(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003953
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】核酸生成及び送達のための方法及び製品
(51)【国際特許分類】
A61K 48/00 20060101AFI20250106BHJP
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A61K 38/39 20060101ALI20250106BHJP
A61K 38/44 20060101ALI20250106BHJP
A61K 38/18 20060101ALI20250106BHJP
A61K 38/34 20060101ALI20250106BHJP
A61K 38/46 20060101ALI20250106BHJP
A61K 38/48 20060101ALI20250106BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20250106BHJP
A61K 38/22 20060101ALI20250106BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20250106BHJP
A61K 31/7115 20060101ALI20250106BHJP
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A61K 47/28 20060101ALI20250106BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20250106BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20250106BHJP
C07H 21/02 20060101ALI20250106BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20250106BHJP
C12N 15/54 20060101ALN20250106BHJP
C12N 15/53 20060101ALN20250106BHJP
C12N 15/87 20060101ALN20250106BHJP
C12N 15/55 20060101ALN20250106BHJP
C12N 5/077 20100101ALN20250106BHJP
C12N 15/16 20060101ALN20250106BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20250106BHJP
【FI】
A61K48/00 ZNA
A61K38/17
A61K38/39
A61K38/44
A61K38/18
A61K38/34
A61K38/46
A61K38/48
A61K45/00
A61K38/22
A61K31/713
A61K31/7115
A61K31/7105
A61K31/711
A61P17/00
A61P17/02
A61P17/04
A61P17/06
A61P17/08
A61P17/10
A61P17/12
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A61P17/16
A61P19/02
A61P31/10
A61P31/22
A61P35/00
A61P37/00
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A61P31/04
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A61P43/00 105
A61K31/573
A61K8/64
A61K8/60
A61Q19/00
A61Q19/04
A61Q19/06
A61Q19/08
A61K9/70 401
A61K47/28
A61K9/00
A61K47/42
C07H21/02 CSP
A61K48/00
C12N15/12
C12N15/54
C12N15/53
C12N15/87 Z
C12N15/55
C12N5/077
C12N15/16
C12N15/113 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024151104
(22)【出願日】2024-09-03
(62)【分割の表示】P 2023026873の分割
【原出願日】2015-01-30
(31)【優先権主張番号】62/038,608
(32)【優先日】2014-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/934,397
(32)【優先日】2014-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/069,667
(32)【優先日】2014-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】514141673
【氏名又は名称】ファクター バイオサイエンス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エンジェル,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ローデ,クリストファー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】細胞、組織、器官、及び患者に核酸を生成及び送達するための改善された方法及び組成物の提供。
【解決手段】本発明は部分的に、タンパク質をコードする核酸を含む核酸、核酸を含む治療薬及び化粧品、細胞、組織、器官、及び患者に核酸を送達するための方法、核酸を用いてタンパク質を発現させるように細胞を誘導するための方法、細胞をトランスフェクション、遺伝子編集、及びリプログラミングするための、方法、キット、及び器具、ならびにこれらの方法、キット、及び器具を用いて生成された、細胞、生体、治療薬及び化粧品に関する。細胞のDNA配列を変更するための方法及び製品について記載され、インビボで存在する細胞を含む合成RNA分子を用いてタンパク質を発現させるように細胞を誘導するための方法及び製品についても同様に記載される。遺伝子編集タンパク質をコードする核酸を含む治療薬についても記載される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的タンパク質を発現させるようにインビボの細胞を誘導するための方法であって、核
酸とインビボの細胞を接触させることを含み、前記核酸が、5-ヒドロキシシチジン、5
-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒ
ドロキシウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-
ホルミルウリジンの群の成員を含む、前記方法。
【請求項2】
患者を治療するための方法であって、核酸を前記患者に投与することを含み、前記核酸
が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン
、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5
-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジンの群の成員を含む、前記方法。
【請求項3】
前記患者において、治療的有効量の前記目的タンパク質の発現をさらにもたらす、請求
項1に記載の方法。
【請求項4】
免疫抑制剤、ステロイド、抗生物質、及び抗真菌剤の群の成員を前記患者に投与するこ
とをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
目的タンパク質をコードし、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン
、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒド
ロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジンの群の成員
を含む、合成RNA分子。
【請求項6】
核酸及び送達ビヒクルを含み、前記核酸が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシ
メチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリ
ジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリ
ジンの群の成員を含む、治療用組成物。
【請求項7】
核酸及び送達ビヒクルを含み、前記核酸が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシ
メチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリ
ジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリ
ジンの群の成員を含む、化粧品組成物。
【請求項8】
前記目的タンパク質が、細胞外マトリックスタンパク質、エラスチン、コラーゲン、ラ
ミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、リシルオキシダーゼ、エラスチン結合タン
パク質、成長因子、線維芽細胞増殖因子、トランスホーミング増殖因子β、顆粒球コロニ
ー刺激因子、マトリックスメタロプロテアーゼ、アクチン、フィブリリン、ミクロフィブ
リル結合糖タンパク質、リシルオキシダーゼ様タンパク質、循環タンパク質、エリスロポ
エチン、ダルベポエチン、血小板由来成長因子、リパーゼ、脱共役タンパク質、サーモゲ
ニン、色素産生に関与するタンパク質、チロシナーゼ、メラノコルチン1受容体、及びヒ
アルロン酸合成酵素の群の成員である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
患者を治療するための方法であって、1つ以上のタンパク質をコードする1つ以上の核
酸を一連の用量で患者に送達して、前記患者において前記タンパク質の蓄積がもたらされ
ることを含み、第1の用量が、第1の時点で与えられ、第2の用量が第2の時点で与えら
れ、前記第2の時点の前記患者における前記1つ以上のタンパク質のうちの少なくとも1
つの量が、前記第1の時点の前記タンパク質の量より多い、前記方法。
【請求項10】
栄養障害型性表皮水疱症患者を治療するための方法であって、VII型コラーゲンをコ
ードする合成RNAをインビボまたはエクスビボで栄養障害型性表皮水疱症患者に送達し
て、前記栄養障害型性表皮水疱症患者の症状のうちの1つ以上の改善がもたらされること
を含む、前記方法。
【請求項11】
栄養障害型性表皮水疱症患者を治療するための方法であって、COL7遺伝子を標的と
する遺伝子編集タンパク質をコードする合成RNAをインビボまたはエクスビボで栄養障
害型性表皮水疱症患者に送達して、前記栄養障害型性表皮水疱症患者の症状うちの1つ以
上の改善がもたらされることを含む、前記方法。
【請求項12】
前記方法が、前記患者の皮膚の光損傷、皮膚老化を含む老化、瘢痕、皮膚弛緩症、貧血
、エーラス・ダンロス症候群、栄養障害型性表皮水疱症を含む表皮水疱症、変形性関節症
、乾癬、毛孔性角化症、または弾力線維性偽性黄色腫のうちの1つ以上の徴候または症状
を改善し、前記皮膚の日焼けを誘発し、皮膚の色調を均等化し、瘢痕組織の色素沈着を増
強し、白斑と関連する色素沈着の損失を減少させ、脂肪減少を促進し、HIVの野牛肩を
減少し、油性肌を減少し、ざ瘡を減少し、及び/または創傷治癒を促進する、請求項11
に記載の方法。
【請求項13】
医薬組成物であって、重大な細胞性免疫応答を誘導せず、実質的にタンパク質発現を減
少させない1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む有効量のRNA及び薬学的に許容される
担体を含む、前記医薬組成物。
【請求項14】
前記1つ以上の非標準ヌクレオチドが、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチ
ルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリジン
、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジン
を含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
患者の細胞集団においてタンパク質を発現させるための方法であって、前記細胞集団に
RNAを導入することを含み、前記RNAが、重大な細胞性免疫応答を誘導せず、実質的
にタンパク質発現を減少させない1つ以上の非標準ヌクレオチドを含み、前記非標準ヌク
レオチドが、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシ
シチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒドロキシメチルウリ
ジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジンのうちの1つ以上である、前
記方法。
【請求項16】
前記非標準ヌクレオチドの少なくとも50%が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロ
キシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシ
ウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミル
ウリジンから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記非標準ヌクレオチドの少なくとも75%が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロ
キシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシ
ウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミル
ウリジンから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記非標準ヌクレオチドの少なくとも90%が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロ
キシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシ
ウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミル
ウリジンから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記非標準ヌクレオチドの少なくとも95%が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロ
キシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシ
ウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミル
ウリジンから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記非標準ヌクレオチドの100%が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチ
ルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリジン
、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジン
から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記RNAが1つ以上の(one of more)追加の非標準ヌクレオチドを含む
、請求項15~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
シチジン残基の少なくとも50%が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチル
シチジン、5-カルボキシシチジン、及び5-ホルミルシチジンから選択される非標準ヌ
クレオチドである、請求項15~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
シチジン残基の少なくとも75%または少なくとも90%が、5-ヒドロキシシチジン
、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、及び5-ホルミルシチジン
から選択される非標準ヌクレオチドである、請求項15~22のいずれか1項に記載の方
法。
【請求項24】
ウリジン残基の少なくとも50%が、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒドロキシメチル
ウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジンから選択される非標準ヌ
クレオチドである、請求項15~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
ウリジン残基の少なくとも75%または少なくとも90%が、5-ヒドロキシウリジン
、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジン
から選択される非標準ヌクレオチドである、請求項15~24のいずれか1項に記載の方
法。
【請求項26】
前記RNAが、5′キャップ構造を含む、請求項15~25のいずれか1項に記載の方
法。
【請求項27】
前記RNA5′-UTRが、コザックコンセンサス配列を含む、請求項15~26のい
ずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記RNA5′-UTRが、インビボでのRNAの安定性を増大させる配列を含み、前
記5′-UTRが、αグロビンまたはβグロビン5′-UTRを含み得る、請求項27に
記載の方法。
【請求項29】
前記RNA3′-UTRが、インビボでのRNAの安定性を増大させる配列を含み、前
記3′-UTRが、αグロビンまたはβグロビン3′-UTRを含み得る、請求項15~
28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記RNAが、3′ポリ(A)テールを含む、請求項15~29のいずれか1項に記載
の方法。
【請求項31】
前記3′ポリ(A)テールが、長さが約20ヌクレオチドから約250ヌクレオチドで
ある、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記RNAが、エラスチンタンパク質をコードする、請求項15~31のいずれか1項
に記載の方法。
【請求項33】
前記細胞集団が、皮膚細胞を含む、請求項15~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、前記患者の皮膚の光損傷を改善する、請求項15~33のいずれか1項に
記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、皮膚老化の前記症状を改善する、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、瘢痕を減少させる、請求項33または34に記載の方法。
【請求項37】
前記方法が、創傷治癒を促進する、請求項33または34に記載の方法。
【請求項38】
前記方法が、皮膚弛緩症を改善する、請求項33または34に記載の方法。
【請求項39】
前記方法が、弾力線維性偽性黄色腫を改善する、請求項33または34に記載の方法。
【請求項40】
前記方法が、前記角質層の除去または破壊をさらに含む、請求項15~39のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項41】
前記RNAが、過渡電場の適用により細胞に導入される、請求項15~40のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項42】
RNAが、2回、少なくとも3回、少なくとも5回、または少なくとも10回、前記患
者の細胞に導入される、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記RNAが、任意にコラーゲン1、3、または7のうちの1つ以上であるコラーゲン
をコードする、請求項1~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記細胞集団が、皮膚細胞を含む、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記方法が、前記患者の皮膚の光損傷を改善する、請求項43または44に記載の方法
。
【請求項46】
前記方法が、皮膚老化の前記症状を改善する、請求項43または44に記載の方法。
【請求項47】
前記方法が、瘢痕を減少させる、請求項43または44に記載の方法。
【請求項48】
前記方法が、創傷治癒を促進する、請求項43または44に記載の方法。
【請求項49】
前記方法が、エーラス-ダンロス症候群を改善する、請求項43または44に記載の方
法。
【請求項50】
前記方法が、任意に栄養障害型性表皮水疱症である表皮水疱症を改善する、請求項43
または44に記載の方法。
【請求項51】
前記方法が、前記角質層の除去または破壊をさらに含む、請求項43~50のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項52】
前記RNAが、過渡電場の適用により細胞に導入される、請求項43~50のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項53】
RNAが、2回、少なくとも3回、少なくとも5回、または少なくとも10回、前記患
者の細胞に導入される、請求項43~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記RNAが、ヒアルロン酸合成酵素をコードする、請求項15~53のいずれか1項
に記載の方法。
【請求項55】
前記細胞集団が、皮膚細胞を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記方法が、前記患者の皮膚の光損傷を改善する、請求項54または55に記載の方法
。
【請求項57】
前記方法が、老化皮膚の症状を改善する、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
前記RNAが、関節に送達される、請求項55または56に記載の方法。
【請求項59】
前記RNAが、変形性関節症を改善する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記方法が、前記角質層の除去または破壊をさらに含む、請求項54~59のいずれか1
項に記載の方法。
【請求項61】
前記RNAが、過渡電場の適用により細胞に導入される、請求項54~60のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項62】
RNAが、2回、少なくとも3回、少なくとも5回、または少なくとも10回、前記患
者の細胞に導入される、請求項54~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記RNAが、チロシナーゼをコードする、請求項15~62のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項64】
前記細胞集団が、皮膚細胞を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記方法が、前記皮膚の日焼けを誘導し、または皮膚の色調を均等化する、請求項63
に記載の方法。
【請求項66】
前記方法が、瘢痕組織の色素沈着を増強させる、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記方法が、白斑と関連する色素沈着の損失を減少させる、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
前記方法が、前記角質層の除去または破壊をさらに含む、請求項63~67のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項69】
前記RNAが、過渡電場の適用により細胞に導入される、請求項63~68のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項70】
RNAが、2回、少なくとも3回、少なくとも5回、または少なくとも10回、前記患
者の細胞に導入される、請求項63~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記RNAが、メラノサイト刺激ホルモン(MSH)をコードする、請求項15~70
のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記細胞集団が、皮膚細胞を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記方法が、前記皮膚の日焼けを誘導し、または皮膚の色調を均等化する、請求項72
に記載の方法。
【請求項74】
前記方法が、瘢痕組織の色素沈着を増強させる、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記方法が、白斑と関連する色素沈着の損失を減少させる、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
前記方法が、前記角質層の除去または破壊をさらに含む、請求項71~75のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項77】
前記RNAが、過渡電場の適用により細胞に導入される、請求項71~76のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項78】
RNAが、2回、少なくとも3回、少なくとも5回、または少なくとも10回、前記患
者の細胞に導入される、請求項71~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記RNAが、リパーゼまたは脱共役(UCP)ファミリータンパク質をコードする、
請求項15~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記細胞集団が、脂肪細胞を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記方法が、脂肪減少を促進する、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記方法が、HIVの野牛肩を減少する、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
RNAが、2回、少なくとも3回、少なくとも5回、または少なくとも10回、前記患
者の細胞に導入される、請求項79~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記RNAが、任意にレチノール脱水素酵素10であるレチノール脱水素酵素をコード
する、請求項15~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記細胞集団が、皮膚細胞を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記方法が、油性肌またはざ瘡を減少させる、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記方法が、乾癬を改善する、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記方法が、毛孔性角化症を改善する、請求項85に記載の方法。
【請求項89】
前記方法が、前記角質層の除去または破壊をさらに含む、請求項84~88のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項90】
前記RNAが、過渡電場の適用により細胞に導入される、請求項84~89のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項91】
RNAが、2回、少なくとも3回、少なくとも5回、または少なくとも10回、前記患
者の細胞に導入される、請求項84~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
医薬組成物であって、重大な細胞性免疫応答を誘導せず、実質的にタンパク質発現を減
少させない、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む有効量のRNA及び薬学的に許容され
る担体を含み、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキ
シシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒドロキシメチルウ
リジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジンのうちの1つ以上から選択
される、前記医薬組成物。
【請求項93】
前記非標準ヌクレオチドの少なくとも50%が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロ
キシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシ
ウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミル
ウリジンから選択される、請求項92に記載の医薬組成物。
【請求項94】
前記非標準ヌクレオチドの少なくとも75%が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロ
キシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシ
ウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミル
ウリジンから選択される、請求項93に記載の医薬組成物。
【請求項95】
前記非標準ヌクレオチドの少なくとも90%が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロ
キシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシ
ウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミル
ウリジンから選択される、請求項94に記載の医薬組成物。
【請求項96】
前記非標準ヌクレオチドの少なくとも95%が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロ
キシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシ
ウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミル
ウリジンから選択される、請求項95に記載の医薬組成物。
【請求項97】
前記非標準ヌクレオチドの100%が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチ
ルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリジン
、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジン
から選択される、請求項96に記載の医薬組成物。
【請求項98】
前記RNAが1つ以上の追加の非標準ヌクレオチドを含む、請求項92~97のいずれ
か1項に記載の医薬組成物。
【請求項99】
シチジン残基の少なくとも50%が、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチル
シチジン、5-カルボキシシチジン、及び5-ホルミルシチジンから選択される非標準ヌ
クレオチドである、請求項92~98のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項100】
シチジン残基の少なくとも75%または少なくとも90%が、5-ヒドロキシシチジン
、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、及び5-ホルミルシチジン
から選択される非標準ヌクレオチドである、請求項99に記載の医薬組成物。
【請求項101】
前記RNAが、5′キャップ構造を含む、請求項92~100のいずれか1項に記載の
医薬組成物。
【請求項102】
前記RNA5′-UTRが、コザックコンセンサス配列を含む、請求項92~101の
いずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項103】
前記RNA5′-UTRが、インビボでのRNAの安定性を増大させる配列を含み、前
記5′-UTRが、αグロビンまたはβグロビン5′-UTRを含み得る、請求項92~
102のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項104】
前記RNA3′-UTRが、インビボでのRNAの安定性を増大させる配列を含み、前
記3′-UTRが、αグロビンまたはβグロビン3′-UTRを含み得る、請求項92~
103のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項105】
前記RNAが、3′ポリ(A)テールを含む、請求項92~104のいずれか1項に記
載の医薬組成物。
【請求項106】
前記3′ポリ(A)テールが、長さが約20ヌクレオチドから約250ヌクレオチドで
ある、請求項105に記載の医薬組成物。
【請求項107】
前記RNAが、エラスチンをコードする、請求項92~106のいずれか1項に記載の
医薬組成物。
【請求項108】
前記RNAが、任意にコラーゲン1、3、または7であるコラーゲンをコードする、請
求項92~107のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項109】
前記RNAが、ヒアルロン酸合成酵素をコードする、請求項92~108のいずれか1
項に記載の医薬組成物。
【請求項110】
前記RNAが、チロシナーゼをコードする、請求項92~109のいずれか1項に記載
の医薬組成物。
【請求項111】
前記RNAが、メラノサイト刺激ホルモン(MSH)をコードする、請求項92~11
0のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項112】
前記RNAが、リパーゼまたは脱共役(UCP)ファミリータンパク質をコードする、
請求項92~111のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項113】
前記RNAが、任意にレチノール脱水素酵素10であるレチノール脱水素酵素をコード
する、請求項92~112のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項114】
前記レチノール脱水素酵素が、レチノール脱水素酵素10である、請求項113に記載
の医薬組成物。
【請求項115】
前記医薬組成物が、皮膚科的または美容的治療に好適である、請求項92~114のい
ずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項116】
核酸送達パッチであって、
a.柔軟な膜、及び
b.複数の針
を備え、前記複数の針が、前記柔軟な膜に取り付けられる、前記核酸送達パッチ。
【請求項117】
核酸をさらに含む、請求項116に記載のパッチ。
【請求項118】
前記核酸が、溶液中に存在する、請求項117に記載のパッチ。
【請求項119】
前記複数の針が、管腔を有する1つ以上の針を備える、請求項116~118のいずれ
か1項に記載のパッチ。
【請求項120】
第2の柔軟な膜をさらに備える、請求項116~119のいずれか1項に記載のパッチ
。
【請求項121】
前記柔軟な膜及び前記第2の柔軟な膜が、空洞を形成するように配置される、請求項1
20に記載のパッチ。
【請求項122】
前記空洞が、核酸を含有する、請求項116~121のいずれか1項に記載のパッチ。
【請求項123】
核酸が通過することができる前記膜に1つ以上の穴をさらに備える、請求項116~1
22のいずれか1項に記載のパッチ。
【請求項124】
前記1つ以上の穴及び管腔を有する1つ以上の針は、前記1つ以上の穴のうちの少なく
とも1つを通した、及び管腔を有する前記1つ以上の針のうちの少なくとも1つを通した
、核酸を含有する溶液の通過を可能にするように配置される、請求項123に記載のパッ
チ。
【請求項125】
核酸送達パッチであって、複数の針を備え、少なくとも1つの針が管腔を備え、少なく
とも2つの針が高電圧回路の一部を形成する、前記核酸送達パッチ。
【請求項126】
前記高電圧回路が、10Vを超える電圧を発生する、請求項125に記載のパッチ。
【請求項127】
前記高電圧回路が、超える電圧を発生する、請求項125~126に記載のパッチ。
【請求項128】
電場が、2つの前記針の間に生成される、請求項125~127のいずれか1項に記載
のパッチ。
【請求項129】
前記電場の大きさが、少なくとも100V/cmである、請求項125~128のいず
れか1項に記載のパッチ。
【請求項130】
前記電場の大きさが、少なくとも200V/cmである、請求項125~129のいず
れか1項に記載のパッチ。
【請求項131】
前記表皮に核酸を送達するように構成される、請求項125~130のいずれか1項に
記載のパッチ。
【請求項132】
前記真皮に核酸を送達するように構成される、請求項125~131のいずれか1項に
記載のパッチ。
【請求項133】
皮下組織に核酸を送達するように構成される、請求項125~132のいずれか1項に
記載のパッチ。
【請求項134】
筋肉に核酸を送達するように構成される、請求項125~133のいずれか1項に記載
のパッチ。
【請求項135】
核酸送達パッチであって、
a.柔軟な膜、及び
b.複数の電極、
を備え、前記複数の電極が前記柔軟な膜に取り付けられる、前記核酸送達パッチ。
【請求項136】
核酸送達パッチであって、
(a)剛性構造体、及び
(b)複数の電極、
を備え、前記複数の電極が前記剛性構造体に取り付けられる、前記核酸送達パッチ。
【請求項137】
インビボの細胞に核酸を送達するための方法であって、
(a)前記インビボの細胞を含有する組織に核酸を適用し、
(b)前記細胞の付近に過渡電場を印加して、
前記インビボの細胞が前記核酸を内在化することがもたらされることを含む、前記方法
。
【請求項138】
前記1つ以上の核酸分子が、合成RNA分子を含む、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
