的にマイナスの生理的症状の欠如を明らかに示す本発明のペプチド、ポリヌクレオチド、細胞および/または抗体を指す。
【0118】
本明細書において用いられる用語「改変された」とは、本発明の分子または細胞の変化した状態または構造を意味する。分子は化学的に、構造的に、および機能的になど、多くの方法で改変され得る。細胞は、核酸の導入によって改変され得る。
【0119】
本明細書において用いられる用語「モジュレートする」とは、処置もしくは化合物の非存在下での対象における応答のレベルと比較して、および/または他の点では同一であるが処置を受けていない対象における応答のレベルと比較して、対象における応答のレベルの検出可能な増加または減少を媒介することを意味する。この用語は、対象、例えばヒトにおいて、天然のシグナルもしくは応答を撹乱させ、かつ/またはそれに影響を与え、それにより有益な治療応答を媒介することを包含する。
【0120】
本発明の文脈において、一般的に存在する核酸塩基に関する以下の略語が用いられる。「A」はアデノシンをいい、「C」はシトシンをいい、「G」はグアノシンをいい、「T」はチミジンをいい、そして「U」はウリジンをいう。
【0121】
特別の定めのない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重型である、かつ同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列という語句はまた、タンパク質をコードするヌクレオチド配列が、型によってはイントロンを含み得る限り、イントロンを含み得る。
【0122】
免疫原性組成物の「非経口」投与は、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、もしくは胸骨内注射、または注入技術を含む。
【0123】
本明細書において用いられる「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドの鎖と定義される。さらに、核酸はヌクレオチドのポリマーである。したがって、本明細書において用いられる核酸およびポリヌクレオチドは互換的である。当業者は、核酸がポリヌクレオチドであり、それらは単量体「ヌクレオチド」に加水分解することができるという一般知識を有する。単量体ヌクレオチドは、ヌクレオシドに加水分解することができる。本明細書において用いられる場合、ポリヌクレオチドには、非限定的に、組み換え手段、すなわち通常のクローニング技術およびPCR(商標)などを用いた組み換えライブラリーまたは細胞ゲノムからの核酸配列のクローニングを含む、当技術分野において利用可能な任意の手段により、ならびに合成手段により得られるすべての核酸配列が含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0124】
本明細書において用いられる場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、互換的に用いられ、ペプチド結合によって共有結合されたアミノ酸残基で構成される化合物をいう。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含まなくてはならず、タンパク質またはペプチドの配列を構成することができるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドには、ペプチド結合によって相互につなぎ合わされた2つまたはそれよりも多いアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質が含まれる。本明細書において用いられる場合、この用語は、例えば、当技術分野において一般的にはペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーともいわれる短鎖と、当技術分野において一般にタンパク質といわれる長鎖の両方をいい、その中には多くのタイプがある。「ポリペプチド」には、とりわけ、例えば、生物学的に活性なフラグメント、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組み換えペプチド、合成ペプチド、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0125】
本明細書において用いられる「自己抗原」という用語は、宿主細胞または組織によって発現される抗原として定義される。自己抗原は、腫瘍抗原であり得るが、ある特定の態様では、正常細胞および腫瘍細胞の両方で発現される。当業者は、自己抗原が細胞において過剰発現され得ることを容易に理解するであろう。
【0126】
抗体に関して本明細書において用いられる用語「特異的に結合する」とは、特異的抗原を認識するが、試料中の他の分子を実質的に認識またはそれと結合しない抗体を意味する。例えば、1つの種由来の抗原に特異的に結合する抗体が、1つまたは複数の種由来のその抗原にも結合する場合がある。しかし、そのような異種間反応性はそれ自体で、特異的としての抗体の分類を変化させることはない。別の例において、抗原に特異的に結合する抗体が、その抗原の異なる対立遺伝子型にも結合する場合がある。しかし、そのような交差反応性はそれ自体で、特異的としての抗体の分類を変化させることはない。場合によっては、「特異的結合」または「特異的に結合する」という用語を、抗体、タンパク質またはペプチドと第2の化学種との相互作用に関連して用いて、相互作用が化学種上の特定の構造(例えば、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存することを意味することができる;例えば、抗体は、タンパク質全体ではなく特定のタンパク質構造を認識し、それに結合する。抗体がエピトープ「A」に特異的であるなら、標識された「A」およびその抗体を含む反応物中にエピトープAを含む分子(または遊離した、標識されていないA)が存在することにより、その抗体に結合した標識されたAの量が低減するであろう。
【0127】
「刺激」という用語は、刺激分子(例えば、TCR/CD3複合体)がその同族リガンドと結合し、それによって、非限定的に、TCR/CD3複合体を介するシグナル伝達のような、シグナル伝達事象を媒介することにより誘導される一次応答を意味する。刺激は、TGF-ベータのダウンレギュレーション、および/または細胞骨格構造の再編成などのような、ある特定の分子の発現の変化を媒介することができる。
【0128】
「刺激分子」とは、この用語が本明細書において用いられる場合、抗原提示細胞上に存在する同族刺激リガンドと特異的に結合する、T細胞上の分子を意味する。
【0129】
本明細書において用いられる「刺激リガンド」は、抗原提示細胞(例えば、aAPC、樹状細胞、B細胞など)に存在する場合、T細胞上の同族結合パートナー(本明細書において「刺激分子」といわれる)と特異的に結合でき、それによって、活性化、免疫応答の開始、増殖などを含むが、それに限定されるわけではない、T細胞による一次応答を媒介するリガンドを意味する。刺激リガンドは当技術分野において周知であり、とりわけ、ペプチドが負荷されたMHCクラスI分子、抗CD3抗体、スーパーアゴニスト抗CD28抗体、およびスーパーアゴニスト抗CD2抗体を包含する。
【0130】
「対象」という用語は、免疫応答を誘発することができる生物(例えば、哺乳動物)を含むよう意図される。ここで用いられる「対象」または「患者」は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物であり得る。非ヒト哺乳動物には、例えば、ヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコおよびマウス哺乳動物のような、家畜およびペットが含まれる。例示的態様において、対象はヒトである。
【0131】
本明細書において用いられる「実質的に精製された」細胞は、他の細胞型を本質的に有しない細胞である。実質的に精製された細胞は、その天然状態で通常は関連している他の細胞型から分離された細胞も指す。いくつかの例では、実質的に精製された細胞の集団は、細胞の相同な集団を指す。他の例では、この用語は、それらの自然状態でもともと関連する細胞から分離された細胞を指すだけである。いくつかの態様では、細胞はインビトロで培養される。他の態様では、細胞はインビトロで培養されない。
【0132】
「標的部位」または「標的配列」は、結合が起こるために十分な条件下で結合分子が特異的に結合し得る核酸の一部分を定義するゲノム核酸配列を指す。
【0133】
本明細書において用いられる「T細胞受容体」または「TCR」という用語は、抗原の提示に応答してT細胞の活性化に関与する膜タンパク質複合体を指す。TCRは、主要組織適合抗原複合体分子に結合した抗原を認識することを担う。TCRは、アルファ(a)およびベータ(β)鎖のヘテロ二量体から構成されるとはいえ、いくつかの細胞では、TCRは、ガンマおよびデルタ(γ/δ)鎖からなる。TCRは、アルファ/ベータ形態およびガンマ/デルタ形態で存在する場合があり、それらの形態は構造的に類似するが、別個の解剖学的位置および機能を有する。各鎖は、2つの細胞外ドメイン、すなわち可変および定常ドメインから構成される。いくつかの態様では、TCRは、例えば、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、およびガンマデルタT細胞を含む、TCRを含む任意の細胞で改変される場合がある。
【0134】
本明細書において用いられる「治療的」という用語は、処置および/または予防を意味する。治療効果は、疾患状態の抑制、寛解または根絶によって得られる。
【0135】
本明細書において用いられる「トランスフェクションされた」または「形質転換された」または「形質導入された」という用語は、外因性核酸が宿主細胞に移入または導入される過程をいう。「トランスフェクションされた」または「形質転換された」または「形質導入された」細胞は、外因性核酸でトランスフェクションされた、形質転換された、または形質導入されたものである。この細胞には初代対象細胞およびその子孫が含まれる。
【0136】
疾患を「処置する」とは、この用語が本明細書において用いられる場合、対象が被っている疾患または障害の少なくとも1つの徴候または症状の頻度または重症度を低減することを意味する。
【0137】
「ベクター」は、単離された核酸を含み、かつ単離された核酸を細胞の内部に送達するために使用できる材料の組成物である。直鎖状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性化合物と結び付いたポリヌクレオチド、プラスミドおよびウイルスを含むが、それに限定されるわけではない、多数のベクターが当技術分野において公知である。したがって、「ベクター」という用語は、自律的に複製するプラスミドまたはウイルスを含む。この用語はまた、例えばポリリシン化合物、リポソームなどのような、細胞内への核酸の移入を容易にする非プラスミド性および非ウイルス性の化合物を含むと解釈されるべきである。ウイルスベクターの例としては、センダイウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどが挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0138】
「異種」とは、異なる種の動物に由来する任意の材料をいう。
【0139】
範囲:本開示の全体を通じて、本発明の様々な局面を範囲の形式で提示することができる。範囲の形式の記述は、単に便宜および簡略化のためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限と解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記述は、可能なすべての部分範囲およびその範囲内の個々の数値を具体的に開示したものと見なされるべきである。例えば、1~6のような範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などのような部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3および6を具体的に開示したものと見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0140】
説明
本発明は、MUC1特異的キメラ抗原受容体(CAR;例えば、Tn-MUC1 CAR)およびそれを含む改変された細胞を提供する。がんを処置するためにMUC1特異的CARを利用するための組成物および方法も提供される。特に、本発明のTn-MUC1 CARは、液性腫瘍(例えば、多発性骨髄腫など)および固形腫瘍の両方を処置するために適する場合がある(例えば、乳がん、非小細胞肺がん、卵巣および卵管がん、膵臓腺がんなど)。
【0141】
Tn-MUC1が抗体指向性養子免疫療法のための様々ながんにおける魅力的な腫瘍特異抗原であることが本明細書において実証された。Tn-MUC1に対するCAR T細胞は、インビトロでがん細胞株に対して強力な細胞溶解活性を示し、インビボで顕著な腫瘍根絶を示した。腫瘍特異的グリコシル化の状況以外でMUC1を標的化するための戦略は、オンターゲットの腫瘍外毒性を示す場合があるが、Tn-MUC1を標的化するCAR T細胞は、潜在的毒性を克服し、乳がんなどの固形腫瘍に関する治療域を広げる。
【0142】
キメラ抗原受容体(CAR)
本発明は、MUC1またはMUC1のグリコシル化型(例えばTn-MUC1)に対して親和性を有するキメラ抗原受容体(CAR)キメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変された免疫細胞またはその前駆細胞、例えば、改変されたT細胞のための組成物および方法を提供する。本発明の対象CARは、抗原結合ドメイン(例えば、Tn-MUC1結合ドメイン)、膜貫通ドメイン、共刺激シグナル伝達ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。本発明の対象CARは、任意でヒンジドメインを含み得る。したがって、本発明の対象CARは、抗原結合ドメイン(例えば、Tn-MUC1結合ドメイン)と、ヒンジドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様では、対象CARの各ドメインは、リンカーにより隔てられている。
【0143】
抗原結合ドメインは、細胞における発現のために、本明細書の他の箇所にそれぞれ記載された膜貫通ドメイン、共刺激シグナル伝達ドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインなどの、CARの別のドメインに機能的に連結される場合がある。一態様では、抗原結合ドメインをコードする第1の核酸配列は、膜貫通ドメインをコードする第2の核酸に機能的に連結され、共刺激シグナル伝達ドメインをコードする第3の核酸配列にさらに機能的に連結される。
【0144】
本明細書に記載される抗原結合ドメインは、本発明のCARに含まれ得る任意の膜貫通ドメイン、任意の共刺激シグナル伝達ドメイン、任意の細胞内シグナル伝達ドメイン、または本明細書に記載される任意の他のドメインと組み合わせることができる。
【0145】
一局面では、本発明は、MUC1特異的抗原結合ドメインと、任意でヒンジドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む。
【0146】
一局面では、本発明は、TnMUC1特異的抗原結合ドメインと、任意でヒンジドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む。
【0147】
例示的な一態様では、本発明は、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;CD8ヒンジドメインと;CD8膜貫通ドメインと;CD2共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含み、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0148】
例示的な一態様では、本発明は、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;CD8ヒンジドメインと;CD8膜貫通ドメインと;4-1BB共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含み、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0149】
例示的な一態様では、本発明は、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;CD8ヒンジドメインと;CD8膜貫通ドメインと;ICOS共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含み、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0150】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された免疫細胞(例えば、T細胞)またはその前駆細胞は、MUC1に対して親和性を有するキメラ抗原受容体(CAR)を含む。いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された免疫細胞(例えば、T細胞)またはその前駆細胞は、Tn-MUC1に対して親和性を有するキメラ抗原受容体(CAR)を含む。
【0151】
ある特定の態様では、遺伝的に改変された細胞はT細胞である。ある特定の態様では、遺伝的に改変された細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。ある特定の態様では、遺伝的に改変された細胞はNKT細胞である。
【0152】
したがって、例示的な一態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインと、任意のヒンジドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む遺伝的に改変されたT細胞が、本明細書に提供される。
【0153】
したがって、例示的な一態様では、TnMUC1特異的抗原結合ドメインと、任意のヒンジドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む遺伝的に改変されたT細胞が、本明細書において提供される。
【0154】
したがって、例示的な一態様では、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;CD8ヒンジドメインと;CD8膜貫通ドメインと;CD2共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む遺伝的に改変されたT細胞が、本明細書において提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0155】
したがって、例示的な一態様では、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;CD8ヒンジドメインと;CD8膜貫通ドメインと;4-1BB共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む遺伝的に改変されたT細胞が、本明細書に提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0156】
したがって、例示的な一態様では、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;CD8ヒンジドメインと;CD8膜貫通ドメインと;ICOS共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含む遺伝的に改変されたT細胞が、本明細書に提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0157】
本発明のある特定の態様では、CARは、SEQ ID NO:1、38、40、42、44、または46のヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる。本発明のある特定の態様では、CARは、SEQ ID NO:2、39、41、43、45、または47のアミノ酸配列を含む。
【0158】
個別のドメインおよびCARの配列は、表1に見出される。
【0159】
【0160】
したがって、対象CARは、SEQ ID NO:4、5、6、および/または19~24に示されるアミノ酸配列を含むTn-MUC1結合ドメインを含む、Tn-MUC1に対して親和性を有するCARであり得る。対象Tn-MUC1 CARは、SEQ ID NO:48に示されるアミノ酸配列を含むリーダー配列をさらに含み得る。対象Tn-MUC1 CARは、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含むヒンジドメインをさらに含み得る。対象Tn-MUC1 CARは、SEQ ID NO:7および/または15に示されるアミノ酸配列を含む膜貫通ドメインをさらに含み得る。対象Tn-MUC1 CARは、SEQ ID NO:9、17、25、28、32、34、および/または36に示されるアミノ酸配列を含む共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含み得る。対象Tn-MUC1 CARは、SEQ ID NO:11および/または30に示されるアミノ酸配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含み得る。対象Tn-MUC1 CARは、SEQ ID NO:2、39、41、43、45、および/または47に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0161】
したがって、対象CARは、SEQ ID NO:4、5、6、および/または19~24に示されるアミノ酸配列を含むTn-MUC1結合ドメインを含む、Tn-MUC1に対して親和性を有するCARであり得る。対象Tn-MUC1 CARは、SEQ ID NO:48に示されるアミノ酸配列を含むリーダー配列をさらに含み得る。対象Tn-MUC1 CARは、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含むヒンジドメインをさらに含み得る。対象Tn-MUC1 CARは、SEQ ID NO:7または15に示されるアミノ酸配列を含む膜貫通ドメインをさらに含み得る。対象Tn-MUC1 CARは、SEQ ID NO:9、17、25、28、32、34、または36に示されるアミノ酸配列を含む共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含み得る。対象Tn-MUC1 CARは、SEQ ID NO:11または30に示されるアミノ酸配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含み得る。対象Tn-MUC1 CARは、SEQ ID NO:2、39、41、43、45、または47に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0162】
抗原結合ドメイン
CARの抗原結合ドメインは、タンパク質、糖質、および糖脂質を含む特異的標的抗原に結合するためのCARの細胞外領域である。いくつかの態様では、CARは、標的細胞(例えば、がん細胞)上の標的抗原(例えば腫瘍関連抗原)に対する親和性を含む。標的抗原は、標的細胞に関連する任意の種類のタンパク質またはそのエピトープを含み得る。例えば、CARは、標的細胞の特定の状態を示す、標的細胞上の標的抗原に対する親和性を含み得る。
【0163】
ある特定の態様では、本発明のCARは、MUC1に結合する抗原結合ドメインを含む。ある特定の態様では、抗原結合ドメインは、MUC1のグリコシル化型またはグリコエピトープに結合する。ある特定の態様では、抗原結合ドメインは、MUC1の切断型グリコエピトープに特異的である。ある特定の態様では、抗原結合ドメインは、Tn-MUC1に特異的である。ある特定の態様では、本発明の抗原結合ドメインは、MUC1分子またはMUC1のグリコエピトープ(Tn-MUC1)に結合する抗体またはその断片を含む。ある特定の例示的な態様では、抗原結合ドメインは、Tn-MUC1に結合するscFv抗体である。抗原結合ドメインの選択は、標的細胞の表面に存在する抗原の種類および数に依存する。例えば、抗原結合ドメインは、標的細胞の特定の状態に関連する標的細胞上の細胞表面マーカーとして働く抗原を認識するように選択され得る。
【0164】
本明細書に記載されるように、標的細胞上の特異的標的抗原に対して親和性を有する本開示のCARは、標的特異的結合ドメインを含み得る。いくつかの態様では、標的特異的結合ドメインはマウス標的特異的結合ドメインであり、例えば、標的特異的結合ドメインはマウス起源である。いくつかの態様では、標的特異的結合ドメインはヒト標的特異的結合ドメインであり、例えば標的特異的結合ドメインはヒト起源である。例示的な態様では、標的細胞上のTn-MUC1に対して親和性を有する本開示のCARは、Tn-MUC1結合ドメインを含み得る。いくつかの態様では、Tn-MUC1結合ドメインはマウスTn-MUC1結合ドメインであり、例えば、Tn-MUC1結合ドメインはマウス起源である。いくつかの態様では、Tn-MUC1結合ドメインはヒト化Tn-MUC1結合ドメインである。いくつかの態様では、Tn-MUC1結合ドメインはヒトTn-MUC1結合ドメインであり、例えば、Tn-MUC1結合ドメインはヒト起源である。
【0165】
いくつかの態様では、Tn-MUC1結合ドメインは、PCT公報番号WO2008/040362に開示された5E5抗体に由来し、その開示は、その全体で参照により本明細書に組み入れられる。したがって、本開示のCARは、PCT公報番号WO2008/040362に開示された5E5抗体に由来するTn-MUC1結合ドメインを含む。いくつかの態様では、Tn-MUC1結合ドメインはヒト化Tn-MUC1結合ドメインである。いくつかの態様では、ヒト化Tn-MUC1結合ドメインは、PCT公報番号WO2015/159076に開示されたヒト化5E5重鎖および軽鎖配列のいずれか1つに由来し、その開示は、その全体で参照により本明細書に組み入れられる。したがって、本開示のCARは、PCT公報番号WO2015/159076に開示されたヒト化5E5重鎖および軽鎖配列のいずれか1つに由来するヒト化Tn-MUC1結合ドメインを含む。本開示のCARは、本明細書に開示されるヒト化Tn-MUC1結合ドメインと、任意の膜貫通ドメインと、任意で任意のヒンジドメインと、任意の共刺激ドメインと、任意の細胞内シグナル伝達ドメインとを含み得る。
【0166】
いくつかの態様では、本開示のCARは、1つまたは複数の標的細胞上の1つまたは複数の標的抗原に対して親和性を有し得る。いくつかの態様では、CARは、単一の標的細胞上の1種または複数種の標的抗原に対して親和性を有し得る。そのような態様では、CARは二重特異性CAR、または多特異性CARである。いくつかの態様では、CARは、1種または複数種の標的抗原に対する親和性を付与する1つまたは複数の標的特異的結合ドメインを含む。いくつかの態様では、CARは、同じ標的抗原に対する親和性を付与する1つまたは複数の標的特異的結合ドメインを含む。例えば、同じ標的抗原に対する親和性を有する1つまたは複数の標的特異的結合ドメインを含むCARは、標的抗原の別個のエピトープと結合することもできる。複数の標的特異的結合ドメインがCARに存在する場合、結合ドメインがタンデムに配置される場合があり、リンカーペプチドにより隔てられている場合がある。例えば、2つの標的特異的結合ドメインを含むCARでは、結合ドメインは、単一のポリペプチド鎖上でポリペプチドリンカー、Fcヒンジ領域、または膜ヒンジ領域を経由して相互に共有結合的につながっている。
【0167】
抗原結合ドメインは、抗原に結合する任意のドメインを含むことができ、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、非ヒト抗体、およびそれらの任意の断片を含み得るが、それに限定されるわけではない。したがって、一態様では、抗原結合ドメイン部分は、哺乳動物抗体またはその断片を含む。別の態様では、CARの抗原結合ドメインは、抗Tn-MUC1抗体またはその断片からなる群より選択される。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、抗体、抗原結合断片(Fab)、および単鎖可変断片(scFv)からなる群より選択される。いくつかの態様では、本発明のTn-MUC1結合ドメインは、Tn-MUC1特異的抗体、Tn-MUC1特異的Fab、およびTn-MUC1特異的scFvからなる群より選択される。一態様では、Tn-MUC1結合ドメインはTn-MUC1特異的抗体である。一態様では、Tn-MUC1結合ドメインはTn-MUC1特異的Fabである。一態様では、Tn-MUC1結合ドメインはTn-MUC1特異的scFvである。
【0168】
本明細書において用いられる「単鎖可変断片」または「scFv」という用語は、免疫グロブリン(例えば、マウスまたはヒト)の重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域が共有結合的に連結してVH::VLヘテロ二量体を形成した融合タンパク質である。重鎖(VH)および軽鎖(VL)は、直接つながっているか、またはVHのN末端をVLのC末端と、もしくはVHのC末端をVLのN末端と接続するペプチドをコードするリンカーもしくはスペーサーによりつながっている。「リンカー」および「スペーサー」という用語は、本明細書において互換的に使用される。いくつかの態様では、抗原結合ドメイン(例えば、Tn-MUC1結合ドメイン)は、N末端からC末端にかけて、VH - リンカー - VLの配置を有するscFvを含む。いくつかの態様では、抗原結合ドメイン(例えば、Tn-MUC1結合ドメイン)は、N末端からC末端にかけて、VL - リンカー - VHの配置を有するscFvを含む。当業者は、本発明における使用に適した配置を選択することができよう。
【0169】
リンカーは、典型的には、可動性のためのグリシンに加えて、可溶性のためのセリンまたはトレオニンが豊富である。リンカーは、細胞外抗原結合ドメインの重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを連結することができる。リンカーの非限定的な例は、Shen et al., Anal. Chem. 80(6):1910-1917 (2008) および国際公開公報第2014/087010号に開示されており、それらの内容は、その全体で参照により本明細書に組み入れられる。グリシンセリン(GS)リンカー、例えば(GS)
n、(GSGGS)
n(SEQ ID NO:52)、(GGGS)
n(SEQ ID NO:53)、および(GGGGS)
n (SEQ ID NO:54)[式中、nは、少なくとも1の整数を表す]を含むが、それに限定されるわけではない様々なリンカー配列が、当技術分野において公知である。例示的なリンカー配列は、GGSG(SEQ ID NO:55)、GGSGG(SEQ ID NO:56)、GSGSG(SEQ ID NO:57)、GSGGG(SEQ ID NO:58)、GGGSG(SEQ ID NO:59)、GSSSG(SEQ ID NO:60)、GGGGS(SEQ ID NO:61)、GGGGSGGGGSGGGGS(SEQ ID NO:62)などを含むが、それに限定されるわけではないアミノ酸配列を含むことができる。当業者は、本発明に使用するために適したリンカー配列を選択することができよう。一態様では、本発明の抗原結合ドメイン(例えば、Tn-MUC1結合ドメイン)は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、ここで、VHおよびVLは、ヌクレオチド配列
を含む核酸配列によってコードされ得るアミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(SEQ ID NO:62)を有するリンカー配列によって隔てられている。
【0170】
定常領域の除去およびリンカーの導入にも関わらず、scFvタンパク質は、本来の免疫グロブリンの特異性を保持する。単鎖Fvポリペプチド抗体は、Hustonら(Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 85:5879-5883, 1988)によって記載されるようなVHコード配列およびVLコード配列を含む核酸から発現されることができる。米国特許第5,091,513号、同第5,132,405号および同第4,956,778号;ならびに米国特許出願公開第20050196754号および同第20050196754号も参照されたい。阻害活性を有するアンタゴニストscFvが記載されている(例えば、Zhao et al., Hybridoma (Larchmt) 2008 27(6):455-51; Peter et al., J Cachexia Sarcopenia Muscle 2012 August 12; Shieh et al., J Imunol 2009 183(4):2277-85; Giomarelli et al., Thromb Haemost 2007 97(6):955-63; Fife eta., J Clin Invst 2006 116(8):2252-61; Brocks et al., Immunotechnology 1997 3(3):173-84; Moosmayer et al., Ther Immunol 1995 2(10:31-40)を参照されたい。刺激活性を有するアゴニストscFvが記載されている(例えば、Peter et al., J Bioi Chem 2003 25278(38):36740-7; Xie et al., Nat Biotech 1997 15(8):768-71; Ledbetter et al., Crit Rev Immunol 1997 17(5-6):427-55; Ho et al., BioChim Biophys Acta 2003 1638(3):257-66を参照されたい)。
【0171】
本明細書において用いられる「Fab」は、抗原に結合する抗体構造の断片であるが、一価であり、Fc部分を有しない断片を指し、例えば、酵素パパインによって消化された抗体は、2つのFab断片およびFc断片(例えば、重(H)鎖定常領域;抗原に結合しないFc領域)をもたらす。
【0172】
本明細書において用いられる「F(ab')2」は、全IgG抗体のペプシン消化によって生成される抗体断片を指し、ここで、この断片は、2つの抗原結合(ab')(二価)領域を有し、各(ab')領域は、H鎖の一部および軽(L)鎖が抗原との結合のためにS-S結合によって連結した2つの別々のアミノ酸鎖を含み、残りのH鎖部分同士が一緒に連結している。「F(ab')2」断片は2つの個別のFab'断片に分割することができる。
【0173】
いくつかの例では、抗原結合ドメインは、CARが最終的に使用される種と同じ種に由来する場合がある。例えば、ヒトでの使用のために、CARの抗原結合ドメインは、本明細書においての他の箇所に記載されるヒト抗体またはその断片を含み得る。
【0174】
例示的な態様では、本発明のTn-MUC1 CARは、Tn-MUC1結合ドメイン、例えば、Tn-MUC1特異的scFvを含む。一態様では、Tn-MUC1結合ドメインは、SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を含む。一態様では、Tn-MUC1結合ドメインは、SEQ ID NO:3に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる。
【0175】
一態様では、Tn-MUC1結合ドメインは、SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。Tn-MUC1結合ドメインの軽鎖可変領域は、軽鎖相補性決定領域(CDR)を含む。本明細書において用いられる「相補性決定領域」または「CDR」は、特定の抗原に結合する抗原結合分子の可変鎖の領域を指す。したがって、Tn-MUC1結合ドメインは、SEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列を含むCDR1;SEQ ID NO:20に示されるアミノ酸配列を含むCDR2;およびSEQ ID NO:21に示されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含み得る。
【0176】
一態様では、Tn-MUC1結合ドメインは、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。Tn-MUC1結合ドメインは、SEQ ID NO:22に示されるアミノ酸配列を含むCDR1;SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列を含むCDR2;およびSEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域を含み得る。
【0177】
Tn-MUC1との特異的結合を保ちながらのTn-MUC1結合ドメインの許容されるバリエーションは、当業者に公知であろう。例えば、いくつかの態様では、Tn-MUC1結合ドメインは、SEQ ID NO:4~6および19~24に示されるアミノ酸配列のいずれかと少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0178】
いくつかの態様では、Tn-MUC1結合ドメインは、SEQ ID NO:3に示されるヌクレオチド配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる。
【0179】
抗原結合ドメインは、共に本明細書の他の箇所に記載される膜貫通ドメインまたは共刺激シグナル伝達ドメインなどのCARの別のドメインに機能的に連結され得る。一態様では、抗原結合ドメインをコードする核酸は、膜貫通ドメインをコードする核酸および共刺激シグナル伝達ドメインをコードする核酸に機能的に連結されている。
【0180】
Tn-MUC1に結合する抗体またはその断片などの、本明細書に記載される抗原結合ドメインは、本明細書に記載される膜貫通ドメインのいずれか、本明細書に記載される細胞内ドメインもしくは細胞質ドメインのいずれか、またはCARに含まれ得る本明細書に記載される他のドメインのいずれかと組み合わせることができる。
【0181】
膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインに関して、本発明のCAR(例えば、Tn-MUC1-CAR)は、CARの抗原結合ドメインを細胞内ドメインと接続する膜貫通ドメインを含むよう設計され得る。対象のCARの膜貫通ドメインは、細胞(例えば、免疫細胞またはその前駆細胞)の形質膜を貫通することが可能な領域である。膜貫通ドメインは、細胞膜、例えば、真核生物細胞膜内への挿入のためのものである。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは、CARの抗原結合ドメインと細胞内ドメインとの間に挟まれている。
【0182】
一態様では、膜貫通ドメインは、CARにおけるドメインの1つまたは複数に自然に関連している。いくつかの例では、膜貫通ドメインは、このようなドメインと、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインとの結合を回避するように、選択またはアミノ酸置換によって修飾して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限にすることができる。
【0183】
膜貫通ドメインは、天然供給源または合成供給源のいずれかに由来する場合がある。供給源が天然である場合、ドメインは、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質、例えば、I型膜貫通タンパク質に由来し得る。供給源が合成である場合、膜貫通ドメインは、細胞膜へのCARの挿入を容易にする任意の人工配列、例えば、人工疎水性配列であり得る。本発明における特定の使用の膜貫通領域の例は、非限定的に、T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD28、CD2、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD7、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134(OX-40)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、CD278(ICOS)、CD357(GITR)、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8およびTLR9に由来する(すなわち、これらの少なくとも膜貫通領域を含む)膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは、合成であり得るが、この場合、それは、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を主に含むであろう。いくつかの例示的態様では、合成膜貫通ドメインの各末端で、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンの3つ組が見出されるであろう。
【0184】
本明細書に記載の膜貫通ドメインを、本明細書に記載の抗原結合ドメインのいずれか、本明細書に記載の共刺激シグナル伝達ドメインのいずれか、本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインのいずれか、または対象のCARに含まれ得る本明細書に記載の他のドメインのいずれかと組み合わせることができる。
【0185】
いくつかの態様では、膜貫通ドメインは、ヒンジ領域をさらに含む。本発明の対象のCARはまた、ヒンジ領域も含み得る。CARのヒンジ領域は、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置する親水性領域である。いくつかの態様では、このドメインは、CARにふさわしいタンパク質フォールディングを容易にする。ヒンジ領域は、CARの任意の成分である。ヒンジ領域は、抗体のFcフラグメント、抗体のヒンジ領域、抗体のCH2領域、抗体のCH3領域、人工的なヒンジ配列またはそれらの組み合わせより選択されるドメインを含み得る。ヒンジ領域の例は、非限定的に、CD8aヒンジ、3つのグリシン(Gly)ほどの小ささであり得るポリペプチドから構成される人工的なヒンジ、ならびにIgG(ヒトIgG4など)のCH1ドメインおよびCH3ドメインを含む。
【0186】
いくつかの態様では、本開示の対象のCARは、抗原結合ドメインを膜貫通ドメインと接続してこれを次いで細胞内ドメインに接続する、ヒンジ領域を含む。ヒンジ領域は、好ましくは、抗原結合ドメインが標的細胞上の標的抗原を認識してこれに結合することを支援することが可能である(例えば、Hudecek et al., Cancer Immunol. Res. (2015) 3(2): 125-135を参照されたい)。いくつかの態様では、ヒンジ領域は、可動性ドメインであり、その結果、抗原結合ドメインが、腫瘍細胞などの細胞上の標的抗原の特異的な構造および密度を最適に認識する構造を有することが可能となる。そのヒンジ領域の可動性は、ヒンジ領域が多くの異なる立体配座をとることを許容する。
【0187】
いくつかの態様では、ヒンジ領域は、免疫グロブリン重鎖ヒンジ領域である。いくつかの態様では、ヒンジ領域は、受容体に由来するヒンジ領域ポリペプチド(例えば、CD8由来ヒンジ領域)である。
【0188】
ヒンジ領域は、約4アミノ酸~約50アミノ酸、例えば、約4アミノ酸~約10アミノ酸、約10アミノ酸~約15アミノ酸、約15アミノ酸~約20アミノ酸、約20アミノ酸~約25アミノ酸、約25アミノ酸~約30アミノ酸、約30アミノ酸~約40アミノ酸、または約40アミノ酸~約50アミノ酸の長さを有することができる。
【0189】
適切なヒンジ領域を、容易に選択することができ、いくつかの適切な長さ、例えば、4アミノ酸~10アミノ酸、5アミノ酸~9アミノ酸、6アミノ酸~8アミノ酸、または7アミノ酸~8アミノ酸を含む、1アミノ酸(例えば、Gly)~20アミノ酸、2アミノ酸~15アミノ酸、3アミノ酸~12アミノ酸のいずれかであることができ、1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸であることができる。
【0190】
例えば、ヒンジ領域は、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー(例えば、(GS)n、(GSGGS)n(SEQ ID NO:52)および(GGGS)n(SEQ ID NO:53)を含み、ここで、nは少なくとも1の整数である)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、および当技術分野において公知の他の可動性リンカーを含む。グリシンポリマーおよびグリシン-セリンポリマーを使用することができる;GlyおよびSerの両方は、相対的に構造不定であり、したがって、成分間の中性の繋ぎ鎖(tether)として役立つことができる。グリシンポリマーを使用することができる;グリシンは、アラニンより有意に多くφ-ψ空間にアクセスし、より長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限を受けない(例えば、Scheraga, Rev. Computational. Chem. (1992) 2: 73-142を参照されたい)。例示的なヒンジ領域は、非限定的にGGSG(SEQ ID NO:55)、GGSGG(SEQ ID NO:56)、GSGSG(SEQ ID NO:57)、GSGGG(SEQ ID NO:58)、GGGSG(SEQ ID NO:59)、GSSSG(SEQ ID NO:60)などを含むアミノ酸配列を含むことができる。
【0191】
いくつかの態様では、ヒンジ領域は、免疫グロブリン重鎖ヒンジ領域である。免疫グロブリンヒンジ領域のアミノ酸配列は、当技術分野において公知である;例えば、Tan et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1990) 87(1):162-166;およびHuck et al., Nucleic Acids Res. (1986) 14(4): 1779-1789を参照されたい。非限定的な例として、免疫グロブリンヒンジ領域は、以下のアミノ酸配列:
(例えば、Glaser et al., J. Biol. Chem. (2005) 280:41494-41503を参照されたい);
などのうちの1つを含むことができる。
【0192】
ヒンジ領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4ヒンジ領域のアミノ酸配列を含むことができる。一態様では、ヒンジ領域は、野生型(天然に存在する)ヒンジ領域と比較して、1つまたは複数のアミノ酸置換および/または挿入および/または欠失を含むことができる。例えば、ヒトIgG1ヒンジのHis229は、Tyrにより置換することができ、それによって、ヒンジ領域は、配列
を含む;例えば、Yan et al., J. Biol. Chem. (2012) 287: 5891-5897を参照されたい。一態様では、ヒンジ領域は、ヒトCD8に由来するアミノ酸配列またはそのバリアントを含むことができる。
【0193】
一態様では、膜貫通ドメインは、CD8α膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様では、対象CARは、SEQ ID NO:8に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:7に示されるアミノ酸配列を含むCD8α膜貫通ドメインを含む。
【0194】
別の態様では、対象CARは、CD8αヒンジドメインおよびCD8α膜貫通ドメインを含む。一態様では、CD8αヒンジドメインは、SEQ ID NO:14に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含む。
【0195】
一態様では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様では、対象CARは、SEQ ID NO:16に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を含むCD28膜貫通ドメインを含む。
【0196】
その意図される機能を保ちながらの膜貫通および/またはヒンジドメインの許容されるバリエーションは、当業者に公知であろう。例えば、いくつかの態様では、膜貫通ドメインまたはヒンジドメインは、SEQ ID NO:7、13、および15に示されるアミノ酸配列のいずれかと少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、いくつかの態様では、膜貫通ドメインまたはヒンジドメインは、SEQ ID NO:8、14、および16に示されるヌクレオチド配列のいずれかと少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる。
【0197】
膜貫通ドメインは、任意のヒンジドメインと組み合わされる場合および/または本明細書に記載される1つまたは複数の膜貫通ドメインを含む場合がある。
【0198】
T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD28、CD2、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD7、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134(OX-40)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、CD278(ICOS)、CD357(GITR)、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、およびTLR9の膜貫通領域などの本明細書に記載される膜貫通ドメインは、本明細書に記載される抗原結合ドメインのいずれか、本明細書に記載される共刺激シグナル伝達ドメインもしくは細胞内ドメインもしくは細胞質ドメインのいずれか、またはCARに含まれ得る本明細書に記載される他のドメインのいずれかと組み合わせることができる。
【0199】
一態様では、膜貫通ドメインは、合成であり得、その場合、これはロイシンおよびバリンなどの主に疎水性の残基を含むであろう。例示的な態様では、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットが、合成膜貫通ドメインの各末端に見られるであろう。
【0200】
いくつかの態様では、対象CARは、CARの細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間、またはCARの細胞内ドメインと膜貫通ドメインとの間にスペーサードメインをさらに含み得る。本明細書において用いられる「スペーサードメイン」という用語は、一般的に、膜貫通ドメインをポリペプチド鎖内の細胞外ドメインまたは細胞内ドメインのいずれかに連結するように機能する任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを意味する。スペーサードメインは、最大で300個のアミノ酸、例えば、10~100個のアミノ酸、または25~50個のアミノ酸を含み得る。いくつかの態様では、スペーサードメインは、短鎖オリゴペプチドまたはポリペプチドリンカー、例えば2から10アミノ酸長のものであり得る。例えば、グリシン-セリンダブレットは、対象CARの膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に特に適切なリンカーを提供する。
【0201】
したがって、本開示の対象CARは、本明細書に記載される膜貫通ドメイン、ヒンジドメイン、またはスペーサードメインのいずれかを含み得る。
【0202】
細胞内ドメイン
本発明の対象CARは、細胞内ドメインも含む。CARの細胞内ドメインは、CARが発現されている細胞(例えば、免疫細胞)のエフェクター機能の少なくとも1つの活性化を担う。細胞内ドメインは、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞(例えば、免疫細胞)が、その専門の機能、例えば、標的細胞を傷つけることおよび/または破壊することを果たすように方向づける。
【0203】
CARの細胞内ドメインまたはさもなければ細胞質ドメインは、CARが発現されている細胞の活性化を担う。本発明に使用するための細胞内ドメインの例は、表面受容体、共刺激分子、およびT細胞においてシグナル伝達を開始するように協調して作用する任意の分子の細胞質部分に加えて、これらのエレメントおよび同じ機能的特性を有する任意の合成配列の任意の誘導体またはバリアントを含むが、それに限定されるわけではない。
【0204】
ある特定の態様では、細胞内ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の態様では、細胞内ドメインは、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の態様では、細胞内ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の態様では、細胞内ドメインは、4-1BBおよびCD3ゼータを含む。ある特定の態様では、共刺激シグナル伝達ドメインは、4-1BBを含む。ある特定の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータを含む。
【0205】
一態様では、CARの細胞内ドメインは、1種または複数種の共刺激分子の任意の部分を含む共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、CD2、CD3、CD8、CD27、CD28、OX40、ICOS、4-1BB、PD-1、それらの任意の誘導体またはバリアント、同じ機能的特性を有するそれらの任意の合成配列、およびそれらの任意の組み合わせからの少なくとも1つのシグナル伝達ドメインを含む。
【0206】
細胞内シグナル伝達ドメインの例は、非限定的に、T細胞受容体複合体のζ鎖またはそのホモログのいずれか、例えば、η鎖、FcsRIγおよびβ鎖、MB 1(Iga)鎖、B29(Ig)鎖など、ヒトCD3ゼータ鎖、CD3ポリペプチド(Δ、δおよびε)、sykファミリーチロシンキナーゼ(Syk、ZAP 70など)、srcファミリーチロシンキナーゼ(Lck、Fyn、Lynなど)、ならびに、CD2、CD5およびCD28などのT細胞形質導入に関与する他の分子を含む。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ゼータ鎖、FcyRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)保有細胞質受容体、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0207】
細胞内ドメインの他の例には、TCR、CD3ゼータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD86、共通FcRガンマ、FcRベータ(FcイプシロンRib)、CD79a、CD79b、FcガンマRlla、DAP10、DAP12、T細胞受容体(TCR)、CD8、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX9、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、KIRファミリータンパク質、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80 (KLRF1)、CD127、CD160、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD1 Id、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD lib、ITGAX、CD11c、ITGBl、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、本明細書に記載される他の共刺激分子、それらの任意の誘導体、バリアント、またはフラグメント、同じ機能的能力を有する共刺激分子の任意の合成配列、およびそれらの任意の組み合わせを含むが、それに限定されるわけではない1つまたは複数の分子または受容体に由来するフラグメントまたはドメインが含まれる。
【0208】
細胞内ドメインの追加的な例には、非限定的に、CD3、B7ファミリー共刺激受容体および腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリー受容体を含む第1、第2および第3世代のT細胞シグナル伝達タンパク質を非限定的に含む、数種類の様々な他の免疫シグナル伝達受容体の細胞内シグナル伝達ドメインが含まれる(例えば、Park and Brentjens, J. Clin. Oncol. (2015) 33(6): 651-653を参照されたい)。追加的に、細胞内シグナル伝達ドメインは、NK細胞およびNKT細胞によって使用されるシグナル伝達ドメイン(例えば、Hermanson and Kaufman, Front. Immunol. (2015) 6: 195を参照されたい)、例えば、NKp30(B7-H6)(例えば、Zhang et al., J. Immunol. (2012) 189(5): 2290-2299を参照されたい)、およびDAP12(例えば、Topfer et al., J. Immunol. (2015) 194(7): 3201-3212を参照されたい)、NKG2D、NKp44、NKp46、DAP10、およびCD3zのシグナル伝達ドメインを含み得る。
【0209】
本発明の対象のCARにおいて使用するために適した細胞内シグナル伝達ドメインは、CARの活性化(すなわち、抗原および二量体化剤によって活性化される)に反応して別個のかつ検出可能なシグナル(例えば、細胞による1つまたは複数のサイトカインの産生の増加;標的遺伝子の転写の変化;タンパク質の活性の変化;細胞挙動の変化、例えば、細胞死;細胞増殖;細胞分化;細胞生存;細胞シグナル伝達応答のモジュレーションなど)を提供する任意の所望のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、以下に記載のような少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つなど)のITAMモチーフを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、DAP10/CD28型シグナル伝達鎖を含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、膜結合CARに共有結合することなく、代わりに細胞質中に拡散される。
【0210】
本発明の対象のCARにおいて使用するために適した細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)含有細胞内シグナル伝達ポリペプチドを含む。いくつかの態様では、ITAMモチーフは、細胞内シグナル伝達ドメイン内で二度反復され、そこで、ITAMモチーフの第1および第2の例は、6~8アミノ酸により互いに隔てられている。一態様では、対象のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、3つのITAMモチーフを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、非限定的に、FcガンマRI、FcガンマRIIA、FcガンマRIIC、FcガンマRIIIA、FcRL5などの、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含有するヒト免疫グロブリン受容体のシグナル伝達ドメインを含む(例えば、Gillis et al., Front. (2014) Immunol. 5:254を参照されたい)。
【0211】
適切な細胞内シグナル伝達ドメインは、ITAMモチーフを含有するポリペプチドに由来する、ITAMモチーフ含有部分であることができる。例えば、適切な細胞内シグナル伝達ドメインは、任意のITAMモチーフ含有タンパク質由来のITAMモチーフ含有ドメインであることができる。したがって、適切な細胞内シグナル伝達ドメインは、それが由来するタンパク質全体の配列全体を含有する必要はない。適切なITAMモチーフ含有ポリペプチドの例は、DAP12、FCER1G(Fcイプシロン受容体Iガンマ鎖)、CD3D(CD3デルタ)、CD3E(CD3イプシロン)、CD3G(CD3ガンマ)、CD3Z(CD3ゼータ)、およびCD79A(抗原受容体複合体関連タンパク質アルファ鎖)を含むが、それに限定されるわけではない。
【0212】
一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、DAP12(TYROBP;TYROタンパク質チロシンキナーゼ結合タンパク質;KARAP;PLOSL;DNAX活性化タンパク質12;KAR関連タンパク質;TYROタンパク質チロシンキナーゼ結合タンパク質;キラー活性化受容体関連タンパク質;キラー活性化受容体関連タンパク質などとしても知られている)に由来する。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、FCER1G(FCRG;Fcイプシロン受容体Iガンマ鎖;Fc受容体ガンマ鎖;fc-イプシロンRI-ガンマ;fcRガンマ;fceRlガンマ;高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ;免疫グロブリンE受容体、高親和性ガンマ鎖などとしても知られている)に由来する。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3デルタ鎖(CD3D;CD3-DELTA;T3D;CD3抗原、デルタサブユニット;CD3デルタ;CD3d抗原、デルタポリペプチド(TiT3複合体);OKT3、デルタ鎖;T細胞受容体T3デルタ鎖;T細胞表面糖タンパク質CD3デルタ鎖などとしても知られている)に由来する。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3イプシロン鎖(CD3e、T細胞表面抗原T3/Leu-4イプシロン鎖、T細胞表面糖タンパク質CD3イプシロン鎖、AI504783、CD3、CD3イプシロン、T3eなどとしても知られている)に由来する。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3ガンマ鎖(CD3G、T細胞受容体T3ガンマ鎖、CD3-GAMMA、T3G、ガンマポリペプチド(TiT3複合体)などとしても知られている)に由来する。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3ゼータ鎖(CD3Z、T細胞受容体T3ゼータ鎖、CD247、CD3-ZETA、CD3H、CD3Q、T3Z、TCRZなどとしても知られている)に由来する。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD79A(B細胞抗原受容体複合体関連タンパク質アルファ鎖;CD79a抗原(免疫グロブリン関連アルファ);MB-1膜糖タンパク質;Ig-アルファ;膜結合免疫グロブリン関連タンパク質;表面IgM関連タンパク質などとしても知られている)に由来する。一態様では、本開示の対象のCARにおいて使用するために適した細胞内シグナル伝達ドメインは、DAP10/CD28型シグナル伝達鎖を含む。一態様では、本開示の対象のCARにおいて使用するために適した細胞内シグナル伝達ドメインは、ZAP70ポリペプチドを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、TCRゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bまたはCD66dの細胞質シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、CAR中の細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ゼータの細胞質シグナル伝達ドメインを含む。
【0213】
通常、細胞内シグナル伝達ドメイン全体を用いることができるが、多くの場合、必ずしも鎖全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの切断型部分が使用される範囲内で、そのような切断型部分は、エフェクター機能シグナルを伝達する限り、無傷の鎖の代わりに使用され得る。細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内シグナル伝達ドメインの任意の切断型部分を含む。
【0214】
本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインを、本明細書に記載の共刺激シグナル伝達ドメインのいずれか、本明細書に記載の抗原結合ドメインのいずれか、本明細書に記載の膜貫通ドメインのいずれか、またはCARに含まれ得る本明細書に記載の他のドメインのいずれかと組み合わせることができる。
【0215】
さらに、対象CARに使用するために適したバリアント細胞内シグナル伝達ドメインは、当技術分野において公知である。YMFMモチーフは、ICOSに見られ、PI3Kのp85およびp50アルファサブユニットの両方を動員するSH2結合モチーフであり、強化されたAKTシグナル伝達を生じる。例えば、Simpson et al. (2010) Curr. Opin. Immunol., 22:326-332を参照されたい。一態様では、CD28細胞内ドメインバリアントは、YMFMモチーフを含むように生成され得る。
【0216】
一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、SEQ ID NO:10に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:9に示されるアミノ酸配列を含む4-1BB共刺激ドメインを含む。一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、SEQ ID NO:18に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列を含むCD28共刺激ドメインを含む。一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、SEQ ID NO:26または27に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:25に示されるアミノ酸配列を含むICOS共刺激ドメインを含む。一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、SEQ ID NO:29に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含むCD2共刺激ドメインを含む。一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、SEQ ID NO:33に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列を含むCD28 YMFMバリアント共刺激ドメインを含む。一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、SEQ ID NO:35に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:34に示されるアミノ酸配列を含むCD27共刺激ドメインを含む。一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、SEQ ID NO:37に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:36に示されるアミノ酸配列を含むOX40共刺激ドメインを含む。
【0217】
一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、SEQ ID NO:12または31に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:11または30に示されるアミノ酸配列を含むCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0218】
特異的活性を保ちながらの細胞内ドメインの許容されるバリエーションは、当業者に公知であろう。例えば、いくつかの態様では、細胞内ドメインは、SEQ ID NO:9、11、17、25、28、32、34、または36に示されるアミノ酸配列のいずれかと少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、いくつかの態様では、細胞内ドメインは、SEQ ID NO:10、12、18、26、27、29、31、33、35、または37に示されるヌクレオチド配列のいずれかと少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる。
【0219】
一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、ICOS共刺激ドメインおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、CD28共刺激ドメインおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、CD28 YMFMバリアント共刺激ドメインおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、CD27共刺激ドメインおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、OX40共刺激ドメインおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。例示的な一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、4-1BB共刺激ドメインおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。例示的な一態様では、対象CARの細胞内ドメインは、CD2共刺激ドメインおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0220】
CAR配列
