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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025039317
(43)【公開日】2025-03-21
(54)【発明の名称】生地搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/00 20060101AFI20250313BHJP
   B65H 3/22 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
B65H3/00 301
B65H3/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146328
(22)【出願日】2023-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 元樹
(72)【発明者】
【氏名】吉見 卓
(72)【発明者】
【氏名】北見 純
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA08
3F343FB15
3F343FC01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GD04
3F343JC08
3F343JC09
3F343JC12
3F343JC19
3F343KB04
3F343LA04
3F343LA13
3F343LA14
3F343LC06
3F343LC07
3F343LC16
3F343LD06
3F343MA38
3F343MA39
3F343MC11
3F343MC12
(57)【要約】
【課題】積層された生地から一番上の生地のみを取り上げること。
【解決手段】生地搬送装置は、第1保持部材と、第2保持部材と、第1保持部材の下面に配置される指向性繊維と、プロセッサと、を備える。プロセッサは、第1保持部材の指向性繊維を生地の上面に接触させ、第2保持部材に生地の一部を保持させた状態で、第1保持部材と第2保持部材とを相互に離隔させる。第1保持部材の指向性繊維は、第2保持部材から第1保持部材が離隔する方向に指向する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1保持部材と、
第2保持部材と、
前記第1保持部材の下面に配置される指向性繊維と、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記第1保持部材の指向性繊維を生地の上面に接触させ、前記第2保持部材に前記生地の一部を保持させた状態で、前記第1保持部材と前記第2保持部材とを相互に離隔させ、
前記第1保持部材の指向性繊維は、前記第2保持部材から前記第1保持部材が離隔する方向に指向する、
生地搬送装置。
【請求項2】
前記第2保持部材の下面に指向性繊維が配置され、
前記第2保持部材に前記生地の一部を保持させることは、前記第2保持部材の指向性繊維を前記生地の上面に接触させることを含み、
前記第2保持部材の指向性繊維は、前記第1保持部材から前記第2保持部材が離隔する方向に指向する、
請求項1に記載の生地搬送装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記第1保持部材の指向性繊維を前記生地の第1端部に接触させ、前記第2保持部材の指向性繊維を前記生地の第2端部に接触させる、
請求項2に記載の生地搬送装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記第1保持部材と前記第2保持部材とを所定の距離だけ離隔させた後、前記距離を維持した状態で、前記第1保持部材及び前記第2保持部材のそれぞれを上昇させる、
請求項2に記載の生地搬送装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記第1保持部材及び前記第2保持部材のそれぞれを所定の押圧力で前記生地に押し付けた後、前記第1保持部材と前記第2保持部材とを所定の距離だけ離隔させ、
前記第1保持部材及び前記第2保持部材が前記生地を保持できる前記押圧力の目標値を示す目標押圧力を記憶するストレージを備え、
前記プロセッサは、前記目標押圧力に基づいて、前記第1保持部材及び前記第2保持部材を前記生地に押し付ける、
請求項4に記載の生地搬送装置。
【請求項6】