治療的または美容的有効量の前記核酸を内在化する細胞をさらにもたらす、請求項13
7~138のいずれか1項に記載の方法。
【請求項140】
前記細胞が、皮膚細胞である、請求項137~139のいずれか1項に記載の方法。
【請求項141】
前記細胞が、皮膚線維芽細胞である、請求項137~140のいずれか1項に記載の方
法。
【請求項142】
前記細胞が、ケラチノサイトである、請求項137~141のいずれか1項に記載の方
法。
【請求項143】
前記細胞が、筋芽細胞である、請求項137~142のいずれか1項に記載の方法。
【請求項144】
前記核酸が、目的タンパク質をコードする、請求項137~143のいずれか1項に記
載の方法。
【請求項145】
前記目的タンパク質が、蛍光タンパク質及び細胞外マトリックスタンパク質の群の成員
である、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記目的タンパク質が、エラスチン、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビト
ロネクチン、リシルオキシダーゼ、エラスチン結合タンパク質、成長因子、線維芽細胞増
殖因子、トランスフォーミング増殖因子β、顆粒球コロニー刺激因子、マトリックスメタ
ロプロテアーゼ、アクチン、フィブリリン、ミクロフィブリル結合糖タンパク質、リシル
オキシダーゼ様タンパク質、血小板由来成長因子、リパーゼ、脱共役タンパク質、サーモ
ゲニン、及び色素産生に関与するタンパク質の群の成員である、請求項145に記載の方
法。
【請求項147】
前記表皮に前記核酸を送達することをさらに含む、請求項137~146のいずれか1
項に記載の方法。
【請求項148】
前記真皮に前記核酸を送達することをさらに含む、請求項137~147のいずれか1
項に記載の方法。
【請求項149】
前記真皮の下に前記核酸を送達することをさらに含む、請求項137~148のいずれ
か1項に記載の方法。
【請求項150】
前記送達が、注入による、請求項137~149のいずれか1項に記載の方法。
【請求項151】
前記送達が、マイクロニードルアレイを用いた注入による、請求項137~150のい
ずれか1項に記載の方法。
【請求項152】
前記核酸が、溶液中に存在する、請求項137~151のいずれか1項に記載の方法。
【請求項153】
前記溶液が、成長因子をさらに含む、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
前記成長因子が、線維芽細胞増殖因子及びトランスホーミング増殖因子βのうちの1つ
である、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記溶液が、コレステロールをさらに含む、請求項152に記載の方法。
【請求項156】
目的タンパク質を発現させるようにインビボの細胞を誘導するための方法であって、
コレステロール、及び
1つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つが目的タンパク質をコードする、1つ以上
の核 酸分子を含む溶液とインビボの細胞を接触させ、
前記細胞が前記目的タンパク質を発現することがもたらされることを含む、前記方法。
【請求項157】
前記細胞が治療的または美容的有効量の前記目的タンパク質を発現することをさらにも
たらす、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
核酸分子でインビボの細胞をトランスフェクションするための方法であって、
イオン交換樹脂または活性炭で処理されたアルブミン、及び
核酸分子、
を含む溶液と細胞を接触させて、前記細胞が前記核酸分子を内在化することがもたらさ
れることを含む、前記方法。
【請求項159】
前記細胞が治療的または美容的有効量の前記核酸分子を内在化することをさらにもたら
す、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
前記核酸分子が、dsDNA分子、ssDNA分子、dsRNA分子、ssRNA分子
、プラスミド、オリゴヌクレオチド、合成RNA分子、miRNA分子、mRNA分子、
及びsiRNA分子のうちの少なくとも1つを含む、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
目的タンパク質を発現させるように細胞を誘導するための方法であって、合成RNA分
子と細胞を接触させることを含み、前記合成RNA分子が、5-ヒドロキシシチジン、5
-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒ
ドロキシウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-
ホルミルウリジンの群の成員を含む、前記方法。
【請求項162】
合成RNA分子で細胞をトランスフェクションするための方法であって、1つ以上の合
成RNA分子を含む溶液と細胞を接触させることを含み、前記1つ以上の合成RNA分子
のうちの少なくとも1つが、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、
5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒドロ
キシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジンの群の成員を
含む、前記方法。
【請求項163】
患者を治療するための方法であって、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチル
シチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリジン、
5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジンの
群の成員を含む合成RNA分子を前記患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項164】
前記患者の皮膚において前記目的タンパク質の発現をもたらす、請求項163に記載の
方法。
【請求項165】
ステロイドの投与をさらに含む、請求項164に記載の方法。
【請求項166】
前記ステロイドが、ヒドロコルチゾンである、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
抗生物質を投与することをさらに含む、請求項163~166のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項168】
抗真菌剤を投与することをさらに含む、請求項163~167のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項169】
RNAse阻害剤を投与することをさらに含む、請求項163~168のいずれか1項
に記載の方法。
【請求項170】
インビボの細胞に核酸を送達するための方法であって、
前記角質層を破壊し、
前記核酸と前記細胞を接触させて、
前記細胞が前記核酸を内在化することがもたらされることを含む、前記方法。
【請求項171】
目的タンパク質を発現させるようにインビボの細胞を誘導するための方法であって、
前記角質層を破壊し、
目的タンパク質をコードする核酸と細胞を接触させて、
前記細胞が前記目的タンパク質を発現することがもたらされることを含む、前記方法。
【請求項172】
患者を治療するための方法であって、
患者の前記角質層を破壊すること、及び
核酸を前記患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項173】
患者を治療するための方法であって、
前記角質層を破壊し、
目的タンパク質をコードする核酸を前記患者に投与して
前記患者において前記目的タンパク質の発現がもたらされることを含む、前記方法。
【請求項174】
前記患者が、前記目的タンパク質を必要としている、請求項173に記載の方法。
【請求項175】
患者を治療するための方法であって、
イオン交換樹脂または活性炭で処理されたアルブミン、及び
1つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つが目的タンパク質をコードする、1つ以上
の核酸分子を含む組成物を患者に送達して、
前記患者において前記目的タンパク質の発現がもたらされることを含む、前記方法。
【請求項176】
前記患者の皮膚において前記目的タンパク質の発現をさらにもたらす、請求項175に
記載の方法。
【請求項177】
前記患者において治療的有効量の前記目的タンパク質の発現をさらにもたらす、請求項
175~176のいずれか1項に記載の方法。
【請求項178】
ステロイドの投与をさらに含む、請求項175~177のいずれか1項に記載の方法。
【請求項179】
前記ステロイドが、ヒドロコルチゾンである、請求項178に記載の方法。
【請求項180】
目的タンパク質をコードし、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン
、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒド
ロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジンの群の成員
を含む、合成RNA分子。
【請求項181】
化粧品組成物であって、
イオン交換樹脂または活性炭で処理されたアルブミン、及び
核酸分子を含む、前記化粧品組成物。
【請求項182】
美容的治療物品であって、請求項181に記載の組成物を含み、患者に前記組成物を送
達するように構成される器具に含有される、前記美容的治療物品。
【請求項183】
前記核酸分子が、エラスチン、コラーゲン、チロシナーゼ、メラノコルチン1受容体、
及びヒアルロン酸合成酵素の群の成員をコードする、請求項181に記載の化粧品組成物
。
【請求項184】
患者を治療するための方法であって、1つ以上のタンパク質をコードする合成RNAを
一連の用量で患者に送達して、前記患者において前記タンパク質の蓄積がもたらされるこ
とを含み、第1の用量が、第1の時点で与えられ、第2の用量が第2の時点で与えられ、
前記第2の時点の前記患者における前記1つ以上のタンパク質のうちの少なくとも1つの
量が、前記第1の時点の前記タンパク質の量より多い、前記方法。
【請求項185】
治療用組成物であって、1つ以上のタンパク質をコードする合成RNA分子を含み、前
記1つ以上のタンパク質のうちの少なくとも1つが、細胞外マトリックスタンパク質であ
る、前記治療用組成物。
【請求項186】
化粧品組成物であって、1つ以上のタンパク質をコードする合成RNA分子を含み、前
記1つ以上のタンパク質のうちの少なくとも1つが、細胞外マトリックスタンパク質であ
る、前記化粧品組成物。
【請求項187】
色素沈着障害を治療するための方法であって、チロシナーゼをコードする合成RNAを
患者に送達することを含む、前記方法。
【請求項188】
患者の色素沈着を変更するための方法であって、チロシナーゼをコードする合成RNA
を患者に送達することを含む、前記方法。
【請求項189】
化粧品組成物であって、チロシナーゼをコードする合成RNAを含む、前記化粧品組成
物。
【請求項190】
治療用組成物であって、チロシナーゼをコードする合成RNAを含む、前記治療用組成
物。
【請求項191】
患者の皮膚の紫外線吸収を増大させるための方法であって、チロシナーゼをコードする
合成RNAを患者に送達して、前記患者の皮膚の紫外線吸収における増大がもたらされる
ことを含む、前記方法。
【請求項192】
紫外線に曝露する際のヒトの皮膚の光損傷を減少させるための方法であって、チロシナ
ーゼをコードする合成RNAをヒトに送達して、紫外線に曝露する際の前記ヒトの皮膚の
光損傷における減少がもたらされることを含む、前記方法。
【請求項193】
色素性乾皮症患者を治療するための方法であって、チロシナーゼをコードする合成RN
Aを色素性乾皮症患者に送達して、前記色素性乾皮症患者の症状のうちの1つ以上の改善
がもたらされることを含む、前記方法。
【請求項194】
色素沈着障害を治療するための方法であって、a.チロシナーゼをコードする合成RN
Aと細胞を接触させ、b.色素沈着障害をもつ患者に前記細胞を送達して、前記患者の症
状のうちの1つ以上の改善がもたらされることを含む、前記方法。
【請求項195】
栄養障害型性表皮水疱症患者を治療するための方法であって、VII型コラーゲンをコ
ードする合成RNAを栄養障害型性表皮水疱症患者に送達して、前記栄養障害型性表皮水
疱症患者の症状のうちの1つ以上の改善がもたらされることを含む、前記方法。
【請求項196】
患者の色素沈着を変更するための方法であって、メラノコルチン1受容体をコードする
合成RNAを患者に送達して、前記患者の色素沈着の変更がもたらされることを含む、前
記方法。
【請求項197】
乾燥症を治療するための方法であって、ヒアルロン酸合成酵素をコードする合成RNA
を患者に送達して、前記患者の症状のうちの1つ以上の改善がもたらされることを含む、
前記方法。
【請求項198】
前記患者が、アトピー性皮膚炎と診断されている、請求項197に記載の方法。
【請求項199】
前記患者が、魚鱗癬と診断されている、請求項197に記載の方法。
【請求項200】
組織治癒を誘導するための方法であって、ヒアルロン酸合成酵素をコードする合成RN
Aを患者に送達して、組織治癒がもたらされることを含む、前記方法。
【請求項201】
前記患者が、白内障手術を受けている、請求項200に記載の方法。
【請求項202】
皮膚疾患、障害、及び/または状態の治療、予防、または改善方法であって、1つ以上
の非標準ヌクレオチドを含むRNAを含む有効量の医薬組成物を、それらを必要とする(
tin need thereof)対象に投与することを含み、
前記皮膚疾患、障害、及び/または状態は、尋常性ざ瘡、夏期ざ瘡、集簇性ざ瘡、化粧
ざ瘡、電撃性ざ瘡、項部ざ瘡ケロイド、機械的ざ瘡、ざ瘡薬の副作用、粟粒性壊疽性ざ瘡
(acne miliaris necrotica)、壊疽性ざ瘡、紅斑性ざ瘡、光線
性角化症、尋常性ざ瘡、夏期ざ瘡、集簇性ざ瘡、化粧ざ瘡、電撃性ざ瘡、項部ざ瘡ケロイ
ド、機械的ざ瘡、ざ瘡薬の副作用、粟粒性壊疽性ざ瘡(acne miliaris n
ecrotica)、壊疽性ざ瘡、紅斑性ざ瘡、急性蕁麻疹、アレルギー性接触皮膚炎、
円形脱毛症、血管浮腫、足白癬、アトピー性皮膚炎、自家感作性皮膚炎、乳児ざ瘡、脱毛
、ブラストミセス症(bastomycosis)、黒色面皰、母斑及び他の皮膚色素沈
着問題、吹出物、挫傷、虫咬傷及び虫刺傷、熱傷、蜂巣炎、ツツガムシ、塩素ざ瘡、コリ
ン性蕁麻疹またはストレス蕁麻疹(uricara)、慢性蕁麻疹(urticara)
、寒冷蕁麻疹(urticara)、融合性細網状乳頭腫症、うおのめ、嚢胞、頭部粃糠
疹、疱疹性皮膚炎、皮膚描記症、汗疱状湿疹、おむつかぶれ、乾燥肌、発汗異常症、発汗
減少性(hyprohidrotic)外胚葉性形成異常及びX連鎖発汗減少性(hyp
rohidrotic)外胚葉性形成異常などの外胚葉性形成異常、湿疹、疣贅状表皮発
育異常症(epidermaodysplasia verruciformis)、結
節性紅斑、剥脱性ざ瘡、運動誘発性アナフィラキシー(anaphylasis)、毛嚢
炎、皮脂過剰、毛嚢炎、雀卵斑、凍瘡、爪白癬、毛髪密度,毛髪成長速度、ハロゲンざ瘡
、脱毛症、汗疹、血腫、単純ヘルペス感染症(例えば、非生殖器)、化膿性汗腺炎、蕁麻
疹性丘疹、多汗症、色素沈着過度、発汗減少性外胚葉性形成異常、色素脱失症、膿痂疹、
内方発育毛、温熱蕁麻疹(urticara)、陥入爪、小児ざ瘡または新生児ざ瘡、掻
痒、刺激性接触皮膚炎、いんきんたむし、ケロイド、毛孔性角化症、扁平苔癬、硬化性苔
癬、顔面播種状粟粒性狼瘡、肝斑、黒子、伝染性軟属腫、爪成長速度(nail gro
wth rate)、爪健康状態(nail health)、神経皮膚炎、貨幣状湿疹
、職業性ざ瘡、油性ざ瘡、爪真菌症、物理的蕁麻疹(urticara)、毛巣嚢胞、ジ
ベルばら色粃糠疹、癜風、ウルシかぶれ、ポマードざ瘡、偽性毛嚢炎または項部ざ瘡ケロ
イド、乾癬、乾癬性関節炎、圧蕁麻疹または遅発性圧蕁麻疹(urticara)、切傷
及び擦り傷などの刺傷、発疹、希少蕁麻疹または水蕁麻疹(urticara)、鼻形成
術、白癬、酒さ、ロスムンド・トムソン症候群、前記皮膚のたるみ、疥癬、瘢痕、脂漏症
、脂漏性皮膚炎、帯状疱疹、皮膚癌、皮膚垂、日光蕁麻疹(urticara)、クモ咬
症、伸展線、日光皮膚炎、タールざ瘡、熱帯ざ瘡、皮膚菲薄化、鷲口瘡、癜風、一過性棘
融解性皮膚症、座瘡壊死汗疹または粟粒性壊疽性ざ瘡、くすみ、静脈瘤、静脈性湿疹、振
動血管浮腫、白斑、いぼ、ウェーバー・クリスチャン病、しわ、X連鎖発汗減少性外胚葉
性形成異常、乾燥性湿疹、酵母感染症、ならびに老化の一般徴候のうちの1つ以上であり
、
前記非標準ヌクレオチドが、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン
、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒド
ロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジンのうちの1
つ以上である、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、全内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、2014年1月3
1日に出願された米国仮特許出願第61/934,397号、2014年8月18日に出
願された米国仮特許出願第62/038,608号、及び2014年10月28日に出願
された米国仮特許出願第62/069,667号に対する優先権を主張する。
【0002】
本出願は、全内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、2012年5月7
日に出願された米国特許出願第13/465,490号、2012年12月5日に出願さ
れた国際特許出願PCT/US2012/067966、2013年6月28日に出願さ
れた米国特許出願第13/931,251号、及び2013年11月1日に出願された国
際特許出願PCT/US2013/068118に関連する。
【0003】
発明の分野
本発明は部分的に、細胞、組織、器官、及び患者に、核酸を生成及び送達するための方
法、組成物、及び製品;細胞、組織、器官、及び患者においてタンパク質を発現させるた
めの方法;ならびにこれらの方法、組成物、及び製品を用いて生成される細胞、治療薬、
及び化粧品に関する。
【0004】
電子的に提出されたテキストファイルの記載
本明細書と共に電子的に提出されたテキストファイルの内容は、全体として参照により
本明細書に組み込まれる。配列表のコンピュータ可読フォーマットコピー(ファイル名:
FAB-008PC SequenceListing.txt、記録日:2015年1
月30日、ファイルサイズ:929KB)。
【背景技術】
【0005】
合成RNA及び核酸治療薬
リボ核酸(RNA)は、原核細胞及び真核細胞の両方に遍在し、そこで、メッセンジャ
ーRNAの形態で遺伝情報をコードし、トランスファーRNAの形態でアミノ酸を結合及
び輸送し、リボソームRNAの形態でアミノ酸をタンパク質に組み立て、マイクロRNA
及び長い非コードRNAの形態で遺伝子発現制御を含む多数の他の機能を行う。RNAは
、直接的な化学合成及びインビトロ転写を含む方法により、合成的に生成することができ
、治療的使用のために患者に投与することができる。しかし、以前に記載されている合成
RNA分子は、ヒト細胞において不安定であり、強力な先天性免疫応答を誘発する。加え
て、患者、器官、組織、及びインビボの細胞に、核酸を効率的に非ウイルス的送達するた
めの方法は、以前に記載されていない。既存の合成RNA技術及び核酸の送達のための方
法の多くの欠点により、それらの技術及び方法が、治療的または美容的使用にとって望ま
しくないものになる。
【0006】
細胞リプログラミング及び細胞ベースの治療法
細胞は、それらを、特定の細胞外キュー(cues)に曝露させることにより、及び/
または特定のタンパク質、マイクロRNAなどの異所性発現によりリプログラミングする
ことができる。いくつかのリプログラミング方法が以前に記載されているが、異所性発現
に依存するほとんどのものは、変異の危険を伴う可能性がある外来DNAの導入を必要と
する。リプログラミングタンパク質の直接送達に基づく、DNAフリーのリプログラミン
グ方法が報告されている。しかし、これらの方法は商業的使用には、あまりにも非効率的
で信頼できない。加えて、RNAベースのリプログラミング方法が記載されている(例え
ば、Angel. MIT Thesis.2008.1-56;Angel et a
l.PLoS ONE.2010.5,107、Warren et al.Cell
Stem Cell.2010.7,618-630;Angel.MIT Thesi
s.2011.1-89、及びLee et al.Cell.2012.151,54
7-558(これらの全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと
)。しかし、既存のRNAベースのリプログラミング方法は、成熟細胞に実施される場合
、時間がかかり、信頼できず、非効率的であり、(著しい費用及びエラーの可能性をもた
らす)多くのトランスフェクションを必要とし、限られた数の細胞型のみをリプログラミ
ングすることができ、限られた数の細胞型しかリプログラミングすることができず、免疫
抑制剤の使用を必要とし、血液由来HSA及びヒト線維芽細胞フィーダーを含む複数のヒ
ト由来構成成分の使用を必要とする。以前に開示されたRNAベースのリプログラミング
方法の多くの欠点により、それらの方法が、インビボでの使用にとって望ましくないもの
になっている。
【0007】
遺伝子編集
いくつかの自然発生タンパク質は、特定のDNA配列を認識することができるDNA結
合ドメイン、例えば、ジンクフィンガー(ZF)及び転写活性化因子様エフェクター(T
ALE)を含有する。これらのDNA結合ドメイン及びFokIエンドヌクレアーゼの切
断ドメインのうちの1つ以上を含有する融合タンパク質を、細胞内のDNAの所望の領域
に、二本鎖切断を形成するために用いることができる(例えば、米国特許出願公開第US
2012/0064620号、米国特許出願公開第US2011/0239315号、米
国特許第8,470,973号、米国特許出願公開第US2013/0217119号、
米国特許第8,420,782号、米国特許出願公開第US2011/0301073号
、米国特許出願公開第US2011/0145940号、米国特許第8,450,471
号、米国特許第8,440,431号、米国特許第8,440,432号、及び米国特許
出願公開第2013/0122581号(これら全ての内容は、参照により本明細書に組
み込まれる)を参照のこと)。しかし、細胞を遺伝子編集するための現在の方法は、非効
率的であり、制御されない突然変異誘発の危険を伴い、それらの方法が、研究及び治療的
使用の両方にとって望ましくないものとなっている。体細胞のDNAフリーの遺伝子編集
のための方法は、以前に検討されておらず、体細胞の同時または順次の遺伝子編集及びリ
プログラミングのための方法もまた、検討されていない。加えて、患者において(即ち、
インビボで)、細胞を直接遺伝子編集するための方法は、以前に検討されておらず、その
ような方法の開発は、DNA結合ドメインの乏しい結合にある程度起因する、許容可能な
標的の欠如、非効率的な送達、遺伝子編集タンパク質/タンパク質(複数)の非効率的な
発現、発現された遺伝子編集タンパク質/タンパク質(複数)による非効率的な遺伝子編
集;FokI切断ドメインの無向二量体形成及びDNA結合ドメインの乏しい特異性にあ
る程度起因する、過剰なオフターゲット効果;ならびに他の要因により制限されている。
最終的に、抗菌、抗ウイルス、及び抗癌治療における遺伝子編集の使用は、以前に検討さ
れていない。
【0008】
したがって、細胞、組織、器官、及び患者に核酸を生成及び送達するための改善された
方法及び組成物に対するニーズが依然としてある。
【発明の概要】
【0009】
本発明は部分的には、細胞、組織、器官、及び患者に核酸を送達するための、組成物、
方法、物品、及び器具、タンパク質を発現させるように細胞を誘導するための方法、これ
らの組成物、方法、物品、及び器具を生成するための、方法、物品、及び器具、ならびに
これらの組成物、方法、物品、及び器具を用いて生成される細胞、生体、化粧品、及び治
療薬を含む組成物及び物品を提供する。以前に報告された方法とは異なり、本発明のある
特定の実施形態は、外来DNAまたは同種異系(allogeneic)もしくは動物由
来材料に細胞を曝露させることを含まず、本発明の方法にしたがって生成された生成物が
、治療的及び美容的用途に有用になる。
【0010】
いつかの態様では、細胞集団にRNAを導入することを含む、患者の細胞集団において
タンパク質を発現させるための方法が提供され、RNAは、重大な細胞性免疫応答を誘導
せず、実質的にタンパク質発現を減少させない1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む。い
つかの実施形態では、非標準ヌクレオチドの少なくとも50%、または少なくとも75%
、または少なくとも90%は、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン
、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン(formylcytidine)、
5-ヒドロキシウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及
び5-ホルミルウリジン(formyluridine)のうちの1つ以上から選択され
、または、いつかの実施形態では、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチ
ジン、及び5-ホルミルシチジンのうちの1つ以上から選択される。さらなる実施形態は
、RNAの付加的な要素、例えばコザックコンセンサス配列のうちの1つ以上を任意に含
む、5′キャップ構造、3′ポリ(A)テール、及び5′-UTR及び/または3′-U
TRに関し、この配列は、インビボでのRNAの安定性を増大させる(実例としてはα-
グロビンまたはβ-グロビン5′-UTRなど)。
【0011】
いつかの態様では、核酸送達パッチが提供される。一態様では、電場を用いて核酸を送
達するための器具が提供される。他の態様は、皮膚に核酸を送達するための方法及び組成
物に関する。さらに別の態様は、皮膚においてタンパク質を発現させるための方法及び組
成物に関する。
【0012】
一態様では、本発明は、予防的治療、皮膚科の希少疾患を含むがこれらに限定されない
希少疾患に対する治療、ならびに医療皮膚科及び美容医学で用いられる治療を含むがこれ
らに限定されない、ヒトの疾患及び状態を治療するための方法及び組成物を提供する。別
の態様では、本発明は、核酸を含む化粧品を提供する。さらに別の態様は、色素沈着を変
更するための、例えば色素沈着障害の治療ための方法及び組成物に関する。さらに別の態
様は、創傷または手術に対応した治癒を含むがこれらに限定されない、治癒を増強するた
めの方法及び組成物に関する。他の態様は、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む核酸に
関する。一態様では、本発明は、例えば、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチ
ルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリジン
、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジン
のうちの1つ以上を含む核酸を提供し、または、いつかの実施形態では、5-ヒドロキシ
メチルシチジン、5-カルボキシシチジン、及び/または5-ホルミルシチジンのうちの
1つ以上から選択される。
【0013】
本発明の組成物は、皮膚、毛髪、及び爪(これらに限られない)などの、対象の外皮系
(integumenary system)の器官の外観を変更、修正、及び/または
変化させることがある。そのような変更、修正、及び/または変化は、非限定例として、
皮膚科的治療及び美容的処置を含む、本明細書に記載されるような治療方法及び/または
治療的使用との関連であり得る。
【0014】
いつかの態様では、低い毒性及び高い翻訳効率を有する合成RNA分子が提供される。
一態様では、細胞の、高効率のインビボトランスフェクション、リプログラミング、及び
遺伝子編集のための細胞培養培地が提供される。他の態様は、リプログラミングタンパク
質をコードする合成RNA分子を生成するための方法に関する。さらに別の態様は、遺伝
子編集タンパク質をコードする合成RNA分子を生成するための方法に関する。
【0015】
一態様では、本発明は、操作されたヌクレアーゼ切断ドメインを含む、高効率の遺伝子
編集タンパク質を提供する。別の態様では、本発明は、操作されたヌクレアーゼ切断ドメ
インを含む、高忠実度の遺伝子編集タンパク質を提供する。他の態様は、操作されたDN
A結合ドメインを含む、高効率の遺伝子編集タンパク質に関する。さらに別の態様は、操
作されたDNA結合ドメインを含む、高忠実度の遺伝子編集タンパク質に関する。さらに
別の態様は、操作された反復配列を含む、遺伝子編集タンパク質に関する。いつかの態様
は、遺伝子編集タンパク質で細胞をトランスフェクションすること、またはそれを発現さ
せるように細胞を誘導することにより、細胞のDNA配列を変更するための方法に関する
。他の態様は、インビトロ培養で存在する細胞のDNA配列を変更するための方法に関す
る。さらに別の態様は、インビボで存在する細胞のDNA配列を変更するための方法に関
する。
【0016】
いつかの態様では、本発明は、治療的有効量の遺伝子編集タンパク質または遺伝子編集
タンパク質をコードする核酸を、患者に投与することを含む、癌を治療するための方法を
提供する。一態様では、遺伝子編集タンパク質は、癌関連遺伝子のDNA配列を変更する
ことが可能である。別の態様では、癌関連遺伝子は、BIRC5遺伝子である。さらに他
の態様は、例えば、1型糖尿病、虚血性及び拡張型心筋症を含む心疾患、黄斑変性症、パ
ーキンソン病、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、地中海貧血、ファンコニ貧血、重症複合
免疫不全症、遺伝性感覚神経障害、色素性乾皮症、ハンチントン病、筋ジストロフィー、
筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、癌、ならびに肝炎及びHIV/AIDSを含む
感染症を治療するための、核酸及び/または細胞を含む治療薬、ならびに核酸及び/また
は細胞を含む治療薬を用いる方法に関する。いつかの態様では、核酸は、合成RNAを含
む。他の態様では、核酸は、ウイルスを用いて細胞に送達される。いつかの態様では、ウ
イルスは、複製可能ウイルスである。他の態様では、ウイルスは、複製不能ウイルスであ
る。
【0017】
本発明の詳細が、以下の添付の明細書に記載される。本明細書に記載されるものと同様
または同等の方法及び材料が、本発明の実施または試験に用いることができるが、例示的
方法及び材料が、ここで記載される。本発明の他の特長、目的、及び利点は、本明細書に
より、及び特許請求の範囲により明らかとなるであろう。本明細書及び添付の特許請求の
範囲では、単数形は、文脈が明らかに別途示さない限り複数形も含む。別途定義されない
限り、本明細書で用いられる全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業
者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ヒトエラスチンタンパク質をコードし、ホルムアルデヒド変性アガロースゲル上で分離された、アデノシン、50%のグアノシン、50%の7-デアザグアノシン、60%のウリジン、40%の5-メチルウリジン、及び5-メチルシチジンを含有するRNAを表す。
【
図2】
図1のRNAでトランスフェクションされた初代成人ヒト皮膚線維芽細胞を表す。
【
図3】ヒトエラスチンタンパク質を標的とする抗体を用いる、
図2の初代成人ヒト皮膚線維芽細胞の免疫細胞化学的解析の結果を表す。
【
図4】シチジン、5-メチルシチジン(「5mC」)、5-ヒドロキシメチルシチジン(「5hmC」)、5-カルボキシシチジン(「5cC」)または5-ホルミルシチジン(「5fC」)を含み、Oct4タンパク質をコードする合成RNAでトランスフェクションされた初代ヒト皮膚線維芽細胞を表す。トランスフェクションの24時間後に、細胞を、Oct4タンパク質に対し固定及び染色した。
【
図5】5-ヒドロキシメチルシチジンを含み、緑色蛍光タンパク質(「GFP」)をコードする合成RNAでトランスフェクションされた初代ヒト皮膚線維芽細胞を表す。トランスフェクションの24時間後に、細胞を撮像した。
【
図6】5-ヒドロキシメチルシチジン(「5hmC」)を含み、GFPをコードする合成DNAで処置された健康な33歳の男性対象の腹側前腕の領域を表す。矢印は、蛍光細胞を表示する。
【
図7】5-ヒドロキシメチルシチジン(「5hmC」)を含み、GFPをコードする合成DNAで処置された健康な33歳の男性患者の腹側前腕の領域を表す。上部のパネルは、同じ前腕上の未処置範囲を表し、下部パネルは、処置範囲内の2つの範囲を表す。蛍光細胞(矢印で表示される)は、下部のパネルにはっきりと見える。
【
図8】5-メチルウリジン及び5-ヒドロキシメチルシチジンを含み、表示されるタンパク質をコードする合成RNAでトランスフェクションされた初代ヒト皮膚線維芽細胞を表す。トランスフェクションの48時間後に、細胞を、表示されるタンパク質を標的とする抗体を用いて固定及び染色した。
【
図9】5-メチルウリジン及び5-ヒドロキシメチルシチジンを含み、ヒトチロシナーゼをコードする合成RNAでトランスフェクションされた初代ヒト皮膚線維芽細胞を表す。トランスフェクションの24時間後に、細胞を、ヒトチロシナーゼを標的とする抗体を用いて固定及び染色した。
【
図11】5-ヒドロキシメチルシチジンを含み、表示されるタンパク質をコードする合成RNAでトランスフェクションされた初代ヒト皮膚線維芽細胞を表す。
【
図12】5-ヒドロキシメチルシチジンを含み、ヒトチロシナーゼをコードする合成RNAで毎日トランスフェクションされた初代ヒト皮膚線維芽細胞を表す。トランスフェクションの数は、各試料の上に表される。最終のトランスフェクションの48時間後に、細胞を撮像した。
【
図13】表示されるヌクレオチドを含み、ヒトチロシナーゼをコードする合成RNAで毎日トランスフェクションされた初代ヒト皮膚線維芽細胞を表す。トランスフェクションの48時間後に、細胞を撮像した。
【
図14】表示されるヌクレオチドを含み、ヒトチロシナーゼをコードする合成RNAでトランスフェクションされた初代ヒト皮膚線維芽細胞における、IFNB1発現及び色素産生を表す。値は、標準的なヌクレオチド(「A、G、U、C」)のみを含む合成RNAでトランスフェクションされた試料に正規化されている。GAPDHを、負荷対照として用いた。エラーバーは標準誤差を表示する(n=2)。
【
図15】
図14のように測定された、表示される遺伝子の発現を表す。
【
図16】5-メチルウリジン及び5-ヒドロキシメチルシチジンを含み、ヒトチロシナーゼをコードする合成DNAで処置された健康な33歳の男性対象の腹側前腕の領域(上部のパネル)、ならびに同じ対象の腹側前腕の雀卵斑(下部のパネル)を表す。同じ倍率を、両方の画像のために用いた。
【
図17】5-ヒドロキシメチルシチジンを含み、コラーゲンI(A1)(「+COL1 RNA」)をコードする合成RNAでトランスフェクションされた初代ヒト皮膚線維芽細胞を表す。トランスフェクションの24~72時間後に、細胞を、コラーゲンIを標的とする抗体を用いて固定及び染色した。トランスフェクションされた細胞及びトランスフェクションされなかった細胞(「陰性対照」)のそれぞれに対する2つの代表的な範囲が表される。矢印は、コラーゲンIの細胞外沈着物を表示する。
【
図18】5-ヒドロキシメチルシチジンを含み、コラーゲンVII(A1)(「+COL7 RNA」)をコードする合成RNAでトランスフェクションされた初代ヒト皮膚線維芽細胞を表す。トランスフェクションの24~72時間後に、細胞を、コラーゲンIを標的とする抗体を用いて固定及び染色した。トランスフェクションされた細胞及びトランスフェクションされなかった細胞(「陰性対照」)のそれぞれに対する代表的な範囲が表される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
「分子」は、分子実体(分子、イオン、複合体など)を意味する。
【0020】
「RNA分子」は、RNAを含む分子を意味する。
【0021】
「合成RNA分子」は、細胞外で生成される、または生物工学を用いて細胞内で産生さ
れるRNA分子、非限定例として、インビトロ転写反応で産生されるRNA分子、直接化
学合成により生成されるRNA分子、または遺伝子操作された大腸菌細胞で産生されるR
NA分子を意味する。
【0022】
「トランスフェクション」は、分子と細胞を接触させることを意味し、分子は細胞によ
り内在化される。
【0023】
「トランスフェクション時に」は、トランスフェクションの間、またはトランスフェク
ションの後を意味する。
【0024】
「トランスフェクション試薬」は、分子と結合し、細胞への分子の送達、及び/または
それによる分子の内在化を容易にする、物質または物質の混合物、非限定例として、カチ
オン性脂質、荷電ポリマー、または細胞透過性ペプチドを意味する。
【0025】
「試薬ベースのトランスフェクション」は、トランスフェクション試薬を用いるトラン
スフェクションを意味する。
【0026】
「細胞培養培地」は、培地がインビトロでまたはインビボで用いられるかに関わらず、
細胞培養のために用いることができる培地、非限定例として、ダルベッコ改変イーグル培
地(DMEM)、またはDMEM+10%ウシ胎児血清(FBS)を意味する。
【0027】
「複合体形成培地」は、トランスフェクション試薬及びトランスフェクションされるこ
とになる分子が添加され、トランスフェクション試薬が、トランスフェクションされるこ
とになる分子と結合する培地を意味する。
【0028】
「トランスフェクション培地」は、培地が、インビトロでまたはインビボで用いられる
かに関わらず、トランスフェクションのために用いることができる培地、非限定例として
、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、DMEM/F12、生理食塩水、または水
を意味する。
【0029】
「組換えタンパク質」は、動物またはヒトで産生されないタンパク質またはペプチドを
意味し、非限定例としては、細菌で産生されるヒトトランスフェリン、マウス細胞のイン
ビトロ培養で産生されるヒトフィブロネクチン、及びイネで産生されるヒト血清アルブミ
ンが挙げられる。
【0030】
「脂質担体」は、水溶液中の脂質または脂溶性分子の溶解度を増大させることができる
物質、非限定例として、ヒト血清アルブミンまたはメチル-β-シクロデキストリンを意
味する。
【0031】
「Oct4タンパク質」は、POU5F1遺伝子によりコードされるタンパク質、また
はその天然もしくは操作された変異体、ファミリー成員、オルソログ(ortholog
ue)、フラグメントもしくは融合構造物、非限定例として、ヒトOct4タンパク質(
配列番号8)、マウスOct4タンパク質、Oct1タンパク質、POU5F1偽遺伝子
