(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003940
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】ベルトを備える、物体を締め付けるための装置
(51)【国際特許分類】
F16B 2/08 20060101AFI20250106BHJP
F16B 5/08 20060101ALI20250106BHJP
F16B 5/04 20060101ALI20250106BHJP
B60K 15/07 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
F16B2/08 H
F16B5/08 A
F16B5/04
B60K15/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024100082
(22)【出願日】2024-06-21
(31)【優先権主張番号】2306425
(32)【優先日】2023-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】519155583
【氏名又は名称】カイロウ
【氏名又は名称原語表記】CAILLAU
【住所又は居所原語表記】28,rue Ernest Renan, 92130 ISSY‐LES‐MOULINEAUX,France
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】ブランシェ,マルシャル
(72)【発明者】
【氏名】イバニェス,レニー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】膨張を経験し得る物体を締め付けるための締め付け装置を提供する。
【解決手段】締め付け装置は、少なくとも第1および第2の締め付け端部(11A、12A)を有するベルト(10)と、二つの締め付け端部に対して保持されながらそれらを接続し、それによって、締め付け部材の締め付けが、ベルトを締め付けるように第1および第2の締め付け端部を互いに対して移動させる、締め付け部材(14)とを備える。締め付け部材(14)は、ばね(24)および接続部品(26)を介して少なくとも第1の締め付け端部(12A)に対して保持されるため、締め付け部材(14)の締め付けは、ばねの弾性戻りに逆らって第1の締め付け端部(12A)に対して接続部品(26)を移動させる傾向がある。接続部品(26)は、第1の締め付け端部(12A)に対して、第1の締め付け端部に対してばね(24)を支持する待機位置を占有し得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を締め付けるための装置であって、少なくとも第1および第2の締め付け端部(11A、12A)を有するベルト(10)と、前記二つの締め付け端部に対して保持されながらそれらを接続し、それによって前記締め付け部材の締め付けが、前記ベルトを締め付けるように前記第1および第2の締め付け端部を互いに対して移動させる、締め付け部材(14)とを備え、前記締め付け部材(14)が、ばね(24)および接続部品(26)を介して少なくとも第1の締め付け端部(12A)に対して保持され、それによって前記締め付け部材の前記締め付けが、前記接続部品を前記第1の締め付け端部に対して前記ばねの弾性戻りに逆らって移動させる傾向を有し、前記接続部品(26)が、前記第1の締め付け端部(12A)に対して、それが前記ばね(24)を前記第1の締め付け端部に対して支持する待機位置を占有することが可能である、前記装置。
【請求項2】
前記接続部品を前記待機位置(28A、29A、28B、29B)内に支持するための部材、特に待機クリップ部材を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記接続部品(26)が、前記締め付け部材の前記締め付けによって到達される締め付け閾位置を占有するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記締め付け閾位置が到達されたことに留意するための閾マーク(29A、29B)を備え、前記閾マークが、特に閾クリップ部材を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記接続部品(26)が、最大締め付け限界位置を占有することが可能であり、前記装置が、任意に最大締め付け止め具(32A、32B)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記接続部品(26)が、前記ばね(24)がその中に配置されたケージ部分を形成し、前記接続部品が、前記ばね(24)センタリング部分(26A’)を任意に有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記締め付け部材(14)が、締め付けロッドを備え、前記接続部品(26)によって形成された前記ケージ部分が、当該ロッドのヘッド(14A)などの前記締め付けロッドを保持するための要素がそれに逆らって保持される保持面(26A’’)を有し、前記保持面が、前記締め付けロッド(14)の回転防止部材(27C’)を任意に備え、かつ、前記ばね(24)センタリング部分(26A’)の外面上に任意に配置されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記接続部品(26)が、二つの分岐(27A、27B)を有するU字形を有し、前記接続部品が、前記第1の締め付け端部(12A)が前記二つの分岐の間を通過するように、この第1の締め付け端部に差し込まれており、前記接続部品を前記待機位置(28A、29A、28B、29B)内に支持するための前記部材が、前記二つの分岐のうちの少なくとも一つの前記内面上に突出する少なくとも一つの支持突起を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記接続部品(26)が、二つの分岐(27A、27B)を有するU字形を有し、前記接続部品が、前記第1の締め付け端部(12A)が前記二つの分岐の間を通過するように、この第1の締め付け端部に差し込まれ、前記閾マーク(29A、29B)が、前記二つの分岐のうちの少なくとも一つの前記内面上に突出するマーク突起を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項10】
