(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025039074
(43)【公開日】2025-03-21
(54)【発明の名称】荷車
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20250313BHJP
【FI】
B65G1/137 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145864
(22)【出願日】2023-09-08
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀幹
(72)【発明者】
【氏名】飯田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 滉也
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522AA04
3F522BB29
3F522BB33
3F522CC01
3F522DD04
3F522DD09
3F522DD23
3F522DD32
3F522FF05
3F522FF27
3F522GG18
3F522GG44
3F522GG45
3F522HH02
3F522HH13
3F522HH35
3F522JJ02
3F522LL22
3F522LL41
(57)【要約】
【課題】 狭い空間におけるピッキング作業を実現する。
【解決手段】 物品を収納する容器Cを載置する載置部10を複数備える荷車1であって、複数の載置部は、それぞれ進行方向前後に傾斜しており、複数の載置部の少なくとも一部は、進行方向の前後端がその高さ方向において互いに重複している、ことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する容器を載置する載置部を複数備える荷車であって、
複数の前記載置部は、それぞれ進行方向前後に傾斜しており、
複数の前記載置部の少なくとも一部は、進行方向の前後端がその高さ方向において互いに重複している、
ことを特徴とする、荷車。
【請求項2】
複数の前記載置部のうち少なくとも2個は上下方向に隣接しており、当該隣接する2個の前記載置部は傾斜方向が互いに異なっている、
請求項1記載の荷車。
【請求項3】
前記載置部は、上段載置部、中段載置部および下段載置部が、上段から下方に向かってこの順に配設されていて、
前記上段載置部は、前記中段載置部および前記下段載置部と進行方向の前後端がその高さ方向において重複している、
請求項1記載の荷車。
【請求項4】
前記中段載置部は、前記下段載置部に載置される前記容器の上端よりも低い位置に配設されている、
請求項3記載の荷車。
【請求項5】
車輪と、
前記車輪と連結される基枠と、
前記基枠から高さ方向に立設した複数の支柱と、
前記支柱の上端から進行方向前方に向かうに従い下方へ傾斜して前記基枠と接続する側枠と、
をさらに備える、請求項1記載の荷車。
【請求項6】
複数の前記載置部は、各前記載置部に載置される容器を互いに独立して計量する計量部を備える、
請求項1記載の荷車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷車に関する。
【背景技術】
【0002】
棚等からピッキングした商品を収容する荷車が知られている。小型の物流倉庫やスーパーマーケットの陳列棚等、狭い空間において荷車を走行させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、小型の荷車を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る荷車は、物品を収納する容器を載置する載置部を複数備える荷車であって、複数の前記載置部は、それぞれ進行方向前後に傾斜しており、複数の前記載置部の少なくとも一部は、進行方向の前後端がその高さ方向において互いに重複している、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る荷車の様子を示す、正面側から見た概略斜視図である。
【
図2】上記荷車の背面側から見た概略斜視図である。
【
図9】上記荷車にコンテナを載置した様子を示す概略右側面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る荷車の様子を示す、正面側から見た概略斜視図である。
【
図12】上記荷車にコンテナを載置した様子を示す概略左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る荷車1(以下、「荷車1」ともいう。)について、図を参照して説明する。なお、以降の説明において、荷車1の進行方向を+Y方向、荷車1の幅方向であって進行方向に直交する方向を+X方向、鉛直方向を+Z方向とする。なお、進行方向は一般的な方向を示しているに過ぎず、荷車1は進行方向とは逆向きに移動させることもできる。
