IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼロックス コーポレイションの特許一覧

特開2025-38877インクジェットプリンタにおけるプラスチック廃棄物を減少させるためのシステム及び方法
<>
  • 特開-インクジェットプリンタにおけるプラスチック廃棄物を減少させるためのシステム及び方法 図1
  • 特開-インクジェットプリンタにおけるプラスチック廃棄物を減少させるためのシステム及び方法 図2A
  • 特開-インクジェットプリンタにおけるプラスチック廃棄物を減少させるためのシステム及び方法 図2B
  • 特開-インクジェットプリンタにおけるプラスチック廃棄物を減少させるためのシステム及び方法 図3A
  • 特開-インクジェットプリンタにおけるプラスチック廃棄物を減少させるためのシステム及び方法 図3B
  • 特開-インクジェットプリンタにおけるプラスチック廃棄物を減少させるためのシステム及び方法 図3C
  • 特開-インクジェットプリンタにおけるプラスチック廃棄物を減少させるためのシステム及び方法 図4
  • 特開-インクジェットプリンタにおけるプラスチック廃棄物を減少させるためのシステム及び方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025038877
(43)【公開日】2025-03-19
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタにおけるプラスチック廃棄物を減少させるためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20250312BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20250312BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20250312BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20250312BHJP
【FI】
B41J2/17 205
B41J2/165 203
B41J2/175 141
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024140576
(22)【出願日】2024-08-22
(31)【優先権主張番号】18/462,790
(32)【優先日】2023-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ エイ.アルバレス
(72)【発明者】
【氏名】シーミット プラハラジ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン エム.ルフェーブル
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー エス.コンデッロ
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス ケイ.ハーマン
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA19
2C056EA27
2C056EB06
2C056EB07
2C056EB27
2C056EB36
2C056EB50
2C056EC06
2C056EC07
2C056EC23
2C056EC24
2C056EC32
2C056EC54
2C056FA13
2C056HA46
2C056HA47
2C056HA58
2C056JC14
2C056JC23
2C056KC09
2C056KC10
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】インクジェットプリンタは、印刷ヘッドメンテナンスステーションによって生成された廃液を保持するためのブラダ(可撓性部材)を含むインク供給容器を使用する。ブラダは、印刷ヘッドメンテナンスステーションの排出口に直列又は並列に接続されて、インク供給容器のブラダ内に廃液を保管する。インク供給容器がその供給インクを使い切ると、インク供給容器は交換され、内部にブラダを有する新しいインク供給容器が取り付けられて、廃液を保管するプリンタの容量を更新する。
【効果】2つの実施形態では、廃液リザーバの必要性が排除され、第3の実施形態では、廃液リザーバの動作寿命が延長される。これらの全ての実施形態において、プリンタによるプラスチック廃棄物の生成が減少する。
【選択図】図3C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタであって、
前記インクジェットプリンタ内の少なくとも1つの印刷ヘッドに対して少なくとも1回のパージサイクルを実施して、廃液を生成するように構成された、少なくとも1つの印刷ヘッドメンテナンスステーションと、
前記インク供給容器の内部容積部内に位置付けられたブラダを有する、少なくとも1つのインク供給容器であって、前記ブラダは、前記印刷ヘッドメンテナンスシステムに流体結合されていて、前記印刷ヘッドメンテナンスステーションから廃液を受け取る、少なくとも1つのインク供給容器と、を備える、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
