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特開2025-38829超音波画像の探索装置及びそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025038829
(43)【公開日】2025-03-19
(54)【発明の名称】超音波画像の探索装置及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20250312BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145675
(22)【出願日】2023-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114524
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】岩田 浩康
(72)【発明者】
【氏名】志田 優樹
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 颯杜
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD15
4C601DD27
4C601EE11
4C601GA18
4C601GA21
4C601GA24
4C601GA25
4C601GA26
4C601JB34
4C601JC08
(57)【要約】
【課題】エコー検査の診断に適切となる超音波画像を簡易に取得すること。
【解決手段】本発明の超音波画像の探索装置13は、被検者の胸部表面に接触する超音波プローブPの位置や姿勢を変化させながら得られた複数の心臓の超音波画像から、心エコー検査のための所望の検査断面が描出される対象画像を探索可能になっている。この探索装置13は、各超音波画像の画像解析により、対象画像が得られる超音波プローブPの所望位置及び所望姿勢からなる適正配置を推定し、適正配置のときに得られた前記超音波画像を前記対象画像として抽出する画像解析部16を備える。画像解析部16は、各超音波画像について、対象画像での描出が必要となる心臓内の所定部位の存在確率を表す推論値を含む検出情報を取得する画像解析を行い、被検者の心尖部表面上での超音波プローブPの適正配置を特定するプローブ配置特定部19を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の胸部表面に接触する超音波プローブの位置や姿勢を変化させながら得られた複数の心臓の超音波画像から、心エコー検査のための所望の検査断面が描出される対象画像を探索する装置であって、
前記各超音波画像の画像解析により、前記対象画像が得られる前記超音波プローブの所望位置及び所望姿勢からなる適正配置を推定し、当該適正配置のときに得られた前記超音波画像を前記対象画像として抽出する画像解析部を備え、
前記画像解析部は、前記各超音波画像について、前記対象画像での描出が必要となる心臓内の所定部位の存在確率を表す推論値を含む検出情報を取得する画像解析を行い、前記被検者の心尖部表面上での前記超音波プローブの前記適正配置を特定するプローブ配置特定部を備えたことを特徴とする超音波画像の探索装置。
【請求項2】
前記プローブ配置特定部は、前記超音波プローブが前記心尖部表面に当接する状態となる前記所望位置を推定する所望位置推定部を備え、
前記所望位置推定部では、予め位置が推定された僧帽弁上を起点として、前記超音波プローブが左室長軸に沿って前記胸部表面を移動しながら逐次得られる前記各超音波画像について、僧帽弁の前記検出情報に基づき、前記推論値が所定値以上で、且つ、複数連続して僧帽弁を検出した最後のタイミングでの前記超音波プローブの位置を前記所望位置とすることを特徴とする請求項1記載の超音波画像の探索装置。
【請求項3】
前記プローブ配置特定部は、前記心尖部表面に当接する位置に存在する前記超音波プローブの前記所望姿勢を推定する所望姿勢推定部を備え、
前記所望姿勢推定部は、前記超音波プローブのヨー方向の回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により、ヨー方向における前記所望姿勢を特定するヨーイング情報取得部を含み、
前記ヨーイング情報取得部では、前記各超音波画像について、僧帽弁及び心室中隔の前記検出情報に基づき、僧帽弁及び心室中隔の前記各推論値を総合した総合推論値のより高いヨー方向の姿勢を前記所望姿勢とすることを特徴とする請求項1又は2記載の超音波画像の探索装置。
【請求項4】
前記プローブ配置特定部は、前記心尖部表面に当接する位置に存在する前記超音波プローブの前記所望姿勢を推定する所望姿勢推定部を備え、
前記所望姿勢推定部は、前記超音波プローブのロール方向の回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により、ロール方向における前記所望姿勢を特定するローリング情報取得部を含み、
前記ローリング情報取得部では、前記各超音波画像について、心室中隔の前記検出情報に基づき、当該心室中隔が画像中心付近に存在するロール方向の姿勢を前記所望姿勢とすることを特徴とする請求項1又は2記載の超音波画像の探索装置。
【請求項5】
前記プローブ配置特定部は、前記心尖部表面に当接する位置に存在する前記超音波プローブの前記所望姿勢を推定する所望姿勢推定部を備え、
前記所望姿勢推定部は、前記超音波プローブのピッチ方向の回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により、ピッチ方向における前記所望姿勢を特定するピッチング情報取得部を含み、
前記ピッチング情報取得部では、前記各超音波画像について、僧帽弁及び三尖弁の前記検出情報に基づき、僧帽弁及び三尖弁の前記各推論値を総合した総合推論値のより高いピッチ方向の姿勢を前記所望姿勢とすることを特徴とする請求項1又は2記載の超音波画像の探索装置。
