(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025039056
(43)【公開日】2025-03-21
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20250313BHJP
H04N 23/70 20230101ALI20250313BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N23/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145826
(22)【出願日】2023-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 拓良
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122DA03
5C122DA04
5C122EA12
5C122FF01
5C122FH01
5C122FH11
5C122FH18
5C122FK08
5C122FK41
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】現実空間画像の特徴量に基づく処理(例えば、現実空間画像の露出調整)を様々な状況(例えば、現実空間画像が逆光シーンの画像である状況)下で好適に行うことを可能にする技術を提供する。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、現実空間の画像を取得する第1取得手段と、前記現実空間の画像における、グラフィックが合成される領域である合成領域に関する情報を取得する第2取得手段と、前記現実空間の画像から特徴量を取得する第3取得手段とを有し、前記第3取得手段は、前記情報に基づいて、前記現実空間の画像から、前記合成領域による影響が低減された前記特徴量を取得することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実空間の画像を取得する第1取得手段と、
前記現実空間の画像における、グラフィックが合成される領域である合成領域に関する情報を取得する第2取得手段と、
前記現実空間の画像から特徴量を取得する第3取得手段と
を有し、
前記第3取得手段は、前記情報に基づいて、前記現実空間の画像から、前記合成領域による影響が低減された前記特徴量を取得する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記特徴量に基づいて前記現実空間の撮像を制御する制御手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第3取得手段は、
前記現実空間の画像における複数の部分領域にそれぞれ対応する複数の部分特徴量を取得し、
前記合成領域に対応する部分特徴量の重みとして、前記合成領域に対応しない部分特徴量の重みよりも低い重みを用いて、前記複数の部分特徴量の重みづけ合成を行うことによって、前記特徴量を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第3取得手段は、前記現実空間の画像から、前記合成領域を除外して、前記特徴量を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第3取得手段は、前記現実空間の画像から、前記合成領域を除外せずに、前記合成領域による影響が低減された前記特徴量を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第3取得手段は、
前記現実空間の画像に前記グラフィックが合成された画像である合成画像を静止画として記録する場合には、前記特徴量として、前記合成領域による影響が第1の低減度合いで低減された特徴量を取得し、
前記合成画像をリアルタイムで表示する場合には、前記特徴量として、前記合成領域による影響が前記第1の低減度合いよりも低い第2の低減度合いで低減された特徴量を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記グラフィックの移動を予測する予測手段をさらに有し、
前記第3取得手段は、前記合成領域に関する前記情報と、前記グラフィックの移動の予測結果とに基づいて、前記グラフィックの移動の前と後の両方で前記合成領域となる領域による影響が第3の低減度合いで低減され、前記グラフィックの移動の前と後の一方で前記合成領域となる領域による影響が前記第3の低減度合いよりも低い第4の低減度合いで低減された前記特徴量を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記特徴量は、前記現実空間の画像の露出調整に使用される
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記特徴量は、前記現実空間の画像の階調特性の調整に使用される