本発明の対象CARは、MUC1(例えばMUC1)に対して親和性を有するCARであり得る。一態様では、SEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得るSEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を含む本発明のTn-MUC1 CARは、4-1BB共刺激ドメインおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、SEQ ID NO:38に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得るSEQ ID NO:39に示されるアミノ酸配列を含む本発明のTn-MUC1 CARは、CD28共刺激ドメインおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、SEQ ID NO:40に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得るSEQ ID NO:41に示されるアミノ酸配列を含む本発明のTn-MUC1 CARは、CD28 YMFMバリアント共刺激ドメインおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、SEQ ID NO:42に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得るSEQ ID NO:43に示されるアミノ酸配列を含む本発明のTn-MUC1 CARは、CD27共刺激ドメインおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、SEQ ID NO:44に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得るSEQ ID NO:45に示されるアミノ酸配列を含む本発明のTn-MUC1 CARは、OX40共刺激ドメインおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、SEQ ID NO:46に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされ得るSEQ ID NO:47に示されるアミノ酸配列を含む本発明のTn-MUC1 CARは、CD2共刺激ドメインおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0221】
特異的活性を保ちながらのCARの許容されるバリエーションは、当業者に公知であろう。例えば、いくつかの態様では、CARは、SEQ ID NO:2、39、41、43、45、または47に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、いくつかの態様では、CARは、SEQ ID NO:1、38、40、42、44、または46に示されるヌクレオチド配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる。
【0222】
いくつかの態様では、本発明の対象CARは、MUC1結合ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。一態様では、CARは、MUC1結合ドメインおよび膜貫通ドメインを含み、ここで、膜貫通ドメインは、CD8ヒンジ領域を含む。一態様では、CARは、MUC1結合ドメインおよび膜貫通ドメインを含み、ここで、膜貫通ドメインは、CD8α膜貫通ドメインを含む。一態様では、CARは、MUC1結合ドメインおよび膜貫通ドメインを含み、ここで、膜貫通ドメインは、CD8ヒンジ領域およびCD8α膜貫通ドメインを含む。
【0223】
いくつかの態様では、本発明の対象CARは、MUC1結合ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとを含む。一態様では、CARは、Tn-MUC1結合ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとを含む。一態様では、CARは、Tn-MUC1結合ドメインと、膜貫通ドメインと、4-1BB共刺激ドメインおよびCD3ゼータドメインを含む細胞内ドメインとを含む。一態様では、CARは、Tn-MUC1結合ドメインと、膜貫通ドメインと、CD28共刺激ドメインおよびCD3ゼータドメインを含む細胞内ドメインとを含む。一態様では、CARは、Tn-MUC1結合ドメインと、膜貫通ドメインと、CD28 YMFMバリアント共刺激ドメインおよびCD3ゼータドメインを含む細胞内ドメインとを含む。一態様では、CARは、Tn-MUC1結合ドメインと、膜貫通ドメインと、CD27ドメインおよびCD3ゼータドメインを含む細胞内ドメインとを含む。一態様では、CARは、Tn-MUC1結合ドメインと、膜貫通ドメインと、OX40ドメインおよびCD3ゼータドメインを含む細胞内ドメインとを含む。一態様では、CARは、Tn-MUC1結合ドメインと、膜貫通ドメインと、CD2ドメインおよびCD3ゼータドメインを含む細胞内ドメインとを含む。
【0224】
したがって、本発明は、本明細書に記載される、MUC1に対して親和性を有するキメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変された免疫細胞またはその前駆細胞、例えば、改変されたT細胞、改変されたNK細胞、改変されたNKT細胞を提供する。
【0225】
ヒト抗体
CARの抗原結合ドメインがヒト抗体またはその断片を含むことが好ましい場合がある。完全ヒト抗体が、ヒト対象の治療的処置に特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用するファージディスプレイ方法を含む当技術分野において公知の多種多様な方法(これらの技法の改良法を含む)によって作製されることができる。米国特許第4,444,887号および同第4,716,111号;ならびにPCT公報WO98/46645、WO98/50433、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO96/33735、およびWO91/10741も参照されたく;これらの各々は、その全体で参照により本明細書に組み入れられる。
【0226】
機能的内因性免疫グロブリンを発現することができないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用してヒト抗体を産生することもできる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、マウス胚性幹細胞にランダムにまたは相同組み換えにより導入される場合がある。あるいは、ヒト可変領域、定常領域、および多様性(diversity)領域が、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えてマウス胚性幹細胞内に導入される場合がある。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、ヒト免疫グロブリン座の導入と別々にまたは同時に相同組み換えにより非機能性にされる場合がある。例えば、キメラマウスおよび生殖細胞系列変異型マウスにおける抗体重鎖結合(joining)領域(JH)遺伝子のホモ接合型欠失は、内因性抗体産生の完全阻害を生じると記載されている。キメラマウスを産生するために改変された胚性幹細胞が拡大増殖され、胚盤胞内に微量注入される。次いで、キメラマウスが繁殖されて、ヒト抗体を発現するホモ接合型子孫が産生される。選択された抗原、例えば本発明のポリペプチドの全部または一部を用いてトランスジェニックマウスが通常の方法で免疫処置される。選択された標的に対する抗体は、免疫処置されたトランスジェニックマウスから従来のハイブリドーマ技法を用いて得ることができる。トランスジェニックマウスが内部に有するヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間に再配列し、続いてクラススイッチおよび体細胞変異を受ける。したがって、そのような技法を使用して、IgG1(ガンマ1)およびIgG3を含むがそれに限定されるわけではない、治療的に有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技法の概要については、LonbergおよびHuszar(Int. Rev. Immunol., 13:65-93 (1995))を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技法ならびにそのような抗体を産生するためのプロトコルの詳細な考察については、例えば、その各々がその全体で参照により本明細書に組み入れられるPCT公報番号WO98/24893、WO96/34096、およびWO96/33735;ならびに米国特許第5,413,923号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第5,661,016号;同第5,545,806号;同第5,814,318号;および同第5,939,598号を参照されたい。加えて、Abgenix, Inc.(Freemont, Calif.)およびGenpharm(San Jose, Calif.)などの企業に、上記に類似する技法を用いた、選択された抗原に対するヒト抗体の提供を引き受けさせことができる。抗原誘発を受けた場合にヒト抗体の産生を生じるであろう生殖細胞系列変異型マウスにおけるヒト生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入の特定の考察については、例えば、Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993); Jakobovits et al., Nature, 362:255-258 (1993); Bruggermann et al., Year in Immunol., 7:33 (1993); およびDuchosal et al., Nature, 355:258 (1992)を参照されたい。
【0227】
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーに由来することができる(Hoogenboom et al., J. Mol. Biol., 227:381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991); Vaughan et al., Nature Biotech., 14:309 (1996))。ファージディスプレイ技法(McCafferty et al., Nature, 348:552-553 (1990))は、免疫処置されていないドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからヒト抗体および抗体断片をインビトロで産生するために使用することができる。この技法によると、抗体Vドメイン遺伝子は、M13またはfdなどの糸状バクテリオファージのメジャーまたはマイナーコートタンパク質遺伝子のいずれかのフレーム内にクローニングされ、ファージ粒子表面の機能的抗体断片としてディスプレイされる。糸状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能的特性に基づく選択は、それらの特性を示している抗体をコードする遺伝子の選択も生じる。したがって、ファージは、B細胞の特性のいくつかを模倣する。ファージディスプレイは、多様な形式で行うことができ;それらの総説については、例えば、Johnson, Kevin S, and Chiswell, David J., Current Opinion in Structural Biology 3:564-571 (1993)を参照されたい。いくつかの起源のV遺伝子セグメントをファージディスプレイのために使用することができる。Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991)は、非免疫処置マウスの脾臓に由来するV遺伝子の小型ランダムコンビナトリアルライブラリーから抗オキサゾロン抗体の様々なアレイを単離した。非免疫処置ヒトドナー由来のV遺伝子レパートリーを構築することができ、抗原(自己抗原を含む)の様々なアレイに対する抗体を、本質的にMarks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)、またはGriffith et al., EMBO J., 12:725-734 (1993)によって記載された技法に従って単離することができる。その各々がその全体で参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,565,332号および同第5,573,905号も参照されたい。
【0228】
ヒト抗体は、インビトロ活性化B細胞によっても生成され得る(その各々がその全体で参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,567,610号および同第5,229,275号を参照されたい)。ヒト抗体は、例えば非限定的にRoderら(Methods Enzymol., 121:140-167 (1986))によって記載されたハイブリドーマ技法を用いてインビトロで生成される場合もある。
【0229】
ドミナントネガティブ型受容体およびスイッチ受容体
本発明は、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体を含む、改変された免疫細胞またはその前駆細胞、例えば、改変されたT細胞のための組成物および方法を提供する。したがって、いくつかの態様では、免疫細胞は、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体を発現するように遺伝的に改変されている。ドミナントネガティブ型受容体およびスイッチ受容体の配列は、表1に見出される。本明細書に用いられる用語「ドミナントネガティブ型受容体」は、負のシグナル伝達分子の効果、例えば、本発明の改変された免疫細胞に対する負のシグナル伝達分子の効果を低減するように設計された分子を指す。本発明のドミナントネガティブ型受容体は、負のシグナルに関連する細胞外ドメインにより負のシグナル伝達分子、例えば、TGF-βまたはPD-1と結合し、負のシグナル伝達分子の効果を低減する場合がある。そのようなドミナントネガティブ型受容体は、本明細書に記載される。例えば、ドミナントネガティブ型受容体を含む改変された免疫細胞は、改変された免疫細胞の微小環境中の負のシグナル伝達分子と結合し、改変された免疫細胞に対して負のシグナル伝達分子が有し得る効果を低減する場合がある。
【0230】
本発明のスイッチ受容体は、負のシグナル伝達分子の効果を低減することに加えて、正のシグナルに関連する細胞内ドメインを含むことにより、負のシグナルを正のシグナルに変換するように設計される場合がある。負のシグナルを正のシグナルに変換するように設計されたスイッチ受容体は、本明細書に記載される。したがって、スイッチ受容体は、負のシグナルに関連する細胞外ドメインおよび/または正のシグナルに関連する細胞内ドメインを含む。
【0231】
腫瘍細胞は、腫瘍細胞を免疫認識および除去から保護するように役立つ免疫抑制微小環境を生成する。この免疫抑制微小環境は、CAR-T細胞療法などの免疫抑制療法の有効性を制限する可能性がある。分泌されるサイトカイン形質転換増殖因子β(TGFβ)は、細胞傷害性T細胞の機能を直接阻害し、追加的に制御性T細胞の形成を誘導して、免疫応答をさらに抑制する。前立腺がんの状況でのTGFβによるT細胞免疫抑制が、以前に実証されている(Donkor et al., 2011; Shalapour et al., 2015)。TGFβの免疫抑制効果を低減するために、免疫細胞を改変して、TGF-βに対するドミナントネガティブ型受容体であるドミナントネガティブ型受容体を発現させることができる。
【0232】
いくつかの態様では、ドミナントネガティブ型受容体は、負のシグナルに関連する野生型タンパク質の切断型バリアントである。いくつかの態様では、ドミナントネガティブ型受容体は、TGF-βに対するドミナントネガティブ型受容体である。したがって、いくつかの態様では、TGF-βに対するドミナントネガティブ型受容体は、野生型TGF-β受容体の切断型バリアントである。いくつかの態様では、ドミナントネガティブ型受容体は、TGF-β受容体II型の切断型ドミナントネガティブ型バリアント(TGFβRII-DN)である。一態様では、TGFβRII-DNは、SEQ ID NO:77の核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:76のアミノ酸配列を含む。
【0233】
それの意図する機能を保ちながらのTGFβRII-DNの配列の許容されるバリエーションは、当業者に公知であろう。例えば、いくつかの態様では、本発明のドミナントネガティブ型受容体は、SEQ ID NO:76に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むTGFβRII-DNである。一態様では、ドミナントネガティブ型受容体は、SEQ ID NO:76に示されるアミノ酸配列を含むTGFβRII-DNである。
【0234】
いくつかの態様では、本発明のドミナントネガティブ型受容体は、SEQ ID NO:77に示される核酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされるTGFβRII-DNである。一態様では、ドミナントネガティブ型受容体は、SEQ ID NO:77に示される核酸配列によってコードされるTGFβRII-DNである。
【0235】
一態様では、本発明において使用するために適したスイッチ受容体は、PD1-CTM-CD28受容体である。PD1-CTM-CD28受容体は、細胞において発現された場合に負のPD1シグナルを正のCD28シグナルに変換する。PD1-CTM-CD28受容体は、PD1細胞外ドメインのバリアント、CD28膜貫通ドメイン、およびCD28細胞質ドメインを含む。一態様では、PD1-CTM-CD28受容体は、SEQ ID NO:78の核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:79のアミノ酸配列を含む。
【0236】
それの意図する生物学的活性(例えば、細胞において発現された場合に負のPD1シグナルを正のCD28シグナルに変換すること)を保ちながらのPD1-CTM-CD28受容体の許容されるバリエーションは、当業者に公知であろう。したがって、本発明のPD1-CTM-CD28受容体は、SEQ ID NO:78に示されるPD1-CTM-CD28受容体のアミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、本発明のPD1-CTM-CD28受容体は、SEQ ID NO:79に示されるPD1-CTM-CD28受容体の核酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸によってコードされ得る。
【0237】
一態様では、本発明において使用するために適したスイッチ受容体は、PD1-PTM-CD28受容体である。PD1-PTM-CD28受容体は、細胞において発現された場合に負のPD1シグナルを正のCD28シグナルに変換する。PD1-PTM-CD28受容体は、PD1細胞外ドメインのバリアント、PD1膜貫通ドメイン、およびCD28細胞質ドメインを含む。一態様では、PD1-PTM-CD28受容体は、SEQ ID NO:80の核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:81のアミノ酸配列を含む。
【0238】
それの意図する生物学的活性(例えば、細胞において発現された場合に負のPD1シグナルを正のCD28シグナルに変換すること)を保ちながらのPD1-PTM-CD28受容体の許容されるバリエーションは、当業者に公知であろう。したがって、本発明のPD1-PTM-CD28受容体は、SEQ ID NO:80に示されるPD1-PTM-CD28受容体のアミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、本発明のPD1-PTM-CD28受容体は、SEQ ID NO:81に示されるPD1-PTM-CD28受容体の核酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸によってコードされ得る。
【0239】
一態様では、本発明において使用するために適したスイッチ受容体は、PD1A132L-PTM-CD28受容体である。PD1A132L-PTM-CD28受容体は、細胞において発現された場合に負のPD1シグナルを正のCD28シグナルに変換する。PD1のアミノ酸位置132のアラニンをロイシンにより置換する点変異(A132L)は、それとPD-L1との親和性を2倍増加させることが見出された(例えば、Zhang et al., Immunity (2004) 20(3), 337-347を参照されたい)。PD1A132L-PTM-CD28受容体は、132位にアミノ酸置換(A132L)を有するPD1細胞外ドメインのバリアント、PD1膜貫通ドメイン、およびCD28細胞質ドメインを含む。一態様では、PD1A132L-PTM-CD28受容体は、SEQ ID NO:82の核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:83のアミノ酸配列を含む。
【0240】
それの意図する生物学的活性(例えば、細胞において発現された場合に負のPD1シグナルを正のCD28シグナルに変換すること)を保ちながらのPD1A132L-PTM-CD28受容体の許容されるバリエーションは、当業者に公知であろう。したがって、本発明のPD1A132L-PTM-CD28受容体は、SEQ ID NO:82に示されるPD1A132L-PTM-CD28受容体のアミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、本発明のPD1A132L-PTM-CD28受容体は、SEQ ID NO:83に示されるPD1A132L-PTM-CD28受容体の核酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸によってコードされ得る。
【0241】
一態様では、本発明において使用するために適したスイッチ受容体は、PD1-4-1BB受容体である。PD1-4-1BB受容体(本明細書においてPD1-BBとも称される)は、細胞において発現された場合に負のPD1シグナルを正の4-1BBシグナルに変換する。一態様では、PD1-4-1BB受容体は、SEQ ID NO:84の核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:85のアミノ酸配列を含む。
【0242】
それの意図する生物学的活性(例えば、細胞において発現された場合に負のPD1シグナルを正の4-1BBシグナルに変換すること)を保ちながらのPD1-4-1BB受容体の許容されるバリエーションは、当業者に公知であろう。したがって、本発明のPD1-4-1BB受容体は、SEQ ID NO:84に示されるPD1-4-1BB受容体のアミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、本発明のPD1-4-1BB受容体は、SEQ ID NO:85に示されるPD1-4-1BB受容体の核酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸によってコードされ得る。
【0243】
一態様では、本発明において使用するために適したスイッチ受容体は、PD1A132L-4-1BB受容体である。PD1A132L-4-1BB受容体(本明細書においてPD1*BBとも称される)は、細胞において発現された場合に負のPD1シグナルを正の4-1BBシグナルに変換する。一態様では、PD1A132L-4-1BB受容体は、SEQ ID NO:86の核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:87のアミノ酸配列を含む。
【0244】
それの意図する生物学的活性(例えば、細胞において発現された場合に負のPD1シグナルを正の4-1BBシグナルに変換すること)を保ちながらのPD1A132L-4-1BB受容体の許容されるバリエーションは、当業者に公知であろう。したがって、本発明のPD1A132L-4-1BB受容体は、SEQ ID NO:86に示されるPD1A132L-4-1BB受容体のアミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、本発明のPD1A132L-4-1BB受容体は、SEQ ID NO:87に示されるPD1A132L-4-1BB受容体の核酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸によってコードされ得る。
【0245】
一態様では、本発明において使用するために適したスイッチ受容体は、TGFβR-IL12Rβ1受容体である。TGFβR-IL12Rβ1受容体は、細胞において発現された場合に負のTGF-βシグナルを正のIL-12シグナルに変換する。一態様では、TGFβR-IL12Rβ1受容体は、SEQ ID NO:88の核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含む。
【0246】
それの意図する生物学的活性(例えば、細胞において発現された場合に負のTGF-βシグナルを正のIL-12シグナルに変換すること)を保ちながらのTGFβR-IL12Rβ1受容体の許容されるバリエーションは、当業者に公知であろう。したがって、本発明のTGFβR-IL12Rβ1受容体は、SEQ ID NO:88に示されるTGFβR-IL12Rβ1受容体のアミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、本発明のTGFβR-IL12Rβ1受容体は、SEQ ID NO:89に示されるTGFβR-IL12Rβ1受容体の核酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸によってコードされ得る。
【0247】
一態様では、本発明において使用するために適したスイッチ受容体は、TGFβR-IL12Rβ2受容体である。TGFβR-IL12Rβ2受容体は、細胞において発現された場合に負のTGF-βシグナルを正のIL-12シグナルに変換する。一態様では、TGFβR-IL12Rβ2受容体は、SEQ ID NO:90の核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:91のアミノ酸配列を含む。
【0248】
それの意図する生物学的活性(例えば、細胞において発現された場合に負のTGF-βシグナルを正のIL-12シグナルに変換すること)を保ちながらのTGFβR-IL12Rβ2受容体の許容されるバリエーションは、当業者に公知であろう。したがって、本発明のTGFβR-IL12Rβ2受容体は、SEQ ID NO:90に示されるTGFβR-IL12Rβ2受容体のアミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、本発明のTGFβR-IL12Rβ2受容体は、SEQ ID NO:91に示されるTGFβR-IL12Rβ2受容体の核酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸によってコードされ得る。
【0249】
一態様では、本発明において使用するために適したスイッチ受容体は、TIM3-CD28受容体である。TIM3-CD28受容体は、細胞において発現された場合に負のTIM-3シグナルを正のCD28シグナルに変換する。一態様では、TIM3-CD28受容体は、SEQ ID NO:92の核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:93のアミノ酸配列を含む。
【0250】
それの意図する生物学的活性(例えば、細胞において発現された場合に負のTIM-3シグナルを正のCD28シグナルに変換すること)を保ちながらのTIM3-CD28受容体の許容されるバリエーションは、当業者に公知であろう。したがって、本発明のTIM3-CD28受容体は、SEQ ID NO:92に示されるTIM3-CD28受容体のアミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、本発明のTIM3-CD28受容体は、SEQ ID NO:93に示されるTIM3-CD28受容体の核酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸によってコードされ得る。
【0251】
本発明において使用するために適した他のドミナントネガティブ型受容体およびスイッチ受容体は、PCT公報番号WO2013019615A2に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0252】
改変された免疫細胞
本発明は、対象CARを含む改変された免疫細胞またはその前駆細胞(例えば、改変されたT細胞、改変されたNK細胞、改変されたNKT細胞)を提供する。したがって、そのような改変された細胞は、その中で発現されるCARによって方向づけられる特異性を保有する。例えば、TnMUC1 CARを含む本発明の改変された細胞は、標的細胞上のMUC1に対する特異性を保有する。
【0253】
本明細書に記載される任意の抗原結合ドメインと、任意のヒンジと、任意の膜貫通ドメインと、任意の細胞内共刺激ドメインと、任意の細胞内シグナル伝達ドメインとを含むCARを含む任意の改変された細胞が想定され、それらの細胞は、本明細書における開示に照らして当業者により容易に理解され、製造されることができる。
【0254】
いくつかの態様では、改変された細胞は、免疫細胞またはその前駆細胞である。例示的な態様では、改変された細胞はT細胞である。例示的な態様では、改変された細胞は自己細胞である。例示的な態様では、改変された細胞は、自己免疫細胞またはその前駆細胞である。例示的な態様では、改変された細胞は自己T細胞である。
【0255】
本発明は、CARおよび/またはドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体を含む改変された免疫細胞またはその前駆細胞(例えば、T細胞)を提供する。したがって、そのような改変された細胞は、その中に発現されるCARにより方向づけられる特異性を保有する。例えば、TnMUC1-CARを含む本発明の改変された細胞は、標的細胞上のTnMUC1に対する特異性を保有する。
【0256】
いくつかの態様では、本発明の改変された細胞は、CARを含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、標的細胞上のTnMUC1に対する親和性を有するCARを含む。いくつかの態様では、本発明の改変された細胞は、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体を含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、微小環境中の陰性シグナル伝達分子の効果を低減することが可能なドミナントネガティブ型受容体を含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、微小環境中の陰性シグナル伝達分子の効果を低減し、改変された細胞内で負のシグナルを正のシグナルに変換することが可能なスイッチ受容体を含む。いくつかの態様では、本発明の改変された細胞は、CARと、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体とを含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、標的細胞上のTnMUC1に対して親和性を有するCARと、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体とを含む。本発明のドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体を含む改変された細胞は、それらのそれぞれの細胞外ドメインによって微小環境中で負のシグナル伝達分子(例えば、阻害性リガンド)と会合することができる。いくつかの態様では、ドミナントネガティブ型受容体を含む本発明の改変された細胞は、微小環境中の負のシグナル伝達分子の効果を低減することができ、ここで、ドミナントネガティブ型受容体は、負のシグナルに関連する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、スイッチ受容体を含む本発明の改変された細胞は、微小環境中の負のシグナル伝達分子の効果を正のシグナルに変換することが可能であり、ここで、スイッチ受容体は、負のシグナルに関連する細胞外ドメインおよび正のシグナルに関連する細胞内ドメインを含む。
【0257】
例示的な態様では、本発明の改変された細胞は、負のシグナル伝達分子の効果を低減することが可能なドミナントネガティブ型受容体を含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、TGFβRII-DNを含む。
【0258】
例示的な態様では、本発明の改変された細胞は、改変された細胞内で負のシグナル伝達分子の効果を正の(例えば、活性化)シグナルに変換することが可能なスイッチ受容体を含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、PD1-CTM-CD28を含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、PD1A132L-PTM-CD28を含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、TIM3-CD28を含む。
【0259】
例示的な態様では、本発明の改変された細胞は、TnMUC1-CARと、負のシグナル伝達分子の効果を低減することが可能なドミナントネガティブ型受容体とを含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、TnMUC1-CARおよびTGFβRII-DNを含む。そのような改変された細胞(例えば、改変されたT細胞)は、標的細胞上のTnMUC1に対して親和性を有することに加えて、それらが存在する微小環境からの阻害性TGF-βシグナルを低減することが可能である。
【0260】
例示的な態様では、本発明の改変された細胞は、MUC1-CARと、改変された細胞内で負のシグナル伝達分子の阻害性効果を正のシグナルに変換することが可能なスイッチ受容体とを含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、MUC1-CARおよびPD1-CTM-CD28を含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、MUC1-CARおよびPD1A132L-PTM-CD28を含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、MUC1-CARおよびTIM3-CD28を含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、MUC1 CARおよびPD1-4-1BBを含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、MUC1-CARおよびPD1A132L-4-1BBを含む。一態様では、本発明の改変された細胞は、MUC1-CARおよびTGFβR-IL12Rβ1を含む。そのような改変された細胞(例えば、改変されたT細胞)は、標的細胞上のMUC1に対して親和性を有することに加えて、微小環境からの阻害性PD-1、TIMI1またはTGFβシグナルを、改変された細胞内で正の(例えば、活性化)シグナルに変換することが可能である。そのような改変された細胞(例えば、改変されたT細胞)は、標的細胞上のMUC1に対して親和性を有することに加えて、微小環境からの阻害性PD-1またはTIM-3シグナルを、改変された細胞内で正の(例えば、活性化)CD28シグナルに変換することが可能である。
【0261】
例示的な態様では、本発明の改変された細胞は、MUC1-CAR、TGFβRII-DN、およびPD1-CTM-CD28を含む。
【0262】
核酸および発現ベクター
本発明は、MUC1(例えばTn-MUC1)に対して親和性を有するCARをコードする核酸を提供する。本明細書に記載される対象CARは、抗原結合ドメイン(例えば、MUC1結合ドメイン)と、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとを含む。したがって、本発明は、対象CARの抗原結合ドメイン(例えば、MUC1結合ドメイン)と、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとをコードする核酸を提供する。
【0263】
例示的な態様では、本発明のMUC1 CARをコードする核酸は、SEQ ID NO:1、38、40、42、44、または46に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる。
【0264】
本発明は、CARならびに/またはドミナントネガティブ型受容体および/もしくはスイッチ受容体をコードする核酸を提供する。一態様では、本開示の核酸は、本発明の対象のCAR(例えば、TnMUC1-CAR)をコードする核酸配列を含む。一態様では、本開示の核酸は、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体(例えば、PD1-PTM-CD28受容体)をコードする核酸配列を含む。
【0265】
いくつかの態様では、本開示の核酸は、例えば、哺乳動物細胞における本明細書に記載されるようなCARならびに/またはドミナントネガティブ型受容体および/もしくはスイッチ受容体の産生を提供する。いくつかの態様では、本開示の核酸は、CARならびに/またはドミナントネガティブ型受容体および/もしくはスイッチ受容体をコードする核酸の増幅を提供する。
【0266】
本明細書に記載されるように、対象のCARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含む。したがって、本開示は、対象のCARの抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインをコードする核酸を提供する。本明細書に記載されるように、様々なドミナントネガティブ型受容体およびスイッチ受容体が提供される。したがって、本発明は、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をコードする核酸を提供する。
【0267】
いくつかの態様では、CARをコードする核酸は、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をコードする核酸と別個である。例示的な態様では、CARをコードする核酸と、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をコードする核酸とは、同じ核酸内に存在する。
【0268】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、CARのコード配列と、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体のコード配列とを含む核酸を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、リンカーにより隔てられている、CARのコード配列と、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体のコード配列とを含む核酸を含む。本発明において使用するための(例えば、CARのコード配列と、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体のコード配列とを連結する状況での)リンカーは、複数のタンパク質が同じ核酸配列(例えば、多シストロン性または2シストロン性配列)によってコードされることを可能にし、それらのタンパク質は、別々のタンパク質成分に解離されるポリタンパク質として翻訳される。例えば、CARのコード配列と、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体のコード配列とを含む本開示の核酸に使用するためのリンカーは、CARならびにドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体が、別々のCARならびにドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体成分に解離されるポリタンパク質として翻訳されることを可能にする。
【0269】
いくつかの態様では、リンカーは、配列内リボソーム進入部位(IRES)をコードする核酸配列を含む。本明細書に用いられる「配列内リボソーム進入部位」または「IRES」は、タンパク質コード領域のATGなどの開始コドンへの直接の配列内リボソーム進入を促進するエレメントであって、それにより、遺伝子のcap非依存的翻訳をもたらすエレメントを指す。非限定的に、ウイルスまたは細胞mRNA供給源から入手可能なIRES、例えば、免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP);血管内皮増殖因子(VEGF);線維芽細胞増殖因子2;インスリン様増殖因子;翻訳開始因子eIF4G;酵母転写因子TFIIDおよびHAP4;ならびに例えば、カルジオウイルス、ライノウイルス、アフトウイルス、HCV、フレンドマウス白血病ウイルス(FrMLV)、およびモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)から入手可能なIRESを含む、様々な配列内リボソーム進入部位が、当業者に公知である。当業者は、本発明において使用するために適したIRESを選択することが可能であろう。
【0270】
いくつかの態様では、リンカーは、自己切断型ペプチドをコードする核酸配列を含む。本明細書に用いられる「自己切断型ペプチド」または「2Aペプチド」は、翻訳されると成分タンパク質に解離するポリタンパク質として複数のタンパク質をコードできるようにするオリゴペプチドを指す。「自己切断型」という用語の使用は、タンパク質分解切断反応を意味することが意図されない。ピコルナウイルス科(Picornaviridae)ウイルスファミリーのメンバー、例えば、口蹄疫ウイルス(FMDV)、ウマ鼻炎Aウイルス(ERAV0、ゾセアアシグナウイルス(TaV)、およびブタテッショウウイルス-1(PTV-1);ならびにタイロウイルスおよび脳心筋炎ウイルスなどのカルジオウイルスに見出されるものを非限定的に含む様々な自己切断型ペプチドまたは2Aペプチドが、当業者に公知である。FMDV、ERAV、PTV-1、およびTaVに由来する2Aペプチドは、本明細書においてそれぞれ「F2A」、「E2A」、「P2A」、および「T2A」と称される。当業者は、本発明において使用するために適した自己切断型ペプチドを選択することが可能であろう。
【0271】
いくつかの態様では、本開示の核酸は、T2Aペプチド配列を含むリンカーにより隔てられている、CARのコード配列と、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体のコード配列とを含む核酸配列を含む。いくつかの態様では、T2Aペプチド配列は、核酸配列
によってコードされ得る、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様では、T2Aペプチド配列を含むリンカーは、本明細書に記載されるようなスペーサー配列をさらに含み得る。例えば、T2Aペプチド配列を含むリンカーは、核酸配列
によってコードされ得る、アミノ酸配列SGRSGGG(SEQ ID NO:96)を含むスペーサー配列をさらに含み得る。
【0272】
いくつかの態様では、本開示の核酸は、F2Aペプチド配列を含むリンカーにより隔てられている、CARのコード配列と、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体のコード配列とを含む核酸配列を含む。いくつかの態様では、F2Aペプチド配列は、核酸配列
によってコードされ得る、アミノ酸配列
を含む。
【0273】
いくつかの態様では、リンカーは、フューリン切断部位をコードする核酸配列をさらに含む。フューリンは、トランスゴルジ中に存在し、かつタンパク質前駆体をそれらの分泌の前にプロセシングする、遍在的に発現されるプロテアーゼである。フューリンは、そのコンセンサス認識配列のCOOH-末端で切断する。非限定的に、Arg-Gln-Lys-Arg(SEQ ID NO:103)などのArg-X-Lys-Arg(SEQ ID NO:100)またはArg-X-Arg-Arg(SEQ ID NO:101)、およびArg-X-X-Arg(SEQ ID NO:102)[配列中、Xは、任意の天然アミノ酸である]を含む、様々なフューリンコンセンサス認識配列(または「フューリン切断部位」)が、当業者に公知である。フューリン切断部位の別の例は、X1-Arg-X2-X3-Arg(SEQ ID NO:104)[配列中、X1はLysまたはArgであり、X2は任意の天然アミノ酸であり、X3はLysまたはArgである]である。当業者は、本発明において使用するために適したフューリン切断部位を選択することが可能であろう。
【0274】
いくつかの態様では、リンカーは、フューリン切断部位と2Aペプチドとの組み合わせをコードする核酸配列を含む。例には、フューリンおよびF2Aをコードする核酸配列を含むリンカー、フューリンおよびE2Aをコードする核酸配列を含むリンカー、フューリンおよびP2Aをコードする核酸配列を含むリンカー、フューリンおよびT2Aをコードする核酸配列を含むリンカーが含まれるが、それに限定されるわけではない。当業者は、本発明において使用するために適した組み合わせを選択することが可能であろう。そのような態様では、リンカーは、フューリンと2Aペプチドとの間にスペーサー配列をさらに含み得る。非限定的に、(GS)n、(GSGGS)n(SEQ ID NO:52)および(GGGS)n(SEQ ID NO:53)[配列中、nは少なくとも1の整数を表す]などのグリシンセリン(GS)スペーサーを含む、様々なスペーサー配列が当技術分野において公知である。例示的なスペーサー配列は、非限定的に、GGSG(SEQ ID NO:55)、GGSGG(SEQ ID NO:56)、GSGSG(SEQ ID NO:57)、GSGGG(SEQ ID NO:58)、GGGSG(SEQ ID NO:59)、およびGSSSG(SEQ ID NO:60)などを含むアミノ酸配列を含むことができる。当業者は、本発明において使用するために適したスペーサー配列を選択することが可能であろう。
【0275】
いくつかの態様では、本開示の核酸は、フューリン-(G4S)2-T2A(F-GS2-T2A)リンカーにより隔てられている、CARのコード配列と、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体のコード配列とを含む核酸配列を含む。F-GS2-T2Aリンカーは、核酸配列
によってコードされ得、アミノ酸配列
を含み得る。当業者は、本発明のリンカーが、許容される配列バリエーションを含み得ることを認識しているであろう。
【0276】
いくつかの態様では、本発明は、本明細書に記載されるようなドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をコードする核酸配列を含む核酸を提供する。いくつかの態様では、核酸は、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をコードする核酸配列と、本明細書に記載されるようなCAR(例えば、TnMUC1-CAR)をコードする核酸配列とを含む。一態様では、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をコードする核酸配列と、CARをコードする核酸配列とは、別々の核酸上に存在する。一態様では、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をコードする核酸配列と、CARをコードする核酸配列とは、同じ核酸内に存在する。そのような態様では、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をコードする核酸配列と、CARをコードする核酸配列とは、本明細書に記載されるようなリンカーにより隔てられている。
【0277】
例えば、本開示の核酸は、ドミナント型受容体をコードする核酸配列、リンカー、およびCARをコードする核酸配列を含み得る。一態様では、リンカーは、2Aペプチド(例えば、T2A)をコードする核酸配列を含む。例示的な態様では、本開示の核酸は、T2Aをコードする核酸配列を含むリンカー配列により隔てられた、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をコードする核酸配列と、CARをコードする核酸配列を含み得る。
【0278】
したがって、一態様では、本開示の核酸は、5'から3'方向に:ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をコードする核酸配列、リンカーをコードする核酸配列、ならびにCARをコードする核酸配列を含む。一態様では、本開示の核酸は、5'から3'方向に:CARをコードする核酸配列、リンカーをコードする核酸配列、ならびにドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をコードする核酸配列を含む。
【0279】
したがって、例示的な態様では、本発明の核酸は、5'から3'方向に:TGFβRII-DNをコードする核酸配列、2Aペプチド(例えば、T2A)を含むリンカーをコードする核酸配列、およびMUC1-CAR(例えば、SEQ ID NO:1、38、40、42、44、または46)をコードする核酸配列を含む。一態様では、本開示の核酸は、5'から3'方向に:MUC1-CARをコードする核酸、2Aペプチド(例えば、T2A)を含むリンカーをコードする核酸、ならびにドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をコードする核酸を含む。
【0280】
いくつかの態様では、本開示の核酸は、転写制御エレメント、例えば、プロモーター、およびエンハンサーなどに機能的に連結される場合がある。適切なプロモーターおよびエンハンサーエレメントは、当業者に公知である。
【0281】
細菌細胞における発現に適したプロモーターには、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、ラムダPおよびtrcが含まれるが、それに限定されるわけではない。真核細胞における発現に適したプロモーターには、軽鎖および/または重鎖免疫グロブリン遺伝子プロモーターおよびエンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス前初期プロモーター;単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーター;初期および後期SV40プロモーター;レトロウイルス由来の長鎖末端反復配列に存在するプロモーター;マウスメタロチオネイン-Iプロモーター;ならびに当技術分野において公知の様々な組織特異的プロモーターが含まれるが、それに限定されるわけではない。可逆誘導性プロモーターを含む、適切な可逆プロモーターは、当技術分野において公知である。そのような可逆プロモーターは、多数の生物、例えば、真核生物および原核生物から単離され、それに由来する場合がある。第2の生物における使用のために第1の生物に由来する可逆プロモーターの改変(例えば、第1の原核生物および第2の真核生物、第1の真核生物および第2の原核生物など)は、当技術分野において周知である。そのような可逆プロモーター、およびそのような可逆プロモーターに基づくが、追加的な制御タンパク質も含むシステムには、アルコール調節プロモーター(例えば、アルコールデヒドロゲナーゼI(alcA)遺伝子プロモーター、アルコールトランス活性化因子タンパク質(A1cR)応答プロモーターなど)、テトラサイクリン調節プロモーター、(例えば、TetActivator、TetON、TetOFFなどを含むプロモーターシステム)、ステロイド調節プロモーター(例えば、ラットグルココルチコイド受容体プロモーターシステム、ヒトエストロゲン受容体プロモーターシステム、レチノイドプロモーターシステム、甲状腺プロモーターシステム、エクジソンプロモーターシステム、ミフェプリストンプロモーターシステムなど)、金属調節プロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーターシステムなど)、病原性関連調節プロモーター(例えば、サリチル酸調節プロモーター、エチレン調節プロモーター、ベンゾチアジアゾール調節プロモーターなど)、温度調節プロモーター(例えば、熱ショック誘導プロモーター(例えば、HSP-70、HSP-90、ダイズ熱ショックプロモーターなど)、光調節プロモーター、合成誘導プロモーターなどが含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0282】
いくつかの態様では、プロモーターは、CD8細胞特異的プロモーター、CD4細胞特異的プロモーター、好中球特異的プロモーター、またはNK特異的プロモーターである。例えば、CD4遺伝子プロモーターを使用することができる;例えば、Salmon et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1993) 90:7739;およびMarodon et al. (2003) Blood 101:3416を参照されたい。別の例として、CD8遺伝子プロモーターを使用することができる。NK細胞特異的発現は、NcrI(p46)プロモーターの使用により達成することができる;例えば、Eckelhart et al. Blood (2011) 117:1565を参照されたい。
【0283】
酵母細胞における発現に適したプロモーターは、ADH1プロモーター、PGK1プロモーター、ENOプロモーター、PYK1プロモーターなどのような構成的プロモーター;またはGAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ADH2プロモーター、PHOSプロモーター、CUP1プロモーター、GALTプロモーター、MET25プロモーター、MET3プロモーター、CYC1プロモーター、HIS3プロモーター、ADH1プロモーター、PGKプロモーター、GAPDHプロモーター、ADC1プロモーター、TRP1プロモーター、URA3プロモーター、LEU2プロモーター、ENOプロモーター、TP1プロモーター、およびAOX1(例えば、ピキア(Pichia)における使用のため)のような調節可能なプロモーターである。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、十分に当業者のレベルの範囲内である。原核生物宿主細胞における使用に適したプロモーターには、バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼプロモーター;trpプロモーター;lacオペロンプロモーター;雑種プロモーター、例えば、lac/tac雑種プロモーター、tac/trc雑種プロモーター、trp/lacプロモーター、T7/lacプロモーター;trcプロモーター;tacプロモーターなど;araBADプロモーター;ssaGプロモーターなどのインビボ調節プロモーターまたは関連プロモーター(例えば、米国特許出願公開第20040131637号を参照されたい)、pagCプロモーター(Pulkkinen and Miller, J. Bacteriol. (1991) 173(1): 86-93;Alpuche-Aranda et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1992) 89(21): 10079-83)、nirBプロモーター(Harborne et al. Mol. Micro. (1992) 6:2805-2813)など(例えば, Dunstan et al., Infect. Immun. (1999) 67:5133-5141;McKelvie et al., Vaccine (2004) 22:3243-3255;およびChatfield et al., Biotechnol. (1992) 10:888-892を参照されたい);sigma70プロモーター、例えば、コンセンサスsigma70プロモーター(例えば、GenBankアクセッション番号AX798980、AX798961、およびAX798183を参照されたい);静止期プロモーター、例えば、dpsプロモーター、spvプロモーターなど;病原性アイランドSPI-2に由来するプロモーター(例えば、WO96/17951を参照されたい);actAプロモーター(例えば、Shetron-Rama et al., Infect. Immun. (2002) 70:1087-1096を参照されたい);rpsMプロモーター(例えば, Valdivia and Falkow Mol. Microbiol. (1996). 22:367を参照されたい);tetプロモーター(例えば、Hillen, W. and Wissmann, A. (1989) In Saenger, W. and Heinemann, U. (eds), Topics in Molecular and Structural Biology, Protein--Nucleic Acid Interaction. Macmillan, London, UK, Vol. 10, pp. 143-162を参照されたい);SP6プロモーター(例えば, Melton et al., Nucl. Acids Res. (1984) 12:7035を参照されたい)などが含まれるが、それに限定されるわけではない。大腸菌(Escherichia coli)などの原核生物における使用に適した強力なプロモーターには、Trc、Tac、T5、T7、およびPラムダが含まれるが、それに限定されるわけではない。細菌宿主細胞における使用のためのオペレーターの非限定的な例には、ラクトースプロモーターオペレーター(LacIリプレッサータンパク質は、ラクトースと接触した場合に立体配座を変化させ、それにより、Ladリプレッサータンパク質がオペレーターに結合するのを阻止する)、トリプトファンプロモーターオペレーター(トリプトファンと複合体化した場合、TrpRリプレッサータンパク質は、オペレーターと結合する立体配座を有し;トリプトファンの非存在下で、TrpRリプレッサータンパク質は、オペレーターに結合しない立体配座を有する)、およびtacプロモーターオペレーターが含まれる(例えば、deBoer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1983) 80:21-25を参照されたい)。
【0284】
適切なプロモーターの他の例には、前初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列が含まれる。このプロモーター配列は、それに機能的に連結される任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を推進することが可能な、強力な構成的プロモーター配列である。しかしながら、サルウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳がんウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長鎖末端反復配列(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン-バーウイルス前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、EF-1アルファプロモーター、ならびに非限定的にアクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、およびクレアチンキナーゼプロモーターなどのヒト遺伝子プロモーターを含むが、それに限定されるわけではない他の構成的プロモーター配列も使用される場合がある。さらに、本発明は、構成的プロモーターの使用に限定されるべきではない。誘導プロモーターもまた、本発明の一部として考えられている。誘導プロモーターの使用は、それが機能的に連結されるポリヌクレオチド配列の発現が望ましい場合に、そのような発現をオンにすること、または発現が望ましくない場合に発現をオフにすることが可能な分子スイッチを提供する。誘導プロモーターの例には、メタロチオニン(metallothionine)プロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、およびテトラサイクリンプロモーターが含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0285】
いくつかの態様では、適切なプロモーターを含有する遺伝子座または構築物または導入遺伝子は、誘導システムの誘導を経由して不可逆的にスイッチされる。不可逆スイッチの誘導に適したシステムは、当技術分野において周知であり、例えば、不可逆スイッチの誘導は、Cre-lox媒介組み換えを利用する場合がある(例えば、その開示が参照により本明細書に組み入れられる、Fuhrmann-Benzakein, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2000) 28:e99を参照されたい)。当技術分野において公知であるリコンビナーゼ、エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、組み換え部位などの任意の適切な組み合わせが、不可逆的にスイッチ可能なプロモーターを生成するために使用される場合がある。本明細書の他の箇所に記載される部位特異的組み換えを行うための方法、メカニズム、および要件が、不可逆的にスイッチされたプロモーターの生成に用いられ、当技術分野において周知である。例えば、その開示が、参照により本明細書に組み入れられる、Grindley et al. Annual Review of Biochemistry (2006) 567-605;およびTropp, Molecular Biology (2012) (Jones & Bartlett Publishers, Sudbury, MA)を参照されたい。
【0286】
いくつかの態様では、本開示の核酸は、CAR誘導発現カセットをコードする核酸配列をさらに含む。一態様では、CAR誘導発現カセットは、CARシグナル伝達の際に放出されるトランスジェニックポリペプチド産物の産生のためである。例えば、Chmielewski and Abken, Expert Opin. Biol. Ther. (2015) 15(8): 1145-1154;およびAbken, Immunotherapy (2015) 7(5): 535-544を参照されたい。
【0287】
本開示の核酸は、発現ベクターおよび/またはクローニングベクター内に存在し得る。発現ベクターは、選択マーカー、複製起点、ならびにベクターの複製および/または維持を提供する他の特徴を含むことができる。適切な発現ベクターには、例えば、プラスミド、ウイルスベクターなどが含まれる。多数の適切なベクターおよびプロモーターが、当業者に公知であり;対象の組み換え構築物を生成するために多くが市販されている。以下のベクターが例として提供されるが、これらは、いかようにも限定として解釈されるべきではない:細菌:pBs、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene, La Jolla, Calif., USA);pTrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、およびpRIT5(Pharmacia, Uppsala, Sweden)。原核生物:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL(Pharmacia)。
【0288】
発現ベクターは、一般的に、プロモーター配列近くに位置する好都合な制限部位を有して、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入を提供する。発現宿主において作動する選択マーカーが存在する場合がある。適切な発現ベクターには、ウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;アデノウイルス(例えば、Li et al., Invest. Opthalmol. Vis. Sci. (1994) 35: 2543-2549;Borras et al., Gene Ther. (1999) 6: 515-524;Li and Davidson, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1995) 92: 7700-7704;Sakamoto et al., H. Gene Ther. (1999) 5: 1088-1097;国際公開公報第94/12649号、同第93/03769号;同第93/19191号;同第94/28938号;同第95/11984号および同第95/00655号を参照されたい);アデノ随伴ウイルス(例えば、Ali et al., Hum. Gene Ther. (1998) 9: 81-86, Flannery et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1997) 94: 6916-6921;Bennett et al., Invest. Opthalmol. Vis. Sci. (1997) 38: 2857-2863;Jomary et al., Gene Ther. (1997) 4:683 690, Rolling et al., Hum. Gene Ther. (1999) 10: 641-648;Ali et al., Hum. Mol. Genet. (1996) 5: 591-594;国際公開公報第93/09239号におけるSrivastava、Samulski et al., J. Vir. (1989) 63: 3822-3828;Mendelson et al., Virol. (1988) 166: 154-165;およびFlotte et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1993) 90: 10613-10617を参照されたい);SV40;単純ヘルペスウイルス;ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1997) 94: 10319-23;Takahashi et al., J. Virol. (1999) 73: 7812-7816を参照されたい)に基づくウイルスベクター;レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ならびにラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳がんウイルスなどのレトロウイルスに由来するベクター)などが含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0289】
使用に適した追加的な発現ベクターは、例えば、非限定的に、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、泡沫状ウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、操作雑種ウイルスベクター、トランスポゾン媒介ベクターなどである。ウイルスベクター技法は、当技術分野において周知であり、例えば、Sambrook et al., 2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, volumes 1-4, Cold Spring Harbor Press, NY)ならびに他のウイルス学および分子生物学のマニュアルに記載されている。ベクターとして有用なウイルスには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレンチウイルスが含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0290】
一般に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物において機能性の複製起点、プロモーター配列、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1つまたは複数の選択マーカーを含有する(例えば、国際公開公報第01/96584号;同第01/29058号;および米国特許第6,326,193号)。
【0291】
