(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025039190
(43)【公開日】2025-03-21
(54)【発明の名称】堰、高炉樋および溶銑除去方法
(51)【国際特許分類】
C21B 7/14 20060101AFI20250313BHJP
【FI】
C21B7/14 306
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146094
(22)【出願日】2023-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001971
【氏名又は名称】品川リフラクトリーズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】荻上 栞奈
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 建司
(72)【発明者】
【氏名】西尾 奏恵
(72)【発明者】
【氏名】田中 稔
(72)【発明者】
【氏名】西元 祐司
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智瑛
(57)【要約】
【課題】堰の裏側の渦流の発生を抑制し、スラグ流Sへの溶銑の混入を低減しうる堰、高炉樋、および溶銑除去方法を提供する。
【解決手段】高炉樋20のスラグ樋30の入り口より上流に設置される堰1であって、スラグ流の流れの方向の下流側の下方に向く下流側斜面を有する堰。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉樋のスラグ樋の入り口より上流に設置される堰であって、
スラグ流の流れの方向の下流側の下方に向く下流側斜面を有する、
堰。
【請求項2】
前記下流側斜面の下端と連設され下方に凸の湾曲面を有する、
請求項1に記載の堰。
【請求項3】
スラグ流の流れの方向の上流側の下方に向く上流側斜面を有する、
請求項1に記載の堰。
【請求項4】
前記下流側斜面は、凹部および凸部の少なくとも一方を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の堰。
【請求項5】
スラグ樋の入り口より上流に設置される堰を備える高炉樋であって、
前記堰はスラグ流の流れの方向の下流側の下方に向く下流側斜面を有する、
高炉樋。
【請求項6】
前記堰の上面は、スラグライン以上の高さに位置する、請求項5に記載の高炉樋。
【請求項7】
前記堰の下端は、メタルラインより高い位置にある、請求項5または6に記載の高炉樋。
【請求項8】
高炉樋を流通する出銑流のスラグ流から溶銑を除去する溶銑除去方法であって、
前記高炉樋のスラグ樋の入り口より上流の部分において、
前記スラグ流の少なくとも一部を堰に沿って流通させることを含み、
前記堰はスラグ流の流れの方向の下流側の下方に向く下流側斜面を有する、
溶銑除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製鉄分野における堰、高炉樋および溶銑除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉で製銑した銑鉄は、出銑流として高炉の出銑口から高炉樋へ流出する。このとき出銑流は、スラグ流Sおよび溶銑流Pを含む。スラグ流Sの比重は溶銑流Pの比重より小さいため、出銑口から流出した溶銑流Pとスラグ流Sとは、溶銑流Pを下層とし、スラグ流Sを上層とする二層に分離する。
【0003】
高炉樋の高炉から水平方向に離間した位置に、溶銑流Pおよびスラグ流Sを堰き止めることができるスキンマーダンパーが設けられている。比重の高い溶銑流Pのみがスキンマーダンパーの下側を通過して高炉樋の下流側に流出し、比重の低いスラグ流Sはスキンマーダンパーにより堰き止められ、スキンマーダンパーの上流にあるスラグ樋に流出する。
【0004】
ここで、溶銑流Pとスラグ流Sとの分離が完全なものではなく、溶銑流Pの一部が溶銑としてスラグ流Sに混入する場合がある。スラグ樋から流出したスラグ流Sの多くは水冷却により水砕されてセメント原料となるため、スラグ流Sに溶銑が混入する場合、セメント原料への鉄分混入による品質低下の懸念がある。また、スラグ流Sへの溶銑の混入はスラグ樋の耐用性を低下させる。さらに、本来は製品原料となるべき溶銑がスラグ流Sとして流出することによる歩留まりの低下も問題になる。よって、高炉操業を行う上で、スラグ流Sからの溶銑の除去は重要である。
【0005】
高炉樋中においてスラグ流Sと溶銑流Pと二層の流体の分離を促進するために、例えば特開平10-273706号公報、実公平4-044350号公報および特開平8-176628号公報において、スラグ樋の上流に堰を設けることが開示されている。堰が設けられることにより、堰に沿って流れる流体の流動エネルギーが減少し、流速が緩やかになると共に波動も静められ、スラグ流Sと溶銑流Pの分離が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-273706号公報
