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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003933
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】管楽器用サムレスト
(51)【国際特許分類】
   G10D 9/00 20200101AFI20250106BHJP
   G10D 7/066 20200101ALI20250106BHJP
【FI】
G10D9/00
G10D7/066
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024091386
(22)【出願日】2024-06-05
(31)【優先権主張番号】23181328
(32)【優先日】2023-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522218770
【氏名又は名称】ジープリング,アルネ ヴェルナー ホルスト
【氏名又は名称原語表記】SIEBLING, Arne Werner Horst
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ジープリング,アルネ ヴェルナー ホルスト
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プレアンブルの特徴を有する管楽器用サムレスト、本体及びサムレストを有する管楽器並びにプレアンブルの特徴を有する管楽器を演奏するためのサムレストの使用方法を提供する。
【解決手段】管楽器、特にクラリネット(3)用のサムレスト(1)は、サムレスト(1)を管楽器の本体(2)に取り付けるためのアダプタ(4)と、アダプタ(4)に配置されるか又はそれによって支持されるサポートピース(6)と、サポートピース(6)に配置されるサムストップ(7)と、を含む。サムストップ(7)とサポートピース(6)は、ジョイント(8)によって互いにジョイント接続されており、このジョイントによって、サポートピース(6)に対するサムストップ(7)の永久的な回転自由度が提供され、サムストップ(7)はサポートピース(6)に対して永久的に回転可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管楽器、特にクラリネット(3)用のサムレスト(1)であって、
サムレスト(1)を管楽器の本体(2)に取り付けるためのアダプタ(4)、
アダプタ(4)に配置され、またはそれによって支持されるサポートピース(6)、および、
サポートピース(6)に配置されるサムストップ(7)、
を含み、
サムストップ(7)とサポートピース(6)は、ジョイント(8)によって互いにジョイント接続されており、このジョイント(8)によって、サムストップ(7)のサポートピース(6)に対する永久的な回転自由度が与えられ、サムストップ(7)がサポートピース(6)に対して永久的に回転可能であることを特徴とするサムレスト(1)。
【請求項2】
ジョイント(8)は、正確に1つの回転軸(9)を有するピボットジョイントであることを特徴とする請求項1に記載のサムレスト(1)。
【請求項3】
ジョイント(8)の回転軸(9)は、管楽器におけるサムレスト(7)の組立状態において、管楽器の本体(2)の円形断面に対して半径方向に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のサムレスト(1)。
【請求項4】
サポートピース(6)とサムストップ(7)は、互いに相補的に形成されたサポート面(23、24)を有し、特に一方のサポート面(23、24)は凹状に形成され、他方のサポート面(23、24)は凸状に形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のサムレスト(1)。
【請求項5】
サムストップ(7)は、切り込み(19)を有し、ジョイント(8)は、サムストップ(7)がシャフト(18)の周りで回転可能に支持されるように、切り込み(19)内または切り込み(19)を通って延びるシャフト(18)を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のサムレスト(1)。
【請求項6】
シャフト(18)は、サポートピース(6)によって形成されることを特徴とする請求項5に記載のサムレスト(1)。
【請求項7】
シャフト(18)は、ねじ(17)またはボルトによって形成され、そのねじは、サポートピース(6)の切欠き(21)の対応するねじ山にねじ込まれ、サムストップ(7)は、シャフト(18)によって規定される回転軸(9)の周りで、サポートピース(6)とねじ(17)またはボルトの頭部(22)との間に回転可能に保持されることを特徴とする請求項5に記載のサムレスト(1)。
