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特開2025-39276防腐剤組成物、及びカビに対する防腐力を高める方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025039276
(43)【公開日】2025-03-21
(54)【発明の名称】防腐剤組成物、及びカビに対する防腐力を高める方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 37/02 20060101AFI20250313BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20250313BHJP
   A01N 25/30 20060101ALI20250313BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20250313BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20250313BHJP
   C11D 1/02 20060101ALI20250313BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20250313BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20250313BHJP
【FI】
A01N37/02
A01P3/00
A01N25/30
C11D3/20
C11D3/48
C11D1/02
A61K47/14
A61K47/10
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146246
(22)【出願日】2023-09-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000208086
【氏名又は名称】大洋香料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100213425
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 正憲
(74)【代理人】
【識別番号】100221707
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100099977
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 章吾
(74)【代理人】
【識別番号】100104259
【弁理士】
【氏名又は名称】寒川 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100229116
【弁理士】
【氏名又は名称】日笠 竜斗
(72)【発明者】
【氏名】金谷 秀治
【テーマコード(参考)】
4C076
4H003
4H011
【Fターム(参考)】
4C076BB31
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD45R
4C076FF39
4H003AB09
4H003AC08
4H003AD04
4H003DA02
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB08
4H003EB19
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA34
4H011AA03
4H011BA05
4H011BB06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アニオン性界面活性剤を含む洗浄剤中において、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルと芳香族アルコールとの含有物のカビに対する十分な防腐効果を提供すること。
【解決手段】下記式(1):
(式中、R1 は、炭素数7~9の分岐または非分岐の、アルキル基を示す。)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステル、フェネチルアルコール、及び1,3-プロパンジオールを含有することを特徴とする、アニオン性界面活性剤を含む組成物用のカビに対する防腐剤組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】
(式中、Rは、炭素数7~9の分岐または非分岐の、飽和または不飽和アルキル基を示す。)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステル、フェネチルアルコール、及び1,3-プロパンジオールを含有することを特徴とする、アニオン性界面活性剤を含む組成物用のカビに対する防腐剤組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の防腐剤組成物及びアニオン性界面活性剤を含有する組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の防腐剤組成物及びアニオン性界面活性剤を含有する洗浄剤。
【請求項4】
下記式(1):
【化2】
(式中、Rは、炭素数7~9の分岐または非分岐の、飽和または不飽和アルキル基を示す。)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルと、フェネチルアルコールとを含有する防腐剤組成物に、1,3-プロパンジオールを含めることを特徴とする、アニオン性界面活性剤を含む組成物のカビに対する防腐力を高める方法。
【請求項5】
