IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノンライフケアソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-滅菌装置 図1
  • 特開-滅菌装置 図2
  • 特開-滅菌装置 図3
  • 特開-滅菌装置 図4
  • 特開-滅菌装置 図5
  • 特開-滅菌装置 図6
  • 特開-滅菌装置 図7
  • 特開-滅菌装置 図8
  • 特開-滅菌装置 図9
  • 特開-滅菌装置 図10
  • 特開-滅菌装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025040045
(43)【公開日】2025-03-24
(54)【発明の名称】滅菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/20 20060101AFI20250314BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20250314BHJP
【FI】
A61L2/20
A61L2/20 106
A61L101:22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146700
(22)【出願日】2023-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】392022064
【氏名又は名称】キヤノンメドテックサプライ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花田 康史
(72)【発明者】
【氏名】小山 高志
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB07
4C058CC05
4C058DD04
4C058EE16
4C058EE23
4C058JJ16
4C058JJ26
4C058JJ28
(57)【要約】
【課題】滅菌に用いられる液体を効率的に気化させること。
【解決手段】実施形態に係る滅菌装置は、滅菌室と、貯留部と、気化器と、流路と、加熱部とを備える。滅菌室は、被滅菌物を収容する。貯留部は、液体状の滅菌剤を貯留する。気化器は、滅菌剤を気化させて滅菌室内に供給する。流路は、貯留部と気化器とに接続され、貯留部が貯留する滅菌剤を気化器へ供給する。加熱部は、滅菌室において流路の少なくとも一部を加熱する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被滅菌物を収容する滅菌室と、
液体状の滅菌剤を貯留する貯留部と、
滅菌剤を気化させて前記滅菌室内に供給する気化器と、
前記貯留部と前記気化器とに接続され、前記貯留部が貯留する前記滅菌剤を前記気化器へ供給する流路と、
前記滅菌室において前記流路の少なくとも一部を加熱する加熱部と、
を備える滅菌装置。
【請求項2】
前記加熱部は、前記被滅菌物を加熱する、
請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項3】
前記流路は、前記滅菌室内で前記加熱部と並走する第1流路を有し、
前記加熱部は、前記第1流路を加熱する、
請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項4】
前記流路は、前記第1流路と、前記第1流路に沿って設けられる第2流路と、前記第1流路と前記第2流路とを接続する接続部とを有し、
前記加熱部は、前記第1流路及び前記第2流路を加熱する、
請求項3に記載の滅菌装置。
【請求項5】
前記滅菌剤は、過酸化水素を含む溶液であり、
前記流路内を搬送される前記溶液が50-150℃に加温されるように、前記加熱部の動作を制御する制御部を更に備える、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の滅菌装置。
【請求項6】
前記滅菌室内の前記流路は、アルミニウムで構成される、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の滅菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書等に開示の実施形態は、滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、滅菌器内の滅菌室を減圧して、過酸化水素水溶液等の滅菌剤を滅菌室に吸引しつつ当該滅菌剤を気化させて、滅菌室に収容された被滅菌物を気化された滅菌剤によって滅菌する滅菌装置が知られている。この種の滅菌装置に用いられる方法として、例えば、60%の過酸化水素水溶液を真空蒸気化させ、過酸化水素蒸気により被滅菌物を滅菌する方法が知られている。
【0003】
従来の滅菌装置では、滅菌剤を気化させる方法として、例えば間隔を1mm以下に設定した複数の金属製の気化プレート(以下、平行平板ともいう)を加熱し、当該平行平板の中央部に常温常圧の液状の滅菌剤を投入して気化させる方法が用いられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-20569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、平行平板を用いて滅菌剤の気化を行った場合、気化終了時(滅菌剤蒸発時)には気化冷却により平行平板の温度降下が起きることが知られている。また、この場合、滅菌器内の真空度が低下する傾向があることも知られている。このため、例えば、短時間に連続して滅菌剤等の気化を行うと、2回目以降の気化は、平行平板の温度降下や滅菌器内の真空度の低下により、滅菌剤等の気化効率が低下する可能性がある。
【0006】
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、滅菌に用いられる液体を効率的に気化させることである。ただし、本明細書等に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を、本明細書等に開示の実施形態が解決する他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る滅菌装置は、滅菌室と、貯留部と、気化器と、流路と、加熱部とを備える。滅菌室は、被滅菌物を収容する。貯留部は、液体状の滅菌剤を貯留する。気化器は、滅菌剤を気化させて滅菌室内に供給する。流路は、貯留部と気化器とに接続され、貯留部が貯留する滅菌剤を気化器へ供給する。加熱部は、滅菌室において流路の少なくとも一部を加熱する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る滅菌装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る濃度分離槽の構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る滅菌装置における滅菌庫の一部を例示的に示す正面図である。