【0008】
●荷車およびピッキングシステムの概要
図1乃至
図4に示されるように、荷車1は、倉庫やスーパーマーケット等においてピッキング作業により採集される商品を収容し、搬送する装置である。荷車1は、自身に搭載される制御部又は上位の管理装置等により制御されている。制御部は、例えば表示部50に一体的に配設されているがこの構成には限られず、表示部50とは独立して構成されていてもよい。表示部50は、各荷車に収容すべき商品を示す情報、すなわちピッキング作業の指示情報を、作業者に伝達する。荷車1は、電気的な駆動部を有し自律的に走行する自律走行荷車であってもよいし、作業者が手動で移動させる手動荷車であってもよい。
【0009】
荷車1は、物品を収容する容器を載置する載置部10を複数有する。本実施形態においては、載置部10は3個であるが、個数は任意である。本実施形態においては、載置部10は上段載置部11、中段載置部12、および下段載置部13から構成されており、上段から下方に向かってこの順に配設されている。
【0010】
それぞれの載置部10は互いに独立して計量可能な計量部を備えている。載置部10の上面は平板状になっており、それぞれに容器C(
図9参照)が載置される。容器Cは、例えば、各面が複数の細長い平板と蝶番とが連結されて構成される、折り畳み可能なコンテナ、所謂折り畳みコンテナである。容器Cは、上方が開口した箱状の部材であり、容器Cの内部にピッキングされた商品が収容される。また、容器Cは幅方向よりも進行方向に長い略直方体状の箱型である。容器Cを進行方向に長い向きに載置できる構成によれば、荷車1の幅方向の大きさを小型にすることができる。したがって、通路の狭い空間でのピッキング作業が可能である。
【0011】
また、容器Cは蓋を有していてもよい。蓋は例えば、進行方向に沿う上端辺に、対をなして連結され、観音開きに開閉可能になっていてもよい。容器を幅方向に長い向きに載置する構成の場合、このような蓋を開閉する際には、作業者は進行方向前側又は後側から作業するにあたり、蓋を手前から奥に向かって開いたり、奥側に折り込まれた蓋を手前に閉じたりする動作が必要になる。これに対し、容器Cを進行方向に長い向きに載置できる構成によれば、進行方向に沿う端辺に蓋が連結される容器Cを載置した場合にも、作業者は蓋を左右に向かって回動することで開閉が可能となるため、蓋を容易に開閉することができる。なお、載置される容器Cの蓋の態様は任意である。
【0012】
なお、載置部10の少なくとも容器Cと当接する板状部材は、脱着可能となっていてもよい。この場合、別の形状の部材を配設可能としてもよい。例えば、下段載置部13の板状部材を変更し、容器C3を幅方向に長い向き、いわゆる横置きできるようになっていてもよい。この構成によれば、容器C3への商品投入が一層容易になる。
【0013】
載置部10は、容器Cに収容された商品を容器Cごと計量する。載置部10は、コンテナの重量をあらかじめ記憶しておき、風袋引き処理をすることで商品自体の重量を計測してもよい。コンテナは、それぞれ異なる仕向地に配送される。各載置部10には、制御部や適宜の制御装置により、それぞれ商品の仕向地が紐づけられていてもよい。
【0014】
載置部10は、地面に対して傾斜して配設されている。本実施形態においては、上段載置部11および下段載置部13は進行方向前側(+y方向)から進行方向後側(-y方向)に向かうにしたがって、高さが低くなるように傾斜している。また、中段載置部12は、進行方向前側(+y方向)から進行方向後側(-y方向)に向かうにしたがって、高さが高くなるように傾斜している。すなわち、載置部10は、荷車1の外側に向かうにつれ高さが下がるようになっている。すなわち、載置部10に載置した容器Cの開口が外に向かって開放されている。したがって、このような構成によれば、作業者は商品を容器Cに投入するのが容易である。
【0015】
また、中段載置部12は、下段載置部13に載置される容器C3(
図9参照)の上端よりも低い位置に配設されている。この構成によれば、各載置部10に配設される容器Cは高さ方向に一部重複することになるため、荷車1の全体の高さを低くすることができる。したがって、例えば女性が多いスーパーマーケットの従業員等であっても容易に扱うことができる。
【0016】
載置部10の四方端部には、上方に向かって突出する突部11a~11d、12a~12d、13a~13dが配設されている。突部11a~11d、12a~12d、13a~13dは、載置部10の進行方向又は幅方向に沿って長尺状に配設されている。このような構成によれば、載置部10が傾斜している構成であっても、容器Cを保持できる。載置部10は進行方向前後に傾斜していることから、傾斜の下端に配設される突部11d、12a、13dは、容器C1、C2、C3をそれぞれ保持する上で特に有用である。また、各突部11a~11d、12a~12d、13a~13dにより容器C1~C3の位置を載置部10の中央に誘導することができるため、本構成によれば、容器C1~C3の正確な計量を担保できる。
