(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025039103
(43)【公開日】2025-03-21
(54)【発明の名称】水栓用カバー、及び、水栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20250313BHJP
【FI】
E03C1/042 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145954
(22)【出願日】2023-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】国枝 秀樹
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA01
2D060BB01
2D060BE20
2D060BF01
(57)【要約】
【課題】収容部にナットを収容する作業をより簡単に行う。
【解決手段】水栓本体を覆う水栓用カバーは、水栓用カバーに他の部材を取り付けるためのナット14を収容する収容部45を有している。収容部45は、ナット14の径方向の周囲を囲む周壁46と、ナット14の軸方向の端部を囲む端部壁47とを有し、周壁46は、収容部45内にナット14を挿入するための開口部を有している。収容部45は、開口部から延びて、開口部にナット14を案内するリブ壁(ガイド部)を有している。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体を覆う水栓用カバーであって、
当該水栓用カバーに他の部材を取り付けるためのナットを収容する収容部を有しており、
前記収容部は、前記ナットの径方向の周囲を囲む周壁と、前記ナットの軸方向の端部を囲む端部壁とを有し、
前記周壁は、前記収容部内に前記ナットを挿入するための開口部を有しており、
前記収容部は、前記開口部から延びて、前記開口部に前記ナットを案内するガイド部を有していることを特徴とする水栓用カバー。
【請求項2】
前記ガイド部は、リブ壁である請求項1に記載の水栓用カバー。
【請求項3】
前記収容部を複数有しており、
複数の前記収容部が有する複数の前記開口部は、互いに同じ向きに設けられており、
複数の前記収容部が有する複数の前記ガイド部は、互いに平行に延びている請求項1に記載の水栓用カバー。
【請求項4】
前記他の部材として、第1部材と第2部材が取り付けられ、
前記第1部材を取り付けるための前記収容部として第1収容部を有するとともに、前記第2部材を取り付けるための前記収容部として第2収容部を有しており、
前記第1収容部は、前記開口部として第1開口部を有するとともに、前記ガイド部として第1ガイド部を有しており、
前記第2収容部は、前記開口部として第2開口部を有するとともに、前記ガイド部として第2ガイド部を有しており、
前記第1収容部と、前記第2収容部をそれぞれ複数有しており、
複数の前記第1開口部は、互いに同じ向きに設けられ、複数の前記第2開口部は、互いに同じ向きであって前記第1開口部とは異なる向きに設けられ、
複数の第1ガイド部は、互いに平行に延びているとともに、複数の第2ガイド部は、互いに平行であって、前記第1ガイド部とは異なる方向に延びている請求項1に記載の水栓用カバー。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記開口部において、前記ナットの径方向における両側に設けられている請求項1に記載の水栓用カバー。
【請求項6】
水栓本体と、当該水栓本体を覆う請求項1~5のいずれか一項に記載の水栓用カバーとを備える水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓用カバー、及び、水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、カバー付き水栓について記載している。
図19に示すように、カバー付き水栓100は、水栓本体101と、水栓本体101を覆うカバーを有している。カバーは、水栓本体101の上部を覆う上カバー102と、水栓本体101の下部を覆う下カバー103と、上カバー102と壁との隙間を隠蔽する隙間カバー104とを有している。
【0003】
上カバー102は、側面の内側に四角筒状の筒形状部105を有している。
筒形状部105は、上壁部105aと、下壁部105bと、一対の側壁部105cとを有しており、内部にナット(図示省略)が挿入される。筒形状部105は、下壁部105bに挿通孔106を有している。
【0004】
隙間カバー104は、板状の被固定部104aを有している。被固定部104aは、長穴状の挿通部104bを有している。この挿通部104bに下側からネジ(図示省略)を挿通して、上カバー102の筒形状部105の挿通孔106に挿通させる。さらに、ネジを筒形状部105内のナットに螺合させることによって、上カバー102に隙間カバー104を取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のカバー付き水栓100は、上カバー102に隙間カバー104を取り付ける際に、予め、収容部としての筒形状部105にナットを収容しておく必要がある。しかし、筒形状部105にナットを収容する作業に手間がかかるという課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