図4図4は、実施形態に係る滅菌装置の主棚の一例を示す平面図である。
図5図5は、実施形態に係る滅菌装置の加熱・気化ユニットの一部の一例を示す平面図である。
図6図6は、図6のVI-VI線に沿った断面の一部の一例を示す断面図である。
図7図7は、図6のVII-VII線に沿った断面の一部の一例を示す断面図である。
図8図8は、図6のVIII-VIII線に沿った断面の一部の一例を示す断面図である。
図9図9は、実施形態に係る滅菌装置の構成の一例を示すブロック図である。
図10図10は、実施形態に係る滅菌装置が実行する滅菌動作での滅菌室内の圧力の変化の一例を示す図である。
図11図11は、変形例に係る滅菌装置の主棚の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0011】
図1は、実施形態に係る滅菌装置1の構成の一例を示す図である。図1に示されるように、滅菌装置1は、滅菌処理部2と、制御装置3と、を備える。
【0012】
滅菌処理部2は、液体状の滅菌剤を気化させて、気化させた滅菌剤によって被滅菌物100を滅菌する。液体状の滅菌剤は、例えば過酸化水素水溶液である。また、被滅菌物100は、例えば、内視鏡や内視鏡ビデオカメラ、医療用プラスチック製品等の医療用機器であるが、他の物であってもよい。制御装置3は、滅菌処理部2を制御する。制御装置3は、制御部の一例である。
【0013】
ここで、本明細書において、滅菌処理には、対象物を滅菌、殺菌、除菌、または消毒する処理が含まれるものとする。また、本明細書において、滅菌は、殺菌、除菌、または消毒に読み替え可能であるものとする。
【0014】
なお、滅菌とは、有害・無害を問わず、対象物に存在する全ての細菌、ウイルス、その他微生物を死滅させることをいう。また、殺菌とは、対象物に存在する細菌、ウイルス、その他微生物を死滅させる(不活性化させる)ことをいう。また、除菌とは、対象物に存在する細菌、ウイルス、その他微生物の数を減らすことをいう。また、消毒とは、対象物に存在する病原性のある細菌、ウイルス、その他微生物を死滅させて(または除去して)害のない程度にすることをいう。
【0015】
滅菌処理部2は、滅菌庫11と、滅菌剤供給部12と、を備える。滅菌庫11の内部には、被滅菌物100を収容する滅菌室11aが設けられており、滅菌剤供給部12は、滅菌室11aに滅菌剤を供給する。滅菌室11aは、チャンバーとも称される。
【0016】
また、本実施形態では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、滅菌庫11の前後方向(奥行方向)の後方と一致し、Y方向は、滅菌庫11の幅方向に沿い、Z方向は、滅菌庫11の上下方向(高さ方向)の上方と一致する。なお、以後では、滅菌庫11の幅方向を左右方向とも称する。
【0017】
滅菌剤供給部12は、カートリッジ31と、液相ポンプ32と、濃度分離槽33と、電磁弁34と、分配器35と、加熱・気化ユニット36と、真空ポンプ37と、電磁弁38と、真空ゲージ39とを備える。カートリッジ31と、液相ポンプ32と、濃度分離槽33と、電磁弁34と、分配器35と、加熱・気化ユニット36とは、流体回路を構成している。
【0018】
真空ポンプ37は、滅菌庫11内すなわち滅菌室11a、加熱・気化ユニット36内、分配器35内の気体を吸引して、それぞれの空間内を減圧し真空状態(大気圧より低い圧力である陰圧の気体で満たされた空間内の状態)にする。真空状態は、陰圧状態とも称される。
【0019】
カートリッジ31は、液体状の滅菌剤(原液)を収容している。カートリッジ31は、貯留部の一例である。液相ポンプ32は、カートリッジ31から液体状の滅菌剤を吸引して、吸引した液体状の滅菌剤を濃度分離槽33へ吐出する。換言すると、液相ポンプ32は、滅菌剤を濃度分離槽33へ供給する。液相ポンプ32は、滅菌剤の吸引量および吐出量を計量可能なチューブポンプである。
【0020】
濃度分離槽33は、液体状の滅菌剤を加熱して液体状の滅菌剤を濃縮剤と希薄剤とに分離する。濃度分離槽33は、分離した濃縮剤及び希薄剤を滅菌室11a内に供給するまで一時的に貯留するため、貯留部の一例である。ここで、濃縮剤とは、滅菌成分の濃度が、滅菌剤の原液中の滅菌成分の濃度よりも高いものである。例えば、滅菌材(原液)が60%過酸化水素水溶液であれば、濃縮剤は、60%を超える濃度の過酸化水素水溶液である。
【0021】
また、希薄剤とは、滅菌成分の濃度が、滅菌剤の原液中の滅菌成分の濃度よりも低いものである。例えば、滅菌材(原液)が60%過酸化水素水溶液であれば、希薄剤は、水を主成分とする60%以下の濃度の過酸化水素水溶液である。
【0022】
具体的には、濃度分離槽33は、過酸化水素水溶液中の水を熱により気化させて、過酸化水素水溶液中の過酸化水素の濃度を上げたものを濃縮剤とする。また、気化させた水を冷却して回収したものを希薄剤とする。過酸化水素水溶液中の水を熱により気化させる際に、過酸化水素も気化する可能性があるため、希薄剤には、過酸化水素が含まれていてもよい。
【0023】
濃度分離槽33は、濃度分離槽33aと濃度分離槽33bとで構成される。濃度分離槽33aと濃度分離槽33bとは同一の構成を備えている。以下の説明では、濃度分離槽33aと濃度分離槽33bとを特に区別しない場合、単に濃度分離槽33ともいう。
【0024】
以下、濃度分離槽33について図2を用いて説明する。図2は、濃度分離槽33の構成の一例を示す図である。濃度分離槽33は、濃度分離室331及び回収室332で構成される。本実施形態では、高さ方向において、濃度分離室331が上方に、回収室332が下方に配置される。濃度分離室331は、濃縮剤を貯留する密閉された空間である。回収室332は、希薄剤を貯留する空間である。
【0025】
濃度分離室331と回収室332とは、後述の気化皿331b及び回収皿332aにより形成される連通部335により連通している。
【0026】
濃度分離室331は、濃度分離室331の上面及び左右面に配置された壁331a及び気化皿331bにより形成される空間である。壁331aは、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金、ニッケル合金等の耐腐食性を持つ金属素材で構成される。なお、壁331aは、アルミニウムやニッケル等の耐腐食性を持つ金属のメッキが施された鉄等で構成されていてもよい。
【0027】
濃度分離室331には、滅菌剤導入管336が設けられる。滅菌剤導入管336は、カートリッジ31に収容された滅菌剤を濃度分離室331に導入するためのチューブである。例えば、滅菌剤導入管336は、壁331aを貫通するように設けられる。この場合、壁331aと滅菌剤導入管336との間に生じる隙間は、Oリング等で埋められる。また、滅菌剤導入管336は、濃度分離処理により生じる濃縮剤CLに接することがないように設けられる。
【0028】