前記第1保持部材及び前記第2保持部材が前記生地を保持できる前記距離の目標値を示す目標距離を記憶するストレージを備え、
前記プロセッサは、前記目標距離に基づいて、前記第1保持部材と前記第2保持部材とを相互に離隔させる、
請求項4に記載の生地搬送装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記生地が前記第1保持部材及び前記第2保持部材に保持された状態で、前記第1保持部材と前記第2保持部材とを相互に接近させる、
請求項4に記載の生地搬送装置。
【請求項8】
前記第1保持部材の下面及び前記第2保持部材の下面の少なくとも一方に気体噴射口が設けられ、
前記プロセッサは、前記気体噴射口から気体を噴射させた状態で、前記第1保持部材と前記第2保持部材とを相互に接近させる、
請求項7に記載の生地搬送装置。
【請求項9】
第3保持部材を備え、
前記第3保持部材の下面に指向性繊維が配置され、
前記プロセッサは、前記第1保持部材の指向性繊維、前記第2保持部材の指向性繊維、及び前記第3保持部材の指向性繊維のそれぞれを生地の上面に接触させた状態で、前記第1保持部材と前記第2保持部材と前記第3保持部材とを相互に離隔させ、
前記第3保持部材の指向性繊維は、前記第1保持部材及び前記第2保持部材から前記第3保持部材が離隔する方向に指向する、
請求項2に記載の生地搬送装置。
【請求項10】
前記第1保持部材の下面にリントブラシが固定され、
前記指向性繊維は、前記リントブラシに設けられる、
請求項1に記載の生地搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、生地搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生地搬送装置に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような布地把持装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59-172341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書で開示する技術は、積層された生地から一番上の生地のみを取り上げることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、第1保持部材と、第2保持部材と、第1保持部材の下面に配置される指向性繊維と、プロセッサと、を備える生地搬送装置を開示する。プロセッサは、第1保持部材の指向性繊維を生地の上面に接触させ、第2保持部材に生地の一部を保持させた状態で、第1保持部材と第2保持部材とを相互に離隔させる。第1保持部材の指向性繊維は、第2保持部材から第1保持部材が離隔する方向に指向する。
【発明の効果】
【0006】
本明細書で開示する技術によれば、積層された生地から一番上の生地のみを取り上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る縫製システムを模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る生地搬送装置を模式的に示す側面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る生地搬送装置を示すブロック図である。
図4図4は、第1実施形態に係る生地搬送装置の動作を説明するための図である。
図5図5は、第1実施形態に係る生地搬送装置の動作を説明するための図である。
図6図6は、第1実施形態に係る生地搬送装置の動作を説明するための図である。
図7図7は、第1実施形態に係る生地搬送装置の動作を説明するための図である。
図8図8は、第2実施形態に係る生地搬送装置を模式的に示す上面図である。
図9図9は、第3実施形態に係る生地搬送装置を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。
【0009】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
【0010】
<縫製システム>
図1は、本実施形態に係る縫製システム1を模式的に示す図である。図1に示すように、縫製システム1は、ミシン2と、生地搬送装置3と、コントローラ4とを有する。
【0011】
