(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025038167
(43)【公開日】2025-03-18
(54)【発明の名称】キナーゼ阻害剤に対する獲得抵抗性を有するがんの処置方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20250311BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20250311BHJP
A61K 31/517 20060101ALI20250311BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20250311BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250311BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20250311BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20250311BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20250311BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20250311BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250311BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20250311BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20250311BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20250311BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20250311BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20250311BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20250311BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20250311BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20250311BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20250311BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/4709
A61K31/517
A61K31/506
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61P7/00
A61P17/00
A61P43/00 101
A61P13/12
A61P15/00
A61P1/18
A61P13/08
A61P5/14
A61P11/00
A61P1/00
A61P13/10
A61P25/00
A61P1/16
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024223854
(22)【出願日】2024-12-19
(62)【分割の表示】P 2022526062の分割
【原出願日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】19208154.5
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】513246469
【氏名又は名称】インサーム(インスティテュ ナシオナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシェ メディカル)
【氏名又は名称原語表記】INSERM(INSTITUT NATIONAL DELA SANTE ET DE LA RECHERCHE MEDICALE)
(71)【出願人】
【識別番号】510139564
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・トゥールーズ・トロワ-ポール・サバティエ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE TOULOUSE III-PAUL SABATIER
(71)【出願人】
【識別番号】517269518
【氏名又は名称】アンスティチュ・クロディウス・ルゴー
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT CLAUDIUS REGAUD
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】カルヴェラック,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ファーヴル,ジル
(72)【発明者】
【氏名】フィガロル,サラ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有効ながん患者の処置に対する最大の障害の例となっているキナーゼ阻害剤に対する抵抗性の発生を抑止する、獲得抵抗性がんの処置方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害が様々な発癌の場合においてキナーゼ阻害剤に対する抵抗性の発生を抑止することができるということを示す。特に、複数のEGFR突然変異細胞株においてエルロチニブと組み合わせたファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(すなわちチピファルニブ)の効力をin vitroにおいて測定し、上述の組合せがすべての薬剤耐性細胞を効果的に排除し、抵抗性クローンの発生を十分に抑止することを示した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キナーゼ阻害剤に対して抵抗性のあるがんを処置するための医薬組成物であって、
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤を含み、
キナーゼ阻害剤と組合せて投与される、医薬組成物。
【請求項2】
前記キナーゼ阻害剤は、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ネラチニブ、ダコミチニブ、ブリグチニブ、カネルチニブ、ナコチニブ、ナザルチニブ、ペリチニブ、ロシレチニブ、イコチニブ、AZD3759、AZ5104(CAS番号1421373-98-9)、ポジオチニブ、WZ4002、クリゾチニブ、エヌトレクチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ロルラチニブ、TSR-011、CEP-37440、エンサルチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、レゴラフェニブ、PLX4720、コビメチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD-325901、CI-1040、PD035901、U0126、TAK-733、レンバチニブ、Debio-1347、ドビチニブ、BLU9931、ソラフェニブ、スニチニブ、レスタウルチニブ、タンデュチニブ、キザルチニブ、クレノラニブ、ギルテリチニブ、ポナチニブ、イブルチニブ、リンシチニブ、NVP-AEW541、BMS-536924、AG-1024、GSK1838705A、BMS-754807、PQ401、ZD3463、NT157、ピクロポドフィリン(PPP)、チバンチニブ、JNJ-38877605、PF-04217903、フォレチニブ(GSK1363089)、メレスチニブ、ルキソリチニブ、トファシチニブ、オクラシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、セルデュラチニブ、ガンドチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ、PF-04965842、ウパダシチニブ、ペフィシチニブ、フェドラチニブ、イマチニブ、パゾパニブ、テラチニブ、ボスチニブ、ニロチニブ、カボザンチニブ、ベムセンチニブ、アムバチニブ、ギルテリチニブ(ASP2215)、グレサチニブ(MGCD265)、SGI-7079、ラロトレクチニブ、RXDX-102、アルチラチニブ、LOXO-195、シトラバチニブ、TPX-0005、DS-6051b、ホスタマチニブ、エントスプレチニブ、及びTAK-659からなる群より選択され、
前記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、チピファルニブである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記がんは、EGFR突然変異がん、ALK突然変異がん、RAS突然変異がん、又はRAF突然変異がんである、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記がんは、白血病、リンパ腫、肉腫、黒色腫、並びに頭頸部、腎臓、卵巣、膵臓、前立腺、甲状腺、肺、食道、乳房、膀胱、脳、結腸直腸、肝臓、及び子宮頸部のがんからなる群より選択される、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記がんは、非小細胞肺がんである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記キナーゼ阻害剤がEGFR阻害剤である場合、前記がんは、肺がん、非小細胞肺がん、膵臓がん、乳がん、特に早期乳がん、甲状腺がん、甲状腺髄様がん、結腸直腸がん、転移性又は進行性結腸直腸がん、頭頸部の扁平上皮癌、及び神経膠腫からなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記キナーゼ阻害剤がALK阻害剤である場合、前記がんは、非小細胞肺がんである、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記キナーゼ阻害剤がB-Raf阻害剤である場合、前記がんは、黒色腫、肺がん、結腸直腸がん、及び消化管間質がんからなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
キナーゼ阻害剤に対して抵抗性のあるがんの処置に使用するための、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤とキナーゼ阻害剤とを含む医薬組成物又はキット(パーツキット)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学、特に腫瘍学の分野のものである。
【背景技術】
【0002】
肺がんは、世界的にがんによる死亡の主要な原因である。転移性非小細胞肺がん(NS
CLC)は、近年、つまり、標的治療の開発につながるEGFR突然変異などの発がん遺
伝子ドライバーの同定、及び免疫チェックポイント阻害剤の開発につながるがん免疫サイ
クルの理解という、2つの連続のブレークスルーによって恩恵を受けている。
【0003】
エルロチニブ又はゲフィチニブなどの第1世代のEGFR-チロシンキナーゼ阻害剤(
EGFR-TKI)は、EGFR活性化突然変異保持NSCLCの有効な治療である2。
しかしながら、70%の応答率にもかかわらず、患者は通例、薬剤抵抗性の発生によって
12か月の時間中央値で再発する。獲得抵抗性の機序は、EGFRT790M突然変異、
MET3又はHER24を含むバイパス経路の活性化、上皮間葉転換(EMT)5、及び
小細胞肺がんへの転換6、など7を含む。また、これらの抵抗性は、EGFRの下流の増
殖/生存経路、主にPI3K/AKT、MEK/ERK、又はSTAT8、9の再活性化
によって媒介され得る。初期には、再発時の腫瘍に見受けられるさらなる遺伝子変異を標
的とすることが抵抗性の問題を解決し得ると考えられた。しかしながら、腫瘍間及び腫瘍
内の突然変異の不均一性がこの方策を無効なものとした。実際に、T790Mゲートキー
パー突然変異を効果的に標的とする第3世代のEGFR-TKIのオシメルチニブで処置
した患者もまた、新しい抵抗性機序(例えばEGFR-C797S/G突然変異)の出現
により、再発する10。
【0004】
近年のin vitro研究では、EGFR-TKI抵抗性の発症が、一般に想定され
るような既存の抵抗性サブクローンの薬剤選択から説明できないだけでなく、スローサイ
クリング状態に入ることで初期に処置に抵抗する薬剤耐性細胞(DTC)の小集団からも
新たに生じ得るということを示唆している11。これらの細胞の一部は、やがて細胞周期
に再度入り、最終的に、増殖能力を十分に回復可能にする遺伝子変異を得ることができる
12、13。DTCは、基本的に、EGFR突然変異PC9肺細胞株において記載されて
おり、これは、(i)大部分の細胞の死亡をもたらす、1μMのEGFR-TKI(この
細胞株のIC50の50~100倍であり、患者の血中濃度に対応する用量)による最初
の5日の処置時における強力な初期応答、(ii)残存するDTCの存在に対応する数日
/数週の遅延時間がその後観察されるという、in vitroにおいて患者に表れる主
要な段階を再現している。これらの細胞は、CD133又はCD24としてのがん幹細胞
マーカを発現する低増殖細胞として記載され、遺伝子型変異なくエピジェネティックリプ
ログラミングを受けており11、14、(iii)処置の数週後、これらの細胞の一部が
、EGFRT790M抵抗性突然変異(第1世代EGFR-TKI処置の場合)又は他の
遺伝子変異などの新たな遺伝子改変を得ることができる12、13。
【0005】
他の研究では、NSCLCにおいて、また転移性黒色腫15、膠芽腫16、又は急性骨
髄性白血病17などの他のがんにおいても、いくつかの抗がん治療に対して生じる、微小
残存病変(MRD)とも呼ばれる同様の細胞状態の存在を示している。それにもかかわら
ず、この特定の状態は、さほど特性が明らかになっていないままであり、腫瘍細胞がどの
分子機構によってDTC状態に進化するか、これらのDTCがどのように抵抗性突然変異
を生じるか、及びこれらの細胞が患者においてどの程度抵抗性を高め得るかについて、未
だ知られていない。したがって、これらのDTCの標的化は、EGFR-TKIに対する
二次的抵抗性の発生を防ぐ、新しく有望なアプローチとなると考えられる。しかしながら
、新しい治療方法開発の必要条件となる、この特定の状態における正確なin vivo
の表現型及び分子の特徴が未だ得られていない。
【発明の概要】
【0006】
特許請求の範囲によって規定されるように、本発明は、キナーゼ阻害剤に対する獲得抵
抗性を有するがんの処置のための方法、医薬組成物、及びキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、GGTiではなくFTiが、複数のTKI感受性モデルにおいて再発を抑止することを示す。GFP形質導入EGFR突然変異細胞株を、FTi(チピファルニブ、1μM)、GGTi(GGTi-298、1μM)、若しくはTatC3(2μg/ml)(A~C)、又は0.1μMのチピファルニブ(D~F)あり又はなしで、1μMのエルロチニブで処置し、応答及び再発を蛍光検出によって追跡した(G~H)。GFP形質導入したH3122(ALK転座NSCLC細胞株)又はA375(BRAF突然変異黒色腫細胞株)を、それぞれアレクチニブ(2μM)又はベムラフェニブ(5μM)と組み合わせたチピファルニブ0.1μMによって処置し、応答及び再発を蛍光検出によって追跡した。
【
図2】