また、濃度分離室331には、濃縮剤送出管337が設けられる。濃縮剤送出管337は、濃度分離処理により生じた濃縮剤を濃度分離室331から送出するためのチューブである。例えば、濃縮剤送出管337は、壁331aを貫通するように設けられる。この場合、壁331aと濃縮剤送出管337との間に生じる隙間は、Oリング等で埋められる。
【0029】
また、濃度分離室331内の空間の中央付近には、気化皿331bが配置される。気化皿331bは、すり鉢状の溝を有する。気化皿331bは、例えば、磁器で構成される。気化皿331bは、支持部材(図示しない)により壁331aに支持される。例えば、気化皿331bは、支持部材(図示しない)により吊り下げるようにして壁331aの上面により支持される。
【0030】
なお、上述の滅菌剤導入管336に濃度分離処理で生じた濃縮剤が付着しないように、滅菌剤導入管336の滅菌剤の出口は、なるべく気化皿331bの円錐すり鉢状の溝の周縁部側に位置していることが好ましい。
【0031】
また、壁331aの上面、左右面には、第1ヒータ333aが設けられる。第1ヒータ333aはリード線(図示しない)により、制御装置3に接続される。第1ヒータ333aは、濃度分離室331全体を加温する。
【0032】
例えば、第1ヒータ333aは、120℃に加温可能なPTCヒータである。なお、第1ヒータ333aは、PTCヒータに限定されない。後述する第2ヒータ333bよりも高い温度に温度調整が可能であれば、各種ヒータを適宜使用可能である。
【0033】
気化皿331bの円錐すり鉢状の溝には、濃度分離処理により生じた濃縮剤CLが貯留される。また、気化皿331bの底部には、第2ヒータ333bが内蔵されている。第2ヒータ333bはリード線333cにより、制御装置3に接続される。第2ヒータ333bは滅菌剤導入管336から濃度分離室331内に導入された液体状の滅菌剤を加温して滅菌剤を濃縮する。
【0034】
例えば、第2ヒータ333bは、80℃に加温可能なPTCヒータである。なお、第2ヒータ333bは、PTCヒータに限定されない。上述の第1ヒータ333aよりも低い温度に温度調整が可能であれば、各種ヒータを適宜使用可能である。
【0035】
回収室332は、気化皿331bの底部及び回収皿332aにより形成される空間である。回収皿332aは、壁331aと同様に、ニッケル等の耐腐食性を持つ金属素材で構成される。
【0036】
また、回収室332には、希薄剤送出管338が設けられる。希薄剤送出管338は、濃度分離処理により生じた希薄剤を回収室332から送出するためのチューブである。例えば、希薄剤送出管338は、回収皿332aを貫通するように設けられる。この場合、回収皿332aと希薄剤送出管338との間に生じる隙間は、Oリング等で埋められる。
【0037】
回収皿332aの右側方、左側方、及び下方には、冷却素子334が設けられる。冷却素子334はリード線(図示しない)により、制御装置3に接続される。例えば、冷却素子334はペルチェ素子である。なお、冷却素子334はペルチェ素子に限定されない。冷却が可能な素子であれば既知の素子を適宜利用可能である。
【0038】
また、左右面の壁331aと、回収皿332aとの間には、温度緩衝帯335aが設けられる。例えば、温度緩衝帯335aは、PTFE(polytetrafluoroethylene)等で構成される。温度緩衝帯335aには、第1ヒータ333aも冷却素子334も設けられていない。このため、温度緩衝帯335aに接する連通部335内の平均温度は、濃度分離室331内の平均温度と回収室332内の平均温度との間の温度となる。
【0039】
このように、連通部335に接する部分に温度緩衝帯335aが設けられていることで、加熱部(濃度分離室331)と冷却部(回収室332)とを確実に分離できる。また、温度緩衝帯335aが存在することで、効率良く分子の運動を移行させることもできる。これにより、濃度分離室331から回収室332に至る前に分子が液化してしまう可能性を低減できる。
【0040】
以下、滅菌剤が60%過酸化水素水溶液である場合を例に、濃度分離槽33で行われる濃度分離処理について説明する。滅菌剤導入管336から濃度分離室331の空間に導入された60%過酸化水素水溶液は、溝に貯留された60%過酸化水素水溶液は、第1ヒータ333aにより加熱される。これにより、60%過酸化水素水溶液が気化し始める。気化されなかった60%過酸化水素水溶液は、重力により気化皿331bの溝に貯留する。
【0041】
溝に貯留された60%過酸化水素水溶液は、第2ヒータ333bにより加熱される。また、気化した分子は、膨張により体積が増加する。体積の増加により、濃度分離室331の圧力が高まるため、回収室332の圧力よりも濃度分離室331の圧力の方が高い状態になる。したがって、圧力の均衡を保つため、気化した分子は圧力の高い濃度分離室331から連通部335を通過して圧力の低い方へ移動する。
【0042】
ここで、分子量が小さい水分子の方が、分子量が大きい過酸化水素分子よりも加熱による振動が大きいことが知られている。つまり、過酸化水素分子よりも水分子の方が気化しやすい。これにより、水分子が優先的に濃度分離室331から回収室332へ移動することになる。
【0043】
なお、気化皿331bの底部にファン等を設け、気化皿331bの直上に生じた分子の回収室332への移動を促進させてもよい。また、真空ポンプ37等を用いて、濃度分離室331で気化した分子を回収室332側へ吸引する等して、気化皿331bの直上に生じた分子の回収室332への移動を促進させてもよい。
【0044】
回収室332では、冷却素子334の冷却効果で気化した分子はその振動を奪われ体積が縮小し凝結し液化し沈殿する。上述のように、回収室332には水分子が優先的に移動するため、回収室332では水分子が優先的に液化し、回収皿332aのすり鉢状の領域に液化した希薄剤DLが貯留することになる。
【0045】
ここで、蒸気化した分子の振動エネルギーよりも低い温度のものがあればそこで凝結現象が発生することが知られている。つまり、濃度分離室331内であっても気化皿331bよりも温度が低い領域があれば、そこで水分子が凝結し沈殿する可能性がある。濃度分離室331内で水分子が液化してしまうと、水分子が気化皿331bの溝に貯留することになり、濃縮剤CLの濃度が低下して濃縮の効率が低下する。
【0046】
本実施形態では、濃度分離室331の壁331aに設ける第1ヒータ333aの温度を、気化皿331bの底部に設けられる第2ヒータ333bの温度よりも高く設定している。これにより、濃度分離室331の内面全面の温度が気化皿331bの温度よりも高くなるため、濃度分離室331内で水分子の凝結現象が起きる可能性を低減させることができる。
【0047】
また、濃度分離槽33aでは、濃縮剤送出管337と電磁弁34aとが接続されている。濃度分離処理により生じた濃縮剤CLは、真空ポンプ(図示しない)等を用いて、濃縮剤送出管337を経由して電磁弁34aに送出される。なお、後述の真空ポンプ37を用いて、濃縮剤CLを電磁弁34aに送出してもよい。
【0048】