前記アニオン性界面活性剤を含む組成物が、洗浄剤、香粧品、化粧品、皮膚外用剤、医薬部外品、生活衛生用品、及びペット衛生用品から選ばれる、請求項4に記載のアニオン性界面活性剤を含む組成物のカビに対する防腐力を高める方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防腐剤組成物、及びカビに対する防腐力を高める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の安全性志向の向上により、皮膚への低刺激性、低アレルギー性などを追求した化粧品や医薬部外品が望まれていることから、化粧品メーカーでは、防腐剤として現在もっとも多用されているパラベンの配合をできるかぎり減らした処方設計が求められている。
【0003】
化粧品の防腐殺菌剤として用いられるパラベンの配合を低減または排除する技術として、1,2-アルカンジオールからなる防腐殺菌剤などが開示されている(特許文献1参照)。しかし、1,2-オクタンジオールなどの1,2-アルカンジオールを単独で防腐殺菌剤として用いた場合、充分な効果を得るためには高配合量を必要とする場合がある。このため、単独で用いた場合でも、少ない配合量で充分な防腐殺菌効果を発揮できる防腐殺菌剤の開発が望まれている。
【0004】
本発明者は、上記の問題を解決するため、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルがカビに対して優れた防腐力を有することを報告し(特許文献2)、その後も引き続き、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルのさらに有効な利用方法や防腐力を向上させる方法を検討した結果、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルと芳香族アルコールとの含有物がより優れた防腐力を有することを報告した(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-322591号公報
【特許文献2】特開2012-56893号公報
【特許文献3】特開2015-91787号公報
【特許文献4】特開2017-25005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルと芳香族アルコールとの含有物が優れた防腐力を有することは発見できたものの、それにアニオン性界面活性剤が添加された防腐対象物、例えばシャンプーや洗顔などの洗浄剤などにおいては、防腐力が弱まるといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルとフェネチルアルコール(芳香族第一級アルコール)に、1,3-プロパンジオールを加えることで、アニオン性界面活性剤を含む洗浄剤中においても、カビへの十分な防腐効果を高めることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、Rは、炭素数7~9の分岐または非分岐の、飽和または不飽和アルキル基を示す。)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステル、フェネチルアルコール、及び1,3-プロパンジオールを含有することを特徴とする、アニオン性界面活性剤を含む組成物用のカビに対する防腐剤組成物。
〔2]
請求項1に記載の防腐剤組成物及びアニオン性界面活性剤を含有する組成物。
〔3]
請求項1に記載の防腐剤組成物及びアニオン性界面活性剤を含有する洗浄剤。
〔4]
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、Rは、炭素数7~9の分岐または非分岐の、飽和または不飽和アルキル基を示す。)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルと、フェネチルアルコールとを含有する防腐剤組成物に、1,3-プロパンジオールを含めることを特徴とする、アニオン性界面活性剤を含む組成物のカビに対する防腐力を高める方法。
〔5]
前記アニオン性界面活性剤を含む組成物が、洗浄剤、香粧品、化粧品、皮膚外用剤、医薬部外品、生活衛生用品、及びペット衛生用品から選ばれる、請求項4に記載のアニオン性界面活性剤を含む組成物のカビに対する防腐力を高める方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1,3-プロパンジオールを加えることで、アニオン性界面活性剤の存在下においても、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルとフェネチルアルコールのカビに対する防腐力を高める効果が得られた。
【0014】
特許文献4(特開2017-25005号公報)には、「(i)アンマロク抽出物と、(ii)アルコール及び有機酸又はそのエステルからなる群より選ばれる1種以上とを含有することを特徴とする」防腐剤であって、「前記アルコールが、エタノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、フェネチルアルコール、フェニルプロパノール、1,3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、デシレングリコール、グリセリン、及びエチルヘキシルグリセリン」である防腐剤が記載されているものの、アニオン性界面活性剤との関係性については何ら記載がない。また、同特許文献4には、上記の通り、「1,3-ブチレングリコール」または「1,2-ヘキサンジオール」を用いても防腐効果を発揮し得るとの記載がされている。本発明においては、以下の実施例で説明する通り、「1,3-ブチレングリコール」または「1,2-ヘキサンジオール」を用いた場合にはアニオン性界面活性剤の存在下においてカビに対する防腐効果が示されず、「1,3-プロパンジオール」を用いた場合にはアニオン性界面活性剤の存在下においても防腐効果を発揮することが明らかとされたものである。すなわち、特許文献4にはアニオン性界面活性剤の存在下におけるカビに対する防腐効果を有する防腐剤組成物に関する課題、及び、その解決手段に至る記載はないものであり、本発明に至る動機はなく、また阻害要因を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の防腐剤組成物は上述したとおり、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルとフェノキシエタノールとを含有する点に特徴を有する。