図2は、以下のとおりである。(A)示される処置の際の腫瘍体積の変化を示す。(B)良好な応答における腫瘍サイズ対ベースラインの変化を示す(45日)。(C)カプラン・マイヤー無増悪生存プロットを示す。(D)カプラン・マイヤー全生存プロットを示す。(E)処置時におけるマウスの身体サイズの変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の第1の目的は、処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法に関し、該
方法は、キナーゼ阻害剤とファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤とを含む治療上有効な
組合せを対象に投与することを含む。
【0009】
本発明のさらなる目的は、対象においてキナーゼ阻害剤に対して抵抗性のあるがんの発
症を遅延及び/又は抑止する方法に関し、該方法は、ファルネシルトランスフェラーゼ阻
害剤を組み合わせて治療有効量のキナーゼ阻害剤を対象に投与することを含む。
【0010】
本明細書において使用するように、「キナーゼ阻害剤に対して抵抗性」という用語は、
非常に幅広い文脈において、細胞の増殖を阻害する、細胞を殺傷する、又は1つ以上の細
胞機能を阻害する少なくとも1つのキナーゼ阻害剤の有効性の低下、及び、細胞の増殖を
阻害する、細胞を殺傷する、又は1つ以上の細胞機能を阻害するように設計された物質へ
の曝露において、細胞が生存できることを指すように使用される。細胞が示す抵抗性は、
例えば該物質にそれまでに曝露させることによって獲得され得る、又は、固有若しくは自
然のものであり得る。細胞が示す抵抗性は、物質が細胞に対して完全に無効になるという
ことから完全であり得る、又は物質の有効性を低下させるということから部分的であり得
る。したがって、「抵抗性のある」という用語は、疾患が発症又は進行前に治癒したかど
うかとは無関係な、がんの頻回の発症、又はがんの進行を指す。
【0011】
本発明のさらなる目的は、処置を必要とする対象におけるキナーゼ阻害剤に対して抵抗
性のあるがんを処置する方法に関し、該方法は、治療有効量のファルネシルトランスフェ
ラーゼ阻害剤を対象に投与することを含む。
【0012】
本発明のさらなる目的は、がんに罹患する対象において投与したキナーゼ阻害剤に対す
る抵抗性を抑止する方法に関し、該方法は、治療有効量のファルネシルトランスフェラー
ゼ阻害剤を対象に投与することを含む。
【0013】
本発明のさらなる目的は、がんに罹患する対象に処置レジメンの一部として投与したキ
ナーゼ阻害剤の効力を高める方法に関し、該方法は、キナーゼ阻害剤を組み合わせた薬学
的有効量のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤を対象に投与することを含む。
【0014】
本発明のさらなる目的は、がん持続生残(persister)細胞の増殖又はがん持
続生残細胞のコロニー形成を阻害又は抑止することによって、がん再発及び/又はキナー
ゼ阻害剤による治療に対する獲得抵抗性の発生を抑止若しくは遅延するためのファルネシ
ルトランスフェラーゼ阻害剤の使用に関する。さらに、がん持続生残細胞に対するこの効
果により、がん処置に対する完全な応答を得ることができ得る。実際に、ファルネシルト
ランスフェラーゼ阻害剤は、がん持続生残細胞を除くことができ得る。また、これは、が
ん持続生残細胞集団を取り除く若しくは減少させる、並びに/又は、がん再発及び/若し
くはがん処置に対する獲得抵抗性の発生を抑止若しくは遅延させる方法に関し、該方法は
、治療有効量のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤を投与することを含み、これによ
って、がん持続生残細胞集団を取り除く又は減少させる。ファルネシルトランスフェラー
ゼ阻害剤は、「持続生残」腫瘍生細胞を標的とすることに有用であり得るので、特にキナ
ーゼ阻害剤との組合せ治療の文脈において、薬剤抵抗性クローンの発生を防ぐことができ
る。
【0015】
本明細書において使用するように、「持続生残細胞」、「持続生残がん細胞」、「薬剤
耐性持続生残」、及び「DTP」という用語は、抗がん標的治療処置、特にキナーゼ阻害
剤による処置において生存性を維持するがん細胞の小分集団を指すために用いられる。よ
り具体的には、これは、IC50よりも100倍高い濃度で使用されるときの高濃度のキ
ナーゼ阻害剤処置に耐性を有するがん細胞を指す。これらの細胞は低増殖性であり、ほぼ
静止状態である。したがって、本発明のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、薬剤
耐性増殖持続生残を根絶することに特に適する。本明細書において使用するように、「薬
剤耐性増殖持続生残」、又は「薬剤耐性細胞」という用語は、本明細書において使用する
ように、高濃度の継続的ながん薬剤処置、特にキナーゼ阻害剤による処置において増殖す
ることができるがん細胞を指す。
【0016】
本明細書において使用するように、「再発」という用語は、初期の応答(例えば完全な
応答又は部分的な応答)期間後のがんの再出現を指す。初期の応答期間は、所定のしきい
値より低く、例えば20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%より低
く低下する、がん細胞のレベルに関与し得る。再出現は、初期の応答期間は、所定のしき
い値を超えて、例えば20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%を超
えて上昇する、がん細胞のレベルに関与し得る。より一般に、応答(例えば完全な応答又
は部分的な応答)は、検出可能なMRD(微小残存病変)がないことに関与し得る。一部
の実施形態において、初期の応答期間は、少なくとも1、2、3、4、6、8、10、若
しくは12か月、又は少なくとも1、2、3、4、若しくは5年にわたる。
【0017】
本明細書において使用するように、「キナーゼ阻害剤」という用語は、当該技術分野に
おいて現在知られる又は今後同定される任意の化合物を指し、対象に投与した際に、対象
のがん細胞におけるキナーゼ経路を阻害する任意の化学成分を含む。一部の実施形態にお
いて、キナーゼ阻害剤は有機低分子である。キナーゼ阻害剤は、低分子量阻害剤、抗体又
は抗体フラグメント、アンチセンスコンストラクト、低分子阻害性RNA(すなわちds
RNAによるRNA干渉、RNAi)、及びリボザイムを含むがこれらに限定されない。
キナーゼ阻害剤は、典型的に有機低分子である。この用語は、生物学的高分子(例えば、
タンパク質、核酸など)を除くものである。好ましい有機低分子は、2000Da以下、
最も好ましくは約1000Da以下のサイズの範囲である。
【0018】
本発明において、キナーゼ阻害剤はがんを処置するためのキナーゼ阻害剤である。特に
、キナーゼは、チロシンキナーゼ、セリン/スレオニンキナーゼ、又は二重特異性を有す
るキナーゼとすることができる。特定の態様において、キナーゼ阻害剤は、がん処置時の
獲得抵抗性に関連することが知られる。極めて特定の態様において、キナーゼ阻害剤は、
キナーゼ阻害剤によるがんの処置時における持続生残がん細胞の出現に関連する。
【0019】
一部の実施形態において、キナーゼ阻害剤は、EGFRファミリー、ALK、B-Ra
f、MEK、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FLT3、IGF1R
、c-Met、JAKファミリー、PDGFRα及びβ、RET、AXL、c-KIT、
TrkA、TrkB、TrkC、ROS1、BTK、並びにSykのキナーゼのいずれか
1つを標的とし得る。
【0020】
一部の実施形態において、キナーゼ阻害剤は、受容体型チロシンキナーゼ、特にEGF
Rファミリー、ALK、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、c-Met
、RET、IGF1R、PDGFRα及びβ、c-KIT、FLT3、AXL、TrkA
、TrkB、TrkC、並びにROS1からなる群より選択されるものを標的とする阻害
剤である。
【0021】
一部の実施形態において、キナーゼ阻害剤は、EGFR、ALK、B-Raf、MEK
、c-Met、JAK、PDGFRα及びβ、RET、並びにBTKからなる群より選択
されるチロシンキナーゼを標的とする阻害剤である。例えば、ALKに進化的及び構造的
に関連するチロシンキナーゼの群は、RET、ROS1、AXL、及びTrkファミリー
キナーゼである。
【0022】
EGFRキナーゼ阻害剤は周知である。例えば、そうしたEGFRキナーゼ阻害剤を公
開している記事が掲載されており(Expert Opinion on Therap
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開第18108064号、国際公開第18050052号、国際公開第18121758
号、国際公開第18218963号、国際公開第17114383号、国際公開第170
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開第17016463号、国際公開第17117680号、国際公開第17205459
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70816号、国際公開第16079763号、国際公開第16125186号、国際公
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29053号、国際公開第10076764号、国際公開第09143389号、国際公
開第05065687号、国際公開第05018677号、国際公開第05027972
号、国際公開第04011461号、国際公開第0134574号などの特許出願におい
てもEGFRキナーゼ阻害剤を公開しており、これらの公開は言及することによって本明
細書に援用される。EGFRキナーゼ阻害剤の特定の例は以下の表に開示する。
【0023】
ALKキナーゼ阻害剤は周知である。例えば、そうしたALKキナーゼ阻害剤を公開し
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s et al,Curr Treat Options Oncol.2018 Ma
y 28;19(7):37;Goldings et al,Mol Cancer.
2018 Feb 19;17(1):52;Karachaliou et al,E
xpert Opin Investig Drugs.2017 Jun;26(6)
:713-722;Liu et al,Curr Med Chem.2017;24
(6):590-613;Crescenzo et al,Curr Opin Ph
armacol.2015 Aug;23:39-44;Sgambato et al
,Expert Rev Anticancer Ther.2018 Jan;18(
1):71-80;Michellys et al,Bioorg Med Chem
Lett.2016 Feb 1;26(3):1090-1096;Straugh
an et al,Curr Drug Targets.2016;17(6):73
9-45)、これらの公開は言及することによって本明細書に援用される。例えば、網羅
せずに、国際公開第04080980号、国際公開第05016894号、国際公開第0
5009389号、国際公開第09117097号、国際公開第09143389号、国
際公開第09132202号、国際公開第10085597号、国際公開第101436
64号、国際公開第11138751号、国際公開第12037155号、国際公開第1
2017239号、国際公開第12023597号、国際公開第13013308号、国
際公開第14193932号、国際公開第15031666号、国際公開第151276
29号、国際公開第15180685号、国際公開第15194764号、国際公開第1
7076355号、国際公開第18001251号、国際公開第18044767号、国
際公開第18094134号、国際公開第18127184号などの特許出願においても
ALKキナーゼ阻害剤を公開しており、これらの公開は言及することによって本明細書に
援用される。ALKキナーゼ阻害剤の特定の例は以下の表に開示する。
【0024】
B-Rafキナーゼ阻害剤は周知である。例えば、そうしたB-Rafキナーゼ阻害剤
を公開している記事が掲載されており(Tsai et al,PNAS Februa
ry 26,2008 105(8)3041-3046,Garnett and M
arais,2004 Cancer cell,Volume6,Issue4,Pa
ges313-319;Wilmott et al 2012,Cancer The
rapy:Clinical,Volume18,Issue5;Fujimura e
t al,Expert Opin Investig Drugs.2019 Feb
;28(2):143-148,Trojaniello et al,Expert
Rev Clin Pharmacol.2019 Mar;12(3):259-26
6;Kakadia et al,Onco Targets Ther.2018 O
ct 17;11:7095-7107;Roskoski,Pharmacol Re
s.2018 Sep;135:239-258;Eroglu et al,Ther
Adv Med Oncol.2016 Jan;8(1):48-56)、これらの
公開は言及することによって本明細書に援用される。例えば、網羅せずに、国際公開第1
4164648号、国際公開第14164648号、国際公開第14206343号、国
際公開第13040515号、国際公開第11147764号、国際公開第110472
38号、国際公開第11025968号、国際公開第11025951号、国際公開第1
1025938号、国際公開第11025965号、国際公開第11090738号、国
際公開第09143389号、国際公開第09111280号、国際公開第091112
79号、国際公開第09111278号、国際公開第09111277号、国際公開第0
8068507号、国際公開第08020203号、国際公開第07119055号、国
際公開第07113558号、国際公開第07071963号、国際公開第071135
57号、国際公開第06079791号、国際公開第06067446号、国際公開第0
6040568号、国際公開第06024836号、国際公開第06024834号、国
際公開第06003378号、国際公開第05123696号などの特許出願においても
B-Rafキナーゼ阻害剤を公開しており、これらの公開は言及することによって本明細
書に援用される。ALKキナーゼ阻害剤の特定の例は以下の表に開示する。
【0025】
キナーゼ阻害剤は、MEK(分裂促進因子活性化プロテインキナーゼキナーゼ、また、
MAP2K、MP2K、MAPKK、MAPK/ERKキナーゼ、JNK-活性化キナー
ゼ、c-Jun N末端キナーゼキナーゼ(JNKK)、ストレス活性化プロテインキナ
ーゼキナーゼ(SAPKK);UniprotKB-Q02750(MP2K1)、P3
6507(MP2K2)、P46734(MP2K3)、P45985(MP2K4)、
Q13163(MP2K5)、P52564(MP2K6)、O14733(MP2K7
)としても知られる)を標的とし得る。好ましくは、キナーゼ阻害剤は、MEK-1(M
AP2K1、MP2K1、MAPKK1又はMKK1としても知られる)及び/又はME
K-2(MAP2K2、MP2K2、MAPKK2又はMKK2としても知られる)を標
的とする。MEK-1及びMEK-2の両方が、MAPK/ERKカスケードにおいて特
異的に機能する。MEKキナーゼ阻害剤は周知である。例えば、そうしたMEKキナーゼ
阻害剤を公開している記事が掲載されており(Kakadia et al,Onco
Targets Ther.2018 Oct 17;11:7095-7107;St
eeb et al,Eur J Cancer.2018 Nov;103:41-5
1;Sarkisian and Davar,Drug Des Devel The
