IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2025-39222医用情報処理装置、X線診断装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025039222
(43)【公開日】2025-03-21
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、X線診断装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20250313BHJP
【FI】
A61B6/00 330Z
A61B6/00 350D
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146136
(22)【出願日】2023-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 徹
(72)【発明者】
【氏名】田原 太貴
(72)【発明者】
【氏名】岩井 春樹
(72)【発明者】
【氏名】倉富 奈央子
(72)【発明者】
【氏名】石川 瑠奈
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA11
4C093DA06
4C093FF19
4C093FF23
4C093FF28
4C093FG13
4C093FG16
(57)【要約】
【課題】乳房構成の利用を支援すること。
【解決手段】実施形態に係る医用情報処理装置は、マンモグラフィ画像から所定の基準に従って第1の乳房構成を取得する第1取得部と、前記マンモグラフィ画像から、前記第1の乳房構成とは異なる第2の乳房構成を取得する第2取得部と、前記第1の乳房構成と前記第2の乳房構成とを表示部に表示させる表示制御部とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンモグラフィ画像から所定の基準に従って第1の乳房構成を取得する第1取得部と、
前記マンモグラフィ画像から、前記第1の乳房構成とは異なる第2の乳房構成を取得する第2取得部と、
前記第1の乳房構成と前記第2の乳房構成とを表示部に表示させる表示制御部と
を備える、医用情報処理装置。
【請求項2】
前記第1取得部は、前記マンモグラフィ画像から取得された算出値に基づいて前記第1の乳房構成を取得し、
前記第2取得部は、前記算出値を補正した補正済み算出値に基づいて前記第2の乳房構成を取得する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記算出値は、乳腺密度である、請求項2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、更に、前記算出値を補正して前記補正済み算出値を取得する際に用いられる補正情報の少なくとも一部を前記表示部に表示させる、請求項2に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記補正情報は、前記算出値を補正して前記補正済み算出値を取得する際に用いる補正値を少なくとも含み、
前記表示制御部は、前記補正情報として、前記補正値を前記表示部に表示させる、請求項4に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記補正情報は、前記算出値を補正する際の前記補正値の適用方法に関する情報を少なくとも含み、
前記表示制御部は、前記補正情報として、前記適用方法に関する情報を前記表示部に表示させる、請求項5に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記適用方法に関する情報とは、前記算出値に対して前記補正値を線形に演算する方法、非線形に演算する方法、それらの方法を組みあわせる方法のうち少なくともいずれか一つとそれらの方法に基づく情報である、請求項6に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、更に、前記第1の乳房構成と前記第2の乳房構成との差異に関する情報を前記表示部に表示させる、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記第1取得部は、前記算出値として前記マンモグラフィ画像から第1の乳腺密度を取得し、又は、前記算出値に基づいて第1の乳腺密度を取得し、当該第1の乳腺密度に基づいて前記第1の乳房構成を取得し、
前記第2取得部は、前記補正済み算出値として第2の乳腺密度を取得し、又は、前記補正済み算出値に基づいて第2の乳腺密度を取得し、当該第2の乳腺密度に基づいて第2の乳房構成を取得する、請求項3に記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、更に、前記第1の乳腺密度と前記第2の乳腺密度とを対比可能に前記表示部に表示させる、請求項9に記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、乳腺密度を示す軸と、前記第1の乳腺密度及び前記第2の乳腺密度のそれぞれを指し示す矢印とを対比可能な状態で表示させ、更に、前記軸に乳房構成を対応付けて表示させる、請求項10に記載の医用情報処理装置。
【請求項12】
前記表示制御部は、更に、乳房構成を求める際の基準となるカットオフ値を前記軸上に表示させる、請求項11に記載の医用情報処理装置。
【請求項13】
前記第1取得部は、前記算出値として前記マンモグラフィ画像から乳腺領域の面積と乳腺組織領域の面積とを取得し、前記乳腺領域の面積と前記乳腺組織領域の面積とから前記第1の乳腺密度を取得し、
前記第2取得部は、前記乳腺領域の面積及び前記乳腺組織領域の面積の少なくともいずれか一方を補正して前記補正済み算出値を取得し、少なくともいずれか一方が補正された前記乳腺領域の面積と前記乳腺組織領域の面積とに基づいて前記第2の乳腺密度を取得する、請求項9に記載の医用情報処理装置。
【請求項14】
前記第1取得部は、前記算出値として、前記マンモグラフィ画像から少なくとも乳腺領域の面積を取得し、前記乳腺領域の面積に基づいて前記第1の乳腺密度を取得し、
前記第2取得部は、前記乳腺領域の面積を補正し、補正後の面積に基づいて前記第2の乳腺密度を取得し、
前記表示制御部は、前記マンモグラフィ画像を前記表示部に表示させ、前記第2の乳腺密度を取得するための面積の補正が行われていない前記乳腺領域と、当該補正が行われた前記乳腺領域とを識別可能に前記マンモグラフィ画像上に重畳表示させる、請求項9に記載の医用情報処理装置。
【請求項15】
前記表示制御部は、前記第2の乳腺密度を取得するための面積の補正が行われていない前記乳腺領域を実線で表示し、当該補正が行われた前記乳腺領域を破線で表示させる、請求項14に記載の医用情報処理装置。
【請求項16】
前記第2取得部は、読影対象である前記マンモグラフィ画像とは異なる複数のマンモグラフィ画像から複数の第3の乳腺密度を取得し、前記複数の第3の乳腺密度に対して補正情報候補を適用することで複数の第3の乳房構成を取得し、前記複数の第3の乳房構成と前記複数のマンモグラフィ画像に別途付与された乳房構成との一致度が所定の条件を満たす場合に、前記補正情報候補を前記補正情報として取得する、請求項4に記載の医用情報処理装置。
【請求項17】
前記所定の条件は、一致度が所定の値以上となる場合、一致度が所定の範囲内となる場合、及び、一致度が最大となる場合のいずれかである、請求項16に記載の医用情報処理装置。
【請求項18】
前記第2取得部は、前記補正情報を複数取得し、取得した補正情報の各々に対して前記第2の乳房構成を取得し、
前記表示制御部は、複数の前記補正情報と、複数の前記補正情報に対応した複数の前記第2の乳房構成とを表示させる、請求項16に記載の医用情報処理装置。
【請求項19】
前記第2取得部は、前記複数のマンモグラフィ画像を所定の条件で複数の画像群に分割し、画像群ごとに前記補正情報を取得する、請求項16に記載の医用情報処理装置。
【請求項20】
前記所定の条件は、前記複数のマンモグラフィ画像の乳腺密度の大きさである、請求項19に記載の医用情報処理装置。
【請求項21】
前記第2取得部は、前記複数のマンモグラフィ画像上の乳腺に関する領域を推定し、前記乳腺に関する領域に基づいて乳腺密度を取得する、請求項16に記載の医用情報処理装置。
【請求項22】
前記所定の条件は、前記複数のマンモグラフィ画像上の乳腺に関する領域の大きさである、請求項19に記載の医用情報処理装置。
【請求項23】
前記第2取得部は、前記マンモグラフィ画像から取得される第1の乳腺密度と前記補正情報とに基づき複数の第2の乳腺密度を取得し、
前記表示制御部は、前記第1の乳腺密度と前記複数の第2の乳腺密度とを併せて表示させる、請求項4に記載の医用情報処理装置。
【請求項24】
前記第2取得部は、前記複数の第2の乳腺密度に基づき、複数の第2の乳房構成を取得し、
前記表示制御部は、前記複数の第2の乳房構成を表示させる、請求項23に記載の医用情報処理装置。
【請求項25】
前記第1取得部は、所定の輝度値を閾値として前記マンモグラフィ画像から第1の乳腺領域を抽出し、当該第1の乳腺領域の面積に基づいて前記第1の乳房構成を取得し、
前記第2取得部は、前記閾値を補正し、補正後の閾値に基づいて前記マンモグラフィ画像から第2の乳腺領域を抽出し、当該第2の乳腺領域の面積に基づいて前記第2の乳房構成を取得する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項26】
前記第1取得部は、前記マンモグラフィ画像から第1の乳腺密度を取得し、当該第1の乳腺密度を所定のカットオフ値と比較することで前記第1の乳房構成を取得し、
前記第2取得部は、前記所定のカットオフ値を補正し、前記第1の乳腺密度を補正後のカットオフ値と比較することで前記第2の乳房構成を取得する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項27】
被検体を撮影してマンモグラフィ画像を収集する収集部と、
前記マンモグラフィ画像から所定の基準に従って第1の乳房構成を取得する第1取得部と、
前記マンモグラフィ画像から、前記第1の乳房構成とは異なる第2の乳房構成を取得する第2取得部と、
前記第1の乳房構成と前記第2の乳房構成とを表示部に表示させる表示制御部と
を備える、X線診断装置。
【請求項28】
マンモグラフィ画像から所定の基準に従って第1の乳房構成を取得し、
