(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025038381
(43)【公開日】2025-03-19
(54)【発明の名称】シアノイミダゾール系化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 233/90 20060101AFI20250312BHJP
A61K 31/4164 20060101ALI20250312BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20250312BHJP
【FI】
C07D233/90 C
A61K31/4164
A61P31/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144964
(22)【出願日】2023-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000354
【氏名又は名称】石原産業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】谷村 豊史
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 章彦
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086BC38
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZB35
(57)【要約】
【課題】 工業的に好ましく、新規なシアノイミダゾール系化合物の製造方法の製造方法を提供する。
【解決手段】 ハロゲン系溶媒及び金属塩化物の存在下で、式(II)で表される化合物又はその塩と、塩素化剤を反応させることにより、式(I)で表される化合物又はその塩を製造することができる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
で表される化合物又はその塩の製造方法であって、
ハロゲン系溶媒及び金属塩化物の存在下で
式(II):
【化2】
で表される化合物又はその塩と塩素化剤を反応させることを含む、製造方法。
【請求項2】
前記塩素化剤が、塩素、N-クロロスクシンイミド、塩化スルフリル、二塩化硫黄、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、及びトリクロロイソシアヌル酸からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記金属塩化物が、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛、塩化スズ、塩化ランタン、塩化銅、及び塩化ビスマスからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記塩素化剤が、塩素、N-クロロスクシンイミド、塩化スルフリル、二塩化硫黄、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、及びトリクロロイソシアヌル酸からなる群から選択される少なくとも1種であり、前記金属塩化物が塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛、塩化スズ、塩化ランタン、塩化銅、及び塩化ビスマスからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ハロゲン系溶媒が、ハロゲン化鎖式炭化水素系溶媒、及びハロゲン化芳香族系溶媒からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ハロゲン系溶媒が、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、及びo-ジクロロベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の製造方法により製造される、式(I)で表される化合物又はその塩の抗菌剤として使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌剤として有用なシアノイミダゾール系化合物、すなわち下記式(I)で表される化合物又はその塩(以下、単に化合物(I)ともいう)の製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
【0003】
シアノイミダゾール系化合物は、特許文献1及び特許文献2に開示されているように、抗菌活性を有することが知られている。その中で、化合物(I)に含まれる、5-クロロ-4-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル(以下、単に化合物(Ia)ともいう)は優れた抗菌活性を有することが開示されている。
【0004】
化合物(I)の製造方法は、特許文献1及び特許文献2の各製造例6で開示されているように、特許文献3に記載の製造方法を参考にした、化合物(Ia)の製造方法が知られている。具体的には、下記の反応スキームAで示すように、下記式(III)で表されるイミダゾール系化合物(以下、単に化合物(III)ともいう)から脱水還元反応と塩素化反応が同時進行し、化合物(Ia)を製造する。
