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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025039069
(43)【公開日】2025-03-21
(54)【発明の名称】表面検査装置及び表面検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20250313BHJP
【FI】
G01N21/89 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145849
(22)【出願日】2023-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】椛島 治樹
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA07
2G051AB07
2G051BA01
2G051BA10
2G051BA20
2G051CA04
2G051CC07
2G051EB01
2G051EC10
(57)【要約】
【課題】樹脂製品等の表面の歪みやヒケを効率良く検出することが課題。
【解決手段】表面検査装置10は、光源装置14に配設されたラインレーザ光源15をオンにし、ラインレーザ光を照射する。そして、撮像装置13を用いて、ラインレーザ光を反射する検査対象物40bの画像を撮像する。その後、表面検査装置10は、画像におけるラインレーザ光を形成する複数の画素の画素値に基づいてライン毎に回帰直線Rを算出し、各ラインを形成する画素の座標と回帰直線Rとの残差を算出する。その後、表面検査装置10は、各ラインを形成する各画素の残差が所定の閾値以内か否かを判定する。表面検査装置10は、すべてのラインにおいて残差が所定の閾値以内である場合は、検査対象物40bは、良品と判定し、各ラインにおいて残差が所定の閾値以内でない画素が存在する場合は、検査対象物40bは、不良と判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の表面の検査を行う表面検査装置であって、
前記検査対象物に向けてライン光を照射する光源装置と、
前記光源装置から照射された前記ライン光を反射する前記検査対象物の画像を撮像する撮像部と、
前記画像における前記ライン光を形成する複数の画素の画素値に基づいて回帰直線を算出する回帰直線算出手段と、
前記回帰直線算出手段により算出された回帰直線と前記ライン光を形成する各画素との残差に基づいて、前記検査対象物の表面の良否を判定する判定手段と
を備えたこと特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記回帰直線算出手段により算出された回帰直線と前記ライン光を形成する各画素との残差がそれぞれ所定の閾値以下である場合に、前記検査対象物が良品であると判定することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記回帰直線算出手段により算出された回帰直線と前記ライン光を形成する各画素との残差が所定の閾値より大きい画素が存在する場合に、前記検査対象物が不良品であると判定することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記判定手段は、
前記回帰直線算出手段により算出された回帰直線と前記ライン光を形成する各画素との残差が所定の閾値より大きい画素が複数連続する場合に、前記検査対象物が不良品であると判定することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記検査対象物の反射光のうち所定の波長帯域の光を透過するフィルタ部を備え、
前記撮像部は、
前記フィルタ部を透過した前記所定の波長帯域の光により形成された前記画像を撮像することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記光源装置は、
前記検査対象物に向けて複数のライン光を照射し、
前記撮像部は、
前記光源装置から照射された前記複数のライン光を反射する前記検査対象物の前記画像を撮像する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の表面検査装置。
【請求項7】
検査対象物の表面の検査を行う表面検査装置における表面検査方法であって、
所定の光源装置が、前記検査対象物に向けてライン光を照射する照射工程と、
所定の撮像部が、前記光源装置から照射された前記ライン光を反射する前記検査対象物の画像を撮像する撮像工程と、
前記画像における前記ライン光を形成する複数の画素の画素値に基づいて回帰直線を算出する回帰直線算出工程と、
前記回帰直線算出工程により算出された回帰直線と前記ライン光を形成する各画素との残差に基づいて、前記検査対象物の表面の良否を判定する判定工程と