前記マンモグラフィ画像から、前記第1の乳房構成とは異なる第2の乳房構成を取得し、
前記第1の乳房構成と前記第2の乳房構成とを表示部に表示させる
ことを含む、医用情報処理方法。
【請求項29】
マンモグラフィ画像から所定の基準に従って第1の乳房構成を取得し、
前記マンモグラフィ画像から、前記第1の乳房構成とは異なる第2の乳房構成を取得し、
前記第1の乳房構成と前記第2の乳房構成とを表示部に表示させる
各処理をコンピュータに実行させる、医用情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置、X線診断装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
乳房構成と呼ばれる指標が知られている。乳房構成は、乳腺組織の多寡を示す指標であり、被検体の乳房をX線撮影したマンモグラフィ画像から取得することができる。例えば、乳房構成は、マンモグラフィ画像の読影者が目視で判定したり、画像処理によって自動判定したりすることができる。ここで、判定方法に応じて乳房構成が変化する場合があり、提示された乳房構成をどの程度信頼してよいのか、判断が難しい場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-170881号公報
【特許文献2】特開2022-105079号公報
【特許文献3】特開2022-162969号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】南 寛威著、デジタルマンモグラフィー画像を用いた乳房構成解析ソフトウェア(Bda)の紹介、KONICA MINOLTA TECHNOLOGY REPORT VOL.19、2022年、pp. 78―82
【非特許文献2】甲斐 敏弘著、乳腺量ソフトの特徴と「みかけ高濃度」群、「相対的低濃度」群における測定値補正の試み、日本乳癌検診学会誌、2021年3月30日、pp. 87―95
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、乳房構成の利用を支援することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用情報処理装置は、マンモグラフィ画像から所定の基準に従って第1の乳房構成を取得する第1取得部と、前記マンモグラフィ画像から、前記第1の乳房構成とは異なる第2の乳房構成を取得する第2取得部と、前記第1の乳房構成と前記第2の乳房構成とを表示部に表示させる表示制御部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る乳房構成の概要を説明するための図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の処理の概要を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置による一連の処理を示すフローチャートである。
図6A図6Aは、第1の実施形態に係る表示例である。
図6B図6Bは、第1の実施形態に係る表示例である。
図6C図6Cは、第1の実施形態に係る表示例である。
図7A図7Aは、第2の実施形態に係る表示例である。
図7B図7Bは、第2の実施形態に係る表示例である。
図7C図7Cは、第3の実施形態に係る表示例である。
図7D図7Dは、第3の実施形態に係る表示例である。
図8図8は、第4の実施形態に係る医用情報処理装置の処理の概要を説明するための図である。
図9図9は、第4の実施形態に係る医用情報処理装置による一連の処理を示すフローチャートである。
図10A図10Aは、第4の実施形態に係る表示例である。
図10B図10Bは、第4の実施形態に係る表示例である。
図11図11は、第5の実施形態に係る医用情報処理装置による一連の処理を示すフローチャートである
図12A図12Aは、第5の実施形態に係る画像群への分割を示す概念図である。
図12B図12Bは、第5の実施形態に係る画像群への分割を示す概念図である。
図13図13は、第6の実施形態に係る表示例である。
図14図14は、第6の実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、医用情報処理装置、X線診断装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラムの実施形態について詳細に説明する。なお、実施形態は以下の説明に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下で説明する図面において、同じ機能を有するものは同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、医用情報処理装置30を含んだ医用情報処理システム1を例として説明する。例えば、医用情報処理システム1は、図1に示すように、X線診断装置10、データベース20及び医用情報処理装置30を備える。図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、X線診断装置10、データベース20及び医用情報処理装置30は、ネットワーク40を介して接続される。ここで、ネットワーク40は、院内で閉じたローカルネットワークにより構成されてもよいし、インターネットを介したネットワークでもよい。例えば、ネットワーク40は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)を含む。
【0011】
X線診断装置10は、被検体からマンモグラフィ画像を収集する装置である。X線診断装置10の具体的な構成例については後述する。
【0012】
データベース20は、種々のデータを保管する保管装置であり、例えばサーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。データベース20は、RIS(Radiology Information System)やHIS(Hospital Information System)、PACS(Picture Archiving and Communication System)といった情報管理システムのサーバであってもよい。例えば、データベース20は、X線診断装置10によって収集されたマンモグラフィ画像を保管する画像保管装置を含む。なお、図1には単一のデータベース20を示すが、データベース20は、複数の保管装置の組み合わせによって実現されてもよい。
【0013】
医用情報処理装置30は、処理回路35による処理により、マンモグラフィ画像から取得される乳房構成の利用を支援する。例えば、医用情報処理装置30は、図1に示すように、通信インターフェース31と、入力インターフェース32と、ディスプレイ33と、メモリ34と、処理回路35とを有する。
【0014】
通信インターフェース31は、例えば、LANカード等のネットワークカードや、ネットワークアダプタ等から構成される。通信インターフェース31は、処理回路35による制御の下、ネットワーク40を介して接続された装置との間で各種情報を送受信する。
【0015】
入力インターフェース32は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路35に出力する。例えば、入力インターフェース32は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース32は、医用情報処理装置30本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース32は、モーションキャプチャによりユーザからの入力操作を受け付ける回路であっても構わない。一例を挙げると、入力インターフェース32は、トラッカーを介して取得した信号やユーザについて収集された画像を処理することにより、ユーザの体動や視線等を入力操作として受け付けることができる。また、入力インターフェース32は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、医用情報処理装置30とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路35へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース32の例に含まれる。
【0016】
ディスプレイ33は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ33は、処理回路35による制御の下、X線診断装置10により撮影されたマンモグラフィ画像や、マンモグラフィ画像から取得された乳房構成の表示を行なう。また、例えば、ディスプレイ33は、入力インターフェース32を介してユーザから各種の指示や設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。例えば、ディスプレイ33は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ33は、デスクトップ型でもよいし、医用情報処理装置30本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ディスプレイ33は、表示部の一例である。
【0017】
なお、図1においては医用情報処理装置30がディスプレイ33を備えるものとして説明するが、医用情報処理装置30は、ディスプレイ33に代えて又は加えて、プロジェクタを備えてもよい。プロジェクタは、処理回路35による制御の下、スクリーンや壁、床等に対して投影を行なうことができる。一例を挙げると、プロジェクタは、プロジェクションマッピングによって、任意の平面や物体、空間等への投影を行なうこともできる。かかるプロジェクタは、表示部の一例である。
【0018】
メモリ34は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ34は、マンモグラフィ画像や、マンモグラフィ画像から取得された乳房構成といった各種のデータを記憶する。また、メモリ34は、医用情報処理装置30に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。メモリ34は、医用情報処理装置30とネットワーク40を介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
【0019】
