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特開2025-38802絶縁抵抗検出装置および絶縁抵抗検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025038802
(43)【公開日】2025-03-19
(54)【発明の名称】絶縁抵抗検出装置および絶縁抵抗検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/52 20200101AFI20250312BHJP
   G01R 31/56 20200101ALI20250312BHJP
【FI】
G01R31/52
G01R31/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145630
(22)【出願日】2023-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】池野 拓海
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA16
2G014AB24
2G014AB61
2G014AC18
(57)【要約】
【課題】絶縁抵抗の異常判定に要する時間を短縮できる絶縁抵抗検出装置および絶縁抵抗検出方法を提供すること。
【解決手段】本願に係る絶縁抵抗検出装置は、コントローラと、促進回路とを備える。コントローラは、電池の正極側に接続される第1のスイッチおよび負極側に接続される第2のスイッチのうち、一方のスイッチをオンし、他方のスイッチをオフすることで、電池と、電池の絶縁抵抗と、検出抵抗とで直列回路を形成し、検出抵抗に印加される電圧値に基づいて絶縁抵抗の異常を検出する。促進回路は、検出抵抗に並列して接続され、一方のスイッチをオンした際に検出抵抗に印加される電圧値の減少割合を高める。コントローラは、促進回路によって低下した電圧値に基づいて絶縁抵抗の異常を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の正極側に接続される第1のスイッチおよび負極側に接続される第2のスイッチのうち、一方のスイッチをオンし、他方のスイッチをオフすることで、前記電池と、前記電池の絶縁抵抗と、検出抵抗とで直列回路を形成し、前記検出抵抗に印加される電圧値に基づいて前記絶縁抵抗の異常を検出するコントローラと、
前記検出抵抗に並列して接続され、前記一方のスイッチをオンした際に前記検出抵抗に印加される電圧値の減少割合を高める促進回路と、を備え、
前記コントローラは、
前記促進回路によって低下した前記電圧値に基づいて前記絶縁抵抗の異常を検出する
絶縁抵抗検出装置。
【請求項2】
前記促進回路は、
前記直列回路の時定数を小さくする回路である
請求項1に記載の絶縁抵抗検出装置。
【請求項3】
前記促進回路は、
第3のスイッチと抵抗とが直列に接続されて構成され、
前記コントローラは、
前記一方のスイッチをオンする際に、前記促進回路の前記第3のスイッチをオンする
請求項1に記載の絶縁抵抗検出装置。
【請求項4】
前記促進回路は、
定電流回路を含み、
前記コントローラは、
前記一方のスイッチをオンする際に、前記定電流回路をオンする
請求項1に記載の絶縁抵抗検出装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記検出抵抗に印加される電圧値の変化率が閾値未満となった場合に、前記促進回路の動作を停止させる
請求項1に記載の絶縁抵抗検出装置。
【請求項6】
絶縁抵抗検出装置が実行する絶縁抵抗検出方法であって、
電池の正極側に接続される第1のスイッチおよび負極側に接続される第2のスイッチのうち、一方のスイッチをオンし、他方のスイッチをオフすることで、前記電池と、前記電池の絶縁抵抗と、検出抵抗とで直列回路を形成し、前記検出抵抗に印加される電圧値に基づいて前記絶縁抵抗の異常を検出し、
前記検出抵抗に並列して接続される促進回路により、前記一方のスイッチをオンした際に前記検出抵抗に印加される電圧値の減少割合を高め、
前記促進回路によって低下した前記電圧値に基づいて前記絶縁抵抗の異常を検出する
絶縁抵抗検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁抵抗検出装置および絶縁抵抗検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池と、電池の絶縁抵抗と、絶縁検出用の抵抗(以下、検出抵抗)とで直列回路を形成した状態で検出抵抗の電圧を計測し、計測した電圧に基づいて絶縁抵抗の異常を検出する絶縁抵抗検出装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-66090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、電池と絶縁抵抗検出装置との間にコモン容量が存在する場合、コモン容量に溜まった電荷が上記の直列回路に流れるため、検出抵抗の電圧に誤差が生じる。この点に関して、コモン容量に溜まった電荷が完全に放電された後に検出抵抗の電圧を計測する方法が考えられるが、その場合には、電荷が完全に放電されるまで待つ必要があるため、絶縁抵抗の異常を判定するまでに時間を要してしまう。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、絶縁抵抗の異常判定に要する時間を短縮できる絶縁抵抗検出装置および絶縁抵抗検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る絶縁抵抗検出装置は、コントローラと、促進回路とを備える。前記コントローラは、電池の正極側に接続される第1のスイッチおよび負極側に接続される第2のスイッチのうち、一方のスイッチをオンし、他方のスイッチをオフすることで、前記電池と、前記電池の絶縁抵抗と、検出抵抗とで直列回路を形成し、前記検出抵抗に印加される電圧値に基づいて前記絶縁抵抗の異常を検出する。前記促進回路は、前記検出抵抗に並列して接続され、前記一方のスイッチをオンした際に前記検出抵抗に印加される電圧値の減少割合を高める。前記コントローラは、前記促進回路によって低下した前記電圧値に基づいて前記絶縁抵抗の異常を検出する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、絶縁抵抗の異常判定に要する時間を短縮できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置の構成例を示す説明図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置の動作例を示す説明図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置の動作例を示す説明図である。
図4A図4Aは、第1の実施形態に係る絶縁異常の検出処理を説明するための図である。
