(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025040158
(43)【公開日】2025-03-24
(54)【発明の名称】小型紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20250314BHJP
【FI】
B01J19/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146897
(22)【出願日】2023-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】522474033
【氏名又は名称】鈴木 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(71)【出願人】
【識別番号】590001717
【氏名又は名称】ニッカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳一
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075AA30
4G075AA33
4G075BA04
4G075BB02
4G075CA33
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB33
4G075EB34
4G075FB02
4G075FB12
4G075FC13
(57)【要約】
【課題】紫外線の照射効率が良く、持ち運びが容易な小型紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】本発明の小型紫外線照射装置10は、上面に取っ手14を備えた箱型のケーシング12と、
前記ケーシング12の内部中心に配置し、下面から波長254nm~436nmの紫外線を照射するキセノンランプ20と、
前記キセノンランプ20を間に挟むように前記ケーシング12の長手方向に沿って両側面に取り付けて、下面から波長365nmを主波長とする紫外線を照射する紫外線照射LED30と、
前記紫外線照射LED30の照射面を覆い、前記波長365nm及び380nmの紫外線を増幅する凸レンズ40を備えたことを特徴としている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に取っ手を備えた箱型のケーシングと、
前記ケーシングの内部中心に配置し、下面から波長254nm~436nmの紫外線を照射するキセノンランプと、
前記キセノンランプを間に挟むように前記ケーシングの長手方向に沿って両側面に取り付けて、下面から波長365nm及び380nmを主波長とする紫外線を照射する紫外線照射LEDと、
前記紫外線照射LEDの照射面を覆い、前記波長365nm及び380nmの紫外線を増幅する凸レンズを備えたことを特徴とする小型紫外線照射装置。
【請求項2】
請求項1に記載された小型紫外線照射装置であって、
前記ケーシングは材質にアルミ合金又はベークライトを用い、前記取っ手の材質にプラスチック樹脂を用いたことを特徴とする小型紫外線照射装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された小型紫外線照射装置であって、
前記ケーシングの内部で前記キセノンランプの照射面と反対側に反射ミラーを前記ケーシングと一体的に形成したことを特徴とする小型紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型のインキ、ニス、塗料、コーティングなどを硬化させる持ち運び可能な小型紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線照射により硬化するインキ、ニス、塗料がある。特許文献1に開示の紫外線照射装置は、電源部と照射部を別体としている。
しかしながら特許文献1に開示の装置は高出力の紫外線ランプを使用しているため、発熱量が多く高温になる。そこで把手にファンを内蔵して冷却しているが、高出力の紫外線ランプは、電力量が多く紫外線照射のエネルギーよりも発熱エネルギーが極めて多く照射効率が悪い。また硬化させる紫外線の主波長の照射強度が弱く乾燥に時間がかかる。
また従来の小型紫外線照射装置はケーシングの材質がステンレスであり装置全体が重量化していた。そしてケーシングの内部には反射ミラー、耐熱性ガラス、多層膜蒸着ミラーを配置しており、部品点数が多く経年劣化による部品交換の頻度が多くなりメンテナンス性が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、紫外線の照射効率が良く、持ち運びが容易な小型紫外線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、上面に取っ手を備えた箱型のケーシングと、
前記ケーシングの内部中心に配置し、下面から波長254nm~436nmの紫外線を照射するキセノンランプと、
前記キセノンランプを間に挟むように前記ケーシングの長手方向に沿って両側面に取り付けて、下面から波長365nm及び380nmを主波長とする紫外線を照射する紫外線照射LEDと、
前記紫外線照射LEDの照射面を覆い、前記波長365nm及び380nmの紫外線を増幅する凸レンズを備えたことを特徴とする小型紫外線照射装置を提供することにある。
上記第1の手段によれば、キセノンランプと紫外線照射LEDの組み合わせでUVインキ及びUVニスを硬化させることができる。また凸レンズにより紫外線照射LEDの主波長を増幅させることができる。また低電力のLEDにより装置全体の省エネルギー化を実現できる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記ケーシングは材質にアルミ合金又はベークライトを用い、前記取っ手の材質にプラスチック樹脂を用いたことを特徴とする小型紫外線照射装置を提供することにある。
上記第2の手段によれば、従来のステンレス構成よりもケーシングを軽量化でき作業性が良くなる。また材質にベークライト(フェノール樹脂)を用いた場合には絶縁性があり経年劣化による感電のおそれがない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1又は第2の手段において、前記ケーシングの内部で前記キセノンランプの照射面と反対側に反射ミラーを前記ケーシングと一体的に形成したことを特徴とする小型紫外線照射装置を提供することにある。