態様1の水栓用カバーは、水栓本体を覆う水栓用カバーであって、当該水栓用カバーに他の部材を取り付けるためのナットを収容する収容部を有しており、前記収容部は、前記ナットの径方向の周囲を囲む周壁と、前記ナットの軸方向の端部を囲む端部壁とを有し、前記周壁は、前記収容部内に前記ナットを挿入するための開口部を有しており、前記収容部は、前記開口部から延びて、前記開口部に前記ナットを案内するガイド部を有している。
【0008】
この構成によれば、収容部が、開口部にナットを案内するガイド部を有していることによって、開口部にナットを挿入しやすくなる。したがって、収容部にナットを収容する作業をより簡単に行うことができる。
【0009】
態様2は、態様1の水栓用カバーにおいて、前記ガイド部は、リブ壁である。この構成によれば、リブ壁を利用して、開口部にナットを挿入することができる。
態様3は、態様1又は態様2の水栓用カバーにおいて、前記収容部を複数有しており、複数の前記収容部が有する複数の前記開口部は、互いに同じ向きに設けられており、複数の前記収容部が有する複数の前記ガイド部は、互いに平行に延びている。この構成によれば、複数の開口部にナットを挿入する際に、複数のガイド部に当接させながらナットを同じ方向に移動させて挿入することができる。同じ方向にナットを移動させることによって、複数の収容部にナットを収容する作業の効率を向上させて、作業をより簡単に行うことができる。
【0010】
態様4は、態様1~態様3のいずれか一態様に記載の水栓用カバーにおいて、前記他の部材として、第1部材と第2部材が取り付けられ、前記第1部材を取り付けるための前記収容部として第1収容部を有するとともに、前記第2部材を取り付けるための前記収容部として第2収容部を有しており、前記第1収容部は、前記開口部として第1開口部を有するとともに、前記ガイド部として第1ガイド部を有しており、前記第2収容部は、前記開口部として第2開口部を有するとともに、前記ガイド部として第2ガイド部を有しており、前記第1収容部と、前記第2収容部をそれぞれ複数有しており、複数の前記第1開口部は、互いに同じ向きに設けられ、複数の前記第2開口部は、互いに同じ向きであって前記第1開口部とは異なる向きに設けられ、複数の第1ガイド部は、互いに平行に延びているとともに、複数の第2ガイド部は、互いに平行であって、前記第1ガイド部とは異なる方向に延びている。
【0011】
この構成によれば、複数の第1開口部と複数の第2開口部が異なる向きに設けられていることによって、第1収容部にナットを収容する作業と、第2収容部にナットを収容する作業を間違えにくくなる。そのため、第1収容部にナットを収容する作業と、第2収容部にナットを収容する作業をそれぞれ、より簡単に行うことができる。
【0012】
態様5は、態様1~態様4のいずれか一態様に記載の水栓用カバーにおいて、前記ガイド部は、前記開口部において、前記ナットの径方向における両側に設けられている。この構成によれば、ガイド部でより確実にナットを開口部に案内することができる。
【0013】
態様6は、水栓本体と、当該水栓本体を覆う態様1~態様5のいずれか一態様に記載の水栓用カバーとを備える水栓である。この構成によれば、上記水栓用カバーの効果を奏する水栓を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水栓用カバーによれば、収容部にナットを収容する作業をより簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】
図3は水栓本体に固定した本体ステーを、壁面固定ステーから取り外した状態の斜視図である。
【
図4】
図4は水栓本体に固定した本体ステーを、壁面固定ステーから取り外した状態の別角度の斜視図である。
【
図5】
図5は水栓本体に固定した本体ステーを、壁面固定ステーから取り外した状態のさらに別角度の斜視図である。
【
図6】
図6は水栓本体から本体ステーを取り外した状態の分解斜視図である。
【
図7】
図7はトップカバーと、トップカバー用ステーと、ロック部材の斜視図である。
【
図8】
図8はトップカバーと、トップカバー用ステーと、ロック部材の分解斜視図である。
【
図11】
図11はトップカバーの収容部のガイド部にナットを配置した状態の斜視図である。
【
図14】
図14はロック部材とボタンカバーの分解斜視図である。
【
図15】
図15はロック状態におけるロック部材とボタンカバーの平面図である。
【
図16】
図16はロック解除状態におけるロック部材とボタンカバーの平面図である。
【
図17】
図17はロック状態におけるボタンカバーの側面図である。
【
図18】
図18はボタン押下時のロック状態におけるボタンカバーの側面図である。
【
図19】
図19は従来技術のカバー付き水栓の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
水栓用カバーの実施形態を説明する。
図1に示すように、水栓10は、浴室の壁面Wに設置されている。以下では、壁面W側に向かって水栓10を見た場合における上下方向、左右方向、及び前後方向をそれぞれ、水栓10の上下方向、左右方向、及び前後方向として説明する。壁面Wに対して手前側を前後方向の前方とし、奥側を前後方向の後方とする。
【0017】
図1、2に示すように、水栓10は、水栓ボデー11を備える水栓本体20と、水栓本体20の上部を覆うトップカバー40と、水栓本体20の前方と左右両側を覆うフロントカバー50と、水栓本体の下部を覆うアンダーカバー55とを有する。
【0018】
図2、3に示すように、水栓10は、壁面Wに取り付けられた壁面固定ステー60と、同じく壁面Wに取り付けられたフロントカバー係合部材12とを有する。