いくつかの態様では、免疫細胞またはその前駆細胞(例えば、T細胞)中にCARを導入するために、発現ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)が使用される場合がある。したがって、本発明の発現ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、CARをコードする核酸を含む場合がある。いくつかの態様では、発現ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、その中にコードされるCARの機能的発現を助ける追加的なエレメントを含むであろう。いくつかの態様では、CARをコードする核酸を含む発現ベクターは、哺乳動物プロモーターをさらに含む。一態様では、ベクターは、伸長因子-1-アルファプロモーター(EF-1αプロモーター)をさらに含む。EF-1αプロモーターの使用は、下流の導入遺伝子(例えば、CARをコードする核酸配列)の発現における効率を上げる場合がある。生理的プロモーター(例えば、EF-1αプロモーター)は、組み込み媒介遺伝毒性を誘導する可能性が低い場合があり、レトロウイルスベクターが幹細胞を形質転換する能力を打ち消す場合がある。ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)における使用に適した他の生理的プロモーターは、当業者に公知であり、本発明のベクターに組み込まれる場合がある。いくつかの態様では、ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、力価および遺伝子発現を改善する場合がある、必須ではないシス作用配列をさらに含む。必須ではないシス作用配列の非限定的な一例は、効率的な逆転写および核内輸送に重要なセントラルポリプリントラクトおよびセントラルターミネーション配列(cPPT/CTS)である。他の必須ではないシス作用配列は、当業者に公知であり、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)に組み込まれる場合がある。いくつかの態様では、ベクターは、転写後調節エレメントをさらに含む。転写後調節エレメントは、RNAの翻訳を改善し、導入遺伝子の発現を改善し、RNA転写物を安定化する場合がある。転写後調節エレメントの一例は、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)である。したがって、いくつかの態様では、本発明のためのベクターは、WPRE配列をさらに含む。様々な転写後調節因子エレメントは、当業者に公知であり、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)に組み込まれる場合がある。本発明のベクターは、RNAの輸送のためのrev応答エレメント(RRE)、パッケージング配列、ならびに5'および3'長鎖末端反復配列(LTR)などの追加的なエレメントをさらに含む場合がある。「長鎖末端反復配列」または「LTR」という用語は、U3、RおよびU5領域を含むレトロウイルスDNAの末端に位置する塩基対のドメインを指す。LTRは、一般的にレトロウイルス遺伝子の発現(例えば、プロモーション、イニシエーションおよび遺伝子転写物のポリアデニル化)およびウイルス複製に必要な機能を提供する。一態様では、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、3' U3欠失LTRを含む。したがって、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、本明細書に記載されるエレメントの任意の組み合わせを含んで、導入遺伝子の機能的発現の効率を高める場合がある。例えば、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、CARをコードする核酸に加えてWPRE配列、cPPT配列、RRE配列、5'LTR、3' U3欠失LTR'を含む場合がある。
【0292】
本発明のベクターは、自己不活化ベクターであり得る。本明細書に用いられる「自己不活化ベクター」という用語は、3' LTRエンハンサープロモーター領域(U3領域)が改変されている(例えば、欠失または置換により)、ベクターを指す。自己不活化ベクターは、ウイルス複製の第1ラウンドを超えたウイルス転写を防止し得る。結果として、自己不活化ベクターは、感染して、次いで宿主ゲノム(例えば、哺乳動物ゲノム)中に1回だけ組み込まれることができ得るが、さらに継代され得ない。したがって、自己不活化ベクターは、複製適格ウイルスを生み出すリスクを大きく低減し得る。
【0293】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、RNA、例えば、インビトロ合成されたRNAであり得る。RNAのインビトロ合成のための方法は、当業者に公知であり;任意の公知の方法を使用して、本開示のCARをコードする配列を含むRNAを合成することができる。宿主細胞内にRNAを導入するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、Zhao et al. Cancer Res. (2010) 15: 9053を参照されたい。本開示のCARをコードするヌクレオチド配列を含むRNAを宿主細胞中に導入することは、インビトロまたはエクスビボまたはインビボで実施することができる。例えば、宿主細胞(例えば、NK細胞、細胞傷害性Tリンパ球など)に、本開示のCARをコードするヌクレオチド配列を含むRNAをインビトロまたはエクスビボでエレクトロポレーションすることができる。
【0294】
ポリペプチドまたはその部分の発現を評価するために、細胞内に導入されるべき発現ベクターはまた、ウイルスベクターによりトランスフェクションまたは感染させようとする細胞集団から発現している細胞の特定および選択を容易にするために、選択マーカー遺伝子またはレポーター遺伝子の一方または両方を含有する場合がある。いくつかの態様では、選択マーカーは、別々のDNA片上に保有され、共トランスフェクション手順に使用される場合がある。選択マーカーおよびレポーター遺伝子の両方は、宿主細胞における発現を可能にするために適切な調節配列に隣接する場合がある。有用な選択マーカーには抗生物質耐性遺伝子が含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0295】
トランスフェクションされた可能性のある細胞を特定するためおよび調節配列の機能性を評価するために、レポーター遺伝子が使用される。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物または組織中に存在することもそれによって発現されることもない遺伝子であって、いくつかの容易に検出可能な特性、例えば、酵素活性によってその発現が明らかにされるポリペプチドをコードする遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞内に導入された後の適切な時間に評価される。適切なレポーター遺伝子には、ルシフェラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、または緑色蛍光タンパク質遺伝子が含まれる場合があるが、それに限定されるわけではない(例えば、Ui-Tei et al., 2000 FEBS Letters 479: 79-82)。
【0296】
改変された免疫細胞を生成する方法
本発明は、改変された免疫細胞またはその前駆細胞(例えば、T細胞/NK細胞/NKT細胞)を産生/生成するための方法を提供する。細胞は、一般的に、対象CAR(例えば、MUC1 CAR)をコードする核酸を導入することによって操作される。
【0297】
核酸を細胞内に導入する方法は、物理的、生物学的および化学的方法を含む。RNAなどのポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入するための物理的方法は、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、微量注入、エレクトロポレーションなどを含む。RNAは、エレクトロポレーション(Amaxa Nucleofector-II (Amaxa Biosystems, Cologne, Germany))、(ECM 830 (BTX)(Harvard Instruments, Boston, MA)またはGene Pulser II(BioRad, Denver, CO)、Multiporator(Eppendorf, Hamburg Germany)を含む市販の方法を用いて標的細胞内に導入することができる。RNAは、リポフェクションを用いて、ポリマー封入を用いて、ペプチド媒介トランスフェクションを用いて、または「遺伝子銃」などのバイオリスティック粒子送達システムを用いて、細胞内に導入することもできる(例えば、Nishikawa, et al. Hum Gene Ther., 12(8):861-70 (2001)を参照されたい。
【0298】
関心対象のポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入するための生物学的方法は、DNAおよびRNAベクターの使用を含む。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、遺伝子を哺乳動物に、例えば、ヒト細胞に挿入するための最も広く使用される方法になった。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスなどに由来することができる。例えば、米国特許第5,350,674号および同第5,585,362号を参照されたい。
【0299】
いくつかの態様では、本発明の対象のCARをコードする核酸は、発現ベクターにより細胞内に導入される。対象のCAR(例えば、MUC1-CAR)をコードする核酸を含む発現ベクターが、本明細書において提供される。適切な発現ベクターには、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、泡沫状ウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アデノウイルスベクター、操作雑種ウイルス、トランスポゾン媒介ベクターを非限定的に含むネイキッドDNA、例えばSleeping Beauty、Piggyback、およびPhi31などのインテグラーゼが含まれる。いくつかの他の適切な発現ベクターには、単純ヘルペスウイルス(HSV)およびレトロウイルス発現ベクターが含まれる。
【0300】
アデノウイルス発現ベクターは、アデノウイルスに基づき、ゲノムDNA内への組み込みについて低い容量を有するが、宿主細胞へのトランスフェクションについて高い効率を有する。アデノウイルス発現ベクターは、(a)発現ベクターのパッケージングを支援するため、ならびに(b)宿主細胞において対象のCARを最終的に発現させるために十分なアデノウイルス配列を含有する。いくつかの態様では、アデノウイルスゲノムは、36kbの直鎖状二本鎖DNAであり、本発明の発現ベクターを作製するために、そこに外来DNA配列(例えば、対象のCARをコードする核酸)を挿入して、アデノウイルスDNAの大型片と置換する場合がある(例えば、Danthinne and Imperiale, Gene Therapy (2000) 7(20): 1707-1714を参照されたい)。
【0301】
別の発現ベクターは、アデノ随伴ウイルスに基づき、アデノウイルス共役系(coupled system)を利用する。このAAV発現ベクターは、宿主ゲノム内への高い組み込み頻度を有する。このベクターは、非分裂細胞に感染することができ、したがって、例えば組織培養またはインビボで哺乳動物細胞中に遺伝子を送達するのに役立つ。AAVベクターは、感染度について広い宿主範囲を有する。AAVベクターの生成および使用に関する詳細は、米国特許第5,139,941号および同第4,797,368号に記載されている。
【0302】
レトロウイルス発現ベクターは、宿主ゲノム内に組み込み、大量の外来遺伝物質を送達し、広域の種および細胞型に感染し、特別な細胞株にパッケージングすることが可能である。レトロウイルスベクターは、核酸(例えば、対象のCARをコードする核酸)をウイルスゲノム内のある特定の位置に挿入して、複製欠損のウイルスを産生することによって構築される。レトロウイルスベクターは、多種多様な細胞型に感染することができるが、対象のCARの組み込みおよび安定な発現は、宿主細胞の分裂を必要とする。
【0303】
レンチウイルスベクターは、レンチウイルスに由来し、一般的なレトロウイルス遺伝子gag、pol、およびenvに加え、調節機能または構造的機能を有する他の遺伝子を含有する複合レトロウイルスである(例えば、米国特許第6,013,516号および同第5,994,136号を参照されたい)。レンチウイルスのいくつかの例は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1、HIV-2)およびサル免疫不全ウイルス(SIV)を含む。レンチウイルスベクターは、HIV病原性遺伝子を何重にも減弱することによって生成されており、例えば、遺伝子env、vif、vpr、vpuおよびnefが欠失されて、ベクターが生物学的に安全になる。レンチウイルスベクターは、非分裂細胞に感染することが可能であり、例えば、対象のCARをコードする核酸の、インビボおよびエクスビボの両方の遺伝子移入および発現のために使用することができる(例えば、米国特許第5,994,136号を参照されたい)。
【0304】
本開示の核酸を含む発現ベクターは、当業者に公知の任意の手段によって宿主細胞内に導入することができる。発現ベクターは、所望であればトランスフェクションのためのウイルス配列を含む場合がある。あるいは、発現ベクターは、融合、エレクトロポレーション、バイオリスティックス、トランスフェクション、リポフェクションなどにより導入される場合がある。宿主細胞は、発現ベクターの導入前に培養において成長および増大され、続いてベクターの導入および組み込みに適した処理が行われる場合がある。次いで、宿主細胞が増大され、ベクター中に存在するマーカーによりスクリーニングされる場合がある。使用され得る様々なマーカーが当技術分野において公知であり、hprt、ネオマイシン耐性、チミジンキナーゼ、ヒグロマイシン耐性などを含み得る。本明細書に用いられる「細胞」、「細胞株」および「細胞培養」という用語は、互換的に使用される場合がある。いくつかの態様では、宿主細胞は、免疫細胞またはその前駆細胞、例えば、T細胞、NK細胞、またはNKT細胞である。
【0305】
本発明はまた、本開示の対象のCARを含み、それらを安定的に発現する遺伝子操作された細胞も提供する。いくつかの態様では、遺伝子操作された細胞は、治療的に関連する子孫を生じさせることが可能な遺伝子操作されたTリンパ球(T細胞)、制御性T細胞(Treg)、ナイーブT細胞(TN)、メモリーT細胞(例えば、中枢性メモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリー細胞(TEM))、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、およびマクロファージである。一態様では、遺伝子操作された細胞は自己細胞である。
【0306】
改変された細胞(例えば、対象のCARを発現および分泌する)は、本開示の核酸を含む発現ベクターを宿主細胞に安定的にトランスフェクションすることによって産生され得る。本開示の改変された細胞を生成するための追加的な方法には、化学的形質転換方法(例えば、リン酸カルシウム、デンドリマー、リポソームおよび/もしくは陽イオン性ポリマーを使用する)、非化学的形質転換方法(例えば、エレクトロポレーション、光形質転換、遺伝子電気移入および/もしくは流体力学的送達)ならびに/または粒子に基づく方法(例えば、遺伝子銃を使用するインペールフェクション(impalefection)および/もしくはマグネトフェクション)が含まれるが、それに限定されるわけではない。本開示の対象のCARを発現しているトランスフェクションされた細胞は、エクスビボで増大される場合がある。
【0307】
宿主細胞中に発現ベクターを導入するための物理的方法には、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどが含まれる。ベクターおよび/または外因性核酸を含む細胞を産生するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、Sambrook et al. (2001), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New Yorkを参照されたい。
【0308】
宿主細胞中にポリヌクレオチドを導入するための化学的手段は、巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質ベース系などのコロイド分散系を含む。インビトロおよびインビボ送達媒体として用いられる例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
【0309】
使用に適した脂質は、商業的供給源から得ることができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma, St. Louis, MOから得ることができ;リン酸ジセチル(「DCP」)はK & K Laboratories(Plainview, NY)から得ることができ;コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem-Behringから得ることができ;ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)および他の脂質は、Avanti Polar Lipids, Inc. (Birmingham, AL)から得られる場合がある。脂質のクロロホルムまたはクロロホルム/メタノール溶液の原液は、約-20℃で保管することができる。クロロホルムは、メタノールよりも容易に蒸発するので唯一の溶媒として使用される。「リポソーム」は、封入された脂質二重層または凝集物の生成により形成される多様な単一および多重膜脂質ビヒクルを包含する総称である。リポソームは、リン脂質二重層膜および内部水性媒質を有する小胞構造を有すると特徴付けることができる。多重膜リポソームは、水性媒質により分離された複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質を過剰の水溶液中に懸濁した場合に自然に形成する。閉じた構造の形成前に、脂質成分は自己再編成を受け、水および溶解した溶質を脂質二重層の間に閉じ込める(Ghosh et al., 1991 Glycobiology 5: 505-10)。しかしながら、溶液状態で通常の小胞構造と異なる構造を有する組成物も包含される。例えば、脂質は、ミセル構造を呈するか、または単に脂質分子の非均一凝集物として存在する場合がある。リポフェクタミン-核酸複合体も企図される。
【0310】
宿主細胞中に外因性核酸を導入するためまたはその他の方法で細胞を本発明の阻害剤に曝露するために使用される方法に関わらず、宿主細胞中の核酸の存在を確認するために多様なアッセイが行われる場合がある。そのようなアッセイには、例えば、サザンブロッティング、ノーザンブロッティング、RT-PCRおよびPCRなどの当業者に周知の「分子生物学的」アッセイ;特定のペプチドの存在または非存在を検出することなどの「生化学的」アッセイ、例えば、免疫学的手段(ELISAおよびウエスタンブロット)によるもの、または本発明の範囲内に入る作用物質を特定するための本明細書に記載されるアッセイによるものが含まれる。
【0311】
そのうえ、核酸は、拡大増殖されたT細胞に形質導入すること、拡大増殖されたT細胞に形質移入すること、および拡大増殖されたT細胞にエレクトロポレーションすることなどの任意の手段によって導入される場合がある。1つの核酸が1つの方法により導入される場合があり、別の核酸が別の方法によりT細胞内に導入される場合がある。
【0312】
RNA
一態様では、宿主細胞中に導入される核酸はRNAである。別の態様では、RNAは、インビトロ転写されたRNAまたは合成RNAを含むmRNAである。RNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により生成された鋳型を使用するインビトロ転写によって産生される。任意の供給源からの関心対象のDNAを、PCRにより、適切なプライマーおよびRNAポリメラーゼを使用して、インビトロmRNA合成のための鋳型に直接変換することができる。DNAの供給源は、例えば、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ファージDNA、cDNA、合成DNA配列または任意の他の適切なDNA供給源であり得る。
【0313】
PCRは、mRNAのインビトロ転写のための鋳型を生成するために使用される場合があり、そのmRNAが次いで細胞中に導入される。PCRを行うための方法は、当技術分野において周知である。PCRに使用するためのプライマーは、PCRのための鋳型として使用されるべきDNA領域と実質的に相補的な領域を有するように設計される。本明細書に用いられる「実質的に相補的」は、プライマー配列中の塩基の大部分もしくはすべてが相補的であるか、または1つもしくは複数の塩基が非相補的もしくはミスマッチした、ヌクレオチド配列を指す。実質的に相補的な配列は、PCRのために使用されるアニーリング条件下で目的となるDNA標的とアニールまたはハイブリダイズすることが可能である。プライマーは、DNA鋳型の任意の部分と実質的に相補的であるように設計することができる。例えば、プライマーは、5' UTRおよび3' UTRを含む、細胞において通常転写される遺伝子部分(オープンリーディングフレーム)を増幅するように設計することができる。プライマーはまた、関心対象の特定のドメインをコードする遺伝子の部分を増幅するように設計される場合がある。一態様では、プライマーは、5' UTRおよび3' UTRのすべてまたは部分を含む、ヒトcDNAのコード領域を増幅するように設計される。PCRに有用なプライマーは、当技術分野において周知の合成方法により生成される。「フォワードプライマー」は、増幅されるべきDNA配列の上流であるDNA鋳型上のヌクレオチドと実質的に相補的なヌクレオチド領域を含有するプライマーである。「上流」は、本明細書において、コード鎖に対して増幅されるべきDNA配列の5位を指すために使用される。「リバースプライマー」は、増幅されるべきDNA配列の下流である二本鎖DNA鋳型と実質的に相補的なヌクレオチド領域を含有するプライマーである。「下流」は、本明細書において、コード鎖に対して増幅されるべきDNA配列の3'位を指すために使用される。
【0314】
RNAの安定性および/または翻訳効率を促進する能力を有する化学構造も使用される場合がある。RNAは、好ましくは5' UTRおよび3' UTRを有する。一態様では、5' UTRは、0~3000ヌクレオチド長である。コード領域に付加されるべき5' UTR配列および3' UTR配列の長さは、UTRの異なる領域にアニールするPCR用プライマーを設計することを非限定的に含む、異なる方法により変更することができる。このアプローチを使用して、当業者は、転写されたRNAのトランスフェクション後に最適な翻訳効率を達成するために必要な5' UTRおよび3' UTRの長さを改変することができる。
【0315】
5' UTRおよび3' UTRは、関心対象の遺伝子についての天然の内因性5' UTRおよび3' UTRであることができる。あるいは、関心対象の遺伝子に内因性でないUTR配列を、フォワードプライマーおよびリバースプライマー中にUTR配列を組み込むことによって、または鋳型の任意の他の改変によって付加することができる。関心対象の遺伝子に内因性でないUTR配列の使用は、RNAの安定性および/または翻訳効率を改変するために有用であることができる。例えば、3' UTR配列中のAUに富むエレメントはmRNAの安定性を減少させ得ることが公知である。したがって、転写されたRNAの安定性を当技術分野において周知であるUTRの特性に基づいて増加させるように、3’ UTRを選択または設計することができる。
【0316】
一態様では、5' UTRは、内因性遺伝子のKozak配列を含有することができる。あるいは、関心対象の遺伝子に内因性でない5' UTRが上記のようなPCRにより付加される場合、5' UTR配列を付加することによりコンセンサスKozak配列を再設計することができる。Kozak配列は、いくつかのRNA転写物の翻訳効率を増加させることができるが、すべてのRNAが効率的な翻訳を可能にするために必要であるとは思えない。多くのmRNAにとってのKozak配列の必要性は、当技術分野において公知である。他の態様では、5' UTRは、RNAゲノムが細胞中で安定なRNAウイルスに由来することができる。他の態様では、mRNAのエキソヌクレアーゼ分解を妨害するために、様々なヌクレオチド類似体を3' UTRまたは5' UTR中に使用することができる。
【0317】
遺伝子クローニングの必要なしにDNA鋳型からのRNA合成を可能にするために、転写プロモーターは、転写されるべき配列の上流のDNA鋳型に結び付けられるべきである。RNAポリメラーゼについてのプロモーターとして機能する配列がフォワードプライマーの5'末端に付加される場合、RNAポリメラーゼプロモーターは、PCR産物中の転写されるべきオープンリーディングフレームの上流に組み込まれるようになる。一態様では、プロモーターは、本明細書における他の箇所に記載されるようなT7ポリメラーゼプロモーターである。他の有用なプロモーターには、T3およびSP6 RNAポリメラーゼプロモーターが含まれるが、それに限定されるわけではない。T7、T3およびSP6プロモーターについてのコンセンサスヌクレオチド配列は、当技術分野において公知である。
【0318】
一態様では、mRNAは、5'末端上のキャップおよび3'ポリ(A)尾部の両方を有しており、これらが、リボソームの結合、翻訳開始および細胞中でのmRNAの安定性を決定する。環状DNA鋳型、例えばプラスミドDNA上で、RNAポリメラーゼは、真核細胞における発現に適さない長いコンカテマー産物を産生する。3' UTRの末端で直鎖状にされたプラスミドDNAの転写は、通常サイズのmRNAを生じ、このmRNAは、転写後にポリアデニル化された場合であっても真核生物のトランスフェクションに有効でない。
【0319】
直鎖DNA鋳型上で、ファージT7 RNAポリメラーゼは、鋳型の最終塩基を超えて転写物の3'末端を延長することができる(Schenborn and Mierendorf, Nuc Acids Res., 13:6223-36 (1985); Nacheva and Berzal-Herranz, Eur. J. Biochem., 270:1485-65 (2003)。
【0320】
DNAテンプレート内へのポリA/Tストレッチの組み入れの従来方法は、分子クローニングである。しかし、プラスミドDNAに組み入れられたポリA/T配列は、プラスミド不安定性を引き起こす可能性があり、それは、細菌細胞から得られたプラスミドDNAテンプレートに欠失および他の異常がしばしば高く混入する理由である。これは、クローニング手順を手間および時間がかかるものにするだけでなく、しばしばその信頼度を低下させる。そういうことから、クローニングなしでポリA/Tの3'ストレッチを有するDNAテンプレートの構築を可能にする方法が極めて理想的である。
【0321】
転写DNA鋳型のポリA/Tセグメントは、100T尾部などのポリT尾部(サイズは50~5000Tであることができる)を含有するリバースプライマーを使用することによりPCRの間に、または非限定的にDNAの連結もしくはインビトロ組み換えを含む任意の他の方法によりPCRの後に、産生することができる。ポリ(A)尾部はまた、RNAに安定性を提供し、それらの分解を低減する。一般的に、ポリ(A)尾部の長さは、転写されたRNAの安定性と正に相関する。一態様では、ポリ(A)尾部は、100~5000アデノシンである。
【0322】
RNAのポリ(A)尾部は、インビトロ転写後に大腸菌(E. coli)ポリAポリメラーゼ(E-PAP)などのポリ(A)ポリメラーゼの使用によりさらに伸長することができる。一態様では、ポリ(A)尾部の長さを100ヌクレオチドから300~400ヌクレオチドへと増加させることは、RNAの翻訳効率に約2倍の増加をもたらす。追加的に、3'末端への異なる化学基の付加は、mRNAの安定性を増加させることができる。そのような付加は、修飾/人工ヌクレオチド、アプタマーおよび他の化合物を含有することができる。例えば、ATP類似体を、ポリ(A)ポリメラーゼを使用してポリ(A)尾部に組み込むことができる。ATP類似体は、RNAの安定性をさらに増加させることができる。
【0323】
5'キャップもまた、RNA分子に安定性を提供する。特定の例示的態様では、本明細書に開示される方法により産生されるRNAは、5'キャップを含む。5'キャップは、当技術分野において公知の技法および本明細書に記載される技法を使用して提供される(Cougot, et al., Trends in Biochem. Sci., 29:436-444 (2001);Stepinski, et al., RNA, 7:1468-95 (2001);Elango, et al., Biochim. Biophys. Res. Commun., 330:958-966 (2005))。
【0324】
本明細書に開示される方法によって産生されるRNAは、配列内リボソーム進入部位(IRES)配列も含有することができる。IRES配列は、mRNAへのcap非依存性リボソーム結合を開始し、翻訳の開始を促進する、任意のウイルス、染色体または人工設計配列であり得る。細胞の透過性および生存度を促進する、糖、ペプチド、脂質、タンパク質、抗酸化剤、および界面活性剤などの因子を含有することができる、細胞エレクトロポレーションに適する任意の溶質が含まれることができる。
【0325】
いくつかの態様では、RNAは、インビトロ転写RNAなどのRNAが、細胞内にエレクトロポレーションされる。
【0326】
開示される方法は、遺伝子改変されたT細胞が標的がん細胞を死滅させる能力の評価を含む、がん、幹細胞、急性および慢性感染、ならびに自己免疫疾患の分野の基礎研究および治療法におけるT細胞活性のモジュレーションに適用することができる。
【0327】
これらの方法はまた、例えば、プロモーターまたは投入RNAの量を変化させることにより、発現レベルを広い範囲で制御する能力を提供し、発現レベルを個別に調節することを可能にする。さらに、PCRに基づくmRNA産生の技法は、異なる構造およびそれらのドメインの組み合わせを有するmRNAの設計を極めて容易にする。
【0328】
本発明のRNAトランスフェクション法の1つの利点は、RNAトランスフェクションが本質的に一過性であり、ベクターを用いないことである。RNA導入遺伝子は、リンパ球に送達することができ、いかなる追加的なウイルス配列の必要もなしに、最小の発現カセットとして、短時間のインビトロ細胞活性化後にその中で発現させることができる。これらの条件下では、宿主細胞ゲノム中への導入遺伝子の組み込みは、起こる可能性が低そうである。RNAのトランスフェクション効率およびリンパ球集団全体を均一に改変するRNAの能力により、細胞のクローニングは不必要である。
【0329】
インビトロ転写されたRNA(IVT-RNA)による宿主細胞の遺伝的改変は、共に様々な動物モデルにおいて試験に成功した2つの異なる戦略を利用する。インビトロ転写されたRNAは、リポフェクションまたはエレクトロポレーションにより細胞にトランスフェクションされる。移入されたIVT-RNAの長期発現を達成するために、様々な改変を使用してIVT-RNAを安定化することが望ましい。
【0330】
インビトロ転写のための鋳型として標準的に利用されるIVTベクターであって、安定化されたRNA転写物が産生されるように遺伝的に改変されているいくつかのIVTベクターが文献から公知である。現在、当技術分野において使用されるプロトコルは、以下の構造を有するプラスミドベクターに基づく:RNA転写を可能にする5'RNAポリメラーゼプロモーターに続いて、3'および/または5'のいずれかに非翻訳領域(UTR)が隣接する関心対象の遺伝子、ならびに50~70個のAヌクレオチドを含有する3'ポリアデニルカセット。インビトロ転写の前に、II型制限酵素により環状プラスミドがポリアデニルカセットの下流で直鎖状にされる(認識配列は切断部位に対応する)。したがって、ポリアデニルカセットは、転写物中のその後のポリ(A)配列に対応する。この手順の結果として、いくつかのヌクレオチドは、直鎖状にされた後に酵素切断部位の部分として残り、ポリ(A)配列を3'末端で伸長またはマスクする。この非生理的オーバーハングがそのような構築物から細胞内で産生されるタンパク質の量に影響するかどうかは明らかでない。
【0331】
RNAは、より従来的なプラスミドまたはウイルスのアプローチと比べていくつかの利点を有する。RNA起源からの遺伝子発現は、転写を必要とせず、タンパク質産物は、トランスフェクション後に速やかに産生される。さらに、RNAは、核よりも細胞質にアクセスしなければならないだけであるので、典型的なトランスフェクション方法で極めて高いトランスフェクション率が生じる。加えて、プラスミドベースのアプローチは、関心対象の遺伝子の発現を駆動するプロモーターが試験中の細胞で活性であることを必要とする。
【0332】
別の局面では、RNA構築物は、エレクトロポレーションによって細胞内に送達される。例えば、US 2004/0014645、US 2005/0052630A1、US 2005/0070841A1、US 2004/0059285A1、US 2004/0092907A1に教示されるような、哺乳動物細胞内への核酸構築物のエレクトロポレーションの公式化および方法論を参照されたい。任意の公知の細胞型のエレクトロポレーションに必要な電場の強さを含む様々なパラメーターは、関連する研究文献ならびに本分野の数多くの特許および出願から一般的に公知である。例えば、米国特許第6,678,556号、同第7,171,264号、および同第7,173,116号を参照されたい。エレクトロポレーションの治療的応用のための装置は、市販されており、例えば、MedPulser(商標)DNAエレクトロポレーション治療システム(Inovio/Genetronics, San Diego, CA)であり、米国特許第6,567,694号;同第6,516,223号、同第5,993,434号、同第6,181,964号、同第6,241,701号、および同第6,233,482号などの特許に記載されており;エレクトロポレーションはまた、例えばUS20070128708A1に記載されるように、細胞のインビトロでのトランスフェクションのために使用される場合がある。エレクトロポレーションはまた、核酸を細胞内にインビトロで送達するために利用される場合がある。したがって、当業者に公知の多数の利用可能なデバイスおよびエレクトロポレーションシステムのいずれかを利用した、発現構築物を含む核酸の細胞内へのエレクトロポレーション媒介投与は、関心対象のRNAを標的細胞に送達するための刺激的な新しい手段を提示する。
【0333】
したがって、本発明は、本明細書に記載される、または当業者に公知の送達方法のいずれかを用いて、本明細書に記載される対象CARをコードする単離された核酸(例えば、発現構築物)を細胞内に導入する段階を含む、改変された免疫細胞またはその前駆細胞を生成するための方法を提供する。
【0334】
免疫細胞の供給源
増大の前に、エクスビボ操作のために免疫細胞の供給源が対象から得られる。エクスビボ操作のための標的細胞の供給源はまた、例えば、自己または異種のドナー血、臍帯血、または骨髄も含む場合がある。例えば、免疫細胞の供給源は、本発明の改変された免疫細胞により処置されるべき対象に由来する場合があり、例えば、対象の血液、対象の臍帯血、または対象の骨髄であり得る。対象の非限定的な例には、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、およびそれらのトランスジェニック種が含まれる。特定の例示的態様では、対象はヒトである。
【0335】
免疫細胞は、血液、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、脾臓組織、臍帯、リンパ液、またはリンパ器官を含むいくつかの供給源から得ることができる。免疫細胞は、免疫系の細胞、例えば自然免疫または適応免疫の細胞、例えば、リンパ球、典型的にはT細胞および/またはNK細胞および/またはNKT細胞を含む骨髄系細胞またはリンパ球系細胞である。他の例示的な細胞には、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む、複能性および多能性幹細胞などの幹細胞が含まれる。特定の局面では、細胞はヒト細胞である。処置されるべき対象に関して、細胞は、同種および/または自己由来であり得る。細胞は、典型的には、初代細胞、例えば、対象から直接単離され、かつ/または対象から単離され凍結された初代細胞である。
【0336】
ある特定の態様では、免疫細胞は、T細胞、例えば、CD8+ T細胞(例えば、CD8+ ナイーブT細胞、中枢性メモリーT細胞、またはエフェクターメモリーT細胞)、CD4+ T細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、制御性T細胞(Treg)、幹細胞メモリーT細胞、リンパ球系前駆細胞、造血幹細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、または樹状細胞である。いくつかの態様では、細胞は、単球または顆粒球、例えば、骨髄系細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、および/または好塩基球である。ある態様では、標的細胞は、人工多能性幹(iPS)細胞またはiPS細胞に由来する細胞、例えば、対象から生成され、1つまたは複数の標的遺伝子の発現を変化させる(例えばそれに変異を誘導する)または操作するように操作され、例えば、T細胞、例えば、CD8+ T細胞(例えば、CD8+ ナイーブT細胞、中枢性メモリーT細胞、またはエフェクターメモリーT細胞)、CD4+ T細胞、幹細胞メモリーT細胞、リンパ球系前駆細胞または造血幹細胞に分化したiPS細胞である。
【0337】
いくつかの態様では、細胞は、T細胞または他の細胞型の1つまたは複数のサブセット、例えばT細胞集団全体、CD4+細胞、CD8+細胞、およびその部分集団、例えば機能、活性化状態、成熟、分化能、増大、再循環、局在、および/もしくは持続能、抗原特異性、抗原受容体の種類、特定の器官もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、および/または分化の度合いにより定義されるものを含む。T細胞ならびに/またはCD4+および/もしくはCD8+ T細胞のサブタイプおよび部分集団は中でも、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそれらのサブタイプ、例えば幹細胞メモリーT(TSCM)、中枢性メモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または最終分化エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、自然および適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、およびデルタ/ガンマT細胞である。ある特定の態様では、当技術分野において入手可能ないくつものT細胞系が、使用される場合がある。
【0338】
いくつかの態様では、方法は、対象から免疫細胞を単離する段階、それらを調製、処理、培養、および/または操作する段階を含む。いくつかの態様では、操作された細胞の調製は、1つまたは複数の培養および/または調製段階を含む。記載のように操作するための細胞は、生物学的試料などの試料、例えば対象から得られたまたは対象に由来する試料から単離される場合がある。いくつかの態様では、細胞が単離される対象は、疾患もしくは状態を有する対象、または細胞療法を必要とする、もしくは細胞療法が投与されるであろう対象である。対象は、いくつかの態様では、そのために細胞が単離、処理、および/または操作される、養子細胞療法などの特定の治療的介入の必要のあるヒトである。したがって、細胞は、いくつかの態様では、初代細胞、例えば、初代ヒト細胞である。試料には、対象から直接採取された組織、液体、および他の試料、ならびに分離、遠心分離、遺伝子操作(例えばウイルスベクターによる形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーションなどの1つまたは複数の処理段階の結果として生じる試料が含まれる。生物学的試料は、生物学的供給源から直接得られる試料または処理された試料であることができる。生物学的試料には、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗などの体液、組織、ならびに器官試料が、それらに由来する処理された試料を含めて含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0339】
特定の局面では、細胞が由来または単離される試料は、血液もしくは血液由来試料であるか、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物である、もしくはそれに由来する。例示的な試料には、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ系組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸、精巣、卵巣、扁桃、もしくは他の器官、および/またはそれらに由来する細胞が含まれる。試料は、細胞療法、例えば、養子細胞療法に関連して、自己および同種供給源からの試料を含む。
【0340】
いくつかの態様では、細胞は、細胞株、例えば、T細胞株に由来する。細胞は、いくつかの態様では、異種供給源から、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、およびブタから得られる。いくつかの態様では、細胞の単離は、1つまたは複数の調製段階および/または親和性に基づかない細胞分離段階を含む。いくつかの例では、細胞が、洗浄、遠心分離、および/または1つもしくは複数の試薬の存在下でインキュベートされて、例えば、望まれない成分が除去され、所望の成分が濃縮され、特定の試薬に感受性の細胞が溶解または除去される。いくつかの例では、細胞は、密度、接着特性、サイズ、特定の成分に対する感受性および/または耐性などの1つまたは複数の特性に基づき分離される。
【0341】
いくつかの例では、対象の循環血からの細胞は、例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスにより得られる。試料は、特定の局面では、T細胞、単球、顆粒球、B細胞を含むリンパ球、他の有核白血球、赤血球、および/または血小板を含有し、特定の局面では、赤血球および血小板以外の細胞を含有する。いくつかの態様では、対象から収集された血液細胞は、洗浄されて、例えば、血漿画分を除去し、その後の処理段階に適した緩衝液または媒質中に細胞を入れる。いくつかの態様では、細胞は、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。特定の局面では、洗浄段階は、タンジェント流濾過(TFF)により、製造業者の説明に従って成し遂げられる。特定の態様では、細胞は洗浄後に多様な生体適合性緩衝液中に再懸濁される。ある特定の態様では、血液細胞試料の成分が除去され、細胞が培地中に直接再懸濁される。いくつかの態様では、方法は、赤血球を溶解し、PercollまたはFicoll勾配による遠心分離を行うことによる末梢血からの白血球の調製などの、密度に基づく細胞分離方法を含む。
【0342】
一態様では、免疫細胞は、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られた個体の循環血から得られる。アフェレーシス産物は、典型的には、T細胞を含むリンパ球、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および血小板を含有する。血漿画分を除去するため、および適切な緩衝液もしくは媒質、例えばリン酸緩衝食塩水(PBS)中に細胞を入れるために、アフェレーシスによって収集された細胞が洗浄される場合があり、または洗浄溶液は、その後の処理段階のためにカルシウムを欠如し、かつマグネシウムを欠如する場合があり、もしくはすべてとはいわないまでも多くの二価陽イオンを欠如する場合がある。当業者が容易に理解するように、洗浄工程は、例えば、半自動「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞処理装置、Baxter CytoMate、またはHarmonetics Cell Saver 5)を製造業者の指示に従って用いるなどの当業者に公知の方法により達成され得る。洗浄後、細胞は、多様な生体適合性緩衝液、例えば、Ca2+不含、Mg2+不含PBS、PlasmaLyte A、または緩衝剤を含むか含まない生理食塩水溶液などの中に再懸濁される場合がある。いくつかの態様では、アフェレーシス試料の望ましくない成分が、除去され、細胞が培地中に直接再懸濁される場合がある。
【0343】
いくつかの態様では、単離方法は、1種または複数種の特異的分子、例えば表面マーカー、例えば、表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸の細胞中の発現または存在に基づく、異なる細胞型の分離を含む。いくつかの態様では、そのようなマーカーに基づく分離のために、任意の公知の方法が使用される場合がある。いくつかの態様では、分離は、親和性または免疫親和性に基づく分離である。例えば、分離は、特定の局面では、例えば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーと一緒のインキュベーション、一般的にそれに続く洗浄段階、および抗体または結合パートナーに結合していない細胞からの抗体または結合パートナーと結合した細胞の分離による、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの細胞発現または発現レベルに基づく細胞および細胞集団の分離を含む。そのような分離段階は、試薬と結合した細胞がさらなる使用のために保持される正の選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合していない細胞が保持される負の選択に基づくことができる。いくつかの例では、両方の画分がさらなる使用のために保持される。特定の局面では、所望の集団以外の細胞により発現されるマーカーに基づいて分離が最も良好に行われるように、不均一な集団中の細胞型を特異的に特定する抗体が利用不能な場合に、負の選択は特に有用であることができる。分離は、特定の細胞集団または特定のマーカーを発現している細胞の100%の濃縮または除去を生じる必要はない。例えば、特定の種類の細胞、例えばマーカーを発現している細胞の正の選択または濃縮は、そのような細胞の数またはパーセンテージを増加させることを指すが、マーカーを発現していない細胞の完全な非存在をもたらす必要はない。同様に、マーカーを発現している細胞などの特定の種類の細胞の負の選択、除去、または枯渇は、そのような細胞の数またはパーセンテージを減少させることを指すが、そのような細胞のすべての完全な除去をもたらす必要はない。
【0344】
特定の例示的態様では、複数ラウンドの分離段階が実施され、ここで、1つの段階から正または負の選択をされた画分が、後続の正または負の選択などの別の分離段階に供される。特定の例示的態様では、それぞれが負の選択のための標的とされるマーカーに特異的な複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることなどによって、複数のマーカーを同時発現している細胞を単一の分離段階で枯渇させることができる。同様に、複数の抗体または様々な細胞型に発現される結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞型に同時に正の選択を行うことができる。
【0345】
いくつかの態様では、T細胞集団の1つまたは複数は、1つまたは複数の特定のマーカー、例えば表面マーカーについて陽性(マーカー+)である、もしくはそれを高レベル発現する(マーカーhigh)細胞、または1つもしくは複数のマーカーについて陰性である(マーカー-)もしくはそれを比較的低レベルを発現する(マーカーlow)細胞が濃縮または枯渇されている。例えば、特定の局面では、T細胞の特定の部分集団、例えば、1つまたは複数の表面マーカー、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+ T細胞について陽性またはそれを高レベル発現している細胞は、正または負の選択技法により単離される。場合によっては、そのようなマーカーは、T細胞のある特定の集団(非メモリー細胞など)に存在しない、または比較的低レベルで発現されるが、T細胞のある特定の他の集団(メモリー細胞など)に存在する、または比較的高レベル発現されるマーカーである。一態様では、細胞(CD8+細胞、またはT細胞、例えばCD3+細胞など)は、CD45RO、CCR7、CD28、CD27、CD44、CD127、および/もしくはCD62Lについて陽性である、もしくはその高い表面レベルを発現する細胞が濃縮されている(すなわち、正の選択をされている)、かつ/またはCD45RAについて陽性である、もしくはその高い表面レベルを発現する細胞が枯渇されている(例えば、それについて負の選択をされている)。いくつかの態様では、細胞は、CD122、CD95、CD25、CD27、および/またはIL7-Ra(CD127)について陽性であるまたはその高い表面レベルを発現している細胞が濃縮されているまたはそれを枯渇している。特定の例示的態様では、CD8+ T細胞は、CD45ROについて陽性(またはCD45RAについて陰性)およびCD62Lについて陽性の細胞が濃縮されている。例えば、CD3+、CD28+ T細胞は、CD3/CD28コンジュゲート磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を使用して正の選択を行うことができる。
【0346】
いくつかの態様では、T細胞は、B細胞、単球、または他の白血球などの非T細胞に発現されるマーカー、例えばCD14の負の選択によってPBMC試料から分離される。特定の局面では、CD4+またはCD8+選択段階は、CD4+ヘルパーT細胞およびCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために使用される。そのようなCD4+集団およびCD8+集団は、1つまたは複数のナイーブ、メモリー、および/またはエフェクターT細胞部分集団上に発現されるまたは比較的高い度合いで発現されるマーカーについて正の選択または負の選択により部分集団にさらに選別することができる。いくつかの態様では、CD8+細胞は、例えば、それぞれの部分集団に関連する表面抗原に基づく正の選択または負の選択により、ナイーブ、中枢性メモリー、エフェクターメモリー、および/または中枢性メモリー幹細胞についてさらに濃縮または枯渇される。いくつかの態様では、中枢性メモリーT(TCM)細胞についての濃縮は、有効性を増加させるために、例えば、投与後に長期生存、増大、および/または生着を改善するために実施され、それは、特定の局面ではそのような部分集団において特に堅固である。いくつかの態様では、TCMが濃縮されたCD8+ T細胞およびCD4+ T細胞を組み合わせることで、有効性がさらに高まる。
【0347】
いくつかの態様では、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+およびCD62L-サブセットの両方に存在する。PBMCは、抗CD8抗体および抗CD62L抗体などを使用して、CD62L-CD8+および/またはCD62L+CD8+画分について濃縮されているまたはそれを枯渇していることができる。いくつかの態様では、CD4+ T細胞集団および/またはCD8+ T細胞集団は、中枢性メモリー(TCM)細胞について濃縮された部分集団である。いくつかの態様では、中枢性メモリーT(TCM)細胞についての濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127について陽性またはその高い表面発現に基づく;特定の局面では、それは、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現しているまたは高度に発現している細胞についての負の選択に基づく。特定の局面では、TCM細胞が濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現している細胞の枯渇、およびCD62Lを発現している細胞についての正の選択または濃縮により実施される。一局面では、中枢性メモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD4の発現に基づき選択される細胞の負の画分から開始して実施され、それが、CD14およびCD45RAの発現に基づく負の選択、ならびにCD62Lに基づく正の選択に供される。そのような選択は、特定の局面では、同時に実施され、他の局面では、どちらかの順序で順次に実施される。いくつかの特定の局面では、CD8+細胞集団または部分集団を調製するのに使用されるCD4発現に基づく同じ選択段階はまた、CD4+細胞集団または部分集団を生成するために使用され、それにより、CD4に基づく分離からの正の画分および負の画分の両方が、任意で1つまたは複数のさらなる正または負の選択段階に続いて、方法のその後の段階において保持および使用される。
【0348】
CD4+ Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を特定することにより、ナイーブ、中枢性メモリー、およびエフェクター細胞に選別される。CD4+ リンパ球は、標準的な方法により得ることができる。いくつかの態様では、ナイーブCD4+ Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+ T細胞である。いくつかの態様では、中枢性メモリーCD4+細胞は、CD62L+およびCD45RO+である。いくつかの態様では、エフェクターCD4+細胞は、CD62L-およびCD45ROである。一例では、負の選択によりCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。いくつかの態様では、抗体または結合パートナーは、正および/または負の選択のための細胞の分離を可能にするために磁気ビーズまたは常磁性ビーズなどの固体支持体またはマトリックスに結合される。
【0349】
いくつかの態様では、細胞は、遺伝子操作の前またはそれに関連してインキュベートおよび/または培養される。インキュベーション段階は、培養(culture)、培養(cultivation)、刺激、活性化、および/または繁殖を含むことができる。いくつかの態様では、組成物または細胞は、刺激条件または刺激物質の存在下でインキュベートされる。そのような条件には、集団中の細胞の増殖、増大、活性化、および/もしくは生存を誘導するために、抗原曝露を模倣するために、ならびに/または遺伝子操作、例えば組み換え抗原受容体の導入のために細胞をプライミングするために設計された条件が含まれる。条件は、特定の媒質、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組み換え可溶性受容体、および細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの態様では、刺激条件または刺激物質は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することが可能な1つまたは複数の作用物質、例えば、リガンドを含む。特定の局面では、作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを始動する、または開始する。そのような作用物質は、例えば、ビーズなどの固体支持体に結合した抗体、例えば、TCR成分および/もしくは共刺激受容体に特異的な抗体、例えば、抗CD3、抗CD28、ならびに/または1つもしくは複数のサイトカインを含むことができる。任意で、増大方法は、培地に抗CD3および/または抗CD28抗体を(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)添加する段階をさらに含む場合がある。いくつかの態様では、刺激物質は、IL-2および/またはIL-15、例えば、少なくとも約10ユニット/mLのIL-2濃度を含む。
【0350】
別の態様では、T細胞は、赤血球を溶解することおよび単球を枯渇させることによって、例えば、PERCOLL(商標)勾配による遠心分離により、末梢血から単離される。あるいは、T細胞は、臍帯から単離することができる。任意の事象では、T細胞の特定の部分集団を正または負の選択技法によりさらに単離することができる。
【0351】
そのように単離された臍帯血単核細胞は、非限定的にCD34、CD8、CD14、CD19、およびCD56を含む、ある特定の抗原を発現している細胞を枯渇していることができる。これらの細胞の枯渇は、単離された抗体、抗体を含む生物学的試料、例えば腹水、物理的支持体に結合した抗体、細胞と結合した抗体を使用して成し遂げることができる。
【0352】
負の選択によるT細胞集団の濃縮は、負の選択をされた細胞に独特な表面マーカーに対する抗体の組み合わせを使用して成し遂げることができる。例示的方法は、負の選択をされた細胞上に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体のカクテルを使用する負磁気免疫接着(negative magnetic immunoadherence)またはフローサイトメトリーを介する細胞選別および/または選択である。例えば、負の選択によりCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。
【0353】
正または負の選択により細胞の所望の集団を単離するために、細胞濃度および表面(例えば、ビーズなどの粒子)を変化させることができる。ある特定の態様では、ビーズおよび細胞が一緒に混合される体積を顕著に減少させて(すなわち、細胞の濃度を増加させて)、細胞とビーズとの最大の接触を保証することが望ましい場合がある。例えば、一態様では、20億個/mlの細胞濃度が使用される。一態様では、10億個/mlの細胞濃度が使用される。さらなる態様では、細胞1億個/ml超が使用される。さらなる態様では、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万、または5000万個/mlの細胞濃度が使用される。なお別の態様では、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万、または1億個/mlの細胞濃度が使用される。さらなる態様では、1億2500万または1億5000万個/mlの細胞濃度を使用することができる。高濃度を使用することは、増加した細胞収量、細胞活性化、および細胞増大をもたらすことができる。
【0354】
T細胞はまた、単球の除去段階を必要としない洗浄段階の後に凍結することができる。理論に縛られることを望むわけではないが、凍結およびその後の解凍段階は、細胞集団中の顆粒球およびある程度の単球を除去することによって、より均一な産物を提供する。血漿および血小板を除去する洗浄段階の後で、細胞が凍結溶液中に懸濁される場合がある。多数の凍結溶液およびパラメーターが当技術分野において公知であり、この状況で有用であろうものの、非限定的な例では、1つの方法は、20% DMSOおよび8%ヒト血清アルブミンを含有するPBS、または他の適切な細胞凍結媒を使用することを伴う。次いで細胞は、1℃/分の速度で-80℃に凍結され、液体窒素保存タンクの気相中で保管される。制御凍結の他の方法および-20℃または液体窒素中での即時の非制御凍結が使用される場合もある。
【0355】
一態様では、T細胞集団は、末梢血単核細胞、臍帯血細胞、T細胞の精製集団、およびT細胞株などの細胞中に含まれる。別の態様では、末梢血単核細胞は、T細胞集団を含む。なお別の態様では、精製T細胞は、T細胞集団を含む。
【0356】
免疫細胞の増大
対象のCARを発現させるための細胞の改変の前であろうと後であろうと、例えば、米国特許第6,352,694号;同第6,534,055号;同第6,905,680号;同第6,692,964号;同第5,858,358号;同第6,887,466号;同第6,905,681号;同第7,144,575号;同第7,067,318号;同第7,172,869号;同第7,232,566号;同第7,175,843号;同第5,883,223号;同第6,905,874号;同第6,797,514号;同第6,867,041号;および米国特許出願公開第20060121005号に記載されるような方法を使用して、細胞を活性化し、その数を増大させることができる。例えば、本発明の免疫細胞は、CD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する作用物質および免疫細胞表面の共刺激分子を刺激するリガンドが結び付いた表面との接触により増大される場合がある。特に、免疫細胞集団は、表面に固定化された抗CD3抗体、もしくはその抗原結合フラグメント、または抗CD2抗体との接触により、あるいはカルシウムイオノフォアと一緒のプロテインキナーゼC活性化因子(例えば、ブリオスタチン)との接触により刺激される場合がある。免疫細胞表面のアクセサリー分子の共刺激のために、アクセサリー分子と結合するリガンドが使用される。例えば、免疫細胞は、免疫細胞の増殖を刺激するために適した条件下で抗CD3抗体および抗CD28抗体と接触することができる。抗CD28抗体の例には、9.3、B-T3、XR-CD28(Diaclone, Besancon, France)が含まれ、これらを本発明に使用することができるが、当技術分野において公知の他の方法および試薬も同様に使用することができる(例えば、ten Berge et al., Transplant Proc. (1998) 30(8): 3975-3977;Haanen et al., J. Exp. Med. (1999) 190(9): 1319-1328;およびGarland et al., J. Immunol. Methods (1999) 227(1-2): 53-63を参照されたい)。
【0357】
本明細書に開示される方法により免疫細胞を増大することは、約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、2000倍、3000倍、4000倍、5000倍、6000倍、7000倍、8000倍、9000倍、10,000倍、100,000倍、1,000,000倍、10,000,000倍、またはそれ超、およびそれらの間の任意およびすべての整数(whole integer)および分数(partial integer)倍にすることができる。一態様では、免疫細胞は約20倍~約50倍の範囲で増大する。
【0358】
培養に続き、免疫細胞は、培養装置に入れた細胞培地中で、一定期間、または細胞が集密に達する、もしくは別の培養装置に細胞を継代する前の最適な継代のための高い細胞密度に達するまで、インキュベートすることができる。培養装置は、細胞をインビトロ培養するために一般に使用される任意の培養装置であることができる。特定の例示的態様では、集密のレベルは、別の培養装置に細胞を継代する前に70%またはそれよりも大きい。特定の例示的態様では、集密のレベルは、90%またはそれよりも大きい。期間は、インビトロ細胞培養に適した任意の時間であることができる。免疫細胞培地は、任意の時間での免疫細胞の培養の間に交換される場合がある。特定の例示的態様では、免疫細胞培地は、約2~3日ごとに交換される。次いで免疫細胞は、培養装置から回収され、そこから免疫細胞を直ちに使用することができ、または凍結保存して、後で使用するために保管することができる。一態様では、本発明は、増大した免疫細胞を凍結保存することを含む。凍結保存された免疫細胞は、免疫細胞中に核酸を導入する前に解凍される。
【0359】
別の態様では、方法は、免疫細胞を単離する段階および免疫細胞を増大させる段階を含む。別の態様では、本発明は、増大の前に免疫細胞を凍結保存する段階をさらに含む。なお別の態様では、凍結保存された免疫細胞は、キメラ膜タンパク質をコードするRNAをエレクトロポレーションするために解凍される。
【0360】
細胞をエクスビボ増大させるための別の手順は、米国特許第5,199,942号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。米国特許第5,199,942号に記載されるような増大は、本明細書に記載される増大の他の方法の代替または追加であることができる。簡潔には、免疫細胞のエクスビボ培養および増大は、米国特許第5,199,942号に記載されるものなどの細胞増殖因子または他の因子、例えばflt3-L、IL-1、IL-3およびc-kitリガンドへの追加を含む。一態様では、免疫細胞を増大することは、flt3-L、IL-1、IL-3およびc-kitリガンドからなる群より選択される因子と共に免疫細胞を培養することを含む。
【0361】
本明細書に記載されるような培養する段階(本明細書に記載されるような作用物質との接触またはエレクトロポレーション後)は、非常に短く、例えば、24時間未満、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、または23時間であることができる。本明細書にさらに記載されるような培養する段階(本明細書に記載されるような作用物質との接触)は、より長く、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日、またはそれ超の日数であることができる。
【0362】
培養細胞を説明するために様々な用語が使用される。細胞培養物は、一般的に、生きた生物から取得され、制御された条件下で成長させた細胞を指す。初代細胞培養物は、生物から直接取得された細胞、組織または器官の培養物であって、最初の植え継ぎ前の培養物である。細胞の成長および/または分裂を容易にしてより大きい細胞集団をもたらす条件下で細胞が成長培地中に入れられた場合に、細胞は培養において増大される。細胞が培養において増大される場合、細胞の増殖速度は、典型的には細胞が数を倍加するために必要な時間、別の言い方で倍加時間として知られる時間により測定される。
【0363】
植え継ぎの各ラウンドは、継代と称される。細胞が植え継がれたとき、それらの細胞は継代されたと称される。特定の細胞集団または細胞株は、時に、継代された回数により称される、または特徴付けられる。例えば、10回継代された培養細胞集団は、P10培養物と称される場合がある。初代培養物、すなわち、組織から細胞を単離後の最初の培養物は、P0と呼ばれる。1回目の植え継ぎの後、細胞は二次培養物(P1または継代1)と説明される。2回目の植え継ぎの後、細胞は三次培養物(P2または継代2)になる、など。継代期間の間に多数の集団倍加があり得ることが、当業者により理解されるであろう;したがって、培養物の集団倍加数は、継代数よりも大きい。継代の間の期間中の細胞の増大(すなわち、集団倍加数)は、非限定的に播種密度、基質、培地、および継代間隔を含む多数の要因に依存する。
【0364】
一態様では、細胞は、数時間(約3時間)~約14日間またはその間の任意の時間整数値の間培養される場合がある。免疫細胞培養に適した条件は、血清(例えば、ウシ胎児血清またはヒト血清)、インターロイキン-2(IL-2)、インスリン、IFN-ガンマ、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-12、IL-15、TGF-ベータ、およびTNF-α、または当業者に公知の細胞の成長のための任意の他の添加剤を含む、増殖および生存に必要な因子を含有し得る適切な培地(例えば、最小必須培地またはRPMI培地1640または、X-vivo 15、(Lonza))を含む。細胞の成長のための他の添加剤には、界面活性剤、プラスマネート(plasmanate)、ならびにN-アセチル-システインおよび2-メルカプトエタノールなどの還元剤が含まれるが、それに限定されるわけではない。培地は、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、およびビタミンが添加され、無血清の、または適切な量の血清(または血漿)もしくは所定のセットのホルモンならびに/もしくは免疫細胞の成長および増大に十分な量のサイトカインが補充された、RPMI 1640、AIM-V、DMEM、MEM、α-MEM、F-12、X-Vivo 15、およびX-Vivo 20、Optimizerを含むことができる。抗生物質、例えば、ペニシリンおよびストレプトマイシンは、実験培養物中にのみ含まれ、対象に注入されるべき細胞の培養物中には含まれない。標的細胞は、成長を支援するために必要な条件、例えば、適切な温度(例えば、37℃)および雰囲気(例えば、空気+5% CO2)下で維持される。
【0365】
免疫細胞を培養するために使用される培地は、免疫細胞を共刺激することができる作用物質を含む場合がある。例えば、CD3を刺激することができる作用物質は、CD3に対する抗体であり、CD28を刺激することができる作用物質は、CD28に対する抗体である。なぜなら、本明細書に開示されるデータに示されるように、本明細書に開示される方法によって単離される細胞は、約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、2000倍、3000倍、4000倍、5000倍、6000倍、7000倍、8000倍、9000倍、10,000倍、100,000倍、1,000,000倍、10,000,000倍、またはそれ超増大されることができる。一態様では、免疫細胞は、エレクトロポレーションした集団を培養することで、約2倍~約50倍、またはそれ超の範囲で増大する。一態様では、ヒト制御性T細胞は、抗CD3抗体を被覆したKT64.86人工抗原提示細胞(aAPC)を介して増大される。免疫細胞を増大および活性化するための方法は、それらの内容がそれらの全体で本明細書に組み入れられる、米国特許第7,754,482号、同第8,722,400号、および同第9,555,105号に見出すことができる。
【0366】
一態様では、免疫細胞を増大する方法は、増大された免疫細胞をさらなる適用のために単離する段階をさらに含むことができる。別の態様では、増大する方法は、増大された免疫細胞のその後のエレクトロポレーションとそれに続く培養をさらに含むことができる。後続のエレクトロポレーションは、作用物質をコードする核酸を導入すること、例えば、増大された免疫細胞を形質導入すること、増大された免疫細胞をトランスフェクションすること、または増大された免疫細胞に核酸をエレクトロポレーションして、増大された免疫細胞集団にすることを含む場合があり、ここで、作用物質は、免疫細胞をさらに刺激する。作用物質は、例えば、さらなる増大、エフェクター機能、または別の免疫細胞機能を刺激することによって、免疫細胞を刺激する場合がある。
【0367】
処置方法
