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  • 特開-電子部品パッケージ 図1
  • 特開-電子部品パッケージ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025038702
(43)【公開日】2025-03-19
(54)【発明の名称】電子部品パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H10H 20/853 20250101AFI20250312BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20250312BHJP
【FI】
H01L33/54
H01L23/28 D
H01L23/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145470
(22)【出願日】2023-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 忠宏
【テーマコード(参考)】
4M109
5F142
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA04
4M109EC11
4M109GA01
4M109GA06
5F142AA88
5F142BA32
5F142CA03
5F142CA13
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD45
5F142CD47
5F142CG03
5F142CG22
5F142CG32
5F142DA12
5F142EA02
5F142EA18
(57)【要約】
【課題】実装基板から取り外すことなく製造情報等の印字を確認することが可能な電子部品パッケージを提供する。
【解決手段】電子部品パッケージ(100)は、基板(10)と、電子部品(20)と、封止部材(30)とを備えている。電子部品は、基板上に搭載されている。封止部材は、電子部品を覆うように基板上に配置されている。封止部材の表面には、第1範囲にある波長の光に対して反応する材料を用いて印字がなされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
電子部品と、
封止部材とを備え、
前記電子部品は、前記基板上に搭載されており、
前記封止部材は、前記電子部品を覆うように前記基板上に配置されており、
前記封止部材の表面には、第1範囲にある波長の光に対して反応する材料を用いて印字がなされている、電子部品パッケージ。
【請求項2】
前記電子部品は、第2範囲にある波長の光を発生させるLEDであり、
前記封止部材は、前記第2範囲にある波長の光を透過させる透明樹脂であり、
前記第2範囲は、前記第1範囲と異なる、請求項1に記載の電子部品パッケージ。
【請求項3】
前記材料は、前記第1範囲にある波長の光に対して反応する蛍光材である、請求項1又は請求項2に記載の電子部品パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2023-076696号公報(特許文献1)には、LED(Light Emitting Diode)パッケージが記載されている。特許文献1に記載のLEDパッケージは、基板と、LEDチップと、封止樹脂とを有している。
【0003】
基板は、基材と、第1導体パターンと、第2導体パターンと、第3導体パターンと、第4導体パターンとを有している。基材は、第1主面と、第2主面とを有している。第1主面及び第2主面は、基材の厚さ方向における端面である。第1導体パターン及び第2導体パターンは、第1主面上に配置されている。第1導体パターン及び第2導体パターンは、互いに電気的に分離されている。第3導体パターン及び第4導体パターンは、第2主面上に配置されている。第3導体パターン及び第4導体パターンは、互いに電気的に分離されている。第3導体パターン及び第4導体パターンは、それぞれ、第1導体パターン及び第2導体パターンに電気的に接続されている。
【0004】
LEDチップは、基板上に搭載されている。より具体的には、第1導体パターン上に搭載されている。LEDチップは、第1導体パターン及び第2導体パターンに電気的に接続されている。封止樹脂は、LEDチップを覆うように基板上に配置されている。透明樹脂は、LEDチップが発生させる光を透過させる透明樹脂である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2023-076696号公報 [概要] 特許文献1に記載のLEDパッケージには、通常、製造に関する情報を示す文字等が例えばレーザを走査することにより印字される。文字等が封止樹脂の頂面に印字されるとLEDチップが発生させる光の透過を妨げるため、文字等は第2主面に印字されることになる。しかしながら、文字等が第2主面に印字される場合、特許文献1に記載のLEDパッケージを実装基板に実装した後には、実装基板から取り外さない限り、文字等を確認することができなくなる。
【0006】
なお、光を発生させないような電子部品パッケージでは、封止部材の頂面に製造に関する情報を示す文字等が印字されても支障は生じない。しかしながら、この場合、第三者が文字等から電子部品パッケージの製造情報を容易に読み取れてしまう。
【0007】
本開示の電子部品パッケージは、基板と、電子部品と、封止部材とを備えている。電子部品は、基板上に搭載されている。封止部材は、電子部品を覆うように基板上に配置されている。封止部材の表面には、第1範囲にある波長の光に対して反応する材料を用いて印字がなされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子部品パッケージ100の平面図である。