前記接続部品(26)が、二つの分岐(27A、27B)を有するU字形を有し、前記接続部品が、前記第1の締め付け端部(12A)が前記二つの分岐の間を通過するように、この第1の締め付け端部に差し込まれ、前記二つの分岐のうちの少なくとも一つが、最大締め付け止め具突起(32A、32B)を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記締め付け部材が、ナット(14B)によって前記ベルト(10)の前記第2の締め付け端部(11A)に対して保持される締め付けロッド(14)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記ベルト(10)が、その第1の端部(11A)が前記第1および第2の締め付け端部の一方を形成する第1のベルト部分(11)と、その第1の端部(12A)が前記第1および第2の締め付け端部の他方を形成する第2のベルト部分(12)とを備え、当該第2のベルト部分が、支持体(18)上に固定されるように構成された固定部分を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記ベルト(10)が、その第1の端部(11A)が前記第1および第2の締め付け端部の一方を形成する第1のベルト部分(11)と、その第1の端部(12A)が前記第1および第2の締め付け端部の他方を形成する第2のベルト部分(12)とを備え、前記第1および第2のベルト部分の前記第2の端部(11B、12B)がヒンジによって接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第2のベルト部分(12)の前記第2の端部(12B)が、前記第1の部分ベルト(11)の前記第2の端部(11)が旋回軸(42)によってそれに対して旋回的に保持される保持領域(40)を有し、前記保持領域が、前記第1のベルト部分(11)の前記第2の端部(11B)がその中に挿入されるスロット(44;144、144’)を特に備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1のベルト部分(11)が、前記第1のベルト部分の前記第2の端部(11B)を前記第1のベルト部分の現在の部分と実質的に直角にするねじれ領域(50;150)を有し、前記旋回軸(42)が、特に、前記第1のベルト部分(11)の前記第2の端部(11B)のドリル穴(43)に係合することによって、前記第1のベルト部分の前記第2の端部に垂直であり、このドリル穴が、フランジ(111’)を任意に有する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1のベルト部分の前記第2の端部が、長手方向の折り目(51)を有し、それに従って、前記第1のベルト部分(11)の二等分されたバンド(51A、51B)が、例えば、溶接もしくはクリンチ(54)によって、任意に互いに押し付けられ続けることによって互いに接触させられる、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1のベルト部分が、前記第1のベルト部分の前記第2の端部に対して前記ねじれ領域の他方の側に位置するボスを有する、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記第1のベルト部分(11)の前記第2の端部(11B)が、それぞれが前記保持領域(40)のスロット(144、144’)に挿入された二つの平行な脚(11B、11B’)を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記二つの脚(111B、111B’)が切り欠き(150’)によって分離され、前記第1のベルト部分(11)の前記第2の端部(11B)が、前記脚のそれぞれを前記第1のベルト部分の現在の部分に実質的に直角にする二つのねじれを含むねじれ領域(150)を有する、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体を締め付けるための締め付けベルトを備える締め付け装置に関する。
【0002】
それは、特に、締め付けが保持されなければならない間に膨張を経験し得る物体を締め付けるための締め付け装置である。特に、この物体は水素タンクであり得、締め付け装置は、このタンクを締め付けて保持し、かつそれを車両のシャーシの一部などの支持体に固定することを可能にする。水素タンクは、著しい拡張を経験する。実際、そのようなタンクの充填圧力は、従来、数百バール、例えば350~750バールに達する。そのようなタンクは、様々な材料、例えば、場合により炭素繊維などの繊維で補強された複合材料で作製され得る。非常に高い充填圧力は、このタンクを膨張させ、一方で、水素が消費されるとき、タンクはその内部圧力が低下するにつれて後退する。
【0003】
一般に、本開示による締め付け装置は、膨張を経験し得るが、膨張するにつれて締め付けを保持することが重要である他の物体を締め付けるために使用され得る。
【0004】
問題の対象物は、特に、円筒形状であり得るか、または少なくとも回転の対称性を有する締め付け部分を備え得る。締め付け装置は、この物体の締め付け部分上に締め付けられたベルトを備える。締め付けられたベルトは、この物体の拡張に伴うことが可能でなければならない、すなわち、その直径寸法が、締め付け力を維持しながら増加または減少することが可能でなければならない。
【0005】
この目的のために、締め付け装置は、ばねを備え得る。この物体を締め付けるために、ベルトは、当該物体の締め付け部分の周りに配置され、かつ、この状況で締め付けられることが可能でなければならない。この配置および締め付け中に関与する力は、ベルト上の物体によって及ぼされる反応力およびばねによって及ぼされる戻り力のために、締め付け力に逆らって顕著であり得る。したがって、このベルトおよびこのばねを正しく保持しながら、物体の周りにベルトを取り付けおよび/または位置決めし、かつそれを締め付けることは困難であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、締め付けベルトと、ベルトの端部を互いに相対的に動かしてベルトを締め付ける締め付け部材と、装置によって締め付けられた物体の起こり得る拡張にもかかわらず、ベルトによって発揮された締め付け力を維持するのに役立つばねとを備える締め付け装置に関する。
【0007】
本開示は、特に、簡単な様式で、ばねを失うリスクを冒すことのないまたは締め付け前および締め付け中にばねを所定の位置に保持するための複雑な操作を実行することなく、締め付けられるべき物体上へのその設置およびこの物体の周りでの締め付けが実行され得る締め付け装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、第1の態様によれば、本開示は、物体を締め付けるための装置であって、少なくとも第1および第2の締め付け端部を有するベルトと、二つの締め付け端部をそれらに対して保持されながら接続し、それによって締め付け部材の締め付けが、ベルトを締め付けるように第1および第2の締め付け端部を互いに対して移動させる、締め付け部材とを備え、締め付け部材が、ばねおよび接続部品を介して少なくとも第1の締め付け端部に対して保持され、それによって締め付け部材の締め付けが、接続部品を第1の締め付け端部に対してばねの弾性戻りに逆らって移動させる傾向を有し、接続部品が、第1の締め付け端部に対して、それがばねを第1の締め付け端部に対して支持する待機位置を占有することが可能である、装置に関する。
【0009】
ベルトは、締め付け部材の締め付けを通して第1および第2の締め付け端部を互いに相対的に動かすことによって、すなわち、締め付けの方向への後者(締め付け部材)の起動または作動を介して締め付けられる。しかしながら、この締め付け部材は、ばねおよび接続部品を介してベルトの第1の端部に対して保持されるので、締め付け部材の締め付けは、ばねの弾性戻りに逆らって第1の締め付け端部に対して接続部品を移動させる効果を有する。より具体的には、締め付け部材の締め付けは、弾性変形に供されると第1の締め付け端部が第2の締め付け端部に対して移動するようにそれを駆動するばねを移動させ、ばねのこの動きはまた、接続部品の動きも引き起こす。