複数のインク供給容器であって、各インク供給容器は、前記インク供給容器の前記内部容積部で位置付けられたブラダを有し、前記複数のインク供給容器のうちの前記インク供給容器内の各ブラダの流入部が、互いに、及び前記少なくとも1つの印刷ヘッドメンテナンスステーションに流体接続されている、複数のインク供給容器を更に備える、
請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの印刷ヘッドメンテナンスステーション及び前記複数のインク供給容器内の前記ブラダの前記流入部に流体接続されている廃液リザーバであって、前記廃液リザーバは、前記少なくとも1つの印刷ヘッドメンテナンスステーションから廃液を受け取り、前記廃液リザーバから前記複数のインク供給容器内の前記ブラダの前記流入部のうちの少なくとも1つに前記廃液を送るように構成されている、廃液リザーバを更に備える、
請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
廃液を前記廃液リザーバから出して移動させるように構成された空気圧装置を更に備える、
請求項3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記空気圧装置に動作可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラは、
前記廃液リザーバから前記インク供給容器内の前記ブラダの前記少なくとも1つの流入部に廃液を移動させるように、計時周期ベースで前記空気圧装置を動作させるように構成されている、コントローラを更に備える、
請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記廃液リザーバ内の流体レベルを示す信号を生成するように構成された流体レベル検出器と、
前記流体レベル検出器及び前記空気圧装置に動作可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラは、
前記流体レベルが所定のレベルに達したことを示す信号を前記流体レベル検出器が生成するときに、前記空気圧装置を動作させるように構成されている、コントローラと、を更に備える、
請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記空気圧装置はポンプである、請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記ブラダは、可撓性ポリマー材料から本質的になる、請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項9】
前記ブラダは、前記インク供給容器の前記内部容積部内で前記ブラダへの前記流入部から吊り下がり、前記インク供給容器内で前記ブラダは、前記インク供給容器の前記容積部内に支持構造なしで位置する、請求項8に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項10】
複数の印刷ヘッドメンテナンスステーションと、
複数のインク供給容器であって、各インク供給容器は、前記インク供給容器の前記内部容積部で位置付けられたブラダを有し、前記複数のインク供給容器のうちの前記インク供給容器内の各ブラダの流入部が、前記複数の印刷ヘッドメンテナンスステーション内の前記印刷ヘッドメンテナンスステーションのうちの1つのみに流体接続されている、複数のインク供給容器と、
を更に備える、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項11】
インクジェットプリンタを動作させる方法であって、
前記インクジェットプリンタ内の少なくとも1つの印刷ヘッドに対して少なくとも1回のパージサイクルを実施して、廃液を生成することと、
前記インク供給容器の内部容積部内に位置付けられたブラダを有する、少なくとも1つのインク供給容器内へと前記廃液を導くことと、を含む、方法。
【請求項12】
複数のインク供給容器内の複数のブラダ内へと前記廃液を導くことであって、各インク供給容器は、前記インク供給容器の前記内部容積部で位置付けられた前記ブラダを有し、前記複数のインク供給容器のうちの前記インク供給容器内の各ブラダの流入部が、互いに流体接続されていること、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記廃液を廃液リザーバに受け入れてから、前記複数のインク供給容器のうちの前記インク供給容器内の各ブラダの前記流入部へと前記廃液を導くこと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
空気圧装置を動作させて、廃液を前記廃液リザーバから出して前記複数のインク供給容器内の前記複数のブラダ内へと移動させること、
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記空気圧装置は、計時周期ベースで動作する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記廃液リザーバ内の流体レベルを示す信号を生成することと、
生成した前記信号が、前記流体レベルは所定のレベルに達したことを示すときに、前記空気圧装置を動作させることと、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
