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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025040242
(43)【公開日】2025-03-24
(54)【発明の名称】口腔機能維持向上用こんにゃく組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/244 20160101AFI20250314BHJP
【FI】
A23L29/244
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147041
(22)【出願日】2023-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391063075
【氏名又は名称】アスザックフーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 美香子
(72)【発明者】
【氏名】小林 惠津子
(72)【発明者】
【氏名】市邨 りん
【テーマコード(参考)】
4B041
【Fターム(参考)】
4B041LC03
4B041LC10
4B041LD01
4B041LH08
4B041LK02
4B041LP12
(57)【要約】
【課題】口腔機能を維持又は口腔機能を向上させることができる口腔機能維持向上用こんにゃく組成物を提供する。
【解決手段】口腔機能維持向上用こんにゃく組成物は、厚みが0.3mm以上3.5mm以下であり、幅が3mm以上21mm以下であり、長さが22mm以上64mm以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚みが0.3mm以上3.5mm以下であり、
幅が3mm以上21mm以下であり、
長さが22mm以上64mm以下である
口腔機能維持向上用こんにゃく組成物。
【請求項2】
硬度が500g以上50000g以下である
請求項1に記載の口腔機能維持向上用こんにゃく組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔機能維持向上用こんにゃく組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔機能のうち特に咀嚼力の低下は、口腔機能全体の低下につながりやすいことが知られている。
特許文献1には、咀嚼力を向上又は維持させるための組成物が開示されている。
【0003】
特許文献2には、咀嚼機能強化用の健康食品が開示されている。特許文献2に開示されている食品は、グルコマンナンに由来する弾力性を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-107号公報
【特許文献2】特開平1-10961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、噛み応えのある組成物を咀嚼することによって、咀嚼力を鍛えることができる。一方で、組成物を咀嚼する際に、噛み応えが過度に大きい等によって咀嚼のしづらさを感じると、咀嚼のしづらさに起因する苦痛を感じることがある。
【0006】
口腔機能を維持させる及び口腔機能を向上させるという観点から、咀嚼の際に適度な噛み応えを与えることのできる組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための口腔機能維持向上用こんにゃく組成物は、厚みが0.3mm以上3.5mm以下であり、幅が3mm以上21mm以下であり、長さが22mm以上64mm以下であることを要旨とする。
【0008】
口腔機能維持向上用こんにゃく組成物は、硬度が500g以上50000g以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の口腔機能維持向上用こんにゃく組成物によれば、口腔機能を維持又は口腔機能を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、口腔機能維持向上用こんにゃく組成物の一実施形態について説明する。
