(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025039432
(43)【公開日】2025-03-21
(54)【発明の名称】情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20250313BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20250313BHJP
H04N 1/40 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
H04N1/00 912
H04N1/387 101
H04N1/40
H04N1/00 127A
H04N1/00 127B
H04N1/00 127Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146523
(22)【出願日】2023-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇治川 泰史
【テーマコード(参考)】
5C062
5C077
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA12
5C062AA13
5C062AA14
5C062AA30
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AC05
5C062AC08
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AE03
5C062AE15
5C062AF11
5C077LL16
5C077MP08
5C077PP20
5C077PP32
(57)【要約】
【課題】出力処理に応じて互いに異なる形式を有する複数の画像データを、複数の異なる出力処理によって出力する場合において、画像データを出力するシステムが、当該複数の画像データの全てを記憶するメモリを有していない場合であっても、複数の異なる出力処理による画像データの出力を実現することを目的とする。
【解決手段】プロセッサは、出力の順番が先の第1出力処理によって出力される第1画像データをメモリに記憶させ、第1画像データを第1出力処理によって出力する。プロセッサは、第1画像データに基づいて、出力の順番が後の第2出力処理によって出力される第2画像データを生成する。プロセッサは、第2画像データをメモリに記憶させ、第1画像データをメモリから削除し、第2画像データを第2出力処理によって出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
メモリと、
を有し、
前記プロセッサは、
原稿を読み取ることで生成された画像データを複数の異なる出力処理のそれぞれによって出力する場合に、各出力処理によって出力される画像データの形式に基づいて、各出力処理による画像データの出力の順番を決定し、
前記複数の異なる出力処理のうち出力の順番が先の第1出力処理によって出力される第1画像データを前記メモリに記憶させ、
前記第1画像データを前記第1出力処理によって出力し、
前記第1画像データに基づいて、出力の順番が後の第2出力処理によって出力される第2画像データを生成し、
前記第2画像データを前記メモリに記憶させ、前記第1画像データを前記メモリから削除し、
前記第2画像データを前記第2出力処理によって出力する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
出力の順番を、出力される画像データがカラーの画像データであるか否かによって決定し、
前記第1画像データが、カラーの画像データであり、前記第2画像データが、カラーの画像データでない場合、前記第1画像データに基づいて前記第2画像データを生成し、前記第1出力処理による出力の後に、前記第2出力処理による出力を行う、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第1画像データと前記第2画像データが、カラーの画像データである場合、前記第1画像データ及び前記第2画像データのそれぞれの解像度に基づいて、前記第1出力処理による出力と前記第2出力処理による出力の順番を決定し、
前記第1画像データの解像度が前記第2画像データの解像度よりも高い場合、前記第1画像データに基づいて前記第2画像データを生成し、前記第1出力処理による出力の後に、前記第2出力処理による出力を行う、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第1画像データの解像度と前記第2画像データの解像度とが同じである場合、予め設定された優先順位に従って、前記第1出力処理による出力を、前記第2出力処理の出力よりも先の出力であると決定する、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記優先順位は、前記複数の異なる出力処理によって画像データを出力する度に設定される、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
ユーザが前記複数の異なる出力処理と前記優先順位とを設定するためのユーザインターフェースをディスプレイに表示させる、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記第2出力処理による出力の後に第3出力処理によって第3画像データが出力される場合において、前記第3画像データが前記第2画像データによって生成され得ない場合、前記第1画像データに基づいて前記第2画像データと前記第3画像データとを生成する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記第2画像データがカラーの画像データであり、前記第3画像データがカラーの画像データではなく、前記第2画像データの解像度が前記第3画像データの解像度よりも低い場合、前記第1画像データに基づいて前記第2画像データと前記第3画像データとを生成する、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、
カラーの画像データが出力される場合、前記複数の異なる出力処理のうち解像度が最も高いカラーの画像データを出力する出力処理を、前記複数の異なる出力処理のうち1番目に画像データを出力する1番目の出力処理に設定し、
カラーの画像データが出力されない場合、前記複数の異なる出力処理のうち解像度が最も高い画像データを出力する出力処理を、前記1番目の出力処理に設定し、
前記原稿を読み取ることで、前記1番目の出力処理によって出力される画像データを生成する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
メモリを有するコンピュータが、
原稿を読み取ることで生成された画像データを複数の異なる出力処理のそれぞれによって出力する場合に、各出力処理によって出力される画像データの形式に基づいて、各出力処理による画像データの出力の順番を決定し、
前記複数の異なる出力処理のうち出力の順番が先の第1出力処理によって出力される第1画像データを前記メモリに記憶させ、
前記第1画像データを前記第1出力処理によって出力し、
前記第1画像データに基づいて、出力の順番が後の第2出力処理によって出力される第2画像データを生成し、
前記第2画像データを前記メモリに記憶させ、前記第1画像データを前記メモリから削除し、
前記第2画像データを前記第2出力処理によって出力する、
よう動作させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原稿を読み取ることで生成された画像データを、複数の異なる出力処理によって出力する技術が知られている。この場合、個々の出力処理毎に、出力処理に対応する形式を有する画像データが生成される。これにより、出力処理に応じて互いに異なる形式を有する複数の画像データが生成され、各画像データは、画像データに対応する出力処理によって出力される。
【0003】
特許文献1には、画像蓄積手段に格納された画像データを送信先の利用端末に適合するデータ形式に変換する画像処理装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、蓄積手段によって蓄積された画像データのフォーマットをクライアント端末が扱う画像データの属性に適合するように変換し、変換された画像データをクライアント端末に送信する画像処理装置が記載されている。
【0005】
特許文献3には、入力された画像データの解像度を所定の解像度に変換し、解像度が変換された画像データの形式を所定の形式に変換し、変換された画像データを送信する画像入出力装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-194278号公報
【特許文献2】特開2005-304012号公報
【特許文献3】特開2003-333266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像データを複数の異なる出力処理によって出力する場合、出力処理に応じて互いに異なる形式を有する複数の画像データを、画像データを出力するシステムに含まれるメモリに記憶させることが考えられる。しかし、当該システムのメモリの容量によっては、当該複数の画像データの全てを当該システムのメモリに記憶させることが困難な場合がある。
【0008】