【特許文献2】実公平4-044350号公報
【特許文献3】特開平8-176628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の先行技術文献で開示されているような堰がスラグ流Sに置かれる場合、堰の裏側(下流側)に大きな渦流が生じ、生じた渦流が溶銑流Pを巻き上げ、スラグ流S中の溶銑の混入量を増やす恐れがある。
【0008】
よって、堰の裏側の渦流の発生を抑制し、スラグ流Sへの溶銑の混入を低減しうる堰、高炉樋、および溶銑除去方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る堰は、高炉樋のスラグ樋の入り口より上流に設置される堰であって、スラグ流の流れの方向の下流側の下方に向く下流側斜面を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る高炉樋は、スラグ樋の入り口より上流に設置される堰を備える高炉樋であって、前記堰はスラグ流の流れの方向の下流側の下方に向く下流側斜面を有することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係る溶銑除去方法は、高炉樋を流通する出銑流のスラグ流から溶銑を除去する溶銑除去方法であって、前記高炉樋のスラグ樋の入り口より上流の部分において、前記スラグ流の少なくとも一部を堰に沿って流通させることを含み、前記堰はスラグ流の流れの方向の下流側の下方に向く下流側斜面を有することを特徴とする。
【0012】
これらの構成によれば、堰の裏側での渦流の発生を軽減でき、スラグ流への溶銑の混入を軽減できる。
【0013】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0014】
本発明に係る堰は、前記下流側斜面の下端と連設され下方に凸の湾曲面を有することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、堰の裏側での渦流の発生を一層軽減でき、スラグ流の中の溶銑の混入を一層軽減できる。
【0016】
本発明に係る堰は、スラグ流の流れの方向の上流側の下方に向く上流側斜面を有することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、上流側斜面に当接した溶銑が下方に案内され、慣性により下方の溶銑流に向かうため、スラグ流の中の溶銑の混入を一層軽減できる。
【0018】
本発明に係る堰において、前記下流側斜面は、凹部および凸部の少なくとも一方を有することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、堰の裏側での渦流の発生を一層軽減でき、スラグ流への溶銑の混入を一層軽減できる。
【0020】
本発明に係る高炉樋において、前記堰の上面は、スラグライン以上の高さに位置することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、スラグ流の大部分を、堰の下流側斜面に沿う経路で案内できるので、スラグ流における溶銑の混入を一層軽減できる。
【0022】
本発明に係る高炉樋において、前記堰の下端は、メタルラインより高い位置にあることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、渦流によって溶銑流からスラグ流に溶銑が巻き上げられる現象が生じにくい。
【0024】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】高炉樋の断面図(
図1のII-II線における断面図)である。
【
図6】第1実施形態に係る堰の断面形状を示す図(
図3のVI-VI線における端面図)である。
【
図7】第2実施形態に係る堰の断面形状を示す図である。
【
図9】第3実施形態に係る堰の断面形状を示す図である。
【
図10】第4実施形態に係る堰の断面形状を示す図である。
【
図11】ディンプルの他の実施形態を示す図である。
【
図13】実施形態に係る堰の設置位置を示す図である。
【
図14】従来技術に係る堰で起きる渦流の発生原因を示す図である。
【
図15】実施例1のCFDシミュレーション結果の模式図である。
【
図16】比較例1のCFDシミュレーション結果の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔高炉樋の構成〕
高炉樋20は、高炉BFの出銑口Foから流出する出銑流を流通できるように設けられた樋状の部材である。
図1には、高炉樋20の斜視図を示し、
図2には、高炉樋20が高炉BFの側から延出する方向に沿った垂直断面図を示している。なお、高炉樋20において、流れ方向、幅方向および下方は、