r.2018 Aug 20;12:2553-2565;Roskoski,Phar
macol Res.2018 Sep;135:239-258;Eroglu et
al,Ther Adv Med Oncol.2016 Jan;8(1):48-
56)、これらの公開は言及することによって本明細書に援用される。例えば、網羅せず
に、国際公開第15022662号、国際公開第15058589号、国際公開第140
09319号、国際公開第14204263号、国際公開第13107283号、国際公
開第13136249号、国際公開第13136254号、国際公開第12095505
号、国際公開第12059041号、国際公開第11047238号、国際公開第110
47055号、国際公開第11054828号、国際公開第10017051号、国際公
開第10108652号、国際公開第10121646号、国際公開第10145197
号、国際公開第09129246号、国際公開第09018238号、国際公開第091
53554号、国際公開第09018233号、国際公開第09013462号、国際公
開第09093008号、国際公開第08089459号、国際公開第07014011
号、国際公開第07044515号、国際公開第07071951号、国際公開第070
22529号、国際公開第07044084号、国際公開第07088345号、国際公
開第07121481号、国際公開第07123936号、国際公開第06011466
号、国際公開第06011466号、国際公開第06056427号、国際公開第060
58752号、国際公開第06133417号、国際公開第05023251号、国際公
開第05028426号、国際公開第05051906号、国際公開第05051300
号、国際公開第05051301号、国際公開第05051302号、国際公開第050
23759号、国際公開第04005284号、国際公開第03077855号、国際公
開第03077914号、国際公開第02069960号、国際公開第0168619号
、国際公開第0176570号、国際公開第0041994号、国際公開第004202
2号、国際公開第0042003号、国際公開第0042002号、国際公開第0056
706号、国際公開第0068201号、国際公開第9901426号などの特許出願に
おいてもMEKキナーゼ阻害剤を公開しており、これらの公開は言及することによって本
明細書に援用される。MEKキナーゼ阻害剤の特定の例は以下の表に開示する。
【0026】
キナーゼ阻害剤は、FGFR(線維芽細胞増殖因子受容体、UniprotKB-P1
1362(FGFR1)、P21802(FGFR2)、P22607(FGFR3)、
P22455(FGFR4))を標的とし得る。FGFRキナーゼ阻害剤は周知である。
例えば、そうしたFGFRキナーゼ阻害剤を公開している記事が掲載されており(Kat
oh,Int J Mol Med.2016 Jul;38(1):3-15;Riz
vi and Borad,J Gastrointest Oncol.2016 O
ct;7(5):789-796;Tan et al,Onco Targets T
her.2019 Jan 18;12:635-645,Shen et al,J
Hematol Oncol.2018 Sep 19;11(1):120;Port
a et al,Crit Rev Oncol Hematol.2017 May;
113:256-267;Cheng et al,Eur J Med Chem.2
017 Jan 27;126:476-490)、これらの公開は言及することによっ
て本明細書に援用される。例えば、網羅せずに、国際公開第19034075号、国際公
開第19034076号、国際公開第19001419号、国際公開第18028438
号、国際公開第18049781号、国際公開第18121650号、国際公開第181
53373号、国際公開第18010514号、国際公開第17028816号、国際公
開第17070708号、国際公開第16091849号、国際公開第16134320
号、国際公開第16054483号、国際公開第15059668号、国際公開第140
07951号、国際公開第14026125号、国際公開第14129477号、国際公
開第14162039号、国際公開第14172644号、国際公開第13108809
号、国際公開第13129369号、国際公開第13144339号、国際公開第131
79033号、国際公開第13053983号、国際公開第12008563号、国際公
開第12008564号、国際公開第12047699号、国際公開第09153592
号、国際公開第08078091号、国際公開第08075068号、国際公開第061
12479号、国際公開第04056822号などの特許出願においてもFGFRキナー
ゼ阻害剤を公開しており、これらの公開は言及することによって本明細書に援用される。
FGFRキナーゼ阻害剤の特定の例は以下の表に開示する。FGFRキナーゼ阻害剤は、
選択的な1つ又は複数のFGFRファミリーメンバー、特にFGFR1、FGFR2、F
GFR3、及びFGFR4から選択されるメンバーとすることができる。
【0027】
キナーゼ阻害剤は、FLT3(受容体型チロシンプロテインキナーゼFLT3、また、
FLサイトカイン受容体、胎児肝キナーゼ-2(FLK-2)、Fms-様チロシンキナ
ーゼ3(FLT-3)、幹細胞チロシンキナーゼ1(STK-1)、又はCD抗原:CD
135;UniprotKB-P36888としても知られる)を標的とし得る。FLT
3キナーゼ阻害剤は周知である。例えば、そうしたFLT3キナーゼ阻害剤を公開してい
る記事が掲載されており(Stone,Best Pract Res Clin Ha
ematol.2018 Dec;31(4):401-404;Wu et al,J
Hematol Oncol.2018 Dec 4;11(1):133;Shor
t et al,Ther Adv Hematol.2019 Feb 15;10:
2040620719827310;Elshouryet al,Expert Re
v Anticancer Ther.2019 Mar;19(3):273-286
;Zhi et al,Eur J Med Chem.2018 Jul 15;15
5:303-315;Tiong IS,Wei AH,Genes Chromoso
mes Cancer.2019 Mar 12,Gallogly and Laza
rus,J Blood Med.2016 Apr 19;7:73-83;Pito
ia and Jerkovich,Drug Des Devel Ther.201
6 Mar 11;10:1119-31)、これらの公開は言及することによって本明
細書に援用される。例えば、網羅せずに、国際公開第19034538号、国際公開第1
7148440号、国際公開第15056683号、国際公開第13170671号、国
際公開第13124869号、国際公開第13142382号、国際公開第131575
40号、国際公開第11086085号、国際公開第09095399号、国際公開第0
9143389号、国際公開第08111441号、国際公開第08046802号、国
際公開第06020145号、国際公開第06106437号、国際公開第061357
19号などの特許出願においてもXXキナーゼ阻害剤を公開しており、これらの公開は言
及することによって本明細書に援用される。FLT3キナーゼ阻害剤の特定の例は以下の
表に開示する。
【0028】
キナーゼ阻害剤は、IGF1R(インスリン様増殖因子1受容体、またインスリン様増
殖因子I受容体(IGF-I受容体)又はCD抗原:CD221;UniprotKB-
P08069又はC9J5X1としても知られる)を標的とし得る。IGF1Rキナーゼ
阻害剤は周知である。例えば、そうしたIGF1Rキナーゼ阻害剤を公開している記事が
掲載されており(Qu et al,Oncotarget.2017 Apr 25;
8(17):29501-29518;Chen et al,Curr Top Me
d Chem.2017 Nov 20;17(28):3099-3130)、これら
の公開は言及することによって本明細書に援用される。例えば、網羅せずに、国際公開第
16082713号、国際公開第08076415号、国際公開第08000922号、
国際公開第08076143号、国際公開第07121279号、国際公開第07083
017号、国際公開第07075554号、国際公開第06080450号、国際公開第
05095399号、国際公開第05097800号、国際公開第05037836号、
国際公開第02092599号などの特許出願においてもIGF1Rキナーゼ阻害剤を公
開しており、これらの公開は言及することによって本明細書に援用される。IGF1Rキ
ナーゼ阻害剤の特定の例は以下の表に開示する。
【0029】
キナーゼ阻害剤は、c-Met(肝細胞増殖因子受容体、また、HGF/SF受容体、
癌原遺伝子c-Met、分散因子受容体又はチロシンプロテインキナーゼMet;Uni
protKB-P08581としても知られる)を標的とし得る。c-Metキナーゼ阻
害剤は周知である。例えば、そうしたc-Metキナーゼ阻害剤を公開している記事が掲
載されており(Zhang et al,Expert Opin Ther Pat.
2019 Jan;29(1):25-41;Gozdzik-Spychalska
et al,Curr Treat Options Oncol.2014 Dec;
15(4):670-82;Bahrami et al,J Cell Physio
l.2017 Oct;232(10):2657-2673;Zhang et al
,Eur J Med Chem.2016 Jan 27;108:495-504;
Qi et al,World J Gastroenterol.2015 May
14;21(18):5445-53)、これらの公開は言及することによって本明細書
に援用される。例えば、網羅せずに、国際公開第18153293号、国際公開第181
87355号、国際公開第14000713号、国際公開第14032498号、国際公
開第14067417号、国際公開第14180182号、国際公開第1307089号
、国際公開第13107285号、国際公開第13149581号、国際公開第1200
6960号、国際公開第12015677号、国際公開第12034055号、国際公開
第12048258号、国際公開第12075683号、国際公開第11039527号
、国際公開第11079142号、国際公開第11121223号、国際公開第1114
3646号、国際公開第11149878号、国際公開第10007317号、国際公開
第10007316号、国際公開第10007318号、国際公開第10019899号
、国際公開第10059668号、国際公開第10089508号、国際公開第1008
9509号、国際公開第09143389号、国際公開第09143211号、国際公開
第09056692号、国際公開第09093049号、国際公開第09068955号
、国際公開第13013308号、国際公開第08023698号、国際公開第0800
8310号、国際公開第08102870号、国際公開第07036630号、国際公開
第07066185号、国際公開第07023768号、国際公開第07002254号
、国際公開第07002258号、国際公開第07111904号、国際公開第0610
4161号、国際公開第05082854号、国際公開第05082855号、国際公開
第0160814号などの特許出願においてもc-Metキナーゼ阻害剤を公開しており
、これらの公開は言及することによって本明細書に援用される。c-Metキナーゼ阻害
剤の特定の例は以下の表に開示する。
【0030】
キナーゼ阻害剤は、JAK(チロシンプロテインキナーゼJAK2、また、ヤヌスキナ
ーゼ2、UniprotKB-O60674としても知られる)を標的とし得る。JAK
キナーゼ阻害剤は周知である。例えば、そうしたJAKキナーゼ阻害剤を公開している記
事が掲載されており(He et al,Expert Opin Ther Pat.
2019 Feb;29(2):137-149;Hobbs et al,Hemat
ol Oncol Clin North Am.2017 Aug;31(4):61
3-626;Senkevitch and Durum,Cytokine.2017
Oct;98:33-41;Leroy and Constantinescu,L
eukemia.2017 May;31(5):1023-1038;Jin et
al,Pathol Oncol Res.2019 Jan 31)、これらの公開は
言及することによって本明細書に援用される。例えば、網羅せずに、国際公開第1903
4153号、国際公開第18215389号、国際公開第18215390号、国際公開
第18204238号、国際公開第17006968号、国際公開第17079205号
、国際公開第17091544号、国際公開第17097224号、国際公開第1712
9116号、国際公開第17140254号、国際公開第17215630号、国際公開
第16027195号、国際公開第16032209号、国際公開第16116025号
、国際公開第16173484号、国際公開第16191524号、国際公開第1619
2563号、国際公開第15174376号、国際公開第15039612号、国際公開
第14111037号、国際公開第14123167号、国際公開第14146492号
、国際公開第14186706号、国際公開第13091539号、国際公開第1318
8184号、国際公開第11076419号、国際公開第10085597号、国際公開
第10051549号、国際公開第10083283号、国際公開第10135621号
、国際公開第10142752号、国際公開第10149769号、国際公開第1100
3065号、国際公開第09132202号、国際公開第09143389号、国際公開
第09062258号、国際公開第09114512号、国際公開第09145856号
、国際公開第09155565号、国際公開第09155551号、国際公開第0804
7831号、国際公開第08109943号、国際公開第08116139号、国際公開
第08157207号、国際公開第07070514号、国際公開第07084557号
、国際公開第07117494号、国際公開第07007919号、国際公開第0603
4116号、国際公開第06056399号、国際公開第06069080号、国際公開
第05095400号、国際公開第04058753号、国際公開第04041789号
、国際公開第04041814号、国際公開第04041810号、国際公開第0310
1989号、国際公開第0152892号などの特許出願においてもJAKキナーゼ阻害
剤を公開しており、これらの公開は言及することによって本明細書に援用される。JAK
キナーゼ阻害剤の特定の例は以下の表に開示する。
【0031】
キナーゼ阻害剤は、PDGFR(血小板由来増殖因子受容体、また、血小板由来増殖因
子受容体、CD140抗原様ファミリーメンバー、UniprotKB-P16234(
PGFRA)、P09619(PGFRB)としても知られる)を標的とし得る。PDG
FRキナーゼ阻害剤は周知である。例えば、そうしたPDGFRキナーゼ阻害剤を公開し
ている記事が掲載されており(Roskoski,Pharmacol Res.201
8 Mar;129:65-83;Andrick and Gandhi,Ann P
harmacother.2017 Dec;51(12):1090-1098;Kh
alique and Banerjee,Expert Opin Investig
Drugs.2017 Sep;26(9):1073-1081;Miyamoto
et al,Jpn J Clin Oncol.2018 Jun 1;48(6)
:503-513;Gallogly and Lazarus,J Blood Me
d.2016 Apr 19;7:73-83;Pitoia and Jerkovi
ch,Drug Des Devel Ther.2016 Mar 11;10:11
19-31;Chen and Chen,Drug Des Devel Ther.