本発明の目的は、出力処理に応じて互いに異なる形式を有する複数の画像データを、複数の異なる出力処理によって出力する場合において、画像データを出力するシステムが、当該複数の画像データの全てを記憶するメモリを有していない場合であっても、複数の異なる出力処理による画像データの出力を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、プロセッサと、メモリと、を有し、前記プロセッサは、原稿を読み取ることで生成された画像データを複数の異なる出力処理のそれぞれによって出力する場合に、各出力処理によって出力される画像データの形式に基づいて、各出力処理による画像データの出力の順番を決定し、前記複数の異なる出力処理のうち出力の順番が先の第1出力処理によって出力される第1画像データを前記メモリに記憶させ、前記第1画像データを前記第1出力処理によって出力し、前記第1画像データに基づいて、出力の順番が後の第2出力処理によって出力される第2画像データを生成し、前記第2画像データを前記メモリに記憶させ、前記第1画像データを前記メモリから削除し、前記第2画像データを前記第2出力処理によって出力する、情報処理システムである。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記プロセッサは、出力の順番を、出力される画像データがカラーの画像データであるか否かによって決定し、前記第1画像データが、カラーの画像データであり、前記第2画像データが、カラーの画像データでない場合、前記第1画像データに基づいて前記第2画像データを生成し、前記第1出力処理による出力の後に、前記第2出力処理による出力を行う、請求項1に記載の情報処理システムである。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記プロセッサは、前記第1画像データと前記第2画像データが、カラーの画像データである場合、前記第1画像データ及び前記第2画像データのそれぞれの解像度に基づいて、前記第1出力処理による出力と前記第2出力処理による出力の順番を決定し、前記第1画像データの解像度が前記第2画像データの解像度よりも高い場合、前記第1画像データに基づいて前記第2画像データを生成し、前記第1出力処理による出力の後に、前記第2出力処理による出力を行う、請求項2に記載の情報処理システムである。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記プロセッサは、前記第1画像データの解像度と前記第2画像データの解像度とが同じである場合、予め設定された優先順位に従って、前記第1出力処理による出力を、前記第2出力処理の出力よりも先の出力であると決定する、請求項3に記載の情報処理システムである。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記優先順位は、前記複数の異なる出力処理によって画像データを出力する度に設定される、請求項4に記載の情報処理システムである。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記プロセッサは、ユーザが前記複数の異なる出力処理と前記優先順位とを設定するためのユーザインターフェースをディスプレイに表示させる、請求項4に記載の情報処理システムである。
【0015】
請求項7に係る発明は、前記プロセッサは、前記第2出力処理による出力の後に第3出力処理によって第3画像データが出力される場合において、前記第3画像データが前記第2画像データによって生成され得ない場合、前記第1画像データに基づいて前記第2画像データと前記第3画像データとを生成する、請求項1に記載の情報処理システムである。
【0016】
請求項8に係る発明は、前記プロセッサは、前記第2画像データがカラーの画像データであり、前記第3画像データがカラーの画像データではなく、前記第2画像データの解像度が前記第3画像データの解像度よりも低い場合、前記第1画像データに基づいて前記第2画像データと前記第3画像データとを生成する、請求項7に記載の情報処理システムである。
【0017】
請求項9に係る発明は、前記プロセッサは、カラーの画像データが出力される場合、前記複数の異なる出力処理のうち解像度が最も高いカラーの画像データを出力する出力処理を、前記複数の異なる出力処理のうち1番目に画像データを出力する1番目の出力処理に設定し、カラーの画像データが出力されない場合、前記複数の異なる出力処理のうち解像度が最も高い画像データを出力する出力処理を、前記1番目の出力処理に設定し、前記原稿を読み取ることで、前記1番目の出力処理によって出力される画像データを生成する、請求項1に記載の情報処理システムである。
【0018】
請求項10に係る発明は、メモリを有するコンピュータが、原稿を読み取ることで生成された画像データを複数の異なる出力処理のそれぞれによって出力する場合に、各出力処理によって出力される画像データの形式に基づいて、各出力処理による画像データの出力の順番を決定し、前記複数の異なる出力処理のうち出力の順番が先の第1出力処理によって出力される第1画像データを前記メモリに記憶させ、前記第1画像データを前記第1出力処理によって出力し、前記第1画像データに基づいて、出力の順番が後の第2出力処理によって出力される第2画像データを生成し、前記第2画像データを前記メモリに記憶させ、前記第1画像データを前記メモリから削除し、前記第2画像データを前記第2出力処理によって出力する、よう動作させるプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1,10に係る発明によれば、出力処理に応じて互いに異なる形式を有する複数の画像データを、複数の異なる出力処理によって出力する場合において、画像データを出力するシステムが、当該複数の画像データの全てを記憶するメモリを有していない場合であっても、複数の異なる出力処理による画像データの出力を実現することができる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、カラーの画像データを含む複数の画像データが出力の対象となっている場合に、当該複数の画像データのそれぞれを生成して出力することができる。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、互いに解像度の異なる複数の画像データが出力の対象となっている場合に、当該複数の画像データを生成して出力することができる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、複数の出力処理が、解像度が同じカラーの画像データを出力する場合に、出力の順番を決めて各画像データを出力することができる。
【0023】
請求項5に係る発明によれば、画像データを出力する度に、出力の順番を決めて各画像データを出力することができる。
【0024】
請求項6に係る発明によれば、ユーザが出力処理と出力の順番とを決定することができる。
【0025】
請求項7,8に係る発明によれば、第2画像データに基づいて第3画像データを生成することができない場合であっても、第3画像データを生成して出力することができる。
【0026】
請求項9に係る発明によれば、生成する必要のない画像データを生成せずに済む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図2】出力処理に関する機能の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る画像形成装置による処理の流れを示すフローチャートを示す図である。
【
図4】実施形態に係る全体システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】実施例1に係る出力処理の設定を示す図である。
【
図7】実施例1に係る処理の流れを示すフローチャートを示す図である。
【
図8】実施例2に係る出力処理の設定を示す図である。
【
図11】実施例2に係る処理の流れを示すフローチャートを示す図である。
【
図12】実施例3に係る出力処理の設定を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1を参照して、実施形態に係る画像形成装置10について説明する。
図1は、画像形成装置10のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0029】
画像形成装置10は、原稿を読み取ることで画像データを生成し、複数の異なる出力処理によって画像データを出力する。画像形成装置10は、個々の出力処理毎に、出力処理に対応する形式を有する画像データを生成する。画像形成装置10は、各画像データを、画像データに対応する出力処理によって出力する。
【0030】
例えば、画像形成装置10は、スキャナを含み、そのスキャナによって原稿を読み取ることで画像データを生成する。画像形成装置10は、プリンタを含み、画像データに基づく画像を用紙等の記録媒体に形成してもよい。つまり、画像形成装置10は、画像をプリントしてもよい。画像形成装置10は、ファクシミリ装置を含み、画像データをファクシミリ通信によって他のファクシミリ装置に送信してもよい。画像形成装置10は、スキャナ、プリンタ及びファクシミリ装置等を含む複合機であってもよい。
【0031】
出力処理は、画像データをメモリに記憶させる処理、画像データを画像形成装置10以外の外部装置に送信する処理、又は、画像を用紙等の記録媒体に形成する処理(つまり、プリント)である。
【0032】
メモリは、画像形成装置10に搭載されたメモリであってもよいし、画像形成装置10に接続された外部メモリであってもよい。例えば、外部メモリは、USBメモリ、ハードディスクドライブ、又は、光ディスク(例えば、CD、DVD、ブルーレイディスク等)である。画像形成装置10は、出力処理の一例として、画像データをメモリに記憶させる。
【0033】
