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2025-38850伸縮性配線基板及び該伸縮性配線基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025038850
(43)【公開日】2025-03-19
(54)【発明の名称】伸縮性配線基板及び該伸縮性配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20250312BHJP
   B32B 25/08 20060101ALI20250312BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20250312BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20250312BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20250312BHJP
【FI】
B32B15/08 J
B32B25/08
B32B27/18 Z
B32B7/022
H05K1/03 610H
H05K1/03 630H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041989
(22)【出願日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2023145030
(32)【優先日】2023-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(71)【出願人】
【識別番号】509352945
【氏名又は名称】田中貴金属工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000228165
【氏名又は名称】EEJA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000268
【氏名又は名称】オリジネイト弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松久 直司
(72)【発明者】
【氏名】三友 陽向
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】天日 勝也
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB25C
4F100AH03B
4F100AK01B
4F100AK03A
4F100AK36B
4F100AK41A
4F100AK41B
4F100AK46A
4F100AK51A
4F100AK53B
4F100AL09A
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA02B
4F100DD01C
4F100DE01C
4F100EH46B
4F100EH46C
4F100EH71C
4F100EJ42B
4F100EJ65B
4F100GB41
4F100GB43
4F100GB61
4F100JB12B
4F100JB16A
4F100JG01
4F100JG04
4F100JK07
4F100JK08
4F100JK08A
4F100JK14
4F100JL08C
4F100YY00
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】導電性及び伸縮性に双方において改善された伸縮性配線基板を提供する。
【解決手段】本発明は、伸縮性エラストマーを基材とする伸縮性配線基板に関する。本発明では、前記の基材に対して少なくとも樹脂成分及びアミノ基を含む架橋剤を含んでなるプライマー層を形成し、このプライマー層上に形成された金薄膜を形成してなる。そして、前記基材は、ヤング率が7MPa以上100MPa以下とする。配線材料である金薄膜の形成においては、前記したプライマー層を形成した後、金からなる粒径1nm以上100nm以下の金ナノ粒子触媒を分散させ、その上で無電解めっき法が適用される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性エラストマーからなる基材と、
前記基材の少なくとも一の面に形成された、少なくとも樹脂成分及びアミノ基を含む架橋剤を含んでなるプライマー層と、
前記プライマー層上に形成された金薄膜と、を備えてなる伸縮性配線基板であって、
前記基材は、ヤング率が7MPa以上100MPa以下である伸縮性配線基板。
【請求項2】
金薄膜の膜厚が60nm以上である請求項1記載の伸縮性配線基板。
【請求項3】
基材を構成する伸縮性エラストマーは、ウレタン系、エステル系、アミド系、オレフィン系の熱可塑性エラストマーである請求項1又は請求項2記載の伸縮性配線基板。
【請求項4】
プライマー層の樹脂成分は、エポキシ樹脂又はポリエステル樹脂の少なくともいずれかを含む請求項1又は請求項2記載の伸縮性配線基板。
【請求項5】
伸長率50%で伸長したときの伸長時抵抗Rと伸長率0%における初期抵抗Rとの比R/Rが35以下である請求項1又は請求項2記載の伸縮性配線基板。
【請求項6】
伸縮性エラストマーからなる基材と、前記基材の少なくとも一の面に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成された金薄膜と、を備えてなる伸縮性配線基板の製造方法であって、
前記基材に、少なくとも樹脂及びアミノ基を含む架橋剤を含んでなるプライマー液を塗布して前記プライマー層を形成する工程と、
前記プライマー層の表面に、金からなる粒径1nm以上100nm以下の金ナノ粒子触媒を分散させる工程と、
無電解めっき法により前記プライマー層の表面に金薄膜を形成する工程と、を含む伸縮性配線基板の製造方法。
【請求項7】
プライマー層の表面にナノ触媒粒子を分散させる工程で、前記触媒粒子を200個/μm以上1500個/μm以下の密度で分散させる請求項6記載の伸縮性配線基板の製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性を有する所定の基材上に金薄膜からなる配線材料が形成された伸縮性配線基板に関する。特に、伸長率に優れると共に好適な導電性を有する伸縮性配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性を保持しながら撓りやうねりに追従するフレキシブルエレクトロニクスに関する研究が古くから進められている。そして、近年では、フレキシブルエレクトロニクスを超えて伸縮性も付与されたストレッチャブルエレクトロニクスが注目されている。特に、最近の人々の健康増進の気運の高まりや、遠隔医療等のIoT分野の発展を受け、日常的なバイタルデータを意識的又は無意識に取得可能なウェアラブルデバイス及びヘルスケアデバイスの分野においてストレッチャブルエレクトロニクスの適用が期待されている。更に、ロボット用の人工皮膚・スキンセンサーへの対応にもストレッチャブルエレクトロニクスの活用が期待されている。