2015 Feb 9;9:773-9)、これらの公開は言及することによって本明細
書に援用される。例えば、網羅せずに、国際公開第11119894号、国際公開第08
016192号、国際公開第07004749号、国際公開第03077892号、国際
公開第03077892号、国際公開第0164200号、国際公開第0125238号
、国際公開第0172711号、国際公開第0172758号、国際公開第995711
7号、及び国際公開第9928304号などの特許出願においてもPDGFRキナーゼ阻
害剤を公開しており、PDGFRキナーゼ阻害剤の特定の例は以下の表に開示する。
【0032】
キナーゼ阻害剤は、RET(癌原遺伝子チロシンプロテインキナーゼ受容体Ret、ま
た、カドヘリンファミリーメンバー12、又は癌原遺伝子c-Ret;UniprotK
B-P07949としても知られる)を標的とし得る。RETキナーゼ阻害剤は周知であ
る。例えば、そうしたRETキナーゼ阻害剤を公開している記事が掲載されており(Ro
skoski and Sadeghi-Nejad,Pharmacol Res.2
018 Feb;128:1-17;Zschaebitz and Gruellic
h;Recent Results Cancer Res.2018;211:187
-198;Gruellich,Recent Results Cancer Res
.2018;211:67-75;Pitoia and Jerkovich,Dru
g Des Devel Ther.2016 Mar 11;10:1119-31)
、これらの公開は言及することによって本明細書に援用される。例えば、網羅せずに、国
際公開第18071454号、国際公開第18136663号、国際公開第181366
61号、国際公開第18071447号、国際公開第18060714号、国際公開第1
8022761号、国際公開第18017983号、国際公開第17146116号、国
際公開第17161269号、国際公開第17146116号、国際公開第170435
50号、国際公開第17011776号、国際公開第17026718号、国際公開第1
4050781号、国際公開第07136103号、国際公開第06130673号など
の特許出願においてもRETキナーゼ阻害剤を公開しており、RETキナーゼ阻害剤の特
定の例は以下の表に開示する。
【0033】
キナーゼ阻害剤は、AXL(チロシンプロテインキナーゼ受容体UFO、また、AXL
発癌遺伝子、UniprotKB-P30530としても知られる)を標的とし得る。A
XLキナーゼ阻害剤は周知である。例えば、そうしたAXLキナーゼ阻害剤を公開してい
る記事が掲載されており(Myers et al,J Med Chem.2016
Apr 28;59(8):3593-608;Gruellich,Recent R
esults Cancer Res.2018;211:67-75)、これらの公開
は言及することによって本明細書に援用される。例えば、網羅せずに、国際公開第181
21228号、国際公開第17059280号、国際公開第17028797号、国際公
開第16166250号、国際公開第16104617号、国際公開第16097918
号、国際公開第16006706号、国際公開第15143692号、国際公開第151
19122号、国際公開第15100117号、国際公開第15068767号、国際公
開第15017607号、国際公開第15012298号、国際公開第13115280
号、国際公開第13074633号、国際公開第12135800号、国際公開第120
28332号、国際公開第10090764号、国際公開第10083465号、国際公
開第10005876号、国際公開第10005879号、国際公開第09127417
号、国際公開第09054864号、国際公開第08128072号、国際公開第080
98139号、国際公開第08083353号、国際公開第08083357号、国際公
開第08083354号、国際公開第08083356号、国際公開第08083367
号、国際公開第08080134号、国際公開第08045978号、国際公開第070
30680号などの特許出願においてもAXLキナーゼ阻害剤を公開しており、これらの
公開は言及することによって本明細書に援用される。AXLキナーゼ阻害剤の特定の例は
以下の表に開示する。
【0034】
キナーゼ阻害剤は、c-KIT(マスト/幹細胞増殖因子受容体Kit、また、限局性
白皮形質(Piebald trait)タンパク質(PBT)、癌原遺伝子c-Kit
、チロシンプロテインキナーゼKit、又はp145c-Kit;UniprotKB-
P10721としても知られる)を標的とし得る。c-KITキナーゼ阻害剤は周知であ
る。例えば、そうしたc-KITキナーゼ阻害剤を公開している記事が掲載されており(
Abbaspour Babaei et al,Drug Des Devel Th
er.2016 Aug 1;10:2443-59,Zschaebitz and
Gruellich;Recent Results Cancer Res.2018
;211:187-198;Miyamoto et al,Jpn J Clin O
ncol.2018 Jun 1;48(6):503-513;Chen et al
,Curr Top Med Chem.2017 Nov 20;17(28):30
99-3130;Gallogly and Lazarus,J Blood Med
.2016 Apr 19;7:73-83;Pitoia and Jerkovic
h,Drug Des Devel Ther.2016 Mar 11;10:111
9-31,Chen and Chen,Drug Des Devel Ther.2
015 Feb 9;9:773-9)、これらの公開は言及することによって本明細書
に援用される。例えば、網羅せずに、国際公開第19034128号、国際公開第181
12136号、国際公開第18112140号、国際公開第17167182号、国際公
開第17121444号、国際公開第14202763号、国際公開第13033116
号、国際公開第13033203号、国際公開第13033167号、国際公開第130
33070号、国際公開第13014170号、国際公開第09105712号、国際公
開第08011080号、国際公開第08005877号、国際公開第07124369
号、国際公開第07092403号、国際公開第07038669号、国際公開第070
26251号、国際公開第06106437号、国際公開第06135719号、国際公
開第06060381号、国際公開第05073225号、国際公開第05021531
号、国際公開第05021537号、国際公開第05021544号、国際公開第040
80462号、国際公開第04014903号、国際公開第03035049号、国際公
開第03002114号、国際公開第03003006号、国際公開第03004006
号などの特許出願においてもc-KITキナーゼ阻害剤を公開しており、これらの公開は
言及することによって本明細書に援用される。c-KITキナーゼ阻害剤の特定の例は以
下の表に開示する。
【0035】
キナーゼ阻害剤は、Trk(トロポミオシン受容体キナーゼ、また、高親和性神経成長
因子受容体、神経栄養性チロシンキナーゼ受容体、又はTRKトランスフォーミングチロ
シンキナーゼタンパク質;UniprotKB-P04629(Trk1)、Q1662
0(Trk2)、Q16288(Trk3)としても知られる)を標的とし得る。Trk
キナーゼ阻害剤は周知である。例えば、そうしたTrkキナーゼ阻害剤を公開している記
事が掲載されており(Bhangoo and Sigal,Curr Oncol R
ep.2019 Feb 4;21(2):14,Pacenta and Macy,
Drug Des Devel Ther.2018 Oct 23;12:3549-
3561;Cocco et al,Nat Rev Clin Oncol.2018
Dec;15(12):731-747;Lange and Lo,Cancers
(Basel).2018 Apr 4;10(4);Rolfo et al,Ex
pert Opin Investig Drugs.2015;24(11):149
3-500)、これらの公開は言及することによって本明細書に援用される。例えば、網
羅せずに、国際公開第18199166号、国際公開第18079759号、国際公開第
17135399号、国際公開第17087778号、国際公開第17006953号、
国際公開第16164286号、国際公開第16161572号、国際公開第16116
900号、国際公開第16036796号、国際公開第16021629号、国際公開第
15200341号、国際公開第15175788号、国際公開第15143653号、
国際公開第15148350号、国際公開第15148344号、国際公開第15143
654号、国際公開第15148373号、国際公開第15148354号、国際公開第
15143652号、国際公開第15089139号、国際公開第15039334号、
国際公開第15042085号、国際公開第15039333号、国際公開第15017
533号、国際公開第14129431号、国際公開第14105958号、国際公開第
14078417号、国際公開第14078408号、国際公開第14078378号、
国際公開第14078372号、国際公開第14078331号、国際公開第14078
328号、国際公開第14078325号、国際公開第14078322号、国際公開第
14078323号、国際公開第13183578号、国際公開第13176970号、
国際公開第13161919号、国際公開第13088257号、国際公開第13088
256号、国際公開第13009582号、国際公開第12158413号、国際公開第
12137089号、国際公開第12116217号、国際公開第12034091号、
国際公開第12037155号、国際公開第11006074号、国際公開第10048
314号、国際公開第10033941号、国際公開第09054468号、国際公開第
08135785号、国際公開第07123269号、国際公開第06135719号、
国際公開第06123113号、国際公開第06087538号、国際公開第06087
530号、国際公開第06082392号、国際公開第05049033号、国際公開第
03027111号などの特許出願においてもTrkキナーゼ阻害剤を公開しており、こ
れらの公開は言及することによって本明細書に援用される。Trkキナーゼ阻害剤の特定
の例は以下の表に開示する。
【0036】
キナーゼ阻害剤は、ROS1(癌原遺伝子チロシンタンパク質キナーゼROS、また、
癌原遺伝子c-Ros、癌原遺伝子c-Ros-1、受容体型チロシンキナーゼc-ro
s発癌遺伝子1、及びc-Ros受容体型チロシンキナーゼ;UniprotKB-P0
8922としても知られる)を標的とし得る。ROS1キナーゼ阻害剤は周知である。例
えば、そうしたROS1キナーゼ阻害剤を公開している記事が掲載されており(Lin
and Shaw,J Thorac Oncol.2017 Nov;12(11):
1611-1625;Facchinetti et al,Cancer Treat
Rev.2017 Apr;55:83-95 ;Rolfo et al,Expe
rt Opin Investig Drugs.2015;24(11):1493-
500,Yang and Gong,Expert Rev Clin Pharma
col.2019 Mar;12(3):173-178,Liu et al, Th
er Clin Risk Manag.2018 Jul 20;14:1247-1
252;Sgambato et al,Expert Rev Anticancer
Ther.2018 Jan;18(1):71-80)、これらの公開は言及するこ
とによって本明細書に援用される。例えば、網羅せずに、国際公開第13183578号
、国際公開第13180183号、国際公開第13158859号、国際公開第1203
7155号、国際公開第12005299号、国際公開第14141129号、国際公開
第15144801号、国際公開第15144799号、国際公開第18170381号
などの特許出願においてもROS1キナーゼ阻害剤を公開しており、これらの公開は言及
することによって本明細書に援用される。ROS1キナーゼ阻害剤の特定の例は以下の表
に開示する。
【0037】
キナーゼ阻害剤は、BTK(チロシンプロテインキナーゼBTK、また、無ガンマグロ
ブリン血症チロシンキナーゼ(ATK)、前駆B細胞キナーゼ(BPK)及びブルトン型
チロシンキナーゼ;UniprotKB-Q06187としても知られる)を標的とし得
る。BTKキナーゼ阻害剤は周知である。例えば、そうしたBTKキナーゼ阻害剤を公開
している記事が掲載されており(Kim HO,Arch Pharm Res.201
9 Feb;42(2):171-181;Lianget al,Eur J Med
Chem.2018 May 10;151:315-326,Aw and Bro
wn,Drugs Aging.2017 Jul;34(7):509-527;Wu
et al,Oncotarget.2017 Jan 24;8(4):7201-
7207,Wu et al,J Hematol Oncol.2016 Sep 2
;9(1):80)、これらの公開は言及することによって本明細書に援用される。例え
ば、網羅せずに、国際公開第18002958号、国際公開第18001331号、国際
公開第18009017号、国際公開第18035080号、国際公開第1808878
0号、国際公開第18090792号、国際公開第18095398号、国際公開第18
133151号、国際公開第18145525号、国際公開第18154131号、国際
公開第18175512号、国際公開第18192536号、国際公開第1819253
2号、国際公開第18196757号、国際公開第18208132号、国際公開第18
233655号、国際公開第19034009号、国際公開第17007987号、国際