【請求項8】
ジョイント(8)は、サムストップ(7)の回転の滑らかな動きがサポートピース(6)に対して設定可能であるように構成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のサムレスト(1)。
【請求項9】
アダプタ(4)は、管楽器の本体(2)に、クランプによって、および/または、材質の連続性によって、接続されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のサムレスト(1)。
【請求項10】
サポートピース(6)は、アダプタ(4)によって形成されたマウント(12)内で、本体(2)の長手方向軸(14)の方向に変位可能に受け入れられる請求項1~9のいずれか1項に記載のサムレスト(1)。
【請求項11】
マウント(12)は、環状の自由なマウント断面を有するスリーブのように形成され、
サポートピース(6)は、マウント断面と相補的な断面を有するピン形状であることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のサムレスト(1)。
【請求項12】
本体(2)、および、
本体(2)に固定された請求項1~11のいずれか1項に記載のサムレスト(1)、
を含む管楽器、特にクラリネット(3)。
【請求項13】
サムレスト(1)を管楽器の本体(2)に取り付けるためのアダプタ(4)、
アダプタ(4)に配置された、またはそれによって支持されたサポートピース(6)、および、
サポートピース(6)に配置され、ジョイント(8)によりジョイント形式に接続されたサムストップ(7)、
を含み、
サムレスト(1)が特に請求項1~12のいずれか1項のように構成された管楽器用のサムレスト(1)の使用であって、
ジョイント(8)は、管楽器の演奏中に固定されず、演奏中にサポートピース(6)に対してサムストップ(7)は回転可能に支持されることを特徴とする管楽器用のサムレスト(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルの特徴を有する管楽器用サムレスト(親指レスト)、並びに本体およびサムレストを有する管楽器、並びに請求項13のプレアンブルの特徴を有する管楽器を演奏するためのサムレストの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
クラリネット用のサムレストは、文献DE 41 13 871 C2から公知であり、このサムレストは、クラリネットにねじ止めされる受けスリーブと、スリーブ内に受容され、クラリネットを演奏する際に演奏者の親指に支持されるサムストップが配置される支持ピースとを備えている。このサムレストは、奏者に最適に適合させるために様々な自由度を有する。サムレストはクラリネットの長手方向に動かすことができ、クラリネットの長手方向に対して回転させることができ、ボールジョイントが設けられているので、サムレストの向きを変えることができる。従って、サムレストは、実際の演奏の前に演奏者の希望に応じて最適に設定することができ、そこに固定することができる。
【0003】
US4,348,935Aから知られるサムレストでも同様に、演奏者が演奏前にサムレストを調整し、所望の位置に固定することが可能である。この目的のために、管楽器の長手方向にサムレストの調整可能性が設けられている。サムサポートは、さらに、管楽器の長手方向軸と平行に延び、サムサポートを受けるスリーブによって予め規定された回転軸を中心に回転させることができる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、可能な限り快適な管楽器の演奏を可能にする管楽器用サムレストを提供することである。
【0005】
本発明にかかる目的は、独立請求項1の特徴を有するサムレストによって、独立請求項12の特徴を有するそのようなサムレストを有する管楽器によって、および独立請求項13の特徴にかかるサムレストの使用によって達成される。
【0006】
本発明は、先行技術から知られているサムレストでは、サムレストの向きと位置が、演奏者にとって最適に予め設定されることが認められるという認識に基づいている。特に、管楽器をかなり長時間演奏する場合、それにもかかわらず、疲労や硬さ現象および/または不快な圧迫感が生じることがある。従って、本発明に従って、特に演奏中も、できるだけ可変的で、それにもかかわらず安定した位置となるようにサムレストを設計することが提案される。
【0007】
本発明にかかる管楽器用サムレストは、管楽器、特にその本体に固定できるアダプタを備える。このアダプタは、例えば管楽器に差し込んだり、クリップで留めたりすることができる。さらなる可能性としては、アダプタを本体にねじ止めしたり、例えば接着剤による接着や、本体の既存の金属部分へのはんだ付けなど、材料の連続性を利用して固定することが挙げられる。