【0003】
ストレッチャブルエレクトロニクスの各種デバイスへの応用に際しては、樹脂やゴム等からなる伸縮性を有する基材に、導電性材料からなる配線材料を形成した伸縮性配線基板が用いられる。かかる伸縮性配線基板に対しては、抵抗値(シート抵抗)の低減という配線基板に通常要求される電気的特性に加え、人体の皮膚等への適用を考慮した生体適合性及び高い伸縮性が要求される。この点、これまでの伸縮性配線基板の中には、配線材料として導電性と伸縮性を有する導電性ポリマーや液体金属等を適用したものが知られている。しかし、導電性ポリマーは電気特性の観点から不十分である。また、液体金属は、着脱時に皮膚に粘着・残留して導通が遮断されることがある上に装着感も良くない。
【0004】
よって、導電性や形態安定性の観点から、伸縮性配線基板の配線材料としては、金属であって固体状態にあるものの適用が好ましいといえる。そして、伸縮性配線基板への金属の適用に際しては、金属で構成した配線材料についての導電性と伸縮性とのバランスを如何に好適化するかが課題となる。
【0005】
ここで、本願の発明者は、樹脂(ポリジメチルシロキサン:PDMS)を伸縮性基材とし、ここに配線材料として真空蒸着による金薄膜を形成した伸縮性配線基板を開発している(非特許文献1)。この伸縮性配線基板による金薄膜は、成膜された状態で微細なクラック(マイクロクラック)を複数包含している。マイクロクラックは、それぞれが基材の伸縮に応じて拡大・縮小することで歪を吸収し、その結果、金薄膜は基材から剥離することなく伸縮できる。こうしたマイクロクラックを有する金薄膜の構造は、前述した変形の態様から「切り紙状構造(kirigami-structures)」と称されている。切り紙状構造を有する金薄膜は、伸長時に各所で拡大したクラックによって配線の断線を防ぎ、クラックのない領域が導電パスとして機能することで導電性を維持している。
【0006】
そして、この先行技術における検討では、真空蒸着による金薄膜の成膜速度の制御により、成膜時及び伸長時における金薄膜のマイクロクラックの寸法・形態を好適なものとすることができるとされている。これにより、伸長前の初期抵抗(伸長率0%)では低抵抗(シート抵抗:12Ω/sq)としつつ、伸長率を50%以上としても導電性を維持する伸縮性配線基板を得ることが可能となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】N.Matsuhisa et al. “High‐Transconductance Stretchable Transistors Achieved by Controlled Gold”. Adv. Elect.Materials,2019(5),p1900347.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したマイクロクラックによる切紙状構造を発現する金薄膜を備える伸縮性配線基板は、通常であれば忌避されるクラックの拡大を伸縮性付与に積極的に利用したユニークな着想に基づいている。そして、金は、導電性に優れると共に化学的安定性・生体適合性も良好な金属であることから、上記したウェアラブルデバイス等への応用にも期待が持てる。
【0009】
もっとも、上記したマイクロクラックによる切紙状構造を有する金薄膜を備える伸縮性配線基板についても改良の余地はある。即ち、上記したように、伸縮性配線基板にはより低い初期抵抗と高い伸長率が要求される。これまでの伸縮性配線基板は、この要求に十分に応えているとは必ずしも言い難い。
【0010】
本発明は、以上のような背景のもとになされたものであり、導電性及び伸縮性に双方において改善された伸縮性配線基板を提供することを目的とする。その具体的手法として、従来技術とは異なるプロセスで形成された金薄膜を配線材料として適用した伸縮性配線基板を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題解決のため、本発明者等は、配線材料として金薄膜を適用しつつ、その形成方法を最適化すべく検討することとした。金属の薄膜を形成する方法(成膜方法)としては、上記従来技術で適用される真空蒸着の他、めっき法や化学蒸着法等の各種の成膜プロセスが知られている。こうした各種の成膜プロセスにより形成される金属薄膜は、純度や密度等の外形的特性においては差異が少ない。しかし、成膜プロセスが異なれば成膜機構も異なることとなり、その相違によって金属粒子(金属原子)の結合状態が異なると考えられる。本発明等は、この金属粒子の結合状態が成膜時に導入されるマイクロクラックの形態や、伸長時のマイクロクラックの態様に影響を及ぼすと考察した。
【0012】
そして、本発明等は鋭意検討の結果、特定の工程を経た無電解めっき法(自己触媒型無電解めっき法)による金薄膜において、伸長時のマイクロクラックの形態が良好なものに成り得ることを見出した。この特定の工程とは、基材上に所定成分のプライマー層を形成し、その後、無電解めっきで金薄膜を成膜する工程である。プライマー層の構成及び作用については後に詳述するが、プライマー層は、金薄膜の密着補助層として作用することに加えて、無電解めっきの際に使用される金ナノ粒子からなる触媒を捕捉し、好適状態の金薄膜を形成することにも寄与する。
【0013】
更に、本発明者等は、上記した基材とプライマー層と金薄膜とで構成される伸縮性配線基板についての詳細な検討を行った。その結果、本発明者等は、基材の強度も金薄膜のマイクロクラックの形態に影響を及ぼすと考察した。具体的には、基材の強度を所定範囲にすることとで、金薄膜の伸長時のクラックの形態を好適にして良好な導電性を確保できることを見出し本発明に想到した。
【0014】
即ち、本発明は、伸縮性エラストマーからなる基材と、前記基材の少なくとも一の面に形成された、少なくとも樹脂成分及びアミノ基を含む架橋剤を含んでなるプライマー層と、前記プライマー層上に形成された金薄膜と、を備えてなる伸縮性配線基板であって、前記基材は、ヤング率が7MPa以上100MPa以下である伸縮性配線基板である。
【0015】
以下、本発明に係る伸縮性配線基板について、その構成及び導電特性を説明すると共に、伸縮性配線基板の製造方法を詳細に説明する。
【0016】
A 本発明に係る伸縮性配線基板
本発明に係る伸縮性配線基板は、必須の構成として、基材、プライマー層、金薄膜を備えてなる。以下、これらの構成について詳細に説明する。
【0017】
A-1 基材
基材は、配線材料である金薄膜を支持するための部材である。本発明において基材は伸縮性エラストマーからなる。エラストマーは粘弾性を有する高分子材料の総称であり、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、及び、オレフィン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。そして、本発明においては、基材である伸縮性エラストマーの強度を示すヤング率の範囲を7MPa以上100MPa以下とする。