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記現実空間を撮像する撮像手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記現実空間の画像に前記グラフィックを合成する合成手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
前記現実空間の画像に前記グラフィックが合成された画像である合成画像を表示する表示手段と
を有することを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項13】
現実空間の画像を取得するステップと、
前記現実空間の画像における、グラフィックが合成される領域である合成領域に関する情報を取得するステップと、
前記現実空間の画像から特徴量を取得するステップと
を有し、
前記情報に基づいて、前記現実空間の画像から、前記合成領域による影響が低減された前記特徴量が取得される
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1~11のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
HMD(Head Mounted Display)を利用した複合現実感(Mixed Reality:MR)技術に関する技術として、現実空間の画像(現実空間画像)の露出調整を行う技術が提案されている。特許文献1には、現実空間画像の露出補正(画像処理)と、現実空間画像に合成(重畳)するCG(Computer Graphic)の露出補正とを一律に行う技術が開示されている。特許文献2には、主被写体の領域を現実空間画像から抽出し、予め用意された背景画像(別の現実空間画像)に合成する技術が開示されている。特許文献2には、主被写体の露出と背景画像の露出とが一致するように露出補正を行う技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-135052号公報
【特許文献2】特開2005-79776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、特定の状況下で、現実空間画像の特徴量に基づく処理(例えば、現実空間画像の露出調整)を好適に行うことができない。逆光シーンでは全体的に暗い現実空間画像が得られ、全体的に暗い現実空間画像に適正な明るさのCGが合成されると、不自然な合成画像が得られる。特許文献1に開示の技術では、現実空間画像の露出補正とCGの露出補正とが一律に行われるため、露出補正後の合成画像も不自然な画像となる。また、逆光シーンでは黒つぶれが発生することがあり、黒つぶれの領域の露出は画像処理(露出補正)で好適に補正することができない。そのため、特許文献2に開示の技術でも、不完全な合成画像が得られてしまう。さらに、逆光の原因である光源の領域がCGで隠れていると、ユーザは、背景画像(現実空間画像)が暗い理由を把握できず、合成画像が不自然であると感じやすくなる。
【0005】
本発明は、現実空間画像の特徴量に基づく処理(例えば、現実空間画像の露出調整)を様々な状況(例えば、現実空間画像が逆光シーンの画像である状況)下で好適に行うことを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、現実空間の画像を取得する第1取得手段と、前記現実空間の画像における、グラフィックが合成される領域である合成領域に関する情報を取得する第2取得手段と、前記現実空間の画像から特徴量を取得する第3取得手段とを有し、前記第3取得手段は、前記情報に基づいて、前記現実空間の画像から、前記合成領域による影響が低減された前記特徴量を取得することを特徴とする情報処理装置である。
【0007】
本発明の第2の態様は、上述した情報処理装置と、前記現実空間の画像に前記グラフィックが合成された画像である合成画像を表示する表示手段とを有することを特徴とする頭部装着型表示装置である。
【0008】
本発明の第3の態様は、現実空間の画像を取得するステップと、前記現実空間の画像に
おける、グラフィックが合成される領域である合成領域に関する情報を取得するステップと、前記現実空間の画像から特徴量を取得するステップとを有し、前記情報に基づいて、前記現実空間の画像から、前記合成領域による影響が低減された前記特徴量が取得されることを特徴とする情報処理方法である。
【0009】
本発明の第4の態様は、コンピュータを、上述した画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現実空間画像の特徴量に基づく処理(例えば、現実空間画像の露出調整)を様々な状況(例えば、現実空間画像が逆光シーンの画像である状況)下で好適に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】合成画像が生成される様子を示す模式図である。
