(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025039070
(43)【公開日】2025-03-21
(54)【発明の名称】計測装置、計測方法及び計測プログラム
(51)【国際特許分類】
B62D 65/18 20060101AFI20250313BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
B62D65/18 A
B65G43/08 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145850
(22)【出願日】2023-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】大城 剛
(72)【発明者】
【氏名】尾畑 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】西地 和馬
(72)【発明者】
【氏名】野口 和真
【テーマコード(参考)】
3D114
3F027
【Fターム(参考)】
3D114AA18
3D114CA05
3F027AA04
3F027CA01
3F027DA21
3F027FA01
(57)【要約】
【課題】ハンガー装置を用いた搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を迅速かつ簡易に自動計測することができる計測装置、計測方法及び計測プログラムを提供する。
【解決手段】各ハンガー装置3に取り付けられ各ハンガー装置3の識別情報が提示された識別部7を撮像する第1撮像部11と、各ハンガー装置3の配置状態を撮像する第2撮像部12と、制御側停止トリガー信号S1に対応したタイミングにおいて第1撮像部11が撮像した第1画像をもとに各ハンガー装置3の識別情報を取得する識別情報取得処理を行うとともに、制御側停止トリガー信号S1に対応したタイミングにおいて第2撮像部12が撮像した第2画像をもとに各ハンガー装置3の配置状態の計測を行う配置状態計測処理を行い、識別情報取得処理の結果と配置状態計測処理の結果とを対として管理する計測処理管理部13とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内レールに沿って移動停止を繰り返す複数のハンガー装置を用いて被搬送物を搬送する搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を計測する計測装置であって、
移動する前記ハンガー装置の停止を指示する前記搬送システムからの制御側停止トリガー信号をもとに、移動する各ハンガー装置に取り付けられ各ハンガー装置の識別情報が提示された識別部を固定配置された位置から順次撮像する第1撮像部と、
前記制御側停止トリガー信号をもとに、移動する各ハンガー装置の配置状態を固定配置された位置から順次撮像する第2撮像部と、
前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングにおいて第1撮像部が撮像した第1画像をもとに各ハンガー装置の識別情報を取得する識別情報取得処理を行うとともに、前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングにおいて第2撮像部が撮像した第2画像をもとに各ハンガー装置の配置状態の計測を行う配置状態計測処理を行い、前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングに対応付けて前記識別情報取得処理の結果と前記配置状態計測処理の結果とを対として管理する計測処理管理部と
を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記制御側停止トリガー信号を第1撮像部及び第2撮像部が処理できる停止トリガー信号に変換する信号変換機能を有した撮像制御部を備え、
前記撮像制御部は、変換した前記停止トリガー信号をもとに第1撮像部及び第2撮像部を制御することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
案内レールに沿って移動停止を繰り返す複数のハンガー装置を用いて被搬送物を搬送する搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を計測する計測装置であって、
移動する各ハンガー装置に取り付けられ、各ハンガー装置の識別情報が提示された識別部を固定配置された位置から連続撮像する第1撮像部と、
移動する各ハンガー装置の配置状態を固定配置された位置から連続撮像する第2撮像部と、
第1撮像部及び第2撮像部により連続撮像された画像の中から各ハンガー装置の停止動作時を検出し、該停止動作時に第1撮像部が撮像した第1画像をもとに各ハンガー装置の識別情報を取得する識別情報取得処理を行うとともに、同一の前記停止動作時に第2撮像部が撮像した第2画像をもとに各ハンガー装置の配置状態の計測を行う配置状態計測処理を行い、第1画像と第2画像との同一の停止動作タイミングに対応付けて前記識別情報取得処理の結果と前記配置状態計測処理の結果とを対として管理する計測処理管理部と
を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項4】
前記計測処理管理部は、第2撮像部により連続撮像された画像の中から、前記ハンガー装置の停止動作に類似する類似画像を検出し、この類似画像を検出した時点を前記同一の停止動作タイミングとして第1画像と第2画像とを抽出し、前記識別情報取得処理の結果と前記配置状態計測処理の結果とを対として管理することを特徴とする請求項3に記載の計測装置。
【請求項5】