ミシン2は、ミシンテーブル5の上面に設置される。生地テーブル6の上面に複数の生地7が置かれる。複数の生地7は、積層された状態で、生地テーブル6の上面に置かれる。生地搬送装置3は、積層された生地7から一番上の生地7のみを取り上げて、ミシンテーブル5に搬送する。コントローラ4は、生地搬送装置3を制御する。
【0012】
生地7は、布(織物)である。布として、綿布、麻布、絹布、及び毛布のような天然繊維布が例示される。布として、ポリエステル布、ナイロン布、レーヨン布、アクリル布、及びポリウレタン布のような化学繊維布が例示される。なお、生地7は、不織布でもよい。生地7は、シート状のスポンジでもよい。
【0013】
<生地搬送装置>
図2は、本実施形態に係る生地搬送装置3を模式的に示す側面図である。生地搬送装置3は、ボディ8と、支持部材9と、第1保持部材11と、第2保持部材12と、パイル織物10とを有する。
【0014】
ボディ8は、左右方向、前後方向、及び上下方向のそれぞれに移動可能である。支持部材9は、ボディ8の下部に固定される。支持部材9は、左右方向に長い。第1保持部材11は、支持部材9の下面の左部に連結される。第2保持部材12は、支持部材9の下面の右部に連結される。第1保持部材11は、左右方向に移動可能に支持部材9に連結される。第2保持部材12は、左右方向に移動可能に支持部材9に連結される。
【0015】
パイル織物10は、第1保持部材11の下面及び第2保持部材12の下面のそれぞれに固定される。パイル織物10とは、経糸及び緯糸で織られる生地の間にパイル糸が織り込まれた織物をいう。パイル織物10は、起毛生地である。本実施形態において、パイル織物10は、リントブラシである。パイル織物10の下面に、指向性繊維10Aが設けられる。指向性繊維10Aは、パイル織物10の下面から下方向に突出する。指向性繊維10Aは、パイル織物10の下面に複数設けられる。複数の指向性繊維10Aのそれぞれの長さは、相互に等しい。
【0016】
指向性繊維10Aとは、ある方向に指向する繊維をいう。指向性繊維10Aは、第1保持部材11及び第2保持部材12のそれぞれの下面に配置される。第1保持部材11の指向性繊維10Aの指向方向と第2保持部材12の指向性繊維10Aの指向方向とは、異なる。本実施形態において、第1保持部材11の指向性繊維10Aの指向方向と第2保持部材12の指向性繊維10Aの指向方向とは、逆方向である。
【0017】
第1保持部材11の指向性繊維10Aは、左方向に指向する。すなわち、第1保持部材11の指向性繊維10Aは、下方向に向かって左方向に倒伏する。換言すれば、第1保持部材11の指向性繊維10Aは、下方向に向かって左方向に傾斜する。
【0018】
第2保持部材12の指向性繊維10Aは、右方向に指向する。すなわち、第2保持部材12の指向性繊維10Aは、下方向に向かって右方向に倒伏する。換言すれば、第2保持部材12の指向性繊維10Aは、下方向に向かって右方向に傾斜する。
【0019】
図3は、本実施形態に係る生地搬送装置3を示すブロック図である。生地搬送装置3は、コントローラ4と、カメラ15と、力センサ16と、移動量センサ17と、メインアクチュエータ20と、第1アクチュエータ21と、第2アクチュエータ22とを有する。
【0020】
コントローラ4は、コンピュータシステムを含む。コントローラ4は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ41と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメモリ42と、ストレージ43とを有する。コントローラ4の機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ43に記憶されている。プロセッサ41は、コンピュータプログラムをストレージ43から読み出してメモリ42に展開し、コンピュータプログラムに従って処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコントローラ4に配信されてもよい。
【0021】
カメラ15は、例えばボディ8又は支持部材9に取り付けられる。カメラ15は、生地7を上方から撮像する。カメラ15により撮像された生地7の画像データは、コントローラ4に送信される。
【0022】
力センサ16は、例えば支持部材9に取り付けられる。力センサ16は、第1保持部材11及び第2保持部材12が生地7を上方から押し付けたときの押圧力を検出する。力センサ16により検出された第1保持部材11及び第2保持部材12の押圧力を示す検出データは、コントローラ4に送信される。