ムチンは、上皮細胞に過剰発現された場合、健常細胞における毒素および変異原からの物理化学的防御として機能する高分子量グリコシル化タンパク質である。ムチンが接着モジュレーターとして機能する、またはシグナル伝達および細胞増殖の調節に役割を果たすことができる他の健康細胞型での発現が認められている(Winterford et al. (1999) J Histochem Cytochem, 47(8):1063-1074)。腫瘍形成および転移は、様々なタンパク質のムチンの細胞表面グリコシル化(特定のアミノ酸への糖部分の付加後のタンパク質修飾)における変化と共に増加することが示されている(Ren et al. (2014) Tumour Biol, 35(10):9603-9612; Tarp et al. (2008) Glycobiology, 17(2):197-209; Taylor-Papadimitriou et al. (1999) 1455(2-3):301-313)。20種のアミノ酸のうち少なくとも9種が、多様な糖質により修飾されることができる(Stowell et al. (2015) Annu Rev Pathol, 10:473-510)。Tn(GalNAca1-O-Ser/Thr)およびシアリル-Tn(STn)(NeuAca2-6-GalNAca1-O-Ser/Thr)は、がんに見られる最も一般的な異常グリコフォームに含まれる(Springer (1984) Science, 224(4654):1198-1206)。この異常グリコシル化は、発がんに主要な役割を果たすと考えられるTnMUC1と呼ばれる完全長ムチン1糖タンパク質の腫瘍特異的形態ももたらす(Ju et al. (2005) Nature, 437(7063):1252; Ju et al. (2008) Cancer Res, 68(6):1636-1646; Ju et al. (2014) Cancer Biomark, 14(1):63-81; Varki et al. (2017) Essentials of Glycobiology [Internet]. 3rd edition. Cold Spring Harbor (NY): Cold Spring Harbor Laboratory Press; 2015-2017)。Tn/sTnグリコフォームの異常発現が、特に、大部分の腺がんで過剰発現されるO-グリカンを保有するタンデム繰り返し配列を有する大型タンパク質である細胞膜結合型ムチン(MUC1)で見られている(Cascio et al. (2017) Oncotarget, 8(62):105284-98; Finn et al. (2011) Immunol Research, 50(2-3):261-268)。上皮起源のいくつかの健康組織は、細胞表面にMUC1を発現し(Winterford et al. (1999) J Histochem Cytochem, 47(8):1063-1074);異常グリコシル化バージョン(TnMUC1)は、ゴルジ装置中に発現され、細胞表面で観察される完全長MUC1の前駆体である(Posey et al. (2016) Immunity, 44(6):1444-1454)。腫瘍関連TnMUC1は、一部の多発性骨髄腫症例(Andrulis et al. (2014) Histopathology, 64:799-806; Cloosen et al. (2006) British Journal of Haematology, 135:513-516)ならびに乳房、結腸、肺、胃、卵巣、および膵臓の腫瘍を含む多様な固形腫瘍で過剰発現されており、それらの腫瘍では膜極性の消失および異常なO-グリコシル化の結果として腫瘍細胞表面のTnおよびSTnグリコフォームの発現が生じる(Lavrsen et al. (2013) Glycoconjugates, 30(3):227-236; Pinto et al. (2012) J Cellular Mol Medicine, 16:1474-1484; Sorensen et al. (2006) Glycobiology, 16:96-107)。
【0368】
一局面では、本発明は、それを必要とする対象におけるMUC1関連がんを処置する方法を含む。別の局面では、本発明は、本発明の改変された免疫細胞の治療的に有効な集団を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、対象におけるMUC1関連がんを処置する方法を含む。いくつかの態様では、MUC1関連がんは、多発性骨髄腫、乳がん、結腸がん、肺がん、胃がん、卵巣がん、および膵臓がんからなる群より選択される。いくつかの態様では、MUC1関連がんは、MUC1関連乳がん、MUC1関連多発性骨髄腫、MUC1関連非小細胞肺がん、MUC1関連膵臓腺がん、MUC1関連卵巣および卵管がんからなる群より選択される。
【0369】
方法は、本発明の改変された免疫細胞(例えば、MUC1 CAR T細胞)を対象に投与する段階を含む。
【0370】
本明細書において用いられる「対象」および「患者」という用語は、本発明の方法によって処置されるべき生物を指す。「対象」および「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用され得る。そのような生物は、哺乳動物(例えば、マウス、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)を含むが、それに限定されるわけではないなく、例示的な態様ではヒトを含む。本明細書において用いられる「処置する」、「処置」および「処置すること」という用語は、状態、疾患、障害などの改善を生じる任意の効果、例えば低下させること、低減すること、モジュレートすること、回復させることもしくは除去すること、またはそれらの症状を回復させること、例えば、がん細胞数の低減、腫瘍サイズの低減、腫瘍負荷の低減、末梢器官へのがん細胞の浸潤速度の低減、または腫瘍転移もしくは腫瘍増殖の速度の低減を含む。
【0371】
がんにおけるプラスの治療効果は、いくつかの方法で測定することができる(W. A. Weber, J. Null. Med. 50:1S-10S (2009); Eisenhauer et al., Eur. J. Cancer 45:228-247 (2009)を参照されたい)。いくつかの態様では、対象CAR T細胞療法(例えば、TN-MUC1 CAR T細胞療法)に対する応答は、RECIST 1.1基準を用いて評価される(Eisenhauer et al.、前記参照)。いくつかの態様では、(例えば、TN-MUC1 CAR T細胞療法の)治療有効量によって達成される処置は、部分奏効(PR)、著効(CR)、無増悪生存(PFS)、無病生存(DFS)、客観的奏効(OR)、奏効期間の変化(例えば、奏効期間の増加)、奏効までの期間の変化(例えば、奏効までの期間の短縮)、または全生存(OS)のいずれかである。患者における乳がんを処置するために有効な本明細書に記載される治療有効量は、患者の病状、年齢、および体重、ならびに治療が対象における抗がん応答を誘起する能力などの様々な要因に応じて変動する場合がある。
【0372】
本明細書において用いられる「RECIST 1.1 Response Criteria」は、適宜、応答が測定されている状況に基づき、標的病変または非標的病変についてEisenhauer et al. (2009) Eur J Cancer, 45(2):228-247に示される定義を意味する。
【0373】
がん(例えば、MUC1関連乳がん、MUC1関連多発性骨髄腫、MUC1関連非小細胞肺がん、MUC1関連膵臓腺がん、MUC1関連卵巣および卵管がん)を有すると診断されたまたは有する疑いのある対象に適用される場合の「腫瘍」は、任意のサイズの悪性または潜在悪性新生物または組織塊を指す。
【0374】
「腫瘍量」とも呼ばれる「腫瘍負荷」は、体全体に分布した腫瘍物質の総量を指す。腫瘍負荷は、リンパ節および骨髄を含む、体全体にわたるがん細胞の総数または腫瘍の合計サイズを指す。腫瘍負荷は、当技術分野において公知の多種多様な方法によって、例えば、対象から除去された腫瘍の寸法を、例えばノギスを使用して測定することにより、または体内では画像処理技術、例えば、超音波、骨スキャン、コンピューター断層撮影(CT)もしくは磁気共鳴画像(MRI)スキャンを使用して測定することにより、決定することができる。
【0375】
「腫瘍サイズ」という用語は、腫瘍の長さおよび幅として測定することができる、腫瘍の合計サイズを指す。腫瘍サイズは、当技術分野において公知の多種多様な方法によって、例えば、対象から除去されたときの腫瘍の寸法を、例えばノギスを使用して測定することにより、または体内で画像処理技術、例えば、超音波、骨スキャン、CTもしくはMRIスキャンを使用して測定することにより、決定される場合がある。
【0376】
一局面では、本発明は、それを必要とする対象におけるMUC1関連乳がんを処置する方法であって、改変された免疫細胞の治療的に有効な集団を対象に投与する段階を含む方法を含み、ここで、改変された免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。ある特定の態様では、CARは、MUC1特異的抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。
【0377】
一局面では、本発明は、それを必要とする対象におけるMUC1関連多発性骨髄腫を処置する方法であって、改変された免疫細胞の治療的に有効な集団を対象に投与する段階を含む方法を含み、ここで、改変された免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。ある特定の態様では、CARは、MUC1特異的抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。他の態様では、改変された細胞は、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をさらに含む。
【0378】
一局面では、本発明は、それを必要とする対象におけるMUC1関連非小細胞肺がんを処置する方法であって、改変された免疫細胞の治療的に有効な集団を対象に投与する段階を含む方法を含み、ここで、改変された免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。ある特定の態様では、CARは、MUC1特異的抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。他の態様では、改変された細胞は、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をさらに含む。
【0379】
一局面では、本発明は、それを必要とする対象におけるMUC1関連膵臓腺がんを処置する方法であって、改変された免疫細胞の治療的に有効な集団を対象に投与する段階を含む方法を含み、ここで、改変された免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。ある特定の態様では、CARは、MUC1特異的抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。他の態様では、改変された細胞は、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をさらに含む。
【0380】
一局面では、本発明は、それを必要とする対象におけるMUC1関連卵巣および/または卵管がんを処置する方法であって、改変された免疫細胞の治療的に有効な集団を対象に投与する段階を含む方法を含み、ここで、改変された免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。ある特定の態様では、CARは、MUC1特異的抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激シグナル伝達ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。他の態様では、改変された細胞は、ドミナントネガティブ型受容体および/またはスイッチ受容体をさらに含む。
【0381】
ある特定の態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインは、MUC1のグリコシル化型に結合する、すなわち、MUC1のグリコエピトープに特異的である。ある特定の態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインは、MUC1の切断型グリコエピトープに特異的である。ある特定の態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインは、TnMUC1に特異的である。ある特定の態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインは、SEQ ID NO:22、23および24の重鎖相補性決定領域(CDR)配列ならびに/またはSEQ ID NO:19、20および21の軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み得る。ある特定の態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインは、SEQ ID NO:19~24の全部で6つの相補性決定領域(CDR)配列を含み得る。ある特定の態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインは、SEQ ID NO:5の重鎖可変ドメイン(VH)配列および/またはSEQ ID NO:6の軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含み得る。ある特定の態様では、MUC1特異的抗原結合ドメインは、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含む。
【0382】
本発明の方法に使用されるCARは、人工疎水性配列、I型膜貫通タンパク質、T細胞受容体アルファ、ベータ、またはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、OX40(CD134)、4-1BB(CD137)、およびCD154の膜貫通ドメインからなる群より選択される膜貫通ドメインを含み得る。ある特定の例示的な態様では、膜貫通ドメインは、CD8a膜貫通ドメインを含む。
【0383】
CARは、TNFRスーパーファミリーのメンバー、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD5、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、DAP10、DAP12、Lck、Fas、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメインを含む共刺激シグナル伝達ドメインを含み得る。ある特定の例示的な態様では、共刺激シグナル伝達ドメインは、4-1BB共刺激ドメインを含む。
【0384】
細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ、FcyRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)保有細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、およびCD66dからなる群より選択されるタンパク質のシグナル伝達ドメインを含み得る。ある特定の例示的な態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。
【0385】
CARは、抗体のFc断片、抗体のヒンジ領域、抗体のCH2領域、抗体のCH3領域、人工スペーサー配列、CD8のアミノ酸配列を含むヒンジ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるCD8aリーダー配列および/または細胞外ヒンジドメインをさらに含み得る。ある特定の例示的な態様では、細胞外ヒンジドメインは、CD8a細胞外ヒンジドメインを含む。
【0386】
ある特定の態様では、CARは、SEQ ID NO:1、38、40、42、44、または46のヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる。ある特定の態様では、CARは、SEQ ID NO:2、39、41、43、45、または47のアミノ酸配列を含む。
【0387】
ある特定の例示的な態様では、CARは、SEQ ID NO:46のヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる。ある特定の例示的な態様では、CARは、SEQ ID NO:47のアミノ酸配列を含む。
【0388】
本開示のCARは、Tリンパ球またはNK細胞において存在する場合、標的細胞に向けた細胞傷害性を媒介することができる。本開示のCARは、標的細胞上に存在する抗原に結合し、それにより、CARを産生するように遺伝的に改変されたTリンパ球またはNK細胞による標的細胞の死滅を媒介する。CARの抗原結合ドメイン(例えば、抗TN-MUC1 scFv)は、標的細胞の表面に存在する抗原(例えば、TN-MUC1抗原)に結合する。標的細胞は、がん細胞、例えば、乳がん細胞を含むが、それに限定されるわけではない。したがって、本開示は、標的がん細胞を死滅させる、またはその増殖を阻害する方法であって、対象CARを産生するように遺伝的に改変された細胞傷害性免疫エフェクター細胞(例えば、細胞傷害性T細胞、またはNK細胞)を接触させる段階を含む方法を提供し、それにより、Tリンパ球またはNK細胞は、標的がん細胞の表面に存在する抗原を認識し、標的細胞の死滅を媒介する。
【0389】
本開示は、がんを有する対象におけるがんを処置する方法であって、i)細胞内に、本開示のキメラ抗原受容体を導入して、または本開示の発現ベクターを導入して、改変された細胞を産生する段階;およびii)改変された細胞を対象に投与する段階を含む方法を提供する。いくつかの態様では、細胞は、対象から得られ(すなわち、細胞は自己由来である)、エクスビボで操作され、同じ対象に投与される。いくつかの態様では、細胞は1つの対象から得られ、エクスビボで操作され、第2の適切な対象に投与される(すなわち、細胞は同種である)。
【0390】
いくつかの態様では、対象から細胞傷害性細胞を回収する段階、本発明のCAR遺伝子を細胞傷害性細胞に導入することにより細胞傷害性細胞を遺伝的に改変する段階、および改変された細胞傷害性細胞を対象に投与する段階を含む方法が提供される。いくつかの態様では、細胞傷害性細胞は、T細胞、ナイーブT細胞、メモリーT細胞、エフェクターT細胞、ナチュラルキラー細胞、およびマクロファージより選択される。一態様では、細胞傷害性細胞はT細胞である。
【0391】
一態様では、T細胞は対象から得られる。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、および腫瘍を含む多数の起源から得ることができる。本発明のいくつかの態様では、当技術分野において入手可能な任意の数のT細胞株が使用される場合がある。本発明のいくつかの態様では、T細胞は、Ficoll(商標)分離などの当業者に公知の任意の数の技法を用いて対象から採取された血液から得られることができる。
【0392】
例えば、一態様では、T細胞は、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 Tなどの抗CD3/抗CD28(すなわち、3x28)コンジュゲーションビーズと一緒に、所望のT細胞の正の選択に十分な期間インキュベーションすることにより単離される。一態様では、期間は約30分である。一態様では、期間は30分~36時間以上およびその間の整数値の範囲である。一態様では、期間は、少なくとも1、2、3、4、5、または6時間である。一態様では、期間は10~24時間である。一態様では、インキュベーション期間は24時間である。白血病を有する患者からT細胞を単離するために、24時間などのより長いインキュベーション時間の使用で細胞の収量を増加させることができる。より長いインキュベーション時間は、腫瘍組織または免疫力が低下した個体から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を単離するなどの、他の細胞型と比較してT細胞が少ない任意の状況でT細胞を単離するために使用される場合がある。さらに、より長いインキュベーション時間の使用は、CD8+ T細胞の捕捉効率を増加させることができる。したがって、T細胞をCD3/CD28ビーズに結合させる時間を単に短縮もしくは延長することにより、および/またはT細胞に対するビーズの比を増加もしくは減少させることにより(本明細書にさらに説明される)、培養の開始時にまたはプロセスの途中の他の時点でT細胞の亜集団を優先的に選択するまたは選択しないことができる。追加的に、ビーズまたは他の表面上の抗CD3および/または抗CD28の比を増加または減少させることにより、培養開始時にまたは他の所望の時点でT細胞の亜集団を優先的に選択するまたは選択しないことができる。当業者は、複数の選択ラウンドが本発明の状況でも使用することができることを認識しているであろう。いくつかの態様では、選択手順を行い、活性化および拡大増殖プロセスにおいて「選択されていない」細胞を使用することが望ましい場合がある。「選択されていない」細胞は、さらなる選択ラウンドに供されることもできる。
【0393】
次いで、得られた細胞は、本明細書に記載されるように改変される。典型的には発現ベクター中に位置する、対象CAR(例えば、TN-MUC1 CAR)をコードするポリヌクレオチドは、細胞傷害性細胞内に導入され、その結果、細胞傷害性細胞は、CARを好ましくは安定的に発現するであろう。いくつかの態様では、CARをコードするポリヌクレオチドはまた、CARシグナル伝達時に産生および放出されるトランスジェニックポリペプチド産物についてのCAR誘導性発現カセットもコードする。いくつかの態様では、CARをコードするポリヌクレオチドは、T細胞活性化応答性プロモーターに機能的に連結されるサイトカイン(例えば、IL-12)もコードする。いくつかの態様では、発現ベクターは、CARをコードするポリヌクレオチドと、T細胞活性化応答性プロモーターに機能的に連結されるサイトカインをコードするポリヌクレオチドとの両方を含む。例えば、Chmielewski and Abken, Expert Opin. Biol. Ther. (2015) 15(8): 1145-1154;およびAbken, Immunotherapy (2015) 7(5): 535-544を参照されたい。いくつかの態様では、細胞は、CARをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターおよびT細胞活性化応答性プロモーターに機能的に連結されるサイトカイン(例えば、IL-12)をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを用いて遺伝的に操作される。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドの導入は組み入れを生じる必要はなく、むしろ、導入されたポリヌクレオチドの一過性の維持だけで十分であり得る。このように、細胞傷害性細胞を宿主に導入し、次いで所定の時間の後で、例えば、細胞が治療のための特定部位に遊走できた後で作動することもできる短期効果を有することもできる。
【0394】
細胞傷害性細胞および処置すべき疾患の性質に応じて、改変された細胞傷害性細胞(例えば、改変されたT細胞)は、対象、例えば哺乳動物内に多種多様な方法で導入される場合がある。遺伝的に操作された細胞傷害性細胞は、腫瘍の部位に導入される場合がある。一態様では、遺伝的に操作された細胞傷害性細胞は、がんへと進む、またはがんへと進むように改変されている。採用された、改変された細胞傷害性細胞の数は、状況、導入の目的、細胞の寿命、使用されるべきプロトコルなどの多数の要因に依存するであろう。例えば、採用される、改変された細胞傷害性細胞の数は、投与回数、細胞が増える能力、および組み換え構築物の安定性に依存し得る。改変された細胞傷害性細胞は、関心対象の部位にまたはその近くに注射される分散物として適用される場合がある。一態様では、細胞は、生理学的に許容される培地中にあり得る。
【0395】
処置方法が、CAR(例えば、TN-MUC1 CAR)に対する細胞応答、細胞傷害性細胞によるCARの発現効率、および適宜、分泌レベル、発現されたCARの活性、対象の個々の必要性などの多くの変数を条件とし、それらの変数は時間および状況、改変された細胞傷害性細胞または個別の細胞の発現活性の消失の結果としての細胞活性の消失速度などに応じて変動する場合があることを認識すべきである。したがって、たとえ集団に全般的に投与することができるユニバーサル細胞があるとしても、個々の患者に関して、患者1人1人が個別に適当な投薬量についてモニタリングされると予期され、そのような患者のモニタリングの実施は、当技術分野において日常的なものである。
【0396】
したがって、例示的な態様では、本発明は、それを必要とする対象におけるMUC1関連がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法を提供し、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0397】
例示的な態様では、それを必要とする対象におけるMUC1関連がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でCD8αヒンジドメインと;CD8α膜貫通ドメインと;CD2共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0398】
本発明の改変された細胞傷害性細胞(例えば、TN-MUC1 CARを含む改変されたT細胞)または薬学的組成物で処置されるべきがんの例示的な種類は、乳がんを含む。ある特定の態様では、本発明の方法のいずれかにより処置される乳がんは、MUC1の異常グリコシル化によって特徴付けられる。
【0399】
組織学的にホルモン受容体(HR、エストロゲン受容体、ERまたはプロゲステロン受容体、PR)陰性およびヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性と診断される乳がんは、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)として知られ、すべての乳がんの約15%を構成する。TNBCは、一般に、高い増殖指数に関連する当該疾患の侵襲性のせいで転帰不良であり;乳がんのこのサブセットの標準治療は、一般的に他のサブセットと異なる(Gradishar et al. (2018) NCCN Guidelines v.2018 Breast Cancer. website: www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/breast.pdf(2019年2月にアクセス))。すべての乳がんと同様に、局所療法は手術および放射線療法の両方を利用するが、十分な局所療法にも関わらず、TNBCを有する多くの患者は続けて遠隔転移疾患を発生する。これらの患者の大部分は従来の化学療法にあまり応答せず、今のところTNBCの有効な処置のために同定された、明らかな、新薬の開発につながるような標的は少ししかない(Gerratana et al. (2018) Cancer Treat Rev, 68:102-110)。
【0400】
転移性疾患の初診時からのOSの中央値が、ホルモン受容体陽性および/またはHer2陽性転移性乳がんを有する患者では20ヶ月であるのに比べ、転移性TNBCでは6ヶ月であるため、転移性TNBCは高いアンメットニーズを表す。異なる生物学および標的で、転移性HER2陽性およびホルモン受容体陽性乳がんの転帰は改善し続けているが、TNBCはアンメットニーズのままである(Ganesan et al. (2014) Mol Cancer Ther, 12:3175-3184)。PD-1/PD-L1阻害を用いた免疫療法は、臨床試験で進行TNBCに有望な結果を示した。進行TNBCにおけるアテゾリズマブと標準的な化学療法剤(nab-パクリタキセル)との組み合わせは、PFS(すべての患者)およびOS(PD-L1陽性、Schmid et al. (2018) New England J Med, 379(22):2108-2121)に有意な改善を示した。
【0401】
いくつかの態様では、乳がんはホルモン受容体陽性(HR陽性)である。いくつかの態様では、乳がんはホルモン受容体陰性である。いくつかの態様では、乳がんはエストロゲン受容体陰性である。いくつかの態様では、乳がんはプロゲステロン受容体陰性である。いくつかの態様では、乳がんはHer2受容体陰性である。いくつかの態様では、乳がんは転移性乳がんである。いくつかの態様では、乳がんはトリプルネガティブ乳がん(ER陰性、PR陰性、およびHER2陰性)である。いくつかの態様では、乳がんはトリプルポジティブ乳がん(ER陽性、PR陽性、およびHER2陽性)である。いくつかの態様では、乳がんはトリプルネガティブ転移性乳がんである。いくつかの態様では、乳がんは、不治、切除不能、局所進行性または転移性乳がん(LA/MBC)である。いくつかの態様では、乳がんはER陰性および/またはPR陽性およびHER2陰性乳がんである。いくつかの態様では、乳がんはHER2陽性およびLA/MBCである。いくつかの態様では、乳がんは、トリプルネガティブ乳がんおよびLA/MBCである。
【0402】
例示的な乳がんは、がん(すなわち、TnMUC1発現がん)を発現している細胞に異常にグリコシル化されたMUC1(例えば、TnMUC1)を発現するものである。ある特定の例示的な態様では、乳がんは、がん腫、肉腫、葉状腫瘍、パジェット病、および血管肉腫からなる群より選択される。ある特定の例示的な態様では、乳がんは、非浸潤性乳管がん、浸潤性乳管がんまたはそのサブタイプ(例えば、管状乳がん、髄様乳がん、粘液乳がん、乳頭状乳がん、篩状乳がんなど)、浸潤性小葉がん、炎症性乳がん、非浸潤性小葉がん、男性乳がん、乳首パジェット病、乳房葉状腫瘍、転移性乳がん、およびある特定の分子サブタイプ(例えば、ルミナルA乳がん、ルミナルB乳がん、トリプルネガティブ/基底細胞様(basal-like)乳がん、HER2豊富(HER2-enriched)乳がん、正常様(normal-like)乳がん)からなる群より選択される。
【0403】
乳がんは、いくつかのマーカーの発現によって特徴付けられる場合がある。例えば、乳がんは、エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がん、プロゲステロン受容体陽性(PR+)乳がん、ホルモン受容体陰性(HR-)乳がん、HER2遺伝子過剰発現(HER2+)乳がん、HER2遺伝子野生型または低発現(HER2-)乳がんであり得る。乳がんは、グループ1(ルミナルA)乳がん、すなわち、ER+/PR+/HER2-、グループ2(ルミナルB)乳がん、すなわち、ER+/PR-/HER2+、グループ3(HER2+)乳がん、すなわち、ER-/PR-/HER2+、またはグループ4(基底細胞様またはトリプルネガティブ(TN))乳がん、すなわち、ER-/PR-/HER2-であり得る。
【0404】
乳がんは、グレード1、2または3として分類することができる。グレード1または高分化型(スコア3、4、もしくは5)乳がんは、より高いグレードの乳がんよりも増殖が遅く、正常乳房組織のように見える細胞を含む。グレード2または中分化型(スコア6、7)乳がんは、グレード1と3との間の中間あたりの細胞の速度で増殖し、その細胞のように見える細胞を含む。グレード3または低分化型(スコア8、9)乳がんは、正常細胞と非常に異なって見え、典型的にはグレード1または2よりも速く増殖および拡大する細胞を含む。
【0405】
したがって、例示的な態様では、本発明は、それを必要とする対象におけるMUC1関連トリプルネガティブ乳がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法を提供し、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0406】
例示的な態様では、それを必要とする対象におけるMUC1関連トリプルネガティブ乳がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でCD8αヒンジドメインと;CD8α膜貫通ドメインと;4-1BB共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0407】
例示的な態様では、それを必要とする対象におけるMUC1関連トリプルネガティブ乳がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でCD8αヒンジドメインと;CD8α膜貫通ドメインと;CD2共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0408】
本発明の改変された細胞傷害性細胞(例えば、TN-MUC1 CARを含む改変されたT細胞)または薬学的組成物で処置されるべきがんの例示的な種類は、多発性骨髄腫を含む。多発性骨髄腫(MM)は、クローン骨髄形質細胞の蓄積、ならびに高カルシウム血症、腎不全、症候性貧血、破壊性溶解性骨病変、および感染感受性を含む臨床的合併症の発生によって定義される疾患である。米国国立がん研究所、監視・疫学・遠隔成績(NCI SEER)データベースによると、米国(US)では、30,000人を超える患者が多発性骨髄腫と診断され、死亡数が12,000人を超えると推定された(Siegel (2016) CA Cancer J Clin, 66:7-30)。多発性骨髄腫の処置は、過去十年にわたり顕著に進歩し、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬(IMiD)、ステロイド、およびアルキル化剤を含む多発性骨髄腫形質細胞を標的化する薬物の広い取りそろえが現在臨床的に利用可能であり、その結果、新たに診断された患者の大部分が最初の治療に応答する。導入療法に高用量化学療法および自己幹細胞移植(ASCT)が続く場合、患者の約3分の1が完全寛解を達成し、より多数が臨床的に意味のある応答を経験する(San Miguel et al. (2013) Lancet Oncol, 14:1055-1066)。これらの進歩に関わらず、高感度の分子検出方法またはフローサイトメトリー検出方法により深寛解(deep remission)を達成する患者でさえ、ほぼすべての患者が次に続く治療に次第に抵抗性になる疾患となって再発する(Martinez-Sanchez et al. (2008) Br J Haematology, 142:766-774; Paiva et al. (2012) Blood, 119:687-691)。
【0409】
ボルテゾミブおよびIMiDの両方に抵抗性の疾患を有する患者では、無増悪期間および全生存期間(OS)の中央値は、一般的に6~9ヶ月と報告されている(Kumar et al. (2012) Leukemia, 26:149-157)。第二世代プロテアソーム阻害薬(例えば、カルフィルゾミブ)、IMiD(例えば、ポマリドミド)、およびモノクローナル抗体(例えば、ダラツムマブ)は、有用な追加であるが、転帰を徐々に改善するだけである(無増悪生存期間 [PFS]中央値は3~4ヶ月)(Siegel (2016) CA Cancer J Clin, 66:7-30; San Miguel et al. (2013) Lancet Oncol, 14:1055-1066; Lonial et al. (2016) Lancet, 387(10027):1551-1560)。PD-1/PD-L1チェックポイントの阻害を用いた免疫療法は、多くの骨髄腫の治験で評価されてきた。PD-1標的化剤とIMiDとの組み合わせは、有望な臨床活性をもたらし、継続した研究が、IMiD-PD1の組み合わせを用いて安全シグナル(safety signal)の可能性を評価している(Costa et al. (2018) Frontiers Immunol, 9:2204)。CAR-T療法の治験が進行中であり、予備活性は有望である。標的化される一次抗原は、進行中の試験でB細胞成熟抗原またはBCMAである(Costa et al. (2018) Frontiers Immunol, 9:2204)。最近の進歩に関わらず、再発/難治性多発性骨髄腫は、高いアンメットニーズを有する疾患背景のままである。
【0410】
多発性骨髄腫(MM)は、臨床検査、イメージングおよび生検を含む様々な方法によって特徴付けられる場合がある。臨床検査は、血中の赤血球、白血球、および血小板のレベルを測定するための全血球計算;血中クレアチニン、アルブミン、カルシウム、乳酸デヒドロゲナーゼ、および他の電解質のレベルを測定するための血液化学検査;骨髄腫タンパク質、例えば、ベンス・ジョーンズタンパク質の存在を測定するための尿検査(例えば、尿タンパク質電気泳動、尿免疫固定);MMを有する対象においてある特定種類の抗体のレベルが他よりも高い場合がある、異なる抗体の血中レベルを測定するための定量免疫グロブリン検査;骨髄腫細胞によって産生される異常タンパク質、例えば、モノクローナル免疫グロブリン、モノクローナルタンパク質(Mタンパク質)、Mスパイク、パラプロテインの存在およびレベルを評価するための血液検査;血中の軽鎖レベルを測定するための血液検査;ベータ-2ミクログロブリンの存在およびレベルを評価するための血液検査を含む。
【0411】
多発性骨髄腫の診断は、しばしば:(1)形質細胞腫瘍(生検による証明)または骨髄中に少なくとも10%の形質細胞;および(2)高い血中カルシウムレベル、腎機能不良、低い赤血球数(貧血)、イメージング試験で見出された腫瘍による骨の穴(CT、MRI、PETスキャン)、血中の1種類の軽鎖が他方よりも100倍多く見られるような、その種類の軽鎖の増加、および骨髄中の形質細胞が60%以上のうちの少なくとも1つを必要とする。
【0412】
多発性骨髄腫は、改訂版国際病期分類(RISS)により4つの要因に基づき病期分類することができる:血中アルブミン量、血中ベータ-2ミクログロブリン量、血中乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)量、およびがんの特異的遺伝子異常(細胞遺伝学)。RISSステージグループIは、血清ベータ-2-ミクログロブリンが3.5mg/L未満、アルブミンレベルが3.5g/dL以上、細胞遺伝学が高リスクと見なされない、およびLDHレベルが正常であることによって特徴付けられる。RISSステージグループIIは、ステージグループIにもステージグループIIIにも属さないと特徴付けられる。RISSステージグループIIIは、血清ベータ-2-ミクログロブリンが5.5mg/L以上、細胞遺伝学が高リスクと見なされる、および/またはLDHレベルが高いことによって特徴付けられる。
【0413】
したがって、例示的な態様では、それを必要とする対象におけるMUC1関連多発性骨髄腫を処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0414】
例示的な態様では、それを必要とする対象におけるMUC1関連多発性骨髄腫を処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でCD8αヒンジドメインと;CD8α膜貫通ドメインと;CD2共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、 SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0415】
本発明の改変された細胞傷害性細胞(例えば、TN-MUC1 CARを含む改変されたT細胞)または薬学的組成物で処置されるべき例示的な種類のがんは、非小細胞肺がんを含む。肺がんは、世界中のがん関連死亡率の主因であり、治療の進歩に関わらず、重大なアンメットニーズのままである。非小細胞肺がん(NSCLC)は、米国のすべての肺がん症例の85%を占め、残りの15%のかなりの割合は小細胞肺がん(SCLC)である(Zappa et al. (2016) Transl Lung Cancer Res, 5(3):288-300; Alvarado-Luna et al. (2016) Transl Lung Cancer Res, 5(1):26-38)。外科的切除は、限局性NSCLCに対するただ1つの最も一貫して成功する選択肢のままであるが;しかし、肺がんを有する患者の70%近くが、診断時に局所進行性疾患または転移性疾患を呈する(Molina et al. (2008) Mayo Clin Proc, 83(5):584-594)。全体的に見て、肺がん患者の予後は不良であり、5年相対生存率は18%未満である。ステージIV NSCLCを有する患者についてのOS期間中央値は4ヶ月であるのに対し、1年生存率および5年生存率は、それぞれ16%未満および2%未満である(Cetin et al. (2011) Clin Epidemiol, 3:139-148)。
【0416】
ステージIIIまたはIV肺がんに対する放射線療法に加えて、白金ベースレジメン(ダブレット化学療法;例えば、シスプラチンとゲムシタビンとの併用またはカルボポラチンとパクリタキセル/ゲムシタビンとの併用)は切除不能NSCLCに対する処置の頼みの綱の1つであり続けている(Ettinger et al. (2019) website: nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/nscl.pdf(2019年2月にアクセス))。未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)または感作性上皮増殖因子受容体(EGFR)変異または他のドライバー変異/変化を有する患者のために、この2剤併用療法(doublet)に単剤標的化療法が追加される(Ettinger et al、前記; Yoon et al. (2017) World J Clin Oncol, 8(1):1-20)。これらの標的化療法は、遺伝子変化を有する患者におけるNSCLCの処置に大きな影響を有し、大きく改善した転帰を生じた(Ettinger et al、前記)。しかし、TKI抵抗性が重大なアンメットメディカルニーズとして出現し、最近の証拠は、TKI抵抗性の独特なメカニズムを仮定している(Lin et al. (2014) J Cancer Res, 4(5):411-435)。免疫チェックポイントPD-1/PD-L1の阻害は、局所進行性または転移性NSCLCを有する患者において一次および二次の両方で利用される。PD-1/PD-L1経路の阻害は、全生存期間の改善を示し、化学療法単独と比較して奏効期間が長く、有害事象が少ない。現在、NCCNガイドラインは、一次の設定(腫瘍におけるPD-L1の強発現に関連する)および二次の設定(PD-L1の発現と無関係;Ettingerら、前記)の両方でPD-1の阻害を推奨した。標的化剤およびチェックポイント阻害の両方での最近の進歩に関わらず、NSCLCは、アンメットニーズの重大な領域のままである。
【0417】
NSCLCは、腺がん、扁平上皮がん、および大細胞がんを含む。NSCLCは、臨床検査、イメージングおよび生検を含む様々な方法によって特徴付けられる場合がある。例えば、NSCLCの診断は、骨スキャン、イメージング検査(MRI、CTスキャン、PETスキャン)、がん細胞をチェックするための喀痰の顕微鏡検査、および肺生検を含む検査を必要とする場合がある。
【0418】
NSCLCは、米国がん病期分類合同委員会(AJCC)の腫瘍、リンパ節、転移(TNM)システムに従ってステージングすることができる。TNMシステムは、3つの主因子:(1)主腫瘍のサイズおよび程度;(2)近くのリンパ節への拡がり;および(3)遠隔部位への拡がりに基づく。NSCLCの最初期のステージは、ステージ0である(上皮内がんとも呼ばれる)。他のステージはステージI~ステージIVであり、より高い番号のステージは、がんがより大きく拡がったことを意味する。
【0419】
したがって、例示的な態様では、それを必要とする対象におけるMUC1関連非小細胞肺がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0420】
例示的な態様では、それを必要とする対象におけるMUC1関連非小細胞肺がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でCD8αヒンジドメインと;CD8α膜貫通ドメインと;CD2共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0421】
本発明の改変された細胞傷害性細胞(例えば、TN-MUC1 CARを含む改変されたT細胞)または薬学的組成物で処置されるべきがんの例示的な種類は、膵臓腺がんを含む。膵管腺がんは、致死率が高い悪性腫瘍である。これは、米国におけるがん関連死の第4位であり、新症例は年間約45,000人である。外科的切除が、治癒の可能性のある唯一の処置であるが、進行した疾患を示す患者の大部分では、患者の15~20%だけが外科的介入の候補である(Fogel et al. (2017) Am J Gastroenterology, 112(4):537-555)。全体的に見て、たとえ外科的介入を行っても予後は不良であり:手術を行った場合の5年生存率は、リンパ節陰性について約25%であり、リンパ節陽性疾患について10%である。切除不能疾患を示す大部分の患者では、化学療法が処置の頼みの綱である。併用化学療法を用いる最近の発展の前に、観察された効力の増加はささやかであった。FOLFIRINOX処置は、ゲムシタビン単独と比較した場合、OSおよびPFSの中央値の増加を示したが、併用療法で毒性の増加が観察される。代替的な併用療法は、たとえOSの中央値が劣ってもその有利な毒性プロファイルのせいでFOLFIRINOXよりも広く用いられるゲムシタビンおよびnab-パクリタキセルを含む。
【0422】
他の固形腫瘍における標的化療法および免疫療法のアプローチの成功にも関わらず、膵臓がんでは効力の同じような改善が明らかでない(Amanam et al. (2018) Cancers, 10(2). pii:E36)。興味深いことに、免疫チェックポイント阻害薬は、膵臓腺がんでより大きな成功を収めた。全体的に見て、膵臓腺がんは、高いアンメットニーズの領域のままであり、臨床試験がこの疾患設定における標準治療の一部と見なされる(Temperoら(2019)のウェブサイト:nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/pancreatic.pdf.(2019年2月にアクセス))。
【0423】
膵臓腺がんは、イメージング検査(CTスキャン、MRI、超音波、胆道膵管造影、PETスキャン、血管造影)、血液検査、および生検を用いて特徴付けることができる。膵臓腺がんを検出するための血液検査は、肝機能検査、ならびにCA 19-9およびがん胎児性抗原(CEA)などの腫瘍マーカーの存在を評価することを含む。
【0424】
膵臓腺がんは、米国がん病期分類合同委員会(AJCC)の腫瘍、リンパ節、転移(TNM)システムに従ってステージングすることができる。TNMシステムは、3つの主因子:(1)主腫瘍のサイズおよび程度;(2)近くのリンパ節への拡がり;および(3)遠隔部位への拡がりに基づく。膵臓腺がん最初期のステージは、ステージ0である(上皮内がんとも呼ばれる)。他のステージはステージI~ステージIVであり、より高い番号のステージは、がんがより大きく拡がったことを意味する。
【0425】
したがって、例示的な態様では、それを必要とする対象におけるMUC1関連膵臓腺がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0426】
例示的な態様では、それを必要とする対象におけるMUC1関連膵臓腺がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でCD8αヒンジドメインと;CD8α膜貫通ドメインと;CD2共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0427】
本発明の改変された細胞傷害性細胞(例えば、TN-MUC1 CARを含む改変されたT細胞)または薬学的組成物で処置されるべきがんの例示的な種類は、卵巣上皮がんを含む。卵巣上皮がんは、一般的に、卵管悪性腫瘍および原発性腹膜がんを含む。卵巣上皮がんの女性の70%超が最初の診断の時点で進行疾患を示している。進行疾患を有する患者は、外科的細胞切除ならびに白金およびタキサンベース化学療法後に完全寛解を達成することができるものの、最大80%が最終的に再発を経験する(Herzog et al. (2017) Gynecol Oncol Res Pract, 4:13)。
【0428】
進行性卵巣上皮がんの再発についての処置の選択は、一般的に、無増悪区間によって案内される。白金含有導入化学療法が依然として標準的な一次処置であるが、大部分の患者が最終的に、一般的に白金含有レジメンの完了から6ヶ月目またはそれ以内の進行として定義される抵抗性になる(Armstrong et al. (2018) website: nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/ovarian.pdf(2019年2月にアクセス))。進行卵巣がんの設定での白金抵抗性は、高いアンメットニーズの領域のままである(Oronsky et al. (2017) Medical Oncology, 34(6):103)。白金ベース療法に加えて、血管内皮増殖因子(VEGF)の分子標的阻害薬(すなわちベバシズマブ)およびポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)の分子標的阻害薬(すなわち、オラパリブ、ルカパリブ(rucaparib)、およびニラパリブ)は、事前化学療法後の患者における処置選択肢として出現した。免疫療法の選択肢の中で、ペムブロリズマブは、標準的な腫瘍学のガイドラインによるMSI-HまたはdMMR固形腫瘍を有する患者における再発性疾患のために許容されると見なされる(Armstrong et al.、前記; Fan et al. (2018) Curr Treat Options Oncol, 19(12):74)。進行卵巣上皮がんを有する患者のための標準治療は依然として白金ベース療法であり、患者が抵抗性疾患を発生した後のアンメットニーズは高く、新しい治療選択肢が必要である。
【0429】
卵巣上皮がんは、イメージング検査、血液検査、および生検を用いて特徴付けることができる。卵巣上皮がんを検出するための血液検査は、CA-125、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、および/または乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のレベルを測定することを含む。いくつかの卵巣上皮がんは、インヒビンならびにエストロゲンおよびテストステロンなどのホルモンのレベル上昇によって特徴付けられる場合がある。
【0430】
卵巣上皮がんは、世界産婦人科連合(FIGO)または米国がん病期分類合同委員会(AJCC)の腫瘍、リンパ節、転移(TNM)システムに従ってステージングすることができる。TNMシステムは、3つの主因子:(1)主腫瘍のサイズおよび程度;(2)近くのリンパ節への拡がり;および(3)遠隔部位への拡がりに基づく。膵臓腺がん最初期のステージは、ステージ0である(上皮内がんとも呼ばれる)。他のステージはステージI~ステージIVの範囲であり、より高い番号のステージは、がんがより大きく拡がったことを意味する。
【0431】
したがって、例示的な態様では、それを必要とする対象におけるMUC1関連卵巣および/または卵管がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でヒンジドメインと;膜貫通ドメインと;共刺激シグナル伝達ドメインと;細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0432】
例示的な態様では、それを必要とする対象におけるMUC1関連卵巣および/または卵管がんを処置する方法であって、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むMUC1特異的抗原結合ドメインと;任意でCD8αヒンジドメインと;CD8α膜貫通ドメインと;CD2共刺激シグナル伝達ドメインと;CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインとを含む改変されたT細胞を含む治療的に有効な組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供され、ここで、VHドメインは、SEQ ID NO:22、23、および24に示される重鎖相補性決定領域(CDR)配列を含み、VLドメインは、SEQ ID NO:19、20、および21に示される軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む。
【0433】
ある特定の態様では、対象に投与される改変された免疫細胞の集団は、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT細胞、およびT細胞からなる群より選択される免疫細胞を含む。ある特定の例示的な態様では、改変された免疫細胞の集団は、改変されたT細胞を含む。ある特定の態様では、改変されたT細胞は自己由来である。
【0434】
本発明の細胞は、当業者に公知の任意の手段によって投与される場合がある。例えば、ある特定の態様では、投与することは、腫瘍内送達を介して、静脈内送達を介して、または腹腔内送達を介して行われる場合がある。
【0435】
必要とする対象に投与されるべき改変された免疫細胞(例えば、改変されたT細胞)の量は、一般的に、治療有効量である。本明細書において用いられる「治療有効量」は、対象におけるがん細胞(例えば、乳がん細胞)の細胞傷害性死滅を生じる改変された免疫細胞の用量を指す。いくつかの態様では、対象に投与される場合の改変された免疫細胞の適切な用量は、がんの低減を生じる。がんの低減は、がんを示す1つまたは複数のパラメーターの出力の形態であることができ、当技術分野において公知の様々な方法によって、例えば、循環腫瘍細胞の検出、血中のある特定のがん特異的マーカーの検出、生検中のマーカーの検出、腫瘍イメージングなどによって行うことができる。一般的に、対象に投与された場合の改変された免疫細胞の適切な用量は、1つまたは複数のパラメーターのベースラインからの少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、またはそれ以上の低減を生じる。
【0436】
本明細書において用いられる「有効量」または「治療有効量」という用語は、有益なまたは所望の結果を引き起こすために十分な作用物質(例えば、TN-MUC1 CAR T細胞組成物)の量を指す。有効量は、1つまたは複数の投与、適用または投薬量で投与することができ、特定の製剤または投与経路に限定することを意図しない。治療有効量は、投与様式および経路;レシピエントの年齢、健康、および体重;処置されるべき疾患または適応症の種類および程度、症状の性質および程度、併用療法の種類、処置頻度、ならびに所望の効果などの公知の要因に応じて変動することができる。
【0437】
本発明の細胞は、適切な前臨床および臨床実験および試験において決定されるべき投薬量および経路および回数で投与することができる。細胞組成物は、これらの範囲内の投薬量で複数回投与される場合がある。本発明の細胞の投与は、当業者により決定される、所望の疾患または状態を処置するために有用な他の方法と組み合わせられる場合がある。
【0438】
投与されるべき本発明の細胞は、治療を受けている対象に対して自己由来であり得る。
【0439】
本発明の細胞の投与は、当業者に公知の任意の好都合な方法で実施される場合がある。本発明の細胞は、エアロゾル吸入、注射、経口摂取、輸注、埋め込みまたは移植により対象に投与される場合がある。本明細書に記載される組成物は、患者に経動脈的、皮下、皮内、腫瘍内、結節内、髄内、筋肉内に、静脈内(i.v.)注射により、または腹腔内に投与される場合がある。他の例では、本発明の細胞は、対象における炎症部位、対象における局所疾患部位、リンパ節、器官、腫瘍などに直接注射される。
【0440】
いくつかの態様では、細胞は、所望の投薬量で投与され、投薬量は、特定の局面では、細胞もしくは細胞型の所望の用量もしくは数および/または細胞型の所望の比を含む。したがって、細胞の投薬量は、いくつかの態様では細胞の合計数(またはkg体重あたりの数)およびCD4+対CD8+の比のように個別の集団またはサブタイプの所望の比に基づく。いくつかの態様では、細胞の投薬量は、個別の集団における、または個別の細胞型の細胞の所望の合計数(またはkg体重あたりの数)に基づく。いくつかの態様では、投薬量は、所望の総細胞数、所望の比、および個別の集団中の所望の細胞合計数などの、そのような特徴の組み合わせに基づく。
【0441】
いくつかの態様では、CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞などの細胞の集団またはサブタイプは、所望の用量の総細胞、例えば所望の用量のT細胞の許容される差異でまたは差異内で投与される。特定の局面では、所望の用量は、所望の細胞数、または細胞が投与される対象の単位体重あたりの所望の細胞数、例えば、個/kgである。特定の局面では、所望の用量は、最小細胞数または単位体重あたりの最小細胞数である、またはそれを超える。特定の局面では、所望の用量で投与される総細胞の中で、個別の集団またはサブタイプは、所望のアウトプット比(CD4+対CD8+の比など)でまたはそれ近くで、例えば、そのような比のある特定の許容される差異または誤差内で存在する。
【0442】
いくつかの態様では、細胞は、細胞の個別の集団またはサブタイプのうち1つまたは複数の所望の用量、例えば、CD4+細胞の所望の用量および/またはCD8+細胞の所望の用量の許容される差異でまたは差異内で投与される。特定の局面では、所望の用量は、サブタイプもしくは集団の所望の細胞数、または細胞が投与される対象の単位体重あたりのそのような細胞の所望の数、例えば、個/kgである。特定の局面では、所望の用量は、集団もしくはサブタイプの最小細胞数、または単位体重あたりの集団もしくはサブタイプの最小細胞数である、またはそれを超える。したがって、いくつかの態様では、投薬量は、総細胞の所望の固定用量および所望の比に基づき、かつ/または個別のサブタイプもしくは部分集団の1つもしくは複数、例えば、それぞれの所望の固定用量に基づく。したがって、いくつかの態様では、投薬量は、T細胞の所望の固定用量もしくは最小用量およびCD4+細胞対CD8+細胞の所望の比に基づき、かつ/またはCD4+細胞および/もしくはCD8+細胞の所望の固定用量もしくは最小用量に基づく。
【0443】
ある特定の態様では、細胞、または細胞のサブタイプの個別の集団は、対象に、約100万~約1000億個の細胞の範囲で、例えば、100万~約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または前記値の任意の2つにより定義される範囲)、例えば約1000万~約1000億個の細胞(例えば、約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、または前記値の任意の2つにより定義される範囲)で、場合によっては約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば、約1億2000万個の細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)またはこれらの範囲の間の任意の値で投与される。
【0444】
いくつかの態様では、総細胞の用量および/または細胞の個別の部分集団の用量は、細胞1×105個または約1×105個/kgから、約1×1011個/kg、細胞104個から、1011個または約1011個/キログラム(kg)体重、例えば、細胞105~106個/kg体重の範囲内であり、例えば、細胞1×105個または約1×105個/kg、細胞1.5×105個/kg、細胞2×105個/kg、または細胞1×106個/kg体重である。例えば、いくつかの態様では、細胞は、T細胞104個または約104個から、109個または約109個/キログラム(kg)体重、例えば、T細胞105個~106個/kg体重で、またはその誤差のある特定の範囲内で、例えば、T細胞1×105個もしくは約1×105個/kg、T細胞1.5×105個/kg、T細胞2×105個/kg、またはT細胞1×106個/kg体重で投与される。他の例示的な態様では、本開示の方法に使用するために適した、改変された細胞の投薬量範囲は、細胞約1×105個/kg~細胞約1×106個/kg、細胞約1×106個/kg~細胞約1×107個/kg、細胞約1×107個/kg~細胞約1×108個/kg、細胞約1×108個/kg~細胞約1×109個/kg、細胞約1×109個/kg~細胞約1×1010個/kg、細胞約1×1010個/kg~細胞約1×1011個/kgを含むが、それに限定されるわけではない。例示的な態様では、本開示の方法に使用するために適した投薬量は、細胞約1×108個/kgである。例示的な態様では、本開示の方法に使用するために適した投薬量は、細胞約1×107個/kgである。他の態様では、適切な投薬量は、総細胞約1×107個~総細胞約5×107個である。いくつかの態様では、適切な投薬量は、総細胞約1×108個~総細胞約5×108個である。いくつかの態様では、適切な投薬量は、総細胞約1.4×107個~総細胞約1.1×109個である。例示的な態様では、本開示の方法に使用するために適した投薬量は、総細胞約7×109個である。例示的な態様では、適切な投薬量は、総細胞約1×107個~総細胞約3×107個である。
【0445】
いくつかの態様では、総細胞の用量および/または細胞の個別の部分集団の用量は、細胞1×105または約1×105個/m2から、細胞約1×1011個/m2の範囲内である。例示的な態様では、総細胞の用量および/または細胞の個別の部分集団の用量は、1×107または約1×107個/m2から、3×107または約3×107個/m2の範囲内である。例示的な態様では、総細胞の用量および/または細胞の個別の部分集団の用量は、1×108または約1×108個/m2から、3×108または約3×108個/m2の範囲内である。いくつかの態様では、総細胞の用量および/または細胞の個別の部分集団の用量は、所与の患者により耐容される最大用量である。
【0446】
いくつかの態様では、細胞は、104または約104から、109または約109個/キログラム(kg)体重の、CD4+および/またはCD8+細胞、例えば、105~106個/kg体重のCD4+および/またはCD8+細胞で、またはその誤差のある特定の範囲内で、例えば、1×105もしくは約1×105個/kgのCD4+および/もしくはCD8+細胞、1.5×105個/kgのCD4+および/もしくはCD8+細胞、2×105個/kgのCD4+および/もしくはCD8+細胞、または1×106個/kg体重のCD4+および/もしくはCD8+細胞で投与される。いくつかの態様では、細胞は、約1×106個、約2.5×106個、約5×106個、約7.5×106個、もしくは約9×106個を超える、もしくは少なくとも約1×106個、約2.5×106個、約5×106個、約7.5×106個、もしくは約9×106個のCD4+細胞、および/または少なくとも約1×106個、約2.5×106個、約5×106個、約7.5×106個、もしくは約9×106個のCD8+細胞、および/または少なくとも約1×106個、約2.5×106個、約5×106個、約7.5×106個、もしくは約9×106個のT細胞で、またはその誤差のある特定の範囲内で投与される。いくつかの態様では、細胞は、約108個~1012個もしくは約1010個~1011個のT細胞、約108個~1012個もしくは約1010個~1011個のCD4+細胞、および/または約108個~1012個もしくは約1010個~1011個のCD8+細胞で、またはその誤差のある特定の範囲内で投与される。
【0447】
いくつかの態様では、細胞は、CD4+およびCD8+細胞またはサブタイプなどの、複数の細胞集団またはサブタイプの所望のアウトプット比で、またはその耐容される範囲内で投与される。いくつかの局面では、所望の比は、特定の比であることができる、または比の範囲であることができ、例えば、いくつかの態様では、所望の比(例えば、CD4+細胞対CD8+細胞の比)は、5:1もしくは約5:1から、5:1もしくは約5:1(または約1:5よりも大きく、約5:1よりも小さい)、または1:3もしくは約1:3から、3:1もしくは約3:1(または約1:3よりも大きく、約3:1よりも小さい)、例えば、2:1もしくは約2:1から、1:5もしくは約1:5(または約1:5よりも大きく、約2:1よりも小さい)、例えば、5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、もしくは1:5、または約5:1、約4.5:1、約4:1、約3.5:1、約3:1、約2.5:1、約2:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1、約1:1、約1:1.1、約1:1.2、約1:1.3、約1:1.4、約1:1.5、約1:1.6、約1:1.7、約1:1.8、約1:1.9、約1:2、約1:2.5、約1:3、約1:3.5、約1:4、約1:4.5、もしくは約1:5である。いくつかの局面では、耐容される差は、所望の比の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%以内であり、これらの範囲の間の任意の値を含む。
【0448】
いくつかの態様では、改変された細胞の用量は、それを必要とする対象に単回用量または複数回用量で投与される。いくつかの態様では、改変された細胞の用量は、複数回用量で、例えば、週1回または7日ごと、2週1回または14日ごと、3週1回または21日ごと、4週1回または28日ごとに投与される。例示的な態様では、改変された細胞の単回用量が、それを必要とする対象に投与される。例示的な態様では、改変された細胞の単回用量は、急速静脈内注入によりそれを必要とする対象に投与される。いくつかの態様では、改変された細胞の用量は、それを必要とする対象に、分画用量または分割用量で投与される。そのような態様では、最初の用量が投与され、そして、後続用量が、最初の用量後、1日またはそれ以上、2日またはそれ以上、3日またはそれ以上、4日またはそれ以上、5日またはそれ以上、6日またはそれ以上、7日またはそれ以上、8日またはそれ以上、9日またはそれ以上、10日またはそれ以上、11日またはそれ以上、12日またはそれ以上、13日またはそれ以上、2週間またはそれ以上、3週間またはそれ以上、4週間またはそれ以上、5週間またはそれ以上の時点に、あるいはそれらの間の任意の期間に投与される。
【0449】
疾患の予防または治療に適した投薬量は、処置されるべき疾患の種類、細胞もしくは組み換え受容体の種類、疾患の重症度および経過、細胞が予防目的それとも治療目的で投与されるか、事前の療法、対象の臨床歴および細胞に対する応答、ならびに担当医師の判断に依存する場合がある。組成物および細胞は、いくつかの態様では、対象に1回でまたは一連の処置にわたり適宜投与される。
【0450】
いくつかの態様では、細胞は、組み合わせ処置の部分として、例えば、別の治療的介入、例えば、抗体または操作された細胞または受容体または作用物質、例えば細胞傷害剤もしくは治療剤と同時にまたは任意の順序で順次に投与される。細胞は、いくつかの態様では、1つまたは複数の追加的な治療剤と共に、または別の治療的介入に関連して、同時にまたは任意の順序で順次に共投与される。いくつかの状況では、細胞は、細胞集団が1つまたは複数の追加的な治療剤の効果を高めるように十分に近い時間で別の療法と共に、またはその逆で共投与される。いくつかの態様では、細胞は、1つまたは複数の追加的な治療剤の前に投与される。いくつかの態様では、細胞は、1つまたは複数の追加的な治療剤の後に投与される。いくつかの態様では、1つまたは複数の追加的な作用物質は、例えば持続性を高めるための、IL-2などのサイトカインを含む。いくつかの態様では、この方法は、化学療法剤の投与を含む。
【0451】
細胞の投与に続き、操作された細胞集団の生物学的活性は、いくつかの態様では、例えば、いくつかの公知の方法のいずれかにより測定される。評価のためのパラメーターは、例えばイメージングによるインビボでの、または例えばELISAもしくはフローサイトメトリーによるエクスビボでの、操作されたまたは天然のT細胞または他の免疫細胞の抗原への特異的結合を含む。ある特定の態様では、操作された細胞が標的細胞を破壊する能力は、例えば、Kochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702 (2009)、およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1): 25-40 (2004)に記載される細胞傷害性アッセイなどの、当技術分野において公知の任意の適切な方法を使用して測定することができる。ある特定の態様では、細胞の生物学的活性は、1つまたは複数のサイトカイン、例えばCD107a、IFNy、IL-2、およびTNFの発現および/または分泌をアッセイすることにより測定される。特定の局面では、生物学的活性は、腫瘍負荷または腫瘍量の低減などの臨床的成果を評価することにより測定される。
【0452】
ある特定の態様では、対象に、CARに加えて、第2の治療を投与することができる。
【0453】
いくつかの態様では、CAR T細胞療法の前に、対象に条件付け療法を投与することができる。いくつかの態様では、条件付け療法は、シクロホスファミドの有効量を対象に投与することを含む。いくつかの態様では、条件付け療法は、フルダラビンの有効量を対象に投与することを含む。ある特定の例示的な態様では、条件付け療法は、シクロホスファミドとフルダラビンの併用の有効量を対象に投与することを含む。したがって、本開示は、CAR T療法(例えば、本開示のTN-MUC1 CARを含む改変されたT細胞)を投与する前に、シクロホスファミドとフルダラビンの併用の有効量を含む条件付け療法を対象に投与することを含む、治療法を提供する。CAR T細胞療法の前の条件付け療法の投与は、CAR T細胞療法の有効性を増加させ得る。T細胞療法のための患者を条件付けする方法は、米国特許第9,855,298号(参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)に記載されている。
【0454】
ある特定の態様では、対象に第2の治療が提供される。第2の治療は、化学療法、放射線、外科手術および薬物療法を含むが、それらに限定されない。
【0455】
いくつかの態様では、本開示の特異的投薬レジメンは、改変されたT細胞の投与前のリンパ球枯渇段階を含む。例示的な態様では、リンパ球枯渇段階は、シクロホスファミドおよび/またはフルダラビンの投与を含む。
【0456】
いくつかの態様では、リンパ球枯渇段階は、約200mg/m2/日~約2000mg/m2/日(例えば、200mg/m2/日、300mg/m2/日、または500mg/m2/日)の用量でのシクロホスファミドの投与を含む。例示的な態様では、シクロホスファミドの用量は、約300mg/m2/日である。いくつかの態様では、リンパ球枯渇段階は、約20mg/m2/日~約900mg/m2/日(例えば、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、または60mg/m2/日)の用量でのフルダラビンの投与を含む。例示的な態様では、フルダラビンの用量は約30mg/m2/日である。
【0457】
ある態様では、リンパ球枯渇段階は、約200mg/m2/日~約2000mg/m2/日(例えば、200mg/m2/日、300mg/m2/日、または500mg/m2/日)の用量のシクロホスファミド、および約20mg/m2/日~約900mg/m2/日(例えば、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、または60mg/m2/日)の用量のフルダラビンの投与を含む。例示的な態様では、リンパ球枯渇段階は、約300mg/m2/日の用量のシクロホスファミド、および約30mg/m2/日の用量のフルダラビンの投与を含む。
【0458】
ある例示的な態様では、シクロホスファミドの投薬は、3日間にわたる300mg/m2/日であり、フルダラビンの投薬は、3日間にわたる30mg/m2/日である。
【0459】
リンパ枯渇化学療法の投薬は、0日目のTnMUC1 CAR-T注入を基準にして-6日目~-4日目に予定され得る(-1日目の期間を追加、すなわち、-7日目~-5日目に投薬)。
【0460】