【0017】
また、容器C3(
図9参照)を下段載置部13の突部13aに乗り上げるように載置しようとすると、容器C3が中段載置部12の後方端に干渉し、容器C3を安定して載置することができない。すなわち、下段載置部13の後方端に配設される突部13aは、容器C3を下段載置部13に適切に載置するよう案内する。この構成によっても、容器C3を下段載置部13により確実に保持させることができ、安全性が担保できる。
【0018】
また、載置部10は略八角形状であり、進行方向又は幅方向に対して傾斜する端辺は開放されている。したがって、載置部10から容器Cを取り去る場合にも、容器Cに手をかけて容易に持ち上げることができる。
【0019】
図5に示すように、複数の載置部10のうち少なくとも2個は上下方向に隣接しており、当該隣接する2個の載置部10は、傾斜方向が互いに異なっている。その結果、複数の載置部10の傾斜方向が互い違いになっている。複数の載置部10は、それぞれ進行方向前後に傾斜しており、複数の載置部10の少なくとも一部は、進行方向の前後端がその高さ方向において互いに重複している。上段載置部11は、中段載置部12および下段載置部13の上方に配設されており、中段載置部12および下段載置部13と進行方向の前後端がその高さ方向において略半分が重複している。また、中段載置部12の進行方向後端と、下段載置部13の進行方向前端とは、逆さ方向において一部が重複している。このような構成によれば、複数の載置部を並設させる構成と比較して、荷車1の進行方向の長さを短くし、荷車1を小型に構成することができる。
【0020】
なお、上述の説明においては、商品は容器Cに収容され載置部10に載置されるものとしたが、荷車1の適宜の位置にさらに商品を収容できる構成であってもよい。例えば、中段載置部12の下方空間に、ケース商品やトイレットペーパー等の紙類商品を収容してもよい。なおこの場合、載置部10以外に収容される商品については、別途計量を行ってから当該空間に収容する。また、このような商品については、計量処理を省略してもよい。
【0021】
荷車1の上段であって、進行方向後部には、主として、作業者が荷車1を手動で移動させる際に把持するグリップ101、容器Cに貼付するラベルを発行する印字機構部41、表示部50、バーコードを読み取るスキャナ60、物理的なボタン操作部70、収納部80等が配設されている。
【0022】
印字機構部41は、進行方向右側のグリップ101下方に保持され、ラベルロールから引き出されるラベルに印字を行う。印字されたラベルは、荷車1前方(ーy方向)から排出される。なお、コンテナ等当該ラベルの貼付対象物にESL(Electric Shelf Label、電子棚札)を連結する態様の場合には、印字機構部41を有さない構成であってもよい。この場合、ピッキングシステムは、ラベルの発行に代えてESLの表示内容を変更する処理を行う。
【0023】
表示部50は、液晶表示器とタッチパネルが互いに積層された所謂タッチパネルディスプレイとなっており、同一面でデータの表示と入力とができるようになっている。タッチパネルは、操作者の指が触れると、触れた位置を検出し、検出した位置に応じた入力を受け付ける。表示部50は、作業者に対して、ピッキング作業の指示情報又は荷車1の状態等を表示する。表示部50は、報知部の1例である。
【0024】
表示部50は、荷車1の進行方向後方の上部に配置され、表示面は進行方向とは逆向きに配設されている。すなわち、表示部50は、荷車1の進行方向後方にいる作業者から視認可能である。この作業者は、例えば荷車1を押したり、自動走行する荷車1と併走する作業者である。
【0025】
図2および
図5等に示すように、表示部50は、上枠160および支持体161を介して側枠130に連結される。上枠160は、1対の側枠130の上部それぞれに、両端が連結される、逆U字状の部材である。また、支持体161は、上枠160の略中央に、進行方向後方に向かって伸び出る平板状の部材である。表示部50は、支持体161に対してz軸に沿う回転軸50zと、x軸に沿う回転軸50xとをこの順に介して接続される。その結果、表示部50は、上下および左右に回動可能である。表示部50は、例えば上方に向かって回動し、位置50‘の位置に回動可能である。なお、回転軸の接続順は任意である。
【0026】
スキャナ60は、商品、倉庫内の棚、容器C、コンテナ、ラベル等のバーコードを読み取り可能である。スキャナ60は、ワイヤレスのハンディスキャナ61の他、表示部50の下方に固定される固定スキャナ62を含んでいてもよい。固定スキャナ62は、例えば印字機構部41により発行されるラベルを下方にかざすことで、バーコードを読み取ることができる。また、さらに別のワイヤレススキャナを、作業者が個々に所持する態様であってもよく、この場合には、ワイヤレススキャナがBluetooth(登録商標)等適宜の規格により荷車1と接続されることで近距離通信を行い、スキャンデータの受け渡しを行ってもよい。