【0016】
1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステル(以下、(a)成分ともいう)としては、下記式(1):
【0017】
【化3】
【0018】
(式中、Rは炭素数7~9の分岐または非分岐の、飽和または不飽和アルキル基を示す。)で表される化合物が挙げられる。
【0019】
上記(a)成分のうち、カビに対する防腐力に特に優れる点で、Rとしては炭素数が7~9の非分岐の、飽和または不飽和アルキル基がより好ましい。具体的には、Rの炭素数が7である下記式(2)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステル(後述する実施例における(a-1)成分)、Rの炭素数が8である下記式(3)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシウンデカン酸エステル、Rの炭素数が9である下記式(4)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシドデカン酸エステルが挙げられる。
【0020】
【化4】
【0021】
(a)成分の構成成分であるβ-ヒドロキシカルボン酸について、Rの炭素数が7~9の非分岐の飽和アルキル基を有するものとしては、例えば、β-ヒドロキシデカン酸、β-ヒドロキシウンデカン酸、β-ヒドロキシドデカン酸が挙げられる。また、Rの炭素数が7~9の非分岐の不飽和アルキル基を有するものとしては、例えば、β-ヒドロキシ-5-デセン酸、β-ヒドロキシ-5-ウンデセン酸、β-ヒドロキシ-5-ドデセン酸等が挙げられる。
【0022】
(a)成分は、1,3-プロパンジオールと上述した特定のβ-ヒドロキシカルボン酸またはその誘導体とを酵素反応(酵素としては、例えば、リパーゼを使用)または化学的合成法によりエステル化またはエステル交換(以下、まとめて「エステル化」という)を行うことにより製造される。このエステル化に用いられるβ-ヒドロキシカルボン酸またはその誘導体は、例えば、クネベナーゲル縮合(Knoevenagel condensation)、ダルツェンス縮合(Darzens condensation)、レフォルマトスキー反応(Reformatsky reaction)等により製造することができる。上記のうちでは、収率や副産物の点でレフォルマトスキー反応が通常用いられる。
【0023】
以下では、(a)成分の製造方法の一例として、レフォルマトスキー反応を用いてβ-ヒドロキシカルボン酸エステルを製造し、次いで該エステルと1,3-プロパンジオールとを、リパーゼを用いるエステル交換を経て1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルを製造する方法について具体的に説明する。
【0024】
レフォルマトスキー反応では、炭素数7~9の分岐または非分岐の、飽和または不飽和アルキル基を有するアルデヒドとブロモ酢酸エステルとの縮合反応によりβ-ヒドロキシカルボン酸エステルが製造される。具体的には、炭素数が5~7の非分岐の飽和アルキル基を有するアルデヒドとしては、例えば、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナールが用いられる。ブロモ酢酸エステルとしては、例えば、ブロモ酢酸メチル、ブロモ酢酸エチル、ブロモ酢酸プロピル、ブロモ酢酸ブチル等が用いられる。レフォルマトスキー反応に使用される触媒としては、例えば、亜鉛、マグネシウム、鉄等が挙げられる。
【0025】
次に、リパーゼを用いたエステル交換について説明する。エステル交換に用いられるリパーゼは、グリセリド類を基質として認識するものであれば特に限定されない。例えば、モノグリセリドリパーゼ、クチナーゼ、エステラーゼ等が挙げられる。これらの中でもリパーゼが好ましく、このようなリパーゼとして、例えば、モノグリセリドリパーゼ、モノおよびジグリセリドリパーゼ等が挙げられる。
【0026】
リパーゼは精製(粗精製および部分精製を含む)されたものを用いてもよい。さらに、遊離型のまま使用してもよく、あるいはイオン交換樹脂、多孔性樹脂、セラミックス、炭酸カルシウムなどの担体に固定化して使用してもよい。
【0027】
反応混合液から、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルを単離・精製する方法としては、例えば、脱酸、水洗、蒸留、溶媒抽出、イオン交換クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、膜分離等が挙げられ、これらは単独でまたは複数組み合わせて使用される。
【0028】
上述した(a)成分の製造方法について、オクタナールとブロモ酢酸メチルを出発原料として、レフォルマトスキー反応によりβ-ヒドロキシデカン酸メチルエステルを製造し、次いで該エステルと1,3-プロパンジオールとをリパーゼの存在下で反応させ、エステル交換により1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルを製造する方法を化学式で示すと下記式(5)のとおりである。
【0029】
【化5】
【0030】