図4に示すように、水栓本体20は、水栓ボデー11に接続された本体ステー80を有する。本体ステー80は、壁面固定ステー60に接続されている。本体ステー80が壁面固定ステー60に接続されていることによって、水栓本体20は壁面Wに固定されている。
【0019】
図3に示すように、壁面Wには、貫通孔(図示省略)が一対設けられており、これらの貫通孔に壁面Wの裏側に位置する給水管K1と、給湯管K2が挿通されている。
図5に示すように、水栓本体20は、水栓ボデー11に取り付けられた一対のソケット21を有する。これら一対のソケット21を介して、水栓ボデー11は給水管K1と給湯管K2に接続されている。
【0020】
図3~5に示すように、水栓本体は20、カラン用の吐水管22を有する。また、水栓本体20は、シャワー用のホース13(
図1参照)が接続されるホース用配管23(
図5参照)を有する。
【0021】
また、水栓本体20は、温度調節ハンドル24、流量調節ハンドル25、カラン用の吐止水切替ボタン(以下、「カラン用ボタン26」ともいう。)、及び、シャワー用の吐止水切替ボタン(以下、「シャワー用ボタン27」ともいう。)を有する。温度調節ハンドル24は、回動させることによって、水栓本体20から吐出される混合水の温度を調節するハンドルである。流量調節ハンドル25は、回動させることによって、吐水管22及びホース13からの吐水の流量を調節するハンドルである。カラン用ボタン26は、当該ボタンを押し下げる操作を行うことによって、吐水管22からの吐止水を切り換えるボタンである。シャワー用ボタン27は、当該ボタンを押し下げる操作を行うことによって、シャワー用のホース13からの吐止水を切り換えるボタンである。カラン用ボタン26やシャワー用ボタン27の操作機構は、一般に、スラストロック機構やノック式機構と呼ばれる。
【0022】
図2に示すように、水栓本体20は、ロック部材30を有している。ロック部材30を操作することによって、カラン用ボタン26とシャワー用ボタン27の操作を規制することができる。
【0023】
以下、水栓10を構成する各部材について説明する。なお、以下の説明において、各部材の向きは、水栓10を構成するように各部材を組み付けた状態での向きを意味する。
<水栓本体>
(水栓ボデー)
図3~6に示すように、水栓本体20は、左右方向に延びる筒状の水栓ボデー11を有する。水栓ボデー11の内部に、弁部材(図示省略)が収容されている。水栓ボデー11の上端部に、左右方向に沿って左側から、温度調節ハンドル24、流量調節ハンドル25、カラン用ボタン26、及び、シャワー用ボタン27がこの順番で接続されている。
【0024】
図5に示すように、水栓ボデー11の後端部に一対のソケット21が接続されている。一対のソケット21は、止水栓21aを有している。一対のソケット21は、前方の端部が袋ナット21bとグラン(図示省略)を用いて水栓ボデー11に接続されている。また、一対のソケット21は、後方の端部が袋ナット21bとグラン21cを用いて、給水管K1と給湯管K2に接続されている。
【0025】
図5に示すように、水栓ボデー11は、左右方向の中央部における下端部に、吐水管22が接続されている。また、水栓ボデー11は、左右方向の中央部よりも右側における後端部に、ホース用配管23が接続されている。
【0026】
水栓ボデー11は、左右方向の中央部における後端部に、本体ステー80を接続するためのネジ孔(図示省略)を2つ有している。これらのネジ孔は、左右方向に並んでいる。
水栓ボデー11の材質は特に制限されないが、金属製であることが好ましい。
【0027】
(本体ステー)
図6に示すように、水栓本体20は、水栓ボデー11に接続された本体ステー80を有する。本体ステー80は、前後方向と左右方向に沿う板面を有する長尺板状の横壁81を有する。横壁81は、長手方向の両端部に、前後方向の寸法が大きくなるように後方に延在する一対の延在部82を有する。
【0028】
図2、6に示すように、横壁81は、長手方向の中央部に、ホース用配管固定ステー70を取り付けるためのネジ孔81aを有する。このネジ孔81aは、左右方向に沿って一対設けられている。
【0029】
横壁81は、延在部82における左右方向の両外側の位置に、フロントカバー50を取り付けるためのネジ孔82aを有している。また、このネジ孔82aよりも左右方向の内側の位置に、トップカバー用ステー90を取り付けるためのネジ孔82bを有している。このネジ孔82bは、前後方向に沿って2つ設けられており、これら2つのネジ孔82bを一組として、左右両側に一対設けられている。また、延在部82におけるネジ孔82bよりも左右方向の内側の位置に、壁面固定ステー60を取り付けるためのネジ孔82cを有している。このネジ孔82cは、前後方向に沿って2つ設けられており、これら2つのネジ孔82cを一組として、左右方向に一対設けられている。
【0030】
図6に示すように、本体ステー80は、横壁81の長手方向の両端部よりも若干内側の位置であって、横壁81の前方側の端部から横壁81の厚さ方向に沿って下方に延びる一対の外側縦壁83を有する。本体ステー80は、外側縦壁83の下端部に、後方に屈曲する一対の後方屈曲壁84を有する。後方屈曲壁84は、アンダーカバー55を取り付けるためのネジ孔84aを有している。
【0031】
図6に示すように、本体ステー80は、横壁81の長手方向の中央部に、横壁81の前方側の端部から横壁の厚さ方向に沿って下方に延びる内側縦壁85を有する。本体ステー80は、内側縦壁85の下端部に、前方に屈曲する一対の前方屈曲壁86を有する。