本実施形態の口腔機能維持向上用こんにゃく組成物(以下「こんにゃく組成物」ということもある。)は、厚みが0.3mm以上3.5mm以下であり、幅が3mm以上21mm以下であり、長さが22mm以上64mm以下であることを特徴としている。上記の厚み、幅及び長さは、こんにゃく組成物において直交する三つの方向のうちいずれか一方向における寸法を厚みとして、残りの二方向のうち一方の方向における寸法を幅として他方の方向における寸法を長さとするものである。
【0011】
<こんにゃく組成物>
こんにゃく組成物は、弾力性を有する。
弾力性を有するとは、こんにゃく組成物を喫食する際に以下のような特徴を示すことをいう。例えば、こんにゃく組成物を咀嚼しようとすると、噛み応えがある。具体的には、こんにゃく組成物を噛むことによって、はね返るような感覚を得られる。また、こんにゃく組成物を破断するために、ある程度の咀嚼力を要する。言い換えれば、咀嚼力が小さいと、こんにゃく組成物を破断しづらい。
【0012】
こんにゃく組成物の一例は、乾燥こんにゃくである。こんにゃく組成物としては、乾燥させていないこんにゃくでもよい。なお、本明細書において、「乾燥こんにゃく」は、こんにゃくを乾燥させることで得られる乾燥物を示す。単に「こんにゃく」と表記している場合には、乾燥していないこんにゃくを示す。
【0013】
<こんにゃく組成物の大きさ>
こんにゃく組成物の大きさを説明する。
こんにゃく組成物は、一片の厚みが0.3mm以上3.5mm以下であり、且つ幅が3mm以上21mm以下であり、且つ長さが22mm以上64mm以下である。こんにゃく組成物の一片あたりにおける厚み、幅及び長さのうちいずれか一つ以上が上記の数値範囲未満であると、こんにゃく組成物を咀嚼する際に噛み応えがないと感じやすくなる。こんにゃく組成物の一片あたりにおける厚み、幅及び長さのうちいずれか一つ以上が上記の数値範囲を超えると、こんにゃく組成物を咀嚼する際に咀嚼のしづらさを感じやすくなる。
【0014】
こんにゃく組成物の厚みに関して、上記数値範囲の下限値は、好ましくは0.8mmであり、より好ましくは1mmであり、さらに好ましくは1.2mmである。
こんにゃく組成物の厚みに関して、上記数値範囲の上限値は、好ましくは3mmであり、より好ましくは2mmであり、さらに好ましくは1.8mmである。
【0015】
こんにゃく組成物の幅に関して、上記数値範囲の下限値は、好ましくは5mmであり、より好ましくは6mmである。
こんにゃく組成物の幅に関して、上記数値範囲の上限値は、好ましくは10mmであり、より好ましくは8mmである。
【0016】
こんにゃく組成物の長さに関して、上記数値範囲の下限値は、好ましくは30mmであり、より好ましくは40mmである。
こんにゃく組成物の長さに関して、上記数値範囲の上限値は、好ましくは60mmであり、より好ましくは55mmである。
【0017】
こんにゃく組成物が乾燥こんにゃくである場合には、乾燥物の厚み、乾燥物の幅及び乾燥物の長さが、それぞれ上記数値範囲内であることが好ましい。すなわち、乾燥物の大きさが上記数値範囲内であることが好ましい。
【0018】
こんにゃく組成物の体積は、こんにゃく組成物の大きさが上記数値範囲内である限りは特に制限されないが、例えば、120mm以上1800mm以下であることが好ましい。
【0019】
こんにゃく組成物の質量は、こんにゃく組成物の大きさが上記数値範囲内である限りは特に制限されないが、例えば、0.35g以上1.3g以下であることが好ましい。
こんにゃく組成物の形状は、こんにゃく組成物の大きさが上記数値範囲内である限りは特に制限されない。こんにゃく組成物の形状としては、例えば、板形、球形、紐形等が挙げられる。板形は、三角形、四角形、星形等の多角形、円形、楕円形等でもよい。
【0020】
<こんにゃく組成物の硬度>
こんにゃく組成物が乾燥こんにゃくである場合における乾燥こんにゃくの硬度は、例えば、500g以上50000g以下であることが好ましい。乾燥こんにゃくの硬度が500g未満であると、こんにゃく組成物を容易に破断しやすい。乾燥こんにゃくの硬度が50000gを超えると、こんにゃく組成物を咀嚼する際に過度に大きな咀嚼力を要することがある。乾燥こんにゃくの硬度は、より好ましくは9000g以上50000g以下である。
【0021】
<原料>
こんにゃく組成物は、グルコマンナンを含有している。グルコマンナンは、こんにゃく粉の主成分である。こんにゃく粉は、コンニャクイモを加工することで得られる。こんにゃく組成物は、グルコマンナンを単独で含有していてもよいし、グルコマンナンをこんにゃく粉として含有していてもよい。こんにゃく組成物におけるグルコマンナンの含有量は、特に制限されない。