【請求項6】
前記プローブ配置特定部は、前記対象画像として心尖部四腔断面が描出されるように、前記心尖部表面に当接する位置に存在する前記超音波プローブの前記所望姿勢を推定する所望姿勢推定部を備え、
前記所望姿勢推定部では、前記超音波プローブのヨー方向及びロール方向の回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により得られた僧帽弁及び心室中隔の前記検出情報に基づき、僧帽弁、三尖弁及び心室中隔を超音波画像の同一平面上に描出可能で、且つ、心室中隔を中心に四腔を描出可能となるヨー方向及びロール方向における前記所望姿勢が特定されるとともに、当該ヨー方向及びロール方向の前記所望姿勢の状態での前記超音波プローブのピッチ方向の回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により得られた僧帽弁及び三尖弁の前記検出情報から、四腔のバランスがより良い状態で描出可能となるピッチ方向における前記所望姿勢が特定されることを特徴とする請求項1又は2記載の超音波画像の探索装置。
【請求項7】
被検者の胸部表面に接触する超音波プローブの位置や姿勢を変化させながら得られた複数の心臓の超音波画像から、心エコー検査のための所望の検査断面が描出される対象画像を探索する装置のプログラムであって、
前記各超音波画像の画像解析により、前記対象画像が得られる前記超音波プローブの所望位置及び所望姿勢からなる適正配置を推定し、当該適正配置のときに得られた前記超音波画像を前記対象画像として抽出する画像解析部としてコンピュータを機能させ、
前記画像解析部は、前記各超音波画像について、前記対象画像での描出が必要となる心臓内の所定部位の存在確率を表す推論値を含む検出情報を取得する画像解析を行い、前記被検者の心尖部表面上での前記超音波プローブの前記適正配置を特定するプローブ配置特定部を備えたことを特徴とする超音波画像の探索装置のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波検査での診断に適切となる超音波画像を探索する装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本では死亡率上位を占める心疾患に対して、医師の診断を非侵襲的且つ高精度に支援する心臓超音波検査(心エコー検査)が注目されている。当該心エコー検査は、超音波を被検者の心臓に当て、反射した音波を電気信号に変換して画像として描出することにより、被検者の心臓の形態や運動を評価するために行われる。この心エコー検査においては、適切な診断のために、2次元の検査断面となる心臓の超音波画像を的確且つ鮮明に描出する高度な技術を要することから、検査を行う医師や検査技師等の検査者に相応の知識と経験が求められる。ところが、熟練の検査者が在籍している病院は限られており、多くの医療機関では、心エコー検査を行うための検査者が不足しているのが現状である。更に、心エコー検査においては、検査者によって把持される超音波プローブが患者等の被験者の身体表面に様々な角度で当てられ、被検者は不自然な姿勢維持を強いられることから、検査の時間が長引くと被検者の負担が増大する。そこで、本発明者らは、従来、検査者が超音波プローブを手動操作しながら適正な超音波画像を探索していた心エコー検査を自動化した超音波検査ロボットを開発している(特許文献1参照)。この超音波検査ロボットでは、座位姿勢の被検者を体側方向及び前後方向に回転させながら、被検者の胸部に相対配置された超音波プローブを被検者の胸部表面に沿って自動的に動作させる。これにより、検査者による従前の超音波プローブの複雑な手動操作が不要となるとともに、被検者は、検査負担が軽減された状態で心エコー検査を受けることができる。
【0003】
ところで、前記超音波検査ロボットにおいては、ロボットによる超音波プローブの動作制御に際して、心エコー検査による心疾患の有無を判定するための適切な検査断面の超音波画像が得られる超音波プローブの位置及び姿勢を特定する必要がある。ここで、心疾患の診断の有無を判定するための検査断面として、傍胸骨左縁左室長軸断面、傍胸骨左縁左室短軸断面、心尖部四腔断面と呼ばれる基本断面の描出が必要となる。そのうち、傍胸骨左縁左室長軸断面については、本発明者らにより、所望とする超音波画像を取得可能な超音波プローブの位置情報や姿勢情報を自動的に特定するアルゴリズムが既に提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-70607号公報
【特許文献2】特開2023-70601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らの更なる研究により、前記基本断面のうち前記心尖部四腔断面の超音波画像については、前記特許文献2のアルゴリズムでの左室長軸断面の超音波画像を取得する際に特定される情報を利用して、診断に適切となる心尖部四腔断面の超音波画像が得られる超音波プローブの位置及び姿勢を効率的な超音波プローブの動作で特定するアルゴリズムを創出した。
【0006】
本発明は、本発明者らの研究に基づいて案出されたものであり、その目的は、超音波プローブの効率的な動作で、診断に適切となる心尖部四腔断面の超音波画像を簡易に取得することができる超音波画像の探索装置及びそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、主として、被検者の胸部表面に接触する超音波プローブの位置や姿勢を変化させながら得られた複数の心臓の超音波画像から、心エコー検査のための所望の検査断面が描出される対象画像を探索する装置であって、前記各超音波画像の画像解析により、前記対象画像が得られる前記超音波プローブの所望位置及び所望姿勢からなる適正配置を推定し、当該適正配置のときに得られた前記超音波画像を前記対象画像として抽出する画像解析部を備え、前記画像解析部は、前記各超音波画像について、前記対象画像での描出が必要となる心臓内の所定部位の存在確率を表す推論値を含む検出情報を取得する画像解析を行い、前記被検者の心尖部表面上での前記超音波プローブの前記適正配置を特定するプローブ配置特定部を備える、という構成を採っている。