図1に示す通りである。
【0027】
高炉BFで製銑した銑鉄は、出銑流として高炉BFの出銑口Foから流出する。このとき出銑流は、スラグ流Sおよび溶銑流Pを含む。スラグ流Sの比重は溶銑流Pの比重より小さいため、出銑口Foから流出した溶銑流Pとスラグ流Sとは、溶銑流Pを下層とし、スラグ流Sを上層とする二層に分離する。したがって高炉樋20では、溶銑流Pとスラグ流Sとの二層の流れが形成される(
図2)。
【0028】
図1および
図2に示すように、スキンマーダンパーSDは、高炉樋20を流れる溶銑流Pおよびスラグ流Sを堰き止めることができるように設けられている。ここで、スキンマーダンパーSDの下端は、比重の違いによって二層に分離した溶銑流Pとスラグ流Sとの界面であるメタルラインMLより低い位置に設けられている。これによって、溶銑流PのみがスキンマーダンパーSDの下側を通過する。
【0029】
一方、スキンマーダンパーSDにより堰き止められたスラグ流Sは、高炉樋20が延出する方向(出銑流の流れ方向)の側方に延びるスラグ樋30に流出する。かかる流出が可能になるように、スラグ樋30のスラグ樋30の入り口31の下端は、高炉樋20の上流側に形成される二層の流れの最上面であるスラグラインSLより低い位置に設けられている。
【0030】
ここで、スラグ流Sおよび溶銑流Pの二層の分離を促進するため、スラグ樋30の入り口より上流に、堰1が設けられている。本実施形態に係る高炉樋20では、独特の形状を有する堰1を設置することによって堰1の裏側(下流側)における渦流を抑制し、層分離効果を高めている。以下では堰1が取りうる形状について四つの実施形態を示す。それぞれの実施形態に係る堰1は、主として出銑流の流れ方向に沿う断面の形状によって特徴づけられる。以下の説明において堰1の断面形状について言及する場合、特記しない限りは出銑流の流れ方向に沿う断面の形状をいうものとする。
【0031】
〔堰の構成〕
(共通事項)
まず、四つの実施形態に係る堰1に共通する事項について説明する。
図3~
図6で示すように、堰1は二つの支柱2に支えられて高炉樋20に設置される。なお、四つの実施形態に係る堰1はいずれも、高炉樋20の幅方向のいずれの位置においても略同一の断面形状を有する。
【0032】
堰1は主にスラグと接触するため、堰1の材質は、当業者に公知のスラグへの耐食性の高い耐火物である。例えば、SiC系の耐火物などが例示される。
【0033】
支柱2は、板形状であり、堰1の両端にそれぞれ一つ設けられている。二つの支柱2は、それぞれ高炉樋20の両側の側面に沿うように設けられており、堰1がこれらの二つの支柱2の上部どうしに亘って設けられている。すなわち、堰1と二つの支柱2とによって門状の構造体が形成されており、スラグ流Sおよび溶銑流Pはこの門をくぐる形で流通する。板形状の支柱2の流れ方向に沿った長さLPは、堰1の流れ方向に沿った長さLと同じである。支柱2の上下方向の高さHPは、高炉樋20に設けられた堰1がスラグ流Sと接触する高さである。支柱2の流れに面する方向の幅WPは、流れに対する抵抗と堰1を支持する強度を両方考慮して設定され、片方の支柱の幅WPは、例えば高炉樋20の幅の約1/9であってよい。さらに、支柱2の水平断面の形状は矩形に限らず、例えば出銑流の抵抗を考慮して流線形の断面形状にしてもよい。なお、支柱2の材質は、設置する高炉樋20の側面と同一もしくは同系統の材質が好ましい。
【0034】
以下、堰1の高炉樋20の幅方向における中心部分の断面構造(VI-VI端面図)に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
【0035】
(第1実施形態)
堰1aは、上面11、前面13、湾曲面14、下流側斜面15、および後面16を有する(
図6)。上面11は、上方に向く水平面であり、前面13は上面11の前端から下方に延び流れ方向上流側に向く垂直面である。前面13の下端から後方に湾曲する湾曲面14が設けられており、湾曲面14は下流側斜面15と連続的に接続されている。上面11の後端と下流側斜面15の後端とが、流れ方向の下方に向かって凸の曲面である後面16によって接続されている。なお、前面13と湾曲面14とは接続部aにおいて接続され、湾曲面14と下流側斜面15とは接続部bにおいて接続され、下流側斜面15と後面16とは接続部cにおいて接続され、後面16と上面11とは接続部dにおいて接続されている。
【0036】
下流側斜面15は、流れの方向の下流側の下方に向く平坦な斜面である。すなわち、下流側斜面15の法線の水平方向成分は流れ方向と同じ方向を向き、当該法線の垂直方向成分は下方を向く。
【0037】
湾曲面14は、所定の曲率半径を有する円柱面の一部であり、下方に向かって凸となる。
【0038】
続く他の実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成要素については、第1の実施形態と同じ符号を付して示し、説明を省略または簡略化する。また、特記していない事項については、第1実施形態の説明が適用される。