【
図4】実施形態1に係る動作を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態2に係る動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態3に係る動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について説明する。
図1は、実施形態1に係る頭部装着型表示装置であるHMD(Head Mounted Display)100の構成を示すブロック図である。
【0013】
レンズ101、タイミングジェネレータ102、撮像素子103、アナログ信号処理部104、カメラ制御部105、およびデジタルゲイン部106は、左目用の現実空間画像(現実空間の画像)を得るために使用される。レンズ101’、タイミングジェネレータ102’、撮像素子103’、アナログ信号処理部104’、カメラ制御部105’、およびデジタルゲイン部106’は、右目用の現実空間画像を得るために使用される。画像表示部107は、右目用の画像を表示するために使用され、画像表示部107’は、左目用の画像を表示するために使用される。レンズ101’はレンズ101と同様の機能を有する。タイミングジェネレータ102’はタイミングジェネレータ102と同様の機能を有する。撮像素子103’は撮像素子103と同様の機能を有する。アナログ信号処理部104’はアナログ信号処理部104と同様の機能を有する。カメラ制御部105’はカメラ制御部105と同様の機能を有する。デジタルゲイン部106’はデジタルゲイン部106と同様の機能を有する。画像表示部107’は画像表示部107と同様の機能を有する。
【0014】
レンズ101は、被写体からの光(反射光)を撮像素子103に導く。撮像素子103は、例えばCMOSセンサやCCDセンサであり、現実空間を撮像する。撮像素子103は、入射した光(被写体の光学像)の光電変換を行うことによってアナログ信号を得る。タイミングジェネレータ102はタイミング信号を撮像素子103に出力する。撮像素子103はタイミング信号に基づいて駆動される。カメラ制御部105は、撮像素子103が光を蓄積する時間(蓄積時間)を制御したり、デジタルゲイン部106が使用するゲイン値を制御したりする。アナログ信号処理部104は、撮像素子103によって得られたアナログ信号のサンプリング(サンプルホールド)、ゲイン調整、およびA/D変換を行うことによって、デジタル信号を得る。デジタルゲイン部106は、アナログ信号処理部
104によって得られたデジタル信号に所定の信号処理(例えば、ゲイン調整)を施し、処理後のデジタル信号(現実空間画像)を画像処理部110に出力する。
【0015】
画像処理部110では、アナログ信号処理部104,104’から現実空間画像を取得し、現実空間画像を用いた様々な処理を行う。例えば、画像処理部110は、現実空間画像にグラフィック(Computer Graphic:CG)を合成(重畳)する処理を行う。画像処理部110は、レンズ101が持つ収差、および画像表示部107の光学系が持つ収差をキャンセルするような画像処理を行ってもよい。画像処理部110は、ユーザのいる現実空間(HMD100がある現実空間)の距離情報を取得する測距を行ってもよい。測距には、撮像素子103と撮像素子103’が使用されてもよいし、別のステレオカメラが使用されてもよい。画像処理部110は、不図示の姿勢センサからユーザ(HMD100)の姿勢情報を取得してもよい。画像処理部110は、距離情報と姿勢情報を用いてCGの位置、向き、および大きさを変更してもよい。そうすることによって、現実空間の画像にCGが合成された画像(合成画像)として、CGの物体が現実空間に存在しているかのような画像を生成することができる。CG(CGの情報(データ))はコンテンツDB111に格納されており、読み出すCGを切り替えることが可能である。
【0016】
画像処理部110は、合成画像を、メモリ制御部112を介してメモリ113に保存したり、画像表示部107,107’に出力したりする。例えば、画像処理部110は、アナログ信号処理部104から左目用の現実空間画像を取得し、左目用の現実空間画像にCGを合成することによって、左目用の合成画像を生成する。そして、画像処理部110は左目用の合成画像を画像表示部107に出力し、画像表示部107は左目用の画像を表示する。同様に、画像処理部110は、アナログ信号処理部104’から右目用の現実空間画像を取得し、右目用の現実空間画像にCGを合成することによって、右目用の合成画像を生成する。そして、画像処理部110は右目用の合成画像を画像表示部107’に出力し、画像表示部107’は右目用の画像を表示する。
【0017】
図2は、合成画像が生成される様子を示す模式図である。
図2では、太陽の領域を含む現実空間画像201に、CGのビルの領域を含むCG画像202を合成することによって、合成画像203が生成されている。