処理回路35は、受信機能351、第1取得機能352、第2取得機能353及び表示制御機能354を実行することで、医用情報処理装置30全体の動作を制御する。第1取得機能352は、第1取得部の一例である。第2取得機能353は、第2取得部の一例である。表示制御機能354は、表示制御部の一例である。
【0020】
例えば、処理回路35は、受信機能351に対応するプログラムをメモリ34から読み出して実行することにより、X線診断装置10により撮影されたマンモグラフィ画像を受信してメモリ34に記憶させる。例えば、受信機能351は、通信インターフェース31の動作を制御することで、データベース20に保管されたマンモグラフィ画像をネットワーク40を介して受信する。或いは、受信機能351は、データベース20を介することなく、X線診断装置10から直接的にマンモグラフィ画像を受信してもよい。
【0021】
また、処理回路35は、第1取得機能352に対応するプログラムをメモリ34から読み出して実行することにより、マンモグラフィ画像から所定の基準に従って第1の乳房構成を取得する。また、処理回路35は、第2取得機能353に対応するプログラムをメモリ34から読み出して実行することにより、マンモグラフィ画像から、第1の乳房構成とは異なる第2の乳房構成を取得する。また、処理回路35は、表示制御機能354に対応するプログラムをメモリ34から読み出して実行することにより、第1の乳房構成と第2の乳房構成とを表示部に表示させる。第1取得機能352、第2取得機能353及び表示制御機能354による処理の詳細は後述する。
【0022】
図1に示す医用情報処理装置30においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ34へ記憶されている。処理回路35は、メモリ34からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、プログラムを読み出した状態の処理回路35は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0023】
なお、図1においては単一の処理回路35にて、受信機能351、第1取得機能352、第2取得機能353及び表示制御機能354が実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路35を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路35が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0024】
また、処理回路35は、ネットワーク40を介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路35は、メモリ34から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、医用情報処理装置30とネットワーク40を介して接続されたサーバ群(クラウド)を計算資源として利用することにより、図1に示す各機能を実現する。
【0025】
次に、X線診断装置10の構成の一例について、図2を用いて説明する。図2に示すX線診断装置10は、被検体Pの乳房を対象として撮影を行なうマンモグラフィ装置である。
【0026】
図2に示すX線診断装置10は、基台101と、スタンド102とを有する。スタンド102は、基台101上に立設され、撮影台103と、圧迫板104と、X線管105と、X線絞り器106と、X線検出器107と、信号処理回路108とを支持する。ここで、スタンド102は、撮影台103と、圧迫板104と、X線検出器107及び信号処理回路108とを、上下方向へ移動可能に支持する。
【0027】
撮影台103は、被検体Pの乳房を支持する台であり、乳房が載せられる支持面を有する。圧迫板104は、撮影台103の上方に配置され、撮影台103に対して平行に対向するように設けられる。ここで、圧迫板104は、撮影台103に接離する方向へ移動可能に設けられる。例えば、圧迫板104は、撮影台103に接近する方向に移動することで、撮影台103上に支持されている乳房を圧迫する。圧迫板104によって圧迫された乳房は薄く押し広げられ、乳房内の乳腺の重なりが減少する。
【0028】
X線管105は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管105は、X線高電圧装置110から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、X線を発生する。
【0029】
X線絞り器106は、X線管105と圧迫板104との間に配置され、X線管105が発生させたX線を制御する。例えば、X線絞り器106は、X線の照射範囲を絞り込むコリメータと、X線を調節するフィルタとを有する。
【0030】
X線絞り器106におけるコリメータは、例えば、スライド可能な4枚の絞り羽根を有し、これら絞り羽根をスライドさせることで、X線管105が発生させたX線を絞り込んで乳房に照射させる。ここで、絞り羽根は、鉛などで構成された板状部材であり、X線の照射範囲を調整するためにX線管105のX線照射口付近に設けられる。
【0031】
X線絞り器106におけるフィルタは、被検体に対する被曝線量の低減と画質向上を目的として、その材質や厚みによって透過するX線の線質を変化させ、被検体に吸収されやすい軟線成分を低減したり、画像のコントラスト低下を招く高エネルギー成分を低減したりする。また、フィルタは、その材質や厚み、位置などによってX線の線量及び照射範囲を変化させ、被検体Pのへ照射されるX線が予め定められた分布になるようにX線を減衰させる。
【0032】
例えば、X線絞り器106は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路115による制御の下、駆動機構を動作させることによりX線の照射を制御する。例えば、X線絞り器106は、処理回路115から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、コリメータの絞り羽根の開度を調整して、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、例えば、X線絞り器106は、処理回路115から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、フィルタの位置を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の線量の分布を制御する。
【0033】
X線検出器107は、例えば、マトリクス状に配列された検出素子を有するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)である。X線検出器107は、X線管105から照射されて被検体Pの乳房を透過したX線を検出し、検出したX線量に対応した検出信号を信号処理回路108へと出力する。なお、X線検出器107は、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器であってもよいし、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0034】
例えば、X線検出器107は、X線管105から照射されたX線パルスを検出し、検出したX線量に対応した検出信号を生成する。ここで、X線検出器107は、生成した検出信号を保持する。また、X線検出器107は、X線パルスの照射後に検出信号を信号処理回路108に対して出力する。そして、信号処理回路108は、X線検出器107から出力された検出信号に基づいて投影データを生成し、メモリ114に格納する。
【0035】
また、図2に示すように、X線診断装置10は、昇降駆動装置109と、X線高電圧装置110と、通信インターフェース111と、入力インターフェース112と、ディスプレイ113と、メモリ114と、処理回路115とを有する。
【0036】
昇降駆動装置109は、撮影台103及び圧迫板104に接続される。例えば、昇降駆動装置109は、撮影台103を上下方向へ昇降させる。また、例えば、昇降駆動装置109は、圧迫板104を上下方向(撮影台103に対して接離する方向)へ昇降させる。例えば、昇降駆動装置109は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、処理回路115による制御の下、駆動機構を動作させることにより、撮影台103及び圧迫板104の昇降を制御する。
【0037】
X線高電圧装置110は、処理回路115による制御の下、X線管105に高電圧を供給する。例えば、X線高電圧装置110は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管105に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管105が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。なお、高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。
【0038】
通信インターフェース111、入力インターフェース112、ディスプレイ113及びメモリ114についての詳細な説明は省略する。例えば、通信インターフェース111、入力インターフェース112、ディスプレイ113及びメモリ114は、図1に示した通信インターフェース31、入力インターフェース32、ディスプレイ33及びメモリ34と同様にして構成することができる。
【0039】
処理回路115は、収集機能1151及び出力機能1152を実行することで、X線診断装置10全体の動作を制御する。収集機能1151は、収集部の一例である。出力機能1152は、表示制御部の一例である。
【0040】
例えば、処理回路115は、収集機能1151に対応するプログラムをメモリ114から読み出して実行することにより、被検体Pを撮影してマンモグラフィ画像を収集する。例えば、収集機能1151は、被検体Pの乳房に対するX線照射角度を変化させた複数の投影データを収集し、これら複数の投影データから複数のマンモグラフィ画像(スライス)を再構成する。なお、実施形態のマンモグラフィ画像は、医学的な診断、検査、研究などの目的で撮影される被検体Pの画像である。実施形態のマンモグラフィ画像は、例えば、頭尾方向(CC)や、内外斜位方向(MLO)の画像である。なお、図2の装置構成はあくまで一例であり、マンモグラフィ画像を収集することが可能であれば、任意のX線マンモグラフィ装置やトモシンセシス装置を、X線診断装置10として採用することができる。