【0027】
固定スキャナ62は、表示部50と支持体161との連結部分に挟持されるスキャナ支持板162に支持されている。スキャナ支持板162は、クランク状に屈曲する平板状の部材である。スキャナ支持板162は、一端には固定スキャナ62が保持されると共に、他端には回転軸50zを構成する適宜の部材が挿通されている。その結果、固定スキャナ62は、左右に回動可能である。また、スキャナ支持板162は、表示部50と連結していてもよい。この構成によれば、表示部50が左右に回動すると、合わせて固定スキャナ62も左右に回動する。すなわち、固定スキャナ62の読取領域は表示部50に正対する作業者に向かうこととなる。したがって、表示部50に左右回動させた場合にも、固定スキャナ62による読取が容易にできる。
【0028】
グリップ101の近傍には、作業用品を収納する収納部80が配設されている。収納部80は例えば、荷車1の進行方向後方端部であって、対をなすグリップ101の間に配設される。同図においては収納部80は1個であるが、個数は任意である。収納部80は適宜の挿通孔81を備え、適宜の作業用品が挿通できるようになっている。作業用品は、例えばハンディスキャナ61であってもよい。ハンディスキャナ61は、把持部が比較的細く、先端の読取部が比較的太くなっているため、把持部を挿通孔81に挿通することで、読取部が収納部80に係止される。その結果、収納部80にハンディスキャナ61を収納することができる。
【0029】
また、荷車1は、荷車1全体を外側から囲うフレーム100を有している。フレーム100は主として、基枠110と、支柱120と、側枠130と、連結部140と、支持板150と、上枠160と、により構成される。基枠110は、進行方向後方が開放された略U字状の部材であり、荷車1の底部を構成する。基枠110は、地面と略平行である。また、基枠110の底面には複数の車輪72が連結される。複数の車輪72は、荷車1の底面周縁部に配設され、荷車1を支持するとともに、荷車1の移動に伴って回転する。基枠110の両端部は、ロック機構111に連結されている。ロック機構111は、クランク状に屈曲した棒状の部材である。ロック機構111にはペダル112が連結され、作業者がペダル112を踏み込むと、地面にスタンド113が当接するとともに、車輪72の回転が規制されるようになっている。
【0030】
支柱120は、基枠110から高さ方向に立設する棒状の部材である。支柱120は、左右に対をなして配設されている。支柱120の上端は、側枠130に連結されている。支柱120の下部には、各機能部に印加するバッテリ90が積載されている。
【0031】
側枠130は、荷車1の左右の外郭を構成する部材である。側枠130は、左右対称に対をなして配設されている。側枠130の進行方向後方端は、基枠110と略平行であり、支柱120の上端と連結される。側枠130の他端は、支柱120の上端から進行方向前方に向かうに従い下方へ傾斜して、基枠110と接続している。このような構成によれば、
図9に示すように、中段載置部12に載置される容器C2の側壁を、側枠130により保護することができる。また、側枠130の傾斜部分の前端は、R状に屈曲して基枠110と接続される。このような構成によれば、荷車1が人と衝突した場合にも、人への危害を軽減できる。
【0032】
連結部140は、支柱120と側枠130とに連結される棒状の部材である。連結部140は、進行方向前後に、例えば略水平に掛け渡されている。また、連結部140は、左右に対をなして互いに略平行に配設されている。
【0033】
支持板150は、載置部10を支持する部材であり、荷車1の左右に掛け渡されている。支持板150は、載置部10に対応する個数が配設されており、本実施形態においては3個である。支持板150は、上段載置部11を支持する上段支持板151、中段載置部12を支持する中段支持板152、および下段載置部13を支持する下段支持板153を有する。上段支持板151の両端は、左右の側枠130の上部にそれぞれ連結されている。中段支持板152は、両端が左右の連結部140に連結されている。下段支持板153は、基枠110の進行方向下方に連結されている。
【0034】
また、ハンディスキャナ61のホルダ63は、連結部140にかけ渡される中段支持板152上であって、中段載置部12の進行方向後側下方に配設されている。ホルダ63は、バッテリ90と連結され、ホルダ63に保持されるハンディスキャナ61の充電が行える。中段載置部12は進行方向後側の高さが前側よりも高いことから、当該構成によれば、荷車1の大きさを保持したままハンディスキャナ61を合理的に収容できる。また、この構成によれば、基枠110の内側であって中段載置部12の下方に収容されるバッテリ90に近接するため、バッテリ90からホルダ63に印加する導線を短くすることができる。
【0035】