【0008】
なお、本特許請求の範囲及び本明細書においては、超音波プローブの位置及び姿勢の各方向については、特に明示しない限り、図1に示される方向とされる。すなわち、超音波プローブPの位置を表す直交3軸の座標における「x軸方向」は、被検者の頭尾方向とされ、同「y軸方向」は、被検者の横(左右)方向とされ、同「z軸方向」は、被検者の体表面の法線方向とされる。また、同図に示される向きの超音波プローブPの下端中央部分を回転中心としたときに、超音波プローブPの姿勢を表す「ロール方向」は、ビーム走査面Fに直交する軸(前記x軸)回りの回転方向φとされ、同「ピッチ方向」は、ビーム走査面Fを前後に揺動させる方向(前記y軸回り)の回転方向θとされ、同「ヨー方向」は、前記z軸回りの回転方向ψとされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、所定の超音波プローブの動作により得られた複数の心臓の超音波画像から、心エコー検査のための心尖部四腔断面が描出される対象画像の探索に際し、当該対象画像を得るための心尖部表面上の超音波プローブの適正配置が自動的に特定される。つまり、別途自動取得した傍胸骨左縁左室長軸断面に関する情報から、超音波プローブの必要最小限の動作にてそれぞれ得られた超音波画像の解析により、前記適正配置が自動的に特定され、対象画像が抽出される。従って、超音波検査ロボットの併用により、対象画像を自動的に取得するための超音波プローブの効率的な動作が可能となり、従前よりも心エコー検査の所要時間を大幅に短縮し、被検者の負担軽減に資することができる他、検査者不足に伴う心エコー検査の実施件数不足という社会課題の解決も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る心エコー検査システムの概略構成を表すブロック図である。
図2】心臓の所定部位を説明するための心尖部四腔断面の概念図である。
図3】(A)~(C)は、所望姿勢推定部での超音波プローブのヨー方向及びロール方向の姿勢変化とビーム走査面との関係を説明するための心尖部四腔断面の概念図である。
図4】(A)、(B)は、所望姿勢推定部での超音波プローブのピッチ方向の姿勢変化とビーム走査面との関係を説明するための心尖部四腔断面の概念図である。
図5】第1のステップにおける手順を説明するためのフローチャートである。
図6】第1のステップの変形例における手順を説明するためのフローチャートである。
図7】第2のステップにおける手順を説明するためのフローチャートである。
図8】第3のステップにおける手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1には、本実施形態に係る超音波画像の探索装置を含む心エコー検査システムの概略構成を表すブロック図が示されている。この図において、前記心エコー検査システム10は、医師と離れた場所にいる被検者の心臓超音波検査(心エコー検査)を可能にするシステムである。具体的に、この心エコー検査システム10は、被検者の胸部表面に超音波プローブPを接触させることで、心臓の検査断面を描出する超音波画像を撮像する超音波画像撮像装置11と、被検者に対する位置及び姿勢を変化可能に、超音波プローブPを動作させるプローブ動作装置12と、被検者の胸部表面に接触する超音波プローブPの位置や姿勢を変化させながら得られた複数の心臓の超音波画像から、心エコー検査のための基本断面の一つである心尖部四腔断面が描出される超音波画像(以下、「対象画像」と称する)を探索する探索装置13とを備えている。
【0013】
前記超音波画像撮像装置11としては、種々の超音波検査を行うための超音波画像を取得できる公知の超音波診断装置が適用される。つまり、この超音波画像撮像装置11では、超音波プローブPによるビーム走査により、超音波画像として、ビーム走査面Fと同一断面における2次元の断層画像が取得される。
【0014】
前記プローブ動作装置12は、超音波プローブPを保持する保持部(図示省略)を動作させることで、超音波プローブPに対し、直交3軸方向の並進運動と直交3軸回りの回転運動とからなる6自由度の動作制御を可能にするロボットからなる。特に限定されるものではないが、本実施形態では、本発明者らにより既に提案されている超音波検査ロボットが適用される(特開2023-70607号公報参照)。この超音波検査ロボットは、座位姿勢の被検者を体側方向及び前後方向に回転させながら、被検者の胸部に相対配置された超音波プローブPの位置及び姿勢を変化可能に構成されている。また、当該超音波検査ロボットには、被検者の胸部表面の凹凸に合わせて超音波プローブPを所定の押圧力で胸部表面に接触させる機構を備えている。なお、当該超音波検査ロボットの構成等は、本発明の本質的な要素でないため、詳細な説明を省略する。以上のプローブ動作装置12での動作制御は、医師等の検査者による簡単な遠隔操作の他、後述する画像探索の過程で必要となる探索装置13からの動作指令によって行われる。
【0015】
前記超音波プローブPには、その位置及び姿勢を検出可能な公知のセンサ(図示省略)が設けられている。このセンサでは、事前設定された所定地点を原点とする直交3軸の各座標の位置と、当該3軸回りの回転角度である姿勢とを取得可能になっている。特に限定されるものではないが、本実施形態の座標系としては、図1に示される超音波プローブPの向きにおけるプローブ座標系が適用される。なお、ここでのセンサとしては、加速度センサ、磁気センサ、光学センサ等、超音波プローブPの位置及び姿勢を取得可能な限りにおいて、種々の機器やシステム等を採用することができる。
