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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003985
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】電池用の多層断熱要素
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/658 20140101AFI20250106BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20250106BHJP
【FI】
H01M10/658
H01M10/625
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024158110
(22)【出願日】2024-09-12
(62)【分割の表示】P 2023118240の分割
【原出願日】2018-12-18
(31)【優先権主張番号】102017011886.8
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018000421.0
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520217386
【氏名又は名称】ハー カー オー イゾリアー ウント テクスティルテヒニーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥーデ ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】シュテックマン カルステン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被覆層が曲げに弱く、かつ、熱絶縁要素が全体として圧縮性および可撓性がある電池の熱絶縁のための多層断熱要素、そのような断熱要素を備える電池並びに断熱要素の使用法を提供する。
【解決手段】多層断熱要素1は、第1の被覆層2と、第2の被覆層3と、少なくとも1つの耐熱繊維層5を含み、第1の被覆層2及び第2の被覆層3の間に配置されている圧縮性かつ柔軟性を有するの中間材4と、を備え、耐熱繊維層5は、ニードル不織布から形成されており、第1の被覆層2及び第2の被覆層3の少なくとも1つは、耐熱雲母層、好ましくは雲母紙層または雲母板である。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の被覆層(2)と、
第2の被覆層(3)と、
少なくとも1つの耐熱繊維層(5)を含む、前記被覆層(2、3)間に配置されている圧縮性かつ/または柔軟性の中間材(4)と、
を備える、電池(8)の熱絶縁のための多層断熱要素(1)であって、
前記繊維層(5)がニードル不織布から形成されており、および/または
前記被覆層(2、3)が曲げに弱く、かつ前記断熱要素(1)が全体として圧縮性および可撓柔軟性である
ことを特徴とする、多層断熱要素。
【請求項2】
前記繊維層(5)がガラス繊維もしくはシリケート繊維からまたはその混合物で作られていることを特徴とする、請求項1に記載の断熱要素。
【請求項3】
前記繊維層(5)の繊維が30mm超、好ましくは40mm超、特に実質的に50mm~60mmの長さを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の断熱要素。
【請求項4】
前記繊維が少なくとも4μm、好ましくは少なくとも5μm、特に6μm~15μmの平均直径を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項5】
前記繊維層(5)がバインダフリーでありかつ/または溶融ビードがないことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項6】
前記中間材(4)が、耐熱で、絶縁耐力が高くかつ/または曲げに弱い中間層(6)によって互いから分離された、少なくとも2つの繊維層(5)を含む多層構造を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項7】
前記中間層(6)が耐熱かつ/または熱反射金属層、好ましくはアルミニウム層、特にアルミニウム箔として構成されていることを特徴とする、請求項6に記載の断熱要素。
【請求項8】
前記中間層(6)が耐熱かつ/または絶縁耐力が高いプラスチック層、好ましくはポリイミド層、特にポリイミド膜として構成されていることを特徴とする、請求項6に記載の断熱要素。
【請求項9】
少なくとも1つの被覆層(2、3)が水蒸気に対して不透過、好ましくは気密、かつ/または撥水かつ/もしくは防水に設計されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項10】
前記被覆層(2、3)が1mm未満、好ましくは0.5mm未満、特に0.1mm未満の厚さであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項11】
少なくとも1つの被覆層(2、3)が耐熱金属層、好ましくはアルミニウム箔として形成されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項12】
少なくとも1つの被覆層(2、3)が耐熱プラスチック層、好ましくはポリイミド膜として形成されていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項13】
少なくとも1つの被覆層(2、3)が耐熱布層、好ましくはガラス布箔として形成されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項14】
少なくとも1つの被覆層(2、3)、特に両被覆層(2、3)が耐熱雲母層、好ましくは雲母紙層または雲母板として設計されていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項15】
少なくとも1つの被覆層(2、3)または追加層(21)が織布(21)によって形成されていることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項16】
前記織布(21)が金属メッシュ、特にステンレス鋼および/もしくはアルミニウムで作られたワイヤメッシュであり、かつ/または金属繊維、特にステンレス鋼繊維および/もしくはアルミニウム繊維を含むことを特徴とする、請求項15に記載の断熱要素。
【請求項17】
前記織布(21)がガラス繊維布でありかつ/またはガラス繊維を含むことを特徴とする、請求項15または16に記載の断熱要素。
【請求項18】
前記織布(21)が炭素繊維布でありかつ/または炭素繊維を含むことを特徴とする、請求項15~17のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項19】
前記織布(21)がシリケート布でありかつ/またはシリケート繊維を含むことを特徴とする、請求項15~18のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項20】
前記第1の被覆層(2)が雲母層、好ましくは雲母紙層として設計されており、かつ前記第2の被覆層(3)がアルミニウム層、好ましくはアルミニウム箔として設計されていることを特徴とする、請求項1~19のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項21】
前記第1の被覆層(2)が雲母層、好ましくは雲母紙層または雲母板として形成されており、かつ前記第2の被覆層(3)がポリイミド層、好ましくはポリイミド膜として形成されていることを特徴とする、請求項1~19のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項22】
前記第1の被覆層(2)が織布(21)、好ましくは金属メッシュ、ガラス繊維布、炭素繊維布またはシリケート布として形成されており、かつ前記第2の被覆層(3)がアルミニウム層、好ましくはアルミニウム箔として形成されていることを特徴とする、請求項1~19のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項23】
前記第1の被覆層(2)が織布(21)、好ましくは金属メッシュ、ガラス繊維布、炭素繊維布またはシリケート布として形成されており、かつ前記第2の被覆層(3)がポリイミド層、好ましくはポリイミド膜として形成されていることを特徴とする、請求項1~19のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項24】
前記第1の被覆層(2、3)が耐熱雲母層、好ましくは雲母紙層または雲母板として形成されており、かつ前記第2の被覆層(3)が織布(21)、好ましくは金属メッシュ、ガラス繊維布、炭素繊維布、シリケート布または混紡布として形成されていることを特徴とする、請求項1~19のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項25】
前記断熱要素(1)が、前記被覆層(2、3)に加えて、織布(21)、好ましくは金属メッシュ、ガラス繊維布、炭素繊維布、シリケート布または混紡布の追加層(22)を有することを特徴とする、請求項1~24のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項26】
前記追加層(22)が前記断熱要素(1)の外側に配置されていることを特徴とする、請求項25に記載の断熱要素。
【請求項27】
前記被覆層(2、3)および前記中間材(4)が接着結合を用いて互いに接続されていることを特徴とする、請求項1~26のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項28】
少なくとも1つの被覆層(2、3)および/または中間層(6)が1kV/mm超、好ましくは1.5kV/mm超、特に2kV/mm超の絶縁耐力を有することを特徴とする、請求項1~27のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項29】
前記断熱要素(1)が1500g/m2未満、好ましくは1300g/m2未満、特に1000g/m2未満の単位面積質量を有することを特徴とする、請求項1~28のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項30】