【0018】
図3は、実施形態1に係る動作を示す模式図であり、
図4は、実施形態1に係る動作を示すフローチャートである。
【0019】
S401では、画像処理部110は、CG画像に対して複数の部分領域を設定する。例えば、CG画像301に対して、複数の部分領域302が設定される。なお、複数の部分領域は、CG画像(または現実空間画像)の領域全体を構成する複数の分割領域であってもよいし、そうでなくてもよい。複数の部分領域は、別の部分領域から離れた部分領域を含んでもよいし、別の部分領域に少なくとも一部が含まれた部分領域を含んでもよい。
【0020】
S402では、画像処理部110は、CG画像の複数の部分領域のそれぞれについて、CGの領域(CG領域)であるか否かの情報を設定する。例えば、複数の部分領域のそれぞれに対して重み303が設定される。CG領域(CG領域である部分領域)には重み303として“0”が設定されており、非CG領域(CG領域でない部分領域)には重み303として“1”が設定されている。一部がCGの領域である部分領域は、CG領域として扱ってもよいし、CG領域として扱わなくてもよい。
【0021】
S403では、画像処理部110は、S401と同様に、現実空間画像に対して複数の部分領域を設定する。例えば、現実空間画像304に対して、複数の部分領域305(=複数の部分領域302)が設定される。
【0022】
S404では、画像処理部110は、現実空間画像の複数の部分領域のそれぞれについて、CGが合成される領域(合成領域)であるか否かの情報を設定する。例えば、複数の部分領域305に対する複数の重み303のマッピングが行われる。現実空間画像における、重み“0”の部分領域が、合成領域である。
【0023】
S401~S404の処理によって、現実空間画像における合成領域(CGが合成される領域)に関する情報(合成領域情報)が取得される。なお、合成領域情報の取得方法は特に限定されない。合成領域情報は重みに限られない。例えば、合成領域情報は、合成領域の複数の頂点の座標であってもよいし、合成領域の輪郭上の複数の座標であってもよい。
【0024】
S405では、画像処理部110は、現実空間画像から特徴量を取得する。実施形態1では、画像処理部110は、合成領域情報に基づいて、現実空間画像から、合成領域による影響が低減された特徴量を取得する。例えば、画像処理部110は、現実空間画像における複数の部分領域にそれぞれ対応する複数の特徴量(複数の部分特徴量)を取得する。そして、画像処理部110は、S404で設定した重みを用いて複数の部分特徴量の重みづけ合成を行うことによって、現実空間画像の特徴量(複数の部分特徴量の加重平均)を取得する。例えば、特徴量は明るさに関する特徴量であり、部分特徴量は部分領域の平均輝度値である。この場合は、現実空間画像の特徴量は、測光演算結果と捉えてもよい。
図3では、合成領域の重みが“0”であるため、現実空間画像から合成領域が除外されて、現実空間画像の特徴量が取得される。
【0025】
S406では、画像処理部110は、カメラ制御部105,105’を用いて、S405で取得した特徴量(現実空間画像の特徴量)に基づいて、現実空間の撮像を制御する。例えば、画像処理部110は、撮像素子103の蓄積時間を制御したり、デジタルゲイン部106のゲイン値を制御したりすることによって、現実空間画像の露出調整(露出制御)を行う。
【0026】
以上説明したように、実施形態1によれば、合成領域情報が取得され、合成領域情報に基づいて、現実空間画像から、合成領域による影響が低減された特徴量が取得される。こうすることによって、現実空間画像の特徴量に基づく処理(例えば、現実空間画像の露出調整)を様々な状況(例えば、現実空間画像が逆光シーンの画像である状況)下で好適に行うことが可能になる。例えば、
図2の現実空間画像201から、太陽の領域(高輝度領域)による影響が低減された特徴量を得ることができる。その結果、CG(ビル)の周囲の明るさCGの明るさに合った合成画像203が得られるように、現実空間画像の露出調整を行うことができる。
【0027】
なお、現実空間画像の特徴量を取得する際に合成領域を除外する例を説明したが、合成領域は除外しなくてもよい。合成領域に対応する部分特徴量の重みとして“0”を用いる例を説明したが、合成領域に対応しない部分特徴量の重みよりも低い別の重みを用いてもよい。
【0028】
また、現実空間画像の特徴量に基づいて露出調整を行う例を説明したが、これに限られない。例えば、現実空間画像の特徴量に基づいて、現実空間画像の階調特性の調整を行ってもよい。現実空間画像の特徴量に基づいて、ガンマ補正、またはダイナミックレンジの調整を行ってもよい。現実空間画像の特徴量に基づいて現実空間の撮像を制御する例を説明したが、これに限られない。例えば、現実空間画像の特徴量に基づいて画像処理を行ってもよい。現実空間画像の露出を調整(補正)する画像処理(露出補正)を行ってもよい。