外部装置は、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する)、タブレットPC、スマートフォン、携帯電話、サーバ又はファクシミリ装置等である。画像形成装置10は、出力処理の一例として、画像データを、インターネットやLAN(Local Area Network)等の通信経路を介してPCやサーバ等に送信する。別の例として、画像形成装置10は、画像データをファクシミリ通信によってファクシミリ装置に送信する。
【0034】
なお、複数の異なる出力処理によって画像データを出力する機能は、Multi Job Flow機能と称されることがある。
【0035】
画像データの形式は、カラーモード及び解像度のうち少なくとも1つである。例えば、カラー、グレースケール又はモノクロが、カラーモードの一例である。なお、カラーの画像データは、フルカラーの画像データ(例えば、約1677万色の色で再現される画像データ)であってもよいし、フルカラー以外の画像データ(例えば、約1677万色以外の数の色で再現される画像データ)であってもよい。カラーの画像データに用いられる色の数が、ユーザによって選択されてもよい。
【0036】
複数の異なる出力処理は、複数の異なる出力先に、出力先に対応する形式を有する画像データを出力する処理であってもよいし、同じ出力先に互いに異なる形式を有する複数の画像データを出力する処理であってもよい。出力先は、メモリ、外部装置、又は、用紙等の記録媒体である。
【0037】
例えば、ある同じ画像データについて、第1形式を有する画像データをメモリに記憶させ、第2形式を有する画像データをサーバに送信する処理が、複数の異なる出力先に画像データを出力する処理の一例である。第2形式は、第1形式とは異なる形式である。
【0038】
ある同じ画像データについて、第1形式を有する画像データと第2形式を有する画像データとを同じサーバに送信する処理が、同じ出力先に画像データを出力する処理の一例である。このように出力先が同じであっても、互いに形式の異なる複数の画像データを出力する処理は、複数の異なる出力処理の一例に相当する。
【0039】
なお、ここで挙げた出力先は一例に過ぎず、出力先は、メモリ、外部装置又は記録媒体のいずれかであってもよい。
【0040】
図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成部12と、UI14と、通信装置16と、メモリ18と、プロセッサ20とを含む。
【0041】
画像形成部12は、少なくともスキャナを含み、スキャン機能を有する。つまり、画像形成部12は、少なくとも、原稿を読み取ることで画像データを生成する機能を有する。更に、画像形成部12は、プリンタを含み、コピー機能やプリント機能を有してもよい。つまり、画像形成部12は、原稿を読み取ることで生成された画像データに基づく画像を用紙等の記録媒体に形成する機能を有してもよい。また、画像形成部12は、画像形成装置10以外の装置から送信された画像データに基づく画像を記録媒体に形成してもよい。
【0042】
UI14はユーザインターフェースであり、ディスプレイと操作装置とを含む。ディスプレイは、液晶ディスプレイ又はELディスプレイ等である。操作装置は、キーボード、マウス、入力キー又は操作パネル等である。UI14は、ディスプレイと操作装置とを兼ね備えたタッチパネル(例えば操作パネル)等のUIであってもよい。
【0043】
通信装置16は、通信チップや通信回路等を有する1又は複数の通信インターフェースを含み、他の装置に情報を送信する機能、及び、他の装置から情報を受信する機能を有する。通信装置16は、近距離無線通信やWi-Fi(登録商標)等の無線通信機能を有してもよいし、有線通信機能を有してもよい。また、通信装置16は、ファクシミリ機能を有し、画像データをファクシミリ通信によって他のファクシミリ装置に送信してもよい。
【0044】
メモリ18は、データを記憶する1又は複数の記憶領域を構成する装置である。メモリ18は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、各種のメモリ(例えばRAM、DRAM、NVRAM、ROM、等)、その他の記憶装置(例えば光ディスク等)、又は、それらの組み合わせである。例えば、原稿を読み取ることで生成された画像データが、メモリ18に記憶される。
【0045】
プロセッサ20は、画像形成装置10の各部の動作を制御する。
【0046】
また、プロセッサ20は、原稿を読み取ることで生成された画像データを、複数の異なる出力処理のそれぞれによって出力する。この場合、プロセッサ20は、各出力処理によって出力される画像データの形式に基づいて、各出力処理による画像データの出力の順番を決定する。プロセッサ20は、出力の順番が先の第1出力処理によって出力される第1画像データをメモリ18に記憶させ、第1画像データを第1出力処理によって出力する。また、プロセッサ20は、第1画像データに基づいて、出力の順番が後の第2出力処理によって出力される第2画像データを生成する。第2画像データが生成された場合、プロセッサ20は、第1画像データをメモリ18から削除し、第2画像データをメモリ18に記憶させる。その後、プロセッサ20は、第2画像データを第2出力処理によって出力する。
【0047】
例えば、プロセッサ20は、出力の順番を、出力される画像データがカラーの画像データであるか否かによって決定する。プロセッサ20は、カラーの画像データを出力する出力処理を先に実行される出力処理として決定し、グレースケールの画像データを出力する出力処理を後に実行される出力処理として決定する。例えば、第1出力処理が、カラーの画像データを出力する処理であり、第2出力処理が、グレースケールの画像データを出力する処理である場合、プロセッサ20は、第1出力処理を先に実行される出力処理として決定し、第2出力処理を後に実行される出力処理として決定する。プロセッサ20は、第1画像データに基づいて第2画像データを生成する。カラーの画像データに基づいてグレースケールの画像データを生成することが可能である。それとは逆に、グレースケールの画像データに基づいてカラーの画像データを生成することはできない。それ故、プロセッサ20は、カラーの画像データを出力する出力処理を先に実行される出力処理として決定し、グレースケールの画像データを出力する出力処理を後に実行される出力処理として決定する。つまり、第1出力処理によって出力される第1画像データが、カラーの画像データであり、第2出力処理によって出力される第2画像データが、カラーの画像データでない場合(例えば、第2画像データがグレースケールの画像データである場合)、プロセッサ20は、第1画像データに基づいて第2画像データを生成する。プロセッサ20は、第1出力処理による出力の後に、第2出力処理による出力を行う。
【0048】
第1画像データと第2画像データが、カラーの画像データである場合、プロセッサ20は、解像度に基づいて出力の順番を決定する。プロセッサ20は、解像度が高い画像データを出力する出力処理を先に実行される出力処理として決定し、その解像度よりも低い画像データを出力する出力処理を後に実行される出力処理として決定する。解像度の高い画像データに基づいて解像度の低い画像データを生成することが可能である。それとは逆に、解像度の低い画像データに基づいて解像度の高い画像データを生成することはできない。それ故、プロセッサ20は、解像度の高い画像データを出力する出力処理を先に実行される出力処理として決定し、解像度の低い画像データを出力する出力処理を後に実行される出力処理として決定する。例えば、第1画像データの解像度が第2画像データの解像度よりも高い場合、プロセッサ20は、第1画像データに基づいて第2画像データを生成し、第1出力処理による出力の後に、第2出力処理による出力を行う。
【0049】
第1画像データと第2画像データがカラーの画像データであり、第1画像データの解像度と第2画像データの解像度とが同じである場合、プロセッサ20は、予め設定された優先順位に従って、各出力処理の順番を決定する。その優先順位は、ユーザによって設定されてもよい。また、画像データを出力する度に、優先順位が設定されてもよい。
【0050】
図2を参照して、出力処理に関する機能について説明する。
図2は、出力処理に関する機能の構成を示すブロック図である。
【0051】
画像形成装置10は、出力処理に関する機能として、受付部22と、入力処理部24と、記憶部26と、変換部28と、出力処理部30と、を有する。
【0052】
受付部22は、出力処理の選択を受け付ける。例えば、プロセッサ20は、ユーザが出力処理を選択するためのユーザインターフェースを提供する。具体的には、プロセッサ20は、ユーザが出力処理を選択するための選択画面をUI14のディスプレイに表示させる。ユーザは、その選択画面上で、実行される出力処理を選択する。受付部22は、ユーザによる選択を受け付ける。ユーザによって選択された出力処理が、画像形成装置10によって実行される。
【0053】
また、ユーザは、出力処理に対応する画像データの形式を選択する。つまり、ユーザは、出力処理によって出力される画像データの形式を選択する。複数の異なる出力処理が実行される場合、ユーザは、出力処理毎に画像データの形式を選択する。ユーザは、上記の選択画面上で画像データの形式を選択してもよいし、上記の選択画面とは異なる画面上で画像データの形式を選択してもよい。受付部22は、画像データの形式についてのユーザの選択を受け付ける。
【0054】
出力処理毎に画像データの形式が予め定められてもよい。この場合、出力処理がユーザによって選択されると、その選択された出力処理に対応する画像データの形式が選択されることになる。この場合であっても、画像データの形式がユーザによって変更されてもよい。
【0055】