前記繊維層(5)および/または前記中間材(4)が1000g/m2未満、好ましくは800g/m2未満、特に600g/m2未満の単位面積質量を有することを特徴とする、請求項1~29のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項31】
前記断熱要素(1)および/または前記繊維層(5)が150g/m2超、好ましくは200g/m2超、特に好ましくは300または400g/m2超の単位面積質量を有することを特徴とする、請求項1~30のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項32】
前記断熱要素(1)が7mm未満、好ましくは6mm未満、特に2~3mmの厚さであることを特徴とする、請求項1~31のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項33】
前記断熱要素(1)が20kV/mm超、好ましくは30kV/mm超、特に40~70kV/mmの絶縁耐力を有することを特徴とする、請求項1~32のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項34】
前記断熱要素(1)が、少なくとも1つの平坦側で、少なくとも所々粘着性である、または接着剤層(7)を有することを特徴とする、請求項1~33のいずれか1項に記載の断熱要素。
【請求項35】
ハウジング(9)と、
熱絶縁および防火のために前記ハウジング(9)内におよび/または上に配置されている少なくとも1つの多層断熱要素(1)と、
を備える、電池(8)、好ましくはリチウムイオン電池、特に電気自動車用の牽引用電池であって、
前記断熱要素(1)が請求項1~34のいずれか1項に従って設計されていることを特徴とする、電池。
【請求項36】
前記断熱要素(1)が前記電池(8)、前記ハウジング(9)、ハウジング蓋(11)および/または電池セル(12)を表で少なくとも部分的に、好ましくは完全にかつ/または全面にわたって重なりもしくは被覆および/または熱絶縁し、かつ/あるいはそれらを熱絶縁することを特徴とする、請求項35に記載の電池。
【請求項37】
前記断熱要素(1)が前記ハウジング(9)のハウジング蓋(11)および/またはハウジング上部に取り付けられかつ/または固定され、好ましくは接着されていることを特徴とする、請求項35または36に記載の電池。
【請求項38】
前記断熱要素(1)が前記ハウジング蓋(11)および/または前記ハウジング(9)の内側(13)であって、ハウジング内部に面する内側(13)に取り付けられている、特にその全面にわたって取り付けられることを特徴とする、請求項36または37に記載の電池。
【請求項39】
前記熱絶縁のための断熱要素(1)が前記電池(8)の2つの隣接する電池セル(12)間に配置されていることを特徴とする、請求項35~38のいずれか1項に記載の電池。
【請求項40】
前記断熱要素(1)が内部空間の下側かつ/または前記ハウジング(9)の前記内側(13)の基部に設けられかつ/または配置されている、特に全面にわたって設けられかつ/または配置されていることを特徴とする、請求項35~39のいずれか1項に記載の電池。
【請求項41】
少なくとも1つの第1の断熱要素(1A)および少なくとも1つの第2の断熱要素(1B)が設けられており、前記第1の断熱要素(1A)が表でハウジング内部を閉鎖および/または熱絶縁し、前記第2の断熱要素(1B)が隣接する電池セル(12)間に配置されていることを特徴とする、請求項35~40のいずれか1項に記載の電池。
【請求項42】
前記第2の断熱要素(1B)が熱絶縁方式で前記第1の断熱要素(1A)に、好ましくは横にかつ/または縦に、取り付けられ、好ましくは接着、縫合または溶接されていることを特徴とする、請求項41に記載の電池。
【請求項43】
複数の断熱要素(1B)が設けられており、各々が隣接する電池セル(12)間に、特に全ての電池セル(12)間に配置されていることを特徴とする、請求項35~42のいずれか1項に記載の電池。
【請求項44】
少なくとも1つの第1の断熱要素(1A)および少なくとも1つの更なるかつ/または第3の断熱要素(1C)が設けられており、前記第1の断熱要素(1A)がハウジング(9)の内部の上側および/または前記ハウジング(9)のハウジング蓋(11)に配置されており、前記更なるかつ/または第3の断熱要素(1C)が内部空間の下側にかつ/または前記ハウジング(9)の前記内側(13)の底に設けられかつ/または配置されていることを特徴とする、請求項35~43のいずれか1項に記載の電池。
【請求項45】
少なくとも1つの第1の断熱要素(1A)および少なくとも1つの更なるかつ/または第4の断熱要素(1D)が設けられており、前記第1の断熱要素(1A)が前記ハウジングの内部空間(13)の上側におよび/または前記ハウジング(9)のハウジング蓋(11)に設けられており、前記更なるかつ/または第4の断熱要素(1D)が前記内側(13)のおよび/または前記ハウジング(9)の1つまたは複数の側壁に設けられかつ/または配置されていることを特徴とする、請求項35~44のいずれか1項に記載の電池。
【請求項46】
前記電池(8)の電池セル(12)が1つまたは複数の断熱要素(1、1A、1B、1C、1D)によって少なくとも実質的に完全にかつ/または全ての側で密閉または包囲されていることを特徴とする、請求項35~45のいずれか1項に記載の電池。
【請求項47】
前記電池(8)および/または前記ハウジング(9)がガスの逃げのための出口(22)を有することを特徴とする、請求項35~46のいずれか1項に記載の電池。
【請求項48】
前記出口(22)がフィルタ(23)および/または弁(24)を含むことを特徴とする、請求項47に記載の電池。
【請求項49】
電池(8)の熱絶縁のための多層断熱要素(1)の使用であって、
繊維層(5)として長繊維ニードル不織布を備えかつ/または請求項1~33のいずれか1項に記載の多層かつ全体として可撓性かつ圧縮性の断熱要素(1)が熱絶縁のために隣接する電池セル(12)間におよび/または電池セル(12)上方に配置されることを特徴とする、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の電池の熱絶縁のための多層断熱要素、請求項35の前提部に記載の多層断熱要素を備える電池、および請求項49の前提部に記載の多層断熱要素の使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明において、用語「断熱要素」は好ましくは、電池の熱絶縁のために設計および/または使用される、層状構造、特に層パッケージ、から成る扁平部品として理解されるべきである。特に、断熱要素は、環境、特に車室への熱の放出を低減および/もしくは遅延させるように、ならびに/または電池における無制御および/もしくは過度の熱発達の場合に電池における熱の広がりを抑制および/もしくは低減および/もしくは遅延させるように構成される。
本発明において、用語「電池」は、特に、化学エネルギーを変換することによって電気エネルギーを提供するための再充電貯蔵要素および/または二次要素を意味するとして理解されるべきである。電池は好ましくは、幾つかの相互接続された蓄電池セルおよび/またはセルブロック、すなわち電池セルから構成される。
特に、電池は、牽引用電池としておよび/または電気自動車の駆動のためにおよび/またはリチウムイオン電池として構成される。ここで、例えば交通事故の結果として、電池過熱の場合に、少なくとも救助隊の到着まで車両乗員を保護するために、確実かつ/または効果的な熱絶縁が重要である。
【0003】
それらの化学組成により、リチウムイオン電池は特に、比較的に高不安定性を呈する。例えば捕獲異質粒子および/または機械的作用もしくは損傷による、電池セルにおける内部電極を分離するセパレータの汚染により、電極の局部短絡が生じれば、強い短絡電流が電池セルを短時間で800℃まで、時には1300℃まで加熱する。この過程は熱暴走として知られている。特にセパレータが相対的に低温度で、例えば120℃を上回ると安定性を失うので、1つの電池セルの熱暴走が他の、隣接する電池セルに容易かつ/または急速に広がることがあり、したがって隣接する電池セルにおいて急速に短絡が生じることがある。これは、停止不可能な連鎖反応に至り、電池に貯蔵されたエネルギーが短時間で、通常爆発的にかつ破片の放出と共に放出される。
このことを背景に、暴走または過熱している電池セルに隣接して設けられた電池セルを可能な限り長く或る限界温度、好ましくは120℃、特に80℃未満に保つことが望ましい。80℃を上回ると電池セルの劣化過程が相当に加速され、そして120℃を上回ると電池セルにおけるセパレータがしばしば融解し始めて、不可逆的損傷および/または短絡を伴う。
同様に、電池における無制御の熱発達に対して、隣接する領域および/または室内、特に車室の効率的かつ/または長期持続の熱保護の高い需要がある。特に、救助および/または回復処置が完全に完了されるまで乗員および/または物体は熱から保護されるべきである。
【0004】
DE10134145A1は、耐火電池ハウジングに関する。電池ハウジングは、或る温度を上回ると変形する熱活性材料、例えばケイ酸アルミニウムまたはギブサイトを含み、それによって更に供給される熱エネルギーが進行性変形のために消費され、したがって温度上昇が少なくとも減速される。この場合、電池セル間に保護材料を配置することが可能でないので、熱サイクルの効果的な封じ込めは、達成するのが可能でないか、よくても非常に困難であるに過ぎず、変成は電池セルの機械的応力または破壊に至ることがあり、そして熱活性材料が早期に破裂し、したがってその熱絶縁機能を失うという危険性がある。
【0005】
AT518161A4は、複数の電池セルを持ち、少なくとも2つの隣接する電池セルが保護材料によって互いから熱絶縁された、電池に関する。所定の温度を上回ると、保護材料が膨張し、そして互いから絶縁された電池セルは、温度の影響下で膨張する保護材料の体積の増加によって互いから押しのけられて、したがって電池セルは互いから更に熱分離および/または絶縁される。不利点は、保護材料の体積の増加が-特に熱発達による圧力上昇に加えて-電池内の膨張圧という結果になり、これに応じて電池破裂のならびに/または電池セルへの損傷およびその破壊の危険性が増すということである。