【0032】
図6に示すように、内側縦壁85は、水栓ボデー11を取り付けるためのネジを挿通する挿通孔85aを2つ有している。前方屈曲壁86は、アンダーカバー55を取り付けるためのネジ孔86aを有している。なお、挿通孔85aは、ネジの柱状部が螺合することなく挿通する孔を意味するものとする。以下も同様。
【0033】
(ホース用配管固定ステー)
図6に示すように、水栓本体20は、本体ステー80に接続されたホース用配管固定ステー70を有する。
【0034】
ホース用配管固定ステー70は、前後方向と左右方向に沿う板面を有する横壁71を有する。ホース用配管固定ステー70は、横壁71の後方側の端部から横壁71の厚さ方向に沿って下方に延びる縦壁72と、縦壁72の下端部に、後方に屈曲する屈曲壁73を有する。
【0035】
横壁71は、ホース用配管固定ステー70を本体ステー80に取り付けるための挿通孔71aを有する。また、屈曲壁73は、ホース用配管23を挿通させるための貫通孔73aを有する。
【0036】
図4に示すように、貫通孔73aをホース用配管23が挿通した状態で、ホース用配管23に設けたフランジ23aとナット23bでホース用配管固定ステー70の屈曲壁73は上下から挟持されている。これによって、ホース用配管23はホース用配管固定ステー70に固定される。
【0037】
(トップカバー用ステー)
図2に示すように、水栓本体20は、本体ステー80に接続されたトップカバー用ステー90を有する。トップカバー用ステー90は、前後方向と左右方向に沿う板面を有する長尺板状の横壁91を有する。トップカバー用ステー90は、横壁91の長手方向の両端部に、横壁91の厚さ方向に沿って下方に延びる一対の縦壁92を有する。トップカバー用ステー90は、縦壁92の下端部に、左右方向の両外側に屈曲する一対の屈曲壁93を有する。
【0038】
横壁91は、トップカバー40にトップカバー用ステー90を取り付ける際にネジを挿通させる挿通孔91aを3つ有している。また、屈曲壁93は、本体ステー80にトップカバー用ステー90を取り付ける際にネジを挿通させる挿通孔93aを有している。この挿通孔93aは、一対の屈曲壁93のそれぞれに、前後方向に沿って2つ設けられている。
【0039】
上記本体ステー80、ホース用配管固定ステー70、トップカバー用ステー90、及び、後述の壁面固定ステー60の材質は、特に制限されないが、ステンレス等の金属製であることが好ましい。
【0040】
(ロック部材)
図2に示すように、水栓本体20は、カラン用ボタン26、及び、シャワー用ボタン27の操作を規制するロック部材30を有する。ロック部材30は、トップカバー40に取り付けられている。
【0041】
ロック部材30は、左右方向に長い矩形板状に構成されている。ロック部材30は、左右方向に沿って並んだ貫通孔31を2つ有している。
図14に示すように、貫通孔31は、略円形状の外形を有している。貫通孔31は、後述するカラン用ボタン26とシャワー用ボタン27のボタンカバー28を挿通できる大きさを有している。
【0042】
図15に示すように、貫通孔31は、カラン用ボタン26とシャワー用ボタン27のボタンカバー28を挿通させた状態で、ロック部材30を左右方向に移動させることができるように、前後方向よりも左右方向の方が若干大きく構成されている。
【0043】
また、貫通孔31は、左右方向の中央部に、前後方向の両外側に窪んだ凹部32を有する。
図15に示すように、ロック部材30を平面視した際に、凹部32は、略矩形状となるように前後方向の両外側に窪んでいる。また、凹部32の左方側の端部における下端部に、前後方向の内側に突出する段差部33を有している。
【0044】
ロック部材30は、貫通孔31を囲む矩形板状の四隅の位置に、ロック部材30をトップカバー40に取り付ける際にネジを挿通させる挿通孔30aを有している。挿通孔30aは、左右方向に長い長孔状に構成されている。
【0045】
図14に示すように、ロック部材30は、左右方向の中央部に、下方に延びるレバー34を有する。このレバー34は、ロック部材30を左右方向に移動させる際に使用する。ロック部材30によるロック機構については後述する。
【0046】
ロック部材30の材質は特に制限されないが、樹脂製であると、水栓10を軽量化することができるため好ましい。
<壁面固定ステー>
図2、3に示すように、水栓10は、壁面Wに取り付けられた壁面固定ステー60を有する。壁面固定ステー60は、上下方向と左右方向に沿う板面を有する長尺板状の縦壁64を有する。縦壁64は、長手方向が左右方向に沿っており、長手方向の中央部を挟んだ両外側に一対の貫通孔64aを有する。
【0047】
図4に示すように、縦壁64は、一対の貫通孔64aよりも長手方向の両外側に、壁面固定ステー60を壁面Wに取り付けるための挿通孔64bを4つ有している。
壁面固定ステー60は、縦壁64の長手方向の両端部において、縦壁64の上下方向の中央部よりも上方の位置に、縦壁64の厚さ方向に沿って前方に屈曲する一対の屈曲壁(以下、「第1屈曲壁61」ともいう。)を有する。また、壁面固定ステー60は、縦壁64の長手方向の両端部において、第1屈曲壁61よりも下方の位置に、縦壁64の厚さ方向に沿って前方に屈曲する一対の屈曲壁(以下、「第2屈曲壁62」ともいう。)を有する。第2屈曲壁62は、第1屈曲壁61よりも前方に長く延びている。
【0048】
壁面固定ステー60は、第2屈曲壁62の上端部から、左右方向の内側に屈曲する一対の屈曲壁(以下、「第3屈曲壁63」ともいう。)を有する。第3屈曲壁63は、壁面固定ステー60に本体ステー80を取り付ける際にネジ15(