【0018】
マイクロクラックの拡大及びその形態制御によって金薄膜に伸張性を付与する本発明において、マイクロクラックの挙動に及ぼす因子は複数ある。基材の機械的性質、特にヤング率は、当該因子の中で特に重要なものの一つである。基材と金薄膜との機械的性質の差が大きいとき、金薄膜に局所的な応力集中部を形成し、クラック拡大を過度に進行させる。詳細には、ヤング率が7MPa未満の基材は、金薄膜及びプライマー層との強度差が大きく、伸長時に歪みを金薄膜全体に均一に伝えることができないため、一部のクラックが過度に拡大してシート抵抗を増大させることとなる。一方、基材の強度の上限については、強度が過剰に高い基材は、生体の動きによる追従した伸長が難しくなるため、100MPaを上限とする。基材のヤング率は、8MPa以上50MPa以下がより好ましい。
【0019】
以上の好適条件を考慮したとき、基材となる伸縮性エラストマーの具体例としては、ウレタン系(TPU)、エステル系(TPEE)、アミド系(PEBA)、オレフィン系(TPV)の熱可塑性エラストマーが挙げられる。これらのエラストマーであって、上記したヤング率を有するものが基材として好適である。
【0020】
A-2 プライマー層
本発明においてプライマー層は、複数の作用を有する機能層であって、本発の必須の構成である。即ち、プライマー層は、金薄膜と基材との密着性を確保するための密着補助層として作用する。また、金薄膜と基材との強度差を緩和し、伸長時に拡大するマイクロクラックの状態を好適化する作用も有する。上記のとおり、本発明においては、基材の強度(ヤング率)を規定している。プライマー層は、金薄膜と基材との強度差を更に緩和し、伸長時のマイクロクラックの形態に作用する。
【0021】
そして、プライマー層の更なる作用として重要なのが、無電解めっきによる金薄膜を成膜する際のナノ触媒粒子の捕捉である。無電解めっきによる金薄膜の成膜自体は、めっき液中の還元剤の作用によりナノ触媒粒子がなくとも可能である。但し、無電解めっき法においては、適宜のナノ粒子触媒を基材上に固定することで、金薄膜の密着性向上や成膜速度及び薄膜品質の好適化を図ることができる。こうしたナノ粒子触媒の作用は、金薄膜のマイクロクラックの形態制御にも有用である。更に、ナノ粒子触媒を基材上に選択的に固定することで、微細な金薄膜の配線化が可能となる。そこで、本発明に係る伸縮性配線基板においては、ナノ触媒の捕捉作用を有するプライマー層を必須の構成としている。
【0022】
プライマー層は、樹脂成分と架橋剤を必須的に含む。樹脂は、プライマー層の固体としての形態を保持するための成分であり、架橋剤は、架橋反応により樹脂成分の分子を架橋して樹脂を不溶化させてプライマー層を形成するための成分である。本発明においては、架橋剤は、架橋反応時に所定の官能基(アミノ基)を生成する化合物である。この官能基は、プライマー層形成後の無電解めっき工程でナノ粒子触媒を捕捉するために生成される。官能基により捕捉されるナノ粒子触媒は、無電解めっき工程で金薄膜の成膜に寄与する。
【0023】
プライマー層の樹脂成分は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂等から選ぶことができる。樹脂成分としては、エポキシ樹脂又はポリエステル樹脂の少なくともいずれかを含むものが特に好ましい。
【0024】
一方、架橋剤は、上記したように、架橋反応により樹脂分子を架橋し、官能基(アミノ基)を生成する化合物である。具体的には、メラミン系架橋剤、アミン系架橋剤、グアナミン系架橋剤、グリコールウリル系架橋剤などを用いることができる。特に好適な架橋剤はメラミン系架橋剤である。メラミン系架橋剤としては、ヘキサメトキシメチルメラミン・ヘキサメトキシエチルメラミン(HMM)、ジメトキシメチルメラミン、トリメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルメラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、などのようなメトキシアルキルメラミン類がある。また、テトラメトキシメチルグリコールウリル、1,3-ビスメトキシメチル-4,5-ビスメトキシエチレンウレア、ビスメトキシメチルウレアなどのようなアルコキシメチルグリコールウリル類がある。
【0025】
プライマー層は、少なくとも樹脂成分と架橋剤を含むが、これらの必須成分以外の成分を含んでいても良い。後述のとおり、プライマー層は、樹脂成分と架橋剤とを溶媒に分散・溶解させたプライマー液を基材に塗布し焼成することで形成される。かかるプライマー液には、光酸発生剤、増感剤等の補助的成分が含まれることが多い。プライマー液からプライマー層を形成したときには、これらの補助的成分由来の物質が含まれることがあるが、そのような成分を含んでいても良い。
【0026】
本発明に係る伸縮性配線基板において、以上説明したプライマー層の厚さは、400nm以上1000nm以下が好ましい。プライマー層が厚過ぎる或いは薄過ぎると、伸長時の抵抗値が高くなる傾向がある。これは、伸長時のクラックの形態により導電経路が長くなることに起因していると推定される。プライマー層の厚さは、より好ましくは、450nm以上800nmとする。
【0027】
A-3 金薄膜(金配線)
本発明に係る伸縮性配線基板の配線材料は金からなる。上述のとおり、金は、導電性に優れた配線材料である。また、金は化学的安定性が高く生体適合性を有するため、ウェアラブルデバイス・ヘルスケアデバイスの配線材料として好適である。
【0028】
そして、本発明に係る伸縮性配線基板では、配線材料である金薄膜の膜厚を60nm以上とすることが好ましい。通常、配線基板の抵抗値は、配線材料の膜厚増大に反比例して低下する。本発明では、金薄膜の膜厚を60nm以上とすることで、配線材料として好適な抵抗値を示すことができる。尚、60nm以上の膜厚の金薄膜は、従来技術である真空蒸着であっても成膜自体は可能である。しかしながら、真空蒸着による金薄膜では膜厚が増大すると、伸長時における抵抗値が過大になる傾向がある。本発明においては、上述の基材の機械的性質の規制及びプライマー層を適用することで、金薄膜の膜厚を増大させても伸長時の抵抗値への影響が少ない伸縮性配線基板としている。金薄膜の膜厚は、100nm以上とすることがより好ましい。また、金薄膜の膜厚の上限としては、1000nm以下とすることが好ましい。膜厚が過大となると伸長時に断線が発生するおそれがある。
【0029】
尚、本発明における金薄膜は、表面に適度な凹凸(ラフネス)を有することがより好ましい。ある程度のラフネスを有することで、構造面から金薄膜の伸縮性を良好にすることができる。金薄膜のラフネスについては、具体的には、金薄膜表面の算術平均粗さ(Sa)が0.2μm以上で、且つ最大高さ(Sz)が3.5μm以上であることが好ましい。Saについては、0.5μm以上であることがより好ましい。