米国特許第8,541,126(B2)号から電池の熱絶縁のための断熱要素が知られている。断熱要素は、2つの隣接する電池セル間に配置される。断熱要素は、2つの被覆層間に中間層が配置された層状構造を有する。中間層は被覆層より高い熱伝導率を有する。被覆層は、セラミックまたは耐火物繊維の繊維層として設計されることができる。不利点は、断熱要素が繊維の形成により脆く、かつ低圧負荷でさえ破裂および/または破断することがあるということである。これは、熱絶縁機能の著しい欠損とまたは喪失とさえ関連付けられるだけでなく、隣接するおよび/または近傍の電池セルへの損傷にも至り、最終的に爆発の危険性も増す。
【0006】
EP3142166A1は、互いの上に交互に配置されかつ/または積み重ねられた、剛体雲母板および圧縮性の短繊維かつ/または耐火物繊維層を備える断熱要素に関する。不利点は、特に電池への設置のための、柔軟な適応および/または成型が可能でないということである。また、その脆い雲母板およびその短繊維の繊維マットを持つ断熱要素は、無制御の熱発達および関連する圧力上昇の結果として容易に破裂および/または破断して、周囲への損傷に至ることおよび/またはその熱絶縁機能を早期に失うことがある。最後に、高い単位面積質量が特に車両のためには不利である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、効率的な断熱および/またはロバストかつ/もしくは耐性構造および/または柔軟かつ/もしくは簡単な組立ておよび/または電池への統合が可能にされかつ/またはサポートされた、電池の熱絶縁のための多層断熱要素、そのような断熱要素を備える電池、および同断熱要素の使用法を提供することである。
上記目的は、請求項1に記載の多層断熱要素によって、請求項35に記載の電池によってまたは請求項49に記載の使用法によって解決される。有利な更なる発展は下位請求項の対象である。
【0008】
本発明の第1の態様は、繊維層が長さ30mm超の長繊維からかつ/またはニードルもしくはボンド不織布から形成されるということである。繊維層の長繊維ならびに/またはニードリングおよび/もしくはボンディングは、別の繊維層と比較して機械抵抗を著しく増加させる。したがって、本発明に係る繊維層は一方では伸縮性および圧力弾性があり、高圧迫力の吸収を可能にする。同時に、絡み合った繊維が繊維層を通る熱エネルギーの通過を効率的に低減させるので、繊維層は高熱絶縁能力を有する。これが電池の完全な破壊または爆発を著しく遅延させるので、これは、電池内の無制御の発熱の場合に、例えば電池セルの熱暴走が生じたときに、特に有利である。最後に、ニードル不織布は低い単位面積質量を有し、取扱いを容易にする。
好ましくは、繊維層は、ニードルおよび/もしくはボンドガラス繊維またはシリケート繊維またはその混合物から作られる。
特に好ましくは、繊維層の繊維は、少なくとも40mm、好ましくは少なくとも50mm、特に本質的に50mm~60mmの長さを有する。これは、繊維層の特に高耐圧および耐引裂性を許容する。
特に、繊維は、少なくとも4μm、好ましくは少なくとも5μm、特に6μm~15μmの平均直径を有する。
繊維層は、バインダフリーでありかつ/または溶融ビードがないのが特に好まれる。
好ましくは、繊維層および中間材は、それぞれ、1000g/m2未満、好ましくは800g/m2未満、特に600g/m2未満、かつ/または150g/m2超、好ましくは200g/m2超、特に300もしくは400g/m2超の単位面積質量を有する。これは、簡単な取扱いを可能にする。
【0009】
独立して実現されることもできる本発明の第2の態様によれば、被覆層は、断熱要素を圧縮性にも可撓性および/または弾性柔軟性にもするために、曲げに弱くかつ/または曲げに柔らかく設計される。これは、異なる設置状況への柔軟な適応および/または高負荷、例えば電池セルの破裂の場合のより良好な適応を可能にし、その結果、断熱要素は破壊および/またはその断熱機能の喪失に対してより耐性がある。最後に、破片の放出は著しく低減される。
好ましくは、少なくとも1つの被覆層が液密、好ましくは防水に設計される。加えて、被覆層の一方、好ましくは両被覆層が撥水かつ/または気密に設計される。このように、中間材および/または繊維層は効率的に保護されて、したがって湿潤および/またはガス環境においてさえ効率的な熱絶縁を保証する。
好ましくは、少なくとも1つの被覆層が耐熱金属層、好ましくはアルミニウム層として設計される。
代替的に、少なくとも1つの被覆層が耐熱プラスチック層、好ましくはポリイミド層として、または耐熱織布層、好ましくはガラス布層として形成されてもよい。
金属、プラスチックまたは織布層として設計された被覆層が、好ましくは100μm未満、特に好ましくは80μm未満、特に20μmおよび50μm間の厚さである。
【0010】
好ましい設計によれば、断熱要素は織布の層を有する。織布は、少なくとも1つの被覆層および/または追加層を形成することができる。好ましくは、織布は断熱要素の外側に配置される。織布は、金属繊維、特にステンレス鋼繊維および/もしくはアルミニウム繊維、ガラス繊維、炭素繊維、シリケート繊維ならびに/またはその混合物を含んでも、またはから成ってもよい。特に、断熱要素の機械的安定性は、被覆層として織布を使用することによって著しく増加および/または改善されることができる。これは、電池セル爆発の場合に機械的保護として特に有利である。
好ましくは、少なくとも1つの被覆層および/または断熱要素は、例えば被覆層が織布を含むまたはそれによって形成される場合、気体透過性かつ/またはガス透過性にされる。このように爆発性ガスが被覆層を通して放出され得るので、これは、1つまたは複数の断熱要素によって密閉および/または包囲された電池の爆発の危険性を減らし得る。
【0011】
特に好ましくは、少なくとも1つの被覆層または両被覆層が耐熱雲母層、好ましくは雲母紙層または雲母板として設計される。特に、雲母層として形成された被覆層が、3mm未満、好ましくは2mm未満、特に1mm未満、特に好ましくは0.05mmおよび0.15mm間の厚さである。これは、高耐熱性ならびに同時に可撓性および/または柔軟性を許容する。
特に好ましくは、第1の被覆層が耐高温雲母層、好ましくは雲母紙層として設計される一方、第2の被覆層はアルミニウム層、好ましくはアルミニウム箔として設計される。代替的に、第2の被覆層はプラスチック層、好ましくはポリイミド層として設計されることもできる。上述の材料対は、熱絶縁が最適化されることを許容する。これは、試験によって確認された。
【0012】
特に好ましくは、中間材は、特にニードル不織布の、2つの繊維層を含んでおり、繊維層は、耐熱かつ/または曲げに弱い中間層によって互いから分離されている。このように形成された多層構造(中間層によって分離された2つ以上の断熱かつ/または繊維層)は、中間材内の中間層が繊維層間に熱障壁を形成し、したがって中間材および/または断熱要素を通る熱の広がりを更に低減および/または制限するので、中間材の断熱性能が更に改善されることを許容する。これも試験で確認された。
特に好ましくは、中間層は、耐高温プラスチック層、好ましくはポリイミド膜、またはアルミニウム層、特にアルミニウム箔として設計される。
中間層は、好ましくは100μm未満、特に好ましくは80μm未満、特に20μmおよび50μm間の厚さである。
好ましくは、少なくとも1つの被覆層および/または中間層は、1kV/mm超、好ましくは1.5kV/mm超、特に2kV/mm超の絶縁耐力を有する。これは、電気アークまたはスパークの形成を回避および/または遅延させる。
特に、断熱要素は-好ましくは設置されると-7mm未満、好ましくは6mm未満、特に2mmおよび3mm間の厚さである。これは、狭い設置間隙にさえ、電池への柔軟かつ簡単な設置を許容する。
【0013】
特に、断熱要素は、少なくとも1つの平坦側に少なくとも所々接着剤層を有する、または1つの平坦側で少なくとも所々粘着性である。これは、断熱要素が電池および/または更なる断熱要素にまたはそれにおいて容易に配置されかつ/または取り付けられることを許容する。
好ましくは、被覆層および中間材は接着またはその他接合されて結合を形成する。このように、機械的に安定した層状複合体が実現される。
特に、断熱要素は、20kV/mm超、好ましくは30kV/mm超、特に40kV/mm~70kV/mmの絶縁耐力を有する。
好ましくは、断熱要素は、1500g/m2未満、好ましくは1300g/m2未満、特に1000g/m2未満、かつ/または150g/m2超、好ましくは200g/m2超、特に300もしくは400g/m2超の単位面積質量を有する。
25℃室温での断熱要素の熱伝導率は0.1W/mK未満、好ましくは0.08W/mK未満、特に0.04W/mk未満である。
本提案に係る電池、好ましくはリチウムイオン電池、特に電気自動車用の牽引用電池の形態のリチウムイオン電池が、ハウジングと、熱絶縁のためにハウジング内におよび/または上に配置された、本提案に係る少なくとも1つの多層断熱要素とを備える。これは、対応する利点という結果になる。
【0014】
好ましくは、断熱要素は、電池もしくは電池セルまたはハウジングを表面の外側または内側で少なくとも部分的に、好ましくは完全にまたは全面にわたって閉鎖および/または絶縁する。これは、表に向けてならびに/または電池の上方にかつ/もしくはそれに隣接して設けられた領域、特に車両の車室に向けて、電池の効果的な断熱を許容する。このように、領域および/または室内における人、乗員および/または物体は、効果的にかつ/または電池における無制御の熱発達から十分に長時間の間-すなわち救助および/もしくは回復処置が完了されるまで-保護される。
【0015】
代替的または追加的に、断熱要素は、ハウジング内の2つの隣接する電池セル間に置かれて、それらを互いから熱絶縁することができる。このように、1つの電池セルから次のかつ/または隣接する電池セルへの熱暴走のフラッシュオーバが効果的に遅延および/または抑制されて、したがって電池からの熱および/または破片の爆発的放出を防止または少なくとも著しく遅延させる。
特に、断熱要素は、ハウジングのハウジング蓋および/またはハウジング表部にまたは内に取り付けられかつ/または固定され、好ましくは接着される。
断熱要素は、特にその全面にわたって、ハウジング内部に向かうハウジングまたはハウジング蓋の内側に、および好ましくは設置状態での表に取り付けられることができる。このように、効果的な表側断熱が可能にされる。