2によりコードされるタンパク質、Oct4タンパク質のDNA結合ドメイン、またはO
ct4-GFP融合タンパク質を意味する。いつかの実施形態では、Oct4タンパク質
は、配列番号8と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、または、他の
実施形態では、配列番号8と少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%
の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いつかの実施形態では、Oct4タンパク質は、
配列番号8に対して(全体で)1~20のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するア
ミノ酸配列を含む。あるいは、他の実施形態では、Oct4タンパク質は、配列番号8に
対して(全体で)1~15または1~10のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有する
アミノ酸配列を含む。
【0032】
「Sox2タンパク質」は、SOX2遺伝子によりコードされるタンパク質、またはそ
の天然もしくは操作された変異体、ファミリー成員、オルソログ、フラグメントもしくは
融合構造物、非限定例として、ヒトSox2タンパク質(配列番号9)、マウスSox2
タンパク質、Sox2タンパク質のDNA結合ドメイン、またはSox2-GFP融合タ
ンパク質を意味する。いつかの実施形態では、Sox2タンパク質は、配列番号9と少な
くとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、または、他の実施形態では、配列番
号9と少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%の同一性を有するアミ
ノ酸配列を含む。いつかの実施形態では、Sox2タンパク質は、配列番号9に対して(
全体で)1~20のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列を含む。あ
るいは、他の実施形態では、Sox2タンパク質は、配列番号9に対して(全体で)1~
15または1~10のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列を含む。
【0033】
「Klf4タンパク質」は、KLF4遺伝子によりコードされるタンパク質、またはそ
の天然もしくは操作された変異体、ファミリー成員、オルソログ、フラグメントもしくは
融合構造物、非限定例として、ヒトKlf4タンパク質(配列番号10)、マウスKlf
4タンパク質、Klf4タンパク質のDNA結合ドメイン、またはKlf4-GFP融合
タンパク質を意味する。いつかの実施形態では、Klf4タンパク質は、配列番号10と
少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、または、他の実施形態では、配
列番号10と少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%の同一性を有す
るアミノ酸配列を含む。いつかの実施形態では、Klf4タンパク質は、配列番号10に
対して(全体で)1~20のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列を
含む。あるいは、他の実施形態では、Klf4タンパク質は、配列番号10に対して(全
体で)1~15または1~10のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配
列を含む。
【0034】
「c-Mycタンパク質」は、MYC遺伝子によりコードされるタンパク質、またはそ
の天然もしくは操作された変異体、ファミリー成員、オルソログ、フラグメントもしくは
融合構造物、非限定例として、ヒトc-Mycタンパク質(配列番号11)、マウスc-
Mycタンパク質、l-Mycタンパク質、c-Myc(T58A)タンパク質、c-M
ycタンパク質のDNA結合性ドメイン、またはc-Myc-GFP融合タンパク質を意
味する。いつかの実施形態では、c-Mycタンパク質は、配列番号11と少なくとも7
0%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、または、他の実施形態では、配列番号11と
少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%の同一性を有するアミノ酸配
列を含む。いつかの実施形態では、c-Mycタンパク質は、配列番号11に対して(全
体で)1~20のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸を含む。あるいは
、他の実施形態では、c-Mycタンパク質は、配列番号11に対して(全体で)1~1
5または1~10のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列を含む。
【0035】
「リプログラミング」は、細胞の表現型に変化を引き起こすこと、非限定例として、成
熟β細胞にβ細胞の前駆細胞を分化させること、多能性幹細胞に線維芽細胞を脱分化させ
ること、心臓幹細胞、ケラチノサイトを分化転換せること、細胞のテロメアを長くさせる
こと、またはューロンの軸索を成長させることを意味する。
【0036】
「リプログラミング因子」は、細胞が分子と接触し、及び/または細胞が分子を発現さ
せる場合、単独または他の分子との組み合わせのいずれかで、リプログラミングを引き起
こすことができる分子、非限定例として、Oct4タンパク質を意味する。
【0037】
「フィーダー」は、培地を馴化するために、またはそれ以外では、培養中の他の細胞の
成長をサポートするために用いることができる細胞を意味する。
【0038】
「馴化」は、培地と1つ以上のフィーダーを接触させることを意味する。
【0039】
「脂肪酸」は、少なくとも2つの炭素原子の脂肪鎖を含む分子、非限定例として、リノ
ール酸、α-リノレン酸、オクタン酸、ロイコトリエン、プロスタグランジン、コレステ
ロール、グルココルチコイド、レソルビン、プロテクチン、トロンボキサン、リポキシン
、マレシン(maresin)、スフィンゴリピド、トリプトファン、N-アセチルトリ
プトファン、またはそれらの塩、メチルエステル、もしくは誘導体を意味する。
【0040】
「短鎖脂肪酸」は、2~30の炭素原子の脂肪鎖を含む脂肪酸を意味する。
【0041】
「アルブミン」は、高い水溶性があるタンパク質、非限定例として、ヒト血清アルブミ
ンを意味する。
【0042】
「結合分子」は、別の分子に非共有結合する分子を意味する。
【0043】
「アルブミンの結合分子構成成分」は、アルブミンポリペプチドに結合する1つ以上の
分子、非限定例として、アルブミンポリペプチドに結合する、脂質、ホルモン、コレステ
ロール、カルシウムイオンなどを意味する。
【0044】
「処理されたアルブミン」は、アルブミンの結合分子構成成分を、減少、除去、交換、
またはそれ以外では不活性化させるように処理されるアルブミン、非限定例として、高温
でインキュベートされるヒト血清アルブミン、オクタン酸ナトリウムと接触するヒト血清
アルブミン、または、多孔性材料と接触するヒト血清アルブミンを意味する。
【0045】
「イオン交換樹脂」は、イオンを含有する溶液と接触する場合に、1つ以上の異なるイ
オンと、イオンのうちの1つ以上を交換することができる材料を、非限定例として、1つ
以上のナトリウムイオンと、1つ以上のカルシウムイオンを交換することができる物質を
意味する。
【0046】
「生殖細胞」は、精子細胞または卵細胞を意味する。
【0047】
「多能性幹細胞」は、インビボで、全ての3つの胚葉(内胚葉、中胚葉、及び外胚葉)
の細胞に分化することができる細胞を意味する。
【0048】
「体細胞」は、多能性幹細胞または生殖細胞でない細胞、非限定例として、皮膚細胞を
意味する。
【0049】
「グルコース応答性インスリン産生細胞」は、ある特定濃度のグルコースに曝露すると
、細胞が異なる濃度のグルコースに曝露する場合に細胞が産生及び/または分泌するイン
スリンの量と異なる(未満または超のいずれか)インスリンの量を産生及び/または分泌
することができる細胞、非限定例として、β細胞を意味する。
【0050】
「造血細胞」は、血液細胞または血液細胞に分化することができる細胞、非限定例とし
て、造血幹細胞または白血球を意味する。
【0051】
「心臓細胞」は、心臓細胞または心臓細胞に分化することができる細胞、非限定例とし
て、心筋幹細胞または心筋細胞を意味する。
【0052】
「網膜細胞」は、網膜細胞または網膜細胞に分化することができる細胞、非限定例とし
て、網膜色素上皮細胞を意味する。
【0053】
「皮膚細胞」は、通常は皮膚に見出される細胞、非限定例として、線維芽細胞、ケラチ
ノサイト、メラノサイト、脂肪細胞、間葉系幹細胞、脂肪幹細胞、または血液細胞を意味
する。
【0054】
「Wntシグナル伝達アゴニスト」は、タンパク質のWntファミリーの1つ以上の成
員の生物学的機能のうちの1つ以上を行うことができる分子、非限定例として、Wnt1
、Wnt2、Wnt3、Wnt3a、または2-アミノ-4-[3,4-(メチレンジオ
キシ)ベンジルアミノ]-6-(3-メトキシフェニル)ピリミジンを意味する。
【0055】
「IL-6シグナル伝達アゴニスト」は、IL-6タンパク質の生物学的機能のうちの
1つ以上を行うことができる分子、非限定例として、IL-6タンパク質またはIL-6
受容体(別名、可溶性IL-6受容体、IL-6R、IL-6Rαなど)を意味する。
【0056】
「TGF-βシグナル伝達アゴニスト」は、タンパク質のTGF-βスーパーファミリ
ーの、1つ以上の成員の生物学的機能のうちの1つ以上を行うことができる分子、非限定
例として、TGF-β1、TGF-β3、アクチビンA、BMP-4、またはNodal
を意味する。
【0057】
「免疫抑制剤」は、免疫系の1つ以上の側面を抑制することができ、哺乳動物に通常存
在しない物質、非限定例として、B18Rまたはデキサメタゾンを意味する。
【0058】
「一本鎖切断」は、ヌクレオチドを連結させる共有結合のうちの1つ以上が、1つまた
は2つの鎖のうちの1つで切断されている、一本鎖または二本鎖DNAの領域を意味する
。
【0059】
「二本鎖切断」は、ヌクレオチドを連結させる共有結合のうちの1つ以上が、2つ鎖の
それぞれで切断されている、二本鎖DNAの領域を意味する。
【0060】
「ヌクレオチド」は、ヌクレオチドもしくはフラグメントまたはそれらの誘導体、非限
定例として、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド三リン酸などを意味する。
【0061】
「ヌクレオシド」は、ヌクレオチドもしくはフラグメントまたはそれらの誘導体、非限
定例として、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド三リン酸などを意味する。
【0062】
「遺伝子編集」は、細胞のDNA配列を変更すること、非限定例として、細胞のDNA
に変異を引き起こすタンパク質で、細胞をトランスフェクションすることによるものを意
味する。
【0063】
「遺伝子編集タンパク質」は、単独または1つ以上の他の分子との組み合わせのいずれ
かで、細胞のDNA配列を変更することができるタンパク質、非限定例として、ヌクレア
ーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌ
クレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ニッカーゼ、規則的な間隔をもってクラスター化された
短鎖回文反復(clustered regularly interspaced s
hort palindromic repeat)(CRISPR)結合タンパク質、
またはその天然もしくは操作された変異体、ファミリー成員、オルソログ、フラグメント
もしくは融合構造物を意味する。
【0064】
「修復テンプレート」は、遺伝子編集タンパク質の標的部位の10kbの範囲内にある
配列と少なくとも約70%の相同性をもつ領域を含有する核酸を意味する。
【0065】
「反復配列」は、少なくとも約10%の相同性の範囲内で、タンパク質中の2つ以上の
コピーに存在するアミノ酸配列、非限定例として、転写活性化因子様エフェクターのモノ
マーリピート(monomer repeat)を意味する。
【0066】
「DNA結合ドメイン」は、DNA分子に結合させることが可能な分子の領域、非限定
例として、1つ以上のジンクフィンガーを含むタンパク質ドメイン、1つ以上の転写活性
化因子様(TAL)エフェクター反復配列を含むタンパク質ドメイン、またはDNA分子
に結合させることが可能な小分子の結合ポケットを意味する。
【0067】
「結合部位」は、遺伝子編集タンパク質、DNA結合タンパク質、DNA結合ドメイン
、またはその生物学的に活性なフラグメントもしくは変異体により認識されることが可能
な核酸配列、あるいは遺伝子編集タンパク質、DNA結合タンパク質、DNA結合ドメイ
ン、またはその生物学的に活性なフラグメントもしくは変異体が高い親和性を有する核酸
配列、非限定例として、ヒトBIRC5遺伝子のエクソン1におけるDNAの約20塩基
対配列を意味する。
【0068】
「標的」は、結合部位を含有する核酸を意味する。
【0069】
他の定義は、内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第1
3/465,490号、米国仮特許出願第61/664,494号、米国仮特許出願第6
1/721,302号、国際特許出願第PCT/US12/67966号、米国仮特許出
願第61/785,404号、米国仮特許出願第61/842,874号、国際特許出願
第PCT/US13/68118号、米国仮特許出願第61/934,397号、米国特
許出願第14/296,220号、米国仮特許出願第62/038,608号、及び米国
仮特許出願第62/069,667号に記載される。
【0070】
糖化及びグリコシル化は、1つ以上の糖分子が、タンパク質に結合するプロセスである
。糖化及びグリコシル化部位の、数または位置を変更することにより、タンパク質の安定
性を増大または低減させることができることが、現在発見されている。したがって、ある
特定の実施形態は、1つ以上の糖化またはグリコシル化部位を有するタンパク質に関する
。一実施形態では、タンパク質は、タンパク質の天然変異体より多くの糖化またはグリコ
シル化部位を有するように操作される。別の実施形態では、タンパク質は、タンパク質の
天然変異体よりも少ない糖化またはグリコシル化部位を有するように操作される。さらに
別の実施形態では、タンパク質は、増大した安定性を有する。さらに別の実施形態では、
タンパク質は、低減した安定性を有する。
【0071】
トランスフェクション培地に、1つ以上のステロイド及び/または1つ以上の抗酸化剤
等のある特定の状況では、インビボトランスフェクション効率、インビボリプログラミン
グ効率、及びインビボ遺伝子編集効率を増大させることができることが、さらに発見され
ている。したがって、ある特定の実施形態は、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレド
ニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾンまたはベタメタゾンなどのグルココル
チコイドと細胞または患者を接触させることに関する。他の実施形態は、ステロイドを含
有する培地と細胞を接触させることにより、及び1つ以上の核酸分子と細胞を接触させる
ことにより、目的タンパク質を発現させるように細胞を誘導するための方法に関する。一
実施形態では、核酸分子は、合成RNAを含む。別の実施形態では、ステロイドは、ヒド
ロコルチゾンである。さらに別の実施形態では、ヒドロコルチゾンは、約0.1μM~約
10μM、または約1μMの濃度で培地に存在する。他の実施形態は、抗酸化剤を含有す
る培地とインビボの細胞を接触させることにより、及び1つ以上の核酸分子と細胞を接触
させることにより、目的タンパク質を発現させるように細胞を誘導するための方法に関す
る。一実施形態では、酸化防止剤は、アスコルビン酸またはアスコルビン酸-2-リン酸
である。別の実施形態では、アスコルビン酸またはアスコルビン酸-2-リン酸は、約5
0mg/Lを含む、約0.5mg/L~約500mg/Lの濃度で培地に存在する。さら
に他の実施形態は、ステロイド及び/または抗酸化剤を含有する培地と細胞を接触させる
ことにより、ならびに1つ以上の核酸分子と細胞を接触させることにより、インビボの細
胞をリプログラミング及び/または遺伝子編集するための方法に関し、1つ以上の核酸分
子は、1つ以上のリプログラミング及び/または遺伝子編集タンパク質をコードする。あ
る特定の実施形態では、細胞は、生体に存在し、ステロイド及び/または抗酸化剤は、生
体に送達される。
【0072】
複合体形成培地にトランスフェリンを添加することにより、ある特定の状況においてプ
ラスミドトランスフェクションの効率を増大させることが報告されている。複合体形成培
地にトランスフェリンを添加することにより、合成RNA分子でのインビボトランスフェ
クションの効率を同様に増大させることができることが、現在発見されている。したがっ
て、ある特定の実施形態は、トランスフェリンを含有する溶液に、1つ以上の合成RNA
分子及びトランスフェクション試薬を添加することにより、目的タンパク質を発現させる
ようにインビボの細胞を誘導するための方法に関する。一実施形態では、トランスフェリ
ンは、約5mg/Lなどの、約1mg/L~約100mg/Lの濃度で溶液に存在する。
別の実施形態では、トランスフェリンは、組換え型である。
【0073】
例えば、外来生体及び核酸に対するバリアとして機能することができる角質層を含む、
細胞、組織、器官、及びヒトを含むがこれらに限定されない生体は、核酸の送達を阻害ま
たは防止することができる、いくつかの特徴を有する。したがって、これらの特徴は、核
酸を含む、治療薬及び化粧品の効果を阻害し得る。これらの特徴の多くは、柔軟な膜及び
複数の針を備えるパッチを用いて回避または克服することができること、ならびにそのよ
うなパッチは、核酸の送達のための効果的及び安全な物品として機能することができるこ
とが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、核酸送達パッチに関す
る。一実施形態では、核酸送達パッチは、柔軟な膜を備える。別の実施形態では、核酸送
達パッチは、複数の針を備える。さらに別の実施形態では、複数の針は、柔軟な膜に取り
付けられる。いつかの実施形態では、パッチは、核酸を含む。一実施形態では、核酸は、
溶液中に存在する。一実施形態では、複数の針は、管腔を有する1つ以上の針を含む。別
の実施形態では、パッチはさらに、第2の柔軟な膜を含む。さらに別の実施形態では、柔
軟な膜及び第2の柔軟な膜は、空洞を形成するように配置される。さらなる実施形態では
、空洞は、核酸を含有する。さらに別の実施形態では、膜は、核酸が通過することができ
る1つ以上の穴を備える。さらに別の実施形態では、1つ以上の穴及び管腔を有する1つ
以上の針は、1つ以上の穴のうちの少なくとも1つを通した、及び管腔を有する1つ以上
の針のうちの少なくとも1つを通した、核酸を含有する溶液の通過を可能にするように配
置される。いつかの実施形態では、パッチは、皮膚に溶液を送達するように構成される。
一実施形態では、溶液は、核酸を含む。別の実施形態では、溶液は、ビヒクルを含む。さ
らに別の実施形態では、ビヒクルは、脂質または脂質様物質(lipidoid)である
。さらに別の実施形態では、ビヒクルは、脂質系トランスフェクション試薬である。
【0074】
細胞膜は、外来核酸に対するバリアとして機能することができる。電場と本発明のパッ
チを組み合わせることにより、核酸送達の効率を増大させることができることが、現在発
見されている。したがって、ある特定の実施形態は、少なくとも2つの針が高電圧回路の
一部を形成する複数の針を備える核酸送達パッチに関する。一実施形態では、高電圧回路
は、約10Vを超える電圧を発生する。別の実施形態では、高電圧回路は、約20Vを超
える電圧を発生する。さらに別の実施形態では、電場は、2つの針の間に生成される。さ
らなる実施形態では、電場の大きさは、少なくとも約100V/cmである。さらに別の
実施形態では、電場の大きさは、少なくとも約200V/cmである。いつかの実施形態
では、パッチは、表皮に核酸を送達するように構成される。他の実施形態では、パッチは
、真皮に核酸を送達するように構成される。さらに他の実施形態では、パッチは、皮下組
織に核酸を送達するように構成される。さらに他の実施形態では、パッチは、筋肉に核酸
を送達するように構成される。ある特定の実施形態は、複数の電極を備える核酸送達パッ
チに関する。一実施形態では、複数の電極は、柔軟な膜に取り付けられる。他の実施形態
は、剛性構造体を備える核酸送達パッチに関する。一実施形態では、複数の電極は、剛性
構造体に取り付けられる。
【0075】
他の実施形態は、インビボの細胞を含有する組織に核酸を適用することを含む、インビ
ボの細胞に核酸を送達するための方法に関する。一実施形態では、方法はさらに、細胞の
付近で過渡電場を印加することを含む。別の実施形態では、方法は、核酸を内在化するイ
ンビボの細胞をもたらす。さらに別の実施形態では、核酸は、合成RNAを含む。さらな
る実施形態では、方法はさらに、治療的または美容的有効量の核酸を内在化する細胞をも
たらす。一実施形態では、細胞は、皮膚細胞である。別の実施形態では、細胞は、筋細胞
である。さらに別の実施形態では、細胞は、皮膚線維芽細胞である。さらなる実施形態で
は、細胞は、ケラチノサイトである。さらに別の実施形態では、細胞は、筋芽細胞である
。いつかの実施形態では、核酸は、目的タンパク質を含む。一実施形態では、目的タンパ
ク質は、蛍光タンパク質である。別の実施形態では、目的タンパク質は、細胞外マトリッ
クスタンパク質である。さらに別の実施形態では、目的タンパク質は、エラスチン、コラ
ーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、リシルオキシダーゼ、エラスチ
ン結合タンパク質、成長因子、線維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子β、
顆粒球コロニー刺激因子、マトリックスメタロプロテアーゼ、アクチン、フィブリリン、
ミクロフィブリル結合糖タンパク質、リシルオキシダーゼ様タンパク質、血小板由来成長
因子、リパーゼ、脱共役タンパク質、サーモゲニン、及び色素産生に関与するタンパク質
の群の成員である。いつかの実施形態では、方法はさらに、表皮に核酸を送達することを
含む。他の実施形態では、方法はさらに、真皮に核酸を送達することを含む。さらに他の
実施形態では、方法はさらに、真皮に核酸を送達することを含む。一実施形態では、送達
は、注入による。別の実施形態では、送達は、マイクロニードルアレイを用いた注入によ
る。さらに別の実施形態では、送達は、局所投与による。さらなる実施形態では、送達は
、組織の一部の破壊または除去を含む。さらに別の実施形態では、送達は、角質層の破壊
または除去を含む。いつかの実施形態では、核酸は、溶液中に存在する。一実施形態では
、溶液は、成長因子を含む。別の実施形態では、成長因子は、線維芽細胞増殖因子及びト
ランスホーミング増殖因子の群の成員である。さらに別の実施形態では、成長因子は、塩
基性線維芽細胞増殖因子及びトランスホーミング増殖因子βの群の成員である。他の実施
形態では、溶液は、コレステロールを含む。
【0076】
別の実施形態では、方法はさらに、1つ以上の核酸分子と細胞を接触させることを含む
。さらに別の実施形態では、1つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、目的タンパ
ク質をコードする。さらなる実施形態では、方法は、細胞が目的タンパク質を発現するこ
とをもたらす。さらに別の実施形態では、方法は、治療的または美容的有効量の目的タン
パク質を発現させる細胞をもたらす。
【0077】
別の実施形態では、細胞は、核酸分子と接触する。さらに別の実施形態では、方法は、
核酸分子を内在化する細胞をもたらす。さらなる実施形態では、方法は、治療的または美
容的有効量の核酸分子を内在化する細胞をもたらす。一実施形態では、核酸は、目的タン
パク質をコードする。一実施形態では、核酸分子は、dsDNA分子、ssDNA分子、
dsRNA分子、ssRNA分子、プラスミド、オリゴヌクレオチド、合成RNA分子、
miRNA分子、mRNA分子及びsiRNA分子の群の成員を含む。
【0078】
標準ヌクレオチドのみを含む合成RNAは、パターン認識受容体に結合することができ
、病原体結合分子パターンとして認識することができ、翻訳遮断、炎症性サイトカインの
分泌、及び細胞死をもたらす可能性がある、細胞において強力な免疫応答を誘発すること
ができる。ある特定の非標準ヌクレオチドを含む合成RNAは、先天性免疫系による検出
を回避することができ、タンパク質に高効率で翻訳することができることが、現在発見さ
れている。少なくとも1つの、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン
、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒド
ロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及び5-ホルミルウリジンの群の成員
を含む合成RNAは、先天性免疫系による検出を回避することができ、タンパク質に高効
率で翻訳することができることが、さらに発見されている。したがって、ある特定の実施
形態は、合成RNAと細胞を接触させることを含む、目的タンパク質を発現させるように
細胞を誘導するための方法に関する。他の実施形態は、1つ以上の合成RNA分子を含む
溶液と細胞を接触させることを含む、合成RNAで細胞をトランスフェクションするため
の方法に関する。さらに他の実施形態は、合成RNAを患者に投与することを含む、患者
を治療するための方法に関する。一実施形態では、合成RNAは、5-ヒドロキシシチジ
ン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、
5-ヒドロキシウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、及
び5-ホルミルウリジンの群のうちの少なくとも1つの成員を含む。別の実施形態では、
合成RNAは、目的タンパク質をコードする。代表的RNAは、本明細書に記載される任
意の目的タンパク質の発現に関するものを含む、本明細書の他の場所に記載されるような
標準及び非標準ヌクレオチドの組み合わせ及びレベルを含有してもよい。さらに別の実施
形態では、方法は、目的タンパク質の発現をもたらす。さらなる実施形態では、方法は、
患者の皮膚において、目的タンパク質の発現をもたらす。
【0079】
ステロイドと細胞を接触させることにより、外来核酸に対する先天性免疫応答を抑制す
ることができ、核酸送達及び翻訳の効率を増大させることができることが、現在さらに発
見されている。したがって、ある特定の実施形態は、ステロイドと細胞を接触させること
に関する。他の実施形態は、患者にステロイドを投与することに関する。一実施形態では
、ステロイドは、ヒドロコルチゾンである。別の実施形態では、ステロイドは、デキサメ
タゾンである。さらに他の実施形態は、抗生物質、抗真菌剤、及びRNAse阻害剤の群
の成員を患者に投与することに関する。
【0080】
他の実施形態は、インビボの細胞に核酸を送達するための方法に関する。さらに他の実
施形態は、目的タンパク質を発現させるようにインビボの細胞を誘導するための方法に関
する。さらに他の実施形態は、患者を治療するための方法に関する。一実施形態では、方
法は、角質層を破壊することを含む。別の実施形態では、方法は、核酸と細胞を接触させ
ることを含む。さらに別の実施形態では、方法は、核酸を内在化する細胞をもたらす。さ
らなる実施形態では、方法は、細胞が目的タンパク質を発現することをもたらす。さらに
別の実施形態では、方法は、患者において目的タンパク質の発現をもたらす。さらに別の
実施形態では、方法は、患者の症状のうちの1つ以上の改善をもたらす。さらに別の実施
形態では、患者は、目的タンパク質を必要としている。さらに別の実施形態では、患者は
、目的タンパク質が欠損している。
【0081】
さらに他の実施形態は、組成物を患者に送達することを含む患者を治療するための方法
に関する。一実施形態では、組成物は、イオン交換樹脂または活性炭で処理されたアルブ
ミンを含む。別の実施形態では、組成物は、1つ以上の核酸分子を含む。さらに別の実施
形態では、1つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、目的タンパク質をコードする
。一実施形態では、方法は、患者の皮膚においてタンパク質の発現をもたらす。別の実施
形態では、方法は、患者において治療的または美容的有効量の目的タンパク質の発現をも
たらす。さらに別の実施形態では、方法は、ステロイドを投与することを含む。さらなる
実施形態では、ステロイドは、ヒドロコルチゾン及びデキサメタゾンの群の成員である。
【0082】
ある特定の実施形態は、合成RNA分子に関する。一実施形態では、合成RNA分子は
、目的タンパク質をコードする。別の実施形態では、合成RNA分子は、5-ヒドロキシ
シチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチ
ジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジ
ン、及び5-ホルミルウリジンの群の成員を含む。他の実施形態は、化粧品組成物に関す
る。一実施形態では、化粧品組成物は、アルブミンを含む。別の実施形態では、アルブミ
ンは、イオン交換樹脂または活性炭で処理される。さらに別の実施形態では、化粧品組成
物は、核酸分子を含む。さらなる実施形態では、化粧品組成物は、アルブミン及び核酸分
子の両方を含む。さらに他の実施形態は、患者に組成物を送達するように構成される器具
に含有される化粧品組成物を含む美容的治療物品に関する。さらに他の実施形態は、患者
に化粧品組成物を送達するように構成される器具に関する。一実施形態では、核酸分子は
、エラスチン、コラーゲン、チロシナーゼ、メラノコルチン1受容体、及びヒアルロン酸
合成酵素の群の成員をコードする。
【0083】
ある特定のタンパク質は、長い半減期を有し、数時間、数日、数週間、数ヶ月、または
数年の間、組織内で存続することができる。例えば、1つ以上の有益なタンパク質を含む
、患者を治療するある特定の方法は、1つ以上のタンパク質の蓄積をもたらすことができ
ることが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、1つ以上のタンパ
ク質をコードする核酸を、一連の投与量で患者に送達することを含む、患者を治療するた
めの方法に関する。一実施形態では、核酸は、合成RNAを含む。別の実施形態では、第
1の投与量は、第1の時点で与えられる。さらに別の実施形態では、第2の投与量は、第
2の時点で与えられる。さらなる実施形態では、第2の時点での患者における1つ以上の
タンパク質のうちの少なくとも1つの量は、第1の時点での前記タンパク質の量より多い
。さらに別の実施形態では、方法は、患者において前記タンパク質の蓄積をもたらす。
【0084】
他の実施形態は、1つ以上のタンパク質をコードする核酸分子を含む治療用組成物に関
し、1つ以上のタンパク質のうちの少なくとも1つは細胞外マトリックスタンパク質であ
る。さらに他の実施形態は、1つ以上のタンパク質をコードする核酸分子を含む化粧品組
成物に関し、1つ以上のタンパク質のうちの少なくとも1つは細胞外マトリックスタンパ
ク質である。
【0085】
色素沈着障害は、患者において重篤な症状を引き起こす可能性がある。色素沈着障害は
、チロシナーゼをコードする核酸を患者に送達することにより治療することができること
が、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、色素沈着障害を治療する
ための方法に関する。他の実施形態は、患者の色素沈着を変更するための方法に関する。
一実施形態では、方法は、チロシナーゼをコードする核酸を患者に送達することを含む。
他の実施形態は、チロシナーゼをコードする核酸を含む化粧品組成物に関する。さらに他
の実施形態は、チロシナーゼをコードする核酸を含む治療用組成物に関する。さらに他の
実施形態は、患者の皮膚の紫外線吸収を増大させるための方法に関する。一実施形態では
、方法は、チロシナーゼをコードする核酸を患者に送達することを含む。別の実施形態で
は、方法は、患者の皮膚の紫外線吸収における増大をもたらす。さらに他の実施形態は、
紫外線に曝露する際のヒトの皮膚の光損傷を減少させるための方法に関する。一実施形態
では、方法は、紫外線に曝露する際のヒトの皮膚の光損傷の減少をもたらす。さらに他の
実施形態は、色素性乾皮症を治療するための方法に関する。一実施形態では、方法は、チ
ロシナーゼをコードする核酸を患者に送達することを含む。さらに他の実施形態は、表皮
水疱症を治療するための方法に関する。一実施形態では、方法は、VII型コラーゲンを
コードする核酸を患者に送達することを含む。別の実施形態では、方法は、メラノコルチ
ン1受容体をコードする核酸を患者に送達することを含む。さらに他の実施形態は、乾燥
症を治療するための方法に関する。一実施形態では、方法は、ヒアルロン酸合成酵素をコ
ードする核酸を患者に送達することを含む。別の実施形態では、患者は、アトピー性皮膚
炎と診断されている。さらに別の実施形態では、患者は、魚鱗癬と診断されている。ある
特定の実施形態は、美容的状態を処置するための方法に関する。他の実施形態は、組織治
癒を誘導するための方法に関する。一実施形態では、方法は、ヒアルロン酸合成酵素をコ
ードする核酸を患者に送達することを含む。別の実施形態では、美容的状態は、しわ、た
るみ肌、薄い皮膚、変色、及び乾燥肌の群の成員である。さらに別の実施形態では、患者
は、白内障手術を受けている。いつかの実施形態では、核酸は、合成RNAである。他の
実施形態では、方法は、患者の症状のうちの1つ以上の改善をもたらす。他の実施形態は
、タンパク質またはペプチドをコードする核酸を細胞または患者に送達することにより、
適応症を治療するための方法に関する。さらに他の実施形態は、タンパク質またはペプチ
ドをコードする核酸を含む組成物に関する。本発明の方法及び組成物を用いて治療できる
適応症、ならびに本発明の組成物によりコードすることができるタンパク質及びペプチド
は、表1に記載され、制限のためでなく例示のために与えられる。一実施形態では、適応
症は、表1から選択される。別の実施形態では、タンパク質またはペプチドは、表1から
選択される。さらに別の実施形態では、適応症及びまたはタンパク質またはペプチドは、
表1の同じ列から選択される。さらなる実施形態では、目的タンパク質は、UCP1、U
CP2、及びUCP3の群の成員である。他の実施形態は、複数の目的タンパク質を発現
させるように細胞を誘導するための方法に関する。一実施形態では、目的タンパク質は、
リパーゼ、UCP1、UCP2、及びUCP3のグループのうちの少なくとも2つの成員
を含む。別の実施形態では、目的タンパク質は、リパーゼならびにUCP1、UCP2、
及びUCP3の群の成員を含む。別の実施形態では、タンパク質は、遺伝子編集タンパク
質である。さらに別の実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、少なくとも部分的に疾患
の表現型の原因となる遺伝子を標的とする。さらに別の実施形態では、遺伝子編集タンパ
ク質は、表1から選択されるタンパク質をコードする遺伝子を標的とする。さらに別の実
施形態では、遺伝子編集タンパク質は、少なくとも部分的に疾患の表現型の原因となる変
異を、単独または1つ以上の他の分子または遺伝子編集タンパク質との組み合わせのいず
れかで、修正または削除する。
【0086】
【0087】
本発明の追加の例示的目的は、内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる国
際特許公報第WO2013/151671号の表6に記載される化粧品の目的を含む。
【0088】
さらに、本組成物及び方法は、例えば、皮膚のたるみを減少させ、皮膚の厚みを増大さ
せ、皮膚のボリュームを増大させ、しわの数、しわの長さ及び/またはしわの深さを減少
させ、皮膚のはり、硬さ、色調、及び/または弾力性を増大させ、皮膚の水和ならびに水
分、水流、及び浸透性バランスを保持する能力を増大させ、皮膚脂質のレベルを増大させ
るように生物学的及び/または生理学的プロセスを変更し、細胞外マトリックスならびに
/または接着性及び伝達ポリペプチドを増大させ、皮膚のエネルギー生成、利用、及び保
全を増大させ、酸素利用能を改善し、皮膚細胞の寿命を改善し、皮膚細胞の免疫防御、熱
ショックストレス応答、フリーラジカルを中和する抗酸化防御能力、及び/または毒物防
御を改善し、紫外線からの保護と回復を改善し、皮膚細胞の伝達及び皮膚細胞の神経刺激
伝達を改善し、細胞凝集/接着性を改善し、カルシウムミネラル及び他のミネラル代謝を
改善し、細胞のターンオーバーを改善し、細胞の概日リズムを改善するために用いてもよ
い。
【0089】
さらにまた、いつかの実施形態では、本組成物は、疾患、障害及び/もしくは状態を治
療するために用いてもよく、ならびに/または疾患、障害及び/もしくは状態に罹患して
いる対象の外皮系の成員の外観を、変更する、修正する、もしくは変化させてもよく、こ
れらの疾患、障害及び/または状態は、尋常性ざ瘡、夏期ざ瘡、集簇性ざ瘡、化粧ざ瘡(
acne cosmetic)、電撃性ざ瘡、項部ざ瘡ケロイド(acne keloi
dalis nuchae)、機械的ざ瘡、ざ瘡薬の副作用、粟粒性壊疽性ざ瘡(acn
e miliaris necrotica)、壊疽性ざ瘡、紅斑性ざ瘡、光線性角化症
、尋常性ざ瘡、夏期ざ瘡、集簇性ざ瘡、化粧ざ瘡、電撃性ざ瘡、項部ざ瘡ケロイド、機械
的ざ瘡、ざ瘡薬の副作用、粟粒性壊疽性ざ瘡(acne miliaris necro
tica)、壊疽性ざ瘡、紅斑性ざ瘡、急性蕁麻疹、アレルギー性接触皮膚炎、円形脱毛
症、血管浮腫、足白癬、アトピー性皮膚炎、自家感作性皮膚炎、乳児ざ瘡(baby a
cne)、脱毛(balding)、ブラストミセス症(bastomycosis)、
黒色面皰、母斑及び他の皮膚色素沈着問題、吹出物、挫傷、虫咬傷及び虫刺傷、熱傷、蜂
巣炎、ツツガムシ、塩素ざ瘡、コリン性蕁麻疹またはストレス蕁麻疹(uricara)
、慢性蕁麻疹(urticara)、寒冷蕁麻疹(cold type urticar
ia(urticara))、融合性細網状乳頭腫症(confluent and r
eticulated papillomatosis)、うおのめ、嚢胞、頭部粃糠疹
、疱疹性皮膚炎、皮膚描記症、汗疱状湿疹、おむつかぶれ、乾燥肌、発汗異常症、発汗減
少性外胚葉性形成異常(hyprohidrotic ectodermal dysp
lasia)及びX連鎖発汗減少性外胚葉性形成異常(hyprohidrotic e
ctodermal dysplasia)などの外胚葉異形成症、湿疹、疣贅状表皮発
育異常症(epidermaodysplasia)、結節性紅斑、剥脱性ざ瘡、運動誘
発性アナフィラキシー(anaphylasis)、毛嚢炎、皮脂過剰(excess
skin oil)、毛嚢炎、雀卵斑、凍瘡、爪白癬、毛髪密度(hair densi
ty)、毛髪成長速度(hair growth rate)、ハロゲンざ瘡(halo