【0016】
前記探索装置13は、CPU等の演算処理装置及びメモリやハードディスク等の記憶装置等からなり、以下の各部として機能させるコンピュータによって構成されている。この探索装置13では、所望の心尖部四腔断面が描出される対象画像が得られる超音波プローブPの所望位置及び所望姿勢からなる適正配置を推定することで、対象画像を探索するようになっている。
【0017】
この探索装置13は、超音波画像撮像装置11で取得した超音波画像を含む画像データ等を保存する記憶部15と、超音波プローブPの位置や姿勢を変化させながら得られた複数の心臓の超音波画像を解析することにより、対象画像が得られる超音波プローブPの適正配置を推定し、当該適正配置のときに得られた超音波画像を対象画像として抽出する画像解析部16とを備えている。
【0018】
前記画像データは、超音波プローブPに取り付けられた前記センサの検出結果から、超音波画像を取得した際の超音波プローブPの位置及び姿勢について、その取得時刻とともに後述する画像解析により取得された検出情報を含め、当該超音波画像に対応させたデータである。前記記憶部15には、超音波プローブPの移動時や回転時における所定のタイミング毎に画像データが逐次保存される。
【0019】
前記画像解析部16では、心エコー検査において病状の診断に用いられる検査断面のうち傍胸骨左縁左室長軸断面の超音波画像を取得可能な超音波プローブPの位置及び姿勢を探索動作の起点とし、その後の超音波プローブPの動作に伴って得られる超音波画像の画像解析処理が行われ、取得した複数の超音波画像の中から対象画像が特定される。すなわち、ここでは、プローブ動作装置12の動作により、超音波プローブPを並進移動させながら、心尖部の直上の被検者の胸部表面(以下、単に「心尖部表面」と称する)と推定される所望位置が特定される。その後、心尖部表面で超音波プローブPの並進移動を停止し、プローブ動作装置12の動作により、超音波プローブPの姿勢を変化させながら、対象画像が得られる所望姿勢が特定される。これら所望位置及び所望姿勢が、対象画像が得られる超音波プローブPの適正配置となる。
【0020】
この画像解析部16は、前記探索動作の起点における超音波プローブPの位置及び姿勢を特定する起点特定部18と、当該起点から超音波プローブPの位置や姿勢を変化させながら、超音波プローブPの適正配置を特定するプローブ配置特定部19とからなる。
【0021】
前記起点特定部18では、本発明者らが既に提案している特開2023-70601号公報の手法を用い、プローブ動作装置12の動作により被検者の胸部表面の所定範囲に沿って走査される超音波プローブPから取得した超音波画像に基づいて、最適な傍胸骨左縁左室長軸断面が得られる超音波プローブPの位置及び姿勢が特定される。つまり、この手法によれば、図2に示されるように、心臓Hの断面内の僧帽弁Mを画像中心に捉える超音波プローブPの位置及び姿勢が求められ、この部位が起点Sと設定されるとともに、左室H1の先端の心尖部Aと僧帽弁Mの中心とを結ぶ直線である左室長軸LLの位置が求められる。
【0022】
前記プローブ配置特定部19では、プローブ動作装置12の動作制御により、超音波プローブPの並進移動及び姿勢変化がなされた際に、逐次得られた超音波画像を解析することで、被検者の心尖部表面上を所望位置とした所望姿勢の超音波プローブPの適正配置が特定される。
【0023】
この超音波画像の解析では、図2に示される心臓の所定部位(僧帽弁M、三尖弁T、心室中隔VS)の画像内における検出情報が取得される。つまり、ここでの検出情報として、所定部位の存在確率(確信度)を表す推論値や画像内の位置等が適宜取得される。当該画像解析には、学習済みの画像データに基づき、所定の物体を認識する深層学習等を利用したYOLO等の公知の物体検出モデルが用いられる。なお、ここでの画像解析には、取得した超音波画像に基づいて前記検出情報を取得できる限りにおいて、他の様々な手法のシステムや装置類を採用することができる。
【0024】
このプローブ配置特定部19は、心尖部表面に当接する状態となる超音波プローブPの所望位置を推定する所望位置推定部21と、所望位置にて対象画像が得られる超音波プローブPの所望姿勢を推定する所望姿勢推定部22とを備えている。
【0025】
前記所望位置推定部21では、後述する手順により、超音波プローブPが、起点特定部18で特定された姿勢で、起点Sから左室長軸Lに沿って胸部表面に接触しながら移動し、当該移動時に逐次取得された超音波画像の解析により、目標位置となる心尖部表面の縦横方向(x-y軸)の位置が推定される。ここでの画像解析では、前記物体検出モデルにより、取得した各超音波画像内における僧帽弁Mの推論値等の検出情報が求められ、当該検出情報に基づいて、心尖部表面の縦横方向の位置が特定される。なお、心尖部表面の体内外方向(z軸)の位置は、プローブ動作装置12が被検者の凹凸に追従して超音波プローブPを接触させる機構を備えていることから、自動的に特定される。この心尖部表面の上方に位置する超音波プローブPでは、心尖部左室長軸断面が描出された超音波画像が取得される。
【0026】
前記所望姿勢推定部22では、超音波プローブPの心尖部表面の所望位置で超音波プローブPの姿勢を変化させながら逐次取得される超音波画像の解析により、心尖部四腔断面の描出条件である僧帽弁M、心室中隔VS、三尖弁Tが同一平面上に存在し、且つ、心室中隔VSを中心に心臓Hの四腔H1~H4のバランスが最も良い超音波プローブPの所望姿勢が推定される。
【0027】