【0030】
B 本発明に係る伸縮性配線基板の伸長時の導電特性
これまで述べたとおり、本発明に係る伸縮性配線基板は、配線材料である金薄膜が内包するマイクロクラックの拡大により伸長が可能であり、伸長時のクラックの形態により導電性を確保している。本発明において、伸長時の金薄膜のマイクロクラックは、金薄膜表面に複数形成され、伸長方向と交差する方向に長さ(クラック長)を有する。そして、マイクロクラックは、伸長率の上昇と共に長さと幅を増大させる。但し、マイクロクラックが金薄膜を完全に縦断することはなく、導電パスとなる金の層が連続した状態が形成される。
【0031】
金薄膜表面に観察される拡大したマイクロクラックは、伸長率の増大により網目状や蜘蛛の巣状等の様々な形状を形成する。本発明においては、マイクロクラックの形状自体が金薄膜の導電性維持に及ぼす影響は少ない。伸長時の金薄膜の導電性は、マイクロクラックが面内に均一に拡大しているか否かに依る影響が大きい。マイクロクラックの分布が不均一で局部的にマイクロクラックが密になっていると、当該部位が導電パスとして機能し難くなる。そのため、本発明に係る伸縮性配線基板の伸長時のマイクロクラックの好適な形態については、定性的には前記のような説明が可能である。しかし、伸長時のクラックの形態について、定量的・数値的な要素を特定することは困難である。
【0032】
金薄膜の伸長時のマイクロクラックの形態の特定に有用なのが、所定の伸長率における正規化抵抗である。正規化抵抗は、所定伸長率で伸長したときの伸長時抵抗R(Ω)と伸長前(伸長率0%)における初期抵抗R(Ω)との比(R/R)で示される。配線の抵抗は、薄膜の膜厚が小さい場合は、伸長率が上昇しても変化は少ない。配線の抵抗は、膜厚が大きくなれば伸長率の影響を大きく受けで変化する傾向にある。本発明においては、初期抵抗の低減を考慮した比較的膜厚が大きい金薄膜を適用することが想定されている。本発明の伸縮性配線基板においては、厚い金薄膜であっても抵抗の変化率が比較的小さい。これはマイクロクラックの形態に基づくと考察される。
【0033】
具体的には、本発明に係る伸縮性配線基板は、伸長率50%で伸長したときの伸長時抵抗Rと前記初期抵抗Rとの比であるR/Rが35以下とすることができる。このような正規化抵抗の比較的小さい値は、伸長時の金薄膜のクラックの形態が寄与していると考えられる。この伸長率50%で伸長時のR/Rは、25以下となるものがより好ましい。尚、本発明において伸長率50%における正規化抵抗を参照するのは、伸縮性配線基板が人体の皮膚上で利用される場合、必要とされる伸長率として50%が想定されているからである。また、その定義上、正規化抵抗R/Rの値は1以上となる。
【0034】
尚、本発明に係る伸縮性配線基板は、金薄膜の膜厚の最適化等により、非伸長時(伸長率0%)における低抵抗化を図ることができる。本発明に係る伸縮性配線基板は、非伸長時におけるシート抵抗を10Ω/sq以下とすることができる。非伸長時におけるシート抵抗は、より好ましくは5Ω/sq以下とする。
【0035】
C 本発明に係る伸縮性配線基板の製造方法
次に、本発明に係る伸縮性配線基板の製造方法について説明する。本発明に係る伸縮性配線基板は、基材上にプライマー層及び金薄膜を順次形成することで製造することができる。そして、本発明においては、金薄膜の成膜プロセスとして、無電解めっきが適用される。即ち、本発明に係る伸縮性配線基板の製造方法は、伸縮性エラストマーからなる基材と、前記基材の少なくとも一の面に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成された金薄膜と、を備えてなる伸縮性配線基板の製造方法であって、前記基材に、少なくとも樹脂及びアミノ基を含む架橋剤を含んでなるプライマー液を塗布して前記プライマー層を形成する工程と、前記プライマー層の表面に、金からなる粒径1nm以上100nm以下の金ナノ粒子触媒を分散させる工程と、無電解めっき法により前記プライマー層の表面に金薄膜を形成する工程と、を含む。以下、本発明に係る伸縮性配線基板の各工程について説明する。
【0036】
C-1 基材準備
基材については、上述した所定ヤング率の伸縮性エラストマーが用いられる。基材は、プライマー層の形成前に加工されていても良い。また、必要に応じて洗浄処理等の前処理を行っても良い。
【0037】
C-2 プライマー層の形成
プライマー層は、少なくとも樹脂成分と架橋剤を含むプライマー液を基材に塗布した後、樹脂分子の架橋反応を進行させることで形成される。また、所望の配線パターンを形成するため、架橋反応により活性化した官能基の不活化処理を行う場合もある。
【0038】
プライマー液は、必須成分として樹脂と架橋剤とを含み、これらを溶剤に溶解させた溶液である。
【0039】
樹脂は、上記した具体例として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂などから選ぶことができる。エポキシ樹脂またはポリエステル樹脂といった樹脂が好ましく用いられる。
【0040】
架橋剤は、プライマー液塗布後、樹脂の分子内及び分子間を架橋して不溶化させるための成分である。また、本発明においては、前記の架橋反応の際に官能基(アミノ基)を生成する作用も有する。こうして生成される官能基が後述の金ナノ粒子触媒を捕捉し、めっきによる金薄膜の形成を促進する。
【0041】
架橋剤は、上記した架橋反応と官能基生成の作用を有するものであれば特に限定されることはないが、メラミン系架橋剤、アミン系架橋剤、グアナミン系架橋剤、グリコールウリル系架橋剤などを用いることができる。特に好適な架橋剤はメラミン系架橋剤である。メラミン系架橋剤としては、ヘキサメトキシメチルメラミン・ヘキサメトキシエチルメラミン(HMM)、ジメトキシメチルメラミン、トリメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルメラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、などのようなメトキシアルキルメラミン類がある。また、テトラメトキシメチルグリコールウリル、1,3-ビスメトキシメチル-4,5-ビスメトキシエチレンウレア、ビスメトキシメチルウレアなどのようなアルコキシメチルグリコールウリル類がある。
【0042】
また、プライマー液は、樹脂及び架橋剤の必須成分の他、光酸発生剤や増感剤等の反応開始剤としての補助的成分を含むことができる。光酸発生剤の例としては、オニウム塩(スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩等)、ニトロベンジルエステル、ジアゾメタン、トリアジン等の化合物を単独または複数組み合わせて用いられる。また、増感剤の例としては、9-メチルアントラセン、アントラセンメタノール、アセナフチレン、チオキサントン、メチル-2-ナフチルケトン、4-アセチルビフェニル、1,2-ベンゾフルオレン等が挙げられる。