図4B図4Bは、第1の実施形態の変形例に係る絶縁異常の検出処理を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る制御部が実行する第1検出処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第1の実施形態に係る制御部が実行する第2検出処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、第2の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置の構成例を示す説明図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置の動作例を示す説明図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置の動作例を示す説明図である。
図10図10は、検出抵抗に印加される電圧を示す図である。
図11図11は、促進回路の他の構成例を示す図である。
図12図12は、第2の実施形態に係る制御部が実行する検出処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、絶縁抵抗検出装置、絶縁抵抗検出方法および絶縁抵抗検出プログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。実施形態に係る絶縁抵抗検出装置は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車など、電気モータの駆動力を使用して走行する車両に搭載される。
【0010】
なお、実施形態に係る電源制御装置が搭載される車両は、内燃機関によって走行するエンジン自動車であってもよい。実施形態に係る電源制御装置は、自動運転機能を備える車両に搭載されて負荷へ電力を供給する装置である。
【0011】
車両の電気モータに電力を供給する電池には、数100V以上の高電圧を出力する高圧の2次バッテリ(例えば、リチウムイオンバッテリ)が使用される。かかる電池は、漏電すると感電などのおそれがある。
【0012】
このため、電池は、絶縁性のケース等に収納されて外部と電気的に絶縁される。電池のケースは、新品の状態では、抵抗値が数MΩあり、ほぼ電気を通すことはない。しかしながら、電池のケースは、例えば、経年劣化などによって絶縁性能が低下することがある。このため、絶縁抵抗検出装置は、例えば、電池の絶縁抵抗となるケースの絶縁抵抗を検出して監視する。
【0013】
[絶縁検出装置の構成例]
図1は、第1の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置1の構成例を示す説明図である。図1に示すように、絶縁抵抗検出装置1は、高圧側の絶縁抵抗12および低圧側の絶縁抵抗13を介して電池10に接続される。電池10は、直列に接続された複数の電池セル11を備える。
【0014】
高圧側の絶縁抵抗12および低圧側の絶縁抵抗13は、抵抗素子ではなく、前述した電池10を収納する絶縁性のケースの一部分である。なお、高圧側の絶縁抵抗12および低圧側の絶縁抵抗13は、電池10と電池10の外部とを電気的に絶縁するために設けられる抵抗素子であってもよい。
【0015】
絶縁抵抗検出装置1は、計測部2と、制御部3とを備える。計測部2は、電池10の正極側に接続される第1のスイッチ21と、電池10の負極側に接続される第2のスイッチ22と、検出抵抗23,24と、検出抵抗23,24に印加される電圧を計測する計測回路25と、制限抵抗26,27と、検出抵抗23,24に印加される電圧を平滑化する平滑コンデンサ28,29とを備える。
【0016】
制御部3は、コントローラであって、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。制御部3は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより第1のスイッチ21および第2のスイッチ22を制御する。
【0017】
制御部3は、第1のスイッチ21および第2のスイッチ22のうち、一方のスイッチをオンし、他方のスイッチをオフして電池10と電池10の絶縁抵抗12,13と検出抵抗23,24との直列回路を形成し、計測回路25により計測される電圧に基づいて絶縁抵抗12,13を算出する。
【0018】
なお、制御部3は、一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0019】
[絶縁抵抗検出装置の動作例]
次に、図2および図3を参照して、第1の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置1の動作例について説明する。図2および図3は、第1の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置1の動作例を示す説明図である。
【0020】
[絶縁抵抗検出時動作]
例えば、低圧側の絶縁抵抗13の抵抗値を検出する場合、図2に示すように、制御部3は、第1のスイッチ21をオンし、第2のスイッチ22をオフして電池10と、制限抵抗26と、検出抵抗23と、低圧側の絶縁抵抗13との第1直列回路R1を形成する。そして、計測回路25は、検出抵抗23に印加される電圧(検出抵抗23の両端の電圧差)を計測し、計測結果を制御部3に出力する。なお、以下では、検出抵抗23に印加される電圧を「VRN」と称する。
【0021】
このとき、低圧側の絶縁抵抗13の抵抗値が十分高ければ、第1直列回路R1には、電流がほとんど流れない。この場合、計測回路25によって計測される電圧は、0Vに近い値となる。これに対して、低圧側の絶縁抵抗13の抵抗値が低下していれば、第1直列回路R1に電流が流れる。そして、計測回路25によって計測される電圧は、低圧側の絶縁抵抗13の抵抗が低くなるほど、高い値となる。
【0022】
このため、制御部3は、計測回路25により計測される電圧に基づいて、低圧側の絶縁抵抗13の抵抗値を算出し、算出した抵抗値が漏電を示す閾値抵抗値以上であれば、漏電なしと判定する。また、制御部3は、算出した抵抗値が閾値抵抗値未満であれば、漏電ありと判定する。制御部3は、漏電ありと判定した場合、例えば、警告灯などの警告装置にユーザに漏電を知らせる旨の信号を出力する。かかる信号を受信した警告装置は漏電を知らせる旨の音や光を出力する。その結果、ユーザは漏電していることを認識できる。
【0023】
また、例えば、高圧側の絶縁抵抗12の抵抗値を検出する場合、図3に示すように、制御部3は、第1のスイッチ21をオフし、第2のスイッチ22をオンして電池10と、高圧側の絶縁抵抗12と、検出抵抗24と、制限抵抗27との第2直列回路R2を形成する。そして、計測回路25は、検出抵抗24に印加される電圧(検出抵抗24の両端の電圧差)を計測し、計測結果を制御部3に出力する。なお、以下では、検出抵抗24に印加される電圧を「VRP」と称する。
【0024】
このとき、高圧側の絶縁抵抗12の抵抗値が十分高ければ、第2直列回路R2には、電流がほとんど流れない。この場合、計測回路25によって計測される電圧は、0Vに近い値となる。これに対して、高圧側の絶縁抵抗12の抵抗値が低下していれば、第2直列回路R2に電流が流れる。そして、計測回路25によって計測される電圧は、高圧側の絶縁抵抗12の抵抗が低くなるほど、高い値となる。
【0025】
このため、制御部3は、計測回路25により計測される電圧に基づいて、高圧側の絶縁抵抗12の抵抗値を算出し、算出した抵抗値が漏電を示す所定抵抗値以上であれば、漏電なしと判定する。また、制御部3は、算出した抵抗値が所定抵抗値未満であれば、漏電ありと判定する。制御部3は、漏電ありと判定した場合、例えば、警告灯などの警告装置によって、その旨をユーザに警告する。