公開第17046604号、国際公開第17066014号、国際公開第1707750
7号、国際公開第17123695号、国際公開第17127371号、国際公開第17
128917号、国際公開第17190048号、国際公開第17106429号、国際
公開第16019233号、国際公開第16057500号、国際公開第1606522
2号、国際公開第16066726号、国際公開第16106628号、国際公開第16
106626号、国際公開第16106629号、国際公開第16109215号、国際
公開第16106627号、国際公開第16106623号、国際公開第1610662
4号、国際公開第16106652号、国際公開第16112637号、国際公開第16
161571号、国際公開第16161570号、国際公開第16196776号、国際
公開第16196840号、国際公開第16192074号、国際公開第1621016
5号、国際公開第16109220号、国際公開第15017502号、国際公開第15
002894号、国際公開第15022926号、国際公開第15048689号、国際
公開第15048662号、国際公開第15061247号、国際公開第1508499
8号、国際公開第15095102号、国際公開第15095099号、国際公開第15
116485号、国際公開第15169233号、国際公開第15165279号、国際
公開第15132799号、国際公開第15039612号、国際公開第1410475
7号、国際公開第14113932号、国際公開第14114185号、国際公開第14
113942号、国際公開第14116504号、国際公開第14130693号、国際
公開第14164558号、国際公開第14151620号、国際公開第1415211
4号、国際公開第14161799号、国際公開第14187319号、国際公開第14
210255号、国際公開第14005217号、国際公開第14025976号、国際
公開第14039899号、国際公開第14055928号、国際公開第1405593
4号、国際公開第14068527号、国際公開第14078578号、国際公開第14
082598号、国際公開第14082598号、国際公開第13067264号、国際
公開第13081016号、国際公開第13102059号、国際公開第1311638
2号、国際公開第13148603号、国際公開第13152135号、国際公開第13
185084号、国際公開第13067277号、国際公開第13067274号、国際
公開第13059738号、国際公開第13010869号、国際公開第1301038
0号、国際公開第13010868号、国際公開第12170976号、国際公開第12
135801号、国際公開第12021444号、国際公開第11153514号、国際
公開第11152351号、国際公開第11029043号、国際公開第1102904
6号、国際公開第10126960号、国際公開第10056875号、国際公開第10
009342号、国際公開第09156284号、国際公開第09098144号、国際
公開第09053269号、国際公開第08121742号、国際公開第0803921
8号、国際公開第9954286号などの特許出願においてもBTKキナーゼ阻害剤を公
開しており、これらの公開は言及することによって本明細書に援用される。BTKキナー
ゼ阻害剤の特定の例は以下の表に開示する。
【0038】
キナーゼ阻害剤は、Syk(チロシンプロテインキナーゼSYK、また、脾臓チロシン
キナーゼ、p72-Syk;UniprotKB-P43405としても知られる)を標
的とし得る。Sykキナーゼ阻害剤は周知である。例えば、そうしたSykキナーゼ阻害
剤を公開している記事が掲載されており(Bartaula-Brevik et al
,Expert Opin Investig Drugs.2018 Apr;27(
4):377-387;Liu and Mamorska-Dyga,J Hemat
ol Oncol.2017;10: 145,Geahlen,Trends Pha
rmacol Sci.2014 Aug;35(8):414-22;Norman
Expert Opin Ther Pat.2014 May;24(5):573-
95)、これらの公開は言及することによって本明細書に援用される。例えば、網羅せず
に、国際公開第19034153号、国際公開第18053189号、国際公開第180
53190号、国際公開第18108083号、国際公開第18228475号、国際公
開第17046302号、国際公開第16010809号、国際公開第15138273
号、国際公開第15140051号、国際公開第15140054号、国際公開第151
40055号、国際公開第15144614号、国際公開第15017610号、国際公
開第15061369号、国際公開第15094997号、国際公開第15095444
号、国際公開第15095445号、国際公開第15100217号、国際公開第140
51654号、国際公開第14048065号、国際公開第14060371号、国際公
開第14064134号、国際公開第14074422号、国際公開第14086032
号、国際公開第14093191号、国際公開第14100314号、国際公開第141
76210号、国際公開第14176216号、国際公開第14023385号、国際公
開第14027300号、国際公開第14031438号、国際公開第14029732
号、国際公開第14045029号、国際公開第13192125号、国際公開第131
92128号、国際公開第13192098号、国際公開第13192088号、国際公
開第13047813号、国際公開第13052391号、国際公開第13052394
号、国際公開第13052393号、国際公開第13064445号、国際公開第130
99041号、国際公開第13104573号、国際公開第13104575号、国際公
開第13109882号、国際公開第13124026号、国際公開第13126132
号、国際公開第13124025号、国際公開第12002577号、国際公開第120
25187号、国際公開第12025186号、国際公開第12061418号、国際公
開第12123311号、国際公開第12123312号、国際公開第12130780
号、国際公開第12151137号、国際公開第12154519号、国際公開第121
54520号、国際公開第12154518号、国際公開第12167423号、国際公
開第12167733号、国際公開第11086085号、国際公開第11014795
号、国際公開第11014515号、国際公開第11075515号、国際公開第110
75560号、国際公開第11079051号、国際公開第11092128号、国際公
開第11112995号、国際公開第11117160号、国際公開第11134971
号、国際公開第11144584号、国際公開第11144585号、国際公開第100
68257号、国際公開第10068258号、国際公開第10097248号、国際公
開第10147898号、国際公開第09131687号、国際公開第09136995
号、国際公開第09145856号、国際公開第09031011号、国際公開第080
33798号、国際公開第07129226号、国際公開第07042298号、国際公
開第07042299号、国際公開第07028445号、国際公開第07009681
号、国際公開第07009681号、国際公開第07085540号、国際公開第060
93247号、国際公開第05033316号、国際公開第05026158号、国際公
開第03063794号、国際公開第03057695号、国際公開第0183485号
、国際公開第0147922号、国際公開第0109134号、国際公開第007511
3号などの特許出願においてもSykキナーゼ阻害剤を公開しており、これらの公開は言
及することによって本明細書に援用される。Sykキナーゼ阻害剤の特定の例は以下の表
に開示する。
【0039】
極めて特定の態様において、キナーゼ阻害剤は、以下の表において選択することができ
る。
【表1】
【0040】
一部の実施形態において、キナーゼ阻害剤はEGFR阻害剤である。例えば、これは、
ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニ
ブ、ネラチニブ、ダコミチニブ、ブリグチニブ、カネルチニブ、ナコチニブ、ナザルチニ
ブ、ペリチニブ、ロシレチニブ、及びイコチニブからなる群より選択することができる。
【0041】
一部の実施形態において、対象は、MAPK経路の活性増加を示すがん(すなわち「M
APK経路の活性化に関連するがん」)に罹患している。本明細書において使用するよう
に、発現又は活性の増加は、参照発現レベル又は参照活性レベルに対して、少なくとも1
0%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少
なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%以上である発現レベル又は
活性レベルとして理解される。MAPK経路における所定の成分の発現レベルが増加する
かどうかを判定する方法は、当該技術分野において周知であり、対応する成分のmRNA
レベルの判定に基づく方法(例えば、ノーザンブロット、及びRT-PCRなど)、及び
対応する成分のタンパク質レベルの判定に基づく方法(例えば、ELISA、ウエスタン
ブロットなど)を含む。MAPK経路における1つ以上の成分の活性が増加するかどうか
を判定する方法は、様々な成分の活性の判定に基づき、当業者に広く知られている。MA
PK経路の活性を判定する適切な方法は、例えば、リン酸化ERK(MAPK)タンパク
質の検出及びリン酸化ERKのERKに対する比率を含む。
【0042】
一部の実施形態において、対象は、MAPK経路に関与するタンパク質における少なく
とも1つの突然変異の存在によって特徴づけられるがんに罹患する。典型的に、上述のが
んは、チロシンキナーゼ受容体(例えばFGFR1、FGFR2、FGFR3、EGFR
、HER2、IGF-1R、cMETなど)、BRAF、RAS、CRAF、CCND1
、CDK4、MAP2K1、MAP2K2、NRAS、KRAS、HRAS、PTEN、
PIK3CA、及びP16における少なくとも1つの突然変異によって特徴づけられる。
【0043】
一部の実施形態において、対象はEGFR突然変異がんに罹患している。本明細書にお
いて使用するように、「EGFR」という用語は当該技術分野におけるその一般的な意味
を有し、上皮増殖因子受容体を指す。EGFRは、細胞外タンパク質リガンドの上皮増殖
因子ファミリー(EGFファミリー)メンバーの受容体である周知の膜貫通タンパク質で
ある。上皮増殖因子受容体は、近縁な関係にある4つの受容体型チロシンキナーゼ、EG
FR(ErbB-1)、HER2/neu(ErbB-2)、Her3(ErbB-3)
、及びHer4(ErbB-4)のサブファミリーを含むErbBファミリーの受容体の
メンバーである。本明細書において使用するように、「EGFR突然変異がん」という表
現は、がん細胞がEGFRにおける活性化突然変異を含むがんを指す。EGFRにおける
数多くの突然変異が知られており、L858R、T790M、及びC797Sを典型的に
含む。
【0044】
一部の実施形態において、対象はALK突然変異がんに罹患している。本明細書におい
て使用するように、「ALK」という用語は当該技術分野におけるその一般的な意味を有
し、細胞増殖に関与する未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)を指す。ALK遺伝子及びタ
ンパク質の突然変異した(変化した)形態は、神経芽細胞腫、非小細胞肺がん、及び未分
化大細胞リンパ腫を含むいくつかの種類のがんにおいて見受けられる。これらの変化は、
がん細胞の増殖を増加させ得る。本明細書において使用するように、「ALK突然変異が
ん」という表現は、がん細胞がALKにおける活性化突然変異を含むがんを指す。ALK
における数多くの突然変異が知られている。ALK突然変異は周知であり、再編成(AL
K-R)、増幅(ALK-A)、及び点突然変異の3つの種類のALK突然変異が存在す
る。C1156Y、L1196M、G1269A、F1174L、1151Tins、L
1152R、S1206Y、I1171T、G1202、D1203N、及びV1180
Lを含む、薬剤抵抗性を与える複数の点突然変異が同定されている。
【0045】
一部の実施形態において、対象はRAS突然変異がんに罹患している。本明細書におい
て使用するように、「RAS」という用語はRASファミリーのタンパク質の任意のメン
バー、又はその突然変異体に相当する。Rasファミリータンパク質は、HRAS、KR
AS、及びNRAS、並びにDIRAS1;DIRAS2;DIRAS3;ERAS;G
EM;MRAS;NKIRAS1;NKIRAS2;NRAS;RALA;RALB;R
AP1A;RAP1B;RAP2A;RAP2B;RAP2C;RASD1;RASD2
;RASL10A;RASL10B;RASL11A;RASL11B;RASL12;
REM1;REM2;RERG;RERGL;RRAD;RRAS;RRAS2というこ
のサブファミリーの他のメンバーも含むが、これらに限定されない(Wennerber
g et al.,The Ras superfamily at a glance
,J. Cell.Sci.,2005,118(Pt 5),843-846)。した
がって、「突然変異RASがん」という表現は、がん細胞がRasタンパク質における活
性化突然変異を含むがんを指す。特に、対象はNRAS突然変異がんに罹患している。N
RASにおける数多くの突然変異が知られており、Q61R、Q61K、Q61H、Q6
1L、Q61N、Q61E、Q61P、A146T、A146P、又はA146Vを典型
的に含む。
【0046】
一部の実施形態において、対象はRAF突然変異がんに罹患している。本明細書におい
て使用するように、「RAF」という用語はRafファミリーのタンパク質の任意のメン
バー、又はその突然変異体に相当する。RAFファミリータンパク質は、A-RAF、B