前記計測処理管理部は、第2撮像部が撮像した第2画像と、予め撮像された第2画像に対応するマスタ画像とを比較して各ハンガー装置の配置状態の計測を行うことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の計測装置。
【請求項6】
前記計測処理管理部は、前記識別情報取得処理の結果と前記配置状態計測処理の結果との対データをCSVデータとして出力することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の計測装置。
【請求項7】
第2画像を撮像する第2撮像部の撮像範囲内には基準物が配置され、
第2撮像部は前記基準物を含む第2画像を撮像し、
前記計測処理管理部は、予め撮像された前記基準物を含む第2画像に対応する振れ補正用マスタ画像内の前記基準物の画像をもとに第2画像の振れ補正を行うことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の計測装置。
【請求項8】
第1撮像部及び第2撮像部を有した計測装置により、案内レールに沿って移動停止を繰り返す複数のハンガー装置を用いて被搬送物を搬送する搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を計測する計測方法であって、
移動する前記ハンガー装置の停止を指示する前記搬送システムからの制御側停止トリガー信号を受信する受信ステップと、
前記制御側停止トリガー信号を受信した場合、第1撮像部により、移動する各ハンガー装置に取り付けられ各ハンガー装置の識別情報が提示された識別部を固定配置された位置から順次撮像するとともに、第2撮像部により、移動する各ハンガー装置の配置状態を固定配置された位置から順次撮像する撮像ステップと、
前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングにおいて第1撮像部が撮像した第1画像をもとに各ハンガー装置の識別情報を取得する識別情報取得処理ステップと、
前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングにおいて第2撮像部が撮像した第2画像をもとに各ハンガー装置の配置状態の計測を行う配置状態計測処理ステップと、
前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングに対応付けて前記識別情報取得処理ステップの処理結果と前記配置状態計測処理ステップの処理結果とを対として管理する計測処理管理ステップと
を含むことを特徴とする計測方法。
【請求項9】
前記受信ステップで受信した前記制御側停止トリガー信号を第1撮像部及び第2撮像部が処理できる停止トリガー信号に変換する信号変換ステップを含み、
前記撮像ステップ、前記識別情報取得処理ステップ、前記配置状態計測処理ステップ及び計測処理管理ステップは、前記制御側停止トリガー信号に替えて前記停止トリガー信号を用いることを特徴とする請求項8に記載の計測方法。
【請求項10】
第1撮像部及び第2撮像部を有した計測装置により、案内レールに沿って移動停止を繰り返す複数のハンガー装置を用いて被搬送物を搬送する搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を計測する計測方法であって、
第1撮像部により、移動する各ハンガー装置に取り付けられ、各ハンガー装置の識別情報が提示された識別部を固定配置された位置から連続撮像するとともに、第2撮像部により、移動する各ハンガー装置の配置状態を固定配置された位置から連続撮像する撮像ステップと、
第1撮像部及び第2撮像部により連続撮像された画像の中から各ハンガー装置の停止動作時を検出する停止動作検出ステップと、
前記停止動作検出ステップが検出した停止動作時に第1撮像部が撮像した第1画像をもとに各ハンガー装置の識別情報を取得する識別情報取得処理を行う識別情報取得処理ステップと、
同一の前記停止動作時に第2撮像部が撮像した第2画像をもとに各ハンガー装置の配置状態の計測を行う配置状態計測処理を行う配置状態計測処理ステップと、
第1画像と第2画像との同一の停止動作タイミングに対応付けて前記識別情報取得処理ステップの処理結果と前記配置状態計測処理ステップの処理結果とを対として管理する計測処理管理ステップと
を含むことを特徴とする計測方法。
【請求項11】
前記停止動作検出ステップは、第2撮像部により連続撮像された第2画像の中から、前記ハンガー装置の停止動作に類似する類似画像を検出し、この類似画像を検出した時点を前記停止動作時として検出することを特徴とする請求項10に記載の計測方法。
【請求項12】
第1撮像部及び第2撮像部を有した計測装置により、案内レールに沿って移動停止を繰り返す複数のハンガー装置を用いて被搬送物を搬送する搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を計測するための計測プログラムであって、
コンピュータに、
移動する前記ハンガー装置の停止を指示する前記搬送システムからの制御側停止トリガー信号を受信する受信手順と、
前記制御側停止トリガー信号を受信した場合、第1撮像部により、移動する各ハンガー装置に取り付けられ各ハンガー装置の識別情報が提示された識別部を固定配置された位置から順次撮像するとともに、第2撮像部により、移動する各ハンガー装置の配置状態を固定配置された位置から順次撮像する撮像手順と、
前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングにおいて第1撮像部が撮像した第1画像をもとに各ハンガー装置の識別情報を取得する識別情報取得処理手順と、
