(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025038414
(43)【公開日】2025-03-19
(54)【発明の名称】廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器
(51)【国際特許分類】
B09B 3/45 20220101AFI20250312BHJP
C22B 7/04 20060101ALI20250312BHJP
B09B 3/70 20220101ALI20250312BHJP
B09B 101/30 20220101ALN20250312BHJP
B09B 101/55 20220101ALN20250312BHJP
【FI】
B09B3/45
C22B7/04 Z ZAB
B09B3/70
B09B101:30
B09B101:55
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145035
(22)【出願日】2023-09-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】523341853
【氏名又は名称】台鋼資源股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100180079
【弁理士】
【氏名又は名称】亀卦川 巧
(74)【代理人】
【識別番号】230101177
【弁護士】
【氏名又は名称】木下 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】110003856
【氏名又は名称】弁理士法人テックロー国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】方 ▲彦▼斌
(72)【発明者】
【氏名】陳 威志
【テーマコード(参考)】
4D004
4K001
【Fターム(参考)】
4D004AA16
4D004AA37
4D004AA43
4D004AC04
4D004CA22
4D004CA34
4D004CB04
4D004CB45
4D004CC01
4D004CC03
4K001BA12
4K001BA24
4K001CA49
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高圧蒸気を積載容器内の廃棄物と均一に混合して廃棄物安定化処理を行う廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器を提供する。
【解決手段】蒸気式圧力釜内に配置され廃棄物を入れるための積載容器20を具え、前記積載容器20は、収容タンク22と、前記収容タンク22内に設けられるとともに、前記蒸気式圧力釜と前記収容タンク22とを連通させる蒸気導入装置30と、を具え、前記蒸気導入装置30は、前記収容タンク22内に間隔をあけて設けられた複数の蒸気管31を具え、前記各蒸気管31は第1端と第2端を有し、前記第1端と第2端はそれぞれ開口を有し、前記各蒸気管31の第1端の開口は、前記蒸気管31と収容タンク22の外部空間とを連通させ、前記各蒸気管31の第2端の開口は、蒸気管31と収容タンク22とを連通させる、廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を入れるための廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器であって、
収容タンクと、
該収容タンク内に設けられるとともに、該収容タンクの外部空間と該収容タンクとを連通させる蒸気導入装置と、を具え、
該蒸気導入装置は、前記収容タンク内に間隔をあけて設けられた複数の蒸気管を具え、前記各蒸気管は第1端と第2端を有し、前記第1端と第2端はそれぞれ開口を有し、前記各蒸気管の第1端の開口は、前記蒸気管と収容タンクの外部空間とを連通させ、前記各蒸気管の第2端の開口は、前記蒸気管と収容タンクとを連通させることを特徴とする、
廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器。
【請求項2】
前記各蒸気管が前記収容タンク内に直立の状態で間隔をあけて配列され、前記各蒸気管の第1端が第2端の上方に位置することを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器。
【請求項3】
前記各蒸気管が前記収容タンク内に横向きの状態で間隔をあけて配列され、且つ前記各蒸気管の第1端が前記収容タンクの側壁を貫通することにより、前記各蒸気管の第1端の開口が前記収容タンクの外部空間と連通することを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器。
【請求項4】
前記各蒸気管の第2端と前記収容タンクの内壁面との間に間隔を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1つに記載の廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器。
【請求項5】
前記各蒸気管が、前記蒸気管の外周に形成され且つ前記蒸気管と収容タンクとを連通させる複数のメッシュを具えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1つに記載の廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器。
【請求項6】