を含むこと特徴とする表面検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製品等の表面の歪みやヒケを効率良く検出する表面検査装置及び表面検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物体表面の不具合を検査する技術が知られている。例えば、特許文献1には、赤外発光するライン状のレーザ光源が、圧延帯鋼のような非鏡面の表面を有する被検査体に対して赤外光を照射し、その反射光を撮像した画像を微分処理及び二値化処理して、線分の一部が消失するか否かによって品質を検査する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-134362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1のものは、微分処理後の微分画像を二値化する閾値によっては、物体表面に凹凸が存在していたとしても線分の一部が消失せず、物体表面に凹凸が存在しないと判定されるという問題がある。特に、物体表面が鏡面である場合には、反射波の強度が強くなるため、線分の一部が消失しない可能性が高くなる。
【0005】
本発明は、上記従来技術による問題点(課題)を解決するためになされたものであって、樹脂製品等の表面の歪みやヒケを効率良く検出する表面検査装置及び表面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、検査対象物の表面の検査を行う表面検査装置であって、前記検査対象物に向けてライン光を照射する光源装置と、前記光源装置から照射された前記ライン光を反射する前記検査対象物の画像を撮像する撮像部と、前記画像における前記ライン光を形成する複数の画素の画素値に基づいて回帰直線を算出する回帰直線算出手段と、前記回帰直線算出手段により算出された回帰直線と前記ライン光を形成する各画素との残差に基づいて、前記検査対象物の表面の良否を判定する判定手段とを備えた。
【0007】
また、本発明は、上記発明において、前記判定手段は、前記回帰直線算出手段により算出された回帰直線と前記ライン光を形成する各画素との残差がそれぞれ所定の閾値以下である場合に、前記検査対象物が良品であると判定する。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記判定手段は、前記回帰直線算出手段により算出された回帰直線と前記ライン光を形成する各画素との残差が所定の閾値より大きい画素が存在する場合に、前記検査対象物が不良品であると判定する。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記判定手段は、前記回帰直線算出手段により算出された回帰直線と前記ライン光を形成する各画素との残差が所定の閾値より大きい画素が複数連続する場合に、前記検査対象物が不良品であると判定する。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記検査対象物の反射光のうち所定の波長帯域の光を透過するフィルタ部を備え、前記撮像部は、前記フィルタ部を透過した前記所定の波長帯域の光により形成された前期画像を撮像する。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記光源装置は、前記検査対象物に向けて複数のライン光を照射し、前記撮像部は、前記光源装置から照射された前記複数のライン光を反射する前記検査対象物の前記画像を撮像する。
【0012】
また、本発明は、検査対象物の表面の検査を行う表面検査装置における表面検査方法であって、所定の光源装置が、前記検査対象物に向けてライン光を照射する照射工程と、所定の撮像部が、前記光源装置から照射された前記ライン光を反射する前記検査対象物の画像を撮像する撮像工程と、前記画像における前記ライン光を形成する複数の画素の画素値に基づいて回帰直線を算出する回帰直線算出工程と、前記回帰直線算出工程により算出された回帰直線と前記ライン光を形成する各画素との残差に基づいて、前記検査対象物の表面の良否を判定する判定工程とを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、樹脂製品等の表面の歪みやヒケを効率良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る表面検査装置の概要を説明するための説明図である。
図2図2は、図1に示した表面検査装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、表面検査装置の撮像画像の一例を示す図である。
図4図4は、表面検査装置の回帰直線の算出を説明するための説明図である。
図5図5は、表面検査装置の検査対象物の良否判定を説明するための説明図である。
図6図6は、図1に示した表面検査装置の処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、変形例に係る表面検査装置の撮像画像の一例を示す図である。
図8図8は、変形例に係る表面検査装置の検査対象物の良否判定を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る表面検査装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