【0041】
また、処理回路115は、出力機能1152に対応するプログラムをメモリ114から読み出して実行することにより、収集機能1151によって収集されたマンモグラフィ画像を出力する。例えば、出力機能1152は、マンモグラフィ画像をディスプレイ113に表示させる。また、例えば、出力機能1152は、マンモグラフィ画像を、ネットワーク40を介してデータベース20に送信して保管させる。或いは、出力機能1152は、マンモグラフィ画像を医用情報処理装置30に対して送信してもよい。
【0042】
図2に示すX線診断装置10においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ114へ記憶されている。図2に示す各種の回路は、メモリ114からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、プログラムを読み出した状態の回路は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0043】
なお、図2においては単一の処理回路115にて、収集機能1151及び出力機能1152が実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路115を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路115が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0044】
また、処理回路115は、ネットワーク40を介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路115は、メモリ114から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、X線診断装置10とネットワーク40を介して接続されたサーバ群(クラウド)を計算資源として利用することにより、図2に示す各機能を実現する。
【0045】
以上、X線診断装置10、データベース20及び医用情報処理装置30を含んだ医用情報処理システム1について説明した。かかる構成のもと、医用情報処理装置30は、乳房構成の利用を支援する。
【0046】
まず、図3を用いて、乳房構成の概要を説明する。なお、以下では一例として、内外斜位方向(MLO)のマンモグラフィ画像を図示しつつ説明を行なう。
【0047】
図3のマンモグラフィ画像I11に示すように、被検体Pの乳房を撮影したマンモグラフィ画像には種々の組織が現れる。なお、図3においては、特定非営利活動法人日本乳がん検診精度管理中央機構のガイドラインに沿って各種の組織を定義しつつ説明を行なうが、組織の定義については適宜変更が可能である。
【0048】
例えば、マンモグラフィ画像I11には、乳房A11と大胸筋A14とが含まれる。乳房A11には、もともと乳腺組織が存在していた領域A12や、乳腺が現存する領域A13が含まれる。領域A13は、大胸筋の濃度と同等かそれ以上の部分の総和である。上記のガイドラインでは、領域A12に対する領域A13の割合を乳腺密度として定義している。
【0049】
乳房構成とは、例えば、乳腺密度の多寡を分類するためのカテゴリである。例えば、上記のガイドラインでは、乳房構成として、「脂肪性」「乳腺散在」「不均一高濃度」「極めて高濃度」の4分類を定義している。より具体的には、上記のガイドラインでは、乳腺密度から乳房構成を求める(分類する)基準として、乳腺密度が10%未満を「脂肪性」、10%以上50%未満を「乳腺散在」、50%以上80%未満を「不均一高濃度」、80%以上を「極めて高濃度」と定めている。「10%」、「50%」、「80%」といった乳房構成を求める際の基準となる数値については、カットオフ値とも記載する。
【0050】
なお、以下の説明では、図3の領域A12等の「もともと乳腺組織が存在していた領域」を乳腺組織領域とも記載する。また、領域A13等の「大胸筋の濃度と同等かそれ以上の部分の総和」を乳腺領域とも記載する。
【0051】
ところで、従来、乳房構成は読影者が目視によって判定していた。また、これまで、乳房構成を自動判定するための様々な手法が研究されてきた。例えば、非特許文献1は、乳腺密度に基づく乳房構成の自動判定方法を提案している。また、非特許文献2は、乳腺量比率から乳房構成を算出する際に用いるカットオフ値として、既定のカットオフ値ではなく、読影を行う個人や施設に独自のカットオフ値を設定することで、ソフトウェアによって自動判定される乳房構成が、読影を行う個人や施設における目視の判定による乳房構成に近づくようにしている。
【0052】
目視の判定による乳房構成に近づくように自動判定を行なうことで、乳房構成を、医師等のユーザにとって利用しやすい情報とすることができる。即ち、最終的な診断はユーザが行なうものであるところ、ユーザの体感に近い情報となるように乳房構成を判定することは有意義である。しかしながら、このような自動判定を行なう場合、読影を行う個人や施設に応じて乳房構成の判定結果にばらつきが生じ得るため、提示された乳房構成をどの程度信頼してよいかの判断が難しい場合がある。
【0053】
そこで、第1の実施形態に係る医用情報処理装置30は、以下で詳細に説明する処理回路35の処理により、乳房構成の利用を支援する。具体的には、医用情報処理装置30は、マンモグラフィ画像から所定の基準に従って第1の乳房構成を取得し、マンモグラフィ画像から、第1の乳房構成とは異なる第2の乳房構成を取得し、第1の乳房構成と第2の乳房構成とを表示部に表示させることで、乳房構成の利用を支援する。
【0054】
まず、図4を用いて、医用情報処理装置30の処理の概要を説明する。なお、図4においては、メモリ34の例として、ROM34a、RAM34b及び記憶部34cを示す。ROM232は、不揮発性のメモリなどにより構成され、各種プログラム、データなどを記憶する。RAM233は、揮発性のメモリなどにより構成され、実行中のプログラム、データを一時的に記憶する。記憶部34cは、例えばHDD(Hard Disk Drive)などにより構成され、各種プログラムや各種データを記憶する。
【0055】
第1の実施形態に係る医用情報処理装置30は、その機能的な構成として、図4に示す第1の乳腺密度取得部352a、第1の乳房構成取得部352b、補正情報取得部353a、第2の乳房構成取得部353b及び表示制御部354aを含む。例えば、第1の乳腺密度取得部352a及び第1の乳房構成取得部352bは、処理回路35が第1取得機能352に対応するプログラムをメモリ34から読み出して実行することにより実現される。同様に、補正情報取得部353a及び第2の乳房構成取得部353bは、処理回路35が第2取得機能353に対応するプログラムをメモリ34から読み出して実行することにより実現される。同様に、表示制御部354aは、処理回路35が表示制御機能354に対応するプログラムをメモリ34から読み出して実行することにより実現される。
【0056】
第1の乳腺密度取得部352aは、マンモグラフィ画像から乳腺密度を取得する。第1の乳腺密度取得部352aがマンモグラフィ画像から取得する乳腺密度については、第1の乳腺密度とも記載する。
【0057】
以下の説明において、マンモグラフィ画像から取得され、乳房構成の取得に用いられる値については、算出値と記載する。算出値の用語は、その取得方法を限定するものではなく、マンモグラフィ画像について計測を行なった結果であってもよいし、マンモグラフィ画像や計測結果に基づく計算処理が行われた結果であってもよいし、その他の手法で取得された値であってもよい。第1の乳腺密度は、マンモグラフィ画像から取得される算出値の一例である。
【0058】
第1の乳房構成取得部352bは、所定の基準に従い、第1の乳腺密度に基づいて乳房構成を取得する。例えば、第1の乳房構成取得部352bは、上述のガイドラインに従って、乳房構成を取得する。第1の乳房構成取得部352bが所定の基準に従って取得する乳房構成については、第1の乳房構成とも記載する。
【0059】
補正情報取得部353aは、第1の乳腺密度を補正する際に用いられる補正情報を取得する。第2の乳房構成取得部353bは、補正情報を第1の乳腺密度に適用することで第2の乳腺密度を取得し、第2の乳腺密度に基づいて乳房構成を取得する。第2の乳腺密度は、補正済み算出値の一例である。
【0060】
ここで、補正情報を第1の乳腺密度に適用して第2の乳腺密度を取得することは、上述のガイドラインには含まれない工程である。即ち、第2の乳房構成取得部353bが第2の乳腺密度に基づいて取得する乳房構成は、所定の基準に従ったものではなく、上述の第1の乳房構成とは異なる乳房構成である。第2の乳房構成取得部353bが取得する、第1の乳房構成とは異なる乳房構成については、第2の乳房構成とも記載する。表示制御部354aは、取得した第1の乳房構成と第2の乳房構成とを、ディスプレイ33に表示する制御を行なう。
【0061】
次に、図5に示されたフローチャートを用いて、医用情報処理装置30の処理のより詳細な具体例を説明する。
【0062】
まず、ステップS101の処理に先立って、マンモグラフィ画像の取得が行われる。上述した通り、処理回路35は、受信機能351に対応するプログラムをメモリ34から読み出して実行することにより、ネットワーク40を介してマンモグラフィ画像を受信し、メモリ34に記憶させることができる。例えば、処理回路35は、入力インターフェース32を介したユーザからの画像取得の指示に基づき、画像を一意に特定可能な識別子(「ID」とも呼ぶ)を用いて、データベース20に保存された画像を検索することで、読影対象のマンモグラフィ画像を取得する。
【0063】
ステップS101において、第1の乳腺密度取得部352aは、第1の乳腺密度を取得する。例えば、第1の乳腺密度取得部352aは、不図示の機械学習モデルにより、取得したマンモグラフィ画像における乳腺組織領域と乳腺領域とを推定する。そして、乳腺領域の面積を乳腺組織領域の面積で除算することで、第1の乳腺密度を取得する。
【0064】