入力処理部24は、出力処理の対象となる画像データの入力を受け付ける。例えば、画像形成部12が原稿を読み取ることで画像データを生成すると、入力処理部24は、その画像データの入力を受け付け、その画像データを記憶部26に記憶させる。
【0056】
記憶部26は、メモリ18によって実現される。記憶部26は、出力処理の対象となる画像データを記憶する。
【0057】
変換部28は、画像データの形式を変換することで、ユーザが選択した出力処理に対応する形式を有する画像データを生成する。形式が変換された画像データは、記憶部26に記憶させる。
【0058】
出力処理部30は、ユーザが選択した出力処理を実行する。出力処理に応じて、画像形成部12、通信装置16又はメモリ18が用いられる。
【0059】
受付部22、入力処理部24、変換部28及び出力処理部30は、プロセッサ20によって実現される。その実現のために、通信装置16やメモリ18が用いられてもよい。
【0060】
図3を参照して、画像形成装置10による処理について説明する。
図3は、画像形成装置10による処理の流れを示すフローチャートを示す。
【0061】
例えば、複数の異なる出力処理がユーザによって選択されている。画像形成装置10は、当該複数の異なる出力処理のそれぞれを順番に実行する。
【0062】
まず、プロセッサ20は、各出力処理によって出力される画像データの形式に基づいて、各出力処理による画像データの出力の順番を決定する(S01)。つまり、プロセッサ20は、各出力処理の実行の順番を決定する。実行の順番を決定する方法については、後で詳しく説明する。
【0063】
次に、プロセッサ20は、画像形成部12によるスキャンを実行する(S02)。つまり、画像形成部12は、原稿を読み取ることで画像データを生成する。例えば、画像形成部12は、実行される各出力処理によって出力される画像データを生成し得る画像データを生成する。画像形成部12は、1番目に実行される出力処理によって出力される画像データを生成してもよい。
【0064】
次に、プロセッサ20は、原稿を読み取ることで生成された画像データの形式を変換する(S03)。例えば、プロセッサ20は、原稿を読み取ることで生成された画像データの形式を、1番目に実行される出力処理によって出力される画像データの形式に変換する。ステップS02にて、1番目に実行される出力処理によって出力される画像データが生成される場合、変換処理は実行されない。
【0065】
次に、プロセッサ20は、ステップS03にて変換された画像データをメモリ18に記憶させる(S04)。例えば、プロセッサ20は、1番目に実行される出力処理によって出力される画像データ(以下、便宜的に「画像データ1」と称する)を、メモリ18に記憶させる。
【0066】
次に、プロセッサ20は、出力処理を実行する(S05)。例えば、プロセッサ20は、1番目の出力処理を実行することで、1番目に実行される出力処理の対象となる画像データ(つまり、画像データ1)を出力する。
【0067】
ステップS05にて実行された出力処理の次に実行される出力処理がない場合(S06,なし)、処理は終了する。
【0068】
ステップS05にて実行された出力処理の次に実行される出力処理がある場合(S06,次の出力処理がある)、処理はステップS03に戻る。
【0069】
例えば、2番目の出力処理がある場合において、ステップS05にて1番目の出力処理が実行された場合、2番目の出力処理を対象として、ステップS03からステップS05の処理が実行される。
【0070】
具体的には、プロセッサ20は、メモリ18に記憶されている画像データ1を読み込み、その画像データ1の形式を、2番目に実行される出力処理によって出力される画像データ(以下、便宜的に「画像データ2」と称する)の形式に変換する(S03)。画像データ2が生成された場合、プロセッサ20は、画像データ1をメモリ18から削除し、画像データ2をメモリ18に記憶させる(S04)。次に、プロセッサ20は、2番目の出力処理を実行することで、画像データ2を出力する。
【0071】
3番目に実行される出力処理がない場合(S06,なし)、処理は終了する。3番目に実行される出力処理がある場合(S06,次の出力処理がある)、処理はステップS03に戻る。2番目の出力処理と同様に、3番目の出力処理を対象としてステップS03からステップS05の処理が実行される。
【0072】
以上のように、複数の異なる出力処理が実行される場合に、当該複数の異なる出力処理によって出力される画像データの全てをメモリ18に記憶させることなく、当該複数の異なる出力処理が実行される。それ故、当該複数の異なる出力処理によって出力される全ての画像データを記憶するためのメモリ容量を確保する必要がない。上記の例で説明すると、画像データ1,2の全てをメモリ18に記憶させずに、1番目の出力処理と2番目の出力処理が実行される。それ故、画像データ1,2の全てを記憶するためのメモリ容量を確保する必要がない。換言すると、全ての画像データを記憶するための容量を有するメモリが画像形成装置10に搭載されていなくても、複数の異なる出力処理が実行される。
【0073】
以下、実施例について説明する。
【0074】
図4を参照して、画像形成装置10を含む全体システムについて説明する。
図4は、全体システムを示すブロック図である。
【0075】
例えば、全体システムは、画像形成装置10と、PC32と、サーバ34と、サーバ36と、ファクシミリ装置38と、を含む。また、USBメモリ40が、画像形成装置10に接続されている。PC32、サーバ34,36及びファクシミリ装置38は、外部装置の一例である。USBメモリ40は、外部メモリの一例である。
【0076】
画像形成装置10、PC32、サーバ34及びサーバ36は、通信経路N1を介して他の装置と通信する。例えば、通信経路N1は、インターネットやLAN等のネットワークである。通信経路N1は、有線通信によって構築されてもよいし、Wi-Fi等の無線通信によって構築されてもよい。画像形成装置10とファクシミリ装置38は、通信経路N2を介してファクシミリ通信する。例えば、通信経路N2は、電話回線である。
【0077】
図4に示されている構成は一例に過ぎない。複数のPCが全体システムに含まれてもよいし、PCが全体システムに含まれなくてもよい。全体システムに含まれるサーバの数は1つであってもよいし、サーバが全体システムに含まれなくてもよい。複数のファクシミリ装置が全体システムに含まれてもよいし、ファクシミリ装置が全体システムに含まれなくてもよい。USBメモリ40等の外部メモリが画像形成装置10に接続されなくてもよいし、USBメモリ40以外の外部メモリが画像形成装置10に接続されてもよい。
【0078】
例えば、画像形成装置10は、出力処理として、ScanToPC、ScanToServer、ScanToUSB、FAX、及び、Copyを有する。
【0079】
ScanToPCは、スキャナによって原稿を読み取ることで生成された画像データを、通信経路N1を介して画像形成装置10からPCに送信する処理である。
【0080】
ScanToServerは、スキャナによって原稿を読み取ることで生成された画像データを、通信経路N1を介してサーバに送信する処理である。
【0081】
ScanToUSBは、スキャナによって原稿を読み取ることで生成された画像データを、画像形成装置10に接続されたUSBメモリに記憶させる処理である。
【0082】
FAXは、スキャナによって原稿を読み取ることで生成された画像データを、通信経路N2を介して送信する処理である。
【0083】
Copy機能は、スキャナによって原稿を読み取ることで生成された画像データに基づく画像を用紙等の記録媒体にプリントする処理である。
【0084】
画像形成装置10は、選択された複数の異なる出力処理を実行する機能(つまり、Multi Job Flow機能)を有する。つまり、画像形成装置10は、1回の入力処理(つまり1回のスキャン)に対して複数の出力処理を実行する機能を有する。もちろん、画像形成装置10は、個々の出力処理を別々に実行する機能を有してもよい。
【0085】
図5を参照して、選択画面について説明する。
図5は、選択画面42を示す。選択画面42は、ユーザが出力処理を選択するための画面である。
【0086】
例えば、ユーザが、UI14を操作することで選択画面42の表示指示を与えると、プロセッサ20は、選択画面42をUI14のディスプレイに表示させる。
【0087】
複数の異なる出力処理の一覧が、選択画面42に表示される。当該複数の出力処理は、画像形成装置10が実行することができる出力処理である。
【0088】
例えば、ScanToPC、ScanToServer、ScanToUSB、FAX、及び、Copyが、出力処理の一例として、選択画面42に表示されている。
【0089】
また、チェックボックス44~52が、選択画面42に表示されている。チェックボックスは、実行される出力処理をユーザが選択するための画像である。チェックボックス44は、ScanToPCに対応する。チェックボックス46は、ScanToServerに対応する。チェックボックス48は、ScanToUSBに対応する。チェックボックス50は、FAXに対応する。チェックボックス52は、Copyに対応する。
【0090】
図5に示す例では、ScanToServer、ScanToUSB及びCopyが、実行される出力処理としてユーザによって選択されている。
【0091】
各出力処理の設定が行われてもよい。例えば、出力される画像データのカラーモード、出力される画像データの解像度、及び、部数等の項目が、出力処理毎に設定される。ユーザが、出力処理毎に、画像データのカラーモード、解像度及び部数等を選択すると、その選択された内容が、各出力処理に設定される。また、複数のサーバ、複数のPC又は複数のファクシミリ装置が全体システムに含まれている場合、画像データの送信先のサーバ、PC又はファクシミリ装置が、設定内容として選択される。なお、各出力処理の設定内容は予め定められてもよい。この場合であっても、ユーザは、その設定内容を変更してもよい。