【0010】
したがって、締め付け部材が第1および第2の端部と協働してそれらを締め付けるとき、それは最初にばね上に力を発揮することによって第1の端部を移動させる傾向があることが理解される。例えば、このばねが圧縮で機能する場合、締め付けは、ばねを圧縮する傾向がある接続部品上で発揮され、満足のいく圧縮レベルに到達すると、それは第2の締め付け端部に対する第1の締め付け端部の動作を引き起こす。したがって、ばねは、その圧縮レベルに応じて、ベルトの第2の締め付け端部の第1の締め付け端部に対する適切な位置決めを確実にすることによって締め付けを維持することを可能にすることが理解される。
【0011】
しかしながら、締め付け前に、接続部品は、それが第1の締め付け端部に対してばねを支持する待機位置を占有する。したがって、ばねは、接続部品に対して正しく支持されながら、ベルトの第1の端部に事前に取り付けられる。したがって、締め付け装置は、ばねを失うリスクを冒すことなく、またはばねを操作する必要なく、締め付けられるべき物体の周りに配置され得る。一旦締め付け装置が締め付けられるべき物体上に配置されると、締め付けは、締め付け部材によって実行され得る。
【0012】
任意に、装置は、接続部品を待機位置に支持するための部材、特に待機クリップ部材を備える。
【0013】
任意に、接続部品は、締め付け部材の締め付けによって到達される締め付け閾位置を占有することが可能である。
【0014】
任意に、装置は、締め付け閾位置が到達されたことに留意するための閾マークを備え、閾マークは、特に閾クリップ部材を備える。
【0015】
任意に、接続部品は、最大締め付け限界位置を占めるように構成され、装置は、任意に最大締め付け止め具を備える。
【0016】
任意に、接続部品は、ばねがその中に配置されたケージ部分を形成し、接続部品は、ばねセンタリング部分を任意に有する。
【0017】
任意に、締め付け部材が、締め付けロッドを備え、接続部品によって形成されたケージ部分は、当該ロッドのヘッドなどの締め付けロッドを保持するための要素がそれに逆らって保持される保持面を有し、当該保持面は、締め付けロッドの回転防止部材を任意に備え、かつ、ばねセンタリング部分の外面上に任意に配置されている。
【0018】
任意に、接続部品は、二つの分岐を有するU字形を有し、接続部品は、第1の締め付け端部が二つの分岐の間を通過するように第1の締め付け端部に差し込まれており、接続部品を待機位置内に支持するための部材は、二つの分岐のうちの少なくとも一つの内面上に突出する少なくとも一つの支持突起を備える。
【0019】
任意に、接続部品は、二つの分岐を有するU字形を有し、接続部品は、第1の締め付け端部が二つの分岐の間を通過するように第1の締め付け端部に差し込まれており、閾マークは、二つの分岐のうちの少なくとも一つの内面上に突出するマーク突起を備える。
【0020】
任意に、接続部品は、二つの分岐を有するU字形を有し、接続部品は、第1の締め付け端部が二つの分岐の間を通過するように第1の締め付け端部に差し込まれており、二つの分岐のうちの少なくとも一つが最大締め付け止め突起を有する。
【0021】
任意に、締め付け部材は、ナットによってベルトの第2の締め付け端部に対して保持される締め付けロッドを備える。
【0022】
任意に、ベルトは、その第1の端部が第1および第2の締め付け端部の一方を形成する第1のベルト部分と、その第1の端部が第1および第2の締め付け端部の他方を形成する第2のベルト部分とを備え、当該第2のベルト部分は、支持体上に固定されるように構成された固定部分を形成する。
【0023】
任意に、ベルトは、その第1の端部が第1および第2の締め付け端部の一方を形成する第1のベルト部分と、その第1の端部が第1および第2の締め付け端部の他方を形成する第2のベルト部分とを備え、第1および第2のベルト部分の第2の端部がヒンジによって接続される。
【0024】
任意に、第2のベルト部分の第2の端部は、第1のベルト部分の第2の端部が旋回軸によってそれに対して旋回的に保持される保持領域を有し、保持領域は、第1のベルト部分の第2の端部がその中に挿入されるスロットを特に備える。
【0025】
任意に、第1のベルト部分は、第1のベルト部分の第2の端部を第1のベルト部分の現在の部分と実質的に直角にするねじれ領域を有し、旋回軸が、特に、第1のベルト部分の第2の端部のドリル穴に係合されることによって、第1のベルト部分の当該第2の端部に垂直であり、このドリル穴が、任意にフランジを有する。
【0026】
任意に、第1のベルト部分の第2の端部は、長手方向の折り目を有し、それに従って、第1のベルト部分の二等分されたバンドが、例えば、溶接またはクリンチによって、任意に、互いに押し付けられ続けることによって、互いに接触させられる。
【0027】
任意に、第1のベルト部分は、第1のベルト部分の第2の端部に対してねじれ領域の反対側に位置するボスを有する。
【0028】
任意に、第1のベルト部分の第2の端部が、それぞれが保持領域内のスロットに挿入された二つの平行な脚を有する。
【0029】
任意に、二つの脚が切り欠きによって分離され、第1のベルト部分の第2の端部が、各脚を第1のベルト部分の現在の部分に実質的に直角にする二つのねじれを含むねじれ領域を有する。
【0030】
本開示はまた、互いに相対的にヒンジで動くようにされた二つのベルト部分を有するベルトを備える締め付け装置を提案することを目的とする。次いで、それは、特に、締め付け装置が著しい締め付け力、例えば、300~800dNのオーダーの締め付け力を加えるために使用される場合、特に、締め付け装置が水素タンクタイプの物体を締め付けるために使用される場合、実装が容易でかつ著しい張力に耐えることが可能である単純なヒンジを提案することを含む。
【0031】
第2の態様によれば、本開示はまた、物体を締め付けるための装置であって、その第1の端部が第1の締め付け端部を形成する第1のベルト部分と、その第1の端部が第2の締め付け端部を形成する第2のベルト部分とを備えるベルトを備え、第1および第2のベルト部分の第1の端部を互いに相対的に移動させてベルトを締め付けることができ、第1のベルト部分が、第1のベルト部分の第2の端部を第1のベルト部分の現在の部分と実質的に直角にするねじれ領域を有し、かつ、第2のベルト部分の第2の端部が、第1の部分ベルトの第2の端部に垂直な旋回軸によって、特に、第1のベルト部分の第2の端部のドリル穴に係合することによって、それに対して旋回的に保持される保持領域を有する、装置に関する。
【0032】
ベルトの内周は、概して、ベルトの現在の部分、特に第1のベルト部分の現在の部分がそれに対して平行に配向される円筒形表面または円筒形締め付け表面部分を画定する。しかしながら、第1のベルト部分のねじれのために、この第1の部分の第2の端部が、この現在の部分に直角にされ、このことにより、それを、第1のベルト部分の第2の端部に垂直な旋回軸によってそれに対して保持することによって、第2のベルト部分の第2の端部の保持領域と容易に協働することが可能になる。特に、軸が第1のベルト部分の第2の端部のドリル穴に係合する場合、旋回軸とこの第1のベルト部分との間の協働は、著しい力に耐え得るが、その一方で、ベルトの構造および製造は特に単純であり得、材料も少ししか必要とし得ない。
