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特開2025-3971免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせてSIRPアルファFC融合によりがんを治療する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003971
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせてSIRPアルファFC融合によりがんを治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20250106BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20250106BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250106BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250106BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250106BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20250106BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20250106BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K38/16
A61P35/00
A61P11/00
A61P43/00 121
C07K19/00
C07K16/00
C07K16/28
A61K39/395 N
【審査請求】有
【請求項の数】57
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024156536
(22)【出願日】2024-09-10
(62)【分割の表示】P 2021569055の分割
【原出願日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】62/855,821
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/022,187
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】516237639
【氏名又は名称】エーエルエックス オンコロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ポンズ, ジャウメ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ホン
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ, ソフィア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】個体のがん(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、HER2陽性胃/胃食道接合部(GEJ)癌、de-novoまたは形質転換びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、または無痛性リンパ腫)を治療する方法を提供する。
【解決手段】本方法は、(a)SIRPαD1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗がん抗体(例えば、抗PD1抗体、抗HER2抗体、または抗CD20抗体)と、を個体に投与することを含む。関連するキット医薬組成物も提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体の非小細胞肺癌(NSCLC)を治療する方法であって、前記方法が、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗PD-1抗体と、を前記個体に投与することを含み、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり、前記個体は、ヒトである、前記方法。
【請求項2】
前記個体の前記NSCLCが、事前の免疫チェックポイント阻害剤(CPI)療法中に進行しており、及び/または50%未満のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記事前の免疫チェックポイント阻害剤療法が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、及びセミプリマブからなる群から選択される1つ以上の剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
個体の頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を治療する方法であって、前記方法が、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗PD-1抗体と、を前記個体に投与することを含み、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり、
前記個体の前記HNSCCが、事前のプラチナ療法中または前記事前のプラチナ治療後に進行しており、前記個体は、ヒトである、前記方法。
【請求項5】
前記個体が、免疫チェックポイント阻害剤による事前の治療を受けている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記個体が、免疫チェックポイント阻害剤による事前の治療を受けていない、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記事前のプラチナ療法が、シスプラチン、カルボプラチン、及びオキサリプラチンからなる群から選択される1つ以上の治療剤を含む、請求項4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブである、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ペムブロリズマブが、静脈内(IV)注入によって3週間ごとに(Q3W)用量200mgで前記個体に投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
個体のHER2陽性胃/胃食道接合部(GEJ)癌を治療する方法であって、前記方法が、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗HER2抗体と、を前記個体に投与することを含み、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり、
ここで、前記個体の前記胃/GEJ癌が、フルオロピリミジンベースの治療法による事前の治療及び/または抗HER2抗体による事前の治療の後に進行しており、前記個体は、ヒトである、前記方法。
【請求項11】
前記フルオロピリミジンベースの治療法による前記事前の治療または前記抗HER2抗体による前記事前の治療が、トラスツズマブ、ペルツズマブ、5-フルオロウラシル、カペシタビン、マルゲツキシマブ、及びFOLFOXからなる群から選択される1つ以上の治療剤を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記抗HER2抗体が、トラスツズマブである、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
トラスツズマブは、初期用量8mg/kgで、及びその後の各用量を用量6mg/kgで前記個体に投与され、また、トラスツズマブは、IV注入によって3週間ごと(Q3W)に前記個体に投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
個体の体の侵攻性非ホジキンリンパ腫(NHL)を治療する方法であって、前記方法が、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗CD20抗体と、を前記個体に投与することを含み、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり、
ここで、前記個体の侵攻性NHLは、再発している、及び/または侵攻性NHLの事前の治療に難治性であり、利用可能な治癒的療法は存在せず、前記個体は、ヒトである、前記方法。
【請求項15】
前記侵攻性NHLが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記DLBCLが、de novo DLBCLまたは形質転換DLBCLである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記侵攻性NHLが、マントル細胞リンパ腫(MCL)である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記侵攻性NHLの事前の治療が、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ゲムシタビン、レナリドマイド、プレドニソン、プレドニゾロン、エトポシド、プロカルバジン、エピルビシン、ベンダムスチン、シスプラチン、オキサリプラチン、シタラビン、イホスファミド、カルボプラチン、デキサメタゾン、メスナ、カルムスチン、メルファラン、ソルメドロール、メチルグリオキサールビス(グアニルヒドラゾン)、チオテパ、メトトレキサート、イブルチニブ、オビヌツズマブ、チサゲンレクロイセル、アキシカブタゲン、ブレンツキシマブベドチン、及びそれらの組み合わせを含む、請求項14~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
個体の無痛性リンパ腫を治療する方法であって、前記方法が、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗CD20抗体と、を前記個体に投与することを含み、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり、
ここで、前記個体の前記無痛性リンパ腫が、無痛性リンパ腫の事前の治療に対して再発性及び/または難治性であり、前記個体は、ヒトである、前記方法。
【請求項20】
前記無痛性リンパ腫が、無痛性非ホジキンリンパ腫(NHL)である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記無痛性NHLが、辺縁帯リンパ腫または濾胞性リンパ腫である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
無痛性リンパ腫の前記事前の治療が、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ゲムシタビン、レナリドマイド、プレドニソン、プレドニゾロン、エトポシド、プロカルバジン、エピルビシン、ベンダムスチン、シスプラチン、オキサリプラチン、シタラビン、イホスファミド、カルボプラチン、デキサメタゾン、メスナ、カルムスチン、メルファラン、ソルメドロール、メチルグリオキサールビス(グアニルヒドラゾン)、チオテパ、メトトレキサート、イブルチニブ、リツキシマブ、オビヌツズマブ、チサゲンレクロイセル、アキシカブタゲン、ブレンツキシマブベドチン、フルダラビンミトキサントロン、エベロリムス、ボルテゾミブ、ナビトクラックス、及びそれらの組み合わせを含む、請求項19~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記抗CD20抗体が、リツキシマブである、請求項14~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
リツキシマブが、IV注入によって用量375mg/mで前記個体に投与され、リツキシマブが、週に1回、4週間、その後、月に1回前記個体に投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号85のアミノ酸配列を含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81のアミノ酸配列を含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記Fcドメインバリアントが、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であり、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記Fcドメインバリアントが、配列番号91のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、配列番号136のアミノ酸配列を含む、請求項1~25または27~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、配列番号135のアミノ酸配列を含む、請求項1~24または26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、ホモ二量体を形成する、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、週に1回(QW)用量10mg/kgで前記個体に投与される、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、週に1回(QW)用量15mg/kgで前記個体に投与される、請求項14~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、IV注入によって前記個体に投与される、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
それを必要とする個体の非小細胞肺癌(NSCLC)を治療するためにペムブロリズマブと組み合わせて使用するための、薬学的に許容される担体中にSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを含むキットであって、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり、前記個体は、ヒトである、前記キット。
【請求項36】
前記個体の前記NSCLCが、事前の免疫チェックポイント阻害剤(CPI)療法中に進行しており、及び/または50%未満のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を有する、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
それを必要とする個体の頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を治療するためにペムブロリズマブと組み合わせて使用するための、薬学的に許容される担体中にSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを含むキットであって、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり、
前記個体の前記HNSCCが、事前のプラチナ療法中または前記プラチナ治療後に進行しており、前記個体は、ヒトである、前記キット。
【請求項38】
IV注入によって3週間ごと(Q3W)に用量200mgでペムブロリズマブを投与するための説明をさらに含む、請求項34~37のいずれか1項に記載のキット。
【請求項39】
それを必要とする個体において、HER2陽性胃/胃食道接合部(GEJ)癌を治療するためにトラスツズマブと組み合わせて使用するための薬学的に許容される担体中にSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを含むキットであって、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり、
ここで、前記個体の前記HER2胃/GEJ癌が、事前のフルオロピリミジンベースの治療法または抗HER2抗体による事前の治療の後に進行しており、前記個体は、ヒトである、前記キット。
【請求項40】
トラスツズマブを、初期用量8mg/kgで、及びその後の各用量を用量6mg/kgで投与するための説明をさらに含み、トラスツズマブは、3週間ごとに(Q3W)IV注入によって前記個体に投与される、請求項39に記載のキット。
【請求項41】
それを必要とする個体において、侵攻性非ホジキンリンパ腫(NHL)を治療するためにリツキシマブと組み合わせて使用するための薬学的に許容される担体中にSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを含むキットであって、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または、
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり、
ここで、前記個体の侵攻性NHLは、再発している、及び/または侵攻性NHLの事前の治療に難治性であり、利用可能な治癒的療法は存在せず、前記個体は、ヒトである、前記キット。
【請求項42】
前記侵攻性NHLが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
前記DLBCLが、de novo DLBCLまたは形質転換DLBCLである、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
前記侵攻性NHLが、マントル細胞リンパ腫である、請求項41に記載のキット。
【請求項45】
それを必要とする個体において、無痛性リンパ腫を治療するためにリツキシマブと組み合わせて使用するための薬学的に許容される担体中にSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを含むキットであって、
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み、
前記Fcドメインバリアントが、
(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域;
(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域、または
(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域であって、番号付けが、KabatのEUインデックスに従っている、前記領域であり、
ここで、前記個体の前記無痛性リンパ腫が、無痛性リンパ腫の事前の治療に対して再発性または難治性であり、前記個体は、ヒトである、前記キット。
【請求項46】
前記無痛性リンパ腫が、無痛性非ホジキンリンパ腫(NHL)である、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
前記無痛性NHLが、辺縁帯リンパ腫または濾胞性リンパ腫である、請求項46に記載のキット。
【請求項48】
IV注入によって用量375mg/mでリツキシマブを投与するための説明をさらに含み、リツキシマブが、週に1回、4週間、その後、月に1回前記個体に投与される、請求項41~47のいずれか1項に記載のキット。
【請求項49】
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号85のアミノ酸配列を含む、請求項35~48のいずれか1項に記載のキット。
【請求項50】
前記SIRPα D1ドメインバリアントが、配列番号81のアミノ酸配列を含む、請求項35~48のいずれか1項に記載のキット。
【請求項51】
前記Fcドメインバリアントが、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であり、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う、請求項35~50のいずれか1項に記載のキット。前記Fcドメインバリアントが、配列番号91のアミノ酸配列を含む、請求項51に記載のキット。
【請求項52】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、配列番号136のアミノ酸配列を含む、請求項35~49または51のいずれか1項に記載のキット。
【請求項53】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、配列番号135のアミノ酸配列を含む、請求項35~48、50または51のいずれか1項に記載のキット。
【請求項54】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドが、ホモ二量体を形成する、請求項35~53のいずれか1項に記載のキット。
【請求項55】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドを週に1回(QW)用量10mg/kgで前記個体に投与するための説明をさらに含む、請求項35~54のいずれか1項に記載のキット。
【請求項56】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドを、週に1回(QW)用量15mg/kgで前記個体に投与するための説明をさらに含む、請求項41~54のいずれか1項に記載のキット。
【請求項57】
SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む前記ポリペプチドを、IV注入により前記個体に投与するための説明をさらに含む、請求項55または56に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月31日に出願の米国仮出願第62/855,821号及び2020年5月8日に出願の米国仮出願第63/022,187号の優先権を主張し、それぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出物の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:コンピュータ可読形態(CRF)の配列表(ファイル名:757972001040SEQLIST.TXT、記録日:2020年5月26日、サイズ:333KB)。
【0003】
本発明は、治療用抗体と併せて、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を投与することを含む、がんを治療する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
多くのがんは、利用可能な治療薬で治療された場合であっても、不良な予後を有する。例えば、事前のプラチナベースの治療法で奏効しなかったPD-1及びPD-L1チェックポイント阻害剤を投与されている転移性疾患の非小細胞肺癌(NSCLC)患者は、全生存率の中央値が約1年であり(Garon et al.,New Engl J Med(2015)372:2018-28;Herbst et al.,Lancet(2016)387:1540-50;Fehrenbacher et al.,Lancet(2016)387(10030):1837-46)、進行期の疾患のNSCLC患者の半数以上は、5年生存率が全体で17.7%である(U.S.Cancer Statistics Working Group,webサイトwww(dot)cdc(dot)gov/uscsにて入手可能)。同様に、米国の胃がん患者の全体的な5年生存率は30.4%である(US Cancer Statistics WorkingGroup)。再発性無痛性リンパ腫の患者では、その後の再発は通常、ますます侵攻性の組織像及び1つのシリーズで10年までに30%の形質転換リスクで発生する(Montoto et al., J Clin Oncol (2007) 25(17):2426-33)。さらに、再発性の侵攻性の組織型を有する患者の場合、治癒はまれであり、新しい救済レジメンが必要である(Larouche et al.,J Clin Oncol(2010)28(12):2094-100)。CD20陽性の非ホジキンリンパ腫(NHL)は、世界で10番目に多いがんであり、がんによる死亡の10番目の主要な原因でもあり、世界中で年間199,670名が死亡している(World Health Organization 2016(a),webサイトglobocan(dot)iarc(dot)fr/Pages/fact_sheets_cancer(dot)aspxにて入手可能)。米国には転移性HNSCC患者が35,000名以上いると推定されており、2019年に診断されたすべての段階において、新たな症例が50,000名以上にわたる。5年生存率は、限局性疾患と診断された患者では84%であるが、転移性疾患と診断された患者では、わずか39%まで減少する。追加の治療選択肢となり、そのような患者の転帰を改善するための新規治療が当技術分野で必要とされている。
【0005】
腫瘍細胞は、骨髄コンパートメントを操作して、抗腫瘍宿主免疫応答を回避する(Gabrilovich et al.,Nat Rev Immunol(2012)12(4):253-68)。例えば、正常細胞の表面に発現するCD47は、マクロファージのSIRPαに結合して、「don’t eat me」シグナルを発するが、腫瘍細胞は、CD47を過剰発現して、免疫監視のマクロファージ成分を回避することも判明している(Oldenborg,ISRN Hematol(2013) 614619)。
【0006】
マクロファージを介するがん細胞の破壊には、「don’t eat me」シグナル(例えば、CD47-SIRPαなど)の破壊及び「eat me」シグナルの活性化を両方とも必要とする。いずれかの成分のみでは、腫瘍細胞に対する最大の食作用反応を引き起こすのには十分ではない。上記のとおり、CD47は、マクロファージ上のSIRPαとの相互作用を介して、基本的な「don’t eat me」シグナルを提供する。食作用促進性の「eat me」シグナルは、それらの活性化Fcガンマ受容体に結合することによって同じマクロファージに提供され得る。例えば、食作用促進性の「eat me」シグナルは、マクロファージ上のFc受容体への抗腫瘍抗体の結合によって提供され得る。
【0007】
特許出願、特許公報、及びUniProtKB/Swiss-Prot受託番号を含む、本明細書において引用される全ての参考文献は、各個々の参考文献が、参照によって組み込まれることを具体的かつ個々に示されているかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0008】
個体の非小細胞肺癌(NSCLC)を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗PD-1抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、個体は、ヒトである。いくつかの実施形態では、個体のNSCLCは、事前の免疫チェックポイント阻害剤(CPI)療法中に進行しており、及び/または50%未満のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を有する。
【0009】
個体のNSCLCを治療するための医薬品の製造に使用するためのSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドも提供され、ここで、医薬品は、抗PD1抗体と組み合わせて使用するためのものであり(使用するために配合されたものなど)、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、個体は、ヒトである。いくつかの実施形態では、個体のNSCLCは、事前の免疫チェックポイント阻害剤(CPI)療法中に進行しており、及び/または50%未満のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を有する。
【0010】
個体のNSCLCを治療するための抗PD1抗体と組み合わせて使用するための(例えば、個体のNSCLCを治療する方法で使用するための)、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを含む組成物(そのような医薬組成物)も提供され、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、個体は、ヒトである。いくつかの実施形態では、個体のNSCLCは、事前の免疫チェックポイント阻害剤(CPI)療法中に進行しており、及び/または50%未満のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、事前のCPI(免疫チェックポイント阻害剤療法)は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、及びセミプリマブからなる群から選択される1つ以上の剤を含んでいた。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、PD-1とPD-L1との間の相互作用を遮断する。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブは、静脈内(IV)注入によって3週間ごとに(Q3W)用量200mgで個体に投与される。
【0012】
個体の頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を治療する方法も提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗PD-1抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体のHNSCCは、事前のプラチナ療法中またはプラチナ療法後に進行しており、個体は、ヒトである。
【0013】
個体のHNSCCを治療するための医薬品の製造に使用するためのSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドも提供され、ここで、医薬品は、抗PD1抗体と組み合わせて使用するためのものであり(使用するために配合されたものなど)、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体のHNSCCは、事前のプラチナ療法中またはプラチナ療法後に進行しており、個体は、ヒトである。
【0014】
個体のHNSCCを治療するための抗PD1抗体と組み合わせて使用するための(例えば、個体のHNSCCを治療する方法で使用するための)、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを含む組成物(そのような医薬組成物)も提供され、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体のHNSCCは、事前のプラチナ療法中またはプラチナ療法後に進行しており、個体は、ヒトである。
【0015】
いくつかの実施形態では、HNSCCを有する個体は、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、本明細書に記載の免疫チェックポイント阻害剤)による事前の治療を受けた。いくつかの実施形態では、そのような個体は、「チェックポイント阻害剤を経験した」とみなされる/言及される。いくつかの実施形態では、HNSCCを有する個体は、免疫チェックポイント阻害剤による事前の治療を受けていない。いくつかの実施形態では、そのような個体は、「チェックポイント阻害剤を経験していない」とみなされる/言及される。いくつかの実施形態では、事前のプラチナ療法は、シスプラチン、カルボプラチン、及びオキサリプラチンからなる群から選択される1つ以上の治療剤を含んでいた。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、PD-1とPD-L1との間の相互作用を遮断する。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブは、静脈内(IV)注入によって3週間ごとに(Q3W)用量200mgで個体に投与される(投与用に配合されたものなど)。
【0016】
個体のHER2陽性胃/胃食道接合部(GEJ)癌を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗HER2抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体の胃/GEJ癌は、フルオロピリミジンベースの治療法による事前の治療及び/または抗HER2抗体による事前の治療の後に進行しており、個体は、ヒトである。
【0017】
個体のHER2陽性胃/胃食道接合部(GEJ)癌を治療するための医薬品の製造に使用するためのSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドも提供され、医薬品は、抗HER2抗体と組み合わせて使用するためのものであり(使用のために配合されているものなど)、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体の胃/GEJ癌は、フルオロピリミジンベースの治療法による事前の治療及び/または抗HER2抗体による事前の治療の後に進行しており、個体は、ヒトである。
【0018】
個体においてHER2陽性胃/胃食道接合部(GEJ)癌を治療するための抗HER2抗体と組み合わせて使用するため(例えば、個体のHER2陽性胃/胃食道接合部(GEJ)癌の治療法で使用するため)の、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを含む組成物(そのような医薬組成物)も提供され、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体の胃/GEJ癌は、フルオロピリミジンベースの治療法による事前の治療法及び/または抗HER2抗体による事前の治療の後に進行しており、個体は、ヒトである。
【0019】
いくつかの実施形態では、フルオロピリミジンベースの治療法による事前の治療または抗HER2抗体による事前の治療は、トラスツズマブ、ペルツズマブ、5-フルオロウラシル、カペシタビン、マルゲツキシマブ、及びFOLFOXからなる群から選択される1つ以上の治療剤を含む。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブである。いくつかの実施形態では、トラスツズマブは、初期用量8mg/kg、及びその後の各用量を用量6mg/kgで個体に投与され(投与用に配合されたものなど)、トラスツズマブは、IV注入によって3週間ごとに個体に投与される(Q3W)。
【0020】
個体の侵攻性非ホジキンリンパ腫(NHL)を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗CD20抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体の侵攻性NHLは、再発している、及び/または侵攻性NHLの事前の治療に難治性であり、利用可能な治癒的療法は存在せず、個体は、ヒトである。
【0021】
個体の侵攻性非ホジキンリンパ腫(NHL)を治療するための医薬品の製造に使用するためのSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドも提供され、ここで、医薬品は、抗CD20抗体と組み合わせて使用するためのものであり(使用するために配合されたものなど)、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体の侵攻性NHLは、再発している、及び/または侵攻性NHLの事前の治療に難治性であり、利用可能な治癒的療法は存在せず、個体は、ヒトである。
【0022】
個体の侵攻性非ホジキンリンパ腫(NHL)を治療するための抗CD20抗体と組み合わせて使用するため(例えば、侵攻性NHLを治療する方法で使用するため)のSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドも提供され、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体の侵攻性NHLは、再発している、及び/または侵攻性NHLの事前の治療に難治性であり、利用可能な治癒的療法は存在せず、個体は、ヒトである。
【0023】
いくつかの実施形態では、侵攻性NHLは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、例えば、de novoDLBCLまたは形質転換DLBCLである。いくつかの実施形態では、侵攻性NHLの事前の治療は、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ゲムシタビン、レナリドマイド、プレドニソン、プレドニゾロン、エトポシド、プロカルバジン、エピルビシン、ベンダムスチン、シスプラチン、オキサリプラチン、シタラビン、イホスファミド、カルボプラチン、デキサメタゾン、メスナ、カルムスチン、メルファラン、ソルメドロール、メチルグリオキサールビス(グアニルヒドラゾン)、チオテパ、メトトレキサート、イブルチニブ、オビヌツズマブ、チサゲンレクロイセル、アキシカブタゲン、ブレンツキシマブベドチン、及びそれらの組み合わせで構成されていた。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体は、リツキシマブである。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、IV注入によって用量375mg/mで個体に投与され(投与用に配合されたものなど)、リツキシマブは、週に1回4週間、及びその後に月に1回、個体に投与される(投与用に配合されたものなど)。
【0024】
個体の無痛性リンパ腫を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗CD20抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体の無痛性リンパ腫は、再発している、及び/または無痛性リンパ腫の事前の治療に難治性であり、個体は、ヒトである。
【0025】
個体の無痛性リンパ腫を治療するための医薬品の製造に使用するためのSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドも提供され、ここで、医薬品は、抗CD20抗体と組み合わせて使用するためのものであり(使用するために配合されたものなど)、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体の無痛性リンパ腫は、再発している、及び/または無痛性リンパ腫の事前の治療に難治性であり、個体は、ヒトである。
【0026】
個体の無痛性リンパ腫を治療するための抗CD20抗体と組み合わせて使用するための(例えば、個体の無痛性リンパ腫を治療する方法で使用するための)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを含む組成物(そのような医薬組成物)も提供され、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体の無痛性リンパ腫は、再発している、及び/または無痛性リンパ腫の事前の治療に難治性であり、個体は、ヒトである。
【0027】
いくつかの実施形態では、無痛性リンパ腫は、無痛性非ホジキンリンパ腫(NHL)である。いくつかの実施形態では、無痛性NHLは、辺縁帯リンパ腫または濾胞性リンパ腫である。いくつかの実施形態では、無痛性リンパ腫の事前の治療は、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ゲムシタビン、レナリドマイド、プレドニソン、プレドニゾロン、エトポシド、プロカルバジン、エピルビシン、ベンダムスチン、シスプラチン、オキサリプラチン、シタラビン、イホスファミド、カルボプラチン、デキサメタゾン、メスナ、カルムスチン、メルファラン、ソルメドロール、メチルグリオキサールビス(グアニルヒドラゾン)、チオテパ、メトトレキサート、イブルチニブ、オビヌツズマブ、チサゲンレクロイセル、アキシカブタゲン、ブレンツキシマブベドチン、フルダラビンミトキサントロン、エベロリムス、ボルテゾミブ、ナビトクラックス、及びそれらの組み合わせで構成されていた。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体は、リツキシマブである。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、IV注入によって用量375mg/mで個体に投与され(投与用に配合されたものなど)、リツキシマブは、週に1回4週間、及びその後に月に1回、個体に投与される(投与用に配合されたものなど)。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド(またはそのようなポリペプチドもしくはそのようなポリペプチドを含む医薬組成物を用いて製造される医薬品など)は、例えば、IV注入によって、用量10mg/kgまたは15mg/kgで、週に1回(QW)個体に投与される(投与用に配合されているものなど)。
【0028】
本明細書の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号85のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であり、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、配列番号91のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、配列番号136のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、ホモ二量体を形成する。
【0029】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド(またはそのようなポリペプチドもしくはそのようなポリペプチドを含む医薬組成物を用いて製造される医薬品など)は、用量10mg/kgで、週に1回(QW)個体に投与される(投与用に配合されているものなど)。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド(それから製造された医薬品またはそのようなポリペプチドを含む医薬組成物)は、IV注入によって個体に投与される(投与用に配合されているものなど)。
【0030】
それを必要とする個体(例えば、ヒト個体)において、本明細書に記載の方法に従って、非小細胞肺癌(NSCLC)を治療するためにペムブロリズマブと組み合わせて使用するための、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド(またはそのようなポリペプチドもしくはそのようなポリペプチドを含む医薬組成物を用いて製造される医薬品など)を含むキットも提供される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体のNSCLCは、事前の免疫チェックポイント阻害剤(CPI)療法中に進行しており、及び/または50%未満のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を有する。いくつかの実施形態では、キットは、IV注入によって3週間ごと(Q3W)に用量200mgでペムブロリズマブを投与するための説明をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、IV注入によって、週に1回、用量10mg/kgでポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を投与するための説明をさらに含む。
【0031】
それを必要とする個体(例えば、ヒト個体)において、本明細書に記載の方法に従って、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を治療するためにペムブロリズマブと組み合わせて使用するための、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを含むキット(またはそのようなポリペプチドもしくはそのようなポリペプチドを含む医薬組成物を用いて製造される医薬品など)も提供される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体のHNSCCは、事前のプラチナ療法中またはプラチナ療法後に進行した。いくつかの実施形態では、個体は、免疫チェックポイント阻害剤による事前の治療を受けた。いくつかの実施形態では、個体は、免疫チェックポイント阻害剤による事前の治療を受けていない。いくつかの実施形態では、キットは、IV注入によって3週間ごと(Q3W)に用量200mgでペムブロリズマブを投与するための説明をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、IV注入によって、週に1回、用量10mg/kgでポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を投与するための説明をさらに含む。
【0032】
それを必要とする個体(例えば、ヒト個体)において、本明細書に記載の方法に従って、HER2陽性胃/胃食道接合部(GEJ)癌を治療するためにトラスツズマブと組み合わせて使用するための薬学的に許容される担体中にSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを含むキットも、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体のHER2陽性胃/GEJ癌は、事前のフルオロピリミジンベースの治療法または抗HER2抗体による事前の治療の後に進行した。いくつかの実施形態では、キットは、トラスツズマブを初期用量8mg/kgで、及びその後の各用量を用量6mg/kgで投与するための説明をさらに含み、トラスツズマブは、3週間ごとに(Q3W)IV注入によって個体に投与される。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、IV注入によって、週に1回、用量10mg/kgでポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を投与するための説明をさらに含む。
【0033】
それを必要とする個体(例えば、ヒト個体)において、本明細書に記載の方法に従って、侵攻性非ホジキンリンパ腫(NHL)を治療するためにリツキシマブと組み合わせて使用するための薬学的に許容される担体中にSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを含むキットも提供される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体の侵攻性NHLは、再発している、及び/または侵攻性NHLの事前の治療に難治性であり、利用可能な治癒的療法はない。いくつかの実施形態では、侵攻性NHLは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、例えば、de novoDLBCLまたは形質転換DLBCLである。いくつかの実施形態では、侵攻性NHLは、マントル細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、キットは、IV注入によって用量375mg/mでリツキシマブを投与するための説明をさらに含み、リツキシマブは、週に1回、4週間、その後、月に1回個体に投与される。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、IV注入によって、週に1回、用量10mg/kgまたは15mg/kgでポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を投与するための説明をさらに含む。
【0034】
それを必要とする個体(例えば、ヒト個体)において、本明細書に記載の方法に従って、無痛性リンパ腫を治療するためにリツキシマブと組み合わせて使用するための薬学的に許容される担体中にSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドを含むキットも提供される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体の無痛性リンパ腫は、再発している、及び/または無痛性リンパ腫の事前の治療に難治性である。いくつかの実施形態では、無痛性リンパ腫は、無痛性非ホジキンリンパ腫(NHL)である。いくつかの実施形態では、無痛性NHLは、辺縁帯リンパ腫または濾胞性リンパ腫である。いくつかの実施形態では、キットは、IV注入によって用量375mg/mでリツキシマブを投与するための説明をさらに含み、リツキシマブは、週に1回、4週間、その後、月に1回個体に投与される。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、IV注入によって、週に1回、用量10mg/kgまたは15mg/kgでポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を投与するための説明をさらに含む。