複数の印刷ヘッドメンテナンスステーションから複数のブラダ内へと廃液を導くことであって、前記複数のブラダのうちの各ブラダは、複数のインク供給容器のうちのインク供給容器内に位置付けられており、前記複数の印刷ヘッドメンテナンスステーションのうちの各印刷ヘッドメンテナンスステーションは、1対1の対応で前記複数のブラダのうちの1つのブラダのみに流体接続されていること、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
インクジェットプリンタ内で使用するためのインク供給容器であって、
ある量のインクを保持するように構成された内部容積部を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記内部容積部内に位置付けられたブラダと、
前記ハウジング上の流入コネクタであって、前記流入コネクタは、流体が前記ハウジング内に位置付けられた前記ブラダに入ることを可能にするように構成されている、流入コネクタと、を備える、インク供給容器。
【請求項19】
前記ハウジングは硬質プラスチックから本質的になる、請求項18に記載のインク供給容器。
【請求項20】
前記硬質プラスチックは、アセタール、アクリル、ポリイミド、ガラスエポキシ、熱硬化性プラスチック、耐衝撃性ポリスチレン、ポリカーボネート、又はポリ塩化ビニルから本質的になる、請求項19に記載のインク供給容器。
【請求項21】
前記ブラダは、可撓性ポリマー材料から本質的になる、請求項19に記載のインク供給容器。
【請求項22】
前記可撓性ポリマー材料は、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、又は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)から本質的になる、請求項21に記載のインク供給容器。
【請求項23】
前記可撓性ポリマー材料の厚さが75~300ミクロンの範囲内である、請求項21に記載のインク供給容器。
【請求項24】
前記ブラダは、前記ハウジングの前記内部容積部内に支持構造を有さずに流入接続部から吊り下がっている、請求項19に記載のインク供給容器。
【請求項25】
前記ブラダは、前記ハウジング内のインクの前記量が減少するにつれて、巻かれた状態から広がる、請求項24に記載のインク供給容器。
【請求項26】
前記ブラダは、前記ハウジング内のインクの前記量が減少するにつれて、折り畳まれた状態から開く、請求項24に記載のインク供給容器。
【請求項27】
前記流入コネクタは、
非滴下遮断弁を更に備える、請求項18に記載のインク供給容器。
【請求項28】
前記流入コネクタは、
一方向弁を更に備える、請求項18に記載のインク供給容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、媒体上にインク画像を生成するデバイスに関し、より詳細には、そのようなプリンタによって生じるプラスチック廃棄物を減少させることに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタとしても知られるインクジェット画像化デバイスは、印刷ヘッドから液体インクを噴射して、画像を画像受容表面上に形成する。印刷ヘッドは、アレイ状に配置された複数のインクジェットを含む。各インクジェットは、印刷ヘッドコントローラに結合された熱又は圧電アクチュエータを有する。印刷ヘッドコントローラは、画像を定義するデジタルデータコンテンツに対応する発射信号を生成する。印刷ヘッド内のアクチュエータは、ノズルに流体接続されたインクチャンバ内に膨張することによって発射信号に応答して、ノズルから画像受容表面上にインク液滴を噴射して、発射信号を生成するために使用されたデジタル画像コンテンツに対応するインク画像を形成する。画像受容表面は、通常、媒体材料の連続ウェブ又は一連の媒体シートである。
【0003】
色画像を生成するために使用されるインクジェットプリンタは、典型的には、複数の印刷ヘッドモジュールを含む。各印刷ヘッドモジュールは、典型的には、単一色のインクを噴射する1つ以上の印刷ヘッドを含む。典型的なインクジェットカラープリンタでは、4つの印刷ヘッドモジュールが、プロセス方向において位置決めされ、各印刷ヘッドモジュールが、異なる色のインクを噴射する。最も頻繁に使用される4つのインク色は、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックである。そのようなプリンタの一般的な名前は、CMYKカラープリンタである。一部のCMYKカラープリンタは、各色のインクを印刷する2つの印刷ヘッドモジュールを有する。同じ色のインクを印刷する印刷ヘッドモジュールは、クロスプロセス方向において隣接するインクジェット間の距離の2分の1だけ互いにオフセットされており、1インチ当たりの画素数を2倍にして、2つのモジュールにある印刷ヘッドによって噴射されるインクの色のラインの濃度を上昇させる。本文書で使用するとき、「プロセス方向」という用語は、プリンタ内の印刷ヘッドを通過するときの画像受容表面の移動の方向を意味し、「クロスプロセス方向」という用語は、画像受容表面の平面内でプロセス方向に対して垂直な方向を意味する。
【0004】