gen acne)、脱毛症、汗疹、血腫、単純ヘルペス感染症(例えば非生殖器)、化
膿性汗腺炎、蕁麻疹性丘疹、多汗症、色素沈着過度、発汗減少性外胚葉性形成異常、色素
脱失症、膿痂疹、内方発育毛、温熱蕁麻疹(heat type urticaria(
urticara))、陥入爪、小児ざ瘡または新生児ざ瘡、掻痒、刺激性接触皮膚炎、
いんきんたむし、ケロイド、毛孔性角化症、扁平苔癬、硬化性苔癬、顔面播種状粟粒性狼
瘡、肝斑、黒子、伝染性軟属腫、爪成長速度(nail growth rate)、爪
健康状態(nail health)、神経皮膚炎、貨幣状湿疹、職業性ざ瘡、油性ざ瘡
、爪真菌症、物理的蕁麻疹(urticara)、毛巣嚢胞、ジベルばら色粃糠疹、癜風
、ウルシかぶれ、ポマードざ瘡(pomade acne)、偽性毛嚢炎(pseudo
folliculitis barbae)または項部ざ瘡ケロイド、乾癬、乾癬性関節
炎、圧蕁麻疹または遅発性圧蕁麻疹(pressure or delayed pre
ssue urticaria(urticara))、切傷及び擦り傷などの刺傷、発
疹、希少蕁麻疹または水蕁麻疹(rare or water type urtica
ria(urticara))、鼻形成術、白癬、酒さ、ロスムンド・トムソン症候群、
皮膚のたるみ、疥癬(scabis)、瘢痕、脂漏症、脂漏性皮膚炎、帯状疱疹、皮膚癌
、皮膚垂(skin tag)、日光蕁麻疹(solar type urticari
a)(urticara)、クモ咬症、伸展線、日光皮膚炎、タールざ瘡、熱帯ざ瘡、皮
膚菲薄化、鷲口瘡、癜風、一過性棘融解性皮膚症、ざ瘡壊死汗疹(tycoon’s c
ap)または粟粒性壊疽性ざ瘡、くすみ(uneven skin tone)、静脈瘤
、静脈性湿疹(venous eczema)、振動血管浮腫、白斑、いぼ、ウェーバー
・クリスチャン病、しわ、X連鎖発汗減少性外胚葉性形成異常、乾燥性湿疹、酵母感染症
、ならびに老化の一般徴候などであるが、これらに限定されない。
【0090】
いつかの実施形態では、本組成物で乾燥肌を治療する方法が提供される。いつかの実施
形態では、プロフィラグリン(フィラグリンに転化されたタンパク質)が、目的タンパク
質である(例えば、尋常性魚鱗癬を治療する場合)。
【0091】
いつかの実施形態では、様々な種類の乾癬(例えば、尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾
癬、逆乾癬(inverse psoriasis)及び乾癬性紅皮症)のうちの任意の
1つを治療する方法が提供される。種々の実施形態では、目的タンパク質は、乾癬感受性
遺伝子1~9(PSORSI-PSORS9)の任意の産物である。
【0092】
種々の実施形態は、湿疹(例えば、アトピー性皮膚炎、貨幣状湿疹、汗疱状湿疹、脂漏
性皮膚炎、刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、発汗異常症、静脈性湿疹、疱疹
性皮膚炎、神経皮膚炎、自家感作性皮膚炎及び乾燥性湿疹)の治療に関し、任意に、次の
フィラグリン、湿疹と関連している3つの遺伝子変異体、OVO様1(OVOL1)、ア
クチン様9(ACTL9)、及びキネシンファミリー成員3、ならびに遺伝子脳由来神経
栄養因子(BDNF)及びタキキニン、前駆体1(TAC1)のうちの1つ以上を、標的
としてもよい。
【0093】
急性蕁麻疹、慢性蕁麻疹(urticara)及び血管浮腫、物理的蕁麻疹(urti
cara)、圧蕁麻疹または遅発性圧蕁麻疹(urticara)、コリン性蕁麻疹また
はストレス蕁麻疹(uricara)、寒冷蕁麻疹(urticara)、温熱蕁麻疹(
urticara)、日光蕁麻疹(urticara)、希少蕁麻疹または水蕁麻疹(u
rticara)、振動血管浮腫、運動誘発性アナフィラキシー(anaphylasi
s)及び皮膚描記症を含むがこれらに限定されない、蕁麻疹性丘疹または蕁麻疹は、例え
ば、PLCG-2を標的とすることにより、本組成物で治療してもよい。
【0094】
種々の実施形態は、紅斑毛細血管拡張型酒さ(erythematotelangie
ctatic(erthematotelangiectatic))、丘疹膿疱性酒さ
、鼻瘤型酒さ(phymatous rosacea)、及び眼性酒さを含むがこれらに
限定されない酒さの治療に関する。任意に、カテリシジン抗菌ペプチド(CAMP)及び
/またはカリクレイン関連ペプチダーゼ5(別名、角質トリプシン酵素(SCTE))が
、目的タンパク質である。
【0095】
いつかの実施形態では、本組成物でざ瘡を治療する方法が提供される。例えば、ざ瘡は
、ざ瘡様発疹、夏期ざ瘡、集簇性ざ瘡、化粧ざ瘡、電撃性ざ瘡、項部ざ瘡ケロイド、機械
的ざ瘡、ざ瘡薬の副作用、粟粒性壊疽性ざ瘡(acne miliaris necro
tica)、壊疽性ざ瘡、紅斑性ざ瘡、乳児ざ瘡、黒色面皰、塩素ざ瘡、剥脱性ざ瘡、ハ
ロゲンざ瘡、小児ざ瘡または新生児ざ瘡、顔面播種状粟粒性狼瘡、職業性ざ瘡、油性ざ瘡
、ポマードざ瘡、タールざ瘡、熱帯ざ瘡、ざ瘡壊死汗疹(tycoon’s cap)ま
たは粟粒性壊疽性ざ瘡、偽性毛嚢炎または項部ざ瘡ケロイド、及び化膿性汗腺炎を含んで
もよいが、これらに限られない。これらの実施形態においては、目的タンパク質は、1つ
以上のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、例えば、マトリックスメタロプロテ
アーゼ-1(MMP-1または間質コラゲナーゼ)、マトリックスメタロプロテアーゼ-
9(MMP-9)、及びマトリックスメタロプロテアーゼ-13(MMP-13)であっ
てもよい。
【0096】
さらなる実施形態では、白斑が、例えば、NLRファミリー、ピリンドメイン含有1遺
伝子(NALP1)遺伝子が標的とされる本組成物で治療される。
【0097】
いつかの実施形態では、本組成物は、発汗減少性外胚葉性形成異常(hyprohid
rotic)(HED)の治療における使用を見出す。
【0098】
いつかの実施形態では、本組成物は、脱毛または薄毛(例えば、男性型脱毛症またはア
ンドロゲン性脱毛症(AGA))の治療における使用を見出し、任意に、次のアンドロゲ
ン受容体(AR)、エクトジスプラシンA2受容体(EDA2R)、及びリゾホスファチ
ジン酸受容体6(P2RY5)のうちの1つ以上が、目的タンパク質であってもよい。
【0099】
本組成物はさらに、例えば、コラーゲン、リボソームs6キナーゼ、分泌される(se
ctrected)リンタンパク質1(別名、オステオポンチン)、またはトランスフォ
ーミング増殖因子β3での、瘢痕及び伸展線(線条)の治療方法における使用を見出す。
【0100】
さらに、疣贅状表皮発育異常症(別名、ルッツ-レバンドウスキー表皮異形成)は、希
少常染色体性劣性遺伝子の遺伝性皮膚障害であり、例えば、標的とされる膜貫通チャネル
様6(EVER1)または膜貫通チャネル様8(EVER2)遺伝子により、本発明の組
成物で治療してもよい。
【0101】
いつかの実施形態では、皮膚のたるみ、菲薄化、またはしわを、例えば、コラーゲン、
エラスチン、線維芽細胞増殖因子7、TIMPメタロペプチダーゼ阻害剤、マトリックス
メタロペプチダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、及び他の細胞外マトリックスタン
パク質、ならびにプロテオグリカンなどの目的タンパク質のうちの1つ以上を標的とする
ことにより、本組成物で治療してもよい。
【0102】
さらなる実施形態は、例えば、メラノサイト刺激ホルモン及び/またはプロオピオメラ
ノコルチンを介する皮膚の日焼けに用いられる。
【0103】
いつかの実施形態では、本組成物は、創傷治療のために用いてもよい。いつかの実施形
態では、本組成物で創傷を治療する方法は、追加の、例えば、創面切除、鋭い創面切除(
創傷からの死んだまたは感染した組織の外科的除去)を含むがこれらに限定されない、壊
死組織を除去するための、酵素などの化学的創面切除剤、創傷に湿った暖かい環境を提供
するための、ならびに組織の修復及び治癒を促進するための創傷被覆材(例えば、ヒドロ
ゲルを含む創傷被覆材(例えば、AQUASORB(登録商標)、DUODERM(登録
商標))、親水コロイドを含む創傷被覆材(例えば、AQUACEL(登録商標)、CO
MFEEL(登録商標))、発泡体を含む創傷被覆材(例えば、LYOFOAM(登録商
標)、SPYROSORB(登録商標))、及びアルギネートを含む創傷被覆材(例えば
、ALGISITE(登録商標)、CURASORB(登録商標)))を任意に含む、創
傷治癒及び閉鎖を容易にするための創傷床を洗浄する工程、細胞分裂及び増殖を刺激する
ための、及び創傷治癒を促進するための成長因子、例えばベカプレルミンの投与のステッ
プ、ならびに(iV)軟組織創傷被覆の工程を備え、皮膚移植は、きれいで治癒していな
い創傷の被覆を得るために必要とすることがある(例えば、自家皮膚移植、死体皮膚移植
、生物工学代用皮膚(例えば、APLIGRAF(登録商標)、DERMAGRAFT(
登録商標)))。
【0104】
種々の実施形態では、種々の癌(例えば、結腸直腸癌、胆嚢癌、肺癌、膵臓癌、及び胃
癌)が、本組成物で治療される。いつかの実施形態では、皮膚癌が、本組成物で治療され
る。例えば、基底細胞癌(BCC)、扁平上皮癌(SCC)、及び黒色腫である。いつか
の実施形態では、本発明の組成物は、周辺の末梢及び深部マージンアセスメント(cir
cumferential peripheral and deep margin
assessment)、モース術、放射線(例えば、外部ビーム放射線療法または近接
照射療法)、化学療法(例えばイミキモドまたは5-フルオロウラシルでの局所的な化学
療法を含むがこれらに限定されない)、ならびに凍結療法を完成させるための補助薬とし
て用いられる(used adjuvant)。本組成物はさらに、癌米国合同委員会(
AJCC)TNMシステムのステージ(例えば、TX、T0、Tis、T1、T1a、T
1b、T2、T2A、T2B、T3、T3a、T3b、T4、T4a、T4b、NX、N
0、N1、N2、N3、M0、M1a、M1b、M1cのうちの1つ以上)及び/または
、ステージングシステム(例えば、ステージ0、ステージIA、ステージIB、ステージ
IIA、ステージIIB、ステージIIC、ステージIIIA、ステージIIIB、ステ
ージIIIC、ステージIV)などの皮膚癌(例えば、基底細胞癌(BCC)、扁平上皮
細胞癌(SCC)及び黒色腫)を含む、種々のステージの癌の治療における使用を見出す
。
【0105】
種々の実施形態では、1つ以上の希少疾患が、本組成物で治療され、実例としては、赤
血球生成プロトポルフィリン症、ヘイリー・ヘイリー病、表皮水疱症(EB)、色素性乾
皮症、エーラス-ダンロス症候群、皮膚弛緩症、プロテインC&プロテインS欠乏症、ア
ルポート症候群、線条掌蹠角皮症、リーサル棘融解EB、弾力線維性偽性黄色腫(PXE
)、魚鱗癬尋常性、天疱瘡尋常性、及び基底細胞母斑症候群が挙げられる。
【0106】
ある特定の状況では、1つには、非動物由来及び/または組換え構成成分が、動物由来
構成成分よりも高い度合いの一貫性で生成することができるために、ならびに、1つには
、非動物由来及び/または組換え構成成分が、動物由来構成成分よりも低い毒性及び/ま
たは病原性物質での汚染の危険を伴うために、非動物由来及び/または組換え構成成分と
、動物由来構成成分を交換することが望ましいことがある。したがって、ある特定の実施
形態は、非動物由来及び/または組換え型であるタンパク質に関する。他の実施形態は、
培地の構成成分の一部または全てが、非動物由来及び/または組換え型である培地に関す
る。
【0107】
他の実施形態は、インビボの細胞をトランスフェクションするための方法に関する。一
実施形態では、インビボの細胞が、1つ以上の核酸でトランスフェクションされ、トラン
スフェクションは、脂質系トランスフェクション試薬などのトランスフェクション試薬を
用いて実施される。一実施形態では、1つ以上の核酸は、少なくとも1つのRNA分子を
含む。別の実施形態では、細胞は、1つ以上の核酸でトランスフェクションされ、1つ以
上の核酸は、p53、TERT、サイトカイン、分泌タンパク質、膜結合タンパク質、酵
素、遺伝子編集タンパク質、クロマチン修飾タンパク質、DNA結合タンパク質、転写因
子、ヒストン脱アセチル化酵素、病原体結合分子パターン、及び腫瘍結合抗原またはその
生物学的に活性なフラグメント、類似体、変異体、もしくはファミリー成員のうちの少な
くとも1つをコードする。別の実施形態では、細胞は、繰り返し、例えば、連続した約1
0日間に少なくとも約2回、または連続した約7日間に少なくとも約3回、または連続し
た約6日間に少なくとも約4回トランスフェクションされる。
【0108】
リプログラミングは、1つ以上のリプログラミング因子をコードする1つ以上の核酸で
細胞をトランスフェクションすることにより実施することができる。リプログラミング因
子の例としては、Oct4タンパク質、Sox2タンパク質、Klf4タンパク質、c-
Mycタンパク質、I-Mycタンパク質、TERTタンパク質、Nanogタンパク質
、Lin28タンパク質、Utf1タンパク質、Aicdaタンパク質、miR200マ
イクロRNA、miR302マイクロRNA、miR367マイクロRNA、miR36
9マイクロRNA、ならびにその生物学的に活性なフラグメント、類似体、変異体、及び
ファミリー成員が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、ある特定の実施形
態は、インビボの細胞をリプログラミングするための方法に関する。一実施形態では、イ
ンビボの細胞は、1つ以上のリプログラミング因子をコードする1つ以上の核酸で細胞を
トランスフェクションすることによりリプログラミングされる。一実施形態では、1つ以
上の核酸は、Oct4タンパク質をコードするRNA分子を含む。別の実施形態では、1
つ以上の核酸はさらに、Sox2タンパク質、Klf4タンパク質、及びc-Mycタン
パク質をコードする1つ以上のRNA分子を含む。さらに別の実施形態では、1つ以上の
核酸はさらに、Lin28タンパク質をコードするRNA分子を含む。一実施形態では、
細胞は、ヒト皮膚細胞であり、ヒト皮膚細胞は、多能性幹細胞にリプログラミングされる
。別の実施形態では、細胞は、ヒト皮膚細胞であり、ヒト皮膚細胞は、グルコース応答性
インスリン産生細胞にリプログラミングされる。リプログラミングすることができる他の
細胞、及び細胞がリプログラミングすることができる他の細胞の例としては、皮膚細胞、
多能性幹細胞、間葉系幹細胞、β細胞、網膜色素上皮細胞、造血細胞、心臓細胞、気道上
皮細胞、神経幹細胞、神経細胞、グリア細胞、骨細胞、血液細胞、及び歯髄幹細胞が挙げ
られるが、これらに限定されない。一実施形態では、細胞は、リプログラミングされた細
胞をサポートする培地に接触する。一実施形態では、培地はさらに、細胞をサポートする
。
【0109】
重要なことに、心筋細胞の成長をサポートする培地で細胞を培養することと組み合わせ
て、Oct4、Sox2、Klf4、及びc-Mycをコードするウイルスに皮膚細胞を
感染させることにより、最初に多能性幹細胞に皮膚細胞をリプログラミングすることなく
、心筋細胞への皮膚細胞のリプログラミングを引き起こすことが報告されている(内容が
参照により本明細書に組み込まれる、Efs et al Nat Cell Biol
.2011;13:215-22を参照のこと)。ある特定の状況では、直接リプログラ
ミング(「分化転換」としても知られる、先に多能性幹細胞に体細胞をリプログラミング
することなく、別の体細胞に1つの体細胞をリプログラミングすること)は、1つには、
多能性幹細胞を培養することは、時間がかかり、高価である可能性があるために、安定し
た多能性幹細胞を樹立し、特徴づけることに伴う追加の処理には、汚染の増大した危険を
伴う可能性があるので、先に多能性幹細胞を生成することに関連した培養の追加の時間に
は、ゲノム不安定性、ならびに、点突然変異、コピー数の変化、及び核型異常を含む突然
変異の獲得の増加した危険を伴う可能性があるので、望ましいことがある。したがって、
ある特定の実施形態は、インビボの体細胞をリプログラミングするための方法に関し、細
胞は体細胞にリプログラミングされ、特徴づけられた多能性幹細胞株は産生されない。
【0110】
ある特定の状況では、他の方法にしたがうよりも少ない総トランスフェクションが、本
発明の方法にしたがって細胞をリプログラミングするために必要とされることがあること
は、さらに発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、インビボの細胞をリプ
ログラミングするための方法に関し、約1~約12のトランスフェクションが連続した約
20日間に実施され、または約4~約10のトランスフェクションが連続した約15日間
に実施され、または約4~約8のトランスフェクションが連続した約10日間に実施され
る。細胞が、核酸分子を含有する培地と接触する場合、細胞はおそらく、同時または異な
る時のいずれかに、2つ以上の核酸分子と接触するようになる、及び/またはそれを内在
化することがあることが認識される。したがって、細胞が、核酸を含有する培地と1回の
み接触する場合でさえ、細胞は、2回以上、例えば、繰り返し核酸と接触することができ
る。
【0111】
注目すべきは、核酸は、1つ以上の非標準的なまたは「改変された」残基(例えば、ア
デニン、グアニン、チミン、ウラシル、及びシトシン、またはそれらの標準ヌクレオシド
、ヌクレオチド、デオキシヌクレオシドもしくはデオキシヌクレオチド誘導体以外の残基
)を含有することができる。特に注目すべきは、プソイドウリジン-5′-三リン酸は、
合成RNAを得るために、インビトロ転写反応で、ウリジン-5′-三リン酸と置換する
ことができ、合成RNAのウリジン残基のうちの多くとも100%は、プソイドウリジン
残基と交換してもよい。インビトロ転写により、プソイドウリジン及び5-メチルシチジ
ンが、それぞれウリジン及びシチジンに完全に置換される場合でさえ、残留した免疫原性
を有するRNAを得ることができる(例えば、内容が参照により本明細書に組み込まれる
、Angel.Reprogramming Human Somatic Cells
to Pluripotency Using RNA[Doctoral Thes
is].Cambridge,MA:MIT;2011を参照のこと)。このため、RN
Aで細胞をトランスフェクションする場合、トランスフェクション培地に免疫抑制剤を添
加することが一般的である。ある特定の状況では、トランスフェクション培地に免疫抑制
剤を添加することは、1つには、この目的のために最も一般的に用いられる組換え免疫抑
制剤B18Rが、高価及び製造困難である可能性があるために、望ましくないことがある
。インビボの細胞は、B18Rまたは任意の他の免疫抑制剤を用いることなく、本発明の
方法にしたがってトランスフェクション及び/またはリプログラミングすることができる
ことが、現在発見された。免疫抑制剤を用いずに、本発明の方法にしたがってインビボの
細胞をリプログラミングすることは、迅速で、効率がよく、信頼性が高い可能性があるこ
とが、さらに発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、トランスフェクショ
ン培地が免疫抑制剤を含有しない、インビボの細胞をトランスフェクションするための方
法に関する。他の実施形態は、トランスフェクション培地が免疫抑制剤を含有しない、イ
ンビボの細胞をリプログラミングするための方法に関する。ある特定の状況では、例えば
、高い細胞密度を用いる場合、トランスフェクション培地に免疫抑制剤を添加することが
有益であることがある。したがって、ある特定の実施形態は、トランスフェクション培地
が免疫抑制剤を含有する、インビボの細胞をトランスフェクションするための方法に関す
る。他の実施形態は、トランスフェクション培地が免疫抑制剤を含有する、インビボの細
胞をリプログラミングするための方法に関する。一実施形態では、免疫抑制剤は、B18
Rまたはその生物学的に活性なフラグメント、類似体、変異体、もしくはファミリー成員
、あるいはデキサメタゾンまたはその誘導体である。一実施形態では、トランスフェクシ
ョン培地は、免疫抑制剤を含有せず、核酸用量は、過度の毒性を防止するように選択され
る。別の実施形態では、核酸用量は、組織1cm2当たり約1mg、または細胞100,
000当たり約1mg未満、または約10mg/kg未満である。
【0112】
本発明のある特定の実施形態にしたがって生成されたリプログラミングされた細胞は、
外来DNA配列を含有せず、不明確であることがあり、毒性及び/または病原性汚染物質
を含有し得る、動物由来またはヒト由来の生成物に曝露しないので、治療的及び/または
美容的用途に好適である。さらに、本発明のある特定の実施形態の高い速度、効率、及び
信頼性により、突然変異及び他の染色体異常の獲得及び蓄積の危険が減少することがある
。したがって、本発明のある特定の実施形態は、治療的及び/または美容的用途で用いら
れるために適切な安全性プロフィールを有する細胞を作成するために用いることができる
。例えば、本発明のRNA及び培地が動物またはヒト由来の構成成分を含有しない培地を
用いて細胞をリプログラミングすることにより、同種異系材料に曝露していない細胞を得
ることができる。したがって、ある特定の実施形態は、望ましい安全性プロフィールを有
するリプログラミングされた細胞に関する。一実施形態では、リプログラミングされた細
胞は、正常な核型を有する。別の実施形態では、リプログラミングされた細胞は、患者ゲ
ノムに対して約5未満のコピー数多型(CNV)、例えば、患者ゲノムに対して約3未満
のコピー数多型を有し、または患者ゲノムに対してコピー数多型を有さない。さらに別の
実施形態では、リプログラミングされた細胞は、正常な核型、及び患者ゲノムに対してコ
ード領域内に約100未満の単一ヌクレオチド変異体、または患者ゲノムに対してコード
領域内に約50未満の単一ヌクレオチド変異体、または患者ゲノムに対してコード領域内
に約10未満の単一ヌクレオチド変異体を有する。
【0113】
エンドトキシン及びヌクレアーゼは、同時精製することができ、及び/または、血清ア
ルブミンなどの他のタンパク質と結合することができる。特に、組換えタンパク質は多く
の場合、産生中に起こる可能性がある細胞の溶解にある程度起因して、結合したエンドト
キシン及びヌクレアーゼの濃度が高い可能性がある。エンドトキシン及びヌクレアーゼは
、例えば、アセチル化による、オクタン酸ナトリウムなどの安定剤の添加に続いて熱処理
することによるもの、アルブミン溶液及び/または培地にヌクレアーゼ阻害剤を添加する
ことによるもの、結晶化によるもの、1つ以上のイオン交換樹脂と接触させることによる
もの、活性炭と接触させることによるもの、分取電気泳動によるもの、またはアフィニテ
ィークロマトグラフィーによるものを含む、本発明の多くの方法にしたがって、減少させ
る、除去する、交換する、または別の方法で不活性化させることができる。エンドトキシ
ン及び/またはヌクレアーゼを、培地から及び/またはそれの1つ以上の構成成分から、
部分的または完全に減少させる、除去する、交換する、または別の方法で不活性化させる
ことにより、細胞がトランスフェクション及びリプログラミングすることができる効率を
増大させることができることが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態
は、トランスフェクション培地が、1つ以上のエンドトキシン及び/またはヌクレアーゼ
を部分的にまたは完全に減少させる、除去する、交換する、または別の方法で不活性化さ
せるように処理される、1つ以上の核酸でインビボの細胞をトランスフェクションするた
めの方法に関する。他の実施形態は、核酸の最小限の分解を引き起こす培地に関する。一
実施形態では、培地は、約1EU/mL未満、または約0.1EU/mL未満、または約
0.01EU/mL未満を含有する。
【0114】
ある特定の状況では、血清アルブミンなどのタンパク質系脂質担体は、メチル-β-シ
クロデキストリンなどの非タンパク質系脂質担体と交換することができる。本発明の培地
はさらに、例えば、トランスフェクションが、脂質担体の存在を必要としないことがある
、または、それから利益を享受しないことがある方法を用いて実施される場合、例えば、
1つ以上のトランスフェクション試薬、ポリマー系トランスフェクション試薬、もしくは
ペプチド系トランスフェクション試薬を用いて、または電気穿孔法を用いて、脂質担体な
しに用いることができる。金属などの多くのタンパク質結合分子は、インビボの細胞に対
し高い毒性がある可能性がある。この毒性は、低減した生存率及び突然変異の獲得を引き
起こす可能性がある。したがって、ある特定の実施形態は、毒性分子を含まない細胞を産
生するさらなる利益を有する。
【0115】
タンパク質の結合分子構成成分は、溶液中でタンパク質を懸濁させること、及び溶液の
伝導率を測定することにより測定することができる。したがって、ある特定の実施形態は
、約10%のタンパク質水溶液が約500μmho/cm未満の伝導率を有する、タンパ
ク質を含有する培地に関する。一実施形態では、溶液は、約50μmho/cm未満の伝
導率を有する。別の実施形態では、約0.65%未満の乾燥重量のタンパク質は脂質を含
み、及び/または約0.35%の乾燥重量のタンパク質は脂肪酸を含まない。
【0116】
インビボの細胞に送達される核酸の量は、核酸の所望の効果を増大させるために、増大
させることができる。しかし、特定の点を超えてインビボの細胞に送達される核酸の量を
増大させることにより、トランスフェクション試薬の毒性にある程度起因して、細胞の生
存率の低減を引き起こす可能性がある。核酸が、一定量のインビボの細胞(例えば、組織
のある領域内の細胞)の集団に送達される場合、各細胞に送達される核酸の量は、細胞の
集団に及び細胞の密集に送達される核酸の総量に依存する可能性があり、細胞密度が高い
と、各細胞に送達されるよりも少ない核酸をもたらすことが、現在発見されている。ある
特定の実施形態では、インビボの細胞は、1つ以上の核酸で2回以上トランスフェクショ
ンされる。特定の条件下では、例えば、細胞が増殖する場合、細胞密度は、1つのトラン
スフェクションから次のトランスフェクションまで変化することがある。したがって、あ
る特定の実施形態は、核酸でインビボの細胞をトランスフェクションするための方法に関
し、細胞は2回以上トランスフェクションされ、細胞に送達される核酸の量が、2つのト
ランスフェクションで異なる。一実施形態では、細胞は、2つのトランスフェクションの
間で増殖し、細胞に送達される核酸の量は、2つのトランスフェクションのうちの1回目
に対するより、2つのトランスフェクションのうちの2回目に対する方が多い。別の実施
形態では、細胞は、3回以上トランスフェクションされ、細胞に送達される核酸の量は、
3つのトランスフェクションのうちの2回目に対する方が、同じ3つのトランスフェクシ
ョンのうちの1回目に対するより多く、細胞に送達される核酸の量は、同じ3つのトラン
スフェクションのうちの3回目に対する方が、同じ3つのトランスフェクションのうちの
2回目に対するより多い。さらに別の実施形態では、細胞は、2回以上トランスフェクシ
ョンされ、各トランスフェクションの間に細胞に送達される核酸の最大量は、少なくとも
2つの連続するトランスフェクションに対し少なくとも約80%の生存率を得るためには
十分に低い。
【0117】
一連のトランスフェクションで、増殖するインビボの細胞の集団に送達される核酸の量
を調節することは、核酸の増大した効果及び細胞の増大した生存率をもたらすことができ
ることが、現在発見されている。ある特定の状況では、インビボの細胞が、一連のトラン
スフェクションで、1つ以上のリプログラミング因子をコードする1つ以上の核酸と接触
する場合、リプログラミングの効率は、一連のトランスフェクションの少なくとも一部に
対し、後のトランスフェクションで送達される核酸の量が先のトランスフェクションで送
達される核酸の量より多い場合に、増大させることができることが、さらに発見されてい
る。したがって、ある特定の実施形態は、1つ以上の核酸が、一連のトランスフェクショ
ンで細胞に繰り返し送達され、細胞に送達される核酸の量が、少なくとも1つの後のトラ
ンスフェクションに対する方が、少なくとも1つの先のトランスフェクションに対するよ
り多い、インビボの細胞をリプログラミングするための方法に関する。一実施形態では、
細胞は、約2~約10回、または約3~約8回、または約4~約6回トランスフェクショ
ンされる。別の実施形態では、1つ以上の核酸が、少なくとも1つのRNA分子を含み、
細胞は約2~約10回トランスフェクションされ、各トランスフェクションで細胞に送達
される核酸の量は、直近の前のトランスフェクションで細胞に送達される核酸の量と同じ
、またはそれより多い。さらに別の実施形態では、1回目のトランスフェクションで細胞
に送達される核酸の量は、約20ng/cm2~約250ng/cm2、または100n
g/cm2~600ng/cm2である。さらに別の実施形態では、細胞は、約12~約
48時間の間隔で約5回トランスフェクションされ、細胞に送達される核酸の量は、1回
目のトランスフェクションに対し約25ng/cm2、2回目のトランスフェクションに
対し約50ng/cm2、3回目のトランスフェクションに対し約100ng/cm2、
4回目のトランスフェクションに対し約200ng/cm2、5回目のトランスフェクシ
ョンに対し約400ng/cm2である。さらに別の実施形態では、細胞はさらに、5回
目のトランスフェクションの後に少なくとも1回トランスフェクションされ、細胞に送達
される核酸の量は、約400ng/cm2である。
【0118】
ある特定の実施形態は、核酸でインビボの細胞をトランスフェクションするための方法
に関し、核酸の量は細胞密度を測定することにより決定され、細胞密度の測定値に基づい
てトランスフェクションするための核酸の量を選択する。一実施形態では、細胞密度は、
光学的手段により測定される。別の実施形態では、細胞は、繰り返しトランスフェクショ
ンされ、細胞密度は、2つのトランスフェクションの間で増大し、トランスフェクション
される核酸の量は、2つのトランスフェクションのうちの2回目に対する方が、2つのト
ランスフェクションのうちの1回目に対するより多い。
【0119】
ある特定の状況では、本発明の培地と接触した細胞のインビボトランスフェクション効
率及び生存率は、培地を馴化することにより改善することができることが、現在発見され
ている。したがって、ある特定の実施形態は、培地を馴化するための方法に関する。他の
実施形態は、馴化される培地に関する。一実施形態では、フィーダーは、線維芽細胞であ
り、培地は約24時間馴化される。他の実施形態は、トランスフェクション培地が馴化さ
れる、インビボの細胞をトランスフェクションするための方法に関する。他の実施形態は
、培地が馴化される、インビボの細胞をリプログラミング及び/または遺伝子編集するた
めの方法に関する。一実施形態では、フィーダーは、例えば、マイトマイシン-Cなどの
化学物質に曝露させることにより、またはガンマ線に曝露させることにより、有糸分裂的
に不活性化される。ある特定の実施形態では、ある程度、例えば理論に拘束されることを
望むものではないが、フィーダーから細胞または患者への疾患伝播の危険を回避するため
に、自己由来材料のみを用いることが有益であることがある。したがって、ある特定の実
施形態は、トランスフェクション培地が馴化され、フィーダーがトランスフェクションさ
れる細胞と同じ個体に由来する、インビボの細胞をトランスフェクションするための方法
に関する。他の実施形態は、培地が馴化され、フィーダーがリプログラミング及び/また
は遺伝子編集される細胞と同じ個体に由来する、インビボの細胞をリプログラミング及び
/または遺伝子編集するための方法に関する。
【0120】
いくつかの分子は、馴化により培地に添加することができる。したがって、ある特定の
実施形態は、馴化培地に存在する、1つ以上の分子が補充される培地に関する。一実施形
態では、培地は、Wnt1、Wnt2、Wnt3、Wnt3a、またはそれらの生物学的
に活性なフラグメント、類似体、変異体、アゴニスト、もしくはファミリー成員が補充さ
れる。別の実施形態では、培地は、TGF-βまたはその生物学的に活性なフラグメント
、類似体、変異体、アゴニスト、もしくはファミリー成員が補充される。さらに別の実施
形態では、インビボの細胞は、培地が約1~約5日の間はTGF-βが補充されず、その
後少なくとも約2日間TGF-βが補充される、本発明の方法にしたがってリプログラミ
ングされる。さらに別の実施形態では、培地は、IL-6、IL-6R、またはそれらの
生物学的に活性なフラグメント、類似体、変異体、アゴニスト、もしくはファミリー成員
が補充される。さらに別の実施形態では、培地は、スフィンゴ脂質または脂肪酸が補充さ
れる。さらに別の実施形態では、スフィンゴ脂質は、リゾホスファチジン酸、リゾスフィ
ンゴミエリン、スフィンゴシン-1-ホスフェート、またはその生物学的に活性な類似体
、変異体、もしくは誘導体である。
【0121】
細胞を有糸分裂的に不活性化することに加えて、ある特定の条件下で、照射は、細胞の
遺伝子発現を変化させることができ、照射されない細胞よりも(that)、細胞に特定
のタンパク質をより少なく、他の特定のタンパク質、例えば、タンパク質のWntファミ
リーの成員をより多く産生させる。加えて、タンパク質のWntファミリーの特定の成員
は、細胞の成長及び形質転換を促進することができる。ある特定の状況では、リプログラ
ミングの効率は、マイトマイシン-C処理されたフィーダーの代わりに照射されたフィー
ダーを用いて馴化される培地と、インビボの細胞を接触させることにより、大幅に増大さ
せることができることが、現在発見されている。照射されたフィーダーを用いた場合に観
察されるリプログラミング効率の増大が、ある程度、フィーダーにより分泌されるWnt
タンパク質により引き起こされることが、さらに発見されている。したがって、ある特定
の実施形態は、細胞が、Wnt1、Wnt2、Wnt3、Wnt3a、またはそれらの生
物学的に活性なフラグメント、類似体、変異体、ファミリー成員、もしくはアゴニスト(
Wntタンパク質の下流標的のアゴニストを含む)、及び/またはWntタンパク質の生
物学的効果のうちの1つ以上を模倣する剤、例えば、2-アミノ-4-[3,4-(メチ
レンジオキシ)ベンジルアミノ]-6-(3-メトキシフェニル)ピリミジンと接触する
、インビボの細胞をリプログラミングするための方法に関する。
【0122】
多くのDNAに基づくリプログラミング方法の効率が低いため、これらの方法は、少数
の細胞のみを含有し得る、患者標本に由来する細胞と用いることが、困難または不可能で
あることがある。対照的に、本発明のある特定の実施形態の高効率性により、単一の細胞
を含む、少数の細胞の信頼できるリプログラミングを可能にすることができる。ある特定
の実施形態は、少数の細胞をリプログラミングするための方法に関する。他の実施形態は
、単一の細胞をリプログラミングするための方法に関する。一実施形態では、細胞は、1
つ以上の酵素と接触する。別の実施形態では、酵素は、コラゲナーゼである。さらに別の
実施形態では、コラゲナーゼは、動物構成成分を含有しない。一実施形態では、コラゲナ
ーゼは、約0.1mg/mL~約10mg/mL、または約0.5mg/mL~約5mg
/mLの濃度で存在する。別の実施形態では、細胞は、血液細胞である。さらに別の実施
形態では、細胞は、患者の血液に由来する1つ以上のタンパク質を含有する培地と接触す
る。さらに別の実施形態では、細胞は、DMEM/F12+2mMのL-アラニル-L-
グルタミン+約5%~約25%の患者由来の血清または約10%~約20%の患者由来の
血清または約20%の患者由来の血清を含む培地と接触する。
【0123】
ある特定の状況では、本発明の培地を用いて、Oct4、Sox2、Klf4、及びc
-MycをコードするRNAの混合物でインビボの細胞をトランスフェクションすること
により、細胞の増殖速度を増大させることができることが、現在発見されている。細胞に
送達されるRNAの量が少なすぎて、細胞の全てがトランスフェクションされたことを確
認できない場合、細胞の一部のみが、増大する増殖速度を表すことがある。個人用にカス
タマイズされた治療薬を作成する場合などのある特定の状況では、細胞の増殖速度を増大
させることは、1つには、そうすることにより、治療薬を作成するために必要な時間を減
少させることができ、その結果、治療薬の費用を減少させることができるために、望まし
いことがある。したがって、ある特定の実施形態は、Oct4、Sox2、Klf4、及
びc-MycをコードするRNAの混合物でインビボの細胞をトランスフェクションする
ための方法に関する。一実施形態では、細胞は、増大した増殖速度を示す。別の実施形態
では、細胞は、リプログラミングされる。
【0124】
多くの疾患は、1つ以上の突然変異と関連する。突然変異は、単独または他の分子との
組み合わせのいずれかで、突然変異を改変するタンパク質をコードする核酸と細胞を接触
させることにより、改変することができる(遺伝子編集の一例)。そのようなタンパク質
の例としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ及びTALENが挙げられる。したがって
、ある特定の実施形態は、核酸が単独または他の分子との組み合わせのいずれかでDNA
分子において一本鎖または二本鎖切断を形成するタンパク質をコードする核酸で、インビ
ボの細胞をトランスフェクションするための方法に関する。一実施形態では、タンパク質
は、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。別の実施形態では、核酸は
、RNA分子である。さらに別の実施形態では、一本鎖または二本鎖切断は、CCR5、
CXCR4、GAD1、GAD2、CFTR、HBA1、HBA2、HBB、HBD、F
ANCA、XPA、XPB、XPC、ERCC2、POLH、HTT、DMD、SOD1
、APOE、PRNP、BRCA1、及びBRCA2またはそれらの類似体、変異体、も
しくはファミリー成員のグループから選択される遺伝子の転写開始部位の約5,000,
000塩基以内にある。さらに別の実施形態では、細胞は、一本鎖もしくは二本鎖切断の
領域にDNA配列の挿入を引き起こすこと、または一本鎖もしくは二本鎖切断の領域のD
NA配列を別の方法で変化させることのいずれかにより修復テンプレートとして作用する
核酸でトランスフェクションされる。さらに別の実施形態では、細胞はリプログラミング
され、その後に細胞は遺伝子編集される。さらに別の実施形態では、細胞は遺伝子編集さ
れ、その後に細胞はリプログラミングされる。さらに別の実施形態では、遺伝子編集及び
リプログラミングは、互いに約7日以内に実施される。さらに別の実施形態では、遺伝子
編集及びリプログラミングは、同時に、または同日に生じる。さらに別の実施形態では、
細胞は、皮膚細胞であり、皮膚細胞は、CCR5遺伝子を阻害するように遺伝子編集され
、皮膚細胞は、造血幹細胞にリプログラミングされ、それによりHIV/AIDSに対す
る治療薬を生成し、治療薬は、HIV/AIDSをもつ患者を治療するために用いられる
。さらに別の実施形態では、皮膚細胞は、治療薬が治療するために用いられる患者と同じ
患者に由来する。
【0125】
本発明の治療薬を生成するように、本発明の方法にしたがって編集できる遺伝子は、正
常な機能を回復させるように編集できる、及び機能を減少または排除するように編集する
ことができる遺伝子を含む。そのような遺伝子としては、突然変異が鎌状赤血球病(SC
D)及びβ-地中海貧血を引き起こす可能性があるβグロビン(HBB);突然変異が乳
癌に対する感受性を増大させる可能性がある、乳癌1、早発型(BRCA1)及び乳癌2
、早発型(BRCA2);突然変異がHIV感染に対する耐性を与える可能性があるC-