【0008】
サムレストはさらに、サポートピースと、サポートピースに配置されたサムストップを備える。サポートピースはアダプタに一体的に形成することができる。しかし、典型的には、演奏中にアダプタに固定される別個の部品であり、その固定は解除可能であり、例えば、演奏前にサポートピースとそれに固定されたサムストップの位置と向きを設定できる。
【0009】
従来技術から知られているサムレストとは異なり、これとは対照的に、サムストップはサポートピースに恒久的に、したがって特に演奏中もサポートピースと可動に接続される。この目的のためにジョイントが設けられ、このジョイントによってサムストップはサポートピースにジョイント的に接続される。このジョイントは、ジョイントによって提供される1つ以上の自由度が演奏中も維持されるように形成される。言い換えれば、本発明によれば、ジョイントはサムレストとロックすることはできない。つまり、ジョイントは、個々の、しかし固定された演奏位置を設定できるようには機能しない。ジョイントによって実現されるサムストップとサポートピースとの間の可動性は、むしろ永続的に、特に演奏中に維持される。従って、サムストップは、ジョイントによって予め定義された回転ゾーンを介して、サポートピースに対して永久的に回転可能なままであることが達成され得る。ここでの回転ゾーンは、通常、数度、あるいは数十度の角度範囲からなる。従って、管楽器演奏時の演奏者の姿勢は一方的なものではなく、むしろ絶えず変化する演奏姿勢となり、親指への負担も変化する。
【0010】
例えばピボットジョイントハウジング内のジョイントヘッドの固定と自由に動かせるサポートによって、演奏中にジョイントが永久に移動可能に維持されることが様々な方法で達成できる。さらなる例としては、弾性材料からなる一種のフィルムヒンジとしてジョイントを構成することが挙げられる。さらに一例を挙げると、ジョイントヘッドを2つのサポート面間にクランプ式に把持することができ、サポート面は、ジョイントヘッドがサポート面間に保持されたまま永久に可動であるように、限定された程度まで互いに対して引張可能である。
【0011】
本発明にかかるサムレストは、特に、クラリネットやオーボエのように、演奏中に本体が実質的に垂直に保持される管楽器に使用することができる。管楽器の重量を快適に支えることができるように、サムレストは、サムストップが垂直下方に作用する重量力に対して実質的に横方向に配向しているものが有用である。サムレストの横方向に向けられたサムストップは、管楽器のずり落ちが防止されるように親指の上に置かれる。この点で、重量の大部分は、サムレストを介して親指によって負担され、演奏者は、管楽器を指の間にしっかりと挟むために必要な力が少なくて済む。
【0012】
一実施形態によれば、ジョイントは、正確に1つの回転軸を有するピボットジョイントとして構成される。これは、演奏中に管楽器を様々に保持するためには既に十分である。しかし、サムストップがサポートピースに可動に接続されるジョイントによって、複数の回転自由度を提供することもできる。ジョイントは、例えば、サムストップがサポートピースに対して回転可能な複数の回転軸を有するボールジョイントとして構成することができる。
【0013】
サムレストが管楽器に取り付けられる場合、ジョイントの回転軸またはそのうちの1つは、特に、管楽器本体の長手方向に対して実質的に垂直であり、その円形断面に対して実質的に半径方向に向いている。クラリネットの場合、サムレストは通常、サムストップがクラリネット本体のキーの反対側に配置されるように取り付けられる。回転軸が本体の断面に対して半径方向に向いている場合、このことは、クラリネットが演奏者の親指の上に横たわったまま、左右にわずかに振動できることを意味する。しかし、例えば、振動しない、あるいは、限られた程度にしか前後に自由に振動できないこともある。指による補正動作が鍵盤をつかむときの力に影響する可能性があるため、これは演奏者にとって不慣れな、あるいは望まないことかもしれない。すなわち、提案されたサムレストの向きと回転軸の向きにより、演奏そのものを損なうことなく、演奏者にとって柔軟な演奏姿勢が得られる。しかしながら、少なくとも1つの回転軸は、任意の他の向きを有することもでき、好ましくは、本体の円形断面に対して横方向に配向される。
【0014】
ジョイントは一般に、任意の所望のデザインを有することができる。上記で説明したように、ピボットジョイントまたはボールジョイントとすることができ、ジョイントは異なる様式で実施することができる。ジョイントは、サムストップとサポートピースとによって、完全にまたは部分的に一体的に形成することができる。サムストップは、具体的には、サポートピースに回転可能に配置することができる。