【0022】
こんにゃく組成物は、凝固剤を含有している。凝固剤の一例は、水酸化カルシウムである。こんにゃく組成物における凝固剤の含有量は、特に制限されない。
こんにゃく組成物は、水を含有している。こんにゃく組成物における水の含有量は、特に制限されない。
【0023】
<他の成分>
こんにゃく組成物は、他の成分を含有していてもよい。
こんにゃく組成物が含有していてもよい他の成分としては、適宜公知の成分を適用できる。こんにゃく組成物が含有していてもよい他の成分としては、例えば、調味料、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維等の機能性成分、香料、及び着色料等が挙げられる。
【0024】
調味料としては、各種の天然の調味料及び人工の調味料を採用できる。具体的には、醤油、塩、果汁、糖類、エキス類等が挙げられる。
これらの成分は、それぞれ一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
<用途>
こんにゃく組成物は、例えば、口腔機能の向上又は維持を目的とした食品に好ましく適用することができる。より具体的には、咀嚼機能の維持又は向上、咀嚼力の維持又は向上、咬合圧の維持又は向上、嚥下機能の維持又は向上、オーラルフレイルの予防、オーラルフレイルの解消、咀嚼訓練、咀嚼トレーニング、唾液分泌促進、口腔乾燥予防、口腔乾燥改善等に対して、本実施形態のこんにゃく組成物を好適に用いることができる。
【0026】
食品の用途としては、特に限定されず、いわゆる一般食品、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、病者用食品、特定用途食品、保健機能食品、栄養機能食品、特定保健用食品、機能性表示食品等として適用できる。食品において用途の表示を付す場合、各種法律、施行規則、ガイドライン等によって定められた表示が挙げられる。食品において用途の表示には、包装、容器等のパッケージへの表示の他、パンフレット等の広告媒体への表示も含まれる。
【0027】
本実施形態のこんにゃく組成物の用途の表示内容を付す場合、口腔機能の向上又は維持の表示の他、中核症状及び周辺症状の改善又は予防の表示、また、これらの改善又は予防を示唆する表示も含まれる。
【0028】
<こんにゃく組成物の製造方法>
こんにゃく組成物は、公知である各種のこんにゃくを用いて製造することができる。こんにゃくは、市販のこんにゃくを用いてもよいし、コンニャクイモから得られるこんにゃく粉を用いて作成したこんにゃくを用いてもよい。また、こんにゃく組成物は、グルコマンナンを用いて作成してもよい。こんにゃく粉及びグルコマンナンは、市販のものを用いてもよい。
【0029】
〔切断工程〕
こんにゃく組成物の製造方法は、切断工程を備えている。
切断工程は、こんにゃくを規定の大きさに切り出す工程である。こんにゃくを切り出す方法は特に制限されず、包丁等を用いて作業者が切断してもよいし、機械を用いて自動的に切断してもよい。
【0030】
〔加熱工程〕
こんにゃく組成物の製造方法は、加熱工程を備えていてもよい。
加熱工程は、こんにゃくを水とともに煮る工程である。こんにゃくを水とともに煮る方法は特に制限されず、例えば、容器にこんにゃくと水を入れて、容器を加熱することによって行うことができる。
【0031】
こんにゃく組成物の製造方法として加熱工程を行う場合には、こんにゃくを切り出す切断工程を行う前にこんにゃくを煮る加熱工程を行ってもよいし、こんにゃくを切り出す切断工程を行った後にこんにゃくを煮る加熱工程を行ってもよい。
【0032】
こんにゃく組成物の製造方法として加熱工程を行う場合には、上記他の成分を含有するこんにゃく組成物は、例えば、加熱工程において、他の成分を加えた水でこんにゃくを煮ることによって製造できる。
【0033】
上記他の成分を含有するこんにゃく組成物は、こんにゃくを作成する際に他の成分を練りこむことによって製造することもできる。この場合には、上記と同様に、こんにゃくを煮る加熱工程をさらに行ってもよいし、加熱工程を省略してもよい。
【0034】
〔乾燥工程〕
以下、こんにゃく組成物が乾燥こんにゃくである場合の製造方法を説明する。
乾燥させる前のこんにゃくを製造する方法は、上記方法と共通の方法を採用できる。乾燥こんにゃくの製造方法は、さらに以下の乾燥工程を続けて行う。