Cケモカイン受容体型5(CCR5)及びC-X-Cケモカイン受容体型4(CXCR4
);突然変異が嚢胞性線維症を引きこす可能性がある嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御
因子(CFTR);突然変異が、デュシェンヌ型筋ジストロフィー及びベッカー型筋ジス
トロフィーを含む筋ジストロフィーを引き起こす可能性があるジストロフィン(DMD)
;突然変異がβ-細胞の自己免疫破壊を防止する可能性がある、グルタミン酸デカルボキ
シラーゼ1及びグルタミン酸デカルボキシラーゼ2(GAD1、GAD2);突然変異が
地中海貧血を引き起こす可能性がある、ヘモグロビンα1、ヘモグロビンα2、及びヘモ
グロビンデルタ(HBA1、HBA2、及びHBD);突然変異がハンチントン病を引き
起こす可能性があるハンチントン(HTT);突然変異が筋萎縮性側索硬化症(ALS)
を引き起こす可能性があるスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1);突然変異が色
素性乾皮症を引き起こす可能性がある、XPA、XPB、XPC、XPD(ERCC6)
、及びポリメラーゼ(DNA依存性)、エータ(POLH);突然変異がパーキンソン病
を引き起こす可能性があるロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2);ならびに
突然変異がファンコニ貧血を引き起こす可能性がある、ファンコニ貧血、相補群A、B、
C、D1、D2、E、F、G、I、J、L、M、N、P(FANCA、FANCB、FA
NCC、FANCD1、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、FANC
I、FANCJ、FANCL、FANCM、FANCN、FANCP)、及びRAD51
相同体C(S.セレビシエ)(RAD51C)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
ある特定の実施形態は、核酸を含む治療薬に関する。一実施形態では、核酸は、1つ以
上の遺伝子編集タンパク質をコードする。他の実施形態は、本発明の方法にしたがって、
トランスフェクション、リプログラミング、及び/またはインビボで遺伝子編集される、
1つ以上の細胞を含む治療薬に関する。一実施形態では、細胞は、トランスフェクション
、リプログラミング、及び/または遺伝子編集され、トランスフェクション、リプログラ
ミング、及び/または遺伝子編集された細胞は、患者に導入される。別の実施形態では、
細胞は、トランスフェクション、リプログラミング、及び/または遺伝子編集された細胞
が導入される患者と同じ患者から採取される。本発明の治療薬で治療することができる疾
患の例としては、アルツハイマー病、脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症、嚢胞性線維症、虚
血性及び拡張型心筋症を含む心疾患、黄斑変性症、パーキンソン病、ハンチントン病、糖
尿病、鎌状赤血球貧血、地中海貧血、ファンコニ貧血、色素性乾皮症、筋ジストロフィー
、重症複合免疫不全症、遺伝性感覚神経障害、癌、ならびにHIV/AIDSが挙げられ
るが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、治療薬は、化粧品を含む。一実
施形態では、細胞は患者から採取され、細胞は化粧品を産生するために多数の脂肪細胞に
リプログラミング及び拡張され、化粧品は患者に導入される。さらに別の実施形態では、
化粧品は、組織再生のために用いられる。
【0127】
特定の種類の細胞の産生、及び特定の種類の細胞を含む治療薬の生成に関する詳細な例
が、本明細書で提供されるが、本発明の方法は、例えば、本発明の方法にしたがって細胞
をリプログラミングし、発育中の細胞の微小環境に存在する条件に類似した条件を提供す
ることにより発育の1つ以上の態様を模倣する条件下で細胞を培養することにより、多く
の他の種類の細胞を産生するために、及び多くの他の種類の細胞のうちの1つ以上を含む
治療薬を生成するために用いることができることが認識される。
【0128】
ある特定の実施形態は、種々のヒト白血球抗原(HLA)型を有する細胞のライブラリ
ー(「HLA適合ライブラリー」)に関する。HLA適合ライブラリーは、1つには、患
者が、治療薬が患者の細胞から産生されるのを待つ必要なく、治療薬の迅速な産生及び/
または配布を提供することができるために、有益であることがある。そのようなライブラ
リーは、化粧品の産生にとって、ならびに患者が治療薬または化粧品をすぐに入手できる
ことから利益を享受し得る心疾患ならびに血液及び/または免疫系の疾患の治療にとって
特に有益であることがある。
【0129】
ある特定の非標準ヌクレオチドは、合成RNA分子に組み込まれる場合、ある程度、外
来核酸を検出するタンパク質、例えば、タンパク質キナーゼR、Rig-1、及びオリゴ
アデニル酸シンセターゼファミリーのタンパク質の結合を妨害することにより、合成RN
A分子の毒性を減少させることができる。合成RNAの中に組み込まれる場合に、合成R
NA分子の毒性を減少させることが報告されている非標準ヌクレオチドとしては、プソイ
ドウリジン、5-メチルウリジン、2-チオウリジン、5-メチルシチジン、N6-メチ
ルアデノシン、及びそれらの特定の組み合わせが挙げられる。しかし、非標準ヌクレオチ
ドに合成RNA分子のインビボ毒性を低下させることを可能にすることができる、非標準
ヌクレオチドの化学的特性は、現時点まで、依然として知られていない。さらに、大量の
ほとんどの非標準ヌクレオチド、例えば、5-メチルウリジン、2-チオウリジン、5-
メチルシチジン、及びN6-メチルアデノシンを組み込むことにより、合成RNA分子が
タンパク質に翻訳することができる効率を減少させる可能性があり、タンパク質発現を必
要とする用途での、これらのヌクレオチドを含有する合成RNA分子の利用が制限される
。加えて、プソイドウリジンは、合成RNA分子がタンパク質に翻訳することができる効
率を減少させることなく、合成RNA分子中のウリジンと完全に置換することができるが
、ある特定の状況、例えば、頻繁に繰り返しトランスフェクションを実施する場合では、
アデノシン、グアノシン、シチジン、及びプソイドウリジンのみを含有する合成RNA分
子は、過剰な毒性を示す可能性がある。
【0130】
ピリミジンの場合2C位及び/もしくは4C位及び/もしくは5C位に、またはプリン
の場合6C位及び/もしくは7N位及び/もしくは8C位に、1つ以上の置換を含む、1
つ以上の非標準ヌクレオチドを含有する合成RNA分子は、外来核酸を検出するタンパク
質による合成RNA分子の認識を妨害するために、これらの位置で置換する能力にある程
度起因して、標準ヌクレオチドのみを含有する合成RNA分子よりも低い毒性である可能
性があり、さらに、これらの位置での置換は、塩基対形成及び塩基スタッキング相互作用
を有する、これらの位置での置換の妨害の不足にある程度起因して、合成RNA分子がタ
ンパク質に翻訳することができる効率に、最小限の影響を有する可能性があることが、現
在発見されている。
【0131】
【0132】
ピリミジンの場合2C位及び/もしくは4C位及び/もしくは5C位に、またはプリン
の場合6C位及び/もしくは7N位及び/もしくは8C位に、1つ以上の置換を含む非標
準ヌクレオチドの例としては、2-チオウリジン、5-アザウリジン、プソイドウリジン
、4-チオウリジン、5-メチルウリジン、5-アミノウリジン、5-ヒドロキシウリジ
ン、5-メチル-5-アザウリジン、5-アミノ-5-アザウリジン、5-ヒドロキシ-
5-アザウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-アミノプソイドウリジン、5-ヒ
ドロキシプソイドウリジン、4-チオ-5-アザウリジン、4-チオプソイドウリジン、
4-チオ-5-メチルウリジン、4-チオ-5-アミノウリジン、4-チオ-5-ヒドロ
キシウリジン、4-チオ-5-メチル-5-アザウリジン、4-チオ-5-アミノ-5-
アザウリジン、4-チオ-5-ヒドロキシ-5-アザウリジン、4-チオ-5-メチルプ
ソイドウリジン、4-チオ-5-アミノプソイドウリジン、4-チオ-5-ヒドロキシプ
ソイドウリジン、2-チオシチジン、5-アザシチジン、プソイドイソシチジン、N4-
メチルシチジン、N4-アミノシチジン、N4-ヒドロキシシチジン、5-メチルシチジ
ン、5-アミノシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-メチル-5-アザシチジン、5
-アミノ-5-アザシチジン、5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、5-メチルプソイド
イソシチジン、5-アミノプソイドイソシチジン、5-ヒドロキシプソイドイソシチジン
、N4-メチル-5-アザシチジン、N4-メチルプソイドイソシチジン、2-チオ-5
-アザシチジン、2-チオプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-メチルシチジン、2
-チオ-N4-アミノシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシシチジン、2-チオ-5-
メチルシチジン、2-チオ-5-アミノシチジン、2-チオ-5-ヒドロキシシチジン、
2-チオ-5-メチル-5-アザシチジン、2-チオ-5-アミノ-5-アザシチジン、
2-チオ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ-5-メチルプソイドイソシチ
ジン、2-チオ-5-アミノプソイドイソシチジン、2-チオ-5-ヒドロキシプソイド
イソシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-アザシチジン、2-チオ-N4-メチルプ
ソイドイソシチジン、N4-メチル-5-メチルシチジン、N4-メチル-5-アミノシ
チジン、N4-メチル-5-ヒドロキシシチジン、N4-メチル-5-メチル-5-アザ
シチジン、N4-メチル-5-アミノ-5-アザシチジン、N4-メチル-5-ヒドロキ
シ-5-アザシチジン、N4-メチル-5-メチルプソイドイソシチジン、N4-メチル
-5-アミノプソイドイソシチジン、N4-メチル-5-ヒドロキシプソイドイソシチジ
ン、N4-アミノ-5-アザシチジン、N4-アミノプソイドイソシチジン、N4-アミ
ノ-5-メチルシチジン、N4-アミノ-5-アミノシチジン、N4-アミノ-5-ヒド
ロキシシチジン、N4-アミノ-5-メチル-5-アザシチジン、N4-アミノ-5-ア
ミノ-5-アザシチジン、N4-アミノ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、N4-ア
ミノ-5-メチルプソイドイソシチジン、N4-アミノ-5-アミノプソイドイソシチジ
ン、N4-アミノ-5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、N4-ヒドロキシ-5-アザ
シチジン、N4-ヒドロキシプソイドイソシチジン、N4-ヒドロキシ-5-メチルシチ
ジン、N4-ヒドロキシ-5-アミノシチジン、N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシシチ
ジン、N4-ヒドロキシ-5-メチル-5-アザシチジン、N4-ヒドロキシ-5-アミ
ノ-5-アザシチジン、N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、N4-
ヒドロキシ-5-メチルプソイドイソシチジン、N4-ヒドロキシ-5-アミノプソイド
イソシチジン、N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、2-チオ-N
4-メチル-5-メチルシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-アミノシチジン、2-
チオ-N4-メチル-5-ヒドロキシシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-メチル-
5-アザシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-アミノ-5-アザシチジン、2-チオ
-N4-メチル-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-メ
チルプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-アミノプソイドイソシチジン
、2-チオ-N4-メチル-5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-ア
ミノ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-アミノプソイドイソシチジン、2-チオ-N
4-アミノ-5-メチルシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-アミノシチジン、2-
チオ-N4-アミノ-5-ヒドロキシシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-メチル-
5-アザシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-アミノ-5-アザシチジン、2-チオ
-N4-アミノ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-メ
チルプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-アミノプソイドイソシチジン
、2-チオ-N4-アミノ-5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-ヒ
ドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシプソイドイソシチジン、2-
チオ-N4-ヒドロキシ-5-メチルシチジン、N4-ヒドロキシ-5-アミノシチジン
、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ
-5-メチル-5-アザシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-アミノ-5-アザ
シチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ
-N4-ヒドロキシ-5-メチルプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-
5-アミノプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシプソイ
ドイソシチジン、N6-メチルアデノシン、N6-アミノアデノシン、N6-ヒドロキシ
アデノシン、7-デアザアデノシン、8-アザアデノシン、N6-メチル-7-デアザア
デノシン、N6-メチル-8-アザアデノシン、7-デアザ-8-アザアデノシン、N6
-メチル-7-デアザ-8-アザアデノシン、N6-アミノ-7-デアザアデノシン、N
6-アミノ-8-アザアデノシン、N6-アミノ-7-デアザ-8-アザアデノシン、N
6-ヒドロキシアデノシン、N6-ヒドロキシ-7-デアザアデノシン、N6-ヒドロキ
シ-8-アザアデノシン、N6-ヒドロキシ-7-デアザ-8-アザアデノシン、6-チ
オグアノシン、7-デアザグアノシン、8-アザグアノシン、6-チオ-7-デアザグア
ノシン、6-チオ-8-アザグアノシン、7-デアザ-8-アザグアノシン、及び6-チ
オ-7-デアザ-8-アザグアノシンが挙げられるが、これらに限定されない。特定の非
標準ヌクレオチドに対して、代替的な命名体系が存在することに注意を要する。例えば、
ある特定の状況では、5-メチルプソイドウリジンは、「3-メチルプソイドウリジン」
または「N3-メチルプソイドウリジン」または「1-メチルプソイドウリジン」または
「N1-メチルプソイドウリジン」と称することができる。
【0133】
接頭語「アミノ」を含有するヌクレオチドは、ヌクレオチドの所定の位置の原子に結合
される窒素原子を含有する任意のヌクレオチドを指すことができ、例えば、5-アミノシ
チジンは、5-アミノシチジン、5-メチルアミノシチジン、及び5-ニトロシチジンを
指すことができる。同様に、接頭語「メチル」を含むヌクレオチドは、ヌクレオチドの所
定の位置の原子に結合される炭素原子を含有する任意のヌクレオチドを指すことができ、
例えば、5-メチルシチジンは、5-メチルシチジン、5-エチルシチジン、及び5-ヒ
ドロキシメチルシチジンを指すことができ、接頭語「チオ」を含むヌクレオチドは、ヌク
レオチドの所与の位置の原子に結合される硫黄原子を含有する任意のヌクレオチドを指す
ことができ、接頭語「ヒドロキシ」を含有するヌクレオチドは、ヌクレオチドの所与の位
置の原子に結合される酸素原子を含有する任意のヌクレオチドを指すことができ、例えば
、5-ヒドロキシウリジンは、5-ヒドロキシウリジン及び酸素原子がウリジンの5C位
の原子に結合される酸素原子に結合されるメチル基を有するウリジンを指すことができる
。
【0134】
したがって、ある特定の実施形態は、合成RNA分子が、ピリミジンの場合2C位及び
/もしくは4C位及び/もしくは5C位に、またはプリンの場合6C位及び/もしくは7
N位及び/もしくは8C位に、1つ以上の置換を含む1つ以上のヌクレオチドを含有する
合成RNA分子に関する。他の実施形態は、治療薬が1つ以上の合成RNA分子を含有し
、1つ以上の合成RNA分子が、ピリミジンの場合2C位及び/もしくは4C位及び/も
しくは5C位に、またはプリンの場合6C位及び/もしくは7N位及び/もしくは8C位
に、1つ以上の置換を含む1つ以上のヌクレオチドを含有する治療薬に関する。一実施形
態では、治療薬は、トランスフェクション試薬を含む。別の実施形態では、トランスフェ
クション試薬は、カチオン性脂質、リポソーム、またはミセルを含む。さらに別の実施形
態では、リポソームまたはミセルは葉酸を含み、治療用組成物は抗癌活性を有する。別の
実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドウリジン、2-チオウリジン、4-
チオウリジン、5-アザウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-
アミノウリジン、2-チオプソイドウリジン、4-チオプソイドウリジン、5-ヒドロキ
シプソイドウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-アミノプソイドウリジン、プソ
イドイソシチジン、N4-メチルシチジン、2-チオシチジン、5-アザシチジン、5-
ヒドロキシシチジン、5-アミノシチジン、5-メチルシチジン、N4-メチルプソイド
イソシチジン、2-チオプソイドイソシチジン、5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、
5-アミノプソイドイソシチジン、5-メチルプソイドイソシチジン、7-デアザアデノ
シン、7-デアザグアノシン、6-チオグアノシン、及び6-チオ-7-デアザグアノシ
ンのうちの少なくとも1つを含む。別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソ
イドウリジン、2-チオウリジン、4-チオウリジン、5-アザウリジン、5-ヒドロキ
シウリジン、5-メチルウリジン、5-アミノウリジン、2-チオプソイドウリジン、4
-チオプソイドウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、5-メチルプソイドウリジ
ン、及び5-アミノプソイドウリジンのうちの少なくとも1つ、ならびにプソイドイソシ
チジン、N4-メチルシチジン、2-チオシチジン、5‐アザシチジン、5-ヒドロキシ
シチジン、5-アミノシチジン、5-メチルシチジン、N4-メチルプソイドイソシチジ
ン、2-チオプソイドイソシチジン、5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、5-アミノ
プソイドイソシチジン、及び5-メチルプソイドイソシチジンのうちの少なくとも1つを
含む。さらに別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドウリジン、2-チ
オウリジン、4-チオウリジン、5-アザウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチ
ルウリジン、5-アミノウリジン、2-チオプソイドウリジン、4-チオプソイドウリジ
ン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、及び5-メチルプソイドウリジン、5-アミノプ
ソイドウリジンのうちの少なくとも1つ、ならびにプソイドイソシチジン、N4-メチル
シチジン、2-チオシチジン、5-アザシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-アミノ
シチジン、5-メチルシチジン、N4-メチルプソイドイソシチジン、2-チオプソイド
イソシチジン、5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、5-アミノプソイドイソシチジン
、及び5-メチルプソイドイソシチジンのうちの少なくとも1つ、ならびに7-デアザグ
アノシン、6-チオグアノシン及び6-チオ-7-デアザグアノシンのうちの少なくとも
1つを含む。さらに別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、5-メチルシチジン
及び7-デアザグアノシンを含む。別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドはさらに
、プソイドウリジンまたは4-チオウリジンまたは5-メチルウリジンまたは5-アミノ
ウリジンまたは4-チオプソイドウリジンまたは5-メチルプソイドウリジンまたは5-
アミノプソイドウリジンを含む。さらに別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドはさ
らに、7-デアザアデノシンを含む。別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プ
ソイドイソシチジン及び7-デアザグアノシン及び4-チオウリジンを含む。さらに別の
実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドイソシチジンまたは7-デアザグア
ノシン及びプソイドウリジンを含む。さらに別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチド
は、5-メチルウリジン及び5-メチルシチジン及び7-デアザグアノシンを含む。さら
なる実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドウリジンまたは5-メチルプソ
イドウリジン及び5-メチルシチジン及び7-デアザグアノシンを含む。別の実施形態で
は、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドイソシチジン及び7-デアザグアノシン及びプ
ソイドウリジンを含む。一実施形態では、合成RNA分子は、インビボで存在する。
【0135】
特定の非標準ヌクレオチドは、標準的な塩基対形成相互作用及び塩基スタッキング相互
作用に関与する、ならびに対応する標準ヌクレオチドがRNAポリメラーゼと相互作用す
る仕方と同様の仕方でRNAポリメラーゼと相互作用する、これらの特定の非標準ヌクレ
オチドの傾向にある程度起因して、インビトロ転写のために一般に用いられるRNAポリ
メラーゼにより、合成RNA分子に、他の非標準ヌクレオチドよりも効率的に組み込むこ
とができる。その結果、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有する特定のヌクレオチド混
合物は、1つには、これらのヌクレオチド混合物を含有するインビトロ転写反応により多
量の合成RNAを得ることができるために、有益である可能性がある。したがって、ある
特定の実施形態は、ピリミジンの場合2C位及び/もしくは4C位及び/もしくは5C位
に、またはプリンの場合6C位及び/もしくは7N位及び/もしくは8C位に、1つ以上
の置換を含む1つ以上のヌクレオチドを含有するヌクレオチド混合物に関する。ヌクレオ
チド混合物としては、(各ヌクレオチドの前の数は、インビトロ転写反応における非標準
ヌクレオチド三リン酸の代表的分率を表示し、例えば、0.2のプソイドイソシチジンは
、アデノシン-5′-三リン酸、グアノシン-5′-三リン酸、ウリジン-5′-三リン
酸、シチジン-5′-三リン酸、及びプソイドイソシチジン-5′-三リン酸を含有する
反応を指し、プソイドイソシチジン-5′-三リン酸は、量がモル基準または質量基準の
いずれかで測定された状態で、反応に存在するプソイドイソシチジン-5′-三リン酸+
シチジン-5′-三リン酸の総量の0.2倍にほぼ等しい量で反応に存在し、ヌクレオチ
ドの前の2つ以上の数は、代表的分率の範囲を表示する)1.0のプソイドウリジン、0
.1~0.8の2-チオウリジン、0.1~0.8の5-メチルウリジン、0.2~1.
0の5-ヒドロキシウリジン、0.1~1.0の5-アミノウリジン、0.1~1.0の
4-チオウリジン、0.1~1.0の2-チオプソイドウリジン、0.1~1.0の4-
チオプソイドウリジン、0.1~1.0の5-ヒドロキシプソイドウリジン、0.2~1
の5-メチルプソイドウリジン、0.1~1.0の5-アミノプソイドウリジン、0.2
~1.0の2-チオシチジン、0.1~0.8のプソイドイソシチジン、0.2~1.0
の5-メチルシチジン、0.2~1.0の5-ヒドロキシシチジン、0.1~1.0の5
-アミノシチジン、0.2~1.0のN4-メチルシチジン、0.2~1.0の5-メチ
ルプソイドイソシチジン、0.2~1.0の5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、0.
2~1.0の5-アミノプソイドイソシチジン、0.2~1.0のN4-メチルプソイド
イソシチジン、0.2~1.0の2-チオプソイドイソシチジン、0.2~1.0の7-
デアザグアノシン、0.2~1.0の6-チオグアノシン、0.2~1.0の6-チオ-
7-デアザグアノシン、0.2~1.0の8-アザグアノシン、0.2~1.0の7-デ
アザ-8-アザグアノシン、0.2~1.0の6-チオ-8-アザグアノシン、0.1~
0.5の7-デアザアデノシン、及び0.1~0.5のN6-メチルアデノシンが挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0136】
種々の実施形態では、合成RNA組成物または合成ポリヌクレオチド組成物(例えば、
インビトロ転写により調製され得る)は、遺伝コードのアデニンまたは「A」を有する位
置に標準ヌクレオチドを実質的にまたは完全に含有する。本文脈中の「実質的に」という
用語は、少なくとも90%を指す。これらの実施形態においては、合成RNA組成物また
は合成ポリヌクレオチド組成物はさらに、遺伝コードの「G」の位置に7-デアザグアノ
シン、及び対応する標準ヌクレオチド「G」を含有(例えば、で構成)してもよく、Gの
位置の標準及び非標準ヌクレオチドは、5:1~1:5の範囲内に、またはいつかの実施
形態では、2:1~1:2の範囲内にあってもよい。これらの実施形態においては、合成
RNA組成物または合成ポリヌクレオチド組成物はさらに、遺伝コードの「C」の位置に
5-ヒドロキシメチルシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-カルボキシシチジン、及
び5-ホルミルシチジンのうちの1つ以上(例えば、2つ、3つ、または4つ)、ならび
に標準ヌクレオチド「C」を含有(例えば、で構成)してもよく、Cの位置の標準及び非
標準ヌクレオチドは、5:1~1:5の範囲内に、またはいつかの実施形態では、2:1
~1:2の範囲内にあってもよい。いつかの実施形態では、「C」の位置の非標準ヌクレ
オチドの濃度は、前記パラグラフに記載の通りである。これらの実施形態においては、合
成RNA組成物または合成ポリヌクレオチド組成物はさらに、遺伝コードの「U」の位置
に5-ヒドロキシメチルウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-カルボキシウリジン、
及び5-ホルミルウリジンのうちの1つ以上(例えば、2つ、3つ、または4つ)、なら
びに標準ヌクレオチド「U」を含有(例えば、で構成)してもよく、「U」の位置の標準
及び非標準ヌクレオチドは、5:1~1:5の範囲内に、またはいつかの実施形態では、
2:1~1:2の範囲内にあってもよい。いつかの実施形態では、「U」の位置の非標準
ヌクレオチドの濃度は、前記パラグラフに記載の通りである。
【0137】
特定の非標準ヌクレオチドを組み合わせることは、1つには、合成RNA分子の毒性を
低下させる非標準ヌクレオチドの寄与を追加することができるために、有益である可能性
があることが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、例えば、ヌク
レオチド混合物がプソイドイソシチジン及び7-デアザグアノシンの両方を含有し、また
はヌクレオチド混合物がN4-メチルシチジン及び7-デアザグアノシンの両方を含有す
るなど、ヌクレオチド混合物が前記非標準ヌクレオチドのうちの2つ以上を含有するヌク
レオチド混合物に関する。一実施形態では、ヌクレオチド混合物は前記非標準ヌクレオチ
ドのうちの2つ以上を含有し、非標準ヌクレオチドのそれぞれは、前記分率で混合物に存
在する。例えば、ヌクレオチド混合物は、0.1~0.8のプソイドイソシチジン及び0
.2~1.0の7-デアザグアノシンを含有し、またはヌクレオチド混合物は、0.2~
1.0のN4-メチルシチジン及び0.2~1.0の7-デアザグアノシンを含有するな
どである。
【0138】
ある特定の状況、例えば、インビトロ転写反応の収率を最大にすることが、必要でない
または望ましくないことがある場合、前記以外のヌクレオチド画分を用いてもよい。前記
の代表的な分率及び画分の範囲は、通常の純度(90%を超える純度)のヌクレオチド三
リン酸溶液に関連する。これらの及び他のヌクレオチドのより大きい分率は、例えば、高
圧液体クロマトグラフィー(HPLC)などの既存の化学精製技術を用いて、ヌクレオチ
ド三リン酸溶液を精製することにより、または他の手段により達成することができるより
高い純度、例えば、約95%を超える純度または約98%を超える純度または約99%を
超える純度または約99.5%を超える純度のヌクレオチド三リン酸溶液を用いることに
より、用いることができる。一実施形態では、複数の異性体を有するヌクレオチドは、所
望の異性体を高めるように精製される。
【0139】
他の実施形態は、ピリミジンの場合2C位及び/もしくは4C位及び/もしくは5C位
に、またはプリンの場合6C位及び/もしくは7N位及び/もしくは8C位に、1つ以上
の置換を含む1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有する合成RNA分子と細胞を接触させ
ることにより、目的タンパク質を発現させるようにインビボの細胞を誘導するための方法
に関する。さらに他の実施形態は、ピリミジンの場合2C位及び/もしくは4C位及び/
もしくは5C位に、またはプリンの場合6C位及び/もしくは7N位及び/もしくは8C
位に、1つ以上の置換を含む1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有する合成RNA分子と
細胞を接触させることにより、インビボの細胞をトランスフェクション、リプログラミン
グ、及び/または遺伝子編集するための方法に関する。一実施形態では、合成RNA分子
は、インビトロ転写により産生される。一実施形態では、合成RNA分子は、1つ以上の
リプログラミング因子をコードする。別の実施形態では、1つ以上のリプログラミング因
子は、Oct4タンパク質を含む。別の実施形態では、細胞はさらに、Sox2タンパク
質をコードする合成RNA分子と接触する。さらに別の実施形態では、細胞はさらに、K
lf4タンパク質をコードする合成RNA分子と接触する。さらに別の実施形態では、細
胞はさらに、c-Mycタンパク質をコードする合成RNA分子と接触する。さらに別の
実施形態では、細胞はさらに、Lin28タンパク質をコードする合成RNA分子と接触
する。
【0140】
T7 RNAポリメラーゼなどの酵素は、標準及び非標準ヌクレオチドの両方を含有す
るインビトロ転写反応で、標準ヌクレオチドを優先的に組み込むことがある。その結果、
ある特定の分率の非標準ヌクレオチを含有するインビトロ転写反応により、非標準ヌクレ
オチドが反応に存在した分率と異なる、多くの場合それよりも低い分率の非標準ヌクレオ
チドを含有するRNAを得ることがある。したがって、ある特定の実施形態では、ヌクレ
オチド組み込み分率への言及(例えば、「50%のプソイドイソシチジンを含有する合成
RNA分子」または「0.1~0.8のプソイドイソシチジン」)は、そのような反応に
より、非標準ヌクレオチドが反応に存在した分率と異なる分率のヌクレオチドを含有する
RNAを得ることがある場合であっても、所定の分率のヌクレオチドを含有するRNA分
子、及び所定の分率のヌクレオチド(または、ヌクレオチド誘導体、例えば、ヌクレオチ
ド-三リン酸)を含有する反応で合成されるRNA分子の両方を指すことができる。
【0141】
異なるヌクレオチド配列は、代替的コドンを利用することにより、同じタンパク質をコ
ードすることができる。したがって、ある特定の実施形態では、ヌクレオチド組み込み分
率への言及は、所定の分率のヌクレオチドを含有するRNA分子、及び異なるRNA分子
と同じタンパク質をコードするRNA分子の両方を指すことができ、異なるRNA分子は
、所定の分率のヌクレオチドを含有する。
【0142】
ある特定の実施形態は、本発明を実行するために必要とされる1つ以上の材料を含有す
るキットに関する。一実施形態では、キットは、1つ以上の合成RNA分子を含有する。
一実施形態では、キットは、1つ以上のリプログラミング因子及び/または遺伝子編集タ
ンパク質をコードする1つ以上の合成RNA分子を含有する。別の実施形態では、1つ以
上の合成RNA分子は、ピリミジンの場合2C位及び/もしくは4C位及び/もしくは5
C位に、またはプリンの場合6C位及び/もしくは7N位及び/もしくは8C位に、1つ
以上の置換を含む1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有する。別の実施形態では、キット
は、トランスフェクション培地、トランスフェクション試薬、複合体形成培地、及びマト
リックス溶液のうちの1つ以上を含有する。一実施形態では、マトリックス溶液は、フィ
ブロネクチン及び/もしくはビトロネクチン、または組換えフィブロネクチン及び/もし
くは組換えビトロネクチンを含有する。一実施形態では、キットの構成成分のうちの1つ
以上は、複数のアリコートとして存在する。一実施形態では、キットは、核酸トランスフ
ェクション試薬複合体のアリコートを含有する。別の実施形態では、キットは、固体の形
態で、例えば凍結したまたは凍結乾燥したペレットとして、提供される核酸トランスフェ
クション試薬複合体のアリコートを含有する。さらに別の実施形態では、キットは、培地
のアリコートを含み、各アリコートは、化学処理または凍結のいずれかにより、安定化さ
れるトランスフェクション試薬-核酸複合体を含有する。
【0143】
一般にトランスフェクション、及び特にリプログラミングは、反復的でエラーを生じる
傾向にある可能性がある、困難で時間のかかる技術である可能性がある。しかし、これら
の技術は多くの場合は、自動化されたトランスフェクション装置の不足のために、手動で
実施されることが多い。したがって、ある特定の実施形態は、自動化または半自動化され
た仕方で、インビボの細胞をトランスフェクション、リプログラミング、及び/または遺
伝子編集することができるシステムに関する。
【0144】
5-メチルシチジン脱メチル化経路の非標準ヌクレオチド成員は、合成RNA内に組み
込まれる場合、合成RNAがインビボでタンパク質に翻訳することができる効率を増大さ
せることができ、インビボで合成RNAの毒性を低減させることができることが、現在発
見されている。これらの非標準ヌクレオチドは、例えば、5-メチルシチジン、5-ヒド
ロキシメチルシチジン、5-ホルミルシチジン、及び5-カルボキシシチジン(別称「シ
チジン-5-カルボン酸」)を含む。したがって、ある特定の実施形態は、核酸に関する
。いつかの実施形態では、核酸は、インビボで存在する。一実施形態では、核酸は、合成
RNA分子である。別の実施形態では、核酸は、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む。
一実施形態では、核酸は、5-メチルシチジン脱メチル化経路の1つ以上の非標準ヌクレ
オチド成員を含む。別の実施形態では、核酸は、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメ
チルシチジン、5-ホルミルシチジン、及び5-カルボキシシチジンまたはそれらの誘導
体のうちの少なくとも1つを含む。さらなる実施形態では、核酸は、プソイドウリジン、
5-メチルプソイドウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-メチ
ルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、N4-メチルシチジン、N4-アセチルシ
チジン、及び7-デアザグアノシンまたはそれらの誘導体のうちの少なくとも1つを含む
。
【0145】
【0146】
ある特定の実施形態は、タンパク質に関する。他の実施形態は、タンパク質をコードす
る核酸に関する。一実施形態では、タンパク質は目的タンパク質である。別の実施形態で
は、タンパク質は、リプログラミングタンパク質及び遺伝子編集タンパク質から選択され
る。一実施形態では、核酸は、プラスミドである。別の実施形態では、核酸は、ウイルス
にまたはウイルスベクターに存在する。さらなる実施形態では、ウイルスまたはウイルス
ベクターは、複製不能である。さらに別の実施形態では、ウイルスまたはウイルスベクタ
ーは、複製可能である。一実施形態では、ウイルスまたはウイルスベクターは、アデノウ
イルス、レトロウイルス、レンチウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス、ま
たはそれらの天然もしくは操作された変異体、及び操作されたウイルスのうちの少なくと
も1つを含む。
【0147】
非標準ヌクレオチドのある特定の組み合わせにより、合成RNAがインビボでタンパク
質に翻訳することができる効率を増大させること、及びインビボでの合成RNAの毒性を
低減させることにおいて特に有効である可能性があることも、発見されており、例えば、
その組み合わせは、5-メチルウリジン及び5-メチルシチジン、5-ヒドロキシウリジ
ン及び5-メチルシチジン、5-ヒドロキシウリジン及び5-ヒドロキシメチルシチジン
、5-メチルウリジン及び7-デアザグアノシン、5-メチルシチジン及び7-デアザグ
アノシン、5-メチルウリジン、5-メチルシチジン、及び7-デアザグアノシン、なら
びに5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、及び7-デアザグアノシンで