CAR T細胞の注入後の有害作用の1つが、サイトカイン放出症候群(CRS)として知られている免疫活性化の開始であることが当技術分野において公知である。CRSは、上昇した炎症性サイトカインを招く免疫活性化である。CRSは、公知のオンターゲット毒性であり、その発生は、有効性と相関する可能性が高い。臨床尺度および検査尺度は、軽度のCRS(全身症状および/またはグレード2の臓器毒性)~重度のCRS(sCRS)(グレード≧3の臓器毒性、積極的な臨床介入および/または潜在的に生死に関わる)の範囲である。臨床特徴は、高熱、倦怠感、疲労、筋肉痛、悪心、食欲不振、頻脈/低血圧、毛細血管漏出、心機能不全、腎機能障害、肝不全、および播種性血管内凝固を含む。インターフェロン-ガンマ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、IL-10およびIL-6を含むサイトカインの劇的な上昇が、CAR T細胞注入の後に示されている。1つのCRSの徴候は、IL-6(重度上昇)、IFN-ガンマ、TNF-アルファ(中度)およびIL-2(軽度)を含むサイトカインの上昇である。また、フェリチンおよびC反応性タンパク質(CRP)を含む炎症の臨床利用可能なマーカーの上昇も、CRS症候群と相関することが観察されている。CRSの存在は、一般に、養子移入された細胞の拡大増殖および進行性免疫活性化と相関する。高い腫瘍負荷量を有する患者はより大きなsCRSを経験するので、CRSの重症度は注入時の疾病負荷により決まることが実証されている。
【0461】
したがって、本発明は、CRSの診断後に、操作された細胞(例えば、CAR T細胞)の抗腫瘍有効性を弱めずに、制御されない炎症の生理的症状を緩和するために適したCRS管理戦略を提供する。CRS管理戦略は、当技術分野において公知である。例えば、全身コルチコステロイドの投与は、初期の抗腫瘍応答を損なわずに、sCRS(例えば、グレード3のCRS)の症状を急速に後退させ得る。
【0462】
いくつかの態様では、抗IL-6R抗体が投与され得る。抗IL-6R抗体の例は、米国食品医薬品局に承認された、アトリズマブとしても知られるモノクローナル抗体トシリズマブ(ActemraまたはRoActemraとして市販されている)である。トシリズマブは、インターロイキン-6受容体(IL-6R)に対するヒト化モノクローナル抗体である。トシリズマブの投与は、CRSのほぼ即時の後退を実証した。
【0463】
CRSは、一般に、観察された症候群の重症度に基づいて管理され、介入はこれを踏まえて調整される。CRS管理決定は、単に検査値だけに基づくのではなく、臨床徴候および症状ならびに介入に対する応答に基づき得る。
【0464】
軽度~中度の症例は、一般に、適切な症状緩和のために適宜、輸液療法、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)および抗ヒスタミン薬を用いた症状管理で治療される。より重度の症例は、任意の血行動態不安定度を有する患者を含み、任意の血行動態不安定では、トシリズマブの投与が推奨される。CRSの第一選択管理は、トシリズマブであって、いくつかの態様では、8mg/kg IVの表示用量で60分間にわたる(800mg/用量を超えない)トシリズマブであり得る;トシリズマブは、Q8時間で繰り返すことができる。第1用量のトシリズマブに対して至適奏効以下であるならば、追加用量のトシリズマブが考慮され得る。トシリズマブは、単独で投与することも、コルチコステロイド療法と併用して投与することもできる。持続的もしくは進行性のCRS症状、12~18時間の不適切な臨床効果またはトシリズマブに対する応答不良を有する患者は、高用量コルチコステロイド療法、一般的には、ヒドロコルチゾン100mg IVまたはメチルプレドニゾロン1~2mg/kgで治療され得る。より重度の血行動態不安定またはより重度の呼吸器症状を有する患者では、CRSの初期段階で高用量コルチコステロイド療法が患者に投与され得る。CRS管理ガイドラインは、公表されている認定標準に基づき得る(Lee et al. (2019) Biol Blood Marrow Transplant, doi.org/10.1016/j.bbmt.2018.12.758; Neelapu et al. (2018) Nat Rev Clin Oncology, 15:47; Teachey et al. (2016) Cancer Discov, 6(6):664-679)。
【0465】
マクロファージ活性化症候群(MAS)または血球貪食性リンパ組織球症(HLH)と一致した特徴が、CAR-T療法で治療された患者において観察されており(Henter, 2007)、これはCRSの臨床所見と合致する。MASは、CRSから生じる免疫活性化に対する反応であると思われ、それゆえ、CRSの所見と見なされるべきである。MASは、HLH(免疫刺激に対する反応でもある)に似ている。MASの臨床的症候群は、重度の非寛解熱、3系統のうち少なくとも2系統が侵される血球減少、および肝脾腫大症によって特徴付けられる。それは、高い血清フェリチン、可溶性インターロイキン-2受容体およびトリグリセリド、ならびに循環ナチュラルキラー(NK)活性の減少に関連する。
【0466】
患者選択
本明細書に提供される方法は、治療に適格な対象を選択および治療することを伴う。したがって、本開示は、本明細書に記載の方法を使用した治療に適格な対象のための組み入れ基準および除外基準を提供する。
【0467】
ある例示的な態様では、適格な対象は、転移性治療抵抗性卵巣がん(卵管のがんを含む)、膵臓腺がん、ホルモン受容体(HR)陰性およびHER2陰性(トリプルネガティブ)乳がん(TNBC)もしくは非小細胞肺がん(NSCLC)、または再発性/難治性多発性骨髄腫と確定診断されている必要がある。
【0468】
いくつかの態様では、適格な対象は、0または1のECOGスコアを有する。
【0469】
いくつかの態様では、適格な対象は、以下のいずれか1つ後に多発性骨髄腫:再発性または難治性疾患の事前療法を受けたことがある:(i)少なくとも3回の事前レジメン(これは、アルキル化剤、プロテアソーム阻害剤およびサリドマイド類似体(レナリドミドまたはポマリドミド)を含有していなければならない)、(ii)プロテアソーム阻害剤およびサリドマイド類似体に「二重難治性」(これらの薬剤による治療の60日目または60日以内に進行状態として定義される)であるならば、少なくとも2回の事前レジメン、ならびに/または(iii)患者は、もし行われていたならば自家幹細胞移植(ASCT)から少なくとも90日経過していなければならない。
【0470】
いくつかの態様では、導入療法、自家幹細胞移植(ASCT)および維持療法が進行に介入することなく順次与えられるならば、これらは、1「レジメン」と見なされる。
【0471】
いくつかの態様では、適格な対象は、非小細胞肺がん(NSCLC)の事前療法を受けたことがある。一態様では、NSCLCの事前療法を受けたことがある適格な対象は、チェックポイント阻害(PD-1/PD-L1指向型療法)と白金ベースの化学療法の両方を含む標準療法を受けたことがあるか、またはこれらの標準療法に不耐性である。一態様では、EGFRまたはALK変更を伴うNSCLCの事前療法を受けたことがある適格な対象は、上記の標準療法クラスに加えて、特異的な特定された変異に指向される事前標的化療法を受けたことがある。
【0472】
いくつかの態様では、適格な対象は、膵臓腺がんの事前療法を受けたことがある。一態様では、膵臓腺がんの事前療法を受けたことがある適格な対象は、転移性または切除不能疾患に対する少なくとも1つの全身化学療法による標準治療後に、病勢進行を経験したことがある。
【0473】
いくつかの態様では、適格な対象は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の事前療法を受けたことがある。一態様では、TNBCの事前療法を受けたことがある適格な対象は、転移性乳がんの管理のためのそれらの治療の一部としての少なくとも1つの事前全身抗がん療法レジメン後に、病勢進行を経験したことがある。
【0474】
いくつかの態様では、適格な対象は、卵巣がんの事前療法を受けたことがある。一態様では、卵巣がんの事前療法を受けたことがある適格な対象は、白金抵抗性(当初は白金療法に感受性)と見なされた場合に適格であり、白金含有レジメンを含む少なくとも1種類の事前療法を含む転移性卵巣がんに対する少なくとも2種類の事前療法を受けたことがある。
【0475】
いくつかの態様では、適格な対象は、評価可能な疾患を有する。
【0476】
一態様では、多発性骨髄腫を有する適格な対象は、対象が、以下の少なくとも1つを含む、治療(臨床研究)エントリーに関して測定可能な疾患を有する場合に適格である:(1)血清Mスパイク≧0.5g/dL;(2)24時間尿Mスパイク≧200mg;(3)異常な比を伴う関与無血清軽鎖(FLC)≧50mg/L;(4)検査または画像診断での測定可能な形質細胞腫;(5)骨髄形質細胞≧20%。
【0477】
いくつかの態様では、正常血清タンパク質とベータ領域のパラタンパク質との共移動が原因で血清タンパク質電気泳動が信頼できないと見なされるIgA骨髄腫を有する対象は、総血清IgAレベルが正常範囲を上回る限り適格であり得る。
【0478】
一態様では、固形腫瘍を有する適格な対象は、固形腫瘍の反応評価基準(RECIST v.1.1; Eisenhauer et al. (2009) Eur J Cancer, 45(2):228-247を参照のこと)により判定された疾患ステータスを有するだろう。腫瘍画像診断は、アフェレーシスの前の少なくとも28日以内に実施され得る。相固有の基準は、以下を含む:第1相:対象は、第1相でRECIST v.1.1による評価可能な疾患を有していなければならない;第1a拡大相:対象は、第1a拡大相でRECISTv.1.1による測定可能な疾患を有していなければならない。
【0479】
いくつかの態様では、適格な対象は、事前またはアーカイブ腫瘍生検でのTnMUC1発現が中央で検査されたことで決定されるTnMUC1+疾患を有する。アーカイブ腫瘍生検試料が入手できないならば、対象は、重大なリスクを伴わない生検手技のみを用いてスクリーニング適格性の目的で任意の生検を受ける場合がある。
【0480】
いくつかの態様では、適格な対象は、スクリーニングの少なくとも2週間前に事前抗がん療法を完了しており、かつ、任意の先行療法からの毒性がグレード1または0まで回復していなければならない(脱毛症、十分に制御された電解質または内分泌異常、十分に制御された末梢神経障害、および白斑を除く)。
【0481】
いくつかの態様では、適格な対象は、3ヶ月を超える平均余命を有する。
【0482】
いくつかの態様では、適格な対象は、以下によって定義されるとおりの適切な重要臓器機能を有する:
(1)血清クレアチニン≦1.5mg/dLまたは推定クレアチニンクリアランス≧30ml/min(施設内標準算出による);
(2)アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≦3×正常値上限(ULN)ならびに総ビリルビン≦2.0mg/dL。肝疾患を有する患者については特に除外されない;
(3)血清総ビリルビン<1.5×ULN;
(4)血清アルブミン≧3.0g/dL(アーム1および第1a相の固形腫瘍患者のみ、多発性骨髄腫を有する患者には適用されない);
(5)左室駆出分画率(LVEF)≧45%。LVEF評価は、スクリーニングの8週間以内に実施されていなければならない。
【0483】
いくつかの態様では、適格な対象は、以下によって定義されるとおりの適切な血液予備能を有する(アフェレーシスの4週間以内に補助輸血または造血成長因子の使用なし):
(1)ヘモグロビン≧9g/dL;
(2)好中球絶対数≧1000/μL;
(3)血小板数≧50,000/μL(骨髄腫患者について骨髄形質細胞が細胞充実度≧50%である場合、≧30,000/μL);
(4)>500/μLのリンパ球絶対数。一態様では、適格な対象は、血液学的パラメーターを維持するのに輸注依存的であってはならない。
【0484】
いくつかの態様では、生殖能のある適格な対象は、プロトコルにより承認されている避妊法を使用することに同意する。
【0485】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法を使用した治療が考慮される適格な対象は、以下の基準のいずれも満たしてはならない:
(1)治療(臨床研究)に含まれる提案されたがん以外の活動性浸潤がん;
(2)全身高用量コルチコステロイド(20mg/日のプレドニゾン当量を超える用量として定義される)による現行治療。治療(臨床研究)エントリー時に多発性骨髄腫を有する対象は、アフェレーシスの前に事前の積極的高用量コルチコステロイド療法を完了していなければならず、かつ、低用量コルチコステロイド療法でまたはコルチコステロイド療法なしで維持されなければならない。20mg/日以下のプレドニゾンと同等のコルチコステロイドによる低用量生理学的置換療法が許容可能である;
(3)活動性自己免疫疾患(結合組織疾患、ブドウ膜炎、サルコイドーシス、炎症性腸疾患または多発性硬化症を含む)または長期免疫抑制療法を必要とする重症自己免疫疾患歴を有する(任意の免疫抑制療法は、スクリーニング来院前の6週間以内に停止されているべきである);
(4)現在活動性のHIV、HCV、HBV感染。不顕性感染を除外するためにすべての対象でスクリーニング時にウイルス検査が必要とされる;
(5)治療レジメンへの参加を不可能にする他の活動性または制御されない医学的または精神医学的状態;
(6)事前の同種幹細胞移植;
(7)活動性で未治療の中枢神経系(CNS)悪性腫瘍。治療病変は、根治的治療後少なくとも1ヶ月間安定であれば、不活動性と見なしてもよい。対象は、脳転移の管理にコルチコステロイド療法または抗てんかん薬物療法を必要としてはならない;
(8)CART-TnMUC1細胞を安全に受ける患者を排除することになる、モノクローナル抗体もしくは生物学的療法に対するまたは臨床研究製品の賦形剤(例えば、ヒト血清アルブミン、DMSO、デキストラン40)に対する重度注入反応歴;
(9)(i)ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIIIもしくはIVの心不全、(ii)不安定狭心症、または(iii)最近(6ヶ月以内)の心筋梗塞歴もしくは持続性(>30秒)の心室性頻脈性不整脈歴として定義される、活動性または最近(アフェレーシスの前の過去6ヶ月以内)の心疾患;
(10)アフェレーシス処置の不適切な静脈アクセスまたはアフェレーシス処置の禁忌を有する;
(11)妊娠または授乳中の女性。
【0486】
別の例示的な態様では、適格な対象は、転移性治療抵抗性卵巣がん(卵管のがんを含む)、膵臓腺がん、ホルモン受容体(HR)陰性およびHER2陰性(トリプルネガティブ)乳がん(TNBC)もしくは非小細胞肺がん(NSCLC)、または再発性/難治性多発性骨髄腫と確定診断されている必要がある。
【0487】
いくつかの態様では、適格な対象は、0または1の米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)スコアを有する。
【0488】
いくつかの態様では、適格な対象は、本明細書に記載されるような腫瘍タイプによって定義されるとおりの事前療法を受けたことがある。
【0489】
いくつかの態様では、適格な対象は、本明細書に記載されるような腫瘍タイプによって定義されるとおりの評価可能な疾患を有する。
【0490】
いくつかの態様では、適格な対象は、事前またはアーカイブ腫瘍生検でのTnMUC1発現が中央で検査されたことで決定されるTnMUC1+疾患を有する。
【0491】
いくつかの態様では、適格な対象は、スクリーニングおよび毒性評価の少なくとも2週間前に事前抗がん療法を完了している。
【0492】
いくつかの態様では、適格な対象は、3ヶ月を超える平均余命を有する。
【0493】
いくつかの態様では、適格な対象は、血清クレアチニン≦1.2mg/dLまたは算出クレアチニンクリアランス≧60ml/分(Cockroft & Gaultの式を使用)のレベルを有する。
【0494】
いくつかの態様では、適格な対象は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦2.5×施設内正常値上限のレベルを有する。以下を除く:公知の肝転移、ASTまたはALT≦3×施設内正常値上限を有する患者。
【0495】
いくつかの態様では、適格な対象は、血清総ビリルビン<1.5mg/dLのレベルを有する。以下を除く:公知のジルベール病、血清総ビリルビン<3mg/dLを有する患者。
【0496】
いくつかの態様では、適格な対象は、血清アルブミン≧3.0g/dLのレベルを有する(アーム1および第1a相の固形腫瘍患者のみ、多発性骨髄腫を有する患者には適用されない)。
【0497】
いくつかの態様では、適格な対象は、左室駆出分画率(LVEF)≧50%と評価されている。LVEF評価は、スクリーニングの8週間以内に実施されていなければならない。
【0498】
いくつかの態様では、適格な対象は、ヘモグロビン≧9g/dLのレベルを有する。
【0499】
いくつかの態様では、適格な対象は、好中球絶対数≧1500/μLのレベルを有する。
【0500】
いくつかの態様では、適格な対象は、血小板数≧100,000/μL(骨髄腫患者について骨髄形質細胞が細胞充実度≧50%である場合、≧30,000/μL)のレベルを有する。
【0501】
いくつかの態様では、適格な対象は、>500/μLのリンパ球絶対数レベルを有する。
【0502】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法を使用した治療が考慮される適格な対象は、以下のいずれも有してはならないまたは以下のいずれであってもならない:
(1)治療(臨床研究)に含まれる提案されたがん以外の活動性浸潤がん;
(2)全身高用量コルチコステロイド(20mg/日のプレドニゾン当量を超える用量として定義される)による現行治療;
(3)活動性自己免疫疾患(結合組織疾患、ブドウ膜炎、サルコイドーシス、炎症性腸疾患または多発性硬化症を含む)または長期免疫抑制療法を必要とする重症自己免疫疾患歴を有する(任意の免疫抑制療法は、スクリーニング来院前の6週間以内に停止されているべきである);
(4)現在活動性のヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)感染;
(5)事前の同種幹細胞移植;
(6)活動性で未治療の中枢神経系(CNS)悪性腫瘍;
(7)CART-TnMUC1細胞を安全に受ける患者を排除することになる、モノクローナル抗体もしくは生物学的療法に対するまたは治療(臨床研究)製品の賦形剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ジメチルスルホキシド[DMSO]、デキストラン40)に対する重度注入反応歴;
(8)(1)ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIIIもしくはIVの心不全、(2)不安定狭心症、または(3)最近(6ヶ月以内)の心筋梗塞歴もしくは持続性(>30秒)の心室性頻脈性不整脈歴として定義される、活動性または最近(アフェレーシスの前の過去6ヶ月以内)の心疾患;
(9)アフェレーシス処置の不適切な静脈アクセスまたはアフェレーシス処置の禁忌を有する;および/または
(10)妊娠または授乳中の女性。
【0503】
臨床試験測定法
いくつかの態様では、臨床試験への参加のための患者のスクリーニングおよび選択に臨床試験測定法が使用される。ある例示的な態様では、臨床試験測定法は、TnMUC1臨床試験測定法(CTA)である。TnMUC1 CTAは、免疫組織化学測定法(本明細書の実験例8を参照のこと)であってもよく、インビトロコンパニオン診断デバイス(CDx)に組み込んでもよい。
【0504】
薬学的組成物
本明細書に記載の改変された免疫細胞(例えば、Tn-MUC1 CAR T細胞)は、免疫療法のための、特に、MUC1関連がんを治療するための組成物に含めてもよい。該組成物は、薬学的組成物を含んでもよく、薬学的に許容される担体をさらに含んでもよい。改変された免疫細胞を含む薬学的組成物の治療有効量が投与され得る。
【0505】
本発明の薬学的組成物は、本明細書に記載のとおりの改変された免疫細胞を、1つまたは複数の薬学的にまたは生理学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせて含み得る。そのような組成物は、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水などの緩衝液;グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトールなどの炭水化物;タンパク質;ポリペプチドまたはグリシンなどのアミノ酸;酸化防止剤;EDTAまたはグルタチオンなどのキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);および保存料を含み得る。ある特定の例示的な態様では、本明細書に記載の組成物は、静脈内投与用に製剤化される。
【0506】
本発明の薬学的組成物は、治療(または予防)されるべき疾患に適した様式で投与され得る。投与の量および頻度は、患者の状態ならびに患者の疾患の種類および重症度のような要因によって決定されるが、適切な投与量は臨床試験によって決定され得る。
【0507】
投与されるべき本発明の細胞は、療法を受ける対象に対して自家、同種または異種であり得る。
【0508】
本発明の細胞は、適切な前臨床および臨床の実験および試験で決定される投与量および経路かつ時間で投与することができる。細胞組成物は、これらの範囲内の投与量で複数回投与され得る。本発明の細胞の投与は、当業者によって決定されるような所望の疾患または状態を治療するのに有用な他の方法と併用してもよい。
【0509】
また、本明細書に記載の免疫細胞集団、そのような細胞を含有するおよび/またはそのような細胞が濃縮された組成物、例えば、組み換え受容体を発現する細胞が、組成物中の総細胞または制御性T細胞などのある特定の種類の細胞に対して、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ超を占める、組成物も提供される。組成物は中でも、養子細胞療法のためなどの、投与のための薬学的組成物および製剤である。また、細胞および組成物を、対象、例えば、患者に投与するための治療法も提供される。
【0510】
また、薬学的組成物および製剤を含めた投与のための細胞を含む組成物、例えば、所与の用量またはその画分での投与のための細胞数を含む単位用量形態組成物も提供される。薬学的組成物および製剤は、一般には、1つまたは複数の任意の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも1つの追加の治療剤を含む。
【0511】
用語「薬学的製剤」は、それに含有される活性成分の生物学的活性を有効にさせるような形態の調製物であって、製剤が投与されるであろう対象に対して許容できないほど有毒な追加の成分を含有しない、調製物を指す。
【0512】
「薬学的に許容される担体」は、対象に対して無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体は、緩衝液、賦形剤、安定剤または保存料を含むが、それに限定されるわけではない。特定の局面では、担体の選択は、一部には、特定の細胞によっておよび/または投与方法によって決定される。したがって、多種多様な適切な製剤がある。例えば、薬学的組成物は、保存料を含有することができる。適切な保存料は、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを含み得る。特定の局面では、2つまたはそれよりも多い保存料の混合物が使用される。保存料またはその混合物は、典型的には、全組成物の重量に対して約0.0001%~約2%の量で存在する。担体は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)により記載されている。
【0513】
薬学的に許容される担体は、一般には、採用される投与量および濃度でレシピエントに対して無毒であり、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコールもしくはベンジルアルコール;メチルパラベンもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン類;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む単糖、二糖および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含むが、それに限定されるわけではない。
【0514】
特定の局面では、緩衝剤が組成物中に含まれる。適切な緩衝剤は、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウムならびに様々な他の酸および塩を含む。特定の局面では、2種またはそれより多くの緩衝剤の混合物が使用される。緩衝剤またはその混合物は、典型的には、全組成物の重量に対して約0.001%~約4%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005)に、より詳細に記載されている。
【0515】
本明細書に記載の製剤は、水溶液を含むことができる。製剤または組成物はまた、細胞により処置される特定の適応症、疾患、または状態に有用な1つよりも多い活性成分、例えば、細胞を補完する活性であって、それぞれが、互いに悪影響を及ぼさない活性を有するもの、を含有し得る。そのような活性成分は、適切には、意図する目的に効果的な量で組み合わされて存在する。したがって、いくつかの態様では、薬学的組成物は、他の薬学的に活性な作用物質または薬物、例えば、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチンおよび/またはビンクリスチンをさらに含む。薬学的組成物は、いくつかの態様では、疾患または状態を治療または予防するのに有効な量、例えば、治療有効量または予防有効量で細胞を含有する。治療有効性または予防有効性は、いくつかの態様では、処置される対象を定期的に評価することによってモニタリングされる。細胞の単回ボーラス投与によって、細胞の複数回ボーラス投与によって、または細胞の連続注入投与によって、所望の投与量を送達することができる。
【0516】
製剤は、経口、静脈内、腹腔内、皮下、肺内、経皮、筋肉内、鼻腔内、口腔、舌下または坐剤投与のための製剤を含む。いくつかの態様では、細胞集団は、非経口投与される。用語「非経口」は、本明細書において使用される場合、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、膣内および腹腔内投与を含む。いくつかの態様では、細胞は、静脈内、腹腔内または皮下注射による末梢全身送達を使用して対象に投与される。組成物は、いくつかの態様では、無菌の液体調製物、例えば、等張性水溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液または粘性組成物として提供され、これらは、特定の局面では、選択されたpHに緩衝化され得る。液体調製物は、通常、ゲル、他の粘性組成物および固体組成物よりも調製しやすい。追加的に、液体組成物が、投与に、とりわけ、注射による投与にいくらか便利である。他方で、粘性組成物を、特定の組織とのより長い接触期間をもたらすのに適した粘性範囲内で製剤化することができる。液体組成物または粘性組成物は、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であることができる、担体を含むことができる。
【0517】
無菌注射液は、溶媒中に、例えば、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどの適切な担体、希釈剤または賦形剤と混合された溶媒中に細胞を取り入れることによって、調製することができる。組成物は、所望の投与経路および調製に応じて、湿潤剤、分散剤、または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化もしくは粘性増強添加物、保存料、着香剤および/または着色剤などの補助物質を含有することができる。特定の局面では、適切な調製物を調製するために標準的な教科書に助言を求めてよい。
【0518】
抗菌保存料、酸化防止剤、キレート剤、および緩衝液を含む、組成物の安定性および無菌性を増強する様々な添加物を添加することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールおよびソルビン酸によって保証することができる。注射用薬学的剤形の長期吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを使用することによってもたらすことができる。
【0519】
インビボ投与に使用されるべき製剤は、一般に無菌のものである。無菌は、例えば滅菌濾過膜で濾過することによって、容易に達成され得る。
【0520】
一般に、本明細書に記載の改変された免疫細胞を含む薬学的組成物は、104~109個の細胞/kg体重、いくつかの場合では、105~106個の細胞/kg体重(これらの範囲内のすべての整数値を含む)の投与量で投与され得ると規定することができる。免疫細胞組成物はまた、これらの投与量で複数回投与され得る。細胞は、免疫療法において一般に知られている注入技法を使用することによって投与することができる(例えば、Rosenberg et al., New Eng. J. of Med. 319:1676, 1988を参照のこと)。特定の患者に対する最適な投与量および治療レジメンは、医学分野の当業者が、疾患の徴候について患者をモニタリングし、それに応じて治療を調整することによって、容易に決定することができる。
【0521】
本発明の改変された免疫細胞の投与は、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹部内、嚢内、軟骨内、腔内(intracavitary)、体腔内(intracelial)、小脳内、脳室内、結腸内、頚管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸腔内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣、直腸、頬、舌下、鼻腔内、または経皮から選択される少なくとも1つの様式によって投与され得る。いくつかの態様では、本発明の改変された免疫細胞の投与は、当業者に公知の任意の簡便な手法で行われ得る。本発明の細胞は、エアロゾル吸入、注射、摂取、輸注、インプランテーションまたは移植によって対象に投与され得る。本明細書に記載の組成物は、患者に対して、経動脈的に、皮下に、皮内に、腫瘍内に、結節内に、髄内に、筋肉内に、静脈内(i.v.)注射によって、または腹腔内に投与され得る。他の場合には、本発明の細胞は、対象における炎症の部位、対象における局所疾患部位、リンパ節、臓器、腫瘍などに直接注射される。
【0522】
本発明において有用であろう方法および組成物は、実施例に示される特定の製剤に限定されないことが理解されるべきである。以下の実施例は、当業者に、本発明の細胞、拡大増殖法および培養法ならびに治療法をどのように作製および使用すればよいかの徹底した開示および説明を提供する目的で提示されるものであって、本発明者らが自分たちの発明と見なしていることの範囲を限定することを意図するものではない。
【0523】
本発明の実施は、別途指示のない限り、十分に当業者の技能の範囲内にある分子生物学(組み換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技法を用いる。そのような技法は、"Molecular Cloning:A Laboratory Manual", fourth edition (Sambrook, 2012); "Oligonucleotide Synthesis" (Gait, 1984); "Culture of Animal Cells" (Freshney, 2010); "Methods in Enzymology" "Handbook of Experimental Immunology" (Weir, 1997); "Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells" (Miller and Calos, 1987); "Short Protocols in Molecular Biology" (Ausubel, 2002); "Polymerase Chain Reaction: Principles, Applications and Troubleshooting", (Babar, 2011); "Current Protocols in Immunology" (Coligan, 2002)などの文献中に十分に説明されている。これらの技法は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの作製に適用可能であり、よって、本発明の策定および実施において考慮してもよい。特定の態様にとって特に有用な技法を後続の項で考察する。
【0524】
本明細書において言及または引用される論文、特許および特許出願、ならびにすべての他の文書および電子的に入手可能な情報の内容は、それぞれの個々の刊行物が参照によって組み入れられることが具体的かつ個々に示されているかのように、参照によってそれらの全体が同程度に本明細書に組み入れられる。出願人等は、そのような任意の論文、特許、特許出願または他の物理的および電子的文書からのあらゆる資料および情報を本出願中に物理的に組み入れる権利を有する。
【0525】
本発明は、その具体的な態様を参照しながら記載されてきたが、本発明の真の精神および範囲から逸脱しなければ、様々な変更を行っても等価物に置換してもよいことが、当業者によって理解されるべきである。本明細書に開示の態様の範囲から逸脱しなければ、適切な等価物を使用して本明細書に記載の方法の他の適切な改変および適合を行ってよいことが、当業者には容易に明らかとなろう。加えて、多くの改変を行って、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、1つまたは複数のプロセス段階を本発明の目的、精神および範囲に適合させてもよい。そのような改変はすべて、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。ここでは特定の態様を詳細に記載してきたが、同じものが以下の実施例を参照することによってより明確に理解され、以下の実施例は、例証を目的としてのみ含まれるものであって、限定を意図するものではない。
【実施例0526】
実験例
これから以下の実施例を参照して本発明を説明する。これらの実施例は、例証だけの目的で提供されるものであって、本発明は、これらの実施例に限定されるわけではなく、本明細書において提供される教示の結果として明白であるすべての変形を包含する。
【0527】
これらの実験に採用される材料および方法をこれから説明する。
【0528】
がんゲノムアトラスの分析:がんゲノムアトラス(TCGA)の956人の患者の乳がんコホートを、関心対象のMUC1ならびにグリコシル化酵素:C1GalT1、C1GalT1C1、ST6GalNAc1およびB3GNT6の正規化された遺伝子発現について照会した。臨床特徴および腫瘍特徴を比較した。腫瘍を、それらのHer-2/neu(Her2)受容体のHer2+またはHer2-としての発現状態と、ホルモン受容体(HR)、すなわちエストロゲンまたはプロゲステロン受容体のHR+またはHR-のいずれかとしての発現状態によって層別化した。遺伝子発現を、一元配置分散分析を使用してサブタイプに従って分析した。
【0529】
定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR):いくつかの市販の乳がん細胞株MCF10A(cat. no)、MCF7(cat. no)、BT20(cat. no)、MDA-MB-231(cat. no)およびMDA-MB-453(cat no)をATCCから購入し、製造業者の説明書に従って拡大増殖および維持した。すべての細胞株を、本発明者らのアッセイのために可能な最少継代数で拡大増殖させ、すべてマイコプラズマ陰性を検査した。各乳がん細胞株の遺伝子発現を、非腫瘍原性乳房上皮細胞株であるMCF10Aの発現と比較した。
【0530】
候補となる乳がん組織バンクは、手術可能で触知可能な乳がんを呈する患者から収集された試料で維持した。腫瘍および正常な乳房組織の試料は、病理学的解析用に調製時に収集し、液体窒素中で急速凍結する。試料は、使用するまで-80℃で保存した。
【0531】
候補として調達された組織バンクから、50の乳房腫瘍および10の一致する正常な乳房組織試料のコホートを選択した。試料を融解し、機械的に解離させ、Lysing Matrix Dチューブ(MP Biomedicals, Santa Ana, CA)を使用してホモジナイズした。5つの細胞株(MCF10A-非腫瘍原性乳房上皮、MCF7-HR+ Her2-、BT20-TNBC、MDA-MB-231-TNBCおよびMDA-MB-453-TNBC)の凍結ストックを融解した。RNeasy Mini Kit(Qiagen, Germantown, MD)を使用してすべての試料からRNAを精製し、SuperScript III First-Strand Synthesis System(Invitrogen, Carlsbad, CA)を使用したRT-PCRを介してcDNAを調製した。
【0532】
TaqManプローブおよびViia7 Real-Time PCRシステム(Applied Biosystems, Carlsbad, CA)を使用して、GAPDH、MUC1、C1GalT1、C1GalT1C1、ST6GalNAc1およびB3GNT6の遺伝子発現について試料を分析した。すべての遺伝子の発現をGAPDH発現に対して正規化した。各遺伝子のRNAの相対発現レベルを、腫瘍(n=50)および一致する正常組織(入手可能な場合、n=10)間で比較した。ダブルデルタ解析法を使用して、倍率変化を算出し、遺伝子ごとに平均倍率変化(MFC)を算出した。
【0533】
免疫組織化学:エストロゲン(ER)、プロゲステロン(PR)およびHer-2/neu(Her2)受容体発現は、標準的な病理学評価の一部として、参加者すべてにホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)乳がん組織試料の標準的な免疫組織化学(IHC)染色技法を行うことによって評価した。
【0534】
上記のコホートからのアーカイブホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍試料はまた、5E5 mAbおよびHRPコンジュゲート抗マウスIgを使用してTn-MUC1の発現を評価するため、免疫組織化学(IHC)染色分析に利用可能であった。認定盲検病理学者によってIHC染色の結果が評価され、以下の式を使用してTn-MUC1に染色陽性の腫瘍細胞の強度と割合の積として定義されるHスコアとして記録した:[1×(1+の細胞の%)+2×(2+の細胞の%)+3×(3+の細胞の%)]。Hスコアの分布(0~300)を評価し、Hスコア値142を中心とした二峰性分布の非正規であることが分かった。次に、この値(142)は、結果を陽性または陰性のいずれかとして二分するカットオフ値として使用した。独立t検定を使用して乳がんサブタイプ間でHスコアの比較を行い、カイ二乗検定およびカプラン・マイヤー生存検定を使用してHスコア群間で臨床特徴および生存率の比較を行った。
【0535】
ヒトCAR T細胞の生成および細胞傷害性アッセイ:過去に記載されているように(Posey et al., (2016) Immunity 44, 1444-1454)、正常ドナーヒトT細胞を活性化および形質導入して、対照のCD19-BBz CARおよび5E5-BBz CAR T細胞を産生させた。細胞傷害性アッセイは、過去に記載されているように(Watanabe et al., (2018) JCI Insight 3)、xCELLigence(ACEA Biosciences)リアルタイム細胞インピーダンスアッセイを使用して実施した。簡単に述べると、腫瘍細胞をe-プレートに低密度で播種し、播種の約24時間後にT細胞と腫瘍細胞株とをエフェクター:標的比10:1で100時間共インキュベートし、細胞指数を15分ごとに記録した。
【0536】
CAR T細胞送達の異種移植マウスモデル:100万個のルシフェラーゼ発現MDA-MB-453細胞を、PBS 100μL中で乳腺脂肪体に注射するか、または50:50のPBS:マトリゲル200μL中でマウスの右脇腹に皮下注射することによって、乳がん異種移植モデルを確立した。腫瘍接種の1週間後、腫瘍の平均総フラックスが脂肪体モデルで約109および皮下モデルで108であったとき、500万個のNTD、CD19 CARまたは5E5 CAR T細胞を側尾静脈に静脈内注射、脂肪体もしくは皮下腫瘍に腫瘍内注射または腹腔内注射してマウスを治療した。Xenogen IVIS-200 Spectrumを使用して、腫瘍生物発光についてマウスを順次撮像した。
【0537】
ネズミCAR T細胞の生成、インビトロ細胞傷害性アッセイおよび同系マウスモデル:過去に記載されているように(Watanabe et al., (2018) JCI Insight 3)、ヒトCAR骨格と相同性のネズミエレメント(CD8aリーダー、CD8a細胞外ヒンジおよび膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメインおよびCD3ゼータ)を用いてネズミCAR骨格構築物を合成し、MSGVレトロウイルスベクターにクローニングした。5E5 scFvおよびHMFG1 scFvをネズミCAR骨格に制限部位BamHIおよびBspEIを通じてサブクローニングし、そして、Plat E細胞株を使用してレトロウイルスをパッケージングし、同種指向性のレトロウイルスを産生させた。ネズミT細胞形質導入のために、hMUC1.tgドナーマウスから脾臓を採取し、抗マウスCD3および抗マウスCD28抗体コートビーズ(Dynabeads, Thermo Fisher Scientific)でT細胞を活性化させた。ビーズ刺激の翌日、レトロネクチンコートプレート上でCARコードレトロウイルスによるT細胞の形質導入を行った。形質導入後、マウスCAR T細胞を50U/mLヒトIL-2の存在下で4日間拡大増殖させ、T細胞活性化後の5日目にhMUC1.tgマウスに注射した。
【0538】
マウス注射の当日、マウスCAR T細胞とJurkatルシフェラーゼ発現細胞株とをエフェクター:標的比20:1で16時間共培養した。次いで、細胞をPBS中で1回洗浄し、ルシフェラーゼ細胞培養溶解試薬(Promega)中で溶解し、その後、ルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega)と混合した。プレート分光光度計を使用して溶解物の発光を分析した。標的細胞単独およびTriton-X溶解標的細胞の発光(それぞれ溶解0%および溶解100%に対応する)を使用して、試料ごとの比溶解率を算出した。
【0539】
統計分析:SPSS 24(IBM, Armonk, NY)およびPrism(GraphPad)を使用して統計分析を実施した。P値は、<0.05ならば有意と見なした。
【0540】
ここで、実験の結果を説明する。
【0541】
実施例1:乳がんにおけるMUC1および関連グリコトランスフェラーゼの遺伝子発現分析-乳がん試料のTCGA遺伝子発現分析
腫瘍の表面糖タンパク質上の異常なO-グリコシル化の1つの公知の機序は、関与するグリコトランスフェラーゼの変異またはエピジェネティックサイレンシングであるが、MUC1などの過剰発現された糖タンパク質とそれによる細胞糖機構(cellular glycomachinery)の飽和の別の機序も提唱されている。乳がんにおけるTn-MUC1発現分析の研究は、TCGAの956人の患者の乳がんコホート試料においてMUC1またはごく近いO-グリコトランスフェラーゼのいずれか(およびシャペロンタンパク質C1GalT1C1)が差次的な遺伝子発現を有しているかどうかを調べることによって開始した。人種、リンパ節ステージ、転移状態または全体のがんステージによって患者を層別化したとき、遺伝子発現の差は認められなかった(すべてp>0.05)。MUC1発現は、腫瘍ステージによって異なり、T1およびT2腫瘍は、T3およびT4腫瘍よりも低い発現を呈する(p<0.001)。コホートを腫瘍サブタイプによって層別化した際、TシンターゼシャペロンC1GalT1C1を除き、アッセイしたMUC1およびすべてのO-グリコトランスフェラーゼは差次的発現を呈した。HR-がんと比較して、HR+がんは、より高いMUC1発現(p<0.001)およびより低いC1GalT1発現(p<0.001)を有していた。ST6GalNAc1およびB3GNT6の発現は、HR-, Her2+がんで最高であった(共にp<0.001)。結果は、すべての腫瘍サブタイプが、Her2またはHRの発現状態に関わらず、MUC1の異常なグリコシル化を有することを示唆した。
【0542】
実施例2:乳がん細胞株ならびに一致する正常組織試料および乳がん組織試料におけるMUC1および関連グリコトランスフェラーゼの遺伝子発現分析
様々なHRまたはHer2発現状態を有するいくつかの市販の乳がん細胞株においてMUC1および関連するO-グリコトランスフェラーゼの遺伝子発現を分析した。MCF10Aは、HR-非浸潤性乳房上皮細胞株である。MCF7は、HR
+ Her2
-乳がん細胞株である。BT20、MDA-MB-231、およびMDA-MB-453は、HR- Her2-乳がん細胞株である。すべての乳がん細胞株は、より低いB3GNT6(MFC 0.04)、C1GALT1(MFC 0.07)およびC1GALT1C1(0.44)発現、より高いMUC1(142.85)およびST6GALNAC1(61.06)発現を有しており(
図2A)、このことは、異常なO-グリカン発現の2つの機序と一致する。同様に、一致する正常な乳房組織と比較して、乳房腫瘍試料は、より低いB3GNT6発現(MFC 0.16)およびより高いMUC1発現(MFC 31.62)を有していた(
図7A~7C)。発現は、C1GALT1(MFC 0.93)、C1GALT1C1(MFC 0.95)およびST6GALNAC1(MFC 1.02)について本質的に同等であった。患者由来コホートにおいて5つの遺伝子すべての発現について乳がんサブタイプ間でMFCに差は認められなかった(すべてp>0.05)。これらの結果は、MUC1の過剰発現およびコア3のO-グリカンの喪失が乳がんの共通する特徴であることを示唆している。コア3合成の遮断は、短縮型Tn抗原発現への1つの経路である。
【0543】
実施例3:Tn-MUC1グリコエピトープは、乳がんにおいて特異的に発現され、隣接正常乳房組織において発現されない-正常および悪性乳房組織における免疫組織化学(IHC)分析
5E5抗Tn-MUC1抗体を使用したIHCによってTn-MUC1グリコエピトープ発現を定量した(
図3Aおよび3B)。正常な隣接乳房組織は、52の乳房腫瘍組織切片うち7つに存在していた。腫瘍上皮細胞はTN-MUC1について強く染色された一方で、隣接正常乳房上皮細胞のTN-MUC1についての染色は、欠如していたかまたは有意により低いHスコアであった。腫瘍組織についての平均Hスコアは183.8±95.7であり、正常な乳房組織についての平均Hスコアは34.9±32.8であった(p<0.001)。HRまたはHer2受容体の発現状態に従い乳がんサブタイプによって層別化すると、HR-/Her2-(または一般にトリプルネガティブと称される)乳房腫瘍試料は、HR+/Her2-(228.0±86.5)およびHR+またはHR-/Her2+(220.5±65.4)試料と比較して、最低の平均Hスコア(157.7±96.9)を有していた(p=0.04)。試料の半分の腫瘍組織(n=26)は、細胞質染色と膜質染色の両方を呈した一方で、18の腫瘍組織(34.6%)は純粋な細胞質染色を有し、8つの腫瘍組織(15.4%)は純粋な膜質染色を有していた。注目すべきは、Tn抗原はゴルジにおける完全O-グリコシル化への天然に存在する生化学工程であるので、Tn-MUC1の細胞質染色は、MUC1産生組織において通常見られるものであり;Tn-MUC1の膜質染色は、異常でがん特異的であると見なされる。乳がんサブタイプ間で染色場所の分布に差は認められなかった(p=0.72)。Hスコア群(陽性または陰性)によって分析すると、群間で、年齢、人種、腫瘍サイズ、腫瘍グレード、リンパ節ステージ、リンパ管浸潤、嚢外伸展、現在の疾患ステータス、無病生存期間または全生存期間に差は認められなかった(すべてp>0.05)。
【0544】
実施例4:Tn-MUC1特異的CAR T細胞は、インビトロおよび異種移植モデルにおいて有効である
5E5 mAbのscFvを利用して開発された抗Tn-MUC1 CAR T細胞は、乳がん細胞株BT20、MDA-MB-231、MCF7およびTB129(ペンシルベニア大学で開発された患者由来TNBC細胞株)に対して強力な細胞傷害性を呈した。すべての場合に、抗Tn-MUC1 CAR T細胞との共培養後、腫瘍成長は、陰性対照(培地単独、非形質導入(NTD)T細胞および抗CD19 CAR T細胞)と比較して妨げられた。また、共培養の100時間のうちに、腫瘍成長の低下が陰性対照(Triton X-100で処理された細胞)のものに達したまたはそれに近づいた(
図4)。
【0545】
このインビトロ細胞傷害性および一過性発現されたcMet特異的CAR T細胞のTNBC患者への腫瘍内注射を評価した事前臨床研究(Tchou et al., (2017) Cancer Immunol Res 5, 1152-1161)を考慮して、TNBCの異種移植マウスモデルにおけるCAR T細胞の有効性および最良の送達経路を決定した。マウスに、ルシフェラーゼ発現MDA-MB-453細胞を乳腺脂肪体にまたは右脇腹の皮下に接種した。腫瘍接種の1週間後、静脈内(尾静脈)、腫瘍内または腹腔内送達を通じて500万個のNTD、抗CD19 CARまたは抗Tn-MUC1(5E5)CAR T細胞でマウスを治療し、CARは、細胞の50%で発現された。腫瘍生物発光についてマウスを順次撮像し、CAR T細胞で腹腔内(p=0.0115)または腫瘍内(p=0.0076)治療した乳腺脂肪体腫瘍を担持するマウスについて、静脈内送達と比較して腫瘍量の激減が観察された。同様に、皮下腫瘍を担持するマウスへの5E5 CAR T細胞の腹腔内および腫瘍内送達についても同じく抗腫瘍有効性の傾向が観察された(
図5A~5C)。これらのデータは、このCAR T細胞送達経路が抗腫瘍有効性を増強できることを実証している前臨床業務を支持する。
【0546】
実施例5:ヒトMUC1を発現するトランスジェニックマウスにおけるTn-MUC1のオフ腫瘍オンターゲット評価
CAR T細胞標的の腫瘍特異性は、用量制限毒性を回避するために重要であり、これは、臨床医が、抗腫瘍有効性が期待される治療用量を実現するのを可能にする。オフ腫瘍オンターゲット毒性歴は、臨床研究においてHer2および炭酸脱水酵素IX、ならびに前臨床研究においてとりわけEGFRおよびGD2を標的としたCAR T細胞について報告されている。
【0547】
Tn-MUC1の潜在的なオフ腫瘍オンターゲット毒性を評価するために、先行研究(Watanabe et al., (2018) JCI Insight 3)に則って、CD8αリーダー、細胞外ヒンジおよび膜貫通、4-1BB共刺激ドメインならびにCD3ζのネズミドメインを利用した完全ネズミCARを開発した。5E5 mAbおよび周知のscFv配列を有する2つの市販の抗MUC1 mAb(HMFG1およびSM3)の反応性を、MUC1 60merペプチドおよびMUC1-Tn 60merペプチドに対する反応性に関して評価した。5E5 mAbのMUC1-Tnに対する特異性および高親和性、ただし、HMFG1およびSM3 mAbのMUC1 60merペプチドに対する低親和性が、グリコシル化の存在下または非存在下で観察された。HMFG1がSM3よりもMUC1に対してより強い反応性を呈したことを考慮して、ネズミの5E5ベースのCARおよびHMFG1ベースのCARを生成し、各CARを発現するマウスT細胞を拡大増殖させた。ネズミの5E5-CAR T細胞は、インビトロでHMFG1-CAR T細胞およびNTD T細胞よりも大きなJurkat細胞の溶解を呈したが、このことは、Jurkat細胞におけるC1GalT1C1短縮に起因する可能性が高い(
図6Aおよび6B)。非腫瘍担持ヒトMUC1トランスジェニック(hMuc1.tg)マウスでは、500万個のT細胞(NTD、5E5-CARまたはHMFG1-CAR)を腹腔に注射した。注射の3日後、HMFG1-CAR群のマウスは予期したとおり死亡したので、残っているマウスに対して剖検を実施した。HMFG1-CARで治療したマウスの腎臓および肺において破壊された糸球体および出血が観察されたが、NTDまたは5E5-CARで治療したマウス由来の組織において組織学的毒性は認められなかった。これらのデータは、正常なMUC1を標的とする戦略は、精嚢がん患者へのpSM3-CAR T細胞の腫瘍内注射後に観察されたように(You et al., (2016) Sci China Life Sci 59, 386-397)オフ腫瘍オンターゲット毒性を引き起こし得る一方で、抗Tn-MUC1-CARは、MUC1発現腫瘍を標的化するための治療ウインドウを増加させることができることを示している。
【0548】
実施例6:考察
この研究では、遺伝子発現分析が異常にグリコシル化された形態のMUC1の発現を判定することができないので、MUC1およびそのグリコシル化に関与する酵素の発現を調査することで、遺伝子発現のパターンがTn-MUC1またはSTn-MUC1の蓄積を裏付けるかどうかを判定した。
【0549】
TCGAでは、すべての乳がんサブタイプによってMUC1が高度に発現された。予想どおり、MUC1はステロイドホルモンによる転写制御下にあるので、HR+乳がんは最も高い発現を有していた。qPCR研究は、腫瘍細胞が正常な乳房組織より高いMUC1発現を有することを実証した。特定の理論に束縛されないが、MUC1の蓄積は、グリコシル化経路を凌駕し得るので、その結果、異常にグリコシル化されたムチンが細胞表面上に発現され、このことは、腫瘍細胞によるTn-MUC1およびSTn-MUC1発現を裏付けている。
【0550】
コア1合成酵素C1GalT1およびそのシャペロンC1GalT1C1(Cosmc)発現は、乳房腫瘍組織では、正常な乳房組織よりも低い。同様に、コア3シンターゼ(B3GNT6)の発現は、乳房腫瘍組織において減少した。乳房腫瘍組織はまた、より高いシアリルトランスフェラーゼST6GALNac発現を有していた。このコア1合成酵素とコア3合成酵素の両方の抑制ならびにシアリルトランスフェラーゼの発現増加は、MUC1グリコシル化経路の進行を防止し、Tn-MUC1の蓄積およびSTn-MUC1の合成増加をもたらすだろう(
図7A~7C)。
【0551】
免疫療法のための抗原標的の重要な特徴は、CAR T細胞によるオンターゲットオフ腫瘍認識を制限するために抗原標的が腫瘍組織によって発現されるが正常組織によって発現されないことである。抗Tn-MUC1抗体を利用することで、正常な乳房組織による異常にグリコシル化されたMUC1の非常に限定された発現があった一方で、すべての乳房腫瘍試料は、それらをはるかにより高い程度まで発現したことが実証された。この発現は、乳がんサブタイプに関係なく、このことは、この標的化療法が、乳がんに対する現行の療法とは異なり、サブタイプ依存的でない可能性があることを示している。
【0552】
抗Tn-MUC1 CARは、様々なサブタイプの乳がん細胞株を使用したインビトロ研究において、最も顕著に標的特異的細胞傷害性をもたらした。Tn-MUC1は、すべての乳がんサブタイプにおいてそれらのHRまたはHer2発現状態に関わらず発現されたが、このことから、Tn-MUC1は、乳がんのCAR T細胞療法のための万能な乳がん特異的抗原および有望な標的になる。
【0553】
実施例7:TnMUC1 CAR前臨床研究
様々な共刺激ドメインを含有するTnMUC1(5E5)ベースのキメラ抗原受容体(CAR)を生成し、ヒトT細胞における導入遺伝子発現について調べた。ビオチン化タンパク質Lとストレプトアビジン-PEまたはビオチン-ヤギ抗マウスとストレプトアビジン-PEを使用したフローサイトメトリーによって導入遺伝子発現を測定した。様々なCARの発現を
図8に示す。
【0554】
図8に示すように、TnMUC1 CARについての形質導入効率は、CD19BBz(4-1BBおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含むCD19指向CAR)で69.3%;5E5BBz(4-1BBおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む5E5 scFvベースのCAR)で46.8%;5E528z(CD28およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む5E5 scFvベースのCAR)で68.3%;5E528z YMFM(CD28バリアント(YMFM)ドメインおよびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む5E5 scFvベースのCAR)で51.6%;5E527z(CD27およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む5E5 scFvベースのCAR)で47.9%;5E5Ox40z(OX40およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む5E5 scFvベースのCAR)で39%;そして、5E5CD2z(CD2およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む5E5 scFvベースのCAR)で48.9%であった。
【0555】
MCF7乳がん細胞株を使用して様々なTnMUC1 CARに対して増殖およびサイトカイン分泌研究を実施した。
【0556】
娘細胞間の色素の希薄度を測定するカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)アッセイで様々なTnMUC1 CARを評価した。CFSEアッセイでは、TnMUC1陽性MCF7細胞を、様々なTnMUC1 CARで形質導入されたT細胞と共培養した。MCF7細胞をD10培地中に0.5×106個/mLで調製し、100uLを各ウェルに加えた(およそ50,000個の腫瘍細胞/ウェル)。T細胞を計数し、R10培地中に1×106個の細胞/mLで再懸濁した。NTD細胞を使用してCAR T細胞の形質導入効率を30%に正規化した。CFSE染色溶液をPBS中に1:1000希釈し(5μM)、1×106個の総T細胞(30% scFvに正規化された)をCFSE/PBS染色溶液1mL中に再懸濁した。細胞を光から保護して室温で5分間インキュベートした。インキュベーション後、R10培地10mLを使用して細胞を洗浄し、その後、これらをR10培養培地1mL中に再懸濁し、細胞100μLを腫瘍細胞含有ウェルに最終E:T比2:1(100,000個のT細胞:50,000個の腫瘍細胞)で加えた。フローサイトメトリーのために、細胞を96ウェル丸底プレートに移し、蛍光活性化セルソーター(FACS)緩衝液100μLで洗浄し、2000rpmで5分間遠心した。細胞をFACS緩衝液100μL/ウェル中に再懸濁し、5μL/100μLのビオチン化ヤギ抗マウス抗体により氷上で20分間染色した。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、1μL/100μLの各ストレプトアビジン-PEおよびCD3-BV605により氷上で20分間染色した。次いで、細胞をPBS中で洗浄し、L/Dバイオレット0.1μL/100μL(PBS中)により室温で20分間染色した。染色後、細胞をFACS緩衝液で洗浄し、350μLのFACS緩衝液+50μL(0.54×105個のビーズ/mL)のCountBright絶対計数ビーズ/ウェル中に再懸濁し、BD LSRFortessaを使用して獲得した。フローサイトメトリーによってCountBright絶対計数ビーズに対して相対的にT細胞を測定して、相対細胞計数を決定した。
【0557】
図9は、CFSEアッセイの結果を示しており、様々なTnMUC1 CAR-T細胞がMCF7細胞に応答して増殖することを実証している。CD19BBz-T細胞も非形質導入細胞(NTD)もMCF7細胞に応答して増殖することはなかった。
【0558】
MCF7細胞と共培養することによって刺激に応答した様々なTnMUC1 CAR-T細胞のサイトカイン分泌を調べた。
図10は、表示のとおりの様々なTnMUC1 CAR-T細胞のIL-2、TNFaおよびIFNgの分泌レベルを示す。
【0559】
様々なTnMUC1 CAR-T細胞のインビボ有効性をTnMUC1+hs766T膵臓腫瘍NSG免疫不全マウスモデルにおいて調べた。ネズミMUC1は、5E5 scFvに対するエピトープを欠いているので、様々なTnMUC1 CARの有効性は、非形質導入(NTD)細胞で見られるバックグラウンド+TnMUC1 CARとTnMUC1+腫瘍の相互作用に由来する任意の特異的有効性を反映する。コメツキムシグリーン(CBG)で標識された5×10
5個のHs766T膵臓がん細胞株を使用したマウスへのIP経路を介して、Hs766T腫瘍を確立した。1ヶ月後、腫瘍量が4.5×10
8p/sの平均総フラックスであったとき、マウスに、
図11に表示のとおりの様々なTnMUC1 CAR-T細胞をIV投与した。
図11は、TnMUC1 CAR-T細胞のIV投与後のマウスで測定された総フラックスをT細胞注入後の日数の関数として示す。
【0560】
注入したマウスの末梢血中の様々なTnMUC1 CAR-T細胞のレベルを、注入後42日目に眼窩後出血によって測定した。
図12Aおよび12Bに示すように、5E5CD2z CAR-T注入マウスは、末梢血中により高い平均ヒトCD4+ T細胞数(
図12A)およびCD8+ T細胞数(
図12B)を有していた。
【0561】
CART-TnMUC1を用いた非臨床研究
TnMUC1抗原を発現する細胞を認識して殺傷するT細胞を作製するために、CD2ζベースのCARを作製した。Tn-MUC1グリコペプチドエピトープに特異的なモノクローナル抗体(5E5)ベースのこのCARは、本明細書に記載される。このCARは、細胞外標的化領域(5E5モノクローナルAbベース)、CD8aヒンジおよび膜貫通ドメイン、ならびにCD2ζおよびCD3ζの2つの細胞内シグナル伝達ドメインから構成される。CD2シグナルは、自己免疫疾患下のT細胞の強い持続性と関連することが観察され、患者内でのCART細胞製品のより良好な持続性を導き得る(McKinney et al. (2015) Nature, 523:612;Bridgman et al. (2014) Clin Exp Immunol, 175(2):258-267;Zhao et al. (2015) Cancer Cell, 28(4):415-428)。5E5ベースのCARを含有するレンチウイルスベクターを構築し、白血球アフェレーシスによって得られた自家T細胞を形質導入してCART製品を作製した。臨床試験では、自己不活性化レンチウイルスベクター(LV)を使用し、エクスビボ形質導入によってCAR構築物を自家Tリンパ球に移入する。白血球アフェレーシス産物からリンパ球を濃縮し、LVで形質導入する。末梢血から単離したTリンパ球のLV媒介形質導入は、過去に他の臨床試験で試験されている。
【0562】
TnMUC1抗原を認識するように操作されたこれらのCART細胞(CART-TnMUC1)の活性および安全性を実証するため、非臨床薬理学研究および非臨床毒性学研究が実施されている。
【0563】
CART-TnMUC1(CD2およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む5E5 scFvベースのCAR)を用いて複数の腫瘍モデルに対するこのアプローチの潜在的作用機序を実証するための非臨床研究、ならびに、CART-TnMUC1細胞の正常ヒト組織を標的化する潜在性を調査するための研究が行われている。ここに記載するデータは、CART-TnMUC1を用いた抗腫瘍活性の可能性および正常ヒト組織を標的化する限定された潜在性を実証するために提示される。これらの研究において使用されるT細胞の説明および組成物を表2に記載する。
【0564】
(表2)非臨床研究において使用されるT細胞の説明および組成物
CART=キメラ抗原受容体T細胞;CD=分化クラスター;NTD=非形質導入T(細胞);scFV=単鎖Fv断片
【0565】
非臨床研究において使用される標的細胞
CART細胞は、CARのscFv部分の特異性によって決まる抗原依存的な様式で作用するので、活性は、抗原を発現する細胞のタイプに関係なく抗原陽性標的に対するものと解釈することができる。固形悪性腫瘍と血液悪性腫瘍の両方を表す標的細胞株(表3)が選択され、標的細胞に対する薬理学がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびフローサイトメトリーアッセイ(Posey et al. (2016) Immunity, 44:1444-1454を参照のこと)によって決定される低抗原発現レベルと高抗原発現レベルの両方で評価された。
【0566】
(表3)非臨床研究において使用される標的腫瘍細胞株
ATCC=アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関;CD=分化クラスター;MUC1=ムチン、細胞表面関連;NT-未試験;RNA=リボ核酸;UPenn=ペンシルベニア大学
a 未改変の親を使用したと明確に述べない限り、列記された各細胞タイプは、フローサイトメトリーおよび生物発光アッセイで使用するために緑色蛍光タンパク質およびコメツキムシグリーンルシフェラーゼを発現するように操作された。
b GADPHハウスキーピング参照遺伝子に対する%
c フローサイトメトリーによって決定された。(Posey et al. 2016):「-」はシグナルなし、「+」<10倍、「++」<100倍、および「+++」<1000倍(対アイソタイプ対照)
【0567】
非臨床薬理学
抗原陰性標的によって活性化されることなくTnMUC1+腫瘍標的細胞を特異的に認識するCART-TnMUC1細胞の能力を実証するために、非臨床薬理学研究が設計されている。
【0568】
CART-TnMUC1、CART-TnMUC1-BBzおよび対照T細胞をTnMUC1陽性および陰性標的細胞で刺激し、一次および二次薬理学的特性について調査した。CART細胞の一次薬理学は、それらの直接的な抗腫瘍活性を測定尺度とし、インビトロでTnMUC1陽性標的細胞を溶解する能力として、そして、NSGマウスにおいてインビボで播種性TnMUC1陽性腫瘍を制御する能力として評価した。CART細胞の二次薬理学は、それらの増殖する能力、サイトカインおよびケモカインを分泌する能力、ならびにTnMUC1陽性標的細胞に応答してCD40Lを発現するCD4サブセットに関する能力である。CART細胞の増殖特性は、CART集団において抗原特異的増加をもたらし、それは、腫瘍制御を促進する。サイトカインおよびケモカインを分泌する能力は、腫瘍に対しても、統合免疫応答の調整に対しても直接的な影響を有し得る。同様に、活性化されたCD4 T細胞によるCD40L発現も、CD4 T細胞が統合免疫応答を「支援する」重要な機序であり、その中で、宿主の内因性免疫細胞が腫瘍制御に寄与し得る。
【0569】
TnMUC1陽性腫瘍細胞へのCART-TnMUC1のインビトロ細胞傷害活性
TnMUC1+MCF7乳がん細胞株ならびに膵臓がん細胞株Hs766TおよびCapan-2のCART-TnMUC1細胞殺傷を、過去に記載されているように(Watanabe et al. (2018) JCI Insight, 3)、xCELLigence(ACEA Biosciences)リアルタイム細胞インピーダンスアッセイを使用して評価した。CART細胞を腫瘍細胞(MCF7、Hs766T、Capan2)と24時間培養し、次いで、細胞インピーダンスを調べた。CART-TnMUC1細胞との共培養によって、腫瘍成長は、陰性対照(培地単独、NTD細胞、CART-19 T細胞)と比較して妨げられた。CART-TnMUC1細胞とCART-TnMUC1-BBz細胞は、Hs766T細胞に対して類似した細胞傷害性の動態を示した(
図13)。CART-TnMUC1はまた、MCF7(両アッセイで)およびCapan2細胞に対しても細胞傷害性を示したが、直接比較した場合、CART-TnMUC1の細胞傷害性の動態は、CART-TnMUC1-BBz細胞よりも遅くかつ弱かった。いかなる理論にも束縛されないが、このことは、差次的なCAR発現レベルおよび/または差次的なシグナル伝達経路活性化の結果に起因し得る。
【0570】
図13は、CART-TnMUC1細胞、CART-TnMUC1-BBz細胞および陰性対照細胞(CART-19およびNTD)のHs766T膵臓がん細胞株に対する細胞傷害性を実証するグラフである。追加の対照は、培地単独およびTriton X-100(膜を急速に溶解して細胞死を導く非イオン界面活性剤)であった。
【0571】
NTD細胞を対照として使用した、標識されたJurkat E6-1細胞、MCF7細胞およびHs766T細胞に対するルシフェラーゼベースアッセイで、CART-TnMUC1細胞の細胞傷害性をさらに調査した(
図14A~14C)。このアッセイフォーマットでは、CART-TnMUC1細胞は、E:T比3:1および10:1で、Jurkat E6-1細胞の強力な殺傷を実証した(
図14A)。MCF7乳がん細胞の強力な殺傷も検出され、これは、E:T比と共に増加した(
図14B)。また、Hs766T細胞を殺傷する傾向もあったが、これは有意に達しなかった(
図14C)。
【0572】
図14A~14Cは、CART-TnMUC1細胞による標的化細胞殺傷を実証する。CART-TnMUC1またはNTD細胞を、Jurkat E6-1細胞(左)、MCF7乳がん細胞(中心)またはHs766T膵臓がん細胞(右)と表示のエフェクター対標的比で培養した。MCF7について、E:T比3:1および10:1で利用された腫瘍細胞の総数は、それぞれ、E:T比6:1および20:1に達すると半分に減少した。Hs766Tについて、E:T比3:1および10:1で利用された腫瘍細胞の総数は、それぞれ、E:T比1.5:1および5:1に達すると倍増した。統計比較は、多重t検定を使用してCART-TnMUC1細胞とNTD細胞との間で行った。*=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.001、****=p<0.0001。
【0573】
また、野生型TnMUC1+Jurkat E6-1細胞およびTnMUC1-Jurkat CD19t-P2A-COSMC細胞(これらの細胞はシャペロンCOSMCを発現し、したがって、完全グリコシル化を保持し、細胞表面上でそれをTnMUC1-にする)に対するルシフェラーゼベースアッセイ系で、CART-TnMUC1細胞傷害性の特異性を確立した。3:1および10:1の2つのE:T比で有意な細胞傷害性が観察されたが、Jurkat CD19t-P2A-COSMC細胞に対する細胞傷害性は認められなかった(Jurkat E6-1について
図15A;およびJurkat CD19t-P2A-COSMCについて
図15B)。
【0574】
図15Aおよび15Bは、Tn抗原に応答したCART-TnMUC1細胞による標的化細胞殺傷を示す。T細胞のインビトロ細胞傷害性アッセイにおいて、CART-TnMUC1またはNTD細胞をJurkat E6-1(
図15A)またはJurkat CD19t-P2A-COSMC(
図15B)細胞株と表示のエフェクター対標的比で培養した。*=p<0.05。5E5-CD2z CAR T細胞は、Jurkat細胞に対して強力な細胞傷害性を呈した。NTD細胞は、同じ標的細胞株に対して細胞傷害性を呈しなかった。
【0575】