前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングにおいて第2撮像部が撮像した第2画像をもとに各ハンガー装置の配置状態の計測を行う配置状態計測処理手順と、
前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングに対応付けて前記識別情報取得処理手順の処理結果と前記配置状態計測処理手順の処理結果とを対として管理する計測処理管理手順と
を実行させるための計測プログラム。
【請求項13】
前記受信手順で受信した前記制御側停止トリガー信号を第1撮像部及び第2撮像部が処理できる停止トリガー信号に変換する信号変換手順を含み、
前記撮像手順、前記識別情報取得処理手順、前記配置状態計測処理手順及び計測処理管理手順は、前記制御側停止トリガー信号に替えて前記停止トリガー信号を用いることを特徴とする請求項12に記載の計測プログラム。
【請求項14】
第1撮像部及び第2撮像部を有した計測装置により、案内レールに沿って移動停止を繰り返す複数のハンガー装置を用いて被搬送物を搬送する搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を計測するための計測プログラムであって、
コンピュータに、
第1撮像部により、移動する各ハンガー装置に取り付けられ、各ハンガー装置の識別情報が提示された識別部を固定配置された位置から連続撮像するとともに、第2撮像部により、移動する各ハンガー装置の配置状態を固定配置された位置から連続撮像する撮像手順と、
第1撮像部及び第2撮像部により連続撮像された画像の中から各ハンガー装置の停止動作時を検出する停止動作検出手順と、
前記停止動作検出手順が検出した停止動作時に第1撮像部が撮像した第1画像をもとに各ハンガー装置の識別情報を取得する識別情報取得処理を行う識別情報取得処理手順と、
同一の前記停止動作時に第2撮像部が撮像した第2画像をもとに各ハンガー装置の配置状態の計測を行う配置状態計測処理を行う配置状態計測処理手順と、
第1画像と第2画像との同一の停止動作タイミングに対応付けて前記識別情報取得処理手順の処理結果と前記配置状態計測処理手順の処理結果とを対として管理する計測処理管理手順と
を実行させるための計測プログラム。
【請求項15】
前記停止動作検出手順は、第2撮像部により連続撮像された第2画像の中から、前記ハンガー装置の停止動作に類似する類似画像を検出し、この類似画像を検出した時点を前記停止動作時として検出することを特徴とする請求項14に記載の計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンガー装置を用いた搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を迅速かつ簡易に自動計測することができる計測装置、計測方法及び計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車などの生産ラインではハンガー装置を用いてボディなどの被搬送物を吊り下げ、自動車の組立作業を行う(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ハンガー装置を用いて被搬送物を搬送する搬送システムでは、システム設置時にハンガー装置が自動車のボディなどの被搬送物を確実に支持できるか否かを確認するため、各ハンガー装置を構成する要素の位置や形状などの配置状態、特にハンガー装置が被搬送物を支持するアタッチメントの位置ずれやアタッチメントの寸法を計測する必要がある。
【0005】
この配置状態の計測は、現状、生産ラインが非稼働の状態で生産ラインを回送しながら手作業で行っていたため、大きな工数と労力とを要していた。したがって、搬送システムのハンガー装置の配置状態を迅速かつ簡易に自動計測できることが要望されていた。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、ハンガー装置を用いた搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を迅速かつ簡易に自動計測することができる計測装置、計測方法及び計測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る計測装置は、案内レールに沿って移動停止を繰り返す複数のハンガー装置を用いて被搬送物を搬送する搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を計測する計測装置であって、移動する前記ハンガー装置の停止を指示する前記搬送システムからの制御側停止トリガー信号をもとに、移動する各ハンガー装置に取り付けられ各ハンガー装置の識別情報が提示された識別部を固定配置された位置から順次撮像する第1撮像部と、前記制御側停止トリガー信号をもとに、移動する各ハンガー装置の配置状態を固定配置された位置から順次撮像する第2撮像部と、前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングにおいて第1撮像部が撮像した第1画像をもとに各ハンガー装置の識別情報を取得する識別情報取得処理を行うとともに、前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングにおいて第2撮像部が撮像した第2画像をもとに各ハンガー装置の配置状態の計測を行う配置状態計測処理を行い、前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングに対応付けて前記識別情報取得処理の結果と前記配置状態計測処理の結果とを対として管理する計測処理管理部