本実施形態では、濃度分離槽33aでは、濃度分離処理により生じた希薄剤DLが電磁弁34aの方に流出しないように、希薄剤送出管338と電磁弁34aとは接続されていない。なお、濃度分離槽33aの希薄剤送出管338と電磁弁34bとがチューブ等で接続されていてもよい。
【0049】
また、濃度分離槽33bでは、希薄剤送出管338と電磁弁34bとが接続されている。この場合、濃度分離処理により生じた希薄剤DLは、重力に従って下方に移動し、希薄剤送出管338を経由して電磁弁34bに送出される。なお、濃度分離槽33bの濃縮剤送出管337と電磁弁34aとがチューブ等で接続されていてもよい。この場合は、濃度分離槽33bで生じた濃縮剤も濃度分離槽33aと同様に、電磁弁34aに送出される。
【0050】
なお、1つの濃度分離槽33のみを設け、濃縮剤送出管337と電磁弁34aとを接続し、希薄剤送出管338と電磁弁34bとを接続してもよい。
【0051】
なお、上記は濃度分離処理の一例であり、濃度分離処理は上記に限定されない。滅菌剤に含まれる水分子を気化させて濃縮し、気化した水分子を冷却して回収できる構成であれば種々の構成を適用可能である。
【0052】
電磁弁34a、bは、濃度分離槽33と滅菌室11aとの間に設けられている。電磁弁34aが開くと、滅菌室11aが陰圧となっている場合には、濃度分離槽33からの濃縮剤が滅菌室11aに供給される。
【0053】
また、電磁弁34bが開くと、滅菌室11aが陰圧となっている場合には、濃度分離槽33からの希薄剤が滅菌室11aに供給される。
【0054】
図1に戻り、説明を続ける。分配器35は、濃度分離槽33と滅菌室11aとの間に設けられている。分配器35は、陰圧によって電磁弁34aから流入した液体状の濃縮剤を、パスカルの法則により四分割して、後述の四つの気化器42に等量で分配する。以下、濃縮剤と希薄剤とを特に区別しない場合、濃縮剤及び希薄剤を滅菌剤とも称する。
【0055】
四つの気化器42は、液体状の滅菌剤を気化させて、気体状の滅菌剤を滅菌室11a内に供給する。
【0056】
電磁弁38は、滅菌室11aの内と外とを連通する開弁状態と滅菌室11aの内と外とを遮断する閉弁状態とに変化可能である。電磁弁38が開弁状態になると、滅菌室11aが減圧状態から大気圧状態に戻る。電磁弁38は、滅菌室11a内に大気を導入する役割を果たすため、大気を導入する機構の一例である。真空ゲージ39は、滅菌室11aの真空度を測定する。
【0057】
図3は、実施形態に係る滅菌装置1における滅菌庫11の一部の一例を示す正面図である。図3は、滅菌庫11の扉22以外の部分を示している。図1および図3に示されるように、滅菌庫11の内部には、滅菌室11aが設けられている。滅菌室11aに被滅菌物100(図1)が収容される。
【0058】
滅菌庫11は、前後方向を長手方向とし幅方向を短手方向とする略直方体状の箱形である。滅菌庫11は、本体21と、扉22と、を有する。なお、滅菌庫11は、筐体とも称される。
【0059】
本体21は、上壁21aと、下壁21bと、右壁21cと、左壁21dと、後壁21eと、を有する。上壁21aおよび下壁21bは、いずれも上下方向と直交する方向に延びており、上下方向に間隔を空けて互いに平行に設けられている。右壁21cおよび左壁21dは、いずれも幅方向と直交する方向に延びており、幅方向に間隔を空けて互いに平行に設けられている。後壁21eは、前後方向と直交する方向に延びており、上壁21a、下壁21b、右壁21c、および左壁21dのそれぞれの後端部を接続している。
【0060】
本体21の内部に滅菌室11aが設けられている。滅菌室11aは、上壁21a、下壁21b、右壁21c、左壁21d、および後壁21eによって囲まれている。
【0061】
扉22は、上壁21a、下壁21b、右壁21cまたは左壁21dの前端部に回転可能に支持され、本体21に対して開閉可能である。扉22は、滅菌庫11の前壁である。扉22は、閉められた状態では、前後方向と直交する方向に延びており、上壁21a、下壁21b、右壁21c、および左壁21dのそれぞれの前端部と重なり、滅菌室11aを閉塞する。扉22が開かれると、滅菌室11aが前方に開放される。
【0062】
なお、後壁21eが、扉22と同様に開閉可能な扉として構成されていてもよい。すなわち、扉22と後壁21eとが、両方とも開閉可能であってもよい。
【0063】
上壁21a、下壁21b、右壁21c、左壁21d、後壁21e、および扉22は、滅菌室11aを囲んでいる。換言すると、上壁21a、下壁21b、右壁21c、左壁21d、後壁21e、および扉22は、滅菌室11aを形成している。上壁21a、下壁21b、右壁21c、左壁21d、後壁21e、および扉22は、例えば、厚さ数mmのステンレス製の板によって構成される。滅菌庫11は、剛体であり、比較的比熱が高い。
【0064】
また、図1に示されるように、扉22、上壁21a、下壁21b、右壁21c、左壁21d、および後壁21eの外面には、外側ヒータ25が重ねられている。外側ヒータ25は、滅菌庫11の外側から滅菌庫11の内部すなわち滅菌室11aを加熱する。なお、図1では、上記の外側ヒータ25のうち一部だけが示されている。外側ヒータ25は、シートヒータ等の熱源を有する。以下、この滅菌室11aの滅菌時の温度を滅菌温度と称することがある。
【0065】
図3に示されるように、滅菌室11aには、二つの主棚23と、二つの副棚24と、二つの加熱・気化ユニット36と、が収容されている。主棚23は、第1棚とも称され、副棚24は、第2棚とも称される。
【0066】
二つの主棚23および二つの副棚24は、上下方向に間隔を空けて並べられている。下壁21bの上側に二つの主棚23のうち下側の主棚23が配置され、当該下側の主棚23の上側に二つの副棚24のうち下側の副棚24が配置され、当該下側の副棚24の上側に二つの主棚23のうち上側の主棚23が配置され、当該上側の主棚23の上側に二つの副棚24のうち上側の副棚24が配置されている。
【0067】
各主棚23および副棚24は、右壁21cと左壁21dとに設けられた支持部21f,21gによって着脱可能に支持されている。二つの主棚23および二つの副棚24は、滅菌庫11に対して前後方向にスライド可能である。二つの主棚23および二つの副棚24は、それぞれ、被滅菌物100の載置が可能である。
【0068】
図4は、実施形態に係る滅菌装置1の主棚23の一例を示す平面図である。図4に示されるように、主棚23は、複数の開口部23cが設けられた網状である。具体的には、主棚23は、棒状の複数の第1部材23aと、棒状の複数の第2部材23bと、を有する。複数の第1部材23aは、前後方向に延びるとともに、幅方向に互いに間隔を空けて配置されている。複数の第2部材23bは、幅方向に延びるとともに、前後方向に互いに間隔を空けて配置されている。
【0069】
複数の第1部材23aと複数の第2部材23bとは互いに接続されている。主棚23の下側には、ネット26が重ねられている。例えば、ネット26は、主棚23に溶接され、主棚23と一体化されている。ネット26の比熱は、主棚23の比熱よりも低い。ネット26には、複数の開口部が設けられている。なお、ネット26は設けられていなくてもよい。