図2図1中のII-IIにおける断面図である。
図3】実装された状態の電子部品パッケージ100を示す断面図である。
【0009】
[詳細な説明]
本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。実施形態に係る電子部品パッケージを、電子部品パッケージ100とする。
【0010】
(電子部品パッケージ100の構成)
以下に、電子部品パッケージ100の構成を説明する。
【0011】
図1は、電子部品パッケージ100の平面図である。図2は、図1中のII-IIにおける断面図である。図1及び図2に示されているように、電子部品パッケージ100は、基板10と、電子部品20と、封止部材30とを有している。
【0012】
基板10は、基材11と、導体パターン12、導体パターン13、導体パターン14、導体パターン15、導体パターン16及び導体パターン17とを有している。
【0013】
基材11の構成材料は、絶縁材料である。基材11の構成材料の具体例としては、ガラスエポキシが挙げられる。基材11は、主面11aと、主面11bと、側面11cと、側面11dとを有している。主面11aの法線方向に沿って電子部品パッケージ100を見た場合を、平面視という。基材11は、平面視において、例えば矩形状である。平面視における基材11の長手方向は、第1方向DR1に沿っている。第2方向DR2は、平面視において第1方向DR1に垂直な方向である。第1方向DR1及び第2方向DR2に垂直な方向を、厚さ方向とする。
【0014】
主面11a及び主面11bは、基材11の厚さ方向における両端面である。主面11bは、主面11aの反対面である。側面11c及び側面11dは、基材11の第1方向DR1における両端面である。側面11cは、上端において主面11aに連なっており、下端において主面11bに連なっている。側面11dは、上端において主面11aに連なっており、下端において主面11bに連なっている。
【0015】
導体パターン12及び導体パターン13は、主面11a上に配置されている。導体パターン12は、ダイパッド12aを有している。ダイパッド12aは、例えば、第1方向DR1における主面11aの中央部にある。ダイパッド12aは、導体パターン12の第1方向DR1における一方端(図1中及び図2中における右側の端)にある。導体パターン12は、導体パターン12の第1方向DR1における他方端が側面11cに達するように延在している。導体パターン13の第1方向DR1における他方端(図1中及び図2中における左側の端)は、導体パターン12の第1方向DR1における一方端(ダイパッド12a)から離間している。導体パターン13は、導体パターン13の第1方向DR1における他方端が側面11dに達するように延在している。
【0016】
導体パターン14及び導体パターン15は、主面11b上に配置されている。導体パターン14の第1方向DR1における一方端(図1中及び図2中における右側の端)は、導体パターン15の第1方向DR1における一方端(図1及び図2中における左側の端)から離間している。導体パターン14は、導体パターン14の第1方向DR1における他方端が側面11cに達するように延在している。導体パターン15は、導体パターン15の第1方向DR1における他方端が側面11dに達するように延在している。
【0017】
導体パターン16は、側面11c上に配置されている。これにより、導体パターン12が導体パターン14に電気的に接続されている。導体パターン17は、側面11d上に配置されている。これにより、導体パターン13が導体パターン15に電気的に接続されている。導体パターン12、導体パターン13、導体パターン14、導体パターン15、導体パターン16及び導体パターン17の構成材料の具体例としては、銅又は銅合金が挙げられる。
【0018】
電子部品20は、例えば、LEDである。但し、電子部品20は、LEDに限られるものではない。電子部品20は、第1面20aと、第2面20bとを有している。第1面20a及び第2面20bは、電子部品20の厚さ方向における両端面である。第2面20bは、第1面20aの反対面である。電子部品20は、電極21と、電極22とを有している。電極21は、第1面20aにある。電極22は、第2面20bにある。
【0019】
電子部品20は、基板10上に搭載されている。より具体的には、電子部品20は、第1面20a(電極21)がダイパッド12aと対向するように、ダイパッド12a上に配置されている。電子部品20とダイパッド12aとの間には、接続層23が介在されている。接続層23の構成材料は、例えば、導電性接着剤である。これにより、電子部品20は、導体パターン12に電気的に接続されている。電子部品20は、例えばボンディングワイヤ24により、導体パターン13に電気的に接続されている。ボンディングワイヤ24は、一方端において電極22に接続されており、他方端において導体パターン13に接続されている。ボンディングワイヤ24の構成材料は、例えば、金又は金合金である。
【0020】
封止部材30は、電子部品20を覆うように基板10上に配置されている。より具体的には、封止部材30は、ダイパッド12aを含んでいる導体パターン12の一部、ボンディングワイヤ24の他方端が接続されている部分を含んでいる導体パターン13の一部、ボンディングワイヤ24及び電子部品20を封止している。封止部材30は、頂面30aを有している。
【0021】
頂面30aには、第1範囲にある波長の光に対して反応する材料を用いて、印字(図1に示されている例では、「ABCD123」との文字・数字が印字されている)がなされている。例えば、頂面30aには、電子部品パッケージ100の品番、製造時のロット番号、製造時期等を示す文字・数字が印字されている。頂面30aには、文字ではなく、第1範囲にある波長の光に対して反応する材料を用いて、ドットパターンやバーコードが描かれていてもよい。すなわち、「印字」は、文字や数字を描く場合以外も含まれる。第1範囲にある波長の光に対して反応する材料は、例えば、蛍光材である。第1範囲にある波長の光に対して反応する材料は、第1範囲外にある波長の光に対して反応せず、透明である。すなわち、頂面30aに対してなされた印字は、第1範囲にある波長の光が照射されない限り、肉眼で目視することができない。頂面30aに対してなされた印字は、第1範囲にある光に反応することで、可視光を発生させることが好ましい。