【0035】
キットのうちのいずれかのいくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号85のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であり、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、配列番号91のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、配列番号136のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドは、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド(または、それから製造された医薬品またはそのようなポリペプチドを含む医薬組成物)は、用量10mg/kgで、週に1回(QW)個体に投与するための説明をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド(それから製造された医薬品またはそのようなポリペプチドを含む医薬組成物)をIV注入により個体に投与するための説明を含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】Aは薬物Aがモノマーであり、Bは薬物Aがホモ二量体であることを示す図である。SIRPα D1ドメインバリアントは、ピコモル結合親和性でCD47に選択的に結合し、SIRPαとの相互作用を遮断する。薬物Aの分子量は、典型的な抗体の半分のサイズであり、2倍のモル濃度を腫瘍に送達することができる。Fcドメインは、毒性を最小限に抑えるためにFcガンマ受容体への結合を消失させるように改変されている。薬物Aは、抗体のような薬物動態を呈する。
図2】実施例1に記載の臨床試験の概略図を示す図である。
図3A】HER2陽性胃/GEJ癌拡大コホートにおける薬物A+トラスツズマブの臨床活性を示す図である。図3Aには、ベースラインからのパーセントとして示す腫瘍径の変化を提供する。ORR=全奏効率。DCR=病勢コントロール率;mPFS=無増悪生存期間中央値;CI=信頼区間。試験期間中の各患者のベースラインからのパーセントとして示される腫瘍径の変化は、図3Bに提供する。図3A~3B:拡大期に少なくとも1回の薬物Aの投与を受け、ベースライン評価を受け、少なくとも1回のベースライン後の疾患評価が含まれる。上の破線は、客観的な進行のしきい値を示す。下の破線は、全奏効率のしきい値を示す。拡大期に少なくとも1用量の薬物Aの投与を受けた各登録患者の治療期間を図3Cに示す。腫瘍は、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)第1.1版(E.A.Eisenhauer,et al.,European Journal of Cancer 45(2009)228-247)に従って判定した。
図3B】HER2陽性胃/GEJ癌拡大コホートにおける薬物A+トラスツズマブの臨床活性を示す図である。図3Aには、ベースラインからのパーセントとして示す腫瘍径の変化を提供する。ORR=全奏効率。DCR=病勢コントロール率;mPFS=無増悪生存期間中央値;CI=信頼区間。試験期間中の各患者のベースラインからのパーセントとして示される腫瘍径の変化は、図3Bに提供する。図3A~3B:拡大期に少なくとも1回の薬物Aの投与を受け、ベースライン評価を受け、少なくとも1回のベースライン後の疾患評価が含まれる。上の破線は、客観的な進行のしきい値を示す。下の破線は、全奏効率のしきい値を示す。拡大期に少なくとも1用量の薬物Aの投与を受けた各登録患者の治療期間を図3Cに示す。腫瘍は、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)第1.1版(E.A.Eisenhauer,et al.,European Journal of Cancer 45(2009)228-247)に従って判定した。
図3C】HER2陽性胃/GEJ癌拡大コホートにおける薬物A+トラスツズマブの臨床活性を示す図である。図3Aには、ベースラインからのパーセントとして示す腫瘍径の変化を提供する。ORR=全奏効率。DCR=病勢コントロール率;mPFS=無増悪生存期間中央値;CI=信頼区間。試験期間中の各患者のベースラインからのパーセントとして示される腫瘍径の変化は、図3Bに提供する。図3A~3B:拡大期に少なくとも1回の薬物Aの投与を受け、ベースライン評価を受け、少なくとも1回のベースライン後の疾患評価が含まれる。上の破線は、客観的な進行のしきい値を示す。下の破線は、全奏効率のしきい値を示す。拡大期に少なくとも1用量の薬物Aの投与を受けた各登録患者の治療期間を図3Cに示す。腫瘍は、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)第1.1版(E.A.Eisenhauer,et al.,European Journal of Cancer 45(2009)228-247)に従って判定した。
図4A】HNSCC拡大コホートにおける薬物A+ペムブロリズマブの臨床活性を示す図である。図4Aには、ベースラインからのパーセントとして示される腫瘍径の変化を提供する。ORR=全奏効率。DCR=病勢コントロール率;mPFS=無増悪生存期間中央値;CI=信頼区間;CP=免疫チェックポイント療法;CPS=PD-L1染色の組み合わせ陽性スコア。試験期間中の各患者のベースラインからのパーセントとして示される腫瘍径の変化を図4Bに提供する。図4A図4B:拡大期に少なくとも1用量の薬物Aの投与を受け、ベースライン評価を受け、少なくとも1回のベースライン後の疾患評価が含まれる。上の破線は、客観的な進行のしきい値を示す。下の破線は、全奏効率のしきい値を示す。拡大期に少なくとも1用量の薬物Aの投与を受けた各登録患者の治療期間を図4Cに示す。腫瘍は、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)第1.1版(E.A.Eisenhauer,et al.,European Journal of Cancer 45(2009)228-247)に従って判定した。
図4B】HNSCC拡大コホートにおける薬物A+ペムブロリズマブの臨床活性を示す図である。図4Aには、ベースラインからのパーセントとして示される腫瘍径の変化を提供する。ORR=全奏効率。DCR=病勢コントロール率;mPFS=無増悪生存期間中央値;CI=信頼区間;CP=免疫チェックポイント療法;CPS=PD-L1染色の組み合わせ陽性スコア。試験期間中の各患者のベースラインからのパーセントとして示される腫瘍径の変化を図4Bに提供する。図4A図4B:拡大期に少なくとも1用量の薬物Aの投与を受け、ベースライン評価を受け、少なくとも1回のベースライン後の疾患評価が含まれる。上の破線は、客観的な進行のしきい値を示す。下の破線は、全奏効率のしきい値を示す。拡大期に少なくとも1用量の薬物Aの投与を受けた各登録患者の治療期間を図4Cに示す。腫瘍は、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)第1.1版(E.A.Eisenhauer,et al.,European Journal of Cancer 45(2009)228-247)に従って判定した。
図4C】HNSCC拡大コホートにおける薬物A+ペムブロリズマブの臨床活性を示す図である。図4Aには、ベースラインからのパーセントとして示される腫瘍径の変化を提供する。ORR=全奏効率。DCR=病勢コントロール率;mPFS=無増悪生存期間中央値;CI=信頼区間;CP=免疫チェックポイント療法;CPS=PD-L1染色の組み合わせ陽性スコア。試験期間中の各患者のベースラインからのパーセントとして示される腫瘍径の変化を図4Bに提供する。図4A図4B:拡大期に少なくとも1用量の薬物Aの投与を受け、ベースライン評価を受け、少なくとも1回のベースライン後の疾患評価が含まれる。上の破線は、客観的な進行のしきい値を示す。下の破線は、全奏効率のしきい値を示す。拡大期に少なくとも1用量の薬物Aの投与を受けた各登録患者の治療期間を図4Cに示す。腫瘍は、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)第1.1版(E.A.Eisenhauer,et al.,European Journal of Cancer 45(2009)228-247)に従って判定した。
図5A-5C】NSCLC拡大コホートにおける薬物A+ペムブロリズマブの臨床活性を示す図である。図5Aには、ベースラインからのパーセントとして示される腫瘍径の変化を提供する。DCR=病勢コントロール率;mPFS=無増悪生存期間中央値;CI=信頼区間;TPS=PD-L1染色の腫瘍比率スコア。試験期間中の各患者のベースラインからのパーセントとして示される腫瘍径の変化を図5Bに提供する。図5A図5B:拡大期に少なくとも1用量の薬物Aの投与を受け、ベースライン評価を受け、少なくとも1回のベースライン後の疾患評価が含まれる。上の破線は、客観的な進行のしきい値を示す。下の破線は、部分奏効率のしきい値を示す。拡大期に少なくとも1用量の薬物Aの投与を受けた各登録患者の治療期間を図5Cに示す。腫瘍は、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)第1.1版(E.A.Eisenhauer,et al.,European Journal of Cancer 45(2009)228-247)に従って判定した。
図6A】試験期間中のペムブロリズマブまたはトラスツズマブと組み合わせて投与された薬物Aの薬物動態学的及びCD47標的占有パラメータを示す図である。Aに示すとおり、薬物A PK(薬物A血清濃度)は、確立された母集団PKモデルに基づいて予測された95%間隔内であった。薬物Aの定常状態の半減期(10mg/kgQW)は約16日であると予測された。薬物A PKの時点には、サイクル1及び3での集中的なサンプリング、及びその後のすべてのサイクルでの投与前及び注入の終了を含めた。
図6B】試験期間中のペムブロリズマブまたはトラスツズマブと組み合わせて投与された薬物Aの薬物動態学的及びCD47標的占有パラメータを示す図である。薬物Aがペムブロリズマブまたはトラスツズマブと組み合わせて投与された場合、薬物Aの投与間隔全体において、CD47を発現するCD4+T細胞で、ほぼ完全なCD47標的占有が維持されることを示している。TO=標的占有率。
図7A】ペムブロリズマブまたはトラスツズマブと組み合わせて薬物Aで治療された患者における抗腫瘍縮小効果を示す図である。薬物A+ペムブロリズマブで治療された5名のNSCLC患者、薬物A+ペムブロリズマブで治療された6名のHNSCC患者、及び薬物A+トラスツズマブで治療された1名の胃癌患者の治療前後の対生検における腫瘍内CD68+(左)、CD163+(中央)、及びCD8+(右)細胞の陽性率を提供する。
図7B】ペムブロリズマブまたはトラスツズマブと組み合わせて薬物Aで治療された患者における抗腫瘍縮小効果を示す図である。腫瘍関連マクロファージ及び浸潤リンパ球は、治療後に増加した。薬物A+ペムブロリズマブで治療されたNSCLC PD-L1(+)患者の生検からの画像は、治療前及び治療中(C3=サイクル3)のCD68及びCD8の染色を示す。右のグラフは、試験期間中の各患者のベースラインからのパーセントとしての腫瘍径の変化を示している。上の破線は、客観的な進行のしきい値を示し、下の破線は、部分奏効のしきい値を示す。CD68及びCD163マーカーは、マクロファージを示し、CD8マーカーは、Tリンパ球を示す。
図7C】ペムブロリズマブまたはトラスツズマブと組み合わせて薬物Aで治療された患者における抗腫瘍縮小効果を示す図である。薬物A+ペムブロリズマブで治療されたHNSCC PD-L1(+)患者の生検からの画像は、治療前及び治療中(サイクル3)のCD68及びCD8の染色を示す。右のグラフは、試験期間中の各患者のベースラインからのパーセントとしての腫瘍径の変化を示している。上の破線は、客観的な進行のしきい値を示し、下の破線は、部分奏効のしきい値を示す。CD68及びCD163マーカーは、マクロファージを示し、CD8マーカーは、Tリンパ球を示す。
図8】ペムブロリズマブ、トラスツズマブ、またはリツキシマブなどの抗がん治療用抗体と組み合わせて投与された場合の、薬物Aの抗腫瘍活性について提唱されたメカニズムの概略図を提供する図である。
図9A】効果判定可能な>2LのHNSCC患者(チェックポイント阻害剤未使用患者とチェックポイント阻害剤経験患者の両方を含む)におけるペムブロリズマブと組み合わせた薬物Aの臨床活性を示す概略図である。CPS=複合陽性スコア(すなわち、PD-L1陽性染色細胞(腫瘍細胞、リンパ球、及びマクロファージ)数を生存可能な腫瘍細胞の総数で割ったものに100を掛けたもの)。
図9B】薬物A及びペムブロリズマブで治療された2Lを超えるHNSCC患者における最良総合効果及び奏効時間を示す概略図を提供する。
図10A】効果判定可能な2Lを超えるNSCLC患者におけるペムブロリズマブと組み合わせた薬物Aの臨床活性を示す概略図である。*で示された患者は80%を超える変化を示した。TPS=腫瘍比率スコア。
図10B】薬物A及びペムブロリズマブで治療された2Lを超えるNSCLC患者における最良総合効果及び奏効時間を示す概略図を提供する。
図11A】効果判定可能な2Lを超えるHER2胃またはHER2GEJ癌患者におけるトラスツズマブと組み合わせた薬物Aの臨床活性を示す概略図である。臨床的進行を伴う1名の患者は示されていない。HER2スコアは、腫瘍細胞のHER2発現レベルを反映している。
図11B】薬物A及びトラスツズマブで治療された2Lを超えるHER2胃またはHER2GEJ癌患者における最良総合効果及び奏効期間を示す概略図である。
図12】再発性/難治性の非ホジキンリンパ腫を有する効果判定可能な患者におけるリツキシマブと組み合わせた薬物Aの臨床活性を示す概略図である。「^」を示した患者は、ベースラインと比較して測定可能な病変の80%以上の増加を示す。「*」で示した患者は、完全奏効または代謝完全奏効を達成した。「mPR」で示した患者は、代謝部分奏効を達成した。臨床的進行を伴う2名の患者(10mg/kg及び15mg/kgの薬物Aでそれぞれ1名)は示していない。代謝CRの1名の患者(10mg/kg薬物A)はプロットに表示していない。
図13A】10mg/kgの薬物A及びリツキシマブで治療された再発性/難治性の非ホジキンリンパ腫患者における最良総合効果及び奏効期間を示す概略図である。
図13B】15mg/kgの薬物A及びリツキシマブで治療された再発性/難治性の非ホジキンリンパ腫患者における最良総合効果及び奏効期間を示す概略図である。最良の効果として、臨床進行試験8日目の1名の患者は示していない。
【発明を実施するための形態】
【0037】
定義
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定されるような特定の値についての許容可能な誤差範囲内であることを意味し、値を測定する、または決定する方法、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」は、当該技術分野における慣例に従い、1以内のまたは1以上の標準偏差を意味することができる。あるいは、「約」は、所与の値の最大20%、最大10%、最大5%、または最大1%の範囲を意味することができる。あるいは、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、この用語は、値の、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内の桁内を意味することが可能である。別段に記載されない限り、本出願及び特許請求の範囲に特定の値が記載される場合、「約」という用語は、特定の値について許容可能な誤差範囲内にあることを意味するとみなされる。
【0038】
本明細書に使用される用語は、特定の事例を説明する目的のみであり、制限するように意図されるものではない。本明細書で使用されるように、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈が別段に明確に示さない限り、複数形も含むことが意図されている。さらに、「含む(including)」、「含む(include)」「有する(having)」、「有する(has)」、「伴う(with)」、またはそれらの変形が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用される程度に、それらのような用語は、用語「含む(comprising)」と同様の方式で包括的であるように意図される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「治療(treatment)」、「治療すること(treating)」などの用語は、効果を得るために、剤を投与すること、または手順を実行することを指す。いくつかの実施形態では、効果は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に予防するという点で予防的である。いくつかの実施形態では、効果は、疾患または疾患の症状の部分的または完全な治癒に影響を与えるという点で治療的である。
【0040】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、無傷の抗体、抗体断片、それらが所望の生物学的活性(例えば、エピトープ結合)を呈する場合、モノクローナル抗体;ポリクローナル抗体;単一特異性抗体;多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体);及び抗体様タンパク質を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「抗体可変ドメイン」という用語は、相補的決定領域(CDR、例えば、CDR L1、CDR L2、CDR L3、CDR H1、CDR H2、及びCDR H3)及びフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む抗体の軽鎖及び重鎖の部分を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、2つの要素、例えば、タンパク質ドメイン間の連結を指す。いくつかの実施形態では、リンカーは、共有結合またはスペーサーであり得る。「スペーサー」という用語は、2つのポリペプチドまたはポリペプチドドメイン間に空間もしくは柔軟性(または空間及び柔軟性の両方)を提供するために、2つのポリペプチドまたはポリペプチドドメイン間に生じる部分(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー)またはアミノ酸配列(例えば、1~200アミノ酸配列)を指す。いくつかの実施形態では、アミノ酸スペーサーは、ポリペプチドの一次配列の一部である(例えば、ポリペプチド骨格を介して間隔を置いたポリペプチドまたはポリペプチドドメインに結合されている)。
【0043】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、がん、例えば固形腫瘍または血液がんなどの疾患を有する患者を治療する際に所望の治療効果を達成するのに十分かつ効果的である、ポリペプチドまたは本明細書に記載のポリペプチド、例えば、SIRPα D1ドメインまたはそのバリアントを有するポリペプチドを含む医薬組成物の量を指す。いくつかの実施形態では、有効量のポリペプチドは、有害な副作用を回避するであろう。
【0044】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、有効成分ならびに賦形剤または希釈剤(または賦形剤及び希釈剤の両方)を含み、有効成分が好適な投与方法によって投与され得る医薬品または医薬製剤を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物は、ポリペプチドと適合性のある薬学的に許容される成分を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口投与のための錠剤もしくはカプセル形態、または例えば注射による静脈内投与もしくは皮下投与のための水性形態である。
【0045】
本明細書で使用される場合、「対象」、「個体」、及び「患者」という用語は、脊椎動物、例えば哺乳動物を指すために同義的に使用される。哺乳動物としては、これらに限定されないが、マウス、サル、ヒト、家畜、スポーツ動物、及びペットが挙げられる。In vivoで得られたまたはin vitroで培養された生物学的実体の組織、細胞、及びそれらの後代もまた包含される。いずれの用語も、医療専門家の監督を必要としない。
【0046】
本明細書で使用される場合、「親和性」または「結合親和性」という用語は、2つの分子間の結合相互作用の強度を指す。一般に、結合親和性とは、分子とその結合パートナー(SIRPα D1ドメインバリアント及びCD47など)との間の非共有相互作用の合計の強度を指す。別途指定されない限り、結合親和性は、結合対のメンバー間の1:1の相互作用を反映する、本来の結合親和性を指す。2つの分子間の結合親和性は、一般に解離定数(KD)または結合定数(KA)で説明される。互いに低い結合親和性を有する2つの分子は、一般にゆっくりと結合し、容易に解離する傾向があり、大きいKDを呈する。互いに高い親和性を有する2つの分子は、一般に容易に結合し、結合が依然として長い傾向があり、小さいKDを呈する。いくつかの実施形態では、2つの相互作用する分子のKDは、既知の方法及び技術、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して決定される。KDは、koff/konの比率として計算できる。
【0047】
本明細書で使用される場合、「K 未満」という用語は、数値的に小さいK値及び記載されたKD値と比較して増加する結合親和性を指す。本明細書で使用される場合、「未満のKD」という用語は、数値的により大きいKD値及び記載されたKD値と比較して減少する結合親和性を指す。
【0048】
本明細書で使用されるとき、「と併せて」とは、1つの治療法に加えた別の治療法の施行を指す。したがって、「と併せて」とは、個体への1つの治療法の施行前、施行中、または施行後の別の治療法の施行を指す。
【0049】
概要
本明細書に提供されるのは、(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)と、(b)治療用抗体と、を個体に投与することを含む、個体(例えば、ヒト個体)において、がんを治療する方法である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアントのうちのいずれか1つを含む(他に特定されない限り)。
【0050】
いくつかの実施形態では、個体の非小細胞肺癌(NSCLC)を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗PD-1抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、個体は、ヒトである。いくつかの実施形態では、個体のNSCLCは、事前の免疫チェックポイント阻害剤(CPI)療法中に進行しており、及び/または50%未満のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、事前のCPI療法を受けていない。いくつかの実施形態では、個体は、PD-L1陰性である。いくつかの実施形態では、個体は、PD-L1陽性である。
【0051】
いくつかの実施形態では、個体の頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を治療する方法も提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗PD-1抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体のHNSCCは、事前のプラチナ療法中またはプラチナ療法後に進行しており、個体は、ヒトである。いくつかの実施形態では、個体は、事前の免疫チェックポイント阻害剤(CPI)療法(例えば、本明細書に記載の免疫チェックポイント阻害剤による治療)を受けた。いくつかの実施形態では、個体は、事前のCPI療法を受けていない。いくつかの実施形態では、個体は、PD-L1陰性である。いくつかの実施形態では、個体は、PD-L1陽性である。
【0052】
いくつかの実施形態では、個体が、PD-L1バイオマーカーを発現しないか、または非常に低レベルのPD-L1を発現するがんを有する場合、個体は、「PD-L1陰性」である。いくつかの実施形態では、個体のサンプルでPD-L1の発現(タンパク質発現など)が腫瘍細胞(TC)上(または中)に検出されない場合、個体のサンプルで腫瘍浸潤免疫細胞(IC)上(または中)にPD-L1発現(タンパク質発現など)が検出されない場合、またはPD-L1発現(例えば、タンパク質発現)が、個体のサンプル中のTC及び/またはIC上(もしくは中)で、非常に低レベルで検出された場合、その個体は、「PD-L1陰性」であるか、「PD-L1陰性のがん」を有する。いくつかの実施形態では、PD-L1を発現する個体から得たサンプルにおいて、個体のPD-L1状態を決定するためのアッセイ(例えば、本明細書に記載のアッセイ)を使用して決定されたときに、例えば、腫瘍細胞(TC)及び/または腫瘍浸潤免疫細胞(IC)の0%、約1%未満、約5%未満、または約10%未満の場合、個体はPD-L1陰性である。いくつかの実施形態では、個体または腫瘍は、T細胞浸潤を有さないため、PD-L1陰性とみなされ得る。このようなアッセイは、医療専門家によって公知であり、日常的に使用されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、個体がPD-L1バイオマーカーを発現する(例えば、診断試験において、発現することが示されている)がんを有する場合、個体は、「PD-L1陽性」である。いくつかの実施形態では、そのような個体は、「PD-L1陽性」であるか、または「PD-L1陽性がん」であるがんを有する。いくつかの実施形態では、PD-L1発現(例えば、タンパク質発現)が、個体のサンプル中の腫瘍細胞(TC)上(または中)で検出された場合、またはPD-L1発現(例えば、タンパク質発現)が、個体のサンプル中の腫瘍浸潤免疫細胞(IC)上(または中)で検出された場合、その個体は「PD-L1陽性」であるか「PD-L1陽性がん」を有する。いくつかの実施形態では、個体のTC及び/またはICは、低レベルのPD-L1バイオマーカーを発現する。いくつかの実施形態では、個体のTC及び/またはICは、高レベルのPD-L1バイオマーカーを発現する。いくつかの実施形態では、個体のPD-L1状態を決定するためのアッセイ(例えば、本明細書に記載のアッセイ)を使用して決定する場合、PD-L1バイオマーカーが、サンプルの0%を超えて、サンプルの少なくとも1%、サンプルの少なくとも5%、または個体のサンプルの少なくとも10%(例えば、個体のTC及び/またはICを含む個体のサンプル)存在する(例えば、検出される)場合、個体は、「PD-L1陽性」であるか、または「PD-L1陽性癌」である癌を有する。このようなアッセイは、医療専門家によって公知であり、日常的に使用されている。いくつかの実施形態では、個体の腫瘍比率スコア(TPS)が50%以上である場合、個体は「PD-L1」陽性であるか、「PD-L1陽性がん」を有する(すなわち、個体のサンプル中の生存腫瘍細胞の50%以上が、例えば、任意のレベルで、PD-L1を発現する)。
【0054】
いくつかの実施形態では、個体のHER2陽性胃/胃食道接合部(GEJ)癌を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗HER2抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体の胃/GEJ癌は、フルオロピリミジンベースの治療法による事前の治療及び/または抗HER2抗体による事前の治療の後に進行しており、個体は、ヒトである。
【0055】
いくつかの実施形態では、個体の侵攻性非ホジキンリンパ腫またはNHL(例えば、de novoまたは形質転換びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)またはマントル細胞リンパ腫)を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗CD20抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体の侵攻性NHLは、再発している、及び/または侵攻性NHLの事前の治療に難治性であり、利用可能な治癒的療法は存在せず、個体は、ヒトである。いくつかの実施形態では、再発性/難治性の侵攻性NHLは、再発性/難治性のDLBCL(例えば、de novoまたは形質転換されたDLBCL)である。いくつかの実施形態では、再発性/難治性の侵攻性NHLは、再発性/難治性のマントル細胞リンパ腫(MCL)である。
【0056】
いくつかの実施形態では、個体の無痛性リンパ腫を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドと、(b)抗CD20抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含み;Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)であり、ここで、個体の無痛性リンパ腫は、再発している、及び/または無痛性リンパ腫の事前の治療に難治性であり、個体は、ヒトである。いくつかの実施形態では、無痛性リンパ腫(再発性/難治性無痛性リンパ腫など)は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、再発性/難治性無痛性NHLである。いくつかの実施形態では、無痛性NHL(例えば、再発性/難治性NHL)は、濾胞性リンパ腫(例えば、再発性/難治性濾胞性リンパ腫)である。いくつかの実施形態では、無痛性NHL(例えば、再発性/難治性NHL)は、辺縁帯リンパ腫(例えば、再発性/難治性辺縁帯リンパ腫)である。
【0057】
治療方法及びSIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチドに関するさらなる詳細を以下に記載する。米国特許第10,259,859号に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
シグナル調節タンパク質α(SIRP-α)D1ドメイン及びそのバリアント
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、野生型SIRPα D1ドメインに対して、残基80にアミノ酸突然変異;及び残基6、残基27、残基31、残基47、残基53、残基54、残基56、残基66、及び残基92からなる群から選択される残基において、野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つの追加のアミノ酸突然変異を含むSIRPα D1ドメインまたはその断片を含むシグナル調節タンパク質α(SIRP-α)D1バリアントを含むポリペプチドである。
【0059】
また、本明細書で開示されるのは、いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントを含むポリペプチドであり、ここで、Fcドメインバリアント二量体は、2つのFcドメインバリアントを含み、各Fcドメインバリアントは、独立して、(i)突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域;(ii)突然変異A330S、P331S及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域;または(iii)突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域から選択される。
【0060】
シグナル調節タンパク質α(「SIRP-α」または「SIRP-アルファ」)は、骨髄細胞の膜に広く発現しているIgスーパーファミリーに属する膜貫通型糖タンパク質である。SIRPαは、身体内の多くの細胞型で広く発現しているタンパク質であるCD47と相互作用する。SIRPαとCD47との相互作用により、免疫系によって他の方法で認識され得る「自己」細胞の飲み込みを防ぐ。腫瘍細胞でのCD47の高発現は、急性骨髄性白血病及びいくつかの固形腫瘍がんにおいて、生存のための負の予後因子として作用し得るが観察されている。
【0061】
ネイティブSIRPαは、3つの相同性の高い免疫グロブリン(Ig)様細胞外ドメイン(D1、D2、及びD3)で構成されている。SIRPα D1ドメイン(「D1ドメイン」)は、SIRPαの膜遠位の細胞外ドメインを指し、SIRPαのCD47への結合を媒介する。本明細書で使用される場合、「SIRPαポリペプチド」という用語は、CD47に結合することができる任意のSIRPαポリペプチドまたはその断片を指す。少なくとも10の野生型ヒトSIRPαのバリアントが存在する。表1は、10の天然に存在する野生型ヒトSIRPα D1ドメインバリアント(配列番号1~10)のD1ドメインのアミノ酸配列を示す。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチドは、SIRPα D1ドメインを含む。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチドは、配列番号1~10中で提供されるものなどの野生型D1ドメインを含む。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチドは、野生型ヒトSIRPαのD2またはD3ドメイン(またはD2及びD3ドメインの両方)(表3を参照)を含む。
【0062】
本明細書で使用される場合、「SIRPα D1ドメインバリアント」という用語は、野生型SIRPαよりもCD47に対してより高い親和性を有するSIRPα D1ドメインまたはSIRPαポリペプチドのCD47結合部分を含むポリペプチドを指す。SIRPα D1ドメインバリアントは、野生型SIRPαに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失、または挿入(またはそれらの組み合わせ)を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるSIRPα D1ドメインバリアントは、SIRPα D1ドメインまたはそのバリアントを含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号1~10に示される野生型D1ドメインに対して、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、付加、または欠失を含む。表2には、各SIRPα D1ドメインバリアント(配列番号13~22)における例示的なアミノ酸置換を列挙している。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインポリペプチドまたはSIRPα D1ドメインバリアントは、D1ドメインの断片を含む。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチド断片またはSIRPα D1ドメインバリアント断片は、長さ10アミノ酸未満、長さ約10アミノ酸、長さ約20アミノ酸、長さ約30アミノ酸、長さ約40アミノ酸、長さ約50アミノ酸、長さ約60アミノ酸、長さ約70アミノ酸、長さ約80アミノ酸、長さ約90アミノ酸、長さ約100アミノ酸、または長さ約100アミノ酸以上のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメイン断片は、CD47に結合する能力を保持している。
【0064】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントを含む本開示のポリペプチドは、野生型ヒトSIRPα D1ドメインよりも高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、天然に存在するD1ドメインの親和性よりも、少なくとも1倍(例えば、少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、5倍、5倍以上)の親和性でヒトCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、天然に存在するD1ドメインの親和性よりも、少なくとも1倍(例えば、少なくとも10倍、100倍、1000倍、または1000倍以上)の親和性でヒトCD47に結合する。
【0065】
本明細書で使用される場合、「最適化された親和性」または「最適化された結合親和性」という用語は、SIRPα D1ドメインバリアントなど、本明細書に開示のポリペプチドとCD47との間の結合相互作用の最適化された強度を指す。例えば、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、がん細胞上のCD47に主にまたはより高い親和性で結合し、非がん細胞上のCD47に実質的に結合しないか、またはより低い親和性で結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドとCD47との間の結合親和性は、相互作用が、最大の親和性で結合するバリアントと比較して、臨床的に関連する毒性を引き起こさないか、または毒性を減少させるように最適化される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるポリペプチドとCD47との間の最適化された結合親和性を達成するために、SIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドは、最大に達成可能であるよりも低いCD47への結合親和性を有するように開発される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のSIRPα D1ドメインバリアントは、げっ歯類、非ヒト霊長目(NHP)、及びヒトCD47と交差反応する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「免疫原性」という用語は、それが外来抗原であるかのように宿主において免疫応答を引き起こすタンパク質(例えば、治療用タンパク質)の特性を指す。タンパク質の免疫原性は、in vitro T細胞増殖アッセイなど、様々な方法でin vitroでアッセイできる。
【0067】
本明細書で使用される場合、「最小免疫原性」という用語は、アミノ酸置換が導入される前(例えば、未修飾タンパク質)の免疫原性よりも低くなるように(例えば、少なくとも10%、25%、50%、または100%低い)、例えば、アミノ酸置換によって修飾されているタンパク質(例えば、治療用タンパク質)の免疫原性を指す。いくつかの実施形態では、タンパク質(例えば、治療用タンパク質)は、最小免疫原性を有するように修飾され、それが外来抗原であるとしても、宿主免疫応答を全くまたはほとんど引き起こさない。
【0068】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、最小免疫原性を示す。いくつかの実施形態では、対象に投与される本開示のSIRPαポリペプチドは、SIRPα D1ドメインバリアントの親和性を増加させるアミノ酸変化を除いて、対象の生物学的サンプルにおけるSIRPαポリペプチドの親和性と同じアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のポリペプチドバリアントは、抗CD47抗体または野生型SIRPαと比較して、副作用のリスクを低下させる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のポリペプチドバリアントは、抗CD47抗体または野生型SIRPαと比較して、貧血のリスクを低下させる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のポリペプチドバリアントは、げっ歯類または非ヒト霊長類(NHP)の試験において急性貧血を引き起こさない。
【0069】
表2には、各D1ドメイン配列に対する、SIRPα D1ドメインバリアントの特定のアミノ酸置換を示す。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、表2に列挙されている置換のうちの1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、またはそれ以上)を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインに対して、最大で14個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインに対して、最大で10個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインに対して、最大で7個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本開示のSIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインの配列に対して、少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、95%、97%または97%を超える)のアミノ酸配列同一性を有する。
【0070】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、2つ以上の野生型D1ドメインまたはそのバリアントの一部(例えば、1つの野生型D1ドメインまたはそのバリアントの一部及び別の野生型D1ドメインまたはそのバリアントのその一部)を含むキメラSIRPα D1ドメインバリアントである。いくつかの実施形態では、キメラSIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインまたはそのバリアントの少なくとも2つの部分(例えば、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の部分)を含み、ここで、部分の各々は、異なる野生型D1ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、キメラSIRPα D1ドメインバリアントは、表2に列挙されている1つ以上のアミノ酸置換をさらに含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEX1QX2IQPDKSVLVAAGETX3TLRCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPGRX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSDX10TX11RNNMDFSIRIGNITPADAGTYYCX12KX13RKGSPDDVEX14KSGAGTELSVRAKPS(配列番号13)、Xは、L、I、またはVであり、Xは、V、L、またはIであり、Xは、AまたはVであり、Xは、A、I、またはLであり、Xは、I、T、S、またはFであり、Xは、E、V、またはLであり、Xは、KまたはRであり、Xは、EまたはQであり、Xは、H、P、またはRであり、X10は、L、T、またはGであり、X11は、KまたはRであり、X12は、VまたはIであり、X13は、F、L、またはVであり、X14は、FまたはVであり、バリアントは、配列番号1の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEGX1QX2IQPDKSVSVAAGESX3ILHCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPGRX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSDX10TX11RNNMDFSIRIGNITPADAGTYYCX12KX13RKGSPDDVEX14KSGAGTELSVRAKPS(配列番号16)、Xは、L、I、またはVであり、Xは、V、L、またはIであり、Xは、AまたはVであり、Xは、A、I、またはLであり、Xは、I、T、S、またはFであり、Xは、E、V、またはLであり、Xは、KまたはRであり、Xは、EまたはQであり、Xは、H、P、またはRであり、X10は、L、T、またはGであり、X11は、KまたはRであり、X12は、VまたはIであり、X13は、F、L、またはVであり、X14は、FまたはVであり、バリアントは、配列番号4の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEX1QX2IQPDKFVLVAAGETX3TLRCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPGRX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSDX10TX11RNNMDFSIRIGNITPADAGTYYCX12KX13RKGSPDDVEX14KSGAGTELSVRAKPS(配列番号17)、Xは、L、I、またはVであり、Xは、V、L、またはIであり、Xは、AまたはVであり、Xは、A、I、またはLであり、Xは、I、T、S、またはFであり、Xは、E、V、またはLであり、Xは、KまたはRであり、Xは、EまたはQであり、Xは、H、P、またはRであり、X10は、L、T、またはGであり、X11は、KまたはRであり、X12は、VまたはIであり、X13は、F、L、またはVであり、X14は、FまたはVであり、バリアントは、配列番号5の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEX1QX2IQPDKSVLVAAGETX3TLRCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPGRX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSDX10TX11RNNMDFPIRIGNITPADAGTYYCX12KX13RKGSPDDVEX14KSGAGTELSVRAKPS(配列番号18)、Xは、L、I、またはVであり、Xは、V、L、またはIであり、Xは、AまたはVであり、Xは、A、I、またはLであり、Xは、I、T、S、またはFであり、Xは、E、V、またはLであり、Xは、KまたはRであり、Xは、EまたはQであり、Xは、H、P、またはRであり、X10は、L、T、またはGであり、X11は、KまたはRであり、X12は、VまたはIであり、X13は、F、L、またはVであり、X14は、FまたはVであり、バリアントは、配列番号6の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEX1QX2IQPDKSVLVAAGETX3TLRCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPGRX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSDX10TX11RNNMDFSIRISNITPADAGTYYCX12KX13RKGSPDDVEX14KSGAGTELSVRAKPS(配列番号21)、Xは、L、I、またはVであり、Xは、V、L、またはIであり、Xは、AまたはVであり、Xは、A、I、またはLであり、Xは、I、T、S、またはFであり、Xは、E、V、またはLであり、Xは、KまたはRであり、Xは、EまたはQであり、Xは、H、P、またはRであり、X10は、L、T、またはGであり、X11は、KまたはRであり、X12は、VまたはIであり、X13は、F、L、またはVであり、X14は、FまたはVであり、バリアントは、配列番号9の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0075】