【0026】
なお、制御部3は、VRPおよびVRNに基づいて、高圧側の絶縁抵抗12および13の並列抵抗値を算出し、当該並列抵抗値が所定抵抗値以上であれば漏電なしと判定し、所定抵抗値未満であれば、漏電ありと判定してもよい。
【0027】
ここで、図1に示すように、電池10と絶縁抵抗検出装置1との間には、絶縁抵抗12,13以外に、コモン容量14,15が存在する場合がある。コモン容量14,15は、意図しない浮遊容量である場合や、車両の制御装置等によって生じるノイズ対策用として設置されたコンデンサ部品である場合がある。コモン容量14,15には、第1のスイッチ21または第2のスイッチ22がオンされる前に溜まった電荷が存在している。このため、第1のスイッチ21または第2のスイッチ22がオンされると、コモン容量14,15に溜まった電荷が検出抵抗23,24に流れる。この結果、検出抵抗23,24で計測した電圧には、コモン容量14,15の電荷分だけ電圧が上昇してしまい、絶縁異常を正確に判定できないおそれがあった。
【0028】
具体的に説明すると、第1のスイッチ21がオンされた場合には、高圧側のコモン容量14の電荷が検出抵抗23に流れることで、検出抵抗23の電圧がコモン容量14の電荷分だけ上昇してしまう。また、第2のスイッチ22がオンされた場合には、低圧側のコモン容量15の電荷が検出抵抗24に流れることで、検出抵抗24の電圧がコモン容量15の電荷分だけ上昇してしまう。
【0029】
このコモン容量14,15による検出抵抗23,24の電圧誤差を低減するために、例えば、コモン容量14,15に溜まった電荷が完全に放電された後に検出抵抗23,24の電圧を計測する方法が考えられる。しかしながら、電荷が完全に放電されるまで検出抵抗23,24の電圧計測を遅らせた場合、絶縁抵抗12,13の異常判定も必然的に遅れることとなってしまう。なお、上記の「電荷が完全に放電」という表現は、電荷がゼロになる場合に限定されるものではなく、例えば、予め測定しておいたピーク時の電圧値から閾値以下(例えば10%以下)の電圧値になった場合を、「電荷が完全に放電」したとしてもよい。
【0030】
そこで、第1の実施形態では、コモン容量14,15の電荷を放電している途中に検出抵抗23,24の電圧計測を行って絶縁抵抗12,13の異常判定を行う。これにより、コモン容量14,15の電荷が完全に放電されるまで待つ必要がないため、絶縁抵抗12,13の異常判定に要する時間を短縮できる。
【0031】
ここで、図4Aを用いて、第1の実施形態に係る絶縁異常の検出処理について説明する。図4Aは、第1の実施形態に係る絶縁異常の検出処理を説明するための図である。図4Aでは、検出抵抗23,24における電圧の時間変化をグラフで示している。なお、図4Aのグラフにおいて、実線は、コモン容量14,15を加味した電圧であり、破線は、コモン容量14,15を除いた電圧である。また、図4Aの電圧値は絶対値で示している。
【0032】
図4Aに示すように、コモン容量14,15を加味した検出抵抗23,24の電圧は、第1のスイッチ21または第2のスイッチ22がオンされたタイミングが最も高く、時間経過に伴って徐々に低下していく。言い換えれば、コモン容量14,15に溜まった電荷は、第1のスイッチ21または第2のスイッチ22がオンされてから徐々に放電される。
【0033】
第1の実施形態では、コモン容量14,15に溜まった電荷が放電されている途中で計測した電圧(VRP1,VRN1)を用いて絶縁抵抗12,13の異常判定を行う。具体的には、第1の実施形態では、絶縁抵抗検出装置1は、第1検出処理と、第2検出処理とを行う。
【0034】
第1検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、第1のスイッチ21または第2のスイッチ22のうち一方のスイッチをオンしてから第1時間が経過したときに第1の電圧値VRP1,VRN1を計測し、その後第2時間が経過したときに第2の電圧値VRP2,VRN2を計測する。第1検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、第2の電圧値VRP2,VRN2を計測した後、上記一方のスイッチをオフし、他方のスイッチをオンする。なお、図4Aでは、VRP計測を計測した後にVRN計測を行う例を示しているが、VRN計測を計測した後にVRP計測を行ってもよい。
【0035】
第1時間は、例えば、第1のスイッチ21または第2のスイッチ22のうち一方のスイッチをオンしてからコモン容量14,15により上昇した分の電圧が所定割合(例えば、60%)低下するまでの時間である。第2時間は、コモン容量14,15により上昇した電圧が無くなる時間、換言すれば、電圧が安定する時間あるいはコモン容量14,15の電荷の放電がほぼ完了する時間である。第1時間および第2時間は、例えば、実験等により電圧計測して予め設定される。したがって、第2の電圧値VRP2,VRN2は、コモン容量の影響を排除した電圧である。なお、第2時間は、コモン容量14,15により上昇した電圧の時間経過に伴う変化割合が安定した時間、詳細には、変化割合が閾値以下になった時間であってもよい。
【0036】
第1検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、計測した第2の電圧値VRP2,VRN2に基づいて絶縁抵抗12,13の異常を検出する。具体的には、第1検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、第2の電圧に基づいて算出した絶縁抵抗12,13の抵抗値が閾値抵抗値以上である場合には異常無し(漏電無し)と判定し、閾値抵抗値未満である場合には異常有り(漏電有り)と判定する。そして、第1検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、異常無しと判定した場合に、計測した第1の電圧値および第2の電圧値を不図示の記憶部に記憶する。また、第1検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、異常有りと判定した場合に、電圧値の記憶は行わず、警告灯などの警告装置にユーザに漏電を知らせる旨の信号を出力する。
【0037】
なお、図4Aでは、第1検出処理においてVRP計測およびVRN計測をそれぞれ1回行う場合を示したが、それぞれ複数回行って、第2の電圧値の代表値(平均値、最頻値、中央値等)を記憶部に記憶するようにしてもよい。
【0038】
第2検出処理は、第1検出処理が終わった後に行われる処理であり、絶縁抵抗検出装置1は、第1のスイッチ21または第2のスイッチ22のうち一方のスイッチをオンしてから第1時間が経過したときに第3の電圧値VRP3,VRN3を計測する。第2検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、第3の電圧値VRP3,VRN3を計測した後、上記一方のスイッチをオフし、他のスイッチをオンする。つまり、第2検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、第1検出処理の第2の電圧値に相当する電圧計測を行わず、コモン容量14,15が放電している途中でスイッチを切り換える。
【0039】