【0023】
移動量センサ17は、例えば第1保持部材11及び第2保持部材12のそれぞれに取り付けられる。移動量センサ17は、第1保持部材11と第2保持部材12とが相対移動したときの移動量を検出する。第1保持部材11と第2保持部材12とが相対移動したときの移動量が検出されることにより、第1保持部材11と第2保持部材12との距離が検出される。移動量センサ17により検出された第1保持部材11と第2保持部材12との距離を示す検出データは、コントローラ4に送信される。
【0024】
メインアクチュエータ20は、ボディ8を移動させる動力を発生する。メインアクチュエータ20は、ボディ8を、左右方向、前後方向、及び上下方向のそれぞれに移動させることができる。支持部材9は、ボディ8と一緒に移動する。メインアクチュエータ20は、コントローラ4により制御される。
【0025】
第1アクチュエータ21は、第1保持部材11を移動させる動力を発生する。第1アクチュエータ21は、第1保持部材11を左右方向に移動させることができる。第1アクチュエータ21が発生する動力により、第1保持部材11は、支持部材9に対して左右方向に相対移動する。第1アクチュエータ21は、コントローラ4により制御される。
【0026】
第2アクチュエータ22は、第2保持部材12を移動させる動力を発生する。第2アクチュエータ22は、第2保持部材12を左右方向に移動させることができる。第2アクチュエータ22が発生する動力により、第2保持部材12は、支持部材9に対して左右方向に相対移動する。第2アクチュエータ22は、コントローラ4により制御される。
【0027】
<動作>
図4図5図6、及び図7のそれぞれは、本実施形態に係る生地搬送装置3の動作を説明するための図である。
【0028】
上述のように、生地テーブル6の上面に複数の生地7が置かれる。複数の生地7は、積層された状態で、生地テーブル6の上面に置かれる。生地搬送装置3は、積層された生地7から一番上の生地7のみを取り上げて、ミシンテーブル5に搬送する。
【0029】
図4に示すように、プロセッサ41は、生地搬送装置3が生地7の上方に配置されるように、メインアクチュエータ20を制御する。プロセッサ41は、積層された生地7のうち一番上の生地7と生地搬送装置3とが対向するように、メインアクチュエータ20を制御する。カメラ15は、生地7を上方から撮像する。カメラ15により撮像された生地7の画像データは、コントローラ4に送信される。プロセッサ41は、生地7の画像データに基づいて、生地7の位置を算出することができる。プロセッサ41は、生地7の位置に基づいて、生地搬送装置3が一番上の生地7の上方に配置されるように、メインアクチュエータ20を制御する。
【0030】
図5に示すように、プロセッサ41は、生地搬送装置3が一番上の生地7の上方に配置された後、第1保持部材11の指向性繊維10A及び第2保持部材12の指向性繊維10Aのそれぞれが一番上の生地7の上面に接触するように、メインアクチュエータ20を制御する。すなわち、プロセッサ41は、第1保持部材11の指向性繊維10A及び第2保持部材12の指向性繊維10Aのそれぞれが一番上の生地7の上面に接触するように、生地搬送装置3を下降させる。
【0031】
プロセッサ41は、第1保持部材11の指向性繊維10Aが一番上の生地7の左端部に接触し、第2保持部材12の指向性繊維10Aが一番上の生地7の右端部に接触するように、メインアクチュエータ20を制御する。
【0032】
プロセッサ41は、第1保持部材11及び第2保持部材12のそれぞれが所定の押圧力で生地7を上方から押し付けるように、メインアクチュエータ20を制御して、生地搬送装置3を下降させる。第1保持部材11及び第2保持部材12のそれぞれが生地7を上方から押し付けるときの押圧力の目標値を示す目標押圧力は、ストレージ43に予め記憶されている。
【0033】
力センサ16は、第1保持部材11及び第2保持部材12が生地7を上方から押し付けたときの押圧力を検出する。力センサ16により検出された第1保持部材11及び第2保持部材12の押圧力を示す検出データは、コントローラ4に送信される。プロセッサ41は、目標押圧力に基づいて、第1保持部材11及び第2保持部材12を一番上の生地7に押し付ける。プロセッサ41は、力センサ16の検出データに基づいて、第1保持部材11及び第2保持部材12のそれぞれが生地7を上方から押し付けるときの押圧力が目標押圧力になるように、メインアクチュエータ20を制御する。
【0034】