ここで用いる機械学習モデルは、例えばデータベース20において保管される。この場合、第1の乳腺密度取得部352aは、ネットワーク40を介して機械学習モデルを適宜読み出し、利用することができる。機械学習モデルは、例えば、画像と乳腺組織領域、乳腺領域とが対になった複数のデータを教師データとして、画像を入力、乳腺組織領域、乳腺領域が出力となるよう、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)を機械学習することで構築したものである。ここで、機械学習モデルは、DNN(Deep Neural Network)、SVM(Support Vector Machine)、ViT(Vision Transformer)など、CNN以外の方式を用いて構築してもよい。また、機械学習モデルは、乳腺組織領域を推定する機械学習モデルと、乳腺領域を推定する機械学習モデルとの組み合わせでもよい。また、乳腺領域を推定する機械学習モデルは、乳腺領域を判定する輝度値の閾値を推定し、推定した閾値以上となる領域を乳腺領域として取得してもよい。また、判別分析法等の画像解析手法で推定してもよい。また、乳腺領域と乳腺組織領域は、機械学習モデルで推定する代わりに、取得する画像に対してあらかじめ付与した情報をデータベース20に保持しておいて、データベース20からそれらを取得してもよい。
【0065】
ステップS102において、第1の乳房構成取得部352bは、所定の基準に従って第1の乳房構成を取得する。例えば、第1の乳房構成取得部352bは、上述のガイドラインに従って第1の乳腺密度にカットオフ値を適用することで、第1の乳房構成を取得する。即ち、第1の乳房構成取得部352bは、第1の乳腺密度をカットオフ値と比較し、第1の乳腺密度が10%未満であれば「脂肪性」、10%以上50%未満であれば「乳腺散在」、50%以上80%未満であれば「不均一高濃度」、80%以上であれば「極めて高濃度」と判定する。
【0066】
ステップS103において、補正情報取得部353aは、補正情報を取得する。また、ステップS104において、第2の乳房構成取得部353bは、補正情報に基づいて第1の乳腺密度を補正することで第2の乳腺密度を取得し、第2の乳腺密度にステップS102と同様のカットオフ値を適用することで、第2の乳房構成を取得する。
【0067】
例えば、第2の乳房構成取得部353bは、第1の乳腺密度に対して定数である補正値を加算することで、第2の乳腺密度を取得する。この場合、補正情報取得部353aは、補正値を補正情報として、例えばデータベース20から取得することができる。なお、補正情報は、補正値以外の補正に関する情報として、補正の内容を説明するテキスト情報(例えば、「乳腺密度に補正値を加算する」)を含んでもよい。なお、補正の方法は、補正値の加算に限定されるものではなく、例えば減算や乗算、除算、或いはこれらの組み合わせ等であってもよい。
【0068】
また、補正値以外の補正に関する情報として、補正値の適用方法に関する情報を取得し、取得した適用方法で第1の乳腺密度を補正する構成でもよい。ここで、補正値の適用方法に関する情報とは、例えば、「加算」「乗算」「減算」「除算」といった情報である。あるいは、補正値の適用方法に関する情報として、補正前の乳腺密度から補正後の乳腺密度を求める線形または非線形の補正式を保存し、これを取得して適用してもよい。また、補正情報は、補正前の乳腺密度から補正後の乳腺密度を算出可能な情報であれば、何れの形態の情報であってもよい。例えば、補正情報は、補正前の乳腺密度から補正後の乳腺密度をテーブル引きできるようにしたルックアップテーブルでもよい。
【0069】
ステップS105において、表示制御部354aは、第1の乳房構成と第2の乳房構成とを表示部に表示させる。例えば、表示制御部354aは、第1の乳房構成と第2の乳房構成とをディスプレイ33に併せて表示させる。
【0070】
表示制御部354aによる第1の乳房構成及び第2の乳房構成の表示例について、図6Aを用いて説明する。図6Aは、第1の乳房構成及び第2の乳房構成を併せて表示させる際の表示例である。例えば、表示制御部354aは、表示画面Dの中に、読影対象のマンモグラフィ画像I12と、乳房構成の提示領域R11とを表示させる。
【0071】
そして、表示制御部354aは、提示領域R11に、第1の乳房構成及び第2の乳房構成をテキスト形式で表示させる。図6Aの表示例では、第1の乳房構成として「補正前:脂肪性」、第2の乳房構成として「補正後:乳腺散在」が表示されている。即ち、図6Aの表示例は、補正情報を用いた補正を行なうことなく所定の基準に従って取得された第1の乳房構成が「脂肪性」であり、第1の乳腺密度を補正した第2の乳腺密度に基づいて取得された第2の乳房構成が「乳腺散在」あることを示す。
【0072】
なお、表示制御部354aは、乳房構成の提示領域R11に、第1の乳房構成と第2の乳房構成とを切り替えて表示させてもよい。図6B及び図6Cは、第1の乳房構成及び第2の乳房構成を切り替え表示させる際の表示例である。図6B及び図6Cの表示例では、第1の乳房構成(補正前の乳房構成)を表示するか第2の乳房構成(補正後の乳房構成)を表示するかを、チェックボックスR12へのユーザの指示で切り替えることができる。図6Bでは、チェックボックスR12に補正を指示するチェックが入っていないため、表示制御部354aは、乳房構成の提示領域R11に第1の乳房構成を表示させる。一方、図6Cでは、チェックボックスR12に補正を指示するチェックが入っているため、表示制御部354aは、乳房構成の提示領域R11に第2の乳房構成を表示させる。
【0073】
例えば、表示制御部354aは、ユーザによるマウス操作に基づき、画面切り替え用のチェックボックスを介して画面を切り替える指示を取得し、乳房構成の提示領域R11の表示を切り替える。なお、画面の切り替えは、チェックボックス以外に、ラジオボタン、プルダウンメニュー、切り替え用ボタンなどで行ってもよい。また、マウス操作以外に、キーボードやタッチパネル、非接触センサ、音声認識、等の何れのユーザインタフェースによって画面を切り替える指示を取得してもよい。また、ユーザの指示に基づく以外に、例えば一定時間ごとに切り替えるなど、あらかじめ決められた設定によって自動的に切り替えてもよい。
【0074】
図6A図6Cの表示画面Dはあくまで一例であり、種々の変形が可能である。例えば、表示制御部354aは、図6A図6Cに示したようなテキストでの表示以外に、アイコン、略称、番号での表示や、乳房構成の4分類が示された軸上への矢印の配置などで乳房構成の提示を行なってもよい。また、第1の乳房構成と第2の乳房構成との表示態様が異なっていてもよい。
【0075】
表示制御部354aは、第1の乳房構成と第2の乳房構成との差異に関する情報をさらに表示してもよい。差異に関する情報は、例えば差異を示す情報であり、差異を取得する前の基情報を含んでもよい。例えば、表示制御部354aは、第1の乳房構成と第2の乳房構成の差異の状態に基づいて、乳房構成に関わる情報の表示態様を変更してもよい。例えば、表示制御部354aは、二つの乳房構成の差異が所定の条件を満たす場合に、その旨をユーザに通知する情報を表示させてもよい。例えば、表示制御部354aは、二つの乳房構成が異なる場合に、アラートを表示させる、或いは第1の乳房構成を強調表示させるなどして、ユーザに知らせてもよい。なお、所定の条件は、二つの乳房構成が異なる場合に限らず、二つの乳房構成が2段階以上異なる場合などでもよい。
【0076】
なお、第1の乳房構成と第2の乳房構成とを無条件で表示させる例について説明したが、表示制御部354aは、二つの乳房構成が一致しなかった場合にのみ、二つの乳房構成を表示させてもよい。すなわち、表示制御部354aは、二つの乳房構成が一致した場合に、第2の乳房構成のみを(あるいは、第1の乳房構成のみを)表示させてもよい。また、表示制御部354aは、二つの乳房構成が一致した場合に、第1の乳房構成と第2の乳房構成との差異に関する情報として、補正前後の乳房構成が一致したことを示す情報を、第2の乳房構成と(或いは第1の乳房構成と)併せて表示させてもよい。
【0077】
上述したように、第1の実施形態に係る第1取得機能352は、マンモグラフィ画像から所定の基準に従って第1の乳房構成を取得する。また、第2取得機能353は、マンモグラフィ画像から、第1の乳房構成とは異なる第2の乳房構成を取得する。また、表示制御機能354は、第1の乳房構成と第2の乳房構成とを表示部に表示させる。これにより、第1の実施形態に係る医用情報処理装置30は、乳房構成の利用を支援することができる。
【0078】
例えば、第2の乳房構成は、第1の乳腺密度を補正した第2の乳腺密度に基づいて取得される。この場合、第2の乳房構成は、例えばユーザの体感に近い有用な情報となり得る反面、補正の内容に応じたばらつきが生じる場合がある。ここで、ユーザとしては、所定の基準に従って取得された第1の乳房構成を参照することで、第2の乳腺密度をどの程度信頼できるか判断することができる。例えば、第1の乳房構成と第2の乳房構成との間に差異がない場合、当該乳房構成の信頼度は高いと判断することができる。一方で第1の乳房構成と第2の乳房構成との間に差異がある場合、診断を行なう上で当該乳房構成に依存し過ぎないよう、例えば乳房構成の再取得を指示したり、別種の医用データを参照したりといった適当な対応が可能となる。
【0079】
(第1の実施形態の変形例)
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。第1の実施形態では、第1の乳腺密度を補正することで第2の乳腺密度を得て、第2の乳腺密度から第2の乳房構成を取得する例について説明した。即ち、第1の実施形態では、乳房構成の取得に用いる算出値のうち、乳腺密度を補正対象とする例について説明した。しかしながら、補正対象となる算出値はこれに限定されるものではない。即ち、第2の乳房構成取得部353bは、マンモグラフィ画像から乳房構成を取得する過程で算出される乳腺密度以外の算出値を補正対象とし、当該算出値に補正を施すことで、第2の乳房構成を取得してもよい。
【0080】
一例として、乳腺領域の面積を補正対象の算出値として説明する。以下に、乳腺領域の面積を補正対象とした場合の、第1の実施形態と処理が異なる箇所の説明を記載する。
【0081】