【0005】
【化2】
なお、前記反応スキームAにおいて、原料である化合物(III)は、特許文献4に記載の製造方法を参考に製造できることが知られている(特許文献1及び特許文献2)。
【0006】
その他の製造方法としては、イミダゾールの2位が無置換であるイミダゾール系化合物から、臭素化工程とシアノ化工程を経て、2-シアノイミダゾール系化合物を製造する方法が知られている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2021/246453号
【特許文献2】国際公開第2021/246455号
【特許文献3】特開平8-225539号
【特許文献4】特開平8-283243号
【特許文献5】特開平3-99065号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、化合物(I)の工業的に好ましく新規な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が鋭意研究した結果、入手が容易かつ工業的規模で製造が可能な原料を使用することで、以下の製造方法で化合物(I)を合成できることを見出した。そして、反応条件をさらに検討することで、本発明を完成することに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0011】
[1]式(I):
【0012】
【化3】
で表される化合物又はその塩の製造方法であって、
ハロゲン系溶媒及び金属塩化物の存在下で
式(II):
【0013】
【化4】
で表される化合物又はその塩(以下、単に化合物(II)ともいう)と塩素化剤を反応させることを含む、製造方法。
【0014】
[2][1]に記載の製造方法により製造される、化合物(I)の抗菌剤として使用する方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、抗菌剤として有用な化合物(I)の工業的に好ましく、新規な製造方法を提供する。さらに、本発明により、化合物(I)を簡便かつ安価に工業的規模で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
[化合物(I)の製造方法]
本発明の化合物(I)の製造方法は、ハロゲン系溶媒及び金属塩化物の存在下で、化合物(II)と塩素化剤を反応させる工程(以下、単に工程(a)ともいう。)を特徴とする。
【0018】
式(I)又は式(II)で表される化合物の塩としては、薬学的に許容される塩であれば特に限定されず、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。また、塩基性塩の例として、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、並びにカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
式(I)又は式(II)で表される化合物の塩は、当技術分野において公知の方法又はそれに準じる方法により製造することができる。
【0019】
なお、式(I)で表された化学構造式には、以下のような互変異性体が存在し得るが、本発明における化合物(I)は、これらの各互変異性体のいずれかとして存在する場合及び各互変異性体が共存する場合(平衡状態として共存する場合を含む)の双方を含む。
【0020】
【0021】
また、化合物(II)にも、互変異性体が存在し得るが、本発明における化合物(II)は、各互変異性体のいずれかとして存在する場合及び各互変異性体が共存する場合(平衡状態として共存する場合を含む)の双方を含む。
【0022】
化合物(I)は、大気中に放置したり又は再結晶することにより、水分を吸収し、吸着水が付いたり、水和物となったりする場合があり、化合物(I)はそのような各種の水和物、溶媒和物及び結晶多型の化合物も包含する。また、化合物(I)の水和物は、当技術分野において公知の方法(例えば、国際公開第2023/106320号などに記載された方法)又はそれに準じる方法により製造することができる。
【0023】
化合物(II)は、当技術分野において公知の方法(例えば、特開平8-225539号、特開平8-283243号、及び国際公開第2018/154582号、特開平7-309843号などに記載された方法)又はそれに準じる方法により製造することができ、或いは市販品を使用することもできる。
【0024】
工程(a)において使用される塩素化剤は、特に限定されないが、例えば、塩素、N-クロロスクシンイミド、塩化スルフリル、二塩化硫黄、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、及びトリクロロイソシアヌル酸等を使用することができる。これらの中で、工程(a)で得られる式(I)化合物の収率の観点から、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、又はトリクロロイソシアヌル酸が好ましく、トリクロロイソシアヌル酸がより好ましい。工程(a)において使用される塩素化剤は、1種でもよく、2種以上であってもよい。