そして、第2検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、計測した第3の電圧値VRP3,VRN3と、記憶部に記憶した第1の電圧値VRP1,VRN1とを比較し、比較結果に基づいて絶縁抵抗12,13の異常を検出する。具体的には、第2検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、第3の電圧値VRP3,VRN3と、第1の電圧値VRP1,VRN1とが設定値以上乖離していない場合、異常無し(漏電無し)と判定する。すなわち、第2検出処理において、仮に第1検出処理と同様に、第1時間が経過したときに第3の電圧値VRP3,VRN3を計測し、その後第2時間が経過したときに第2の電圧値VRP2,VRN2を計測したとする。第3の電圧値VRP3,VRN3と、第1の電圧値VRP1,VRN1とがほぼ等しければ、図4Aにおける2回目の第1検出処理の第2の電圧値VRP2,VRN2は図4Aにおける1回目の第1検出処理の第2の電圧値VRP2,VRN2ともほぼ等しくなる。そこで、第2検出処理においては、第3の電圧値VRP3,VRN3と、第1の電圧値VRP1,VRN1とが設定値以上乖離していない場合、図4Aにおける2回目の第1検出処理の第2の電圧値VRP2,VRN2を計測することなく、記憶した第2の電圧値VRP2,VRN2から算出した絶縁抵抗値を用いて、あるいは、第2の電圧値VRP2,VRN2による異常判定結果を用いて異常判定を行う。
【0040】
このように、第1の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置1は、第2検出処理において、コモン容量14,15が放電している途中で計測した第3の電圧値を用いることで、絶縁抵抗12,13の異常判定を早期に行うことができる。
【0041】
一方、第2検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、第3の電圧値VRP3,VRN3と、第1の電圧値VRP1,VRN1とが設定値以上乖離している場合(図4Aの最初の「第2検出処理」における最後の「VRN」を参照)、第1検出処理を再度行って絶縁抵抗12,13の異常を検出する。すなわち、第3の電圧値VRP3,VRN3と、第1の電圧値VRP1,VRN1とが設定値以上乖離した場合、電池の電圧に変化が生じたか、あるいは絶縁抵抗に変化が生じたとみなすことができる。そのため、絶縁抵抗検出装置1は、第1検出処理を再度行ってコモン容量の影響を排除した絶縁抵抗に基づき再判定する。具体的には、第2検出処理の後に行う第1検出処理(2回目の第1検出処理)では、絶縁抵抗検出装置1は、第1のスイッチ21または第2のスイッチ22のうち一方のスイッチをオンしてから第1時間が経過したときに第1の電圧値VRP1,VRN1を計測し、その後第2時間が経過したときに第2の電圧値VRP2,VRN2を計測する。そして、2回目の第1検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、計測した第2の電圧値VRP2,VRN2に基づいて絶縁抵抗12,13の異常を検出する。具体的には、2回目の第1検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、第2の電圧に基づいて算出した絶縁抵抗12,13の抵抗値が閾値抵抗値以上である場合には異常無し(漏電無し)と判定し、閾値抵抗値未満である場合には異常有り(漏電有り)と判定する。そして、2回目の第1検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、異常無しと判定した場合に、計測した第1の電圧値および第2の電圧値を不図示の記憶部に記憶する。また、2回目の第1検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、異常有りと判定した場合に、電圧値の記憶は行わず、警告灯などの警告装置にユーザに漏電を知らせる旨の信号を出力する。
【0042】
つまり、絶縁抵抗検出装置1は、第2検出処理において絶縁異常の判定を行った後に、再度行う2回目の第1検出処理においてコモン容量14,15の電荷が完全に放電した状態で計測した第2の電圧値に基づいて絶縁抵抗12,13の異常判定を行って絶縁異常を確定させる。このように、第2検出処理の後に第1検出処理を行って絶縁異常を再判定させることで、絶縁抵抗12,13の異常を高精度に検出することができる。
【0043】
次に、図4Aに示すように、2回目の第1検出処理における再判定の結果、検出した乖離について異常無しと判定した場合、絶縁抵抗検出装置1は、再び第2検出処理(2回目の第2検出処理)を行う。具体的には、2回目の第2検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、第1のスイッチ21または第2のスイッチ22のうち一方のスイッチをオンしてから第1時間が経過したときに第3の電圧値VRP3,VRN3を計測する。第2検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、第3の電圧値VRP3,VRN3を計測した後、上記一方のスイッチをオフし、他のスイッチをオンする。そして、2回目の第2検出処理では、絶縁抵抗検出装置1は、計測した第3の電圧値VRP3,VRN3と、直前の第1検出処理(2回目の第1検出処理)で計測した第1の電圧値VRP1,VRN1とを比較し、比較結果に基づいて絶縁抵抗12,13の異常を検出する。
【0044】
なお、絶縁抵抗検出装置1は、第2検出処理において、第3の電圧値VRP3,VRN3と、第1の電圧値VRP1,VRN1とが設定値以上乖離しない限りは、第2検出処理を継続して行う。
【0045】
また、図4Aでは、2つの第3の電圧値VRP3,VRN3のうち、一方の電圧値が1回乖離した場合に、第1検出処理に切り替えたが、一方の電圧値が複数回連続して乖離した場合に、第1検出処理に切り替えるようにしてもよい。これにより、絶縁異常の検出精度を安定させることができる。
【0046】
また、図4Aでは、絶縁抵抗検出装置1は、第2検出処理において第3の電圧値が第1の電圧値と乖離した場合に、第1検出処理に切り替えて異常確定を行う例を説明したが、これに限定されるものではない。
【0047】
例えば、絶縁抵抗検出装置1は、第2検出処理において第3の電圧値が第1の電圧値と乖離した場合に、第2検出処理において第2の電圧値を計測して異常判定してもよい。具体的には、絶縁抵抗検出装置1は、VRN計測(図4Aの最後のVRN計測)において第3の電圧値が第1の電圧値と乖離した場合に、スイッチを切り換えずに、当該VRN計測(図4Aの最初の「第2検出処理」における最後の「VRN」)を第2時間が経過するまで継続して第2の電圧値を計測してもよい。
【0048】
このように、第2検出処理において絶縁異常の判定および再判定を行うことで、第2検出処理から第1検出処理に切り替える必要がないため、絶縁抵抗12,13の異常をより早期に検出することができる。
【0049】
また、絶縁抵抗検出装置1は、第2検出処理における第3の電圧値の乖離が電池10の電圧異常に起因するものであるか否かを判定してもよい。具体的には、絶縁抵抗検出装置1は、第1検出処理に、第1のスイッチ21および第2のスイッチ22の両方をオンし計測回路25により電池10の電圧(以下、電池電圧)を計測する電池電圧計測処理を含める。例えば、絶縁抵抗検出装置1は、第1検出処理において最初に電池電圧を計測し、その後VRP、VRNを計測する。なお、絶縁抵抗検出装置1は、VRNを計測した後に電池電圧を計測してもよい(以下、第1検出処理で計測した電池電圧を第1の電池電圧という)。そして、絶縁抵抗検出装置1は、第1検出処理において第1の電圧値に第1の電池電圧を紐付けて記憶しておく。