【0015】
サポートピースとサムストップとが互いに相補的に形成されたサポート面を有する場合、サポートピースにおけるサムストップの特に良好な支持を達成することができ、これは、サポートピースに対するサムストップの可動性を可能な限り良好にし、また良好に案内することに寄与する。サムストップのサポート面は例えば凸状に形成され、一方サポートピースの相補的なサポート面は対応する曲率半径で凹状に形成される。逆に、サポートピースのサポート面は凸面である一方、サムストップのサポート面は凹面であることもできる。
【0016】
一実施形態によれば、サムストップは切り欠きを有し、ジョイントのシャフトが切り欠き内または切り欠きを通って延び、サムストップがシャフトで回転可能に支持されるようになっている。ここでジョイントのシャフトは、サムストップが回転可能である回転軸を規定する。
【0017】
シャフトはサポートピースによって一体的に形成することができる。シャフトは、サムストップをシャフトに固定するための終端ピースを有することができる。いくつかの例を挙げると、終端ピースは、サムストップの切り欠きを通って突出するシャフトの端部のより厚い部分とすることができ、または端部側にねじ込まれたナットまたは端部側に配置されたキャップとすることができる。サムストップはサポートピースのシャフトにクリップで留めることもでき、シャフトからの抜けは終端ピースで防止できる。
【0018】
あるいは、ジョイントのシャフトは、サムストップによって一体的に形成することができ、シャフトは、例えば、サポートピースの取り付け部に回転可能に受容される。この目的のために、シャフトは、サポートピースの球状取付け部に挟まれる球状端部を有することができる。さらなる可能性は、サムストップは、サポートピースの通路の切り欠きを通って延び、端部側でねじ止めされたナットまたは別の終端ピースによってそこに固定された、ピン形状のシャフトを有することである。
【0019】
ジョイントのシャフトは、サムストップやサポートピースとは別に形成することもできる。ジョイントは、例えばネジやボルトで構成することができる。ここで、ねじまたはボルトのシャフトは、サムストップがシャフトによって規定される回転軸を中心に回転可能に支持されるジョイントのシャフトを表す。ねじまたはボルトは、サポートピースへの接続のために、サポートピースの切り欠きにある対応するねじ山にねじ込むことができる。サムストップは、ねじの頭部またはボルトの頭部によって頭部とサポートピースとの間に回転可能に捕捉することができ、その結果、サポートピースに確実に保持することができる。
【0020】
ジョイントは、サムストップの回転の滑らかな動きをサポートピースに対して設定できるように構成することができる。従って、演奏者は、サムストップがどの程度動くべきかを自分で決めることができる。サムストップが、例えば、終端ピース(ねじ頭やボルト頭など)とサポートピースとの間に保持されている場合、サムストップをどの程度滑らかに回転させることができるかは、終端ピースによってサポートピースに加えられる押圧力によって設定できる。押圧力は、例えば、終端ピースの位置が(例えば、ねじ/ボルトをねじ込むか、またはねじから外すことによって)変更されるように、変化させることができる。サムストップに作用し、それをサポートピースのサポート面に押し付けるバネまたは弾性緩衝要素を設けることもできる。結果として生じる押し付け力、ひいては回転の滑らかさは、バネまたは緩衝要素を圧縮または緩和することによって設定できる。
【0021】
サムレストを管楽器に、特にその本体に固定するために、アダプタを本体にしっかりとクランプすることができ、および/または本体に材料的に連続させて接続することができる。アダプタは、例えば、本体の周囲をグリップすることができるカラーを有することができ、その結果、きつくクランプするために本体の周囲をクランプ可能に把持することができる。接着剤による接着や、アダプタの本体への強固なねじ止めにより、材料の連続性を確保した締め付けを実現することができる。更なる可能性は、アダプタを、例えばはんだ付けによって、金属部品に固定することである。このような部品は、例えば、把持システムの金属リングや、本体の異なる部分の接続部分の金属リングとすることができる。例えばこのような金属リングにはんだ付けする利点は、このような接続が管楽器の音響形成部品に影響を与えないことである。そのため、管楽器の音は影響を受けないか、ほとんど影響を受けない。
【0022】
サムレストとサムストップの最適な位置と向きは、演奏者の個人的なニーズによって異なる。従って、最初の組み立て時に演奏者のために位置と向きを固定するのではなく、その後、柔軟に適応できるようにすることが望ましい。
【0023】