前述の実施形態のいずれかでは、ポリペプチドは、配列番号13、16~18、及び21のいずれか1つの配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含み、ここで、Xは、L、I、またはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、V、L、またはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、AまたはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、A、I、またはLである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、I、T、S、またはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、E、V、またはLである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、EまたはQである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、H、P、またはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、X10は、L、T、またはGである。前述の実施形態のいずれにおいても、X11は、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、X12は、VまたはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、X13は、F、L、Vである。前述の実施形態のいずれにおいても、X14は、FまたはVである。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号1、4~6、及び9のいずれか1つの配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して、6つ以下のアミノ酸置換を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1、4~6、及び9のいずれか1つの配列を含む野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1、4~6、及び9のいずれか1つの配列を含む野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1、4~6、及び9のいずれか1つの配列を含む野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5×10-9M未満、1×10-9M未満、5×10-10 M未満、1x10-10M未満、または1x10-11M未満のKDでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0077】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドには、以下の配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントが含まれる:
EEEX1QX2IQPDKSVSVAAGESX3ILHCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPARX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSEX10TX11RENMDFSISISNITPADAGTYYCX12KX13RKGSPDTEX14KSGAGTELSVRAKPS (配列番号14)、Xは、L、I、またはVであり、Xは、V、L、またはIであり、Xは、AまたはVであり、Xは、V、I、またはLであり、Xは、I、T、S、またはFであり、Xは、E、V、またはLであり、Xは、KまたはRであり、Xは、EまたはQであり、Xは、H、P、またはRであり、X10は、S、T、またはGであり、X11は、KまたはRであり、X12は、VまたはIであり、X13は、F、L、またはVであり、X14は、FまたはVであり、バリアントは、配列番号2の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドには、以下の配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントが含まれる:
EEEX1QX2IQPDKSVSVAAGESX3ILLCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPARX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSEX10TX11RENMDFSISISNITPADAGTYYCX12KX13RKGSPDTEX14KSGAGTELSVRAKPS(配列番号15)、Xは、L、I、またはVであり、Xは、V、L、またはIであり、Xは、AまたはVであり、Xは、V、I、またはLであり、Xは、I、T、S、またはFであり、Xは、E、V、またはLであり、Xは、KまたはRであり、Xは、EまたはQであり、Xは、H、P、またはRであり、X10は、S、T、またはGであり、X11は、KまたはRであり、X12は、VまたはIであり、X13は、F、L、またはVであり、X14は、FまたはVであり、バリアントは、配列番号3の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドには、以下の配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントが含まれる:
EEEX1QX2IQPDKSVSVAAGESX3ILHCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPARX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSEX10TX11RENMDFSISISNITPADAGTYYCX12KX13RKGSPDTEX14KSGAGTELSVRGKPS(配列番号19)、Xは、L、I、またはVであり、Xは、V、L、またはIであり、Xは、AまたはVであり、Xは、V、I、またはLであり、Xは、I、T、S、またはFであり、Xは、E、V、またはLであり、Xは、KまたはRであり、Xは、EまたはQであり、Xは、H、P、またはRであり、X10は、S、T、またはGであり、X11は、KまたはRであり、X12は、VまたはIであり、X13は、F、L、またはVであり、X14は、FまたはVであり、バリアントは、配列番号7の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドには、以下の配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントが含まれる:
EEEX1QX2IQPDKSVSVAAGESX3ILHCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPARX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSEX10TX11RENMDFSISISNITPADAGTYYCX12KX13RKGSPDTEX14KSGAGTELSVRAKPS(配列番号22)、Xは、L、I、またはVであり、Xは、V、L、またはIであり、Xは、AまたはVであり、Xは、V、I、またはLであり、Xは、I、T、S、またはFであり、Xは、E、V、またはLであり、Xは、KまたはRであり、Xは、EまたはQであり、Xは、H、P、またはRであり、X10は、S、T、またはGであり、X11は、KまたはRであり、X12は、VまたはIであり、X13は、F、L、またはVであり、X14は、FまたはVであり、バリアントは、配列番号10の配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0081】
本開示の本態様において前述の実施形態のいずれかでは、ポリペプチドは、配列番号14、15、19、及び22のいずれか1つの配列を含み、ここで、Xは、L、I、またはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、V、L、またはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、AまたはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、V、I、またはLである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、I、T、S、またはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、E、V、またはLである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、EまたはQである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、H、P、またはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、X10は、S、T、またはGである。前述の実施形態のいずれにおいても、X11は、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、X12は、VまたはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、X13は、F、L、またはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、X14は、FまたはVである。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号2、3、7、及び10のいずれか1つの配列を含む野生型SIRPα D1ドメインに対して6つ以下のアミノ酸置換を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、3、7、及び10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、3、7、及び10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、3、7、及び10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0083】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEX1QX2IQPDKSVLVAAGETX3TLRCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPARX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSEX10TX11RENMDFSISISNITPADAGTYYCX12KX13RKGSPDTEX14KSGAGTELSVRAKPS(配列番号20)、Xは、L、I、またはVであり、Xは、V、L、またはIであり、Xは、AまたはVであり、Xは、A、I、またはLであり、Xは、I、T、S、またはFであり、Xは、E、V、またはLであり、Xは、KまたはRであり、Xは、EまたはQであり、Xは、H、P、またはRであり、X10は、S、T、またはGであり、X11は、KまたはRであり、X12は、VまたはIであり、X13は、F、L、またはVであり、X14は、FまたはVであり、バリアントは、配列番号8の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号20の配列を含み、ここで、Xは、L、I、またはVである。本開示の本態様において前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、V、L、またはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、AまたはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、A、I、またはLである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、I、T、S、またはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、E、V、またはLである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、EまたはQである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、H、P、またはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、X10は、S、T、またはGである。前述の実施形態のいずれにおいても、X11は、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、X12は、VまたはIである。前述の実施形態のいずれにおいても、X13は、F、L、またはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、X14は、FまたはVである。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号8の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して6つ以下のアミノ酸置換を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号8の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号8の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号8の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5×10-9M未満、1×10-9M未満、5×10-10M未満、1x10-10M未満、または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0086】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEX1X2QX3IQPDKX4VX5VAAGEX6X7X8LX9CTX10TSLX11PVGPIQWFRGAGPX12RX13LIYNQX14X15GX16FPRVTTVSX17X18TX19RX20NMDFX21IX22IX23NITPADAGTYYCX24KX25RKGSPDX26X27EX28KSGAGTELSVRX29KPS(配列番号23)、Xは、EまたはGであり;Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、または、Iであり;Xは、SまたはFであり;Xは、LまたはSであり;Xは、SまたはTであり;Xは、AまたはVであり;Xは、IまたはTであり;Xは、HまたはRであり;X10は、A、V、I、またはLであり;X11は、I、T、S、またはFであり;X12は、AまたはGであり;X13は、E、V、またはLであり;X14は、KまたはRであり;X15は、EまたはQであり;X16は、H、P、またはRであり;X17は、DまたはEであり;X18は、S、L、T、またはGであり;X19は、KまたはRであり;X20は、EまたはDであり;X21は、SまたはPであり;X22は、SまたはRであり;X23は、SまたはGであり;X24は、VまたはIであり;X25は、F、L、Vであり;X26は、Dまたは不在であり;X27は、TまたはVであり;X28は、FまたはVであり;X29は、AまたはGであり;ここで、バリアントは、配列番号1~10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0087】
は、L、I、またはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、V、L、またはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、SまたはFである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、LまたはSである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、SまたはTである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、AまたはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、IまたはTである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、HまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X10は、A、V、I、またはLである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X11は、I、T、S、またはFである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X12は、AまたはGである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X13は、E、V、またはLである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X14は、KまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X15は、EまたはQである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X16は、H、P、またはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X17は、DまたはEである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X18は、S、L、T、またはGである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X19は、KまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X20は、EまたはDである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X21は、SまたはPである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X22は、SまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X23は、SまたはGである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X24は、VまたはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X25は、F、L、Vである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X26は、Dまたは存在しない。前述の実施形態のいずれかにおいて、X27は、TまたはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X28は、FまたはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X29は、AまたはGである。いくつかの実施形態では、本開示の本態様のポリペプチドは、配列番号1~10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、6つ以下のアミノ酸置換を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1~10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1~10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1~10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0089】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントを含む本開示のポリペプチドは、さらに、表3に示す野生型ヒトSIRPαの、配列番号24の配列を有するD2ドメイン、配列番号25の配列を有するD3ドメイン、または配列番号24の配列を有するD2ドメイン及び配列番号25の配列を有するD3ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、D2ドメインの断片またはバリアント、あるいはD3ドメインの断片またはバリアントをさらに含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、D2ドメインの断片またはバリアント、及びD3ドメインの断片またはバリアントをさらに含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、リンカーを介してD2またはD3ドメインに連結される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、リンカーを介してD2及びD3ドメインに連結される。
【0090】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントを含む本開示のポリペプチドは、ポリペプチドの薬物動態特性を改善するため、例えば、血清半減期を増長させるために、Fcドメインバリアントに付着される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、二量体化できないFcドメインバリアントに付着している。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、本明細書に記載のポリペプチドの血清半減期を増長させるのに役立つ。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントを含む本開示のポリペプチドは、表4に示される配列番号26~36のいずれの配列も含まない。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリペプチド及びポリペプチドコンストラクトは、免疫アッセイなどの結合アッセイのためにin vitroで利用される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリペプチド及びポリペプチドコンストラクトは、液相で利用されるか、または固相担体に結合される。いくつかの実施形態では、イムノアッセイに利用されるポリペプチドは、様々な方法で検出可能に標識される。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリペプチド及びポリペプチドコンストラクトは、様々な担体に結合され、特定の抗原発現細胞の存在を検出するために使用される。担体の例としては、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然セルロース及び修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、及びマグネタイトが挙げられる。担体の性質は、可溶性または不溶性のいずれかであり得る。
【0093】
様々な異なる標識及び標識付け方法が公知である。標識の例としては、酵素、放射性同位元素、蛍光化合物、コロイド金属、化学発光化合物、及び生物発光化合物が挙げられる。本明細書に開示のポリペプチドに標識を結合するための様々な技術が利用可能である。
【0094】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、低分子量ハプテンに結合される。次に、これらのハプテンは、2番目の反応によって特異的に検出される。例えば、いくつかの実施形態では、ハプテンビオチンは、アビジンと共に使用されるか、またはハプテンジニトロフェノール、ピリドキサール、またはフルオレセインは、特定の抗ハプテン抗体(例えば、それぞれ、抗ジニトロフェノール抗体、抗ピリドキサール抗体、及び抗フルオレセイン抗体)で検出される。
【0095】
改変グリコシル化パターンを有するSIRPα D1ドメインバリアント
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、野生型SIRPα D1ドメインに対して、残基80にアミノ酸突然変異;及び残基6、残基27、残基31、残基47、残基53、残基54、残基56、残基66、及び残基92からなる群から選択される残基において、野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つの追加のアミノ酸突然変異を有するSIRPα D1ドメインまたはその断片を含むシグナル調節タンパク質α(SIRP-α)D1バリアントを含むポリペプチドである。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書にも開示されるのは、Fcドメインバリアントを含むポリペプチドであり、ここで、Fcドメインバリアント二量体は、2つのFcドメインバリアントを含み、各Fcドメインバリアントは、独立して、(i)突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域;(ii)突然変異A330S、P331S及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域;または(iii)突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域から選択される。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物中のポリペプチドは、グリコシル化が減少しているかまたは最小であるSIRPα D1ドメインバリアントを含む。10個の野生型ヒトSIRPαタンパク質(表1の配列番号1~10)のそれぞれのD1ドメインは、配列N80ITP中のアミノ酸N80に単一の潜在的なN連結型グリコシル化部位を含む。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞でのSIRPα D1ドメインの発現は、16kDa(非グリコシル化)のメジャーバンドと、Endo Hfによって除去された高分子量のマイナーバンドをもたらす。Endo Hfは、エンドグリコシダーゼHとマルトース結合タンパク質との組換えタンパク質融合体である。Endo Hfは、高マンノースのキトビオースコア及びN-連結型糖タンパク質からのいくつかのハイブリッドオリゴ糖内で切断する。これは、アミノ酸位置83のプロリンが、グリコシル化の効率を低下させて、異なるグリコシル化の程度を有するタンパク質、したがって不均一性をもたらし得ることを意味する。薬物開発の場合、不均一性は、プロセス開発において課題をもたらし得る。したがって、SIRPα D1ドメインバリアントの均質な非グリコシル化形態を生成する可能性を調べるために、いくつかの実施形態では、SIRPα D1バリアントのアミノ酸N80をAlaに変異させる。いくつかの実施形態では、非グリコシル化、SIRPα D1ドメインバリアントを作製するために、SIRPα D1ドメインバリアント中のアミノ酸N80は、任意の天然及び非天然アミノ酸、例えば、N80A及びN80Qなどの任意のアミノ酸によって置き換えられる。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、N80A突然変異及び少なくとも1つの追加の突然変異(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10またはそれ以上の追加の突然変異)を含む。いくつかの実施形態では、追加の突然変異は、CD47結合部位にある。いくつかの実施形態では、追加の突然変異は、D1ドメインの疎水性コア内にある。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物中のポリペプチドは、野生型SIRPα D1ドメインに対して、グリコシル化が増加したSIRPα D1ドメインバリアントを含む。最終生成物の均一性を高める別の選択肢では、アミノ酸N80でのグリコシル化の効率を高め、野生型に対して、グリコシル化が増加したSIRPα D1ドメインバリアントを生成する。いくつかの実施形態では、配列NITP83中のアミノ酸P83は、アミノ酸N80でのグリコシル化の程度に影響を与える。いくつかの実施形態では、P83を任意のアミノ酸に変更することは、N80でのグリコシル化の効率を増加させる。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント中のアミノ酸P83は、天然及び非天然アミノ酸、例えば、P83V、P83A、P83I、及びP83Lなどの任意のアミノ酸によって置換される。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、例えば、細胞株の遺伝子工学による細胞(例えば、遺伝子操作された酵母または哺乳動物宿主)、またはキフネンシンの添加など、細胞培養条件の変更、またはプロカリオテ(E.coliなど)など、天然の非グリコシル化宿主を使用することによって発現されるタンパク質をグリコシル化しないように最適化された細胞において発現される。
【0099】
表5には、各D1ドメインバリアント配列に対する、SIRPα D1ドメインバリアントの特定のアミノ酸置換を示す。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、表5に列挙されている置換のうちの1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、またはそれ以上)を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、グリコシル化されていないか、または最小限にグリコシル化されている。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、完全にグリコシル化されているか、またはほぼ完全にグリコシル化されている。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインに対して、最大で14個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインに対して、最大で10個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインに対して、最大で7個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本開示のSIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインの配列に対して、少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、95%、97%または97%を超える)のアミノ酸配列同一性を有する。
【0100】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、2つ以上の野生型D1ドメインまたはそのバリアントの一部(例えば、1つの野生型D1ドメインまたはそのバリアントの一部及び別の野生型D1ドメインまたはそのバリアントのその一部)を含むキメラSIRPα D1ドメインバリアントである。いくつかの実施形態では、キメラSIRPα D1ドメインバリアントは、野生型D1ドメインまたはそのバリアントの少なくとも2つの部分(例えば、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の部分)を含み、ここで、部分の各々は、異なる野生型D1ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、キメラSIRPα D1ドメインバリアントは、表5に列挙されている1つ以上のアミノ酸置換をさらに含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEX1QX2IQPDKSVLVAAGETX3TLRCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPGRX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSDX10TX11RNNMDFSIRIGX12ITX13ADAGTYYCX14KX15RKGSPDDVEX16KSGAGTELSVRAKPS(配列番号37)、Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、A、またはVであり;Xは、A、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、E、V、またはLであり;Xは、K、またはRであり;Xは、E、またはQであり;Xは、H、P、またはRであり;X10は、L、T、またはGであり;X11は、K、またはRであり;X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X14は、V、またはIであり;X15は、F、L、またはVであり;X16は、FまたはVであり;バリアントは、配列番号1の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEGX1QX2IQPDKSVSVAAGESX3ILHCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPGRX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSDX10TX11RNNMDFSIRIGX12ITX13ADAGTYYCX14KX15RKGSPDDVEX16KSGAGTELSVRAKPS(配列番号40)、Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、AまたはVであり;Xは、A、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、E、V、またはLであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、H、P、またはRであり;X10は、L、T、またはGであり;X11は、KまたはRであり;X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X14は、VまたはIであり;X15は、F、L、またはVであり;及びX16は、FまたはVであり;バリアントは、配列番号4の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEX1QX2IQPDKFVLVAAGETX3TLRCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPGRX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSDX10TX11RNNMDFSIRIGX12ITX13ADAGTYYCX14KX15RKGSPDDVEX16KSGAGTELSVRAKPS(配列番号41)、Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、A、またはVであり;Xは、A、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、E、V、またはLであり;Xは、K、またはRであり;Xは、E、またはQであり;Xは、H、P、またはRであり;X10は、L、T、またはGであり;X11は、K、またはRであり;X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X14は、V、またはIであり;X15は、F、L、またはVであり;X16は、FまたはVであり;バリアントは、配列番号5の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEX1QX2IQPDKSVLVAAGETX3TLRCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPGRX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSDX10TX11RNNMDFPIRIGX12ITX13ADAGTYYCX14KX15RKGSPDDVEX16KSGAGTELSVRAKPS(配列番号42)、Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、A、またはVであり;Xは、A、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、E、V、またはLであり;Xは、K、またはRであり;Xは、E、またはQであり;Xは、H、P、またはRであり;X10は、L、T、またはGであり;X11は、K、またはRであり;X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X14は、V、またはIであり;X15は、F、L、またはVであり;X16は、FまたはVであり;バリアントは、配列番号6の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEX1QX2IQPDKSVLVAAGETX3TLRCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPGRX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSDX10TX11RNNMDFSIRISX12ITX13ADAGTYYCX14KX15RKGSPDDVEX16KSGAGTELSVRAKPS(配列番号45)、Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、A、またはVであり;Xは、A、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、E、V、またはLであり;Xは、K、またはRであり;Xは、E、またはQであり;Xは、H、P、またはRであり;X10は、L、T、またはGであり;X11は、K、またはRであり;X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X14は、V、またはIであり;X15は、F、L、またはVであり;X16は、FまたはVであり;バリアントは、配列番号9の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0106】
本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、ポリペプチドは、配列番号37、40~42、及び45のうちのいずれか1つの配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含み、Xは、L、I、またはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、V、L、またはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、A、またはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、A、I、またはLである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、I、T、S、またはFである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、E、V、またはLである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、K、またはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、E、またはQである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、H、P、またはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X10は、L、T、またはGである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X11は、K、またはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X14は、V、またはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X15は、F、L、Vである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X16は、F、またはVである。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるポリペプチドは、配列番号1、4~6、及び9のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるポリペプチドは、配列番号1、4~6、及び9のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1、4~6、及び9のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1、4~6、及び9のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1、4~6、及び9のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5×10-9M未満、1×10-9M未満、5×10-10 M未満、1x10-10M未満、または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0109】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEX1QX2IQPDKSVSVAAGESX3ILHCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPARX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSEX10TX11RENMDFSISISX12ITX13ADAGTYYCX14KX15RKGSPDTEX16KSGAGTELSVRAKPS(配列番号38)、Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、AまたはVであり;Xは、V、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、E、V、またはLであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、H、P、またはRであり;X10は、S、T、またはGであり;X11は、KまたはRであり;X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X14は、VまたはIであり;X15は、F、L、またはVであり;及びX16は、FまたはVであり;バリアントは、配列番号2の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEX1QX2IQPDKSVSVAAGESX3ILLCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPARX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSEX10TX11RENMDFSISISX12ITX13ADAGTYYCX14KX15RKGSPDTEX16KSGAGTELSVRAKPS(配列番号39)、Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、AまたはVであり;Xは、V、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、E、V、またはLであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、H、P、またはRであり;X10は、S、T、またはGであり;X11は、KまたはRであり;X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X14は、VまたはIであり;X15は、F、L、またはVであり;及びX16は、FまたはVであり;バリアントは、配列番号3の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEX1QX2IQPDKSVSVAAGESX3ILHCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPARX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSEX10TX11RENMDFSISISX12ITX13ADAGTYYCX14KX15RKGSPDTEX16KSGAGTELSVRGKPS(配列番号43)、Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、AまたはVであり;Xは、V、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、E、V、またはLであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、H、P、またはRであり;X10は、S、T、またはGであり;X11は、KまたはRであり;X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X14は、VまたはIであり;X15は、F、L、またはVであり;及びX16は、FまたはVであり;バリアントは、配列番号7の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEX1QX2IQPDKSVSVAAGESX3ILHCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPARX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSEX10TX11RENMDFSISISX12ITX13ADAGTYYCX14KX15RKGSPDTEX16KSGAGTELSVRAKPS(配列番号46)、Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、AまたはVであり;Xは、V、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、E、V、またはLであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、H、P、またはRであり;X10は、S、T、またはGであり;X11は、KまたはRであり;X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X14は、VまたはIであり;X15は、F、L、またはVであり;及びX16は、FまたはVであり;バリアントは、配列番号10の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0113】
本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、ポリペプチドは、配列番号38、39、43、及び46のうちのいずれか1つの配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含み、Xは、L、I、またはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、V、L、またはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、A、またはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、V、I、またはLである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、I、T、S、またはFである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、E、V、またはLである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、K、またはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、E、またはQである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、H、P、またはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X10は、S、T、またはGである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X11は、K、またはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X14は、V、またはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X15は、F、L、またはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X16は、FまたはVである。