【0039】
(第2実施形態)
堰1bは、第1実施形態に係る堰1aの湾曲面14、下流側斜面15および後面16の表面に、凹部の一例であるディンプル3が設けられた構造を有する(
図7、
図8)。
【0040】
ディンプル3は堰1bの表面から陥没する半径r0の半球状の凹部である。湾曲面14、下流側斜面15および後面16において、流れ方向と直交するディンプル3の列がほぼ等間隔に複数設けられている(本実施形態では10列)。それぞれの列においてディンプル3が等間隔に設けられており、隣接する2列のディンプル3の位置は互いからオフセットされる。
【0041】
(第3実施形態)
堰1cは、上面11、前面13、下流側斜面15、底面18、上流側斜面17および後面16を有する(
図9)。第1実施形態に係る堰1aの湾曲面14に替えて、上流側斜面17および底面18を有する。また、第1実施形態では後面16が流れ方向の下方に向かって凸の曲面であるのに対し、本実施形態における後面16は下流側に向く垂直面である。
【0042】
上流側斜面17は、流れの方向の上流側の下方に向く平坦な斜面である。すなわち、上流側斜面17の法線の水平方向成分は流れ方向と逆方向を向き、当該法線の垂直方向成分は下方を向く。
【0043】
(第4実施形態)
堰1dは、上面11、前面13、湾曲面14、および後面16有する(
図10)。後面16の構成は第3実施形態と同様である。なお、堰1dの断面形状は、中心線Xに関して線対称である。前面13と湾曲面14とが接続部iにおいて、連続的であっても、非連続的であってもよい。後面16と湾曲面14との接続部lについても同様である。
【0044】
(その他の実施形態)
上記の実施形態では、堰1は二つの支柱2に支えられて高炉樋20に設置される態様を説明した。しかし、堰1は二つの支柱2に支えられなくてもよい。例えば、支柱2を用いず、堰1を高炉樋20中において高炉樋20の幅方向を亘るように配置し、堰1の高炉樋20の側面と接している部位の周囲を吹付材やモルタルなどの不定形耐火物で固定してもよい。なお、前記不定形耐火物の材質は、設置する高炉樋20の側面と同一もしくは同系統の材質が好ましい。また、堰1は、一つ、三つ、または任意の数の支柱に支えられてもよい。さらに、堰1は、吊り下げられる態様で高炉樋20に設置されてもよい。
【0045】
上記の実施形態では、上流側斜面17が設けられる場合について、下流側斜面15と上流側斜面17の間に、平坦な底面18が設けられる構成(第3実施形態)を説明した。しかし、下流側斜面15と上流側斜面17の間に湾曲面14が設けられてもよく(
図12)、また、下流側斜面15と上流側斜面17とが連設されてもよい。
【0046】
上記の実施形態では、上面11から下方に延びる垂直面である前面13を有する構成を説明した。しかし、堰1は、湾曲面14または上流側斜面17を有する場合、前面13を有しなくてもよい。この場合、湾曲面14または上流側斜面17の上端が、上面11の前端に連設される。
【0047】
上記の実施形態では、後面16を有する堰1を説明した。しかし、堰1は、後面16を有しなくてもよい。この場合、下流側斜面15の後端が、上面11の後端と連設される。
【0048】
上記の実施形態では、湾曲面14が一定の曲率半径rを有する堰1を説明した。しかし、湾曲面14の曲率半径は場所によって異なっていてもよい。例えば、湾曲面14の曲率半径が下流側斜面15に近づくに連れて徐々に大きくなる構成とし、湾曲面14を下流側斜面15とを滑らかに接続してもよい。また、湾曲面14と下流側斜面15とが連続的な曲面であってもよい。すなわち、湾曲面14と下流側斜面15との間に明確な接続部がなくてもよい。湾曲面14と上流側斜面17とが接続する場合についても同様である。
【0049】
上記の第2実施形態では、凹部の一例であるディンプル3が、湾曲面14、下流側斜面15、および後面16の表面に設けられる堰1を説明した。しかし、凹部を設ける場合について、凹部が設置される場所は限定されない。ただし、下流側斜面15に凹部を設けると、渦流発生を抑制する効果を得やすい点で好ましい。
【0050】
上記の第2実施形態では、ディンプル3が堰1の表面から陥没する半球状の凹部である構成を説明した。しかし、ディンプル3の形状は限定されない。例えば堰1の表面が摩耗されることを考慮し、ディンプル3を、半球状部分3aと円筒状部分3bとを有する構成としてもよい(
図11)。さらに、ディンプル3は、堰1の表面から陥没する楕円体状、円錐状、多角錘状、涙滴形状、流れ方向に沿って陥没する溝などであってもよい。
【0051】
上記の第2実施形態では、堰1の表面に近い部分での整流効果を得るため、凹部の一例としてディンプル3を設けた堰1を説明した。しかし、整流効果を得るためには、凸部を設けてもよい。凸部は、湾曲面14、底面18または下流側斜面15の表面に設けられうる。また、凸部の具体的な形状としては、半球状、楕円体状、円錐状、多角錘状、涙滴形状、流れ方向に沿って突出するリブなどが例示される。また、凹部と凸部の双方を設けてもよい。