従って、実施形態に従って、サポートピースがアダプタによって形成されたマウントに変位可能に受容され、サポートピースが、管楽器に装着されたサムレストの状態において、管楽器本体の長手方向に、少なくとも所定の範囲まで変位できるように規定する。このようにして、サポートピースの位置、ひいてはサムレストの位置を本体の長手方向に設定することができ、演奏者が望む位置に固定することができる。その後に位置を変更する場合には、サポートピースとアダプタとの間の締結を再び解除して、サポートピースをアダプタに対して長手方向に変位させ、締結を再び固定することができる。アダプタによって形成されたマウントにサポートピースを締め付け可能に固定するネジは、例えば、解放可能な締結の役割を果たすことができる。
【0024】
アダプタによって形成されるマウントは、更なる態様として、環状のフリーマウント断面を有するスリーブタイプとすることができる。サポートピースが環状マウント断面と相補的な断面を有するピン形状であれば、サポートピースはマウント内に回転可能に受容されることができる。すなわち、サポートピース(従ってこれに接続されたサムストップも)は、演奏者に最適な位置を設定するために、長手方向だけでなく、アダプタに対して上下に移動させることができる。サポートピースとサムストップは、むしろ、マウントによって規定され、本体の長手方向軸と実質的に平行な回転軸を中心に、マウントまたはアダプタに対して回転させることができる。このようにして、サムストップが本体から突出する角度範囲を設定することができる。演奏者が最適な位置を設定した場合、この設定は、例えばねじの締め付けによって固定することができる。
【0025】
本発明による解決策はさらに、本体に固定された本発明によるサムレストの本体を有する管楽器、特にクラリネットに関する。サムレストは、管楽器におけるアダプタの手段によって、例えばアダプタと本体に設けられた金属リングのような金属部品との間のはんだ付け接続によって、本体に恒久的に固定することができる。本発明によるサムレストに関する開示は、さらに例示的な実施形態に関しても適用される。
【0026】
また、本発明は、管楽器の本体にサムレストを取り付けるためのアダプタと、アダプタに配置されるかまたはそれによって形成されるサポートピースと、サポートピースに配置され、サポートピースにジョイント式に接続されるサムストップとを有する管楽器用サムレストの使用に関する。ここでは特に、本発明に従ったサムレストとすることができる。本発明に従って、サムストップをサポートピースに接続するためのジョイントが固定されておらず、演奏中にサムストップがサポートピースに対して回転可能に支持されるようにする。この使用方法は、管楽器の演奏のためにサムストップがその位置および向きに固定される先行技術から公知の解決策とは異なる。一方的な演奏姿勢を防止するために、本発明に従って、特に演奏中も、支持ピースに対してサムストップを回転可能に支持することが提案され、これにより、サムストップの位置および/または向きも演奏中に可変となる。本発明にかかるサムレストおよび本発明にかかる管楽器に関する記載は、さらなる例示的な実施形態に関しても適宜適用される。
【0027】
有利なさらなる発展が、特許請求の範囲、説明、および図面からもたらされる。特徴および複数の特徴の組み合わせの説明において指摘された利点は、例示的なものに過ぎず、本発明に従った実施形態の利点が必ずしも達成されなくても、代替的または累積的に効力を発揮することができる。特許請求の範囲および明細書において指摘された特徴は、「少なくとも」という用語の明示的な使用を必要とすることなく、正確にこの数またはこの数よりも多い数が存在するように、その数は理解される。従って、例えば、回転自由度が語られる場合、それは、ちょうど1つの回転自由度、2つの回転自由度、または複数の回転自由度が存在するように理解される。これらの特徴は、他の特徴によって補足することもできるし、それぞれの製品が構成する唯一の特徴であることもできる。特許請求の範囲に含まれる参照数字は、特許請求の範囲によって保護される対象の範囲を制限するものではない。それらは、特許請求の範囲を理解しやすくする目的に役立つのみである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明を改善するさらなる手段を、図を参照した本発明の好ましい実施形態の説明と共に、以下により詳細に示す。
【0029】
図1】サムレストが配置されたクラリネットの断面図である。
図2図1の詳細である。
図3図1にかかるサムレストのアダプタと、クラリネット本体へのその取り付けである。
図4図1にかかるサムレストの分解状態および組み立て状態の個々の部品である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1図4には、図示の実施形態においてクラリネット3の本体2に固定される、本発明にかかるサムレスト1が示されている。