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る計測装置は、上記の発明において、前記制御側停止トリガー信号を第1撮像部及び第2撮像部が処理できる停止トリガー信号に変換する信号変換機能を有した撮像制御部を備え、前記撮像制御部は、変換した前記停止トリガー信号をもとに第1撮像部及び第2撮像部を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る計測装置は、案内レールに沿って移動停止を繰り返す複数のハンガー装置を用いて被搬送物を搬送する搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を計測する計測装置であって、移動する各ハンガー装置に取り付けられ、各ハンガー装置の識別情報が提示された識別部を固定配置された位置から連続撮像する第1撮像部と、移動する各ハンガー装置の配置状態を固定配置された位置から連続撮像する第2撮像部と、第1撮像部及び第2撮像部により連続撮像された画像の中から各ハンガー装置の停止動作時を検出し、該停止動作時に第1撮像部が撮像した第1画像をもとに各ハンガー装置の識別情報を取得する識別情報取得処理を行うとともに、同一の前記停止動作時に第2撮像部が撮像した第2画像をもとに各ハンガー装置の配置状態の計測を行う配置状態計測処理を行い、第1画像と第2画像との同一の停止動作タイミングに対応付けて前記識別情報取得処理の結果と前記配置状態計測処理の結果とを対として管理する計測処理管理部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る計測装置は、上記の発明において、前記計測処理管理部は、第2撮像部により連続撮像された画像の中から、前記ハンガー装置の停止動作に類似する類似画像を検出し、この類似画像を検出した時点を前記同一の停止動作タイミングとして第1画像と第2画像とを抽出し、前記識別情報取得処理の結果と前記配置状態計測処理の結果とを対として管理することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る計測装置は、上記の発明において、前記計測処理管理部は、第2撮像部が撮像した第2画像と、予め撮像された第2画像に対応するマスタ画像とを比較して各ハンガー装置の配置状態の計測を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る計測装置は、上記の発明において、前記計測処理管理部は、前記識別情報取得処理の結果と前記配置状態計測処理の結果との対データをCSVデータとして出力することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る計測装置は、上記の発明において、第2画像を撮像する第2撮像部の撮像範囲内には基準物が配置され、第2撮像部は前記基準物を含む第2画像を撮像し、前記計測処理管理部は、予め撮像された前記基準物を含む第2画像に対応する振れ補正用マスタ画像内の前記基準物の画像をもとに第2画像の振れ補正を行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る計測方法は、第1撮像部及び第2撮像部を有した計測装置により、案内レールに沿って移動停止を繰り返す複数のハンガー装置を用いて被搬送物を搬送する搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を計測する計測方法であって、移動する前記ハンガー装置の停止を指示する前記搬送システムからの制御側停止トリガー信号を受信する受信ステップと、前記制御側停止トリガー信号を受信した場合、第1撮像部により、移動する各ハンガー装置に取り付けられ各ハンガー装置の識別情報が提示された識別部を固定配置された位置から順次撮像するとともに、第2撮像部により、移動する各ハンガー装置の配置状態を固定配置された位置から順次撮像する撮像ステップと、前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングにおいて第1撮像部が撮像した第1画像をもとに各ハンガー装置の識別情報を取得する識別情報取得処理ステップと、前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングにおいて第2撮像部が撮像した第2画像をもとに各ハンガー装置の配置状態の計測を行う配置状態計測処理ステップと、前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングに対応付けて前記識別情報取得処理ステップの処理結果と前記配置状態計測処理ステップの処理結果とを対として管理する計測処理管理ステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る計測方法は、上記の発明において、前記受信ステップで受信した前記制御側停止トリガー信号を第1撮像部及び第2撮像部が処理できる停止トリガー信号に変換する信号変換ステップを含み、前記撮像ステップ、前記識別情報取得処理ステップ、前記配置状態計測処理ステップ及び計測処理管理ステップは、前記制御側停止トリガー信号に替えて前記停止トリガー信号を用いることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る計測方法は、第1撮像部及び第2撮像部を有した計測装置により、案内レールに沿って移動停止を繰り返す複数のハンガー装置を用いて被搬送物を搬送する搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を計測する計測方法であって、第1撮像部により、移動する各ハンガー装置に取り付けられ、各ハンガー装置の識別情報が提示された