【0114】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、3、7、及び10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、3、7、及び10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して7以下のアミノ酸置換を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、3、7、及び10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、3、7、及び10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、3、7、及び10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500 pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0116】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEEX1QX2IQPDKSVLVAAGETX3TLRCTX4TSLX5PVGPIQWFRGAGPARX6LIYNQX7X8GX9FPRVTTVSEX10TX11RENMDFSISISX12ITX13ADAGTYYCX14KX15RKGSPDTEX16KSGAGTELSVRAKPS(配列番号44)、Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、AまたはVであり;Xは、A、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、E、V、またはLであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、H、P、またはRであり;X10は、S、T、またはGであり;X11は、KまたはRであり;X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYであり;X14は、VまたはIであり;X15は、F、L、またはVであり;及びX16は、FまたはVであり;バリアントは、配列番号8の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号44の配列を含み、Xは、L、I、またはVである。本開示の本態様での前述の実施絵形態のいずれかにおいて、Xは、V、L、またはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、A、またはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、A、I、またはLである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、I、T、S、またはFである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、E、V、またはLである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、K、またはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、E、またはQである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、H、P、またはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X10は、S、T、またはGである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X11は、K、またはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X12は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X13は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X14は、V、またはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X15は、F、L、またはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X16は、FまたはVである。
【0118】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号8の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号8の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号8の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号8の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号8の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5×10-9M未満、1×10-9M未満、5×10-10 M未満、1x10-10M未満、または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0120】
別の態様では、本開示は、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドを特徴とする:
EEX1X2QX3IQPDKX4VX5VAAGEX6X7X8LX9CTX10TSLX11PVGPIQWFRGAGPX12RX13LIYNQX14X15GX16FPRVTTVSX17X18TX19RX20NMDFX21IX22IX23X24ITX25ADAGTYYCX26KX27RKGSPDX28X29EX30KSGAGTELSVRX31KPS(配列番号47)、Xは、EまたはGであり;Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、SまたはFであり;Xは、LまたはSであり;Xは、SまたはTであり;Xは、AまたはVであり;Xは、IまたはTであり;Xは、H、R、またはLであり;X10は、A、V、I、またはLであり;X11は、I、T、S、またはFであり;X12は、AまたはGであり;X13は、E、V、またはLであり;X14は、KまたはRであり;X15は、EまたはQであり;X16は、H、P、またはRであり;X17は、DまたはEであり;X18は、S、L、T、またはGであり;X19は、KまたはRであり;X20は、EまたはNであり;X21は、SまたはPであり;X22は、SまたはRであり;X23は、SまたはGであり;X24は、任意のアミノ酸であり;X25は、任意のアミノ酸であり;X26は、VまたはIであり;X27は、F、L、Vであり;X28は、Dまたは存在せず;X29は、TまたはVであり;X30は、FまたはVであり;X31は、AまたはGであり;バリアントは、配列番号1~10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号47の配列を含み、Xは、EまたはGである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、L、I、またはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、V、L、またはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、SまたはFである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、LまたはSである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、SまたはTである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、AまたはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、IまたはTである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、HまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X10は、A、V、I、またはLである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X11は、I、T、S、またはFである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X12は、AまたはGである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X13は、E、V、またはLである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X14は、KまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X15は、EまたはQである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X16は、H、P、またはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X17は、DまたはEである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X18は、S、L、T、またはGである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X19は、KまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X20は、EまたはNである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X21は、SまたはPである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X22は、SまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X23は、SまたはGである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X24は、N、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはYである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X25は、P、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはYである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X26は、VまたはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X27は、F、L、Vである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X28は、Dまたは存在しない。前述の実施形態のいずれにおいても、X29は、TまたはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、X30は、FまたはVである。前述の実施形態のいずれにおいても、X31は、AまたはGである。
【0122】
いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号1~10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号1~10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して7以下のアミノ酸置換を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1~10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1~10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1~10のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0124】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む:
EEELQX1IQPDKSVX2VAAGEX3AX4LX5CTX6TSLX7PVGPIQWFRGAGPX8RX9LIYNQX10X11GX12FPRVTTVSX13X14TKRX15NMDFSIX16IX17X18ITPADAGTYYCX19KFRKGX20X21X22DX23EFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号48)、Xは、VまたはIであり;Xは、LまたはSであり;Xは、TまたはSであり;Xは、TまたはIであり;Xは、RまたはHであり;Xは、A、V、またはIであり;Xは、I、R、Y、KまたはFであり;Xは、GまたはAであり;Xは、EまたはVであり;X10は、KまたはRであり;X11は、E、DまたはQであり;X12は、HまたはPであり;X13は、DまたはEであり;X14は、S、LまたはTであり;X15は、NまたはEであり;X16は、RまたはSであり;X17は、GまたはSであり;X18は、NまたはAであり;X19は、VまたはIであり;X20は、S、IまたはMであり;X21は、Pまたは存在せず;X22は、DまたはPであり;X23は、VまたはT、またはそれらの断片である。
【0125】
別の態様では、本開示は、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドを特徴とする:
EEELQX1IQPDKSVLVAAGETATLRCTX2TSLX3PVGPIQWFRGAGPGRX4LIYNQX5X6GX7FPRVTTVSDX8TKRNNMDFSIRIGX9ITPADAGTYYCX10KFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号49)、Xは、V、L、またはIであり;Xは、A、I、V、またはLであり;Xは、I、F、S、またはTであり;Xは、E、V、またはLであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、H、P、またはRであり;Xは、L、T、S、またはGであり;Xは、Aであり;X10は、VまたはIであり;ここで、バリアントは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号49の配列を含み、Xは、V、LまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、A、I、V、またはLである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、I、F、S、またはTである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、E、V、またはLである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、EまたはQである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、H、P、またはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、L、T、SまたはGである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X10は、VまたはIである。
【0127】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号49に対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を含むSIRPα D1ドメインを含み、X、X、X、X、X、X、X、X、X、及びX10の各々は、野生型アミノ酸ではない。
【0128】
いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドには、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドには、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換が含まれる。
【0129】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5×10-9M未満、1×10-9M未満、5×10-10M未満、1x10-10M未満、または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500 pM、約500pM~100pM、約100pM~50 pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0130】
別の態様では、本開示は、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドを特徴とする:
EEELQX1IQPDKSVSVAAGESAILHCTX2TSLX3PVGPIQWFRGAGPARX4LIYNQX5X6GX7FPRVTTVSEX8TKRENMDFSISISX9ITPADAGTYYCX10KFRKGSPDTEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号50)、Xは、VまたはIであり;Xは、VまたはIであり;Xは、IまたはFであり;Xは、EまたはVであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、HまたはPであり;Xは、SまたはTであり;Xは、NまたはAであり;X10は、VまたはIであり;ここで、バリアントは、配列番号2のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号50の配列を含み、Xは、VまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、VまたはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、EまたはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、EまたはQである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、HまたはPである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、SまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、NまたはAである。前述の実施形態のいずれかにおいて、X10は、VまたはIである。
【0132】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号50に対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を含むSIRPα D1ドメインを含み、X、X、X、X、X、X、X、X、X、及びX10の各々は、野生型アミノ酸ではない。
【0133】
いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号2のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号2のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5×10-9M未満、1×10-9M未満、5×10-10M未満、1x10-10M未満、または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500 pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0135】
別の態様では、本開示は、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドを特徴とする:
EEELQX1IQPDKSVLVAAGETATLRCTX2TSLX3PVGPIQWFRGAGPGRX4LIYNQX5EGX6FPRVTTVSDX7TKRNNMDFSIRIGX8ITPADAGTYYCX9KFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号221)、Xは、VまたはIであり;Xは、AまたはIであり;Xは、IまたはFであり;Xは、EまたはVであり;Xは、KまたはRであり;Xは、HまたはPであり;Xは、LまたはTであり;Xは、NまたはAであり;Xは、VまたはIであり;ここで、バリアントは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号51の配列を含み、Xは、VまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、AまたはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、EまたはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、HまたはPである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、LまたはTである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、NまたはAである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、VまたはIである。いくつかの実施形態では、Xは、Vではない。
【0137】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号51の配列を含み、Xは、Aである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、VまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、AまたはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、EまたはVである。いくつかの実施形態では、Xは、Vではない。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、HまたはPである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、AまたはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、VまたはIである。
【0138】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号51の配列を含み、Xは、Aである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、XはVまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、Aであり、Xは、AまたはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、EまたはVである。いくつかの実施形態では、Xは、Vではない。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、HまたはPである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、AまたはVである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、VまたはIである。
【0139】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号51に対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含み、X、X、X、X、X、X、X、X、及びXの各々は、野生型アミノ酸ではない。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換を含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5×10-9M未満、1×10-9M未満、5×10-10 M未満、1x10-10M未満、または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0142】
別の態様では、本開示は、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドを特徴とする:
EEELQX1IQPDKSVLVAAGETATLRCTX2TSLX3PVGPIQWFRGAGPGRELIYNQX4EGX5FPRVTTVSDX6TKRNNMDFSIRIGX7ITPADAGTYYCVKFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号222)、Xは、V、L、またはIであり;Xは、A、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、KまたはRであり;Xは、HまたはPであり;Xは、L、T、またはGであり;Xは、NまたはAであり;ここで、バリアントは、配列番号1に記載の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号222の配列を含み、ここで、Xは、V、L、またはIである。本開示のこの態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、A、I、またはLである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、I、T、S、またはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、HまたはPである。前述の実施形態では、XはL、T、またはGである。前述の実施形態のいずれにおいても、XはNまたはAである。
【0144】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号222の配列を含み、ここで、Xは、VまたはIである。本開示のこの態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、AまたはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、HまたはPである。前述の実施形態では、XはLまたはTである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、NまたはAである。
【0145】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号222の配列を含み、ここで、Xは、Aである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、VまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、AまたはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれかにおいて、XはAであり、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、XはAであり、Xは、HまたはPである。前述の実施形態のいずれかにおいて、XはAであり、Xは、LまたはTである。
【0146】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号222の配列を含み、ここで、Xは、Aである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、Iである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、Iである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、Fである。前述の実施形態のいずれかにおいて、XはAであり、Xは、Rである。前述の実施形態のいずれかにおいて、XはAであり、Xは、Pである。前述の実施形態のいずれかにおいて、XはAであり、Xは、Tである。
【0147】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号222に対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を含むSIRPα D1ドメインを含み、X、X、X、X、X、X、及びXの各々は、野生型アミノ酸ではない。
【0148】
いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドには、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドには、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換が含まれる。
【0149】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、断片は、長さが10アミノ酸未満、長さ約10アミノ酸、長さ約20アミノ酸、長さ約30アミノ酸、長さ約40アミノ酸、長さ約50アミノ酸、長さ約60アミノ酸、長さ約70アミノ酸、長さ約80アミノ酸、長さ約90アミノ酸、長さ約100アミノ酸、または長さ約100アミノ酸以上のポリペプチドを含む。断片は、CD47に結合する能力を保持する。好ましくは、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチド及びその断片は、SIRPαポリペプチドがCD47に結合するよりも高い親和性でCD47に結合する。例えば、いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0150】
別の態様では、本開示は、以下の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドを特徴とする:
EEELQX1IQPDKSVSVAAGESAILHCTX2TSLX3PVGPIQWFRGAGPARELIYNQX4EGX5FPRVTTVSEX6TKRENMDFSISISX7ITPADAGTYYCVKFRKGSPDTEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号212)、ここで、Xは、V、L、またはIであり;Xは、V、I、またはLであり;Xは、I、T、S、またはFであり;Xは、KまたはRであり;Xは、H、P、またはRであり;Xは、GのS、Tであり;Xは、NまたはAであり;ここで、バリアントは、配列番号2のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号212の配列を含み、ここで、Xは、V、L、またはIである。本開示のこの態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、V、I、またはLである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、I、T、S、またはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、HまたはPである。前述の実施形態では、Xは、S、T、またはGである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、NまたはAである。
【0152】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号212の配列を含み、ここで、Xは、VまたはIである。本開示のこの態様における前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、VまたはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、HまたはPである。前述の実施形態では、Xは、SまたはTである。前述の実施形態のいずれにおいても、Xは、NまたはAである。
【0153】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号212の配列を含み、ここで、Xは、Aである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、VまたはIである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、VまたはIである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、IまたはFである。前述の実施形態のいずれかにおいて、XはAであり、Xは、KまたはRである。前述の実施形態のいずれかにおいて、XはAであり、Xは、HまたはPである。前述の実施形態のいずれかにおいて、XはAであり、Xは、SまたはTである。
【0154】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号212の配列を含み、ここで、Xは、Aである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、Iである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、Iである。前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Aであり、Xは、Fである。前述の実施形態のいずれかにおいて、XはAであり、Xは、Rである。前述の実施形態のいずれかにおいて、XはAであり、Xは、Pである。前述の実施形態のいずれかにおいて、XはAであり、Xは、Tである。
【0155】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号212に対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するSIRPα D1ドメインを含み、X、X、X、X、X、X、及びXの各々は、野生型アミノ酸ではない。
【0156】
いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号2のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、10以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、本開示のこの態様のポリペプチドは、配列番号2のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、7以下のアミノ酸置換を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも10倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも100倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2のいずれか1つの配列を有する野生型SIRPα D1ドメインよりも少なくとも1000倍高い結合親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、断片は、長さが10アミノ酸未満、長さ約10アミノ酸、長さ約20アミノ酸、長さ約30アミノ酸、長さ約40アミノ酸、長さ約50アミノ酸、長さ約60アミノ酸、長さ約70アミノ酸、長さ約80アミノ酸、長さ約90アミノ酸、長さ約100アミノ酸、または長さ約100アミノ酸以上のポリペプチドを含む。断片は、CD47に結合する能力を保持する。好ましくは、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチド及びその断片は、SIRPαポリペプチドがCD47に結合するよりも高い親和性でCD47に結合する。例えば、いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、1×10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満または1x10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、約500nM~100nM、約100nM~50nM、約50nM~10nM、約10nM~5nM、約5nM~1nM、約1nM~500pM、約500pM~100pM、約100pM~50pM、または約50pM~10pMのKでCD47に結合する。
【0158】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、以下に記載の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドである:EEELQX1IQPDKSVLVAAGETATLRCTX2TSLX3PVGPIQWFRGAGPGRX4LIYNQX5X6GX7FPRVTTVSDX8TKRNNMDFSIRIGX9X10X11X12ADAGTYYCX13KFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号218)、Xは、V、L、またはIであり;Xは、A、V、L、またはIであり;Xは、I、S、T、またはFであり;Xは、E、L、またはVであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、H、R、またはPであり;Xは、S,G、L、またはTであり;Xは、任意のアミノ酸であり;X10は、任意のアミノ酸であり;X11は、任意のアミノ酸であり;X12は、任意のアミノ酸であり;X13は、VまたはIであり;ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号1に記載の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも2つのアミノ酸置換を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号212の配列を含み、ここで、Xは、XがAである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Nである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、X10は、Iである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Nであり、X10は、Pである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Nであり、X11は、S、TまたはC以外の任意のアミノ酸である。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、X11は、Tである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、X11は、T以外の任意のアミノ酸である。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、X12は、Pである。本開示の本態様における前述の実施形態のいずれかにおいて、Xは、Nであり、X12は、P以外の任意のアミノ酸である。
【0160】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、以下に記載の配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドである:EEELQX1IQPDKSVLVAAGETATLRCTX2TSLX3PVGPIQWFRGAGPGRX4LIYNQX5X6GX7FPRVTTVSDX8TKRNNMDFSIRIGX9ITX10ADAGTYYCX11KFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号219)、Xは、V、L、またはIであり;Xは、A、V、L、またはIであり;Xは、I、S、T、またはFであり;Xは、E、L、またはVであり;Xは、KまたはRであり;Xは、EまたはQであり;Xは、H、R、またはPであり;Xは、S、G、L、またはTであり;Xは、Nであり;X10は、P以外の任意のアミノ酸であり;X11は、VまたはIであり;ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号1に記載の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも2つのアミノ酸置換を含む。
【0161】
本開示の別の態様では、配列番号48のアミノ酸配列を有するSIRPα D1ドメインバリアントポリペプチド、またはその断片を含む組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドまたはその断片は、SIRPαポリペプチドがCD47に結合する親和性と比較して、より高い親和性でCD47に結合する。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドは、1×10-8M未満、または1×10-9M未満、1×10-10M未満、または1×10-11M未満のKでCD47に結合する。いくつかの実施形態では、上記のSIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドは、第2のポリペプチドに付着するかまたは融合されている。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、限定されないが、Fcポリペプチド、Fcバリアント、または前述の断片を含む。
【0162】
前述のことを制限することなく、いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドは、表6に示される配列番号53~87及び213のいずれか1つから選択される。
【0163】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、表6に示されている任意のバリアントに対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、表6の配列番号80、81、または85に対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99(配列番号223)%、または100%の配列同一性)を有するSIRPα D1ドメインを含む。
Fcドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む融合ポリペプチド
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、野生型SIRPα D1ドメインに対して、残基80にアミノ酸突然変異;及び残基6、残基27、残基31、残基47、残基53、残基54、残基56、残基66、及び残基92からなる群から選択される残基において、野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つの追加のアミノ酸突然変異を有するSIRPα D1ドメインまたはその断片を含むシグナル調節タンパク質α(SIRP-α)D1バリアントを含むポリペプチドである。
【0166】
いくつかの実施形態では、本明細書にも開示されるのは、Fcドメインバリアント二量体であり、ここで、Fcドメインバリアント二量体は、2つのFcドメインバリアントを含み、各Fcドメインバリアントは、独立して、(i)突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域;(ii)突然変異A330S、P331S及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域;または(iii)突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域から選択される。
【0167】
細胞表面抗原を標的とする抗体は、免疫細胞へのFc受容体(FcR)の関与に関連する免疫刺激及びエフェクター機能を引き起こすことができる。IgG(ガンマ受容体)、IgE(イプシロン受容体)、IgA(アルファ受容体)及びIgM(ミュー受容体)など、抗体の異なるクラスに特異的な複数のFc受容体がある。細胞表面上でのFc領域のFc受容体への抗体の結合は、抗体コーティング粒子の食作用(抗体依存性細胞媒介性食作用、またはADCP)、免疫複合体のクリアランス、キラー細胞による抗体コーティング細胞の溶解(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、またはADCC)及び炎症性メディエーターの放出、胎盤移植、及び免疫グロブリン産生の制御など、複数の生物学的反応を引き起こし得る。さらに、補体のC1成分が抗体に結合することにより、補体系が活性化され得る。補体の活性化は、細胞性病原体の溶解にとって重要である。しかし、補体の活性化は炎症反応を刺激する可能性もあり、自己免疫性過敏または他の免疫障害にも関与し得る。特定のFc受容体に結合する能力が低下されているかまたは除去されているバリアントFc領域は、局所細胞または組織を損傷させるかまたは破壊することなく、リガンド機能を標的化、活性化、または中和することによって作用する治療用抗体及びFc融合ポリペプチドコンストラクトの開発に有用である。
【0168】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ポリペプチドコンストラクトは、除去されたかまたは低減されたエフェクター機能を有するFcドメインを形成するFcドメインバリアントに連結された非天然SIRPα D1ドメインバリアントを含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、第2及び第3の抗体定常ドメイン(例えば、CH2及びCH3)を含むポリペプチド鎖を指す。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントはまた、ヒンジドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、IgG、IgE、IgM、IgA、及びIgDなどの任意の免疫グロブリン抗体アイソタイプのものである。さらに、いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、任意のIgGサブタイプ(例えば、IgG1、IgG2、IgG2a、IgG2b、IgG2c、IgG3、及びIgG4)のものである。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、野生型Fcドメインモノマー配列(例えば、1~10、1~8、1~6、1~4のアミノ酸置換、付加または挿入、欠失、またはそれらの組み合わせ)に対して、FcドメインとFc受容体との間の相互作用を変化させる10ものアミノ酸修飾(例えば、挿入、欠失、及び/または置換)を含む。
【0170】
本明細書で使用される場合、「Fcドメイン二量体」という用語は、2つのFcドメインの二量体を指す。野生型Fcドメイン二量体では、2つの野生型Fcドメインは、2つのCH3抗体定常ドメイン間の相互作用、及び2つの二量体化Fcドメインのヒンジドメイン間に形成される1つ以上のジスルフィド結合によって二量体化する。
【0171】