以上の本実施形態に係る荷車によれば、狭い空間でのピッキング作業を実施できる。
【0036】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る荷車2の構成について、
図10乃至
図12を用いて説明する。荷車2は、主として、中段載置部22が接地面と略水平になっている点で第1実施形態と異なる。なお、以降の説明において、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0037】
同図に示すように、荷車2は、載置部10として、上段載置部11、中段載置部22および下段載置部13が上からこの順に配設されている。このような構成によれば、中段載置部12に載せた商品のバランスが一層安定する。また、荷車2の載置部10の形状は略六角形状である。より具体的には、第1実施形態の載置面のうち、進行方向前方又は後方に向く短辺が切断された形状となっている。
【0038】
また、荷車2の進行方向前方であって、中段載置部22の下方には、物置スペース24が配設されている。物置スペース24は、例えば基枠110の屈曲部分に連結された板状の部材である。物置スペース24には、事前に計量した商品や、計量が不要な商品を載置し、運搬できる。なお、物置スペース24は、第1実施形態において設けることも可能である。第2実施形態のように中段載置部22が接地面と略水平である構成によれば、中段載置部12が傾斜している構成に比べて物置スペース24の上方を広く確保でき、より大きな物が載置できるため好適である。物置スペース24に置かれる商品は、例えば本来いずれかの載置部10に載置される商品であるものの、米袋やトイレットペーパー等体積があり追加投入時にかさばるものである。物置スペース24に置かれる商品は、物置スペース24に置かれた旨を個別に入力し、登録する構成であってもよいし、商品の属性として予め設定されていてもよい。
【0039】
すべての商品のピッキングが完了した場合、又は当該商品を入れる客のピッキングが全て完了した場合に、物置スペース24に載置されている商品を対応付けられている載置部10に載せるよう報知してもよい。報知は、表示部への表示、音声、ブザー等の適宜の態様が採用できる。この構成によれば、一時的に物置スペース24に載置した商品についても、ピッキングの間違いを防止することができる。また、登録時に計量チェックせず直接物置スペース24に載せた場合には、ピッキング完了後に計量チェックするようにしてもよい。この場合、ピッキング完了時に、計量を促す報知を行ってもよい。なお、商品登録時に正しい載置部10に乗せて計量チェックしていた場合であっても、その後物置スペース24に移動させてピッキング作業を継続した場合には、ピッキング完了後に、適宜の報知により対応付けられている載置部10への載置を促した上で、適切な載置部10に置かれた商品を再度計量チェックするようにしてもよい。
【0040】
●実施形態総括
本発明は、荷車に関する。
【0041】
棚等からピッキングした商品を収容する荷車が知られている。小型の物流倉庫やスーパーマーケットの陳列棚等、狭い空間において荷車を走行させる必要がある。
【0042】
特許文献として、特開2020-152534号公報が知られている。
【0043】
そこで本発明は、小型の荷車を提供することを目的の一つとする。
【0044】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る荷車は、物品を収納する容器を載置する載置部を複数備える荷車であって、複数の前記載置部は、それぞれ進行方向前後に傾斜しており、複数の前記載置部の少なくとも一部は、進行方向の前後端がその高さ方向において互いに重複している、ことを特徴とする。
【0045】
複数の前記載置部のうち少なくとも2個は上下方向に隣接しており、当該隣接する2個の前記載置部は傾斜方向が互いに異なっているものとしてもよい。
【0046】
前記載置部は、上段載置部、中段載置部および下段載置部が、上段から下方に向かってこの順に配設されていて、前記上段載置部は、前記中段載置部および前記下段載置部と進行方向の前後端がその高さ方向において重複しているものとしてもよい。
【0047】
前記中段載置部は、前記下段載置部に載置される前記容器の上端よりも低い位置に配設されているものとしてもよい。
【0048】
車輪と、前記車輪と連結される基枠と、前記基枠から高さ方向に立設した複数の支柱と、前記支柱の上端から進行方向前方に向かうに従い下方へ傾斜して前記基枠と接続する側枠と、をさらに備えるものとしてもよい。
【0049】
複数の前記載置部は、各前記載置部に載置される容器を互いに独立して計量する計量部を備えるものとしてもよい。
【0050】
本発明に係る荷車によれば、狭い空間でのピッキング作業を実施できる。
【符号の説明】
【0051】
1 荷車
10 載置部
11 上段載置部
12 中段載置部
13 下段載置部
50 表示部
72 車輪
110 基枠
120 支柱
130 側枠