ある。したがって、ある特定の実施形態は、5-メチルウリジン、5-メチルシチジン、
5-ヒドロキシメチルシチジン、及び7-デアザグアノシン、またはそれらの1つ以上の
誘導体のうちの少なくとも2つを含む核酸に関する。他の実施形態は、5-メチルウリジ
ン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、及び7-デアザグアノシン、
またはそれらの1つ以上の誘導体のうちの少なくとも3つを含む核酸に関する。他の実施
形態は、5-メチルウリジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、及
び7-デアザグアノシン、またはそれらの1つ以上の誘導体のうちの全てを含む核酸に関
する。一実施形態では、核酸は、1つ以上の5-メチルウリジン残基、1つ以上の5-メ
チルシチジン残基、及び1つ以上の7-デアザグアノシン残基、または1つ以上の5-メ
チルウリジン残基、1つ以上の5-ヒドロキシメチルシチジン残基、及び1つ以上の7-
デアザグアノシン残基を含む。
【0148】
ある特定の分率の特定の非標準ヌクレオチド及びそれらの組み合わせを含有する合成R
NA分子は、インビボで特に高い翻訳効率ならびに低い毒性を示す可能性があることが、
さらに発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、1つ以上のウリジン残基、
1つ以上のシチジン残基、及び1つ以上のグアノシン残基のうちの少なくとも1つを含み
、及び1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む核酸に関する。一実施形態では、ウリジン残
基の約20%~約80%は、5-メチルウリジン残基である。別の実施形態では、ウリジ
ン残基の約30%~約50%は、5-メチルウリジン残基である。さらなる実施形態では
、ウリジン残基の約40%は、5-メチルウリジン残基である。一実施形態では、シチジ
ン残基の約60%~約80%は、5-メチルシチジン残基である。別の実施形態では、シ
チジン残基の約80%~約100%は、5-メチルシチジン残基である。さらなる実施形
態では、シチジン残基の約100%は、5-メチルシチジン残基である。さらに別の実施
形態では、シチジン残基の約20%~約100%は、5-ヒドロキシメチルシチジン残基
である。一実施形態では、グアノシン残基の約20%~約80%は、7-デアザグアノシ
ン残基である。別の実施形態では、グアノシン残基の約40%~約60%は、7-デアザ
グアノシン残基である。さらなる実施形態では、グアノシン残基の約50%は、7-デア
ザグアノシン残基である。一実施形態では、シチジン残基の約20%~約80%、または
約30%~約60%、または約40%は、N4-メチルシチジン及び/またはN4-アセ
チルシチジン残基である。別の実施形態では、各シチジン残基は5-メチルシチジン残基
である。さらなる実施形態では、シチジン残基の約100%は、5-メチルシチジン残基
及び/または5-ヒドロキシメチルシチジン残基、及び/またはN4-メチルシチジン残
基及び/またはN4-アセチルシチジン残基及び/またはそれらの1つ以上の誘導体であ
る。さらに別の実施形態では、ウリジン残基の約40%は、5-メチルウリジン残基であ
り、シチジン残基の約20%~約100%は、N4-メチルシチジン及び/またはN4-
アセチルシチジン残基であり、グアノシン残基の約50%は、7-デアザグアノシン残基
である。一実施形態では、ウリジン残基の約40%は、5-メチルウリジン残基であり、
シチジン残基の約100%は、5-メチルシチジン残基である。別の実施形態では、ウリ
ジン残基の約40%は、5-メチルウリジン残基であり、グアノシン残基の約50%は、
7-デアザグアノシン残基である。さらなる実施形態では、シチジン残基の約100%は
、5-メチルシチジン残基であり、グアノシン残基の約50%は、7-デアザグアノシン
残基である。さらなる実施形態では、ウリジン残基の約100%は、5-ヒドロキシウリ
ジン残基である。一実施形態では、ウリジン残基の約40%は5-メチルウリジン残基で
あり、シチジン残基の約100%は5-メチルシチジン残基であり、グアノシン残基の約
50%は7-デアザグアノシン残基である。別の実施形態では、ウリジン残基の約40%
は5-メチルウリジン残基であり、シチジン残基の約20%~約100%は5-ヒドロキ
シメチルシチジン残基であり、グアノシン残基の約50%は7-デアザグアノシン残基で
ある。いつかの実施形態では、シチジン残基の100%未満は、5-メチルシチジン残基
である。他の実施形態では、シチジン残基の100%未満は、5-ヒドロキシメチルシチ
ジン残基である。一実施形態では、合成RNA分子の各ウリジン残基は、プソイドウリジ
ン残基または5-メチルプソイドウリジン残基である。別の実施形態では、ウリジン残基
の約100%は、プソイドウリジン残基及び/または5-メチルプソイドウリジン残基で
ある。さらなる実施形態では、ウリジン残基の約100%は、プソイドウリジン残基及び
/または5-メチルプソイドウリジン残基であり、シチジン残基の約100%は、5-メ
チルシチジン残基であり、グアノシン残基の約50%は、7-デアザグアノシン残基であ
る。
【0149】
5-メチルウリジンの代わりに、またはそれと組み合わせて用いることができる他の非
標準ヌクレオチドは、プソイドウリジン、5-ヒドロキシウリジン、及び、5-メチルプ
ソイドウリジン(別称「1-メチルプソイドウリジン」、別称「N1-メチルプソイドウ
リジン)」)、またはそれらの1つ以上の誘導体を含むが、これらに限定されない。5-
メチルシチジン及び/または5-ヒドロキシメチルシチジンの代わりに、またはそれと組
み合わせて用いることができる他の非標準ヌクレオチドは、プソイドイソシチジン、5-
メチルプソイドイソシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-ホルミルシチジン、
5-カルボキシシチジン、N4-メチルシチジン、N4-アセチルシチジン、またはそれ
らの1つ以上の誘導体を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、例え
ば、単一のトランスフェクション、注入、または送達のみを実施する場合、あるいはトラ
ンスフェクション、注入、または送達される細胞、組織、器官、または患者が、特にトラ
ンスフェクション関連の毒性または先天性免疫シグナル伝達に対する感受性がない場合、
非標準ヌクレオチドの分率を減少させることができる。非標準ヌクレオチドの分率を減少
させることは、1つには、非標準ヌクレオチドの分率を減少することにより、核酸のコス
トを減少させることができるために、有益である可能性がある。ある特定の状況では、例
えば、核酸の最小の免疫原性が望まれる場合、非標準ヌクレオチドの分率を増大させるこ
とができる。
【0150】
T7 RNAポリメラーゼなどの酵素は、標準及び非標準ヌクレオチドの両方を含有す
るインビトロ転写反応で、標準ヌクレオチドを優先的に組み込むことがある。その結果、
ある特定の分率の非標準ヌクレオチを含有するインビトロ転写反応により、非標準ヌクレ
オチドが反応に存在した分率と異なる、多くの場合それよりも低い分率の非標準ヌクレオ
チドを含有するRNAを得ることがある。したがって、ある特定の実施形態では、ヌクレ
オチド組み込み分率(例えば、「50%の5-メチルウリジン」)への言及は、そのよう
な反応により、非標準ヌクレオチドが反応に存在した分率と異なる分率のヌクレオチドを
含有する核酸を得ることがある場合であっても、所定の分率のヌクレオチドを含有する核
酸、及び所定の分率のヌクレオチド(または、ヌクレオチド誘導体、例えば、ヌクレオチ
ド-三リン酸)を含有する反応で合成される核酸の両方を指すことができる。加えて、異
なるヌクレオチド配列は、代替的コドンを利用することにより、同じタンパク質をコード
することができる。したがって、ある特定の実施形態では、ヌクレオチド組み込み分率へ
の言及は、所定の分率のヌクレオチドを含有する核酸、及び異なる核酸と同じタンパク質
をコードする核酸の両方を指すことができ、異なる核酸は、所定の分率のヌクレオチドを
含有する。
【0151】
細胞のDNA配列は、遺伝子編集タンパク質と細胞を接触させること、または遺伝子編
集タンパク質を発現させるように細胞を誘導することにより、変更することができる。し
かし、以前に開示された遺伝子編集タンパク質には、低い結合効率及び過剰なオフターゲ
ット活性という欠点があり、これらは、例えば治療的及び美容的用途において、細胞のD
NAに望ましくない突然変異を導入する可能性があり、インビボでのそれらの使用が大幅
に制限される。これらの用途において、患者の細胞に望ましくない突然変異が導入される
と、癌の発症につながる可能性がある。StsIエンドヌクレアーゼ切断ドメイン(配列
番号1)を含む遺伝子編集タンパク質が、高レベルのインビボでのオンターゲット活性を
維持しながら、以前に開示された遺伝子編集タンパク質よりも実質的に低いインビボでの
オフターゲット活性を示す可能性があることが、現在発見されている。遺伝子編集タンパ
ク質:StsI-HA(配列番号2)、StsI-HA2(配列番号3)、StsI-U
HA(配列番号4)、StsI-UHA2(配列番号5)、StsI-HF(配列番号6
)、及びStsI-UHF(配列番号7)のヌクレアーゼドメインとして用いられる場合
に、高いインビボでのオンターゲット活性、低いインビボでのオフターゲット活性、小さ
なサイズ、溶解性、及び他の望ましい特性を示すことができる他の新型の操作されたタン
パク質も発見されている。StsI-HA、StsI-HA2(高活性)、StsI-U
HA、及びStsI-UHA2(超高活性)は、34位及び61位のN末端領域内の特定
のアミノ酸置換にある程度起因して、野生型StsI及び野生型FokIの両方よりも高
いインビボでのオンターゲット活性を示すことができ、一方、StsI-HF(高忠実度
)及びStsI-UHF(超高忠実度)は、141位及び152位のC末端領域内の特定
のアミノ酸置換にある程度起因して、野生型StsI及び野生型FokIの両方よりも低
いインビボでのオフターゲット活性を示すことができる。
【0152】
したがって、ある特定の実施形態は、タンパク質に関する。いつかの実施形態では、タ
ンパク質は、インビボで存在する。他の実施形態では、タンパク質は、ヌクレアーゼドメ
インを含む。一実施形態では、ヌクレアーゼドメインは、FokIエンドヌクレアーゼ(
配列番号53)の切断ドメイン、StsIエンドヌクレアーゼ(配列番号1)、StsI
-HA(配列番号2)、StsI-HA2(配列番号3)、StsI-UHA(配列番号
4)、StsI-UHA2(配列番号5)、StsI-HF(配列番号6)、及びSts
I-UHF(配列番号7)の切断ドメイン、またはそれらの生物学的に活性なフラグメン
トもしくは変異体のうちの1つ以上を含む。
【0153】
特定の新型の反復配列を含むDNA結合ドメインを含む操作された遺伝子編集タンパク
質が、高レベルのインビボでのオンターゲット活性を維持しながら、以前に開示された遺
伝子編集タンパク質よりも低いインビボでのオフターゲット活性を示し得ることも、発見
されている。これらの操作された遺伝子編集タンパク質の一部は、例えば、増大した結合
効率をもたらすことができる、反復配列を接続させるリンカー領域の向上した可動性を含
む、以前に開示された遺伝子編集タンパク質に勝るいくつかの利点を提供することができ
る。したがって、ある特定の実施形態は、複数の反復配列を含むタンパク質に関する。一
実施形態では、反復配列のうちの少なくとも1つは、アミノ酸配列:GabGを含有し、
「a」及び「b」はそれぞれ任意のアミノ酸を表す。一実施形態では、タンパク質は、遺
伝子編集タンパク質である。別の実施形態では、反復配列のうちの1つ以上は、DNA結
合ドメインに存在する。さらなる実施形態では、「a」及び「b」はそれぞれ独立して、
Hグループ及びGグループから選択される。さらに別の実施形態では、「a」及び「b」
はそれぞれ、H及びGである。一実施形態では、アミノ酸配列は、反復配列のC末端の約
5アミノ酸内に存在する。別の実施形態では、アミノ酸配列は、反復配列のC末端に存在
する。いつかの実施形態では、アミノ酸配列GabGの1つ以上のGは、G以外の、例え
ばA、H、またはGGの、1つ以上のアミノ酸と交換される。一実施形態では、反復配列
は、約32~約40のアミノ酸、または約33~約39のアミノ酸、または約34~38
のアミノ酸、または約35~約37のアミノ酸、または約36のアミノ酸、または約32
を超えるアミノ酸、または約33を超えるアミノ酸、または約34を超えるアミノ酸、ま
たは約35を超えるアミノ酸の長さを有する。他の実施形態は、1つ以上の転写活性化因
子様エフェクタードメインを含むタンパク質に関する。一実施形態では、転写活性化因子
様エフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、反復配列を含む。他の実施形態は、
転写活性化因子様エフェクタードメインの反復配列のうちの少なくとも2つの間に、1つ
以上のアミノ酸を挿入することにより作成される複数の反復配列を含むタンパク質に関す
る。一実施形態では、1つ以上のアミノ酸は、少なくとも1つの反復配列のC末端から約
1または約2または約3または約4または約5アミノ酸に挿入される。さらに他の実施形
態は、約1つおきの反復配列が、反復配列の直前または直後の反復配列と異なる長さを有
する複数の反復配列を含むタンパク質に関する。一実施形態では、1つおきの反復配列は
、約36アミノ酸長である。別の実施形態では、1つおきの反復配列は、36アミノ酸長
である。さらに他の実施形態は、複数の反復配列を含むタンパク質に関し、複数の反復配
列は、それぞれ少なくとも36アミノ酸長である少なくとも2つの反復配列を含み、少な
くとも36アミノ酸長である反復配列のうちの少なくとも2つは、36未満のアミノ酸長
である少なくとも1つの反復配列により隔てられている。いつかの実施形態は、例えば、
配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号5
9、及び配列番号60から選択される1つ以上の配列を含むタンパク質に関する。
【0154】
他の実施形態は、DNA結合ドメインを含むタンパク質に関する。いつかの実施形態で
は、DNA結合ドメインは、複数の反復配列を含む。一実施形態では、複数の反復配列は
、標的DNA分子の結合部位の高特異性の認識を可能にする。別の実施形態では、反復配
列のうちの少なくとも2つは、互いに少なくとも約50%、または約60%、または約7
0%、または約80%、または約90%、または約95%、または約98%、または約9
9%の相同性を有する。さらなる実施形態では、反復配列のうちの少なくとも1つは、標
的DNA分子の結合部位に結合することが可能な1つ以上の領域を含む。さらに別の実施
形態では、結合部位は、長さが約1~約5塩基の明確な配列を含む。一実施形態では、D
NA結合ドメインは、ジンクフィンガーを含む。別の実施形態では、DNA結合ドメイン
は、転写活性化因子様エフェクター(TALE)を含む。さらなる実施形態では、複数の
反復配列は、TALEと少なくとも約50%、または約60%、または約70%、または
約80%、または約90%、または約95%、または約98%、または約99%の相同性
を有する少なくとも1つの反復配列を含む。さらに別の実施形態では、遺伝子編集タンパ
ク質は、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖回文反復(CRISPR)結合タ
ンパク質を含む。一実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、核局在化配列を含む。別の
実施形態では、核局在化配列は、アミノ酸配列PKKKRKVを含む。一実施形態では、
遺伝子編集タンパク質は、ミトコンドリア局在化配列を含む。別の実施形態では、ミトコ
ンドリア局在化配列は、アミノ酸配列LGRVIPRKIASRASLMを含む。一実施
形態では、遺伝子編集タンパク質はリンカーを含む。別の実施形態では、リンカーは、ヌ
クレアーゼドメインにDNA結合ドメインを接続させる。さらなる実施形態では、リンカ
ーは、約1~約10アミノ酸長である。いつかの実施形態では、リンカーは、約1、約2
、または約3、または約4、または約5、または約6、または約7、または約8、または
約9、または約10アミノ酸長である。一実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、標的
DNA分子に、ニックまたは二本鎖切断を作成することが可能である。
【0155】
ある特定の実施形態は、インビボの細胞のゲノムを改変するための方法に関し、方法は
、長さが36アミノ酸の1つ以上の反復単位及びエンドヌクレアーゼドメインを含む人工
転写活性化因子様(TAL)エフェクター反復ドメインを含む非自然発生融合タンパク質
をコードする核酸分子をインビボの細胞に導入することを含み、反復ドメインは、所定の
ヌクレオチド配列の認識のために操作され、融合タンパク質は、所定のヌクレオチド配列
を認識する。一実施形態では、細胞は、真核細胞である。別の実施形態では、細胞は動物
細胞である。さらなる実施形態では、細胞は哺乳類細胞である。さらに別の実施形態では
、細胞はヒト細胞である。一実施形態では、細胞は、植物細胞である。別の実施形態では
、細胞は、原核細胞である。いつかの実施形態では、融合タンパク質は、細胞のゲノムが
改変される細胞の核酸にエンドヌクレアーゼの切断を導入する。
【0156】
ある特定の実施形態は、核酸が遺伝子編集タンパク質をコードする核酸を含むインビボ
の細胞のDNA配列を変更するための組成物に関する。他の実施形態は、核酸混合物が、
第1の遺伝子編集タンパク質をコードする第1の核酸及び第2の遺伝子編集タンパク質を
コードする第2の核酸を含む核酸混合物を含む、インビボの細胞のDNA配列を変更する
ための組成物に関する。一実施形態では、第1の遺伝子編集タンパク質の結合部位及び第
2の遺伝子編集タンパク質の結合部位は、同じ標的DNA分子に存在する。別の実施形態
では、第1の遺伝子編集タンパク質の結合部位及び第2の遺伝子編集タンパク質の結合部
位は、約50個未満の塩基、もしくは約40個未満の塩基、もしくは約30個未満の塩基
もしくは約20個未満の塩基、もしくは約10個未満の塩基、または約10個から約25
個の塩基もしくは約15個の塩基によって隔てられている。一実施形態では、第1の遺伝
子編集タンパク質のヌクレアーゼドメイン及び第2の遺伝子編集タンパク質のヌクレアー
ゼドメインは、二量体を形成することが可能である。別の実施形態では、二量体は、標的
DNA分子にニックまたは二本鎖切断を作成することが可能である。
【0157】
ある特定の実施形態は、治療用組成物に関する。他の実施形態は、化粧品組成物に関す
る。いつかの実施形態では、組成物は、修復テンプレートを含む。さらなる実施形態では
、修復テンプレートは、一本鎖DNA分子または二本鎖DNA分子である。
【0158】
他の実施形態は、タンパク質またはタンパク質をコードする核酸を合成するための製造
物品に関する。一実施形態では、物品は核酸である。別の実施形態では、タンパク質は、
DNA結合ドメインを含む。さらなる実施形態では、核酸は、DNA結合ドメインをコー
ドするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、タンパク質は、ヌクレアーゼドメイン
を含む。別の実施形態では、核酸は、ヌクレアーゼドメインをコードするヌクレオチド配
列を含む。一実施形態では、タンパク質は、複数の反復配列を含む。別の実施形態では、
核酸は、複数の反復配列をコードする。さらなる実施形態では、ヌクレアーゼドメインは
、FokI、StsI、StsI-HA、StsI-HA2、StsI-UHA、Sts
I-UHA2、StsI-HF、及びStsI-UHF、またはそれらの天然もしくは操
作された変異体もしくは生物学的に活性なフラグメントから選択される。一実施形態では
、核酸は、RNAポリメラーゼプロモーターを含む。別の実施形態では、RNAポリメラ
ーゼプロモーターは、T7プロモーターまたはSP6プロモーターである。さらなる実施
形態では、核酸は、ウイルスプロモーターを含む。一実施形態では、核酸は、非翻訳領域
を含む。別の実施形態では、核酸は、インビトロ転写テンプレートである。
【0159】
ある特定の実施形態は、インビボでタンパク質を発現させるように細胞を誘導するため
の方法に関する。他の実施形態は、遺伝子編集タンパク質でインビボの細胞をトランスフ
ェクションすること、またはインビボで遺伝子編集タンパク質を発現させるように細胞を
誘導することを含む、インビボの細胞のDNA配列を変更するための方法に関する。さら
に他の実施形態は、インビボの細胞において、目的タンパク質の発現を減少させるための
方法に関する。一実施形態では、細胞は、遺伝子編集タンパク質が標的DNA分子にニッ
クまたは二本鎖切断を形成することが可能である遺伝子編集タンパク質を発現させるよう
に誘導される。別の実施形態では、ニックまたは二本鎖切断は、遺伝子の不活性化をもた
らす。さらに他の実施形態は、インビボで、不活性な、活性の減少した、またはドミナン
トネガティブなタンパク質を作成する方法に関する。一実施形態では、タンパク質は、サ
バイビンである。さらに他の実施形態は、インビボの細胞において、1つ以上の突然変異
を修復するための方法に関する。一実施形態では、細胞は、修復テンプレートと接触する
。別の実施形態では、修復テンプレートは、DNA分子である。さらなる実施形態では、
修復テンプレートは、遺伝子編集タンパク質の結合部位を含有しない。さらに別の実施形
態では、修復テンプレートは、遺伝子編集タンパク質の結合部位を含むDNA配列でコー
ドされるアミノ酸配列をコードする。
【0160】
他の実施形態は、治療的または美容的有効量の、タンパク質またはタンパク質をコード
する核酸を、患者に投与することを含む、患者を治療するための方法に関する。一実施形
態では、治療は、患者の症状のうちの1つ以上が改善されることをもたらす。ある特定の
実施形態は、a.目的タンパク質をコードする核酸でインビボの細胞をトランスフェクシ
ョンすることにより、目的タンパク質を発現させるように細胞を誘導すること、及び/ま
たは、b.インビボの細胞をリプログラミングすることを含む、患者を治療するための方
法に関する。一実施形態では、細胞は、より分化されていない状態にリプログラミングさ
れる。別の実施形態では、細胞は、1つ以上のリプログラミングタンパク質をコードする
1つ以上の合成RNA分子で細胞をトランスフェクションすることにより、リプログラミ
ングされる。さらなる実施形態では、細胞は、分化される。さらに別の実施形態では、細
胞は、皮膚細胞、グルコース応答性インスリン産生細胞、造血細胞、心臓細胞、網膜細胞
、腎細胞、神経細胞、間質細胞、脂肪細胞、骨細胞、筋細胞、卵母細胞、及び精子細胞の
うちの1つに分化される。他の実施形態は、a.遺伝子編集タンパク質をコードする核酸
でインビボの細胞をトランスフェクションすることにより、遺伝子編集タンパク質を発現
させるように細胞を誘導すること、及び/または、b.インビボの細胞をリプログラミン
グすることを含む、患者を治療するための方法に関する。
【0161】
他の実施形態は、複合体形成培地に関する。一実施形態では、複合体形成培地は、約7
を超える、または約7.2を超える、または約7.4を超える、または約7.6を超える
、または約7.8を超える、または約8.0を超える、または約8.2を超える、または
約8.4を超える、または約8.6を超える、または約8.8を超える、または約9.0
を超えるpHを有する。別の実施形態では、複合体形成培地は、トランスフェリンを含む
。さらなる実施形態では、複合体形成培地は、DMEMを含む。さらに別の実施形態では
、複合体形成培地は、DMEM/F12を含む。さらに他の実施形態は、核酸-トランス
フェクション試薬の複合体を形成するための方法に関する。一実施形態では、トランスフ
ェクション試薬は、複合体形成培地とインキュベートされる。別の実施形態では、インキ
ュベーションは、混合工程の前に生じる。さらなる実施形態では、インキュベーション工
程は、約5秒~約5分、または約10秒~約2分、または約15秒~約1分、または約3
0秒~約45秒である。一実施形態では、トランスフェクション試薬は、表2から選択さ
れる。別の実施形態では、トランスフェクション試薬は、脂質または脂質様物質である。
さらなる実施形態では、トランスフェクション試薬は、カチオンを含む。さらに別の実施
形態では、カチオンは、多価カチオンである。さらに別の実施形態では、トランスフェク
ション試薬は、N1-[2-((1S)-1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-
[ジ(3-アミノプロピル)アミノ]ブチルカルボキシアミド)エチル]-3,4-ジ[
オレイルオキシ]-ベンズアミド(別名MVL5)またはその誘導体である。
【0162】
ある特定の実施形態は、インビボで核酸と細胞を接触させることにより、タンパク質を
発現させるように細胞を誘導するための方法に関する。一実施形態では、細胞は、哺乳類
細胞である。別の実施形態では、細胞は、ヒト細胞または齧歯類細胞である。他の実施形
態は、本発明の方法のうちの1つ以上を用いて生成される細胞に関する。一実施形態では
、細胞は、患者に存在する。別の実施形態では、細胞は、患者から分離される。他の実施
形態は、本発明の方法のうちの1つ以上を用いて生成される細胞を含むスクリーニングラ
イブラリーに関する。一実施形態では、スクリーニングライブラリーは、心毒性スクリー
ニング、神経毒性スクリーニング、及び肝毒性スクリーニングを含む毒性スクリーニング
、効力スクリーニング、ハイスループットスクリーニング、ハイコンテントスクリーニン
グ、ならびに他のスクリーニングのうちの少なくとも1つに対し用いられる。
【0163】
他の実施形態は、核酸を含有するキットに関する。一実施形態では、キットは、送達試
薬(別名「トランスフェクション試薬」)を含有する。別の実施形態では、キットは、リ
プログラミングキットである。さらなる実施形態では、キットは、遺伝子編集キットであ
る。他の実施形態は、核酸を生成するためのキットに関する。一実施形態では、キットは
、プソイドウリジン-三リン酸、5-メチルウリジン三リン酸、5-メチルシチジン三リ
ン酸、5-ヒドロキシメチルシチジン三リン酸、N4-メチルシチジン三リン酸、N4-
アセチルシチジン三リン酸、及び7-デアザグアノシン三リン酸、または1つ以上のそれ
らの誘導体のうちの少なくとも2つを含有する。他の実施形態は、核酸を含む治療薬また
は化粧品に関する。一実施形態では、治療薬または化粧品は、医薬組成物である。別の実
施形態では、医薬組成物が配合される。さらなる実施形態では、配合物は、リポソームの
水性懸濁液を含む。リポソーム構成成分の例(Example)は、表2に記載され、制
限のためでなく例示のために与えられる。一実施形態では、リポソームは、1つ以上のポ
リエチレングリコール(PEG)鎖を含む。別の実施形態では、PEGは、PEG200
0である。さらなる実施形態では、リポソームは、1,2-ジステアロイル-sn-グリ
セロ-3-フォスフォエタノールアミン(DSPE)またはその誘導体を含む。一実施形
態では、治療薬は、1つ以上のリガンドを含む。別の実施形態では、治療薬は、アンドロ
ゲン、CD30(TNFRSF8)、細胞透過性ペプチド、CXCR、エストロゲン、上
皮成長因子、EGFR、HER2、葉酸、インスリン、インスリン様成長因子I、インタ
ーロイキン13、インテグリン、プロゲステロン、間質由来因子1、トロンビン、ビタミ
ンD、及びトランスフェリン、またはそれらの生物学的に活性なフラグメントもしくは変
異体のうちの少なくとも1つを含む。さらに他の実施形態は、本発明の方法のうちの1つ
以上を用いて作成される細胞を含む治療薬または化粧品に関する。一実施形態では、治療
薬は、1型糖尿病、虚血性及び拡張型心筋症を含む心疾患、黄斑変性症、パーキンソン病
、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、地中海貧血、ファンコニ貧血、重症複合免疫不全症、
遺伝性感覚神経障害、色素性乾皮症、ハンチントン病、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索
硬化症、アルツハイマー病、癌、ならびに肝炎及びHIV/AIDSを含む感染症のうち
の少なくとも1つを治療するために、患者に投与される。
【0164】
【0165】
いつかの実施形態では、本発明は、全内容が全体として参照により本明細書に組み込ま
れる、米国特許第5,711,964号、同第5,891,468号、同第6,316,
260号、同第6,413,544号、同第6,770,291号、及び同第7,390
,780号に記載される1つ以上の投与技術に関する。
【0166】
ある特定の実施形態は、キャップ0、キャップ1、キャップ2、及びキャップ3、また
はそれらの誘導体から選択される5′キャップ構造を含む核酸に関する。一実施形態では
、核酸は、1つ以上のUTRを含む。別の実施形態では、1つ以上のUTRは、核酸の安
定性を増大させる。さらなる実施形態では、1つ以上のUTRは、αグロビンまたはβグ
ロビン5′UTRを含む。さらに別の実施形態では、1つ以上のUTRは、αグロビンま
たはβグロビン3′UTRを含む。さらに別の実施形態では、合成RNA分子は、αグロ
ビンまたはβグロビン5′UTR、及びαグロビンまたはβグロビン3′UTRを含む。
一実施形態では、5′UTRは、コザックコンセンサス配列と実質的に同様のコザック配
列を含む。別の実施形態では、核酸は、3′ポリ(A)テールを含む。さらなる実施形態
では、3′ポリ(A)テールは、約20nt~約250nt、または約120nt~約1
50ntの長さである。さらなる実施形態では、3′ポリ(A)テールは、約20nt、
または約30nt、または約40nt、または約50nt、または約60nt、または約
70nt、または約80nt、または約90nt、または約100nt、または約110
nt、または約120nt、または約130nt、または約140nt、または約150
nt、または約160nt、または約170nt、または約180nt、または約190
nt、または約200nt、または約210nt、または約220nt、または約230
nt、または約240nt、または約250ntの長さである。
【0167】
他の実施形態は、インビボの細胞をリプログラミングするための方法に関する。一実施
形態では、細胞は、1つ以上の核酸と細胞を接触させることによりリプログラミングされ
る。一実施形態では、細胞は、Oct4タンパク質、Sox2タンパク質、Klf4タン
パク質、c-Mycタンパク質、Lin28タンパク質、またはそれらの生物学的に活性
なフラグメント、変異体、もしくは誘導体のうちの少なくとも1つをコードする複数の核
酸と接触する。別の実施形態では、細胞は、Oct4タンパク質、Sox2タンパク質、
Klf4タンパク質、及びc-Mycタンパク質、またはそれらの1つ以上の生物学的に
活性なフラグメント、変異体、もしくは誘導体を含む複数のタンパク質をコードする複数
の核酸と接触する。さらに他の実施形態は、インビボの細胞を遺伝子編集するための方法
に関する。一実施形態では、細胞は、1つ以上の核酸と細胞を接触させることにより遺伝
子編集される。
【0168】
核酸を含有するリポソーム配合物を含む核酸は、インビボで送達される場合、肝臓及び
/または脾臓内に蓄積する可能性がある。タンパク質をコードする核酸は、肝臓及び脾臓
におけるタンパク質発現を調節することができること、ならびにそのような仕方で用いら
れる核酸は、肝臓及び脾臓疾患の治療のための強力な治療薬を構成することができること
が、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、目的タンパク質をコード
する核酸を患者に送達することにより、肝臓及び/または脾臓疾患を治療するための方法
に関する。他の実施形態は、肝臓及び/または脾臓疾患の治療のために、目的タンパク質
をコードする核酸を含む治療用組成物に関する。治療可能な、肝臓及び/または脾臓の疾
患及び状態は、肝炎、アルコール誘発性肝疾患、薬剤誘発性肝疾患、エプスタインバーウ
イルス感染症、アデノウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症、トキソプラズマ症
、ロッキー山紅斑熱、非アルコール性脂肪性肝疾患、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病
、ジルベール病、ならびに肝臓及び/または脾臓の癌を含むが、これらに限定されない。
【0169】
ある特定の実施形態は、イオン交換樹脂または活性炭で処理されるアルブミン、及び1
つ以上の核酸分子を含む溶液と、インビボの細胞を接触させることを含む、目的タンパク
質を発現させるようにインビボの細胞を誘導するための方法に関し、1つ以上の核酸分子
のうちの少なくとも1つは、目的タンパク質をコードする。一実施形態では、方法は、細
胞が目的タンパク質を発現することをもたらす。別の実施形態では、1つ以上の核酸分子
は、合成RNA分子を含む。一実施形態では、細胞は、皮膚細胞である。別の実施形態で
は、細胞は、筋細胞である。さらに別の実施形態では、細胞は、皮膚線維芽細胞である。
さらに別の実施形態では、細胞は、筋芽細胞である。一実施形態では、目的タンパク質は
、細胞外マトリックスタンパク質である。別の実施形態では、目的タンパク質は、エラス
チン、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、リシルオキシダーゼ
、エラスチン結合タンパク質、成長因子、線維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング増
殖因子β、顆粒球コロニー刺激因子、マトリックスメタロプロテアーゼ、アクチン、フィ
ブリリン、ミクロフィブリル結合糖タンパク質、リシルオキシダーゼ様タンパク質、及び
血小板由来成長因子から選択される。一実施形態では、溶液は、真皮に送達される。別の
実施形態では、送達は、注入による。さらに別の実施形態では、送達は、マイクロニード
ルアレイを用いた注入による。一実施形態では、溶液はさらに、成長因子を含む。別の実
施形態では、成長因子は、線維芽細胞増殖因子及びトランスホーミング増殖因子βから選
択される。さらに別の実施形態では、溶液はさらに、コレステロールを含む。
【0170】
他の実施形態は、コレステロール及び1つ以上の核酸分子を含む溶液とインビボの細胞
を接触させることを含む、目的タンパク質を発現させるようにインビボの細胞を誘導する
ための方法に関し(directed)、1つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは
、目的タンパク質をコードする。一実施形態では、方法は、細胞が目的タンパク質を発現
することをもたらす。さらに他の実施形態は、イオン交換樹脂または活性炭で処理される
アルブミン、及び核酸分子を含む溶液とインビボの細胞を接触させることを含む、核酸分
子でインビボの細胞をトランスフェクションするための方法に関する。一実施形態では、
方法は、細胞が核酸分子でトランスフェクションされることをもたらす。別の実施形態で
は、核酸分子は、dsDNA分子、ssDNA分子、dsRNA分子、ssRNA分子、
プラスミド、オリゴヌクレオチド、合成RNA分子、miRNA分子、mRNA分子、s
iRNA分子のうちの1つである。さらに他の実施形態は、イオン交換樹脂または活性炭
で処理されるアルブミン、及び1つ以上の核酸分子を含む組成物を、患者に送達すること
を含む、患者を治療するための方法に関し、1つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つ
は、目的タンパク質をコードする。一実施形態では、方法は、患者において目的タンパク
質の発現をもたらす。別の実施形態では、方法は、患者の真皮において目的タンパク質の
発現をもたらす。
【0171】
ある特定の実施形態は、イオン交換樹脂または活性炭で処理されるアルブミン、及び核
酸分子を含む化粧品組成物に関する。他の実施形態は、美容的治療物品に関する。一実施
形態では、美容的治療物品は、患者に組成物を送達するように構成される器具を備える。
別の実施形態では、核酸分子は、エラスチンタンパク質またはコラーゲンタンパク質をコ
ードする。さらに他の実施形態は、コレステロールまたはコレステロール類似体、及び1
つ以上の核酸分子を含む、インビボの細胞をトランスフェクションするための溶液に関す
る。一実施形態では、コレステロールまたはコレステロール類似体は、1つ以上の核酸分
子のうちの少なくとも1つに共有結合される。別の実施形態では、コレステロール類似体
は、オキシステロールである。さらに別の実施形態では、コレステロール類似体は、A環
置換、B環置換、D環置換、側鎖置換、コレスタン酸(cholestanoic ac
id)、コレステン酸(cholestenoic acid)、多価不飽和部分、重水
素化部分、フッ素化部分、スルホン化部分、リン酸化部分、及び蛍光部分のうちの1つ以
上を含む。さらに別の実施形態では、方法は、皮膚充填剤、神経毒(実例として、ナトリ
ウムチャネル阻害剤(例えば、テトロドトキシン)、カリウムチャネル阻害剤(例えば、
テトラエチルアンモニウム)、塩素チャネル阻害剤(例えば、クロロトキシン及びクラー
レ)、カルシウムチャネル阻害剤(例えば、コノトキシン)、シナプス小胞放出の阻害剤
(例えば、ボツリヌス毒素及び破傷風毒素)、及び血液脳関門の阻害剤(例えば、アルミ
ニウム、水銀))ならびに修復誘導治療のうちの1つ以上で患者を治療することを含む。
【0172】
例えば、A型ボツリヌス毒素は、本態性眼瞼痙攣、12歳を超える患者の斜視及び片側
顔面痙攣、頸部ジストニア、眉間のしわ、(顔面の)しわの治療について、ならびに多汗
症の治療について、米国食品医薬品局(FDA)により承認されており、B型ボツリヌス
毒素は、頸部ジストニアの治療について承認されている。本組成物は、これらの疾患の治
療において、これらの毒素と組み合わせてもよい。
【0173】
さらに、前述の毒素のうちの任意の1つの組み合わせは、顔のしわ、多動性皮膚線、眉
間のしわ、目尻のしわ、ほうれい線、皮膚障害、鼻唇溝、眼瞼痙攣、斜視、片側顔面痙攣
、及び発汗障害を含むがこれらに限定されない、種々の美容的処置のために、本組成物と
組み合わせて用いてもよい。あるいは、本組成物は、単剤療法として、これらの美容的処
置において、用いてもよい。
【0174】
ある特定の実施形態は、本発明の医薬組成物または化粧品組成物のうちの1つ以上及び
1つ以上の補助療法または美容的治療を含む組み合わせ療法に関する。ある特定の実施形
態では、本発明の医薬組成物または化粧品組成物のうちの1つ以上は、1つ以上の補助療
法または美容的治療で治療を受けている対象に投与される。補助療法及び美容的治療の例
(Example)は、内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第6
1/721,302号の表3及び表5に記載され、制限のためでなく、例示のために与え
られる。
【0175】
【0176】
医薬製剤はさらに、送達試薬(別名「トランスフェクション試薬」)、及び/または賦
形剤を含んでもよい。薬学的に許容される送達試薬、賦形剤、ならびに患者(別名「対象
」)に、医薬製剤を調製及び投与するための方法を含むそれらの調製及び使用方法は、当
技術分野で周知であり、例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願
公開第2008/0213377号を含む多数の刊行物に記載されている。
【0177】
例えば、本発明の組成物は、薬学的に許容される塩の形態をとることができる。そのよ
うな塩は、例えば、全体として参照により本明細書に組み込まれる、J.Pharma.