本明細書で使用される場合、「Fcドメイン二量体バリアント」という用語は、少なくとも1つのFcドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、エフェクター機能を含まないように変異されたFcドメインバリアント、例えば、「デッド(dead)Fcドメイン二量体バリアント」を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントのFcドメインのそれぞれは、Fcドメイン二量体バリアントとFcγ受容体(FcγR)、Fcα受容体(FcαR)、またはFcε(FcεR)などのFc受容体との間の相互作用または結合を低減させるために、CH2抗体定常ドメインにアミノ酸置換を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、表2、5、及び6に記載のバリアントのいずれか)は、免疫グロブリンのFcドメインバリアントまたはFcドメインバリアントの断片に融合される。いくつかの実施形態では、免疫グロブリンのFcドメインバリアントまたはFcドメインバリアントの断片は、別のFcドメインバリアントとFcドメイン二量体を形成することができる。いくつかの実施形態では、免疫グロブリンのFcドメインバリアントまたはFcドメインバリアントの断片は、別のFcドメインバリアントとFcドメイン二量体を形成することができない。いくつかの実施形態では、FcドメインバリアントまたはFcドメインバリアントのD断片は、ポリペプチドの血清半減期を増長させるために、本開示のポリペプチドに融合される。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドに融合されたFcドメインバリアントまたはFcドメインバリアントの断片は、第2のFcドメインバリアントと二量体化して、Fc受容体に結合するFcドメイン二量体バリアントを形成するか、あるいはFcドメインバリアントは、Fc受容体に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドの血清半減期を増長させるためにポリペプチドに融合されたFcドメインバリアントまたはFcドメインバリアントの断片は、いかなる免疫系関連の応答も誘導しない。
【0173】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるSIRPαポリペプチドまたはコンストラクトは、第1のFcドメインバリアントに結合されたSIRPα D1ドメインまたはそのバリアント、及び第2のFcドメインバリアントに結合された抗体可変ドメインを含み、ここで、第1及び第2のFcドメインバリアントが組み合わさって、Fcドメイン二量体バリアント(例えば、ヘテロ二量体Fcドメイン二量体バリアント)を形成する。Fcドメイン二量体は、免疫グロブリンのC末端に見られるタンパク質構造である。Fcドメイン二量体には、CH3抗体定常ドメイン間の相互作用によって二量体化される2つのFcドメインを含む。野生型Fcドメイン二量体は、Fc受容体に結合する最小構造、例えば、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa、FcγRIIIb、及びFcγRIVを形成する。
【0174】
Fcドメイン二量体は、抗体のその標的への結合に直接関与していないが、抗体依存性細胞傷害への抗体の関与など、様々なエフェクター機能に関与し得る。いくつかの実施形態では、本開示のSIRPαポリペプチドまたはコンストラクト中のFcドメインは、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の低下、補体依存性細胞傷害(CDC)の低下、抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)の低下、またはそれらの任意の組み合わせなどのエフェクター機能の低下をもたらすアミノ酸置換、付加または挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、本開示のSIRPαポリペプチドまたはコンストラクトは、ヒトFc受容体への結合の減少(例えば、結合が最小であるかまたは結合がないこと)及びタンパク質C1qを相補するための結合の減少(例えば、結合が最小であるかまたは結合がないこと)を特徴とする。いくつかの実施形態では、本開示のSIRPαコンストラクトは、ヒトFcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIB、またはそれらの任意の組み合わせ、及びC1qへの結合の減少(例えば、結合が最小であるかまたは結合がないこと)を特徴とする。いくつかの実施形態では、ADCC、CDC、ADCP、またはそれらの任意の組み合わせなどの抗体依存性エフェクター機能を変更するかまたは低下させるために、いくつかの実施形態では、本開示のSIRPαコンストラクト中のFcドメインは、IgGクラスのものであり、E233、L234、L235、G236、G237、D265、D270、N297、E318、K320、K322、A327、A330、P331、またはP329(番号付けは、KabatのEUインデックスによる)に1つ以上のアミノ酸置換を含む(Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991)))。
【0175】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非天然Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトは、天然Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、Fcγ受容体CD16a、CD32a、CD32b、CD32c、及びCD64の少なくとも1つへの結合の減少または除去を呈する。場合によっては、本明細書に記載のポリペプチドコンストラクトは、CD16a、CD32a、CD32b、CD32c、及びCD64Fcγ受容体への結合の減少または除去を呈する。
【0176】
CDCは、抗体Fcドメインに結合する補体成分C1qによって補体カスケードが活性化される細胞傷害の一形態を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非天然Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上のC1q結合の減少を示す。場合によっては、本明細書に記載の非天然Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、CDCの減少を呈する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非天然Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上のCDCの減少を示す。場合によっては、本明細書に記載の非天然FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、無視できる程度のCDCを呈する。
【0177】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、野生型配列に対して、最小限グリコシル化されているか、またはグリコシル化が減少している。いくつかの実施形態では、脱グリコシル化は、N297Aの突然変異によって、またはN297をNではない任意のアミノ酸に突然変異させることによって達成される。いくつかの実施形態では、脱グリコシル化は、モチーフN-Xaa1-Xaa2-Xaa3を破壊することによって達成される。式中、N=アスパラギン;Xaa1=P(プロリン)以外の任意のアミノ酸;Xaa2=T(スレオニン)、S(セリン)、またはC(システイン);及びXaa3=P(プロリン)以外の任意のアミノ酸である。一実施形態では、N-Xaa1-Xaa2-Xaa3モチーフは、Kabat et al.,(1991)に従って指定された残基297~300を指す。いくつかの実施形態では、N、Xaa1、Xaa2、またはXaa3のうちのいずれか1つ以上への突然変異は、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントの脱グリコシル化をもたらす。
【0178】
いくつかの実施形態では、抗体IgG定常領域のバリアント(例えば、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアント)は、Fcγ受容体に特異的に結合する能力が低下しているか、または食作用を誘導する能力が低下している。いくつかの実施形態では、抗体IgG定常領域のバリアント(例えば、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアント)は、Fcγ受容体に特異的に結合する能力が低下し、かつ食作用を誘導する能力が低下している。例えば、いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、「デッド」Fcドメインバリアントに典型的なエフェクター機能を含まないように変異されている。例えば、いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、Fcドメイン二量体とFcγ受容体との間の相互作用を最小化することが知られている特定のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、IgG1抗体に由来し、アミノ酸置換L234A、L235A、G237A、及びN297A(Kabat et al.,(1991)によるEU番号付けシステムに従って指定される)のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の突然変異は、そのようなIgG1 Fcドメインバリアントに含まれる。ヒトIgG1Fcドメインバリアントに対するそうした追加の突然変異の非限定的な例としては、E318A及びK322Aが挙げられる。場合によっては、ヒトIgG1 Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG1配列と比較して、合計で最大12、11、10、9、8、7、6、5、または4以下の突然変異を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の欠失は、そのようなIgG1 Fcドメインバリアントに含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、例えば、ポリペプチドが細菌または哺乳類細胞中で産生される場合にポリペプチドの均一性を高めるために、表7の配列番号88に提供されるFcドメインIgG1重鎖定常領域のC末端リジンを欠失させる。場合によっては、ヒトIgG1Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG1配列と比較して、合計で最大12、11、10、9、8、7、6、5、または4、またはそれ以下の欠失を有する(例えば、以下の配列番号161を参照)。いくつかの実施形態では、IgG1 Fcドメインバリアントは、配列番号135、配列番号136、または配列番号137のいずれか1つに記載の配列を有する。
配列番号161
DKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
【0179】
いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、IgG2またはIgG4抗体に由来し、アミノ酸置換A330S、P331S、またはA330S及びP331Sの両方を含む。前述のアミノ酸位置は、Kabat et al.,(1991)に従って定義される。アミノ酸残基のKabat番号付けは、「標準の」Kabat番号付け配列との抗体の配列の相同性領域でのアライメントによって所与の抗体について決定され得る。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、A330S、P331S及びN297Aアミノ酸置換のうちの1つ以上を含むヒトIgG2 Fcドメイン配列を含む(Kabat et al.,(1991)によるEU番号付けシステムに従って指定される)。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の突然変異は、そのようなIgG2 Fcドメインバリアントに含まれる。ヒトIgG2 Fcドメインバリアントに対するそのような追加の突然変異の非限定的な例としては、V234A、G237A、P238S、V309L及びH268A(Kabat et al.,(1991)によるEU番号付けシステムに従って指定される)が挙げられる。場合によっては、ヒトIgG2 Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG2配列と比較して、合計で最大12、11、10、9、8、7、6、5、4、または3またはそれ以下の突然変異を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の欠失は、そのようなIgG2 Fcドメインバリアントに含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、例えば、ポリペプチドが細菌または哺乳類細胞中で産生される場合にポリペプチドの均一性を高めるために、表7の配列番号89に提供されるFcドメインIgG2重鎖定常領域のC末端リジンを欠失させる。場合によっては、ヒトIgG2Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG2配列と比較して、合計で最大12、11、10、9、8、7、6、5、または4、またはそれ以下の欠失を有する(例えば、以下の配列番号162を参照)。
配列番号:162:
ERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
【0180】
FcドメインバリアントがIgG4 Fcドメインバリアントである場合、いくつかの実施形態では、そのようなFcドメインバリアントは、S228P変異を含む(Kabat et al.,(1991)に従って指定される)。場合によっては、ヒトIgG4 Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG4配列と比較して、合計で最大12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1の突然変異を有する。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236アミノ酸置換のうちの1つ以上を含むヒトIgG4 Fc配列を含む(Kabat et al.,(1991)によるEU番号付けシステムに従って指定される)。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aアミノ酸置換のうちの1つ以上を含むヒトIgG4 Fc配列を含む(Kabat et al.,(1991)によるEU番号付けシステムに従って指定される)。
【0181】
いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、IgG1 Fc領域の突然変異L234A、L235A、G237A、またはN297Aの少なくとも1つ、またはIgG2 Fc領域の突然変異A330S、P331S、またはN297Aのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、IgG1 Fc領域の突然変異L234A、L235A、G237A、またはN297Aの少なくとも2つ、またはIgG2 Fc領域の突然変異A330S、P331S、またはN297Aのうちの少なくとも2つを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、IgG1 Fc領域の突然変異L234A、L235A、G237A、またはN297Aの少なくとも3つ、またはIgG2 Fc領域の突然変異A330S、P331S、またはN297Aから構成される。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297Aからなる。
【0182】
いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG Fc領域と比較して、対象のFc受容体への結合の減少を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG Fc領域と比較して、対象のFc受容体への結合の除去を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG Fc領域と比較して、食作用の減少を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、野生型ヒトIgG Fc領域と比較して、食作用の除去を呈する。
【0183】
配列番号88及び配列番号89は、FcドメインIgG1及びIgG2重鎖定常領域のアミノ酸配列を提供する。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、表7に示されるとおり、配列番号90~95の任意のバリアントである。
【0184】
本明細書においてADCCとも呼ばれる抗体依存性細胞媒介性細胞傷害は、分泌されたIgが特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞及び好中球)上に存在するFc受容体(FcR)に結合する細胞傷害の形態を指し、これにより、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が、抗原保有標的細胞に特異的に結合し、続いて標的細胞を死滅させることができるようになる。本明細書においてADCPとも呼ばれる抗体依存性細胞媒介性食作用は、分泌されたIgが特定の食細胞(例えば、マクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合し、これにより、これらの食作用エフェクター細胞が抗原保有標的細胞に特異的に結合し、続いて標的細胞を飲み込んで消化することができるようになる。標的細胞の表面に向けられたリガンド特異的高親和性IgG抗体は、細胞毒性細胞または食細胞を刺激することができ、そのような死滅に使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、減少したADCCまたはADCPを呈する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上のADCCまたはADCPの低下を呈する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、ADCCまたはADCPの除去を呈する。
【0185】
本明細書ではCDCとも呼ばれる補体指向性細胞毒性は、抗体Fcドメインに結合する補体成分C1qによって補体カスケードが活性化される細胞毒性の形態を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上のC1qの結合の減少を呈する。場合によっては、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、減少したCDCを呈する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上のCDCの低下を呈する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、野生型Fc領域を含むポリペプチドコンストラクトと比較して、無視できるほどのCDCを呈する。
【0186】
本明細書におけるFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントには、野生型ヒトIgG Fc領域と比較して、Fcγ受容体への結合の低下を呈するものを含む。例えば、いくつかの実施形態では、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、実施例に記載のとおり、野生型ヒトIgG Fc領域によって示されるFcγ受容体への結合よりも少ないFcγ受容体への結合を呈する。場合によっては、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、Fcγ受容体への結合が10%、20% 30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%(エフェクター機能が完全に除去されている)低下している。いくつかの実施形態では、結合の低下は、任意の1つ以上のFcγ受容体、例えば、CD16a、CD32a、CD32b、CD32c、またはCD64についてのものである。
【0187】
場合によっては、本明細書に開示のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、その野生型ヒトIgG Fc領域と比較して、食作用の減少を呈する。そのようなFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、その野生型ヒトIgG Fc領域と比較して、食作用の減少を呈し、ここで、食作用活性の減少は、例えば、係数10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。場合によっては、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、その野生型ヒトIgG Fc領域と比較して食作用の除去を呈する。
【0188】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、1つ以上の融合パートナーに結合される。場合によっては、融合パートナーは、治療部分である。場合によっては、融合パートナーは、発現されたタンパク質の標的化、精製、スクリーニング、提示などが可能になるように選択される。いくつかの実施形態では、融合パートナーはまた、Fc受容体への結合の程度または食作用の減少の程度に影響を与える。本明細書に記載のとおり、いくつかの実施形態では、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントが融合パートナーに結合される場合、以下に記載のポリペプチドコンストラクトを形成する。
【0189】
いくつかの実施形態では、融合パートナーは、リンカー配列を介してFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアント配列に連結している。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、一般に、10未満のアミノ酸などの少数のアミノ酸を含むが、より長いリンカーもまた利用される。場合によっては、リンカーは、10、9、8、7、6、または5アミノ酸以下の長さを有する。場合によっては、リンカーは、少なくとも10、11、12、13、14、15、20、25、30、または35、またはそれ以上アミノ酸の長さを有する。任意により、いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーが使用される。
【0190】
いくつかの実施形態では、融合パートナーは、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントタンパク質及び任意の関連する融合パートナーを所望の細胞位置または細胞外培地に指向させる標的化またはシグナル配列である。いくつかの実施形態では、特定のシグナル伝達配列は、成長培地、または細胞の内膜と外膜との間に位置するペリプラズム空間のいずれかに分泌されるタンパク質を標的とする。いくつかの実施形態では、融合パートナーは、精製またはスクリーニングを可能にするペプチドまたはタンパク質をコードする配列である。このような融合パートナーとしては、これらに限定されないが、ポリヒスチジンタグ(Hisタグ)(例えば、His6(配列番号223)及びHis10(配列番号224))、または固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)システム(例えば、Ni+2アフィニティーカラム)、GST融合、MBP融合、Strepタグ、細菌酵素BirAのBSPビオチン化標的配列、及び抗体の標的となるエピトープタグ(例えば、c-mycタグ、フラグタグなど)と共に使用するための他のタグが挙げられる。
【0191】
いくつかの実施形態では、そのようなタグは、精製、スクリーニング、またはその両方に有用である。例えば、いくつかの実施形態では、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントは、それをNi+2アフィニティーカラムに固定化して精製し、次いで精製後、同じHisタグを使用して、抗体をNi+2コーティングプレートに固定し、本明細書の他の場所に記載のELISAまたは他の結合アッセイを実施する。いくつかの実施形態では、融合パートナーは、本明細書に記載のとおり、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントをスクリーニングするための選択方法の使用が可能になる。
【0192】
様々な選択方法が可能になる多様な融合パートナーが利用可能である。例えば、FcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントライブラリーのメンバーを遺伝子IIIタンパク質に融合することにより、ファージディスプレイを使用することができる。いくつかの実施形態では、融合パートナーは、標識されるFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントである。あるいは、いくつかの実施形態では、融合パートナーは、発現ベクター上の特定の配列に結合し、これにより、融合パートナー及び関連するFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントが、それらをコードする核酸と共有結合または非共有結合により連結できるようになる。
【0193】
いくつかの実施形態では、融合パートナーが治療部分である場合、治療部分は、例えば、ペプチド、タンパク質、抗体、siRNA、または小分子である。本開示のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントに結合される治療用抗体の非限定的な例としては、これらに限定されないが、CD47を認識する抗体が挙げられる。本開示のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントに結合される治療用ポリペプチドの非限定的な例としては、これらに限定されないが、SIRPαポリペプチドなどのCD47結合ポリペプチドが挙げられる。そのような場合、CD47結合ポリペプチドは、本開示のFcドメインバリアントまたはFcドメイン二量体バリアントに付着しているかまたは融合している。CD47結合ポリペプチドの例としては、これらに限定されないが、抗CD47抗体またはその断片、ならびにSIRPαまたはその断片などのCD47のリガンドが挙げられる。CD47結合ポリペプチドの追加の例としては、これらに限定されないが、天然に存在する形態のSIRPα及びその変異体が挙げられる。
【0194】
いくつかの実施形態では、本明細書にも開示されるのは、Fcドメイン二量体バリアントを含むポリペプチドであり、ここで、Fcドメイン二量体バリアントは、2つのFcドメインバリアントを含み、各Fcドメインバリアントは、独立して、(i)突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域;(ii)突然変異A330S、P331S及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域;または(iii)突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域から選択される。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、同一(すなわち、ホモ二量体)である。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、異なる(すなわち、ヘテロ二量体)。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体中のFcドメインバリアントのうちの少なくとも1つは、突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域である。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体中のFcドメインバリアントの少なくとも1つは、突然変異A330S、P331S、及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域である。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、ヒトIgG Fc領域の野生型と比較して、Fcγ受容体への結合の除去または減少を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、ヒトIgG Fc領域の野生型と比較して、CD16a、CD32a、CD32b、CD32c、及びCD64 Fcγ受容体への結合の除去または減少を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、ヒトIgG Fc融合の野生型と比較して、C1qへの結合の除去または減少を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアント中のFcドメインバリアントのうちの少なくとも1つは、突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域である。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、野生型ヒトIgG4 Fc領域と比較して、Fcγ受容体への結合の除去または減少を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、そのヒトIgG4 Fc領域の野生型と比較して、CD16a及びCD32b Fcγ受容体への結合の除去または減少を呈する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、約5×10-6Mを超えるKでFcγ受容体に結合する。
【0195】
いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、CD47結合ポリペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体バリアントは、ヒトIgG Fc領域の野生型と比較して、Fcγ受容体への結合の除去または減少を呈する。いくつかの実施形態では、CD47結合ポリペプチドは、げっ歯類及び非ヒト霊長類において急性貧血を引き起こさない。いくつかの実施形態では、CD47結合ポリペプチドは、ヒトにおいて急性貧血を引き起こさない。
【0196】
いくつかの実施形態では、CD47結合ポリペプチドは、シグナル調節タンパク質α(SIRP-α)ポリペプチドまたはその断片である。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む:EEELQX1IQPDKSVLVAAGETATLRCTX2TSLX3PVGPIQWFRGAGPGRX4LIYNQX5EGX6FPRVTTVSDX7TKRNNMDFSIRIGX8ITPADAGTYYCX9KFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPS(配列番号221)、ここで、Xは、VまたはIであり;Xは、AまたはIであり;Xは、IまたはFであり;Xは、EまたはVであり;Xは、KまたはRであり;Xは、HまたはPであり;Xは、LまたはTであり;Xは、N以外の任意のアミノ酸であり;Xは、VまたはIである。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチドは、SIRPα D1ドメインバリアントを含み、Xは、VまたはIであり;Xは、AまたはIであり;Xは、IまたはFであり;Xは、Eであり;Xは、KまたはRであり;Xは、HまたはPであり;Xは、LまたはTであり;Xは、Nではなく:Xは、Vである。
【0197】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントを含むポリペプチドであり、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、天然に存在しない高親和性SIRPα D1ドメインであり、SIRPα D1ドメインバリアントは、天然に存在するD1ドメイン及びFcドメインバリアントの親和性よりも少なくとも10倍高い親和性でヒトCD47に結合し、Fcドメインバリアントは、第2のFcドメインバリアントを含む第2のポリペプチドに連結されて、Fcドメイン二量体バリアントを形成し、Fcドメイン二量体バリアントは、エフェクター機能が除去されているかまたは低下している。いくつかの実施形態では、天然に存在しない高親和性SIRPα D1ドメインは、残基80にアミノ酸突然変異を含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、SIRPα D1ドメインバリアントであり、SIRPα D1ドメインバリアントは、250nM未満のKDで第1種のCD47に結合し、SIRPα D1ドメインバリアントは、250nM未満のKDで第2種のCD47に結合し、第1種のCD47のKDと第2種のCD47のKDは、互いに100倍以内であり、第1種及び第2種は、ヒト、げっ歯類、及び非ヒト霊長目からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、少なくとも3つの異なる種のCD47に結合する。いくつかの実施形態では、非ヒト霊長類は、カニクイザルである。
【0199】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されているのは、(a)ヒトCD47を250nM未満のKDで結合するSIRPα D1ドメインと、(b)SIRPα D1ドメインのN末端またはC末端に連結されたFcドメインまたはそのバリアントとを含むポリペプチドであり、ここで、ポリペプチドは、げっ歯類及び非ヒト霊長類において急性貧血を引き起こさない。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、ヒトSIRP-αの天然に存在しないバリアントである。いくつかの実施形態では、in vivoでのポリペプチドの投与は、投与後の最初の週の間に50%未満のヘモグロビンの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、ヒトでのポリペプチドの投与は、投与後の最初の週の間に50%未満のヘモグロビンの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも1つのFcドメイン二量体バリアントをさらに含み、ここで、Fcドメイン二量体バリアントは、(i)突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域;(ii)突然変異A330S、P331S及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域;または(iii)突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域から選択されるFcドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域である。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、突然変異A330S、P331S及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域である。
【0200】
本開示のSIRPαコンストラクトは、従来の遺伝的または化学的手段、例えば、化学的コンジュゲーションを使用するリンカーを介して、FcドメインまたはそのバリアントのN末端に連結しているそのC末端を有するSIRPαドメインまたはそのバリアントを含む。いくつかの実施形態では、リンカー(例えば、スペーサー)は、ポリペプチドとFcドメインまたはそのバリアントとの間に挿入される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントを含む本開示のポリペプチドは、二量体を形成することができないFcドメインバリアントに融合される。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、別のFcドメインまたはそのバリアントと二量体、例えば、ヘテロ二量体を形成することができるFcドメインまたはそのバリアントに融合される。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは、Fcドメインまたはそのバリアントに融合され、この融合タンパク質は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、第1のFcドメインまたはそのバリアントに融合され、異なるタンパク質またはペプチド(例えば、抗体可変領域)は、第2のFcドメインまたはそのバリアントに融合される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインまたはそのバリアントは、第1のFcドメインまたはそのバリアントに連結され、治療用タンパク質(例えば、サイトカイン、インターロイキン、抗原、ステロイド、抗炎症剤、または免疫調節剤)は、第2のFcドメインまたはそのバリアントに連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2のFcドメインまたはそのバリアントは、ヘテロ二量体を形成する。
【0201】
前述の制限なく、いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチド(例えば、表2、5、及び6に記載のバリアントのいずれか)は、Fcポリペプチド、またはFcドメインもしくはそのバリアントなどのFcバリアントポリペプチドに融合される。SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチド及び融合Fcドメインバリアントポリペプチドを含むポリペプチドの例としては、これらに限定されないが、表8に示される配列番号96~137、214、及び216が挙げられる。
【0202】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、表8に示されている任意のバリアントに対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するSIRPα D1バリアントドメインを含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、表8の配列番号98~104、107~113、116~122、または135~137に対して、少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するSIRPα D1ドメインバリアントを含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、(a)シグナル調節タンパク質α(SIRP-α)D1バリアント及び(b)fcドメイン二量体バリアントを含み、ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、以下のアミノ酸配列を含み、EEX1X2QX3IQPDKX4VX5VAAGEX6X7X8LX9CTX10TSLX11PVGPIQWFRGAGPX12RX13LIYNQX14X15GX16FPRVTTVSX17X18TX19RX20NMDFX21IX22IX23X24ITX25ADAGTYYCX26KX27RKGSPDX28X29EX30KSGAGTELSVRX31KPS(配列番号47)、Xは、E、またはGであり;Xは、L、I、またはVであり;Xは、V、L、またはIであり;Xは、S、またはFであり;Xは、L、またはSであり;Xは、S、またはTであり;Xは、A、またはVであり;Xは、I、またはTであり;Xは、H、R、またはLであり;X10は、A、V、I、またはLであり;X11は、I、T、S、またはFであり;X12は、A、またはGであり;X13は、E、V、またはLであり;X14は、K、またはRであり;X15は、E、またはQであり;X16は、H、P、またはRであり;X17は、D、またはEであり;X18は、S、L、T、またはGであり;X19は、K、またはRであり;X20は、E、またはNであり;X21は、S、またはPであり;X22は、S、またはRであり;X23は、S、またはGであり;X24は、任意のアミノ酸であり;X25は、任意のアミノ酸であり;X26は、V、またはIであり;X27は、F、L、またはVであり;X28は、Dまたは不在であり;X29は、T、またはVであり;X30は、F、またはVであり;X31は、A、またはGであり;ここで、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号1~10のいずれか1つに記載の配列を有する野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも2つのアミノ酸置換を含み、各Fcドメインバリアントは、独立して、(i)N297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域;(ii)L234A、L235A、及びG237A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域;(iii)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域;(iv)N297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域;(v)A330S及びP331S突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域;(vi)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域;(vii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域;または(viii)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域である。
【0205】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、SIRPα D1ドメインバリアントと、2つのFcドメインを有するFcドメイン二量体と、を含み、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号47によるアミノ酸配列を含み、Fcドメインのうちの1つは、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域を含むFcドメインバリアントである。
【0206】
Fcドメインの二量体化
いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチド(例えば、表2、5、及び6に記載のバリアントのいずれか)は、N末端またはC末端のいずれかにおいて第1のFcドメイン(例えば、Fcドメインバリアント)に融合される。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、二量体を形成することができないバリアントである。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、第2のFcドメインと二量体を形成する。いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、第1のドメインFcドメインと第2のドメインFcドメインと間のヘテロ二量体化を促進するアミノ酸置換を含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、Fcドメイン二量体中の2つのFcドメインのそれぞれは、2つの単量体のヘテロ二量体化を促進するアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、SIRPαコンストラクトは、例えば、第1のFcドメインに融合されたSIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドなどの第1のサブユニット及び第2のFcドメインなどの第2のサブユニット(例えば、SIRPα D1ドメインバリアントポリペプチド、または任意の他のポリペプチドを含まない)から形成される。いくつかの実施形態では、コンストラクトは、Fcドメイン二量体(例えば、単一のアーム)に連結された単一のSIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドを有する。いくつかの実施形態では、コンストラクトは、Fcドメイン二量体(例えば、二重アーム)に連結された2つのSIRPα D1ドメインバリアントポリペプチドを有する。いくつかの実施形態では、約500nMのKDを有するSIRPα D1ドメインバリアントは、二重アームコンストラクトにおいて特に有用である。いくつかの実施形態では、約50nMのKDを有するSIRPα D1ドメインバリアントは、二重アームコンストラクトにおいて特に有用である。いくつかの実施形態では、約5nMのKDを有するSIRPα D1ドメインバリアントは、二重アームコンストラクト及び単一アームコンストラクトにおいて有用である。いくつかの実施形態では、約500pMのKDを有するSIRPα D1ドメインバリアントは、二重アームコンストラクト及び単一アームコンストラクトにおいて有用である。いくつかの実施形態では、約100pMのKDを有するSIRPα D1ドメインバリアントは、二重アームコンストラクト及び単一アームコンストラクトにおいて有用である。いくつかの実施形態では、約50pMのKDを有するSIRPα D1ドメインバリアントは、二重アームコンストラクト及び単一アームコンストラクトにおいて有用である。いくつかの実施形態では、約10pMのKDを有するSIRPα D1ドメインバリアントは、二重アームコンストラクト及び単一アームコンストラクトにおいて有用である。
【0208】
いくつかの実施形態では、Fcドメインのヘテロ二量体化は、「ノブイントゥホール(knob-into-hole)」残基対及び電荷残基対などの2つのFcドメインに、異なるが適合性のある置換を導入することによって促進される。ノブ及びホールの相互作用は、ヘテロ二量体の形成に有利ではあるが、ノブ間及びホール間の相互作用により、立体的な衝突及び好ましい相互作用の消失によりホモ二量体の形成が妨げられる。ホールとは、タンパク質中の元のアミノ酸が、小さい側鎖容積を有する異なるアミノ酸に置き換えられたときに作られる空隙を指す。ノブとは、タンパク質中の元のアミノ酸が、大きい側鎖容積を有する異なるアミノ酸に置き換えられたときに作られる隆起を指す。例えば、いくつかの実施形態では、置換されるアミノ酸は、FcドメインのCH3抗体定常ドメインにあり、2つのFcドメインの二量体化に関与している。いくつかの実施形態では、1つのCH3抗体定常ドメインのホールは、ノブ及びホールのアミノ酸が、2つのFcドメインのヘテロ二量体化を促進するかまたは有利になるように作用するように、別のCH3抗体定常ドメインのノブを収容するために作られる。いくつかの実施形態では、1つのCH3抗体定常ドメインのホールは、別のCH3抗体定常ドメイン中の元のアミノ酸をよりよく収容するために作られる。いくつかの実施形態では、1つのCH3抗体定常ドメインのノブは、別のCH3抗体定常ドメイン中の元のアミノ酸との追加の相互作用を形成するために作られる。
【0209】
いくつかの実施形態では、ホールは、チロシンまたはトリプトファンなどのより大きい側鎖を有するアミノ酸を、アラニン、バリン、またはスレオニンなどのより小さい側鎖を有するアミノ酸、例えば、CH3抗体定常ドメイン中のY407V突然変異で置き換えることによって構築される。同様に、いくつかの実施形態では、ノブは、より小さい側鎖を有するアミノ酸を、より大きい側鎖を有するアミノ酸、例えば、CH3抗体定常ドメイン中のT366W突然変異で置き換えることによって構築される。いくつかの実施形態では、1つのFcドメインは、ノブ突然変異T366Wを含み、他のFcドメインは、ホール突然変異T366S、L358A、及びY407Vを含む。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントを含む本開示のポリペプチドは、ノブ突然変異T366Wを含むFcドメインに融合されて、望ましくないノブ間のホモ二量体形成を制限する。ノブイントゥホールアミノ酸対の例は、これらに限定されないが、表9に記載する。ノブイントゥホールFcドメインバリアント及びSIRPα-Fc融合の例は、表10に示す。
【0210】