【0033】
任意に、第2の態様によれば、保持領域は、第1のベルト部分の第2の端部がその中に挿入されるスロットを備え、それにより、旋回軸が、第1のベルト部分の現在の部分に対してスロットの他方の側に位置する。
【0034】
任意に、第2の態様によれば、第1のベルト部分の第2の端部が、長手方向の折り目を有し、それに従って、第1のベルト部分の二等分されたバンドが、例えば、溶接またはクリンチによって、任意に互いに押し付けられ続けることによって、互いに接触させられる。
【0035】
任意に、第2の態様によれば、第1のベルト部分が、第1のベルト部分の第2の端部に対してねじれ領域の他方の側に位置するボスを有する。
【0036】
任意に、第2の態様によれば、第1のベルト部分の第2の端部が、それぞれが保持領域のスロットに挿入された二つの平行な脚を有する。
【0037】
任意に、第2の態様によれば、二つの脚が切り欠きにより分離され、第1のベルト部分の第2の端部が、二つの脚のそれぞれを第1のベルト部分の現在の部分に対して実質的に直角にする二つのねじれを備えるねじれ領域を有する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本開示は、非限定的な実施例によって表される実施形態の以下の詳細な説明を読むと、よく理解され、かつ、その利点がより良く表れるであろう。説明は、添付の図面を参照している。
【0039】
【
図1】
図1は、本開示による締め付け装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示による装置の構成要素のいくつかの構成要素または部品を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示による装置の斜視図であって、締め付け領域の拡大図では、接続部品がその待機位置にある。
【
図6】
図6は、装置の斜視図であって、締め付け領域およびヒンジ領域の拡大図を示し、接続部品が締め付け閾位置内に表されている。
【
図7】
図7は、装置の斜視図であって、締め付け領域の拡大図では、接続部品が締め付け閾位置に表されている。
【
図8】
図8は、装置の斜視図であって、締め付け領域およびヒンジ領域の拡大図を有する。
【
図9】
図9は、実施形態の一変形例による締め付け装置の一部を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、一つの変形例による接続部品を斜視的に示す。
【
図12】
図12は、ヒンジ領域の構成の変形例を斜視的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1に示される装置は、この場合、互いに接続された第1のベルト部分11および第2のベルト部分12を備えるベルト10を備える。ベルトは、この場合、第2のベルト部分12の一端によって形成される第1の締め付け端部12Aと、この場合、第1のベルト部分11の一端によって形成される第2の締め付け端部11Aとを有する。当然ながら、第1および第2の締め付け端部は逆であってもよい。
【0041】
本開示の意味において、特に明記しない限り、内側または内部として修飾された要素は、ベルトの内側に配置されたもの、すなわち、ベルトによって区切られた環状空間内に配置されるものであり、一方、外側または外部の要素は、反対側に配置されるものである。同様に、特に明記しない限り、内側要素が外側要素よりもベルトの内部または後者の軸に近いとき、要素は、「外側」と呼ばれる別の要素に対して「内側」として修飾されると考えられる。ここで、ベルトの軸は、ベルトに囲まれた円の軸によって画定することができる。
【0042】
締め付け部材14は、二つの締め付け端部11Aおよび12Aを接続する。この場合、ベルト部分11および12は、それぞれの第2の端部11Bおよび12Bにヒンジによって接続される。組み立てられたとき、二つのベルト部分は、その間に、装置によって締め付けられるべき物体、特に、例えば、水素タンクであり得るそのような物体の締め付け部分を受けることが可能な内側輪郭を画定することがわかる。したがって、装置は、回転の円筒形の部分、または、概して、ベルトによって囲まれ得る形状を締め付け得る。
【0043】
一般に、装置の異なる構成要素は、金属で作製されている。このことは、特に、ベルトに当てはまる。しかしながら、後者の上で締め付け圧力を発揮することによって締め付けられるべき物体と接触し得る締め付け接触部分は、EPDM (エチレン-プロピレン-ジエンモノマー)タイプのエラストマー材料などの材料で被覆され得る。したがって、ベルト部分11の現在の部分が、その内面をシース16で覆われていること、および、同様に、第2のベルト部分12が、それらの内面もまたシース16A、16Bで覆われている締め付けられるべき物体との接触部分を有することがわかる。シースは、デバイスと締め付けられた物体との間に、この物体に有害ではない接触面を提供する。加えて、それらは、例えば、表される例のように隆起されることによって、滑り止め特性を有することができる。これらのシースは、関係するベルト部分のすべての面を局所的に覆い得るか、または、示される例のように、任意の手段によって、例えば、その中でベルトの端部が締め付けられるシースの側面上の溝によって、ベルトに固定されながら内面のみを覆い得る。
【0044】
この場合、第1のベルト部分11は、回転の円筒部分の形状の輪郭を有しながら、ストラップ固定部分を形成して、締め付けられるべき物体の円筒形表面に逆らって締め付け軸受の状態になる。その部分について、この場合の第2のベルト部分は、支持体上に固定されるように構成された固定部分を形成する。実際、この場合の第2のベルト部分12は、支持部分18上に取り付けられており、例えば、ねじ、リベットまたは溶接点20によって、その接続分岐12’および12’’によって接続されている。この支持部分18は、任意の適切な手段によって、例えば、脚またはねじ22を固定することによって、車両または車両シャーシの一部などの支持要素に固定された支持ストリップまたはブラケットなどを形成し得る。この場合、第2のベルト部分12は、支持体18に固定され、この目的のために、支持体18の固定領域に固定されるためにベルトの内周から離れる方向に折り畳まれる側翼12’および12’’を有する。
【0045】
この場合、第2のベルト部分12は、概してV形状を有し、V字の分岐は、締め付けられるべき物体上に軸受部分を形成する。シース16Aおよび16Bがこれらの分岐上に配置される。
【0046】
特に
図3に見られるように、締め付け部材は、締め付けロッド、例えば、ねじ14を備え、これはねじのヘッド14Aなどの保持部材によって第1の締め付け端部12Aに対して保持され、ナット14Bなどの保持部材によって第2の締め付け端部11Aに保持される。ねじのロッド14Cは、締め付け端部のドリル穴、すなわち、第1の締め付け端部12Aのドリル穴12A’および第2の締め付け端部11Aのドリル穴11A’を通過する(