前記積載容器の底部に複数の車輪が装着されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1つに記載の廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃棄物資源化処理設備に関し、特に廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スラグ(slag)や炉かす、炉石、フライアッシュ、浸出残渣(leaching residues)、耐火ライニング材(refractory lining materials)、鉱石(mining ores)、尾鉱(tailing materials)等のような産業廃棄物は、リサイクルの前に安定化処理を行って、そこに含まれる不安定な成分を除去しなければ、資源化することはできず、安定化させた産業廃棄物であれば、コンクリートの添加材とすることができる。
【0003】
従来のスラグの安定化プロセスは、
図5に示すように、主に、複数のメッシュ912を有する積載板91が底部に設けられたフレーム90内にスラグ95を入れ、前記積載板91の下方に蒸気設備93を設けるとともに、前記フレーム90の上方をカバー92で覆い、蒸気設備93によって生成される蒸気を積載板91のメッシュ912を経由してフレーム90内に送り込み、フレーム90内のスラグ95と水和反応させることにより、スラグ95内の不安定成分を除去するものであり、この方法によれば、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、およびその他の膨張性物質を、安定した水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および安定した生成物にすることができる。
【0004】
しかしながら、従来のスラグ安定化プロセスでは、蒸気が積載板91の下方から上に向かって拡散することから、堆積したスラグ95に阻まれ、蒸気が比較的上方に位置するスラグ95にまで拡散することができず、上方のスラグ95が蒸気と十分に混合できないため、スラグ95の安定化効果が低く、改善の余地があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の欠点に鑑み、本発明は、高圧蒸気を積載容器内の廃棄物と均一に混合させて廃棄物安定化処理を行う廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器を提供することを主の目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するために、廃棄物を入れるための廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器を提供するものであり、前記廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器は、
収容タンクと、
該収容タンク内に設けられるとともに、該収容タンクの外部空間と該収容タンクとを連通させる蒸気導入装置と、を具え、
該蒸気導入装置は、前記収容タンク内に間隔をあけて設けられた複数の蒸気管を具え、前記各蒸気管は第1端と第2端を有し、前記第1端と第2端はそれぞれ開口を有し、前記各蒸気管の第1端の開口は、前記蒸気管と収容タンクの外部空間とを連通させ、前記各蒸気管の第2端の開口は、前記蒸気管と収容タンクとを連通させるとの構成を有するものである。
【0007】
上記の技術的特徴を利用して、スラグ(slag)や炉かす、炉石、フライアッシュ、浸出残渣(leaching residues)、耐火ライニング材(refractory lining materials)、鉱石(mining ores)、尾鉱(tailing materials)等のような産業廃棄物を前記積載容器の収容タンク内に入れ、さらに前記積載容器を蒸気式圧力釜内に入れ、前記蒸気式圧力釜内に高圧蒸気を導入して、高圧蒸気を前記蒸気管の第1端の開口から送り込み、さらに前記蒸気管の第2端の開口からタンク内に流入させて廃棄物と充分に混合させ、高圧蒸気を廃棄物の内部に導入し、蒸気と廃棄物を均一に混合させることにより、廃棄物安定化プロセスの効果を向上させることができると共に、完了までの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、廃棄物体積膨張安定化プロセス用設備の好ましい実施形態の側面透視図である。
【
図2】
図2は、本発明の積載容器の第1の好ましい実施形態の使用を示す側面断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の積載容器の第2の好ましい実施形態の使用を示す側面断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の積載容器の第3の好ましい実施形態の使用を示す側面断面図である。
【
図5】
図5は、従来のスラグの安定化プロセスにおける操作を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から
図4に示すように、本発明の廃棄物体積膨張安定化プロセス用設備は、蒸気式圧力釜10と、前記蒸気式圧力釜10内に配置され、且つスラグ(slag)や炉かす、炉石、フライアッシュ、浸出残渣(leaching residues)、耐火ライニング材(refractory lining materials)、鉱石(mining ores)、尾鉱(tailing materials)等のような廃棄物50を入れるための積載容器20、20Aと、を具える。
【0010】
図1に示すように、前記蒸気式圧力釜10は、横置きの筒状体を呈する釜本体11と、釜蓋13とを具え、前記釜本体11は接続管15によって外部の蒸気設備と接続され、前記接続管15を介して前記釜本体11内に高圧蒸気を導入し、前記釜本体11は一端が開口または両端が開口可能であり、前記釜蓋13の数は前記釜本体11の開口数に対応しており、前記釜本体11の開口を開閉することができる。