【0029】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2について説明する。なお、以下では、実施形態1と同じ点(例えば、実施形態1と同じ構成および処理)についての説明は省略し、実施形態1と異なる点について説明する。
【0030】
図5は、実施形態2に係る動作を示すフローチャートである。
【0031】
S501では、画像処理部110は、静止画撮影のために露出制御を行う(特徴量を取得する)のか、ライブビュー表示のために露出制御を行うのかを判定する。この判定は、合成画像を静止画としてメモリ113に記録するのか、合成画像をリアルタイムで画像表示部107,107’に表示するのかの判定と解釈してもよい。この判定は、静止画としてメモリ113に記録する合成画像のための露出制御を行う(特徴量を取得する)のか、リアルタイムで画像表示部107,107’に表示する合成画像のための露出制御を行うのかの判定と解釈してもよい。静止画撮影のための露出制御を行う場合はS402に進み、ライブビュー表示のための露出制御を行う場合はS502に進む。
【0032】
実施形態1で説明したように、S402では、画像処理部110は、CG領域(CG領域である部分領域)に対して重み“0”を設定し、非CG領域(CG領域でない部分領域)に対して重み“1”を設定する。
【0033】
S502では、画像処理部110は、CG領域に対して重み“0.5”を設定し、非CG領域に対して重み“1”を設定する。なお、S502でCG領域に対して設定される重みは、“0”よりも大きく且つ“1”よりも小さい別の重みであってもよい。
【0034】
以上説明したように、実施形態2によれば、合成画像をリアルタイムで画像表示部107,107’に表示する場合に、CG領域(合成領域)の重みとして、合成画像を静止画としてメモリ113に記録する場合よりも大きい重みが設定される。CG領域(合成領域)に対して設定される重みの逆数は、合成領域が特徴量に与える影響の低減度合いと解釈してもよい。そのため、実施形態2では、合成画像をリアルタイムで画像表示部107,107’に表示する場合には、合成画像を静止画としてメモリ113に記録する場合よりも低い低減度合いで、合成領域が特徴量に与える影響が低減される。こうすることによって、ライブビュー表示中に、HMD100の揺れ(頭の揺れ)に起因した構図の変化といった、わずかな構図の変化によるちらつき(画質(例えば露出)の変化)を低減することができる。
【0035】
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3について説明する。なお、以下では、実施形態1と同じ点(例えば、実施形態1と同じ構成および処理)についての説明は省略し、実施形態1と異なる点について説明する。
【0036】
図6は、実施形態3に係る動作を示すフローチャートである。
【0037】
S601では、画像処理部110は、HMD100が有する不図示の加速度センサの出力信号に基づいて、CGの移動を予測する。そして、画像処理部110は、CGの移動の予測結果に基づいて、CGの移動領域である部分領域の重みを“0.5”に更新する。移動領域は、CGの移動の前と後の一方でCG領域(合成領域)となる領域である。例えば、移動領域は、CGの移動によって非CG領域からCG領域に変化する領域、CGの移動によってCG領域から非CG領域に変化する領域、またはそれらの両方である。CGの移動の前と後の両方でCG領域(合成領域)となる領域の重みは“0”であり、CGの移動
の前と後の両方で非CG領域となる領域の重みは“1”である。なお、移動領域に対して設定される重みは、“0”よりも大きく且つ“1”よりも小さい別の重みであってもよい。
【0038】
以上説明したように、実施形態3によれば、移動領域に対して、CGの移動の前と後の両方でCG領域(合成領域)となる領域の重みよりも大きく且つCGの移動の前と後の両方で非CG領域となる領域の重みよりも小さい重みが設定される。領域に対して設定される重みの逆数は、当該領域が特徴量に与える影響の低減度合いと解釈してもよい。そのため、実施形態3では、CGの移動の前と後の両方でCG領域(合成領域)となる領域による影響と、CGの移動の前と後の一方でCG領域となる領域による影響とが低減された特徴量が得られる。そして、CGの移動の前と後の一方でCG領域となる領域による影響の低減度合いは、CGの移動の前と後の両方でCG領域(合成領域)となる領域による影響の低減度合いよりも低い。こうすることによって、現実空間の撮像のタイミングとCGの合成のタイミングとの同期がとれていない場合でも、わずかな構図の変化によるちらつき(画質(例えば露出)の変化)を低減することができる。
【0039】
なお、上記実施形態(変形例を含む)はあくまで一例であり、本発明の要旨の範囲内で上記実施形態の構成を適宜変形したり変更したりすることにより得られる構成も、本発明に含まれる。上記実施形態の構成を適宜組み合わせて得られる構成も、本発明に含まれる。
【0040】