【0031】
このサムレスト1は、本体2に固定されるアダプタ4を含む。図示の実施形態では、アダプタ4は、例えば、はんだ付け接続によってクラリネット3の本体2の金属リング5に接続されている。サムレスト1のクラリネット3への確実な固定は、クラリネット3の発音部分への影響が特に少ないこの種の接続によって達成される。
【0032】
サムレスト1はさらに、サポートピース6と、サポートピース6に対して回転可能に配置されたサムストップ7とを含む。回転可能な支持体には、正確に1つの回転軸9を有するピボットジョイント形式のジョイント8が設けられている。
【0033】
特に図4に詳細に示すように、サポートピース6は、円形断面を有するピン状部10と、サムストップ7のための端部側のサポート部11とを含む。ピン状部10は、アダプタ4におけるサポートピース6の配置に役立つ。アダプタ4は、特にこの目的のために、ピン状部10の断面と相補的な自由断面を有するマウント12を有する。サポートピース6をマウント12に固定するために、サポートピース6のピン状部10をマウント12にクランプ可能に固定できるネジ13が設けられている。演奏者が演奏前にサムレスト1を理想的にセットしたい場合には、ねじ13を解除すればよい。サポートピース6は、解放された状態で、図2に示されるように、クラリネット3の本体2の長手方向軸14の方向に変位することができる。他方では、サポートピースは、クラリネット3の長手方向軸14と実質的に平行に配向されたサポートピース6の長手方向軸15を中心にマウント内で回転させることもできる。演奏者にとって最適な位置と向きを設定した後、ねじ13を締めることでこの設定を固定することができる。
【0034】
サムストップ7は、特に図4に詳しく示されているように、サムストップ7が演奏者の親指に当たる接触面16を備えている。サムストップの接触面16は、心地よい装着感のためにクッション性を持たせることができる。この目的のために、例えばフェルトやゴム製のカバーを接触面16の領域に設けることができる。接触面16は、作用するクラリネット3の重量力に対して実質的に横方向に向いており、それによって演奏中にクラリネット3の重量を快適に支えることができる。
【0035】
本発明によれば、サムストップ7は特に、演奏中にサポートピース6に対して回転可能に支持される。図示の実施形態では、ピボットジョイントとして構成されたジョイント8が、回転可能に支持するために設けられている。ジョイント8は、ねじ17を含む。ねじ17のシャフト18は、サムストップ7のアイ20のマウント19を通って延び、その端部は、サポートピース6のサポート部11の切り込み21にねじ込まれている。こうして、サムストップは、ジョイント8の回転軸9を規定するねじ17のシャフト18を中心に、サポートピース6に対して回転可能に支持される。サムストップ7が回転軸9を中心に回転可能な角度範囲は、図示の実施形態では約180°である。
【0036】
サムストップ7は、ここではねじ17の頭部22によってサポートピース6にしっかりと保持されている。サムストップ7がサポートピース6とねじ17の頭部22との間にどの程度強くクランプされるかは、ねじ17がサポート部11の切欠き21のねじ山にどの程度ねじ込まれるかによって設定できる。すなわち、回転軸9を中心にどれだけスムーズにサムストップ7を回転させるかは、最終的にそれによって設定することができる。サムストップ7をサポートピース6とねじ17の頭部22との間にどれだけ強くクランプできるかは、例えば、ねじ17のシャフト18に停止部を設け、その停止部までねじ17を切り欠き21内にねじ込むことができるように制限することができる。サムストップ7がサポートピース6に固定されるのを特に防止することができる。
【0037】
回転運動は、一方では、切り欠き19を通って延びるねじ17のシャフト18によって案内される。さらに、アイ20は、図4に示すように、凸状のサポート面23が形成されるようにボールとして設計されている。同様に図4に示すように、これに対応するサポート部11のサポート面24は、これと相補的にわずかに凹状に形成されている。互いに相補的に形成されたサムストップ7およびサポートピース6の2つのサポート面23、24の相互作用により、回転運動の特に良好な案内が達成され得る。
【符号の説明】
【0038】
1 サムレスト
2 本体
3 クラリネット
4 アダプタ
5 金属リング
6 サポートピース
7 サムストップ
8 ジョイント
9 回転軸
10 セクション
11 セクション
12 マウント
13 ネジ
14 長手方向軸
15 長手方向軸
16 サポート面
17 ネジ
18 シャフト
19 切り欠き
20 アイ
21 切り欠き
22 頭部
23 サポート面
24 サポート面
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】