【0043】
そして、プライマー液は、上記した樹脂及び架橋剤と補助成分を溶剤に溶解させることで構成される。プライマー液の溶剤としては、ケトン類、エーテル類、エステル類、および芳香族炭化水素等が適用できる。溶剤の具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸2-メトキシ-1-プロピレン、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、酢酸2-エトキシエチル、酢酸1-メトキシ-2-プロピル、酢酸1,2-ジメトキシエタンエチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、N-メチル-2-ピロリドン、1,4-ジオキサン、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン等が挙げられる。
【0044】
尚、プライマー液における樹脂、架橋剤の濃度や配合比については、 必須成分である樹脂及び架橋剤のプライマー液における配合比は、質量比で樹脂:架橋剤が1:1~1.5:1とするのが好ましい。また、樹脂及び架橋剤を溶剤で希釈してプライマー液とするとき、溶剤の使用量は、プライマー液全体に対して20質量%以上75質量%以下とすることが好ましい。
【0045】
プライマー液の基材への塗布方法は、スプレー、ディッピング、スピンコーター、ロールコーター等の他、各種印刷法(スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等)の各種の方法が適用できる。プライマー液塗布後は、乾燥処理を行うことが好ましいが、乾燥処理は、室温又は加熱条件下で行うことができる。乾燥後のプライマー層の膜厚は、プライマー液における樹脂及び架橋剤の濃度やプライマー液の塗布条件によって調整できる。
【0046】
プライマー液の塗布後は、架橋剤により樹脂の架橋反応を進行させてプライマー層を形成する。このときの架橋反応は、加熱又は光照射により開始及び進行する。加熱処理は、100℃以上とすることが好ましい。また、光照射は、波長300nm以上の光源による光照射が好ましい。架橋反応の進行により、樹脂の架橋が進行してプライマー層が形成され、これと同時に架橋剤成分の官能基(アミノ基)が活性化する。
【0047】
また、上記した架橋反応により生成した官能基(アミノ基)は活性状態にあるが、この官能基は、波長300nm未満の深紫外光の照射を受けることで不活化する。こうした官能基の不活化は、後述する金ナノ粒子触媒の選択的な固定に寄与する。フォトマスク等によるパターニングと前記深紫外光の照射により、金薄膜の配線パターンを形成することができる。
【0048】
C-3 金ナノ粒子触媒
本発明においては、上記のようにして形成したプライマー層上に無電解めっきにより金薄膜を成膜するが、その前処理として金からなるナノ粒子触媒をプライマー層の表面に固定する。金ナノ粒子触媒は、上記したプライマー層の形成過程で活性状態となった官能基と結合し固定され、その後の無電解めっき工程で金の析出を促進する。金ナノ粒子触媒は、金薄膜とプライマー層との密着性を向上させることができる。基材が伸縮し、その影響を受ける金薄膜を成膜するために金ナノ粒子触媒の適用は必須となる。
【0049】
金ナノ粒子触媒は、金からなる微細粒子であり、その平均粒径は2nm以上100nmであるものが好ましい。金ナノ粒子触媒は、単分散状態にあることが好ましく、粒径が小さすぎると凝集傾向にあることから、2nm以上とする。また、過剰に粒径の大きい金ナノ粒子触媒は、プライマー層の官能基との結合能が低下する。金ナノ粒子触媒の平均粒径は5nm以上50nm以下とするのが好ましい。
【0050】
金ナノ粒子触媒をプライマー層に固定する際には、金ナノ粒子触媒の分散液をプライマー層表面に塗布することが好ましい。このとき、金ナノ粒子触媒の分散液の分散媒としては、糖アルコールを含む水溶液が好ましい。糖アルコールは、金ナノ粒子触媒と結合して保護剤(分散剤)として作用し、分散液における金ナノ粒子触媒の凝集を抑制する。また、分散液中で金ナノ粒子触媒と結合した糖アルコールは、プライマー層表面の官能基と置換されて、金ナノ粒子触媒とプライマー層(の官能基)との結合を促進する。かかる保護剤としての糖アルコールとしては、グリセリン、エリトリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等が適用できる。そして、分散媒は、糖アルコールを0.1g/L以上20g/L以下含む水溶液が好ましい。
【0051】
ここで、プライマー層上に固定される金ナノ粒子触媒の数(密度)は、その後に無電解めっき工程で成膜する金薄膜の性状に影響を及ぼす場合がある。
【0052】
具体的には、プライマー層の表面に金ナノ粒子触媒を分散させる工程で、金ナノ粒子触媒を300個/μm以上1500個/μm以下の密度で分散させるのが好ましい。そして、金ナノ粒子触媒の密度は、金ナノ粒子触媒分散液の金濃度、及び金ナノ粒子触媒分散液とプライマー層との接触時間に応じて調整可能である。金ナノ粒子触媒を前記の好適な密度で分散固定するためには、金ナノ粒子触媒の分散液の金濃度を0.01g/L以上1.0g/L以下とすると共に、プライマー層との接触時間を5分以上40分以下とするのが好ましい。
【0053】
尚、金ナノ粒子触媒の分散液の塗布方法は、スプレー、ディッピング、スピンコーター、ロールコーター等が適用できる。また、分散液の塗布後は、必要に応じて乾燥及び洗浄を行っても良い。
【0054】
C-4 金薄膜の成膜工程(無電解めっき工程)
本発明では、配線材料である金薄膜の成膜工程に無電解めっきが適用される。特に、自己触媒型無電解めっき液を用いた無電解めっきによるプロセスが好ましい。自己触媒型無電解めっき液は、金塩と金イオンの還元析出のための還元剤と適宜の添加剤を含む。好ましくは、ノンシアン無電解めっき液が好ましい。自己触媒型めっき液における金塩としては、テトラクロロ金酸(III)、塩化金酸(III)、塩化金(I)、三フッ化金(III)、一フッ化金(I)、一臭化金(I)、三臭化金(III)、ヒドロキシ金(III)オキシド、トリヨード金(III)、トリス硝酸金(III)、硝酸金(I)と、これらの水和物又は塩が好適に用いられる。また、還元剤としては、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、アミノボラン、次亜リン酸塩等が好適である。
【0055】
無電解めっき工程におけるめっき液の組成は、金濃度を1.8g/L以上2.2g/L以下の範囲内に保持することが好ましい。また、めっき液の温度は60℃以上70℃以下に保持することが好ましい。自己触媒型無電解めっきでは、金の析出の開始により金イオンが連続的に還元して金薄膜となるので、めっき液中の金濃度が減少する。そのため、長時間成膜する場合においては、金濃度が前記範囲内となるように、金塩及び還元剤を補充することが好ましい。