【0092】
スタートボタン54が、選択画面42に表示されている。ユーザが、選択画面42上でスタートボタン54を押すと、プロセッサ20は、
図3に示されている手順に従って処理を実行する。
図5に示す例では、ScanToServer、ScanToUSB及びCopyが、決定された順番に従って実行される。
【0093】
なお、ユーザは、選択画面42上で1つの出力処理を選択してもよい。この場合、プロセッサ20は、その選択された出力処理を実行する。
【0094】
(実施例1)
以下、実施例1について説明する。
図6を参照して、出力処理の実行の順番について説明する。
図6は、実施例1に係る出力処理の設定を示す。
図6に示されている「サービス」は、出力処理のことである。
【0095】
実施例1では、ScanToServer、ScanToUSB及びCopyが、実行される出力処理として選択されている。
【0096】
ScanToServerのカラーモードは、グレースケールである。ScanToServerの解像度は、300dpiである。つまり、ScanToServerによってサーバに送信される画像データは、解像度が300dpiのグレースケールの画像データである。
【0097】
ScanToUSBのカラーモードは、カラーである。ScanToUSBの解像度は、300dpiである。つまり、ScanToUSBによってUSBメモリに記憶される画像データは、解像度が300dpiのカラーの画像データである。
【0098】
Copyのカラーモードは、カラーである。Copyの解像度は、600dpiである。つまり、Copyの対象となる画像データは、解像度が600dpiのカラーの画像データである。
【0099】
図7を参照して、実施例1に係る処理について説明する。
図7は、実施例1に係る処理の流れを示すフローチャートを示す。プロセッサ20は、実行される各出力処理の設定内容に基づき、カラーモード及び解像度を確認する。
【0100】
まず、プロセッサ20は、各出力処理によって出力される画像データのカラーモードに基づいて、各出力処理の順番を決定する(S11)。
【0101】
カラーモードについて同一条件の複数の出力処理がない場合(S12,同一条件がない)、出力の順番を決定する処理は終了する。
【0102】
カラーモードについて同一条件の複数の出力処理がある場合(S12,ある)、プロセッサ20は、解像度に基づいて、各出力処理の順番を決定する(S13)。
【0103】
図6に示す例では、ScanToUSBとCopyのそれぞれのカラーモードが、カラーであり、ScanToServerのカラーモードは、グレースケールである。カラーモードについて同一条件の複数の出力処理があるため、プロセッサ20は、ステップS13の処理を実行する。
【0104】
プロセッサ20は、カラーモードの画像データを出力する出力処理を、グレースケールの画像データを出力する出力処理よりも先の出力処理として決定する。従って、プロセッサ20は、ScanToServerを3番目の出力処理として決定する。この段階では、ScanToUSBとCopyの順位は決定されない。
【0105】
次に、プロセッサ20は、ScanToUSBによって出力される画像データの解像度と、Copyによって出力される画像データの解像度と、に基づき、出力処理の順番を決定する(S13)。プロセッサ20は、解像度の高い画像データを出力する出力処理を、解像度の低い画像データを出力する出力処理よりも先の出力処理として決定する。
【0106】
図6に示す例では、Copyの解像度は600dpiであり、ScanToUSBの解像度は300dpiである。従って、プロセッサ20は、CopyをScanToUSBよりも先に実行される出力処理として決定する。
【0107】
以上により、プロセッサ20は、Copyを1番目の出力処理、ScanToUSBを2番目の出力処理、ScanToServerを3番目の出力処理として決定する。プロセッサ20は、この順番で、各出力処理を実行する。
【0108】
各出力処理の順番が決定されると、画像形成部12は、原稿を読み取る。例えば、画像形成部12は、原稿を読み取ることで、1番目の出力処理であるCopyに対応する形式を有する画像データを生成する。
図6に示す例では、画像形成部12は、解像度が600dpiのカラーの画像データ(以下、「第1画像データ」と称する)を生成する。プロセッサ20は、第1画像データをメモリ18に記憶させる。
【0109】
プロセッサ20は、1番目の出力処理であるCopyを実行することで、メモリ18に記憶されている第1画像データを出力する。具体的には、第1画像データに基づく画像は、用紙等の記録媒体にプリントされる。
【0110】
1番目の出力処理であるCopyが終了すると、プロセッサ20は、メモリ18に記憶されている第1画像データに基づいて、2番目の出力処理であるScanToUSBに対応する形式を有する画像データを生成する。
図6に示す例では、プロセッサ20は、解像度が600dpiのカラーの画像データ(つまり第1画像データ)に基づいて、解像度が300dpiのカラーの画像データ(以下、「第2画像データ」と称する)を生成する。プロセッサ20は、第2画像データをメモリ18に記憶させる。第2画像データをメモリ18に記憶させることが完了した場合、プロセッサ20は、第1画像データをメモリ18から削除する。
【0111】
次に、プロセッサ20は、2番目の出力処理であるScanToUSBを実行することで、メモリ18に記憶されている第2画像データを出力する。具体的には、プロセッサ20は、第2画像データをUSBメモリ40に記憶させる。
【0112】
2番目の出力処理であるScanToUSBが終了すると、プロセッサ20は、メモリ18に記憶されている第2画像データに基づいて、3番目の出力処理であるScanToServerに対応する形式を有する画像データを生成する。
図6に示す例では、プロセッサ20は、解像度が300dpiのカラーの画像データ(つまり第2画像データ)に基づいて、解像度が300dpiのグレースケールの画像データ(以下、「第3画像データ」と称する)を生成する。プロセッサ20は、第3画像データをメモリ18に記憶させる。第3画像データをメモリ18に記憶させることが完了した場合、プロセッサ20は、第2画像データをメモリ18から削除する。
【0113】
次に、プロセッサ20は、3番目の出力処理であるScanToServerを実行することで、メモリ18に記憶されている第3画像データを出力する。具体的には、第3画像データは、サーバに送信される。例えば、サーバ34が送信先のサーバとして指定されている場合、プロセッサ20は、第3画像データをサーバ34に送信する。例えば、第3画像データはサーバ34に記憶される。
【0114】
3番目の出力処理の後に実行される出力処理がない場合、プロセッサ20は、メモリ18に記憶されている第3画像データを削除する。これにより、出力処理の実行が終了する。
【0115】
なお、読み取られる原稿が複数のページを含む場合、出力処理単位で画像データが変換されてもよいし、ページ単位で画像データが変換されてもよい。
【0116】
上記の実施例1では、出力処理単位で、画像データの変換、記憶、出力及び削除が行われている。つまり、第1出力処理によって第1画像データの出力が終了すると、第2画像データが生成されてメモリ18に記憶される。第2画像データをメモリ18に記憶させることが完了すると、プロセッサ20は、メモリ18に記憶されている第1画像データを削除する。これは、1番目の出力処理が終了し、2番目の出力処理によって出力される第2画像データの生成及び記憶が完了した場合に、1番目の出力処理によって出力される第1画像データを削除することを意味する。例えば、原稿が複数のページを含む場合、プロセッサ20は、当該複数のページを表す第1画像データを1番目の出力処理によって出力する。1番目の出力処理が終了し、当該複数のページを表す第2画像データの生成及び記憶が完了した場合に、プロセッサ20は、1番目の出力処理によって出力される第1画像データ(例えば、当該複数のページを表す第1画像データ)をメモリ18から削除する。
【0117】
これとは別の例として、ページ単位で画像データの変換、記憶、出力及び削除が行われてもよい。例えば、プロセッサ20は、1ページ目について1番目の出力処理用の第1画像データ(つまり、1ページ目を表す第1画像データ)を生成してメモリ18に記憶させ、1番目の出力処理によって、1ページ目を表す第1画像データを出力する。その出力が終了すると、プロセッサ20は、1ページ目を表す第1画像データに基づいて、1ページ目について2番目の出力処理用の第2画像データ(つまり、1ページ目を表す第2画像データ)を生成する。1ページ目の第2画像データの生成が完了すると、プロセッサ20は、メモリ18に記憶されている1ページ目の第1画像データを削除し、1ページ目の第2画像データをメモリ18に記憶させる。次に、プロセッサ20は、2番目の出力処理によって、1ページ目の第2画像データを出力する。3番目の出力処理、及び、その後の出力処理についても同様に、ページ毎に、画像データの変換、記憶、出力及び削除が行われる。1ページ目について全ての出力処理による出力が終了すると、プロセッサ20は、2ページ目について、1ページ目と同様に、画像データの変換、記憶、出力及び削除を行う。
【0118】
ページ単位で、画像データの変換、記憶、出力及び削除を行うことで、不要となったページの画像データをメモリ18に記憶させずに済む。そのため、画像データを記憶するためのメモリ容量を確保する必要がない。
【0119】