ノブイントゥホール戦略に加えて、いくつかの実施形態では、静電ステアリングもまた、Fcドメインの二量体化を制御するために使用される。静電ステアリングとは、ペプチド、タンパク質ドメイン、及びタンパク質内の反対に帯電したアミノ酸間の好ましい静電相互作用を利用して、より高次のタンパク質分子の形成を制御することを指す。特に、静電ステアリングを使用してFcドメインの二量体化を制御するために、導入された特定の荷電アミノ酸に応じて、相互作用が、静電的に有利または不利になるように、CH3-CH3界面を構成する1つ以上のアミノ酸残基が、正または負に帯電したアミノ酸残基に置き換えられる。いくつかの実施形態では、リシン、アルギニン、またはヒスチジンなどの界面の正に帯電したアミノ酸は、アスパラギン酸またはグルタミン酸などの負に帯電したアミノ酸で置き換えられる。いくつかの実施形態では、界面の負に帯電したアミノ酸は、正に帯電したアミノ酸で置き換えられる。いくつかの実施形態では、荷電アミノ酸は、相互作用するCH3抗体定常ドメインのうちの1つ、またはその両方に導入される。いくつかの実施形態では、2つのFcドメインの相互作用するCH3抗体定常ドメインに荷電アミノ酸を導入することは、荷電アミノ酸間の相互作用から生じる静電ステアリング効果によって制御されるように、Fcドメインのヘテロ二量体の選択的形成を促進する。静電ステアリングアミノ酸対の例は、これらに限定されないが、表11に示す。
【0211】
特に二重特異性抗体を構築する文脈において、Fcドメインのヘテロ二量体化を制御するために使用される他の方法が利用可能である。
【0212】
いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインはそれぞれ、ヒトIgG1の配列に対して、T366W、T366S、L368A、Y407V、T366Y、T394W、F405W、Y349T、Y349E、Y349V、L351T、L351H、L351N、L351K、P353S、S354D、D356K、D356R、D356S、E357K、E357R、E357Q、S364A、T366E、L368T、L368Y、L368E、K370E、K370D、K370Q、K392E、K392D、T394N、P395N、P396T、V397T、V397Q、L398T、D399K、D399R、D399N、F405T、F405H、F405R、Y407T、Y407H、Y407I、K409E、K409D、K409T、及びK409Iのアミノ酸置換のうちの1つ以上を含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、Fcドメインは:(a)野生型ヒトIgG1に対して、以下のアミノ酸置換のうちの1つ:T366W、T366S、L368A、Y407V、T366Y、T394W、F405W、Y349T、Y349E、Y349V、L351T、L351H、L351N、L351K、P353S、S354D、D356K、D356R、D356S、E357K、E357R、E357Q、S364A、T366E、L368T、L368Y、L368E、K370E、K370D、K370Q、K392E、K392D、T394N、P395N、P396T、V397T、V397Q、L398T、D399K、D399R、D399N、F405T、F405H、F405R、Y407T、Y407H、Y407I、K409E、K409D、K409T、またはK409I;または(b)(i)ヒトIgG1 Fc領域に対してN297A突然変異;(ii)ヒトIgG1 Fc領域に対してL234A、L235A、及びG237A突然変異;(iii)ヒトIgG1 Fc領域に対してL234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異;(iv)ヒトIgG2 Fc領域に対してN297A突然変異;(v)ヒトIgG2 Fc領域に対してA330S及びP331S突然変異;(vi)ヒトIgG2 Fc領域に対してA330S、P331S、及びN297A突然変異;(vii)ヒトIgG4 Fc領域に対してS228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異;または(viii)ヒトIgG4 Fc領域に対してS228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは:(a)野生型ヒトIgG1に対して、以下のアミノ酸置換のうちの1つ:T366W、T366S、L368A、Y407V、T366Y、T394W、F405W、Y349T、Y349E、Y349V、L351T、L351H、L351N、L351K、P353S、S354D、D356K、D356R、D356S、E357K、E357R、E357Q、S364A、T366E、L368T、L368Y、L368E、K370E、K370D、K370Q、K392E、K392D、T394N、P395N、P396T、V397T、V397Q、L398T、D399K、D399R、D399N、F405T、F405H、F405R、Y407T、Y407H、Y407I、K409E、K409D、K409T、またはK409Iを含み;さらに(b)(i)ヒトIgG1 Fc領域に対してN297A突然変異;(ii)ヒトIgG1 Fc領域に対してL234A、L235A、及びG237A突然変異;(iii)ヒトIgG1 Fc領域に対してL234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異;(iv)ヒトIgG2 Fc領域に対してN297A突然変異;(v)ヒトIgG2 Fc領域に対してA330S及びP331S突然変異;(vi)ヒトIgG2 Fc領域に対してA330S、P331S、及びN297A突然変異;(vii)ヒトIgG4 Fc領域に対してS228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異;または(viii)ヒトIgG4 Fc領域に対してS228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、異なるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、T366Wを含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、T366S、L368A、及びY407Vを含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、D399Kを含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、K409Dを含む。
【0215】
リンカー
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、野生型SIRPα D1ドメインに対して、残基80にアミノ酸突然変異;及び残基6、残基27、残基31、残基47、残基53、残基54、残基56、残基66、及び残基92からなる群から選択される残基において、野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つの追加のアミノ酸突然変異を有するSIRPα D1ドメインまたはその断片を含むシグナル調節タンパク質α(SIRP-α)D1バリアントを含むポリペプチドである。
【0216】
いくつかの実施形態では、本明細書にも開示されるのは、Fcバリアントを含むポリペプチドであり、ここで、Fcバリアントは、2つのFcドメインバリアントを含むFcドメイン二量体を含み、各Fcドメインバリアントは、独立して、(i)突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域;(ii)突然変異A330S、P331S及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域;または(iii)突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域から選択される。
【0217】
本開示において、リンカーは、ポリペプチドまたはタンパク質ドメインまたは関連する非タンパク質部分との間の連結または接続を説明するために使用される。いくつかの実施形態では、リンカーは、Fcドメイン(またはそのバリアント)とSIRPα D1ドメインバリアントとの間の連結または接続である。いくつかの実施形態では、リンカーは、2つのポリペプチドがタンデムシリーズで互いに結合されるように、SIRPα D1ドメインバリアントのC末端及びFcドメインバリアントのN末端を接続する。
【0218】
いくつかの実施形態では、リンカーは、単純な共有結合、例えば、ペプチド結合、合成ポリマー、または化学反応、例えば、化学的コンジュゲートから生成される任意の種類の結合である。リンカーがペプチド結合である場合、いくつかの実施形態では、あるタンパク質ドメインのC末端のカルボン酸基は、凝縮反応において別のタンパク質ドメインのN末端のアミノ基と反応して、ペプチド結合を形成する。いくつかの実施形態では、ペプチド結合は、従来の有機化学反応による合成手段から、または宿主細胞からの自然な生成によって形成され、タンデムシリーズの両方のタンパク質(例えば、Fcドメインバリアント及びSIRPα D1ドメインバリアント)のDNA配列をコードする核酸分子は、宿主細胞において、必要な分子機構(例えば、DNAポリメラーゼ及びリボソーム)によって、両方のタンパク質をコードする連続したポリペプチドに直接転写し、翻訳することができる。
【0219】
リンカーが合成ポリマーである場合、いくつかの実施形態では、ポリマーは、各末端の反応性化学官能基で官能化されて、2つのタンパク質の接続末端の末端アミノ酸と反応する。
【0220】
リンカー(上記のペプチド結合を除く)が化学反応から作られる場合、いくつかの実施形態では、化学官能基(例えば、アミン、カルボン酸、エステル、アジド、または他の官能基)は、それぞれ、あるタンパク質のC末端及び別のタンパク質のN末端に合成により付着させる。次に、いくつかの実施形態では、2つの官能基は、合成化学手段を介して反応して化学結合を形成し、したがって、2つのタンパク質を一緒に接続する。
【0221】
スペーサー
本開示において、いくつかの実施形態では、Fcドメインモノマーと本開示のSIRPα D1バリアントポリペプチドとの間のリンカーは、約1~200アミノ酸などのアミノ酸スペーサーである。好適なペプチドスペーサーとしては、グリシン及びセリンなどの柔軟なアミノ酸残基を含むペプチドリンカーが挙げられる。リンカー配列の例を表12に示す。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GS、GG、GGS、GGG、GGGGS(配列番号163)、GGSG(配列番号164)、またはSGGG(配列番号165)のモチーフ、例えば、複数または反復モチーフを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GSのモチーフ、例えば、GS,GSGS(配列番号166)、GSGSGS(配列番号167)、GSGSGSGS(配列番号168)、GSGSGSGSGS(配列番号169)、またはGSGSGSGSGSGS(配列番号170)などの2~12のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GGSのモチーフ、例えば、GGS、GGSGGS(配列番号171)、GGSGGSGGS(配列番号172)、及びGGSGGSGGSGGS(配列番号173)を含む3~12のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GGSGのモチーフ(配列番号164)、例えば、GGSG(配列番号164)、GGSGGGSG(配列番号174)、またはGGSGGGSGGGSG(配列番号175)などの4~12のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GGGGS(配列番号163)のモチーフ、例えば、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号176)を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーには、グリシン及びセリン以外のアミノ酸、例えば、AAS(配列番号177)、AAAL(配列番号178)、AAAK(配列番号179)、AAAR(配列番号180)、EGKSSGSGSESKST(配列番号181)、GSAGSAAGSGEF(配列番号182)、AEAAAKEAAAKA(配列番号183)、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号184)、GGGGAGGGG(配列番号185)、GENLYFQSGG(配列番号186)、SACYCELS(配列番号187)、RSIAT(配列番号188)、RPACKIPNDLKQKVMNH(配列番号189)、GGSAGGSGSGSSGGSSGASGTGTAGGTGSGSGTGSG(配列番号190)、AAANSSIDLISVPVDSR(配列番号191)、またはGGSGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSGGGS(配列番号192)を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、スペーサーは、EAAAK(配列番号193)のモチーフ、例えば、複数のまたは反復するモチーフを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、例えば、(XP)nなどのプロリンに富む配列のモチーフ、複数または反復モチーフを含み、ここで、Xは、任意のアミノ酸(例えば、A、K、またはE)であり、nは、1~5からのもの、及びPAPAP(配列番号194)である。
【0223】
いくつかの実施形態では、ペプチドスペーサー及び使用されるアミノ酸の長さは、関与する2つのタンパク質及び最終的なタンパク質融合ポリペプチドに望まれる柔軟性の程度に応じて調整される。いくつかの実施形態では、スペーサーの長さは、適切なタンパク質の折り畳みを確実にし、凝集体の形成を回避するように調整される。いくつかの実施形態では、スペーサーは、AまたはAAAL(配列番号178)である。
【0224】
ベクター、宿主細胞、及びタンパク質生産
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、野生型SIRPα D1ドメインに対して、残基80にアミノ酸突然変異;及び残基6、残基27、残基31、残基47、残基53、残基54、残基56、残基66、及び残基92からなる群から選択される残基において、野生型SIRPα D1ドメインに対して、少なくとも1つの追加のアミノ酸突然変異を有するSIRPα D1ドメインまたはその断片を含むシグナル調節タンパク質α(SIRP-α)D1バリアントを含むポリペプチドである。
【0225】
本明細書では、いくつかの実施形態で、Fcバリアントを含むポリペプチドも開示され、ここで、Fcバリアントは、2つのFcドメインモノマーを有するFc ドメイン二量体を含み、各Fcドメインモノマーは、独立して、(i)突然変異L234A、L235A、G237A、及びN297AからなるヒトIgG1 Fc領域;(ii)突然変異A330S、P331S及びN297AからなるヒトIgG2 Fc領域;または(iii)突然変異S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297Aを含むヒトIgG4 Fc領域から選択される。
【0226】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、宿主細胞から産生される。宿主細胞は、それらの対応する核酸から、本明細書に記載のポリペプチド及び融合ポリペプチドを発現するために必要とされる、必要な細胞成分、例えば、細胞小器官を含むビヒクルを指す。いくつかの実施形態では、核酸は、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、感染などによって宿主細胞に導入される核酸ベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、核酸ベクターの選択は、使用する宿主細胞に依存する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、原核生物(例えば、細菌)または真核生物(例えば、哺乳動物)起源のいずれかである。
【0227】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド、例えば、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、表2、5、及び6に提供される任意のバリアント)及びFcバリアントなどの融合パートナーを含むポリペプチドコンストラクトは、ポリペプチドコンストラクトの発現を誘導するかまたは引き起こすための適切な条件下で、ポリペプチドコンストラクト(例えば、Fcバリアント、リンカー、及び融合パートナー)をコードする核酸を含む核酸、好ましくは発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養することによって産生される。いくつかの実施形態では、発現に適切な条件は、選択された発現ベクター及び宿主細胞によって異なる。いくつかの実施形態では、これらに限定されないが、哺乳動物細胞、細菌、昆虫細胞、及び酵母など、多種多様な適切な宿主細胞が使用される。例えば、本開示で使用が見出される様々な細胞株は、American Type Culture Collectionから入手可能なATCC(登録商標)細胞株カタログに記載されている。いくつかの実施形態では、本開示のFcドメインバリアントは、細胞株の遺伝子工学またはキフネンシンの添加などの細胞培養条件の変更、または原核生物(E.coli,など)などの天然の非グリコシル化宿主を使用することのいずれかより、このような細胞によって発現されるタンパク質をグリコシル化しないように最適化された細胞で発現され、場合によっては、Fc内のグリコシル化配列の修飾は必要ない。
【0228】
核酸ベクターの構築及び宿主細胞
本開示のポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸配列は、様々な方法によって調製することができる。これらの方法としては、これらに限定されないが、オリゴヌクレオチド媒介(または部位指向的)突然変異誘発及びPCR突然変異誘発が挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドをコードする核酸分子は、標準的な技術、例えば、遺伝子合成を使用して得られる。あるいは、野生型SIRPα D1ドメインをコードする核酸分子を突然変異させて、標準的な技術、例えば、QuikChange(商標)突然変異誘発を使用して特定のアミノ酸置換を含む。場合によっては、核酸分子は、ヌクレオチド合成装置またはPCR技術を使用して合成される。
【0229】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドコンストラクト、例えば、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、表2、5、及び6に示す任意のバリアント)及びFcバリアントなどの融合パートナーを含むポリペプチドコンストラクトをコードする核酸が、タンパク質を発現させるために発現ベクターに組み込まれる。タンパク質発現には、様々な発現ベクターを利用できる。発現ベクターは、自己複製する染色体外ベクターまたは宿主ゲノムに組み込まれるベクターを含むことができる。ベクターには、様々な構成成分または要素を含むこともできる。例えば、いくつかの実施形態では、ベクター成分としては、これらに限定されないが、転写及び翻訳調節配列、例えば、プロモーター配列、リボソーム結合部位、シグナル配列、転写開始及び停止配列、翻訳開始及び停止配列、3’及び5’非翻訳領域(UTR)、及びエンハンサーまたはアクチベーター配列;複製起点;選択マーカー遺伝子;ならびに目的のポリペプチドをコードする核酸配列、及び転写終結配列が挙げられる。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、制御配列または調節配列、選択可能なマーカー、任意の融合パートナー、追加のエレメント、またはそれらの任意の組み合わせと操作可能に連結されたタンパク質を含む。「操作可能に連結」されているという用語は、核酸が、別の核酸配列と機能的な関係性に置かれることを意味する。一般に、これらの発現ベクターは、Fcバリアントをコードする核酸に操作可能に連結された転写及び翻訳調節核酸を含み、典型的には、タンパク質を発現するために使用される宿主細胞に適切である。これらに限定されないが、抗生物質耐性遺伝子または蛍光タンパク質遺伝子などの選択遺伝子またはマーカーを使用して、例えば、抗生物質または蛍光発現によって、発現ベクターを含む宿主細胞を選択することができる。様々な選択遺伝子が利用可能である。
【0230】
いくつかの実施形態では、ベクターの成分またはエレメントは、発現ベクターが宿主細胞型と適合性があるように最適化される。本開示において使用が見出される発現ベクターとしては、これらに限定されないが、哺乳動物細胞、細菌、昆虫細胞、酵母、及びin vitro系でのタンパク質発現を可能にするものが挙げられる。
【0231】
いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は、本開示のポリペプチドを産生するための宿主細胞として使用される。哺乳動物細胞型の例としては、これらに限定されないが、ヒト胎児腎臓(HEK)(例えば、HEK293、HEK293F)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa、COS、PC3、Vero、MC3T3、NS0、Sp2/0、VERY、BHK、MDCK、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT20、T47D、NS0(任意の免疫グロブリン鎖を内因的に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、及びHsS78Bst細胞が挙げられる。いくつかの実施形態では、E.coli細胞は、本開示のポリペプチドを産生するための宿主細胞として使用される。E.coli株の例としては、これらに限定されないが、E.coli294(ATCC(登録商標)31,446)、E.coliλ1776(ATCC(登録商標)31,537、E.coli BL21(DE3)(ATCC(登録商標)BAA-1025))、及びE.coliRV308(ATCC(登録商標)31,608)が挙げられる。
【0232】
異なる宿主細胞は、タンパク質産物の翻訳後プロセシング及び修飾(例えば、グリコシル化)のための特徴的かつ特異的なメカニズムを有する。いくつかの実施形態では、発現されたポリペプチドの正しい修飾及びプロセシングを確実に行うために、適切な細胞株または宿主系が選択される。タンパク質産生のためにベクターが宿主細胞に導入されると、宿主細胞は、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適切に改変させた従来の栄養培地で培養される。
【0233】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドコンストラクト、例えば、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、表2、5、及び6に提供される任意のバリアント)及びFcバリアントなどの融合パートナーを含むポリペプチドコンストラクトは、レトロウイルスまたはアデノウイルスなどのウイルスを使用して、発現コンストラクトが哺乳動物細胞に導入される系など、哺乳動物発現系において発現される。いくつかの実施形態では、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、または霊長類の細胞が利用される。好適な細胞としては、これらに限定されないが、ジャーカットT細胞、NIH3T3、CHO、COS、及び293細胞など、既知の研究細胞も含まれる。あるいは、いくつかの実施形態では、タンパク質は、細菌細胞中で発現される。細菌発現系は当技術分野において周知であり、Escherichia coli(E.coli)、Bacillus subtilis、Streptococcus cremoris、及びStreptococcuslividansが挙げられる。場合によっては、Fcドメインバリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、これらに限定されないが、Sf9及びSf21細胞などの昆虫細胞、またはSaccharomyces属、Pichia属、Kluyveromyces属、Hansenula属、及びYarrowia属の生物などの酵母細胞で産生される。場合によっては、Fcドメインバリアントを含むポリペプチドコンストラクトは、無細胞翻訳系を使用して、in vitroで発現される。原核生物(例えば、E.coli)及び真核生物(例えば、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球)細胞の両方に由来するin vitro翻訳系が利用可能であり、いくつかの実施形態では、目的のタンパク質の発現レベル及び機能特性に基づいて選択される。例えば、当業者によって理解されるとおり、in vitro翻訳は、いくつかのディスプレイ技術、例えば、リボソームディスプレイに必要とされる。さらに、いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、これらに限定されないが、液相ペプチド合成及び固相ペプチド合成などの化学合成法によって産生される。細菌抽出物などの非グリコシル化系を使用したin vitro転写の場合、天然のグリコシル化部位が存在してもFcはグリコシル化されないため、Fcの不活性化が同等に得られる。
【0234】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドコンストラクトは、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する非天然アミノ酸、アミノ酸アナログ、アミノ酸模倣物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。自然にコードされたアミノ酸は、一般に20の一般的なアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリン)、及びピロリシン及びセレノシステインを指す。アミノ酸アナログとは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を有する化合物、例えば、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合する炭素、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。いくつかの実施形態では、このようなアナログは、修飾されたR基を有するか(例えばノルロイシン)または修飾されたペプチド主鎖を有するが、一般に天然アミノ酸と同じ基本化学構造を保持している。
【0235】
タンパク質の生産、回収、及び精製
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドを産生するために使用される宿主細胞は、選択された宿主細胞の培養に好適である培地で成長させる。哺乳動物宿主細胞にとって、好適である培地の例としては、最小必須培地(MEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、Expi293(商標)発現培地、ウシ胎児血清(FBS)を添加したDMEM、及びRPMI-1640が挙げられる。細菌宿主細胞にとって好適な培地の例としては、ルリアブロス(LB)に、選択剤、例えば、アンピシリンなどの必要なサプリメントを加えたものが挙げられる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、約20℃~約39℃、例えば、約25℃~約37℃、好ましくは37℃などの好適な温度、及び5%~10%などのCO2レベルで培養される。いくつかの実施形態では、培地のpHは、主に宿主生物に依存して、約pH6.8~pH7.4、例えば、pH7.0である。誘導プロモーターが発現ベクター中に使用される場合、タンパク質発現は、プロモーターの活性化に好適な条件下で誘導される。
【0236】
いくつかの実施形態では、タンパク質の回収は、例えば、浸透圧ショック、超音波処理、または溶解による宿主細胞の破壊を伴う。細胞が破壊されると、細胞残屑は、遠心分離または濾過によって除去される。その後、タンパク質をさらに精製することができる。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、タンパク質精製の様々な方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、及びサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度、またはタンパク質精製のための任意の他の標準的な手法方法によって精製される。例えば、いくつかの実施形態では、タンパク質は、プロテインAカラム(例えば、POROSプロテインAクロマトグラフィー)などのアフィニティーカラムを、クロマトグラフィーカラム(例えば、POROS HS-50カチオン交換クロマトグラフィー)、濾過、限外濾過、脱塩及び透析手順を適切に選択し、組み合わせることによって、単離させ、精製させる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、精製を容易にするためにペプチドなどのマーカー配列にコンジュゲートされる。マーカーアミノ酸配列の例は、マイクロモルの親和性でニッケル官能化アガロースアフィニティーカラムに結合できるヘキサヒスチジンペプチド(His6-tag(配列番号223))である。別の方法として、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する血球凝集素「HA」タグを使用することができる。
【0237】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチド、例えば、SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、表2、5、及び6に提供される任意のバリアント)及びFcバリアントなどの融合パートナーを含むポリペプチドコンストラクトは、例えば、遺伝子治療の文脈では、本開示のポリペプチドをコードする核酸分子を含む、ウイルスベクターなどのベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルスベクター、例えば、改変ワクシニアアンカラ(MVA))、アデノ随伴ウイルスベクター、及びアルファウイルスベクター)を投与することによって、対象(例えば、ヒト)の細胞によって産生される。ベクターは、対象の細胞内に入ったときに(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、感染などによって)、本明細書に開示されるポリペプチドの発現に使用することができる。場合によっては、ポリペプチドは、細胞から分泌される。いくつかの実施形態では、疾患または障害の治療が望ましい結果である場合、さらなる作用は必要としない。いくつかの実施形態では、タンパク質の収集が望まれる場合、血液は対象から収集され、タンパク質は様々な方法によって血液から精製される。
【0238】
がんの治療方法
本明細書で提供されるのは、個体(例えば、ヒト個体)におけるがんを治療する方法であって、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチドと、(b)治療用抗体と、を個体に投与することを含む。
【0239】
肺癌
いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒト個体)において、肺癌(例えば、非小細胞肺癌または「NSCLC」)を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)と、(b)PD-1とPD-L1との間の相互作用を妨害する治療用抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、個体は、肺癌(例えば、NSCLC)の事前の治療中(または治療後)に進行した(例えば、疾患の進行を示した)。いくつかの実施形態では、事前の治療は、免疫チェックポイント阻害剤(CPI)療法であった。追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、個体は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、事前のCPI療法を受けていない。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であるFcドメインバリアントを含み、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、配列番号91のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号136または配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、PD-1とPD-L1との間の相互作用を遮断する治療用抗体は、抗PD-1抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0240】
いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブは、皮下投与される。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブは、静脈内注入によって投与される。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブは、そのラベルの説明に従って投与される。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブは、3週間ごと(Q3W)に用量約200mgで(例えば、IV注入を介して)個体に投与される。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブは、最大24ヶ月間、個体に投与される。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブは、少なくとも24ヶ月間、個体に投与される。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブの用量変更は、各国の添付文書に従って行う。ペムブロリズマブの調製、調剤、投薬量、及び投与スケジュールに関する完全な情報は、各国の添付文書に記載され得る(米国では、例えば、www(dot)accessdata(dot)fda(dot)gov/drugsatfda_docs/label/2016/125514s012lbl(dot)pdfを参照のこと;欧州では、例えば、www(dot)ema(dot)europa(dot)eu/en/documents/product-information/keytruda-epar-product-information_en(dot)pdfを参照のこと)。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、例えば、用量10.0mg/kgで、毎週(すなわち、7日に1回または「qw」)、個体に(例えば、静脈内注入を介して)投与される。
【0241】
いくつかの実施形態では、がんは、NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、局所進行性NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、転移性NSCLCである。いくつかの実施形態では、個体は転移性NSCLCを有し、PD-1またはPD-L1阻害剤による事前の治療の開始から8週間以内に疾患の進行を示さなかった。いくつかの実施形態では、個体は、1%を超えるPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)スコアを有する。いくつかの実施形態では、個体は、TPSスコアが50%未満の局所進行性NSCLCまたは転移性NSCLCを有する。いくつかの実施形態では、個体は、それらの転移性疾患に対する全身療法後に進行した。いくつかの実施形態では、個体は、1%を超えるTPSスコアを有する局所進行性NSCLCまたは転移性NSCLCを有し、個体は、NSCLCの事前のチェックポイント阻害剤(CPI)療法中に進行した。
【0242】
いくつかの実施形態では、進行している個体での肺癌(例えば、NSCLC)に対する事前のCPI療法は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ(BGB-A317としても公知である)、トリパリマブ、シンチリマブ、カムレリズマブ(SHR-1210またはINCSHR-1210としても公知である)、スパルタリズマブ(PDR001としても公知である)、TSR-042、及び/またはFAZ053による治療を含む治療法であった。いくつかの実施形態では、例えば、Response Evaluation In Solid Tumor(RECIST)基準(例えば、第1.0版または第1.1版)またはmodified RECIST基準(例えば、Therasse et al.(2000)J.Natl Cancer Inst.92:205-216;Eisenhauer et al.(2009)Eur J.Cancer.45:229-247;及びJang et al.(2013)Chin J.Cancer Res.25(6):689-694)、World Health Organization(WHO)criteria(例えばWHO. Handbook for Reporting Results of Cancer Treatment.Geneva:World Health Organization Offset Publication;1979.p.48;及びMiller et al.(1981)Cancer.47:207-214)、またはHwang et al.(2017)「Response Evaluation of Chemotherapy for Lung Cancer」Tuberc Respir Dis(Seoul).80(2):136-142に記載の任意の一連の効果判定基準、及びその中に引用されている参照文献によって判定された場合、個体が進行(PD)を示した場合、個体は、肺癌(例えば、NSCLC)の事前のCPI療法中に進行したとみなされる。いくつかの実施形態では、個体は、肺癌(例えば、NSCLC)の標準療法(例えば、治癒的療法)に耐性がある。いくつかの実施形態では、肺癌(例えば、NSCLC)を治療するために利用可能な標準療法(例えば、治癒的療法)はない。
【0243】
いくつかの実施形態では、個体のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)は、ホルマリン固定、パラフィン包埋(FFPE)ヒト組織切片におけるPD-L1の検出のためのin vitro診断免疫組織化学(IHC)アッセイを使用して判定する。いくつかの実施形態では、IHCアッセイは、PD-L1 IHC 22C3 Pharm Dxである。PD-L1 IHC 22C3 Pharm Dxは、定性的免疫組織化学的アッセイであり、ここで、マウスモノクローナル抗PD-L1抗体(クローン22C3)を使用して、個体(例えば、患者)から得たホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺癌組織(例えば、NSCLC組織)中のPD-L1(すなわち、ヒトPD-L1)を、ENVISION(商標)FLEX視覚化システムを使用したDAKO(商標)AUTOSTAINER LINK 48自動染色システムで検出する。いくつかの実施形態では、TPSは、個体(例えば、患者)からの肺癌(例えば、NSCLC)組織サンプルにおけるPD-L1タンパク質発現の尺度である。いくつかの実施形態では、TPSは、任意の強度で部分的または完全な膜染色を示す生存可能な腫瘍細胞のパーセンテージである。TPSが50%以上である生存腫瘍細胞が、任意の強度で膜染色を呈する場合、検体は、PD-L1陽性とみなすものとする。いくつかの実施形態では、腫瘍関連免疫細胞(浸潤リンパ球またはマクロファージなど)は、TPSを決定するためのスコアリングに含まれない。いくつかの実施形態では、肺癌(例えば、NSCLC)サンプルの標識は、病理医によって行われる。いくつかの実施形態では、染色は、10倍~40倍の倍率で光学顕微鏡を介して判定する。PD-L1 IHC 22C3 Pharm Dxアッセイ、アッセイを実行するための試薬及び機器、アッセイ結果の解釈、及びTPSスコアリングに関するさらなる詳細は、www(dot)accessdata(dot)fda(dot)gov/cdrh_docs/pdf15/p150013b(dot)pdf及びReck et al.(2016) 「Pembrolizumab versus Chemotherapy for PD-L1-Positive Non-Small-Cell Lung Cancer」NEJM.375:1823-1833に示されている。
【0244】
頭頸部癌
いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒト個体)において、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌または「HNSSC」)を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)と、(b)PD-1とPD-L1との間の相互作用を妨害する治療用抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、個体は、頭頸部癌(例えば、HNSSC)の事前の治療中または事前の治療後に進行した(例えば、疾患の進行を示した)。いくつかの実施形態では、事前の治療は、プラチナ含有治療であった。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であるFcドメインバリアントを含み、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、配列番号91のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号136または配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、PD-1とPD-L1との間の相互作用を遮断する治療用抗体は、抗PD-1抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、HNSCCは、PD-L1陰性である。いくつかの実施形態では、HNSCCは、PD-L1陽性である。「PD-L1陰性」及び「PD-L1陽性」に関するさらなる詳細は、本明細書の他の箇所に記載する。
【0245】
いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブは、皮下投与される。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブは、静脈内注入によって投与される。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブは、そのラベルの説明に従って投与される。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブは、3週間ごと(Q3W)に用量約200mgで(例えば、IV注入を介して)個体に投与される。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブは、最大24ヶ月間、個体に投与される。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブは、少なくとも24ヶ月間、個体に投与される。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブの用量変更は、各国の添付文書に従って行う。ペムブロリズマブの調製、調剤、投薬量、及び投与スケジュールに関する完全な情報は、各国の添付文書に記載され得る(米国では、例えば、www(dot)accessdata(dot)fda(dot)gov/drugsatfda_docs/label/2016/125514s012lbl(dot)pdfを参照のこと;欧州では、例えば、www(dot)ema(dot)europa(dot)eu/en/documents/product-information/keytruda-epar-product-information_en(dot)pdfを参照のこと)。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、例えば、用量10.0mg/kgで、毎週(すなわち、7日に1回または「qw」)、個体に(例えば、静脈内注入を介して)投与される。
【0246】
いくつかの実施形態では、個体は、再発性HNSCCを有する。いくつかの実施形態では、HNSCCは、転移性HNSCCである。いくつかの実施形態では、個体は、免疫チェックポイント阻害剤(「CPI」)による事前の治療を受けた、すなわち、個体は、「CPI経験のある」個体である。いくつかの実施形態では、個体は、再発性HNSCCまたは転移性HNSCCを有し、CPIによる事前の治療の開始から8週間以内に疾患の進行を示さなかった。いくつかの実施形態では、事前のCPI療法は、PD-1またはPD-L1阻害剤であったか、またはPD-1またはPD-L1阻害剤を含んでいた。いくつかの実施形態では、事前のCPI療法は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ(BGB-A317としても公知である)、トリパリマブ、シンチリマブ、カムレリズマブ(SHR-1210またはINCSHR-1210としても公知である)、スパルタリズマブ(PDR001としても公知である)、TSR-042、及び/またはFAZ053による治療であってか、またはそれらを含んでいた。いくつかの実施形態では、個体は、CPIによる事前の治療を受けていない(例えば、個体は、「免疫チェックポイント阻害剤ナイーブ」または「CPIナイーブ」である)。
【0247】
いくつかの実施形態では、治療中に個体が進行した、または治療後に個体が進行した事前のプラチナ含有療法は、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、及び/またはサトラプラチンによる治療を含む療法であった。いくつかの実施形態では、例えば、Response Evaluation In Solid Tumor(RECIST)基準(例えば、第1.0版または第1.1版)またはmodified RECIST基準(例えば、Therasse et al.(2000)J.Natl Cancer Inst.92:205-216;Eisenhauer et al.(2009)Eur J.Cancer.45:229-247;及びJang et al.(2013)Chin J.Cancer Res.25(6):689-694)、World Health Organization(WHO)criteria(例えばWHO. Handbook for Reporting Results of Cancer Treatment.Geneva:World Health Organization Offset Publication;1979.p.48;及びMiller et al.(1981)Cancer.47:207-214)、またはWray et al.(2016)「Therapy Response Assessment and Patient Outcomes in Head and Neck Squamous Cell Carcinoma:FDG PET Hopkins Criteria Versus Residual Neck Node Size and Morphologic Features」Am J.Roentgenology.207:641-647)に記載の一連の効果判定基準によって判定された場合、個体が進行(PD)を示した場合、個体は、頭頸部癌(例えば、HNSCC)に対する事前のプラチナ含有療法の進行中またはその後に進行したとみなされる。いくつかの実施形態では、個体は、頭頸部癌(例えば、HNSCLC)の標準療法(例えば、治癒的療法)に耐性がある。いくつかの実施形態では、頭頸部癌(例えば、HNSCC)を治療するために利用可能な標準療法(例えば、治癒的療法)はない。
【0248】
胃/胃食道(GEJ)癌
いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒト個体)において、胃/胃食道(GEJ)癌(例えば、HER2陽性胃またはGEJ腺癌)を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)と、(b)治療用抗HER2抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、個体は、胃/GEJ癌(例えば、胃/GEJ腺癌)の事前の治療法中または事前の治療法後に進行し(例えば、疾患の進行を示した)、かつ事前の治療法は、抗HER2抗体療法及び/またはフルオロピリミジンベースの治療法であった。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であるFcドメインバリアントを含み、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、配列番号91のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号136または配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドと組み合わせて個体に投与される治療用抗HER2抗体は、トラスツズマブである。
【0249】
いくつかの実施形態では、トラスツズマブは、皮下投与される。いくつかの実施形態では、トラスツズマブは、静脈内注入によって投与される。いくつかの実施形態では、トラスツズマブは、そのラベルの説明に従って投与される。いくつかの実施形態では、トラスツズマブは、3週間ごと(Q3W)に(例えば、静脈内注入を介して)個体に投与される。いくつかの実施形態では、トラスツズマブの最初の(すなわち、第1の)用量は、約8mg/kgであり、その後のすべての用量(すなわち、第1の用量の後)は、約6mg/kgである。いくつかの実施形態では、トラスツズマブの用量変更は、各国の添付文書に従って行う。トラスツズマブの調製、調剤、投薬量、及び投与スケジュールに関する完全な情報は、各国の添付文書に記載され得る(米国では、例えば、www.accessdata(dot)fda(dot)gov/drugsatfda_docs/label/2017/103792s5337lbl(dot) pdfを参照のこと;欧州では、例えば、www(dot)ema(dot)Europa(dot)eu/en/documents/product-information/herceptin-epar-product-information_en(dot)pdfを参照のこと)。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、例えば、用量10.0mg/kgで、毎週(すなわち、7日に1回または「qw」)、個体に(例えば、静脈内注入を介して)投与される。
【0250】
いくつかの実施形態では、胃癌またはGEJ癌のHER2状態(すなわち、HER2陽性状態またはHER2陰性状態)は、免疫組織化学(IHC)またはin situ ハイブリダイゼーション(ISH、例えば、蛍光ISHまたは「FISH」)を介して判定する。いくつかの実施形態では、胃癌またはGEJ癌のHER2状態は、Abrahao-Machado et al.(2016)World J.Gastroenterol.22(19):4619-4625に記載の基準及びその中に引用されている参考文献に従って判定する。いくつかの実施形態では、HER2陽性胃癌またはHER2陽性GEJ癌は、HER2陽性胃/HER2陽性GEJ腺癌である。いくつかの実施形態では、HER2陽性胃癌/HER2陽性GEJ癌(例えば、腺癌)は、転移性胃/GEJ癌(例えば、転移性腺癌)である。いくつかの実施形態では、個体は、転移性胃/GEJ癌(例えば、腺癌)を有し、事前の治療の最良の効果として、少なくとも安定(SD)の効果(すなわち、進行(PD)よりも良い効果)を示した。
【0251】
いくつかの実施形態では、個体は、抗HER2抗体による事前の治療中または事前の治療後に進行した(例えば、疾患の進行を示した)。いくつかの実施形態では、事前の抗HER2抗体療法は、トラスツズマブ、ペルツズマブ、及び/またはマルゲツキシマブによる治療を含んでいた。追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、個体は、事前の治療法中またはフルオロピリミジンベースの治療法による事前の治療法後に進行した(例えば、疾患の進行を示した)。いくつかの実施形態では、事前のフルオロピリミジンベースの治療法は、例えば、カペシタビン、フロクスウリジン、4-フルオロウラシル、5-フルオロウラシル、カルモフール、ドキシフルリジン、フトラフール(テガフール)、UFT(すなわち、フトラフールとウラシルの1:4モルの組み合わせ)、S-1(フトラフール、ギメラシル、及びオテラシルの組み合わせ)、及び/またはFOLFOX(フォリン酸、5-フルオロウラシル、及びオキサリプラチンの組み合わせ)による治療を含んでいた。いくつかの実施形態では、個体は、抗HER2抗体及びフルオロピリミジンベースの治療法による治療中、または治療後に進行した。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体及びフルオロピリミジンベースの治療法は、組み合わせて投与された(例えば、両方の剤が単一の治療レジメンの一部であった)。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体及びフルオロピリミジンベースの治療法は、それぞれ、別個の治療レジメンで(例えば、2つの別個の事前の治療または2つの別個の事前の治療ラインで)投与された。
【0252】
いくつかの実施形態では、例えば、Response Evaluation In Solid Tumor(RECIST)基準(例えば、第1.0版または第1.1版)またはmodified RECIST基準(例えば、Therasse et al.(2000)J.Natl Cancer Inst.92:205-216;Eisenhauer et al.(2009)Eur J.Cancer.45:229-247;及びJang et al.(2013)Chin J.Cancer Res.25(6):689-694)、World Health Organization(WHO)criteria(例えばWHO. Handbook for Reporting Results of Cancer Treatment.Geneva:World Health Organization Offset Publication;1979.p.48;及びMiller et al.(1981)Cancer.47:207-214)、またはKurokawa et al.(2013)Ann Surg Oncol.20(9):3009-3014;Yanagawa et al.(2012)J Nucl Med.53(6):872-880;Lordick et al.(2016)Ann Oncol.27(suppl 5):v50-v57;またはKim et al.(2015)Oncology.88:69-75に記載の、任意の一連の効果判定によって評価した場合、個体が進行(PD)を示した場合、その個体は、胃/GEJ癌(例えば、HER2陽性胃/GEJ癌)に対する事前の抗HER2抗体療法及び/または事前のフルオロピリミジンベースの治療法中に進行したとみなされる。いくつかの実施形態では、個体は、胃/GEJ癌(例えば、HER2陽性胃/HER2陽性GEJ癌)の標準療法(例えば、治癒的療法)に耐性がある。いくつかの実施形態では、胃/GEJ癌(例えば、HER2陽性胃/HER2陽性GEJ癌)を治療するために利用可能な標準療法(例えば、治癒的療法)は存在しない。
【0253】
リンパ腫
(i)侵攻性非ホジキンリンパ腫
いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒトの個体)において、侵攻性非ホジキンリンパ腫または「NHL」(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(「DLBCL」、例えば、de novoDLBCLまたは形質転換DLBCLまたはマントル細胞リンパ腫(MCL))を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアント)を含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)と、(b)治療用抗CD20抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、侵攻性NHLは、再発している、及び/または難治性の侵攻性NHLであり(例えば、個体は、侵攻性NHLの事前の治療中または治療後に再発している、及び/または侵攻性NHLの事前の治療に難治性であった)、ここで、侵攻性NHL(例えば、de novo DLBCL、形質転換DLBCL、またはマントル細胞リンパ腫などのDLBCL)に利用可能な治療法(例えば、治癒的療法)は存在しない。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であるFcドメインバリアントを含み、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、配列番号91のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号136または配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、治療用抗CD20抗体は、リツキシマブである。いくつかの実施形態では、侵攻性NHLは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、例えば、de novoDLBCLまたは形質転換DLBCLである。いくつかの実施形態では、侵攻性NHLは、マントル細胞リンパ腫(MCL)である。
【0254】
いくつかの実施形態では、リツキシマブは、皮下投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、静脈内注入によって投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、そのラベルの説明に従って投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、用量約375mg/mで(例えば、静脈内注入を介して)個体に投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブの最初の4つの用量(すなわち、用量1~4)は、治療の最初の4週間(例えば、28日)間、週に1回(例えば、7日ごとに1回、または「qw」)、個体に(例えば、用量約375mg/mで)投与され、次の8つの用量(すなわち、用量5~12)は、4週間に1回(例えば、28日ごとまたは「q4w」)個体に投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブの最初の4つの用量(すなわち、用量1~4)は、治療の最初の4週間(例えば、28日)間、週に1回(例えば、7日ごとに1回、または「qw」)、個体に(例えば、用量約375mg/mで)投与され、次の4つの用量(すなわち、用量5~8)は、4週間に1回(例えば、28日ごとまたは「q4w」)個体に投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブの用量変更は、各国の添付文書に従って行う。リツキシマブの調製、調剤、投薬量、及び投与スケジュールに関する完全な情報は、各国の添付文書に記載され得る(米国では、例えば、www(dot)accessdata(dot)fda(dot)gov/drugsatfda_docs/label/2012/103705s5367s5388lbl(dot)pdfを参照のこと;欧州では、例えば、www(dot)ema(dot)europa(dot)eu/en/documents/product-information/mabthera-epar-product-information_en(dot)pdfを参照のこと)。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、例えば、用量10.0mg/kgまたは15.0mg/kgで、毎週(すなわち、7日に1回または「qw」)、個体に(例えば、静脈内注入を介して)投与される。
【0255】
いくつかの実施形態では、個体がリンパ腫の既往歴を有さない場合、個体は、de novo DLBCL(例えば、de novo再発性及び/または難治性DLBCL)を有すると診断される。いくつかの実施形態では、個体が例えば、無痛性リンパ腫などのリンパ腫歴、例えば、辺縁帯リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫/慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、またはリンパ球優勢ホジキンリンパ腫を有する場合、その個体は、形質転換DLBCLを有すると診断される。いくつかの実施形態では、個体が以下の染色体異常:t(11;14)、t(14;18)のうちの1つ以上を有することが判明した場合、その個体はマントル細胞リンパ腫(MCL)を有すると診断される。いくつかの実施形態では、SOX11の過剰発現が個体の白血病細胞のサンプルにおいて検出された場合、個体はマントル細胞リンパ腫(MCL)と診断される。de novo DLBCL、形質転換DLBCL、及びMCLを診断するための他の基準は、当技術分野で公知であり、当業者によって日常的に使用されている。例えば、Balsas et al.(2017)Blood.130(4):501-513;National Guideline Alliance(UK)、Non-Hodgkin’s Lymphoma:Diagnosis and Management.London:National Institute for Health and Care Excellence(UK);2016Jul.(NICE Guideline,No.52.)3,Staging;Dreyling et al.Am Soc Clin Oncol Educ Book.2014:191-8;及びその他を参照のこと。
【0256】
いくつかの実施形態では、個体が事前の治療に対して最も低い安定(SD)の治療効果を達成したが、例えば、事前の治療の中止後1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、または12ヶ月のいずれか以内で効果が停止した場合(例えば、疾患の進行を示した)、個体は、侵攻性NHL(例えば、de novo DLBCL、形質転換DLBCL、またはMCL)の事前の治療後に再発したとみなされる。いくつかの実施形態では、個体が事前の治療に応答しなかった場合(例えば、事前の治療中または事前の治療後に少なくとも安定(SD)の治療効果を達成できなかった場合)、その個体は、侵攻性NHLに対する事前の治療に難治性であるとみなす。いくつかの実施形態では、侵攻性NHLの治療に対する治療効果は、Cheson et al.(2014)「Recommendations for Initial Evaluation,Staging and Response Assessment of Hodgkin and Non-Hodgkin Lymphoma:The Lugano Classification」J.Clin Oncol.32:3059-3067に従って判定する。
【0257】
いくつかの実施形態では、個体は、侵攻性NHLの少なくとも1つの事前の治療法(例えば、少なくとも1つの事前の承認された標準治療法、少なくとも2つの事前の承認された標準治療法、少なくとも3つの承認された標準治療法など)による治療に難治性であったか、または再発した。DLBCL(例えば、de novoまたは形質転換DLBCL)及びMCLの標準治療としては、これらに限定されないが、例えば、リツキシマブ、RCHP(すなわち、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、及びプレドニゾン)、R-CHOP(すなわち、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン);R-CHOEP(すなわち、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、及びプレドニゾン、典型的には、21日サイクルで6サイクル投与される);EPOCH-R(すなわち、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、及びプレドニゾン、典型的には、4日間の持続注入として投与される);R-GCVP(すなわち、リツキシマブ、ゲムシタビン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾロン);R-CEPP(すなわち、リツキシマブ、シクロホスファミド、エトポシド、プロカルバジン、及びプレドニゾン);R-CEOP(すなわち、リツキシマブ、シクロホスファミド、エピルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン);R-CVP(すなわち、リツキシマブ、シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン);リツキシマブとベンダムスチン;リツキシマブとレナリドマイド;DHAP(すなわち、デキサメタゾン、高用量シタラビン及びシスプラチン);RDHAP(すなわち、リツキシマブと組み合わせたDHAP);ICE(すなわち、イホスファミド、カルボプラチン、及びエトポシド);RICE(すなわち、リツキシマブと組み合わせたICE);DICE(すなわち、デキサメタゾンと組み合わせたICE);DICEとメスナ;BEAM(すなわち、カルムスチン、エトポシド、シタラビン、及びメルファラン);R-BEAM(すなわち、リツキシマブと組み合わせたBEAM);ESHAP(すなわち、エトポシド、ソルメドロール、高用量シタラビン、及びシスプラチン);R-ESHAP(すなわち、リツキシマブと組み合わせたESHAP);MIME(すなわち、メチルグリオキサールビス(グアニルヒドラゾン)、イホスファミド、メトトレキサート、及びエトポシド);パルサクリシブ(INCB050465としても公知である);MATRIX(すなわち、メトトレキサート、シタラビン、チオテパ、及びリツキシマブ);ハイパーCVADまたはHCVAD(すなわち、高分画シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、及びデキサメタゾン)RHCVAD(すなわち、リツキシマブと組み合わせたHCVAD);RHCVAD/MA(すなわち、RHCVADとメトトレキサート及びシタラビンの交互投与);DHAP(すなわち、デキサメタゾン、シスプラチン、及びシタラビン);R-DHAP(すなわち、リツキシマブと組み合わせたDHAP);イブルチニブ;リツキシマブ、オビヌツズマブ、CVAD(すなわち、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロン);RCVAD(すなわち、リツキシマブと組み合わせたCVAD);GemOx(すなわち、ゲムシタビン及びオキサリプラチン);R-GemOx(すなわち、リツキシマブと組み合わせたGemOx);DHAX(すなわち、デキサメタゾン、シタラビン、及びオキサリプラチン);R-DHAX(すなわち、リツキシマブと組み合わせたDHAX);GIFOX(すなわち、ゲムシタビン、イホスファミド、及びオキサリプラチン);RGIFOX(すなわち、リツキシマブと組み合わせたGIFOX);ボルテゾミブとGIFOX;ASCT(すなわち、自家幹細胞移植)HD-ASCT(すなわち、高用量療法と組み合わせたASCT、例えば、高用量化学療法);CAR T細胞療法(例えば、チサゲンレクロイセルまたはアキシカブタゲン);ブレンツキシマブベドチン、及びレナリドマイドが挙げられる。いくつかの実施形態では、侵攻性NHLに対する事前の治療は、先行する治療のうちの任意の2つ以上を含んでいた(単一の治療レジメンで一緒に与えられるか、または別々の治療レジメンで与えられる)。いくつかの実施形態では、侵攻性NHL(例えば、再発性/難治性の侵攻性NHL)を有する個体に利用可能な治療選択肢(例えば、治癒的療法選択肢)は存在しない。いくつかの実施形態では、個体は、治癒的療法が利用できないDLBCL(例えば、de novo DLBCLもしくは形質転換DLBCL)またはMCLを有する。いくつかの実施形態では、個体は、標準的な承認された療法(例えば、治癒的療法)の後に再発したか、または難治性であったDLBCL(例えば、de novoDLBCLもしくは形質転換DLBCL)もしくはMCLを有する。
【0258】
(ii)無痛性リンパ腫
いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒト個体)における無痛性リンパ腫を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の(a)SIRPα D1ドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のSIRPα D1ドメインバリアント)及びFcドメインバリアント(例えば、本明細書に記載のFcドメインバリアントを含むポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)と、(b)治療用抗CD20抗体と、を個体に投与することを含み、ここで、無痛性リンパ腫は、再発している、及び/または難治性無痛性リンパ腫である(例えば、個体が、無痛性リンパ腫の少なくとも1つの事前の治療、例えば、承認された標準治療法中または治療後に再発している、及び/または、無痛性リンパ腫の少なくとも1つの事前の治療、例えば、承認された標準治療法に難治性である)。いくつかの実施形態では、個体は、無痛性リンパ腫の2つ以上の承認された標準治療法(例えば、2、3、またはそれ以上の標準治療法)中または治療後に再発し、及び/または無痛性リンパ腫の2つ以上の標準療法(例えば、2、3、またはそれ以上の標準療法、例えば、治癒的療法)に難治性である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号81または配列番号85のアミノ酸配列を含むSIRPα D1ドメインバリアントを含む。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域であるFcドメインバリアントを含み、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、配列番号91のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、個体に投与されるポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、配列番号136または配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、治療用抗CD20抗体は、リツキシマブである。
【0259】
いくつかの実施形態では、リツキシマブは、皮下投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、静脈内注入によって投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、そのラベルの説明に従って投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、用量約375mg/mで(例えば、静脈内注入を介して)個体に投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブの最初の4つの用量(すなわち、用量1~4)は、治療の最初の4週間(例えば、28日)間、週に1回(例えば、7日ごとに1回、または「qw」)、個体に(例えば、用量約375mg/mで)投与され、次の8つの用量(すなわち、用量5~12)は、4週間に1回(例えば、28日ごとまたは「q4w」)個体に投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブの最初の4つの用量(すなわち、用量1~4)は、治療の最初の4週間(例えば、28日)間、週に1回(例えば、7日ごとに1回、または「qw」)、個体に(例えば、用量約375mg/mで)投与され、次の4つの用量(すなわち、用量5~8)は、4週間に1回(例えば、28日ごとまたは「q4w」)個体に投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブの用量変更は、各国の添付文書に従って行う。リツキシマブの調製、調剤、投薬量、及び投与スケジュールに関する完全な情報は、各国の添付文書に記載され得る(米国では、例えば、www(dot)accessdata(dot)fda(dot)gov/drugsatfda_docs/label/2012/103705s5367s5388lbl(dot)pdfを参照のこと;欧州では、例えば、www(dot)ema(dot)europa(dot)eu/en/documents/product-information/mabthera-epar-product-information_en(dot)pdfを参照のこと)。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、例えば、用量10.0mg/kgまたは15.0mg/kgで、毎週(すなわち、7日に1回または「qw」)、個体に(例えば、静脈内注入を介して)投与される。
【0260】
いくつかの実施形態では、無痛性リンパ腫は、無痛性非ホジキンリンパ腫(NHL)である。いくつかの実施形態では、無痛性NHLは、辺縁帯リンパ腫(MZL)である。いくつかの実施形態では、NHLは、濾胞性リンパ腫(FL)である。辺縁帯リンパ腫及び濾胞性リンパ腫(ならびにDLBCL、及びマントル細胞リンパ腫)の診断及び分類に関する詳細は、例えば、Ayyappan et al.(2018)Curr Oncol Rep.20(4):33;Dreyling et al.(2013)ESMO Consensus Guidelines:Marginal Cell Lymphoma,Mantle Cell Lymphoma,Peripheral T-cell Lymphoma」 Ann Oncol.24(4):857-877;Vose,JM(2017)「Mantle cell lymphoma:2017 update on diagnosis,risk-stratification,and clinical management」Am J.Hematol.92(8):806-813;Ciobanu et al.(2013)「Indolent Lymphoma:Diagnosis and Prognosis in Medical Practice」Maedica(Buchar)8(4)338-342、及びその他に記載されている。
【0261】
いくつかの実施形態では、個体が事前の治療に対して最も低い安定(SD)の治療効果を達成したが、例えば、事前の治療の中止後1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、または12ヶ月のいずれか以内で効果が停止した場合(例えば、疾患の進行を示した)、個体は、無痛性リンパ腫(例えば、無痛性NHL)の事前の治療後に再発したとみなされる。いくつかの実施形態では、個体が事前の治療に応答しなかった場合(例えば、事前の治療中または事前の治療後に少なくとも安定(SD)の治療効果を達成できなかった場合)、その個体は、無痛性リンパ腫(例えば、無痛性NHL)に対する事前の治療に難治性であるとみなす。いくつかの実施形態では、無痛性リンパ腫(例えば、無痛性NHL)の治療に対する治療効果は、Cheson et al.(2014)「Recommendations for Initial Evaluation, Staging and Response Assessment of Hodgkin and Non-Hodgkin Lymphoma:The Lugano Classification」 J.Clin Oncol.32:3059-3067に従って判定する。
【0262】
いくつかの実施形態では、個体は、無痛性リンパ腫(例えば、無痛性NHL)の少なくとも1つの事前の治療法(例えば、少なくとも1つの事前の承認された標準治療法、少なくとも2つの事前の承承認された標準治療法、少なくとも3つの承認された標準治療法など)による治療に難治性であったか、または再発した。無痛性リンパ腫(例えば、辺縁帯リンパ腫または濾胞性リンパ腫などの無痛性NHL)の標準治療法としては、これらに限定されないが、例えば、侵攻性NHL(例えば、DLBCLまたはマントル細胞リンパ腫)の標準治療法が挙げられる。これらの詳細は、本明細書の他の箇所に記載する。無痛性リンパ腫(例えば、無痛性NHL)に対する他の標準治療法としては、これらに限定されないが、例えば、フルダラビン、FR(すなわち、フルダラビン及びリツキシマブ)、FCR(すなわち、シクロホスファミドと組み合わせたFR);FCM(すなわち、フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン);FCMR(すなわち、リツキシマブと組み合わせたFCM);イブリツモマブチウキセタン;トシツモマブ;ボリノスタット;エベロリムス;ボルテゾミブ;ナビトクラックス(ABT-263としても公知である);高用量療法(HDT);自家幹細胞移植;及び同種幹細胞移植が挙げられる。いくつかの実施形態では、無痛性リンパ腫(例えば、無痛性NHL)の事前の治療は、先行する標準治療法(本明細書の他の箇所に記載されている侵攻性NHLの治療など)の任意の2つ以上を含む。いくつかの実施形態では、無痛性リンパ腫(例えば、無痛性NHL)に対する2つ以上の標準治療法(侵攻性NHLに対する標準治療法など)を、単一の治療レジメンにおいて一緒に与えた。いくつかの実施形態では、無痛性NHLに対する2つ以上の標準治療法(侵攻性NHLに対する標準治療法など)は、別々の治療レジメンにおいて与えた。いくつかの実施形態では、無痛性リンパ腫(例えば、無痛性NHL)(例えば、再発性/難治性無痛性NHL)を有する個体に対して利用可能な治療選択肢(例えば、治癒的療法選択肢)は存在しない。
【0263】
本明細書で提供される治療方法のいずれかのいくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、20mmのテフロン被覆ゴムセプタム栓及びアルミニウムシールで密封された100mg/5mlのI型透明ガラスバイアルで使用する(例えば、静脈内投与)ために供給される。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、20mmのテフロン被覆ゴムセプタム栓及びアルミニウムシールで密封された400mg/20mlのI型透明ガラスバイアルで使用する(例えば、静脈内投与)ために供給される。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、使用(例えば、静脈内投与)まで、元の容器に2~8℃(36~46°F)で保存される。
【0264】
本明細書に記載の治療方法のいずれかのいくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含む融合ポリペプチド)は、皮下投与される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、静脈内注入を介して投与される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、用量0.3mg/kg、1.0mg/kg、3.0mg/kg、10.0mg/kg、15.0mg/kg、または30.0mg/kg(これらの値の間の任意の範囲など)で、個体(例えば、ヒト個体)に(例えば、静脈内注入を介して)投与される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、用量0.3mg/kg、1.0mg/kg、3.0mg/kg、10.0mg/kg、15.0mg/kg、または30.0mg/kg(これらの値の間の任意の範囲を含む)で個体(例えば、ヒト個体)に毎週(すなわち、7日に1回または「qw」)、(例えば、静脈内注入を介して)投与される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、用量0.3mg/kg、1.0mg/kg、3.0mg/kg、10.0mg/kg、15.0mg/kg、または30.0mg/kg(これらの値の間の任意の範囲を含む)で個体に隔週(すなわち、14日に1回、または「q2w」または「QoW」)、(例えば、静脈内注入を介して)投与される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)及び治療用抗体(例えば、抗PD1抗体(ペムブロリズマブ)、抗HER2抗体(トラスツズマブ)、または抗CD20抗体(リツキシマブ))の投与スケジュールが一致する日に、ポリペプチド及び治療用抗体が順次投与される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)は、治療用抗体の前に(例えば、約30分前に)投与される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドの投与を行わなかった場合、治療用抗体は、投与を行わなかった約24時間後に投与される。
【0265】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される治療方法に対するNSCLC、HNSCC、胃癌またはGEJ癌を有する個体の治療効果は、例えば、Therasse et al.(2000)J.Natl Cancer Inst.92:205-216;Eisenhauer et al.(2009)Eur J.Cancer.45:229-247に記載のRECIST第1.1版基準、RECIST 1.1(irRECIST)由来の免疫関連効果判定基準(例えば、出典Nishino,et al.(2013)「Developing a Common Language for Tumor Response to Immunotherapy:Immune-Related Response Criteria Using Unidimensional Measurements」Clinical Cancer Research 19(14):3936-43)によって判定する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される治療方法に対する侵攻性リンパ腫(例えば、DLBCLまたはMCLなどの侵攻性NHL)を有する個体の治療反応は、例えば、Cheson et al.(2014)「Recommendations for Initial Evaluation,Staging and Response Assessment of Hodgkin and Non-Hodgkin Lymphoma:The Lugano Classification」J.Clin Oncol.32:3059-3067に従って判定する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される治療方法に対する無痛性リンパ腫(例えば、FLまたはMZLなどの無痛性NHL)を有する個体の治療効果は、Lugano基準に従って判定する(Cheson et al、2014を参照のこと)。
【0266】
いくつかの実施形態では、HNSCC、NSCLC、胃癌、またはGEJ癌の治療を受けている個体は、RECIST第1.1版基準(例えば、Therasse et al.(2000)J.Natl Cancer Inst.92:205-216;Eisenhauer et al.(2009)Eur J.Cancer.45:229-247に記載されている)によって定義される少なくとも1つの測定可能な病変を有する。いくつかの実施形態では、リンパ腫(例えば、侵攻性リンパ腫(DLBCLまたはMCLなど)または無痛性リンパ腫(FLまたはMZLなど)の治療を受けている個体は、Lugano基準(例えば、Cheson et al.(2014)「Recommendations for Initial Evaluation,Staging and Response Assessment of Hodgkin and Non-Hodgkin Lymphoma:The Lugano Classification」.Clin Oncol.32:3059-3067に記載されている)によって定義される少なくとも1つの測定可能な病変を有する。
【0267】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法に従って治療を受ける個体は、適切な骨髄機能、腎機能、肝機能、及び心臓機能を有する。いくつかの実施形態では、個体は、0または1のEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)erformance Status(PS)スコアを有する(例えば、www(dot)npcrc(dot)org/files/news/ECOG)_performance_status(dot)pdfを参照のこと)。いくつかの実施形態では、個体は、ステロイドを必要とする症候性の中枢神経系(CNS)転移または軟髄膜疾患を有さない。いくつかの実施形態では、本明細書の方法に従って肺癌(例えば、NSCLC)の治療を受けている個体は、ALKまたはEGFRゲノム腫瘍異常を有さない。いくつかの実施形態では、本明細書の方法に従って治療を受けている個体は、ステロイドを必要とする(非感染性)肺炎の病歴を有さないか、または現在肺炎を有する。いくつかの実施形態では、本明細書の方法に従って治療を受けている個体は、高悪性度リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、またはリヒター形質転換)、慢性リンパ性白血病、または形質細胞白血病を有さない。いくつかの実施形態では、個体は、同種異系幹細胞の救済を必要とする大用量化学療法を受けていない。いくつかの実施形態では、本明細書の方法に従って肺癌(例えば、NSCLC)、頭頸部癌(例えば、HNSCC)、または胃/GEJ癌(例えば、HER2陽性胃/GEJ腺癌)の治療を受けている個体は、25%を超える骨髄への事前照射を受けていない。いくつかの実施形態では、個体は、治療の開始から2週間以内に放射線療法を受けていない。いくつかの実施形態では、個体は、抗CD47または抗SIRPα剤による事前の治療を受けていない。いくつかの実施形態では、個体は、治療を開始してから4週間以内(マイトマイシンCまたはニトロソウレアの場合は6週間)に全身性抗癌療法を受けていない。いくつかの実施形態では、個体は、抗体または注入された治療用タンパク質(複数可)または治療用タンパク質を含む製剤(複数可)中の任意の賦形剤に対して不耐用性を有さないか、または重度のアレルギー反応またはアナフィラキシー反応を起こさなかった。いくつかの実施形態では、個体は、抗PD-1、抗PD-L1、または抗PD-L2剤、または、別の免疫細胞標的(例えば、CTLA-1、OX40、41BBなど)を調節することを目的とした剤による事前の治療からのグレード3以上の免疫関連有害事象(AE)のために治療を中止していない。いくつかの実施形態では、個体は、実験的抗体または生ワクチン(例えば、これらに限定されないが、麻しん、流行性耳下腺炎、風疹、水痘帯状疱疹、黄熱病、狂犬病、カルメット-ゲラン桿菌(BCG)、チフス、及び鼻腔内インフルエンザワクチンなど)を受けていない。いくつかの実施形態では、個体は、一次診断(例えば、肺癌(NSCLC)、頭頸部癌(HNSCC)、胃/GEJ癌(HER2陽性胃/GEJ腺癌)、侵攻性リンパ腫(de novo DLBCLまたは形質転換DLBCLもしくはマントル細胞リンパ腫)、または無痛性リンパ腫(例えば、辺縁帯リンパ腫もしくは濾胞性リンパ腫などの無痛性NHL)のための現在の能動的治療を受けていない。いくつかの実施形態では、個体は、治療開始から14日以内に血液製剤の輸血を受けていない。いくつかの実施形態では、個体は、活動性自己免疫障害(これらに限定されないが、例えば、クローン病、関節リウマチ、強皮症、全身性エリテマトーデス、グレイブ病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症など)及び免疫系を弱める(compromise)または損なう(impair)他の状態(低ガンマグロブリン血症を除く)の病歴を有さない。いくつかの実施形態では、個体は、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)、または後天性免疫不全症候群(AIDS)関連の病気などの活動性の、制御されていない、臨床的に有意な細菌、真菌、またはウイルス感染を有さない。いくつかの実施形態では、個体は、活動性移植片対宿主病(GVHD)を有さないか、またはGVHDの免疫抑制療法を受けていない。いくつかの実施形態では、個体は、過去12ヶ月間に、心筋梗塞、重度/不安定狭心症、冠状動脈/末梢動脈バイパス移植片、症候性うっ血性心不全、脳血管障害、一過性脳虚血発作、深部静脈血栓症、または症候性肺塞栓症のうちをいずれかも有していない。いくつかの実施形態では、個体は、例えば、適切に治療された非黒色腫性皮膚癌、潜在的に治癒的療法を受けている上皮内癌(例えば、乳癌、子宮頸部上皮内癌)を除いて、治療開始前の過去3年以内にいずれかの他の悪性腫瘍と診断されていない。
キット及び製造品
【0268】
本発明の別の実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアント及びFcドメインバリアントを含むポリペプチド(例えば、本明細書に記載の融合ポリペプチド)を含む製造品またはキットが提供される。いくつかの実施形態では、SIRPα D1ドメインバリアントは、配列番号81、配列番号85からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、(i)L234A、L235A、G237A、及びN297A突然変異を含むヒトIgG1 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(ii)A330S、P331S、及びN297A突然変異を含むヒトIgG2 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);(iii)S228P、E233P、F234V、L235A、及びdelG236突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う);または(iv)S228P、E233P、F234V、L235A、delG236、及びN297A突然変異を含むヒトIgG4 Fc領域(ここで、番号付けは、KabatのEUインデックスに従う)である。いくつかの実施形態では、Fcドメインバリアントは、配列番号91のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号135または配列番号136のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、ホモ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、本明細書で提供される治療方法に従って使用するためのものである。
【0269】
いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、抗PD1抗体をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗PD1抗体は、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書の方法に従って、個体において肺癌(例えば、転移性NSCLCなどのNSCLC)の進行を治療するかまたは遅延させるために、抗PD1抗体(例えば、ペムブロリズマブ)と組み合わせて、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための説明を含む添付文書またはラベルを含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書の方法に従って、NSCLCの事前の治療を受けている個体において肺癌(例えば、転移性NSCLCなどのNSCLC)の進行を治療するかまたは遅延させるために、抗PD1抗体(例えば、ペムブロリズマブ)と組み合わせて、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための説明を含む添付文書またはラベルを含む。いくつかの実施形態では、個体は、肺癌の事前の治療(例えば、事前の免疫チェックポイント阻害剤療法)中(またはその後)に進行した(例えば、疾患の進行を示した)。いくつかの実施形態では、個体は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を有する。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書の方法に従って、個体においてHNSCCの進行を治療するかまたは遅延させるために、抗PD1抗体(例えば、ペムブロリズマブ)と組み合わせて、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための説明を含む添付文書またはラベルを含む。いくつかの実施形態では、キットは、抗PD1抗体(例えば、ペムブロリズマブ)と組み合わせてポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用して、事前の免疫チェックポイント阻害剤療法(例えば、HNSCCに対して)を受けたことがある個体におけるHNSCCの進行を治療または遅延させるために使用するための説明を含む添付文書またはラベルを含む。いくつかの実施形態では、キットは、抗PD1抗体(例えば、ペムブロリズマブ)と組み合わせてポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用して、事前の免疫チェックポイント阻害剤療法(例えば、HNSCCに対して)を受けたことがない個体におけるHNSCCの進行を治療または遅延させるために使用するための説明を含む添付文書またはラベルを含む。いくつかの実施形態では、キットは、事前のプラチナ療法(例えば、プラチナ含有療法)中(または治療後)進行した(例えば、疾患の進行を示した)個体での頭頸部癌(例えば、HNSCC、転移性HNSCCなど)の進行を治療するかまたは遅延させるために、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を抗PD1抗体(例えば、ペムブロリズマブ)と組み合わせて使用するための説明を含む添付文書またはラベルを含む。いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、IV注入によって3週間ごと(Q3W)に用量200mgでペムブロリズマブを投与するための説明をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、静脈内注入によって毎週(QW)用量10mg/kgでポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を投与するための説明をさらに含む。
【0270】
いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、抗HER2抗体をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブである。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書で提供される方法に従って、個体におけるHER2陽性胃癌またはHER2陽性GEJ癌(例えば、HER2陽性胃腺癌またはHER2陽性GEJ腺癌)の進行を治療するかまたは遅延させるために、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)と組み合わせてポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための説明を含む添付文書またはラベルを含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書で提供される方法に従って、胃癌またはGEJ癌の事前の治療中(または治療後)に進行した(例えば、疾患の進行を示した)個体において、HER2陽性胃癌またはHER2陽性GEJ癌(例えば、HER2陽性胃腺癌またはHER2陽性GEJ腺癌)の進行を治療するかまたは遅延させるために、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)と組み合わせてポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための説明を含む添付文書またはラベルを含む。いくつかの実施形態では、事前の治療法は、抗HER2抗体及び/または事前のフルオロピリミジンベースの治療法を含んでいた。いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、3週間に1回(q3W)、静脈内注入を介してトラスツズマブを投与するための説明をさらに含み、ここで、トラスツズマブの初期用量は、8mg/kgであり、その後のトラスツズマブの各用量が(すなわち、初期用量後)は、6mg/kgである。いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、静脈内注入によって毎週(QW)用量10mg/kgでポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を投与するための説明をさらに含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、抗CD20抗体をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体は、リツキシマブである。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書の方法に従って、個体において侵攻性非ホジキンリンパ腫または「NHL」(例えば、de novo DLBCLまたは形質転換DLBCL、またはマントル細胞リンパ腫)の進行を治療するかまたは遅延させるために、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)と組み合わせて、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための説明を含む添付文書またはラベルを含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書の方法に従って、侵攻性NHLの事前の治療法(例えば、事前の標準療法/治癒的療法)に対して再発しているかまたは難治性であった個体、または侵攻性NHLの利用可能な治療法(例えば、治癒的療法)がない個体において、侵攻性非ホジキンリンパ腫または「NHL」(例えば、de novo DLBCLまたは形質転換DLBCL、またはマントル細胞リンパ腫)の進行を治療するかまたは遅延させるために、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)と組み合わせて、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための説明を含む添付文書またはラベルを含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書の方法に従って、個体における無痛性リンパ腫(例えば、辺縁帯リンパ腫または濾胞性リンパ腫などの無痛性NHL)の進行を治療するかまたは遅延させるために、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)と組み合わせて使用するための説明を含む添付文書またはラベルを含む。いくつかの実施形態では、キットは、無痛性リンパ腫(例えば、無痛性NHL)の事前の治療(例えば、事前の標準治療、例えば、治癒的療法)に対して再発したかまたは難治性であった個体、または無痛性リンパ腫(例えば、無痛性NHL)に対する利用可能な治療法(例えば、治癒的療法)がない個体における、無痛性リンパ腫(例えば、辺縁帯リンパ腫または濾胞性リンパ腫などの無痛性NHL)の進行を治療するかまたは遅延させるために、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)と組み合わせて、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を使用するための説明を含む添付文書またはラベルを含む。いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、リツキシマブを治療の最初の4週間(例えば、28日)の間、用量375mg/mで、週に1回(例えば、7日ごとに1回または「qw」)個体に投与し、次に、最初の4回の投与後最大4回追加投与するため、または最初の4回の投与後最大8回追加投与するため、リツキシマブを用量375mg/mで4週間に1回(例えば、28日ごとまたは「q4w」)投与するための説明をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、静脈内注入によって毎週(QW)用量10mg/kgまたは15mg/kgでポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を投与するための説明をさらに含む。
【0272】
本明細書で提供されるキットまたは製造品のいずれかのいくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)及び治療用抗体(例えば、ペムブロリズマブ、トラスツズマブ、またはリツキシマブ)は、同じ容器または別個の容器中にある。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが挙げられる。容器は、様々な材料、例えば、ガラス、プラスチック(ポリ塩化ビニルもしくはポリオレフィンなど)、または合金(ステンレス鋼もしくはハステロイなど)から形成され得る。いくつかの実施形態では、容器は、製剤を保持し、容器上のラベルまたは容器に関連するラベルは、使用上の指示を示し得る。製造品またはキットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用上の説明を有する添付文書を含む商業的視点及び使用者の視点から望ましい他の材料をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、製造品は、別の剤(例えば、化学療法剤及び抗腫瘍剤)のうちの1つ以上をさらに含む。1つ以上の剤に好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが挙げられる。
【0273】
本明細書は、当業者が本発明を実践することを可能にするのに十分なものであるとみなされる。本明細書に示され、かつ記載される修正に加えて、本発明の様々な修正が前述の記述から当業者に明らかになり、添付の特許請求の範囲内に含まれる。本明細書に引用される全ての出版物、特許、及び特許出願は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【実施例0274】
実施例1:進行性悪性腫瘍の患者における確立された抗がん抗体と組み合わせた薬物Aの第1相試験。
この実施例では、進行性悪性腫瘍の患者を対象に、ペムブロリズマブ、トラスツズマブ、またはリツキシマブと組み合わせた薬物Aの安全性、有効性、薬力学(PD)及び薬物動態(PK)を評価した第1相臨床試験について記載する。薬物Aは、Fcガンマ受容体への結合を消失させるように修飾されたヒト免疫グロブリンFcドメインバリアントに融合した高親和性CD47結合SIRPα D1ドメインバリアントからなる融合タンパク質である(図1)。
【0275】
試験目的
主な目的
本試験の主な目的は、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、HER2過剰発現胃癌、及び非ホジキンリンパ腫(NHL)などの進行性悪性腫瘍の患者を対象に、ペムブロリズマブ、トラスツズマブ、またはリツキシマブと組み合わせて週1回及び/または2週間ごとに投与される薬物Aの安全性及び耐用性を評価することであった。
【0276】
副次的目的
本試験の副次的目的は、次のとおりである。
・進行性悪性腫瘍の患者における抗がん治療薬と組み合わせた薬物Aの抗腫瘍効果を判定すること。
・他の抗がん治療薬と組み合わせた薬物Aの全体的な安全性プロファイルを判定すること。
・抗がん治療剤と組み合わせた薬物Aの最大耐用量(MTD)/最適生物学的用量(OBD)の特徴を明らかにすること。
・抗がん治療薬であるペムブロリズマブ、トラスツズマブ、またはリツキシマブと組み合わせた薬物Aの単回用量及び複数回用量の薬物動態の特徴を明らかにすること。
・薬物Aの免疫原性を評価すること。
探索的目的
【0277】
本試験の探索的目的は、進行性悪性腫瘍の患者における抗がん治療薬と組み合わせた薬物Aの薬力学的効果を調査することであった。
【0278】
患者
選択基準
すべての患者は、試験の用量漸増段階について以下の基準を満たした。
・進行性/転移性固形腫瘍悪性腫瘍または再発性/難治性CD20B細胞非ホジキンリンパ腫の組織学的または細胞学的診断:
o標準療法に耐性があったか、治癒的療法が利用できなかった。または
o下記の用量拡大の基準(a~d)を満たしている
・病変は、測定可能または測定不可能であり得る。
【0279】
すべての患者は、本試験の用量拡大段階について以下の基準を満たした。
a)事前のチェックポイント療法で進行した局所進行性または転移性NSCLC(TPS≧1%)、または転移性疾患の全身療法後に進行した局所進行性または転移性NSCLC(TPS<50%);患者は、ペムブロリズマブによる治療に好適であった;または
b)プラチナ含有化学療法中または化学療法後に疾患が進行した再発性または転移性のHNSCCであり、ペムブロリズマブによる治療に好適であった;または
c)フルオロピリミジン含有レジメンによる全身療法及び/または転移性疾患に対する抗HER2抗体による療法後に進行し、トラスツズマブによる治療に好適であったHER2過剰発現転移性胃または胃食道接合部(GEJ)腺癌。
d)再発または難治性、de novoまたは形質転換びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、または治癒的療法が利用できなかったマントル細胞リンパ腫;また、再発したまたは承認された標準治療法に対して難治性であった無痛性リンパ腫(辺縁帯、濾胞性)。
・患者には、RECIST第1.1版またはLugano基準(2014)で定義されているとおり、少なくとも1つの測定可能な病変を有していた。
【0280】
さらに、すべての患者が次の基準を満たしていた。
・以下を含む適切な骨髄機能:
o絶対好中球数(ANC)≧1,500/mm(≧1.5x10/L);非ホジキンリンパ腫のみ、ANC≧1,000/mm(≧1.0x10/L);
o血小板≧75,000/mm(≧75x10/L);非ホジキンリンパ腫のみ:血小板≧50,000/mm(≧50x10/L);
oヘモグロビン≧9g/dL(≧90g/L);非ホジキンリンパ腫のみ:ヘモグロビン≧8g/dL(≧ 80g/L)。
・以下を含む適切な腎機能:
o血清クレアチニン≦ 1.5x正常上限(ULN)または推定クレアチニンクリアランス≧60mL/分(施設のメソッド標準を使用して計算)。
・以下を含む適切な肝機能:
o総血清ビリルビン≦1.5xULN(患者がジルベール症候群を記録した場合は≦3.0xULN);
oアスパラギン酸及びアラニントランスアミナーゼ(AST及びALT)≦3.0xULN;腫瘍に続発する肝病変があった場合は、≦5.0xULN。
oアルカリホスファターゼ≦2.5xULN(骨または肝臓転移の場合は≦5.0xULN)。
・QT間隔は、心拍数Fridericia(QTcF)の間隔が480ミリ秒以下(3回のECGの平均値に基づく)に修正した。
・年齢18歳以上。
・Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Statusが0または1。
・治験責任医師の判断により安全性リスクを構成しないAEを除き、ベースライン重症度またはグレード≦1(NCI CTCAE v.4.03)に対する事前の治療の急性効果を解決した。
・試験開始前に利用可能なアーカイブ(または新鮮な)転移性生検サンプル(拡大段階のみ)。
・スクリーニング時に陰性の血清妊娠検査(出産の可能性のある女性の場合)。
【0281】
除外基準
以下の特徴のいずれかを有する患者は、本試験に含んでいない:
・ステロイドを必要とする既知の症候性CNS転移または軟髄膜疾患の患者。以前に脳転移と診断された患者は、治療を完了し、試験登録前に放射線療法または手術の急性効果から回復し、これらの転移に対するコルチコステロイド治療を中止し、抗けいれん薬から少なくとも4週間臨床的に安定しており、登録前神経学的に安定している場合に適格であった。
・ALKまたはEGFRゲノム腫瘍異常(NSCLC、パート2拡大のみ)の患者、またはステロイドを必要とする(非感染性)肺炎の病歴がある、または現在の肺炎を患っている患者。
・高悪性度リンパ腫(バーキットリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、リヒター症候群など)、CLLまたは形質細胞白血病の患者
・同種異系幹細胞の救済を必要とする事前の大量化学療法。
・骨髄の>25%(非リンパ腫患者のみ)への事前照射、または試験治療の開始から2週間以内に事前放射線療法を受けた患者。注記:参加者は、放射線に関連するすべての毒性から回復し、コルチコステロイドを必要とせず、放射線性肺炎を患っていないものとする。非CNS疾患への姑息的放射線療法(2週間以下の放射線療法)では、1週間のウォッシュアウトを可能とした。
・抗CD47または抗SIRPα剤による事前の治療。
・試験治療開始から4週間以内の全身抗がん療法(マイトマイシンCまたはニトロソウレアの場合は6週間)。全身抗がん療法が4週間以内行われた場合、薬物の4~5倍の消失半減期が経過した場合には、患者を含めた。
・以下による事前の治療(拡大段階のみ):
o開始から8週間以内に疾患が進行する転移性疾患に対するPD-1またはPD-L1阻害剤(NSCLC;HNSCC)。
o疾患の進行が最良の効果である転移性疾患に対するトラスツズマブ(胃/GEJ癌)。
・抗体または注入された治療用タンパク質に対して不耐用性の患者または重度のアレルギー反応またはアナフィラキシー反応を有する患者;試験薬物中に含まれる物質(賦形剤など)のいずれかに対して重度のアレルギー反応またはアナフィラキシー反応を有する患者;または、抗PD-1、抗PD-L1、または抗PD-L2剤、または別の免疫細胞標的を調節することを目的とした剤による事前の治療から、グレード3以上の免疫関連AEのために治療を中止した患者(例えば、CTLA-1、OX40、41BBなど)。
・試験薬物の初回投与より前の過去28日間の任意の実験的抗体または生ワクチン。弱毒生ワクチンは許可されなかった。
・一次診断のための現在の積極的療法
・サイクル1の1日目から14日以内の血液製剤の輸血。
・(活動性の)自己免疫疾患(これらに限定されないが、クローン病、関節リウマチ、強皮症、全身性エリテマトーデス、グレイブス病など)及び免疫系を弱めるまたは損なう他の状態(低ガンマグロブリン血症を除く)の病歴。
・自己免疫性溶血性貧血または自己免疫性血小板減少症の病歴。
・B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)、または後天性免疫不全症候群(AIDS)関連の病気など、活動性、制御不能、臨床的に重大な細菌、真菌、またはウイルス感染症の患者。
・活動性移植片対宿主病(GVHD)またはGVHDの免疫抑制中の患者。
・過去12ヶ月間に、心筋梗塞、重度/不安定狭心症、冠状動脈/末梢動脈バイパス移植片、症候性うっ血性心不全、脳血管障害、一過性脳虚血発作、深部静脈血栓症、または症候性肺塞栓症のうちのいずれか。
・別の介入的治療臨床試験における現在の積極的治療。
・適切に治療された非黒色腫性皮膚癌、または潜在的に治癒的療法を受けた上皮内癌(例えば、乳癌、子宮頸部上皮内癌)を除いて、登録前の過去3年以内にいずれかの他の悪性腫瘍と診断されている。
・最近(過去1年以内)または活発な自殺念慮もしくは行動、または試験への参加または治験薬の投与に関連するリスクが増加した、または試験結果の解釈を妨害した実験室での異常など、他の重度の急性または慢性の医学的または精神医学的状態により、治験責任医師の判断で、患者を本試験への参加に不適切とした。
・非常に効果的な避妊を使用していない、または治験薬の最後の投与後少なくとも90日間、非常に効果的な避妊を継続することに同意していない出産の可能性のある男性及び女性。
・妊娠中または授乳中の患者。
【0282】
試験治療
図2に示すとおり、本試験には、3つの治療群(薬物A+ペムブロリズマブ;薬物A+トラスツズマブ;薬物A+リツキシマブ)があった。本試験には、最初の用量漸増部分及びその後に用量拡大部分を含めた。各用量漸増群には、約12名の進行性悪性腫瘍患者がいた。各拡大群には、複数の部位に対して約20~40名の患者がいた。
【0283】
薬物Aは、外来で約60分かけてIV注入として毎週(または2週間ごとに)投与した。確実に治験薬を正確に送達するために、輸液ポンプの使用が好ましい投与方法であったが、重力点滴(gravity drip)が許容された。
【0284】
薬物Aは、100mg/5mLまたは400mg/20mLのタイプ1透明ガラスバイアルで供給され、20mmのテフロン被覆ゴムセプタム栓及び不正開封防止アルミニウムシールで密封した。各単回使用バイアルは、100mgの薬物A(5mL)または400mgの薬物A(20mL)を送達し、静脈内(IV)投与を目的とする。
【0285】
1日目の投与から次の1日目の投与までの時間を1サイクルと定義した。治療の遅延がなかった場合、サイクルは毎週の投与で21日、2週間ごとの投与で28日であった。
【0286】
すべての試験治療は、外来で実施した。患者は、サイクル1の1日目(C1D1)に薬物Aを注入した後少なくとも2時間、その後臨床的に示されるとおり診療所で観察した。
【0287】
薬物Aの前投薬は必要なかった。ペムブロリズマブ、トラスツズマブ及びリツキシマブの組み合わせ療法の添付文書のガイドラインに従った。
【0288】
用量漸増及び拡大段階では、組み合わせパートナー療法は、そのラベルの説明に従って投与した。
oトラスツズマブ:初回用量8mg/kgを90分かけて静脈内注入として投与し、その後6mg/kgの静脈内注入(IV)を3週間ごとに30~90分かけて投与する。
oペムブロリズマブ:200mgのIVを3週間ごとに30分かけて最大24ヶ月間静脈内注入として投与する。
oリツキシマブ:375mg/mを、週1回で4回静脈内注入し、その後月1回を8回投与(速度50mg/時で開始し、30分ごとに50mg/時ずつ増加させ、注入毒性がない場合は最大で400mg/時)を行った。リツキシマブの最初の注入に対して忍容性があった場合、その後の注入は速度100mg/時で開始し、毒性がない場合は、最大400mg/時まで30分間隔で100mg/時ずつ増加させた。
【0289】
投与スケジュールが一致した投与日に、薬物A療法の終了から約30分後に組み合わせパートナーを開始した。そのような日に、毒性のために薬物Aの投与を行わなかった場合、パートナー薬物は、投与を行わなかった24時間後に投与した。薬物Aが永久に中止された場合、患者は試験の治療段階を中止した。パートナー薬物が永久に中止された場合、治験責任医師の意見で患者が薬物Aから臨床的利益を得ていた場合、患者は最大で24ヶ月間単剤薬物Aを継続した。
【0290】
用量漸増成分
薬物Aの場合、初期用量漸増成分は、提唱された組み合わせ剤(表A)の観察された薬物A単剤用量限界毒性(DLT)プロファイル及び既知の安全性プロファイルを考慮して、単剤最大耐用量(MTD)または最大投与用量(MAD)(各用量レベルで3~6名の患者)より1用量レベル下で開始した。薬物Aの用量が安全であり、組み合わせて十分に忍容される場合、薬物Aの用量レベルは、組み合わせ剤を用いてMTDまたはMADまで増加させた。
【0291】
単剤としての薬物AのMTDには達していない。単剤としての薬物AのMADは、30mg/kgを隔週でIV投与した(QOWまたはQ2W)。
【0292】
拡大段階
薬物Aは、外来患者ベースで約60分間にわたって静脈内(IV)注入として用量10mg/kgで週に1回(QW)投与した。
【0293】
拡大段階では、上記のとおり、組み合わせパートナー療法をそのラベルの説明に従って施した。
【0294】
薬物A+ペムブロリズマブ拡大群には、転移性NSCLCの患者が最大20名、再発性または転移性の頭頸部扁平上皮癌の患者が最大20名含まれていた。
【0295】
薬物A+トラスツズマブ拡大群には、最大20名のHER2過剰発現(HER2陽性)胃癌患者を含めた。
【0296】
薬物A+リツキシマブ拡大群には、再発性または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の患者約10名、及び無痛性リンパ腫の患者約10名を含めた。
【0297】
各患者には、疾患の進行、許容できない毒性、同意の撤回、または試験の終了まで、薬物Aを投与した。治験責任医師の推定において、患者が試験治療から臨床的利益を得ていた場合、患者は、X線写真での進行後の試験で試験治療を受けた。
【0298】
有効性分析
全奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、及び全生存期間(OS)をITT集団及び効果判定可能集団で分析した。
【0299】
客観的な腫瘍縮小効果は、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)第1.1版を使用して評価した。腫瘍の効果判定には、すべての既知の疾患部位または疑わしい疾患部位を含めた。画像診断には、胸部、腹部、及び骨盤のCTまたはMRIスキャン;脳転移が既知であるかまたは疑われる患者の脳CTまたはMRIスキャン;骨転移が既知であるかまたは疑われる患者の骨スキャン及び/または骨X線写真を含めた。さらに、リンパ腫患者の場合、検査にはPETスキャン及び骨髄評価を含めた。ベースラインで特定され報告された各病変の特徴を明らかにするために使用したのと同じ画像技術を、以下の腫瘍効果判定で使用した。
【0300】
抗腫瘍活性は、ベースライン時、治療中、疾患の進行が疑われる場合(例えば、症状の悪化)、及び試験からの離脱時(過去6週間に行われなかった場合)に実施された放射線腫瘍効果判定により判定した。
【0301】
効果の判定は、RECIST第1.1版、または関連する場合は、Lugano規準(Cheson et al.,J.Clin.Oncol(2014)32:27:3059-3068.)を使用して行った。
【0302】
腫瘍径の変化は、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定(SD)、または進行(PD)に分類され、後者は新しい病変の出現を組み込んでいる。拡大コホートでは、免疫関連RECIST1.1を使用して二次分析を実施した。この二次分析を容易にするために、拡大コホートでのみ、すべての標的及び新しい測定可能な病変の直径(非結節性病変で最も長く、結節性病変で最も短いもの)を収集した。さらに、拡大コホートでは、最初に記録された日から少なくとも4週を画像撮影することにより、進行及び効果の両方を確定する必要があった。
【0303】
PK/PD及びバイオマーカー分析
薬物Aの薬物濃度は、検証済みの方法を使用して測定した。検証済みのリガンド結合ELISAを使用して、薬物Aの血清濃度を分析した。PKパラメータは、標準的なノンコンパートメントメソッドを使用して、それぞれの濃度-時間データから決定した。パラメータの計算には、実際のサンプル収集時間を使用した。薬物Aについては、最大濃度(Cmax)、最大濃度までの時間(Tmax)、濃度-時間曲線下面積(AUClast、AUCinf、及び/またはAUCτ)などのPKパラメータを計算した。必要に応じて、クリアランス(CL)、分布容積(Vz)、終末消失半減期(t1/2)、及び蓄積率(Rac)などの追加のPKパラメータを計算した。
【0304】
PK/PD分析は、OBDの決定を支援するために、適切なモデルベースの方法を使用して曝露-効果関係を調べるために実施した。薬力学的データ(受容体占有率及び免疫表現型)は、時間及び用量による記述統計と共にグラフにより要約した。
【0305】
適切なモデルベースの方法を使用したPK/PD分析を調べて、曝露-効果関係をよりよく理解した。CD47標的占有率の投与前及び投与後のレベルを分析し、循環している白血球集団の免疫表現型検査を実施した。末梢血Tリンパ球及び赤血球におけるCD47標的占有率をフローサイトメトリーによって測定した。治療前後の腫瘍生検組織における浸潤性白血球集団及び免疫調節分子、ならびに治療前後の血清中の特定のサイトカイン及びケモカインを分析した。末梢血及び腫瘍生検サンプルにおける探索的分子分析(これに限定されないが、追加の免疫マーカーなど)は、治療の前後に実施した。
【0306】
腫瘍組織上のCD8、CD68、CD163、及びPD-L1は、免疫組織化学(IHC)アッセイによって測定した。CD8、CD68、及びCD163の正のパーセント値は、画像分析によって得た。PD-L1(クローン22C3)腫瘍比率スコア(TPS)及び複合陽性スコア(CPS)は、病理医のレビューによって得た。HER2レベルは、HERCEPTEST(商標)使用して決定した。対になった腫瘍生検からのRNA発現は、NANOSTRINGIO360(商標)発現パネルを使用して判定した。事前定義された遺伝子シグネチャーを使用した細胞型の存在量及び経路プロファイリング分析は、NANOSTRINGnSOLVER(商標)分析ソフトウェアを使用して実行した。
【0307】
ベースライン訪問時に血液サンプルを収集し、薬物反応に関連する薬理ゲノミクス分析のために保持した。例えば、SIRPα遺伝子多型、推定安全バイオマーカー、薬物代謝酵素遺伝子、薬物輸送タンパク質遺伝子、または薬物作用のメカニズムに関連すると考えられる遺伝子の調査を行う。
【0308】
結果
患者の特徴
進行した固形腫瘍悪性腫瘍を有する82名の患者が本試験に登録された。患者のベースライン特性を表Bに示す。
【0309】
安全性
トラスツズマブまたはペムブロリズマブと組み合わせた薬物Aは、十分に忍容性があり、治療関連有害事象(TRAE)のほとんどは低いグレードであり、低頻度であった。2名以上の患者で発生する治療関連有害事象は、薬物A+トラスツズマブの組み合わせについては表Cに、薬物A+ペムブロリズマブの組み合わせについては表Dに示す。薬物A+トラスツズマブの組み合わせで最も頻度の高いTRAEは、倦怠感(26.7%)であった。最も頻度の高いTRAEの薬物A+ペムブロリズマブの組み合わせは、ASTの増加であった(15.4%)。
【0310】
グレード3の重症度のTRAEは、低頻度であった。薬物A+トラスツズマブの組み合わせでは、発熱性好中球減少症の1つの重篤な治療関連有害事象が報告された。薬物A+ペムブロリズマブの組み合わせでは、3つの重篤な治療関連有害事象が報告された:1つは自己免疫性溶血性貧血、1つは発熱性好中球減少症、1つは好中球減少症であった。
【0311】
有効性
用量漸増
用量漸増成分には合計22名の患者を含めた。薬物A+トラスツズマブ組み合わせコホート(n=10)では、効果判定可能な8名の患者のうち3名が安定(SD)を示した(2名の患者が乳癌、1名の患者がGEJ)。薬物A+ペムブロリズマブ組み合わせコホート(n=12)では、効果判定可能な10名の患者のうち、1名が部分奏効(PR)(CPI難治性のNSCLC)を示し、3名が安定を示した(1名の患者が虫垂癌、2名の患者がNSCLCを有していた)。
【0312】
用量拡大
用量拡大段階には、合計60名の患者を含めた。
【0313】
HER2陽性胃/GEJ癌を伴う薬物A+トラスツズマブ組み合わせコホート(n=20):効果判定可能な18名の患者のうち、4名が部分奏効(確定済み)を呈し、5名が安定を呈した。図3Aには、ベースラインからの疾患評価の変化率を示す。ORRは22%、DCRは28%、mPFSは2.2ヶ月であった。図3Bには、試験期間にわたる各患者のベースラインからの疾患評価の変化率を示す。図3Cは、このコホートにおいて登録された患者の治療期間を示す。腫瘍は、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)第1.1版(E.A.Eisenhauer,et al.,European Journal of Cancer 45(2009)228-247)に従って判定した。
【0314】
HNSCCとの薬物A+ペムブロリズマブ組み合わせコホート(n=20):19名の効果判定可能な患者のうち、3名が部分奏効を呈し(2名が確定済み、1名が未確定)、6名が安定を呈した。図4Aには、ベースラインからの疾患評価の変化率を示す。ORRは、すべての患者において16%、チェックポイント療法未投与患者では30%であった。DCRは、すべての患者で26%、チェックポイント療法未投与患者で30%であった。mPFSは、すべての患者で2.1ヶ月であった。さらに、各患者についてPD-L1染色の複合陽性スコア(CPS)を報告している。図4Bには、試験期間にわたる各患者のベースラインからの疾患評価の変化率を示す。図4Cは、このコホートにおいて登録された患者の治療期間を示す。腫瘍は、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)第1.1版(E.A.Eisenhauer,et al.,European Journal of Cancer 45(2009)228-247)に従って判定した。
【0315】
NSCLCとの薬物A+ペムブロリズマブ組み合わせコホート(n=20):18名の効果判定可能な患者のうち、8名が安定を呈した。図5Aには、ベースラインからの疾患評価の変化率を示す。病勢コントロール率(DCR)は17%、mPFSは2ヶ月であった。さらに、各患者について、PD-L1染色の腫瘍比率スコア(TPS)が報告されている。図5Bには、試験期間にわたる各患者のベースラインからの疾患評価の変化率を示す。図5Cは、このコホートにおいて登録された患者の治療期間を示す。腫瘍は、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)第1.1版(E.A.Eisenhauer,et al.,European Journal of Cancer 45(2009)228-247)に従って判定した。
【0316】
薬物動態
組み合わせコホート薬物A+トラスツズマブ及び薬物A+ペムブロリズマブからの薬物A PKの観察結果は、確立された集団PKモデルに基づいて予測された95%間隔内であった(Jin F. et al.,(2018)Soc Immunotherpay of Cancer Conference,#P340)(図6A)。薬物Aの定常状態の半減期(10mg/kgQW)は約16日であると予測された。図6Bに示すとおり、CD47を発現するCD4+T細胞上のほぼ完全なCD47標的占有は、両方の組み合わせコホートにおいて、薬物A投与間隔にわたって維持された。
【0317】
抗腫瘍縮小効果
図7Aに示すとおり、薬物A+ペムブロリズマブで治療された5名のNSCLC患者、薬物A+ペムブロリズマブで治療された6名のHNSCC患者、及び薬物A+トラスツズマブで治療された1名の胃癌患者からの対の生検では、治療後の腫瘍関連マクロファージ及び浸潤リンパ球の増加が明らかになった。治療前及び治療中のCD68及びCD8の染色を示す個々の患者からの画像を図7B(薬物A+ペムブロリズマブで治療したNSCLC PD-L1(-)患者)及び図7C(薬物A+ペムブロリズマブで治療したHNSCC PD-L1(+)患者)に示す。CD68及びCD163マーカーは、マクロファージを示し、CD8マーカーは、Tリンパ球を示す。
【0318】
結論
ペムブロリズマブまたはトラスツズマブと組み合わせた薬物Aは、優れた忍容性及び良好なPK/PD特性を示す。客観的応答は、事前のCPI及びHER2標的療法に対して再発性/難治性の疾患など、後期NSCLC、HNSCC、及び胃/GEJの患者で観察された。
【0319】
トラスツズマブまたはペムブロリズマブの標準レジメンと組み合わせた薬物A(10mg/kgQW;抗体の20mg/kgに相当するモル)は、良好な血液学的安全性プロファイルで十分に忍容性があった。
【0320】
薬物Aは、事前のHER2標的療法中に進行したHER2陽性患者(例えば、事前のHER2標的療法中に進行したHER2陽性胃/GEJ腫瘍)において、トラスツズマブとの組み合わせで抗がん活性を示す。
【0321】
薬物Aは、以下の患者にペムブロリズマブとの組み合わせで抗がん作用を示す。
・ペムブロリズマブ単剤の経験と比べて、有利な2L以上のHNSCC。
・事前のチェックポイント阻害剤療法に対して耐性/難治性の腫瘍などのNSCLC。
【0322】
薬物Aは、トラスツズマブまたはペムブロリズマブと組み合わせて、抗体様PK及び完全なCD47標的占有を示す。
【0323】
対の腫瘍生検からの予備データは、薬物A治療後の腫瘍内マクロファージ及びCD8+T細胞の増加を示唆している。
【0324】
まとめると、この実施例に示されているデータは、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、HER2過剰発現胃癌、及び非ホジキンリンパ腫(NHL)などの進行性悪性腫瘍の患者において、ペムブロリズマブ、トラスツズマブ、またはリツキシマブと組み合わせて投与された薬物Aの有効性及び安全性を示す。理論に拘束されることを望むものでないが、図8に示すとおり、薬物Aは、ペムブロリズマブ、トラスツズマブまたはリツキシマブなどの抗がん治療用抗体と組み合わせて投与されたときに、がんに対する自然免疫応答及び適応免疫応答を最大化すると考えられる。特に、薬物Aは次のように考えられている:1)CD47をブロックすることにより、がん細胞のマクロファージ食作用を増強する。2)炎症性M1腫瘍関連マクロファージ(TAM)と抑制性M2TAMの比率を増加させる。3)樹状細胞(DC)を活性化し、T細胞のクロスプライミングを増強する。さらに、薬物Aは、抗がん抗体と組み合わせることにより、自然免疫応答及び獲得免疫応答を最大化しながら、他のCD47標的アプローチに関連する用量制限毒性を回避すると考えられている。
【0325】
実施例2A:ペムブロリズマブまたはトラスツズマブと組み合わせた薬物Aの第1相試験のさらなる安全性の結果
実施例1に記載のとおり、固形腫瘍を有する52名の患者は、ペムブロリズマブと組み合わせて薬物Aを投与され、固形腫瘍を有する30名の患者は、トラスツズマブと組み合わせて薬物Aを投与された。治療関連有害作用(TRAE)(倦怠感、ASTの増加、血小板の減少、ALTの増加、貧血、及び/またはそう痒症など)は、低グレードかつ低頻度であった。
【0326】
薬物A+ペムブロリズマブを投与された患者のうち35名(67.3%)及び薬物A+トラスツズマブを投与された患者のうち22名(73.3%)は何らかのTRAEを経験した。薬物A+ペムブロリズマブを投与された患者が経験した最も高頻度のTRAEは、低グレードアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)の増加(17.3%)であり、薬物A+トラスツズマブを投与された患者が経験した最も高頻度のTRAEは、低グレード倦怠感(30%)であった。グレード3より大きい重症度のTRAEは、低頻度であった。以下の表E及びFを参照のこと。
表E及びFでは、発疹:発疹、発疹丘疹-黄斑、発疹水疱、発疹掻痒性皮膚炎;血小板の減少:血小板の減少、血小板減少症;そう痒:そう痒症、全身そう痒症。
【0327】
薬物A+ペムブロリズマブを投与された患者において、4つの重篤な治療関連有害事象(TRSAE)が報告された。1名の患者が自己免疫性溶血性貧血/汎血球減少症を経験した。1名の患者が発熱性好中球減少症を経験した。1名の患者が好中球減少症を経験した。1名の患者は末梢神経障害を経験した。薬物A+トラスツズマブを投与された患者において、1つのTRSAEが報告された。患者は、発熱性好中球減少症を経験した。
【0328】
薬物Aは、診療所で投与された曝露範囲(すなわち、10mg/kg qw~30mg/kg qow)で良好な曝露と安全性との関係を示し、曝露依存性の血球減少症は観察されなかった。
【0329】
実施例2B:2L以上の頭頸部扁平上皮癌の患者においてペムブロリズマブと組み合わせた薬物Aの第1相試験のさらなる結果
実施例1に記載のとおり、2L以上のHNSCCを有する20名の患者が、ペムブロリズマブと組み合わせて薬物Aを投与された。薬物A+ペムブロリズマブを投与されているすべての患者(以下の実施例2Cでさらに詳細に記載の2Lを超えるNSCLCの患者など)のベースライン特性を表Gに示す。
*患者には、2Lを超えるHNSCC及び2Lを超えるNSCLCの患者を含めた(実施例2Cを参照)。
【0330】
HNSCC患者における抗がん効果は、効果判定可能な患者で観察された。臨床活性は、RECIST1.1基準を使用して治験責任者が判定した効果に基づいていた(E.A.Eisenhauer,et al.,European Journal of Cancer45(2009)228-247)。チェックポイント阻害剤未投与(すなわち、免疫チェックポイント阻害剤による事前の治療を受けていなかった)の10名の患者において、全体の奏効率(ORR)は40%(95%CI:12.2,73.8)、PFS中央値(mPFS)は4.61ヶ月(95%CI:0.53;7.53)、全生存期間の中央値(mOS)は、14.4ヶ月の追跡期間中央値または17.9ヶ月の追跡調査では達成されなかった。病勢コントロール率(DCR)は50%(95%CI:18.7:81.3)であった:チェックポイント阻害剤未投与患者の4/10が部分奏効(「PR」)を達成し(2名確定済み)、2/10は安定(「SD」)を達成し、4名は進行(「PD」)を示した。奏効期間(DOR)は、4.31ヶ月であった。チェックポイント阻害剤の経験があった(すなわち、免疫チェックポイント阻害剤による事前の治療を受けた)10名の患者のうち、ORRは0%であった。mPFSは2.0ヶ月であった[95%CI:0.9;3.6]、及びmOSは7.4ヶ月(95%CI:3.1;NC)であった。チェックポイント阻害剤を経験したサブグループの3名の患者がSDを達成し、7名がPDを示した。効果判定可能な患者における薬物A+ペムブロリズマブの組み合わせの臨床活性を示す図9A、ならびに薬物A及びペムブロリズマブで治療された2Lを超えるHNSCC患者における最良総合効果及び奏効期間を示す図9Bを参照のこと。すべての患者(すなわち、チェックポイント阻害剤、及びチェックポイント阻害剤未投与を経験している両方)のORR、DCR、DOR、mPFS、及びmOSに関するさらなる詳細を図9Aに示す。
【0331】
腫瘍生検において、完全な末梢CD47標的占有率及び浸潤性免疫細胞の増加が見られた。これらのデータにより、高度なチェックポイント阻害剤未投与のHNSCC患者(PD-L1陰性患者など)における薬物A+ペムブロリズマブ組み合わせ療法の臨床活性が確認される。臨床活性は、歴史的な対照、すなわちペムブロリズマブの単剤の経験と比較して遜色ない。予備バイオマーカー分析では、CD47及びSIRPα遺伝子発現のベースラインレベル及び腫瘍浸潤CD8細胞CD68細胞、及びCD163細胞が、ベースラインからの標的病変サイズの変化率%によって測定される腫瘍縮小効果と関連していないことが示唆された。
【0332】
実施例2C:事前のチェックポイント阻害剤療法中に進行した2Lを超えるNSCLC患者においてペムブロリズマブと組み合わせた薬物Aの第1相試験のさらなる結果
実施例1に記載のとおり、2L以上のNSCLCを有する20名の患者が、ペムブロリズマブと組み合わせて薬物Aを投与された。17名は、事前のチェックポイント阻害剤療法中に進行しており、3名の患者は、チェックポイント阻害剤未投与であった)。薬物A+ペムブロリズマブを投与されたすべての患者(HNSCCの治療を受けている患者を含む)のベースライン特性を上記の表Gに示す。NSCLC患者の臨床活性は、RECIST1.1基準を使用して治験責任者が判定した効果に基づくものであった。全奏効率(ORR)は5%(95%CI:0.1、24.9)であり、1名の患者が部分奏効(PR)を達成し、9名の患者が安定(SD)を達成し、10名の患者が進行(PD)を示した。PRを達成した患者は、最初に進行を呈し、その後、安定及びその後の部分奏効を示した。PRを達成した患者の腫瘍比率スコアは0%であった。病勢コントロール率(DCR)は35%(95%CI:15.4、59.2)であった。無増悪生存期間中央値は2.01ヶ月(95%CI:1.88、5.56)であり、全生存期間中央値は9.11ヶ月(95%CI:7.17、NC)であった。効果判定可能な2Lを超えるNSCLC患者における薬物A+ペムブロリズマブの組み合わせの臨床活性を示す図10A、及び薬物Aとペムブロリズマブで治療された2Lを超えるNSCLC患者における最良総合効果及び奏効期間を示す図10Bを参照のこと。
【0333】
これらのデータにより、事前のチェックポイント阻害剤療法に耐性/難治性の患者などの、2Lを超えるNSCLCの患者における薬物A+ペムブロリズマブ組み合わせ治療の臨床活性が確認される。予備バイオマーカー分析では、CD47及びSIRPα遺伝子発現のベースラインレベル及び腫瘍浸潤CD8細胞CD68細胞、及びCD163細胞が、ベースラインからの標的病変サイズの変化率%によって測定される腫瘍縮小効果と関連していないことが示唆された。
【0334】
実施例2D:2Lを超えるHER2陽性胃/GEJ癌患者においてトラスツズマブと組み合わせた薬物Aの第1相試験のさらなる結果
実施例1に記載のとおり、2Lを超えるHER2胃癌またはHER2胃食道癌を有する25名の患者は、トラスツズマブと組み合わせて薬物Aを投与された。薬物A+トラスツズマブを投与されているすべての患者のベースライン特性を以下の表Hに示す。
【0335】
胃癌/GEJ癌患者の臨床活性は、RECIST1.1基準を使用して治験責任者が判定した効果に基づくものであった。抗がん効果は、効果判定可能な患者で観察された。ORRは21.1%(95%CI:6.1、45.6)、mPFSは2.2ヶ月(95%CI:1.9;5.4)、mOSは11.5ヶ月(95%CI:3.36;14.0)であった。効果判定可能な19名の患者のうち、4名が部分奏効を達成した(3名が確認された)。5名は安定を達成した。10名は進行を示した。病勢コントロール率(DCR)は26.3%(95%CI:9.1、51.2)であり、奏効期間は9.38ヶ月であった。効果判定可能な2Lを超えるHER2胃癌または2Lを超えるHER2GEJ癌患者における薬物A+トラスツズマブの組み合わせの臨床活性を示す図11A、ならびに薬物A及びトラスツズマブで治療された2Lを超えるHER2胃癌または2Lを超えるHER2GEJ癌患者における最良総合効果及び奏効期間を示す図9Bを参照のこと。
【0336】
腫瘍生検において、完全な末梢CD47標的占有率及び浸潤性免疫細胞の増加が見られた。これらのデータでは、事前のHER2標的療法中に進行したHER2胃癌または胃食道癌の患者における薬物A+トラスツズマブ組み合わせ治療の臨床活性が確認される。臨床活性は、歴史的な対照と比べて遜色がない。予備バイオマーカー分析では、CD47及びSIRPα遺伝子発現のベースラインレベル及び腫瘍浸潤CD8細胞CD68細胞、及びCD163細胞が、ベースラインからの標的病変サイズの変化率%によって測定される腫瘍縮小効果と関連していないことが示唆された。
【0337】
実施例2E:非ホジキンリンパ腫患者における、リツキシマブと組み合わせた薬物Aの第1相試験のさらなる結果
この実施例では、実施例1に記載のとおり、非ホジキンリンパ腫(NHL)の侵攻性及び無痛性の両方の組織型を伴うリツキシマブと組み合わせた薬物Aの安全性プロファイル及び抗腫瘍活性の臨床試験からのさらなる結果を提供する。
【0338】
本試験に登録された患者は18歳を超えており、再発性または難治性のCD20陽性B細胞NHLを有し、治癒的療法が利用できなかったか、再発したか、または承認された標準治療法に対して難治性であった。患者は、適切な臓器機能と8g/dL以上のヘモグロビン、好中球の絶対数が1,000/mm以上、及び血小板が50,000/mm以上を有している必要があった。抗CD47または抗SIRPα剤による事前の治療を受けた患者は、除外した。
【0339】
患者は、リツキシマブ(375mg/mを週4回投与、その後月1回8回投与)と組み合わせて薬物A(10mg/kgQWまたは15mg/kgQW)を投与された。安全性確認集団の主要エンドポイントは、第1サイクルの用量制限毒性(DLT)であった。腫瘍縮小効果(NHLのLugano Working Group 2014効果判定基準を使用)、有害事象(NCI CTCAEv4.03を使用して特徴を明らかにした)、薬物動態(PK)、及び薬力学(PD)マーカーをすべての患者で判定した。
【0340】
33名のNHL患者(男性23名、女性10名、事前の治療ラインの中央値=3)に、リツキシマブと組み合わせた薬物Aを投与した。22名の患者(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)11名、マントル細胞リンパ腫(MCL)4名、濾胞性リンパ腫(FL)5名、辺縁帯リンパ腫(MZL)2名)に薬物A10mg/kgQW+リツキシマブを投与し、11名の患者(DLBCL6名、MCL1名、FL3名、及びMZL1名)に薬物A15mg/kgQW+リツキシマブを投与した。患者のベースライン特性を表Iに示し、患者の薬物曝露及び内訳を表Jに示す。
よる死亡。
【0341】
患者は用量の減少を必要とせず、治療を中止する最も一般的な理由は疾患の進行であった。
【0342】
リツキシマブと組み合わせた薬物Aは、十分に忍容性があり、治療に関連する有害事象(TRAE)のほとんどは、低悪性度かつ低頻度であった。26名(78.8%)の患者が、何らかの有害事象を経験した。15名(45.5%)の患者がTRAEを経験した。リツキシマブと組み合わせた薬物Aの最も一般的なTRAEは、グレード1~2の発疹(18%)、倦怠感(9%、n=3)、貧血(6%、n=2)、悪心(6%、n=2)、及び好中球減少症(6%、n=2)であった。グレード3以上の重症度のTRAEは、低頻度であった(表Kを参照)。治療関連有害事象は報告されなかった。試験では、双方とも疾患の進行が原因で2名が死亡した。
【0343】
毒性を制限する薬物Aの用量は報告されなかった。リツキシマブと組み合わせた薬物Aの最大耐用量(MTD)に到達しなかった。薬物Aの最大投与用量(すなわち、リツキシマブと組み合わせて投与)は15mg/kgQWであった。評価した薬物Aの曝露範囲(10mg/kg QW~15mg/kg QW)で、有意な曝露と血球減少との関係は観察されなかった。
【0344】
抗腫瘍活性は、再発性/難治性の侵攻性組織(すなわち、DLBCL及びMCL)及び再発性/難治性の無痛性組織(すなわち、FL及びMZL)を有する効果判定可能な患者のすべての組織において観察された。効果は、Lugano2014の効果判定基準に従って判定した(Cheson et al.(2014)「Recommendations for Initial Evaluation,Staging and Response Assessment of Hodgkin and Non-Hodgkin Lymphoma:The Lugano Classification」J.Clin Oncol.32:3059-3067を参照のこと)。表L及び図12に示すとおり、10mg/kgQW薬物A+リツキシマブで治療された患者の全体的な奏効率(ORR)は40.9%であった。3名の患者(すなわち、1名はマントル細胞リンパ腫(MCL)、1名は濾胞性リンパ腫(FL)、及び1名はMZLを有する)が完全奏効(CR)を達成し、6名の患者(2名がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、2名がMCL、2名がFLを有する)が部分奏効(PR)を達成した。6名の患者(2名がDLBCL、1名がMCL、2名がFL、及び1名がMZLを有する)が安定(SD)を示した。15mg/kgのQW薬物A+リツキシマブで治療された患者のORRは、54.6%ORRであった。2名の患者(両方ともFL)がCRを達成した。4名の患者(1名はMZL、2名はDLBCL、1名はMCL)がPRを達成した。1名の患者(FL)がSDを示した。以下の表L及び図12を参照のこと。10mg/kgの薬物A+リツキシマブを投与された患者の治療期間に関する詳細は、図13Aに提供し、15mg/kgの薬物A+リツキシマブを投与された患者の治療期間に関する詳細は、図13Bに提供する。
侵攻性=再発性難治性DLBCLまたは再発性難治性マントル細胞リンパ腫;無痛性=再発性難治性濾胞性リンパ腫または再発性難治性辺縁帯リンパ腫;ORR=客観的奏効率(完全奏効+部分奏効);mDOR=奏効期間中央値(月);mPFS=無増悪生存期間中央値(月);mFollow-Up=追跡期間中央値(月);NC=計算不可。
【0345】
判定された曝露範囲(10mg/kgQW~15mg/kgQW)において、SD及びPDの最良の効果を有する対象と比較して、CR及びPRの最良の効果を示す対象で薬物A曝露の増加が観察された。好ましい薬物Aの薬物動態及びCD47受容体の占有は、投与間隔全体で見られた。
【0346】
リツキシマブの標準レジメンと組み合わせた薬物Aは、良好な血液学的安全性プロファイルで十分に忍容性があり、最大許容用量には達しなかった。最大投与用量は、15mg/kg QW(抗体の30mg/kg QWに相当するモル濃度)であり、評価した曝露範囲において曝露依存性貧血、血小板減少症、または好中球減少症は観察されなかった。薬物Aは、再発性/難治性のNHL患者において、リツキシマブとの組み合わせにおいて持続的な効果を示す新たな抗がん活性を示し、腫瘍は、歴史的対照と比較して有利な、事前CD20標的療法中に進行した。予備データは、薬物Aは、十分に忍容性があり、薬物Aのより高い曝露が応答者及び非応答者で観察されることを示唆している。
【0347】
本明細書に記載の各実施形態は、反対に明確に示されない限り、他の任意の実施形態または複数の実施形態と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると示される任意の特徴または実施形態は、反対に明確に示されない限り、好ましいまたは有利であると示される任意の他の特徴(複数可)または実施形態(複数可)と組み合わせることができる。
【0348】
本出願で引用された全ての参考文献は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
【配列表】
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【外国語明細書】