インクジェット、特に水性インクを噴射する印刷ヘッド内のインクジェットは、ノズル内のインクが乾燥するのを防止することを助けるために定期的に発射する必要がある。インクジェットがかなりの量のインクを噴射して、インク画像内に高い被覆面積を形成するので、印刷ヘッド内のノズルが乾燥することがある。印刷ヘッド上のフェースプレートの一部分における高い割合のインクジェットの動作は、フェースプレートに付着する傾向がある多数のサテライト液滴を生成する可能性がある。サテライト液滴は、ノズルから画像受容基材に移動するより大きな液滴から分離する小さなインク液滴である。フェースプレート上のこれらのサテライト液滴の蓄積は、フェースプレート内のノズルを詰まらせる可能性がある。追加的に、印刷ヘッド内のインクジェットが十分に頻繁に動作しない場合、例えば、低インク面積被覆画像部分が印刷されるときに、インクジェット内のインクが乾燥し、インクジェットを動作不能にする可能性がある。インクジェットの動作状態を維持するために、印刷ヘッドモジュールは、画像受容基材の経路に対向する位置から、印刷ヘッドがパージされる印刷ヘッドメンテナンスステーションに移動される。印刷ヘッドをパージするとは、加圧された気体又は液体が印刷ヘッド内のインク供給チャンバに加えられて、インクをチャンバからノズルに押し込み、そこでインクがノズルからフェースプレート上に噴射されることを意味する。次いで、1つ以上のワイパがフェースプレートを横切って移動して、パージされたインクをフェースプレートから廃インク容器に除去する。
【0005】
廃インクの処理は、環境問題を提起する可能性がある。図5は、従来技術のインクジェットプリンタにおいて印刷ヘッドメンテナンスステーション36A、36B、36C、及び36Dに対向して位置付けられている、1組の印刷ヘッドモジュール34A、34B、34C、及び34Dを示す。印刷ヘッドメンテナンスステーション内のトレイは、印刷ヘッドに対してメンテナンス手順が実施されるときに、パージされたインク及び印刷ヘッドモジュール内の印刷ヘッドのフェースプレートから拭き取られたインクリンス液を収集する。パージされたインク及びインクリンス液は、印刷ヘッドメンテナンスステーションから廃液リザーバ38へとポンプで送られる。印刷ヘッドモジュール34A、34B、34C、及び34Dのそれぞれの印刷ヘッドには、インク容器32A、32B、32C及び32Dから適切な色のインクがそれぞれ供給される。インク容器が空になると、使い切ったインク供給容器を新しいインク供給容器と交換する必要があることを示す信号が生成される。加えて、廃液リザーバが所定の最大レベルに達すると、廃液リザーバを空の廃液リザーバと交換できるように信号が生成される。インク容器及び廃液リザーバは、典型的には硬質プラスチックで作製されているので、これらの容器の処分は、埋立て問題などの原因となる。したがって、インクジェットプリンタは、プリンタによるプラスチック廃棄物の生成を減少させる方式で廃インクを処理できることにより利益を得るであろう。
【発明の概要】
【0006】
カラーインクジェットプリンタは、プリンタによるプラスチック廃棄物の生成を減少させる方式で廃液を収集するように構成されている。カラーインクジェットプリンタは、インクジェットプリンタ内の少なくとも1つの印刷ヘッドに対して少なくとも1回のパージサイクルを実施して廃液を生成するように構成された、少なくとも1つの印刷ヘッドメンテナンスステーションと、インク供給容器の内部容積部内に位置付けられたブラダを有する、少なくとも1つのインク供給容器であって、ブラダは印刷ヘッドメンテナンスシステムに流体結合されていて、印刷ヘッドメンテナンスステーションから廃液を受け取る、少なくとも1つのインク供給容器と、を含む。
【0007】
カラーインクジェットプリンタを動作させる方法は、プリンタによるプラスチック廃棄物の生成を減少させる方式で廃液を収集する。本方法は、インクジェットプリンタ内の少なくとも1つの印刷ヘッドに対して少なくとも1回のパージサイクルを実施して廃液を生成することと、インク供給容器の内部容積部内に位置付けられたブラダを有する、少なくとも1つのインク供給容器内へと廃液を導くことと、を含む。
【0008】
インク供給容器は、プリンタによるプラスチック廃棄物の生成を減少させる方式で廃液を収集するように構成されている。インク供給容器は、ある量のインクを保持するように構成された内部容積部を有するハウジングと、ハウジングの内部容積部内に位置付けられたブラダと、ハウジング上の流入コネクタであって、流入コネクタは、ハウジング内に位置付けられたブラダに廃液が入ることを可能にするように構成されている、流入コネクタと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
カラーインクジェットプリンタ、カラーインクジェットプリンタの動作方法、及びインクジェットプリンタによって生じるプラスチック廃棄物を減少させるインク供給容器の前述の態様及び他の特徴は、添付の図面に関連して以下の記述において説明される。
【0010】
図1】インクジェットプリンタによるプラスチック廃棄物の生成を減少させる方式で廃液を収集するカラーインクジェットプリンタの概略図である。
図2A】廃液ブラダを含む新しいインク供給容器の、取り付け時の断面図である。
図2B】インク供給容器がほぼ空になったときのインク容器の断面図である。
図3A図1のインクジェットプリンタ内の印刷ヘッドメンテナンスステーションと、図2A及び図2Bに示すように構成されたインク供給容器との間の直列流体接続を示す。
図3B図1のインクジェットプリンタ内の印刷ヘッドメンテナンスステーションと、図2A及び図2Bに示すように構成されたインク供給容器との間の並列流体接続を示す。
図3C図1のインクジェットプリンタ内の印刷ヘッドメンテナンスステーションと廃液リザーバとの間の直列流体接続と、廃インクリザーバから図2A及び図2Bに示すように構成されたインク供給容器への直列接続と、を示す。
図4図1のインクジェットプリンタを動作させるためのフロー図である。