1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステル((a)成分)と下記式(6)で表される芳香族アルコールであるフェネチルアルコール(以下、(b)成分ともいう)を含有する防腐剤組成物が優れた防腐力を有することは文献3に示すとおりであるが、それにアニオン性界面活性剤を添加したシャンプーや洗顔などの洗浄剤中においては、防腐力が弱まるといった問題があることは上記のとおりである。一方、下記式(7)で表される1,3-プロパンジオール(以下、(c)成分ともいう)は、それ単独ではカビに対して防腐力を示さないが、アニオン性界面活性剤の存在下において、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステル((a)成分)及びフェネチルアルコール((b)成分)と併用した場合には、カビに対する(a)及び(b)成分の防腐力を高める効果を発揮する。
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】
この発明のアニオン性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンNa、ラウロイルメチルアラニンNa、ラウロイルメチルアラニンTEA、ヤシ油脂肪酸グルタミン酸Na、ヤシ油脂肪酸グルタミン酸K、ラウロイルアスパラギン酸Na、ラウロイルサルコシンNaが好適と挙げられる。
【0034】
(a)成分、(b)成分、(c)成分、の配合割合(a:b:c)は、重量比で好ましくは10:10:70~10:40:50、更に好ましくは10:30:60である。
【0035】
本発明の防腐剤組成物は、カビに対して優れた防腐力を示す。このため、例えば、洗浄剤、香粧品、化粧品、皮膚外用剤、医薬部外品、生活衛生用品、衣類、塗料およびペット衛生用品から選ばれる防腐対象物に本発明の防腐剤組成物を配合すれば、該防腐対象物への優れたカビに対する防腐力を実現することができ、結果として使用者の菌感染などを効果的に予防することができる。防腐対象物中の防腐剤組成物の含量は、通常0.01~50重量%であり、好ましくは0.1~10重量%である。
【0036】
上記の防腐対象物中に本発明の防腐剤組成物を配合する場合、本発明の目的を損なわない範囲で、該防腐対象物中に、従来から知られている防腐剤の1種または2種以上を配合することも可能である。併用できる他の防腐剤としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンザルコニウム、クロロヘキシジン、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、オフロキサシン、ヨウ素、フッ化ナトリウム、安息香酸系、ソルビン酸系、有機ハロゲン系、ベンズイミダゾール系の殺菌剤、銀、銅などの金属イオン、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、エタノール、プロピレングリコール、1,2-アルカンジオール、ポリリジン、リゾチーム、キトサン、チモール、オイゲノール、油性甘草エキス、桑白皮エキス、アシタバ抽出エキス、香辛料抽出物、ポリフェノールなどの植物抽出物エキス等が挙げられる。上記従来の防腐剤は、本発明の防腐剤組成物の含有成分として防腐対象物に配合してもよく、または本発明の防腐剤組成物とは別に防腐対象物に配合してもよい。
【0037】
さらに、本発明の防腐剤組成物は皮膚外用剤の一般成分と混合して使用に供することもできる。
【0038】
本発明の防腐剤組成物の形態は、上述した防腐対象物に応じて適宜変更可能であり、例えば、粒状、ペースト状、固形状、液体状などが採用できる。
【0039】
上述した防腐対象物に本発明の防腐剤組成物を配合する際は、上述した形態を製造し得る公知の装置(パドルミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザーなど)が好適に使用できる。本発明の防腐剤組成物は配合特性に優れるので、製造された種々の防腐対象物から該防腐剤組成物が結晶として析出することはない。
【実施例0040】
以下、試験例などにより本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。また、特に断らない限り「%」は重量%を意味する。
【0041】
<1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルの合成例>
(1)1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステル((a-1)成分)の合成例
(1-1)レフォルマトスキー反応によるβ-ヒドロキシデカン酸メチルエステルの合成例
300mlの四口丸底フラスコに亜鉛6.5g、オクタナール15.5g、トリメトキシボラン25mlおよび乾燥THF25mlを入れ、20℃、窒素気流下で2時間かけてブロモ酢酸メチル17.5gを滴下した。滴下後、20℃で1時間撹拌したのち、飽和アンモニア水溶液25mlとグリセリン25mlを加えて10分撹拌した。有機層を分離し、水溶液層をジエチルエーテルで2回抽出した。その後、有機溶液を集めて脱溶媒を行い、残分を蒸留で精製してβ-ヒドロキシデカン酸メチルエステルを得た。
【0042】
(1-2)1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルの合成例
50ml耐圧バイアル瓶に上記で得られたβ-ヒドロキシデカン酸メチルエステル5g、1,3-プロパンジオール5g、固定化リパーゼ(製品名 Novozyme435:ノボザイムズジャパン株式会社)を0.05g添加し、50℃、10mmHgの減圧下で24時間撹拌を行った。反応後、得られた反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行った結果、純度99%の1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルを得た。
【0043】
<洗顔剤中での防腐力評価試験>