【0052】
上記の第4実施形態では、前面13と湾曲面14とが直接接続され、かつ、湾曲面14と後面16とが直接接続される堰1を説明した。しかし、堰1では、前面13と湾曲面14との間に上流側斜面17が存在し、かつ、湾曲面14と後面16の間に下流側斜面15が存在してもよい(
図12)。また、第1実施形態と第3実施形態では下流側斜面15および上流側斜面17を平坦面として説明したが、
図12に示すように下流側斜面15および上流側斜面17がいずれも湾曲面であってもよい。これらの湾曲面の曲率半径は一定であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。下流側斜面15上の位置によって法線の向きが異なるが、いずれの位置においても、法線の水平方向成分は流れ方向と同じ方向を向き、当該法線の垂直方向成分は下方を向く。上流側斜面17上の位置によって法線の向きが異なるが、いずれの位置においても、法線の水平方向成分は流れ方向と逆方向を向き、当該法線の垂直方向成分は下方を向く。さらに、下流側斜面15と湾曲面14とが接続部kにおいて共通の接線を有してもよく、すなわち、下流側斜面15と湾曲面14とが連続する曲面を構成してもよい。上流側斜面17と湾曲面14との接続部jについても同様である。
【0053】
上記の実施形態では、堰1の断面形状が高炉樋20の幅方向のいずれの位置においても略同一の断面形状を有する構成について説明した。しかし、堰1の断面形状は高炉樋20の幅方向において一定でなくてもよい。
【0054】
〔堰の寸法条件〕
以下、堰1の寸法についての好ましい数値範囲を説明する。以下に言及する高さHなどの各寸法の定義は、
図6~
図10に示す通りである。
【0055】
(堰1)
堰1の上下方向の高さHは、堰1が高炉樋20に設置される状態において、堰1が垂直方向における上端から下端までの高さの差として定義される。堰1の流れ方向の長さLは、堰1が高炉樋20に設置される状態において、堰1の流れに向かう前端から流れの下流側に向く後端までの水平方向の離間距離として定義される。
【0056】
堰1の上下方向の高さHは、好ましくはスラグ流S深さの30%以上であり、より好ましくは40%以上である。高さHがスラグ流S深さの30%以上であると、堰に沿って流れる流体の流動エネルギーを減少させやすく、二層の流体の分層を促進しやすい。高さHは、好ましくはスラグ流S深さの90%以下であり、より好ましくは80%以下であり、さらに好ましくは70%以下である。高さHがスラグ流S深さの90%以下であると、堰1の上流側で下降したスラグが溶銑に混入することを回避しやすく、また、堰1の下流側のスラグの上昇流に溶銑を巻き込むことも回避しやすい。なお,後述するように,堰21の上面をスラグラインSLの上面より高い位置に設置する場合は,高さHは堰21がスラグ流S内に浸漬している部分の高さとする。
【0057】
堰1の流れ方向の長さLは、好ましくは300mm以上であり、より好ましくは400mm以上であり、さらに好ましくは500mm以上である。長さLが300mm以上であると、下流側斜面15の面積を確保しやすく、渦流発生を抑制しやすい。長さLは、好ましくは1000mm以下であり、より好ましくは900mm以下であり、さらに好ましくは750mm以下である。長さLが1000mm以下であると、堰1の大型化を回避でき、堰1の製造および設置等をしやすい。
【0058】
(下流側斜面15)
下流側斜面15の高さH2は、下流側斜面15の下端と上端との高さの差として定義される。下流側斜面15の長さL2は、下流側斜面15の下端と上端との水平方向の離間距離として定義される。なお、湾曲面14と下流側斜面15とが直接接続する場合、湾曲面14の下端を下流側斜面15の下端としてH2およびL2を計算する。下流側斜面15と水平方向との角αは、下流側斜面15の下端と上端とを結ぶ仮想平面が水平方向となす角として定義される。なお、下流側斜面15が湾曲面であり、かつ、湾曲面14と下流側斜面15とが直接接続する場合、湾曲面14の下端を下流側斜面15の下端として角αを計算する。
【0059】
下流側斜面15と水平方向との角αは、好ましくは15度以上であり、より好ましくは30度以上である。角αが15度以上であると、下流側斜面15の長さL2を抑えられるため、堰1の寸法を抑制しやすい。角αは、好ましくは75度以下であり、より好ましくは60度以下である。角が75度以下であると、流れを緩やかに案内しやすく、堰1の裏側の渦流の発生を抑えやすい。
【0060】