【0022】
電子部品20であるLEDが発生させる光の波長は、第2範囲にある。第2範囲は、第1範囲と異なっており、第1範囲と重なっていない。そのため、電子部品20であるLEDが光を発生させても、頂面30aに対してなされた印字は、目視することができない。電子部品20がLEDである場合、封止部材30の構成材料は、第2範囲にある光を透過させる透明樹脂である。なお、第1範囲及び第2範囲は、互いに異なっていればよく、特に限定されるものではない。第1範囲は、可視光の波長範囲でないことが好ましく、赤外光の波長範囲であってもよく、紫外光の波長範囲であってもよい。
【0023】
上記においては、第1範囲にある波長の光に対して反応する材料を用いた印字が頂面30aに対してなされる場合の例を説明したが、当該印字は、封止部材30の側面に対して行われてもよい。すなわち、第1範囲にある波長の光に対して反応する材料を用いた印字は、封止部材30の表面に対してなされればよい。
【0024】
電子部品パッケージ100は、基板200上に実装される。図3は、実装された状態の電子部品パッケージ100を示す断面図である。図3に示されているように、基板200は、基材201と、ランド202及びランド203とを有している。ランド202及びランド203は、互いに離間するように、基材201の主面上に配置されている。電子部品パッケージ100は、導体パターン14及び導体パターン15がそれぞれランド202及びランド203と対向するように、基板200上に搭載されている。導体パターン14とランド202との間の接続及び導体パターン15とランド203との間の接続は、接続層204により行われている。接続層204の構成材料は、例えばはんだ合金である。
【0025】
(電子部品パッケージ100の効果)
以下に、電子部品パッケージ100の効果を説明する。
【0026】
電子部品パッケージには、例えばレーザを照射することにより、製造情報を示す文字や数字等が印字されることがある。このようなレーザ照射による印字が頂面30aに対して行われると、当該印字が電子部品20であるLEDが発生させた光の透過を阻害し、発光特性を悪化させることになる。
【0027】
そのため、電子部品パッケージでは、通常、レーザ照射による印字が、導体パターン14と導体パターン15との間にある主面11bに対してなされる。レーザ照射による印字が導体パターン14と導体パターン15との間にある主面11bに対して行われると、当該印字が電子部品20であるLEDが発生させた光の透過を阻害して発光特性を悪化させることがない。しかしながら、この場合、電子部品パッケージを実装基板から取り外さない限り、当該印字を確認することができない。
【0028】
この点、電子部品パッケージ100では、頂面30aに製造情報を示す文字や数字等が印字されている。しかしながら、当該印字は、第1範囲にある光に反応し、第2範囲にある光には反応しないため、電子部品20であるLEDが発生する光の透過を阻害して発光特性を悪化せることがない。また、当該印字は頂面30aに印字されているため、電子部品パッケージ100の製造情報等を確認するためには頂面30aに第2範囲にある光を照射することで当該印字を読み取ればよく、製造情報等を確認するために電子部品パッケージ100を実装基板(基板200)から取り外す必要がない。
【0029】
電子部品20がLEDではなく、封止部材30が透明樹脂でない場合も、頂面30aに第1範囲にある波長の光に対して反応する材料を用いて印字することは、有効である。つまり、当該印字は、第1範囲にある波長の光に対して反応するため、第1範囲にある波長の光が照射されない限り、電子部品パッケージ100を見た者は、当該印字の存在を認識することが困難である。そのため、電子部品20がLEDではなく、封止部材30が透明樹脂でない場合、頂面30aに第1範囲にある波長の光に対して反応する材料を用いて印字することで、製造情報等が秘匿しやすくなる。
【0030】
(付記)
本開示の実施形態には、以下の構成が含まれている。
【0031】
<付記1>
基板と、
電子部品と、
封止部材とを備え、
前記電子部品は、前記基板上に搭載されており、
前記封止部材は、前記電子部品を覆うように前記基板上に配置されており、
前記封止部材の表面には、第1範囲にある波長の光に対して反応する材料を用いて印字がなされている、電子部品パッケージ。
【0032】
<付記2>
前記電子部品は、第2範囲にある波長の光を発生させるLEDであり、
前記封止部材は、前記第2範囲にある波長の光を透過させる透明樹脂であり、
前記第2範囲は、前記第1範囲と異なる、付記1に記載の電子部品パッケージ。
【0033】
<付記3>
前記材料は、前記第1範囲にある波長の光に対して反応する蛍光材である、付記1又は付記2に記載の電子部品パッケージ。
【0034】
以上のように本開示の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0035】
100 電子部品パッケージ、10 基板、11 基材、11a,11b 主面、11c,11d 側面、12,13,14,15,16,17 導体パターン、12a ダイパッド、20 電子部品、20a 第1面、20b 第2面、21,22 電極、23 接続層、24 ボンディングワイヤ、30 封止部材、30a 頂面、200 基板、201 基材、202,203 ランド、204 接続層、DR1 第1方向、DR2 第2方向。
図1
図2
図3