表1に示す処方において、アニオン性界面活性剤であるラウロイルアスパラギン酸Na(25%液)を含む洗顔剤素材のA相に対して、B相に1,3-プロパンジオール、フェネチルアルコールと1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルを配合した洗顔剤(実施例1)、B相にいずれの防腐素材も配合していない洗顔剤(比較例1)、1,3-プロパンジオールのみを配合した洗顔剤(比較例2)、フェネチルアルコールのみを配合した洗顔剤(比較例3)、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルを配合した洗顔剤(比較例4)、B相に1,3-プロパンジオール、フェネチルアルコールを配合した洗顔剤(比較例5)、B相に1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルを配合した洗顔剤(比較例6)、B相にフェネチルアルコール、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルを配合した洗顔剤(比較例7)、B相に1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルとエチルヘキシルグリセリルを配合した洗顔剤(比較例8)、B相にエチルヘキシルグリセリルを配合した洗顔剤(比較例9)を作製し、後述するチャレンジテストにより防腐力を評価した。
【0044】
【表1】
【0045】
供試菌には、黒カビ(A.niger、NBRC9455)を用いた。この菌を予め前培養した培養液を、約10~10cfu/mlに調製し、菌濁液とした。なお、菌数はコロニーカウント法により確認した。次いで、オートクレーブにより滅菌した50mlバイアル瓶に実施例1、及び比較例1~9の乳液を20g入れ、上記菌濁液を100μl接種して、25℃で培養を行った。試料中の残存菌数については接種後7日後、14日後、28日後に各試料を0.5gずつ抜き取り、生理食塩水で希釈したものを寒天培地に塗布して24時間培養し、試料中の菌数を算出した。結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2の結果より、アニオン性界面活性剤非存在下では防腐効果を示すはずの比較例7(B相にフェネチルアルコール、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルを配合した洗顔剤)であっても、本環境下では、28日間の間で生菌数の減少が見られず、防腐効果が示されなかった。
【0048】
B相の防腐剤成分として、1,3-プロパンジオールのみを1.0%含有した比較例2は、28日間の間で生菌数が減少しなかった。防腐剤成分としてフェネチルアルコールのみを1.0%含有した比較例3は、28日間の間で生菌数が10cfu/ml以下まで減少することは無かった。防腐剤成分として1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルのみを1.0%含有した比較例4は、28日間の間で生菌数が10cfu/ml以下まで減少することは無かった。B相の防腐成分として2種類を併用した比較例5、比較例6はいずれも28日間の間で生菌数が10cfu/ml以下まで減少することは無かった。B相の防腐成分としてエチルヘキシルグリセリンを併用、単独で用いた比較例8、比較例9の洗顔剤でも28日間の間で生菌数が10cfu/ml以下まで減少することは無かった。
【0049】
これに対し、1,3-プロパンジオール、フェネチルアルコール、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルを併用した実施例1は、14日間で生菌数が10cfu/ml以下になった。
【0050】
本結果より、1,3-プロパンジオール、フェネチルアルコールは単独ではカビに対する防腐力を示さないことが確認された。そして、アニオン性界面活性剤存在下で、フェネチルアルコール、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルとの組み合わせであって1,3-プロパンジオールを含まないものも、カビに対する防腐力を示さないことが明らかとなり、一方で、1,3-プロパンジオール、フェネチルアルコール、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルの3成分を組み合わせて処方することで、はじめて防腐力が発揮されることが確認された。
【0051】
<溶剤成分の影響を調べる為の防腐力評価試験>
表3に示す処方において、アニオン性界面活性剤であるヤシ油脂肪酸メチルアラニンNa(25%液)とラウロイルアスパラギン酸Na(25%液)を含むシャンプー処方のC相に対して、D層の溶剤成分(1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール)の影響を調べた。D相に1,3-プロパンジオール、フェネチルアルコールと1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルを配合したシャンプー(実施例2)、D相にいずれの防腐素材も配合していないシャンプー(比較例10)、D相に1,3-ブチレングリコール、フェネチルアルコールと1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルを配合したシャンプー(比較例11)、D相に1,2-ペンタンジオール、フェネチルアルコールと1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルを配合したシャンプー(比較例12)、D相に1,2-ヘキサンジオール、フェネチルアルコールと1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルを配合したシャンプー(比較例13)、を作製した。後述するチャレンジテストにより溶剤成分として使用されている1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオールをそれぞれ配合した時の防腐力の違いを評価した。