識別部を固定配置された位置から連続撮像するとともに、第2撮像部により、移動する各ハンガー装置の配置状態を固定配置された位置から連続撮像する撮像ステップと、第1撮像部及び第2撮像部により連続撮像された画像の中から各ハンガー装置の停止動作時を検出する停止動作検出ステップと、前記停止動作検出ステップが検出した停止動作時に第1撮像部が撮像した第1画像をもとに各ハンガー装置の識別情報を取得する識別情報取得処理を行う識別情報取得処理ステップと、同一の前記停止動作時に第2撮像部が撮像した第2画像をもとに各ハンガー装置の配置状態の計測を行う配置状態計測処理を行う配置状態計測処理ステップと、第1画像と第2画像との同一の停止動作タイミングに対応付けて前記識別情報取得処理ステップの処理結果と前記配置状態計測処理ステップの処理結果とを対として管理する計測処理管理ステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る計測方法は、上記の発明において、前記停止動作検出ステップは、第2撮像部により連続撮像された第2画像の中から、前記ハンガー装置の停止動作に類似する類似画像を検出し、この類似画像を検出した時点を前記停止動作時として検出することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る計測プログラムは、第1撮像部及び第2撮像部を有した計測装置により、案内レールに沿って移動停止を繰り返す複数のハンガー装置を用いて被搬送物を搬送する搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を計測するための計測プログラムであって、コンピュータに、移動する前記ハンガー装置の停止を指示する前記搬送システムからの制御側停止トリガー信号を受信する受信手順と、前記制御側停止トリガー信号を受信した場合、第1撮像部により、移動する各ハンガー装置に取り付けられ各ハンガー装置の識別情報が提示された識別部を固定配置された位置から順次撮像するとともに、第2撮像部により、移動する各ハンガー装置の配置状態を固定配置された位置から順次撮像する撮像手順と、前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングにおいて第1撮像部が撮像した第1画像をもとに各ハンガー装置の識別情報を取得する識別情報取得処理手順と、前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングにおいて第2撮像部が撮像した第2画像をもとに各ハンガー装置の配置状態の計測を行う配置状態計測処理手順と、前記制御側停止トリガー信号に対応したタイミングに対応付けて前記識別情報取得処理手順の処理結果と前記配置状態計測処理手順の処理結果とを対として管理する計測処理管理手順とを実行させる。
【0019】
また、本発明に係る計測プログラムは、上記の発明において、前記受信手順で受信した前記制御側停止トリガー信号を第1撮像部及び第2撮像部が処理できる停止トリガー信号に変換する信号変換手順を含み、前記撮像手順、前記識別情報取得処理手順、前記配置状態計測処理手順及び計測処理管理手順は、前記制御側停止トリガー信号に替えて前記停止トリガー信号を用いることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る計測プログラムは、第1撮像部及び第2撮像部を有した計測装置により、案内レールに沿って移動停止を繰り返す複数のハンガー装置を用いて被搬送物を搬送する搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を計測するための計測プログラムであって、コンピュータに、第1撮像部により、移動する各ハンガー装置に取り付けられ、各ハンガー装置の識別情報が提示された識別部を固定配置された位置から連続撮像するとともに、第2撮像部により、移動する各ハンガー装置の配置状態を固定配置された位置から連続撮像する撮像手順と、第1撮像部及び第2撮像部により連続撮像された画像の中から各ハンガー装置の停止動作時を検出する停止動作検出手順と、前記停止動作検出手順が検出した停止動作時に第1撮像部が撮像した第1画像をもとに各ハンガー装置の識別情報を取得する識別情報取得処理を行う識別情報取得処理手順と、同一の前記停止動作時に第2撮像部が撮像した第2画像をもとに各ハンガー装置の配置状態の計測を行う配置状態計測処理を行う配置状態計測処理手順と、第1画像と第2画像との同一の停止動作タイミングに対応付けて前記識別情報取得処理手順の処理結果と前記配置状態計測処理手順の処理結果とを対として管理する計測処理管理手順とを実行させる。
【0021】
また、本発明に係る計測プログラムは、上記の発明において、前記停止動作検出手順は、第2撮像部により連続撮像された第2画像の中から、前記ハンガー装置の停止動作に類似する類似画像を検出し、この類似画像を検出した時点を前記停止動作時として検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ハンガー装置を用いた搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を迅速かつ簡易に自動計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係る計測装置の全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、計測装置による計測処理フローの概要を説明する図である。
【
図3】
図3は、アタッチメントのずれ量の計測の一例を説明する図である。
【
図5】