-RAF、及びC-RAFを含むが、これらに限定されない。したがって、「突然変異R
AFがん」という表現は、がん細胞がRafタンパク質における活性化突然変異を含むが
んを指す。特に、対象はBRAF突然変異がんに罹患している。BRAFにおける数多く
の突然変異が知られている。特に、V600E突然変異が知られている。見つかっている
他の変異は、R461I、I462S、G463E、G463V、G465A、G465
E、G465V、G468A、G468E、N580S、E585K、D593V、F5
94L、G595R、L596V、T598I、V599D、V599E、V599K、
V599R、V600E、A727Vであり、これらの突然変異の大部分は、Nローブの
グリシンリッチPループ並びに活性化セグメント及び隣接領域の2つの領域にまとまって
生じる。当該技術分野で知られるように、複数のPCR及び/又はシーケンシングに基づ
く方法が、MAPK経路における突然変異の検出に使用されることが知られており、Br
ose他、Cancer Research 62:6997-7000(2002)、
Solit他、Cancer Research 70(14):5901-5911(
1010)、Xu他、Cancer research 63:4561-4567(2
003)、及び米国特許第7,745,128号明細書を含むが、これらに限定されない
複数の研究記事及び米国特許、並びに複数の市販のキット(Dxs Diagnosti
c Innovations、Applied Biosystems、及びQuest
diagnostics参照)に示されている。
【0047】
また、以下を含むがこれらに限定されない種々のがんも、本発明の範囲に包含される。
癌腫、例えば、膀胱癌(進行性及び転移性膀胱がんを含む)、乳癌、結腸癌(結腸直腸が
んを含む)、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小細胞肺がん及び小細胞肺がん及び肺腺癌を含む)
、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、泌尿生殖器癌、リンパ系がん、直腸癌、喉頭癌、膵臓癌(
膵外分泌癌を含む)、食道癌、胃癌、胆嚢癌、子宮頸癌、甲状腺癌、及び皮膚癌(扁平上
皮癌を含む);リンパ球系列の造血器腫瘍、例えば、白血病、急性リンパ球性白血病、急
性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫(皮膚T細胞リンパ腫若しくは
末梢性T細胞リンパ腫を含む)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリーセル
リンパ腫、組織球性リンパ腫、及びバーキットリンパ腫;骨髄細胞系列の造血器腫瘍、例
えば、急性及び慢性の骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、及び前骨髄球性
白血病;中枢及び末梢神経系の腫瘍、例えば、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、及
びシュワン細胞腫;間葉起源の腫瘍、例えば、線維肉腫、横紋筋肉腫、及び骨肉腫;他の
腫瘍、例えば、黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、セミノーマ、甲状腺濾胞がん、及
び奇形癌;黒色腫、切除不能なステージIII又はIVの悪性黒色腫、扁平上皮細胞癌、
小細胞肺がん、非小細胞肺がん、神経膠腫、消化器がん、腎臓がん、卵巣がん、肝臓がん
、結腸直腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん、前立腺がん、甲状腺がん、神経芽細胞腫、膵
臓がん、多形神経膠芽腫、子宮頸がん、胃がん、膀胱がん、肝細胞癌、乳がん、結腸癌、
及び頭頸部がん、網膜芽腫、胃がん、胚細胞腫瘍、骨がん、骨腫瘍、骨の成人悪性線維性
組織球腫;骨の小児悪性線維性組織球腫、肉腫、小児肉腫;骨髄異形成症候群;神経芽細
胞腫;精巣性胚細胞腫瘍、眼球内黒色腫、骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性疾
患、滑膜肉腫。
【0048】
一部の実施形態において、がんは固形腫瘍である。例えば、がんは、肉腫及び骨肉腫、
例えば、カポジ肉腫、AIDS関連カポジ肉腫、黒色腫、特にブドウ膜黒色腫、並びに頭
頸部、腎臓、卵巣、膵臓、前立腺、甲状腺、肺、食道、乳房、特にトリプルネガティブ乳
がん(TNBC)、膀胱、結腸直腸、肝臓及び胆管、子宮、虫垂、及び子宮頸部のがん、
精巣がん、消化器がん、並びに子宮内膜及び腹膜のがんであり得る。好ましくは、がんは
、肉腫、黒色腫、特に、ブドウ膜黒色腫、並びに頭頸部、腎臓、卵巣、膵臓、前立腺、甲
状腺、肺、食道、乳房、特に(TNBC)、膀胱、結腸直腸、肝臓、子宮頸部のがん、並
びに子宮内膜及び腹膜のがんであり得る。
【0049】
一部の実施形態において、がんは、白血病、リンパ腫、肉腫、黒色腫、並びに頭頸部、
腎臓、卵巣、膵臓、前立腺、甲状腺、肺、食道、乳房、膀胱、脳、結腸直腸、肝臓、及び
子宮頸部のがんからなる群より選択することができる。
【0050】
一部の実施形態において、がんは、肺がん、特に非小細胞肺がん、白血病、特に急性骨
髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、リンパ腫、特に末梢性T細胞リンパ腫、慢性骨髄性
白血病、頭頸部の扁平上皮癌、BRAF突然変異を伴う進行性黒色腫、結腸直腸がん、消
化管間質腫瘍、乳がん、特にHER2+乳がん、甲状腺がん、特に進行性甲状腺髄様がん
、腎臓がん、特に腎細胞癌、前立腺がん、神経膠腫、膵臓がん、特に膵神経内分泌がん、
多発性骨髄腫、及び肝臓がん、特に肝細胞癌からなる群より選択することができる。
【0051】
特に、対象は肺がんに罹患している。本明細書において使用するように、「肺がん」と
いう用語は当該技術分野におけるその一般的な意味を有し、一部の場合に転移につながる
制御が利かなくなった細胞増殖に関与する肺の組織における疾患を指す。大多数の原発性
肺がんは、上皮細胞に由来する肺の癌腫である。肺がんの主な種類は、小細胞肺癌(SC
LC)及び非小細胞肺癌(NSCLC)である。特定の実施形態において、対象は非小細
胞肺がんに罹患している。本明細書において使用するように、「非小細胞肺がん」という
用語は、非小細胞肺癌(NSCLC)としても知られ、小細胞肺癌(SCLC)以外の上
皮性肺がんを指す。腺癌、肺扁平上皮癌、及び大細胞肺癌の3つの主なサブタイプが存在
する。他のあまり一般的でない種類の非小細胞肺がんは、多形性、カルチノイド腫瘍、唾
液腺癌、及び未分類の癌腫を含む。腺癌は、肺がんの約40%を占め、喫煙したことのな
いひとにおいて最も一般的な種類の肺がんである。扁平上皮癌は、肺がんの約25%を占
めている。肺の扁平上皮癌は、女性よりも男性においてより一般的であり、他の種類の肺
癌よりも、タバコの喫煙歴にさらにより大きく相関する。肺の扁平上皮癌には少なくとも
4つのバリアント(乳頭型、小細胞型、明細胞型、及び類基底型)が存在する。大細胞肺
癌は、肺におけるがん化上皮細胞に由来する、不均一な悪性新生物の群である。大細胞肺
癌は、小細胞癌、扁平上皮癌、又は腺癌の光学顕微鏡的特徴を有しない癌腫である。NS
CLCは、腫瘍-リンパ節-転移(TNM)ステージ分類システムを使用して分類するこ
とができる。Spira J & Ettinger,D.S.Multidiscip
linary management of lung cancer,N Engl
J Med,350:382-(2004)(以下Spira);Greene F L
,Page D L,Fleming I D,Fritz A G,Balch C
M,Haller D G,他(eds).AJCC Cancer Staging
Manual.6th edition.New York: Springer-Ve
rlag,2002:167-77(以下Greene);Sobin L H,Wit
tekind C H (eds).International Union Aga
inst Cancer.TNM classification of malign
ant tumours.6th edition.New York:Wiley-L
iss (2002)(以下Sobin)が参照される。したがって、一部の実施形態に
おいて、肺がんは、前述のステージのいずれか(例えば、潜在性、ステージ0、ステージ
IA、ステージIB、ステージIIA、ステージIIB、ステージIIIA、ステージI
IIB、又はステージIV)に層別化することができる。より具体的には、対象は、上述
のようなEGFR突然変異NSCLC又はALK突然変異NSCLCに罹患している。
【0052】
特に、対象は、黒色腫、特に転移性黒色腫に罹患している。本明細書において使用する
ように、「黒色腫」は、皮膚及び他の器官のメラノサイト系から生じる腫瘍の増殖によっ
て特徴づけられる病態を指す。大部分のメラノサイトは皮膚に生じるが、髄膜、消化管、
リンパ節、及び眼においても見受けられる。黒色腫は、皮膚に発生すると、皮膚黒色腫と
呼ばれる。また、黒色腫は眼にも発生し得、眼球又は眼球内黒色腫と呼ばれる。黒色腫は
、髄膜、消化管、リンパ節、又はメラノサイトが見受けられる他の領域にはまれに発生す
る。40~60%の黒色腫は、活性化突然変異BRAFを保有する。
【0053】
一部の実施形態において、キナーゼ阻害剤がEGFR阻害剤である場合、がんは、好ま
しくは、肺がん、特に非小細胞肺がん、膵臓がん、乳がん、特に早期乳がん、甲状腺がん
、特に甲状腺髄様がん、結腸直腸がん、特に転移性又は進行性結腸直腸がん、頭頸部の扁
平上皮癌、及び神経膠腫からなる群より選択される。キナーゼ阻害剤がALK阻害剤であ
る場合、がんは、好ましくは、非小細胞肺がんである。キナーゼ阻害剤がB-Raf阻害
剤である場合、がんは、好ましくは、黒色腫、肺がん、結腸直腸がん、及び消化管間質が
んからなる群より選択される。キナーゼ阻害剤がMEK阻害剤である場合、がんは、好ま
しくは、黒色腫又は肺がんである。キナーゼ阻害剤がFGFR阻害剤である場合、がんは
、好ましくは、甲状腺癌、結腸直腸がん、及び消化管間質がんからなる群より選択される
。キナーゼ阻害剤がFLT3阻害剤である場合、がんは、好ましくは、腎臓がん、膵臓が
ん、特に膵神経内分泌腫瘍、消化管間質がん、多発性骨髄腫、前立腺がん、白血病、例え
ば急性骨髄性白血病及び慢性リンパ球性白血病、並びにリンパ腫からなる群より選択され
る。キナーゼ阻害剤がJAK阻害剤である場合、がんは、好ましくは、リンパ腫、特に末
梢性T細胞リンパ腫、骨髄増殖性新生物、多発性骨髄腫、膵臓がん、及び前立腺がんから
なる群より選択される。キナーゼ阻害剤がPDGFR阻害剤である場合、がんは、好まし
くは、白血病、例えばフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病、消化管間質がん、
骨髄異形成及び骨髄増殖症候群、結腸直腸がん、腎臓がん、膵臓がん、特に膵神経内分泌
腫瘍、肝臓がん、乳がん、並びに甲状腺癌からなる群より選択される。キナーゼ阻害剤が
RET阻害剤である場合、がんは、好ましくは、腎臓がん、又は甲状腺がん、例えば甲状
腺髄様がんである。キナーゼ阻害剤がAXL阻害剤である場合、がんは、好ましくは、白
血病、特に急性白血病、例えば急性骨髄性白血病又はフィラデルフィア染色体陽性慢性骨
髄性白血病、腎臓がん、及び肺がん、例えばNSCLCからなる群より選択される。キナ
ーゼ阻害剤がTrk阻害剤である場合、がんは、好ましくは、転移性固形がんである。キ
ナーゼ阻害剤がROS1阻害剤である場合、がんは、好ましくは、肺がん、例えばNSC
LC、及び腎臓がんからなる群より選択される。キナーゼ阻害剤がBTK阻害剤である場
合、がんは、好ましくは、B細胞がん、例えば慢性リンパ球性白血病(CLL)、及び非
ホジキンリンパ腫からなる群より選択される。キナーゼ阻害剤がSyk阻害剤である場合
、がんは、好ましくは、リンパ腫、特に末梢性T細胞リンパ腫である。
【0054】
本明細書において使用するように、「ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤」という
用語は、ファルネシル残基が基質に酵素的に触媒移動することを抑止する分子として、非
常に幅広い意味で理解することができる。本明細書において、ファルネシル化される基質
は、典型的に、長さが少なくとも4つのアミノ酸であるポリペプチドである。酵素的に触
媒されてファルネシル化されるポリペプチドは、好ましくは、CAAX配列モチーフを含
み、ここで、Cはシステイン部分、Aは脂肪族アミノ酸部分、及びXはファルネシル化を
触媒する酵素によって特定される他のアミノ酸部分に相当する。本明細書において使用す
るように、ファルネシル残基の酵素的な触媒移動は、ファルネシル残基が基質、好ましく
はポリペプチドに移動する生化学的反応を表す。ファルネシル残基の基質への移動を触媒
する酵素は、ファルネシルトランスフェラーゼと呼ばれる。この場合、典型的に、活性化
ファルネソルを移動させる。活性化ファルネソルは、好ましくはファルネシル二リン酸(
ファルネシルピロリン酸、FPP)である。典型的に、基質に相当するポリペプチドは、
システイン部分においてファルネシル化される。したがって、チオールエステルを生じる
。「チオールエステル」及び「チオエステル」という用語は交換可能であり、R1-CO
-S-R2基を表し、ここで、チオールエステルはまた、エステルR1-COH=S-R
2の互変異性形態を含むことができる。好ましくは、ファルネシル化され得るシステイン
部分は、タンパク質のC末端に近接して局在する。特に好ましくは、CAAX配列モチー
フのシステイン部分はファルネシル化され、ここで、Cはシステイン部分、Aは脂肪族ア
ミノ酸部分、及びXはファルネシル化を触媒する酵素によって特定される他のアミノ酸部
分に相当する。
【0055】
ファルネシル化を触媒する酵素は、好ましくは、ファルネシルトランスフェラーゼ(F
Tase)であり、これは、酵素分類番号EC2.5.1.X、より好ましくはEC2.