図3参照)を挿通させる挿通孔63aを有している。挿通孔63aは、前後方向に長い長孔状となっており、前後方向に沿って2つ設けられている。
【0049】
図3に示すように、第1屈曲壁61と第2屈曲壁62の間には、切欠65が形成されている。この切欠65は、第1屈曲壁61と第2屈曲壁62の間を前後方向に延びているとともに、縦壁64の長手方向の両端部に達しており、縦壁64の長手方向の中央部に向かって延びている。
【0050】
<フロントカバー係合部材>
図2に示すように、水栓10は、壁面Wに取り付けられたフロントカバー係合部材12を有する。フロントカバー係合部材12は、壁面Wに沿う板面を有する長尺板状の横壁12aを有する。また、フロントカバー係合部材12は、横壁12aの長手方向における両端部から、下方に延びる一対の縦壁12bを有する。
【0051】
フロントカバー係合部材12は、横壁12aにおける長手方向の中央部と両端部の下方側、及び、縦壁12bにおける下端部の左右方向の内側に壁面Wに取り付けるための挿通孔(図示省略)を有する。
【0052】
図2に示すように、フロントカバー係合部材12は、横壁12aと一対の縦壁12bとによって、下方側が開放されたコの字状の周縁を有している。
後述するフロントカバー50が本体ステー80に取り付けられた際に、フロントカバー50の後端部が、フロントカバー係合部材12のコの字状の周縁に係合することによって、フロントカバー50の後端部と壁面Wとの隙間を塞ぐことができる。
【0053】
<トップカバー>
図2に示すように、水栓10は、トップカバー用ステー90に接続されたトップカバー40を有する。トップカバー40は、左右方向に長い矩形板状の天壁41を有する。トップカバー40は、天壁41の各辺から天壁41の厚さ方向に沿って下方に延びる垂下壁42を有する。天壁41の前端部、後端部、右端部、及び左端部から延びる各垂下壁をそれぞれ、前垂下壁42a、後垂下壁42b、右垂下壁42c、及び左垂下壁42dと呼ぶ。
【0054】
天壁41は、左右方向にそって貫通孔43を4つ有している。これらの貫通孔43は、温度調節ハンドル24、流量調節ハンドル25、カラン用ボタン26、及び、シャワー用ボタン27を挿通させるために用いられる。
【0055】
図7、8に示すように、トップカバー40は、天壁41の裏面に、ナット14(
図11参照)を収容する複数の収容部45を有する。収容部45に収容されたナット14にネジを螺合させることによって、トップカバー40にトップカバー用ステー90やロック部材30が取り付けられる。ナット14は、ナット14の軸方向から見て外形が六角形である、いわゆる六角ナットである。収容部45の詳細については後述する。
【0056】
<フロントカバー>
図2に示すように、水栓10は、本体ステー80に接続されたフロントカバー50を有する。フロントカバー50は、左右方向に長い矩形板状の前壁51を有する。フロントカバー50は、前壁51の左右両端部から後方に延びる側壁52を有する。フロントカバー50は、側壁52の後端部における上端部同士をつなぐ接続壁53を有する。
【0057】
フロントカバー50は、側壁52の内側から、さらに内側に突出する水平壁54を有する。水平壁54は、フロントカバー50を本体ステー80に取り付けるためのネジを挿通させる挿通孔54aを有している。
【0058】
フロントカバー50の前壁51は、左右方向の右側における上端部に、下方に向かって切りかかれた切欠51aを有する。この切欠51aは、フロントカバー50の内側から外側に向かってロック部材30のレバー34を挿通させるために用いられる。切欠51aをレバー34が挿通することによって、フロントカバー50の前側からレバー34を操作することが可能になる。
【0059】
<アンダーカバー>
図2に示すように、水栓10は、本体ステー80に接続されたアンダーカバー55を有する。アンダーカバー55は、左右方向に長い矩形板状の底壁56を有する。アンダーカバー55は、左右方向の中央部における前方側に切欠57を有する。この切欠57は、水栓本体20の吐水管22を挿通させるために用いられる。
【0060】
アンダーカバー55は、前後方向の後方側に、左右方向に並んだ3つの貫通孔56aを有する。3つの貫通孔56aのうち左右両側の2つの貫通孔56aは、ソケット21の止水栓21a(
図5参照)を露出させるために用いられる。3つの貫通孔56aのうち中央の貫通孔56aは、ホース用配管23(
図4参照)を挿通させるために用いられる。
【0061】
アンダーカバー55は、切欠57を挟んだ左右両側に、一対の挿通孔56bを有する。また、3つの貫通孔56aを挟んだ左右両側にも、一対の挿通孔56bを有する。これらの挿通孔56bは、前後方向に長い長孔状になっており、アンダーカバー55を本体ステー80に取り付ける際にネジを挿通させるために用いられる。
【0062】
以上の各部材によって水栓10は構成されている。各部材を組み付ける手順は特に制限されない。各部材を組み合わせたうえで、各部材のネジ孔にネジを螺合させることによって各部材を組み付けることができる。もしくは、各部材の挿通孔にネジを挿通させたうえで、他の部材のネジ孔にネジを螺合させることによって各部材を組み付けることができる。
【0063】
上記水栓用カバーとしてのトップカバー40、フロントカバー50、及び、アンダーカバー55の材質は特に制限されないが、樹脂製であると、水栓10を軽量化することができるため好ましい。
【0064】
<トップカバーの収容部>