図5】従来技術のインクジェットプリンタにおける廃液の収集を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で開示したプリンタ及びプリンタの動作方法のための環境、並びにプリンタ及びプリンタの動作方法の詳細の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同様の参照番号が、同様の要素を指定するために図面を通じて使用されている。本明細書で使用するとき、「プリンタ」という単語は、インク液滴を異なる種類の媒体上に噴射してインク画像を形成する任意の装置を包含する。
【0012】
図1は、印刷ヘッドメンテナンスステーションによって生じる廃液を収集してインクジェットプリンタによるプラスチック廃棄物の生成を減少させるように新たに構成されたインク容器を使用する、高速カラーインクジェットプリンタ10を示す。本明細書で使用するとき、「廃液」という用語は、インクジェットプリンタ内の印刷ヘッドに対して印刷ヘッドメンテナンス手順を実施することによって生じる流体を意味する。これらの廃液は、フェースプレートリンス液及び印刷ヘッドのノズルからパージされたインクを含むが、これらに限定されない。例示するように、プリンタ10は、媒体シート供給部S又はSのうちの1つから取り出された媒体シートの表面上にインク画像を直接形成するプリンタであり、シートSは、アクチュエータ40のうちの1つ以上を動作させるコントローラ80によってプリンタ10を通って移動され、アクチュエータ40は、コンベヤ52のローラ又は少なくとも1つの駆動ローラに動作可能に接続されており、コンベヤ52は、プリンタの印刷ゾーンを通過する媒体搬送部42の一部分を備える。一実施形態では、各印刷ヘッドモジュールは、プリンタによって印刷され得るクロスプロセス方向において、最も広い媒体の幅に対応する幅を有するたった1つの印刷ヘッドを有する。他の実施形態では、印刷ヘッドモジュールは、複数の印刷ヘッドを有し、各印刷ヘッドが、プリンタが印刷することができるクロスプロセス方向において、最も広い媒体の幅未満の幅を有する。これらのモジュールでは、印刷ヘッドは、単一の印刷ヘッドよりも広い媒体が印刷されることを可能にするずらされた印刷ヘッドのアレイ状に配置されている。追加的に、モジュール内、又はモジュール間の印刷ヘッドはまた、印刷ヘッドによってクロスプロセス方向に吐出された液滴の密度が、クロスプロセス方向において、印刷ヘッド内のインクジェット間の最小の間隔よりも大きくなり得るように組み合わせることができる。プリンタ10は、2つのみの媒体シート供給部を伴って描写されているが、プリンタは、各々が異なる種類又はサイズの媒体を含む、3つ以上のシート供給部で構成することができる。
【0013】
更に図1を参照すると、印刷された画像は、プリンタ10の印刷ゾーンを出て、インク画像がシートS上に印刷された後に画像乾燥機30の下を通過する。本明細書で使用するとき、「印刷ゾーン」という用語は、インクジェットプリンタの印刷ヘッドに対向する媒体搬送部の領域を意味する。画像乾燥機30は、インク画像を加熱してインク画像をシートS上に少なくとも部分的に定着させるために、赤外線ヒータ、加熱空気送風機、空気リターン、又はこれらの構成要素の組み合わせを含み得る。赤外線ヒータは、シートSの表面上の印刷された画像に赤外線熱を加えて、インク中の水又は溶媒を蒸発させる。加熱空気送風機は、扇風機、又は他の加圧空気源を使用して、インク上に加熱空気を方向付けて、インクからの水又は溶媒の蒸発を補う。次いで、空気が収集され、空気戻りによって排気されて、プリンタ内の他の構成要素との乾燥機空気流の干渉を低減する。
【0014】
コントローラ80は、アクチュエータ40のうちの少なくとも1つを動作させて、位置88において枢動部材を回転させ、シートを容器56又は戻り経路72のいずれかに方向付ける。シートSは、ローラの回転によって、戻り経路72に沿って、印刷ヘッドを通過するプロセス方向の移動方向とは反対の方向に移動される。枢動部材82は、コントローラ80によって動作して、シートを戻り経路72の湾曲部分に沿って、シートが両面印刷のために裏返されるようにインバータ76に入れるか、又は戻り経路72の直線部分に沿って方向付ける。シートが直線部分を辿るときに、インバータ76はバイパスされ、先に印刷されたシートの側が再び印刷され得る。コントローラは、アクチュエータ40のうちの1つを動作させて、枢動部材82を時計回りに動かしてシートをインバータ76に方向付け、反時計回りに動かしてインバータを迂回させる。基材が反転されているか否かにかかわらず、コントローラ80が別のアクチュエータ40を動作させて枢動部材86を回転させ、印刷ゾーンに入るジョブストリームへと、戻り経路72からシートSを進入させるときに、基材は、媒体搬送部42によって運ばれているジョブストリームにマージする。
【0015】