代替的または追加的に、断熱要素および/または別の断熱要素が、特に断熱要素が2つの隣接する電池セル間に容易に挿入されることができるように、内側に横にかつ/または垂直に取り付けられまたは整列されてもよい。
代替的または追加的に、断熱要素および/または別の断熱要素がハウジング内部の床かつ/または下側の内側に配置されることができる。このように、例えば道路上での燃料火災の場合に、下側から電池に作用する熱に対して電池を保護することが可能である。
代替的にまたは加えて、断熱要素および/または別の断熱要素がハウジングの側壁および/または内部の側壁の内側に配置されることができる。
【0016】
好ましくは、少なくとも2つの断熱要素が電池に配置され、少なくとも1つの第1の断熱要素が表でハウジングおよび/またはハウジング内部を絶縁し、そして少なくとも1つの第2の断熱要素が隣接する電池セル間に配置される。このように、原則として互いから独立して実現されることもできる、対応する利点が同時に実現されることができる、すなわち一方で電池の表側断熱ならびに他方で隣接する電池セル、パックまたはモジュール間の熱伝搬の遅延および/または低減。
特に、第2の断熱要素は、第1の断熱要素に横にかつ/または縦に取り付けられ、好ましくは接着、縫合またはその他堅固に接続される。
【0017】
本提案に係る電池の場合、断熱要素が織布、好ましくは金属メッシュ、特にステンレス鋼のワイヤメッシュの少なくとも1つの被覆層および/または追加層を有すれば、特に有利である。上述したように、これは爆発性ガスが被覆層を通して逃げることを許容して、したがって電池が爆発する危険性を減らし得る。
加えて、織布の被覆層または追加層が好ましくは高機械的安定性を提供し、その結果車室内の乗客は電池爆発の場合に破片から効果的に保護されることができる。
爆発性および/または毒性および/または有害ガス用のフィルタ機能が織布によって提供されることも可能であり、その結果、車室内の乗客はそのようなガスから保護される。好ましくは、織布は、ガスの少なくとも一部が織布で分離されるように設計される。これは、そのようなガスおよび/または排気ガスから生じる人間に対する危険性を減らすことになる。
【0018】
概して、本発明による提案された態様が、特に電気自動車用の、電池の客室の熱絶縁および防火を改善および/または単純化することが留意されるべきである。特に、提案された断熱要素は、一方で電池と他方で車室、好ましくは電池の上方にかつ/またはそれに隣接して設けられた車室との間の非常に効果的な断熱を可能にする。代替的または追加的に、電池セルの隣接する電池セルへの熱伝達および/または熱暴走が遅延および/または抑制されて、したがって電池の破壊および/または爆発を防止または少なくとも著しく遅延させる。このように、救助および/または回復のために十分な時間が提供され、その中で乗員は電池における無制御の熱発達から適切に保護される。
本発明の上述の態様および特徴の他に請求項および以下の説明から生じる本発明の態様および特徴は基本的に、互いから独立して、いかなる組合せおよび/または順序でも実現されることができる。本発明の追加の利点、特徴、性能および態様は、請求項および図面に基づく以下の好ましい実施形態の説明から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】提案された熱絶縁のための多層断熱要素の概略断面図である。
図1B】別の実施形態に係る多層断熱要素の概略断面図である。
図1C】別の更なる実施形態に係る提案された断熱要素の概略断面図である。
図1D】織布の概略図である。
図2】概略的に示された車両に配置および/または設置された、断熱要素が内部に配置された電池の概略断面図である。
図3】更なる実施形態に係る特注の断熱要素を備える電池の概略断面図である。
図4】提案された断熱要素に温度測定を実施するための第1の実験準備である。
図5】提案された断熱要素に温度測定を実施するための第2の実験準備である。
図6】第1の層構造を備える提案された断熱要素で測定された第1の温度線図である。
図7】第2の層構造を備える提案された断熱要素で測定された第2の温度線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1Aは、本提案に係る多層断熱要素1を概略のノンスケール断面図で図示する。図1Bおよび図1Cは、本提案に係る多層断熱要素1の更なる実施形態を同じく概略のノンスケール断面図で図示する。図示される実施形態は互いと類似しており、要望に応じて互いに組み合わされることもできる。特に、異なる図1A図1Bおよび図1Cは異なる好ましい態様を強調するためだけの役割である。
断熱要素1は特に扁平層パッケージとして設計される。
断熱要素1は特に圧縮性および同時に柔軟性がある。
【0021】
用語「柔軟性の」は好ましくは、断熱要素1の十分に低い曲げ剛性を意味すると理解され、曲げ剛性は、部品および/または断熱要素1に関する曲げ変形に対する作用力の抵抗の尺度である。曲げ剛性は好ましくはISO5628 2493に従って求められる。この目的で、或る寸法を有する、例えば6mmの厚さおよび60mm×40mmのサイズを有する板状の断熱要素1が回転可能なクランプ装置に締め付けられる。断熱要素1の自由端はロードセルのセンサに接触し、クランプ装置が回転されると、それを介して対応する接触力が記録される。特に、センサは、締付け点から50mmの距離で断熱要素1の自由端に接触する。曲げ剛性は特に、断熱要素が15°曲げられたときにセンサで測定される力によって求められる。好ましくは、断熱要素1は、10N未満、好ましくは5N未満、特に1N未満のこのように求められた曲げ剛性を有する。
【0022】
用語「圧縮性の」は好ましくは、断熱要素1の十分に低い圧縮硬さを意味すると理解され、圧縮硬さは、試験体および/または断熱要素1をその原厚の40%だけ圧縮するために必要とされる圧力を表す。圧縮硬さは好ましくは、試験体として5mmの厚さおよび300mm×200mmのサイズを有する板状の断熱要素1ならびに圧子として20mmの厚さおよび190×80mmのサイズを有するアルミニウム板を用いて、DIN EN ISO3386に従って求められる。好ましくは、断熱要素1は、40kPa未満、好ましくは30kPa未満、特に20kPa未満のこのように求められた圧縮硬さを有する。
断熱要素1は特に、図2に図示される電池8の熱絶縁のために構成される。電池8の好ましい構造および電池8における断熱要素1A、1Bの好ましい配置が後に述べられることになる。
断熱要素1は第1の被覆層2および第2の被覆層3を有する。被覆層2、3は特に断熱要素1の一方の(外側)平坦側を各々形成する。
好ましくは、圧縮性かつ/または柔軟性の中間材4が被覆層2、3間に配置される。中間材4は少なくとも1つの繊維層5-図示された例では2つ以上の繊維層5を有する。
【0023】
1つのまたは各繊維層5は、好ましくはニードルおよび/またはボンド不織布から形成される。本発明の目的で、用語「ニードル不織布」は好ましくは、その繊維がランダムに絡み合わされ、それによってドライニードリングならびに/またはバインダおよび/もしくは溶融ビードなしのニードリングによって結合された、織物として理解されるべきである。
繊維層5は、特にガラス繊維またはシリケート繊維またはその混合物から作られる。例えば、特にE、ECRもしくはRガラスまたはその混合物のガラス繊維、および/あるいは他の耐熱繊維が使用されてもよい。
繊維は好ましくは、少なくとも4μm、特に少なくとも6μm、そして最も好ましくは本質的に8μm~16μmの平均直径を有する。
繊維の長さは好ましくは、30mm超、好ましくは40mm超、特に本質的に50mm~60mmである。原則として、しかしながら、繊維の長さはより大きい、例えば約120mmまでであることもできる。
好ましくは、繊維層5には結合剤および/または溶融ビードがない。
【0024】
好ましくは、繊維層5および/または中間材4の単位面積質量は、1000g/m2未満、好ましくは800g/m2未満、特に600g/m2未満、かつ/または150g/m2超、好ましくは200g/m2超、特に300もしくは400g/m2超である。
好ましくは、断熱要素1の単位面積質量は、1500g/m2未満、好ましくは1300g/m2未満、特に1000g/m2未満、かつ/または150g/m2超、好ましくは200g/m2超、特に300もしくは400g/m2超である。
好ましくは、中間材4の繊維層5は中間層6によって互いから分離される。中間層6は特に耐熱金属層、好ましくはアルミニウム層によって形成される。しかしながら、中間層6は耐熱プラスチック層、好ましくはポリイミド層によって形成されてもよい。
断熱要素1は、幾つかの中間層6およびそれに応じて幾つかの繊維層5を有することもでき、特に2つの繊維層5が中間層6によって互いから分離される。
【0025】
被覆層2、3は好ましくは、曲げに弱く、すなわち容易に柔軟性および/または可撓性があるように設計される。本発明の意味で「曲げに弱い」被覆層2、3は好ましくは紙様、布様もしくは箔様であり、かつ/または2mm未満、特に1mm未満の厚さを有する。特に好ましくは、被覆層2、3の厚さは0.05mm超かつ/または0.15mm未満である。これは、断熱要素1全体を圧縮性および可撓性にし、圧縮性は少なくとも本質的に中間材4の圧縮性設計による。
被覆層2および3、中間材4、繊維層5ならびに/または断熱要素1は好ましくは耐熱であり、特に少なくとも200°Cまで、特に好ましくは250°C、500°Cまたは1000°Cを上回って耐熱である。
好ましくは、被覆層2、3の少なくとも1つが耐熱金属層、好ましくはアルミニウム箔として、または耐熱プラスチック層、好ましくはポリイミド箔として、または耐熱織布層、好ましくはガラス布箔として、または雲母層、好ましくは雲母紙層として構成される。
【0026】
特に好ましくは、一方かつ/または第1の被覆層2は耐熱雲母層、好ましくは雲母紙層として構成され、そして他方かつ/または第2の被覆層3は金属層、好ましくはアルミニウム箔、またはプラスチック層、好ましくはポリイミド箔として構成される。しかしながら、両被覆層2、3は、特に雲母層、好ましくは雲母紙層として、同一に設計されてもよい。これは、特に高耐熱性を可能にする。
被覆層2、3が、例えば各々雲母層として同一に設計された、断熱要素1の実施形態が特に図1Bに図示される。
更なる実施形態によれば、断熱要素1は織布21を有することができる。織布21は好ましくは、少なくとも実質的に平面かつ/もしくは扁平層および/または織布層を形成する。