<表面検査装置10の概要>
本実施形態に係る表面検査装置10の概要について説明する。図1は、実施形態に係る表面検査装置10の概要を説明するための説明図である。図1に示すように、表面検査装置10には、撮像装置13及び光源装置14が接続されている。また、検査対象物40a、40b、40c(以下、「検査対象物40」と総称する場合がある)は、台座41a、41b、41cにそれぞれ載せられ、ベルトコンベア50により矢印の方向に移動する。
【0017】
表面検査装置10は、光源装置14に配設されたラインレーザ光源15をオンにし、ラインレーザ光を照射する(S1)。表面検査装置10は、所定位置に検査対象物40bが来たならば、撮像装置13を用いて、ラインレーザ光を反射する検査対象物40bの画像を撮像する(S2)。なお、検査対象物40bが所定の位置に来たか否かは、例えば、ベルトコンベア50の図示しない制御装置から検査対象物40bが所定の位置に来た旨の通知を受信する。そして、表面検査装置10は、画像におけるラインレーザ光を形成する複数の画素の画素値に基づいてライン毎に回帰直線Rを算出する(S3)。
【0018】
そして、表面検査装置10は、各ラインを形成する画素の座標と回帰直線との残差を算出する(S4)。その後、表面検査装置10は、各ラインの残差が所定の閾値以内か否かを判定する(S5)。すべてのラインにおいて残差が所定の閾値以内である場合は、検査対象物40bは、良品と判定し、各ラインにおいて残差が所定の閾値より大きい画素が存在する場合は、検査対象物40bは、不良と判定する。
【0019】
<表面検査装置10の構成>
次に、図1に示した表面検査装置10の構成について説明する。図2は、図1に示した表面検査装置10の構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、表面検査装置10は、記憶部16及び制御部17を有し、表示部11、入力部12、撮像装置13及び光源装置14が接続されている。表示部11は、各種情報を表示する液晶ディスプレイなどの表示デバイスである。入力部12は、マウスやキーボードなどの入力デバイスである。
【0020】
撮像装置13は、撮像部13a及びフィルタ13bを有する。撮像部13aは、検査対象物40を撮像するカメラである。ここでは、環境光の影響を受けない近赤外の波長のみを撮像するカメラである。フィルタ13bは、特定の波長帯域の光を透過させ、該波長帯域以外の光を透過させない光学フィルタである。ここでは、該フィルタ13bは、近赤外の波長帯域の光を透過させ、該近赤外の波長帯域以外の光を透過させない光学フィルタである。
【0021】
光源装置14は、ラインレーザ光源15a、15b、15c、15d、15e(以下、「ラインレーザ光源15」と総称する場合がある)を有する。ラインレーザ光源15は、レーザ光源と光学レンズを用いて、レーザ照射を点ではなく線として投影する光源である。ここでは、5つのラインレーザ光源15を用いている場合について示しているが、検査対象物40の大きさにより、例えば3つのラインレーザ光源15を用いたり、10個のラインレーザ光源15を用いたりしてもよい。なお、ラインレーザ光源15は、LEDや放電灯と光学レンズを用いてライン状の光を生成してもよい。
【0022】
記憶部16は、ハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶デバイスであり、画像データ16aと、回帰直線データ16bと、閾値データ16cとを記憶する。画像データ16aは、撮像装置13によりラインレーザ光を反射する検査対象物40の画像を撮像したデータである。回帰直線データ16bは、画像データ16aのライン状の画素の輝度が0から255の範囲の中で240以上の複数の画素の画素座標を用いて回帰直線のパラメータを算出したデータである。閾値データ16cは、回帰直線からの所定の残差の上限と下限を表わすデータである。
【0023】
制御部17は、表面検査装置10の全体を制御する制御部であり、光源制御部17aと、撮像処理部17bと、回帰直線算出部17cと、判定部17dと、表示制御部17eとを有する。実際には、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、光源制御部17aと、撮像処理部17bと、回帰直線算出部17cと、判定部17dと、表示制御部17eとにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0024】
光源制御部17aは、検査対象物40の表面の状態を検査するため、光源装置14のラインレーザ光源15をオン/オフ制御を行う制御部である。撮像処理部17bは、光源装置14からラインレーザが検査対象物40に照射された後、台座41に載置された検査対象物40を撮像装置13により撮像させるように制御する処理部である。
【0025】
回帰直線算出部17cは、画像データ16aから各画素値が所定の閾値より大きな画素を特定し、特定された複数の画素の座標に基づいて回帰直線を算出する処理部である。ここで、所定の閾値は、例えば画素値が0から255の範囲であるならば、240を閾値とする。