なお、プロセッサ20は、1ページ目の第1画像データを1番目の出力処理によって出力し、その出力が完了したら、2ページ目の第1画像データを1番目の出力処理によって出力してもよい。2番目以降の出力処理についても同様である。
【0120】
以下に説明する実施例2,3についても同様に、出力処理単位で、画像データの変換、記憶、出力及び削除が行われてもよいし、ページ単位で、画像データの変換、記憶、出力及び削除が行われてもよい。
【0121】
(実施例2)
以下、実施例2について説明する。
図8を参照して、出力処理の実行の順番について説明する。
図8は、実施例2に係る出力処理の設定を示す。
図8に示されている「サービス」は、出力処理のことである。
【0122】
実施例2では、実施例1と同様に、ScanToServer、ScanToUSB及びCopyが、実行される出力処理として選択されている。
【0123】
ScanToServerのカラーモードは、カラーである。ScanToServerの解像度は、300dpiである。つまり、ScanToServerによってサーバに送信される画像データは、解像度が300dpiのカラーの画像データである。
【0124】
ScanToUSBのカラーモードは、カラーである。ScanToUSBの解像度は、300dpiである。つまり、ScanToUSBによってUSBメモリに記憶される画像データは、解像度が300dpiのカラーの画像データである。
【0125】
Copyのカラーモードは、カラーである。Copyの解像度は、600dpiである。つまり、Copyの対象となる画像データは、解像度が600dpiのカラーの画像データである。
【0126】
ScanToServerとScanToUSBでは、カラーモードが同じであり、画像データの解像度が同じである。従って、カラーモードと解像度では、ScanToServerとScanToUSBの実行の順番が決定されない。この場合、プロセッサ20は、予め設定された優先順位に従って、ScanToServerとScanToUSBの実行の順番を決定する。
【0127】
図9を参照して、予め設定された優先順位について説明する。
図9は、優先テーブルを示す。優先テーブルは、出力処理の順番を決定するための優先順位を定めるテーブルである。優先テーブルのデータは、メモリ18に予め記憶されている。
図9に示されている「サービス」は、出力処理のことである。
【0128】
例えば、Copyの優先順位は1位であり、ScanToUSBの優先順位は2位であり、ScanToServerの優先順位は3位であり、ScanToPCの優先順位は4位であり、FAXの優先順位は5位である。
【0129】
例えば、ユーザが画像形成装置10にて操作や作業を行う必要がある出力処理の優先順位は、その必要のない出力処理の優先順位よりも高く設定されている。具体的には、Copyが実行された場合、通常、ユーザは、プリント済みの用紙を取りに画像形成装置10まで移動する必要がある。また、ScanToUSBが実行された場合、通常、ユーザは、USBメモリを画像形成装置10から抜くという操作を行う必要がある。これらの出力処理の実行を指示したユーザは、画像形成装置10にて出力処理が終了するのを待っていることが想定される。一方で、ScanToServer、ScanToPC及びFAXが実行された場合、通常、ユーザは、画像形成装置10にて出力処理が終了するのを待っていることが想定されない。そこで、CopyやScanToUSBの実行を指示したユーザの待ち時間を短くするために、CopyやScanToUSBの優先順位は、他の出力処理の優先順位よりも高く設定されている。
【0130】
もちろん、
図9に示されている優先順位は一例に過ぎない。別の優先順位が予め設定されてもよいし、ユーザによって優先順位が設定されてもよい。
【0131】
ここで、
図10を参照して、ユーザが優先順位を設定する例について説明する。
図10は、選択画面42を示す。
【0132】
図10に示す例では、入力欄56が、選択画面42に表示されている。入力欄56は、ユーザが各出力処理の優先順位を設定する欄である。入力欄56は、各出力処理に対応する入力ボックスを含む。ユーザは、入力ボックスに優先順位を入力する。
【0133】
例えば、Copyの優先順位が1位に設定され、ScanToUSBの優先順位が2位に設定され、ScanToServerの優先順位が3位に設定されている。プロセッサ20は、ここで設定された優先順位に従って、カラーモードと解像度が同じ複数の出力処理のそれぞれの出力の順番を決定する。
【0134】
図10に示されている選択画面42は、ユーザが出力処理と優先順位とを設定するためのユーザインターフェースの一例である。なお、優先順位は、選択画面42以外の画面上で設定されてもよい。
【0135】
図11を参照して、実施例2に係る処理について説明する。
図11は、実施例2に係る処理の流れを示すフローチャートを示す。
【0136】
まず、プロセッサ20は、各出力処理によって出力される画像データのカラーモードに基づいて、各出力処理の順番を決定する(S21)。
【0137】
カラーモードについて同一条件の複数の出力処理がない場合(S22,同一条件がない)、出力の順番を決定する処理は、ステップS24(S24,同一条件がない)を経由して終了する。
【0138】
図8に示す例では、全ての出力処理のカラーモードが同じである。そのため、プロセッサ20は、ステップS21では出力の順番を決定しない。処理はステップS23に移行する(S22,ある)。
【0139】
次に、プロセッサ20は、各出力処理によって出力される画像データの解像度に基づいて、各出力処理の順番を決定する(S23)。
【0140】
図8に示す例では、Copyの解像度は600dpiであり、ScanToUSBとScanToServerの解像度は、300dpiである。従って、プロセッサ20は、Copyを1番目の出力処理として決定する。ScanToUSBとScanToServerの解像度は同じであるため、この段階では、ScanToUSBとScanToServerの順位は決定されない。
【0141】
解像度について同一条件の複数の出力処理がない場合(S24,同一条件がない)、出力の順番を決定する処理は、終了する。
【0142】
解像度について同一条件の複数の出力処理がある場合(S24,ある)、プロセッサ20は、優先テーブルから、順番が決まっていない各出力処理の順番を決定する(S25)。
【0143】
図8に示す例では、ScanToUSBとScanToServerの解像度は同じであるため、プロセッサ20は、優先テーブルに従って、ScanToUSBとScanToServerの順位を決定する。
【0144】
図9に示す例では、ScanToUSBの優先順位は2位であり、ScanToServerの優先順位は3位である。従って、プロセッサ20は、ScanToUSBを2番目の出力処理として決定し、ScanToServerを3番目の出力処理として決定する。
【0145】
以上により、プロセッサ20は、Copyを1番目の出力処理、ScanToUSBを2番目の出力処理、ScanToServerを3番目の出力処理として決定する。プロセッサ20は、この順番で、各出力処理を実行する。
【0146】
各出力処理の順番が決定されると、実施例1と同様に、原稿が読み取られ、上記の順番に従って、各出力処理が実行される。つまり、第1画像データを対象としてCopyが実行され、Copyが終了すると、第1画像データに基づいて第2画像データが生成される。第2画像データを対象としてScanToUSBが実行される。
【0147】
実施例2では、2番目の出力処理であるScanToUSBによって出力される画像データ(以下、「第2画像データ」と称する)の形式と、3番目の出力処理であるScanToServerによって出力される画像データ(以下、「第3画像データ」と称する)の形式とが、同じである。つまり、第2画像データのカラーモードと第3画像データのカラーモードとが同じであり、かつ、第2画像データの解像度と第3画像データの解像度とが同じである。
【0148】
この場合、プロセッサ20は、第2画像データから別の第3画像データを生成しない。プロセッサ20は、メモリ18に記憶されている第2画像データ(つまり、ScanToUSBの対象となる画像データ)を、第3画像データとしてScanToServerを実行する。つまり、プロセッサ20は、第2画像データを第3画像データとして流用する。ScanToUSBが終了すると、プロセッサ20は、第2画像データをメモリ18から削除せずに、ScanToServerを実行することで、第2画像データを第3画像データとして、送信先のサーバに送信する。こうすることで、第3画像データを別途生成するための変換が不要となる。ScanToServerが終了すると、プロセッサ20は、第2画像データをメモリ18から削除する。
【0149】
上述した優先順位は、出力処理によって画像データを出力する度に設定されてもよい。例えば、Multi Job Flow機能が実行される度に、各出力処理の優先順位が、
図10に示されている選択画面42上でユーザによって設定される。Multi Job Flow機能が実行される度に、同じ優先順位が設定されてもよいし、異なる優先順位が設定されてもよい。
【0150】
(実施例3)
以下、実施例3について説明する。実施例3では、実施例1,2と同様に、プロセッサ20は、まず、カラーモードに基づいて出力処理の順番を決定し、次に、解像度に基づいて出力処理の順番を決定する。このような決定方法では、順番が先の出力処理によって出力される画像データに基づいて、次の順番の出力処理によって出力される画像データを生成し得ないことがあり得る。例えば、2番目の出力処理によって出力される画像データに基づいて、3番目の出力処理によって出力される画像データを生成し得ないことがあり得る。実施例3では、これに対処するための処理が実行される。