用語「織布」は特に、特に少なくとも実質的に直角に互いと交差する複数の糸またはワイヤによって形成された好ましくは扁平製品を指す。糸および/またはワイヤは、特に或るリズムおよび/または反復配列で、横糸および/またはワイヤの上下に案内される。
好ましくは、織布21は一方または両方の被覆層2、3を形成する。しかしながら、織布21が、好ましくは被覆層2、3に加えて設けられる、追加層22を形成することも可能である。追加層は図1Cに図示される。
【0027】
織布21は、好ましくは金属メッシュ、特にステンレス鋼および/またはアルミニウムで作られたワイヤメッシュである。しかしながら、織布21はガラス繊維布、炭素繊維布またはシリケート布であることもできる。織布21が混紡布であり、かつ/あるいは金属繊維、特にステンレス鋼繊維および/もしくはアルミニウム繊維、ガラス繊維、炭素繊維ならびに/またはシリケート繊維の混合物を有するまたはそれから成ることも可能である。
追加層22は好ましくは断熱要素1の外側に配置される。代替的に、追加層22は断熱要素1内側に、例えば被覆層2、3と繊維層5との間におよび/または繊維層5と中間層6との間に設けられることができる。
【0028】
織布21の被覆層2、3は、好ましくは繊維層5に積層および/もしくは接着される、またはその他繊維層5に堅固に接続される。特に好ましくは、被覆層2、3を形成する織布21を繊維層5に接続するために気体透過性かつ/またはガス透過性接着剤が使用され、好ましくは接着剤は、ガスが逃げかつ/または透過するのを許容するが、スパークまたは炎に対する障壁を形成する。これは、以下により詳細に記載される電池8に断熱要素1を使用するときに特に有利である。
更には、断熱要素1が追加層22も接着剤層7も有し、好ましくはこの場合に接着剤層7が第1の被覆層2に配置され、そして追加層22が第2の被覆層3に配置され、またはその逆も同じである、実施形態が可能である。
織布21は好ましくは高耐熱性を有し、好ましくは約1150℃の温度まで高耐熱性を有する。
織布21、特に金属メッシュは、好ましくは、少なくとも0.1mmかつ/または多くとも0.4mmのメッシュサイズを有する。特に好ましいメッシュサイズは、例えば、約0.114mm、約0.22mmおよび約0.315mmである。
【0029】
織布21、特に金属メッシュは、好ましくは、少なくとも30%および/または多くとも60%の開放スクリーニング範囲(open screening area)を有する。特に好ましい開放スクリーニング範囲は、例えば、約37.0%、約42.4%および約51%である。
好ましくは、少なくとも1つの被覆層2、3および/または追加層22、特に織布はガス透過性がある。
【0030】
好ましくは、少なくとも1つの被覆層および/または追加層22、特に織布21は、爆発性、毒性および/または有害ガスが、断熱要素1、被覆層2、3および/または追加層22を透過するときに、例えば機械的および/または化学的に除去および/または吸収されるように設計される。
好ましくは、少なくとも1つの被覆層2、3および/または追加層22、特に金属メッシュおよび/または断熱要素1全体として、電池8の爆発の場合に断熱要素1を貫通し得る破片がないような機械的安定性を有する。
断熱要素1は好ましくは、特に無圧縮状態または納品状態で、15mm未満、好ましくは10mm未満、特に6mmおよび8mm間の厚さを有する。
特に好ましくは、断熱要素1および/または少なくとも1つの被覆層2、3および/または中間層6は、20kV/mm超、好ましくは30kV/mm超、特に40kV/mm~70kV/mmの絶縁耐力を有する。
被覆層2、3および中間材4は、特に接着によって互いに接続される。特に、この目的で耐熱接着剤が使用される。しかしながら、縫合または溶接などの、他の接続技術も可能である。
好ましくはかつ/または任意に、少なくとも1つの被覆層2、3-実例では第1の被覆層2-は、断熱要素1を電池8の一部におよび/または必要に応じて別の断熱要素1に取り付けかつ/または固定するために、接着剤層7を有する。
接着剤層7は特にアクリレート接着剤から成る。
接着剤層7の単位面積質量は好ましくは、150g/m2未満、好ましくは120g/m2未満、特に50および100g/m2間である。代替的または追加的に、接着剤層7は両面接着テープとして設計されてもよい。
しかしながら、接着剤層7は、特に図1Bおよび図1Cから見て取れるように、必須でなく、単に任意である。
【0031】
以下、電池8における本提案に係る配置ならびに/または本提案に係る断熱要素1Aおよび1Bおよび任意に本提案に係る更なる断熱要素1Cおよび1Dの使用法が図2に基づいてより詳細に説明される。断熱要素1A~1Dは、上記説明された実施形態に従って同一にまたは異なって設計されることができる。
以下、断熱要素1A~1Cは、区別のために第1の断熱要素1A、第2の断熱要素1B、第3の断熱要素1Cおよび第4の断熱要素1Dと称される。しかしながら、これは、異なる断熱要素を区別するためだけの役割であり、例えば、第3の断熱要素1Dが設けられる場合、第2の断熱要素1Bも存在しなければならないことを意味するわけではない。
特に、電力供給のための電池8は、概略的に表された車両14、特に電気自動車に配置および/または設置される。特に、設置されるときに、電池8は車室15、例えば車両14の乗客または他の室内領域の下方に設けられる。
電池8は好ましくは、下ハウジング部10および上ハウジング部かつ/またはハウジング蓋11を備えるハウジング9を有する。ハウジング9は好ましくは、非導電材料、例えばプラスチックから、または金属から成る。
【0032】
電池8は、好ましくは再充電可能リチウムイオン蓄電池として設計される。代替的に、それは、リン酸リチウム鉄、リチウムコバルト酸化物、リチウム金属酸化物、リチウムイオンポリマー、ニッケル亜鉛、ニッケル金属、ニッケルカドミウム、ニッケル水素、洋銀、ニッケル金属ハイブリッドならびに類似の系および/または材料からまたはそれで構築または設計されることもできる。
特に、電池8は、電気的に相互接続されて、ハウジング9に、好ましくは下ハウジング部10に収容された少なくとも1つのグループの電池セル12を有する。
第1の断熱要素1Aが、好ましくは接着剤を用いて、特に接着剤層7を用いて、電池セル12上方にかつ/またはハウジング9のハウジング蓋11に取り付けられかつ/または固定される。
【0033】
特に好ましくは、第1の断熱要素1Aは、その全面にわたってハウジング蓋11の内側13に装着され、内側13はハウジング内部に向かっている。第1の断熱要素1Aは、したがって下ハウジング部10および/または電池8および/またはそのセル12を表側で閉鎖および/または絶縁する。
このように、内部の人または物体を効率的にかつ/または電池8における無制御の熱発達から十分に長く保護するために、車室15に対する特に効率的な表側断熱および防火が達成される。気密構造が客室の方向のガス爆発様の伝搬も防止および/または低減させる。
【0034】
特に好ましくは、ハウジングの内部および/または電池セル12に向かう第1の断熱要素1Aの第2の被覆層3は雲母層、好ましくは雲母紙層として設計され、電池セル12および/またはハウジングの内部から向きがそれる第1の被覆層2は、ハウジング蓋11への締着のために設計され、かつ特に接着剤層7が設けられている。これは、耐熱性を改善し、同時にハウジング9に対する断熱要素1の取扱いおよび/または締着を容易にする。
代替的または追加的に、少なくとも1つの(更なるかつ/または第2の)断熱要素1Bが隣接する電池セル12間に、実例では2つのグループの電池セル12間に配置され、それによってグループは互いから熱絶縁および/または分離される。
特に好ましくは、断熱要素1Bは電池セル12間に挿入され、圧入され、または別の仕方で置かれる。
【0035】
特に、断熱要素1Aおよび/または1Bは、少なくとも1つの電池セル12または電池セル12のグループを、好ましくは全ての側で、かつ/または特に電池セル12および/もしくは電池セル12のグループが断熱要素1Aおよび/もしくは1Bを介してハウジング9に減衰方式で装着および/もしくは配置されるように、密閉および/または封入する。いかなる衝撃および/または振動も圧縮性の断熱要素1Aおよび/または1Bによって減衰および/または吸収されるので、効果的で、特に全面的な断熱に加えて、これは、電池セル12がロバストかつ/または耐性方式で装着されることも可能にする。
特に、第2の断熱要素1Bは、特にハウジング蓋11が下ハウジング部10上に置かれたときにそれが電池セル12間に挿入可能であるように、ハウジング蓋11の内側13に横にかつ/もしくは垂直に取り付けられ、かつ/または縦に整列される。
第2の断熱要素1Bは、例えば接着、縫合または任意の他の仕方によって、第1の断熱要素1Aに横にかつ/または縦に任意に取り付けられかつ/または締着されてもよい。
電池8は複数の第2の断熱要素1Bを有することができる。好ましくは、幾つかの電池セル12間に、特に全ての電池セル12間に、第2の断熱要素1Bが配置されかつ/または設けられる。図3に、幾つかの断熱要素1Bを備える電池8が概略的に図示される。
【0036】
第1の断熱要素1Aおよび/または第2の断熱要素1Bの代替としてまたはそれに加えて、電池8は、例えば図3に図示されるように、更なるかつ/または第3の断熱要素1Cを有してもよい。第3の断熱要素1Cは好ましくは、第1の断熱要素1Aの反対側にかつ/またはハウジング内部13の下側かつ/もしくは底に、特にハウジング9の内側13に配置される。好ましくは、下側かつ/または底は第3の断熱要素1Cによって完全にかつ/またはその全面にわたって被覆される。
【0037】
特に第1の断熱要素1A、第2の断熱要素1Bおよび/または第3の断熱要素1Cに加えて、更なるかつ/または第4の断熱要素1Dも設けられてもよい。好ましくは、更なるかつ/または第4の断熱要素1Dは、内側かつ/またはハウジング9の1つまたは複数の側壁に設けられかつ/または配置される。好ましくは、側壁は第4の断熱要素1Dによって完全に被覆および/または熱絶縁される。
好ましくは、電池8および/またはハウジング9において、織布層および/または織布21-存在すれば-が、内側13に向かう断熱要素1A、1C、1Dの側に配置される。
好ましくは、断熱要素1A、1C、1Dは内側13におよび/またはハウジング9の内部に配置される。
断熱要素1A~1Dは好ましくは各々、1つの電池セル12および/または複数の電池セル12とハウジング9との間に配置される。
電池セル12は好ましくは、1つまたは複数の断熱要素1A~1Dによって少なくとも実質的に完全にかつ/または全ての側で密閉および/または包囲される。