【0050】
また、絶縁抵抗検出装置1は、第2検出処理にも電池電圧計測処理を含める。例えば、絶縁抵抗検出装置1は、第2検出処理として、電池電圧計測処理―VRP計測―VRN計測を1セットとしてこの処理を繰り返す(以下、第2検出処理で計測した電池電圧を第2の電池電圧という)。そして、絶縁抵抗検出装置1は、第2検出処理において第3の電圧値が第1の電圧値から設定値以上乖離した場合、直前に計測した第2の電池電圧と第1の電圧値に紐付いた第1の電池電圧との差電圧を算出する。絶縁抵抗検出装置1は、その差電圧に基づき、第1の電圧値からの第3の電圧値の乖離分を算出する。絶縁抵抗検出装置1は、算出した第3の電圧値の乖離分と実際の第3の電圧値の乖離とがほぼ等しい場合、第3の電圧値の乖離が電池電圧に起因すると判定し、絶縁抵抗12,13に異常無しと判定する。つまり、絶縁抵抗検出装置1は、第2検出処理において電池電圧に起因する第3の電圧値の乖離が発生した場合には、第1検出処理への切り替えを行わない。
【0051】
一方、絶縁抵抗検出装置1は、算出した第3の電圧値の乖離分と実際の第3の電圧値の乖離とに閾値以上の差がある場合、第3の電圧値の乖離が絶縁異常に起因する可能性があるため、第1検出処理への切り替えを行う。
【0052】
このように、絶縁抵抗検出装置1は、電池10の電圧を比較することで、第3の電圧値の乖離が電池電圧に起因するかを特定でき、電池電圧に起因する場合は、第1検出処理に切り替えず、第2検出処理を続行するため、第1検出処理に切り替えることにより異常検出時間が長くなるのを防止できる。
【0053】
なお、図4Aで示した処理の流れは一例であって、これに限定されるものではない。例えば、図4Bに示すように、まず第2検出処理から始めてもよい。かかる点について、図4Bを用いて説明する。
【0054】
図4Bは、第1の実施形態の変形例に係る絶縁異常の検出処理を説明するための図である。図4Aでは、第1検出処理から始める処理であったのに対し、図4Bでは、第2検出処理から始める処理を示している。
【0055】
具体的には、絶縁抵抗検出装置1は、第1のスイッチ21または第2のスイッチ22のうち一方のスイッチをオンしてから第1時間が経過したときに第3の電圧値VRP3を計測する。絶縁抵抗検出装置1は、計測した第3の電圧VRP3を記憶するとともに、第3の電圧VRP3に基づいて算出した絶縁抵抗12の抵抗値が閾値抵抗値以上である場合には異常無し(漏電無し)と判定し、閾値抵抗値未満である場合には異常の可能性有り(漏電の可能性有り)と判定する。
【0056】
すなわち、第3の電圧VRP3はコモン容量の電圧が放電途中の電圧であるため、絶縁抵抗検出装置1は、第3の電圧VRP3からではコモン容量の電圧が放電しきったときの正確な絶縁抵抗12の抵抗値を算出できない。しかしながら、第3の電圧VRP3に基づいて算出した絶縁抵抗12の抵抗値は、コモン容量の電圧が放電しきったときの正確な絶縁抵抗12の抵抗値より小さくなる。そのため、第3の電圧VRP3に基づいて算出した絶縁抵抗12の抵抗値が閾値抵抗値以上であるということは、コモン容量の電圧が放電しきったときの正確な絶縁抵抗12の抵抗値も閾値抵抗値以上になる。そのため、第3の電圧VRP3に基づいて算出した絶縁抵抗12の抵抗値が閾値抵抗値以上である場合には異常無し(漏電無し)と判定することができる。
【0057】
一方、第3の電圧VRP3に基づいて算出した絶縁抵抗12の抵抗値が閾値抵抗値未満である場合、コモン容量の電圧が放電しきったときの正確な絶縁抵抗12の抵抗値は、閾値抵抗値以上(すなわち、以上なし)であることも考えられる。そこで、絶縁抵抗検出装置1は、異常の可能性有りと判定した場合、第1検出処理に移行する。
【0058】
また、絶縁抵抗検出装置1は、異常無しと判定した場合、上記一方のスイッチをオフし、他のスイッチをオンして切り替えてVRN計測(第3の電圧VRN3の計測)を行う。絶縁抵抗検出装置1は、計測した第3の電圧VRN3を基準電圧として記憶するとともに、第3の電圧VRN3に基づいて算出した絶縁抵抗13の抵抗値が閾値抵抗値以上である場合には異常無し(漏電無し)と判定し、閾値抵抗値未満である場合には異常の可能性有り(漏電の可能性有り)と判定する。絶縁抵抗検出装置1は、異常の可能性有りと判定した場合、第1検出処理に移行する。
【0059】
また、絶縁抵抗検出装置1は、異常無しと判定した場合、スイッチを切り替えて再びVRP計測を行う。絶縁抵抗検出装置1は、計測した第3の電圧値VRP3と、記憶部に記憶した第3の電圧値VRP3とを比較し、比較結果に基づいて絶縁抵抗12の異常を検出する。具体的には、絶縁抵抗検出装置1は、2つの第3の電圧値VRP3の乖離が閾値未満であれば、異常無し(漏電無し)と判定して第2検出処理を継続し、乖離が閾値以上であれば、異常の可能性有りと判定して第1検出処理に移行する。絶縁抵抗検出装置1は、第1検出処理では、第1の電圧値VRP1,VRN1および第2の電圧値VRP2,VRN2を計測して異常判定を行う。このように、図4Bでは、第2検出処理から始める、言い換えれば最初の第1検出処理を省くことで、図4Aのように最初に第1検出処理を行わない分だけ、異常判定に要する時間を短縮することができる。
【0060】
[制御部が実行する処理]
次に、図5および図6を参照して、制御部3が実行する処理について説明する。図5は、第1の実施形態に係る制御部3が実行する第1検出処理の一例を示すフローチャートである。図6は、制御部3が実行する第2検出処理の一例を示すフローチャートである。図5に示す処理は、車両のIG(イグニッションスイッチ)がオンされてからオフされるまで繰り返し実行される。
【0061】
まず、図5を用いて、第1検出処理について説明する。図5に示すように、制御部3は、まず、フラグFが1であるか否かを判定する(ステップS101)。フラグFは、第1検出処理が終了したか否かを示すフラグであり、第1検出処理が行われていない場合「0」である。制御部3は、フラグFが1である場合(ステップS101:Yes)、第1検出処理は終了しているため、ステップS102以下の第1検出処理を終了し、第2検出処理へ移行する。一方、制御部3は、フラグFがゼロである場合、すなわち、第1検出処理が実行されていない場合(ステップS101:No)、第1検出処理を実行する。すなわち、制御部3は、第1のスイッチ21をオフ、第2のスイッチ22をオンしてVRP計測を開始する(ステップS102)。
【0062】
つづいて、制御部3は、第2のスイッチ22をオンしてから第1時間が経過したタイミングで検出抵抗24の第1の電圧値VRP1を計測する(ステップS103)。具体的には、制御部3は、第1時間が経過したタイミングで計測部2が計測した第1の電圧値VRP1を取得する。
【0063】
つづいて、制御部3は、第2のスイッチ22をオンしてから第2時間が経過したタイミングで検出抵抗24の第2の電圧値VRP2を計測する(ステップS104)。具体的には、制御部3は、第2時間が経過したタイミングで計測部2が計測した第1の電圧値VRP2を取得する。
【0064】