【0052】
【表3】
【0053】
供試菌には、黒カビ(A.niger、NBRC9455)を用いた。この菌を予め前培養した培養液を、約10~10cfu/mlに調製し、菌濁液とした。なお、菌数はコロニーカウント法により確認した。次いで、オートクレーブにより滅菌した50mlバイアル瓶に実施例2、及び比較例10~13のシャンプーを20g入れ、上記菌濁液を100μl接種して、25℃で培養を行った。試料中の残存菌数については接種後7日後、14日後、28日後に各試料を0.5gずつ抜き取り、生理食塩水で希釈したものを寒天培地に塗布して24時間培養し、試料中の菌数を算出した。結果を表4に示す。
【0054】
【表4】
【0055】
表4の結果より、D相の成分として1,3-ブチレングリコールを0.60%含有した比較例11は、28日間の間で10cfu/ml以下まで生菌数が減少しなかった。防腐剤成分として1,2-ペンタンジオールを0.60%含有した比較例12は、28日間の間で生菌数が10cfu/ml以下まで減少することは無かった。防腐剤成分として1,2-ヘキサンオールを0.60%含有した比較例13は、28日間の間で生菌数が10cfu/ml以下まで減少することは無かった。
【0056】
これに対し、1,3-プロパンジオールを0.60%含有し、フェネチルアルコール、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルを併用した実施例2は、14日間で生菌数が10cfu/ml以下になった。本結果より、溶剤成分である1,3-プロパンジオールを防腐剤成分として併用して用いることで、アニオン性界面活性剤の存在する環境下においてもカビに対する防腐力が発揮できることが明らかとなった。
【0057】
なお、特許文献4(特開2017-25005号公報)には、「(i)アンマロク抽出物と、(ii)アルコール及び有機酸又はそのエステルからなる群より選ばれる1種以上とを含有することを特徴とする」防腐剤であって、「前記アルコールが、エタノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、フェネチルアルコール、フェニルプロパノール、1,3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、デシレングリコール、グリセリン、及びエチルヘキシルグリセリン」である防腐剤が記載されているものの、アニオン性界面活性剤との関係性については何ら記載がない。また、同特許文献4には、上記の通り、「1,3-ブチレングリコール」または「1,2-ヘキサンジオール」を用いても防腐効果を発揮し得るとの記載がされている。本発明においては、上記の実施例で説明した通り、「1,3-ブチレングリコール」または「1,2-ヘキサンジオール」を用いた場合にはアニオン性界面活性剤の存在下においてカビに対する防腐効果が示されず、「1,3-プロパンジオール」を用いた場合にはアニオン性界面活性剤の存在下においても防腐効果を発揮することが明らかとされたものである。すなわち、特許文献4にはアニオン性界面活性剤の存在下におけるカビに対する防腐効果を有する防腐剤組成物に関する課題、及び、その解決手段に至る記載はないものであり、本発明に至る動機はなく、また阻害要因を有するものである。
【0058】
<本発明に係る防腐剤組成物を配合した化粧料組成物の配合特性>
(シャンプーの配合処方)
ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム液(25%):30.00重量%
ヤシ油アミドプロピルベタイン:3.00重量%
グリセリン:0.60重量%
クエン酸:0.30重量%
ポリクオタニウム-10:0.60重量%
1,3-プロパンジオール:0.60重量%
フェネチルアルコール:0.30重量%
1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステル:0.10重量%
水道水:残部
(製法)
水道水にポリクオタニウム-10を溶かし、70℃に加熱溶解した(これを混合物Aとする)。この混合物Aに、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム液(25%)、ヤシ油アミドプロピルベタイン、クエン酸、グリセリン、1,3-プロパンジオール、フェネチルアルコール、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルをそれぞれ添加し、シャンプーを得た。
(配合特性)
1,3-プロパンジオール、フェネチルアルコール、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルは他の成分と容易に混和した。得られたシャンプーには濁りや析出は見られなかった。
【0059】
(ボディーソープの配合処方)
オリーブ油PEG-7:10.00重量%
ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース:2.00重量%
ヤシ油脂肪酸プロピルベタイン:8.00重量%
ヤシ油脂肪酸グルタミン酸Na:18.00重量%
ポリクオタニウム-6:1.00重量%
コカミドDEA:1.00重量%
1,3-プロパンジオール:0.60重量%
フェネチルアルコール:0.30重量%
1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステル:0.10重量%
クエン酸:0.60重量%
水道水:残部
(製法)
水道水にポリクオタニウム-6を溶かし、70℃に加熱溶解した(これを混合物Aとする)。この混合物Aに、オリーブ油PEG-7、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース、ヤシ油脂肪酸プロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸グルタミン酸Na、1,3-プロパンジオール、フェネチルアルコール、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステル、クエン酸をそれぞれ順番に添加し、ボディーソープを得た。