図6に示すように、プロセッサ41は、第1保持部材11の指向性繊維10A及び第2保持部材12の指向性繊維10Aのそれぞれを一番上の生地7の上面に接触させた状態で、第1保持部材11と第2保持部材12とが相互に離隔するように、第1アクチュエータ21及び第2アクチュエータ22の少なくとも一方を制御する。プロセッサ41は、第1保持部材11及び第2保持部材12のそれぞれを所定の押圧力で生地7に押し付けた後、第1保持部材11と第2保持部材12とが所定の距離だけ離隔するように、第1アクチュエータ21及び第2アクチュエータ22の少なくとも一方を制御する。
【0035】
本実施形態において、プロセッサ41は、第1保持部材11の指向性繊維10A及び第2保持部材12の指向性繊維10Aのそれぞれを一番上の生地7の上面に接触させた後、第1保持部材11が左方向に第1距離だけ移動するように第1アクチュエータ21を制御し、第2保持部材12が右方向に第2距離だけ移動するように第2アクチュエータ22を制御する。本実施形態において、第1距離と第2距離とは、等しい。なお、第1距離と第2距離とは、異なってもよい。第1保持部材11が左方向に移動し、第2保持部材12は右方向に移動しなくてもよい。第2保持部材12が右方向に移動し、第1保持部材11は左方向に移動しなくてもよい。
【0036】
第1保持部材11と第2保持部材12とを離隔させるときの距離の目標値を示す目標距離は、ストレージ43に予め記憶されている。
【0037】
移動量センサ17は、第1保持部材11と第2保持部材12とが離隔するように移動したときの第1保持部材11と第2保持部材12との距離を検出することができる。移動量センサ17により検出された第1保持部材11と第2保持部材12との距離を示す検出データは、コントローラ4に送信される。プロセッサ41は、目標距離に基づいて、第1保持部材11と第2保持部材12とを相互に離隔させる。プロセッサ41は、移動量センサ17の検出データに基づいて、相互に離隔した後の第1保持部材11と第2保持部材12との距離が目標距離になるように、第1アクチュエータ21及び第2アクチュエータ22の少なくとも一方を制御する。
【0038】
本実施形態において、第1保持部材11が第2保持部材12から離隔するときの離隔方向は、左方向である。すなわち、第2保持部材12から第1保持部材11が離隔する方向は、左方向である。第1保持部材11は、第2保持部材12に対して左方向に相対移動することにより、第2保持部材12から離隔する。
【0039】
本実施形態において、第2保持部材12が第1保持部材11から離隔するときの離隔方向は、右方向である。すなわち、第1保持部材11から第2保持部材12が離隔する方向は、右方向である。第2保持部材12は、第1保持部材11に対して右方向に相対移動することにより、第1保持部材11から離隔する。
【0040】
第1保持部材11の指向性繊維10Aは、第2保持部材12から第1保持部材11が離隔する方向である左方向に指向する。第2保持部材12の指向性繊維10Aは、第1保持部材11から第2保持部材12が離隔する方向である右方向に指向する。
【0041】
第1保持部材11が第2保持部材12に対して左方向に相対移動することにより、第1保持部材11の指向性繊維10Aは、一番上の生地7の上面にフックされる。第2保持部材12が第1保持部材11に対して右方向に相対移動することにより、第2保持部材12の指向性繊維10Aは、一番上の生地7の上面にフックされる。
【0042】
第1保持部材11の指向性繊維10Aが一番上の生地7の上面の左端部にフックされ、第2保持部材12の指向性繊維10Aが一番上の生地7の上面の右端部にフックされることにより、一番上の生地7は、第1保持部材11及び第2保持部材12により保持される。第1保持部材11及び第2保持部材12のそれぞれは、指向性繊維10Aのフック効果により、一番上の生地7を保持する。
【0043】
第1保持部材11の指向性繊維10Aが一番上の生地7の上面の左端部にフックされ、第2保持部材12の指向性繊維10Aが一番上の生地7の上面の右端部にフックされた状態で、第1保持部材11と第2保持部材12とが相互に離隔することにより、一番上の生地7は、左右方向に伸びる。
【0044】
図7に示すように、プロセッサ41は、第1保持部材11と第2保持部材12とを左右方向に目標距離だけ離隔させた後、目標距離を維持した状態で、第1保持部材11及び第2保持部材12のそれぞれが上昇するように、メインアクチュエータ20を制御する。第1保持部材11及び第2保持部材12のそれぞれは、指向性繊維10Aのフック効果により一番上の生地7を保持しているので、生地搬送装置3が上昇することにより、生地搬送装置3は、積層された生地7から一番上の生地7のみを取り上げることができる。