例えば、HMDに本発明を適用した例を説明したが、HMD以外の装置にも本発明は適用可能である。本発明は、通常のカメラ、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、およびサーバといった様々な情報処理装置に適用可能である。上述した複数の処理の一部が、外部装置によって行われてもよい。例えば、現実空間の撮像、CGの合成、画像の表示、露出調整(露出制御、露出補正)、およびガンマ補正の少なくとも一部が外部装置によって行われてもよい。本発明を適用した装置は、外部から現実空間画像を取得し、現実空間画像から特徴量を取得し、特徴量を外部に出力してもよい。
【0041】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0042】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法、およびプログラムを含む。
(構成1)
現実空間の画像を取得する第1取得手段と、
前記現実空間の画像における、グラフィックが合成される領域である合成領域に関する情報を取得する第2取得手段と、
前記現実空間の画像から特徴量を取得する第3取得手段と
を有し、
前記第3取得手段は、前記情報に基づいて、前記現実空間の画像から、前記合成領域による影響が低減された前記特徴量を取得する
ことを特徴とする情報処理装置。
(構成2)
前記特徴量に基づいて前記現実空間の撮像を制御する制御手段をさらに有する
ことを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
(構成3)
前記第3取得手段は、
前記現実空間の画像における複数の部分領域にそれぞれ対応する複数の部分特徴量を取得し、
前記合成領域に対応する部分特徴量の重みとして、前記合成領域に対応しない部分特徴量の重みよりも低い重みを用いて、前記複数の部分特徴量の重みづけ合成を行うことによって、前記特徴量を取得する
ことを特徴とする構成1または2に記載の情報処理装置。
(構成4)
前記第3取得手段は、前記現実空間の画像から、前記合成領域を除外して、前記特徴量を取得する
ことを特徴とする構成1~3のいずれかに記載の情報処理装置。
(構成5)
前記第3取得手段は、前記現実空間の画像から、前記合成領域を除外せずに、前記合成領域による影響が低減された前記特徴量を取得する
ことを特徴とする構成1~3のいずれかに記載の情報処理装置。
(構成6)
前記第3取得手段は、
前記現実空間の画像に前記グラフィックが合成された画像である合成画像を静止画として記録する場合には、前記特徴量として、前記合成領域による影響が第1の低減度合いで低減された特徴量を取得し、
前記合成画像をリアルタイムで表示する場合には、前記特徴量として、前記合成領域による影響が前記第1の低減度合いよりも低い第2の低減度合いで低減された特徴量を取得する
ことを特徴とする構成1~5のいずれかに記載の情報処理装置。
(構成7)
前記グラフィックの移動を予測する予測手段をさらに有し、
前記第3取得手段は、前記合成領域に関する前記情報と、前記グラフィックの移動の予測結果とに基づいて、前記グラフィックの移動の前と後の両方で前記合成領域となる領域による影響が第3の低減度合いで低減され、前記グラフィックの移動の前と後の一方で前記合成領域となる領域による影響が前記第3の低減度合いよりも低い第4の低減度合いで低減された前記特徴量を取得する
ことを特徴とする構成1~6のいずれかに記載の情報処理装置。
(構成8)
前記特徴量は、前記現実空間の画像の露出調整に使用される
ことを特徴とする構成1~7のいずれかに記載の情報処理装置。
(構成9)
前記特徴量は、前記現実空間の画像の階調特性の調整に使用される
ことを特徴とする構成1~8のいずれかに記載の情報処理装置。
(構成10)
前記現実空間を撮像する撮像手段をさらに有する
ことを特徴とする構成1~9のいずれかに記載の情報処理装置。
(構成11)
前記現実空間の画像に前記グラフィックを合成する合成手段をさらに有する
ことを特徴とする構成1~10のいずれかに記載の情報処理装置。
(構成12)
構成1~11のいずれかに記載の情報処理装置と、
前記現実空間の画像に前記グラフィックが合成された画像である合成画像を表示する表示手段と
を有することを特徴とする頭部装着型表示装置。
(方法)
現実空間の画像を取得するステップと、
前記現実空間の画像における、グラフィックが合成される領域である合成領域に関する情報を取得するステップと、
前記現実空間の画像から特徴量を取得するステップと
を有し、
前記情報に基づいて、前記現実空間の画像から、前記合成領域による影響が低減された前記特徴量が取得される
ことを特徴とする情報処理方法。
(プログラム)
コンピュータを、構成1~11のいずれかに記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0043】
100:HMD 110:画像処理部