CART-TnMUC1のインビボ抗腫瘍活性:CART-TnMUC1細胞を、免疫不全NSGマウスの腹腔内(IP)TnMUC1+Hs766T腫瘍の動物モデルで研究した。NSGモデルは、ヒト腫瘍およびT細胞の生着のために広く使用されている異種移植モデルである(Barrett et al. (2011) Hum Gene Ther, 22:1575-1586)。表4および表5は、この腫瘍負荷モデルにおいて試験された条件を記載する。コメツキムシグリーン(CBG)で標識された5×105個のHs766T膵臓がん細胞株を使用して、マウスへの腹腔内(IP)経路を介してHs766T腫瘍を確立した。1ヶ月後、腫瘍量が4.5×108p/sの平均総フラックスであったとき、マウスを治療群間で無作為化し、CART-TnMUC1細胞、またはCART-TnMUC1-BBz、または2つの陰性対照:CART-19細胞およびNTD細胞をIV投与した。
【0576】
(表4)インビボ薬理学実験のための研究パラメーターの概要
CART=キメラ抗原受容体T細胞;F=雌;M=雄;NSG=NOD scidガンマ;NTD=非形質導入T(細胞)
a T細胞注入から最終屠殺までの時間によって定義される。
b F/M:動物は腫瘍量に基づいて無作為化された。
c 1匹のマウスがT細胞投与中に死亡した。
【0577】
これらのマウスにおけるCART発現および注射されたCAR+ T細胞の総数を表5にまとめる。アッセイのバックグラウンドを反映する2.89%の染色レベルが非形質導入対照において認められ、これらの細胞はCARをコードするレンチベクターに曝露させなかったためCAR発現はなかった。
【0578】
(表5)治療群の定義
CART=キメラ抗原受容体T細胞;N/A=非適用;NTD=非形質導入T(細胞)
【0579】
生物発光画像診断によってCBG+Hs766T腫瘍の生着および進行を測定した。生きたマウスにおける生物発光画像診断は、-1日目に開始し、研究の間、毎週継続した;最終生物発光測定値は60日目に得た。これらの結果を
図16に示す。
【0580】
図16は、膵臓がんのマウスモデルにおける腫瘍量の生物発光画像をプロットしたグラフである。NSGマウスにCBG+Hs766T細胞を注射し、CART-TnMUC1、CART-TnMUC1-BBz、CART-19またはNTD細胞を用いて5×10
6個の総T細胞(CART治療群で1.5×10
6個のCAR+細胞)で治療した。腫瘍量の生物発光画像を表示のとおりの複数の時点で測定し、1秒あたりの光子(p/s)として示した。パネルは、個々のマウスについての結果および平均±SDを表す。統計値を対応のない両側T検定および一元配置分散分析によって決定した。
【0581】
CBG+Hs766T腫瘍細胞を受けた動物はすべて、腫瘍細胞接種後1ヶ月の時点(T細胞注入の0日目)で生物発光画像診断による測定で類似の腫瘍量を有しており、動物を治療群に無作為化した。CART-TnMUC1およびCART-TnMUC1-BBz細胞で治療したマウスは、CART-19細胞およびNTD細胞で治療したマウスと比較して腫瘍成長の有意な低下を実証したが、このことは、5E5ベースのCARが媒介するTnMUC1抗原特異的なHs766T腫瘍細胞の根絶を示している。CART-TnMUC1群について、よりロバストな腫瘍クリアランスへ向けた有意でない傾向があり、これは、研究期間を通して持続した。このことは、CART-TnMUC1のインビボ抗腫瘍有効性を実証している。
【0582】
まとめると、CART-TnMUC1の非臨床データとCART-TnMUC1-BBzを用いた過去の知見は、抗原依存的なインビボ抗腫瘍活性と、この活性の用量依存の証拠を併せて実証している。
【0583】
抗原依存的増殖:同族抗原に応答して増殖するCART-TnMUC1細胞の性向を、CART細胞の色素標識の原理(色素は、有糸分裂中に娘細胞間で希釈されるので、増殖の程度の尺度を提供する)に基づいた2つのフローサイトメトリーベースのアッセイフォーマットで決定した。一方のアッセイフォーマットでは、T細胞をCellTrace Violetで標識し、もう一方のフォーマットでは、これらをCFSEで標識した。
【0584】
CellTrace Violetアッセイでは、CART-TnMUC1および対照NTD細胞を、TnMUC1+Hs766T膵臓腫瘍細胞およびJurkat E6-1白血病細胞、ならびに対照TnMUC1-Jurkat CD19t-P2A-COSMC細胞とインキュベートした(
図17A~17C)。CART-TnMUC1細胞は、Hs766T細胞に応答して大幅な増殖を遂げ、Jurkat E6-1細胞に応答して適度な増殖を遂げたが、表面発現TnMUC1抗原を欠いているJurkat CD19t-P2A-COSMC細胞に曝露したときは増殖せず、このことは、抗原特異的増殖を実証している。アッセイではT細胞のCAR+画分においてのみ増殖が認められたが、このことは、この応答の抗原特異性をさらに実証している。カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)アッセイでは、TnMUC1+MCF7乳がん標的細胞に対して増殖が観察された。
【0585】
図17A~17Cは、抗原発現標的細胞に応答したCART-TnMUC1細胞の増殖を実証している。増殖は、CellTrace Violetシグナルの減少およびCellTrace Violet低T細胞の割合の増加によって測定された。(
図17A)カウント対CellTrace Violetシグナルを示すヒストグラム。T細胞は、GFP-、CD3+、L/D-near IR低リンパ球としてゲーティングされる。(
図17B)CellTrace Violet高(増殖なし)群対CellTrace Violet低(増殖)群内にあるT細胞のパーセント。(
図17C)CAR発現対CellTrace Violetシグナルを示すプロット。T細胞は、GFP-、CD3+、L/D-near IR低リンパ球としてゲーティングされる。統計比較は、二元配置分散分析検定を使用して、CellTrace Violet高群またはCellTrace Violet低群内のCART-TnMUC1(5E5-CD2ζ)細胞とNTD細胞との間で行う。***=p=0.0001、****=p<0.0001。
【0586】
CART-TnMUC1増殖応答は、TnMUC1陽性のMCF7、Hs766TおよびJurkat E6-1細胞に対して顕著であったが、TnMUC1陰性のJurkat CD19-P2A-COSMC細胞ではそうではなく、このことは、抗原依存的増殖を実証している。
【0587】
抗原依存的なサイトカインおよびケモカイン産生:TnMUC1に応答してサイトカインおよびケモカインを産生するCART-TnMUC1細胞の能力を、多岐にわたる分泌因子の産生を同時に定量するビーズベースのフローサイトメトリーアッセイであるLuminexアッセイによって評価した(
図18)。拡大増殖したCART-TnMUC1細胞、類似体のCART-TnMUC1-BBz細胞、ならびに2つの陰性対照細胞タイプCART-19細胞およびNTD細胞を0日目に融解し、一晩インキュベートして回収した。1日目に、3つのTnMUC1+標的細胞株:MCF7(乳がん)、Hs766T(膵臓がん)およびJurkat E6-1(T細胞白血病)により2:1のエフェクター:標的比で細胞を再刺激し、24時間後に細胞成長培地中のサイトカインプロファイルを評価した。使用したLuminexアッセイは、以下のサイトカインおよび可溶性サイトカイン受容体:EGF、HGF、G-CSF、GM-CSF、IL-1β、IL-1R、IL-2、IL-2R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IFN-γ、TNF-αおよびVEGF;ならびに以下のケモカイン:エオタキシン、IL-8、IP10、MCP-1、MIG、MIP-1α、MIP-1βおよびRANTESを特異的に測定する。
【0588】
図18は、様々な細胞株におけるサイトカインおよびケモカインの産生を示す。TnMUC1+標的に応答したCART-TnMUC1、CART-TnMUC1-BBz類似体および対照細胞(CART-19およびNTD)によるサイトカインおよびケモカインの産生をLuminexによって測定した。エフェクター細胞と標的を2:1比で24時間共インキュベーションした後に上清を分析した。
【0589】
Luminexデータは、CART-TnMUC1細胞がTnMUC1+細胞株に応答して陰性対照よりも優れたレベルで多数のサイトカインおよびケモカインを産生したこと、そして、CART-TnMUC1ではCART-TnMUC1-BBzと比較して各因子のレベル全体がより低い方向へ傾いたにも関わらず、2つの5E5ベースのCART細胞はそれらのサイトカインプロファイルがほぼ同じであったことを実証している(
図18)。理論に束縛されないが、これは、CART-TnMUC1によるより低いCAR発現および/またはシグナル伝達経路の違いに起因し得る。試験した3つの株すべてに対して特異的なサイトカイン産生が明らかとなった。IFNg、TNFaおよびIL-2を含むTh1型サイトカインがTh17型(IL-17)およびTh2型(IL-4、IL-5、IL-13およびIL-10)サイトカインと比較してはるかに高いレベルで分泌されたので、サイトカイン産生はTh1に偏った応答を優先した。各因子のより低い産生へ向けた傾向に加えて、CART-TnMUC1細胞は、IL 13の産生が最小か存在しなかったが、CART-TnMUC1-BBz細胞は3つの標的すべてに対してIL-13を分泌したという点で、CART-TnMUC1-BBz細胞と異なっていた(
図18)。IL-13は、BBzベースのCARのサイトカインプロファイルの一部として過去に観察されている(Xue et al. (2017) J Immunother Cancer, 5:85)。
【0590】
CART-TnMUC1とTnMUC1+Hs766T細胞、Jurkat E6-1細胞およびTnMUC1-Jurkat 19COSMC細胞との共インキュベーション後に酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)でIFNγの産生を測定した(
図19)。NTD対照細胞ではなくCART-TnMUC1細胞で、TnMUC1-細胞株ではなくTnMUC1+細胞株に応答した有意なIFNγ産生が認められた。これらのデータは、CART-TnMUC1の特異性および潜在的な抗腫瘍活性をさらに裏付けている。
【0591】
図19は、IFNγのELISA実験から得られたデータを示す。抗原陽性(Hs766T、Jurkat E6-1)もしくは抗原陰性(Jurkat CD19-P2A-COSMC)細胞株または培地単独と2:1のE:T比で24時間共培養した後に、CART-TnMUC1細胞またはNTD細胞によるサイトカイン分泌を測定した。共培養上清中のIFNγをpg/mL単位で定量した。
【0592】
総合すると、これらのデータは、CART-TnMUC1またはCART-TnMUC1-BBz細胞がTnMUC1+標的に曝露された際に特異的なサイトカインおよびケモカインの産生を実証している。理論に束縛されないが、このプロファイルは、とりわけ、CART-TnMUC1-BBz細胞と比較して非常に少ないIL-13産生を示したCART-TnMUC1細胞で、IL 4、IL-5、IL-13およびIL-17よりもIL-2、IFN-γおよびTNF-αが優勢であることが原因のTh1に偏った応答を示唆している。Th1に偏った免疫応答は、CD8 T細胞の増殖および細胞傷害性を含む抗腫瘍免疫性の様々な局面を支持することが知られている。
【0593】
単球/マクロファージ由来サイトカインIL-6およびIL-1は、CRSなどのCART関連毒性の発病機序において役割を果たし得る。単球/マクロファージは、GM-CSF、MIP 1aおよびIFNgを含むT細胞サイトカインおよびケモカインに応答して、また潜在的に、CD40L-CD40相互作用を介したCD4+CART細胞による単球/マクロファージの直接活性化を通じて、これらのサイトカインを産生する(Giavridis et al. (2018) Nature Medicine, 24:731-738; Norelli et al. (2018) Nature Medicine 24:739-748; Rooney et al. (2018) Nature Medicine, 24:705-706; Teachey et al. (2016) Cancer Discov, 6:664-679)。
図18は、標的細胞株ごとに、CART-TnMUC1細胞がCART-TnMUC1-BBzと比較してより少ない量のGM-CSF、MIP-1aおよびIFNg(ならびにIL-1B/IL-1RAおよびIL-6)を生産したことを示す。
【0594】
全体として、試験したCAR-T細胞の2つのバージョン(CART-TnMUC1およびCART-TnMUC1-BBz)の非臨床データは、Th1に偏ったサイトカインおよびケモカインの抗原特異的産生を実証しており、このことは、CART細胞のインビボ機能ならびに内因性腫瘍特異的免疫応答を支持し得る。
【0595】
抗原依存的CD40L発現:活性化されたCD4 T細胞によるCD40Lの発現は、CD40を介して樹状細胞、B細胞およびマクロファージを含む抗原提示細胞を刺激することができ、かつ、腫瘍に対する統合免疫応答に寄与することができる。実際に、CD40-CD40L経路を介した抗原提示細胞の活性化は、抗腫瘍CD8 T細胞の発達を含めた免疫応答へのT細胞「支援」の重要な機序である(Toes et al. (1998) Semin Immunol, 10(6):443-448)。この経路の活性化は腫瘍制御に有益であり得る一方で、CD4+CART細胞による単球およびマクロファージの活性化はCRSなどの毒性にも寄与し得る(Giavridis et al. (2018) Nature Medicine, 24:731-738; Norelli et al. (2018) Nature Medicine 24:739-748; Rooney et al. (2018) Nature Medicine, 24:705-706)。
【0596】
CD4+CART-TnMUC1およびCART-19(BBz)細胞によるCD40L発現を、TnMUC1およびCD19陽性および陰性細胞株との共インキュベーションの24時間後にフローサイトメトリーを介して研究した。両方のCARTがCD40Lを抗原特異的にアップレギュレーションした。CD40Lの基礎レベルが似ていた一方で、CART-19は、CART-TnMUC1がTnMUC1陽性標的に応答したように、CD19陽性標的に応答しておよそ2倍大きなCD40Lのアップレギュレーションを示した。結果は、CART-TnMUC1とCART-19は共に、それぞれの抗原に応答してCD4 T細胞によるCD40L発現をアップレギュレーションできること、そして、CD40L発現レベルがCART-19よりもCART-TnMUC1でより低かったことを実証している。
【0597】
動物における薬物動態および製品代謝
ネズミモデルにおけるCART-TnMUC1の拡大増殖:CART-TnMUC1細胞の拡大増殖および持続性をHs766T膵臓腫瘍NSG免疫不全マウスモデルにおいて判定した。ネズミMUC1は、scFv 5E5に対するエピトープを欠いているので(Spicer et al. (1991) Journal of Biological Chemistry, 266:15099-15109)、このモデルにおける拡大増殖、持続性およびトラフィッキングは、NTD細胞で見られるバックグラウンド+TnMUC1+腫瘍との相互作用に由来する任意の特異的シグナルを反映する。
【0598】
この実験では、末梢血中のCART-TnMUC1細胞のレベルを、CART注入後21日目および42日目の2つの時点で眼窩後出血によって測定した(
図20)。
【0599】
図20は、T細胞注入後21日目および42日目のマウスの末梢血中での定量を示す。NSGマウスにCBG+Hs766T細胞を注射し、CART-TnMUC1、CART-TnMUC1-BBz、CART-19またはNTD細胞で治療した。眼窩後出血を介して採血し、溶解し、ヒトT細胞を検出するために染色した。TruCountビーズを使用して、血液1マイクロリットル(μl)あたりのCD4+ T細胞数およびCD8+ T細胞数を定量した。***=p<0.005;**=p<0.01;*=p<0.05、テューキーの多重比較検定を用いた一元配置分散分析による。バーは、標準偏差を表す。
【0600】
注入後21日目に、CART-TnMUC1で治療したマウスは、CART-TnMUC1-BBzで治療したマウス(290.4個の細胞/mL、約10倍の差)およびNTD細胞で治療したマウス(614.8個の細胞/mL、約4.5倍の差)を含むすべての他の群と比較して、末梢血中のヒトCD4+ T細胞の算術平均数がより高かった(2,774個の細胞/mL)。CD8コンパートメントでは、CD8+CART-TnMUC1細胞に対してCD8+CART-TnMUC1-BBz細胞がより小さく約3倍増加するという反対の傾向があった。
【0601】
42日目に、CD4 T細胞またはCD8 T細胞で有意差は認められなかった。CD8+CART-TnMUC1-BBz細胞を除き、21日目と42日目との間で、各群で算術平均細胞数が増加した。対照はまた拡大増殖もしたため、このことは、マウス宿主のMHCへの非特異的な異種反応性応答の寄与、および、潜在的に、Hs766T腫瘍細胞株の任意のミスマッチHLAアレルへの同種反応性応答の寄与を示し得る。42日目に、CART-19とCART-TnMUC1は、末梢血中のヒトT細胞の算術平均数がCD4+ 9,767個およびCD8+ 6,798個(CART-19について)とCD4+ 8,254個およびCD8+ 6,293個で最も高く、CART-TnMUC1-BBzで見られたCD4+ 975.3個およびCD8+ 896.4個の算術平均数のおよそ7~10倍のレベルであった。それゆえ、42日目にCART-TnMUC1の優れた拡大増殖および持続性の傾向があった。
【0602】
全体として、これらのデータは、CART-TnMUC1細胞がインビボでTnMUC1+標的細胞に応答して増殖すること、そして、CART-TnMUC1製品のCD4細胞成分の拡大増殖が他の試験群と比較して21日目に有意に向上し、42日目にCART-TnMUC1-BBzと比較してCART-TnMUC1 CD4細胞およびCD8細胞の優れた拡大増殖傾向があることを示唆している。実験を63日目に終了したため長期効果は追跡せず、すべての群の同種反応性ヒトT細胞は、NSGマウスにおいて拡大増殖し続け、xGVHDを媒介するだろう。
【0603】
毒性学
mAb 5E5および5E5ベースのCARTの特異性:5E5 scFvは、MUC1反復配列多型(VNTR)ドメインのGSTAアミノ酸配列のSerおよびThr残基に結合したTnまたはSTnグリカンから構成されるエピトープに結合すると過去に示されているmAb 5E5に由来する。mAb 5E5は、グリコシル化されていない他の異常グリコ型もしくは生合成中間体(T、ST、コア3)または完全にグリコシル化された型を含めた他のグリコ型のMUC1に結合せず、高ハプテン濃度でTnハプテンに最小限の結合を示し、この特異性は、5E5 scFvがCARTフォーマットで使用された際に再現される(Posey et al. (2016) Immunity, 44:1444-1454; Sorensen et al. (2006) Glycobiology, 16:96-107; Tarp et al. (2007) Glycobiology, 17:197-209)。
【0604】
腫瘍細胞の全細胞溶解物に対して行った免疫ブロット研究は、mAb 5E5が、DU145前立腺がん細胞中の>200kDaの単一バンドにのみ結合することをさらに示し、それはまた、MUC1 VNTRのAPDTRアミノ酸配列に結合することが知られておりすべてのMUC1グリコ型を認識する抗MUC1 mAb HMFG1によっても検出される(Price et al. (1997) Tumor Biology, 19:1-20; Taylor-Papadimitriou et al. (1981) Biochim Biophys Acta, 1455:301-313)。全細胞溶解物中の単一バンドのmAb 5E5による認識は、DU145細胞のプロテオーム中の他の抗原への交差反応性の欠如、ひいては、限定されたオフターゲットリスクを裏付けている。CART-TnMUC1細胞とMUC1を強く発現した初代ヒト細胞タイプとをインキュベートしたところ、最小の細胞傷害性またはサイトカイン産生が観察され、このことは、正常なグリコ型のMUC1が認識されないこと、そして、TnMUC1が健康なMUC1陽性細胞中の細胞内生合成中間体であることを示している。
【0605】
まとめると、これらのいくつかの証拠は、mAb 5E5に由来するCARが、MUC1のVNTRドメインのGSTAアミノ酸配列のTnまたはSTnグリコ型に対して特異性を保持することを示している。細胞表面上にTnMUC1抗原を発現しないインビトロ細胞株モデルは、CART-TnMUC1細胞ベースのアプローチによって標的化されない。この抗体に対するエピトープは、特異的なグリカンハプテンとMUC1のペプチド骨格の両方を含み、この状況以外ではTn/STnハプテンに最小限に結合し、そして、グリカンが存在しないか、T-、ST-またはコア3-グリカンに限定されるか、健康な細胞で観察される正常な複合体グリカンを表すかのいずれかの場合にはMUC1に結合しない。mAb 5E5のオフターゲット反応性は実証されていない。異常グリコ型のMUC1へのこの特異性は、腫瘍細胞の選択性を増加させると予想される。
【0606】
mAb 5E5の正常な組織交差反応性:CART-TnMUC1の潜在的標的組織を特定するために、36の正常なヒト組織の一団に対してmAb 5E5を使用して医薬品安全性試験実施基準(GLP)組織交差反応性研究を行った。この研究は、1組織タイプあたり平均4例のドナー、3つの濃度のmAb 5E5およびアイソタイプ対照を利用した。正常なヒト組織の一団は、副腎、膀胱、血管、骨髄、脳(小脳、大脳皮質および下垂体)、乳房、心筋、食道、眼、卵管、消化管(胃、小腸、結腸)、心臓、腎臓(皮質、髄質)、肝臓、肺、リンパ節、中皮細胞、卵巣、膵臓、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、扁桃腺、尿管、および子宮(子宮頸部、子宮内膜)を含んだ。研究の目標は、CART-TnMUC1のオンターゲット/オフ腫瘍活性の観察についてクリニックでリスクのあり得る潜在組織を決定することであった。強い細胞質発現および/または膜質発現のいずれかを有する組織を特定するように研究を設計した。
【0607】
組織交差反応性研究において試験した最高の抗体濃度で、試験したドナーの75%超でTnMUC1発現が観察された5つの組織が特定された:(1)胃、100%;(2)腎臓、89%;(3)膵臓、86%;(4)結腸、83%;および(5)肺、75%。これらの組織のすべてで細胞質発現のみが示され、これは、作用機序を考慮するとCART-TnMUC1への近接性が限定されていると考えられる。より小さな割合が染色された組織も、細胞質染色のみを示した。
【0608】
まとめると、mAb 5E5を用いて実施された研究は、5E5 IHCによるTnMUC1発現が、タンパク質発現((Uhlen et al. (2015) Science, 347(6220))、ヒトタンパク質アトラス(www.proteinatlas.org)、および遺伝子発現((Carithers et al. (2015) Biopreserve Biobank, 13(5):311-319) website:gtexportal.org/)データベースでMUC1陽性であると報告された組織において明らかであり、胃の上皮および腎臓の細管でより強い細胞質発現が示されたことを実証している。発現パターンは、主に細胞内であるが膜質発現の明確な証拠はなく、このことは、共焦点顕微鏡によって裏付けられ、かつ、正常な完全にグリコシル化されたMUC1の合成におけるTnMUC1の生合成中間体としての役割と一致する。
【0609】
インビトロ毒性学:最小限に培養された初代ヒト細胞に応答したCART-TnMUC1の細胞傷害性およびサイトカイン発現を、公開データベースで報告されているMUC1転写物およびタンパク質発現レベルの範囲をカバーすることに基づいて選択された細胞の一団をインビトロで使用して、GLP組織交差反応性研究の結果を基に決定した。腫瘍細胞株Hs766T(膵臓がん)およびMCF7(乳がん)は、陽性対照としての役割を果たす一方で、初代膀胱平滑筋細胞は抗原陰性対照としての役割を果たした。すべての細胞を、MUC1転写物発現についてはqPCRを介して、TnMUC1発現についてはmAb 5E5を使用した免疫細胞化学を介して評価したところ、予想されたMUC1およびTnMUC1発現パターンを生成した。
【0610】
インビトロ細胞傷害性:細胞傷害性を測定するために、xCELLigence法を24時間評価で実行し、次いで、CART-TnMUC1およびNTD細胞を広範なE:T比で加え、インピーダンスをさらに6日間追跡した。洗剤Triton-Xを陽性溶解対照として使用し、NTD細胞のバックグラウンド活性を減算しておいたTriton-Xと比較した溶解率として比溶解シグナルを決定した。各E:T比でのバックグラウンド活性の減算は、潜在的な同種反応性が媒介する溶解および様々な量のT細胞の添加の影響が原因の培養物の任意の撹乱を調整する。
【0611】
CART-TnMUC1細胞は、高いE:T比でHs766T腫瘍細胞を効率的に殺傷した。これらは、初代ヒト胃上皮細胞、食道上皮細胞および結腸上皮細胞に対して細胞溶解を誘導しなかったかまたは最小限の反応性を示した。CART-TnMUC1細胞は、膀胱平滑筋細胞および腎臓上皮細胞を、高いE:T比でのみ、かつ、Hs766T細胞よりも低い程度で溶解した。膀胱平滑筋細胞は、陰性対照として選択されたが、低いMUC1 RNAレベル(上皮細胞よりも70~870倍低い)および最小限の5E5染色を有しており、かつ、高レベルで多くのサイトカイン/ケモカインを誘導しなかったので、推定の陰性対照標的に対する溶解活性を判断するのは困難である。乳腺および膵臓上皮細胞では、いくつかの異なるE:T比で、低レベルのCART細胞媒介細胞溶解が観察された。
【0612】
これらのデータは、xCELLigenceアッセイでCART-TnMUC1の腎臓上皮細胞に対するいくらかの溶解活性が認められた一方で、陰性対照の膀胱平滑筋細胞と程度が似ていたこと、そして、CART-TnMUC1-BBzを使用した従来の51Cr放出アッセイでは腎臓上皮細胞または腎臓皮質上皮細胞に対して溶解活性がなかったことを示した。
【0613】
インビトロケモカイン/サイトカイン産生:サイトカインおよびケモカイン産生を測定するために、標的細胞、CART-TnMUC1およびNTD細胞を3:1のE:T比で24時間共インキュベートし、上清中のサイトカインおよびケモカインの濃度をLuminexによって決定した。
【0614】
一般に、低~中間レベルの様々なサイトカイン、ケモカインおよび成長因子が、CART-TnMUC1細胞に24時間曝露した後、いくつかの初代正常ヒト細胞タイプによって産生された。産生されたサイトカイン/ケモカインの種類とレベルの両方の観点で、CART-TnMUC1細胞は、陽性対照のHs766T細胞と比較して、初代正常ヒト細胞のいずれに対しても反応性ではなかった。同様に、CART-TnMUC1-BBz細胞は、細胞内サイトカイン染色アッセイにおいて、健康な細胞パネルに対してCART-19細胞で見られるバックグラウンドを上回るレベルのIL-2、TNFaまたはCD107aレベルを発現しなかった。
【0615】
全体として、インビトロ毒性学データは、5E5ベースのCART細胞が、適切なレベルのサイトカインを伴い正常な健康細胞に応答しないこと、そして、選択された細胞タイプに対して最小限の細胞傷害性が認められることを示唆している。
【0616】
NSGマウス腫瘍モデルにおけるインビボ毒性学:CART-TnMUC1細胞の潜在的なオフターゲット毒性学を、記載したとおりのHs766T膵臓腫瘍NSG免疫不全マウスモデルにおいて決定した。研究動物ごとに臨床所見、体重および生存を記録した。TnMUC1標的化CART細胞療法で治療した後に予想外の毒性は報告されなかった。NTD群の2つを除いたすべての動物において、調べた臓器および組織の大部分で免疫細胞浸潤物(主にリンパ球から構成される)が観察された。これらの浸潤物の程度および分布は、罹患動物間で変動した。剖検を受けたほぼすべてのマウスで、異種/同種GvHDの典型的な特徴を示す病変が観察された。これは、NSGマウスモデルに特徴的な認識されている人為的な結果であり(Garcia, et al. (1997) Blood, 89(1):329-336)、CART-TnMUC1による治療の直接的な効果ではない。
【0617】
実施例8:TnMUC1臨床試験測定法
VNTRドメインの3つの反復配列を含有するTnグリコシル化60-mer MUC1ペプチドで免疫化したマウスからハイブリドーマ法によって作製したmAb 5E5を使用して、TnMUC1特異的免疫組織化学(IHC)プロトタイプアッセイを開発した(Sorensen et al. (2006) Glycobiology, 16:96-107)。
【0618】
このアッセイを陽性(Jurkat)および陰性(Jurkat CD19t-P2A-COSMC)対照試料と共に使用して、選択された悪性腫瘍の中で膜質染色を有する症例の割合を決定する分析を行った。この分析の結果および公表されている研究は、TnMUC1が、多発性骨髄腫症例の約25%~40%(Andrulis et al. (2014) Histopathology, 64:799-806; Cloosen et al. (2006) British Journal of Haematology, 135:513-516)、乳房、肺、膵臓および卵巣の腺がんの症例の少なくとも50%(Pinto et al. (2012) J Cellular Mol Medicine, 16:1474-1484;Sorensen et al. (2006) Glycobiology, 16:96-107)で発現され得ることを示している。
【0619】
プロトタイプアッセイを構築したら、ヒトがん腫組織に由来するFFPE組織ブロック中のTnMUC1糖タンパク質を検出するために、Thermo Scientific LabVision AutostainerでTnMUC1 CTAを開発し、DAKO Autostainer Link 48で検証した。TnMUC1 CTAは、CART-TnMUC1の治療へ向けたファースト・イン・ヒューマン(FIH)第1相臨床研究に登録する患者の選択を助ける臨床試験測定法(CTA)として使用される(実施例9を参照のこと)。
【0620】
本明細書に記載のとおり、FIH臨床研究は、卵巣がん(卵管のがんを含む)、非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)、膵臓腺がん、乳がんおよび多発性骨髄腫を有するTnMUC1陽性患者を登録する。試験の第1相部分は、大まかに合計40人の患者の登録を見込む(大まかに、アーム1に22人の患者およびアーム2に18人の患者)。Simonの2段階設計(Simon (1989) Control Clin Trials, 10:1-10)を用いた第1a拡大相において、白金抵抗性卵巣がんを有するおよそ40人の患者の登録を見込む。TnMUC1 CTAは、卵巣がん患者において、臨床研究の第1相部分を支援するために使用され、臨床研究の第1a相部分を支援するためにさらに開発される。
【0621】
材料および試薬:TnMUC1 CTAは、表6に列記しているとおり、DAKO Autostainer Link 48自動染色プラットフォームでFFPE検体のIHC染色手順を完了するのに必要ないくつかの試薬を使用する。
【0622】
(表6)TnMUC1 CTA用の材料および試薬の一覧
【0623】
計測器およびソフトウェア:TnMUC1 CTAは、実験技術者が手動で実施する染色工程を模倣するように設計されたソフトウェアを内蔵したDAKO Autostainer Link 48自動染色システムで実施する。TnMUC1 CTA染色プロトコルは、すべてのシステム試薬を一緒に認識および使用するようにプログラムする。
【0624】
校正証明書/データシートは、DAKO Autostainer Link 48装置ごとに入手可能であり、装置が検査済であること、そして、すべての仕様に適合することを証明するものである。試験研究室に導入後、すべてのDAKO Autostainer Link 48システムは、施設内で認定して、メーカー仕様に従ってメンテナンスする。装置は、専用のPCにインストールされたDako Linkソフトウェアバージョン4.0によって駆動される。
【0625】
検体調製:TnMUC1ステータスを決定するためにアーカイブ腫瘍生検試料を中央検査室に送る。腫瘍検体は、IHC染色用に組織を保存するために適切に取り扱われなければならない。FFPE組織処理の標準的な方法をすべての検体に使用する。組織切片化、荷電顕微鏡スライド上へのマウントおよび保管は、TnMUC1 CTA標準操作手順(SOP)に従わなければならない。FFPE組織ブロックは、4μmの切片にカットし、荷電顕微鏡スライド上にマウントし、染色の前に60℃で2時間ベーキングして、2~8℃の暗所で保管する。CART-TnMUC1の開発を支援する際のTnMUC1 CTA開発の一部として、劣化研究を実施してスライド安定性を判定する。
【0626】
アッセイラン対照:隣接正常組織(TnMUC1に陰性)を有するTnMUC1陽性腫瘍と一緒にTnMUC1陽性およびTnMUC1陰性細胞株を含有するワンラン対照ブロックを使用する。TnMUc1陽性およびTnMUC1陰性細胞株の代表的な画像を
図21に示す。
【0627】
ランごとに、ラン対照の2つのスライドを含み、一方のスライドは陽性対照として一次抗体で染色し、もう一方のスライドは陰性対照としてIgGアイソタイプで染色する。対照スライドの評価は、染色ランの信頼性を示す。
【0628】
操作原理:検証されたTnMUC1 CTAを説明するために標準操作手順(SOP)を確立する。SOPは、染色プロトコルを実行するための装置、材料、試薬および段階的指示を含めた検査システム全体についての詳細を提供する。
【0629】
IHC染色手順は、Dako Autostainer Link 48プラットフォームとTnMUC1 CTAアッセイのために検証された自動染色プロトコルを使用して実施する。脱パラフィン、再水和および標的賦活化は、3-in-1手順を使用してPT Link module(Dako PT100)で実施する。モノクローナルネズミ抗体クローン5E5または陰性対照試薬(ネズミ免疫グロブリンG1アイソタイプ対照)とのインキュベーション後、検体を、最初に、一次抗体の宿主種に特異的な抗マウスリンカー抗体と、次いで、デキストランポリマー骨格に結合した二次抗体分子とセイヨウワサビペルオキシダーゼ分子からなる使用準備済の可視化試薬とインキュベートする。その後に加えられた3,3-ジアミノベンジジン四塩酸塩クロモゲンとそれに続く3,3-ジアミノベンジジン四塩酸塩増強剤の酵素変換は、抗原部位で可視反応生成物の沈殿を生じさせる。次いで、検体をヘマトキシリンで対比染色し、カバーガラスで封入する。結果は、光学顕微鏡を使用して判断する。
【0630】
染色プロトコルの概要を表7に提供する。
【0631】
【0632】
5E5染色の判断:TnMUC1 CTA染色結果の判断は、認定病理学者によって、中央検査室、すなわち、CAP-CLIA認証およびBELAC(ISO15189)認可を受けた、十分に確立された品質管理システム(QMS)を備えたグローバルラボラトリーで実施する。
【0633】
生存腫瘍細胞だけを審査して評価に含める。検体が審査に妥当と見なされるには、最低100個の生存腫瘍細胞が存在していなければならない。(1)任意のタイプの腫瘍関連免疫細胞(リンパ球、マクロファージ、形質細胞、好中性顆粒球など);(2)腫瘍関連ストローマ細胞;(3)壊死の領域;および(4)腫瘍細胞に隣接する正常細胞を含む、特定の細胞タイプをスコア化から排除する。
【0634】
陽性染色の判定を成功させるために、シグナルの適切な細胞内局在を特定する必要がある。CART-TnMUC1の作用機序を考慮して、TnMUC1 IHC画像の評価は膜染色(部分または全周囲)にフォーカスする。任意の膜発現を有する腫瘍細胞の数(計数された100個のうち)を測定する。
【0635】
試験への組み入れカットポイントは、膜発現を有する腫瘍細胞の計数/パーセントに基づく。試験の開始時、計数された腫瘍細胞の少なくとも10%が膜発現を示すならば、腫瘍検体はTnMUC1陽性と見なされる。CART-TnMUC1の開発は臨床データの蓄積と共に進行するので、カットポイント値は継続して評価する。
【0636】
TnMUC1 CTA検証:アッセイ開発および検証のためのプロセスが実証され、特異性、感度、反復性および再現性に関するTnMUC1 CTAの受け入れ基準が予め規定されている。
【0637】
特異性
mAb 5E5の特異性は、前立腺がん細胞株DU145の全細胞溶解物を使用したウエスタンブロット研究を介して確認した。mAb 5E5は、成熟TnMUC1を表す>200kDaの単一バンドを染色し、これはまた、抗MUC1 VNTRタンパク質骨格に指向されるmAb HMFG1でも染色された。
【0638】
TnMUC1 CTAの特異性は、公知のTnMUC1発現パターンを有するFFPE細胞ペレットとTnMUC1陰性(脂肪組織)およびTnMUC1陽性(健康な膵臓細胞質染色)であることが知られているFFPE対照組織とに対して実施された試験によって実証される。
【0639】
感度:アッセイの感度を試験するために、最適なシグナル対ノイズ比を与える一次抗体の希釈系列が試験されている。
【0640】
反復性(ラン内変動性)および再現性(ラン間変動性)
アッセイの反復性は、3回の異なるランにわたって5つの異なる組織ブロックに対して評価される。実験の設定を
図22に示す。
【0641】
まとめると、TnMUC1 CTAが、がん組織におけるTnMUC1糖タンパク質抗原の検出のために開発され、分析的に検証されている。該アッセイは、腫瘍試料中に許容レベルの細胞膜TnMUC1発現を有する患者をスクリーニングする際の補助として意図される。定義されたTnMUC1+腫瘍試料を有する患者は、本明細書に記載のCART-TnMUC1-01 FIH試験の参加資格を有すると見なすことができ、次いで、本明細書に記載のとおりの臨床研究の組み入れ/除外基準に対して評価される。
【0642】
実施例9:CART-TnMUC1-01臨床研究
クローニング戦略
この項は、臨床調査に使用されるCART-TnMUC1細胞を作製するため細胞の形質導入に使用されるべきGMPプラスミド産生の元となるレンチウイルスベクターpTRPE_5E5(H2L)_CD2zを生成するために実施するクローニング戦略を説明する。pTRPE_5E5(H2L)_CD2zベクターは、オープンリーディングフレーム分析、確認の制限消化を使用し、ベクター全体を配列決定することによって検証した(pTRPE_5E5(H2L)_CD2zのプラスミドマップについて
図23を参照のこと)。表8は、ベクターの導入遺伝子エレメントを示す。
【0643】
【0644】
pTRPEレンチウイルスベクターは、pELPSレンチウイルスベクターに基づいてデノボ合成した。pTRPEレンチウイルスベクターは、CMVプロモーターをEF-1アルファプロモーターに置き換えてcPPT配列を付加することによって改変された、第3世代の自己不活性化レンチウイルス発現ベクターpRRL-SIN-CMV-eGFP-WPREの誘導体である(Dull et al. 1998を参照のこと)。pTRPEレンチウイルスベクターはまた、RNA輸送のためのrev応答エレメント(RRE)、RNA翻訳の向上のためのウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)、5' LTRおよび3' U3欠失LTR、ならびにパッキング配列も含有する。
【0645】
レンチウイルスで形質導入された初代CD4細胞とCD8細胞の両方でレポーター遺伝子発現がEF-1アルファプロモーターの制御下でより高かったという過去の観察に基づいて(Milone et al. (2009) Mol Ther, 17:1453-1464を参照のこと)、EF-1アルファプロモーターを他の真核生物プロモーターより優先して選択した。EF-1アルファプロモーターは、生理学的プロモーターの一団と比較して、初代T細胞での導入遺伝子の発現で最も効率的であることが示されている(Milone et al. (2009) Mol Ther, 17:1453-1464)。EF-1アルファプロモーターは、市販のpTracer-CMV2プラスミド(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)に由来し(Kim et al. 1990)、PCRおよび標準的な分子生物学技法を使用してDullベクターにクローニングした。
【0646】
中央ポリプリントラクトおよび中央終結配列(cppt/CTS)と呼ばれるgag遺伝子中の長尺配列をNL4-3分子クローンから増幅させ、Dullベクター骨格に組み込んだ。cppt/CTS配列は、効率的な逆転写および核内移行にとって重要であることが見出された(Sirven et al. 2000)。
【0647】
pTRPE_5E5(H2L)_CD2zベクターは、pGEM-SS1CD2zおよびpTRPE_5E5-BBzから生成した。pGEM-SS1CD2zベクターからCD8TM、CD2 ICDおよびCD3ゼータを含有する断片を消化し、ゲル抽出によって精製した(pGEM-SS1-CD2zのプラスミドマップについて
図24を参照のこと)。ベクターpTRPE_5E5(H2L)のベクター骨格は、pTRPE_5E5-BBzの消化から生成した(プラスミドマップについて
図25を参照のこと)。pTRPE_5E5(H2L)_CD2zベクターは、CD8TM、CD2 ICDおよびCD3ゼータ断片のpTRPE_5E5(H2L)ベクター骨格へのライゲーションによって生成した(
図26を参照のこと)。
【0648】
臨床研究設計
CART-TnMUC1-01臨床研究は、腫瘍抗原TnMUC1を認識してT細胞を活性化することができるキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作された遺伝子改変自家T細胞(CART-TnMUC1細胞)の投与の安全性、忍容性、実現可能性および予備有効性を評価する、非盲検の多施設ファースト・イン・ヒューマン(FIH)第1相臨床研究である。
【0649】
臨床研究の第1相用量漸増部分では、(1)TnMUC1+固形腫瘍を有する患者および(2)TnMUC1+再発性/難治性多発性骨髄腫(MM)を有する患者の2つの患者集団のさらなるコホートで試験するために、LD化学療法レジメン後のCART-TnMUC1の第2相推奨用量(RP2D)を特定する目的で2つの並行アームを登録する。試験の第1相部分は、大まかに40人の患者の登録を見込む(大まかに、アーム1に22人の患者およびアーム2に18人の患者;第1相の正確な試料サイズは、観察された毒性によって決定される)。
【0650】
LD化学療法投与後に静脈内法を使用して投与されるTnMUC1+白金抵抗性卵巣がんを有する患者におけるCART-TnMUC1細胞投薬の予備有効性を評価するために、第1a拡大相コホートを設計する。第1a拡大相では、大まかに40人の患者の登録を見込む。このアームは、Simonの2段階設計を利用し、この場合、段階1に13人の患者を登録し(適切な応答が観察されるという条件で)、段階1が成功した後、段階1と段階2の合計は、ORRの主要エンドポイントに関して評価可能な患者36人を達成するために、大まかに患者40人である。
【0651】
臨床研究の第1相部分における患者発生期間は、12~16ヶ月継続すると見込まれる。臨床研究の第1a拡大相部分における患者発生は、12~16ヶ月継続すると見込まれる。個々の患者は、治療および長期安全性経過観察評価のためにおよそ24ヶ月参加すると予想される。患者は、最終安全性および全生存期間(OS)分析のためにより長い時間追跡される。第1相は、大体3~5つの施設で行い、試験の第1a拡大相コホート部分は、追加の臨床試験会場(大体3~5つの追加の会場)を加える。
【0652】
第1相部分および第1a相部分の臨床研究設計を
図27に提供する。
図27に示すように、試験の第1相部分は、疾患状況によって定義された2つの並行アームで行う。アーム1:TnMUC1+固形腫瘍を有する患者およびアーム2:TnMUC1+多発性骨髄腫を有する患者。アーム2の評価は、用量レベル1のアーム1での安全性の証明後に、用量レベル2で開始する。第1a拡大相コホートに、TnMUC1+白金抵抗性卵巣がんを有する患者を登録する。i.v.は、静脈内を意味し;RP2Dは、第2相推奨用量を意味する。
【0653】
患者経路
試験の第1相および拡大コホートにおける患者経路は、類似のパターンをたどる。患者はまず、主要臨床研究について同意を得る前に、腫瘍生検のTnMUC1ステータスを決定するため、事前スクリーニングインフォームドコンセント用紙に署名した後に事前スクリーニングを受ける(すべての登録患者は、中央のIHCアッセイによって決定されたTnMUC1+腫瘍試料を有していなければならない)。次いで、中央で決定されたTnMUC1+腫瘍試料を有する患者は、主要臨床研究インフォームドコンセント用紙に署名し、スクリーニングを受けることができる。すべての関連する適格基準を満たす患者は、Eメールでスポンサーに提出される適格用紙を有する。コホート割り当てが試験の第1相部分で可能であるならば、患者は臨床研究に登録され、割り当てられた用量レベルコホートに配分される。この時点で、患者は、臨床試験会場/臨床研究施設でCART-TnMUC1注入までに白血球アフェレーシスおよびリンパ枯渇の予定を決める。
【0654】
臨床試験会場の指定のアフェレーシス施設で白血球アフェレーシス処置が完了した後、白血球アフェレーシス産物を凍結し、製造現場(ペンシルベニア大学臨床細胞ワクチン生産施設、CVPF)へ向けて出荷する。CART-TnMUC1製品の製造期間は、約4~6週間である。その後の4~6週間の製造時間枠で、患者は、治験責任医師の裁量およびスポンサーメディカルモニターによるレジメンの承認後、つなぎ化学療法で治療されてもよい。製造後、凍結されたCART-TnMUC1製品を治療公共施設へ向けて出荷する。
【0655】
凍結されたCART-TnMUC1製品が臨床試験会場に到着したら、予定されていたLD化学療法を開始することができる。コホート1(およびPSMCによって推奨される任意選択の非LDコホート)を除いたすべてのコホートの患者は、3日間のリンパ枯渇(LD)化学療法レジメンを-6日目から-4日目に受ける(-1日の期間を追加、すなわち、-7日目または-6日目に3日間のLDレジメンを開始する)。すべての患者で、0日目にCART-TnMUC1細胞注入を実施する。CART注入後、安全性および疾患ステータスをモニタリングする経過観察来院がプロトコルにより開始する。病勢進行または代替抗がん療法の開始後、患者は、長期安全性評価および生存エンドポイントについて継続して追跡される。
【0656】
図28は、全患者経路を示す図式である。示しているように、試験の第1相部分と第2相部分の両方は、提出された腫瘍試料中のTnMUC1ステータスの決定と同時に開始し、OSエンドポイントおよび死亡データの収集と同時に終了する。CART-TnMUC1注入後、患者は、プロトコルに従って疾患ステータスについて継続して評価される。病勢進行または新規抗がん療法の開始の証明後、患者は、長期FU期間に入る。Ctxは、つなぎ化学療法を意味し;LDは、リンパ枯渇を意味し;FUは、経過観察を意味し;PDは、進行を意味する。
【0657】
第1相用量漸増設計
臨床研究の第1相部分は、フルダラビンおよびシクロホスファミドのリンパ枯渇レジメンと併用して患者に安全に投与できるCART-TnMUC1細胞の最大耐用量(MTD)および/または第2相推奨用量(RP2D)を特定するように設計された、並行2アーム用量漸増臨床研究である。第1相試験の2つのアームは、2つの患者集団から構成される。
・アーム1:TnMUC1+治療抵抗性卵巣がん(卵管のがんを含む)、膵臓腺がん、ホルモン受容体(HR)陰性およびHER2陰性(トリプルネガティブ)乳がん(TNBC)および非小細胞肺がん(NSCLC)を含む固形腫瘍を有する患者に対する、静脈内(i.v.)CART-TnMUC1細胞
・アーム2:TnMUC1+再発性/難治性多発性骨髄腫に対する、i.v. CART-TnMUC1細胞
【0658】
改変3+3設計:両アームに登録された患者に、CART-TnMUC1細胞を改変3+3用量漸増設計で投薬する(Martin et al. (2018) Cancer Chemother Pharmacol, epub. Doi. 10.1007/s00280-018-3689-2; Crowley et al. (2017) CRC Press, Boca Raton, FL)。試験は、固形腫瘍を有する3人の患者(アーム1)を登録する第1のコホートから用量レベル1で始まる(表9)。このコホートでは、患者に、事前LDなしでCART-TnMUC1を注入し、多発性骨髄腫を有する患者(アーム2)はこの第1の非LDコホートに登録されない。コホート1(用量レベル1、固形腫瘍)の安全性は、第1相安全性モニタリング委員会(PSMC)との用量漸増遠隔会議のプロトコル指定プロセス後に判定され、適切な次の工程を決定する。第1の用量コホートの安全性が用量漸増遠隔会議(DETC)後に確立されたら、次の用量コホート(用量レベル2、表9を参照のこと)をアーム1(固形腫瘍)とアーム2(多発性骨髄腫)の両方に登録することができる。用量レベル2で、LDレジメンを用量レベル1で試験された同じ用量レベルで実行する。用量レベル2は、LD化学療法レジメン後に投与するが、用量レベル1は、LDレジメンなしで投与する。
【0659】
(表9)CART-TnMUC1-01の用量レベル
LD=リンパ枯渇;MTD=最大耐用量;PSMC=第1相安全性モニタリング委員会
a PSMCの裁量で、観察されたオンターゲット/オフ腫瘍毒性を評価するために個々の用量レベルコホートをLDレジメンがない中で拡大することができる。
b 用量レベル1は、アーム1(固形腫瘍)にだけ登録し、アーム2(多発性骨髄腫)に登録しない。用量レベル2から始めて、アーム1および2は、並行に登録される(
図29を参照のこと)。
c 用量レベル5の後にMTDが特定されない場合、PSMCによって推奨されれば用量を半logずつ漸増することができる。
【0660】
次いで、2つの第1相アームを並行に継続して登録する(
図29)。
図29は、用量漸増スキームを示す。示しているように、LDは、リンパ枯渇を意味し;MMは、多発性骨髄腫を意味し;tr細胞は、形質導入細胞を意味する。用量漸増は、工程を左から右に進む。コホート1は、最初に固形腫瘍を有する3人の患者を登録し、CART-TnMUC1をLDレジメンなしで投与する。アーム2(MM)は、コホート1の安全性が確立されたら開始し、コホート2(用量レベル2)から始める。表示のコホート4を超えるコホートは、表9の用量レベルに従って登録する。
【0661】
用量漸増ガイドライン:第1相に登録された個々の患者ごとの用量制限毒性(DLT)観察期間は、(1)LD化学療法レジメンの開始(LDレジメンを受けるすべての患者で)、または(2)CART-TnMUC1細胞注入(LDレジメンを受けないすべての患者で)の早い方から始まる。すべての患者のDLT期間は、CART-TnMUC1細胞注入(0日目)後28日目に終える。したがって、LD化学療法レジメンを施すすべてのコホートで、DLT観察期間は、LD化学療法の時間枠を含む(3日間の化学療法は、-1日の期間を追加して-6日目~-4日目に開始する)。対照的に、コホート1(アーム1)およびLD化学療法レジメンを施さないすべてのコホートでは、DLT観察期間は、CART-TnMUC1細胞の投与から始まる。任意の所与のコホートのDLT観察期間は、コホートに登録された最後の患者がDLT観察期間を完了したとき(CART細胞の投与後28日目)か患者がDLTを経験したとき(どちらの事象がより早く生じたとしても)に終える。
【0662】
この臨床研究のために、最大耐用量(MTD)は、観察されたDLT率が許容可能と見なされる(少なくとも3人の評価可能な患者のうちDLTを有する患者0人または6人の評価可能な患者の中でDLTを有する患者最大1人)最も高い用量レベルとして定義される。試験の第1相部分のすべての入手可能なデータを考慮して、PSMCは、拡大コホートでのさらなる試験に進める用量(試験の第1a拡大相部分で研究しようとするCART-TnMUC1細胞の第2相推奨用量(RP2D)として定義される)を特定する。RP2Dは、MTDと同じ用量であっても第1相で研究されたより低い用量レベルであってもよい。第1相の2つの並行アームで特定されたRP2Dは、2つのアームで異なっていてもよい。この場合、アーム1(固形腫瘍、ST)で特定されたRP2DはRP2D-STであり、アーム2(多発性骨髄腫、MM)におけるRP2DはRP2D-MMである。
【0663】
MTDを決定するためのプロセスは、MTDが定義されるかまたはPSMCがRP2Dを定義するまで用量漸増または漸減の下記プロトコルガイドラインに従う。
【0664】
試験の第1相部分内の用量漸増決定は、PSMCの責任である。各用量レベルでの決定は、以下の1つを制定することである:(1)次の用量レベルまで漸増;(2)より低い用量まで漸減;(3)個々の用量レベルコホートを拡大;または(4)MTDおよび/またはRP2Dを公表。PSMCは、個々の用量レベルコホート決定プロセスごとに行われる決定において、すべての入手可能な安全性、忍容性および実現可能性データを考慮する。
【0665】
臨床研究の第1相用量決定部分中の用量漸増または漸減は、PSMCの裁量であり、以下を実行する:
・少なくとも3人の評価可能な患者の中で1つのDLTが発生した場合(1つのDLT/3人の患者)、PSMCの裁量で、コホートを、この用量レベルで6人の評価可能な患者に拡大することができる。コホートが拡大された後、6人の評価可能な患者の中で2つのDLTが発生した場合、PSMCが事前の用量レベルまで漸減すると決定すべきである。
・3人の評価可能な患者のDLTが0または6人の評価可能な患者のうち1つのDLTが発生した場合、PSMCが次の用量レベルコホートまで用量を漸増すると決定することができる。
・所与の用量コホート内で2つのDLTが発生した場合、このコホートへの登録を停止し、用量を事前の耐用量レベルまで漸減する。
・PSMCの裁量で、所与の用量レベルでのDLTの観察後、妥当と判断された場合、リンパ枯渇なしの患者を含むようにコホートを拡大して、観察されたオンターゲット/オフ腫瘍DLTをより良好に特徴付けることができる(「a」コホート、
図30を参照のこと)。そのような非リンパ枯渇コホートで治療された患者は、用量を決定する算出に寄与しない。リンパ枯渇なしの用量レベル1を上回る用量レベルで治療された患者(
図30中の「a」コホート)は、全体の潜在的な用量漸増ではなく、所与の用量レベルでの安全性プロファイルを理解することがより良い。
・潜在的なRP2Dの特定後にPSMCの裁量で、特定されたRP2Dで第1相のアームの一方または両方に3~6人の患者の追加コホートを登録して、RP2D-STおよび/またはRP2D-MMの正式な特定の前にDLT率ならびに予備安全性および忍容性をさらに確認することができる。
【0666】
図30は、用量漸増コホートを示す。示しているように、tr細胞は、形質導入されたCART-TnMUC1細胞を意味し、LDは、リンパ枯渇を意味する。試験の第1相用量漸増部分は、概説するとおり、用量漸増コホート後、改変3+3として進行する。観察されたオンターゲット/オフ腫瘍毒性をより良く評価するために、PSMCによって妥当と判断されれば任意のコホートをLDレジメンの投与なしで拡大することができる。LDなしのコホートの登録後(左の「a」コホート)、PSMCは、LDレジメンありのコホートの拡大を続けるかまたは用量を漸減するかを決定することができる。
【0667】
患者は、以下いずれかの場合に、MTD/RP2D決定の目的で評価可能であると見なされる:(1)患者がDLTを経験する、または(2)患者はCART-TnMUC1細胞投与後の全28日間DLTを経験しないことが観察されており、かつ、コホートごとにプロトコル指定の用量レベルを受けている。
【0668】
何らかの理由で、プロトコル指定の用量が所与の患者向けに製造できないが、より低い用量の細胞が生産および注入される場合、患者は、以下の状況で用量決定を行うために評価可能であると見なされる:
・プロトコル指定の用量レベルを受けていないがより低い用量レベルのCART-TnMUC1細胞を受けているDLTを経験した患者は、DLTでの用量レベルに関して決定を行う目的で評価可能であると見なされる。
・DLTを経験していないがプロトコル指定のコホート用量レベルよりも低い用量を受けている患者は、決定を行う目的で評価可能ではないと見なされ、用量決定を行うのに必要であればPSMCの裁量で入れ替えられる。
【0669】
用量制限毒性の定義:DLTは、CART-TnMUC1-01臨床研究において、適切な医学的管理で1週間以内にグレード1または0に回復せず、CART-TnMUC1細胞の初期用量後28日以内に生じる、上記基準を除いたグレード3以上の任意のCART治療関連非血液学的有害事象として定義される。その定義の定義の例外を以下の表10に記載する。
【0670】
この臨床研究では、AEは、CRSを除き、CTCAEバージョン5.0に従って等級分けされる。CRS事象の等級分けは、CRSについて公表されている基準(Lee et al. (2014) Blood, 124(2):188-195)に基づき、表11に編集される。CRSは、認識されているCART療法の合併症である。
【0671】
DLT観察のための28日間のCART注入後時間枠は、LDレジメンを受けている患者でのLD化学療法レジメンを包含する(したがって、全DLT観察時間はおよそ35日である)。LDレジメンで治療されていない患者では、DLT観察期間は、CART-TnMUC1注入から始まる(したがって、DLT観察は28日である)。
【0672】
(表10)用量制限毒性基準
CARTは、キメラ抗原受容体T細胞を意味し;DLTは、用量制限毒性を意味する。
a膵臓の画像診断は、無症候性のグレード2以上のアミラーゼおよび/またはリパーゼの上昇を伴うすべての患者で実行する。
【0673】
(表11)CRS事象の等級分け尺度
CRSは、サイトカイン放出症候群を意味する
【0674】
第1a拡大相コホート設計
臨床研究のこの部分は、TnMUC1+白金抵抗性卵巣がんを有する患者にLD化学療法後にi.v.投与されるCART-TnMUC1細胞の第2相推奨用量(RP2D)の予備有効性を評価し、安全性、忍容性および実現可能性をさらに特徴付ける。CART-TnMUC1細胞のRP2Dは、試験の第1相部分のアーム1(固形腫瘍)中の異なるコホートの安全性および実現可能性の結果に基づいて特定される。
【0675】
患者は、試験の単回アーム第1a拡大相コホートに順次登録される。試験の第1a相部分での安全性考慮のために遅延させられることはない。
【0676】
第1a拡大相コホートに登録される患者は、TnMUC1+白金抵抗性卵巣がんを有する。
【0677】
第1a拡大相コホートにおける安全性データは、4人の独立のメンバー、3人の腫瘍内科医および1人の統計学者からなる独立したデータモニタリング委員会(IDMC)によってモニタリングされる。IDMCは、安全性の問題の評価ならびに活性の観察に特に重点を置いて臨床研究の実施をモニタリングする。IDMCは、IDMC憲章によって運営される。
【0678】
IDMCの一義的な責任は、試験に登録された患者の安全性、臨床研究の全般的な実施および有効性の予備観察に重点を置いて、暫定データを定期的に見直し、評価することである。
【0679】
IDMCは、試験において観察されたグレード2以上の毒性ならびにグレード2以上の神経毒性およびグレード3以上のCRSのすべての症例に重点を置いて、すべての安全性データを見直す。IDMCは、安全性データをモニタリングし、毒性の停止規則を審査し、登録の中止を制定する。簡単に述べると、登録の中止は、少なくともCART-TnMUC1に関連する可能性があると見なされた単一患者での新たなグレード4の毒性(試験の第1相部分中に観察されない)、すなわち、第1a相において2人以上の患者で観察された少なくともCART細胞の注入に関連する可能性があると見なされた第1相において過去に観察された任意のグレード4の毒性に対して、IDMCの裁量で実行される(毒性の原因のさらなる評価まで)。プロトコルにおいてDLTと見なされた毒性も同様にモニタリングされ、DLT率が30%を超えると見なされた場合に、登録は中止され、IDMCが召集される。病勢進行に原因があるわけではなく、少なくともCART細胞注入に関連する可能性があると見なされた、CART細胞の投与の30日以内の任意の死亡は、IDMCが登録再会の安全性について考慮するために登録を遅らせる。
【0680】
臨床研究期間
事前スクリーニングインフォームドコンセント用紙に署名した患者は、IHCによる中央TnMUC1試験に提供されるアーカイブ腫瘍試料を有する。アーカイブ試料のない患者は、事前スクリーニング腫瘍試料を収集するために、重大なリスクを伴わない手順のみを使用した生検を受けることができる。中央免疫組織化学(IHC)アッセイによって試験されたTnMUC1+腫瘍を有する患者は、主要臨床研究インフォームドコンセント用紙に署名することによってスクリーニングに進むことができる。スクリーニングに入る中央アッセイによるTnMUC1+腫瘍を有する患者は、第2の腫瘍試料を提出する必要はなく、再度事前スクリーニングプロセスを経て、臨床研究のために再スクリーニングされる。
【0681】
事前スクリーニング:事前スクリーニングインフォームドコンセント用紙に署名した患者は、IHCによる中央TnMUC1試験に提供されるアーカイブ腫瘍試料を有する。アーカイブ試料のない患者は、事前スクリーニング腫瘍試料を収集するために、重大なリスクを伴わない手順のみを使用した生検を受けることができる。中央免疫組織化学(IHC)アッセイによって試験されたTnMUC1+腫瘍を有する患者は、主要臨床研究インフォームドコンセント用紙に署名することによってスクリーニングに進むことができる。スクリーニングに入る中央アッセイによるTnMUC1+腫瘍を有する患者は、第2の腫瘍試料を提出する必要はなく、再度事前スクリーニングプロセスを経て、臨床研究のために再スクリーニングされる。
【0682】
スクリーニング:すべての組み入れ基準を満たし除外基準のどれも満たさない患者は、適格基準を完全に満たし、コホート配分に供される。第1相用量漸増の間、患者は、非盲検投薬コホート内の空きスロットに配分され;患者は、コホート配分時に臨床研究に登録されると見なされる。第1a拡大相では、患者は、適格性および製造アベイラビリティーに基づいて配分される。登録時に、患者は、白血球アフェレーシス処置およびCART-TnMUC1製造の予定を決める。
【0683】
白血球アフェレーシスおよびCART細胞製造:臨床研究に登録された患者(定義については上記参照)は、白血球アフェレーシス処置、リンパ枯渇化学療法(プロトコル指定の場合)およびCART-TnMUC1注入の予定を決める。次いで、患者は、この臨床研究のプロトコルに従い、かつ、アフェレーシスおよび注入マニュアルに詳述されているように、試験白血球アフェレーシス処置を受ける。この処置が完了したら、白血球アフェレーシス産物を凍結し、製造施設(ペンシルベニア大学のCVPF)に向けて出荷する。白血球アフェレーシス産物は、製造プロセスのためCVPFに向けて出荷する。
【0684】
つなぎ抗がん療法:一部の患者では、白血球アフェレーシス処置後でLD化学療法レジメン前に抗がん療法のレジメンの投与(CART製造プロセスの間)を提案することが適切である。この場合、治験責任医師は、提案されたつなぎ療法レジメンの選択と投与のタイミングについてスポンサーメディカルモニターと協議すべきである。一般に、(1)特定の疾患状況において活性が実証されているおよび(2)LDレジメンの投与を妨げる長期毒性なしに投与することができるレジメンが、患者への白血球アフェレーシス後でLDレジメン前のつなぎ療法として投与に考慮されるべきである。患者は、LDレジメン投与の前にいかなる全身療法もなく少なくとも2週間過ごさなければならない。つなぎ療法の投与の前にスポンサーメディカルモニターと協議する。
【0685】
リンパ枯渇化学療法:記載しているように、患者は、CART注入の前に-6日目に開始して-4日目に終了するLD化学療法レジメンを受ける(LD化学療法レジメンを施す時間枠は、CART注入を0日目に固定して、-7日目~-5日目に拡大することができる)。リンパ枯渇(LD)レジメンが投与される前に、患者は、LD投与前チェックリストで審査されなければならない(表12)。治験責任医師の裁量で、患者をLD化学療法のために入院させることができる。第1相のコホート1およびLDなしの任意の第1相コホートに登録された患者(表12)は、LDレジメンを受けず、CART注入(0日目)を続行する。
【0686】
(表12)リンパ枯渇チェックリスト
CARTは、キメラ抗原受容体T細胞を意味し;ECOGは、米国東海岸がん臨床試験グループを意味し;LDは、リンパ枯渇を意味する。
【0687】
CART-TnMUC1細胞注入:CART注入は、LD化学療法の完了のおよそ3~4日後に始める(この場合、LD化学療法が投与される)。患者は、CART細胞の投与の前にCART-TnMUC1注入チェックリストで審査される(表13)。CART-TnMUC1の注入日は、臨床研究0日目である。患者は、CART注入のために入院し、強制観察期間としてCART細胞注入後少なくとも2晩入院患者として管理される(最小観察、注入後0日目に一泊および1日目に一泊、2日目に退院の可能性あり)。CART注入後に観察される毒性について追加の入院患者管理が必要となる場合がある。CART細胞注入は、入院患者としてまたは細胞療法単位で入院患者を観察しながら(最低でも2晩の観察)行われる。
【0688】
(表13)CART-TnMUC1注入チェックリスト
【0689】
患者集団
組み入れ基準:
臨床研究の第1相部分および第1a拡大相部分の組み入れ基準を以下に概説する。登録される患者は、臨床研究への組み入れのために以下のそれぞれの組み入れ基準のすべてを満たさなければならない。
【0690】
1. 患者は、18歳以上の成人でなければならず、主要臨床研究インフォームドコンセント用紙に署名しなければならない。
【0691】
2. 患者は、転移性治療抵抗性卵巣がん(卵管のがんを含む)、膵臓腺がん、ホルモン受容体(HR)陰性およびHER2陰性(トリプルネガティブ)乳がん(TNBC)もしくは非小細胞肺がん(NSCLC)、または再発性/難治性多発性骨髄腫と確定診断されている必要がある。
【0692】
3. 患者は、0または1のECOGスコアを有していなければならない。
【0693】
4. 患者は、以下の事前治療を受けていなければならない:
a. 以下のいずれか1つ後に多発性骨髄腫:再発性または難治性疾患
i. 少なくとも3回の事前レジメン(これは、アルキル化剤、プロテアソーム阻害剤およびサリドマイド類似体(レナリドミドまたはポマリドミド)を含有していなければならない)
または
ii. プロテアソーム阻害剤およびサリドマイド類似体に「二重難治性」(これらの薬剤による治療の60日目または60日以内に進行状態として定義される)であるならば、少なくとも2回の事前レジメン
注記:導入療法、自家幹細胞移植(ASCT)および維持療法が進行に介入することなく順次与えられるならば、これらは、1「レジメン」と見なされる。
iii. 患者は、もし行われていたならばASCTから少なくとも90日経過していなければならない。
b. NSCLC
iii. 患者は、チェックポイント阻害(PD-1/PD-L1指向型療法)と白金ベースの化学療法の両方を含む標準療法を受けていなければならないか、またはこれらの標準療法に不耐性でなければならない。
iv. EGFRまたはALK変更を伴う患者は、上記の標準療法クラスに加えて、特異的な特定された変異に指向される事前標的化療法を受けていなければならない。
c. 膵臓腺がん:患者は、転移性または切除不能疾患に対する少なくとも1つの全身化学療法による標準治療後に、病勢進行を経験していなければならない。
d. トリプルネガティブ乳がん(TNBC):患者は、転移性乳がんの管理のためのそれらの治療の一部としての少なくとも1つの事前全身抗がん療法レジメン後に、病勢進行を経験していなければならない。
e. 卵巣がん:患者は、白金抵抗性(当初は白金療法に感受性)と見なされた場合に適格であり、白金含有レジメンを含む少なくとも1種類の事前療法を含む転移性卵巣がんに対する少なくとも2種類の事前療法を受けていなければならない。
【0694】
5. 患者は、以下に関して適格とされる評価可能な疾患を有していなければならない:
a. 多発性骨髄腫
iii. 患者は、臨床研究エントリーに関して測定可能な疾患を有していなければならず、以下の少なくとも1つを含まなければならない:
1. 血清Mスパイク≧0.5g/dL
2. 24時間尿Mスパイク≧200mg
3. 異常な比を伴う関与無血清軽鎖(FLC)≧50mg/L
4. 検査または画像診断での測定可能な形質細胞腫
5. 骨髄形質細胞≧20%
注記:正常血清タンパク質とベータ領域のパラタンパク質との共移動が原因で血清タンパク質電気泳動が信頼できないと見なされるIgA骨髄腫を有する患者は、総血清IgAレベルが正常範囲を上回る限り適格であると見なしてもよい。
b. 固形腫瘍:疾患ステータスは、固形腫瘍の反応評価基準(RECIST v.1.1、Eisenhauer et al. (2009) Eur J Cancer, 45(2):228-247を参照のこと)により判定される。腫瘍画像診断は、アフェレーシスの前の少なくとも28日以内に実施されるべきである。相固有の基準は、以下に言及される。
ii. 第1相:患者は、第1相でRECIST v.1.1による評価可能な疾患を有していなければならない。
iv. 第1a拡大相:患者は、第1a拡大相でRECISTv.1.1による測定可能な疾患を有していなければならない。
【0695】
6. すべての患者は、事前またはアーカイブ腫瘍生検でのTnMUC1発現が中央で検査されたことで決定されるTnMUC1+疾患を有していなければならない。アーカイブ腫瘍生検試料が入手できないならば、患者は、重大なリスクを伴わない生検手技のみを用いてスクリーニング適格性の目的で任意の生検を受ける場合がある。
【0696】
7. 患者は、スクリーニングの少なくとも2週間前に事前抗がん療法を完了しており、かつ、任意の先行療法からの毒性がグレード1または0まで回復していなければならない(脱毛症、十分に制御された電解質または内分泌異常、十分に制御された末梢神経障害、および白斑を除く)。
【0697】
8. 3ヶ月を超える平均余命。
【0698】
9. 以下によって定義されるとおりの適切な重要臓器機能:
a.血清クレアチニン≦1.5mg/dLまたは推定クレアチニンクリアランス≧30ml/min(施設内標準算出による)
b. アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≦3×正常値上限(ULN)ならびに総ビリルビン≦2.0mg/dL。肝疾患を有する患者については特に除外されない。
c. 血清総ビリルビン<1.5×ULN
d. 血清アルブミン≧3.0g/dL(アーム1および第1a相の固形腫瘍患者のみ、多発性骨髄腫を有する患者には適用されない)
e. 左室駆出分画率(LVEF)≧45%。LVEF評価は、スクリーニングの8週間以内に実施されていなければならない。
【0699】
10. 以下によって定義されるとおりの適切な血液予備能(アフェレーシスの4週間以内に補助輸血または造血成長因子の使用なし):
a. ヘモグロビン≧9g/dL。
b. 好中球絶対数≧1000/μL。