【0045】
上述の目標押圧力は、第1保持部材11及び第2保持部材12が一番上の生地7のみを保持できる押圧力である。上述の目標距離は、第1保持部材11及び第2保持部材12が一番上の生地7のみを保持できる距離である。第1保持部材11及び第2保持部材12の押圧力が目標圧力に調整され、第1保持部材11と第2保持部材12とが相互に離隔したときの第1保持部材11と第2保持部材12との距離が目標距離に調整されることにより、一番上の生地7は、適正なフック力で指向性繊維10Aにフックされる。目標押圧力及び目標距離それぞれは、予備実験により求められ、ストレージ43に予め記憶される。
【0046】
プロセッサ41は、第1保持部材11と第2保持部材12との目標距離を維持した状態で、生地搬送装置3により取り上げられた生地7がミシンテーブル5に搬送されるように、メインアクチュエータ20を制御する。
【0047】
生地搬送装置3がミシンテーブル5の上方に配置された後、プロセッサ41は、生地7が第1保持部材11及び第2保持部材12に保持された状態で、第1保持部材11と第2保持部材12とが相互に接近するように、第1アクチュエータ21及び第2アクチュエータ22の少なくとも一方を制御する。第1保持部材11と第2保持部材12とが相互に接近することにより、指向性繊維10Aのフック効果が解除され、生地7が第1保持部材11及び第2保持部材12から解放される。生地7は、第1保持部材11及び第2保持部材12から解放されることにより、ミシンテーブル5に搬送される。
【0048】
<効果>
以上説明したように、本実施形態に係る生地搬送装置3は、第1保持部材11と、第2保持部材12と、第1保持部材11及び第2保持部材12のそれぞれの下面に配置される指向性繊維10Aと、プロセッサ41と、を備える。プロセッサ41は、第1保持部材11の指向性繊維10A及び第2保持部材12の指向性繊維10Aのそれぞれを一番上の生地7の上面に接触させた状態で、第1保持部材11と第2保持部材12とを相互に離隔させる。第1保持部材11の指向性繊維10Aは、第2保持部材12から第1保持部材11が離隔する方向である左方向に指向する。第2保持部材12の指向性繊維10Aは、第1保持部材11から第2保持部材12が離隔する方向である右方向に指向する。
【0049】
本実施形態によれば、生地7に対する指向性繊維10Aのフック効果により、生地7が第1保持部材11及び第2保持部材12に保持される。したがって、生地搬送装置3は、積層された生地7から一番上の生地7のみを取り上げることができる。
【0050】
プロセッサ41は、第1保持部材11の指向性繊維10Aを一番上の生地7の左端部(第1端部)に接触させ、第2保持部材12の指向性繊維10Aを一番上の生地7の左端部(第2端部)に接触させる。第1保持部材11が生地7の一端部を保持し、第2保持部材12が生地7の他端部を保持した状態で、第1保持部材11と第2保持部材12とが離隔するので、生地搬送装置3は、生地7を張った状態で搬送することができる。
【0051】
プロセッサ41は、第1保持部材11と第2保持部材12とを目標距離だけ離隔させた後、目標距離を維持した状態で、第1保持部材11及び第2保持部材12のそれぞれを上昇させる。これにより、生地搬送装置3は、生地7に対する指向性繊維10Aのフック効果を維持した状態で、一番上の生地7のみを上昇させることができる。
【0052】
第1保持部材11及び第2保持部材12が生地7を保持できる押圧力の目標値を示す目標押圧力がストレージ43に予め記憶される。プロセッサ41は、目標押圧力に基づいて、第1保持部材11及び第2保持部材12を生地7に押し付ける。これにより、第1保持部材11及び第2保持部材12は、生地7を保持することができる。
【0053】
第1保持部材11及び第2保持部材12が生地7を保持できる距離の目標値を示す目標距離がストレージ43に予め記憶される。プロセッサ41は、目標距離に基づいて、第1保持部材11と第2保持部材12とを相互に離隔させる。これにより、第1保持部材11及び第2保持部材12は、生地7を保持することができる。
【0054】