図5は、計測装置による計測処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施の形態の変形例に係る計測装置の全体構成を示す図である。
【
図7】
図7は、変形例による計測処理フローの概要を説明する図である。
【
図8】
図8は、変形例による計測処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係る計測装置について説明する。
【0025】
<計測装置の全体構成>
図1は、本実施の形態に係る計測装置1の全体構成を示す図である。この計測装置1は、搬送システム101が有する複数のハンガー装置3の配置状態を計測するものである。各ハンガー装置3は、図示しない被搬送物である自動車のボディ(シャシー)を吊り下げて支持し、この支持状態で案内レール4に沿って移動停止を繰り返す。ハンガー装置3は、停止によりボディを吊り下げ、あるいはボディに部品を組付け、さらに部品が組付けられたボディの吊り下げを解放する。ハンガー装置3は、案内レール4に沿って、例えば方向Aに移動するが、案内レール4はループを形成しており、巡回して再び同じ場所に戻る。なお、ハンガー装置3は、図示しないクランパーで固定する。
【0026】
このハンガー装置3は、制御装置110により、図示しない上部に設けられたモータの駆動停止を制御することにより移動停止する。なお、計測装置1は、ハンガー装置3にボディが吊り下げられない非稼働にハンガー装置3を回送してハンガー装置3の配置状態を計測する。ここでの計測装置1は、ハンガー装置3の停止時における支持部5のアタッチメント6の位置のずれ量を計測する場合について説明する。なお、配置状態とは、ハンガー装置3を構成する要素の位置や形状であり、アタッチメント6の位置のずれ量も含まれる。
【0027】
上記のように、ハンガー装置3は、4つのフック状の脚を有し、各脚の先端には、内側に曲げられた支持部5が形成され、支持部5の上部には、直接ボディを支持するアタッチメント6が配置される。なお、ハンガー装置3の上部には、各ハンガー装置3に固有の識別番号などの識別情報を提示する識別部7が取り付けられている。識別部7には、例えば、QRコード(登録商標)などのような図形化コード8が提示されている。なお、識別部7には、図形化コード8に限らず、数字を含む文字などの記号を提示してもよい。
【0028】
ハンガー装置3の製造誤差などにより、アタッチメント6の位置が位置ずれしていると、ボディを確実に吊り下げて支持することが困難になる。このため、計測装置1は、アタッチメント6の位置のずれ量を計測することになる。
【0029】
計測装置1は、第1撮像部11、第2撮像部12及び計測処理管理部13を有する。計測処理管理部13は撮像制御部20を有する。撮像制御部20は、制御装置110から出力される制御側停止トリガー信号S1を第1撮像部11及び第2撮像部12が処理できる停止トリガー信号S2に変換する信号変換機能を有し、変換した停止トリガー信号S2をもとに第1撮像部11及び第2撮像部12の撮像動作を制御する。制御装置110はPLC(Programmable Logic Controller)であり、制御装置110から出力される制御側停止トリガー信号S1は、計測装置1側で取り扱うことができない信号であるため、撮像制御部20は、計測装置1側が取り扱うことができる停止トリガー信号S2に変換する。
【0030】
第1撮像部11は、固定配置され、ハンガー装置3に取り付けられた識別部7の図形化コード8の画像(第1画像)を撮像する。第2撮像部12は、固定配置され、ハンガー装置3の配置状態、ここではアタッチメント6を含む支持部5の画像(第2画像)を撮像する。第1撮像部11及び第2撮像部12は、停止トリガー信号S2を受信した場合、それぞれ第1画像及び第2画像を撮像する。なお、計測装置1内において撮像制御部20は計測処理管理部13の外部に独立して設けてもよい。
【0031】
計測処理管理部13は、入力部14、表示部15、記憶部16及び制御部17を有する。入力部14は、マウスやキーボードなどの入力インタフェースである。表示部15は、各種情報を表示する液晶ディスプレイなどの表示インタフェースである。記憶部16は、ハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶デバイスである。
【0032】
制御部17は、計測処理管理部13の全体を制御する制御部であり、撮像制御部20、識別情報取得処理部21、配置状態計測処理部22及び管理部23を有する。制御部17は、これらの機能部に対応するプログラムを不揮発性メモリや磁気ディスク装置などの記憶装置に記憶しておき、これらのプログラムをメモリにロードして、CPUで実行することで、対応するプロセスを実行させることになる。
【0033】
撮像制御部20は、上記のように、制御装置110から出力される制御側停止トリガー信号S1を第1撮像部11及び第2撮像部12が処理できる停止トリガー信号S2に変換する信号変換機能を有し、変換した停止トリガー信号S2をもとに第1撮像部11及び第2撮像部12の撮像動作を制御する。
【0034】
識別情報取得処理部21は、第1画像内の図形化コード8を読み取り、ハンガー装置3の識別情報を取得する。識別部7の第1画像が図形化コード8ではなく、文字を含む記号である場合にはOCR処理してテキストデータ化された識別情報を取得する。
【0035】
配置状態計測処理部22は、第2撮像部12が撮像した第2画像と、予め撮像された第2画像に対応するマスタ画像とを比較して各ハンガー装置3の配置状態(アタッチメント6の位置のずれ量)の計測を行う。このずれ量は、第2画像とマスタ画像とのマッチング処理によって計測してもよいし、第2画像のエッジ画像とマスタ画像のエッジ画像とのマッチング処理によって計測してもよいし、マスタ画像の特異点と第2画像の特異点とのマッチング処理によって計測してもよい。