【0151】
実施例3では、少なくとも、1番目の出力処理、2番目の出力処理及び3番目の出力処理が実行される。この場合において、3番目の出力処理によって出力される画像データ(以下、実施例3において「第3画像データ」と称する)が、2番目の出力処理によって出力される画像データ(以下、実施例3において「第2画像データ」と称する)によって生成され得ない場合、プロセッサ20は、1番目の出力処理によって出力される画像データ(以下、実施例3において「第1画像データ」と称する)に基づいて、第3画像データを生成する。つまり、プロセッサ20は、第1画像データの形式を変換することで第3画像データを生成する。なお、実施例1,2と同様に、プロセッサ20は、第1画像データに基づいて第2画像データを生成する。
【0152】
例えば、第2画像データがカラーの画像データであり、第3画像データがカラーの画像データではなく、第2画像データの解像度が第3画像データの解像度よりも低い場合がある。この場合、プロセッサ20は、第1画像データに基づいて第2画像データと第3画像データとを生成する。
【0153】
カラーモードに基づいて出力処理の順番を決定する場合、カラーの画像データを出力する出力処理の順番は、グレースケールの画像データを出力する出力処理の順番よりも先である。従って、解像度が低くカラーの画像データを出力する出力処理が、2番目の出力処理に設定され、解像度が高くグレースケールの画像データを出力する処理が、3番目の出力処理に設定されることがあり得る。この場合において、1番目の出力処理によって出力される第1画像データが、解像度が高くカラーの画像データを出力する出力処理である場合、プロセッサ20は、第1画像データに基づいて、第2画像データと第3画像データとを生成する。
【0154】
以下、具体例を挙げて実施例3について説明する。
図12は、実施例3に係る出力処理の設定を示す。
図12に示されている「サービス」は、出力処理のことである。
【0155】
実施例3では、実施例1,2と同様に、ScanToServer、ScanToUSB及びCopyが、実行される出力処理として選択されている。
【0156】
ScanToServerのカラーモードは、グレースケールである。ScanToServerの解像度は、300dpiである。つまり、ScanToServerによってサーバに送信される画像データは、解像度が300dpiのグレースケールの画像データである。
【0157】
ScanToUSBのカラーモードは、カラーである。ScanToUSBの解像度は、200dpiである。つまり、ScanToUSBによってUSBメモリに記憶される画像データは、解像度が200dpiのカラーの画像データである。
【0158】
Copyのカラーモードは、カラーである。Copyの解像度は、600dpiである。つまり、Copyの対象となる画像データは、解像度が600dpiのカラーの画像データである。
【0159】
実施例1,2と同様に、プロセッサ20は、まず、カラーモードに基づいて出力の順番を決定する。
【0160】
ScanToServerのカラーモードはグレースケールであるため、プロセッサ20は、ScanToServerを3番目の出力処理として決定する。
【0161】
ScanToUSBとCopyのそれぞれのカラーモードは、カラーであり、同じである。そのため、カラーモードだけでは、ScanToUSBとCopyの順番は決定されない。
【0162】
次に、プロセッサ20は、解像度に基づいて、ScanToUSBとCopyのそれぞれの順番を決定する。Copyの解像度は、ScanToUSBの解像度よりも高い。そのため、プロセッサ20は、Copyを1番目の出力処理として決定し、ScanToUSBを2番目の出力処理として決定する。
【0163】
以上により、プロセッサ20は、Copyを1番目の出力処理、ScanToUSBを2番目の出力処理、ScanToServerを3番目の出力処理として決定する。
【0164】
2番目の出力処理であるScanToUSBの解像度は200dpiであり、3番目の出力処理であるScanToServerの解像度は300dpiである。ScanToServerの解像度は、ScanToUSBの解像度よりも高い。解像度の低い画像データに基づいて解像度の高い画像データを生成し得ない。そのため、2番目の出力処理によって出力される第2画像データに基づいて、3番目の出力処理によって出力される第3画像データを生成し得ない。
【0165】
これに対処するために、実施例3では、プロセッサ20は、2番目の出力処理であるScanToUSBに関する処理が実行されるときに、3番目の出力処理によって出力される第3画像データを生成する。つまり、プロセッサ20は、1番目の出力処理によって出力される第1画像データから第3画像データを生成する。プロセッサ20は、出力処理が実行される前に、第1画像データから第3画像データを生成する必要があることを示す制御情報を、メモリ18に記憶させておく。
【0166】
各出力処理の順番が決定されると、実施例1,2と同様に、原稿が読み取られ、上記の順番に従って、各出力処理が実行される。つまり、解像度が600dpiのカラーの第1画像データを対象として、Copyが実行される。
【0167】
Copyが終了すると、プロセッサ20は、第1画像データに基づいて第2画像データを生成し、第2画像データをメモリ18に記憶させる。プロセッサ20は、メモリ18に記憶されている制御情報を参照することで、第1画像データから第3画像データを生成する必要があるか否かを判断する。第1画像データから第3画像データを生成する必要がある場合、プロセッサ20は、第1画像データに基づいて第3画像データを生成し、第3画像データをメモリ18に記憶させる。第2画像データと第3画像データがメモリ18に記憶されると、プロセッサ20は、メモリ18から第1画像データを削除する。
【0168】
具体例を挙げて説明すると、プロセッサ20は、解像度が600dpiのカラーの第1画像データの形式を変換することで、解像度が200dpiのカラーの第2画像データを生成し、第2画像データをメモリ18に記憶させる。プロセッサ20は、2番目の出力処理であるScanToUSBを実行することで、第2画像データをUSBメモリに記憶させる。第2画像データをUSBメモリに記憶させることが完了した場合、プロセッサ20は、メモリ18から第2画像データを削除する。
【0169】
また、プロセッサ20は、解像度が600dpiのカラーの第1画像データの形式を変換することで、解像度が300dpiのグレースケールの第3画像データを生成し、第3画像データをメモリ18に記憶させる。プロセッサ20は、3番目の出力処理であるScanToServerを実行することで、第3画像データを送信先のサーバに送信する。第3画像データをサーバに送信させることが完了した場合、プロセッサ20は、メモリ18から第3画像データを削除する。
【0170】
上述した実施例1~3では、カラーの画像データが出力される場合、プロセッサ20は、複数の出力処理のうち解像度が最も高いカラーの画像データを出力する出力処理を、1番目の出力処理として決定する。例えば、Copyが1番目の出力処理として決定される。この場合、プロセッサ20は、画像形成部12によって原稿の読み取りを行い、1番目の出力処理によって出力される画像データを生成する。
【0171】
カラーの画像データが出力されない場合、プロセッサ20は、複数の出力処理のうち解像度が最も高い画像データを出力する出力処理を、1番目の出力処理として決定する。
【0172】
原稿を読み取ることで、1番目の出力処理によって出力される画像データを生成することで、出力されない画像データを生成する必要がない。
【0173】
比較例として、原稿を読み取ることで、画像形成装置10が有する最大の性能に従って元の画像データを生成し、当該元の画像データに基づいて、各出力処理によって出力される画像データを生成することが考えられる。例えば、実施例1~3では、出力される画像データの最大の解像度は600dpiである。仮に、画像形成装置10が、解像度が2400dpiの画像データを生成する性能を有している場合、解像度が2400dpiの画像データを出力する出力処理が行われなくても、比較例では、解像度が2400dpiの画像データが、元の画像データとして生成される。解像度が2400dpiの元の画像データに基づいて、出力処理の対象となる画像データが生成される。比較例では、出力処理の対象となっていない元の画像データが生成されるので、不要な画像データが生成されることになる。また、元の画像データをメモリに記憶させるための容量を確保する必要がある。これに対して、実施例1~3では、不要な元の画像データが生成されないので、その生成のための負荷が画像形成装置10に発生しない。また、不要な元の画像データを記憶するためのメモリ容量を確保する必要がない。
【0174】
上述した実施例1~3では、複数の異なる出力先に画像データが出力されている。例えば、Copyでは、画像データに基づく画像が用紙等の記録媒体に形成され、ScanToUSBでは、画像データがUSBメモリに記憶され、ScanToServerでは、画像データがサーバに送信される。
【0175】
これとは別の例として、互いに異なる形式を有する複数の画像データを、同じ出力先に出力してもよい。例えば、互いに異なる形式を有する複数の画像データを、同じサーバに送信することも、複数の異なる出力処理の概念の範疇に含まれる。
【0176】
具体例を挙げて説明すると、解像度の高い画像データを原本の画像データとして、ScanToServerによってサーバ34に送信し、解像度の低い画像データをイメージログ用のデータとして、ScanToServerによってサーバ34に送信することが考えられる。この場合、解像度の異なる複数の画像データが、同じサーバ34に送信されることになる。