図1に更に示されるように、二重経路72に方向転換されなかった印刷された媒体シートSは、媒体搬送部によって、これらのシートが収集されるシート容器56に運ばれる。印刷されたシートが容器56に到達する前に、これらのシートは、光学センサ84Bを通り過ぎる。光学センサ84Bは、印刷されたシートの画像データを生成し、この画像データは、コントローラ80によって分析されて、印刷ジョブの媒体シート上の印刷された画像における縞を検出する。追加的に、テストパターン画像が印刷されたシートが、印刷ジョブ中に間隔を置いて印刷される。光学センサ84Bによって生成されたこれらのテストパターン画像の画像データは、コントローラ80によって分析されて、存在する場合、テストパターンにインクを吐出するように動作された、どのインクジェットが実際にインクを吐出したかを判定し、インクジェットがインク液滴を噴射した場合、インク液滴が適切な質量でその意図された位置に降着したかどうかを判定する。噴射すると想定されたインク液滴を吐出しないか、又は正しい質量を有していない液滴を吐出するか、若しくは誤った位置に降着する任意のインクジェットは、本明細書では動作不能インクジェットと呼ばれる。コントローラは、コントローラ80に動作可能に接続されたデータベース92に、動作不能インクジェットを識別するデータを記憶することができる。テストパターンが印刷されたこれらのシートは、ランタイムミッシングインクジェット(run-time missing inkjet、RTMJ)シートと呼ばれることがあり、これらのシートは、印刷ジョブの出力から廃棄される。ユーザは、ユーザインターフェース50を動作させて、動作不能なインクジェットの数及び動作不能なインクジェットが位置する印刷ヘッドを識別するインターフェース上に表示されるレポートを取得することができる。反転されず、枢動部材86の動作によってジョブストリームにマージされるシートの場合、光学センサ84Aは、印刷された面の画像データを生成し、コントローラ80は、その画像データを使用して、シートを位置合わせし、印刷ヘッド内のイジェクタを動作させて、先に印刷されたシート面上に画像を更に印刷する。光学センサ84A及び84Bは、デジタルカメラ、LED及び光検出器のアレイ、又は通過表面の画像データを生成するように構成された他のデバイスであり得る。図1は、シート容器56に収集されている印刷されたシートを示しているが、これらのシートは、媒体シートの折り畳み、丁合、綴じ、及びステープル留めなどの作業を実施する他の処理ステーション(図示せず)に方向付けられ得る。
【0016】
機械又はプリンタ10の様々なサブシステム、構成要素及び機能の動作及び制御は、コントローラ又は電子サブシステム(electronic subsystem、ESS)80の助けを借りて実施される。ESS又はコントローラ80’は、印刷ヘッドモジュール34A~34D(したがって印刷ヘッド)、アクチュエータ40、及び乾燥機30の構成要素に動作可能に接続されている。ESS又はコントローラ80は、例えば、電子データ記憶装置を伴う中央処理装置(central processor unit、CPU)、及びディスプレイ又はユーザインターフェース(user interface、UI)50を有する自己完結型コンピュータである。ESS又はコントローラ80は、例えば、センサ入力及び制御回路、並びに画素配置及び制御回路を含む。追加的に、コントローラ80は、走査システム又はオンライン若しくはワークステーション接続(図示せず)などの画像流入源と、印刷ヘッドモジュール34A~34Dとの間の画像データの流れを読み出し、捕捉し、準備し、かつ管理する。したがって、ESS又はコントローラ80は、印刷プロセスを含む他の全ての機械サブシステム及び機能を動作及び制御するための主要なマルチタスクプロセッサである。
【0017】
コントローラ80は、プログラム命令を実行する汎用又は専用のプログラマブルプロセッサで実装することができる。プログラムされた機能を実施するために必要とされる命令及びデータは、プロセッサ又はコントローラに関連付けられた非一時的なコンピュータ可読媒体内に記憶され得る。プロセッサ、それらのメモリ、及びインターフェース回路は、以下に説明される動作を実施するようにコントローラを構成する。これらの構成要素は、印刷回路カード上に提供され得るか、又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)内の回路として提供され得る。回路の各々は、別個のプロセッサで実装することができるか、又は複数の回路は、同じプロセッサ上に実装することができる。代替的に、回路は、超大規模集積(very large scale integrated、VLSI)回路内に提供される個別の構成要素又は回路で実装することができる。また、本明細書に説明される回路は、プロセッサ、ASIC、個別の構成要素、又はVLSI回路の組み合わせで実装することができる。
【0018】
動作中、生成される画像の画像コンテンツデータは、印刷ヘッドモジュール34A~34Dに出力される印刷ヘッド制御信号の処理及び生成のための、走査システム又はオンライン若しくはワークステーション接続のいずれかからコントローラ80に送信される。画像コンテンツデータとともに、コントローラは、媒体の重量、媒体の寸法、印刷速度、媒体の種類、各シートの各面上に生成されるインク領域被覆率、各シートの各面上に生成される画像の位置、媒体の色、繊維状媒体の媒体繊維配向、印刷ゾーンの温度及び湿度、媒体の含水量、並びに媒体の製造業者を特定する印刷ジョブパラメータを受信する。本文書で使用するとき、「印刷ジョブパラメータ」という用語は、印刷ジョブのための非画像コンテンツデータを意味し、「画像コンテンツデータ」という用語は、媒体シート上に印刷されるインク画像を特定するデジタルデータを意味する。
【0019】