【0036】
管理部23は、識別情報取得処理部21が取得した識別情報と、配置状態計測処理部22が計測したずれ量とを対応付け、結果データDとして順次、記憶部16に記憶する。管理部23は、この結果データDを、CSV形式のテキストデータとして記憶する。
【0037】
<計測処理フロー>
図2は、計測装置1による計測処理フローの概要を説明する図である。
図2に示すように、停止トリガー信号S2が入力されると、第1撮像部11は第1画像を撮像し、第2撮像部12は第2画像を撮像する。そして、識別情報取得処理部21は第1画像から識別情報を取得する。一方、配置状態計測処理部22は第2画像をもとにアタッチメント6のずれ量を計測する。そして、管理部23は、識別情報とアタッチメント6のずれ量とを対応付け、結果データDとして記憶する。
【0038】
<ずれ量計測の一例>
図3は、アタッチメント6のずれ量の計測の一例を説明する図である。
図3に示すように、配置状態計測処理部22は、第2画像D1とマスタ画像MDとを比較するマッチング処理を行い、第2画像D1内のアタッチメント6のずれ量Wを計測する。なお、ずれ量Wは、X方向のずれ量を示しているが、X方向に加えてY方向あるいはZ方向のずれ量を計測して2次元のずれ量を計測する。なお、第2撮像部12を2台のステレオカメラとして3次元のずれ量を計測するようにしてもよく、この場合、アタッチメント6の3次元のずれ量を直接計測することができる。
【0039】
<振れ補正>
ここで、第2撮像部12は、ハンガー装置3が移動する領域に設けることができないため、工場の吊り架台や2階通路上に設けられるため、工場内の設備などの外乱(振動)を受けて第2撮像部が振動し、撮像した画像に振れが生じる。このため、配置状態計測処理部22は、第2画像に対する振れ補正処理を行う。
【0040】
図4は、振れ補正を説明する図である。まず、第2画像D10の撮像範囲内に、位置が固定の基準物30を設ける。そして、第2画像D10内には、アタッチメント6が撮像された領域E1とともに基準物30の画像が撮像される。一方、配置状態計測処理部22は、振れ補正用マスタ画像MD10を予め保持する。この振れ補正用マスタ画像MD10は、第2撮像部12に振れが生じていないときの第2画像であり、第2画像と同様にアタッチメント6が撮像された領域E1とともに基準物30の画像が撮像されている。
【0041】
配置状態計測処理部22は、振れ補正用マスタ画像MD10内の基準物30の画像と、第2画像D10内の基準物30の画像とのマッチング処理を行って、第2画像D10の振れを補正する。なお、基準物30は、振動にも影響しない安定した物体である。振れ補正は、各画像内の基準物30のエッジ画像に対するマッチングにより行われる。
図4では、基準物30の輪郭が矩形形状となっており、これにより2次元の振れ補正が可能になる。したがって、基準物30は、輪郭形状が多角形であることが好ましい。基準物30の輪郭が完全な円形である場合でも、基準物30内に2方向性をもつ+形状部分などがある場合には、この+形状部分のエッジ画像を用いることができる。なお、+形状部分は基準物30に取り付けられたマークであってもよい。いずれにしろ、基準物30は、撮像画像内において少なくとも2方向性をもつエッジ画像(マッチング画像)を取得できるものであればよい。なお、近接する複数の物体を1つの基準物30として取り扱ってもよい。
【0042】
<計測処理手順>
図5は、計測装置1による計測処理手順を示すフローチャートである。
図5に示すように、まず計測装置1は、制御側停止トリガー信号S1を受信したか否かを判定する(ステップS101)。制御側停止トリガー信号S1を受信していない場合(ステップS101:No)、本判定処理を繰り返す。一方、制御側停止トリガー信号S1を受信した場合(ステップS101:Yes)、撮像制御部20が停止トリガー信号S2を生成する(ステップS102)。
【0043】
その後、第1撮像部11と第2撮像部12とは、停止トリガー信号S2を受信して、それぞれ第1画像及び第2画像を取得する(ステップS103)。そして、識別情報取得処理部21は、第1画像から識別情報を取得する(ステップS104)。さらに、配置状態計測処理部22は、第2画像からアタッチメント6のずれ量を計測する(ステップS105)。
【0044】
その後、管理部23は、取得した識別情報と計測したずれ量とを対応付け、結果データDとして記憶部16に出力する(ステップS106)。その後、計測終了か否かを判定し(ステップS107)、計測終了でない場合(ステップS107:No)には、ステップS101に移行して上記の処理を繰り返し、計測終了である場合(ステップS107:Yes)には、本処理を終了する。
【0045】
本実施の形態では、ハンガー装置3の制御側停止トリガー信号S1を用いて、ハンガー装置3の停止時における配置状態であるアタッチメント6の位置を示す第1画像を取得して、アタッチメント6の位置のずれ量を迅速かつ簡易に自動計測することができる。また、アタッチメント6の位置のずれ量は、ハンガー装置3の識別情報に対応付けられた結果データDとして記憶され、ずれ量のバラツキなどのデータ解析が容易になる。また、第2画像は、第2撮像部12の振れを補正することができるので、安定した計測処理を行うことができる。
【0046】
<変形例>
図6は、本実施の形態の変形例に係る計測装置2の全体構成を示す図である。この計測装置2は、計測装置1の撮像制御部20を削除するとともに、制御部17に動画処理部24と停止動作抽出部25とを新たに設けており、その他の構成は計測装置1と同じ構成である。
【0047】