この所望姿勢推定部22は、心尖部表面に当接する超音波プローブPのヨー方向ψの回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により、ヨー方向ψにおける所望姿勢を特定するヨーイング情報取得部24と、同ロール方向φの回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により、ロール方向φにおける所望姿勢を特定するローリング情報取得部25と、同ピッチ方向θの回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により、ピッチ方向θにおける所望姿勢を特定するピッチング情報取得部26とを備えている。
【0028】
前記ヨーイング情報取得部24では、図3(A)に示される心尖部A上での超音波プローブPの初期姿勢から、超音波プローブPをヨー方向ψに回転動作させた際に逐次得られた超音波画像が解析される。つまり、ここでは、前記物体検出モデルにより、取得した各超音波画像から、同図(B)に示されるように、ビーム走査面Fに僧帽弁M及び心室中隔VSがより多く含まれる超音波プローブPのヨー方向ψの所望姿勢が特定される。
【0029】
前記ローリング情報取得部25では、ヨーイング情報取得部24で特定されたヨー方向ψの姿勢が固定された図3(B)の状態から、超音波プローブPをロール方向φに回転動作させた際に逐次得られた超音波画像が解析される。つまり、ここでは、取得した各超音波画像について、同図(C)に示されるように、心室中隔VSを中心に僧帽弁Mと対称に表れる三尖弁Tをより多く描出させるために、心室中隔VSの位置が画像中心付近に描出されるビーム走査面Fとなる超音波プローブPのロール方向φの所望姿勢が特定される。
【0030】
前記ピッチング情報取得部26では、ヨーイング情報取得部24及びローリング情報取得部25で特定されたヨー方向ψ及びロール方向φの所望姿勢における心尖部A上での超音波プローブPをピッチ方向θに回転動作させた際に逐次得られた超音波画像が解析される。つまり、ここでは、取得した各超音波画像について、図4(A)の状態から、同図(B)に示されるように、心臓Hの四腔H1~H4のバランスが最も良い状態での描出が可能なビーム走査面Fとなる超音波プローブPのピッチ方向θの所望姿勢が特定される。
【0031】
以上のプローブ配置特定部19では、超音波プローブPの適正配置にて得られた超音波画像が対象画像として抽出される。
【0032】
次に、超音波プローブPを動作させながら対象画像を探索する手順について、図5図8のフローチャートを用いながら説明する。
【0033】
以下の探索手順では、所望位置推定部21での画像解析処理による超音波プローブPの所望位置の特定を行う第1のステップ、ヨーイング情報取得部24及びローリング情報取得部25での画像解析処理による超音波プローブPのヨー方向ψ及びロール方向φの所望姿勢を特定する第2のステップ、ピッチング情報取得部26での画像解析処理による超音波プローブPのピッチ方向θの所望姿勢を特定する第3のステップの順で実行される。
【0034】
前記第1のステップでは、図5に示される手順により、心尖部表面の所望位置が特定される。
【0035】
先ず、起点特定部18にて、適切な傍胸骨左縁左室長軸断面が得られる姿勢での超音波プローブPの位置となる起点Sが特定される(ステップS101)。超音波プローブPは、プローブ動作装置12の動作により、同一の姿勢のまま起点Sから起点特定部18にて求められた左室長軸LL(図2参照)に沿うように被検者の胸部表面に接触しながら移動する(ステップS102)。この際、超音波画像が所定時間毎に取得される(ステップS103)。取得された各超音波画像は、前記物体検出モデルにより僧帽弁Mの推論値が算出され、僧帽弁Mの検出の有無が判定される(ステップS104)。ここでは、推論値がゼロ以上、若しくは、所定値以上のときに、取得した超音波画像内に僧帽弁Mが存在すると判定される。この際、僧帽弁Mの画像内位置が求められ、当該画像内位置が画像中心付近、すなわち、画像中心から所定の許容範囲(以下、「画像中心範囲」と称する)内に存在するか否かが判定される(ステップS105)。そこで、僧帽弁Mの画像内位置が画像中心範囲内に存在しない場合には、僧帽弁Mが、画像内で画像中心範囲から左右何れの方向にどの程度の距離分位置ずれしているかに応じ、当該位置ずれを解消するように、プローブ動作装置12の動作制御により、超音波プローブPをロール方向φに回転しながら姿勢調整がなされる(ステップS106)。この姿勢調整後に取得された超音波画像は、その際の超音波プローブPの位置及び姿勢等を対応させた画像データとして記憶部15に記憶される(ステップS107)。一方、僧帽弁Mの画像内位置が、画像中心範囲内に存在する場合には、その際の超音波画像に超音波プローブPの位置及び姿勢等を対応させた画像データとして記憶部15に記憶される(ステップS107)。そして、超音波プローブPの起点Sからの移動距離が、予め設定された既定距離に達したか否かが判定される(ステップS108)。当該既定距離に達すると、記憶部15に記憶された画像データの中から、僧帽弁Mの推論値が所定値すなわち予め設定された閾値以上で、且つ、複数連続して僧帽弁Mを検出した最後のタイミングでの超音波画像に対応する位置が、心尖部表面における所望位置として特定され、プローブ動作装置12の動作制御により、超音波プローブPがこのときの姿勢にて心尖部表面に移動する(ステップS109)。ここで、僧帽弁Mが複数連続して検出されない場合には、僧帽弁Mの推論値が前記所定値以上で、且つ、最後に僧帽弁Mを検出した超音波画像に対応する位置が前記所望位置として特定される。なお、ここでの閾値としては、特に限定されるものではないが、予め任意に設定した値の他に、各超音波画像における推論値の平均値とすることもできる。
【0036】
なお、前記第1のステップとして、図5の手順に代わり、図6に示される手順を利用して、心尖部表面における所望位置を特定することもできる。
【0037】