プロセッサ41は、生地7が第1保持部材11及び第2保持部材12に保持された状態で、第1保持部材11と第2保持部材12とを相互に接近させる。第1保持部材11と第2保持部材12とが相互に接近することにより、指向性繊維10Aのフック効果が解除され、生地7が第1保持部材11及び第2保持部材12から解放される。
【0055】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0056】
図8は、本実施形態に係る生地搬送装置3を模式的に示す上面図である。図8に示すように、生地搬送装置3は、第1保持部材11及び第2保持部材12に加えて、第3保持部材13を備えてもよい。第1保持部材11及び第2保持部材12と同様、第3保持部材13の下面に指向性繊維10Aが配置される。
【0057】
プロセッサ41は、第1保持部材11の指向性繊維10A、第2保持部材12の指向性繊維10A、及び第3保持部材13の指向性繊維10Aのそれぞれを生地7の上面に接触させた状態で、第1保持部材11と第2保持部材12と第3保持部材13とを相互に離隔させる。図8に示す例において、第1保持部材11と第2保持部材12と第3保持部材13とは、生地7の中心の周方向に等間隔で配置される。プロセッサ41は、第1保持部材11の指向性繊維10A、第2保持部材12の指向性繊維10A、及び第3保持部材13の指向性繊維10Aのそれぞれを生地7の上面に接触させた状態で、第1保持部材11と第2保持部材12と第3保持部材13と生地7の中心の放射方向外側に移動させる。
【0058】
第1保持部材11の指向性繊維10Aは、第2保持部材12及び第3保持部材13から第1保持部材11が離隔する方向である放射方向外側に指向する。第2保持部材12の指向性繊維10Aは、第3保持部材13及び第1保持部材11から第2保持部材12が離隔する方向である放射方向外側に指向する。第3保持部材13の指向性繊維10Aは、第1保持部材11及び第2保持部材12から第3保持部材13が離隔する方向である放射方向外側に指向する。
【0059】
以上説明したように、生地搬送装置3は、3つの保持部材(第1保持部材11、第2保持部材12、及び第3保持部材13)を有してもよい。また、生地搬送装置3は、4つ以上の任意の複数の保持部材を有してもよい。
【0060】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0061】
図9は、本実施形態に係る生地搬送装置3を模式的に示す側面図である。本実施形態において、第1保持部材11の下面及び第2保持部材12の下面の少なくとも一方に気体噴射口が設けられる。
【0062】
第1保持部材11及び第2保持部材12に保持されている生地7を第1保持部材11及び第2保持部材12から解放する場合、プロセッサ41は、気体噴射口から気体を噴射させた状態で、第1保持部材11と第2保持部材12とを相互に接近させてもよい。気体噴射口から生地7に気体が吹き付けられることにより、生地7は、第1保持部材11及び第2保持部材12から円滑に解放される。
【0063】
〔その他の実施形態〕
上述の実施形態において、第1保持部材11が第1の生地搬送装置(第1のボディ、第1の支持部材)に設けられ、第2保持部材12が第2の生地搬送装置(第2のボディ、第2の支持部材)に設けられてもよい。
【0064】
上述の実施形態において、第1保持部材11及び第2保持部材12を用いて生地7を搬送する場合、第1保持部材11の下面に指向性繊維10Aが配置され、第2保持部材12には指向性繊維10Aが配置されなくてもよい。第1保持部材11は、指向性繊維10Aのフック効果により生地7を保持し、第2保持部材12は、任意の保持方法で生地7の一部を保持してもよい。第2保持部材12は、例えば生地7の一部を掴むグリッパを含んでもよいし、生地7の一部に突き刺さる針を含んでもよいし、生地7の一部を吸着保持する吸引ノズルを含んでもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…縫製システム、2…ミシン、3…生地搬送装置、4…コントローラ、5…ミシンテーブル、6…生地テーブル、7…生地、8…ボディ、9…支持部材、10…パイル織物、10A…指向性繊維、11…第1保持部材、12…第2保持部材、13…第3保持部材、15…カメラ、16…力センサ、17…移動量センサ、20…メインアクチュエータ、21…第1アクチュエータ、22…第2アクチュエータ、41…プロセッサ、42…メモリ、43…ストレージ。
図1
図2
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図7
図8
図9