【0056】
金薄膜の膜厚は、めっき時間の増大と共に上昇する。本発明においては、金薄膜の膜厚を60nm以上とすることが好ましいとしており、この膜厚にする上でめっき時間は2分以上とするのが好ましい。
【0057】
上記の無電解めっき工程により、金薄膜からなる配線材料が形成され、本発明に係る伸縮性配線基板とすることができる。
【発明の効果】
【0058】
以上説明したように、本発明は、基材上に所定構成のプライマー層と金薄膜からなる配線材料が形成されてなる伸縮性配線基板。本発明に係る伸縮性配線基板は、伸縮性に優れると共に伸長時の導電性も良好である。本発明は、金を配線材料とすることから、生体適合性も具備しており、ウェアラブルデバイス及びヘルスケアデバイスの分野への適用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】第1実施形態で製造した伸縮性配線基板(基材:TPU、SEBS)の伸長時の抵抗値の測定結果を示すグラフ。
図2】第1実施形態で製造した伸縮性配線基板(基材:TPU、SEBS)の伸長時の金薄膜表面の顕微鏡観察写真。
図3】第2実施形態で製造した伸縮性配線基板(金膜厚:80nm、110nm、230nm、470nm)の伸長時の抵抗値の測定結果を示すグラフ。
図4】第2実施形態で製造した伸縮性配線基板(金膜厚:80nm、110nm、230nm、470nm)の伸長時の金薄膜表面の顕微鏡観察写真。
図5】第2実施形態で製造した伸縮性配線基板(金膜厚:110nm、230nm、470nm)の伸長時の金薄膜表面のSEM写真。
図6】第3実施形態で製造した伸縮性配線基板(プライマー層膜厚:320nm、450nm、730nm、1220nm)の伸長時の抵抗値の測定結果を示すグラフ。
図7】第3実施形態で製造した伸縮性配線基板(プライマー層膜厚:320nm、450nm、730nm、1220nm)の伸長時の金薄膜表面の顕微鏡観察写真。
図8】第4実施形態において金ナノ粒子分散液への浸漬時間を変更したときのプライマー層表面のSEM写真。
図9】第4実施形態で製造した伸縮性配線基板(浸漬時間:5min、20min、40min)の伸長時の抵抗値の測定結果を示すグラフ。
図10】第4実施形態で製造した伸縮性配線基板(浸漬時間:5min、20min、40min)の伸長時の金薄膜表面の顕微鏡観察写真。
図11】第5実施形態で製造した伸縮性配線基板(配線幅:100μm、200μm、500μm)の伸長時の抵抗値の測定結果を示すグラフ。
図12】第5実施形態で製造した伸縮性配線基板(配線幅:100μm、200μm)の伸長時の金薄膜表面の顕微鏡観察写真。
図13】第6実施形態で製造した伸縮性配線基板(真空蒸着、無電解めっき)の伸長時の抵抗値の測定結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0060】
第1実施形態:以下、本発明の実施態様について説明する。本実施形態では、ヤング率の異なる各種の樹脂製の伸縮性基材に、プライマー層及び金薄膜を形成して伸縮性配線基板を製造した。そして、各伸縮性配線基板の初期及び伸長時の抵抗値を測定すると共に伸長時の金薄膜のクラック形態を観察した。
【0061】
本実施形態では、市販の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)である、エラストラン(登録商標)1198ATR(BASFジャパン株式会社製:実施例1とする)と、ミラクトラン(登録商標)P22MBRNAT(日本ミラクトラン株式会社製):実施例2とする)の2種の伸縮性エラストマーを基材として検討した。また、比較例として、市販の水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)である、タフテック(登録商標)シリーズのH1062とH1221(旭化成ケミカルズ株式会社製:比較例1、比較例2とする)を検討した。本実施形態で基材として使用した伸縮性エラストマーのヤング率の測定結果は、以下のとおりである。
【0062】
【表1】
【0063】
[基材の作製]
ガラス基板上に濃縮液体洗剤(Micro90)の10%水溶液をスピンコートして塗布した(2000rmp、30sec)。その後、ガラス基板をホットプレートで100℃、1minアニールし剥離補助層を形成した。そして、ガラス基板上に、上記したエラストマーの溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド(DMAC)、濃度:20%)をスピンコートして塗布した(500rmp、30sec)。これをホットプレートで110℃、30minアニールして硬化させた。更に、プラズマクリーナーにより酸素プラズマを照射(50W、5sccm、30sec)して表面を親水化処理した。以上の操作により、各種の伸縮性エラストマー基材(5cm×7.5cm)を作製した。
【0064】
[プライマー層の形成]
上記で作製した伸縮性エラストマー基材にプライマー液を塗布した。プライマー液は、無電解めっき用前処理剤として市販されているシードキャットPRMシリーズ(EEJA株式会社製)を用いた。この前処理剤は、樹脂成分(シードキャットPRM A)、架橋剤成分(シードキャットPRM B)、反応開始剤(シードキャットPRM スターター)で構成されている。本実施形態では、シクロヘキサノンを溶剤とし、樹脂成分:架橋剤成分:反応開始剤:溶剤が質量比で4:3:1:2となるように混合してプライマー液とした。
【0065】
基材へのプライマー液の塗布では、基材を500rpm、5secで回転中にプライマー液を1mL滴下し、滴下後に1000rpm、30secとしてスピンコートした。その後、ホットプレートにて110℃で10分間加熱して樹脂成分を不溶化してプライマー層を形成した。
【0066】
[金ナノ粒子触媒の固定]
無電解めっき工程前に、プライマー層表面に金ナノ粒子触媒を分散・固定した。金ナノ粒子触媒は、市販の金ナノ粒子分散液(シードキャットCAT-Au10:EEJA株式会社製)を用いた。分散液中の金ナノ粒子の粒径は10~30nmであり、金濃度0.1g/Lである。
【0067】
金ナノ粒子触媒の固定では、上記でプライマー層を形成した基材を、上記の金ナノ粒子分散液に浸漬した。本実施形態では、浸漬時間を20minとし、時間経過後に基材を取り出し室温で乾燥させた。
【0068】
[金薄膜の成膜]
以上のプライマー層及び金ナノ粒子触媒の固定を行った基材に対し、自己触媒型無電解めっき液を用いて金薄膜を成膜した。無電解金めっき液として、市販のノンシアン中性自己触媒型無電解めっき液(AC FAB Au-ACG3000WX:EEJA株式会社製)を使用した。無電解めっき工程は、70℃に保持しためっき液に基材を10min浸漬して行った。無電解めっき工程後は、110℃のホットプレートにて10minアニールした。以上の工程にて本実施形態に係る伸縮性配線基板を製造した。