つづいて、制御部3は、計測した第2の電圧値VRP2に基づいて絶縁抵抗12の絶縁抵抗値を算出し、絶縁抵抗値が所定の抵抗値以上である否かを判定する(ステップS105)。つまり、制御部3は、絶縁抵抗値が十分に高い値であるか否か(絶縁できているか否か)を判定する。
【0065】
制御部3は、絶縁抵抗値が所定の抵抗値以上である場合(ステップS105:Yes)、漏電無しと判定し(ステップS106)、取得した第1の電圧値VRP1および第2の電圧値VRP2を記憶部に記憶する(ステップS107)。
【0066】
つづいて、制御部3は、第1のスイッチ21をオン、第2のスイッチ22をオフしてVRN計測を開始する(ステップS108)。
【0067】
つづいて、制御部3は、第2のスイッチ22をオンしてから第1時間が経過したタイミングで検出抵抗23の第1の電圧値VRN1を計測する(ステップS109)。具体的には、制御部3は、第1時間が経過したタイミングで計測部2が計測した第1の電圧値VRN1を取得する。
【0068】
つづいて、制御部3は、第2のスイッチ22をオンしてから第2時間が経過したタイミングで検出抵抗23の第2の電圧値VRN2を計測する(ステップS110)。具体的には、制御部3は、第2時間が経過したタイミングで計測部2が計測した第2の電圧値VRN2を取得する。
【0069】
つづいて、制御部3は、計測した第2の電圧値VRN2に基づいて絶縁抵抗13の絶縁抵抗値を算出し、絶縁抵抗値が所定の抵抗値以上である否かを判定する(ステップS111)。つまり、制御部3は、絶縁抵抗値が十分に高い値であるか否か(絶縁できているか否か)を判定する。
【0070】
制御部3は、絶縁抵抗値が所定の抵抗値以上である場合(ステップS111:Yes)、漏電無しと判定し(ステップS112)、取得した第1の電圧値VRN1および第2の電圧値VRN2を記憶部に記憶する(ステップS113)。つづいて、制御部3は、フラグF=1を付与し、第1検出処理を終了し、第2検出処理へ移行する。
【0071】
一方、制御部3は、ステップS105およびステップS111において、絶縁抵抗値が所定の抵抗値未満である場合(ステップS105:No、ステップS111:No)、漏電有りと判定する(ステップS114)。制御部3は、漏電ありと判定した場合、例えば、警告灯などの警告装置によって、その旨をユーザに警告する(ステップS115)。つづいて、制御部3は、フラグF=1を付与し、第1検出処理を終了し、第2検出処理へ移行する。
【0072】
次に、図6を用いて、第2検出処理について説明する。図6に示すように、制御部3は、まず、フラグFが1であるか否かを判定する(ステップS201)。制御部3は、フラグFが1である場合(ステップS201:Yes)、第2検出処理を実行する。すなわち、制御部3は、第1のスイッチ21をオフ、第2のスイッチ22をオンしてVRP計測を開始する(ステップS202)。一方、制御部3は、フラグFがゼロである場合、すなわち、第1検出処理が終了していない場合(ステップS201:No)、第2検出処理を終了する。
【0073】
つづいて、制御部3は、第2のスイッチ22をオンしてから第1時間が経過したタイミングで検出抵抗24の第3の電圧値VRP3を計測する(ステップS203)。具体的には、制御部3は、第1時間が経過したタイミングで計測部2が計測した第3の電圧値VRP3を取得する。
【0074】
つづいて、制御部3は、第1検出処理で計測した電圧VRP1を記憶部から読み出し(ステップS204)、第1検出処理で計測した電圧VRP1と、第2検出処理で計測した第3の電圧値VRP3との差分が所定範囲内である否かを判定する(ステップS205)。つまり、制御部3は、第2検出処理で計測した第3の電圧値VRP3が第1検出処理で計測した電圧VRP1と乖離していないかを判定する。
【0075】
制御部3は、第1検出処理で計測した電圧VRP1と、第2検出処理で計測した第3の電圧値VRP3との差分が所定範囲内である場合(ステップS205:Yes)、漏電無しと判定する(ステップS206)。
【0076】
つづいて、制御部3は、第1のスイッチ21をオン、第2のスイッチ22をオフしてVRN計測を開始する(ステップS207)。
【0077】
つづいて、制御部3は、第2のスイッチ22をオンしてから第1時間が経過したタイミングで検出抵抗23の第3の電圧値VRN3を計測する(ステップS208)。具体的には、制御部3は、第1時間が経過したタイミングで計測部2が計測した第3の電圧値VRN3を取得する。
【0078】
つづいて、制御部3は、第1検出処理で計測した電圧VRN1を記憶部から読み出し(ステップS209)、第1検出処理で計測した電圧VRN1と、第2検出処理で計測した第3の電圧値VRN3との差分が所定範囲内である否かを判定する(ステップS210)。つまり、制御部3は、第2検出処理で計測した第3の電圧値VRN3が第1検出処理で計測した電圧VRN1と乖離していないかを判定する。
【0079】
制御部3は、第1検出処理で計測した電圧VRN1と、第2検出処理で計測した第3の電圧値VRN3との差分が所定範囲内である場合(ステップS210:Yes)、漏電無しと判定し(ステップS211)、ステップS201に戻る。
【0080】
一方、制御部3は、ステップS205およびステップS210において、電圧の差分が所定範囲内である場合(ステップS205:No、ステップS210:No)、フラグF=0にして第1検出処理へ移行し(ステップS212)、第2検出処理を終了する。なお、車両起動時(IG-ON時)又は車両終了時(IG-OFF時)には、フラグFがリセットされる(F=0)。
【0081】
上述したように、第1の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置1は、コントローラ(制御部3)を備える。コントローラは、電池10の正極側に接続される第1のスイッチ21および負極側に接続される第2のスイッチ22のうち、一方のスイッチをオンし、他方のスイッチをオフすることで、電池10と、電池10の絶縁抵抗12,13と、検出抵抗23,24とで直列回路を形成し、検出抵抗23,24に印加される電圧値に基づいて絶縁抵抗12,13の異常を検出する。コントローラは、一方のスイッチをオンしてから検出抵抗23,24の電圧値が低下している第1時間が経過したときに検出した第1の電圧値と、第1時間より長い第2時間であって、検出抵抗23,24の電圧値の時間経過に伴う変化割合が閾値以下となる第2時間が経過したときに検出した第2の電圧値とを記憶部に記憶するとともに、第2の電圧値に基づいて絶縁抵抗12,13の異常を検出する第1検出処理と、一方のスイッチが再びオンしてから第1時間が経過したときに検出した第3の電圧値と、記憶部に記憶された第1の電圧値との比較結果に基づいて絶縁抵抗12,13の異常を検出する第2検出処理とを実施可能であり、起動後に、第1検出処理で絶縁抵抗12,13の異常を検出し、その後は、第2検出処理で絶縁抵抗12,13の異常を検出する。
【0082】
これにより、絶縁抵抗検出装置1は、コモン容量に溜まっている電荷が一定値以下になるまで放電するのを待たずとも、放電の途中の時間で取得した電圧値を用いて絶縁抵抗を算出し異常判定できる。すなわち、絶縁抵抗の異常判定に要する時間を短縮できる。
【0083】
次に、図7図12を用いて、第2の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置1について説明する。図7は、第2の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置1の構成例を示す説明図である。図7に示すように、第2の実施形態では、第1の実施形態と比べて、促進回路31,32をさらに備える点で異なる。