図3を参照)。
【0047】
当然ながら、ヘッド14Aおよびナット14Bを反転させること、または締め付けロッドがその二つの端部でねじ付きロッドであり、これらの端部のそれぞれでナットと協働することを提供することが可能であり得る。また、二つの締め付け端部とそれぞれ協働し、ねじ締め以外の締め付け手段によってカラーを締め付けるためにそれらを互いに動かすように作動させ得る、異なる締め付け部材を設計することもまた可能である。
【0048】
特に、
図1および
図3において、締め付け部材14は、ばね24および接続部品26を介して第1の締め付け端部12Aに対して保持されることが理解される。締め付けられる物体の周りにベルトを締めるために、締め付け部材の締め付けは、ばね24の弾性戻り効果に逆らって第1の締め付け端部12Aに対して接続部品26を移動させる傾向があることが理解される。この場合、これは、第1の締め付け端部の外面12A ’’と、外面12A’’とは反対側の接続部品26の底壁27Cの内面26Aとの間に配置される圧縮ばねである。
【0049】
この場合、接続部品26は、ばね24が配置されているケージ部分を形成する。特に、ばねは、前述の底壁27Cと、この接続部品の側壁27Aおよび27Bとの間に保持される。
【0050】
また、
図3では、接続部品26が、ばね24をセンタリングする部分を備えていることがわかる。この場合、ばね24は螺旋状のばねであり、接続部品26の底壁27Cは、ばねの端部24Aに係合してばねをセンタリングするための部分を形成するように構成された前進中心部分26A’を有する。ばねの旋回を収容するための空間が、前進部分26A’と側壁27Aおよび27Bの内面(すなわち、互いに向き合っている)との間に配置される。
【0051】
接続部品によって形成されたケージは、この場合、前進部分26A’の外面26A’’上に形成される外側保持面を有し、この外面は、ばね24と反対側のものである。底壁27Cは、締め付けロッド14のバレル14Cの通過を可能にするドリル穴26’を有する。底壁27Cの外面は、ドリル穴26’の周りに、ロッド14のまたはこのロッドと協働するナットのヘッド14Aを保持するための手段を形成する。
【0052】
接続部品26はまた、この部品に対する締め付けロッド14の回転を防止することを可能にする回転防止部材を備える。この場合、回転防止部材は、外側保持面の部分27C’によって形成される。実際、締め付けヘッド14Aは、例えば、六角形または正方形であることによって、一つまたは複数の平面14A’を有し得る。その部分について、外側保持面26A’’は、締め付けロッドのヘッドの平面(複数可)と協働して後者(締め付けロッド)の回転を阻止する平面を形成する縁27C’を有し得る。この場合、底壁27Cの前進部分26A’は、締め付けロッド14の軸に平行に第1の締め付け端部12Aに向かって延びる軸方向壁要素27C’を有する。これらの壁要素の外面は、締め付けロッドのヘッドの平面と協働してその回転をロックする。ばねの寸法および締め付けロッドの寸法に応じて、前進部分は、それに、第1の方向に、ばねの寸法に適合された寸法を与え、それによって前進部分がそれを横方向にくさび留めすることによりばねに係合し、かつ、それに、第2の方向およびその反対側の面に、締め付けロッドのヘッドをくさび留めするように適合された寸法を与える、形状を有し得る。例えば、前進部分は、長方形であってもよく、かつ、ばねに向かって回転されるその面上に、ばねの内側横方向寸法に適合された長さを有し、かつ、締め付けロッドのヘッドを受けるその内面(これは後者(締め付けロッド)の回転をロックする)上に幅を有してもよい。
【0053】
代替的または相補的に、締め付けロッドのヘッド14Aが、第1の締め付け端部12Aの反対側にある前進部分26A’によって形成されたウェル内に強制的に係合されることを確実にすることが可能であり、これにより、その回転をロックすることが可能になるだけでなく、ばねを配置し、接続部品およびばねを第1の締め付け端部12A上に取り付けるときにそれを軸方向に保持することもまた可能になる。
【0054】
一般に、接続部品26は、この場合、前述した側壁27Aおよび27Bを形成する二つの分岐と、底壁27Cを形成する底部とを有するU字形を有する。この場合、この底壁自体は、示されるように、前進部分26A’を有する。締め付けロッドの軸方向に対して横方向に測定される接続部品の幅は、前進部分26A’の領域において、および前進していない底壁27Cの部分において、分岐27Aおよび27Bにおけるそれよりも小さい。このことにより、前進部分26A’がばね24の旋回の内側に収容されることが可能になり、その一方で、ばねが、U字の分岐を形成する側壁27Aおよび27Bによって、その幅全体またはほぼその幅全体にわたって横方向に保護されることが確実になる。
【0055】
接続部品26は、そのU字形のため、第1の締め付け端部が二つの分岐27Aと27Bとの間を通過するように第1の締め付け端部12Aに差し込まれ得る。
【0056】
図4は、締め付け前に、第1の締め付け端部12Aに対してばね24を支持する待機位置にある接続部品を示す。したがって、この状況では、ベルト10は、締め付けロッド14を装置の残りの部分(実施される様々な操作の間に組み立てられたままである均質な全体を形成するベルトの第1の端部12A、接続部品26およびばね24によって形成された組立体)から離して完全に離間した状態で、締め付けられる物体の周りに配置され得る。しかしながら、ばねのこの事前取り付けは、その後に締め付け中のベルトの第1の端部に対する接続部品の移動を妨害しない。
【0057】
接続部品26を待機位置に支持するために、装置は、待機位置に支持するための部材、特に待機クリップ部材を備え得る。この部材は、第1の締め付け端部12A上で接続部品をクリップ止めするかまたは予め引掛けることを可能にする。この場合、接続部品を待機位置に支持するための部材が、接続部品の側壁27Aおよび27B上に形成される。特に
図4および
図5を見ると、底壁27Cの反対側で、これらの側壁が、内側フック突起、壁の一方、例えば壁27Aによって支えられ、他方の壁、例えば壁27Bに向かって突出する内側突起を有することが実際に理解される。ここで、「内側」は、接続部品によって形成されたU字の内部側を意味する。
【0058】
したがって、側壁27Aは、軸方向に相殺される第1の内側突起28Aおよび第2の内側突起29Aを備え、ここでは、軸方向はばねの軸および締め付けロッドの軸の方向である。この場合、内側突起28Aは、突起29Aよりも底部27Cに対向する側壁の自由端27A’により近い。この場合、これらの突起は、締め付け部品の内向きに突出する波形によって形成される。この場合、
図4で理解されるように、底部27Cと反対側の側壁27Aおよび27Bの末端部分は、軸方向の切り欠きを有し、その間に、上記の突起28Aおよび29Aを形成する内向きの波形を有する脚がこのように配置される。例えば、側壁27Aの自由端部分は、二つの縁脚30Aを有し、その間に中間脚31Aが作られている。この中間脚31Aは、長手方向の切り欠き31によって縁脚30Aからのみ分離される。縁脚30Aは、突起28Aを形成する内向きの波形を有し、それらの自由端で、外向きに湾曲している。中間脚31Aもまた、内向きの波形29Aを有し、この波形とその自由端との間で外向きに湾曲している。波形28Aのピークは、ばねの軸の方向に垂直に、同じ横断線上に配置され、波形29Aの自由端よりも側壁27Aの自由端により近い。接続部品26の構成は対称であり、他方の側壁27Bは、波形28Aおよび29Aと同様に、波形を形成する突起28Bおよび2Bを有し、これらの波形28Bおよび29Bは、外側脚30B内に形成されており、かつこれらの外側脚30Bの間に延びる中間脚31Bを有することが理解される。