すなわち、ここでは、前述の図5におけるステップS101~S107と同一の処理が行われるが、前記ステップS108における超音波プローブPの移動距離による判定が行われずに、ステップS104での僧帽弁Mの不検出状態が所定回数連続しているか否かが判定される(ステップS110)。そして、僧帽弁Mの不検出状態が連続したときに、前記ステップS109と同一の処理がなされる。
【0038】
以上の第1のステップでは、僧帽弁M上を起点Sとして左室長軸LLに沿って移動する超音波プローブPが心尖部A上を通過した直後、超音波プローブPと心臓H間に空気層が介入するため超音波画像全体が急激に黒く変化する性質に基づく処理となっている。つまり、本発明者らの研究結果から、超音波画像が黒く変化する瞬間の直前が心尖部A上での超音波プローブPの位置であるとの知見の下、僧帽弁M上から左室長軸LLに沿う超音波プローブPの移動において、僧帽弁Mが超音波画像に最後に検出された位置を心尖部表面の位置と推定している。
【0039】
図7に示される前記第2のステップでは、心尖部表面に存在する超音波プローブPの姿勢を適宜変化させながら、ヨーイング情報取得部24及びローリング情報取得部25での処理により、超音波画像の同一平面上に僧帽弁M、三尖弁T及び心室中隔VSが描出される超音波プローブPのヨー方向ψ及びロール方向φにおける所望姿勢が特定される。
【0040】
先ず、前記第1のステップにて心尖部表面に移動した超音波プローブPについて、プローブ動作装置12の動作によりヨー方向ψに回転させ(ステップS201)、超音波画像が所定時間毎に取得される(ステップS202)。そして、取得された超音波画像について、ヨーイング情報取得部24にて次の処理が行われる。すなわち、前記物体検出モデルにより、心室中隔VS及び僧帽弁Mの検出の有無を含む推論値が検出情報としてそれぞれ算出される(ステップS203、S204)。ここでは、推論値がゼロ以上、若しくは、所定値以上のときに、取得した超音波画像内に心室中隔VS、僧帽弁Mが存在すると判定される。その後、心室中隔VS及び僧帽弁Mについての各推論値を総合した総合推論値が算出され、当該総合推論値を含む検出情報を加えたその際の画像データが記憶部15に記憶される(ステップS205)。この総合推論値は、心室中隔VS、僧帽弁Mの各推論値に、予め設定された重み付け定数をそれぞれ乗じた値を合計して算出される。そして、超音波プローブPのヨー方向ψの回転が所定角度(例えば、180度)を超えたときに(ステップS206)、前記総合推論値のより高いヨー方向ψの回転角度がその所望姿勢として特定される(ステップS207)。なお、予め設定した角度範囲(所定範囲)内での超音波画像の比較により、心室中隔VS及び僧帽弁Mの総合推論値のより高いヨー方向ψの回転角度をその所望姿勢として特定可能であり、更に、各範囲内でより高い回転角度の中から最も高い当該回転角度をヨー方向ψの所望姿勢としても良い。そして、プローブ動作装置12により、当該ヨー方向ψの所望姿勢となるように超音波プローブPを回転させる。
【0041】
次に、プローブ動作装置12の動作により、超音波プローブPをロール方向φに回転させ(ステップS208)、超音波画像が所定時間毎に取得される(ステップS209)。そして、取得された超音波画像について、ローリング情報取得部24にて次の処理が行われる。すなわち、前記物体検出モデルにより、取得した超音波画像について心室中隔VSの検出情報から、その検出の有無が判定される(ステップS210)。ここでも、推論値がゼロ以上、若しくは、所定値以上のときに、取得した超音波画像内に心室中隔VSが存在すると判定されるとともに、心室中隔VSの画像内位置が画像中心範囲内に存在するか否かが判定される(ステップS211)。そこで、心室中隔VSの画像内位置が、画像中心範囲内に存在しない場合には、心室中隔VSが画像中心範囲内に入るように、プローブ動作装置12の動作制御により、超音波プローブPをロール方向φに回転する姿勢調整がなされる(ステップS212)。そして、心尖部表面の位置にてヨー方向ψの姿勢が固定された状態の超音波プローブPがロール方向φに回転する過程で、最初に画像中心範囲内に心室中隔VSが存在した状態のロール方向φの回転角度のときの超音波プローブPが、ロール方向φの所望姿勢として特定される(ステップS213)。プローブ動作装置12により、当該ロール方向φの所望姿勢となるように超音波プローブPを回転させる。
【0042】
以上の第2のステップにて特定されたヨー方向ψ及びロール方向φの所望姿勢では、超音波画像の中心に心室中隔VSが存在した状態で僧帽弁Mが描出され、心室中隔VSを挟んで僧帽弁Mに対称となる三尖弁Tも超音波画像の同一平面上に描出されることになる。なお、超音波プローブPをヨー方向ψに全周回転した際に、僧帽弁Mと心室中隔VSの双方を描出可能な瞬間が必ず存在する超音波プローブPの位置や姿勢が判る限りにおいて、前記第1のステップでの処理を省略し、当該位置や姿勢から第2のステップを開始しても良い。
【0043】
図8に示される前記第3のステップでは、心尖部表面に存在する超音波プローブPについて、前記第2のステップで特定されたヨー方向ψ及びロール方向φの所望姿勢を維持しながらピッチ方向θの姿勢を適宜変化させ、ピッチング情報取得部26での処理により、心臓Hの四腔H1~H4のバランスがより良い状態で描出される画像が得られる際の超音波プローブPのピッチ方向θにおける所望姿勢が特定される。
【0044】