Sci.66,2-19(1977)、及びThe Handbook of Phar
maceutical Salts;Properties,Selection,an
d Use.P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Ve
rlag,Zurich(Switzerland)2002に記載されているものを含
む。薬学的に許容される塩の非限定例としては、スルフェート、シトレート、アセテート
、オキサレート、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトレート、ビスルフェート、フォスフェ
ート、アシッドフォスフェート(acid phosphate)、イソニコチネート、
ラクテート、サリシレート、アシッドシトレート(acid citrate)、タート
レート、オレート、タンネート、パントテネート、ビタートレート、アスコルベート、ス
クシネート、マレート、ゲンチシネート、フマレート、グルコネート、グルカロネート、
サッカレート、ホルメート、ベンゾエート、グルタメート、メタンスルホネート、エタン
スルホネート、ベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネート、カンファースルホネ
ート、パモエート、フェニルアセテート、トリフルオロアセテート、アクリレート、クロ
ロベンゾエート、ジニトロベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、メトキシベンゾエー
ト、メチルベンゾエート、o-アセトキシベンゾエート、ナフタレン-2-ベンゾエート
、イソブチレート、フェニルブチレート、α-ヒドロキシブチレート、ブチン-1,4-
ジカルボキシレート、ヘキシン-1,4-ジカルボキシレート、カプレート、カプリレー
ト、シナメート、グリコレート、ヘプタノエート、ヒプレート(hippurate)、
マレート、ヒドロキシマレート、マロネート、マンデレート、メシレート、ニコチネート
、フタレート、テラフタレート、プロピオレート、プロピオネート、フェニルプロピオネ
ート、セバケート、スベレート、p-ブロモベンゼンスルホネート、クロロベンゼンスル
ホネート、エチルスルホネート、2-ヒドロキシエチルスルホネート、メチルスルホネー
ト、ナフタレン-1-スルホネート、ナフタレン-2-スルホネート、ナフタレン-1,
5-スルホネート、キシレンスルホネート、タータレート(tartarate);ナト
リウム、カリウム、及びリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム及びマグネ
シウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウム及び亜鉛などの他の金属の水酸
化物;アンモニア及び未置換またはヒドロキシ置換モノ-、ジ-、またはトリ-アルキル
アミンなどの有機アミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-
メチル、N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ-、ビス-、また
はトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミン
、またはトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどのモノ-、ビス-、またはトリ
ス-(2-OH-低級アルキルアミン);N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチ
ル)アミンまたはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミンなどのN,N-ジ-低級アルキ
ル-N-(ヒドロキシル-低級アルキル)-アミン;N-メチル-D-グルカミン;アル
ギニン、リジン、及び同類のものなどのアミノ酸が挙げられる。
【0178】
本医薬組成物は、水ならびにピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油、及び同類のものな
どの、石油、動物、植物、または合成由来のものを含む油などの液体を含む賦形剤を含む
ことができる。医薬賦形剤は、例えば、生理食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプン
糊、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素、及び同類のものとすることができる。
加えて、補助剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤、及び着色剤を用いることができる。一実施形
態では、薬学的に許容される賦形剤は、対象に投与される場合に無菌である。好適な医薬
賦形剤はさらに、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米
、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ナトリウムステアレート、グリセロールモノステアレ
ート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、
水、エタノール、及び同類のものを含む。本明細書に記載される任意の剤はさらに、必要
に応じて少量の湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤を含んでもよい。
【0179】
種々の実施形態では、本明細書に記載される本組成物は、例えば、約1mg/kg~約
100mg/kg、約2.5mg/kg~約50mg/kg、または約5mg/kg~約
25mg/kgの有効用量で投与することができる。何が有効用量と見なされるかの正確
な決定は、サイズ、年齢、及び疾患の種類を含む、各患者に個別の要因に基づき得る。用
量は、本開示及び当技術分野における知識から、当業者により容易に確認される可能性が
ある。例えば、用量は、内容が全体とし参照により組み込まれる参考文献Physici
ans’Desk Reference,66th Edition,PDR Netw
ork;2012Edition(December 27,2011)で決定してもよ
い。
【0180】
本発明の活性組成物は、典型的な医薬製剤を含んでもよい。本発明によるこれらの組成
物の投与は、標的組織がその経路を介して利用可能である限り、任意の一般的な経路を介
してもよい。これは、経口、経鼻、または口内を含む。あるいは、投与は、皮内、皮下、
筋肉内、腹腔内、もしくは静脈内注入によるもの、または癌組織中への直接注入によるも
のでもよい。本明細書に開示される剤はさらに、カテーテルシステムにより投与してもよ
い。そのような組成物は通常、本明細書に記載されるような薬学的に許容される組成物と
して投与される。
【0181】
配合時に、溶液は、投薬配合物と適合する方法で、及び治療的に有効であるような量で
投与してもよい。配合物は、注入可能な液剤、薬剤放出カプセル剤、及び同類のものの種
々の剤形で簡単に投与してもよい。水溶液での非経口投与のために、例えば、溶液は一般
に、適当に緩衝され、液体希釈剤はまず、例えば、十分な生理食塩水またはグルコースで
等張にされる。そのような水溶液は、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内投与の
ために用いてもよい。好ましくは、滅菌水性培地は、当業者に知られているように、特に
本開示に照らして用いられる。
【0182】
代表的対象または患者は、ヒト及び他の霊長類(例えば、チンパンジー及び他の類人猿
ならびにサル種)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、及びウマ)、家庭用哺乳
動物(例えば、イヌ及びネコ)、実験動物(例えば、マウス、ラット、及びモルモットな
どの齧歯類)、ならびに鳥類(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、及び他の家禽鳥、ア
ヒル、ガチョウ、ならびに同類のものなどの、家庭用、野生の、及び狩猟用の鳥)を含む
が、これらに限定されない、任意の脊椎動物を指す。いつかの実施形態では、対象は哺乳
動物である。いつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0183】
本明細書に記載される組成物の投与は、例えば、注入、局所投与、眼投与及び経鼻投与
によるものであってもよい。注入は、皮内、皮下、及び筋肉内などのこれらに限定されな
い注入を含んでもよい。注入は、いつかの実施形態では、電気力(例えば、電気化学にお
ける使用を見出す器具を含むエレクトロポレーション(例えばCLINIPORATOR
,IGEA Srl,Carpi[MO],Italy))に連結してもよい。局所投与
は、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、スプレー、溶液、及び同類のものとしてもよい
が、これらに限定されない。局所投与はさらに、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸、キレート
剤、非キレート非界面活性剤、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリオキシ
エチレン-20-セチルエーテル、胆汁酸及び/または塩と組み合わせた脂肪酸及び/ま
たは塩、ラウリン酸、カプリン酸、及びUDCAと組み合わせたナトリウム塩ならびに同
類のものなどのこれらに限定されない浸透増強剤を含んでもよい。局所投与はさらに、香
料、着色剤、日焼け止め剤、抗菌剤、及び/または保湿剤を含んでもよい。本明細書に記
載される組成物は、額、頭皮、毛包、毛、上まぶた、下まぶた、眉毛、まつげ、眼窩下エ
リア、眼窩周囲のエリア、こめかみ、鼻、鼻梁、頬、舌、鼻唇溝、唇、眼周囲のエリア(
periobicular areas)、あごのライン、耳、首、胸、前腕、上腕、手
のひら、手、指、爪、背中、腹、脇腹、尻、太もも、ふくらはぎ、足、つま先、及び同類
のものなどのこれらに限定されない少なくとも1つの部位に投与してもよい。
【0184】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0185】
本発明はさらに、次の非限定例により説明される。
【実施例0186】
実施例1 RNA合成
緑色蛍光タンパク質またはヒトタンパク質エラスチン、チロシナーゼ、メラノコルチン
1受容体、ヒアルロン酸合成酵素1、ヒアルロン酸合成酵素2、ヒアルロン酸合成酵素3
、III型コラーゲンa1、VII型コラーゲンa1、インターロイキン10、P-セレ
クチン糖タンパク質リガンド1、α-(1,3)-フコシルトランスフェラーゼ(fuc
osyltransferase)のOct4、Sox2、Klf4、c-Myc-2(
T58A)、及びLin28、またはヒト遺伝子XPA、CCR5、TERT、MYC、
及びBIRC5を標的とするTALENをコードし、標準及び非標準ヌクレオチドの種々
の組み合わせを含むRNAを、製造者の指示ならびに本発明者により先に開示された発明
(米国特許出願第13/465,490号(現在米国特許第8,497,124号)、国
際出願第PCT/US12/67966号、米国特許出願第13/931,251号、及
び国際特許出願第PCT/US13/68118号、これら全ての内容は全体として参照
により本明細書に組み込まれる)にしたがって、T7高収率RNA合成キット及びmRN
Aキャップ2′-O-メチルトランスフェラーゼを有するワクシニアキャッピングシステ
ムキット(全てNew England Biolabs,Inc.製)を用いて、DN
Aテンプレートから合成した(表4)。次に、RNAを、100ng/μL~1000n
g/μLまでヌクレアーゼ非含有水で希釈した。ある特定の実験のために、RNAse阻
害剤(Superase・In、Life Technologies Corpora
tion)を、RNA100μg当たり1μLの濃度で添加した。RNA溶液を4Cで保
存した。リプログラミング実験のために、Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc-
2(T58A)、及びLin28をコードするRNAを、3:1:1:1:1のモル比で
混合した。
【0187】
【0188】
「A」はアデノシン-5′-三リン酸を指し、「G」はグアノシン-5′-三リン酸を
指し、「U」はウリジン-5′-三リン酸を指し、「C」はシチジン-5′-三リン酸を
指し、「5mC」は、5-メチルシチジン-5′-三リン酸を指し、「5hmC」は、5
-ヒドロキシメチルシチジン-5′-三リン酸を指し、「5cC」は5-カルボキシシチ
ジン-5′-三リン酸を指し、「5fC」は、5-ホルミルシチジン-5′-三リン酸を
指し、「psU」は、5-プソイドウリジン-5′-三リン酸を指し、「5mU」は、5
-メチルウリジン-5′-三リン酸を指し、「5hU」は、ウリジンの5C位に結合され
る酸素原子に結合されるメチル基を有するウリジンの5′-三リン酸を指し、「7dG」
は7-デアザグアノシン-5′-三リン酸を指す。
【0189】
実施例2 合成RNAでの細胞のトランスフェクション
6ウェルプレートでトランスフェクションするため、2μgのRNA及び6μLのトラ
ンスフェクション試薬(Lipofectamine RNAiMAX、Life Te
chnologies Corporation)を、まず、複合体形成培地(Opti
-MEM、Life Technologies Corporation、またはDM
EM/F12+10μg/mLのインスリン+5.5μg/mLのトランスフェリン+6
.7ng/mLの亜セレン酸ナトリウム+2μg/mLのエタノールアミン)で別々に希
釈して、それぞれ60μLの総量にした。次に、希釈されたRNA及びトランスフェクシ
ョン試薬を、トランスフェクション試薬の製造者の指示にしたがって、混合し、室温で1
5分間インキュベートした。次に、複合体を、培養中の細胞に添加した。12μL~24
0μLの複合体を、1ウェル当たり2mLのトランスフェクション培地を既に含有してい
た6ウェルプレートの各ウェルに添加した。プレートを穏やかに振盪して、複合体をウェ
ル全体に分配させた。細胞を4時間から一晩、複合体とインキュベートした後、培地を新
しいトランスフェクション培地(2mL/ウェル)と交換した。量を、24ウェル及び9
6ウェルプレートでのトランスフェクションのために減らした。あるいは、0.5μg~
5μgのRNA、及びRNA1μg当たり2~3μLのトランスフェクション試薬(Li
pofectamine 2000、Life Technologies Corpo
ration)を、まず、複合体形成培地(Opti-MEM、Life Techno
logies Corporation、またはDMEM/F12+10μg/mLのイ
ンスリン+5.5μg/mLのトランスフェリン+6.7ng/mLの亜セレン酸ナトリ
ウム+2μg/mLのエタノールアミン)で別々に希釈して、それぞれ5μL~100μ
Lの総量にした。次に、希釈したRNA及びトランスフェクション試薬を、混合し、室温
で10分間インキュベートした。次に、複合体を、培養中の細胞に添加した。10μL~
200μLの複合体を、1ウェル当たり2mLのトランスフェクション培地を既に含有し
ていた6ウェルプレートの各ウェルに添加した。ある特定の実験では、DMEM+10%
のFBSまたはDMEM+50%のFBSを、トランスフェクション培地の代わりに使用
した。プレートを穏やかに振盪して、複合体をウェル全体に分配させた。細胞を4時間か
ら一晩、複合体とインキュベートした。ある特定の実験では、培地を、トランスフェクシ
ョンの4時間後または24時間後に、新しいトランスフェクション培地(2mL/ウェル
)と交換した。
【0190】
実施例3 非標準ヌクレオチドを含有する合成RNAの毒性及びそれからのタンパク質
翻訳
初代ヒト線維芽細胞を、実施例1したがって合成されたRNAで、実施例2にしたがっ
てトランスフェクションした。トランスフェクションの20~24時間後に、細胞を、O
ct4に対する抗体を用いて固定及び染色した。RNAの相対的な毒性を、固定時の細胞
密度を評価することにより決定した。
【0191】
実施例4 トランスフェクション培地配合物
細胞培養培地を、核酸での細胞の効率的なトランスフェクション及び効率的なリプログ
ラミングをサポートするように作成した(「トランスフェクション培地」):
DMEM/F12+15mMのHEPES+2mMのL-アラニル-L-グルタミン+
10μg/mLのインスリン+5.5μg/mLのトランスフェリン+6.7ng/mL
の亜セレン酸ナトリウム+2μg/mLのエタノールアミン+50μg/mLのL-アス
コルビン酸2-フォスフェートセスキマグネシウム塩水和物+4μg/mLのコレステロ
ール+1μMのヒドロコルチゾン+25μg/mLのポリオキシエチレンソルビタンモノ
オレート+2μg/mLのD-α-トコフェロールアセテート+20ng/mLのbFG
F+5mg/mLの処理済みヒト血清アルブミン。
【0192】
この培地の変異形態を、多能性幹細胞を含む種々の細胞型のしっかりした長期間培養を
サポートするように作成した(「維持培地」):
DMEM/F12+2mMのL-アラニル-L-グルタミン+10μg/mLのインス
リン+5.5μg/mLのトランスフェリン+6.7ng/mLの亜セレン酸ナトリウム
+2μg/mLのエタノールアミン+50μg/mLのL-アスコルビン酸2-フォスフ
ェートセスキマグネシウム塩水和物+20ng/mLのbFGF+2ng/mLのTGF
-β1。
【0193】
処理済みヒト血清アルブミンが、32mMのナトリウムオクタノエートの添加し、続い
て4時間60Cで加熱し、続いて室温で6時間イオン交換樹脂(AG501-X8(D)
、Bio-Rad Laboratories,Inc.)で処理し、続いて室温で一晩
、デキストランでコーティングされた活性炭(C6241、Sigma-Aldrich
Co.LLC.)で処理し、続いて遠心分離し、濾過し、ヌクレアーゼ非含有水で10
%の溶液に調整し、続いて培地の他の構成成分に添加することにより処理されたトランス
フェクション培地を、別途注記のない限り、本明細書に記載される全ての実施例にトラン
スフェクション培地として用いた。リプログラミング実験のために、細胞を、別途注記の
ない限り、DMEM+10%~20%の血清の、コーティングなしのプレート、またはト
ランスフェクション培地の、フィブロネクチン及びビトロネクチンでコーティングされた
プレートのいずれかにプレーティングした。このトランスフェクション培地を、別途注記
のない限り馴化しなかった。トランスフェクション培地の配合物は、培養される特定の細
胞型のニーズを満たすように調整することができることが認識される。さらに、処理済み
ヒト血清アルブミンは、培地の性能に悪影響を与えることなく、他の処理済みアルブミン
、例えば処理済みウシ血清アルブミンと交換できることが認識される。加えて、他のグル
タミン供給源、例えばL-グルタミンが、L-アラニル-L-グルタミンの代わりに、ま
たはそれに加えて用いることができること、他の緩衝系、例えばフォスフェート、ビカー
ボネートなどが、HEPESの代わりに、またはそれに加えて用いることができること、
他の形態のセレン、例えば亜セレン酸が、亜セレン酸ナトリウムの代わりに、またはそれ
に加えて提供することができること、他の抗酸化剤、例えばL-アスコルビン酸が、L-
アスコルビン酸2-フォスフェートセスキマグネシウム塩水和物及び/またはD-α-ト
コフェロールアセテートの代わりに、またはそれに加えて用いることができること、他の
界面活性剤、例えばPluronic F-68及び/またはPluronic F-1
27が、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレートの代わりに、またはそれに加えて用
いることができること、他の基本培地、例えばMEM、DMEMなどが、DMEM/F1
2の代わりに、またはそれに加えて用いることができること、ならびに、培養培地の構成
成分が、培地の性能に悪影響を与えることなく、例えば、0日目~5日目にTGF-βな
しの培地を用い、次に5日目以降に2ng/mLのTGF-βを含有する培地を用いるこ
とにより、経時的に変動させることができることが認識される。さらに、他の成分、例え
ば脂肪酸、リゾフォスファチジン酸、リゾスフィンゴミエリン、スフィンゴシン-1-フ
ォスフェート、他のスフィンゴ脂質、Y-27632及びチアゾビビンを含むROCK阻
害剤、タンパク質のTGF-β/NODALファミリーの成員、IL-6、タンパク質の
Wntファミリーの成員などが、培地の性能に悪影響を与えることなく、適当な濃度で添
加することができること、ならびに、特定の細胞型の成長を促進または阻害することが知
られている成分、及び/もしくはタンパク質のアゴニスト及び/もしくはアンタゴニスト
、または特定の細胞型の成長を促進または阻害することが知られる他の分子、例えば、ス
フィンゴシン-1-フォスフェート及び多能性幹細胞が、それらの細胞型と用いられる場
合、培地の性能に悪影響を与えることなく、適当な濃度で培地に添加することができるこ
とが認識される。本発明はまた、精製化合物として添加される成分、明確な混合物の部分
として添加される成分、複合体または不確定な混合物、例えば動物または植物油の部分と
して添加される成分、及び生物学的プロセス、例えば馴化により添加される成分に関する
。構成成分の濃度は、培地の性能に悪影響を与えることなく、当業者にとって明白となる
範囲内で、記載された値から変動させることができる。動物構成成分フリーバージョンの
培地を、組換えバージョンの全てのタンパク質成分及び半合成植物由来コレステロール(
Avanti Polar Lipids,Inc.)を含む非動物由来バージョンの全
ての他の構成成分を用いることにより生成した。
【0194】
実施例5 トランスフェクション培地配合物
培地を、細胞の効率的なトランスフェクション、リプログラミング、及び遺伝子編集を
サポートするように作成した:
DMEM/F12+10μg/mLのインスリン+5.5μg/mLのトランスフェリ
ン+6.7ng/mLの亜セレン酸ナトリウム+20ng/mLのbFGF+5mg/m
Lの処理済みヒト血清アルブミン。
【0195】
培地の変異体を、特定のトランスフェクション試薬、特定の核酸、及び特定の細胞型:
DMEM/F12+10μg/mLのインスリン+5.5μg/mLのトランスフェリン
+6.7ng/mLの亜セレン酸ナトリウム+4.5μg/mLのコレステロール+20
ng/mLのbFGF+5mg/mLの処理済みヒト血清アルブミン、DMEM/F12
+10μg/mLのインスリン+5.5μg/mLのトランスフェリン+6.7ng/m
Lの亜セレン酸ナトリウム+1μMのヒドロコルチゾン+20ng/mLのbFGF+5
mg/mLの処理済みヒト血清アルブミン、及びDMEM/F12+10μg/mLのイ
ンスリン+5.5μg/mLのトランスフェリン+6.7ng/mLの亜セレン酸ナトリ
ウム+4.5μg/mLのコレステロール+1μMのヒドロコルチゾン+20ng/mL
のbFGF+5mg/mLの処理済みヒト血清アルブミンで用いられる場合に、改善され
た性能を提供するように作成した。
【0196】
ある特定の実験において、細胞培養培地に添加した追加の構成成分(例示濃度で記載さ
れた)の例が、15mMのHEPES、2mMのL-アラニル-L-グルタミン、2μg
/mLのエタノールアミン、10μg/mLの脂肪酸、10μg/mLのタラ肝油脂肪酸
(メチルエステル)、25μg/mLのポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、2
μg/mLのD-α-トコフェロールアセテート、1~50μg/mLのL-アスコルビ
ン酸2-フォスフェートセスキマグネシウム塩水和物、200ng/mLのB18R、及
び0.1%のPluronic F-68を含む。
【0197】
培地が馴化されたある特定の実験のために、次の変異体を用いた。
DMEM/F12+15mMのHEPES+2mMのL-アラニル-L-グルタミン+
10μg/mLのインスリン+5.5μg/mLのトランスフェリン+6.7ng/mL
の亜セレン酸ナトリウム+2μg/mLのエタノールアミン+4.5μg/mLのコレス
テロール+10μg/mLのタラ肝油脂肪酸(メチルエステル)+25μg/mLポリオ
キシエチレンソルビタンモノオレート+2μg/mLのD-α-トコフェロールアセテー
ト+1μg/mLのL-アスコルビン酸2-フォスフェートセスキマグネシウム塩水和物
+0.1%のPluronic F-68+20ng/mLのbFGF+5mg/mLの
処理済みヒト血清アルブミン。
【0198】
培地が馴化されなかったある特定の実験のために、次の変異体を用いた。
DMEM/F12+15mMのHEPES+2mMのL-アラニル-L-グルタミン+
10μg/mLのインスリン+5.5μg/mLのトランスフェリン+6.7ng/mL
の亜セレン酸ナトリウム+2μg/mLのエタノールアミン+4.5μg/mLのコレス
テロール+1μMのヒドロコルチゾン+0~25μg/mLのポリオキシエチレンソルビ
タンモノオレート+2μg/mLのD-α-トコフェロールアセテート+50μg/mL
のL-アスコルビン酸2-フォスフェートセスキマグネシウム塩水和物+20ng/mL
のbFGF+5mg/mLの処理済みヒト血清アルブミン。
【0199】
これらの変異体を調製するために、処理済みヒト血清アルブミンを、32mMのオクタ
ン酸ナトリウムを添加し、続いて4時間60Cで加熱し、続いて室温で6時間イオン交換
樹脂(AG501-X8(D))で処理し、続いて室温で一晩、デキストランでコーティ
ングされた活性炭(C6241、Sigma-Aldrich Co.LLC.)で処理
し、続いて遠心分離し、濾過し、ヌクレアーゼ非含有水で10%の溶液に調整し、続いて
培地の他の構成成分に添加することにより処理した。培地が馴化されたある特定の実験の
ために、培地を、照射されたヒト新生児線維芽細胞フィーダー上で24時間馴化した。別
途注記のない限り、細胞を、フィブロネクチンでコーティングされたプレートに、または
フィブロネクチン及びビトロネクチンでコーティングされたプレートにプレーティングし
た。
【0200】
培地の配合物は、培養される特定の細胞型の必要を満たすように調整することができる
。加えて、ある特定の状況では、処理済みヒト血清アルブミンは、他の処理済みアルブミ
ン、例えば処理済みウシ血清アルブミンと交換することができ、他のグルタミン供給源、
例えばL-グルタミンは、L-アラニル-L-グルタミンの代わりに、またはそれに加え
て用いることができ、他の緩衝系、例えば、フォスフェート、ビカーボネートなどは、H
EPESの代わりに、またはそれに加えて用いることができ、他の形態のセレン、例えば
、亜セレン酸は、亜セレン酸ナトリウムの代わりに、またはそれに加えて、提供すること
ができ、他の抗酸化剤、例えば、L-アスコルビン酸は、L-アスコルビン酸2-フォス
フェートセスキマグネシウム塩水和物及び/またはD-α-トコフェロールアセテートの
代わりに、またはそれに加えて用いることができ、他の界面活性剤、例えば、Pluro
nic F-127は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート及び/またはPlu
ronic F-68の代わりに、またはそれに加えて用いることができ、他の基本培地
、例えば、MEM、DMEMなどは、DMEM/F12の代わりに、またはそれに加えて
用いることができ、培養培地の構成成分は、例えば、0日目~5日目はTGF-βなしの
培地を用い、次に、5日目以降は2ng/mLのTGF-βを含有する培地を用いること
により、経時的に変動させることができる。ある特定の状況では、他の成分、例えば、脂
肪酸、リゾフォスファチジン酸、リゾスフィンゴミエリン、スフィンゴシン-1-フォス
フェート、他のスフィンゴ脂質、タンパク質のTGF-β/NODALファミリーの成員
、IL-6、タンパク質のWntファミリーの成員などは、適当な濃度で添加することが
でき、特定の細胞型の成長を促進または阻害することが知られる成分、及び/またはタン
パク質のアゴニスト及び/もしくはアンタゴニスト、または特定の細胞型の成長を促進ま
たは阻害することが知られる他の分子、例えば、スフィンゴシン-1-フォスフェート及
び多能性幹細胞は、それらの細胞型と用いられる場合、適当な濃度で培地に添加すること
ができる。成分は、精製化合物、明確な混合物の部分、複合体または不確定な混合物の部
分、例えば、動物もしくは植物油の形態をとることができ、生物学的プロセス、例えば、
馴化により添加してもよい。構成成分の濃度は、当業者にとって明白となる範囲内で記載
された値から変動させることができる。
【0201】
実施例6 合成RNAでの細胞のトランスフェクション
6ウェルプレートでトランスフェクションするため、2μgのRNA及び6μLのトラ
ンスフェクション試薬(Lipofectamine(商標) RNAiMAX、Lif
e Technologies Corporation)を、まず、複合体形成培地(
Opti-MEM(登録商標)、Life Technologies Corpora
tion)で別々に希釈して、それぞれ60μLの総量にした。次に、希釈されたRNA
及びトランスフェクション試薬を、トランスフェクション試薬の製造者の指示にしたがっ
て、混合し、室温で15分間インキュベートした。次に、複合体を、培養中の細胞に添加
した。30μL~240μLの複合体を、1ウェル当たり2mLのトランスフェクション
培地を既に含有していた6ウェルプレートの各ウェルに添加した。次に、プレートを穏や
かに振盪して、複合体をウェル全体に分配させた。細胞を2時間から一晩、複合体とイン
キュベートした後、培地を新しいトランスフェクション培地(2mL/ウェル)と交換し
た。量を、24ウェル及び96ウェルプレートでのトランスフェクションのために減らし
た。細胞を、Oct4に対する抗体を用いて、トランスフェクションの20~24時間後
に固定及び染色した。核を染色及び計数し、RNAの相対的な毒性を決定した。
【0202】
実施例7 未処理のヒト血清アルブミン製剤の、核酸トランスフェクション及びRNA
リプログラミングをサポートする能力の分析
初代ヒト新生児線維芽細胞を、5mg/mLのHSAを含有または非含有の培地で培養
した。コーンフラクションV(A6784、Sigma-Aldrich Co.LLC
.)及び4つの異なる組換えHSA製剤(Sigma-Aldrich Co.LLC.