図9、10に示すように、トップカバー40は、天壁41の裏面に複数の収容部45を有する。収容部45は、トップカバー40にトップカバー用ステー90(第1部材ともいう。)を取り付ける際に使用する第1収容部45a1を有する。また、トップカバー40にロック部材30(第2部材ともいう。)を取り付ける際に使用する第2収容部45a2を有する。トップカバー40は、第1収容部45a1を3つ有するとともに、第2収容部45a2を4つ有している。
【0065】
図9、10に示すように、第1収容部45a1、及び、第2収容部45a2は、天壁41の裏面から天壁41の厚さ方向に延びる周壁46を有する。また、第1収容部45a1、及び、第2収容部45a2は、周壁46における天壁41側の端部とは反対側の端部に、端部壁47を有する。端部壁47は、ネジを挿通する挿通孔47aを有している。
【0066】
第2収容部45a2は、挿通孔47aの周囲に、周壁46の外径よりも小さな外径を有する円筒状のネック部47bを有する。ネック部47bの長さは、ロック部材30における挿通孔30aの周囲の厚さよりも若干大きく構成されている。
【0067】
第2収容部45a2がネック部47bを有することによって、トップカバー40にロック部材30を取り付けた際に、ロック部材30が移動しにくくなることを抑制することができる。すなわち、ロック部材30の挿通孔30aにネジを挿通させて、このネジを第2収容部45a2に収容されたナット14に螺合させた際に、ロック部材30が、端部壁47とネジのネジ頭で挟持されることを抑制することができる。
【0068】
図9、10に示すように、周壁46は、ナット14の径方向の周囲を囲むように設けられている。周壁46は、開口部46aを有しており、開口部46aを通じて、周壁46の内側にナット14を挿入することができる。開口部46aの開口幅は、ナット14の径方向における二面幅よりも若干大きく構成されている。
【0069】
開口部46aは、各収容部45の周壁46に対して1か所のみ設けられている。第1収容部45a1の開口部46aを第1開口部46a1とし、第2収容部45a2の開口部46aを第2開口部46a2とする。
【0070】
3つの第1収容部45a1が有する第1開口部46a1は、それぞれ前方に向かって開口している。そのため、第1開口部46a1にナット14を挿入する際は、前方からナット14を挿入する。また、4つの第2収容部45a2が有する第2開口部46a2は、それぞれ左方に向かって開口している。そのため、第2開口部46a2にナット14を挿入する際は、左方からナット14を挿入する。
【0071】
前方に向かって開口する第1開口部46a1の向きと、左方に向かって開口する第2開口部46a2の向きは、90°異なっている。
図9、10に示すように、第1収容部45a1は、第1開口部46a1から延びるリブ壁48(以下、第1リブ壁48a1ともいう。)を有している。また、第2収容部45a2は、第2開口部46a2から延びるリブ壁48(以下、第2リブ壁48a2ともいう。)を有している。第1リブ壁48a1、及び、第2リブ壁48a2は、天壁41の裏面から、天壁41の厚さ方向に立設している。
【0072】
第1リブ壁48a1は、第1開口部46a1において、ナット14の径方向における両側に一対設けられている。第2リブ壁48a2は、第2開口部46a2において、ナット14の径方向における両側に一対設けられている。また、一対の第1リブ壁48a1は、第1開口部46a1から前方に向かって、互いの間隔が一定の状態で平行に延びている。一対の第2リブ壁48a2は、第2開口部46a2から左方に向かって、互いの間隔が一定の状態で平行に延びている。一対の第1リブ壁48a1の間隔は、第1開口部46a1の開口幅に等しい。また、一対の第2リブ壁48a2の間隔は、第2開口部46a2の開口幅に等しい。
【0073】
第1リブ壁48a1は、第1開口部46a1から前方に向かって延びた後、前方以外の方向に屈曲して延びていてもよい。第2リブ壁48a2は、第2開口部46a2から左方に向かって延びた後、左方以外の方向に屈曲して延びていてもよい。また、第1リブ壁48a1は、第1開口部46a1から延びる先端が、トップカバー40の垂下壁42に接続されていてもよい。同様に、第2リブ壁48a2は、第2開口部46a2から延びる先端が、トップカバー40の垂下壁42に接続されていてもよい。
【0074】
第1リブ壁48a1や第2リブ壁48a2の先端がトップカバー40の垂下壁42に接続されていると、第1リブ壁48a1や第2リブ壁48a2によるトップカバー40の補強効果をより高めることができる。
【0075】
言い換えれば、トップカバー40が、天壁41の裏面から天壁41の厚さ方向に立設する補強壁を有しており、この補強壁の少なくとも一部が、第1リブ壁48a1や第2リブ壁48a2を兼ねていてもよい。補強壁が、トップカバー40の垂下壁42に接続されていると、補強壁によるトップカバー40の補強効果をより高めることができる。
【0076】
<ロック部材のロック機構>
図12~
図18を用いてロック部材30のロック機構について説明する。
図13~
図18では、カラン用ボタン26、及び、シャワー用ボタン27について、それぞれのボタンカバー28のみを示す。ボタンカバー28は、カラン用ボタン26、及び、シャワー用ボタン27の上端部に取り付けられており、円形状の上壁部28aと、上壁部28aの周縁から下方に延びる筒状部28bとを有する。ボタンカバー28は、筒状部28bの前後方向の両端部における下端部に、前後方向の両外側に突出した凸部28cを有する。凸部28cは、上下方向に間隔をおいて2つ設けられている。
【0077】