本変形例の第1の乳腺密度取得部352aは、ステップS101において、第1の乳腺密度に加えて、補正対象である所定の中間値として乳腺領域の面積も取得する。また、ステップS103において、補正情報取得部353aは、乳腺領域の面積を補正するための補正情報をデータベース20から取得する。その後、ステップS104において、第2の乳房構成取得部353bは、補正情報取得部353aが取得した補正値を乳腺領域の面積に加算することで補正を行なう。そして、第2の乳房構成取得部353bは、補正後の乳腺領域を乳腺組織領域で除算することで、第2の乳房構成を取得する。なお、本変形例における補正対象は、乳腺領域の面積に限定されるものではなく、例えば乳腺組織領域の面積でもよい。
【0082】
第1の実施形態と同様、本変形例では、例えば目視の判定に近づくように補正された乳房構成(第2の乳房構成)に加えて、所定の基準に従って判定された乳房構成(第1の乳房構成)をさらに表示させる。これによって、目視の判定に近づけた乳房構成(第2の乳房構成)をどの程度信頼してよいかの判断がしやすくなる効果がある。
【0083】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、第1の乳房構成と第2の乳房構成とに加えて、補正情報を表示させる例について説明する。なお、以下の説明において第1の実施形態と同様の構成や処理については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0084】
第2の実施形態に係る表示制御部354aは、図5に示したフローチャートのステップS105において、第1の乳房構成及び第2の乳房構成に加えて、補正情報を表示画面に表示させる。例えば、表示制御部354aは、補正情報として、補正値を表示する。以下、図7A図7Bを参照しながら、第2の実施形態に係る表示例を説明する。
【0085】
例えば、表示制御部354aは、図7Aに示す通り、表示画面Dの中に、読影対象のマンモグラフィ画像I12と、乳房構成の提示領域R11と補正情報の提示領域R13とを表示させる。図7Aの例では、表示制御部354aは、補正情報の提示領域R13に、補正情報として、補正値が「補正値X:5」、補正式が「補正後乳腺密度=乳腺密度+X」、補正の内容を説明するテキスト情報が「乳腺密度に補正値を加算する」と、夫々表示されている。なお、補正式、及び、補正の内容を説明するテキスト情報は、補正値の適用方法に関する情報の一例である。
【0086】
なお、表示制御部354aは、補正値、補正式、補正の内容を説明するテキスト情報といった種々の補正情報の全てを表示させてもよいし、その一部のみを表示させてもよい。また、表示制御部354aは、図6B図6Cで説明した第1の乳房構成と第2の乳房構成との切り替え表示を行なうとともに、補正情報を表示させてもよい。
【0087】
図7Bは、第2の実施形態に係る別の表示例である。図7Bは、第2の乳房構成を取得するための補正処理として、乳腺領域の面積拡大処理が行われた例を示す。例えば、補正情報取得部353aは所定の補正値を取得し、第2の乳房構成取得部353bは、読影対象のマンモグラフィ画像I12から取得された乳腺領域の面積に対して補正値を加算したり乗算したりする。なお、かかる面積拡大処理は、例えばユーザからの要求に応じて複数回行なわれる場合もある。更に、第2の乳房構成取得部353bは、面積拡大処理が行われた後の乳腺領域の面積を乳腺組織領域の面積で除算して乳腺密度を取得し、取得した乳腺密度をカットオフ値と比較することで、第2の乳房構成を取得する。
【0088】
ここで、図7Bでは、補正情報として、面積拡大処理が「n1回」行なわれこと、補正前の乳腺密度の計算式が「x1ピクセル/y1ピクセル」であったこと、補正後の乳腺密度の計算式が「x2ピクセル/y1ピクセル」であったことなどが表示されている。即ち、図7Bは、面積拡大処理によって乳腺領域が「x1ピクセル」から「x2ピクセル」まで拡大されたことを示す。
【0089】
表示制御部354aは、補正前後における乳腺領域の各々を、読影対象のマンモグラフィ画像I12上に表示させてもよい。例えば、上述の通り乳腺領域の面積が補正された場合に、表示制御部354aは、マンモグラフィ画像I12をディスプレイ33に表示させ、面積の補正が行われていない乳腺領域と、当該補正が行われた前記乳腺領域とを識別可能にマンモグラフィ画像I12上に重畳表示させる。例えば、表示制御部354aは、図7Bのマンモグラフィ画像I12に実線で示す通り補正前における乳腺領域を表示させ、破線で示す通り面積拡大処理後における乳腺領域を表示させる。
【0090】
なお、乳腺領域の面積に関する処理の例として面積拡大処理について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、読影対象のマンモグラフィ画像I12から取得された乳腺領域の面積を縮小する処理を行なう場合についても、同様に適用が可能である。
【0091】
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、目視の判定に近づける際にどのような補正が適用されたかが把握でき、目視の判定に近づけた乳房構成(第2の乳房構成)をどの程度信頼してよいかの判断がよりしやすくなる効果がある。
【0092】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、第1の乳房構成、第2の乳房構成及び補正情報に加えて、乳腺密度を表示させる例について説明する。なお、以下の説明において第1~第2の実施形態と同様の構成や処理については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0093】
第3の実施形態に係る表示制御部354aは、図5に示したフローチャートのステップS105において、第1の乳房構成、第2の乳房構成及び補正情報に加えて、乳腺密度を表示画面に表示させる。例えば、表示制御部354aは、ステップS105において、ステップS102で取得した第1の乳房構成、ステップS104で取得した第2の乳房構成、及び、ステップS103で取得した補正情報をディスプレイ33に併せて表示させる。更に、表示制御部354aは、ステップS105において、ステップS101で取得した第1の乳腺密度と、ステップS104で取得した第2の乳腺密度とを対比可能に表示させる。例えば、表示制御部354aは、第1の乳腺密度と第2の乳腺密度とを併せて表示させたり、切り替え表示させたりする。以下、図7C図7Dを参照しながら、第3の実施形態に係る表示例を説明する。
【0094】
例えば、表示制御部354aは、第1の乳腺密度と第2の乳腺密度の夫々の値を、補正前」「補正後」の識別子を添えてテキスト表示する。図7Cは、第1の乳房構成と第2の乳房構成、補正情報に加えて、第1の乳腺密度、第2の乳腺密度を表示させる際の表示画面の一例である。
【0095】
例えば、表示制御部354aは、図7Cに示す通り、表示画面Dの中に、読影対象のマンモグラフィ画像I12と、乳房構成の提示領域R11と、補正情報の提示領域R13と、乳腺密度の提示領域R14とを表示させる。図7Cの例では、乳腺密度の提示領域R14に、第1の乳腺密度として「補正前:8%」、第2の乳腺密度として「補正後:13%」が表示されている。
【0096】
図7Cに示す表示画面Dはあくまで一例であり、種々の変形が可能である。例えば、提示領域R14における乳腺密度の表示は、テキストでの表示以外に、乳腺密度を示す軸への矢印の表示、アイコン、グラフなどで行われてもよい。また、乳腺密度の表示は、これらの情報を組み合わせて行われてもよい。
【0097】
図7Dは、乳腺密度を示す軸を用いた表示画面の一例である。例えば、表示制御部354aは、提示領域R15に、乳腺密度の数値(0~100)を示す軸と、第1の乳腺密度、第2の乳腺密度のそれぞれを指し示す矢印とを対比可能な状態で表示させる。さらに、乳腺密度を示す軸に乳房構成(「脂肪性」「乳腺散在」「不均一高濃度」「極めて高濃度」の4分類)が対応付けられていることにより、二つの矢印は、それぞれ第1の乳房構成、第2の乳房構成を指し示している。また、表示制御部354aは、乳腺密度を示す軸上にカットオフ値を表示させてもよい。例えば、図7Dに示す通り、表示制御部354aは、乳腺密度を示す軸に対して、カットオフ値を示す目盛を付して表示させる。図7Dに示した表示により、補正前後の数値増減と乳腺密度の変化とを同時に把握し、また、補正後の乳腺密度が乳房構成の境界にどれだけ近いかを把握することが可能となる。
【0098】
図7Dの例では、提示領域R15に乳腺密度と乳房構成とが表示されているため、乳房構成の提示領域R11は表示していないが、乳房構成の提示領域R11を別途表示してもよい。また、補正情報の表示は不可欠ではなく、補正情報の提示領域R13の表示は適宜省略することとして構わない。
【0099】
以上説明したように、本実施形態では、第1の実施形態の効果に加え、所定の基準に従って定量的に判定された乳腺密度(第1の乳腺密度)と、乳房構成が目視の判定に近づくように補正された乳腺密度(第2の乳腺密度)とを併せて表示させる。これによって、補正後の乳腺密度が乳房構成の境界にどれだけ近いかが把握でき、目視の判定に近づけた乳房構成(第2の乳房構成)をどの程度信頼してよいかの判断がよりしやすくなる効果がある。
【0100】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第1の実施形態では補正情報をデータベース20から取得する例について説明したのに対し、本実施形態では、第3の乳房構成を取得して、取得した乳房構成を用いて補正情報を取得する例について説明する。なお、以下の説明において第1~第3の実施形態と同様の構成や処理については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0101】
まず、図8を用いて、第4の実施形態に係る医用情報処理装置30の処理の概要を説明する。図4に示した第1の実施形態に係る医用情報処理装置30と比較して、第4の実施形態に係る医用情報処理装置30は、補正情報取得部353aに代えて第3の乳腺密度取得部353c及び補正情報取得部353dを備える点で相違する。第3の乳腺密度取得部353c及び補正情報取得部353dは、処理回路35が第2取得機能353に対応するプログラムをメモリ34から読み出して実行することにより実現される。
【0102】
第3の乳腺密度取得部353cは、読影対象のマンモグラフィ画像とは別の複数のマンモグラフィ画像をデータベース20から取得し、夫々のマンモグラフィ画像の乳腺密度(以下、第3の乳腺密度)を取得する。補正情報取得部353dは、第3の乳腺密度取得部353cが取得した複数のマンモグラフィ画像に対する乳房構成の所見をユーザから取得し、第3の乳房構成との一致度に基づいて補正情報を取得する。
【0103】