【0035】
乾燥工程は、こんにゃくを乾燥させる工程である。例えば、乾燥こんにゃくは、硬度が500g以上50000g以下になるまでこんにゃくを乾燥させることによって得られる。
【0036】
乾燥工程において、こんにゃくを乾燥させる方法は、特に制限されない。例えば、乾燥工程では、こんにゃくを乾燥させる方法として周知の方法を採用できる。
例えば、特開昭62-236463号公報には、凍結させたこんにゃくを乾燥させる方法が記載されている。例えば、特開平4-8257号公報には、ブドウ糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖、果糖等を含浸又は混合させたこんにゃくを乾燥させる方法が記載されている。例えば、特開2021-090378には、糖アルコールを含浸させたこんにゃくを乾燥させる方法が記載されている。
【0037】
乾燥工程で使用できる装置について説明する。
乾燥工程では、例えば、食品乾燥機を使用してこんにゃくを乾燥させることができる。食品乾燥機は、温風、熱風等によって対象を乾燥させる装置である。
【0038】
乾燥工程では、例えば、真空凍結乾燥機を使用してこんにゃくを乾燥させることができる。真空凍結乾燥機は、対象を凍結させた後、真空で乾燥させる装置である。
乾燥工程において、温度、乾燥時間等の乾燥条件は、特に制限されないが、後述のように、乾燥こんにゃくの大きさ、及び乾燥こんにゃくの硬度を調整するために適宜設定することができる。
【0039】
乾燥工程を行うことで、乾燥こんにゃくが得られる。なお、乾燥工程を経た乾燥こんにゃくは、水の含有量が減少することによって、乾燥工程を行う前と比較して収縮する。このため、こんにゃくを切り出す切断工程で大きさを調整したり、乾燥工程の条件を調整したりすることによって、乾燥こんにゃくの大きさを調整するとよい。なお、乾燥こんにゃくは、収縮に際して、折れ曲がったり捩じれたりといった変形を伴うことがある。このように変形している状態のこんにゃく組成物の大きさは、こんにゃく組成物を引き伸ばすことなく広げた状態にして計測した寸法に基づく。
【0040】
<作用及び効果>
本実施形態の作用について説明する。
咀嚼に際して口に含む組成物の大きさが小さすぎると、組成物を咀嚼する際に噛み応えを感じにくい。この点、厚みが0.3mm以上3.5mm以下であり、幅が3mm以上21mm以下であり、長さが22mm以上64mm以下である本実施形態のこんにゃく組成物によれば、噛み応えを感じやすい。このため、咀嚼の際に適度な噛み応えを与えることができる。
【0041】
また、こんにゃく組成物が上記特定の大きさであることによって、こんにゃく組成物を咀嚼によって細かく破断するためには咀嚼の繰り返しを要する。本実施形態のこんにゃく組成物によれば、咀嚼の際に噛む行為を繰り返す期間、すなわち咀嚼期間として、好適な期間を確保することができる。こんにゃく組成物が咀嚼によって細かく破断されるまでに過度に長い咀嚼期間を要することがないため、咀嚼のしづらさを感じにくい。
【0042】
本実施形態のこんにゃく組成物は、硬度が500g以上50000g以下である。このため、こんにゃく組成物を破断するために適度な力と適度な時間を要する。さらにいえば、こんにゃく組成物を破断する際に過度な力を必要としない。
【0043】
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態のこんにゃく組成物によれば、咀嚼の際に適度な噛み応えを与えることによって、口腔機能を維持又は口腔機能を向上させることができる。
【0044】
(2)本実施形態のこんにゃく組成物の硬度が500g以上50000g以下であることによって、こんにゃく組成物を破断するために適度な力と適度な時間を要する。これによって、こんにゃく組成物を咀嚼する対象は、噛み応えを感じながらも、苦痛を感じることなく、噛む行為を繰り返すことができる。
【0045】
(3)咀嚼の際に適度な噛み応えを与えることができる本実施形態のこんにゃく組成物によれば、咀嚼の際に唾液の分泌を促すことができる。これによって、口腔機能を維持又は口腔機能を向上させることができる。
【0046】
(変更例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0047】