c. 血小板数≧50,000/μL(骨髄腫患者について骨髄形質細胞が細胞充実度≧50%である場合、≧30,000/μL)。
d. >500/μLのリンパ球絶対数。
注記:患者は、血液学的パラメーターを維持するのに輸注依存的であってはならない。
【0700】
11. 生殖能のある患者は、プロトコルにより承認されている避妊法を使用することに同意する。
【0701】
除外基準:第1相と第1a拡大相の両方の除外基準を以下に概説する。臨床研究への登録が考慮される患者は、以下の基準のいずれも満たしてはならない。
【0702】
1. 臨床研究に含まれる提案されたがん以外の活動性浸潤がん。
【0703】
2. 全身高用量コルチコステロイド(20mg/日のプレドニゾン当量を超える用量として定義される)による現行治療。臨床研究エントリーの時点で多発性骨髄腫を有する患者は、アフェレーシスの前に事前の積極的高用量コルチコステロイド療法を完了していなければならず、かつ、低用量コルチコステロイド療法でまたはコルチコステロイド療法なしで維持されなければならない。20mg/日以下のプレドニゾンと同等のコルチコステロイドによる低用量生理学的置換療法が許容可能である。
【0704】
3. 活動性自己免疫疾患(結合組織疾患、ブドウ膜炎、サルコイドーシス、炎症性腸疾患または多発性硬化症を含む)または長期免疫抑制療法を必要とする重症自己免疫疾患歴を有する(任意の免疫抑制療法は、スクリーニング来院前の6週間以内に停止されているべきである)。
【0705】
4. 現在活動性のHIV、HCV、HBV感染。不顕性感染を除外するためにすべての患者でスクリーニング時にウイルス検査が必要とされる。
【0706】
5. スポンサーまたは治験責任医師の意見で参加を不可能にする他の活動性または制御されない医学的または精神医学的状態。
【0707】
6. 事前の同種幹細胞移植。
【0708】
7. 活動性で未治療の中枢神経系(CNS)悪性腫瘍。治療病変は、根治的治療後少なくとも1ヶ月間安定であれば、不活動性と見なしてもよい。患者は、脳転移の管理にコルチコステロイド療法または抗てんかん薬物療法を必要としてはならない。
【0709】
8. CART-TnMUC1細胞を安全に受ける患者を排除することになる、モノクローナル抗体もしくは生物学的療法に対するまたは臨床研究製品の賦形剤(例えば、ヒト血清アルブミン、DMSO、デキストラン40)に対する重度注入反応歴。
【0710】
9. (1)ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIIIもしくはIVの心不全、(2)不安定狭心症、または(3)最近(6ヶ月以内)の心筋梗塞歴もしくは持続性(>30秒)の心室性頻脈性不整脈歴として定義される、活動性または最近(アフェレーシスの前の過去6ヶ月以内)の心疾患。
【0711】
10. アフェレーシス処置の不適切な静脈アクセスまたはアフェレーシス処置の禁忌を有する。
【0712】
11. 妊娠または授乳中の女性。
【0713】
別の態様では、患者集団は、以下の基準を満たす。
【0714】
重要な組み入れ基準:
1. 転移性治療抵抗性卵巣がん(卵管のがんを含む)、膵臓腺がん、ホルモン受容体(HR)陰性およびHER2陰性(トリプルネガティブ)乳がん(TNBC)もしくは非小細胞肺がん(NSCLC)、または再発性/難治性多発性骨髄腫の確定診断。
2. 米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)スコア0または1。
3. 本明細書に記載されるような腫瘍タイプによって定義されるとおりの事前療法。
4. 本明細書に記載されるような腫瘍タイプによって定義されるとおりの評価可能な疾患。
5. 事前またはアーカイブ腫瘍生検でのTnMUC1発現が中央で検査されたことで決定されるTnMUC1+疾患。
6. スクリーニングおよび毒性評価の少なくとも2週間前に事前抗がん療法を完了
7. 3ヶ月を超える平均余命。
8.血清クレアチニン≦1.2mg/dLまたは算出クレアチニンクリアランス≧60ml/分(Cockroft & Gaultの式を使用)。
9. アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦2.5×施設内正常値上限。以下を除く:公知の肝転移、ASTまたはALT≦3×施設内正常値上限を有する患者。
10. 血清総ビリルビン<1.5mg/dL。以下を除く:公知のジルベール病、血清総ビリルビン<3mg/dLを有する患者。
11. 血清アルブミン≧3.0g/dL(アーム1および第1a相の固形腫瘍患者のみ、多発性骨髄腫を有する患者には適用されない)。
12. 左室駆出分画率(LVEF)≧50%。LVEF評価は、スクリーニングの8週間以内に実施されていなければならない。
13. ヘモグロビン≧9g/dL。
14. 好中球絶対数≧1500/μL。
15. 血小板数≧100,000/μL(骨髄腫患者について骨髄形質細胞が細胞充実度≧50%である場合、≧30,000/μL)。
16. >500/μLのリンパ球絶対数。
【0715】
重要な除外基準:
1. 臨床研究に含まれる提案されたがん以外の活動性浸潤がん。
2. 全身高用量コルチコステロイド(20mg/日のプレドニゾン当量を超える用量として定義される)による現行治療。
3. 活動性自己免疫疾患(結合組織疾患、ブドウ膜炎、サルコイドーシス、炎症性腸疾患または多発性硬化症を含む)または長期免疫抑制療法を必要とする重症自己免疫疾患歴を有する(任意の免疫抑制療法は、スクリーニング来院前の6週間以内に停止されているべきである)。
4. 現在活動性のヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)感染。
5. 事前の同種幹細胞移植。
6. 活動性で未治療の中枢神経系(CNS)悪性腫瘍。
7. CART-TnMUC1細胞を安全に受ける患者を排除することになる、モノクローナル抗体もしくは生物学的療法に対するまたは臨床研究製品の賦形剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ジメチルスルホキシド[DMSO]、デキストラン40)に対する重度注入反応歴。
8. (1)ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIIIもしくはIVの心不全、(2)不安定狭心症、または(3)最近(6ヶ月以内)の心筋梗塞歴もしくは持続性(>30秒)の心室性頻脈性不整脈歴として定義される、活動性または最近(アフェレーシスの前の過去6ヶ月以内)の心疾患。
9. アフェレーシス処置の不適切な静脈アクセスまたはアフェレーシス処置の禁忌を有する。
10. 妊娠または授乳中の女性。
【0716】
臨床研究治療
治験薬:
・CART-TnMUC1細胞:ネズミ抗ヒトTnMUC1 scFv(モノクローナルAb 5E5に由来する)、CD8aヒンジおよび膜貫通ドメイン、CD2およびCD3ζから構成される抗TnMUC1 CARをコードするレンチウイルスで形質導入された自家T細胞であるCART-TnMUC1細胞が、静脈内経路を介して投与される。
【0717】
・シクロホスファミド:フルダラビンと併用して静脈内投与されるCART-TnMUC1細胞投薬の前のリンパ枯渇に使用される細胞傷害性化学療法剤。シクロホスファミドは、コホート1の患者(および第1相の任意の非LDコホートに登録された患者)を除いたすべての患者に投与される。シクロホスファミドの投薬は、フルダラビンと併用した、3日間にわたる300mg/m2/日である。
【0718】
・フルダラビン:シクロホスファミドと併用してCART-TnMUC1細胞投薬の前のリンパ枯渇に使用される化学療法剤。フルダラビンは、コホート1の患者(および第1相の任意の非LDコホートに登録された患者)を除いたすべての患者に投与される。フルダラビンの投薬は、3日間にわたる30mg/m2/日である。リンパ枯渇化学療法の投薬は、-6日目~-4日目に予定される(-1日の期間を追加、すなわち、-7日目~-5日目に投薬)。
【0719】
リンパ枯渇レジメン:第1相用量コホートレベル2および第1a拡大相コホートのすべての者では、患者は、-6日目~-4日目(-1日の期間を追加、すなわち、-7日目~-5日目)にLD化学療法レジメンで、0日目にCART-TnMUC1注入で治療される(PSMCの裁量でLDレジメンなしの用量漸増コホートを除く)。すべての患者が同じLDレジメン:3日間にわたる30mg/m2/日のフルダラビンと併用した3日間にわたる300mg/m2/日のシクロホスファミドを受ける。
【0720】
シクロホスファミド/フルダラビンの前投薬:シクロホスファミドを受けた患者は、治療の副作用として悪心および嘔吐を経験する場合があると予想される。悪心の制吐予防前投薬(コルチコステロイドを含む)を、施設内基準に従って化学療法の注入の前に投与することができる。具体的な薬剤の選択は、治験責任医師の裁量に委ねられる。
【0721】
シクロホスファミド:シクロホスファミドは、一般に良好な耐容性を示し、施設内実務(治験責任医師の裁量で入院患者をモニタリングすることを含む)に従って投与されるべきである。シクロホスファミドをLDレジメンで利用される用量範囲で用いた際に患者で観察される有害事象は、処方情報(シクロホスファミドラベル)に記載されている。これらの用量で予想される有害事象は、以下を含む:(1)皮膚科学的反応(3~6週に始まる脱毛症);(2)血小板減少および貧血として観察される骨髄毒性は、白血球減少および好中球減少よりも一般的ではなく、7日に発症し、10~14日にナディアとなり、およそ21日で回復する;(3)悪心および嘔吐が、大用量で、通常は投与の6~10時間後により高頻度に起こる;患者に制吐予防法および療法が施設内基準に従って提供される;ならびに(4)シクロホスファミド代謝物(アクロレイン)による膀胱の化学的刺激の結果と考えられる急性出血性膀胱炎が患者のおよそ10%で観察され(一部では患者の最大40%)、メスナを含む適切なi.v.水分補給が施設内実務に従って推奨される。
【0722】
フルダラビン:フルダラビンは、LD化学療法レジメンにおいてシクロホスファミドと併用して投与される。フルダラビンは、一般に良好な耐容性を示し、施設内実務(治験責任医師の裁量で入院患者をモニタリングすることを含む)に従って投与されるべきである。フルダラビンの投薬で観察される有害事象は、処方情報(フルダラビンラベル)に記載されている。これらのAEは、一般に、以下を含む:(1)貧血、血小板減少、好中球減少およびリンパ球減少を含む骨髄抑制。患者は、重症だが回復可能である場合が多く、これは典型的にはフルダラビンの度重なる投薬(28日ごとに3日間連続投与される)後に生じる。この臨床研究では、患者は、フルダラビンの3日間の単回投与を受ける。(2)溶血性貧血または免疫血小板減少を含む自己免疫血液学的有害事象が、フルダラビンの1サイクルまたはそれ以上のサイクルに続いて生じ得る。フルダラビンによる治療を受けた患者は、血球減少および/または溶血について注意深く評価およびモニタリングされる。(3)フルダラビンで悪心および嘔吐が生じる場合があり、患者に制吐予防法および療法が施設内実務に従って提供される。
【0723】
併用LDレジメン(Flu/Cy):フルダラビンとシクロホスファミドの併用(Flu/Cy)は、CAR-T試験において一般に受け入れられている標準的なLDレジメンである。上記によれば、この併用に伴うより一般的な潜在的AEは、骨髄抑制を含み、この場合、低い好中球/顆粒球またはリンパ球が感染をもたらし得る、および/または血小板減少があざまたは出血の増加をもたらす場合がある。この併用に関連する他のAEは、好中球減少性発熱、出血性膀胱炎、疲労、悪心、嘔吐および脱毛症を含む。
【0724】
シクロホスファミドおよびフルダラビンの投与は、施設内標準実務に従い、示されるような支持療法ガイドラインを遵守すべきである。
【0725】
CART-TnMUC1細胞の調製:細胞製造は、ペンシルベニア大学臨床細胞ワクチン生産施設(CVPF)で実施される。CART-TnMUC1細胞用量は、凍結バッグ中の形質導入細胞用量に従って投与用に製剤化される。形質導入細胞用量がフローサイトメトリー検査を使用して算出され、CARを発現するCD3+ T細胞の百分率が決定される。注入バッグに含有される総細胞および注入のための細胞懸濁液の総体積は、レンチウイルス形質導入効率に左右される。
【0726】
各バッグは、以下の不融性グレード試薬(%v/v)を含有する凍結媒体のアリコートを含有する:
・31.25%(v/v)のPlasmaLyte-A
・31.25%(v/v)の5%デキストロース(0.45%塩化ナトリウム中)
・10%(v/v)の10%デキストラン40(5%デキストロース中)
・20%(v/v)の25%ヒト血清アルブミン(HSA)
・7.5%(v/v)ジメチルスルホキシド(DMSO)
【0727】
前投薬および支持療法:前投薬:T細胞注入後の副作用は、一時的な発熱、寒気および/または悪心を含む。患者にはCART-TnMUC1細胞注入の前にアセトアミノフェンおよび抗ヒスタミン剤が前投薬されることが推奨される。これらの投薬は、必要であれば6時間ごとに繰り返してもよい。患者が引き続きアセトアミノフェンによって軽減されない発熱を有するならば、非ステロイド性抗炎症薬治療が処方されてもよい。
【0728】
コルチコステロイド療法:患者は、命に関わる毒性またはトシリズマブの投与に応答しない毒性がある場合に、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン(メチルプレドニゾロン)またはデキサメタゾン(Decadron)などの全身コルチコステロイドを受けるべきである。LD化学療法レジメンによる制吐予防法または命に関わる毒性以外の理由のコルチコステロイド療法の投与は、CART-TnMUC1細胞の拡大増殖および機能に有害作用を有し得るため推奨されない。
【0729】
支持療法:CAR-T注入当日に最近のLD化学療法レジメン投与が原因で好中球減少性である患者では、施設内基準に従っておよび/またはNeelapu et al. (2018) Nat Rev Clin Oncology, 15:47の助言のとおり、一般に、注入当日に開始して好中球数の回復まで、または治験責任医師によってもはや感染リスクの増加がないと判断されるまで、予防的抗生物質が投与される。
【0730】
院内薬局は、疑わしい毒性に対処するために、2用量のトシリズマブが注入の前に院内にあり、投与に使用可能であることことを確認しなければならない。患者がアレルギー/アナフィラキシー反応、または重度の低血圧クライシス、または注入に対する他の任意の反応を有する場合、注入中に救急医療機器(すなわち、救急トロリー)が使用可能でなければならない。
【0731】
CART-TnMUC1細胞静脈内投与:CART-TnMUC1細胞製品は、アフェレーシスおよび注入マニュアルに概説されるプロセスに従って、臨床研究0日目(時間枠なし)にi.v.注入を介して投与される。注入施設の臨床研究職員は、免疫抑制患者向けに事前の対策を講じるべきである。T細胞注入は、臨床研究施設で臨床研究治験責任医師または指定医の下、資格のあるレジスタードナースによって実施されるべきである。注入の遅延が必要となるCART細胞注入は、臨床研究についてスポンサーメディカルモニターと協議すべきである。
【0732】
CART注入後、最初の1時間は15分(±5分)ごとに、次いで、次の2時間は30分(±10分)ごとに、バイタルサインが測定される。CART-TnMUC1細胞注入の3時間後、患者のバイタルサインが十分ではなく安定していなければ、30分(±10分)ごとにまたは臨床的に安定が示されるまで、バイタルサインは継続してモニタリングされる。バイタルサインが注入後の最初の3時間安定していれば、患者は、CART注入の12時間後まで1時間ごとにバイタルサインがモニタリングされるべきである。バイタルサインが継続して安定していれば、退院まで施設内基準に従って2~4時間ごとに患者のバイタルサインをモニタリングすることができる。患者は、CART-TnMUC1注入後2晩、入院患者としてモニタリングされる。この患者が2晩目の観察期間後に安定していれば、患者は退院して家に戻ることができる。
【0733】
すべての患者は、CART-TnMUC1注入後少なくとも30日間、臨床試験会場の現地付近内に留まっていなければならず、38℃までの発熱、悪心、嘔吐、呼吸困難、倦怠感または任意の新たな神経症状を含む(限定されない)任意の毒性観察を評価するために臨床試験会場に戻らなければならない。現地付近は、60分以内を含む臨床試験会場までの移動距離として定義される。
【0734】
必要に応じて、患者がベースラインまたはCTCAE v5.0 Grade<1まで回復するまで、特定の有害事象を評価するために追加の審査を実施してもよい。
【0735】
評価項目
主要評価項目:
主要評価項目は、(1)第1相:用量特定の目的でアーム1およびアーム2コホートにおける用量制限毒性(DLT)の出現を特定すること;および(2)第1a相:奏効を有する白金抵抗性卵巣がん患者の割合を特定することを含む。
【0736】
副次評価項目:
副次評価項目は、(1)CART-TnMUC1の安全性、忍容性および実現可能性:治療中に発生した有害事象(AE)の出現、ベースライン検査結果からの偏移、外れおよび変化、バイタルサイン、ならびにCART-TnMUC1細胞を受けなかった登録患者の割合;(2)CARTの予備抗腫瘍有効性:全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、奏効期間および奏効までの期間;(3)TnMUC1の発現:TnMUC1の発現レベルと有効性パラメーターとの相関関係;ならびに(4)CART-TnMUC1細胞の末梢拡大増殖および持続性:関連する有効性および安全性パラメーターとの相関関係を含む。
【0737】
実施例10:形質導入およびT細胞拡大増殖プロトコル
一態様では、正常ドナー由来の細胞ND473、ND474、ND502およびND525を使用してCART-TnMUC1、CART-TnMUC1-BBz、CART-19およびNTD細胞を生成した。
【0738】
形質導入:0日目に、Human Immunology Coreから入手したバルクT細胞(CD4およびCD8)を1×106個の細胞/mLに希釈し、CD3/28ビーズにより細胞:ビーズ比1:3で刺激した。30U/mL IL-2を補充したR10培地でT細胞を培養した。刺激後1日目にMOI 3を使用してパッケージングレンチウイルスベクター(TnMUC1 CAR、TnMUC1-BBz CAR、CD19 CAR)の形質導入を実施し、37℃/5% CO2インキュベーター内で拡大増殖させた。対照としてNTD細胞を培養した。
【0739】
T細胞拡大増殖:細胞を培養し、2日ごとに新鮮なT細胞培養培地で0.75×106個の細胞/mLに分割した。細胞を5日目に脱ビーズ化し、培養下維持した。拡大増殖段階の終わりに、細胞分裂率の減少および約350~約300fL前後の平均細胞体積の減少によって判定されるとおり、細胞は休止した。細胞を、凍結保存培地中、5×107個の細胞/mL(1バイアルあたり体積1mL)のアリコートで凍結し、後で使用するために液体窒素中で保存した。
【0740】
細胞計数:拡大増殖中の様々な時点で、細胞を穏やかに混合し、既知の培養体積から細胞の40μLアリコートを集め、Coulter Multisizer 3(Beckman Coulter)を使用してTRP検査室標準操作手順に従って計数するためにIsoton II希釈緩衝液20mLを有するアキュベット(Beckman Coulter)中にそれを入れた。これらのアッセイにより、細胞濃度、総細胞数、成長速度および細胞体積が決定され、これらのアッセイを使用して、希釈体積を計算し、凍結のために細胞をいつ休止させるかを決定した。
【0741】
刺激後5日目~最大23日目まで生存細胞を計数した。細胞製品について平均赤血球容積(MCV)がほぼ300fLに達したらT細胞拡大増殖を停止した。T細胞活性化から休止MCVまでの時間は、CAR形質導入ならびにドナー変動性によって影響され得る。
【0742】
別の態様では、正常ドナー由来の細胞ND489を使用してCART-TnMUC1およびNTD細胞を生成した。
【0743】
形質導入:0日目に、Human Immunology Coreから入手したバルクT細胞(CD4およびCD8)を1×106個の細胞/mLに希釈し、CD3/28ビーズにより細胞:ビーズ比1:3で刺激した。100U/mL IL-2を補充したCTS(商標)OpTmizer(商標)T細胞拡大増殖培地でT細胞を培養した。刺激後1日目にMOI 2.5を使用してパッケージレンチウイルスベクター(TnMUC1 CAR)による形質導入を実施し、37℃/5% CO2インキュベーター内で拡大増殖させた。対照としてNTD細胞を培養した。
【0744】
T細胞拡大増殖:3日目から始め、細胞を培養し、一日おきに新鮮なT細胞培養培地を使用して0.5×106個の細胞/mLに分割した。9日まで細胞を培養下維持し、その時点で、これらを採取し、脱ビーズ化した。細胞を、凍結保存培地中、5×107個の細胞/mL(1バイアルあたり体積1mL)のアリコートで凍結し、後で使用するために液体窒素中で保存した。
【0745】
細胞計数:拡大増殖中の様々な時点で、細胞を穏やかに混合し、既知の培養体積から細胞アリコートを集め、アクリジンオレンジ・ヨウ化プロピジウム細胞生存色素の添加後、LUNA(商標)細胞計数スライド(Logos Biosystems)に載せた。次いで、Luna Automated Cell Counter(Logos Biosystems)を使用して細胞を計数した。
【0746】
フローサイトメトリー:新鮮細胞アリコートの導入遺伝子発現をフローサイトメトリーによって測定した。形質導入効率を決定するために、所望の数の細胞を遠心分離し、蛍光活性化セルソーター(FACS)緩衝液(2%ウシ胎児血清[FBS]を含む1×リン酸緩衝食塩水[PBS])100μLに再懸濁し、1.0μg/100μLビオチン化タンパク質Lまたは5μL/100μLヤギ抗マウスのいずれかにより氷上で20分間染色した。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、1μL/100μLストレプトアビジン-PEにより氷上で20分間染色した。次いで、細胞をPBS中で洗浄し、L/Dバイオレット0.1μL/100μL(PBS中)により室温で20分間染色した。染色後、細胞を再度洗浄し、FACS緩衝液400μLに再懸濁し、BD LSRFortessaを使用して獲得した。
【0747】
T細胞拡大増殖:
5人の異なる正常ドナーを使用して、SINレンチウイルスベクターによりCART-TnMUC1細胞を生成した。簡単に述べると、単核細胞から初代ヒトT細胞を単離し、IL-2を補充した培地で培養し、CD3/CD28ビーズ(Invitrogen)により細胞対ビーズ比1:3で刺激した。活性化のおよそ16時間後、TnMUC1 CAR、TnMUC1-BBz CARまたはCD19 CARを含有するレンチウイルスでT細胞を形質導入し、一晩インキュベートした。対照としてNTD細胞を培養した。拡大増殖中、T細胞を新鮮な培養培地で一日おきに希釈し、最適な成長を維持した。
【0748】
TnMUC1 CARによる形質導入は、TnMUC1-BBz CAR、CD19 CARおよびNTD細胞と比較して成長に悪影響を与えなかった。総細胞数および集団倍加レベル(PDL)を算出し、MCVと共にプロットした。Multisizer 3を使用して数えられた試料(ND473、ND474、ND502、ND525)についてのみMCVが決定された。結果を
図31および32に示す。
【0749】
図31は、5人の異なる正常な健康ドナーからのT細胞を表示のCARで形質導入し、インビトロで拡大増殖させて、生存細胞を培養したときの総細胞数を示す。(A)ND473、(B)ND474、(C)ND502、(D)ND525、(E)ND489。総細胞数は各時点に算出し、y軸上にプロットした。
【0750】
図32は、5人の異なる正常な健康ドナーからのT細胞を表示のCARで形質導入し、インビトロで拡大増殖させて、生存細胞を培養したときの集団倍加を示す。(A)ND473、(B)ND474、(C)ND502、(D)ND525、(E)ND489。集団倍加は各時点に算出し、y軸上にプロットした。
【0751】
図33は、4人の異なる正常な健康ドナーからのT細胞を表示のCARで形質導入し、インビトロで拡大増殖させて、生存細胞を培養したときの平均細胞体積を示す。(A)ND473、(B)ND474、(C)ND502、(D)ND525。各時点の平均細胞体積をy軸上にプロットする。ND489について平均細胞体積は記録しなかった。
【0752】
ND473、ND474、ND502およびND525について、細胞分裂率の減少および約350~約300fL前後の平均細胞体積の減少によって培養期間を判定した。CAR形質導入は、T細胞活性化状態に影響を及ぼし、細胞製品がMCV 300fLを上回っている時間を増加させ得る。平均細胞体積は、5日目~8日目にピークに達し、ドナーによって変動した。ND473について、TnMUC1 CARおよびTnMUC1-BBz CAR群では23日目に、CD19 CARおよびNTD群では19日目に細胞を凍結保存した。ND474について、19日目に凍結保存したTnMUC1-BBz CAR群を除き、すべての群を17日目に凍結保存した。ND502およびND525について、TnMUC1 CAR群を14日目に凍結保存し、NTD群をそれぞれ11日目および10日目に凍結保存した。
【0753】
対照的に、ND489について、TnMUC1 CAR群とNTD群は共に9日目に凍結保存した。STILは、9~11日のCAR-T細胞産生と並行してT細胞を9日間かけて調製する。
【0754】
採取時に、TnMUC1 CARで形質導入された群は、8.7(14日間培養、ND502)~169.6(17日間培養、ND474)の範囲の総拡大倍数に達した。9日間培養のドナーは、36.3(ND489)の総拡大倍数に達した。TnMUC1 CARで形質導入された群の採取PDLは、4.85(14日間培養、ND502)~7.4(17日間培養、ND474)の範囲であった。9日間培養のドナーは、4.97(ND489)の採取PDLを有していた。すべてのドナーについて、採取PDLは、採取時のドナー一致NTD細胞に対して10%超阻害されることはなかった。
【0755】
ヒトT細胞のCAR発現:
導入遺伝子発現を、ビオチン化タンパク質Lとストレプトアビジン-PEまたはビオチン-ヤギ抗マウスとストレプトアビジン-PEを使用したフローサイトメトリーによって測定した。発現を
図34に示す。
図34では、正常ドナーT細胞を表示のレンチウイルス発現ベクターで形質導入し、フローサイトメトリーによってscFv+ T細胞の百分率を測定した。
【0756】
TnMUC1 CARの形質導入効率は、72%(ND473;平均蛍光強度[MFI]779)、46.8%(ND474;MFI 683)、58.3%(ND502;MFI 2617)、69.0%(ND525;MFI 2678)、および52.2%(ND489;MFI 2116)であった。これらの結果は、ベクターが、TnMUC1 CAR導入遺伝子の発現を成功裏に駆動することを実証している。5人の正常ドナーにわたる平均導入遺伝子発現は59.7%であり、平均MFIが1775であった一方で、CART-TnMUC1-BBzおよびCART-19を生産するためにも使用された2人のドナーのサブセットでは、平均形質導入効率は59.4%であり、平均MFIが731であった。
【0757】
TnMUC1-BBz CARおよびCD19 CARのドナー一致形質導入効率は、ND473について、それぞれ、69.6%(MFI 4442)および64.9%(MFI 2773)であり、ND474について、それぞれ、55.6%(MFI 4342)および67.2%(MFI 1971)であった。平均形質導入効率は、TnMUC1-BBz CARについて62.6%(平均MFI 4392)であり、CD19 CARについて66.1%(平均MFI 2372)であった。ND502、ND525およびND489は、TnMUC1-BBz CARまたはCD19 CARベクターで形質導入されなかった。
【0758】
ドナーが一致したTnMUC1 CARおよびTnMUC1-BBz CAR形質導入細胞の総百分率は似ていた一方で、MFIの差は、TnMUC1 CAR導入遺伝子の強度の低下を示している。
【0759】
他の態様
本明細書における可変部の任意の定義における要素の一覧の列記は、その可変部の定義を、任意の単一の要素または列記された要素の組み合わせ(または部分的組み合わせ)として包含する。本明細書におけるある態様の列記は、その態様を、任意の単一の態様としてまたは任意の他の態様もしくはその一部との組み合わせで包含する。
【0760】
本明細書において引用されるありとあらゆる特許、特許出願および刊行物の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。本発明は、具体的な態様を参照して開示しているが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなしに当業者によって本発明の他の態様および変形が考案されてよいことが明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのような態様および等価な変形のすべてを包含すると解釈されるものとする。
【0761】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> The Trustees of the University of Pennsylvania
<120> Tn-MUC1 Chimeric Antigen Receptor (CAR) T Cell Therapy
<150> US 62/824,532
<151> 2019-03-27
<150> US 62/881,269
<151> 2019-07-31
<160> 106
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 1476
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CAR
<220>
<223> Tn-MUC1 (5e5BBz)
<400> 1
atggccttac cagtgaccgc cttgctcctg ccgctggcct tgctgctcca cgccgccagg 60
ccgggatccc aggtgcagct gcagcagtct gatgccgagc tcgtgaagcc tggcagcagc 120
gtgaagatca gctgcaaggc cagcggctac accttcaccg accacgccat ccactgggtc 180
aagcagaagc ctgagcaggg cctggagtgg atcggccact tcagccccgg caacaccgac 240
atcaagtaca acgacaagtt caagggcaag gccaccctga ccgtggacag aagcagcagc 300
accgcctaca tgcagctgaa cagcctgacc agcgaggaca gcgccgtgta cttctgcaag 360
accagcacct tctttttcga ctactggggc cagggcacaa ccctgacagt gtctagcgga 420
ggcggaggat ctggcggcgg aggaagtggc ggagggggat ctgaactcgt gatgacccag 480
agccccagct ctctgacagt gacagccggc gagaaagtga ccatgatctg caagtcctcc 540
cagagcctgc tgaactccgg cgaccagaag aactacctga cctggtatca gcagaaaccc 600
ggccagcccc ccaagctgct gatcttttgg gccagcaccc gggaaagcgg cgtgcccgat 660
agattcacag gcagcggctc cggcaccgac tttaccctga ccatcagctc cgtgcaggcc 720
gaggacctgg ccgtgtatta ctgccagaac gactacagct accccctgac cttcggagcc 780
ggcaccaagc tggaactgaa gtccggaacc acgacgccag cgccgcgacc accaacaccg 840
gcgcccacca tcgcgtcgca gcccctgtcc ctgcgcccag aggcgtgccg gccagcggcg 900
gggggcgcag tgcacacgag ggggctggac ttcgcctgtg atatctacat ctgggcgccc 960
ttggccggga cttgtggggt ccttctcctg tcactggtta tcacccttta ctgcaaacgg 1020
ggcagaaaga aactcctgta tatattcaaa caaccattta tgagaccagt acaaactact 1080
caagaggaag atggctgtag ctgccgattt ccagaagaag aagaaggagg atgtgaactg 1140
agagtgaagt tcagcaggag cgcagacgcc cccgcgtaca agcagggcca gaaccagctc 1200
tataacgagc tcaatctagg acgaagagag gagtacgatg ttttggacaa gagacgtggc 1260
cgggaccctg agatgggggg aaagccgaga aggaagaacc ctcaggaagg cctgtacaat 1320
gaactgcaga aagataagat ggcggaggcc tacagtgaga ttgggatgaa aggcgagcgc 1380
cggaggggca aggggcacga tggcctttac cagggtctca gtacagccac caaggacacc 1440
tacgacgccc ttcacatgca ggccctgccc cctcgc 1476
<210> 2
<211> 492
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CAR
<220>
<223> Tn-MUC1 (5e5BBz)
<400> 2
Met Ala Leu Pro Val Thr Ala Leu Leu Leu Pro Leu Ala Leu Leu Leu
1 5 10 15
His Ala Ala Arg Pro Gly Ser Gln Val Gln Leu Gln Gln Ser Asp Ala
20 25 30
Glu Leu Val Lys Pro Gly Ser Ser Val Lys Ile Ser Cys Lys Ala Ser
35 40 45
Gly Tyr Thr Phe Thr Asp His Ala Ile His Trp Val Lys Gln Lys Pro
50 55 60
Glu Gln Gly Leu Glu Trp Ile Gly His Phe Ser Pro Gly Asn Thr Asp
65 70 75 80
Ile Lys Tyr Asn Asp Lys Phe Lys Gly Lys Ala Thr Leu Thr Val Asp
85 90 95
Arg Ser Ser Ser Thr Ala Tyr Met Gln Leu Asn Ser Leu Thr Ser Glu
100 105 110
Asp Ser Ala Val Tyr Phe Cys Lys Thr Ser Thr Phe Phe Phe Asp Tyr
115 120 125
Trp Gly Gln Gly Thr Thr Leu Thr Val Ser Ser Gly Gly Gly Gly Ser
130 135 140
Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Glu Leu Val Met Thr Gln
145 150 155 160
Ser Pro Ser Ser Leu Thr Val Thr Ala Gly Glu Lys Val Thr Met Ile
165 170 175
Cys Lys Ser Ser Gln Ser Leu Leu Asn Ser Gly Asp Gln Lys Asn Tyr
180 185 190
Leu Thr Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Pro Pro Lys Leu Leu Ile
195 200 205
Phe Trp Ala Ser Thr Arg Glu Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Thr Gly
210 215 220
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Val Gln Ala
225 230 235 240
Glu Asp Leu Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Asn Asp Tyr Ser Tyr Pro Leu
245 250 255
Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu Glu Leu Lys Ser Gly Thr Thr Thr
260 265 270
Pro Ala Pro Arg Pro Pro Thr Pro Ala Pro Thr Ile Ala Ser Gln Pro
275 280 285
Leu Ser Leu Arg Pro Glu Ala Cys Arg Pro Ala Ala Gly Gly Ala Val
290 295 300
His Thr Arg Gly Leu Asp Phe Ala Cys Asp Ile Tyr Ile Trp Ala Pro
305 310 315 320
Leu Ala Gly Thr Cys Gly Val Leu Leu Leu Ser Leu Val Ile Thr Leu
325 330 335
Tyr Cys Lys Arg Gly Arg Lys Lys Leu Leu Tyr Ile Phe Lys Gln Pro
340 345 350
Phe Met Arg Pro Val Gln Thr Thr Gln Glu Glu Asp Gly Cys Ser Cys
355 360 365
Arg Phe Pro Glu Glu Glu Glu Gly Gly Cys Glu Leu Arg Val Lys Phe
370 375 380
Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Lys Gln Gly Gln Asn Gln Leu
385 390 395 400
Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr Asp Val Leu Asp
405 410 415
Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys Pro Arg Arg Lys
420 425 430
Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys Asp Lys Met Ala
435 440 445
Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg Arg Arg Gly Lys
450 455 460
Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala Thr Lys Asp Thr
465 470 475 480
Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
485 490
<210> 3
<211> 732
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> scFv
<220>
<223> 5e5
<400> 3
caggtgcagc tgcagcagtc tgatgccgag ctcgtgaagc ctggcagcag cgtgaagatc 60
agctgcaagg ccagcggcta caccttcacc gaccacgcca tccactgggt caagcagaag 120
cctgagcagg gcctggagtg gatcggccac ttcagccccg gcaacaccga catcaagtac 180
aacgacaagt tcaagggcaa ggccaccctg accgtggaca gaagcagcag caccgcctac 240
atgcagctga acagcctgac cagcgaggac agcgccgtgt acttctgcaa gaccagcacc 300
ttctttttcg actactgggg ccagggcaca accctgacag tgtctagcgg aggcggagga 360
tctggcggcg gaggaagtgg cggaggggga tctgaactcg tgatgaccca gagccccagc 420
tctctgacag tgacagccgg cgagaaagtg accatgatct gcaagtcctc ccagagcctg 480
ctgaactccg gcgaccagaa gaactacctg acctggtatc agcagaaacc cggccagccc 540
cccaagctgc tgatcttttg ggccagcacc cgggaaagcg gcgtgcccga tagattcaca 600
ggcagcggct ccggcaccga ctttaccctg accatcagct ccgtgcaggc cgaggacctg 660
gccgtgtatt actgccagaa cgactacagc taccccctga ccttcggagc cggcaccaag 720
ctggaactga ag 732
<210> 4
<211> 244
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> scFv
<220>
<223> 5e5
<400> 4
Gln Val Gln Leu Gln Gln Ser Asp Ala Glu Leu Val Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15
Ser Val Lys Ile Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp His
20 25 30
Ala Ile His Trp Val Lys Gln Lys Pro Glu Gln Gly Leu Glu Trp Ile
35 40 45
Gly His Phe Ser Pro Gly Asn Thr Asp Ile Lys Tyr Asn Asp Lys Phe
50 55 60
Lys Gly Lys Ala Thr Leu Thr Val Asp Arg Ser Ser Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Gln Leu Asn Ser Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val Tyr Phe Cys
85 90 95
Lys Thr Ser Thr Phe Phe Phe Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Thr Leu
100 105 110
Thr Val Ser Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly
115 120 125
Gly Gly Ser Glu Leu Val Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Thr Val
130 135 140
Thr Ala Gly Glu Lys Val Thr Met Ile Cys Lys Ser Ser Gln Ser Leu
145 150 155 160
Leu Asn Ser Gly Asp Gln Lys Asn Tyr Leu Thr Trp Tyr Gln Gln Lys
165 170 175
Pro Gly Gln Pro Pro Lys Leu Leu Ile Phe Trp Ala Ser Thr Arg Glu
180 185 190
Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Thr Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe
195 200 205
Thr Leu Thr Ile Ser Ser Val Gln Ala Glu Asp Leu Ala Val Tyr Tyr
210 215 220
Cys Gln Asn Asp Tyr Ser Tyr Pro Leu Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys
225 230 235 240
Leu Glu Leu Lys
<210> 5
<211> 116
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> VH
<220>
<223> 5e5
<400> 5
Gln Val Gln Leu Gln Gln Ser Asp Ala Glu Leu Val Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15
Ser Val Lys Ile Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp His
20 25 30
Ala Ile His Trp Val Lys Gln Lys Pro Glu Gln Gly Leu Glu Trp Ile
35 40 45
Gly His Phe Ser Pro Gly Asn Thr Asp Ile Lys Tyr Asn Asp Lys Phe
50 55 60
Lys Gly Lys Ala Thr Leu Thr Val Asp Arg Ser Ser Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Gln Leu Asn Ser Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val Tyr Phe Cys
85 90 95
Lys Thr Ser Thr Phe Phe Phe Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Thr Leu
100 105 110
Thr Val Ser Ser
115
<210> 6
<211> 113
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> VL
<220>
<223> 5e5
<400> 6
Glu Leu Val Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Thr Val Thr Ala Gly
1 5 10 15
Glu Lys Val Thr Met Ile Cys Lys Ser Ser Gln Ser Leu Leu Asn Ser
20 25 30
Gly Asp Gln Lys Asn Tyr Leu Thr Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln
35 40 45
Pro Pro Lys Leu Leu Ile Phe Trp Ala Ser Thr Arg Glu Ser Gly Val
50 55 60
Pro Asp Arg Phe Thr Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr
65 70 75 80
Ile Ser Ser Val Gln Ala Glu Asp Leu Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Asn
85 90 95
Asp Tyr Ser Tyr Pro Leu Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu Glu Leu
100 105 110
Lys
<210> 7
<211> 24
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> TM
<220>
<223> CD8alpha
<400> 7
Ile Tyr Ile Trp Ala Pro Leu Ala Gly Thr Cys Gly Val Leu Leu Leu
1 5 10 15
Ser Leu Val Ile Thr Leu Tyr Cys
20
<210> 8
<211> 72
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> TM
<220>
<223> CD8alpha
<400> 8
atctacatct gggcgccctt ggccgggact tgtggggtcc ttctcctgtc actggttatc 60
accctttact gc 72
<210> 9
<211> 42
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Domain
<220>
<223> 4-1BB
<400> 9
Lys Arg Gly Arg Lys Lys Leu Leu Tyr Ile Phe Lys Gln Pro Phe Met
1 5 10 15
Arg Pro Val Gln Thr Thr Gln Glu Glu Asp Gly Cys Ser Cys Arg Phe
20 25 30
Pro Glu Glu Glu Glu Gly Gly Cys Glu Leu
35 40
<210> 10
<211> 126
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Domain
<220>
<223> 4-1BB
<400> 10
aaacggggca gaaagaaact cctgtatata ttcaaacaac catttatgag accagtacaa 60
actactcaag aggaagatgg ctgtagctgc cgatttccag aagaagaaga aggaggatgt 120
gaactg 126
<210> 11
<211> 112
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Domain
<220>
<223> CD3zeta
<400> 11
Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Gln Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys
35 40 45
Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys
50 55 60
Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg
65 70 75 80
Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala
85 90 95
Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
100 105 110
<210> 12
<211> 336
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Domain
<220>
<223> CD3zeta
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agagtgaagt tcagcaggag cgcagacgcc cccgcgtacc agcagggcca gaaccagctc 60
tataacgagc tcaatctagg acgaagagag gagtacgatg ttttggacaa gagacgtggc 120
cgggaccctg agatgggggg aaagccgaga aggaagaacc ctcaggaagg cctgtacaat 180
gaactgcaga aagataagat ggcggaggcc tacagtgaga ttgggatgaa aggcgagcgc 240
cggaggggca aggggcacga tggcctttac cagggtctca gtacagccac caaggacacc 300
tacgacgccc ttcacatgca ggccctgccc cctcgc 336
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Thr Thr Thr Pro Ala Pro Arg Pro Pro Thr Pro Ala Pro Thr Ile Ala
1 5 10 15
Ser Gln Pro Leu Ser Leu Arg Pro Glu Ala Cys Arg Pro Ala Ala Gly
20 25 30
Gly Ala Val His Thr Arg Gly Leu Asp Phe Ala Cys Asp
35 40 45
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<223> Hinge
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<223> CD8
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accacgacgc cagcgccgcg accaccaaca ccggcgccca ccatcgcgtc gcagcccctg 60
tccctgcgcc cagaggcgtg ccggccagcg gcggggggcg cagtgcacac gagggggctg 120
gacttcgcct gtgat 135
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Phe Trp Val Leu Val Val Val Gly Gly Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu
1 5 10 15
Leu Val Thr Val Ala Phe Ile Ile Phe Trp Val
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<213> Artificial Sequence
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<223> TM
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<223> CD28
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ttttgggtgc tggtggtggt tggtggagtc ctggcttgct atagcttgct agtaacagtg 60
gcctttatta ttttctgggt g 81
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<213> Artificial Sequence
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<223> Domain
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Arg Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr
1 5 10 15
Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro
20 25 30
Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser
35 40
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aggagtaaga ggagcaggct cctgcacagt gactacatga acatgactcc ccgccgcccc 60
gggcccaccc gcaagcatta ccagccctat gccccaccac gcgacttcgc agcctatcgc 120
tcc 123
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Gln Ser Leu Leu Asn Ser Gly Asp Gln Lys Asn Tyr Leu Thr
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Leu Leu Ile Phe Trp Ala Ser Thr Arg Glu Ser
1 5 10
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Gln Asn Asp Tyr Ser Tyr Pro Leu
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Tyr Thr Phe Thr Asp His Ala Ile His
1 5
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<223> HC
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Trp Ile Gly His Phe Ser Pro Gly Asn Thr Asp Ile Lys Tyr
1 5 10
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Lys Thr Ser Thr Phe Phe Phe Asp Tyr
1 5
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<223> Domain
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Thr Lys Lys Lys Tyr Ser Ser Ser Val His Asp Pro Asn Gly Glu Tyr
1 5 10 15
Met Phe Met Arg Ala Val Asn Thr Ala Lys Lys Ser Arg Leu Thr Asp
20 25 30
Val Thr Leu
35
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<223> Domain
<220>
<223> ICOS
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acaaaaaaga agtattcatc cagtgtgcac gaccctaacg gtgaatacat gttcatgaga 60
gcagtgaaca cagccaaaaa atctagactc acagatgtga cccta 105
<210> 27
<211> 105
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Domain
<220>
<223> ICOS
<400> 27
acaaaaaaga agtattcatc cagtgtgcac gaccctaacg gtgaatacat gttcatgaga 60
gcagtgaaca cagccaaaaa atccagactc acagatgtga cccta 105
<210> 28
<211> 117
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Domain
<220>
<223> CD2
<400> 28
Thr Lys Arg Lys Lys Gln Arg Ser Arg Arg Asn Asp Glu Glu Leu Glu
1 5 10 15
Thr Arg Ala His Arg Val Ala Thr Glu Glu Arg Gly Arg Lys Pro His
20 25 30
Gln Ile Pro Ala Ser Thr Pro Gln Asn Pro Ala Thr Ser Gln His Pro
35 40 45
Pro Pro Pro Pro Gly His Arg Ser Gln Ala Pro Ser His Arg Pro Pro
50 55 60
Pro Pro Gly His Arg Val Gln His Gln Pro Gln Lys Arg Pro Pro Ala
65 70 75 80
Pro Ser Gly Thr Gln Val His Gln Gln Lys Gly Pro Pro Leu Pro Arg
85 90 95
Pro Arg Val Gln Pro Lys Pro Pro His Gly Ala Ala Glu Asn Ser Leu
100 105 110
Ser Pro Ser Ser Asn
115
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<212> DNA
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<223> Domain
<220>
<223> CD2
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accaaaagga aaaaacagag gagtcggaga aatgatgagg agctggagac aagagcccac 60
agagtagcta ctgaagaaag gggccggaag ccccaccaaa ttccagcttc aacccctcag 120
aatccagcaa cttcccaaca tcctcctcca ccacctggtc atcgttccca ggcacctagt 180
catcgtcccc cgcctcctgg acaccgtgtt cagcaccagc ctcagaagag gcctcctgct 240
ccgtcgggca cacaagttca ccagcagaaa ggcccgcccc tccccagacc tcgagttcag 300
ccaaaacctc cccatggggc agcagaaaac tcattgtccc cttcctctaa t 351
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<213> Artificial Sequence
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<223> Domain
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<223> CD3zeta (Q14K)
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Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Lys Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys
35 40 45
Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys
50 55 60
Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg
65 70 75 80
Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala
85 90 95
Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
100 105 110
<210> 31
<211> 336
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Domain
<220>
<223> CD3zeta (Q14K)
<400> 31
agagtgaagt tcagcaggag cgcagacgcc cccgcgtaca agcagggcca gaaccagctc 60
tataacgagc tcaatctagg acgaagagag gagtacgatg ttttggacaa gagacgtggc 120
cgggaccctg agatgggggg aaagccgaga aggaagaacc ctcaggaagg cctgtacaat 180
gaactgcaga aagataagat ggcggaggcc tacagtgaga ttgggatgaa aggcgagcgc 240
cggaggggca aggggcacga tggcctttac cagggtctca gtacagccac caaggacacc 300
tacgacgccc ttcacatgca ggccctgccc cctcgc 336
<210> 32
<211> 41
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Domain
<220>
<223> CD28 (YMFM)
<400> 32
Arg Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp Tyr Met Phe Met Thr
1 5 10 15
Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro
20 25 30
Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser
35 40
<210> 33
<211> 123
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Domain
<220>
<223> CD28 (YMFM)
<400> 33
aggagtaaga ggagcaggct cctgcacagt gactacatgt tcatgactcc ccgccgcccc 60
gggcccaccc gcaagcatta ccagccctat gccccaccac gcgacttcgc agcctatcgc 120
tcc 123
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Domain
<220>
<223> CD27
<400> 34
Gln Arg Arg Lys Tyr Arg Ser Asn Lys Gly Glu Ser Pro Val Glu Pro
1 5 10 15
Ala Glu Pro Cys Arg Tyr Ser Cys Pro Arg Glu Glu Glu Gly Ser Thr
20 25 30
Ile Pro Ile Gln Glu Asp Tyr Arg Lys Pro Glu Pro Ala Cys Ser Pro
35 40 45
<210> 35
<211> 144
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Domain
<220>
<223> CD27
<400> 35
caacgaagga aatatagatc aaacaaagga gaaagtcctg tggagcctgc agagccttgt 60
cgttacagct gccccaggga ggaggagggc agcaccatcc ccatccagga ggattaccga 120
aaaccggagc ctgcctgctc cccc 144
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<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Domain
<220>
<223> OX40
<400> 36
Ala Leu Tyr Leu Leu Arg Arg Asp Gln Arg Leu Pro Pro Asp Ala His
1 5 10 15
Lys Pro Pro Gly Gly Gly Ser Phe Arg Thr Pro Ile Gln Glu Glu Gln
20 25 30
Ala Asp Ala His Ser Thr Leu Ala Lys Ile
35 40
<210> 37
<211> 126
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Domain
<220>
<223> OX40
<400> 37
gccctgtacc tgctccgcag ggaccagagg ctgccccccg atgcccacaa gccccctggg 60
ggaggcagtt tcaggacccc catccaagag gagcaggccg acgcccactc caccctggcc 120
aagatc 126
<210> 38
<211> 1482
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CAR
<220>
<223> Tn-MUC1 (5e528z)
<400> 38
atggccttac cagtgaccgc cttgctcctg ccgctggcct tgctgctcca cgccgccagg 60
ccgggatccc aggtgcagct gcagcagtct gatgccgagc tcgtgaagcc tggcagcagc 120
gtgaagatca gctgcaaggc cagcggctac accttcaccg accacgccat ccactgggtc 180
aagcagaagc ctgagcaggg cctggagtgg atcggccact tcagccccgg caacaccgac 240
atcaagtaca acgacaagtt caagggcaag gccaccctga ccgtggacag aagcagcagc 300
accgcctaca tgcagctgaa cagcctgacc agcgaggaca gcgccgtgta cttctgcaag 360
accagcacct tctttttcga ctactggggc cagggcacaa ccctgacagt gtctagcgga 420
ggcggaggat ctggcggcgg aggaagtggc ggagggggat ctgaactcgt gatgacccag 480
agccccagct ctctgacagt gacagccggc gagaaagtga ccatgatctg caagtcctcc 540
cagagcctgc tgaactccgg cgaccagaag aactacctga cctggtatca gcagaaaccc 600
ggccagcccc ccaagctgct gatcttttgg gccagcaccc gggaaagcgg cgtgcccgat 660
agattcacag gcagcggctc cggcaccgac tttaccctga ccatcagctc cgtgcaggcc 720
gaggacctgg ccgtgtatta ctgccagaac gactacagct accccctgac cttcggagcc 780
ggcaccaagc tggaactgaa gtccggaacc acgacgccag cgccgcgacc accaacaccg 840