5.1.29、EC2.5.1.58、又はEC2.5.1.59、さらにより好ましく
はEC2.5.1.29又はEC2.5.1.58を有するプレニルトランスフェラーゼ
に相当する。酵素は、典型的に、1つ又は複数の亜鉛イオン(Zn2+)を結合する。ま
た、ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼが、本発明の文脈において、ファルネシルトラ
ンスフェラーゼとして有効であり得、これは、この酵素も特定のポリペプチドをファルネ
シル化できるためである。
【0056】
酵素的に触媒されるファルネシル化を減速又は抑止できるすべての物質又はすべての分
子成分が、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤となり得る。好ましくは、ファルネシ
ル化速度を下げることは、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤を添加しない同様の反
応環境と比較して、作用部位において適切な濃度のファルネシルトランスフェラーゼ阻害
剤を添加することによって、10%を超えて、より好ましくは25%を超えて、さらによ
り好ましくは50%を超えて、さらにより好ましくは75%を超えて、さらにより好まし
くは80%を超えて、さらにより好ましくは90%を超えて、及び最も好ましくは95%
を超えて減速することとして理解することができる。
【0057】
より重要な点として、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、RhoBのファルネ
シル化を阻害する。本明細書において使用するように、「RhoB」という用語は当該技
術分野におけるその一般的な意味を有し、ヒトにおいてRHOB遺伝子によってコードさ
れるタンパク質である、rasホモログ遺伝子ファミリーのメンバーBを指す。
【0058】
一部の実施形態において、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、例えば、ファル
ネソル、ファルネシルリン酸、ファルネシル二リン酸、又は基質ペプチドの類似体などの
代謝拮抗剤とすることができる。また、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、ペプ
チド基質又はファルネシル二リン酸の結合ポケットに結合することができる異なる構造を
有する分子とすることができる。あるいは、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、
アロステリック阻害剤とすることができる。
【0059】
一部の実施形態において、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は任意の分子構造を
有することができる。例えば、これは、ペプチド性物質、ペプチド模倣剤、又は非ペプチ
ド性低分子物質とすることができる。ペプチド性物質は、大部分がペプチドからなる。し
かしながら、ペプチドは、他の分子構造、例えば、生物学的に適合する有機ポリマー(例
えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンイミン(PEI)、ヒドロキシ
プロピルメタクリルアミド(HPMA)、脂質、アルキル部分、又は他のポリペプチドに
コンジュゲートすることができる。ペプチド模倣剤は、分子構造がペプチドを模倣してい
る物質である。ペプチド模倣剤は、例えば、ベータアミノ酸(1アミノ酸)、ガンマアミ
ノ酸(γアミノ酸)、又はD-アミノ酸を含むことができる、又は、これらから、若しく
はこれらの複数のものの組合せから作製することができる。また、ペプチド模倣剤は、他
の分子構造、例えば、生物学的に適合する有機ポリマーにコンジュゲートすることができ
る。また、ペプチド模倣剤は、レトロインバース型ペプチドとすることができる。低分子
物質は、1500Da未満、好ましくは1000Da未満、さらにより好ましくは500
Da未満の分子量を有する分子である。また、低分子物質は、他の分子構造、例えば、生
物学的に適合する有機ポリマーにコンジュゲートすることができる。
【0060】
一部の実施形態において、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、R11577(
Zarnestra、チピファルニブ(Tipifarnib))、SCH66336(
ロナファルニブ(Lonafamib))、FTI-277、GGTI-298、BMS
-214664、L-778、及びL-123からなる群より選択される。
【0061】
一部の実施形態において、本発明のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤はチピファ
ルニブである。本明細書において使用するように、「チピファルニブ」という用語は、Z
arnestra(商標)(J&JPRD)という商品名でも知られており、以下に示す
構造を有する、FTase阻害剤の(R)-6-[アミノ(4-クロロフェニル)(l-
メチル-1H-イミダゾール-5-イル)メチル]-4-(3-クロロフェニル)-l-
メチル-2(lH)-キノリノン(Rl15777としても特定される)を指す。
【化1】
【0062】
本明細書において使用するように、「組合せ」という用語は、第1の薬剤を、さらなる
(第2、第3などの)薬剤と共に提供するすべての投与形態を指すために用いられる。薬
剤は、共に、別個に、又は連続して、及び任意の順で、投与することができる。組合せで
投与される薬剤は、薬剤を送達する対象において生物学的活性を有する。したがって、本
発明の文脈内において、組合せは少なくとも2つの異なる薬剤を含み、一方の薬剤が少な
くともキナーゼ阻害剤であり、他方の薬剤がファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤であ
る。一部の場合において、本発明の組合せは、がん細胞、特にDTCの合成致死をもたら
す。
【0063】
「治療有効量」とは、所望の治療結果を得るため、必要な投与量及び期間において有効
な量を指す。薬剤の治療有効量は、個人の病状、年齢、性別、及び体重、薬剤が個人にお
いて所望の応答を誘発できることのなどの要因に応じて変わり得る。また、治療有効量は
、抗体又は抗体部分の任意の毒性又は有害な作用を治療的に有益な作用が上回るものであ
る。薬剤の効果的な投与量及び投与レジメンは、処置する疾患又は状態によって決まり、
当業者が決定することができる。当業者である医師は、必要とされる医薬組成物の有効量
を容易に決定して処方することができる。例えば、医師は、所望の治療効果を達成するた
めに必要とされるものよりも低いレベルで、医薬組成物中に使用する薬剤の用量を開始し
、所望の効果が達成されるまで投与量を次第に増加させることができる。一般に、本発明
の組成物の適切な用量は、特定の投与レジメンにより治療効果を生じるのに有効な最も低
い用量である化合物の量であり得る。そうした有効用量は一般に、上述の要因によって決
まり得る。例えば、治療用途のための治療有効量は、疾患の進行を安定化できるというに
よって判定することができる。治療有効量の治療用化合物は、対象における腫瘍サイズを
小さくする又はさもなくば症状を改善することができる。当業者は、そうした量を、対象
のサイズ、対象の症状の重篤度、及び選択した特定の組成物又は投与経路などの要因に基
づいて決定することができ得る。薬剤の治療有効量の例示的で非限定的な範囲は、約0.
1~100mg/kg、例えば約0.1~50mg/kg、例えば約0.1~20mg/
kg、例えば約0.1~10mg/kg、例えば約0.5、例えば約0.3、約1、約3
mg/kg、約5mg/kg、又は約8mg/kgである。本発明の抗体の治療有効量の
例示的で非限定的な範囲は、0.02~100mg/kg、例えば約0.02~30mg
/kg、例えば約0.05~10mg/kg、又は0.1~3mg/kg、例えば約0.