工程(a)における塩素化剤の使用量は、特に限定されないが、化合物(II)1モルに対して、例えば、通常、0.1~10モル、好ましくは、0.13~2モル、より好ましくは0.3~2モル、さらに好ましくは、0.3~1.5、特に好ましくは0.32~1.3の塩素化剤を使用することができる。工程(a)における塩素化剤で、塩素を使用する場合は、化合物(II)1モルに対して、例えば、通常、0.1~10モル、好ましくは、0.13~2モル、より好ましくは1モルの塩素を使用することができる。工程(a)における塩素化剤で、N-クロロスクシンイミドを使用する場合は、化合物(II)1モルに対して、例えば、通常、0.1~10モル、好ましくは、0.13~2モル、より好ましくは0.9モルのN-クロロスクシンイミドを使用することができる。工程(a)における塩素化剤で、塩化スルフリルを使用する場合は、化合物(II)1モルに対して、例えば、通常、0.1~10モル、好ましくは、0.13~2モル、より好ましくは1.3モルの塩化スルフリルを使用することができる。工程(a)における塩素化剤で、二塩化硫黄を使用する場合は、化合物(II)1モルに対して、例えば、通常、0.1~10モル、好ましくは、0.13~2モル、より好ましくは1.5~2モルの二塩化硫黄を使用することができる。工程(a)における塩素化剤で、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントインを使用する場合は、化合物(II)1モルに対して、例えば、通常、0.1~10モル、好ましくは、0.13~2モル、より好ましくは0.5~0.75モルの1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントインを使用することができる。工程(a)における塩素化剤で、トリクロロイソシアヌル酸を使用する場合は、化合物(II)1モルに対して、例えば、通常、0.1~10モル、好ましくは、0.13~2モル、より好ましくは0.32~0.4モルのトリクロロイソシアヌル酸を使用することができる。
【0025】
工程(a)において使用される金属塩化物は、特に限定されないが、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛、塩化スズ、塩化ランタン、塩化銅、及び塩化ビスマス等を使用することができる。これらの中で、工程(a)で得られる式(I)化合物の収率の観点から、塩化アルミニウム、又は塩化鉄が好ましく、塩化アルミニウムがより好ましい。工程(a)において使用される金属塩化物は、1種でもよく、2種以上であってもよい。
工程(a)における金属塩化物の使用量は、特に限定されないが、化合物(II)1モルに対して、例えば、通常、0.5~10モル、好ましくは、0.5~3、より好ましくは1.5~2.5モル、さらに好ましくは、1.9~2モル、特に好ましくは、2モルの金属塩化物を使用することができる。
【0026】
工程(a)において使用されるハロゲン系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化鎖式炭化水素系溶媒(1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタンなど)、ハロゲン化芳香族系溶媒(モノクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンなど)又はこれらの混合溶媒が挙げられる。
これらの中でも、工程(a)で得られる化合物(I)の収率の観点から、ハロゲン化鎖式炭化水素系溶媒、又はハロゲン化芳香族系溶媒が好ましく、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン又はo-ジクロロベンゼンがより好ましく、1,2-ジクロロエタン又はジクロロメタンが特に好ましい。ハロゲン系溶媒の使用量は、各工程の反応が進行する限り特に限定されないが、化合物(II)に対して、例えば、通常、1~60倍量(V/W)、好ましくは、10~40倍量(V/W)、より好ましくは、12.5~40倍量(V/W)、さらに好ましくは15~20倍量(V/W)、特に好ましくは20倍量(V/W)である。
【0027】
工程(a)の反応形態について、化合物(II)、塩素化剤、金属塩化物及びハロゲン系溶媒の添加の順序は、特に限定されず、任意の順序で添加及び混合すればよい。化合物(II)、塩素化剤、金属塩化物及びハロゲン系溶媒の反応系への添加は、一度に又は分割して行ってもよいし、連続的であってもよい。例えば、添加の順序としては、全ての成分を一度に混合してもよいし、或いは、一部の成分を後で添加してもよく、このような添加の具体例としては、例えば、化合物(II)及びハロゲン系溶媒を混合し、そこに塩素化剤及び金属塩化物を順次添加する、などが挙げられる。
【0028】
工程(a)の反応温度は、通常、-15~30℃程度、好ましくは、-10~30℃程度、より好ましくは15~30℃程度である。工程(a)の反応時間は、通常、1~168時間程度、好ましくは、2~120時間程度、より好ましくは、20~120時間程度である。
【0029】