【0059】
接続部品を第1の締め付け端部12A上に差し込むとき、波形28Aおよび28Bは、差し込みを達成するために超えられなければならないハードポイントを形成する。これらのハードポイントが超えられると、バンド部分によってここに形成される第1の締め付け端部12Aは、
図5に示される位置Pを占有する。この状況では、接続部品26は、一方では波形28Aと28Bとの間の、他方では波形29Aと29Bとの間のその位置を通して、軸方向の動きに対して、すなわち、ばね24の軸に沿って、この第1の端部12A上に保持されることが理解される。このように、接続部品26が支持され得る安定した待機位置が得られる。
図5では、視認性を容易にするために、ばね24は表されていないが、特に、その後、他方では、第1の締め付け端部12Aの外面12A’’(
図3を参照)に当接することにより、および他方では、締め付け部品26の底壁27Cの内面26Aに当接することにより、接続部品26内にその後支持されることは言うまでもない。
【0060】
示されるように、待機位置は、ばね24が第1の締め付け端部12Aに支持されることを可能にする。また、締め付け部材が所定の位置に配置される前であっても、いずれの場合でも、それが締め付けられる前であっても、締め付け装置が締め付けられるべき物体の周りに配置されるように操作されることを可能にする。これらの操作の間、接続部品26およびばね24によって形成されるアセンブリは、第1の締め付け端部12Aに事前に取り付けられたままである。
【0061】
この場合、接続部品26はまた、締め付け部材の締め付けによって到達される締め付け閾位置を占有することも可能である。したがって、接続部品は、締め付けられる物体の周りのベルトの取り付けおよび閉鎖中にその待機位置にあり、次に、締め付けの間に、締め付け部材の締め付けの影響下で、その待機位置からその閾締め付け位置に移動する。
【0062】
装置は、締め付け閾位置が到達されたことに留意するための閾マークを備え得る。この場合、この閾マークは、前述の波形29Aおよび29Bによって形成されるが、これらは締め付けの間にハードポイントを形成し、かつ、これらは有効な締め付けが到達されるために超えられなければならないものである。ここで、「超えられた」とは、締め付け中に、接続部品26が第1の締め付け端部12A上で移動して、それによりこの第1の端部が波形29Aおよび29Bに対してその底壁27Cにより到達することを意味する。
【0063】
これらの波形29Aおよび29Bは、締め付け中にそれらが超えることが締め付けまたは留めと同様であるので、閾クリップ部材を形成する。この閾マークは、それが交差するとき、その上に波形29Aおよび29Bが形成されている中間脚31Aおよび31Bが互いに離れて移動する傾向があるという事実によって見ることができる。これは、取り付け作業員用の視覚的なマークを構成し、取り付け作業員はまた、第1の端部12Aが実際に波形29Aおよび29Bを超えたという事実を容易に視覚化し得る。
【0064】
閾マークが超えられた瞬間から、締め付けは、所望の締め付けレベルまで、およびばねの剛性およびその応力レベル(示される例におけるような圧縮ばねの圧縮率)を考慮することによって、実行され得る。この閾マークは、特にそれが視覚的マークの形状をとる場合、所望の締め付けレベルが到達されることを確実にするための単純でかつ信頼性の高い方法である。これは客観的なマークであるが、締め付けに使用されるツールによって到達される締め付けトルクの測定が、得られた実際の締め付けレベルでの無関係なパラメータ(例えば、締め付けロッドのそれと協働する部品に対する起こり得る摩擦およびねじ込み要素(ロッドのねじ山およびナットのねじ山)の摩擦係数など)によって歪ませられ得るため、このトルクに依存することが時に不正確な場合があることに留意されたい。閾マークはまた、それが一旦超えられると、所望の締め付け値が得られたと見なされるように配置され得る。
【0065】
一旦、閾値マークが超えられてかつ締め付け装置が物体の周りにこのように締め付けられると、この装置は、それが締め付けている物体の任意の膨張を伴い得るが、これは、これらの膨張が、ばね24の弾性戻り効果に逆らって第1の締め付け端部12Aに対する接続部品26の移動を引き起こすためである。
図6および8では、締め付け閾が超えられており、ここで、第1の締め付け端部が、
図4に示される位置P’を占有する。
【0066】
例えば、この物体が水素タンクである場合、締め付け装置は、このタンクが空であるかまたは実質的に空である間に配置され得、次いで、このタンクは、前に示したように、数百バールに達し得る所望の公称位置まで充填され得、そこで膨張し、次いでばね24の存在によって許容される弾性締め付け戻りに応力をかける。
【0067】
変形例として、接続部品26が最大締め付け限界位置を占有することが可能であることが提供され得る。このことにより、締め付け装置の異なる要素、特にばね24にそれらの弾性限界を超えて応力がかかることが回避される。すなわち、このことにより、締め付けの耐久性を損なうであろう塑性変形を回避することが可能になる。
【0068】
図9の変形例は、この可能性を示す。この図では、接続部品26は、上記の異なる要素または構成部品に加えて、最大締め付け止め具32Aおよび32Bを備えることが理解される。この場合、これらの最大締め付け止め具は、側壁27Aおよび27Bの内向きの突起によって形成される。この場合、これらは、これらの側壁の長手方向の端部に切り込んで内向きに折り畳まれたタブである(本明細書における内部は、締め付け部品によって形成されたU字の内部を意味する)。これらの内側突起は、側壁の端部に形成されているため、ばね24と干渉しない。一方、それらは、最大締め付け位置でベルトの第1の締め付け端部12Aの外面に当接し得る。
【0069】
図9はまた、接続部品の前進部分26A’の側壁要素27C’上に、戻り止め要素27C’’が存在することを示し、これは、一旦締め付けロッド14のヘッド14Aが前進部分の外面の底部の位置に到達すると、ねじの引き抜きに逆らうことを可能にする。ある意味で、この戻り止め要素27C’’は、ねじのヘッドが位置に到達するために超えられなければならないクリッピング部材を形成する。当然ながら、この戻り止め要素は他の図面中で提供され得る。
【0070】
前の図、特に
図3および
図4に戻ると、締め付けロッドが通過する第1の締め付け端部12Aのドリル穴12A’は、締め付け装置を締め付けるとき、第1の締め付け端部に対するこのロッドの変位を可能にするように、楕円形であり得ることが理解される。ベルトの異なる構成要素は、平坦な金属バンドから作製され得る。特に、第1の締め付け端部12Aは、それが接続部品26と協働する領域では、一旦接続部品がその上に事前に引っ掛かると、この接続部品の底壁27Cと反対側の壁要素を構成する平坦なバンドを形成する。