【0011】
図1および
図2に示すように、前記積載容器20の第1の好ましい実施形態は、収容タンク22と蒸気導入装置30とを具え、前記収容タンク22の頂部を開口とすることにより、廃棄物50を前記収容タンク22の頂部の開口から前記収容タンク22内に注ぎ込むことができ、また、前記積載容器20を押し動かせるように、前記積載容器20の底部に複数の車輪215を選択的に取り付けることができる。
【0012】
前記蒸気導入装置30は、前記積載容器20の収容タンク22内に設けられ、それにより、前記収容タンク22の外部空間と前記収容タンク22とを連通させる、すなわち、前記蒸気式圧力釜10と前記収容タンク22とを連通させ、前記蒸気導入装置30は、前記収容タンク22内に直立の状態で間隔をあけて配列された複数の蒸気管31を具え、前記各蒸気管31は金属製の管を選択することができると共に、第1端と第2端を有し、前記第1端は前記第2端の上方に位置し、前記第1端と前記第2端はそれぞれ開口を有し、前記各蒸気管31の第1端の開口は前記蒸気管31と前記外部空間とを連通させ、前記各蒸気管31の第2端の開口は前記蒸気管31と前記収容タンク22とを連通させ、前記各蒸気管31の第2端の開口が前記収容タンク22の内壁面によって密封されないように、前記各蒸気管31の第2端と前記収容タンク22の内壁面との間に間隔が形成される。
【0013】
尚、前記各蒸気管31の外周には、間隔をあけて配列され且つ前記蒸気管31と前記収容タンク22とを連通させる複数のメッシュが設けられ、それにより、高圧蒸気が前記各蒸気管31から流出する孔を増やし、高圧蒸気と廃棄物50との接触面積を増加させて、高圧蒸気と廃棄物50とを均一に混合させることが好ましい。
【0014】
前記積載容器20の収容タンク22内の上面に隣接する箇所に間隔をあけて複数の支持フレームが配列され、前記蒸気導入装置30は、前記複数の支持フレームに当接する少なくとも1つの支持部材33を具え、複数の蒸気管31が間隔をあけて配列されるように前記少なくとも1つの支持部材33に固定され、それによって前記蒸気管31を前記収容タンク22内に直立した状態で設け、また、前記少なくとも1つの支持部材33には、前記蒸気管31が挿入される複数の貫通孔が間隔をあけて配列され、前記蒸気管31が前記少なくとも1つの支持部材33に溶接によって固定される。
【0015】
前記蒸気管31の長さは、前記収容タンク22の形状に対応するように設定することができ、前記蒸気管31の底端の開口は、前記収容タンク22の内底面または内側面によって密封されないように、前記蒸気管31の第2端と収容タンク22の内底面または内側面との間に間隔を有する。
【0016】
図1および
図3に示すように、第2の好ましい実施形態においては、前記蒸気導入装置30Aが、直立し間隔をあけて配列された複数の蒸気管31、31Aを具えるとともに、そのうちの1つの蒸気管31Aの長さが他の蒸気管31の長さよりも短い。そのため、前記2つの蒸気管31、31Aの第2端が、前記収容タンク22内の廃棄物50に対して異なる深さで延びており、その異なる長さの蒸気管31、31Aによって、高圧蒸気を異なる高さから廃棄物50に送り込むことができるので、高圧蒸気と廃棄物50とを均一に混合することができる。
【0017】
図1および
図4に示すように、前記積載容器20Aの第3の好ましい実施形態は、収容タンク22Aと蒸気導入装置30Bとを具え、前記蒸気導入装置30Bは、前記収容タンク22A内に横向きの状態で間隔をあけて配列された複数の蒸気管31Bを具え、前記各蒸気管31Bの第1端が前記収容タンク22Aの側壁を貫通することにより、前記各蒸気管31Bの第1端の開口が前記収容タンク22Aの外部空間、すなわち前記蒸気式圧力釜10と連通し、前記各蒸気管31Bの第2端と前記収容タンク22Aの内壁面との間に間隔が形成され、前記各蒸気管31Bの第2端の開口が前記蒸気管31Bと前記収容タンク22Aとを連通させる。
【0018】
図1から
図4に示すように、廃棄物50を前記収容タンク22、22A内に入れた後、前記積載容器20、20Aを前記蒸気式圧力釜10内に入れるとともに、前記蒸気式圧力釜10内に高圧蒸気を導入すると、高圧蒸気が前記各蒸気管31、31A、31Bの第1端の開口から前記蒸気管31、31A、31B内に流入し、さらに前記蒸気管31、31A、31Bの第2端の開口から前記収容タンク22、22Aに流入して、前記収容タンク22、22A内の廃棄物50と充分に且つ均一に混合され、廃棄物安定化プロセスが行われる。
【0019】
使用時は、
図1に示すように、1つの蒸気式圧力釜10内に複数の積載容器20、20Aを配置して、複数の積載容器20、20Aに入れられた廃棄物50に対して同時に廃棄物安定化プロセスを行う。本発明の廃棄物体積膨張安定化プロセス用積載容器20、20Aは、前記蒸気式圧力釜10内の高圧蒸気を、各蒸気管31、31A、31Bの第1端の開口を経由して前記蒸気管31、31A、31B内に送り込み、さらに前記蒸気管31、31A、31Bの第2端の開口から前記収容タンク22、22Aに流入させて廃棄物50と充分に混合すると共に、蒸気と廃棄物50との接触面積を増やして、蒸気と廃棄物50を均一に混合する。この方法によれば、廃棄物安定化プロセスの効果を向上させつつ、完了までの時間を短縮することもできる。
【符号の説明】
【0020】
10 蒸気式圧力釜
11 釜本体
13 釜蓋
15 接続管
20、20A 積載容器
215 車輪
22、22A 収容タンク
30,30A,30B 蒸気導入装置
31,31A,31B 蒸気管
33 支持部材
50 廃棄物
90 フレーム
91 積載板
912 メッシュ
92 カバー
93 蒸気設備
95 スラグ