【0070】
図3に示されるように、二つの加熱・気化ユニット36は、それぞれ、二つの主棚23の下側に配置されている。詳細には、二つの加熱・気化ユニット36は、それぞれ、二つの主棚23のそれぞれの直下に配置されている。直下とは、加熱・気化ユニット36に含まれる棚ヒータ43の上端と主棚23の上端との間の上下方向の距離が、当該主棚23上の被滅菌物100を収容可能な空間(以後、棚上収容空間とも称する)の上下方向の高さの半分以下のことをいう。
【0071】
本実施形態では、主棚23上の棚上収容空間の下端は、当該主棚23の上端と一致し、棚上収容空間の上端は、上下方向で当該主棚23と隣り合う当該主棚23の上側の副棚24の下端と一致する。なお、棚ヒータ43の上端と主棚23の上端との間の上下方向の距離は、当該主棚23上の棚上収容空間の上下方向の高さの1/4以下や1/10以下であってもよい。
【0072】
二つの加熱・気化ユニット36のうち上側の加熱・気化ユニット36は、右壁21cと左壁21dとに設けられた支持部21hによって着脱可能に支持されている。また、二つの加熱・気化ユニット36のうち下側の加熱・気化ユニット36は、下壁21bcに着脱可能に支持されている。
【0073】
図5は、実施形態に係る滅菌装置1の加熱・気化ユニット36の一部の一例を示す平面図である。図5は、上壁41a以外の部分を示している。図6は、図5のVI-VI線に沿った断面の一部の一例を示す断面図である。図7は、図5のVII-VII線に沿った断面の一部の一例を示す断面図である。
【0074】
図1,5,6に示されるように、加熱・気化ユニット36は、ケース41と、二つの気化器42と、棚ヒータ43と、温度センサ44と、有する。棚ヒータ43は、加熱部の一例である。
【0075】
ケース41は、上壁41a(図5,6)、下壁41b、右壁41c(図5)と、左壁41d(図5)と、後壁41e(図5)と、前壁41f(図5)と、を有する。ケース41は、例えば、アルミニウムによって構成されている。ケース41は、滅菌庫11よりも薄い。
【0076】
上壁41aおよび下壁41bは、いずれも上下方向と直交する方向に延びており、上下方向に間隔を空けて互いに平行に設けられている。上壁41aには、開口部41aa(図6,7)が設けられている。
【0077】
開口部41aaは、上壁41aを上下方向に貫通した貫通孔である。右壁41cおよび左壁41dは、いずれも幅方向と直交する方向に延びており、幅方向に間隔を空けて互いに平行に設けられている。図5に示されるように、左壁41dには、開口部41daが設けられている。後壁41eおよび前壁41fは、前後方向と直交する方向に延びており、前後方向に間隔を空けて互いに平行に設けられている。
【0078】
図5に示されるように、二つの気化器42は、上下方向と交差する方向である前後方向に間隔を空けてケース41に配置されている。各気化器42は、一対のすなわち二つの板45,46を有する。したがって、二つの板45,46の組47が二つ設けられており、これらの組47は、前後方向に間隔を空けてケース41に配置されている。なお、組47の数は、上記に限定されない。例えば、組47は、一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。
【0079】
図1に示されるように、二つの板45,46は、滅菌室11aにおいて主棚23の下側に配置されている。図5~6に示されるように、板45,46は、平板状である。二つの板45,46は、いずれも上下方向と直交する方向に延びて、上下方向に間隔を空けて互いに平行に設けられている。二つの板45,46は、平行平板とも称される。二つの板45,46の厚さは、例えば3mm程度あるが、これに限定されない。
【0080】
板46は、板45の下側に配置されている。板45は、開口部41aaは、上壁41aの開口部41aaの一部を覆った状態でネジ等の結合具51によって上壁41aの上面に固定されている。すなわち、板45は、上壁41aに支持されている。板46は、上壁41aと下壁41bとの間に配置され、結合具51によって上壁41aおよび下壁41bのそれぞれの内面に固定されている。すなわち、板46は、上壁41aおよび下壁41bに支持されている。
【0081】
板46は、対向部46a(図6,7)と、張出部46bと、を有する。対向部46aは、板45と上下方向に対向する。張出部46bは、対向部46aと接続され板45に対して上下方向と交差する幅方向に張り出している。板46と下壁41bとの間には板50が設けられている。板50は、例えばアルミニウムによって構成されている。
【0082】
また、図6,7に示されるように、気化器42には、供給口42bと出口42c(図7)とが設けられている。供給口42bは、板46の略中央部に設けられている。すなわち、供給口42bは、二つの板45,46のうち一方の板46において当該板46の外縁部46cの内側に設けられている。
【0083】
供給口42bには、チューブ48を介して分配器35から液体状の滅菌剤が供給される。供給口42bは、液体状の滅菌剤を二つの板45,46の間の隙間42aに供給する。隙間42aは、滅菌剤の通路である。隙間42aは、上壁41aの開口部41aaに含まれる。
【0084】
チューブ48は、滅菌剤を搬送する。チューブ48は、配管とも称される。チューブ48は、加熱・気化ユニット36の外と内で異なる素材で構成されていてもよい。この場合、加熱・気化ユニット36内のチューブ48は、耐熱性・耐腐食性を有する金属素材によって構成される。
【0085】
なお、加熱・気化ユニット36内のチューブ48の素材は特に限定されないが、主にアルミニウムを含む金属素材で構成されることが好ましい。アルミニウムを素材として用いることで、例えば、ステンレス鋼を高温で加熱することで生成される可能性がある六価クロム(発癌性物質)の生成を防止できる。また、チューブ48の素材は、ステンレスチューブであってもよいが、この場合、高温で加熱し過ぎないように制御を行うものとする。
【0086】
本実施形態では、チューブ48は、アルミニウムチューブ48aと耐熱性のシリコンチューブ48bとが接続された構成である。アルミニウムチューブ48aは、アルミニウムのみで構成されていてもよいし、各種アルミニウム合金で構成されていてもよい。アルミニウムチューブ48aは、加熱・気化ユニット36内で棚ヒータ43と並走するように設けられる。
【0087】
出口42cは、上下方向と交差する幅方向に供給口42bと離間している。出口42cは、二つの板45,46の間の隙間42aにおける二つの板45,46の外部に開放された外縁部42dによって構成されている。また、出口42cは、張出部46bに接続されている。出口42cから、二つの板45,46の間の滅菌剤が二つの板45,46の間の隙間42aの外に流出する。
【0088】
棚ヒータ43は、滅菌室11aにおいて、アルミニウムチューブ48aの少なくとも一部を加熱する。また、棚ヒータ43は、滅菌室11aにおいて、被滅菌物100を加熱する。