工程(a)において、各工程の反応の終了後、例えば、中和、抽出、蒸留、溶媒の留去、洗浄、ろ過及び乾燥などの常法による後処理を行うことにより化合物(I)を得ることができる。これらの常法による後処理を1種または2種以上を適宜選択し、化合物(I)を単離することができる。また、その後、必要により、カラムクロマトグラフィー、再結晶、及びリパルプなどの常法により、化合物(I)を精製してもよい。前記後処理及び前記精製方法としては、化合物(I)の純度向上の観点から、抽出、再結晶、ろ過及び洗浄が好ましく、これらの組合せがより好ましい。
【0030】
本発明の方法により、医薬又は動物用医薬の原体としての規格を満たす高純度の化合物(I)を製造することができる。
【0031】
本発明の方法における種々の構成要素は、前述した複数の例示や条件の中から、例えば、前述した通常範囲の例示及び条件だけでなく好ましい範囲の例示及び条件の中から適宜選択し、かつ、相互に組み合わせることができる。
【0032】
以下に本発明の好ましい実施形態の一例を列記するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔1〕化合物(I)の製造方法であって、ハロゲン系溶媒及び金属塩化物の存在下で化合物(II)と塩素化剤を反応させることを含む、製造方法。
〔2〕前記塩素化剤が、N-クロロスクシンイミド、塩化スルフリル、二塩化硫黄、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、及びトリクロロイソシアヌル酸からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕前記金属塩化物が、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛、塩化スズ、塩化ランタン、塩化銅、及び塩化ビスマスからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕前記塩素化剤が、N-クロロスクシンイミド、塩化スルフリル、二塩化硫黄、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、及びトリクロロイソシアヌル酸からなる群から選択される少なくとも1種であり、前記金属塩化物が塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛、塩化スズ、塩化ランタン、塩化銅、及び塩化ビスマスからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、〔1〕に記載の製造方法。
〔5〕前記ハロゲン系溶媒が、ハロゲン化鎖式炭化水素系溶媒及びハロゲン化芳香族系溶媒からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、〔1〕から〔4〕の何れか1つに記載の製造方法。
〔6〕前記ハロゲン系溶媒が、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、及びo-ジクロロベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、〔1〕から〔4〕の何れか1つに記載の製造方法
〔7〕〔1〕から〔6〕のいずれか1つに記載の製造方法により製造される、化合物(I)の抗菌剤として使用する方法。
【実施例0033】
次に本発明の実験例を記載するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
本発明の各実験例において使用した化合物(IIa)の構造を下記に示す。
:
【0034】
【0035】
本実施例におけるHPLCの分析条件は以下の通りである。
(1)実験例1~実験例6のHPLCの分析条件
・使用機器:株式会社島津製作所製20Aシリーズ
・カラム:ナカライテスク株式会社製COSMOSIL 5C18AR-II(4.6ID×250mm
・検出:UV検出器(254nm)
・カラム温度:40℃
・流速:1.0mL/min
・移動相:アイソクラティック条件で実施(アセトニトリル/水/リン酸=2000/1000/1(v/v/v))。
【0036】
(2)実験例7~実験例12のHPLCの分析条件
・使用機器: Agilent 1260 Infinity
・カラム: 株式会社クロマニックテクノロジーズ製SunShell C18(2.6μm、2.1×100mm)
・検出:UV検出器(254nm)
・カラム温度:40℃
・流速:0.72mL/min
・移動相:グラジエント条件で実施(A液:0.1%ギ酸水溶液、及びB液:アセトニトリル)。グラジエント条件は以下の通リである。
【0037】
【0038】
また、本明細書において、室温は15~30℃程度を意味する。
【0039】
[実験例1]化合物(Ia)の合成
化合物(IIa)2.0g、及びジクロロメタン25mLの混合物を氷冷し、塩化アルミニウム2.45gを添加して10分間撹拌した後、塩化スルフリル1.61gを滴下した。滴下終了後、室温で20時間撹拌した後にHPLCにて反応チェックを行ったところ、化合物(Ia)が63.3面積%で生成していた。反応溶液を減圧留去して得られた固体2.34gをイソプロピルアルコール6.0mLに溶解させ、水6.0mLを加えてスラリーを得た。得られたスラリーをろ過し、風乾燥させることで化合物(Ia)を1.65gを得た(純度:78.4面積%、収率:71.2%)。