次に、図9に示されたフローチャートを用いて、第4の実施形態に係る医用情報処理装置30の処理についてより詳細な説明を行なう。図9に示すステップS101、S102、S104及びS105の処理は、図5に示したステップS101、S102、S104及びS105の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0104】
ステップS201において、第3の乳腺密度取得部353cは、複数のマンモグラフィ画像と、各画像に対応する第3の乳腺密度とをデータベース20から取得する。なお、第3の乳腺密度は、例えば、第1の乳腺密度と同様に、不図示の機械学習モデルにより乳腺組織領域と乳腺領域とを推定し、乳腺領域の面積を乳腺組織領域の面積で除算することで取得することができる。
【0105】
ステップS202において、補正情報取得部353dは、第3の乳房構成と、複数のマンモグラフィ画像に別途付与された乳房構成との一致度が最大となるような補正情報を算出し、これを、ステップS104の処理で用いる補正情報として取得する。ここで、第3の乳房構成は、ステップS201で取得した第3の乳腺密度を補正情報候補に基づいて補正することで取得し、複数のマンモグラフィ画像に別途付与された乳房構成はステップS201で取得している。例えば、補正の方法が加算の場合、複数のマンモグラフィ画像夫々の第3の乳腺密度に、補正情報候補として補正値の候補値を加算することで、第3の乳腺密度を更新する。そして、更新した第3の乳腺密度に対応する第3の乳房構成と、別途付与された乳房構成との一致度を算出する。このプロセスを繰り返し、一致度が最大になる候補値を補正値として取得する。即ち、補正情報取得部353dは、複数の第3の乳腺密度に対して補正情報候補を適用することで複数の第3の乳房構成を取得し、複数の第3の乳房構成と別途付与された乳房構成との一致度が最大になる補正情報候補を、ステップS202に示す補正情報として取得する。
【0106】
なお、ここでの補正情報や補正方法は、第1の実施形態で説明した補正情報や補正方法と同様である。また、第3の乳房構成の取得方法は、第1の実施形態で説明した第2の乳房構成を取得した方法と同様である。また、別途付与された乳房構成は、例えば、ユーザの施設で目視によって判定された乳房構成である。なお、別途付与された乳房構成は、ユーザの施設に限られたものではなく、他の施設や複数の施設で判定された乳房構成でもよい。
【0107】
一致度としては、例えば、乳房構成が一致する画像の数や割合を用いることができる。また、一致度が最大となる場合以外にも、所定の値以上となる場合、一致度が所定の範囲内にある場合などでもよい。
【0108】
なお、ステップS201及びS202の処理は、読影対象のマンモグラフィ画像を取得するたびに実行する必要はない。そのため、例えば、初回に実行した際に算出した補正情報を記憶部34cに保存しておき、2回目以降は、記憶部34cから当該補正情報を読み出して用いる構成であってもよい。また、例えば、乳房構成が別途付与された複数のマンモグラフィ画像群に変更が加わり、所定の条件を満たした場合にステップS201とS202の処理を実行し、補正情報を更新する構成でもよい。他にも、乳房構成が付与されたマンモグラフィ画像が新規に追加された場合や、付与された情報が変更された場合や、追加や変更の数や割合が一定量を超えた場合などに、補正情報を更新する構成でもよい。また、ステップS201とS202の処理を定期的に実行し、補正情報を定期的に更新する構成であってもよい。なお、ステップS201とS202の処理は、ステップS101、S102、S104、S105の処理とは独立に行ってもよい。また、ステップS201とS202の処理は外部の情報処理装置で行い、医用情報処理装置30は、その結果(補正情報)を取得する構成であってもよい。
【0109】
(第4の実施形態の変形例)
次に、第4の実施形態の変形例について説明する。第4の実施形態では、第3の乳腺密度を補正して取得した第3の乳房構成と、複数のマンモグラフィ画像に別途付与された乳房構成との一致度が最大になる補正情報を一つ取得する例について説明した。これに対し、本変形例では、補正情報を複数取得し、複数の補正情報に対応した第2の乳房構成を提示する例について説明する。
【0110】
例えば、補正情報取得部353dは、第3の乳房構成と、複数のマンモグラフィ画像に別途付与された乳房構成との一致度が最大になる補正値が複数ある場合に、これら複数の補正値を取得する。また、例えば、補正情報取得部353dは、一致度が所定の範囲にある場合に複数の補正値を取得する。例えば、補正情報取得部353dは、所定の範囲のうち上端及び下端の2点の補正値を取得したり、任意の間隔で複数取得したり、ランダムに複数取得したりすることができる。
【0111】
補正情報取得部353dが複数の補正情報を取得した場合、第2の乳房構成取得部353bは、ステップS104の処理において、取得した補正情報の各々に対して第2の乳房構成を取得する。この場合、表示制御部354aは、ステップS105の処理において、複数の補正情報と、第2の乳房構成取得部353bが取得した複数の第2の乳房構成とを表示させることができる。複数の補正情報に対応した複数の第2の乳房構成を提示することで、補正値に曖昧性があることをユーザが認識でき、より適切な乳房構成を選択することが可能となる。
【0112】
以下、図10A図10Bを参照しながら、第4の実施形態の変形例に係る表示例を説明する。図10A図10Bは複数の補正情報と、複数の第2の乳腺密度と、複数の第2の乳房構成とを表示させる際の表示画面の一例である。
【0113】
例えば、表示制御部354aは、図10Aに示す通り、表示画面Dの中に、読影対象のマンモグラフィ画像I21と、補正情報の提示領域R21と、乳腺密度の提示領域R22と、乳房構成の提示領域R23とを表示させる。図10Aの表示例では、補正情報の提示領域R21に、一つ目の補正情報と二つ目の補正情報とが表示されている。具体的には、図10Aの表示例では、一つ目の補正情報として「補正値x:5」が表示され、二つ目の補正情報として「補正値x:10」が表示されている。また、図10Aの表示例では、乳腺密度の提示領域R22に、一つ目の第2の乳腺密度として「補正後1:9%」が表示され、二つ目の第2の乳腺密度として「補正後2:14%」が表示されている。また、図10Aの表示例では、乳房構成の提示領域R23に、一つ目の第2の乳房構成として「補正後1:乳腺散在」が表示され、二つ目の第2の乳房構成として「補正後2:不均一高濃度」が表示されている。
【0114】
図10Aに示す表示画面Dはあくまで一例であり、種々の変形が可能である。例えば、二つの乳腺密度は、第2の実施形態と同様に、乳腺密度の数値が示された軸上への矢印、アイコンなどで表示されてもよい。
【0115】
図10Bは乳腺密度の数値、乳房構成が示された軸を用いた表示画面の一例である。例えば、表示制御部354aは、図10Bに示す通り、表示画面Dの中に、読影対象のマンモグラフィ画像I21と、補正情報の提示領域R21と、提示領域R24とを表示させる。提示領域R24には、乳腺密度を示す軸と、第1の乳腺密度、一つ目の第2の乳腺密度、二つ目の第2の乳腺密度のそれぞれを指し示す矢印とが表示されている。さらに、乳腺密度を示す軸に乳房構成が対応付けられていることにより、三つの矢印はそれぞれ第1の乳房構成、一つ目の第2の乳房構成、二つ目の第2の乳房構成を指し示している。更に、一つ目の第1の乳腺密度を示す矢印と二つ目の乳腺密度を示す矢印の間に長方形のオブジェクトが配置され、二つの矢印の間が第2の乳腺密度の取りうる範囲となる。
【0116】
以上説明したように、本実施形態では、目視の判定に近づくように補正された乳房構成(第2の乳房構成)に加えて、所定の基準に従って定量的に判定された乳房構成(第1の乳房構成)をさらに表示させる。これによって、目視の判定に近づけた乳房構成(第2の乳房構成)をどの程度信頼してよいかの判断がしやすくなる効果がある。さらに、本実施形態によれば、目視の判定に近づけるよう判定された乳房構成(第2の乳房構成)が表示できる。
【0117】
さらに、本実施形態の変形例では、目視の判定に近づけるよう判定された乳房構成(第2の乳房構成)と乳房構成が目視の判定に近づくように補正された乳腺密度(第2の乳腺密度)を複数表示させる。これによって、目視の判定に近づけた乳房構成(第2の乳房構成)をどの程度信頼してよいかの判断がよりしやすくなる効果がある。
【0118】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。本実施形態では、複数の補正情報の中から、読影対象のマンモグラフィ画像に応じた補正情報を選択して適用する例について説明する。なお、以下の説明において第1~第4の実施形態と同様の構成や処理については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0119】
本実施形態に係る補正情報取得部353dは、第3の乳腺密度取得部353cで取得した複数のマンモグラフィ画像に対する乳房構成の所見をユーザから取得し、第3の乳房構成との一致度に基づいて複数の補正情報を取得する。また、本実施形態に係る第2の乳房構成取得部353bは、補正情報取得部353dで取得した複数の補正情報の中から、読影対象のマンモグラフィ画像に応じて一つの補正情報を選択する。そして、第2の乳房構成取得部353bは、選択した補正情報を用いて、上述したステップS104と同様の処理の処理を行なって第2の乳房構成を取得する。
【0120】
以下、図11に示すフローチャートを用いて、本実施形態に係る医用情報処理装置30が行なう処理の詳細を説明する。図11におけるステップS101、S102、S201、S104、S105の処理は、図5又は図9に示したステップS101、S102、S201、S104、S105の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0121】
ステップS301において、補正情報取得部353dは、所定の条件に基づき、ステップS201で取得した複数のマンモグラフィ画像を複数の画像群に分割する。ここで、所定の条件とは、例えば、乳腺密度の大きさである。例えば、補正情報取得部353dは、複数のマンモグラフィ画像上の乳腺に関する領域を推定し、乳腺に関する領域に基づいて乳腺密度を取得する。乳腺に関する領域の例には、乳腺領域や乳腺組織領域が含まれる。例えば、図12Aに概念図を示すように、乳腺密度が60%以上100%以下の画像I3111、画像I3112及び画像I3113を、画像群I311として分割する。同様に、乳腺密度が30%以上60%未満の画像I3121、画像I3122及び画像I3123を、画像群I312として分割する。同様に、乳腺密度が0%以上30%未満の画像I3131、画像I3132及び画像I3133を、画像群I313として分割する。なお、分割に用いる乳腺密度の大きさはこれに限られるものではない。