電池8および/またはハウジング9は、ガスの逃げのための出口23を有してもよい。これは図3に例として図示される。
【0038】
出口23は好ましくは、ハウジング蓋11にならびに/または電池8および/もしくはハウジング9の表側に設けられる。好ましくは、出口23は、ハウジング蓋11および/または断熱要素1Aを貫通する開口によって形成される。出口23は、ガスがハウジング9から逃げることを許容して、したがって爆発の危険性を減らす。
出口23はガス用のフィルタ24および/または弁25、特に一方向弁を有してもよい。弁によって、ガスが電池8から逃げることができるが、ガスが電池8に入ることはできないことが保証されることができる。
図4および図5は、本提案に係る断熱要素1に温度測定を実施するための試験準備および/または試験配置を概略的に図示する。
【0039】
実施された試験では、提案された断熱要素1の断熱機能および/または断熱能力が調査された。この目的で、無制御の発熱および/または熱暴走の場合に相当する温度条件をシミュレートするために、発熱体16、好ましくは加熱箔を介してハウジング9および/または相当する構造内に熱が具体的には導入された。得られた温度線図および/または温度曲線が、第1の層構造を備える断熱要素1に対して図6におよび第2の層構造を備える断熱要素1に対して図7に図示される。
【0040】
図4に図示された試験準備では、無制御の発熱および/または熱暴走をシミュレートするために、電池セル12’-断熱要素1から始まって2番目の位置に設けられた-と電池セル12”-断熱要素1から始まって3番目の位置に設けられた-との間に発熱体16が挿入され、そして120℃を上回る、好ましくは200℃を上回る温度に連続的に加熱された。
同時に、一方で発熱体16から向きがそれる低温側17および他方で発熱体16に向かう高温側18での断熱要素1の結果的な温度曲線および/または温度上昇が測定装置、特に熱電対を用いて測定され、2つの測定が各層構造に対して実施された。
図6における曲線M1およびM2は、第1の層構造を備える断熱要素1の低温側17での結果的な温度曲線を各測定に対して図示し、そして図7における曲線M1およびM2は、異なるかつ/または第2の層構造を備える断熱要素1に対する対応する温度曲線を図示する。
概して、図4に図示された試験準備は、ハウジング9内の隣接する電池セル12への熱エネルギーの伝達の抑制および/または遅延に関する断熱機能を調査および/または検証することを意図するものである。
第2の試験準備は、図5に図示されるように、電池セル12に対して上側で動作している断熱要素1で温度曲線が求められるという点で第1の試験準備と異なる。これは、断熱機能および/または電池8に隣接する室内、特に車室15に対する断熱を調査および/または検証することを意図している。
【0041】
この目的で、第1の実験準備に類似して、無制御の発熱および/または熱暴走をシミュレートするために、隣接する電池セル12間に発熱体16、特に加熱箔が配置され、そして少なくとも120℃、好ましくは少なくとも200℃に加熱される。一方で発熱体16から離れた断熱要素1の低温側19でおよび他方で発熱体16に向かう断熱要素1の高温側20で、測定手段、特に熱電対を用いて温度経過および/または温度上昇が記録された。
図6における曲線M3は、第1の層構造を備える断熱要素1の低温側19での結果的な温度曲線を図示し、そして図7における曲線M3は、第2の層構造に対する結果的な温度曲線を図示する。
【0042】
図6に図示された温度線図では、以下の第1の層構造を備える断熱要素1が使用された:
【表1】


X軸は時間経過を分で表す。軸は「0」から始まり、加熱箔16をオンに切り替えるための始点を示す。
Y軸は温度を℃で表す。曲線はちょうど20℃を超えて始まるが、それは本質的に周囲温度である。
【0043】
既述したように、損傷および/もしくは短絡を回避するためにならびに/または電池8の完全破壊および/もしくは爆発を防止するために、特に十分に長時間の間、熱、ガスおよび/または破片の放出から車室15を保護するために、低温側17および/または19で120℃を下回る、特に80℃を下回る温度が可能な限り長く維持されるべきである。
全ての測定に関する最高温度は、約30分後に曲線M3で(すなわち低温側19で、図5)115.4℃と測定された。この場合、反対側の高温側20での最大温度は837℃であった。
曲線M1(低温側17での第1測定、図4)では、約20分後に92.75℃の最大温度に達した。この場合、反対側の高温側18での最大温度は730℃であった。
曲線M2(低温側17での第2測定、図4)では、約20分後に89℃の最大温度に達した。この場合、反対側の高温側18での最大温度は728℃であった。
曲線M1およびM2は、それらが同じ試験シリーズ(試験準備、図4)の2回の測定であるので、-予期されるように-互いから僅かに逸脱するだけである。
【0044】
一方の曲線M3(試験準備、図5)の他方の曲線M1およびM2(試験準備、図4)との比較は、低温側19で最高温度(115.4℃)が測定されたことをまず示す。しかしながら、この温度は、30分超えた後に達するだけであり-したがってその他の曲線M1およびM2の場合より著しく遅い。熱が導入された後の約25分まで、曲線M3はその他の2つの曲線M1およびM2を明らかに下回り、それから上昇するだけである。この点で、特に最初の20分~25分において、低温側19での効率的な断熱、したがって表側に隣接する室内および/または車室15に対する高レベルの断熱が可能にされる。
【0045】
加えて、結果は、全ての曲線M1~M3で120℃の最大限界温度に達しないので、隣接する電池セル12への熱伝達および/または熱暴走が効率的に遅延および/または抑制されることを示す。これは、損傷および/または短絡の危険性を排除または少なくとも最小化する。
更には、第1の層構造は比較的安価に実現されることができる。
【0046】
図7に図示された第2の温度線図のフレームワーク内で、以下の第2の層構造を備える提案された断熱要素1が使用された:
【表2】


X軸は時間経過を分で表す。軸は「0」から始まり、加熱箔14および/または15をオンに切り替える始点を開始して、対応するグループの電池セル12A~E(図5を参照)における熱発達を開始する。
Y軸は温度を℃で表す。曲線はちょうど20℃を超えて始まるが、それは本質的に周囲温度である。
全ての測定に関する最高温度は、10分後に曲線M1で(すなわち低温側17での第1測定、図4)76.5℃と求められた。この場合、反対側の高温側18での最大温度は1300℃であった。
曲線M2に関しては、低温側17で35分後に-図4に係る第2測定で-75℃の最大温度に達した。この場合、反対側の高温側20での最大温度は1000℃であった。
曲線M3に関しては、55分後に低温側19で70℃の最大温度に達した。この場合、反対側の高温側20での最大温度は730℃であった。
結果的に、全ての場合に80℃の好ましい最大限界温度に達しなかった結果、隣接する電池セルの加速劣化さえ回避または少なくとも低減される。
【0047】
一方の曲線M3(試験準備、図5)の他方の曲線M1およびM2(試験準備、図4)との比較は、低温側19(曲線M3)に最低最大温度(70℃)が存在するだけでなく、この最大温度が約55分後に、非常に遅く存在することも示す。にもかかわらず、最低温度(730℃)も対応する高温側20で求められた。
更には、曲線M1~M3の1つの著しい温度上昇が約11分~12分の時間T後に唯一記録されたことが図7から見て取れる。
【0048】
図6において説明した経過も、低温側19で、特に最初の数分の入熱において-図7で約45分後まで-低温側17(曲線M1およびM2)より温度が著しく低いという点で確認される。この点で、第2の層構造を備える断熱要素1は、隣接する室内および/または領域、特に車室15に対する特に効果的な断熱を可能にする。
【0049】
図7(第2の層構造)の曲線M1~M3の図6(第1の層構造)の対応する曲線との比較は、第2の層構造で更に改善された断熱機能が達成されることができることも示す。特に、最大温度の低減が達成されており、曲線M3の差(第1の層状構造:115.4℃と比較して第2の層状構造:70.0℃)が特に著しい。これは、表側断熱としての第2の層構造の特に有利な使用法を証明する。
概して、特に中間層6としてポリイミド層が内部に配置された、中間材4の多層構造により、第2の層構造は、熱伝達の最適な低減、したがって特に効率的な断熱機能を可能にする。
不織布によって保護されたポリイミド層は熱爆発後にさえその構造保持し、その結果、電気的絶縁が維持される。
【0050】
全体として、試験は、提案された断熱要素1が電池8内の熱の抑制のためにも表側配置および/または絶縁のためにも、すなわち特に隣接する車室15の熱保護のためにも適することを示す。効率は第2の層状複合体により最適であり、第1の層状複合体は、同様に効果的な熱絶縁機能を有する比較的低コストの実装を許容する。
本発明は、電池8、好ましくはリチウムイオン電池、特に電気自動車用の牽引用電池上でのおよび/または内での提案された断熱要素1の使用法にも関する。
特に、断熱要素1がハウジング9の表に置かれて、表で熱絶縁を提供する。
代替的または追加的に、熱絶縁のための断熱要素1が2つの隣接する電池セル12間に配置される。
特に、断熱要素1は、ハウジング蓋11および/またはハウジング9の上部に、好ましくは接着剤で取り付けられかつ/または固定される。
特に好ましくは、断熱要素1は、特にその全面にわたって、ハウジング内部に向かうハウジング蓋11の内側13に装着される。
好ましくは、断熱要素1は、内側13に横にかつ/または垂直に装着および/または整列される。
特に、少なくとも1つの第1の断熱要素1Aおよび少なくとも1つの第2の断熱要素1Bが使用され、第1の断熱要素1Aが表でハウジング内部を閉鎖および/または熱絶縁し、そして第2の断熱要素1Bが隣接する電池セル12A~E間に配置される。
好ましくは、第2の断熱要素1Bは第1の断熱要素1Aに、特に横にかつ/または縦に取り付けられ、好ましくは接着、穿刺または溶接される。
本発明の個々の態様は、既述したように、要望に応じて組み合わされることができるが、互いから独立して実現されることもできる。
【符号の説明】
【0051】
1 断熱要素
1A (第1の)断熱要素
1B (第2の)断熱要素
1C (第3の)断熱要素
1D (第4の)断熱要素
2 第1の被覆層
3 第2の被覆層
4 中間材
5 繊維層
6 中間層
7 接着剤層
8 電池