図2、13に示すように、水栓10を構成する各部材が組み付けられた状態において、カラン用ボタン26、及び、シャワー用ボタン27のボタンカバー28は、ロック部材30の貫通孔31に挿入された状態になる。
【0078】
(ロック状態にある場合)
図15は、ロック部材30が、カラン用ボタン26とシャワー用ボタン27の操作を規制する状態、所謂、ロック状態である場合を示している。
【0079】
図15に示すように、ロック部材30がロック状態にある場合、カラン用ボタン26、及び、シャワー用ボタン27のボタンカバー28における凸部28cは、ロック部材30の貫通孔31に設けられた段差部33に上下方向において重なる位置にある。
【0080】
図17は、カラン用ボタン26が、止水状態にある場合を示す。すなわち、カラン用ボタン26が、相対的に上方の止水位置にある場合を示す。ボタンカバー28も同様に上方に位置する。この場合、ボタンカバー28の2つの凸部28cのうち、下方に位置する凸部28cが、ロック部材30の段差部33上に位置する。そのため、ボタンカバー28を下方に押し下げることが規制される。
【0081】
図18は、カラン用ボタン26が、吐水状態にある場合を示す。すなわち、カラン用ボタン26が、相対的に下方の吐水位置にある場合を示す。ボタンカバー28も同様に下方に位置している。この場合、ボタンカバー28の2つの凸部28cのうち、上方に位置する凸部28cが、ロック部材30の段差部33上に位置する。そのため、ボタンカバー28を下方に押し下げることが規制される。
【0082】
すなわち、ロック部材30がロック状態にあると、カラン用ボタン26とシャワー用ボタン27は、吐水位置と止水位置の位置によらず、その位置から操作されることが規制される。
【0083】
(ロック解除状態にある場合)
図16は、ロック部材30が、カラン用ボタン26とシャワー用ボタン27の操作を許容する状態、所謂、ロック解除状態にある場合を示している。
【0084】
図16に示すように、ロック解除状態では、ロック部材30の位置が、
図15で示す位置よりも左側に移動している。
図12に示すように、フロントカバー50の前壁の切欠51aから露出したレバー34を把持して左右方向に操作することによって、ロック部材30の位置を左右方向に移動させることができる。
【0085】
図16に示すように、ロック部材30がロック解除状態にある場合、カラン用ボタン26、及び、シャワー用ボタン27のボタンカバー28における凸部28cは、ロック部材30の貫通孔31に設けられた段差部33に上下方向において重ならない位置にある。
【0086】
図17、18に二点鎖線で示すように、カラン用ボタン26のボタンカバー28における凸部28cは、ロック部材30の段差部33に上下方向において重なっていない。そのため、カラン用ボタン26とシャワー用ボタン27は、止水位置と吐水位置のいずれの位置であっても、その位置から操作されることが許容される。
【0087】
以上のロック機構によって、カラン用ボタン26、及び、シャワー用ボタン27の操作を規制したり、規制を解除したりすることができる。
<作用及び効果>
本実施形態の作用について説明する。
【0088】
図9、10に示すように、トップカバー40は、天壁41の裏面に複数の第1収容部45a1と第2収容部45a2を有している。
図11に示すように、第1収容部45a1は、第1開口部46a1から延びる第1リブ壁48a1を有している。第1収容部45a1にナット14を収容する際、ナット14を第1リブ壁48a1に当接させながら矢印Aの方向に移動させることができるため、第1開口部46a1内に挿入することが容易になる。すなわち、第1リブ壁48a1を、ナット14を案内するガイド部(第1ガイド部)として利用することができる。
【0089】
また、第1リブ壁48a1は、ナット14の径方向における両側に一対設けられているため、一対のガイド部でより確実にナット14を第1開口部46a1に案内することができる。第2収容部45a2も、第1収容部45a1と同様の作用を有しており、第2リブ壁48a2を、ナット14を案内するガイド部(第2ガイド部)として利用することができる。
【0090】
本実施形態の効果について説明する。
(1)トップカバー40は、トップカバー40に他の部材を取り付けるためのナット14を収容する収容部45を有している。収容部45は、ナット14の径方向の周囲を囲む周壁46と、ナット14の軸方向の端部を囲む端部壁47とを有し、周壁46は、収容部45内にナット14を挿入するための開口部46aを有している。収容部45は、開口部46aから延びて、開口部46aにナットを案内するリブ壁48(ガイド部)を有している。
【0091】
収容部45が、開口部46aにナット14を案内するリブ壁48(ガイド部)を有していることによって、開口部46aにナット14を挿入しやすくなる。したがって、収容部45にナット14を収容する作業をより簡単に行うことができる。
【0092】
(2)収容部45を複数有しており、複数の収容部45が有する複数の開口部46aは、互いに同じ向きに設けられており、複数の収容部45が有する複数のリブ壁48(ガイド部)は、互いに平行に延びている。
【0093】
複数の開口部46aにナット14を挿入する際に、複数のリブ壁48(ガイド部)に当接させながらナット14を同じ方向に移動させて挿入することができる。同じ方向にナット14を移動させることによって、複数の収容部45にナット14を収容する作業の効率を向上させて、作業をより簡単に行うことができる。また、トップカバー40をリブ壁48(ガイド部)の延びる方向に傾けると、複数のリブ壁48(ガイド部)を利用して複数の開口部46aにナット14を挿入しやすくなる。複数の開口部46aにナット14を同時に挿入することも可能になる。