【0084】
促進回路31,32は、検出抵抗23,24に対して並列して接続され、検出抵抗23,24に印加される電圧値の低下を促進する。換言すれば、促進回路31,32は、コモン容量の電圧の放電速度を高める、すなわち、検出抵抗23,24に印加される電圧値の減少割合を高める。具体的には、第1の促進回路31は、電池10の高圧側において検出抵抗23に並列して接続され、検出抵抗23に印加される電圧値の低下を促進する。第2の促進回路32は、電池10の低圧側において検出抵抗24に並列して接続され、検出抵抗24に印加される電圧値の低下を促進する。図7に示すように、促進回路31,32は、抵抗311,321と、第3のスイッチ312,322とが直列に接続される。
【0085】
[絶縁抵抗検出装置の動作例]
次に、図8および図9を参照して、第2の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置1の動作例について説明する。図8および図9は、第2の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置1の動作例を示す説明図である。
【0086】
[絶縁抵抗検出時動作]
例えば、低圧側の絶縁抵抗13の抵抗値を検出する場合、図8に示すように、制御部3は、第1のスイッチ21をオンし、第2のスイッチ22をオフして電池10と、制限抵抗26と、検出抵抗23と、低圧側の絶縁抵抗13とで形成される第1直列回路R1を用いて低圧側の絶縁抵抗13の抵抗値を検出する。また、制御部3は、第1の促進回路31の第3のスイッチ312を一定時間オンした後に、オフする。そして、計測回路25は、第1の促進回路31のスイッチ312がオフされた後の一定時間後に、検出抵抗23に印加される電圧(検出抵抗23の両端の電圧差)を計測し、計測結果を制御部3に出力する。
【0087】
つまり、第2の実施形態では、検出抵抗23と抵抗311との並列抵抗による合成抵抗は、検出抵抗23の抵抗値よりも小さくなる。これにより、コモン容量14に溜まった電荷を、検出抵抗23と抵抗311との合成抵抗によって放電させることで、検出抵抗23のみで放電させる場合よりも早く放電することができる。
【0088】
また、例えば、高圧側の絶縁抵抗12の抵抗値を検出する場合、図9に示すように、制御部3は、第1のスイッチ21をオフし、第2のスイッチ22をオンして電池10と、高圧側の絶縁抵抗12と、検出抵抗24と、制限抵抗27とで形成される第2直列回路R2を用いて高圧側の絶縁抵抗12の抵抗値を検出する。また、制御部3は、第2の促進回路32の第3のスイッチ322を一定時間オンした後に、オフする。そして、計測回路25は、第2の促進回路32の第3のスイッチ322がオフされた後の一定時間後に、検出抵抗24に印加される電圧(検出抵抗24の両端の電圧差)を計測し、計測結果を制御部3に出力する。
【0089】
つまり、第2の実施形態では、検出抵抗24と抵抗321との並列抵抗による合成抵抗は、検出抵抗24の抵抗値よりも小さくなる。これにより、コモン容量15に溜まった電荷を、検出抵抗24と抵抗321との合成抵抗によって放電させることで、検出抵抗24のみで放電させる場合よりも早く放電することができる。
【0090】
図10は、経過時間ごとの検出抵抗23,24に印加される電圧を示す図である。図10では、促進回路31,32が無い場合の電圧変化を示すグラフと、促進回路31,32が有る場合の電圧変化を示すグラフとを示している。なお、図10のグラフおいて、時刻t0は、第1のスイッチ21または第2のスイッチ22がオンされたタイミングであり、促進回路31(または促進回路32)の第3のスイッチ312(またはスイッチ322)がオンされたタイミングである。時刻t1は、促進回路31(または促進回路32)のスイッチ312(またはスイッチ322)がオフされたタイミングである。時刻t2は、促進回路31,32が有る場合の電圧計測タイミングであり、時刻t3は、促進回路31,32が無い場合の電圧計測タイミングである。
【0091】
図10に示すように、促進回路31,32がある場合は、促進回路31,32が無い場合に比べて、時刻t0から時刻t1の期間において、定常状態(コモン容量14,15が完全に放電した状態)に近づく時間が早い。すなわち、促進回路31,32は、直列回路R1,R2の時定数を小さくする回路である。この結果、図10に示したように、検出抵抗23,24の電圧は時刻t2で定常状態に到達する。つまり、定常状態に到達する時間が促進回路31,32の無い場合と比べてΔtの分だけ早くなる。このように、検出抵抗23,24の電圧を計測するタイミングをΔtだけ早くすることができるため、絶縁異常を早期に判定することができる。
【0092】
また、促進回路31,32をオフするタイミング(時刻t1)は、例えば、検出抵抗23,24の電圧の変化率が閾値未満となったタイミングである。これにより、コモン容量14,15に溜まった電荷を十分に放電した後で促進回路31,32をオフすることができるとともに、促進回路31,32により電圧が過度に低下することを防ぐことができる。ここで、検出抵抗23,24の電圧の変化率が閾値未満となったタイミングとは、計測回路25により短周期で検出抵抗23,24の電圧およびその変化率を計測し、変化率が閾値未満になったタイミングである。なお、検出抵抗23,24の電圧の変化率が閾値未満になるまでの時間を、種々のコモン容量に対して予め実験により求めておき、その平均時間をメモリに記憶して利用してもよい。
【0093】
なお、上記では、促進回路31,32が抵抗311,321およびスイッチ312,322により構成される例を示したが、促進回路31,32の構成はこれに限定されるものではない。
【0094】
図11は、促進回路31,32の他の構成例を示す図である。図11に示すように、促進回路31,32は、定電流回路41,42として構成されてもよい。具体的には、第1の定電流回路41は、検出抵抗23に対して並列に接続される。また、第2の定電流回路42は、検出抵抗24に対して並列に接続される。
【0095】
制御部3は、第1のスイッチ21をオンする場合に、第1の定電流回路41をオンする。これにより、コモン容量14に溜まった電荷を第1の定電流回路41を介して放電することができる。詳細には、検出抵抗23による放電に加え、定電流回路41により一定電流で放電させる。これにより、コモン容量14に溜まった電荷を、検出抵抗23と第1の定電流回路41によって放電させることで、検出抵抗23のみで放電させる場合よりも早く放電することができる。
【0096】
また、制御部3は、第2のスイッチ22をオンする場合に、第2の定電流回路42をオンする。これにより、コモン容量15に溜まった電荷を第2の定電流回路42を介して放電することができる。詳細には、検出抵抗24による放電に加え、定電流回路42により一定電流で放電させる。これにより、コモン容量15に溜まった電荷を、検出抵抗24と第2の定電流回路42によって放電させることで、検出抵抗24のみで放電させる場合よりも早く放電することができる。
【0097】
さらに、促進回路31,32を定電流回路41,42とすることで、絶縁抵抗12,13の抵抗値に応じて定電流回路41,42で流す電流を調整することで、絶縁抵抗12,13との抵抗分圧比を常に一定に保つことができる。これにより、コモン容量14,15の放電量を一定に保つことができる。