下流側斜面15の高さH2は、好ましくはHの30%以上であり、より好ましくはHの40%以上であり、さらに好ましくはHの50%以上である。高さH2がHの30%以上であると、下流側斜面15の面積を確保しやすく、渦流抑制の効果が得られやすい。高さH2は、好ましくはHの80%以下であり、より好ましくはHの70%以下であり、さらに好ましくはHの60%以下である。高さH2がHの80%以下であると、湾曲面14または後面16等の構造を設ける場所を確保しやすい。
【0061】
(湾曲面14)
湾曲面14の曲率半径rは、好ましくは500mm以下であり、より好ましくは300mm以下であり、さらに好ましくは200mm以下である。曲率半径rが500mm以下であると、堰1の下端B付近の流れが湾曲面14によって緩やかに案内されやすく、渦流抑制効果を得やすい。曲率半径rは、好ましくは50mm以上であり、より好ましくは100mm以上である。曲率半径rが50mm以上であると、堰1の下端Bの湾曲が滑らかとなり、すり減りにくい。
【0062】
湾曲面14の曲率半径rは、好ましくはHの80%以下であり、より好ましくはHの70%以下であり、さらに好ましくはHの60%以下である。曲率半径rがHの80%以下であると、堰1の下端B付近の流れが湾曲面14によって緩やかに案内されやすく、渦流抑制効果を得やすい。曲率半径rは、好ましくはHの30%以上であり、より好ましくはHの40%以上である。曲率半径rがHの30%以上であると、堰1の下端Bの湾曲が滑らかとなり、すり減りにくい。なお湾曲面14に凹部または凸部を設ける場合の湾曲面14の曲率半径rは、Hとの比率に関係なく50mm以上であることが好ましい。
【0063】
(上流側斜面17)
上流側斜面17の高さH3は、上流側斜面17の下端と上端との高さの差として定義される。上流側斜面17の長さL3は、上流側斜面17の下端と上端との水平方向の離間距離として定義される。なお、湾曲面14と上流側斜面17とが直接接続する場合、湾曲面14の下端を上流側斜面17の下端としてH3およびL3を計算する。上流側斜面17と水平方向との角βは、上流側斜面17の下端と上端とを結ぶ仮想平面が水平方向となす角として定義される。なお、上流側斜面17が湾曲面であり、かつ、湾曲面14と上流側斜面17とが直接接続する場合、湾曲面14の下端を上流側斜面17の下端として角βを計算する。
【0064】
上流側斜面17と水平方向との角βは、好ましくは15度以上であり、より好ましくは30度以上であり、さらに好ましくは45度以上である。角βが15度以上であると、上流側斜面17の長さL3を抑えられるため、堰1の寸法を抑制しやすい。角βは、好ましくは75度以下であり、より好ましくは60度以下である。角βが75度以下であると、流れは上流側斜面17に沿って緩やかに下降しやすく、堰1の下流側の流れをより緩やかにしやすい。
【0065】
上流側斜面17の高さH3は、好ましくはHの10%以上であり、より好ましくはHの20%以上であり、さらに好ましくはHの30%以上である。高さH3がHの10%以上であると、上流側斜面17の面積を確保しやすく、溶銑を下方へ案内する効果が得られやすい。高さH3は、好ましくはHの80%以下であり、より好ましくはHの70%以下であり、さらに好ましくはHの60%以下である。高さH3がHの80%以下であると、前面13または湾曲面14等の構造を設ける場所を確保しやすい。
【0066】
(ディンプル3)
ディンプル3の半径r0は、好ましくは50mm以下であり、より好ましくは35mm以下である。半径r0が50mm以下であると、堰1の表面付近における乱流の発生を回避しやすい。半径r0は、好ましくは10mm以上であり、より好ましくは25mm以上である。r0が10mm以上であると、堰1の表面がスラグ流Sによって一部摩耗した場合や詰まりが生じた場合であっても整流効果を維持しやすい。
【0067】
〔高炉樋における堰の位置〕
堰1は、高炉樋20内において、少なくとも一部がスラグ流S内に浸漬するように設置される。堰1のスラグ流S内に浸漬する垂直方向の高さの好ましい範囲は、堰1の上下方向の高さHに関する部分で説明した通りである。
【0068】
一態様において、堰1の上面11は、スラグラインSL以上の高さに位置する。堰1の上面11をスラグラインSL以上の高さに設置すれば、スラグ流Sの大部分を、堰1の下流側斜面15に沿う経路で案内できるので、スラグ流Sにおける溶銑の混入を一層軽減できる。
【0069】
一態様において、堰1の下端B(堰1が底面18を有する場合は、底面18が堰1の下端Bである。以下同じ。)は、メタルラインMLより高い位置にある。堰1の下端BがメタルラインMLより高い位置にあって溶銑流Pから離れている場合、堰1の裏側の渦流による溶銑の巻き上げを抑制しやすい。
【0070】
一態様において、堰1の下端Bは、スラグ樋30の入り口31の下端より低い位置にある。
図13の矢印qで示すように、堰1の下端BとメタルラインMLとの間に流れるスラグ流Sの一部は堰1と接触することなく堰1の下流へ流れるが、堰1の下端Bをスラグ樋30の入り口31の下端より低いに設置すれば、スラグに比べて比重が大きい溶銑が堰1の下端Bの位置からスラグ樋30の入り口31まで浮き上がる可能性が低く、スラグ樋30へ流出するスラグへの溶銑の混入を防ぎやすい。