【0069】
尚、本実施形態で製造した伸縮性配線基板は、各種の測定試験前に金薄膜の膜厚を測定した。膜厚の測定は、ガラス基板上に製造された伸縮性配線基板の一部をメスで切り取って段差を形成し、段差を触針式プロファイリングシステム(DektakXT:Bruker Nano社製)で測定した。本実施形態で製造した伸縮性配線基板においては、金薄膜の膜厚は200nmであった。
【0070】
[伸長時導電試験]
以上の工程にて製造した実施例及び比較例の伸縮性配線基板について、伸長時の抵抗値を測定する伸長時導電試験を行った。この試験に際しては、ガラス基板上に形成した伸縮性配線基板を幅5mm×長さ20mmの寸法で切り出した。切り出した実施例及び比較例の伸縮性配線基板を、両面テープとマスキングテープを用いて可動ステージに10mm間隔で配置・固定した。そして、それぞれの伸縮性配線基板の配線(金薄膜)の両端に液体金属を使用しつつワイヤーを取り付けてLCRメーター(ZM2376、株式会社エヌエフ回路設計ブロック製)に接続した。
【0071】
各伸縮性配線基板を可動ステージにセットした後、可動ステージをドライバ内蔵型3軸コントローラー(CP-700D、コムス株式会社製)で制御し、初期状態(伸長率0%)から0.5%の伸長率毎の抵抗値を測定した。このとき、伸縮性配線基板の幅5mm×長さ10mmの領域における抵抗値を測定した。
【0072】
[金薄膜の形態観察]
各実施例、比較例の伸縮性配線基板については、伸長時における金薄膜表面の形態観察を行い、クラックの形態を検討した。上記の伸長時導電試験と同様、ガラス基板から伸縮性配線基板を切り出し、これをバイス上に固定した。そして、バイスで伸長させつつ、光学顕微鏡で金薄膜の表面を観察した。
【0073】
また、クラックの微視的な観察のためSEM観察も行った。SEM観察では、所定の伸長率で伸長させた伸縮性配線基板の表面に瞬間接着剤を滴下して伸長状態が固定されたサンプルを作製した。このサンプルをSiウエハーにカーボンテープで接着してSEM(Inspect F50、FEI Company製)で観察した。
【0074】
[伸長時導電試験の結果]
本実施形態で製造した伸縮性配線基板の伸長時の抵抗値の測定結果を図1に示す。本実施形態では、基材としてヤング率が高いTPU基材(実施例1、2)及びヤング率が低いSEBS基材(比較例1,2)を適用した伸縮性配線基板を製造した。図1からわかるように、比較例1、2のヤング率の低いSEBS基材による伸縮性配線基板は、初期段階(未伸長時)から抵抗値が高くなっている。伸長率50%の段階でも同様である。この結果から、伸縮性配線基板の初期及び伸長時の低抵抗化を図る場合には、基材強度を高めることが必要であることが確認された。
【0075】
[伸長時のクラック形態の観察]
本実施形態で製造した伸縮性配線基板の伸長時(伸長率:0%、50%、100%)における金薄膜表面の顕微鏡観察写真を図2に示す。クラックの形態に関して検討すると、実施例1の金薄膜では、網目状の均質なクラックが形成されている。また、実施例2については、実施例1とは異なり、やや幅広の鏃形状或いは楔形状の不連続なクラックが形成されている、クラック領域とクラックのない素地領域が比較的均等に交錯した状態にあり、素地領域が導電パスとなって伸長時でも導電性が良好であったと考えられる。一方で比較例1、2の金薄膜では、観察領域を縦断する複数の線状クラックが平行して形成されている。こうしたクラックが形成された金薄膜においては、クラック部分の底部(基材付近)で薄膜が繋がった状態にあり、これにより導電性は維持されていると考えられる。但し、導電パスとしての電子の流れ易さとしては良好なものではないので、抵抗が高くなると考えられる。
【0076】
第2実施形態:本実施形態では、金薄膜の膜厚を変更しつつ伸縮性配線基板を製造し、その特性評価を行った。実施例2と同じTPU基材に、第1実施形態と同じプライマー液及び金ナノ粒子分散液を使用してプライマー層の形成と金ナノ粒子触媒の固定を行った。プライマー液の塗布条件は、2000prm、1minとし、それ以外の条件は第1実施形態と同じとした。そして、第1実施形態と同じ無電解めっき液を用い、めっき時間(浸漬時間)を調整して金薄膜の膜厚が異なる伸縮性配線基板を製造した。そして、無電解めっき工程後に金薄膜の膜厚を測定した。本実施形態では、めっき時間を3min、5min、10min、20minとした。これらの条件で成膜した金薄膜の膜厚は、80nm、110nm、230nm、470nmであった。
【0077】
その後、第1実施形態と同様にして伸長時導電試験及び伸長時の金薄膜の表面形態の観察を行った。
【0078】
本実施形態で製造した伸縮性配線基板の伸長時導電試験の結果である抵抗値と正規化抵抗(R/R)を図3に示す。未伸長時(伸長率0%)の抵抗値は、金薄膜の膜厚の増大と共に低下することとなる。
本試験における配線寸法(5mm(W)×10mm(L))を考慮すると、膜厚80nmの伸縮性配線基板で未伸長時のシート抵抗値が約20Ω/sqであり、膜厚110nm以上の伸縮性配線基板の未伸長時のシート抵抗値は2.0Ω/sq以下であった。そして、伸長率50%における正規化抵抗(R/R)を参照すると、初期の抵抗値が高目の膜厚80nmの伸縮性配線基板が最も低く、膜厚の増大と共にR/Rの値は上昇する傾向が観られる。伸長率50%における正規化抵抗(R/R)いずれも25以下であった。これらはいずれも伸縮性配線基としての利用可能性を有すると考えることができる。特に、膜厚100nm以上の伸縮性配線基板は、初期状態及び伸長時において極めて良好な抵抗特性を有するといえる。図4図5は、各伸縮性配線基板の伸長時(伸長率:0%、50%、150%)における金薄膜表面の顕微鏡観察写真とSEM写真である。伸長時のクラックの形態は、膜厚の増大と共に幅広になる傾向がある。但し、いずれの膜厚でもクラックは比較的均一に分布していた。
【0079】
第3実施形態:本実施形態では、基材上に形成されるプライマー層の厚さを変更して伸縮性配線基板を製造した。実施例1と同じ基材に、第1実施形態と同じプライマー液をスピンコートしてプライマー層を形成した。このとき、スピンコートレートを500rpm、1000rpm、2000rpm、4000rpmの4パターンでプライマー液を塗布してプライマー層を形成した。プライマー層の厚さは、1220nm(500rpm)、730nm(1000rpm)、450nm(2000rpm)、320nm(4000rpm)であった。その後、プライマー層を形成した各基材を金ナノ粒子分散液に20min浸漬し、無電解めっき工程で金薄膜を形成した。金薄膜の膜厚は、100nmとした。そして、第1実施形態と同様にして伸長時導電試験及び伸長時の金薄膜の表面形態の観察を行った。
【0080】