【0089】
図1に示されるように、棚ヒータ43は、滅菌室11aにおいて主棚23の下側に配置されている。また、図5に示されるように、棚ヒータ43は、二つの組47のそれぞれの二つの板45,46の周囲に設けられている。棚ヒータ43は、折り曲げ加工された一つのシーズヒータである。シーズヒータは、例えば、外周部を構成するステンレス鋼管を含む。シーズヒータは、外径が例えば6mmであり、定格電力が1500W程度であるが、これに限定されない。棚ヒータ43は、比較的に比熱が低い。
【0090】
棚ヒータ43は、複数の第1延部43aと、複数の第2延部43bと、複数の第3延部43cと、複数の接続部43dと、二つの第4延部43eと、を有する。複数の第1延部43aは、いずれも幅方向に延びており、前後方向に間隔を空けて互いに平行に設けられている。二つの第1延部43aの間に気化器42が配置されている。
【0091】
また、最も前側に位置する第1延部43a、前側から二番目に位置する第1延部43a、最も後側に位置する第1延部43a、後側から二番目に位置する第1延部43aを除く、複数の第1延部43aは、アルミニウムチューブ48aと溶接されて一体化して設けられている。
【0092】
複数の第2延部43bは、いずれも前後方向に延びて、前後方向に間隔を空けて設けられている。第2延部43bは、前後方向に隣り合う二つの第1延部43aの右側の端部を接続している。また、最も前側に位置する第2延部43b及び最も後側に位置する第2延部43bを除く、複数の第2延部43bは、アルミニウムチューブ48aと溶接されて一体化して設けられている。
【0093】
複数の第3延部43cは、いずれも前後方向に延びて、前後方向に間隔を空けて設けられている。第3延部43cは、前後方向において、第2延部43bと第2延部43bとの間に配置されている。また、第2延部43bと第3延部43cとは、前後方向に間隔を空けて設けられている。第3延部43cは、前後方向に隣り合う二つの第1延部43aの右側の端部を接続している。また、複数の第3延部43cは、アルミニウムチューブ48aと溶接されて一体化して設けられている。
【0094】
複数の接続部43dは、前後方向に隣り合う二つの第1延部43aの左側の端部を接続している。また、複数の接続部43dは、アルミニウムチューブ48aと溶接されて一体化して設けられている。
【0095】
二つの第4延部43eのうち、前側の第4延部43eは、複数の第1延部43aのうち最も前側に位置する第1延部43aの左側の端部から後方に延びている。また、後側の第4延部43eは、複数の第1延部43aのうち最も後側に位置する第1延部43aの左側の端部から前方に延びている。
【0096】
図5に示されるように、温度センサ44は、ケース41内に設けられ、二つの気化器42の間に位置している。温度センサ44は、例えば熱電対である。温度センサ44は、伝熱部材52を介して、棚ヒータ43の第2延部43bと熱的に接続されている。温度センサ44は、棚ヒータ43の温度を測定する。温度センサ44は、加熱・気化ユニット36の温度を測定するとも言うことができる。
【0097】
開口部41daは、加熱・気化ユニット36内から延びる滅菌装置1の各種配線・配管を、加熱・気化ユニット36の外側に引き出すための構造である。例えば、開口部41daは、棚ヒータ43等の配線53やシリコンチューブ48b等の配管を、加熱・気化ユニット36の外側に引き出すために用いられる。
【0098】
図8は、図5のVIII-VIII線に沿った断面の一部を例示的に示す断面図である。図8に示されるように、伝熱部材52は、接触部52a,52bを有する。接触部52aは、凹状の面である。接触部52aには、棚ヒータ43が入れられており、接触部52aは、棚ヒータ43と接触している。接触部52bは、凹状の面である。接触部52bには、温度センサ44が入れられており、接触部52bは、温度センサ44と接触している。伝熱部材52は、例えば、アルミニウムによって構成されている。
【0099】
ここで、加熱・気化ユニット36の棚ヒータ43、二つの板45,46、およびケース41のそれぞれの比熱は、滅菌庫11の各壁(上壁21a、下壁21b、右壁21c、左壁21d、後壁21e、扉22)の比熱よりも低い。すなわち、加熱・気化ユニット36は、全体として滅菌庫11よりも比熱が低い。
【0100】
図1に示される操作部13は、ユーザからの操作を受け付ける入力機能と、画像を表示する表示機能と、を備える。例えば、操作部13は、入力機能と表示機能とを一体に備えたタッチパネル付ディスプレイである。操作部13は、例えば、被滅菌物100に対する滅菌の開始操作を受け付ける。操作部13は、後述の各種のモードに対応するボタンを表示する。開始操作は、一例として、上記ボタンに対するタッチ操作である。なお、操作部13は、タッチパネル付ディスプレイに限定されない。
【0101】
制御装置3は、滅菌装置1の動作を統括的に制御する。以下、図9を用いて、制御装置3について説明する。図9は、実施形態の滅菌装置1の構成の一例を示すブロック図である。図9に示すように、制御装置3には、外側ヒータ25、液相ポンプ32、濃度分離槽33、電磁弁34a、34b、棚ヒータ43、真空ポンプ37、電磁弁38、真空ゲージ39、温度センサ49等が接続されている。
【0102】
制御装置3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)を有する。すなわち、制御装置3は、コンピュータである。CPUは、ROM等に記憶されたプログラムを読み出して実行する。RAMは、CPUがプログラムを実行して種々の演算処理を実行する際に用いられる各種データを一時的に記憶する。
【0103】
制御装置3は、操作部13に対する開始操作の有無に関わらず滅菌庫11を加熱するよう外側ヒータ25を制御する。詳細には、制御装置3は、滅菌装置1に電源が投入されている間は、外側ヒータ25に加熱をさせる。制御装置3は、温度センサ49の検出結果に基づいて、滅菌庫11内の中心すなわち滅菌室11a内の温度が規定の目標温度となるように、外側ヒータ25を制御する。
【0104】
庫内設定温度は、例えば、40℃~65℃であってもよいし、45℃~60℃であってもよいし、65℃以上であってもよいし、これら以外であってもよい。なお、温度センサ49が測定する箇所は、棚ヒータ43が発する熱の影響を受けにくい箇所であることが好ましい。
【0105】
ところで、従来の蒸気化した過酸化水素を用いる滅菌手法では、被滅菌物の内腔深部の滅菌力を向上させるために過酸化水素濃度を98%程度に濃縮することでことが行われているが、従来手法では、高濃度の過酸化水素が被滅菌物にダメージを与える可能性があることが知られている。このため、従来の技術では、滅菌装置のユーザが、被滅菌物が酸化の影響を受けるか否かを確認した上で滅菌処理を行うことが求められている。
【0106】