第1撮像部11及び第2撮像部12は、それぞれ連続撮像を行う。この連続撮像は動画撮影であるが、所定周期の静止画像の連写を含む意味である。動画処理部24は、第1撮像部11が連続撮像した第1動画及び第2撮像部12が連続撮像した第2動画である動画DCを記憶部16に記憶するとともに、後処理として動画DCの再生を行う。停止動作抽出部25は、動画撮影時(リアルタイム計測処理時)または動画DCの再生時(オフライン計測処理時)、第2動画から、ハンガー装置3が停止する停止動作タイミングを抽出する。この停止動作タイミングは、計測装置1における停止トリガー信号S2の生成タイミングと同じである。そして、停止動作タイミングに対応した第1画像及び第2画像を用いて計測装置1と同様に、ハンガー装置3の識別情報を取得するとともにずれ量の計測を行い、識別情報とずれ量とを対応付けて記憶する。
【0048】
停止動作タイミングは、例えば、第2動画内の撮像画像(第2画像)と停止動作を示す停止動作マスタ画像とを比較し、停止動作マスタ画像に類似する第2画像(類似画像)を検出した時点である。また、再生動画を参照し、ハンガー装置3が一定時間停止になった時点である。あるいは、再生動画を参照し、ハンガー装置3が停止した際にハンガー装置3の停止をロックするエアシリンダが伸長した時点から一定時間経過した時点である。なお、停止動作タイミングの抽出は、リアルタイム計測処理であってもよいし、動画撮影後におけるオフライン計測処理であってもよい。
【0049】
なお、第1動画及び第2動画の動画撮影後にオフライン計測処理を行う場合、計測装置1と同様にして生成した停止トリガー信号S2の時点を第1動画及び第2動画にそれぞれ埋め込んでおくようにしてもよい。この場合、停止動作タイミングの抽出処理は、埋め込まれた停止トリガー信号S2の抽出となる。
【0050】
<計測処理フロー>
図7は、計測装置2による計測処理フローの概要を説明する図である。
図7に示すように、第1撮像部11は第1動画を動画撮影し、第2撮像部12は第2動画を動画撮影する。そして、停止動作抽出部25は、第2動画から停止動作タイミングを抽出し、この停止動作タイミングの第2画像を抽出するとともに、第1動画から同じ停止動作タイミングの第1画像を抽出する。この抽出された第1画像及び第2画像は、計測装置1と同様に処理され、ハンガー装置3の識別情報を取得するとともにずれ量の計測を行い、識別情報とずれ量とを対応付けて記憶する。
【0051】
<計測処理手順>
図8は、計測装置2による計測処理手順を示すフローチャートである。なお、
図8に示す計測処理手順は、オフライン計測処理の手順である。なお、計測装置2は、事前に第1動画及び第2動画を動画撮影済みである。
図8に示すように、動画処理部24は、第2動画を再生する(ステップS201)。そして、停止動作抽出部25により、第2動画から停止動作が検出されたか否かを判定する(ステップS202)。第2動画から停止動作が検出されない場合(ステップS202:No)、ステップS201に移行して第2動画の再生を続ける。一方、第2動画から停止動作が検出された場合(ステップS202:Yes)、第2動画の再生を停止する(ステップS203)。
【0052】
その後、停止動作抽出部25は、第2動画から、停止動作タイミングの画像を第2画像として抽出する(ステップS204)。さらに、第1動画における同じ停止動作タイミングの画像を第1画像として抽出する(ステップS205)。
【0053】
その後、識別情報取得処理部21は、第1画像から識別情報を取得する(ステップS206)。さらに、配置状態計測処理部22は、第2画像からアタッチメント6のずれ量を計測する(ステップS207)。
【0054】
その後、管理部23は、取得した識別情報と計測したずれ量とを対応付け、結果データDとして記憶部16に出力する(ステップS208)。その後、計測終了か否かを判定し(ステップS209)、計測終了でない場合(ステップS209:No)には、第2動画の再生を再開し(ステップS210)、ステップS202に移行して上記の処理を繰り返し、計測終了である場合(ステップS209:Yes)には、本処理を終了する。
【0055】
なお、上記の変形例におけるオフライン計測処理では、停止動作を自動抽出していたが、これに限らず、作業者が第1動画及び第2動画を再生し、第2動画の再生動画の目視によりハンガー装置3の停止動作を判定するようにしてもよい。
【0056】
本変形例では、信号変換機能を有する撮像制御部20の構成が不要となり、さらに簡易な構成とすることができる。
【0057】
なお、上記の実施の形態及び変形例では、非稼働時の計測を前提として説明したが、稼働時においても計測可能である。特に、新車種の搬送システムを構築する場合、アタッチメント6の位置ずれ量、すなわち位置のバラツキをもとにアタッチメント6の寸法改良を迅速に行うことができる。
【0058】
また、上記の実施の形態及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の計測装置、計測方法及び計測プログラムは、ハンガー装置を用いた搬送システムにおけるハンガー装置の配置状態を迅速かつ簡易に自動計測する場合に有用である。
【符号の説明】
【0060】
1,2 計測装置
3 ハンガー装置
4 案内レール
5 支持部
6 アタッチメント
7 識別部
8 図形化コード
11 第1撮像部
12 第2撮像部
13 計測処理管理部
14 入力部
15 表示部
16 記憶部
17 制御部
20 撮像制御部
21 識別情報取得処理部
22 配置状態計測処理部
23 管理部
24 動画処理部
25 停止動作抽出部
30 基準物
101 搬送システム
110 制御装置
A 方向
D 結果データ
D1,D10 第2画像
DC 動画
E1 領域
MD マスタ画像
MD10 補正用マスタ画像
S1 制御側停止トリガー信号
S2 停止トリガー信号
W ずれ量