【0026】
判定部17dは、検査対象物40の表面が良品か否かを判定する処理部である。具体的には、回帰直線算出部17cで特定された各画素値が所定の閾値より大きな画素の画素座標と、回帰直線から計算される座標の残差が、所定の閾値以内である場合は、検査対象物40は、良品と判定し、所定の閾値より大きい画素が存在する場合は、検査対象物40は、不良品と判定する。
【0027】
表示制御部17eは、判定部17dにおいて検査対象物40が良品と判定された場合には、所定の表示部11に「良品」と表示制御する。また、判定部17dにおいて検査対象物40が不良品と判定された場合には、所定の表示部11に「不良品」と表示制御する。
【0028】
<回帰直線の算出>
次に表面検査装置10の撮像画像P及び回帰直線Rの算出について説明する。図3は、表面検査装置10の撮像画像Pの一例を示す図である。図3に示すように、表面検査装置10は、検査対象物40が所定の位置に来た場合に、ラインレーザ光を反射する検査対象物40の画像を撮像する。検査対象物40に3つのラインレーザ光が照射されている場合は、検査対象物40の画像にラインレーザのライン光L1,L2、L3が撮像されることとなる。
【0029】
そして、表面検査装置10は、撮像画像Pを形成する画素のうち、ライン光L1、L2、L3を構成する複数の画素を特定する。具体的には、表面検査装置10は、撮像画像Pを形成するすべての画素において、画素の画素値が所定の閾値以上の画素を特定する。そして、特定した複数の画素のデータを用いて、例えばハフ変換等を行うことにより直線を認識する。その後、認識された直線の座標の複数の画素の座標から回帰直線を算出する。
【0030】
回帰直線Rの算出は、図4に示すように、例えば、複数の画素の画素値が所定の閾値以上であるライン光L3を形成する画素がx-y座標軸上に示されており、この画素の座標と回帰直線Rとのy軸方向の差分を残差Eとして、この残差Eに基づいて最小二乗法を用いて回帰直線Rのパラメータを算出する。なお、残りのライン光L1,L2についても同様の処理を行い、それぞれの回帰直線Rのパラメータを算出する。
【0031】
<良否判定について>
次に、表面検査装置10の検査対象物40の良否判定について説明する。図5は、表面検査装置10の検査対象物40の良否判定を説明するための説明図である。表面検査装置10は、回帰直線算出部17cで算出された回帰直線Rのパラメータと、あらかじめ設定された回帰直線Rからの残差上限値Eu及び残差下限値Elとに基づいて、検査対象物40の良否判定を行う。
【0032】
図5(a)に示すように、所定のライン光L3を形成するすべての画素の残差が残差上限値Euより小さく、残差下限値Elよりも大きく、他のライン光L1及びL2においても、すべての画素のデータが残差上限値Euより小さく、残差下限値Elよりも大きい場合には、表面検査装置10は、検査対象物40を良品と判定する。
【0033】
また、図5(b)に示すように、所定のライン光L3において一部の画素の残差が残差下限値Elよりも小さい場合には、表面検査装置10は、検査対象物40を不良品と判定する。なお、所定のライン光L3において一部の画素のデータが残差上限値Euよりも大きい場合にも、表面検査装置10は、検査対象物40を不良品と判定する。なお、表面検査装置10は、ライン光L1、又は、ライン光L2においても一部の画素のデータが残差下限値Elよりも小さい、もしくは、一部の画素のデータが残差上限値Euよりも大きい場合にも、検査対象物40を不良品と判定する。
【0034】
<表面検査装置10の処理手順>
次に、表面検査装置10の処理手順について説明する。図6は、図1に示した表面検査装置10の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、表面検査装置10は、光源装置14をオンにし、光を照射する(ステップS101)。
【0035】
表面検査装置10は、検査対象物40が所定の位置に来たならば、画像を撮像する(ステップS102)。そして、表面検査装置10は、画像を形成する複数の画素のうち、画素値が所定の閾値より大きな画素を特定し、特定された複数の画素から直線を検出する(ステップS103)。その後、表面検査装置10は、画像のラインレーザ光を形成する複数の画素の座標に基づいて回帰直線Rを算出する(ステップS104)。
【0036】
そして、表面検査装置10は、画像のラインレーザ光を形成する複数の画素の座標と回帰直線Rとの残差を算出する(ステップS105)。その後、表面検査装置10は、残差が所定の閾値以内か否かを判定する(ステップS106)。表面検査装置10は、残差が所定の閾値より大きい、もしくは、小さい画素が存在する場合は(ステップS106:No)、所定の表示部11に「不良品」を表示制御する(ステップS110)。
【0037】
一方、表面検査装置10は、残差が所定の閾値以内である場合には(ステップS106:Yes)、選択された直線が最後の直線か否かを判定する(ステップS107)。表面検査装置10は、選択された直線が最後の直線でない場合には(ステップS107:No)、次の直線を選択し(ステップS108)、ステップS104に移行する。