これに対し、制御装置3は、滅菌装置1の各部の動作を制御して下記の滅菌処理を行う。以下の動作の説明の前提として、外側ヒータ25が動作しており、外側ヒータ25が滅菌室11aを滅菌室11aの外側から加熱しているものとする。また、滅菌剤は、60%過酸化水素水溶液であるものとする。
【0107】
図10は、実施形態に係る滅菌装置1が実行する滅菌動作での滅菌室11a内の圧力の変化の一例を示す図である。図10の滅菌パルスP1乃至P4は、滅菌装置1の滅菌室11a内の圧力変化の一例を表している。
【0108】
まず、制御装置3は、操作部13が開始操作を受け付けた場合に、液相ポンプ32を制御して、カートリッジ31内の滅菌剤を濃度分離槽33a、33bに供給する。操作部13は、受付部の一例である。制御装置3は、濃度分離槽33a、33bの各部の動作を制御して上述の濃度分離処理を開始する。
【0109】
濃度分離処理の開始から所定時間経過後に、制御装置3は、電磁弁34a、34bを閉じた状態で、真空ポンプ37によって滅菌室11aおよび滅菌室11aから電磁弁34までの間の流体回路中の流路(空間)の圧力を減圧(真空引き)する(C1)。この場合の所定時間は、第1所定時間の一例である。なお、所定時間を調整することで、滅菌室11aに投入する濃縮剤の過酸化水素濃度を調整してもよい。真空引きにより、滅菌室11aの圧力は低下していく。
【0110】
滅菌室11aの圧力が規定の圧力まで下がると、制御装置3は、電磁弁34aを開く(C2)。本実施形態では、濃度分離槽33a、33bによる濃度分離処理の開始から滅菌室11aの圧力が規定の圧力にまで下がる時間は、3分である。この場合、濃縮剤の過酸化水素濃度は、約80%程度、希薄剤の過酸化水素濃度は、約20%程度になる。
【0111】
なお、濃度分離槽33の濃度分離室331では、時間をかけるほど滅菌剤の濃縮が進むことになる。このため、制御装置3は、濃縮剤を投入するまでのタイミングを制御することで、濃縮剤の過酸化水素濃度の調整を行ってもよい。この場合、濃縮剤の過酸化水素濃度が高くなるほど、希薄剤の過酸化水素濃度は低くなる。
【0112】
また、濃度分離槽33aで得られた濃縮剤、濃度分離槽33bで得られた濃縮 希薄剤、又は、両者を混合した濃縮剤を任意のタイミングで選択的に投入することで、滅菌室11aに供給する濃縮剤の過酸化水素濃度の調整を行ってもよい。なお、希薄剤についても、同様に、過酸化水素濃度の調整が可能である。また、上記のように、過酸化水素濃度を調整する場合に、濃縮剤と希薄剤とを混合して過酸化水素濃度を調整してもよい。
【0113】
電磁弁34aが開放されたことにより、濃度分離槽33aから送出された濃縮剤が、滅菌室11aに向かって進んでいく。濃縮剤は、分配器35により分配され、各加熱・気化ユニット36に流入する。
【0114】
濃縮剤は、各加熱・気化ユニット36において、供給口から二つの板45,46の間に進み、二つの板45,46の間で棚ヒータ43によって加熱される。これにより、濃縮剤は、二つの板45,46の間を熱膨張しながら、真空に引かれて、同心円状に拡散し、二つの板45,46との接触面積が瞬時に増大する。
【0115】
このとき、棚ヒータ43は、濃縮剤を加熱することにより濃縮剤の気化を促進している。これにより、濃縮剤が二つの板45,46の間で瞬時に飽和水蒸気圧まで蒸発する。すなわち、濃縮剤が、二つの板45,46の間で気化する。よって、過酸化水素水溶液中の水分子の気化と過酸化水素分子の気化とに時間差が生じるのが抑制される。
【0116】
気体状の濃縮剤は、二つの板45,46の出口から二つの板45,46の外側の滅菌室11aに流出する。滅菌室11aに入った気体状の濃縮剤は、上方に流れて、棚23に載置された被滅菌物100に接触する。これにより、被滅菌物100が滅菌される。このように、棚23の直下の気化器42で濃縮剤が気化して、気化した濃縮剤が棚23上の被滅菌物100に到達する。よって、気化器42で気化した濃縮剤が比較的短時間及び短距離で被滅菌物100に到達することができる。
【0117】
制御装置3は、上述したように、電磁弁34aを開放して気化した濃縮剤を滅菌室11a内で拡散させる。その後、滅菌室11a内の圧力が規定の圧力まで上昇すると、制御装置3は、当該圧力を保った状態で所定時間T1の間待機する(C3)。所定時間T1は、第2所定時間の一例である。例えば、所定時間T1は、約30秒~60秒である。
【0118】
所定時間T1の経過後、制御装置3は、電磁弁34bを開く(C4)。これにより、濃縮剤の場合と同様に、濃度分離槽33bで得られた希薄剤が滅菌室11a内で拡散し、滅菌室11a内の圧力が上昇する。電磁弁34bを開放して気化した希薄剤を拡散させ、滅菌室11a内の圧力が規定の圧力まで上昇すると、当該圧力を保った状態で所定時間T2の間待機する(C5)。所定時間T2は、第3所定時間の一例である。例えば、所定時間T2は、所定時間T1よりも短い時間で約15秒~30秒である。
【0119】
ここで、過酸化水素は親水性が高いことが知られている。したがって、滅菌室11a内に投入された希薄剤の主成分である水により、先行して滅菌室11a内に投入された濃縮剤の主成分である過酸化水素が希釈されることになる。このとき、滅菌室11a内に存在する過酸化水素の濃度は60%程度まで低下する。これにより、滅菌剤が与える被滅菌物100へのダメージを軽減することができる。
【0120】
また、例えば、被滅菌物100が内視鏡である場合、希薄剤を滅菌室11a内に拡散させることによって生じる圧力は、先に投入された気化した濃縮剤を内視鏡の内腔へと押し込む働きをする。このため、後から希薄剤を滅菌室11a内に投入することで滅菌効率を高めることもできる。
【0121】
所定時間T2の経過後、制御装置3は、電磁弁38を開く(C6)。これにより、滅菌室11a内の圧力が大気圧に戻される。滅菌室11a内の圧力が大気圧に戻った後、制御装置3は、滅菌室11a内の圧力を大気圧に保った状態で所定時間T3の間待機する(C7)。所定時間T3は、第4所定時間の一例である。例えば、所定時間T3は、約3分である。
【0122】
その後、制御装置3は、滅菌パルスP1のC1乃至C6の処理を、所定回数(図10の例では4回)繰り返し、滅菌パルスP2乃至P4を形成する制御を行う。なお、上記処理の繰り返し回数は4回に限定されない。例えば、被滅菌物100の種類や大きさ等に応じて、繰り返し回数を定めてもよい。
【0123】
なお、本実施形態では、制御装置3は、1の滅菌パルスを形成する毎に、真空引きの前に濃度分離槽33(33a、33b)に1回の滅菌剤(原液)の供給を行うものとするが、濃度分離処理の実行形態はこれに限定されない。
【0124】
例えば、制御装置3は、滅菌処理の真空引き開始前に1回の原液の供給を行い、生じた濃縮剤及び希釈剤をプールしておき、複数の滅菌パルスの形成に用いてもよい。また、制御装置3は、滅菌処理を行う前に濃度分離処理を行っておき、事前にプールした濃縮剤及び希釈剤を用いて滅菌処理を実行してもよい。
【0125】
また、制御装置3は、二つの板(平行平板)45、46に滅菌剤が到達するまでの間に滅菌剤を加温するため、滅菌装置1の各部の動作を制御する。制御装置3の制御下で実行される滅菌装置1の各部の動作について説明する。以下では、濃縮剤を滅菌室11a内に供給する場合を例に説明するが、希薄剤を滅菌室11a内に供給する際に同様の動作を実行してもよい。