上記第3の手段によれば、ケーシング全体の軽量化を実現できる。また部品点数を減らして、交換部品が少なくなりメンテナンス性が良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キセノンランプと紫外線照射LEDの紫外線照射の組み合わせでUVインキ、LEDインキ、UVニスを硬化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の小型紫外線照射装置の下面(紫外線照射面)側から見た斜視図である。
【
図2】本発明の小型紫外線照射装置の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の小型紫外線照射装置の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0011】
[小型紫外線照射装置10]
図1は、本発明の小型紫外線照射装置の下面(紫外線照射面)側から見た斜視図である。
図2は、本発明の小型紫外線照射装置の底面図である。
図3は、
図2のA-A矢視図である。
図4は
図2のB-B矢視図である。
本発明の紫外線照射により硬化させる対象物は、UVインキ、LEDインキ、UVニスであり、一般にUVインキの硬化波長は波長365nm、LEDインキの硬化波長は380nmであり、UVニスの硬化波長は、280nmから313nmである。
図示のように本発明の小型紫外線照射装置10は、上面に取っ手を備えた箱型のケーシング12と、ケーシング12の内部中心に配置し、下面から波長254nm~436nmの紫外線を照射するキセノンランプ20と、キセノンランプ20を間に挟むようにケーシング12の長手方向に沿って両側面に取り付けて、下面から波長365nm及び380nmを主波長とする紫外線を照射する紫外線照射LED30と、紫外線照射LED30の照射面を覆い、波長365nm及び380nmの紫外線を増幅する凸レンズ40を備えている。
【0012】
(ケーシング12)
ケーシング12は、材質にアルミ合金又はベークライトを用いてステンレスよりも全体重量を軽量化させている。ケーシング12は箱型であり、上面に取っ手14を備え、下面に紫外線の照射面を形成し、側面は内部の紫外線照射部(キセノンランプ、紫外線照射LED)を覆っている。ケーシング12は一例として全長250mm、幅100mm、高さ100mm(取っ手14を除く)であり、作業員が片手で携帯できる大きさに設定している。なお、材質にベークライトを用いた場合には絶縁性があるため、経年劣化による漏電で感電するおそれがない。
反射ミラー16は、ケーシング12の内部であってキセノンランプ20の照射面と反対面に、ケーシング12と一体的に形成している。反射ミラー16はケーシング12と同様に材質にアルミ合金を用いてステンレスよりも全体重量を軽量化させている。紫外線は反射ミラー16によりすべて照射面側に反射されるため、ケーシング12の材質にベークライトを用いても、ベークライトが直接紫外線照射を受けることがなく、劣化することがない。
ケーシング12の上面には送風ファン18を設けている。送風ファン18は反射ミラーの裏面(反射面と反対側)に配置して、キセノンランプ20からわずかながら生じる発熱をケーシング12の外部へ排熱できる。送風ファン18をケーシングの上面に配置することにより排気ダクトを省略することができる。
【0013】
(キセノンランプ20)
キセノンランプ20は、中圧ランプであり、筒状の石英ガラス本体の両端に電極を備え、放電管内部にキセノンを充填している。キセノンランプ20は、波長、254nm、313nm、365nm、405nm、436nmを主波長とする紫外線を照射可能であり、UVインキ、UVニスを硬化させる波長を有している。このようなキセノンランプ20は、放電管内にキセノンを充填したことにより紫外線を照射するまでの時間を短くでき、短時間で点灯させることができる(瞬間点灯)。またキセノンランプ20は発熱が少ない(一例として50℃~60℃)。このため従来構造のような開閉シャッターを用いる必要がない。なお、キセノンランプ20の周りは照射面以外を反射ミラー16で覆っており、紫外線の照射効率を高めている。
【0014】
(紫外線照射LED30)
紫外線照射LED30は、波長365nm及び380nmを主波長とする紫外線を照射可能なLED(Light Emitting Diode)であり、UVインキ、LEDインキを硬化させる波長を有している。本実施形態では365nmの場合一例として日亜化学工業NVSU233C-D4(365NM)(3.5×3.5mm)を用いている。本実施形態では、基板32上に1列40個のLEDを4列並べたものをケーシング12の長手方向に沿って下面の両側面に取り付けている。このような紫外線照射LED30の発熱量は約200Wであり、消費電力が少ない。2つの基板32に設けた紫外線照射LED30の間からはキセノンランプ20の紫外線が照射される。
【0015】
(凸レンズ40)
凸レンズ40は、紫外線照射LED30の紫外線照射面を覆うレンズである。凸レンズ40は、紫外線照射LED30からの紫外線(365nm及び380nm)を増幅して照射させることができる。このような凸レンズ40を用いることにより、レンズ無しの状態よりも約1.5倍の波長強度の増加が確認できた。
【0016】
(作用)
上記構成による本発明の小型紫外線照射装置の作用について以下説明する。
キセノンランプ20及び紫外線照射LED30を点灯させる。キセノンランプ20は内部にキセノンを充填しているため、瞬間点灯する。ケーシング12の照射面を紫外線硬化側のUVインキ、LEDインキ、UVニスに照射させる。UVインキ、UVニスはキセノンランプ20からの紫外線照射により硬化できる。またUVインキ、LEDインキは紫外線照射LEDにより硬化できる。
このような本発明によれば、キセノンランプと紫外線照射LEDの組み合わせでUVインキ、LEDインキ、UVニスのいずれも硬化できる。また凸レンズにより紫外線照射LEDの主波長を増幅させることができる。また低電力のLEDにより装置全体の省エネルギー化を実現できる。
【0017】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0018】
10 小型紫外線照射装置
12 ケーシング
14 取っ手
16 反射ミラー
18 送風ファン
20 キセノンランプ
30 紫外線照射LED
32 基板
40 凸レンズ