図6は、本実施形態の伸縮性配線基板における伸縮時導電試験の結果を示す。図6から、プライマー層が最も厚いとき(1220nm)と最も薄いとき(320nm)においては、初期及び伸長時の抵抗値が高くなる傾向にあることが分かる。プライマー層がこれらの間の厚さ(450nm、730nm)では、略同じ抵抗特性を示すといえる。また、図7に、各伸縮性配線基板の伸長時の金薄膜表面の顕微鏡観察写真を示す。
【0081】
第4実施形態:本実施形態では、無電解めっき工程前にプライマー層表面に固定する金ナノ粒子触媒の数密度を変更して金薄膜を成膜して伸縮性配線基板を製造した。第1実施形態と同じ工程により、基材にプライマー層を形成した。そして、浸漬時間を5min、20min、40minとして、プライマー層を形成した基材を金ナノ粒子分散液へ浸漬して金ナノ粒子触媒を固定した。
【0082】
図8は、各浸漬時間で処理後の基材(プライマー層)の表面のSEM写真である。浸漬時間の増加と共に、金ナノ粒子触媒の密度が上昇していることが分かる。これらについて、金ナノ粒子触媒の付着密度を測定・算出したところ、324個/μm(浸漬時間5min)、688個/μm(浸漬時間20min)、1400個/μm(浸漬時間40min)であった。
【0083】
上記測定後、それぞれの基材に対して無電解めっき工程にて金薄膜を成膜した。金薄膜の膜厚は100nm(めっき時間約5min)、200nm(めっき約10min)として、各金ナノ粒子触媒密度に対して2種の伸縮性配線基板を製造した。そして、第1実施形態と同様にして伸長時導電試験及び伸長時の金薄膜の表面形態の観察を行った。
【0084】
図9は、本実施形態の伸縮性配線基板における伸縮時導電試験の結果を示す。また、図10は、伸長時の金薄膜表面の顕微鏡観察写真である。金薄膜の膜厚が100nmの伸縮性配線基板においては、抵抗値に多少の差はあるものの、正規化抵抗でみれば金ナノ粒子触媒の付着密度による大きな差はない。また、伸長時のクラックの形態も金ナノ粒子触媒の付着密度による差は少ない。一方で、金薄膜の膜厚が200nmの伸縮性配線基板においては、金ナノ粒子触媒の付着密度が最大(40min)で増大のときに正規化抵抗が低くなる。図10を参照すると、膜厚200nmの金薄膜においては、金ナノ粒子の密度の増大によりクラックの形状に変化が生じており、金ナノ粒子の密度増大に従って、クラックの幅が短く狭くなっている。本実施形態の結果から、金ナノ粒子触媒の密度は、金薄膜の膜厚によっては伸縮性配線基板の導電性に影響を及ぼすことがあることから、膜厚に応じた処理をすることが好ましいといえる。
【0085】
第5実施形態:本実施形態で適用しているプライマー層(プライマー液)の特性を考慮し、フォトパターニングを利用した微細配線の形成について検討した。本実施形態で適用したプライマー液の架橋剤成分は、加熱又は露光(波長300nm以上)により官能基(アミノ基)が活性化する。この活性化した官能基は、深紫外光(波長300nm未満)の照射により不活化させることができる。この特性により、プライマー層上の任意の部位に金ナノ粒子触媒を固定して金薄膜を形成できる。本実施形態では、これを利用したフォトパターニングにより、金薄膜の配線パターンを形成した。
【0086】
第1実施形態と同様にしてTPU基材にプライマー層を形成した。このときのプライマー液の塗布条件は、スピンコートレート1000rpmとし、焼成条件は第1実施形態と同じとした。その後、フォトマスクでプライマー層表面をマスクして、波長254nmの深紫外光(光源:ウシオ電機株式会社製Deep UVマルチライト)で露光して一部の官能基を不活性化した。本実施形態では、1枚の基材に官能基が活性化されている領域の幅(配線幅)が100μm、200μm、500μmとなるように露光処理した。その後、第1実施形態と同様に無電解めっき工程で活性化されている領域に膜厚60nmの金薄膜を形成した。そして、第1実施形態と同様にして伸長時導電試験及び伸長時の金薄膜の表面形態の観察を行った。
【0087】
図11は、本実施形態の伸縮性配線基板(膜厚:60nm、配線幅:100μm、200μm、500μm)における伸縮時導電試験の結果を示す。また、図12は、伸長時の金薄膜表面の顕微鏡観察写真である。図11から、配線幅100μmの金薄膜は伸長率80%まで導電性を示し、配線幅200μm及び500μmの金薄膜では伸長率100%としても導電性があることが確認された。正規化抵抗(R/R)に関しては、各配線幅の伸縮性配線基板でほぼ同じ曲線となった。図12の顕微鏡写真をみると、伸長時のクラックの形態は配線幅によらず同様の形態であった。このクラックの形態の共通性が、配線幅によらず正規化抵抗が一定であることの要因であると考えられる。本実施形態の結果、本発明においては、フォトパターニングにより100μm程度の配線が形成された伸縮性配線基板が得られることが確認された。
【0088】
第6実施形態:金薄膜の製造プロセスに関し、無電解めっきとの対比のため、真空蒸着を適用した伸縮性配線基板を製造した。まず、基材の準備として第1実施形態の実施例2と同じTPU基材にプライマー液を塗布してプライマー層を形成した。そして、第1実施形態と同様にして金ナノ粒子触媒の固定と無電解めっきで膜厚200nmの金薄膜を成膜して本発明のサンプルを作製した。一方、対比する真空蒸着は、上記のプライマー層を形成した基材に真空蒸着法で金を成膜した(膜厚200nm目標)。
【0089】
その後、第1実施形態と同様、それぞれの伸縮性配線基板を幅1mm×長さ20mmの寸法で切り出した。そして、切り出した伸縮性配線基板を10mm間隔でステージに配置・固定して伸長時導電試験を行った。
【0090】
本実施形態で製造した2種の伸縮性配線基板の伸長時導電試験の結果を図13に示す。真空蒸着で金薄膜を成膜したサンプルでは、伸長率が20%になる前に導通を失った。一方、無電解めっきにより金薄膜を成膜したサンプルでは断線なく導通を維持していた。真空蒸着による金薄膜の試験後の表面を観察すると、幅広のクラックが配線を横断していたことから、真空蒸着の金薄膜は断線状態にあると考えられる。無電解めっきによる金薄膜の表面観察では、配線を横断する幅広のクラックの発生はみられなかった。本実施形態では、幅1mmの細線で配線材料を形成したが、真空蒸着の金薄膜ではクラックの拡大が大き過ぎたと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上説明したように、本発明に係る伸縮性配線基板は、基材と所定構成のプライマー層と金薄膜からなる配線材料とで構成される。配線材料である金薄膜は、内包するマイクロクラックが基板伸長時に作用して好適な伸縮性を発揮する。本発明では、適切なプライマー層の適用と基材強度の最適化により伸長率の向上と共に導電性が改良されている。そして、本発明では、配線材料を金とすることでと生体適合性でも有利である。本発明は、ストレッチャブルエレクトロニクスが適用される各種装置デバイスに有用であり、ウェアラブルデバイス及びヘルスケアデバイスやロボット用人工皮膚・スキンセンサーとしての活用が期待される。
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図13