先ず、超音波プローブPについて、心尖部表面の位置にて第2のステップで特定されたヨー方向ψ及びロール方向φの姿勢を維持したまま、プローブ動作装置12の動作により、ピッチ方向θに回転させ(ステップS301)、超音波画像が所定時間毎に取得される(ステップS302)。取得された超音波画像について、ピッチング情報取得部26にて次の処理が行われる。すなわち、前記物体検出モデルにより、僧帽弁M及び三尖弁Tの検出の有無を含む推論値が検出情報としてそれぞれ算出される(ステップS303、S304)。ここでは、推論値がゼロ以上、若しくは、所定値以上のときに、取得した超音波画像内に僧帽弁M、三尖弁Tが存在すると判定される。その後、僧帽弁M、三尖弁Tについての各推論値を総合した総合推論値が算出され、当該総合推論値を含む検出情報を加えたその際の画像データが記憶部15に記憶される(ステップS305)。この総合推論値は、、僧帽弁M、三尖弁Tの各推論値に、予め設定された重み付け定数をそれぞれ乗じた値を合計して算出される。そして、超音波プローブPのピッチ方向θの回転が所定角度範囲(例えば、第1のステップでの所望位置決定時のときの姿勢を基準としプラスマイナス40度の範囲)以上か否かが判定され(ステップS306)、当該所定角度範囲内での回転が終了したときに、前記総合推論値の最も高いピッチ方向θの回転角度がその所望姿勢として特定される(ステップS307)。なお、予め設定した角度範囲(所定範囲)内での超音波画像の比較により、僧帽弁M及び三尖弁Tの総合推論値のより高いピッチ方向θの回転角度をその所望姿勢として特定可能である。更に、各範囲内でより高い回転角度の中から最も高い当該回転角度をピッチ方向θの所望姿勢としても良い。
【0045】
以上の第1~第3のステップを経て特定された超音波プローブPの所望位置及び所望姿勢に対応する超音波画像が、診察に適切となる心尖部四腔断面が描出された超音波画像である対象画像として抽出される(ステップS308)。
【0046】
なお、前記実施形態では、プローブ動作装置12による動作により、超音波プローブPの移動及び回転を行っているが、本発明はこれに限らず、探索装置13によるガイドの下、超音波プローブPの移動及び回転を操作者の手動で行いながら、探索装置13での処理により、対象画像を得るために適切な超音波プローブPの所望位置及び所望姿勢を特定することもできる。
【0047】
その他、本発明における装置各部の構成や処理手順は、前述の説明に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
13 探索装置
16 画像解析部
19 プローブ配置特定部
21 所望位置推定部
22 所望姿勢推定部
24 ヨーイング情報取得部
25 ローリング情報取得部
26 ピッチング情報取得部
A 心尖部
H1~H4 四腔
LL 左室長軸
M 僧帽弁
P 超音波プローブ
T 三尖弁
VS 心室中隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2025-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の胸部表面に接触する超音波プローブの位置や姿勢を変化させながら得られた複数の心臓の超音波画像から、心エコー検査のための所望の検査断面が描出される対象画像を探索する装置であって、
前記各超音波画像の画像解析により、前記対象画像が得られる前記超音波プローブの所望位置及び所望姿勢からなる適正配置を推定し、当該適正配置のときに得られた前記超音波画像を前記対象画像として抽出する画像解析部を備え、
前記画像解析部は、前記各超音波画像について、前記対象画像での描出が必要となる心臓内の所定部位の存在確率を表す推論値を含む検出情報を取得する画像解析を行い、前記被検者の心尖部表面上での前記超音波プローブの前記適正配置を特定するプローブ配置特定部を備え
前記プローブ配置特定部は、前記超音波プローブが前記心尖部表面に当接する状態となる前記所望位置を推定する所望位置推定部を備え、
前記所望位置推定部では、予め位置が推定された僧帽弁上を起点として、前記超音波プローブが左室長軸に沿って前記胸部表面を移動しながら逐次得られる前記各超音波画像について、僧帽弁の前記検出情報に基づき、前記推論値が所定値以上で、且つ、複数連続して僧帽弁を検出した最後のタイミングでの前記超音波プローブの位置を前記所望位置とすることを特徴とする超音波画像の探索装置。
【請求項2】
被検者の胸部表面に接触する超音波プローブの位置や姿勢を変化させながら得られた複数の心臓の超音波画像から、心エコー検査のための所望の検査断面が描出される対象画像を探索する装置であって、
前記各超音波画像の画像解析により、前記対象画像が得られる前記超音波プローブの所望位置及び所望姿勢からなる適正配置を推定し、当該適正配置のときに得られた前記超音波画像を前記対象画像として抽出する画像解析部を備え、
前記画像解析部は、前記各超音波画像について、前記対象画像での描出が必要となる心臓内の所定部位の存在確率を表す推論値を含む検出情報を取得する画像解析を行い、前記被検者の心尖部表面上での前記超音波プローブの前記適正配置を特定するプローブ配置特定部を備え、
前記プローブ配置特定部は、前記心尖部表面に当接する位置に存在する前記超音波プローブの前記所望姿勢を推定する所望姿勢推定部を備え、
前記所望姿勢推定部は、前記超音波プローブのヨー方向の回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により、ヨー方向における前記所望姿勢を特定するヨーイング情報取得部を含み、
前記ヨーイング情報取得部では、前記各超音波画像について、僧帽弁及び心室中隔の前記検出情報に基づき、僧帽弁及び心室中隔の前記各推論値を総合した総合推論値のより高いヨー方向の姿勢を前記所望姿勢とすることを特徴とする超音波画像の探索装置。
【請求項3】
記所望姿勢推定部は、前記ヨーイング情報取得部で特定された前記超音波プローブのヨー方向における前記所望姿勢を固定した状態で、前記超音波プローブのロール方向の回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により、ロール方向における前記所望姿勢を特定するローリング情報取得部を含み、