【0071】
〔溶銑除去方法〕
本実施形態に係る溶銑除去方法では、高炉樋20のスラグ樋30の入り口31より上流の部分において、スラグ流Sの少なくとも一部を、流れの方向の下流側の下方に向く下流側斜面15を有する堰1に沿って流通させる。
【0072】
スラグ流Sがスラグ樋30の入り口31へ流入する前に、スラグ流Sの少なくとも一部が堰1に沿って流れるようにすることによって、流れる流体の流動エネルギーが減少し、二層の流体の分離が促進され、スラグ流Sに含まれる溶銑を除去しやすい。また、堰1が下流側斜面15を備えることによって、堰1の裏側の渦流が溶銑流Pからスラグ流Sに溶銑を巻き上げることを防ぎ、スラグ流Sに含まれる溶銑を除去しやすい。
【0073】
図14に示すように、先行技術文献で開示されている堰は、その断面が矩形である。スラグ流Sは断面が矩形の堰に沿って流れる場合、スラグ流Sが堰の下端の下流側の角部を通過する時に、流路の面積が急に広くなる。この時、スラグ流Sは慣性によって直進する(矢印n)ため、堰の裏側に向かう流れ(矢印m)が生じにくい。そのため、堰の裏側にスラグ流Sが供給されにくい空間が生じ、当該空間の圧力が周囲に比べて低くなる。この圧力差に起因して当該空間に周囲からスラグ流Sが流入し、渦流が生じると考えられる。
【0074】
これに対し、本実施形態に係る堰1では、下流側斜面15を設けることによって、堰1の下端Bの下流側の流路面積の増加が緩やかとなり、スラグ流Sが堰1に沿って流れやすくなる。これによって、堰1の裏側での圧力の変化が生じにくくなって渦流の発生が生じにくくなり、溶銑の巻き上げを抑制しやすい。
【0075】
本実施形態に係る堰1が上流側斜面17を有する場合、スラグ流Sが上流側斜面17によって斜め下方へ案内される。スラグ流Sに含まれる溶銑は、スラグより比重が高いため、運動時の慣性がスラグより大きい。そのため、スラグ流Sが上流側斜面17に沿って下方へ案内されるときに、溶銑が下方に向かう慣性が、スラグが下方に向かう慣性よりも大きくなる。すなわち溶銑とスラグとの下方への推進力に差が生じ、この差に起因して溶銑のみが溶銑流Pに合流する。これによって、スラグ流Sに含まれる溶銑を分離しやすい。
【0076】
本実施形態に係る堰1が湾曲面14を有する場合、堰1の下端Bにおけるスラグ流Sの下降および上昇が湾曲面14によって緩やかに案内され、裏側での渦流の発生が一層生じにくく、スラグ流Sから溶銑を一層除去しやすい。なお、湾曲面14の下流側部分は、下流側斜面15と同じく堰1の裏側での渦流の発生を抑制する効果があり、湾曲面14の上流側部分は、上流側斜面17と同じくスラグ流Sの中の溶銑を下方へ案内する効果がある。
【0077】
さらに、本実施形態に係る堰1では、下流側斜面15に凹部および凸部の少なくとも一方を設けることで、下流側斜面15の表面付近で小さな乱流を発生させることができる。これによって、堰1の裏側での渦流の発生が一層生じにくく、スラグ流Sから溶銑を一層除去しやすい。
【0078】
なお、本実施形態に係る堰1では、第1および第2実施形態のように、後面16を垂直面に替えて斜面とする場合、後面16においてもスラグ流Sを緩やかに上方へ案内する効果が得られる。下流側斜面15の下流側の一部を角αより大きく上向きに傾斜する後面16に置き換えることで、堰1の長さLを抑えられる。
【実施例0079】
以下では実施例を示して本発明をさらに説明する。ただし、以下の実施例は本発明を限定しない。
【0080】
1.CFDシミュレーションの条件
堰を高炉樋20のスラグ流Sに置いた場合の、堰の付近のスラグ流Sの流れをCFDでシミュレーションした。ただし本シミュレーションでは、演算負荷低減のため、溶銑のモデルを設定せず、スラグのモデルをもって溶銑のモデルに替えた。すなわち本シミュレーションでは、溶銑流Pに相当する部分においても、スラグと同じ流体物性を有する物体が流通しているモデルを置いている。
【0081】
CFDの計算条件は以下の通りとした。
【0082】
スラグのモデルとして、密度2800kg/m3、粘度0.224Pa・s、流速0.04m/sの流体を設定した。表層はAir(20℃、1atm)とし、乱流モデルはK-εとし、自由表面モデルはVOF法とした。メッシュ数について、実施例1、3~5および比較例1、2は約11万とし、ディンプル3を有する実施例2は約14万とした。
【0083】
高炉樋20のうち堰1が設置されている部分の付近のモデルとして、長さ10904mm(出銑口Foから7699mmから18603mmの間の部分に相当)、幅900mm、深さ1000mmのモデルを設定した。なお、スラグの表層のAir層の厚さは300mmとした。そのうち出銑口Foから16000mmのところに堰1の上流側に向かう前端を設置した。堰1の全体の幅は900mmとし、支柱2の幅WPを100mmとした。したがって、堰1の下方においてスラグ流Sが通る部分の幅を700mmとしたことになる。