図2Aは、インク供給容器204の断面図を示し、このインク供給容器204は、ブラダ212と、容器内のインク供給部208を使い切ると、ブラダを廃液で充填することを可能にする接続部216と、を含む。図3A図3B、及び図3Cを参照して、廃液をインク供給容器204のブラダ212内に移動させるための3つの異なる接続構成を以下に説明する。図2Bは、インク供給部208がほぼ空になった後のインク供給容器204の断面図であり、インクレベルが低下するにつれてブラダが膨張し、ブラダは廃液で充填される。ブラダ212は、可撓性であるポリマー材料で作製されているので、ブラダが廃液で充填され、インク供給容器の内部空洞を占めるインクの量が減少するにつれて、ブラダ内の容積部が増大する。ブラダは、インク供給容器の内部容積部内にいかなる支持構造も有することなく、流入接続部から吊り下がる。インク容器204のハウジングは、当技術分野で既知の硬質プラスチックボトル又は容器である。硬質プラスチックとしては、アセタール、アクリル、ポリイミド、ガラスエポキシ、熱硬化性プラスチック、耐衝撃性ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用するとき、「ブラダ」という用語は、流入する流体源に流体接続されるように構成された内部容積部を有する可撓性部材を意味する。可撓性ブラダは、高密度ポリエチレン(high-density polyethylene、HDPE)材料で作製され得る。ブラダ壁の厚さは、75~300ミクロンの範囲であり、廃液漏れを適切に防止し、更にブラダの可撓性をもたらす。ブラダ材料の他の選択肢は、ポリプロピレン(polypropylene、PP)又は直鎖状低密度ポリエチレン(linear low-density polyethylene、LLDPE)であり、漏れを防止しつつも可撓性であるように同様の壁厚を使用する。これらの材料は可撓性であるが、次第に大容量を形成するようにも拡張可能であるわけではない。代わりに、膨張可能なブラダは、インク供給容器の内部容積部によって収容され得る所定の容積部を有する。バイオプラスチックは、インクジェット印刷で使用される様々なインク中の化学物質によって損なわれることに対する抵抗性が未確認であるので、ブラダにとって良好な材料ではない。
【0020】
ブラダは、折り畳まれた構成又は巻かれた構成でインク供給容器の内部容積部内に取り付けられる。容器内のインク量が減少するにつれて、ブラダは折り畳まれた状態から開くか、又は巻かれた状態から広がって、廃液で充填され得る容積部をブラダ内に提供する。したがって、ブラダ及びブラダ内の廃液は、ブラダの端部がインク供給容器の床に達するまで、インク供給容器内のインクによって支持される。インク吐出口及びブラダ流入口は、ブラダ流入口が印刷ヘッド用のインク流入口に接続されないことを確実にし、廃液導管がインク供給容器のインク吐出口に接続されることを防止するのに役立つように、異なる大きさにすることができる。更に、廃液流入口及びインク吐出口をインク供給容器の異なる側に位置付けて、インク供給容器の取り付け及び取り外し時に2つの口を区別することを容易にすることができる。更に、インク供給容器の取り付け又は取り外し中にインク又は廃液の滴下が起こらないことを確実にするために、インク供給容器の流入口及び吐出口に一方向弁又は非滴下遮断弁を含めることができる。
【0021】
図3Aに示す構成では、インク供給容器32A、32B、32C、及び32Dのそれぞれは、図2A及び図2Bを参照して説明したインク供給容器204と同様に、ブラダ212及びブラダコネクタ216を含むように構成されている。図3Aでは、図5の従来技術のインク供給システムに示すような廃液容器38は含まれていない。代わりに、印刷ヘッドメンテナンスステーション36A、36B、36C、及び36Dの廃液排出部は、インク供給容器32A、32B、32C、及び32Dのブラダ接続部のそれぞれに流体接続されている単一の導管内で互いに直列に接続されている。廃液がこの導管を通って流れると、廃液はまずインク供給容器32Aのブラダコネクタ216に到達し、この容器のブラダ212を充填する。ブラダ212が充填されるとブラダは膨張するが、その内部容積部の容量に近づき始め、ブラダ内への流れに対する圧力を増加させる。その結果、導管を通って流れる、より多くの量の廃液が、インク供給容器32B内のブラダ212のブラダコネクタ216へと移動し始める。インク供給容器32A、32B、32C、及び32D内のブラダ212のこの連続的な充填は、インク供給容器が供給インクを使い切り、交換されるまで継続する。このようにして、廃液用インク供給容器内のブラダの容量が補充される。
【0022】
図3Bに示す構成は、印刷ヘッドメンテナンスステーション36A、36B、36C、及び36Dの廃液排出部が、インク供給容器32A、32B、32C、及び32Dのブラダ接続部にそれぞれ並列に接続されているために、図3Aに示す構成と異なる。この場合も、インク供給容器32A、32B、32C、及び32Dのそれぞれは、図2Aのインク供給容器204と同様に、ブラダ212及びブラダコネクタ216を含むように構成されており、図5の従来技術のインク供給システムに示すような廃液容器38は含まれていない。したがって、図3A及び図3Bに示す構成では、廃液リザーバ38が排除されているので、リザーバが充填されて交換されるときに生じるプラスチック廃棄物も排除される。廃液が各印刷ヘッドメンテナンスステーションからそれぞれのインク供給容器に流れると、廃液はそれぞれのインク供給容器のブラダ212に入る。ブラダ212が充填されると、ブラダは膨張するが、印刷動作は、印刷ヘッドメンテナンスユニットがプラダの廃液を生成するよりも速い速度で、インク供給容器内のインク供給208を使い切る。インク供給容器32A、32B、32C、及び32D内のブラダ212のこの並行充填は、インク供給容器が供給インクを使い切り、交換されるまで継続する。このようにして、廃液用インク供給容器内のブラダの容量が補充される。
【0023】