【0071】
ベルト11Aの第2の締め付け端部は、上述されたように、締め付けロッドの通過を可能にするドリル穴11A’を有する。このドリル穴11A’もまた、この第2の端部に対するロッドの変位を可能にするために楕円形であり得る。この場合、ベルト部分11は、バンド、特に金属バンドに形成され、この第2の締め付け端部11Aは、局所的に強化され得る。そのために、ベルト部分11が構成されているバンドの自由端部分がそれ自体に折り返されて、端部11Aに2倍の厚さを与えるように折り畳まれ、そこで開口部11A’が作られている。
【0072】
さらに、この領域では、この端部11Aは、スペーサ32を収容するための凹面ラグを形成し、スペーサ32の後部にナット14Bが位置する。このスペーサは、締め付けロッド14が通過し得る通路32Aを有する。スペーサは、それ自体に巻かれた金属バンドから形成され、局所的に切断されて通路32Aを形成し得る。この場合、スペーサ32は、締め付け端部11Aの外面に形成された凹部に一致する凸部を有する外側クレードル形状を有する。この第1の端部に対してスペーサを保持しかつ回転をロックするための手段が提供され得る。この場合、通路32Aの縁部は、締め付け端部11Aの外面に向かって曲がって、スペーサの前面を越えて突出するように後ろに折り畳まれた脚34を有する。したがって、これらの脚34は、この開口部の端部と協働してスペーサをそれらに対してくさび留めするように、開口部11A’に配置される。スペーサ32は、それ自体に巻かれたバンドに形成されているが中空であり得る。この場合、このバンドの端部の接合面は、スペーサの前面に形成され、脚34は、この接合面の端部に作られる。したがって、スペーサの前面に形成された通路32Aの前面開口部は、スペーサが形成されているバンドの縁部の切り欠き33によって形成される。一方、スペーサの背面に位置する通路32Aの背面開口部は、円形または楕円形の切り欠き33’によって形成され得る。
【0073】
ここで、接続部品の実施形態の一変形例を示す
図10が説明される。この図では、接続部品およびその異なる要素を指定するために、前の図面の参照番号と同じであるが100ずつ増やされた参照番号が使用されている。
【0074】
接続部品126もまた、底壁127C及び二つの側壁127A及び127Bを有するU字形を有する。接続部品26と同様に、それは、ばね用のケージ部分を形成する。接続部品126は、二つの態様、すなわち、一方では、その底壁とわずかに異なる構造、および他方では、マーク閾のための特定の視覚的マークの存在によって、接続部品26と区別される。
【0075】
底壁127Cに関して、ばねセンタリング部分は、締め付けロッドのためのドリル穴126’を有する前進部分126A’によって形成される。この場合、この前進部分126A’は、底壁127Cの中央部分に形成され、底壁の残りの部分はその周りすべてに残る。したがって、前進していない底壁の部分は、前述の図面の例のように、前進部分126A’と側壁127A、127Bとの間だけに存在するのではなく、前進部分126A’のいずれかの側で、側壁127A、127Bの一方から他方に延びる縁部127C’’によって、前進部分の側部にも存在する。ここで、前進部分は、底壁の切り欠きによってこれらの縁部127C’’から分離され、前進されられるために、例えばスタンピングによって押し戻される。前進部分126A’の外面の切り欠きのまたは軸方向壁要素127C’の端部は、示される例におけるように、特にこれらの壁の端部または要素が平面を有する場合、締め付けロッドの回転防止部材として機能し得る。
【0076】
当然ながら、その側面に切り欠きを有しないがその底部に穿孔を有することにより締め付けロッドの通過を可能にするスタンプ部分によって、前進した部分を作ることが可能である。したがって、このスタンプ部分の幾何学形状またはその寸法は、締め付けロッドの回転防止機能を達成することを可能にし得る。例えば、スタンプ部分の外面は、1つまたは複数の平面を有してもよく、またはスタンプ部分において締め付けロッドのヘッドの強力な係合を必要とする局所的に画定された横方向寸法を有してもよい。
【0077】
視覚的マークに関して、接続部品126は、側壁127A、127Bのうちの少なくとも1つの上に存在する少なくとも線、ノッチなどを有し、視覚的マークは、そのセクション上の場合、この線、ノッチなどである。したがって、ベルトの締め付けをチェックする作業者は、第1の締め付け端部12Aが視覚的マーク(複数可)のレベルに達したことをチェックし得る。例えば、第1の締め付け端部のバンド厚さに対応する距離だけ離間された二つの視覚的マーク125が設けられ得る。当然ながら、そのような視覚的なマークは、前述の接続部品26上に設けられ得る。
【0078】
図12は、一方では締め付け閾に、他方ではこの閾の視覚的マークに関連する別の変形例を示す。
【0079】
図12では、接続部品の要素を指定するために、
図1から
図9のものと同じ参照番号であるが、200ずつ増やした参照番号が使用されている。簡略化のために、
図12は、接続部品の側壁227Aのうちの1つのみを示す。接続部品の二つの側壁は互いに類似しており、後者(接続部品)の底壁は、接続部品26の底壁または接続部品126の底壁と類似し得る。
【0080】
前述の図では、二つの内側突起29Aおよび29B(この場合、波形によって形成される)が側壁27A上に設けられ、接続部品が、これら二つの突起の間のこの第1の端部の位置決めによって第1の締め付け端部12Aの待機位置に保持され、次いで、この第1の端部の位置決めが接続部品の底壁に向かって突起29Aを超えるときに、締め付け閾が達成される。したがって、ここで、締め付け閾位置は、待機位置に非常に近い。
【0081】
予め取り付けられた位置からより大きな締め付け振幅を有することが必要であり得、このことは、第1の締め付け端部に対する接続部品の移動の振幅がより大きいことを意味する。したがって、
図11において、締め付け閾を画定するのは第3の突起229’Aである。したがって、側壁227Aは、突起28Aおよび29Aとそれぞれ類似し、かつ接続部品の保持位置を画定するように配置された二つの突起228Aおよび229Aと、第2の突起229Aよりも底部に(保持壁に)より近い位置に配置された第3の突起229’Aとを有し、締め付け閾に達するのは、締め付けの影響下での接続部品の移動により、第1の締め付け端部12Aがこの第3の突起を超えるときである。ここで、突起228A、229Aおよび229’Aは、前の例の突起と同様に、接続部品の内向きの波形によって形成される。この場合、これらの突起は、別個の脚部に存在し、それぞれ波形229’Aが設けられた二つの縁脚部230’A、それぞれ波形228Aを備えた二つの中間脚部230A、および波形229Aが設けられた中央脚部231Aが表される。しかしながら、異なる数の脚、および、例えば、波形229Aおよび229’Aまたは波形228Aおよび229’Aを同じ脚上に作製することが提供され得る。
【0082】
さらに、
図12は、締め付け閾の視覚的マークの別の変形例を示す。この場合、それは、側壁227A内に作られた窓225’(この場合、波形229’Aの後ろの通路によって画定される)であり、これは、操作者が、第1の締め付け端部12Aが締め付け閾位置に達したことを接続部品の外側からチェックすることを可能にする。