【0084】
実施例および比較例の各例について上記の条件でシミュレーションを行い、その結果を高炉樋20の幅方向の中央における縦断面(流れ方向に沿う断面)における流速分布図としてアウトプットした。流速分布図について、縦断面流速をベクトル表示し流速と流れの方向を比較した。なお、シミュレーション結果図の模式図を、
図15および
図16に示した。
【0085】
流速分布図の観察結果に基づいて、実施例および比較例の各例について、堰の裏側の渦流の大きさを以下のAA、A~Dの五段階で評価した。
AA メッシュ数約14万の計算条件で、堰の裏側に渦流がほとんど見られない。
A メッシュ数約11万の計算条件で、堰の裏側に渦流がほとんど見られない。
B 堰の裏側に渦流が見られるが、渦流の発生する範囲が堰の下端を超えていない。
C 堰の裏側に小さな渦流が見られ、かつ渦流の発生する範囲が堰の下端を超えた。
D 堰の裏側に大きな渦流が発生している。
【0086】
そのうち、評価AA、AおよびBを溶銑の混入防止に有効とし、評価CおよびDを溶銑の混入防止に有効でないとした。
【0087】
以下の実施例および比較例について、堰の端面を構成する各面の符号は、上記の各実施形態の説明と同じである。また、各実施例について、上記の四つの実施形態のうちの一つの実施形態を、対応する実施形態として示している。
【0088】
2.各実施例のモデル形状および評価結果
(実施例1)
第1実施形態に即した堰のモデルを設定した(
図6、
図15)。本実施例では、堰1の高さHを300mmとし、長さLを600mmとした。前面13の高さH1を150mmとし、湾曲面14の曲率半径rを150mmとし、湾曲面14の下端Bより下流側のθ=30度の場所を接続部bとした。下流側斜面15の角αを30度とし、高さH2を180mmとした。また、接続部cと接続部dとを接続する後面16の曲率半径Rを300mmとした。
【0089】
実施例1の評価はAだった。
【0090】
(実施例2)
第2実施形態に即した堰のモデルを設定した(
図7、
図8)。実施例2では、実施例1の堰1にディンプル3を設けた堰のモデルを設定した。ディンプル3の半径r0を25mmとした。湾曲面14、下流側斜面15および後面16において10列のディンプル3を設けた。このうち、下流側斜面15におけるディンプル3の列の水平方向の距離L0を75mmとした。それぞれの列の中において、隣接するディンプル3の間の最小距離H0を50mmとした。隣接する2列のディンプル3のオフセットH00を50mmとした。
【0091】
実施例2の評価はAAだった。
【0092】
(実施例3)
第1実施形態に即した堰のモデルを設定した(
図6、
図15)。堰1の長さLを実施例1と同じく600mmとしたが、高さHは実施例1より高く、550mmとした。前面13の高さH1を400mmとし、湾曲面14の曲率半径rを150mmとし、湾曲面14の下端Bより下流側のθ=60度の場所を接続部bとした。下流側斜面15の角αを60度とし、高さH2を380mmとした。また、接続部cと接続部dとを接続する後面16の曲率半径Rを300mmとした。
【0093】
実施例3の評価はBだった。
【0094】
(実施例4)
第3実施形態に即した堰のモデルを設定した(
図9)。堰1の高さHを550mmとし、長さLを400mmとした。下流側斜面15の角αを34度とし、高さH2を100mmとし、長さL2を150mmとした。上流側斜面17の角βを40度とし、高さH3を150mmとし、長さL3を300mmとした。
【0095】
実施例4の評価はBだった。
【0096】
(実施例5)
第3実施形態に即した堰のモデルを設定した(
図9)。堰1の高さHを550mmとし、長さLを600mmとした。下流側斜面15の角αを40度とし、高さH2を250mmとし、長さL2を300mmとした。上流側斜面17の角βを34度とし、高さH3を100mmとし、長さL3を150mmとした。
【0097】
実施例5の評価はBだった。
【0098】
(実施例6)
第4実施形態に即した堰のモデルを設定した(
図10)。堰1の高さHを550mmとし、長さLを600mmとした。湾曲面14の曲率半径rを305mmとし、湾曲面14の円心oから上面11までの距離H4を245mmとして設定した。
【0099】
実施例6の評価はBだった。
【0100】
(比較例1)
断面が矩形である堰のモデルを設定した(
図16)。堰を、上面、前面、底面および後面を有するものとした。上面から底面までの距離、すなわち堰の上下方向の高さHを550mmとし、前面から後面までの距離、すなわち堰の流れ方向の長さLを600mmとした。
【0101】
比較例1の評価はDだった。
【0102】
(比較例2)
断面が矩形である堰のモデルを設定した(
図16)。堰の上下方向の高さHを300mmとしたことを除き、比較例1と同じ設定とした。
【0103】
比較例2の評価はCだった。