【0177】
例えば、解像度の高い画像データをサーバ34に送信するScanToServerが、順番が先の出力処理として設定され、解像度の低い画像データをサーバ34に送信するScanToServerが、順番が後の出力処理として設定される。プロセッサ20は、解像度の高い画像データをメモリ18に記憶させて、解像度の高い画像データをサーバ34に送信する。その送信が完了すると、プロセッサ20は、解像度の高い画像データを変換することで、解像度の低い画像データを生成する。プロセッサ20は、解像度の低い画像データをメモリ18に記憶させ、解像度の高い画像データをメモリ18から削除する。次に、プロセッサ20は、解像度の低い画像データをサーバ34に送信する。その送信が完了すると、プロセッサ20は、解像度の低い画像データをメモリ18から削除する。
【0178】
なお、原稿を読み取っている最中に、画像データを記憶するメモリの容量が足りなくなると予測される場合、プロセッサ20は、その読み取りを停止し、各出力処理を実行することで、既に生成された画像データを出力してもよい。プロセッサ20は、出力された画像データをメモリから削除することで、これから生成される画像データを記憶するためのメモリ容量を確保する。その容量が確保されたら、プロセッサ20は、原稿の読み込みを再開する。
【0179】
なお、上述した実施形態では、スキャナによって原稿を読み取ることで、出力処理の対象となる画像データが生成されるが、カメラによって原稿等の対象物を撮影することで、出力処理の対象となる画像データが生成されてもよい。この場合も上述した実施形態と同様に、プロセッサ20は、出力処理毎に、出力処理に対応する形式を有する画像データを生成し、画像データの形式に基づいて決定された順番に従って、各出力処理を実行する。
【0180】
画像形成装置10の一部の機能が、画像形成装置10以外の他の装置によって実現されてもよい。画像形成装置10の一部の機能が、画像形成装置10以外の他の装置によって実現される場合、画像形成装置10と当該他の装置とによって情報処理システムが構成されてもよい。つまり、画像形成装置10の機能は、単体の装置によって構成される情報処理システムによって実現されてもよいし、複数の装置を含む情報処理システムによって実現されてもよい。
【0181】
画像形成装置10の各機能は、一例としてハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。例えば、画像形成装置10のプロセッサ20が、メモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで、画像形成装置10の各機能が実現される。プログラムは、CD又はDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、メモリに記憶される。同様に、画像形成装置10のプロセッサ20が、メモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで、画像形成装置10の各機能が実現される。プログラムは、CD又はDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、メモリに記憶される。
【0182】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0183】
(付記)
(((1)))
プロセッサと、
メモリと、
を有し、
前記プロセッサは、
原稿を読み取ることで生成された画像データを複数の異なる出力処理のそれぞれによって出力する場合に、各出力処理によって出力される画像データの形式に基づいて、各出力処理による画像データの出力の順番を決定し、
前記複数の異なる出力処理のうち出力の順番が先の第1出力処理によって出力される第1画像データを前記メモリに記憶させ、
前記第1画像データを前記第1出力処理によって出力し、
前記第1画像データに基づいて、出力の順番が後の第2出力処理によって出力される第2画像データを生成し、
前記第2画像データを前記メモリに記憶させ、前記第1画像データを前記メモリから削除し、
前記第2画像データを前記第2出力処理によって出力する、
情報処理システム。
(((2)))
前記プロセッサは、
出力の順番を、出力される画像データがカラーの画像データであるか否かによって決定し、
前記第1画像データが、カラーの画像データであり、前記第2画像データが、カラーの画像データでない場合、前記第1画像データに基づいて前記第2画像データを生成し、前記第1出力処理による出力の後に、前記第2出力処理による出力を行う、
(((1)))に記載の情報処理システム。
(((3)))
前記プロセッサは、
前記第1画像データと前記第2画像データが、カラーの画像データである場合、前記第1画像データ及び前記第2画像データのそれぞれの解像度に基づいて、前記第1出力処理による出力と前記第2出力処理による出力の順番を決定し、
前記第1画像データの解像度が前記第2画像データの解像度よりも高い場合、前記第1画像データに基づいて前記第2画像データを生成し、前記第1出力処理による出力の後に、前記第2出力処理による出力を行う、
(((2)))に記載の情報処理システム。
(((4)))
前記プロセッサは、
前記第1画像データの解像度と前記第2画像データの解像度とが同じである場合、予め設定された優先順位に従って、前記第1出力処理による出力を、前記第2出力処理の出力よりも先の出力であると決定する、
(((3)))に記載の情報処理システム。
(((5)))
前記優先順位は、前記複数の異なる出力処理によって画像データを出力する度に設定される、
(((4)))に記載の情報処理システム。
(((6)))
前記プロセッサは、
ユーザが前記複数の異なる出力処理と前記優先順位とを設定するためのユーザインターフェースをディスプレイに表示させる、
(((4)))に記載の情報処理システム。
(((7)))
前記プロセッサは、
前記第2出力処理による出力の後に第3出力処理によって第3画像データが出力される場合において、前記第3画像データが前記第2画像データによって生成され得ない場合、前記第1画像データに基づいて前記第2画像データと前記第3画像データとを生成する、
(((1)))から(((6)))のいずれか1つに記載の情報処理システム。
(((8)))
前記プロセッサは、
前記第2画像データがカラーの画像データであり、前記第3画像データがカラーの画像データではなく、前記第2画像データの解像度が前記第3画像データの解像度よりも低い場合、前記第1画像データに基づいて前記第2画像データと前記第3画像データとを生成する、
(((7)))に記載の情報処理システム。
(((9)))
前記プロセッサは、
カラーの画像データが出力される場合、前記複数の異なる出力処理のうち解像度が最も高いカラーの画像データを出力する出力処理を、前記複数の異なる出力処理のうち1番目に画像データを出力する1番目の出力処理に設定し、
カラーの画像データが出力されない場合、前記複数の異なる出力処理のうち解像度が最も高い画像データを出力する出力処理を、前記1番目の出力処理に設定し、
前記原稿を読み取ることで、前記1番目の出力処理によって出力される画像データを生成する、
(((1)))から(((8)))のいずれか1つに記載の情報処理システム。
(((10)))
メモリを有するコンピュータが、
原稿を読み取ることで生成された画像データを複数の異なる出力処理のそれぞれによって出力する場合に、各出力処理によって出力される画像データの形式に基づいて、各出力処理による画像データの出力の順番を決定し、
前記複数の異なる出力処理のうち出力の順番が先の第1出力処理によって出力される第1画像データを前記メモリに記憶させ、
前記第1画像データを前記第1出力処理によって出力し、
前記第1画像データに基づいて、出力の順番が後の第2出力処理によって出力される第2画像データを生成し、
前記第2画像データを前記メモリに記憶させ、前記第1画像データを前記メモリから削除し、
前記第2画像データを前記第2出力処理によって出力する、
よう動作させるプログラム。
(((1)))に係る情報処理システム及び(((10)))に係るプログラムによれば、出力処理に応じて互いに異なる形式を有する複数の画像データを、複数の異なる出力処理によって出力する場合において、画像データを出力するシステムが、当該複数の画像データの全てを記憶するメモリを有していない場合であっても、複数の異なる出力処理による画像データの出力を実現することができる。
(((2)))に係る情報処理システムによれば、カラーの画像データを含む複数の画像データが出力の対象となっている場合に、当該複数の画像データのそれぞれを生成して出力することができる。
(((3)))に係る情報処理システムによれば、互いに解像度の異なる複数の画像データが出力の対象となっている場合に、当該複数の画像データを生成して出力することができる。
(((4)))に係る情報処理システムによれば、複数の出力処理が、解像度が同じカラーの画像データを出力する場合に、出力の順番を決めて各画像データを出力することができる。
(((5)))に係る情報処理システムによれば、画像データを出力する度に、出力の順番を決めて各画像データを出力することができる。
(((6)))に係る情報処理システムによれば、ユーザが出力処理と出力の順番とを決定することができる。
(((7))),(((8)))に係る情報処理システムによれば、第2画像データに基づいて第3画像データを生成することができない場合であっても、第3画像データを生成して出力することができる。
(((9)))に係る情報処理システムによれば、生成する必要のない画像データを生成せずに済む。
【符号の説明】
【0184】
10 画像形成装置、12 画像形成部、18 メモリ、20 プロセッサ。