【0083】
当然ながら、
図12を参照して説明されたばかりの変形例は、接続部品26または126に対して実装され得る。
【0084】
次に、二つのベルト部分11と12との間のヒンジに関する本開示の別の態様を説明する。第2のベルト部分12の第2の端部12Bは、第1のベルト部分の第2の端部11Bが旋回軸42によってそれに対して旋回的に保持される保持領域40を有する。
【0085】
これは、
図1、2、6および8において特に明らかである。この場合、保持領域40は、第1のベルト部分11の第2の端部11Bがその中に挿入されるスロット44を備える。この場合、この保持領域はまた、折り目を有し、したがって、第2のベルト部分12の外面に、旋回軸42の回転のための軸受を提供する。したがって、第2のベルト部分の第2の端部の二つの部分は、折り畳まれた領域12B’のいずれかの側で区別され得、これらの二つの部分は、
図8でそれぞれ112および112’と特定されている。この場合、12B’中での折り畳みにより、これらの二つの部分は、それらの間に60°の大きさの角度を形成することによって、互いに相対的に傾斜する。この角度は異なり得るが、好ましくは90°未満、例えば40°~70°の大きさである。スロット44は、第1のベルト部分11の第2の端部11Bがこれらの二つの部分112および112’内に対して自由に旋回することを可能にするように、これらの部分中に延在する。実際、旋回角度に応じて、この第1の端部の自由端部分11B’は、部分112および112’のいずれかにおいて、スロットから出てくる。
【0086】
第1のベルト部分11の端部11Bが挿入されるスロット44は、その現在の部分において第1のベルト部分11の一般的な方向に垂直に配向される(現在の部分は、締め付けられる対象物と締め付け接触させられ得る部分である)。実際、その最小寸法が示されるこのスロットの幅の方向は、第1および第2のベルト部分を構成するバンド部分の一般的な方向に対して横向きである。
【0087】
第1のベルト部分11は、第1のベルト部分11の第2の端部11Bをこの第1のベルト部分の現在の部分に実質的に直角にするねじれ領域50(
図6を参照)を有する。言い換えれば、第1のベルト部分を形成するバンド部分が、ねじれ領域50のいずれかの側に、互いに実質的に直角に配向される。旋回軸42は、スロット44に挿入される第1のベルト部分の第2の端部11Bに垂直なその部分である。特に
図6中で理解できるように、旋回軸42は、第1のベルト部分の第2の端部11Bのドリル穴43に係合し、このドリル穴は、第2のベルト部分12の第2の端部12Bに対してねじれ領域50の他方の側に位置する自由端部分11B’内に作られる。
【0088】
この場合、第1のベルト部分の第2の端部11Bが、長手方向の折り目51を有し、それに従って、第1のベルト部分11の二等分されたバンド51Aおよび51Bが互いに対向させられる。この折り目51は、第1のベルト部分11のねじれ領域50から第2の端部11Bの自由端まで延在する。したがって、この端部11Bは、スロット44に挿入されたその領域において、互いに対向させられたバンド部分51Aおよび51Bによって形成される2倍の厚さを有する。したがって、機械的抵抗は、特に前述のドリル穴43における軸42の保持のために、局所的に増加する。
【0089】
図6中で理解されるように、これらの二等分されたバンド51Aおよび51Bは、溶接またはクリンチなどの保持手段によって互いに押し付け続けるように設けることができる。例えば、溶接またはクリンチ点54は、一旦、端部分11B’がこのスロット44内に挿入されると、スロット44のいずれかの側に延びることによって、
図6に示される。ねじれ領域50を区切り、かつ、このねじれ領域が、締め付け引張力の影響下で、第1のベルト部分11の現在の部分に伝播するのを防ぐために、後者は、その第2の端部11Bに対してねじれ領域50の反対側に位置するボス56を有し得る。ある意味で、このボス56は、ねじれに対する止め具を形成する。この場合、それは、第1のベルト部分11が形成されるバンドの幅にわたって、一方の側から他方の側に横切って延在する。しかしながら、ボスはより局所化されて、第1のベルト部分の自由端とは反対側の折り目51の端部に単に干渉してもよい。旋回軸42は、開口部43内の所定の位置に留まるように、この開口部に強制的に係合し得る。
【0090】
当然ながら、このヒンジは、特に接続部品26およびばね24に関連して、ベルトの第1の端部11Aおよび12Aに関して説明されてきた態様とは無関係に実装され得る。このように作られたヒンジは、特に機械的に抵抗力があることが注目される。それは、このベルトによって締め付けられた物体と直接接触することを意図しないベルトの領域に位置し、この場合の接触領域は、説明されてきたシース16、16Aおよび16Bによって画定される。したがって、ねじれ領域は、締め付けの品質に悪影響を及ぼさず、また、締め付けられた物体を損傷する危険性もない。
【0091】
図12および13は、二つのベルト部分11と12との間のヒンジの変形例を示す。ここで、第2のベルト部分12の第2の端部12Bの保持領域40は、折り畳まれた領域12B’の部分112および112’内に延在する二つのスロット144および144’を備え、第1のベルト部分11の第2の端部11Bは、それぞれスロット内に挿入された二つの平行な端部脚部111Bおよび111B’を有する。
【0092】
スロット144及び144’は、互いに平行であり、その現在の部分において第1のベルト部分11の一般的な方向に垂直に配向されている。
【0093】
第1のベルト部分11は、ねじれ領域150および長手方向の切り欠き150’を有する。切り欠き150’は、端部11Bの端部を二つの脚部111Bおよび111B’に分離する。この切り欠き150’は、端部11Bの自由端から停止点150’’まで延在する。この停止点は、締め付け張力の影響下で切り欠き150’の伝播を回避することを目的とした構造を有し得、この構造は、例えば、小さな円形の切り欠きおよび/またはスタンピングもしくは局所加工硬化である。
【0094】
ねじれ領域150は、停止点150’’と端部11Bの自由端との間に形成され、脚部111Bおよび脚部111B’のそれぞれにそれぞれ作られた二つのねじれを含み、これらの脚部のそれぞれを第1のベルト部分11の現在の部分に実質的に直角にする。旋回軸42は、スロット144および144’に係合する脚111Bおよび111B’の端部に垂直なその部分のためのものであり、これらの端部のドリル穴に係合している。
【0095】
これらのドリル穴は、水平に、すなわち、旋回軸42に平行に、例えば、外向きに押し戻された脚部111Bおよび111B’のドリル穴の端部によって形成されたフランジ111’を有し得ることが、
図13中で理解される。これらのフランジは、力に対する機械的抵抗を局所的に増加させる。
【0096】
同様のフランジは、
図6中のドリル穴43の端部上にも存在し得る。
【0097】
ヒンジのためのこの変形例は、ベルトの第1端部11Aおよび12Aに関して説明してきた態様、特に接続部品およびばねに関する態様から独立して実施され得る。
【外国語明細書】