5~2mg/kgである。投与は、例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、又は皮下でとする
ことができ、例えば標的部位の近位に投与することができる。上述の処置方法及び用途に
おける投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば治療応答)をもたらすように調整され
る。例えば、単回のボーラスを投与してもよく、数回の分割用量を経時で投与してもよく
、又は、治療状況の緊急事態が示されれば、用量を比例して減らす若しくは増加させても
よい。一部の実施形態において、処置効力は、治療時に、例えば所定の時点でモニタリン
グされる。非限定的な例として、本発明における処置は、処置開始後1、2、3、4、5
、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、2
0、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33
、34、35、36、37、38、39又は40日目の少なくとも1日に、又はあるいは
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、1
7、18、19又は20週目の少なくとも1週に、又はそれを任意に組み合わせて、1日
あたり約0.1~100mg/kg、例えば、0.2、0.5、0.9、1.0、1.1
、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、1
6、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29
、30、40、45、50、60、70、80、90又は100mg/kgの量の、本発
明の薬剤の1日用量として、単回用量又は24、12、8、6、4、若しくは2時間毎に
分割用量を使用して、又はそれを任意に組み合わせて使用して提供することができる。
【0064】
典型的に、本発明の薬剤は、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の形態で対象に
投与される。この組成物に使用することができる薬学的に許容される担体は、イオン交換
体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清
アルブミン、緩衝物質、例えばホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウ
ム、植物性飽和脂肪酸の部分的なグリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えば硫酸プロ
タミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロ
イド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリ
エチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワッ
クス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコー
ル、及び羊毛脂を含むが、これらに限定されない。対象への投与における使用では、組成
物は、対象への投与のために製剤化し得る。本発明の組成物は、経口、非経口、吸入スプ
レー、経局所、経直腸、経鼻、経口腔、経膣で、又は留置リザーバーを介して投与するこ
とができる。本明細書で使用されるものは、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、
胸骨内、髄腔内、肝内、病変内、及び頭蓋内の注射又は注入技術を含む。本発明の組成物
の滅菌注射剤形は、水性又は油性懸濁液とすることができる。これらの懸濁液は、適切な
分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、当該技術分野において既知の技術に従って製
剤化することができる。また、滅菌注射調製物は、例えば、1,3-ブタンジオール中の
溶液として、非毒性の非経口に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌の注射可能な溶液又は
懸濁液とすることができる。使用できる許容可能なビヒクル及び溶媒のなかには、水、リ
ンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の固定油は、従来より、溶
媒又は懸濁媒体として使用されている。この目的で、合成モノグリセリド又はジグリセリ
ドを含む任意の刺激の少ない固定油を使用することができる。脂肪酸、例えばオレイン酸
及びそのグリセリド誘導体は、オリーブ油又はヒマシ油などの天然の薬学的に許容される
油、特にそれらのポリオキシエチル化タイプと同様に、注射剤の調製に有用である。また
、これらの油溶液又は懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤、例えばエマルション
及び懸濁液を含む薬学的に許容される投与剤形の製剤に一般的に使用されるカルボキシメ
チルセルロース若しくは同様の分散剤を含有することができる。また、Tween、Sp
anなどの他の一般的に使用される界面活性剤、及び薬学的に許容される固体、液体、又
は他の投与剤形の製造に一般的に使用される他の乳化剤又は生物学的利用能増強剤も、製
剤の目的で使用することができる。本発明の組成物は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液又
は溶液を含むが、これらに限定されない、任意の経口に許容される投与剤形で経口投与す
ることができる。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体としては、ラク
トース及びコーンスターチを含む。また、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムが、
典型的に添加される。カプセル剤形での経口投与では、有用な希釈剤としては、例えばラ
クトースを含む。経口使用に水性懸濁液を必要とするとき、活性成分は乳化剤及び懸濁剤
と組み合わされる。望ましい場合、特定の甘味料、香味料、又は着色剤を添加することも
できる。あるいは、本発明の組成物は、直腸投与のための坐剤の剤形で投与することがで
きる。これらは、薬剤を、室温では固体であるが直腸温では液体であり、したがって直腸
で融解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって、調製すること
ができる。そうした材料としては、カカオバター、ミツロウ、及びポリエチレングリコー
ルを含む。また、本発明の組成物は、特に、眼、皮膚、又は下部腸管の疾患を含む、局所
の適用によって容易に到達可能である領域又は器官を処置の標的に含むとき、経局所で投
与することができる。適切な局所用製剤は、これらの領域又は器官のそれぞれに対して容
易に調製される。局所の適用では、組成物は、1つ以上の担体に懸濁又は溶解した活性成
分を含有する適切な軟膏剤に製剤化することができる。本発明の化合物の局所投与のため
の担体は、鉱物油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエ
チレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水を含むが、これらに限定され
ない。あるいは、組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体に懸濁又は溶解した活性
成分を含有する適切なローション剤又はクリーム剤に製剤化することができる。適切な担
体は、鉱物油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルズワ
ックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び
水を含むが、これらに限定されない。下部腸管のための局所の適用は、直腸坐剤(上述を
参照)又は適切な浣腸剤で行うことができる。また、貼付剤も使用することができる。ま
た、本発明の組成物は、鼻エアロゾル又は吸入によって投与することができる。そうした
組成物は、医薬製剤の分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコール若
しくは他の適切な保存剤、生物学的利用能を増強させるための吸収促進剤、フルオロカー
ボン、及び/又は他の従来の可溶化剤若しくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液と
して調製することができる。例えば、この発明の医薬組成物に存在する抗体は、100m
g(10mL)又は500mg(50mL)の単回使用バイアルのいずれかにおいて10
mg/mLの濃度で提供することができる。製品は、9.0mg/mLの塩化ナトリウム
、7.35mg/mLのクエン酸ナトリウムニ水和物、0.7mg/mLのポリソルベー
ト80、及び滅菌注射用水中において静脈内投与用に製剤化する。pHは6.5に調整す
る。この発明の医薬組成物における抗体の例示の適切な投与量範囲は、約1mg/m2~
500mg/m2とすることができる。しかしながら、これらの計画は例示であり、臨床
試験において決定する必要のある医薬組成物における特定の抗体の親和性及び許容性を考
慮して、最適な計画及びレジメンを適応させることができるということが理解される。注
射(例えば筋肉内、静脈内)のための本発明の医薬組成物は、滅菌バッファー水(例えば
筋肉内では1ml)、約1ng~約100mg、例えば約50ng~約30mg以上、好
ましくは約5mg~約25mgの本発明の阻害剤を含有するように調製することができる
。
【0065】
本発明のさらなる目的は、特にがんの処置に使用するための、ファルネシルトランスフ
ェラーゼ阻害剤とキナーゼ阻害剤とを含む医薬組成物又はキット(パーツキット)に関す
る。
【0066】
「キット」、「製品」、又は「組合せ製剤」という用語は、本明細書において使用する
ように、上述で規定するような組合せのパートナーを、個別に、又は特定の量の組合せパ
ートナーを含む様々な既定の組合せの使用によって、すなわち共に、又は様々な時点で服
用することできるという意味で、特に「パーツキット」を規定する。そして、パーツキッ
トのパーツは、例えば、共に、又は、時間をずらして、すなわち、パーツキットの任意の
パートにつき異なる時点且つ同じ又は異なる時間間隔で、投与することができる。組合せ
製剤で投与する組合せパートナーの総量の比は、変わり得る。組合せパートナーは、同じ
経路又は異なる経路で投与することができる。
【0067】
本発明を以下の図面及び実施例によってさらに記載する。しかしながら、これらの実施
例及び図面は、本発明の範囲を限定するとしていかようにも解釈されるべきでない。
【実施例0068】
In vitro
RAS関連GTPase RHOBが、EGFR-TKIにより処置したEGFR突然
変異肺がん細胞におけるAKT経路を介する細胞死の抑止において中心的役割を有するこ
とを近年報告した18。高RHOB腫瘍レベルにより、EGFR-TKIで処置したEG
FR活性化突然変異を有するNSCLC患者の早期の再発を予測することを見出した。ま
た、これは、BRAF阻害剤のベムラフェニブで処置したBRAF突然変異黒色腫におい
ても該当し19、RHOB経路が、DTC状態の獲得を誘導し得る受容体型チロシンキナ
ーゼ(RTK)-ERK経路阻害と共通する適応機序であり得ることを示唆した。また、
治療誘導性老化(TIS)の既知のプロセスにおけるいくつかの特徴を共有し20、いく
つかの特定の特徴も示す、EGFR-TKI処置後のIn vitroにおける薬剤耐性
に関連した新しい表現型を同定した(データを示さず)。したがって、この表現型を「老
化様」と呼ぶことにする。これらの観察結果は、十分に記載されているPC9、また、す
べてがEGFR-TKIに初期の感受性を示すが、EGFR-TKIに対してDTCを生
じることができることについては未だ特性評価されていないHCC827、HCC400
6、H3255、及びHCC2935を含む、(バルク集団における潜在的な抵抗性サブ
クローンが存在しないように前もってクローニングした)EGFR突然変異肺細胞株群に
おけるDTC状態の広範な表現型特性評価から得られる。驚いたことに、これらの細胞株
すべてが、EGFR-TKI処置(1μMのエルロチニブ又はオシメルチニブ)の数日後
にDTCを生じさせることができたが、細胞分裂速度/細胞停止、又は増殖クローンの発
生動態などの複数の重要なパラメータについて、細胞株間及び細胞株内の高変動性を観察
した。例えば、PC9、HCC827、及びHCC4006は、エルロチニブの処置後に
、増殖抵抗性クローンを生じさせることができたが、HCC2935及びH3225細胞
株におけるエルロチニブ処置後に、抵抗性クローンを観察することはなかった(データを
示さず)。
【0069】
これらの違いにもかかわらず、また、細胞株におけるDTC状態の共通の特徴が、TI
Sプロセスと一致する、主に平坦で拡大した形態である、処置時の細胞形態再編成である
ことを観察した(データを示さず)。これらの形態学的変化をさらに調査し、TKI処置
開始の数日後にアクチンストレスファイバー産生における強力な増加を観察した(データ
を示さず)。アクチン重合化は、GTPaseによって統制される、厳密に調節されたプ
ロセスである。標的治療への抵抗性におけるRHOBの役割に対する知識から、このGT
Paseが、EGFR-TKIに対するストレスファイバー産生の原因となり得るかどう
かを評価した。まず、RHOBタンパク質発現及び活性が、すべての細胞株のDTCにお
いて大きく増加するが、RHOA及びRHOCは強力に阻害されることを観察した(デー
タを示さず)。また、RHOBのsiRNA特異的阻害、及びC3細胞外酵素(tatC
3)を用いるRHO-GTPaseの薬理的阻害が、アクチンストレスファイバーの産生
を強力に低下させるだけでなく、DTC生存を強力に低下させ、アクチン再構築と薬剤耐
性との関連付けを示唆することを見出した(データを示さず)。
【0070】
RHOBには、臨床において適合する特定の阻害剤がないが、その活性は、そのプレニ
ル化状態(ファルネシル化又はゲラニルゲラニル化のいずれか)によって決まり、したが
って、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(FTi)又はゲラニルゲラニルトランス
フェラーゼ阻害剤(GGTi)による標的とすることができる
21~23。ゆえに、複数
のEGFR突然変異細胞株(PC9、HCC827、及びHCC4006)においてエル
ロチニブと組み合わせたFTi又はGGTiの効力をin vitroにおいて測定する
ことを決めた。1μMのGGTI298との組合せは、抵抗性増殖クローンの発生を抑止
しないが(
図1A~
図1C)、FTiのチピファルニブとの組合せは、1μM(
図1A~
図1C)、また、0.1μM(
図1D~
図1F)で使用したとき、すべての薬剤耐性細胞
を効果的に排除し、抵抗性クローンの発生を十分に抑止した。興味深い点として、アレク
チニブで処置したALK転座肺がん細胞(例えばH3122)(
図1G)、又は、ベムラ
フェニブで処置したBRAF突然変異黒色腫細胞(A375)(
図1H)などの他の発癌
モデルにおいて、同様の結果を観察し、チピファルニブでの共処置が、(RTK)-ER
K経路を標的とする他の標的治療を妨害し得ることを示唆した。
【0071】
0.1μMで単独で用いたチピファルニブは、PC9及びHCC827細胞の増殖にお
いてほとんど効果を示さないか、効果がないが(データを示さず)、HCC4006(デ
ータを示さず)、A375、及びH3122においていくらかの細胞増殖抑制効果を示し
、これは、チピファルニブを1μMで用いたとき悪化した(データを示さず)。重要な点
として、チピファルニブ(0.1μm)とエルロチニブ(1μM)との組合せが、数日間
の処置後に残存するDTCがないことによって明らかにされるように完全な細胞死をもた
らした(データを示さず)。興味深い点として、EGFR突然変異を有するNSCLC患
者に対する標準的な第一選択処置として現在用いられる第3世代EGFR-TKIのオシ
メルチニブで、同じ結果を観察した(データを示さず)。
【0072】
全体として、このin vitroのデータは、ファルネシルトランスフェラーゼ(ゲ
ラニルゲラニルトランスフェラーゼではなく)阻害が様々な発癌の場合においてチロシン
キナーゼ阻害剤への抵抗性の発生を抑止することができるということを強く示唆している
。刺激的な点として、近年掲載されたI相の臨床試験は、エルロチニブとチピファルニブ
との組合せが患者において十分に耐容性を示すことを報告しているが24、この研究がE
GFR突然変異NSCLC患者において行われていないので、組合せの効率を示してはい
ない。
【0073】
In vivo
これまでに記載されているEGFRL858R/T790M肺患者由来異種移植モデル
(TP103、Pax Ares’ lab、CNIO Madrid)を、6~8週齢
のNSGマウス(Charles River)に皮下移植し、腫瘍を株化させ、サイズ
(平均300~350mm3)を対応させて、その後、マウスを、ビヒクル(n=3)、
チピファルニブ(n=3)、オシメルチニブ(n=6)、及びオシメルチニブ+チピファ
ルニブ(n=6)のグループに無作為に割り当てた。チピファルニブを、5日/週におい
て1日2回、80mg/Kgで経口強制投与によって投与し、オシメルチニブを、5日/
週において1日1回、5mg/Kgで経口強制投与によって投与した。腫瘍サイズを、腫
瘍の長さ及び幅をノギスで測定することで測定し、腫瘍体積を、体積=0.5236×長
さ×幅2(mm)として計算し,マウスの体重を週に1回量った。GraphPad P
rism(GraphPadソフトウエア)を用いて、PFS及びOSプロットのために
対応のない両側t検定又はマンテル-コックスを行った(
図2A~
図2E)。
【0074】
参考文献
本願において、種々の参考文献によって、本発明が属する技術の現状が記載されている
。これらの参考文献の開示は、本明細書において言及によって本開示に援用される。
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