【0094】
(3)複数の第1開口部46a1は、互いに同じ向きに設けられ、複数の第2開口部46a2は、互いに同じ向きであって第1開口部46a1とは異なる向きに設けられている。複数の第1リブ壁48a1は、互いに平行に延びているとともに、複数の第2リブ壁48a2は、互いに平行であって、第1リブ壁48a1とは異なる方向に延びている。
【0095】
複数の第1開口部46a1と複数の第2開口部46a2が異なる向きに設けられていることによって、第1収容部45a1にナット14を収容する作業と、第2収容部45a2にナット14を収容する作業を間違えにくくなる。したがって、第1収容部45a1にナット14を収容する作業と、第2収容部45a2にナット14を収容する作業の効率を向上させて、作業をより簡単に行うことができる。また、トップカバー40を第1リブ壁48a1の延びる方向に沿って後方に傾けると、複数の第1リブ壁48a1を利用して複数の第1開口部46a1にナット14を挿入しやすくなる。複数の第1開口部46a1にナット14を同時に挿入することも可能になる。同様に、トップカバーを第2ガイド部の延びる方向に沿って右方に傾けると、複数の第2リブ壁48a2を利用して複数の第2開口部46a2にナット14を挿入しやすくなる。複数の第2開口部46a2にナット14を同時に挿入することも可能になる。
【0096】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0097】
・本実施形態では、トップカバー40が、天壁41の裏面に複数の収容部45を有していたが、この態様に限定されない。トップカバー40以外の水栓用カバーであるフロントカバー50やアンダーカバー55が、本実施形態の収容部45を有していてもよい。
【0098】
・本実施形態では、第1収容部45a1を用いてトップカバー40にトップカバー用ステー90を取り付け、第2収容部45a2を用いてトップカバー40にロック部材30を取り付けていたが、この態様に限定されない。トップカバー40に取り付ける部材は、適宜選択することができる。
【0099】
・本実施形態において、第1開口部46a1は前方に向かって開口しており、第2開口部46a2は左方に向かって開口していたが、この態様に限定されない。第1開口部46a1と第2開口部46a2の向きは適宜選択することができる。
【0100】
・本実施形態において、前方に向かって開口する第1開口部46a1と、左方に向かって開口する第2開口部46a2は、互いの向きが90°異なっていたが、この態様に限定されない。互いの向きが90°以上異なっていてもよいし、90°未満であってもよい。互いの向きが90°付近、例えば90°±5°以内であることが好ましい。互いの向きが90°±5°以内であると、第1開口部46a1に挿入するためのナット14が、誤って第2開口部46a2に挿入されたり、第2開口部46a2に挿入するためのナット14が、誤って第1開口部46a1に挿入されたりすることを抑制しやすくなる。
【0101】
・第1開口部46a1と第2開口部46a2は、同じ向きに設けられていてもよい。これにともない、第1リブ壁48a1と第2リブ壁48a2が、同じ方向に延びていてもよい。
【0102】
・本実施形態において、第1リブ壁48a1、及び、第2リブ壁48a2はそれぞれ、ナット14の径方向における両側に一対設けられており、互いの間隔が一定の状態で平行に延びていたが、この態様に限定されない。第1リブ壁48a1、及び、第2リブ壁48a2における一対のリブ壁48は、互いの間隔が変化してもよい。例えば、開口部46aから離間するにつれて、互いの間隔が大きくなる扇形に構成されていてもよい。
【0103】
・本実施形態において、第1リブ壁48a1、及び、第2リブ壁48a2はそれぞれ、ナット14の径方向における両側に一対設けられていたが、この態様に限定されない。第1リブ壁48a1、及び、第2リブ壁48a2はそれぞれ、ナット14の径方向における一方側のみに設けられていてもよい。
【0104】
・本実施形態において、ガイド部としての第1リブ壁48a1、及び、第2リブ壁48a2はそれぞれ、第1開口部46a1や第2開口部46a2から連続して延びていたが、この態様に限定されない。第1リブ壁48a1や第2リブ壁48a2は、第1開口部46a1や第2開口部46a2に連続していなくてもよい。例えば、第1リブ壁48a1と第1開口部46a1の間や、第2リブ壁48a2と第2開口部46a2の間に若干の隙間を有していてもよい。すなわち、第1リブ壁48a1、及び、第2リブ壁48a2は、第1開口部46a1や第2開口部46a2から連続して延びていなくても、ナット14を開口部46aに案内することができれば、ガイド部として機能する。
【0105】
・本実施形態において、第1リブ壁48a1、及び、第2リブ壁48a2が、ガイド部としての機能を有していたが、この態様に限定されない。例えば、トップカバー40の天壁41が肉厚に構成されているとともに、天壁41に溝が形成されており、この溝が、ガイド部として機能してもよい。
【符号の説明】
【0106】
10…水栓、14…ナット、20…水栓本体、40…トップカバー、45…収容部、45a1…第1収容部、45a2…第2収容部、46…周壁、46a…開口部、46a1…第1開口部、46a2…第2開口部、47…端部壁、48…リブ壁(ガイド部)、48a1…第1リブ壁(第1ガイド部)48a2…第2リブ壁(第2ガイド部)。