【0038】
表面検査装置10は、選択された直線が最後の直線である場合には(ステップS107:Yes)、所定の表示部11に「良品」を表示制御する(ステップS109)。
【0039】
上述してきたように、本実施形態では、表面検査装置10は、光源装置14によりラインレーザ光を検査対象物40に照射し、撮像装置13により、ラインレーザ光を反射する検査対象物40bの画像を撮像する。そして、表面検査装置10は、画像を形成する複数の画素のうち、画素値が所定の閾値より大きい画素を特定する。表面検査装置10は、特定された複数の画素の画素座標に基づいて回帰直線Rを算出し、複数の画素の画素座標と回帰直線Rとの残差が所定の閾値上限値より低く、かつ、所定の閾値下限値よりも大きいか否かにより、検査対象物40の品質を判定するように構成したため、樹脂製品等の表面の歪みやヒケを効率良く検出することができる。
【0040】
<変形例>
ところで、上記実施形態では、画像の画素座標と回帰直線Rより算出される座標との残差に基づいて検査対象物40の良否を判定する場合について説明したが、変形例では、残差が所定の回数連続で所定の閾値を越えるか否かで検査対象物40の良否判定をする場合について説明する。
【0041】
図7は、変形例に係る表面検査装置の撮像画像Pの一例を示す図である。図7に示すように、表面検査装置は、検査対象物40に光源装置14からラインレーザ光を照射し、撮像装置13を用いて、ラインレーザ光を反射する検査対象物40bの画像を撮像する。ここでは、ライン光L3に歪み特性が表れている場合について示している。
【0042】
表面検査装置は、撮像画像Pを形成する画素のうち、ライン光L1、L2、L3を構成する複数の画素を特定する。具体的には、表面検査装置は、撮像画像Pを形成するすべての画素において、画素の画素値が所定の閾値以上の画素を特定する。そして、特定した複数の画素のデータを用いて、例えばハフ変換等を行うことにより直線を認識する。その後、認識された直線の座標の複数の画素の座標から回帰直線Rを算出する。
【0043】
回帰直線Rの算出は、図8に示すように、例えば、ライン光L3を形成する画素の画素値が所定の閾値以上である画素を特定し、この画素の座標と回帰直線Rとのy軸方向の差分を残差Eとして、この残差Eに基づいて最小二乗法を用いて回帰直線Rのパラメータを算出する。
【0044】
その後、表面検査装置は、ライン光L1、L2、L3のそれぞれについて、残差の閾値に基づいて検査対象物40の良否判定を行う。表面検査装置は、例えば、ライン光L3に対応する画素をx-y座標上に示されており、この画素の座標と回帰直線Rとのy軸方向の差分を残差Eとして算出する。そして、この残差Eが、図8に示すように、連続して5回、残差下限値Elを越えている場合に、検査対象物40は、不良品であると判定する。なお、残差が残差上限値Eu、又は、残差下限値Elを連続して越える場合の連続する回数は、5回に限られる訳ではい。
【0045】
なお、上記実施形態では、表面検査装置10は、回帰直線Rと画素の画素値が所定の閾値以上の画素との残差により検査対象物40の良否判定を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、表面検査装置10が、回帰直線Rを算出したならば、画素の画素値が所定の閾値以上の画素の座標と、回帰直線Rの法線方向(回帰直線Rと垂直の方向)の誤差を算出し、この誤差が所定の閾値以内か否かで良否判定を行ってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、表面検査装置は、画像を形成する画素のうち、ライン光L1、L2、L3を構成する複数の画素において、それぞれの画素について残差を求めて、良否判断を行っている場合について説明したが、本発明は、これに限定されることはなく、ライン光L1、L2、L3を構成する複数の画素のうち、連続する画素(例えば、5つの連続する画素)の残差の平均を求め、その平均値が所定の閾値以内か否かにより、検査対象物40の良否を判定してもよい。
【0047】
上記の実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る表面検査装置及び表面検査方法は、樹脂製品等の表面の歪みやヒケを効率良く検出する場合に適している。
【符号の説明】
【0049】
10 表面検査装置
11 表示部
12 入力部
13 撮像装置
13a 撮像部
13b フィルタ
14 光源装置
15a、15b、15c、15d、15e ラインレーザ光源
16 記憶部
16a 画像データ
16b 回帰直線データ
16c 閾値データ
17 制御部
17a 光源制御部
17b 撮像処理部
17c 回帰直線算出部
17d 判定部
17e 表示制御部
40a、40b、40c 検査対象物
41a、41b、41c 台座
50 ベルトコンベア
E 残差
Eu 残差上限
El 残差下限
L1,L2、L3 ライン光
P 撮像画像
R 回帰直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8