9 ハウジング
10 下ハウジング部
11 ハウジング蓋/上ハウジング部
12、12’、12” 電池セル
13 内側
14 車両
15 車室
16 発熱体
17 低温側垂直面
18 高温側垂直面
19 低温側水平面(電池上方)
20 高温側水平面(電池上方)
21 織布
22 追加層
23 出口
24 フィルタ
25 弁
M 曲線
T 時間
X 軸
Y 軸
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の被覆層(2)と、
第2の被覆層(3)と、
少なくとも1つの耐熱繊維層(5)を含む、前記第1の被覆層(2)及び前記第2の被覆層(3)の間に配置されている圧縮性かつ軟性の中間材(4)と、
を備える、電気自動車の牽引用電池熱絶縁および/または防火のための多層断熱要素(1)であって、
前記耐熱繊維層(5)がニードル不織布から形成されており、
前記第1の被覆層(2)及び前記第2の被覆層(3)の少なくとも1つが、耐熱雲母層である、
層断熱要素。
【請求項2】
前記耐熱繊維層(5)がガラス繊維から、シリケート繊維からまたはガラス繊維とシリケート繊維の混合物から作られている請求項1に記載の多層断熱要素。
【請求項3】
前記耐熱繊維層(5)の繊維が30mm超長さを有する請求項1または2に記載の多層断熱要素。
【請求項4】
前記耐熱繊維層(5)の繊維が少なくとも4μm平均直径を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の多層断熱要素。
【請求項5】
前記耐熱繊維層(5)が、250℃を上回る耐熱性である、請求項1~4のいずれか1項に記載の多層断熱要素。
【請求項6】
前記多層断熱要素(1)が、40kPa未満の圧縮硬さを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の多層断熱要素。
【請求項7】
前記第1の被覆層(2)及び前記第2の被覆層(3)の少なくとも1つが、1kV/mm超の絶縁耐力を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の多層断熱要素。
【請求項8】
前記第1の被覆層(2)及び前記第2の被覆層(3)の少なくとも1つが、水蒸気に対して不透過、密、水かつ/もしくは防水に設計されている請求項1~のいずれか1項に記載の多層断熱要素。
【請求項9】
前記多層断熱要素(1)が、7mm未満の厚さである、請求項1~8のいずれか1項に記載の多層断熱要素。
【請求項10】
前記第1の被覆層(2)及び前記第2の被覆層(3)の少なくとも1つが、耐熱金属層またはアルミニウム箔として形成されている請求項1~のいずれか1項に記載の多層断熱要素。
【請求項11】
前記第1の被覆層(2)及び前記第2の被覆層(3)の少なくとも1つが、耐熱プラスチック層またはポリイミド膜として形成されている請求項1~10のいずれか1項に記載の多層断熱要素。
【請求項12】
前記第1の被覆層(2)及び前記第2の被覆層(3)の少なくとも1つが、耐熱布層またはガラス布箔として形成されている請求項1~11のいずれか1項に記載の多層断熱要素。
【請求項13】
前記第1の被覆層(2)及び前記第2の被覆層(3)の少なくとも1つが、織布(21)によって形成されている請求項1~12のいずれか1項に記載の多層断熱要素。
【請求項14】
前記織布(21)が金属メッシュあり、かつ/または金属繊維含む請求項13に記載の多層断熱要素。
【請求項15】
前記多層断熱要素(1)が、織布(21)の追加層を有し、前記織布(21)が、ガラス繊維、炭素繊維、シリケート繊維またはそれらの混合物の少なくとも1つを含むか、またはそれからなる、請求項1~14のいずれか1項に記載の多層断熱要素。
【請求項16】
前記被覆層(2、3)および前記中間材(4)が接着結合を用いて互いに接続されている請求項1~15のいずれか1項に記載の多層断熱要素。
【請求項17】
前記多層断熱要素(1)が、少なくとも1つの平坦側で、少なくとも所々粘着性であるか、または接着剤層(7)を有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の多層断熱要素。
【請求項18】
前記多層断熱要素(1)が1500g/m2未満単位面積質量を有する、かつ/または前記耐熱繊維層(5)および/または前記中間材(4)が1000g/m 2 未満の単位面積質量を有する、請求項1~17のいずれか1項に記載の多層断熱要素。
【請求項19】
ハウジング(9)と、
熱絶縁および防火のために前記ハウジング(9)の内部に配置されている少なくとも1つの多層断熱要素(1)と、
を備える気自動車用の牽引用電池であって、
前記多層断熱要素(1)が請求項1~18のいずれか1項に従って設計されている電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
全体として、試験は、提案された断熱要素1が電池8内の熱の抑制のためにも表側配置および/または絶縁のためにも、すなわち特に隣接する車室15の熱保護のためにも適することを示す。効率は第2の層状複合体により最適であり、第1の層状複合体は、同様に効果的な熱絶縁機能を有する比較的低コストの実装を許容する。
本発明は、電池8、好ましくはリチウムイオン電池、特に電気自動車用の牽引用電池上でのおよび/または内での提案された断熱要素1の使用法にも関する。
特に、断熱要素1がハウジング9の表に置かれて、表で熱絶縁を提供する。
代替的または追加的に、熱絶縁のための断熱要素1が2つの隣接する電池セル12間に配置される。
特に、断熱要素1は、ハウジング蓋11および/またはハウジング9の上部に、好ましくは接着剤で取り付けられかつ/または固定される。
特に好ましくは、断熱要素1は、特にその全面にわたって、ハウジング内部に向かうハウジング蓋11の内側13に装着される。
好ましくは、断熱要素1は、内側13に横にかつ/または垂直に装着および/または整列される。
特に、少なくとも1つの第1の断熱要素1Aおよび少なくとも1つの第2の断熱要素1Bが使用され、第1の断熱要素1Aが表でハウジング内部を閉鎖および/または熱絶縁し、そして第2の断熱要素1Bが隣接する電池セル12A~E間に配置される。
好ましくは、第2の断熱要素1Bは第1の断熱要素1Aに、特に横にかつ/または縦に取り付けられ、好ましくは接着、穿刺または溶接される。
本発明の個々の態様は、既述したように、要望に応じて組み合わされることができるが、互いから独立して実現されることもできる。
本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
〔1〕第1の被覆層(2)と、
第2の被覆層(3)と、
少なくとも1つの耐熱繊維層(5)を含む、前記被覆層(2、3)間に配置されている圧縮性かつ/または柔軟性の中間材(4)と、
を備える、電池(8)の熱絶縁のための多層断熱要素(1)であって、
前記繊維層(5)がニードル不織布から形成されており、および/または
前記被覆層(2、3)が曲げに弱く、かつ前記断熱要素(1)が全体として圧縮性および可撓柔軟性である
ことを特徴とする、多層断熱要素。
〔2〕前記繊維層(5)がガラス繊維もしくはシリケート繊維からまたはその混合物で作られていることを特徴とする、前記〔1〕に記載の断熱要素。
〔3〕前記繊維層(5)の繊維が30mm超、好ましくは40mm超、特に実質的に50mm~60mmの長さを有することを特徴とする、前記〔1〕または〔2〕に記載の断熱要素。
〔4〕前記繊維が少なくとも4μm、好ましくは少なくとも5μm、特に6μm~15μmの平均直径を有することを特徴とする、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔5〕前記繊維層(5)がバインダフリーでありかつ/または溶融ビードがないことを特徴とする、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔6〕前記中間材(4)が、耐熱で、絶縁耐力が高くかつ/または曲げに弱い中間層(6)によって互いから分離された、少なくとも2つの繊維層(5)を含む多層構造を有することを特徴とする、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔7〕前記中間層(6)が耐熱かつ/または熱反射金属層、好ましくはアルミニウム層、特にアルミニウム箔として構成されていることを特徴とする、前記〔6〕に記載の断熱要素。
〔8〕前記中間層(6)が耐熱かつ/または絶縁耐力が高いプラスチック層、好ましくはポリイミド層、特にポリイミド膜として構成されていることを特徴とする、前記〔6〕に記載の断熱要素。
〔9〕少なくとも1つの被覆層(2、3)が水蒸気に対して不透過、好ましくは気密、かつ/または撥水かつ/もしくは防水に設計されていることを特徴とする、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔10〕前記被覆層(2、3)が1mm未満、好ましくは0.5mm未満、特に0.1mm未満の厚さであることを特徴とする、前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔11〕少なくとも1つの被覆層(2、3)が耐熱金属層、好ましくはアルミニウム箔として形成されていることを特徴とする、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔12〕少なくとも1つの被覆層(2、3)が耐熱プラスチック層、好ましくはポリイミド膜として形成されていることを特徴とする、前記〔1〕~〔11〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔13〕少なくとも1つの被覆層(2、3)が耐熱布層、好ましくはガラス布箔として形成されていることを特徴とする、前記〔1〕~〔12〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔14〕少なくとも1つの被覆層(2、3)、特に両被覆層(2、3)が耐熱雲母層、好ましくは雲母紙層または雲母板として設計されていることを特徴とする、前記〔1〕~〔13〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔15〕少なくとも1つの被覆層(2、3)または追加層(21)が織布(21)によって形成されていることを特徴とする、前記〔1〕~〔14〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔16〕前記織布(21)が金属メッシュ、特にステンレス鋼および/もしくはアルミニウムで作られたワイヤメッシュであり、かつ/または金属繊維、特にステンレス鋼繊維および/もしくはアルミニウム繊維を含むことを特徴とする、前記〔15〕に記載の断熱要素。