(配合特性)
1,3-プロパンジオール、フェネチルアルコール、1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステルは他の成分と容易に混和した。得られたボディーソープには濁りや析出は見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る防腐剤組成物は、アニオン性界面活性剤を含む組成物においても、幅広い菌(特に、カビ)に対し優れた防腐力を有し、かつ配合特性にも優れるので、洗浄剤、食品、食器類、香粧品、化粧品、皮膚外用剤、口腔衛生製品、医薬部外品、生活衛生用品、衣類、塗料およびペット衛生用品から選ばれる防腐対象物の配合成分として好適である。
【手続補正書】
【提出日】2024-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】
(式中、Rは、炭素数7~9の分岐または非分岐の、アルキル基を示す。)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステル、フェネチルアルコール、及び1,3-プロパンジオールを含有することを特徴とする、アニオン性界面活性剤を含む組成物用のカビに対する防腐剤組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の防腐剤組成物及びアニオン性界面活性剤を含有する組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の防腐剤組成物及びアニオン性界面活性剤を含有する洗浄剤。
【請求項4】
下記式(1):
【化2】
(式中、Rは、炭素数7~9の分岐または非分岐の、アルキル基を示す。)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルと、フェネチルアルコールとを含有する防腐剤組成物に、1,3-プロパンジオールを含めることを特徴とする、アニオン性界面活性剤を含む組成物のカビに対する防腐力を高める方法。
【請求項5】
前記アニオン性界面活性剤を含む組成物が、洗浄剤、香粧品、化粧品、皮膚外用剤、医薬部外品、生活衛生用品、及びペット衛生用品から選ばれる、請求項4に記載のアニオン性界面活性剤を含む組成物のカビに対する防腐力を高める方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
(式中、Rは、炭素数7~9の分岐または非分岐の、アルキル基を示す。)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステル、フェネチルアルコール、及び1,3-プロパンジオールを含有することを特徴とする、アニオン性界面活性剤を含む組成物用のカビに対する防腐剤組成物。
〔2〕
請求項1に記載の防腐剤組成物及びアニオン性界面活性剤を含有する組成物。
〔3〕
請求項1に記載の防腐剤組成物及びアニオン性界面活性剤を含有する洗浄剤。
〔4〕
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
(式中、Rは、炭素数7~9の分岐または非分岐の、アルキル基を示す。)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシカルボン酸エステルと、フェネチルアルコールとを含有する防腐剤組成物に、1,3-プロパンジオールを含めることを特徴とする、アニオン性界面活性剤を含む組成物のカビに対する防腐力を高める方法。
〔5〕
前記アニオン性界面活性剤を含む組成物が、洗浄剤、香粧品、化粧品、皮膚外用剤、医薬部外品、生活衛生用品、及びペット衛生用品から選ばれる、請求項4に記載のアニオン性界面活性剤を含む組成物のカビに対する防腐力を高める方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
(式中、Rは炭素数7~9の分岐または非分岐の、アルキル基を示す。)で表される化合物が挙げられる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
上記(a)成分のうち、カビに対する防腐力に特に優れる点で、Rとしては炭素数が7~9の非分岐の、アルキル基がより好ましい。具体的には、Rの炭素数が7である下記式(2)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシデカン酸エステル(後述する実施例における(a-1)成分)、Rの炭素数が8である下記式(3)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシウンデカン酸エステル、Rの炭素数が9である下記式(4)で表される1,3-プロパンジオールモノβ-ヒドロキシドデカン酸エステルが挙げられる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
レフォルマトスキー反応では、炭素数7~9の分岐または非分岐の、アルキル基を有するアルデヒドとブロモ酢酸エステルとの縮合反応によりβ-ヒドロキシカルボン酸エステルが製造される。具体的には、炭素数が5~7の非分岐の飽和アルキル基を有するアルデヒドとしては、例えば、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナールが用いられる。ブロモ酢酸エステルとしては、例えば、ブロモ酢酸メチル、ブロモ酢酸エチル、ブロモ酢酸プロピル、ブロモ酢酸ブチル等が用いられる。レフォルマトスキー反応に使用される触媒としては、例えば、亜鉛、マグネシウム、鉄等が挙げられる。