製のA6608、A7736、A9731、及びA9986)をスクリーニングした。細
胞を、実施例1したがって合成されたRNAで、実施例2にしたがってトランスフェクシ
ョンした。トランスフェクションされていない細胞は、トランスフェクションされたウェ
ル中の任意のHSA製剤を含有する培地でよく成長したが、HSA製剤のそれぞれにより
、劇的に異なる細胞形態及び細胞密度が得られ、リプログラミングを示す形態上の変化は
もたらされなかった。
【0203】
実施例8 オクタノエートで処理されたヒト血清アルブミンの生成
10%のHSA溶液を、22mMの塩化ナトリウム及び16mMのオクタン酸ナトリウ
ム(Sigma-Aldrich Co.LLC)とプレインキュベートし、完全培地の
構築前の3時間に37Cでインキュベートした。
【0204】
実施例9 イオン交換クロマトグラフィーを用いたヒト血清アルブミンの処理
室温で穏やかに撹拌しながら、10mlのヌクレアーゼ非含有水に2gのHSAを溶解
することにより、ピキア・パストリス(A7736、Sigma-Aldrich Co
.LLC.)で産生された組換えHSAの20%溶液を調製した。次に、まず1gの混合
床脱イオン化樹脂(AG 501-X8(D)、Bio-Rad Laboratori
es,Inc.)を添加し、室温で1時間揺動させることにより、HSA溶液を脱イオン
化した。次に、HSA溶液を、5gの新しい樹脂を含有する管にデカントし、室温で4時
間揺動させた。最後に、脱イオンHSA溶液を、デカントし、ヌクレアーゼ非含有水で1
0%の総タンパク質含有量に調整し、0.2μmのPESメンブレンフィルターを用いて
フィルター滅菌し、4Cで保存した。
【0205】
実施例10 オクタノエートで処理されたヒト血清アルブミンを含有する培地で培養さ
れた細胞のトランスフェクション効率及び生存率の分析
初代ヒト新生児線維芽細胞を、実施例8及び/または実施例9にしたがって処理された
組換えHSAを含有する、または処理済み血漿由来HSA(Bio-Pure HSA、
Biological Industries)を含有する培地中で培養した。0日目か
ら、細胞を、実施例1にしたがって合成したRNAで、実施例2にしたがって毎日トラン
スフェクションした。画像を3日目に撮影した。間葉の上皮への移行に類似した形態変化
を受けている細胞のいくつかの小さいエリアが、オクタノエートを含有するウェルで観察
され、増大したトランスフェクション効率が示された。間葉の上皮への移行に類似した形
態学的変化の多数の広いエリアが、処理済み血漿由来HSAを含有する試料で観察された
。両方の場合において、形態学的変化は、リプログラミングの特徴であった。
【0206】
実施例11 オクタノエート処理されたヒト血清アルブミンを含有する培地を用いたヒ
ト線維芽細胞のリプログラミング
初代ヒト新生児線維芽細胞を、5000細胞/ウェルの密度で、線維芽細胞培地(DM
EM+10%ウシ胎児血清)の6ウェルプレートにプレーティングした。6時間後、培地
を、オクタノエートで処理されたHSAを含有するトランスフェクション培地と交換した
。0日目から、細胞を、実施例1にしたがって合成したRNAで、実施例2にしたがって
毎日トランスフェクションした。5日目までに、ウェルには、リプログラミングに合致す
る形態を示す細胞のいくつかのエリアが含有された。この実験には、フィーダーまたは免
疫抑制剤の使用が含まれなかった。
【0207】
実施例12 イオン交換樹脂で処理されたヒト血清アルブミンを含有する培地で培養さ
れた細胞のトランスフェクション効率及び生存率の分析
0日目から、初代ヒト新生児線維芽細胞を、実施例1したがって合成されたRNAで、
実施例2にしたがってトランスフェクションした。画像を2日目に撮影した。未処理HS
Aを含有するウェル内の細胞は、処理済み血漿由来HSAを含有するウェルまたはイオン
交換樹脂で処理された組換えHSAを含有するウェルのいずれと比較しても低い生存率を
示した。
【0208】
実施例13 イオン交換樹脂で処理されたヒト血清アルブミンを用いたヒト線維芽細胞
のリプログラミング
初代ヒト新生児線維芽細胞を、10,000細胞/ウェルの密度で、線維芽細胞培地(
DMEM+10%ウシ胎児血清)のフィーダー上で6ウェルプレートにプレーティングし
た。0日目から、細胞を、実施例1にしたがって合成したRNAで、実施例2にしたがっ
て毎日トランスフェクションした。1:20の分割比を伴う継代を、4日目に実施した。
画像を10日目に撮影した。ウェルには、リプログラミングに合致する形態を示す細胞の
多くの大きいコロニーが含有された。コロニーは、未処理HSAを含有する細胞培養培地
に曝露したウェル内で観察されなかった。
【0209】
実施例14 フィーダーまたは免疫抑制剤を用いない、ヒト線維芽細胞のリプログラミ
ング
初代ヒト線維芽細胞を、20,000細胞/ウェルの密度で、線維芽細胞培地(DME
M+10%ウシ胎児血清)の6ウェルプレートにプレーティングした。6時間後、培地を
、処理済みHSAを含有する、または免疫抑制剤を含有しないトランスフェクション培地
と交換し、細胞を、RNAの用量を1μg/ウェルまで減少させたこと、及び合計で5回
トランスフェクションを実施したこと除いて、実施例1にしたがって合成したRNAで、
実施例2にしたがって毎日トランスフェクションした。画像を7日目に撮影した。リプロ
グラミングに合致する形態を示す細胞の小さなコロニーが、早くも5日目には見えるよう
になった。7日目に、培地を、DMEM/F12+20%Knockout(商標)Se
rum Replacement(Life Technologies Corpor
ation)+1X非必須アミノ酸+2mMのL-グルタミンと交換し、24時間、照射
したマウス胚性線維芽細胞で馴化し、次に20ng/mLのbFGF及び10μMのY-
27632を補充した。リプログラミングされた形態を有する大きなコロニーが、早くも
8日目には見えるようになった。コロニーを10日目に採取し、基底膜抽出物(Cult
rex(登録商標)Human BME Pathclear(登録商標)、Trevi
gen Inc.)でコーティングされたウェルにプレーティングした。細胞は急速に成
長し、継代されて株を樹立した。樹立された株は、多能性幹細胞マーカーOct4及びS
SEA4に対して陽性染色された。全プロトコルを繰り返し、同様の結果が得られた。
【0210】
実施例15 ヒト皮膚生検組織由来の細胞の効率的で迅速な誘導及びリプログラミング
全層皮膚のパンチ生検を、承認されたプロトコルにしたがって、健康な31歳のボラン
ティアに実施した。要約すると、左上腕の皮膚のエリアに、2.5%のリドカインの局所
適用により麻酔をした。この範囲を70%のイソプロパノールで消毒し、全層皮膚の生検
を直径1.5mmのパンチを用いて実施した。組織を、リン酸緩衝食塩水(PBS)です
すぎ、250μLのTrypLE(商標)Select CTS(商標)(Life T
echnologies Corporation)を含有する1.5mLの管に入れ、
30分間37Cでインキュベートした。次に、組織を、250μLのDMEM/F12-
CTS(商標)(Life Technologies Corporation)+5
mg/mLのコラゲナーゼを含有する1.5mL管へ移し、2時間37Cでインキュベー
トした。表皮を、ピンセットを用いて除去し、組織を機械的に解離させた。細胞を、DM
EM/F12-CTS(商標)で2回すすぎ、24ウェル及び96ウェルプレートのフィ
ブロネクチンでコーティングされたウェルにプレーティングした。さらに、瀉血を同じボ
ランティアに実施し、静脈血をVacutainer(登録商標)SST(商標)管(B
ecton、Dickinson and Company)に収集した。血清を、製造
者のプロトコルにしたがって分離した。同質遺伝子プレーティング培地を、DMEM/F
12-CTS(商標)+2mMのL-アラニル-L-グルタミン(Sigma-Aldr
ich Co.LLC.)+20%のヒト血清を混合することにより調製した。皮膚組織
試料由来の細胞を、トランスフェクション培地または同質遺伝子プレーティング培地のい
ずれかにプレーティングした。2日後、ウェルをすすぎ、培地をトランスフェクション培
地と交換した。線維芽細胞形態を有する多数の細胞が、2日目までに付着し、広がり始め
た。2日目から、細胞を、全量がより小さいウェルに適応させるように減らされた状態で
、実施例1にしたがって合成したRNAで、実施例2にしたがってトランスフェクション
した。5日目までに、リプログラミングに合致する形態を有する細胞のエリアが、観察さ
れた。
【0211】
実施例16 非標準ヌクレオチドを含有する合成RNAを用いたヒト線維芽細胞のリプ
ログラミング
初代ヒト線維芽細胞を、20,000細胞/ウェルの密度で、トランスフェクション培
地の、組換えヒトフィブロネクチン及び組換えヒトビトロネクチン(それぞれを、DME
M/F12中で1μg/mL、1mL/ウェルの濃度まで希釈し、1時間室温でインキュ
ベートした)でコーティングされた6ウェルプレートにプレーティングした。翌日、細胞
を、RNAの用量が1日目に0.5μg/ウェル、2日目に0.5μg/ウェル、及び3
日目に2μg/ウェルであることを除いて、実施例1にしたがって合成されたRNAで、
実施例2のようにトランスフェクションした。画像を4日目に撮影した。リプログラミン
グに合致する形態を示す細胞の小さなコロニーが、4日目に見えた。
【0212】
実施例17 非馴化トランスフェクション培地でのヒト線維芽細胞のリプログラミング
初代ヒト線維芽細胞を、20,000細胞/ウェルの密度で、トランスフェクション培
地の、組換えヒトフィブロネクチン及び組換えヒトビトロネクチン(それぞれを、DME
M/F12中で1μg/mL、1mL/ウェルの濃度まで希釈し、1時間室温でインキュ
ベートした)でコーティングされた6ウェルプレートにプレーティングした。翌日、細胞
を、RNAの用量が1日目に0.5μg/ウェル、2日目に0.5μg/ウェル、3日目
に2μg/ウェル、4日目に2μg/ウェル、及び5日目に4μg/ウェルであることを
除いて、実施例1にしたがって合成されたRNAで、実施例2のようにトランスフェクシ
ョンした。リプログラミングに合致する形態を示す細胞の小さなコロニーが、早くも5日
目には見えるようになった。7日目に、培地を、DMEM/F12+20%Knocko
ut(商標)Serum Replacement(Life Technologie
s Corporation)+1X非必須アミノ酸+2mMのL-グルタミンと交換し
、24時間、照射したマウス胚性線維芽細胞で馴化し、次に20ng/mLのbFGF及
び10μMのY-27632を補充した。リプログラミングされた形態を有する大きなコ
ロニーが、早くも8日目には見えるようになった。コロニーを10日目に採取し、基底膜
抽出物(Cultrex(登録商標)Human BME Pathclear(登録商
標)、Trevigen Inc.)でコーティングされたウェルにプレーティングした
。細胞は急速に成長し、継代されて株を樹立した。
【0213】
実施例18 非標準ヌクレオチドを含有する合成RNAを用いたヒト線維芽細胞のリプ
ログラミング
初代ヒト新生児線維芽細胞を、10,000細胞/ウェルの密度で、トランスフェクシ
ョン培地の、組換えヒトフィブロネクチン及び組換えヒトビトロネクチン(それぞれを、
DMEM/F12中で1μg/mL、1mL/ウェルの濃度まで希釈し、1時間室温でイ
ンキュベートした)でコーティングされた6ウェルプレートにプレーティングした。翌日
、細胞を、A、0.5の7dG、0.5の5mU、及び5mCを含有するRNA、ならび
に1日目に0.5μg/ウェル、2日目に0.5μg/ウェル、3日目に2μg/ウェル
、4日目に2μg/ウェル、及び5日目に4μg/ウェルのRNA用量を用いて、実施例
2のようにトランスフェクションした。リプログラミングに合致する形態を示す細胞の小
さなコロニーが、早くも5日目には見えるようになった。6日目に、培地を維持培地と交
換した。細胞を、Oct4に対する抗体を用いて染色した。リプログラミングに合致する
形態を示す細胞のOct4陽性コロニーが、ウェル全体のいたるところで見えた。
【0214】
実施例19 合成RNAを用いる初代成熟ヒト線維芽細胞の、フィーダーなしの、継代
なしの、免疫抑制剤なしの、馴化なしのリプログラミング
6ウェルプレートのウェルを、室温で1時間、組換えヒトフィブロネクチン及び組換え
ヒトビトロネクチンの混合物(DMEM/F12中で1μg/mL、1mL/ウェル)で
コーティングした。初代成人ヒト線維芽細胞を、10,000細胞/ウェルの密度で、ト
ランスフェクション培地の、コーティングされたウェルにプレーティングした。細胞を、
5%のCO2及び5%のO2、37Cに維持した。翌日から、細胞を、実施例1したがっ
て合成されたRNAで、5日間毎日、実施例2にしたがってトランスフェクションした。
5日間の各日にトランスフェクションされたRNAの総量は、それぞれ、0.5μg、0
.5μg、2μg、2μg、及び4μgであった。4回目のトランスフェクションから、
培地を1日に2回交換した。最終のトランスフェクションの翌日に、培地を、10μMの
Y-27632が補充されたトランスフェクション培地と交換した。あるいは、各日にト
ランスフェクションされたRNAの総量は、それぞれ0.25μg、0、0.5μg、0
.5μg、及び0.5μg、または0.25μg、0、0.25μg、0.25μg、0
.25μg、及び0.25μgであった。ある特定の実験では、トランスフェクション培
地を、トランスフェクション時に1日に1回だけ交換した。リプログラミングされた形態
を有するコンパクトなコロニーが、4日目までにトランスフェクションされた各ウェルで
見えるようになった。
【0215】
実施例20 成人ヒト皮膚生検組織由来の細胞の効率的で迅速な誘導及びリプログラミ
ング
全層皮膚のパンチ生検を、承認されたプロトコルにしたがって、健康な31歳のボラン
ティアに実施した。要約すると、左上腕の皮膚のエリアに、2.5%のリドカインの局所
適用により麻酔をした。この範囲を70%のイソプロパノールで消毒し、全層皮膚の生検
を直径1.5mmのパンチを用いて実施した。組織を、リン酸緩衝食塩水(PBS)です
すぎ、250μLのTrypLE Select CTS(Life Technolo
gies Corporation)を含有する1.5mLの管に入れ、30分間37C
でインキュベートした。次に、組織を、250μLのDMEM/F12-CTS(Lif
e Technologies Corporation)+5mg/mLのコラゲナー
ゼを含有する1.5mL管へ移し、2時間37Cでインキュベートした。表皮を、ピンセ
ットを用いて除去し、組織を機械的に解離させた。細胞を、DMEM/F12-CTSで
2回すすいだ。さらに、瀉血を同じボランティアに実施し、静脈血をVacutaine
r SST管(Becton、Dickinson and Company)に収集し
た。血清を、製造者の指示にしたがって分離した。同質遺伝子プレーティング培地を、D
MEM/F12-CTS+2mMのL-アラニル-L-グルタミン(Sigma-Ald
rich Co.LLC.)+20%のヒト血清を混合することにより調製した。皮膚組
織試料由来の細胞を、同質遺伝子プレーティング培地の、6ウェルプレートのフィブロネ
クチンでコーティングされたウェルにプレーティングした。線維芽細胞形態を有する多数
の細胞が、2日目までに付着し、広がり始めた。細胞を拡張させ、Synth-a-Fr
eeze(Life Technologies Corporation)で凍結させ
た。
【0216】
細胞を、5,000細胞/ウェルの密度で、6ウェルプレートに継代した。翌日、培地
をトランスフェクション培地と交換し、細胞を、A、0.5の7dG、0.4の5mU、
及び5mCを含有するRNA、ならびに1日目に0.5μg/ウェル、2日目に0.5μ
g/ウェル、3日目に2μg/ウェル、4日目に2μg/ウェル、及び5日目に2μg/
ウェルのRNA用量を用いて、実施例2のようにトランスフェクションした。ある特定の
ウェルは、6日目及び7日目に、追加の2μg/ウェルのトランスフェクションを受けた
。加えて、ある特定のウェルは、4日目以降、2ng/mLのTGF-β1を受けた。6
日目に、培地を維持培地と交換した。リプログラミングに合致する形態を示す細胞のコロ
ニーは、5日目~10日目に見えるようになった。コロニーは急速に成長し、多くが胚性
幹細胞コロニーのものと同様の形態を示した。コロニーを採取し、組換えヒトフィブロネ
クチン及び組換えヒトビトロネクチン(それぞれ1μg/mL、1mL/ウェルの濃度ま
でDMEM/F12で希釈し、1時間室温でインキュベートした)でコーティングされた
ウェルにプレーティングした。細胞は急速に成長し、継代されて株を樹立した。
【0217】
実施例21 RiboSliceでの繰り返しのトランスフェクションによる高効率遺
伝子編集
初代ヒト線維芽細胞を、実施例19のようにプレーティングした。翌日、細胞を、実施
例1したがって合成されたRNAで、実施例2のようにトランスフェクションした。翌日
、ウェルのうちの1つの中の細胞を、2回目にトランスフェクションした。2回目のトラ
ンスフェクションの2日後に、遺伝子編集の効率を、変異特異的ヌクレアーゼアッセイを
用いて測定した。
【0218】
実施例22 非標準ヌクレオチドを含有する合成RNA及び修復テンプレートをコード
するDNAでの細胞のトランスフェクション
6ウェルプレートでのトランスフェクションのために、1μgのヒトAPP遺伝子のエ
クソン16を標的とする遺伝子編集タンパク質をコードするRNA、1μgの標的細胞に
存在しなかったPstI制限部位を含有する一本鎖修復テンプレートDNA、及び6μL
のトランスフェクション試薬(Lipofectamine RNAiMAX、Life
Technologies Corporation)を、まず、複合体形成培地(O
pti-MEM、Life Technologies Corporation)で別
々に希釈して、120μLの総量にした。次に、希釈されたRNA、修復テンプレート、
及びトランスフェクション試薬を、トランスフェクション試薬の製造者の指示にしたがっ
て、混合し、室温で15分間インキュベートした。複合体を、培養中の細胞に添加した。
約120μLの複合体を、1ウェル当たり2mLのトランスフェクション培地を既に含有
していた6ウェルプレートの各ウェルに添加した。プレートを穏やかに振盪して、複合体
をウェル全体に分配させた。細胞を4時間から一晩、複合体とインキュベートした後、培
地を新しいトランスフェクション培地(2mL/ウェル)と交換した。翌日、培地をDM
EM+10%のFBSに交換した。トランスフェクションの2日後、ゲノムDNAを分離
及び精製した。APP遺伝子内の領域をPCRにより増幅し、増幅された産物を、Pst
Iで消化し、ゲル電気泳動により分析した。
【0219】
実施例23 インビボのRiboSliceの安全性実験
40匹の雌のNCr nu/nuマウスに、50%のマトリゲル(BD Biosci
ences)中の5×106のMDA-MB-231腫瘍細胞を皮下注入した。細胞注入
量は、0.2mL/マウスであった。試験開始時のマウスの週齢は、8~12週であった
。腫瘍が100~150mm3の平均サイズに達した時に、ペアマッチを行い、動物をそ
れぞれ10匹ずつの4つのグループに分け、処置を開始した。体重を、初めの5日間は毎
日、その後試験の終了までは隔週で測定した。処置は、ビヒクル(Lipofectam
ine 2000、Life Technologies Corporation)と
複合したRiboSlice BIRC5-1.2で構成された。各グループに対する投
与溶液を調製するために、308μLの複合体形成緩衝液(Opti-MEM、Life
Technologies Corporation)を、2つの滅菌RNaseフリ
ーの1.5mLの管のそれぞれにピペッティングした。22μLのRiboSlice
BIRC5-1.2(500ng/μL)を、2つの管のうちの1つに添加し、管の内容
物をピペッティングにより混合した。22μLのビヒクルを、第2の管に添加した。第2
の管の内容物を混合し、次に第1の管に移し、ピペッティングにより第1の管の内容物と
混合し、複合体を形成した。複合体を、10分間室温でインキュベートした。インキュベ
ーションの間、シリンジを装填した。動物に、動物1匹当たり60μLの総量で、動物1
匹当たり1μgのRNAの総用量で、静脈内または腫瘍内注入した。合計5回の処置を、
注入が1日おきに実施される状態で施された。用量は、体重に対して調整されなかった。
動物を、17日間観察した。平均体重に著しい減少は観察されず、RiboSlice遺
伝子編集RNAのインビボの安全性が実証された。
【0220】
実施例24 細胞に核酸を送達するための試薬のスクリーニング
ポリエチレンイミン(PEI)、種々の商用の脂質系トランスフェクション試薬、ペプ
チド系トランスフェクション試薬(N-TER、Sigma-Aldrich Co.L
LC.)、ならびにいくつかの脂質系及びステロール系送達試薬を含む送達試薬を、イン
ビトロでのトランスフェクション効率及び毒性についてスクリーニングした。送達試薬を
、RiboSlice BIRC5-1.2と複合し、複合体を培養中のHeLa細胞に
送達した。毒性を、トランスフェクションの24時間後に細胞密度を分析することにより
査定した。トランスフェクション効率を、形態学的変化を分析することにより評価した。
試験された試薬は、広範囲の毒性及びトランスフェクション効率を示した。より高い割合
のエステル結合を含有する試薬は、より低い割合のエステル結合を含有する試薬またはエ
ステル結合を含有しない試薬よりも低い毒性を示した。
【0221】
実施例25 高濃度リポソームRiboSlice
500ng/μLのRNA1μgを3μLの複合体形成培地(Opti-MEM、Li
fe Technologies Corporation)と混合し、RNA1μg当
たり2.5μLのトランスフェクション試薬(Lipofectamine 2000、
Life Technologies Corporation)を2.5μLの複合体
形成培地と混合することにより、高濃度リポソームRiboSliceを調製した。次に
、希釈したRNA及びトランスフェクション試薬を、混合し、室温で10分間インキュベ
ートして、高濃度リポソームRiboSliceを形成した。あるいは、DOSPAまた
はDOSPERを含有するトランスフェクション試薬が用いられる。
【0222】
実施例26 インビボのRiboSlice効力実験-皮下神経膠腫モデル
40匹の雌のNCr nu/nuマウスに、1×107のU-251腫瘍細胞を皮下注
入した。細胞注入量は、0.2mL/マウスであった。試験開始時のマウスの週齢は、8
~12週であった。腫瘍が35~50mm3の平均サイズに達した時に、ペアマッチを行
い、動物をそれぞれ10匹ずつの4つのグループに分け、治療を開始した。体重を、初め
の5日間は毎日、その後試験の終了までは隔週で測定した。キャリパー測定を隔週で行い
、腫瘍サイズを算出した。治療は、ビヒクル(Lipofectamine 2000、
Life Technologies Corporation)と複合したRiboS
lice BIRC5-1.2で構成された。投与溶液を調製するために、294μLの
複合体形成緩衝液(Opti-MEM、Life Technologies Corp
oration)を、196μLのRiboSlice BIRC5-1.2(500n
g/μL)を含有する管にピペッティングし、管の内容物をピペッティングにより混合し
た。245μLの複合体形成緩衝液を、245μLのビヒクルを含有する管にピペッティ
ングした。第2の管の内容物を混合し、次に第1の管に移し、ピペッティングにより第1
の管の内容物と混合し、複合体を形成した。複合体を、10分間室温でインキュベートし
た。インキュベーションの間、シリンジを装填した。動物に、動物1匹当たり2μgまた
は5μgのRNAの総用量のいずれかで、動物1匹当たり20μLまたは50μLの総量
のいずれかで、腫瘍内注入した。合計5回の治療は、注入が1日おきに実施される状態で
施された。用量は、体重に対して調整されなかった。動物を、25日間観察した。
【0223】
実施例27 リポソーム配合物及び核酸のカプセル化
リポソームを、次の配合物:3.2mg/mLのN-(カルボニル-エトキシポリエチ
レングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-フォスフォ
エタノールアミン(MPEG2000-DSPE)、9.6mg/mLの完全水素化フォ
スファチジルコリン、3.2mg/mLのコレステロール、2mg/mLのアンモニウム
スルフェート、及び緩衝液としてのヒスチジンを用いて調製する。pHを、水酸化ナトリ
ウムを用いて制御し、等張性を、ショ糖を用いて維持する。リポソームを形成するため、
脂質を、有機溶媒中で混合し、乾燥させ、撹拌しながら水和させ、800nmの平均孔径
を有するポリカーボネートフィルターを通して押出すことにより寸法決めをする。核酸を
、核酸1μg当たり10μgのリポソーム配合物を組み合わせ、5分間室温でインキュベ
ートすることによりカプセル化する。
【0224】
実施例28 葉酸標的リポソーム配合物
リポソームを、0.27mg/mLの1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-
フォスフォエタノールアミン-N-[葉酸(ポリエチレングリコール)-5000](F
A-MPEG5000-DSPE)を脂質混合物に添加することを除いて、実施例62に
したがって調製する。
【0225】
実施例29 リポソームのタンパク質をコードするRNAを含む療法
実施例1にしたがって合成された治療用タンパク質をコードする合成RNAをカプセル
化するリポソームを、実施例27または実施例28にしたがって調製する。リポソームを
、注入または静脈内注入により投与する。
【0226】
実施例30 エラスチンivT-RNAテンプレートの作成
全RNAを、製造業者の指示にしたがって、RNeasyミニキット(QIAGEN
GmbH)を用いて、ヒト新生児皮膚線維芽細胞から抽出した。ヒトエラスチンをコード
するcDNAを、MonsterScript(商標)逆転写酵素(Epicentre
Biotechnologies)及びプライマーAAAAAAACCGGTTCAT
TTTCTCTTCCGGCCACを用いて調製した。インビトロ転写(ivT)テンプ
レートを、プライマーF:AAAAAAGCTAGCATGGCGGGTCTGACG、
及びR:AAAAAAACCGGTTCATTTTCTCTTCCGGCCACを用いて
、エラスチンコード配列(CDS)のPCR増幅によりcDNAから調製した。次に、P
CR産物を、アガロースゲル電気泳動及びQIAquickゲル抽出キット(QIAGE
N GmbH)を用いることにより精製し、ヒトβグロビン(HBB)5′及び3′非翻
訳領域ならびに強いコザック配列を含有するベクターにクローニングした。ベクターを、
RNA合成に先立って増幅させ、精製し、線形化させた。
【0227】
実施例31 エラスチンRNAの合成
ヒトエラスチンをコードするRNAを、製造者の指示にしたがって、実施例30のDN
Aテンプレート及びT7高収率RNA合成キット(New England Biola
bs,Inc.)を用いて合成した(表4)。RNAの試料を、アガロースゲル電気泳動
により分析して、RNAの品質を評価した(
図1)。次に、RNAを、200ng/μL
まで希釈し、RNAse阻害剤(Superase・In(商標)、Life Tech
nologies Corporation)を、RNA200μg当たり1μLの濃度
で添加した。RNA溶液を、4℃で保存した。
【0228】
実施例32 オクタノエートで処理されたヒト血清アルブミンの生成
10%のHSA溶液を、16mMのオクタン酸ナトリウム(Sigma-Aldric
h Co.LLC)とプレインキュベートし、完全培地の構築前の3時間に37℃でイン
キュベートした。
【0229】
実施例33 核酸のインビボ送達のための配合物
核酸のインビボ送達のための配合物を、好適な緩衝液(例えば、DMEM/F12、複
合体形成培地、Opti-MEMなど)中で、実施例31にしたがって合成されたRNA
及び実施例8、9、及び/または32にしたがって処理されたヒト血清アルブミンを組み
合わせることにより調製する。
【0230】
実施例34 処理済みアルブミン及びエラスチンをコードするRNAのシリンジでの経
皮注入による皮膚での増大するエラスチン産生
実施例33の配合物を、28ゲージ0.5インチの針を有するインスリンシリンジに装
填し、表皮を通って患者の真皮に送達する。追加の用量を、必要に応じて投与する。
【0231】
実施例35 処理済みアルブミン及びエラスチンをコードするRNAの電動マイクロニ
ードルアレイでの経皮注入による皮膚での増大するエラスチン産生
実施例33の配合物を、約0.1mmの侵入深度に設定された電動マイクロニードルア
レイのチャンバに装填する。マイクロニードルアレイは、表皮を通して患者の真皮に配合
物を送達する。
【0232】
実施例36 処理済みアルブミン及びコラーゲンをコードするRNAの経皮注入による
皮膚での増大するコラーゲン産生
実施例33の配合物を、I型及び/またはIII型ヒトコラーゲンをコードするRNA
を用いて調製する。配合物を、実施例34または35のように送達する。
【0233】
実施例37 処理済みアルブミン及びアクチンをコードするRNAの筋肉注入による骨
格筋での増大するアクチン産生
実施例33の配合物を、骨格αアクチンをコードするRNAを用いて調製する。配合物
を、筋肉注入で患者に送達する。
【0234】
実施例38 創傷治癒治療
実施例33の配合物を、塩基性線維芽細胞増殖因子をコードするRNAを用いて調製す
る。配合物を、実施例34または35のように送達する。
【0235】
実施例39 抗瘢痕治療
実施例33の配合物を、コラゲナーゼをコードするRNAを用いて調製する。配合物を
、実施例34または35のように送達する。
【0236】
実施例40 チロシナーゼivT-RNAテンプレートの作成
全RNAを、製造業者の指示にしたがって、RNeasyミニキット(QIAGEN
GmbH)を用いて、ヒト表皮メラノサイトから抽出した。ヒトチロシナーゼをコードす
るcDNAを、MonsterScript(商標)逆転写酵素(Epicentre
Biotechnologies)を用いて調製した。インビトロ転写(ivT)テンプ
レートを、チロシナーゼコード配列(CDS)のPCR増幅によりcDNAから調製した
。次に、PCR産物を、アガロースゲル電気泳動及びQIAquickゲル抽出キット(
QIAGEN GmbH)を用いることにより精製し、ヒトβグロビン(HBB)5′及
び3′非翻訳領域ならびに強いコザック配列を含有するベクターにクローニングした。ベ
クターを、RNA合成に先立って増幅させ、精製し、線形化させた。
【0237】
実施例41 チロシナーゼRNAの合成
ヒトチロシナーゼをコードするRNAを、製造者の指示にしたがって、実施例40のD
NAテンプレート及びT7高収率RNA合成キット(New England Biol
abs,Inc.)を用いて実施例1にしたがって合成した(表4)。RNAの試料を、
アガロースゲル電気泳動により分析して、RNAの品質を評価した。次に、RNAを1μ
g/μLまで希釈した。RNA溶液を、4℃で保存した。
【0238】
実施例42 オクタノエートで処理されたヒト血清アルブミンの生成
10%のHSA溶液を、16mMのオクタン酸ナトリウム(Sigma-Aldric
h Co.LLC)とプレインキュベートし、完全培地の構築前の3時間に37℃でイン
キュベートした。
【0239】
実施例43 チロシナーゼをコードするRNAのシリンジでの経皮注入による皮膚での
増大するメラニン産生
実施例41のRNAを、シリンジに装填し、約30秒間にわたって健康な33歳の男性
患者の腹側前腕の真皮に送達した。
【0240】
実施例44 チロシナーゼをコードするRNAの送達及び電気穿孔法を組み合わせるこ
とによる皮膚での増大するメラニン産生
実施例43で治療された皮膚のエリアを、コンデンサーに電気的に接続された2電極ア
レイを用いて、10V~155V及び約10ミリ秒~約1秒の電気パルスに曝露した。患
者は、全ての電圧と侵入深度で打診痛知覚を報告した。処置範囲が、24~48時間後に
黒くなった(
図16を参照のこと)。実験を、同様の結果で数回繰り返した。
【0241】
実施例45 チロシナーゼをコードするRNAの局所または皮内適用による皮膚での増
大するメラニン産生
実施例41のRNAまたは実施例29のリポソームを、角質層の破壊を伴ってまたは伴
わずに皮膚に直接適用し、または平方センチメートル当たり1マイクログラム以下の用量
を用いて皮内注入する。任意に、電場を、RNAの送達を増強するために、実施例44の
ように、または表面接触パッチを用いて適用する。
【0242】
実施例46 エラスチンをコードするRNAの経皮送達による皮膚での増大するエラス
チン産生
エラスチンをコードするRNAを、実施例1にしたがって調製する。RNAを、実施例
43、44、または45のように送達する。
【0243】
実施例47 コラーゲンをコードするRNAの経皮送達による皮膚での増大するコラー
ゲン産生
コラーゲンをコードするRNAを、実施例1にしたがって調製する。RNAを、実施例
43、44、または45のように送達する。
【0244】
実施例48 エリスロポエチンまたはダルベポエチンをコードするRNAの送達を含む
貧血治療
ダルベポエチンαをコードするRNAを、実施例1にしたがって調整した。RNAを、
実施例43、44、または45のように送達する。
【0245】
実施例49 アクチンをコードするRNAの筋肉内送達による骨格筋での増大するアク
チン産生
アクチンをコードするRNAを、実施例1にしたがって調製する。RNAを、実施例4
3、44、または45のように電場を用いて、または用いずに筋肉注射で患者に送達する
。
【0246】
実施例50 創傷治癒治療
塩基性線維芽細胞増殖因子をコードするRNAを、実施例1にしたがって調製する。R
NAを、実施例43、44、または45のように送達する。
【0247】
実施例51 抗瘢痕治療
コラゲナーゼをコードするRNAを、実施例1にしたがって調製する。RNAを、実施
例43、44、または45のように送達する。
【0248】
実施例52 ボツリヌス毒素の産生
ボツリヌス毒素をコードするRNAを、実施例1にしたがってを調製する。RNAを、
実施例43、44、または45のように送達する。
【0249】
実施例53 コラーゲンIをコードするRNAでトランスフェクションすることによる
皮膚細胞での増大するコラーゲン産生
ヒトCOL1A1遺伝子のコード配列を含むRNAを、実施例1にしたがって合成した
。初代ヒト皮膚線維芽細胞を、24ウェルプレートにプレーティングし、実施例2にした
がってトランスフェクションした。トランスフェクションの24~72時間後に、細胞を
、コラーゲンIを標的とする抗体を用いて固定及び染色した。コラーゲンの多くの細胞外
沈着物が、トランスフェクションされたウェル中で見えた(
図17)。
【0250】
実施例54 コラーゲンVIIをコードするRNAでトランスフェクションすることに
よる皮膚細胞での増大するコラーゲン産生
ヒトCOL7遺伝子のコード配列を含むRNAを、実施例1にしたがって合成した。初
代ヒト皮膚線維芽細胞を、24ウェルプレートにプレーティングし、実施例2にしたがっ
てトランスフェクションした。トランスフェクションの24~72時間後に、細胞を、コ
ラーゲンVIIを標的とする抗体を用いて固定及び染色した。トランスフェクションされ
た細胞は、トランスフェクションされていない対照と比較して、高濃度のコラーゲンVI
Iを示した(
図18)。
【0251】
実施例55 コラーゲンIまたはコラーゲンVIIをコードするRNAのシリンジでの
経皮注入による皮膚での増大するコラーゲン産生
ヒトCOL1A1遺伝子またはヒトCOL7遺伝子のコード配列を含むRNAを、実施
例1にしたがって合成した。RNAをシリンジに装填し、約30秒にわたって、または実
施例43、44、もしくは45のように患者の真皮に送達する。
【0252】
実施例56 コラーゲンIまたはコラーゲンVIIをコードするRNAの送達及び電気
穿孔法を組み合わせることによる皮膚での増大するコラーゲン産生
実施例55で処置された皮膚の範囲を、電源に電気的に接続された多電極アレイを用い
て、10V~155V及び約50マイクロ秒~約1秒の電気パルスに曝露する。
【0253】
均等物
当業者は、日常の実験のみを用いて、本明細書に具体的に記載されるある特定の実施形
態に対する多数の均等物を認識し、または確認することができるであろう。かかる均等物
は、次の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0254】
参照による組み込み
本明細書で参照される全ての特許及び出版物は、全体として参照により本明細書に組み
込まれる。