〔17〕前記織布(21)がガラス繊維布でありかつ/またはガラス繊維を含むことを特徴とする、前記〔15〕または〔16〕に記載の断熱要素。
〔18〕前記織布(21)が炭素繊維布でありかつ/または炭素繊維を含むことを特徴とする、前記〔15〕~〔17〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔19〕前記織布(21)がシリケート布でありかつ/またはシリケート繊維を含むことを特徴とする、前記〔15〕~〔18〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔20〕前記第1の被覆層(2)が雲母層、好ましくは雲母紙層として設計されており、かつ前記第2の被覆層(3)がアルミニウム層、好ましくはアルミニウム箔として設計されていることを特徴とする、前記〔1〕~〔19〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔21〕前記第1の被覆層(2)が雲母層、好ましくは雲母紙層または雲母板として形成されており、かつ前記第2の被覆層(3)がポリイミド層、好ましくはポリイミド膜として形成されていることを特徴とする、前記〔1〕~〔19〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔22〕前記第1の被覆層(2)が織布(21)、好ましくは金属メッシュ、ガラス繊維布、炭素繊維布またはシリケート布として形成されており、かつ前記第2の被覆層(3)がアルミニウム層、好ましくはアルミニウム箔として形成されていることを特徴とする、前記〔1〕~〔19〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔23〕前記第1の被覆層(2)が織布(21)、好ましくは金属メッシュ、ガラス繊維布、炭素繊維布またはシリケート布として形成されており、かつ前記第2の被覆層(3)がポリイミド層、好ましくはポリイミド膜として形成されていることを特徴とする、前記〔1〕~〔19〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔24〕前記第1の被覆層(2、3)が耐熱雲母層、好ましくは雲母紙層または雲母板として形成されており、かつ前記第2の被覆層(3)が織布(21)、好ましくは金属メッシュ、ガラス繊維布、炭素繊維布、シリケート布または混紡布として形成されていることを特徴とする、前記〔1〕~〔19〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔25〕前記断熱要素(1)が、前記被覆層(2、3)に加えて、織布(21)、好ましくは金属メッシュ、ガラス繊維布、炭素繊維布、シリケート布または混紡布の追加層(22)を有することを特徴とする、前記〔1〕~〔24〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔26〕前記追加層(22)が前記断熱要素(1)の外側に配置されていることを特徴とする、前記〔25〕に記載の断熱要素。
〔27〕前記被覆層(2、3)および前記中間材(4)が接着結合を用いて互いに接続されていることを特徴とする、前記〔1〕~〔26〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔28〕少なくとも1つの被覆層(2、3)および/または中間層(6)が1kV/mm超、好ましくは1.5kV/mm超、特に2kV/mm超の絶縁耐力を有することを特徴とする、前記〔1〕~〔27〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔29〕前記断熱要素(1)が1500g/m 2 未満、好ましくは1300g/m 2 未満、特に1000g/m 2 未満の単位面積質量を有することを特徴とする、前記〔1〕~〔28〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔30〕前記繊維層(5)および/または前記中間材(4)が1000g/m 2 未満、好ましくは800g/m 2 未満、特に600g/m 2 未満の単位面積質量を有することを特徴とする、前記〔1〕~〔29〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔31〕前記断熱要素(1)および/または前記繊維層(5)が150g/m 2 超、好ましくは200g/m 2 超、特に好ましくは300または400g/m 2 超の単位面積質量を有することを特徴とする、前記〔1〕~〔30〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔32〕前記断熱要素(1)が7mm未満、好ましくは6mm未満、特に2~3mmの厚さであることを特徴とする、前記〔1〕~〔31〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔33〕前記断熱要素(1)が20kV/mm超、好ましくは30kV/mm超、特に40~70kV/mmの絶縁耐力を有することを特徴とする、前記〔1〕~〔32〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔34〕前記断熱要素(1)が、少なくとも1つの平坦側で、少なくとも所々粘着性である、または接着剤層(7)を有することを特徴とする、前記〔1〕~〔33〕のいずれか1項に記載の断熱要素。
〔35〕ハウジング(9)と、
熱絶縁および防火のために前記ハウジング(9)内におよび/または上に配置されている少なくとも1つの多層断熱要素(1)と、
を備える、電池(8)、好ましくはリチウムイオン電池、特に電気自動車用の牽引用電池であって、
前記断熱要素(1)が前記〔1〕~〔34〕のいずれか1項に従って設計されていることを特徴とする、電池。
〔36〕前記断熱要素(1)が前記電池(8)、前記ハウジング(9)、ハウジング蓋(11)および/または電池セル(12)を表で少なくとも部分的に、好ましくは完全にかつ/または全面にわたって重なりもしくは被覆および/または熱絶縁し、かつ/あるいはそれらを熱絶縁することを特徴とする、前記〔35〕に記載の電池。
〔37〕前記断熱要素(1)が前記ハウジング(9)のハウジング蓋(11)および/またはハウジング上部に取り付けられかつ/または固定され、好ましくは接着されていることを特徴とする、前記〔35〕または〔36〕に記載の電池。
〔38〕前記断熱要素(1)が前記ハウジング蓋(11)および/または前記ハウジング(9)の内側(13)であって、ハウジング内部に面する内側(13)に取り付けられている、特にその全面にわたって取り付けられることを特徴とする、前記〔36〕または〔37〕に記載の電池。
〔39〕前記熱絶縁のための断熱要素(1)が前記電池(8)の2つの隣接する電池セル(12)間に配置されていることを特徴とする、前記〔35〕~〔38〕のいずれか1項に記載の電池。
〔40〕前記断熱要素(1)が内部空間の下側かつ/または前記ハウジング(9)の前記内側(13)の基部に設けられかつ/または配置されている、特に全面にわたって設けられかつ/または配置されていることを特徴とする、前記〔35〕~〔39〕のいずれか1項に記載の電池。
〔41〕少なくとも1つの第1の断熱要素(1A)および少なくとも1つの第2の断熱要素(1B)が設けられており、前記第1の断熱要素(1A)が表でハウジング内部を閉鎖および/または熱絶縁し、前記第2の断熱要素(1B)が隣接する電池セル(12)間に配置されていることを特徴とする、前記〔35〕~〔40〕のいずれか1項に記載の電池。
〔42〕前記第2の断熱要素(1B)が熱絶縁方式で前記第1の断熱要素(1A)に、好ましくは横にかつ/または縦に、取り付けられ、好ましくは接着、縫合または溶接されていることを特徴とする、前記〔41〕に記載の電池。
〔43〕複数の断熱要素(1B)が設けられており、各々が隣接する電池セル(12)間に、特に全ての電池セル(12)間に配置されていることを特徴とする、前記〔35〕~〔42〕のいずれか1項に記載の電池。
〔44〕少なくとも1つの第1の断熱要素(1A)および少なくとも1つの更なるかつ/または第3の断熱要素(1C)が設けられており、前記第1の断熱要素(1A)がハウジング(9)の内部の上側および/または前記ハウジング(9)のハウジング蓋(11)に配置されており、前記更なるかつ/または第3の断熱要素(1C)が内部空間の下側にかつ/または前記ハウジング(9)の前記内側(13)の底に設けられかつ/または配置されていることを特徴とする、前記〔35〕~〔43〕のいずれか1項に記載の電池。
〔45〕少なくとも1つの第1の断熱要素(1A)および少なくとも1つの更なるかつ/または第4の断熱要素(1D)が設けられており、前記第1の断熱要素(1A)が前記ハウジングの内部空間(13)の上側におよび/または前記ハウジング(9)のハウジング蓋(11)に設けられており、前記更なるかつ/または第4の断熱要素(1D)が前記内側(13)のおよび/または前記ハウジング(9)の1つまたは複数の側壁に設けられかつ/または配置されていることを特徴とする、前記〔35〕~〔44〕のいずれか1項に記載の電池。
〔46〕前記電池(8)の電池セル(12)が1つまたは複数の断熱要素(1、1A、1B、1C、1D)によって少なくとも実質的に完全にかつ/または全ての側で密閉または包囲されていることを特徴とする、前記〔35〕~〔45〕のいずれか1項に記載の電池。
〔47〕前記電池(8)および/または前記ハウジング(9)がガスの逃げのための出口(22)を有することを特徴とする、前記〔35〕~〔46〕のいずれか1項に記載の電池。
〔48〕前記出口(22)がフィルタ(23)および/または弁(24)を含むことを特徴とする、前記〔47〕に記載の電池。
〔49〕電池(8)の熱絶縁のための多層断熱要素(1)の使用であって、
繊維層(5)として長繊維ニードル不織布を備えかつ/または前記〔1〕~〔33〕のいずれか1項に記載の多層かつ全体として可撓性かつ圧縮性の断熱要素(1)が熱絶縁のために隣接する電池セル(12)間におよび/または電池セル(12)上方に配置されることを特徴とする、使用。
【外国語明細書】