【0122】
また、図12Bに概念図を示すように、乳腺密度に代えて、乳腺組織領域の面積を用いて分割してもよい。また、それ以外にも、乳腺領域の面積、乳房領域の面積、大胸筋領域の面積、撮影体位(例えば、CCかMLOか等)、装置の型番、被検体Pの年齢などに基づいて分割してもよい。また、複数の条件の組み合わせで分割を行ってもよい。
【0123】
次に、ステップS302において、補正情報取得部353dは、ステップS301で分割した画像群ごとに補正情報を取得する。ここで、夫々の補正情報を取得する方法は、例えば上述のステップS202で用いている方法と同様である。
【0124】
次に、ステップS303において、第2の乳房構成取得部353bは、ステップS302で画像群ごとに取得した複数の補正情報の中から、読影対象のマンモグラフィ画像に適用する補正情報を選択する。そのために、本ステップではまず、当該画像が属する画像群を判定する。この判定は、ステップS301で画像群の分割に用いた所定の条件に基づいて、当該画像が何れの画像群に属するかを判定することで行う。例えば、乳腺密度の大きさで画像群を分割している場合には、ステップS101で取得した当該画像の第1の乳腺密度に基づいて判定を行う。そして、ステップS302で取得した複数の補正情報の中から、当該画像が属する画像群に対応する補正情報を選択する。
【0125】
以上説明したように、本実施形態では、目視の判定に近づくように補正された乳房構成(第2の乳房構成)に加えて、所定の基準に従って定量的に判定された乳房構成(第1の乳房構成)をさらに表示させる。これによって、目視の判定に近づけた乳房構成(第2の乳房構成)をどの程度信頼してよいかの判断がしやすくなる効果がある。さらに、本実施形態によれば、目視の判定に近づけるよう判定された乳房構成(第2の乳房構成)がどのような目視判定に近づけたのかが把握でき、目視の判定に近づけた乳房構成(第2の乳房構成)をどの程度信頼してよいかの判断がよりしやすくなる効果がある。さらに、本実施形態によれば、読影対象のマンモグラフィ画像に応じて、補正情報を選択することにより、画像の特徴に適した補正値が適用されるため、適切な補正ができるようになる。さらに、そのような場合でも、選択した補正情報が表示されることで、どのような補正が行われたかを把握することができ、目視の判定に近づけた乳房構成(第2の乳房構成)をどの程度信頼してよいかの判断がしやすくなる効果がある。
【0126】
(第6の実施形態)
上述した実施形態の他にも種々の変形を加えて実施されてよいものである。
【0127】
例えば、上述した実施形態では、乳腺密度や乳腺領域といった算出値を対象として補正を行ない、補正済み算出値に基づいて第2の乳房構成を取得する例について説明した。しかしながら、補正の対象は算出値に限定されるものではない。
【0128】
例えば、第2取得機能353は、乳腺領域を抽出する際の閾値を対象として補正を行なってもよい。例えば、第1取得機能352は、所定の輝度値を閾値としてマンモグラフィ画像から乳腺領域を抽出し、乳腺領域の面積を乳腺組織領域の面積で除して第1の乳腺密度を取得し、第1の乳腺密度をカットオフ値と比較することで第1の乳房構成を取得する。また、第2取得機能353は、第1の乳房構成の取得に用いられた閾値を補正し、補正後の閾値に基づいてマンモグラフィ画像から乳腺領域を抽出し、乳腺領域の面積を乳腺組織領域の面積で除して第2の乳腺密度を取得し、第2の乳腺密度をカットオフ値と比較することで第2の乳房構成を取得する。閾値の補正は、例えばデータベース20に記憶された所定の補正情報に基づいて行われてもよいし、ユーザの操作に応じて行われてもよい。この場合、表示制御機能354は、例えば図13に示すように、第1の乳房構成の取得に用いた閾値「補正前:輝度値z1」と、第2の乳房構成の取得に用いた閾値「補正前:輝度値z2」とを、補正情報の提示領域R13に表示させてもよい。
【0129】
また、例えば、第2取得機能353は、カットオフ値を対象として補正を行なってもよい。例えば、第1取得機能352は、マンモグラフィ画像から第1の乳腺密度を取得し、第1の乳腺密度を所定のカットオフ値と比較することで、第1の乳房構成を取得する。また、第2取得機能353は、カットオフ値の補正を行ない、第1の乳腺密度を、補正後のカットオフ値と比較することで、第2の乳房構成を取得する。カットオフ値の補正は、例えばデータベース20に記憶された所定の補正情報に基づいて行われてもよいし、ユーザの操作に応じて行われてもよい。この場合、表示制御機能354は、補正情報の提示領域において、補正前後の各カットオフ値を表示させてもよい。
【0130】
その他、第2の乳房構成を取得する際に行われる補正処理の対象は種々の変形が可能である。例えば、第2取得機能353は、マンモグラフィ画像を補正の対象とし、補正後のマンモグラフィ画像に基づいて取得した乳房構成を、第2の乳房構成として取得してもよい。或いは、第2取得機能353は、第1の乳房構成を補正の対象とし、補正後の乳房構成を、第2の乳房構成として取得してもよい。
【0131】
また、上述した補正処理のいずれかを行なうことで第2の乳房構成を取得する例について説明したが、補正処理を省略することも可能である。例えば、第2の乳房構成は、ユーザが目視で判定した乳房構成を、第2の乳房構成として取得してもよい。また、例えば、第2の乳房構成は、マンモグラフィ画像の入力を受けて乳房構成を判定するように機能付けられた学習済みモデルに対して読影対象のマンモグラフィ画像を入力し、当該学習済みモデルから出力された乳房構成を、第2の乳房構成として取得してもよい。即ち、第2取得機能353が取得する第2の乳房構成の例には、所定の基準に従って取得される第1の乳房構成を除いた種々の乳房構成が含まれる。
【0132】
また、これまで、第1取得機能352は、読影対象のマンモグラフィ画像から第1の乳腺密度を取得し、第1の乳腺密度に基づいて第1の乳房構成を取得するものとして説明した。即ち、特定非営利活動法人日本乳がん検診精度管理中央機構のガイドラインを所定の基準として、第1の乳房構成を取得する例について説明した。しかしながら実施形態はこれに限定されるものではなく、第1取得機能352は、他のガイドラインを所定の基準として、第1の乳房構成を取得してもよい。例えば、ガイドラインによっては、特定のユーザによる目視での判定結果を乳房構成としている場合がある。この場合、第1取得機能352は、ユーザが目視で判定した乳房構成を、第1の乳房構成として取得してもよい。
【0133】
例えば、上述した実施形態では、第1取得機能352及び第2取得機能353の処理を医用情報処理装置30において実行する例について説明した。しかしながら実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば被検体Pからマンモグラフィ画像を収集するX線診断装置10において、第1取得機能352及び第2取得機能353による処理と同様の処理が行われてもよい。
【0134】
図14は、第6の実施形態に係るX線診断装置10の構成の一例を示すブロック図である。図14に示すX線診断装置10は、図2に示したX線診断装置10と比較し、処理回路115が第1取得機能1153及び第2取得機能1154を更に備える点で相違する。
【0135】
第1取得機能1153は、上述した第1取得機能352と同様の機能であり、マンモグラフィ画像から所定の基準に従って第1の乳房構成を取得する。第2取得機能1154は、上述した第2取得機能353と同様の機能であり、マンモグラフィ画像から、第1の乳房構成とは異なる第2の乳房構成を取得する。この場合、出力機能1152は、上述した表示制御機能354と同様、第1の乳房構成と第2の乳房構成とを表示部に表示させることができる。
【0136】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics PROCESSING Unit)、ASIC、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0137】
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0138】
また、上述した実施形態で説明した医用情報処理方法は、予め用意された医用情報処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この医用情報処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この医用情報処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0139】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、乳房構成の利用を支援することができる。
【0140】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0141】
1:医用情報処理システム
10:X線診断装置
101:基台
102:スタンド
103:撮影台
104:圧迫板
105:X線管
106:X線絞り器
107:X線検出器
108:信号処理回路
109:昇降駆動装置
110:X線高電圧装置
111:通信インターフェース
112:入力インターフェース
113:ディスプレイ
114:メモリ
115:処理回路
1151:収集機能
1152:出力機能
1153:第1取得機能
1154:第2取得機能
20:データベース
30:医用情報処理装置
31:通信インターフェース
32:入力インターフェース
33:ディスプレイ
34:メモリ
35:処理回路
351:受信機能
352:第1取得機能
353:第2取得機能
354:表示制御機能
352a:第1の乳腺密度取得部
352b:第1の乳房構成取得部
353a:補正情報取得部
353b:第2の乳房構成取得部
353c:第3の乳腺密度取得部
353d:補正情報取得部
354a:表示制御部
40:ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14