前記ローリング情報取得部では、前記各超音波画像について、心室中隔の前記検出情報に基づき、当該心室中隔が画像中心付近に存在するロール方向の姿勢を前記所望姿勢とすることを特徴とする請求項記載の超音波画像の探索装置。
【請求項4】
記所望姿勢推定部は、前記ヨーイング情報取得部及び前記ローリング情報取得部で特定された前記超音波プローブのヨー方向及びロール方向における前記所望姿勢を固定した状態で、前記超音波プローブのピッチ方向の回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により、ピッチ方向における前記所望姿勢を特定するピッチング情報取得部を含み、
前記ピッチング情報取得部では、前記各超音波画像について、僧帽弁及び三尖弁の前記検出情報に基づき、僧帽弁及び三尖弁の前記各推論値を総合した総合推論値のより高いピッチ方向の姿勢を前記所望姿勢とすることを特徴とする請求項記載の超音波画像の探索装置。
【請求項5】
被検者の胸部表面に接触する超音波プローブの位置や姿勢を変化させながら得られた複数の心臓の超音波画像から、心エコー検査のための所望の検査断面が描出される対象画像を探索する装置であって、
前記各超音波画像の画像解析により、前記対象画像が得られる前記超音波プローブの所望位置及び所望姿勢からなる適正配置を推定し、当該適正配置のときに得られた前記超音波画像を前記対象画像として抽出する画像解析部を備え、
前記画像解析部は、前記各超音波画像について、前記対象画像での描出が必要となる心臓内の所定部位の存在確率を表す推論値を含む検出情報を取得する画像解析を行い、前記被検者の心尖部表面上での前記超音波プローブの前記適正配置を特定するプローブ配置特定部を備え、
前記プローブ配置特定部は、前記対象画像として心尖部四腔断面が描出されるように、前記心尖部表面に当接する位置に存在する前記超音波プローブの前記所望姿勢を推定する所望姿勢推定部を備え、
前記所望姿勢推定部では、前記超音波プローブのヨー方向及びロール方向の回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により得られた僧帽弁及び心室中隔の前記検出情報に基づき、僧帽弁、三尖弁及び心室中隔を超音波画像の同一平面上に描出可能で、且つ、心室中隔を中心に四腔を描出可能となるヨー方向及びロール方向における前記所望姿勢が特定されるとともに、当該ヨー方向及びロール方向の前記所望姿勢の状態での前記超音波プローブのピッチ方向の回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により得られた僧帽弁及び三尖弁の前記検出情報から、四腔のバランスがより良い状態で描出可能となるピッチ方向における前記所望姿勢が特定されることを特徴とする超音波画像の探索装置。
【請求項6】
被検者の胸部表面に接触する超音波プローブの位置や姿勢を変化させながら得られた複数の心臓の超音波画像から、心エコー検査のための所望の検査断面が描出される対象画像を探索する装置のプログラムであって、
前記各超音波画像の画像解析により、前記対象画像が得られる前記超音波プローブの所望位置及び所望姿勢からなる適正配置を推定し、当該適正配置のときに得られた前記超音波画像を前記対象画像として抽出する画像解析部としてコンピュータを機能させ、
前記画像解析部は、前記各超音波画像について、前記対象画像での描出が必要となる心臓内の所定部位の存在確率を表す推論値を含む検出情報を取得する画像解析を行い、前記被検者の心尖部表面上での前記超音波プローブの前記適正配置を特定するプローブ配置特定部を備え
前記プローブ配置特定部は、前記超音波プローブが前記心尖部表面に当接する状態となる前記所望位置を推定する所望位置推定部を備え、
前記所望位置推定部では、予め位置が推定された僧帽弁上を起点として、前記超音波プローブが左室長軸に沿って前記胸部表面を移動しながら逐次得られる前記各超音波画像について、僧帽弁の前記検出情報に基づき、前記推論値が所定値以上で、且つ、複数連続して僧帽弁を検出した最後のタイミングでの前記超音波プローブの位置を前記所望位置とすることを特徴とする超音波画像の探索装置のプログラム。
【請求項7】
被検者の胸部表面に接触する超音波プローブの位置や姿勢を変化させながら得られた複数の心臓の超音波画像から、心エコー検査のための所望の検査断面が描出される対象画像を探索する装置のプログラムであって、
前記各超音波画像の画像解析により、前記対象画像が得られる前記超音波プローブの所望位置及び所望姿勢からなる適正配置を推定し、当該適正配置のときに得られた前記超音波画像を前記対象画像として抽出する画像解析部としてコンピュータを機能させ、
前記画像解析部は、前記各超音波画像について、前記対象画像での描出が必要となる心臓内の所定部位の存在確率を表す推論値を含む検出情報を取得する画像解析を行い、前記被検者の心尖部表面上での前記超音波プローブの前記適正配置を特定するプローブ配置特定部を備え、
前記プローブ配置特定部は、前記対象画像として心尖部四腔断面が描出されるように、前記心尖部表面に当接する位置に存在する前記超音波プローブの前記所望姿勢を推定する所望姿勢推定部を備え、
前記所望姿勢推定部では、前記超音波プローブのヨー方向及びロール方向の回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により得られた僧帽弁及び心室中隔の前記検出情報に基づき、僧帽弁、三尖弁及び心室中隔を超音波画像の同一平面上に描出可能で、且つ、心室中隔を中心に四腔を描出可能となるヨー方向及びロール方向における前記所望姿勢が特定されるとともに、当該ヨー方向及びロール方向の前記所望姿勢の状態での前記超音波プローブのピッチ方向の回転動作に伴って逐次得られる前記各超音波画像の解析により得られた僧帽弁及び三尖弁の前記検出情報から、四腔のバランスがより良い状態で描出可能となるピッチ方向における前記所望姿勢が特定されることを特徴とする超音波画像の探索装置のプログラム。