【0040】
[実験例2]化合物(Ia)の合成
化合物(IIa)1.0g、及びジクロロメタン10mLの混合物を氷冷し、塩化アルミニウム1.23gを添加して10分間撹拌した後、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン0.54gを添加した。添加終了後、室温で20時間撹拌した後にHPLCにて反応チェックを行ったところ、化合物(Ia)が34.3面積%で生成していた。
【0041】
[実験例3]化合物(Ia)の合成
化合物(IIa)1.0g、及び1,2-ジクロロエタン10mLの混合物を氷冷し、その混合物が入った反応容器をアルミ箔で遮光した。その反応容器に塩化アルミニウム1.23gを添加して10分間撹拌した後、トリクロロイソシアヌル酸0.43gを添加した。添加終了後、室温で20時間撹拌した後にHPLCにて反応チェックを行ったところ、化合物(Ia)が66.0面積%で生成していた。
【0042】
[実験例4]化合物(Ia)の合成
化合物(IIa)0.5g、及び1,2-ジクロロエタン20mLの混合物を氷冷し、塩化アルミニウム0.61gを添加して10分間撹拌した後、二塩化硫黄0.47gを滴下した。滴下終了後、室温で20時間撹拌した後にHPLCにて反応チェックを行ったところ、化合物(Ia)が66.8面積%で生成していた。
【0043】
[実験例5]化合物(Ia)の合成
化合物(IIa)2.0g、及び1,2-ジクロロエタン40mLの混合物を氷冷し、塩化鉄(III)2.98gを添加して30分間撹拌した後、二塩化硫黄1.42gを滴下した。滴下終了後、室温で20時間撹拌した後にHPLCにて反応チェックを行ったところ、化合物(Ia)が57.3面積%で生成していた。
【0044】
[実験例6]化合物(Ia)の合成
化合物(IIa)2.0g、及び1,2-ジクロロエタン20mLの混合物を氷冷し、塩化鉄(III)2.98gを添加して20分間撹拌した後、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン1.36gを滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌した後にHPLCにて反応チェックを行ったところ、化合物(Ia)が31.9面積%で生成していた。
【0045】
[実験例7]化合物(Ia)の合成
化合物(IIa)1.0g、及びジクロロメタン20mLの混合物に室温下、塩化アルミニウム1.23gを添加して3時間撹拌した後、同温でトリクロロイソシアヌル酸0.34gを添加した。添加終了後室温で144時間撹拌した後にHPLCにて反応チェックを行ったところ、化合物(Ia)が66.4面積%で生成していた。
【0046】
[実験例8]化合物(Ia)の合成
化合物(IIa)1.0g、及びジクロロメタン20mLの混合物に室温下、塩化アルミニウム1.23gを添加して3時間撹拌した後、同温でN-クロロスクシンイミド0.61gを添加した。添加終了後室温で144時間撹拌した後にHPLCにて反応チェックを行ったところ、化合物(Ia)が40.1面積%で生成していた。
【0047】
[実験例9]化合物(Ia)の合成
化合物(IIa)1.0g、及びジクロロメタン20mLの混合物に室温下、塩化アルミニウム1.23gを添加して3時間撹拌した後、同温で1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン0.45gを添加した。添加終了後室温で144時間撹拌した後にHPLCにて反応チェックを行ったところ、化合物(Ia)が58.8面積%で生成していた。
【0048】
[実験例10]化合物(Ia)の合成
化合物(IIa)1.0g、及びジクロロメタン20mLの混合物に室温下、塩化アルミニウム1.23gを添加して3時間撹拌した後、同温度で塩素ガス溶液2.5mL(13g/100mLジクロロメタン溶液)を滴下した。滴下終了後室温で144時間撹拌した後にHPLCにて反応チェックを行ったところ、化合物(Ia)が36.8面積%で生成していた。
【0049】
[実験例11]化合物(Ia)の合成
化合物(IIa)1.0g、及びジクロロメタン20mLの混合物に、室温下、塩化アルミニウム1.23gを添加して2時間撹拌した後、同温で1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン0.45gを添加した。添加終了後室温で120時間撹拌した後にHPLCにて反応チェックを行ったところ、化合物(Ia)が39.6面積%で生成していた。
【0050】
[実験例12]化合物(Ia)の合成
化合物(IIa)1.0g、及びo-ジクロロベンゼン20mLの混合物に、室温下、塩化アルミニウム1.23gを添加して2時間撹拌した後、同温で1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン0.45gを添加した。添加終了後室温で120時間撹拌した後にHPLCにて反応チェックを行ったところ、化合物(Ia)が34.0面積%で生成していた。