gcgcccacca tcgcgtcgca gcccctgtcc ctgcgcccag aggcgtgccg gccagcggcg 900
gggggcgcag tgcacacgag ggggctggac ttcgcctgtg atttttgggt gctggtggtg 960
gttggtggag tcctggcttg ctatagcttg ctagtaacag tggcctttat tattttctgg 1020
gtgaggagta agaggagcag gctcctgcac agtgactaca tgaacatgac tccccgccgc 1080
cccgggccca cccgcaagca ttaccagccc tatgccccac cacgcgactt cgcagcctat 1140
cgctccagag tgaagttcag caggagcgca gacgcccccg cgtacaagca gggccagaac 1200
cagctctata acgagctcaa tctaggacga agagaggagt acgatgtttt ggacaagaga 1260
cgtggccggg accctgagat ggggggaaag ccgagaagga agaaccctca ggaaggcctg 1320
tacaatgaac tgcagaaaga taagatggcg gaggcctaca gtgagattgg gatgaaaggc 1380
gagcgccgga ggggcaaggg gcacgatggc ctttaccagg gtctcagtac agccaccaag 1440
gacacctacg acgcccttca catgcaggcc ctgccccctc gc 1482
<210> 39
<211> 494
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CAR
<220>
<223> Tn-MUC1 (5e528z)
<400> 39
Met Ala Leu Pro Val Thr Ala Leu Leu Leu Pro Leu Ala Leu Leu Leu
1 5 10 15
His Ala Ala Arg Pro Gly Ser Gln Val Gln Leu Gln Gln Ser Asp Ala
20 25 30
Glu Leu Val Lys Pro Gly Ser Ser Val Lys Ile Ser Cys Lys Ala Ser
35 40 45
Gly Tyr Thr Phe Thr Asp His Ala Ile His Trp Val Lys Gln Lys Pro
50 55 60
Glu Gln Gly Leu Glu Trp Ile Gly His Phe Ser Pro Gly Asn Thr Asp
65 70 75 80
Ile Lys Tyr Asn Asp Lys Phe Lys Gly Lys Ala Thr Leu Thr Val Asp
85 90 95
Arg Ser Ser Ser Thr Ala Tyr Met Gln Leu Asn Ser Leu Thr Ser Glu
100 105 110
Asp Ser Ala Val Tyr Phe Cys Lys Thr Ser Thr Phe Phe Phe Asp Tyr
115 120 125
Trp Gly Gln Gly Thr Thr Leu Thr Val Ser Ser Gly Gly Gly Gly Ser
130 135 140
Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Glu Leu Val Met Thr Gln
145 150 155 160
Ser Pro Ser Ser Leu Thr Val Thr Ala Gly Glu Lys Val Thr Met Ile
165 170 175
Cys Lys Ser Ser Gln Ser Leu Leu Asn Ser Gly Asp Gln Lys Asn Tyr
180 185 190
Leu Thr Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Pro Pro Lys Leu Leu Ile
195 200 205
Phe Trp Ala Ser Thr Arg Glu Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Thr Gly
210 215 220
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Val Gln Ala
225 230 235 240
Glu Asp Leu Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Asn Asp Tyr Ser Tyr Pro Leu
245 250 255
Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu Glu Leu Lys Ser Gly Thr Thr Thr
260 265 270
Pro Ala Pro Arg Pro Pro Thr Pro Ala Pro Thr Ile Ala Ser Gln Pro
275 280 285
Leu Ser Leu Arg Pro Glu Ala Cys Arg Pro Ala Ala Gly Gly Ala Val
290 295 300
His Thr Arg Gly Leu Asp Phe Ala Cys Asp Phe Trp Val Leu Val Val
305 310 315 320
Val Gly Gly Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu Leu Val Thr Val Ala Phe
325 330 335
Ile Ile Phe Trp Val Arg Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp
340 345 350
Tyr Met Asn Met Thr Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr
355 360 365
Gln Pro Tyr Ala Pro Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser Arg Val
370 375 380
Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Lys Gln Gly Gln Asn
385 390 395 400
Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr Asp Val
405 410 415
Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys Pro Arg
420 425 430
Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys Asp Lys
435 440 445
Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg Arg Arg
450 455 460
Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala Thr Lys
465 470 475 480
Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
485 490
<210> 40
<211> 1482
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CAR
<220>
<223> Tn-MUC1 (5e528z YMFM)
<400> 40
atggccttac cagtgaccgc cttgctcctg ccgctggcct tgctgctcca cgccgccagg 60
ccgggatccc aggtgcagct gcagcagtct gatgccgagc tcgtgaagcc tggcagcagc 120
gtgaagatca gctgcaaggc cagcggctac accttcaccg accacgccat ccactgggtc 180
aagcagaagc ctgagcaggg cctggagtgg atcggccact tcagccccgg caacaccgac 240
atcaagtaca acgacaagtt caagggcaag gccaccctga ccgtggacag aagcagcagc 300
accgcctaca tgcagctgaa cagcctgacc agcgaggaca gcgccgtgta cttctgcaag 360
accagcacct tctttttcga ctactggggc cagggcacaa ccctgacagt gtctagcgga 420
ggcggaggat ctggcggcgg aggaagtggc ggagggggat ctgaactcgt gatgacccag 480
agccccagct ctctgacagt gacagccggc gagaaagtga ccatgatctg caagtcctcc 540
cagagcctgc tgaactccgg cgaccagaag aactacctga cctggtatca gcagaaaccc 600
ggccagcccc ccaagctgct gatcttttgg gccagcaccc gggaaagcgg cgtgcccgat 660
agattcacag gcagcggctc cggcaccgac tttaccctga ccatcagctc cgtgcaggcc 720
gaggacctgg ccgtgtatta ctgccagaac gactacagct accccctgac cttcggagcc 780
ggcaccaagc tggaactgaa gtccggaacc acgacgccag cgccgcgacc accaacaccg 840
gcgcccacca tcgcgtcgca gcccctgtcc ctgcgcccag aggcgtgccg gccagcggcg 900
gggggcgcag tgcacacgag ggggctggac ttcgcctgtg atttttgggt gctggtggtg 960
gttggtggag tcctggcttg ctatagcttg ctagtaacag tggcctttat tattttctgg 1020
gtgaggagta agaggagcag gctcctgcac agtgactaca tgttcatgac tccccgccgc 1080
cccgggccca cccgcaagca ttaccagccc tatgccccac cacgcgactt cgcagcctat 1140
cgctccagag tgaagttcag caggagcgca gacgcccccg cgtacaagca gggccagaac 1200
cagctctata acgagctcaa tctaggacga agagaggagt acgatgtttt ggacaagaga 1260
cgtggccggg accctgagat ggggggaaag ccgagaagga agaaccctca ggaaggcctg 1320
tacaatgaac tgcagaaaga taagatggcg gaggcctaca gtgagattgg gatgaaaggc 1380
gagcgccgga ggggcaaggg gcacgatggc ctttaccagg gtctcagtac agccaccaag 1440
gacacctacg acgcccttca catgcaggcc ctgccccctc gc 1482
<210> 41
<211> 494
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CAR
<220>
<223> Tn-MUC1 (5e528z YMFM)
<400> 41
Met Ala Leu Pro Val Thr Ala Leu Leu Leu Pro Leu Ala Leu Leu Leu
1 5 10 15
His Ala Ala Arg Pro Gly Ser Gln Val Gln Leu Gln Gln Ser Asp Ala
20 25 30
Glu Leu Val Lys Pro Gly Ser Ser Val Lys Ile Ser Cys Lys Ala Ser
35 40 45
Gly Tyr Thr Phe Thr Asp His Ala Ile His Trp Val Lys Gln Lys Pro
50 55 60
Glu Gln Gly Leu Glu Trp Ile Gly His Phe Ser Pro Gly Asn Thr Asp
65 70 75 80
Ile Lys Tyr Asn Asp Lys Phe Lys Gly Lys Ala Thr Leu Thr Val Asp
85 90 95
Arg Ser Ser Ser Thr Ala Tyr Met Gln Leu Asn Ser Leu Thr Ser Glu
100 105 110
Asp Ser Ala Val Tyr Phe Cys Lys Thr Ser Thr Phe Phe Phe Asp Tyr
115 120 125
Trp Gly Gln Gly Thr Thr Leu Thr Val Ser Ser Gly Gly Gly Gly Ser
130 135 140
Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Glu Leu Val Met Thr Gln
145 150 155 160
Ser Pro Ser Ser Leu Thr Val Thr Ala Gly Glu Lys Val Thr Met Ile
165 170 175
Cys Lys Ser Ser Gln Ser Leu Leu Asn Ser Gly Asp Gln Lys Asn Tyr
180 185 190
Leu Thr Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Pro Pro Lys Leu Leu Ile
195 200 205
Phe Trp Ala Ser Thr Arg Glu Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Thr Gly
210 215 220
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Val Gln Ala
225 230 235 240
Glu Asp Leu Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Asn Asp Tyr Ser Tyr Pro Leu
245 250 255
Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu Glu Leu Lys Ser Gly Thr Thr Thr
260 265 270
Pro Ala Pro Arg Pro Pro Thr Pro Ala Pro Thr Ile Ala Ser Gln Pro
275 280 285
Leu Ser Leu Arg Pro Glu Ala Cys Arg Pro Ala Ala Gly Gly Ala Val
290 295 300
His Thr Arg Gly Leu Asp Phe Ala Cys Asp Phe Trp Val Leu Val Val
305 310 315 320
Val Gly Gly Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu Leu Val Thr Val Ala Phe
325 330 335
Ile Ile Phe Trp Val Arg Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp
340 345 350
Tyr Met Phe Met Thr Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr
355 360 365
Gln Pro Tyr Ala Pro Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser Arg Val
370 375 380
Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Lys Gln Gly Gln Asn
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Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr Asp Val
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Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys Pro Arg
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Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys Asp Lys
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Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg Arg Arg
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340 345 350
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435 440 445
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<213> Artificial Sequence
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cagagcctgc tgaactccgg cgaccagaag aactacctga cctggtatca gcagaaaccc 600
ggccagcccc ccaagctgct gatcttttgg gccagcaccc gggaaagcgg cgtgcccgat 660
agattcacag gcagcggctc cggcaccgac tttaccctga ccatcagctc cgtgcaggcc 720
gaggacctgg ccgtgtatta ctgccagaac gactacagct accccctgac cttcggagcc 780
ggcaccaagc tggaactgaa gtccggaacc acgacgccag cgccgcgacc accaacaccg 840
gcgcccacca tcgcgtcgca gcccctgtcc ctgcgcccag aggcgtgccg gccagcggcg 900
gggggcgcag tgcacacgag ggggctggac ttcgcctgtg atttctggtt acccatagga 960
tgtgcagcct ttgttgtagt ctgcattttg ggatgcatac ttatttgttg gcttacaaaa 1020
aagaagtatt catccagtgt gcacgaccct aacggtgaat acatgttcat gagagcagtg 1080
aacacagcca aaaaatccag actcacagat gtgaccctaa gagtgaagtt cagcaggagc 1140
gcagacgccc ccgcgtacaa gcagggccag aaccagctct ataacgagct caatctagga 1200
cgaagagagg agtacgatgt tttggacaag agacgtggcc gggaccctga gatgggggga 1260
aagccgagaa ggaagaaccc tcaggaaggc ctgtacaatg aactgcagaa agataagatg 1320
gcggaggcct acagtgagat tgggatgaaa ggcgagcgcc ggaggggcaa ggggcacgat 1380
ggcctttacc agggtctcag tacagccacc aaggacacct acgacgccct tcacatgcag 1440
gccctgcccc ctcgc 1455
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<220>
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atggccttac cagtgaccgc cttgctcctg ccgctggcct tgctgctcca cgccgccagg 60
ccgggatccc aggtgcagct gcagcagtct gatgccgagc tcgtgaagcc tggcagcagc 120
gtgaagatca gctgcaaggc cagcggctac accttcaccg accacgccat ccactgggtc 180
aagcagaagc ctgagcaggg cctggagtgg atcggccact tcagccccgg caacaccgac 240
atcaagtaca acgacaagtt caagggcaag gccaccctga ccgtggacag aagcagcagc 300
accgcctaca tgcagctgaa cagcctgacc agcgaggaca gcgccgtgta cttctgcaag 360
accagcacct tctttttcga ctactggggc cagggcacaa ccctgacagt gtctagcgga 420
ggcggaggat ctggcggcgg aggaagtggc ggagggggat ctgaactcgt gatgacccag 480
agccccagct ctctgacagt gacagccggc gagaaagtga ccatgatctg caagtcctcc 540
cagagcctgc tgaactccgg cgaccagaag aactacctga cctggtattc agcagaaacc 600
cggccagccc cccaagctgc tgatcttttg ggccagcacc cgggaaagcg gcgtgcccga 660
tagattcaca ggcagcggct ccggcaccga ctttaccctg accatcagct ccgtgcaggc 720
cgaggacctg gccgtgtatt actgccagaa cgactacagc taccccctga ccttcggagc 780
cggcaccaag ctggaactga agtccggaac cacgacgcca gcgccgcgac caccaacacc 840
ggcgcccacc atcgcgtcgc agcccctgtc cctgcgccca gaggcgtgcc ggccagcggc 900
ggggggcgca gtgcacacga gggggctgga cttcgcctgt gatttctggt tacccatagg 960
atgtgcagcc tttgttgtag tctgcatttt gggatgcata cttatttgtt ggcttacaaa 1020
aaagaagtat tcatccagtg tgcacgaccc taacggtgaa tacatgttca tgagagcagt 1080
gaacacagcc aaaaaatcta gactcacaga tgtgacccta agagtgaagt tcagcaggag 1140
cgcagacgcc cccgcgtaca agcagggcca gaaccagctc tataacgagc tcaatctagg 1200
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aaagccgaga aggaagaacc ctcaggaagg cctgtacaat gaactgcaga aagataagat 1320
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Asn Asn Asp Met Ile Val Thr Asp Asn Asn Gly Ala Val Lys Phe Pro
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Gln Leu Cys Lys Phe Cys Asp Val Arg Phe Ser Thr Cys Asp Asn Gln
50 55 60
Lys Ser Cys Met Ser Asn Cys Ser Ile Thr Ser Ile Cys Glu Lys Pro
65 70 75 80
Gln Glu Val Cys Val Ala Val Trp Arg Lys Asn Asp Glu Asn Ile Thr
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100 105 110
Leu Glu Asp Ala Ala Ser Pro Lys Cys Ile Met Lys Glu Lys Lys Lys
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Pro Gly Glu Thr Phe Phe Met Cys Ser Cys Ser Ser Asp Glu Cys Asn
130 135 140
Asp Asn Ile Ile Phe Ser Glu Glu Tyr Asn Thr Ser Asn Pro Asp Leu
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Leu Leu Val Ile Phe Gln Val Thr Gly Ile Ser Leu Leu Pro Pro Leu
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Gly Val Ala Ile Ser Val Ile Ile Ile Phe Tyr Cys Tyr Arg Val Asn
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tgcattatga aggaaaaaaa aaagcctggt gagactttct tcatgtgttc ctgtagctct 420
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gga 603
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Leu Gly Trp Arg Pro Gly Trp Phe Leu Asp Ser Pro Asp Arg Pro Trp
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Asn Ala Thr Phe Thr Cys Ser Phe Ser Asn Thr Ser Glu Ser Phe Val
50 55 60
Leu Asn Trp Tyr Arg Met Ser Pro Ser Asn Gln Thr Asp Lys Leu Ala
65 70 75 80
Ala Phe Pro Glu Asp Arg Ser Gln Pro Gly Gln Asp Cys Arg Phe Arg
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Val Thr Gln Leu Pro Asn Gly Arg Asp Phe His Met Ser Val Val Arg
100 105 110
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115 120 125
Ala Pro Lys Ala Gln Ile Lys Glu Ser Leu Arg Ala Glu Leu Arg Val
130 135 140
Thr Glu Arg Arg Ala Glu Val Pro Thr Ala His Pro Ser Pro Ser Pro
145 150 155 160
Arg Pro Ala Gly Gln Phe Gln Thr Leu Val Phe Trp Val Leu Val Val
165 170 175
Val Gly Gly Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu Leu Val Thr Val Ala Phe
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Ile Ile Phe Trp Val Arg Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp
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Gln Pro Tyr Ala Pro Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser
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<223> Receptor
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cgcaagcatt accagcccta tgccccacca cgcgacttcg cagcctatcg ctcc 714
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Met Gln Ile Pro Gln Ala Pro Trp Pro Val Val Trp Ala Val Leu Gln
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Leu Gly Trp Arg Pro Gly Trp Phe Leu Asp Ser Pro Asp Arg Pro Trp
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Asn Pro Pro Thr Phe Ser Pro Ala Leu Leu Val Val Thr Glu Gly Asp
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Asn Ala Thr Phe Thr Cys Ser Phe Ser Asn Thr Ser Glu Ser Phe Val
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Leu Asn Trp Tyr Arg Met Ser Pro Ser Asn Gln Thr Asp Lys Leu Ala
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Ala Phe Pro Glu Asp Arg Ser Gln Pro Gly Gln Asp Cys Arg Phe Arg
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Val Thr Gln Leu Pro Asn Gly Arg Asp Phe His Met Ser Val Val Arg
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Ala Arg Arg Asn Asp Ser Gly Thr Tyr Leu Cys Gly Ala Ile Ser Leu
115 120 125
Ala Pro Lys Leu Gln Ile Lys Glu Ser Leu Arg Ala Glu Leu Arg Val
130 135 140
Thr Glu Arg Arg Ala Glu Val Pro Thr Ala His Pro Ser Pro Ser Pro
145 150 155 160
Arg Pro Ala Gly Gln Phe Gln Thr Leu Val Val Gly Val Val Gly Gly
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Leu Leu Gly Ser Leu Val Leu Leu Val Trp Val Leu Ala Val Ile Arg
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Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr Pro
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Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro Pro
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<223> Receptor
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<223> PD1-PTM-CD28
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atgcagatcc cacaggcgcc ctggccagtc gtctgggcgg tgctacaact gggctggcgg 60
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gagagcttcg tgctaaactg gtaccgcatg agccccagca accagacgga caagctggcc 240
gccttccccg aggaccgcag ccagcccggc caggactgcc gcttccgtgt cacacaactg 300
cccaacgggc gtgacttcca catgagcgtg gtcagggccc ggcgcaatga cagcggcacc 360
tacctctgtg gggccatctc cctggccccc aaggcgcaga tcaaagagag cctgcgggca 420
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Met Gln Ile Pro Gln Ala Pro Trp Pro Val Val Trp Ala Val Leu Gln
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Leu Gly Trp Arg Pro Gly Trp Phe Leu Asp Ser Pro Asp Arg Pro Trp
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Asn Pro Pro Thr Phe Ser Pro Ala Leu Leu Val Val Thr Glu Gly Asp
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Asn Ala Thr Phe Thr Cys Ser Phe Ser Asn Thr Ser Glu Ser Phe Val
50 55 60
Leu Asn Trp Tyr Arg Met Ser Pro Ser Asn Gln Thr Asp Lys Leu Ala
65 70 75 80
Ala Phe Pro Glu Asp Arg Ser Gln Pro Gly Gln Asp Cys Arg Phe Arg
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Val Thr Gln Leu Pro Asn Gly Arg Asp Phe His Met Ser Val Val Arg
100 105 110
Ala Arg Arg Asn Asp Ser Gly Thr Tyr Leu Cys Gly Ala Ile Ser Leu
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Arg Pro Ala Gly Gln Phe Gln Thr Leu Val Val Gly Val Val Gly Gly
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Leu Leu Gly Ser Leu Val Leu Leu Val Trp Val Leu Ala Val Ile Arg
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Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr Pro
195 200 205
Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro Pro
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225 230
<210> 83
<211> 693
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Receptor
<220>
<223> PD1A132L-PTM-CD28
<400> 83
atgcagatcc cacaggcgcc ctggccagtc gtctgggcgg tgctacaact gggctggcgg 60
ccaggatggt tcttagactc cccagacagg ccctggaacc cccccacctt ctccccagcc 120
ctgctcgtgg tgaccgaagg ggacaacgcc accttcacct gcagcttctc caacacatcg 180
gagagcttcg tgctaaactg gtaccgcatg agccccagca accagacgga caagctggcc 240
gccttccccg aggaccgcag ccagcccggc caggactgcc gcttccgtgt cacacaactg 300
cccaacgggc gtgacttcca catgagcgtg gtcagggccc ggcgcaatga cagcggcacc 360
tacctctgtg gggccatctc cctggccccc aagctgcaga tcaaagagag cctgcgggca 420
gagctcaggg tgacagagag aagggcagaa gtgcccacag cccaccccag cccctcaccc 480
aggccagccg gccagttcca aaccctggtg gttggtgtcg tgggcggcct gctgggcagc 540
ctggtgctgc tagtctgggt cctggccgtc atcaggagta agaggagcag gctcctgcac 600
agtgactaca tgaacatgac tccccgccgc cccgggccca cccgcaagca ttaccagccc 660
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<212> PRT
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<223> Receptor
<220>
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Leu Asn Trp Tyr Arg Met Ser Pro Ser Asn Gln Thr Asp Lys Leu Ala
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165 170 175
Leu Ala Gly Thr Cys Gly Val Leu Leu Leu Ser Leu Val Ile Thr Leu
180 185 190
Tyr Cys Lys Lys Arg Gly Arg Lys Lys Leu Leu Tyr Ile Phe Lys Gln
195 200 205
Pro Phe Met Arg Pro Val Gln Thr Thr Gln Glu Glu Asp Gly Cys Ser
210 215 220
Cys Arg Phe Pro Glu Glu Glu Glu Gly Gly Cys Glu Leu
225 230 235
<210> 85
<211> 711
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Receptor
<220>
<223> PD1-4-1BB
<400> 85
atgcagatcc cacaggcgcc ctggccagtc gtctgggcgg tgctacaact gggctggcgg 60
ccaggatggt tcttagactc cccagacagg ccctggaacc cccccacctt ctccccagcc 120
ctgctcgtgg tgaccgaagg ggacaacgcc accttcacct gcagcttctc caacacatcg 180
gagagcttcg tgctaaactg gtaccgcatg agccccagca accagacgga caagctggcc 240
gccttccccg aggaccgcag ccagcccggc caggactgcc gcttccgtgt cacacaactg 300
cccaacgggc gtgacttcca catgagcgtg gtcagggccc ggcgcaatga cagcggcacc 360
tacctctgtg gggccatctc cctggccccc aaggcgcaga tcaaagagag cctgcgggca 420
gagctcaggg tgacagagag aagggcagaa gtgcccacag cccaccccag cccctcaccc 480
aggccagccg gccagttcca aaccctggtt atctacatct gggcgccctt ggccgggact 540
tgtggggtcc ttctcctgtc actggttatc accctttact gcaaaaaacg gggcagaaag 600
aaactcctgt atatattcaa acaaccattt atgagaccag tacaaactac tcaagaggaa 660
gatggctgta gctgccgatt tccagaagaa gaagaaggag gatgtgaact g 711
<210> 86
<211> 237
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Receptor
<220>
<223> PD1A132L-4-1BB
<400> 86
Met Gln Ile Pro Gln Ala Pro Trp Pro Val Val Trp Ala Val Leu Gln
1 5 10 15
Leu Gly Trp Arg Pro Gly Trp Phe Leu Asp Ser Pro Asp Arg Pro Trp
20 25 30
Asn Pro Pro Thr Phe Ser Pro Ala Leu Leu Val Val Thr Glu Gly Asp
35 40 45
Asn Ala Thr Phe Thr Cys Ser Phe Ser Asn Thr Ser Glu Ser Phe Val
50 55 60
Leu Asn Trp Tyr Arg Met Ser Pro Ser Asn Gln Thr Asp Lys Leu Ala
65 70 75 80
Ala Phe Pro Glu Asp Arg Ser Gln Pro Gly Gln Asp Cys Arg Phe Arg
85 90 95
Val Thr Gln Leu Pro Asn Gly Arg Asp Phe His Met Ser Val Val Arg
100 105 110
Ala Arg Arg Asn Asp Ser Gly Thr Tyr Leu Cys Gly Ala Ile Ser Leu
115 120 125
Ala Pro Lys Leu Gln Ile Lys Glu Ser Leu Arg Ala Glu Leu Arg Val
130 135 140
Thr Glu Arg Arg Ala Glu Val Pro Thr Ala His Pro Ser Pro Ser Pro
145 150 155 160
Arg Pro Ala Gly Gln Phe Gln Thr Leu Val Ile Tyr Ile Trp Ala Pro
165 170 175
Leu Ala Gly Thr Cys Gly Val Leu Leu Leu Ser Leu Val Ile Thr Leu
180 185 190
Tyr Cys Lys Lys Arg Gly Arg Lys Lys Leu Leu Tyr Ile Phe Lys Gln
195 200 205
Pro Phe Met Arg Pro Val Gln Thr Thr Gln Glu Glu Asp Gly Cys Ser
210 215 220
Cys Arg Phe Pro Glu Glu Glu Glu Gly Gly Cys Glu Leu
225 230 235
<210> 87
<211> 711
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Receptor
<220>
<223> PD1A132L-4-1BB
<400> 87
atgcagatcc cacaggcgcc ctggccagtc gtctgggcgg tgctacaact gggctggcgg 60
ccaggatggt tcttagactc cccagacagg ccctggaacc cccccacctt ctccccagcc 120
ctgctcgtgg tgaccgaagg ggacaacgcc accttcacct gcagcttctc caacacatcg 180
gagagcttcg tgctaaactg gtaccgcatg agccccagca accagacgga caagctggcc 240
gccttccccg aggaccgcag ccagcccggc caggactgcc gcttccgtgt cacacaactg 300
cccaacgggc gtgacttcca catgagcgtg gtcagggccc ggcgcaatga cagcggcacc 360
tacctctgtg gggccatctc cctggccccc aagctgcaga tcaaagagag cctgcgggca 420
gagctcaggg tgacagagag aagggcagaa gtgcccacag cccaccccag cccctcaccc 480
aggccagccg gccagttcca aaccctggtt atctacatct gggcgccctt ggccgggact 540
tgtggggtcc ttctcctgtc actggttatc accctttact gcaaaaaacg gggcagaaag 600
aaactcctgt atatattcaa acaaccattt atgagaccag tacaaactac tcaagaggaa 660
gatggctgta gctgccgatt tccagaagaa gaagaaggag gatgtgaact g 711
<210> 88
<211> 238
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Receptor
<220>
<223> TGFbR-IL12Rb1
<400> 88
Met Glu Ala Ala Val Ala Ala Pro Arg Pro Arg Leu Leu Leu Leu Val
1 5 10 15
Leu Ala Ala Ala Ala Ala Ala Ala Ala Ala Leu Leu Pro Gly Ala Thr
20 25 30
Ala Leu Gln Cys Phe Cys His Leu Cys Thr Lys Asp Asn Phe Thr Cys
35 40 45
Val Thr Asp Gly Leu Cys Phe Val Ser Val Thr Glu Thr Thr Asp Lys
50 55 60
Val Ile His Asn Ser Met Cys Ile Ala Glu Ile Asp Leu Ile Pro Arg
65 70 75 80
Asp Arg Pro Phe Val Cys Ala Pro Ser Ser Lys Thr Gly Ser Val Thr
85 90 95
Thr Thr Tyr Cys Cys Asn Gln Asp His Cys Asn Lys Ile Glu Leu Pro
100 105 110
Thr Thr Val Lys Ser Ser Pro Gly Leu Gly Pro Val Glu Leu Ala Ala
115 120 125
Val Ile Ala Gly Pro Val Cys Phe Val Cys Ile Ser Leu Met Leu Met
130 135 140
Val Tyr Ile Arg Ala Ala Arg His Leu Cys Pro Pro Leu Pro Thr Pro
145 150 155 160
Cys Ala Ser Ser Ala Ile Glu Phe Pro Gly Gly Lys Glu Thr Trp Gln
165 170 175
Trp Ile Asn Pro Val Asp Phe Gln Glu Glu Ala Ser Leu Gln Glu Ala
180 185 190
Leu Val Val Glu Met Ser Trp Asp Lys Gly Glu Arg Thr Glu Pro Leu
195 200 205
Glu Lys Thr Glu Leu Pro Glu Gly Ala Pro Glu Leu Ala Leu Asp Thr
210 215 220
Glu Leu Ser Leu Glu Asp Gly Asp Arg Cys Lys Ala Lys Met
225 230 235
<210> 89
<211> 714
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Receptor
<220>
<223> TGFbR-IL12Rb1
<400> 89
atggaggcgg cggtcgctgc tccgcgtccc cggctgctcc tcctcgtgct ggcggcggcg 60
gcggcggcgg cggcggcgct gctcccgggg gcgacggcgt tacagtgttt ctgccacctc 120
tgtacaaaag acaattttac ttgtgtgaca gatgggctct gctttgtctc tgtcacagag 180
accacagaca aagttataca caacagcatg tgtatagctg aaattgactt aattcctcga 240
gataggccgt ttgtatgtgc accctcttca aaaactgggt ctgtgactac aacatattgc 300
tgcaatcagg accattgcaa taaaatagaa cttccaacta ctgtaaagtc atcacctggc 360
cttggtcctg tggaactggc agctgtcatt gctggaccag tgtgcttcgt ctgcatctca 420
ctcatgttga tggtctatat cagggccgca cggcacctgt gcccgccgct gcccacaccc 480
tgtgccagct ccgccattga gttccctgga gggaaggaga cttggcagtg gatcaaccca 540
gtggacttcc aggaagaggc atccctgcag gaggccctgg tggtagagat gtcctgggac 600
aaaggcgaga ggactgagcc tctcgagaag acagagctac ctgagggtgc ccctgagctg 660
gccctggata cagagttgtc cttggaggat ggagacaggt gcaaggccaa gatg 714
<210> 90
<211> 403
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Receptor
<220>
<223> TGFbR-IL12Rb2
<400> 90
Met Gly Arg Gly Leu Leu Arg Gly Leu Trp Pro Leu His Ile Val Leu
1 5 10 15
Trp Thr Arg Ile Ala Ser Thr Ile Pro Pro His Val Gln Lys Ser Val
20 25 30
Asn Asn Asp Met Ile Val Thr Asp Asn Asn Gly Ala Val Lys Phe Pro
35 40 45
Gln Leu Cys Lys Phe Cys Asp Val Arg Phe Ser Thr Cys Asp Asn Gln
50 55 60
Lys Ser Cys Met Ser Asn Cys Ser Ile Thr Ser Ile Cys Glu Lys Pro
65 70 75 80
Gln Glu Val Cys Val Ala Val Trp Arg Lys Asn Asp Glu Asn Ile Thr
85 90 95
Leu Glu Thr Val Cys His Asp Pro Lys Leu Pro Tyr His Asp Phe Ile
100 105 110
Leu Glu Asp Ala Ala Ser Pro Lys Cys Ile Met Lys Glu Lys Lys Lys
115 120 125
Pro Gly Glu Thr Phe Phe Met Cys Ser Cys Ser Ser Asp Glu Cys Asn
130 135 140
Asp Asn Ile Ile Phe Ser Glu Glu Tyr Asn Thr Ser Asn Pro Asp Leu
145 150 155 160
Leu Leu Val Ile Phe Gln Val Thr Gly Ile Ser Leu Leu Pro Pro Leu
165 170 175
Gly Val Ala Ile Ser Val Ile Ile Ile Phe Tyr Gln Gln Lys Val Phe
180 185 190
Val Leu Leu Ala Ala Leu Arg Pro Gln Trp Cys Ser Arg Glu Ile Pro
195 200 205
Asp Pro Ala Asn Ser Thr Cys Ala Lys Lys Tyr Pro Ile Ala Glu Glu
210 215 220
Lys Thr Gln Leu Pro Leu Asp Arg Leu Leu Ile Asp Trp Pro Thr Pro
225 230 235 240
Glu Asp Pro Glu Pro Leu Val Ile Ser Glu Val Leu His Gln Val Thr
245 250 255
Pro Val Phe Arg His Pro Pro Cys Ser Asn Trp Pro Gln Arg Glu Lys
260 265 270
Gly Ile Gln Gly His Gln Ala Ser Glu Lys Asp Met Met His Ser Ala
275 280 285
Ser Ser Pro Pro Pro Pro Arg Ala Leu Gln Ala Glu Ser Arg Gln Leu
290 295 300
Val Asp Leu Tyr Lys Val Leu Glu Ser Arg Gly Ser Asp Pro Lys Pro
305 310 315 320
Glu Asn Pro Ala Cys Pro Trp Thr Val Leu Pro Ala Gly Asp Leu Pro
325 330 335
Thr His Asp Gly Tyr Leu Pro Ser Asn Ile Asp Asp Leu Pro Ser His
340 345 350
Glu Ala Pro Leu Ala Asp Ser Leu Glu Glu Leu Glu Pro Gln His Ile
355 360 365
Ser Leu Ser Val Phe Pro Ser Ser Ser Leu His Pro Leu Thr Phe Ser
370 375 380
Cys Gly Asp Lys Leu Thr Leu Asp Gln Leu Lys Met Arg Cys Asp Ser
385 390 395 400
Leu Met Leu
<210> 91
<211> 1209
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Receptor
<220>
<223> TGFbR-IL12Rb2
<400> 91
atgggtcggg ggctgctcag gggcctgtgg ccgctgcaca tcgtcctgtg gacgcgtatc 60
gccagcacga tcccaccgca cgttcagaag tcggttaata acgacatgat agtcactgac 120
aacaacggtg cagtcaagtt tccacaactg tgtaaatttt gtgatgtgag attttccacc 180
tgtgacaacc agaaatcctg catgagcaac tgcagcatca cctccatctg tgagaagcca 240
caggaagtct gtgtggctgt atggagaaag aatgacgaga acataacact agagacagtt 300
tgccatgacc ccaagctccc ctaccatgac tttattctgg aagatgctgc ttctccaaag 360
tgcattatga aggaaaaaaa aaagcctggt gagactttct tcatgtgttc ctgtagctct 420
gatgagtgca atgacaacat catcttctca gaagaatata acaccagcaa tcctgacttg 480
ttgctagtca tatttcaagt gacaggcatc agcctcctgc caccactggg agttgccata 540
tctgtcatca tcatcttcta ccagcaaaag gtgtttgttc tcctagcagc cctcagacct 600
cagtggtgta gcagagaaat tccagatcca gcaaatagca cttgcgctaa gaaatatccc 660
attgcagagg agaagacaca gctgcccttg gacaggctcc tgatagactg gcccacgcct 720
gaagatcctg aaccgctggt catcagtgaa gtccttcatc aagtgacccc agttttcaga 780
catcccccct gctccaactg gccacaaagg gaaaaaggaa tccaaggtca tcaggcctct 840
gagaaagaca tgatgcacag tgcctcaagc ccaccacctc caagagctct ccaagctgag 900
agcagacaac tggtggatct gtacaaggtg ctggagagca ggggctccga cccaaagcca 960
gaaaacccag cctgtccctg gacggtgctc ccagcaggtg accttcccac ccatgatggc 1020
tacttaccct ccaacataga tgacctcccc tcacatgagg cacctctcgc tgactctctg 1080
gaagaactgg agcctcagca catctccctt tctgttttcc cctcaagttc tcttcaccca 1140
ctcaccttct cctgtggtga taagctgact ctggatcagt taaagatgag gtgtgactcc 1200
ctcatgctc 1209
<210> 92
<211> 268
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Receptor
<220>
<223> Tim3-CD28
<400> 92
Met Phe Ser His Leu Pro Phe Asp Cys Val Leu Leu Leu Leu Leu Leu
1 5 10 15
Leu Leu Thr Arg Ser Ser Glu Val Glu Tyr Arg Ala Glu Val Gly Gln
20 25 30
Asn Ala Tyr Leu Pro Cys Phe Tyr Thr Pro Ala Ala Pro Gly Asn Leu
35 40 45
Val Pro Val Cys Trp Gly Lys Gly Ala Cys Pro Val Phe Glu Cys Gly
50 55 60
Asn Val Val Leu Arg Thr Asp Glu Arg Asp Val Asn Tyr Trp Thr Ser
65 70 75 80
Arg Tyr Trp Leu Asn Gly Asp Phe Arg Lys Gly Asp Val Ser Leu Thr
85 90 95
Ile Glu Asn Val Thr Leu Ala Asp Ser Gly Ile Tyr Cys Cys Arg Ile
100 105 110
Gln Ile Pro Gly Ile Met Asn Asp Glu Lys Phe Asn Leu Lys Leu Val
115 120 125
Ile Lys Pro Ala Lys Val Thr Pro Ala Pro Thr Arg Gln Arg Asp Phe
130 135 140
Thr Ala Ala Phe Pro Arg Met Leu Thr Thr Arg Gly His Gly Pro Ala
145 150 155 160
Glu Thr Gln Thr Leu Gly Ser Leu Pro Asp Ile Asn Leu Thr Gln Ile
165 170 175
Ser Thr Leu Ala Asn Glu Leu Arg Asp Ser Arg Leu Ala Asn Asp Leu
180 185 190
Arg Asp Ser Gly Ala Thr Ile Arg Phe Trp Val Leu Val Val Val Gly
195 200 205
Gly Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu Leu Val Thr Val Ala Phe Ile Ile
210 215 220
Phe Trp Val Arg Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp Tyr Met
225 230 235 240
Asn Met Thr Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro
245 250 255
Tyr Ala Pro Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser
260 265
<210> 93
<211> 804
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Receptor
<220>
<223> Tim3-CD28
<400> 93
atgttttcac atcttccctt tgactgtgtc ctgctgctgc tgctgctact acttacaagg 60
tcctcagaag tggaatacag agcggaggtc ggtcagaatg cctatctgcc ctgcttctac 120
accccagccg ccccagggaa cctcgtgccc gtctgctggg gcaaaggagc ctgtcctgtg 180
tttgaatgtg gcaacgtggt gctcaggact gatgaaaggg atgtgaatta ttggacatcc 240
agatactggc taaatgggga tttccgcaaa ggagatgtgt ccctgaccat agagaatgtg 300
actctagcag acagtgggat ctactgctgc cgaatccaaa tcccaggcat aatgaatgat 360
gaaaaattta acctgaagtt ggtcatcaaa ccagccaagg tcacccctgc accgactcgg 420
cagagagact tcactgcagc ctttccaagg atgcttacca ccaggggaca tggcccagca 480
gagacacaga cactggggag cctccctgac ataaatctaa cacaaatatc cacattggcc 540
aatgagttac gggactctag gttggccaat gacttacggg actccggagc aaccatcaga 600
ttttgggtgc tggtggtggt tggtggagtc ctggcttgct atagcttact agtaacagtg 660
gcctttatta ttttctgggt gaggagtaag aggagcaggc tcctgcacag tgactacatg 720
aacatgactc cccgccgccc cgggcccacc cgcaagcatt accagcccta tgccccacca 780
cgcgacttcg cagcctatcg ctcc 804
<210> 94
<211> 18
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<220>
<223> T2A
<400> 94
Glu Gly Arg Gly Ser Leu Leu Thr Cys Gly Asp Val Glu Glu Asn Pro
1 5 10 15
Gly Pro
<210> 95
<211> 54
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<220>
<223> T2A
<400> 95
gagggcagag gaagtcttct aacatgcggt gacgtggagg agaatcccgg ccct 54
<210> 96
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Spacer
<220>
<223> T2A
<400> 96
Ser Gly Arg Ser Gly Gly Gly
1 5
<210> 97
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Spacer
<220>
<223> T2A
<400> 97
tccggaagat ctggcggcgg a 21
<210> 98
<211> 22
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<220>
<223> F2A
<400> 98
Val Lys Gln Thr Leu Asn Phe Asp Leu Leu Lys Leu Ala Gly Asp Val
1 5 10 15
Glu Ser Asn Pro Gly Pro
20
<210> 99
<211> 66
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<220>
<223> F2A
<400> 99
gtgaaacaga ctttgaattt tgaccttctc aagttggcgg gagacgtgga gtccaaccca 60
gggccg 66
<210> 100
<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Furin Cleavage
<220>
<223> 1
<220>
<221> misc_feature
<222> (2)..(2)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<400> 100
Arg Xaa Lys Arg
1
<210> 101
<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Furin Cleavage
<220>
<223> 2
<220>
<221> misc_feature
<222> (2)..(2)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<400> 101
Arg Xaa Arg Arg
1
<210> 102
<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Furin Cleavage
<220>
<223> 3
<220>
<221> misc_feature
<222> (2)..(3)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<400> 102
Arg Xaa Xaa Arg
1
<210> 103
<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Furin Cleavage
<220>
<223> 4
<400> 103
Arg Gly Lys Arg
1
<210> 104
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Furin Cleavage
<220>
<223> 5
<220>
<221> Xaa
<222> (1)..(1)
<223> Xaa is K or R
<220>
<221> misc_feature
<222> (3)..(3)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> Xaa
<222> (4)..(4)
<223> Xaa is K or R
<400> 104
Xaa Arg Xaa Xaa Arg
1 5
<210> 105
<211> 96
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<220>
<223> F-GS2-T2A
<400> 105
cgtgcgaaga ggggcggcgg gggctccggc gggggaggca gtgagggccg cggctccctg 60
ctgacctgcg gagatgtaga agagaaccca ggcccc 96
<210> 106
<211> 32
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<220>
<223> F-GS2-T2A
<400> 106
Arg Ala Lys Arg Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Glu Gly
1 5 10 15
Arg Gly Ser Leu Leu Thr Cys Gly Asp Val Glu Glu Asn Pro Gly Pro
20 25 30