【0126】
例えば、制御装置3は、真空ポンプ37の動作を制御して、加熱・気化ユニット36内のアルミニウムチューブ48a内を搬送される濃縮剤の搬送速度を制御する。また、例えば、制御装置3は、棚ヒータ43の動作を制御し、棚ヒータ43に並走するアルミニウムチューブ48aを加熱する。
【0127】
より具体的には、制御装置3は、真空ポンプ37及び棚ヒータ43の動作を制御し、アルミニウムチューブ48a内を搬送される濃縮剤の温度が50~150℃となるように、濃縮剤の搬送速度及び棚ヒータ43の加熱温度を制御する。これにより、棚ヒータ43は、被滅菌物100の加温及び平行平板45、46の気化面の加温だけでなく、濃縮剤の加温も行うことができる。
【0128】
棚ヒータ43に並走するアルミニウムチューブ48aを加熱することで加温された濃縮剤は、アルミニウムチューブ48aの出口48aaから送出され、平行平板45、46で気化される。
【0129】
ところで、平行平板を用いて短時間に連続して液体の気化を行うと、気化の終了時に平行平板が温度降下を起こすため、気化効率が低下してしまうことが知られている。また、液体が気化することにより、滅菌室内の真空度も低下するため、真空蒸発も起こり難くなり、この点でも気化効率が低下してしまう。
【0130】
上述のように、本実施形態では、棚ヒータ43に並走するアルミニウムチューブ48aを棚ヒータ43で加熱することで、アルミニウムチューブ48a内の滅菌剤を加温する。つまり、滅菌剤は、平行平板45、46に到達するまでの間に棚ヒータ43で加温されることになる。したがって、滅菌剤が加温された状態で平行平板45、46に到達することになり、気化の際に生じる平行平板45、46の温度降下を抑制することができる。つまり、本実施形態に係る滅菌装置1によれば、短時間で連続して滅菌剤の気化を行っても、気化効率の低下を抑制することが可能である。
【0131】
以上、説明したように、本実施形態に係る滅菌装置1は、滅菌室11a内に導入された滅菌剤を、滅菌室11a内の平行平板45、46(気化器42)まで搬送するアルミニウムチューブ48aを備える。また、滅菌室11a内では、アルミニウムチューブ48aの少なくとも一部は、棚ヒータ43と並走する。棚ヒータ43は、並走するアルミニウムチューブ48aを加熱する。
【0132】
このような構成によれば、アルミニウムチューブ48aで搬送される滅菌剤を、滅菌剤が平行平板45、46に到達する前までの期間、棚ヒータ43で加熱することができる。このため、短時間に連続して気化を行うような場合でも、気化熱によって生じる平行平板45、46の温度降下を抑制することができる。したがって、平行平板45、46の温度降下に伴って生じる滅菌剤の気化効率の低下を抑制できる。つまり、本実施形態に係る滅菌装置1によれば、滅菌に用いられる液体を効率的に気化させることができる。
【0133】
なお、上述した実施形態は、滅菌装置1が有する各装置の構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係る変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0134】
(変形例)
上述した実施形態では、滅菌剤の搬送経路が可能な限り、棚ヒータ43に沿って設けられる形態について説明した。本変形例では、滅菌剤の搬送経路にループ構造あるいはらせん構造を設ける形態について説明する。
【0135】
変形例に係る滅菌装置1の加熱・気化ユニット36は、上述の実施形態と略同様の構成を有するが、ループ形成部48c及びループ経路48acを備える点で上述の実施形態と相違する。図11は、変形例に係る滅菌装置1の加熱・気化ユニット36の一部の一例を示す平面図である。図11は、上壁41a以外の部分を示している。
【0136】
図11に示す搬送経路48abは、棚ヒータ43の第3延部43c、及び、第3延部43cによって接続される前後方向に隣り合う二つの第1延部43aに並走するアルミニウムチューブ48aで構成される経路を表している。搬送経路48abは、第1流路の一例である。なお、図11では、説明の便宜上、滅菌装置1の前側の搬送経路48abにのみ符号を付している。
【0137】
図11に示すように、ループ経路48acは、搬送経路48abの下側に位置し、搬送経路48abと接するように設けられている。換言すると、ループ経路48acは、搬送経路48abに沿って設けられている。ループ経路48acは、第2流路の一例である。搬送経路48abとループ経路48acとは、ループ形成部48cで接続されている。ループ形成部48cは、接続部の一例である。なお、図11では、説明の便宜上、滅菌装置1の後側のループ経路48acのみ符号を付している。
【0138】
ここで、搬送経路48abからループ形成部48cへと搬送された滅菌剤は、ループ形成部48cを通過して、ループ経路48acへと搬送される。そして、ループ経路48acへと搬送された滅菌剤は、ループ経路48acを通過して、アルミニウムチューブ48aの出口48aaが位置する方向へと搬送される。
【0139】
また、ループ経路48acは、搬送経路48abと同様に、棚ヒータ43の第3延部43cと、第3延部43cによって接続される前後方向に隣り合う二つの第1延部43aとに溶接されている。このため、ループ経路48ac内の滅菌剤についても棚ヒータ43で加熱することが可能である。
【0140】
本変形例によれば、ループ経路48acを通過する滅菌剤を、棚ヒータ43で加温するため、ループ経路48acを設けない場合と比較して、ループ経路48acの通過にかかる時間分、滅菌剤の加温時間を長くすることができる。このため、本変形例に係る滅菌装置1は、滅菌剤の加温不足による気化効率の低下を抑制することができる。
【0141】
なお、ループ経路48acの下方にさらに追加のループ経路を形成してもよい。追加のループ経路を形成することで、滅菌剤の加温時間をさらに長くすることができる。
【0142】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、滅菌に用いられる液体を効率的に気化させることができる。
【0143】
発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0144】
1…滅菌装置、3…制御装置、11…滅菌庫、11a…滅菌室、33a、33b…濃度分離槽、43…棚ヒータ、48a…アルミニウムチューブ、48b…シリコンチューブ、331…濃度分離室、331a…壁、331b…気化皿、332…回収室、332a…回収皿、333a…第1ヒータ、333b…第2ヒータ、333c…リード線、334…冷却素子、335…連通部、336…滅菌剤導入管、337…濃縮剤送出管、338…希薄剤送出管、100…被滅菌物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11