図3Cに示す構成では、インク供給容器32A、32B、32C、及び32Dのそれぞれは、図2Aのインク供給容器204と同様に、ブラダ212及びブラダコネクタ216を含むように構成されている。しかしながら図3Cでは、図5の従来技術のインク供給システムに示すような廃液容器38は保持されている。この場合も、印刷ヘッドメンテナンスステーション36A、36B、36C、及び36Dの廃液排出部は、廃液リザーバ38に流体接続された単一の導管に直列に接続されているので、廃液リザーバは、合流した廃液流を印刷ヘッドメンテナンスステーションから受け取る。周期的な時間に基づいて、又は廃液リザーバ内の廃液が所定のレベルに達したことが検出されると、廃液リザーバの排出口に接続された空気圧装置が作動して、廃液が廃液リザーバ38からインク供給容器32A、32B、32C、及び32Dの直列に接続されたブラダコネクタ216へとポンプで送られる。廃液が直列に接続されたブラダコネクタに流れると、廃液はまずインク供給容器32Aのブラダコネクタ216に到達し、この容器のブラダ212を充填する。ブラダ212が充填されるとブラダは膨張するが、その内部容積部の容量に近づき始め、ブラダ内への流れに対する圧力を増加させる。その結果、導管を通って流れる、より多くの量の廃液が、インク供給容器32B内のブラダ212のブラダコネクタ216へと移動し始める。インク供給容器32A、32B、32C、及び32D内のブラダ212のこの連続的な充填は、インク供給容器が供給インクを使い切り、交換されるまで継続する。このようにして、廃液用インク供給容器内のブラダの容量が補充される。更に、廃液リザーバは、リザーバの内部容積に等しい量の廃液を受け取った後に交換されないので、廃液リザーバの動作寿命が延びる。代わりに、廃液リザーバの容量は、廃液リザーバの排出口に接続されたブラダの容量及びそれらが使い切られたときに交換することによって増加する。廃液リザーバ内の所定の流体レベルが検出されて空気圧装置を動作させる実施形態では、流体レベルセンサは、廃液リザーバ内の流体レベルを示す信号を生成するように構成されており、コントローラ80などコントローラは、流体レベルセンサ及び空気圧装置に動作可能に接続されており、流体レベルセンサから信号を受信して、所定のレベルに達した時点を検出し、空気圧装置を動作させるように構成されている。一実施形態では、空気圧装置はポンプである。
【0024】
プリンタによるプラスチック廃棄物の生成を減少させるために図1のインクジェットプリンタを動作させるためのプロセス400を図4に示す。プロセスの説明において、プロセスがいくつかのタスク又は機能を実施しているという記述は、コントローラ又は汎用プロセッサが、データを操作して、又はプリンタ内の1つ以上の構成要素を動作させてタスク若しくは機能を実施するために、コントローラ又はプロセッサに動作可能に接続された非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたプログラム命令を実行することを指す。上述したコントローラ80は、そのようなコントローラ又はプロセッサとすることができる。代替的に、コントローラは、2つ以上のプロセッサ並びに関連する回路及び構成要素とで実装され得、これらは各々、本明細書に説明される1つ以上のタスク又は機能を実施するように構成されている。追加的に、方法の工程は、図に示される順序又は処理が説明される順序にかかわらず、任意の実行可能な時系列順序で実施され得る。
【0025】
図4のプロセス400は、少なくとも1つの印刷ヘッドモジュール内の少なくとも1つの印刷ヘッドに対して少なくとも1回のパージサイクルが実施された後に、少なくとも1つの印刷ヘッドモジュールのその印刷位置への戻りを検出することによって開始する(ブロック404)。検出した場合、印刷ヘッドメンテナンスステーション内の廃インク容器に接続された空気圧装置208が作動し、廃液が印刷ヘッドメンテナンスステーションからインク供給容器内の1つ以上のブラダに移動される(ブロック408)。前述したように、これらの廃液は、合流して単一の導管内を流れてインク供給容器の直列接続されたブラダコネクタに至るか、又は印刷ヘッドメンテナンスステーションにそれぞれ接続されたインク供給容器のブラダコネクタへと並行に流れるか、又は廃液リザーバに流れてから廃液リザーバから除去され、インク供給容器の直列接続されたブラダコネクタへと送られ得る。印刷ヘッドモジュールの戻りを検出しない場合(ブロック404)、プロセスは、インク供給容器を使い切ったと検出したか否かを判定する(ブロック412)。インク供給容器を使い切ったと検出した場合、使い切ったインク供給容器を交換し、廃液システムの容量を補充する(ブロック416)。本プロセスは、印刷ヘッドメンテナンスステーションがインク供給容器のブラダコネクタに直列又は並列に接続されているプリンタにおいて、印刷ヘッドモジュールメンテナンスサイクルの終了及び使い切ったインク供給容器を無期限にチェックし続ける。廃液リザーバを有する構成では、本プロセスは、廃液リザーバの動作寿命に達し、リザーバが交換されるまで継続する。
【0026】
上で開示されるもの並びに他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又は用途に望ましく組み合わされ得ることが理解されるであろう。以下の「特許請求の範囲」によって包含されることも意図される、様々な現在予期されない代替、修正、変形、又は改善が、後に当業者によって行われ得る。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
【外国語明細書】