【0098】
[制御部が実行する処理]
次に、図12を参照して、制御部3が実行する処理について説明する。図12は、第2の実施形態に係る制御部3が実行する検出処理の一例を示すフローチャートである。図12に示す処理は、車両のIG(イグニッションスイッチ)がオンされてからオフされるまで繰り返し実行される。なお、以下において、「促進回路をオンまたはオフ」とは、図7で示したスイッチ312,322をオンまたはオフ、あるいは、図11で示した定電流回路41,42をオンまたはオフすることを指す。
【0099】
図12に示すように、制御部3は、まず、第1のスイッチ21をオフ、第2のスイッチ22をオン、第2の促進回路32をオンしてVRP計測を開始する(ステップS301)。つづいて、制御部3は、一定時間が経過した後、第2の促進回路32をオフする(ステップS302)。
【0100】
つづいて、制御部3は、第2の促進回路32をオフしてから一定時間が経過したタイミングで検出抵抗24の電圧VRPを計測する(ステップS303)。具体的には、制御部3は、計測部2が計測した電圧VRPを取得する。
【0101】
つづいて、制御部3は、計測した電圧VRPに基づいて絶縁抵抗12の絶縁抵抗値を算出し、絶縁抵抗値が所定の抵抗値以上である否かを判定する(ステップS304)。つまり、制御部3は、絶縁抵抗値が十分に高い値であるか否か(絶縁できているか否か)を判定する。
【0102】
制御部3は、絶縁抵抗値が所定の抵抗値以上である場合(ステップS304:Yes)、漏電無しと判定する(ステップS305)。
【0103】
つづいて、制御部3は、第1のスイッチ21をオン、第2のスイッチ22をオフ、第1の促進回路31をオンしてVRN計測を開始する(ステップS306)。つづいて、制御部3は、一定時間が経過した後、第1の促進回路31をオフする(ステップS307)。
【0104】
つづいて、制御部3は、第1の促進回路31をオフしてから一定時間が経過したタイミングで検出抵抗23の電圧VRNを計測する(ステップS308)。具体的には、制御部3は、計測部2が計測した電圧VRNを取得する。
【0105】
つづいて、制御部3は、計測した電圧VRNに基づいて絶縁抵抗13の絶縁抵抗値を算出し、絶縁抵抗値が所定の抵抗値以上である否かを判定する(ステップS309)。つまり、制御部3は、絶縁抵抗値が十分に高い値であるか否か(絶縁できているか否か)を判定する。
【0106】
制御部3は、絶縁抵抗値が所定の抵抗値以上である場合(ステップS309:Yes)、漏電無しと判定し(ステップS310)、検出処理を終了する。
【0107】
一方、制御部3は、ステップS304およびステップS309において、絶縁抵抗値が所定の抵抗値未満である場合(ステップS304:No、ステップS309:No)、漏電有りと判定する(ステップS311)。制御部3は、漏電ありと判定した場合、例えば、警告灯などの警告装置によって、その旨をユーザに警告し(ステップS312)、検出処理を終了する。
【0108】
上述したように、第2の実施形態に係る絶縁抵抗検出装置1は、コントローラ(制御部3)と、促進回路31,32とを備える。コントローラは、電池10の正極側に接続される第1のスイッチ21および負極側に接続される第2のスイッチ22のうち、一方のスイッチをオンし、他方のスイッチをオフすることで、電池10と、電池10の絶縁抵抗12,13と、検出抵抗23,24とで直列回路R1,R2を形成し、検出抵抗23,24に印加される電圧値に基づいて絶縁抵抗12,13の異常を検出する。促進回路31,32は、検出抵抗23,24に並列して接続され、一方のスイッチをオンした際に検出抵抗23,24に印加される電圧値の減少割合を高める。コントローラは、促進回路31,32によって低下した電圧値に基づいて絶縁抵抗12,13の異常を検出する。これにより、検出抵抗23,24と促進回路31,32との並列抵抗による合成抵抗とすることで、検出抵抗23,24の抵抗値よりも小さくできる。これにより、コモン容量14,15に溜まった電荷を、検出抵抗23,24と促進回路31,32との合成抵抗によって放電させることで、検出抵抗23,24のみで放電させる場合よりも早く放電することができる。すなわち、絶縁抵抗12,13の異常判定に要する時間を短縮できる。
【0109】
なお、上述した第2の実施形態では、促進回路31,32をオフしてから絶縁抵抗12,13の異常判定を行う処理例を示したが、促進回路31,32をオンした状態で絶縁抵抗12,13の異常判定を行ってもよい。
【0110】
[付記]
付記として、本発明の特徴を以下の通り示す。
(1)
電池の正極側に接続される第1のスイッチおよび負極側に接続される第2のスイッチのうち、一方のスイッチをオンし、他方のスイッチをオフすることで、前記電池と、前記電池の絶縁抵抗と、検出抵抗とで直列回路を形成し、前記検出抵抗に印加される電圧値に基づいて前記絶縁抵抗の異常を検出するコントローラと、
前記検出抵抗に並列して接続され、前記一方のスイッチをオンした際に前記検出抵抗に印加される電圧値の減少割合を高める促進回路と、
を備え
前記コントローラは、
前記促進回路によって低下した前記電圧値に基づいて前記絶縁抵抗の異常を検出する
絶縁抵抗検出装置。
(2)
前記促進回路は、
前記直列回路の時定数を小さくする回路である
(1)に記載の絶縁抵抗検出装置。
(3)
前記促進回路は、
第3のスイッチと抵抗とが直列に接続されて構成され、
前記コントローラは、
前記一方のスイッチをオンする際に、前記促進回路の前記第3のスイッチをオンする
(1)または(2)に記載の絶縁抵抗検出装置。
(4)
前記促進回路は、
定電流回路を含み、
前記コントローラは、
前記一方のスイッチをオンする際に、前記定電流回路をオンする
(1)~(3)のいずれか1つに記載の絶縁抵抗検出装置。
(5)
前記コントローラは、
前記検出抵抗に印加される電圧値の変化率が閾値未満となった場合に、前記促進回路の動作を停止させる
(1)~(4)のいずれか1つに記載の絶縁抵抗検出装置。
(6)
絶縁抵抗検出装置が実行する絶縁抵抗検出方法であって、
電池の正極側に接続される第1のスイッチおよび負極側に接続される第2のスイッチのうち、一方のスイッチをオンし、他方のスイッチをオフすることで、前記電池と、前記電池の絶縁抵抗と、検出抵抗とで直列回路を形成し、前記検出抵抗に印加される電圧値に基づいて前記絶縁抵抗の異常を検出し、
前記検出抵抗に並列して接続される促進回路により、前記一方のスイッチをオンした際に前記検出抵抗に印加される電圧値の減少割合を高め、
前記促進回路によって低下した前記電圧値に基づいて前記絶縁抵抗の異常を検出する
絶縁抵抗検出方法。
【0111】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 絶縁抵抗検出装置
2 計測部
3 制御部
10 電池
11 電池セル
12、13 絶縁抵抗
14、15 コモン容量
21 第1のスイッチ
22 第2のスイッチ
23、24 検出抵抗
25 計測回路
26、27 制限抵抗
31 第1の促進回路
32 第2の促進回路
41 第1の定電流回路
42 第2の定電流回路
311、321 抵抗
312、322 スイッチ
R1 第1直列回路
R2 第2直列回路
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12