・本実施形態のこんにゃく組成物は、食品用途に限定されない。例えば、医薬品、医薬部外品としても使用することができる。
・本実施形態のこんにゃく組成物の適用対象としては、ヒトが好ましく、その他の哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、マウス、ラット、ヒツジ、ウマ、ウシ、サル等に適用してもよい。本実施形態のこんにゃく組成物の適用対象となるヒトとしては、例えば、口腔機能が低下している、又はその疑いがあるヒト;咀嚼力が低下している、又はその疑いがあるヒト;咬合圧が低下している、又はその疑いがあるヒト;嚥下機能が低下している、又はその疑いがあるヒト;オーラルフレイルである、又はその疑いのあるヒト;唾液分泌が低下している、又はその疑いがあるヒト;口腔が乾燥している、又はその疑いがあるヒト等に適用されることが好ましい。また、各種口腔機能の維持を目的とした健常者等に適用してもよい。
【実施例0048】
こんにゃく組成物について、以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、こんにゃく組成物は、実施例欄に記載の構成に限定されるものではない。
(こんにゃく組成物の製造)
表1に示すように、実施例1~5及び比較例1のこんにゃく組成物を製造した。表1に示す厚み、幅及び長さは、乾燥後の大きさを示す。乾燥こんにゃくの厚み、幅及び長さは、乾燥こんにゃくが折れ曲がっている状態であったり捩じれている状態であったりした場合には、乾燥こんにゃくを引き伸ばすことなく広げた状態で測定した値である。
【0049】
実施例1のこんにゃく組成物を以下の手順で作成した。
市販のこんにゃくを板状に切り出した。このとき、後述する乾燥処理による収縮を考慮して、乾燥後の大きさが表1に示す大きさになるように、こんにゃくを切り出した。板状に切り出したこんにゃくを調味液の中で攪拌しながら加熱することによって調味した。調味液には、水、糖類、塩、エキス類等を混合したものを用いた。調味後のこんにゃくを、水気を切ってから食品乾燥機を用いて乾燥処理を行った。表1に示す大きさになるまで乾燥処理を行うことで、乾燥こんにゃくを得た。
【0050】
こんにゃくを板状に切り出す際の大きさを変更するとともに乾燥処理の時間を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~5及び比較例1のこんにゃく組成物を作成した。
【0051】
(硬度測定)
実施例1~5のこんにゃく組成物について、硬度を以下の方法で測定した。
テクスチャーアナライザ EZ-SX(株式会社島津製作所製、本体負荷容量500N)を使用した。プランジャーには、くさび型のものを使用した。圧縮速度1mm/sec、圧縮距離100%の条件で測定を行った。測定用のサンプルは、20℃環境下で一晩静置することで順化させたものを用いた。実施例1~5のこんにゃく組成物の硬度は、500g以上50000g以下であった。
【0052】
(噛み応え評価)
VAS(Visual Analog Scale)法を用いて実施例1~5及び比較例1のこんにゃく組成物について、噛み応えを評価した。VAS法のスケールとして0点~5点の目盛りを付した直線を用いた。スケールの一端である0点を、「噛み応えがない、又は苦痛を感じる」とした。スケールの他端である5点を、「適度な噛み応えがある」とした。評価は、5名の評価者によって行った。評価者5名のうち、2名は男性であり、3名は女性である。各評価者は、各こんにゃく組成物を1個ずつ咀嚼した。実施例1~5及び比較例1のそれぞれについて、評価者5名の平均点を以下の評価基準に基づいて評価した。結果を表1に示す。
【0053】
・評価基準
◎(優):3.5点以上
○(可):2点以上3.5点未満
×(不可):2点未満
【0054】
【表1】
実施例1~5は、噛み応え評価が可以上であった。特に実施例4及び5は、噛み応え評価が優であった。これに対して、比較例1は、噛み応え評価が不可であった。
【0055】
この結果から、適度な噛み応えは、こんにゃく組成物の厚みが0.3mm以上3.5mm以下であり、幅が3mm以上21mm以下であり、長さが22mm以上64mm以下であることによって得られる効果であることがわかる。
【0056】
表2、表3及び表4には、こんにゃく組成物の処方例1~処方例210を示す。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】