(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025040280
(43)【公開日】2025-03-24
(54)【発明の名称】樹脂封止装置及び樹脂封止方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20250314BHJP
B29C 45/02 20060101ALI20250314BHJP
B29C 45/40 20060101ALI20250314BHJP
B29C 33/68 20060101ALI20250314BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20250314BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/02
B29C45/40
B29C33/68
H01L21/56 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147103
(22)【出願日】2023-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 誠
(72)【発明者】
【氏名】成田 和夫
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
5F061
【Fターム(参考)】
4F202AD03
4F202AD05
4F202AD15
4F202AD19
4F202AE03
4F202AH33
4F202AH37
4F202AJ03
4F202AJ11
4F202CA12
4F202CB01
4F202CB12
4F202CB17
4F202CM02
4F202CM72
4F202CQ01
4F206AD03
4F206AD05
4F206AD15
4F206AD19
4F206AE03
4F206AH33
4F206AH37
4F206AJ03
4F206AJ11
4F206JA02
4F206JB12
4F206JB17
4F206JF01
4F206JF05
4F206JL02
4F206JM06
4F206JN41
4F206JQ83
5F061AA01
5F061BA03
5F061CA21
5F061DA06
5F061FA02
(57)【要約】
【課題】垂直端子を搭載するワークを型開き時に確実に離型させることができる樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供する。
【解決手段】第1金型204の金型面204aに吸着させるリリースフィルムFを供給するフィルム供給機構211を備え、第2金型206は、ワークWを保持するワーク保持部205を有し、第1金型204は、垂直端子Wcがワーク保持部205に対向する第1端部406aから挿通される挿通孔406と、挿通孔406の第2端部406bから挿通され、挿通孔406内を型開閉方向に移動可能なエジェクタピン230と、を有し、封止金型202が型閉じされたときに、垂直端子Wcを挿通孔406に挿通可能にエジェクタピン230が退避し、封止金型202が型開きされたときに、エジェクタピン230が垂直端子Wcを押動して成形品Wpを第1金型204から離型する構成である。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれか一方が上型となり、他方が下型となる第1金型及び第2金型を有する封止金型を用いて、垂直端子が立設された構成を有するワークを封止樹脂により封止して成形品に加工する樹脂封止装置であって、
前記第1金型の金型面に吸着させるリリースフィルムを供給するフィルム供給機構を備え、
前記第2金型は、前記ワークを保持するワーク保持部を有し、
前記第1金型は、前記垂直端子が前記ワーク保持部に対向する第1端部から挿通される挿通孔と、前記挿通孔の第2端部から挿通され、前記挿通孔内を型開閉方向に移動可能なエジェクタピンと、を有し、
前記封止金型が型閉じされたときに、前記垂直端子を前記挿通孔に挿通可能に前記エジェクタピンが退避し、
前記封止金型が型開きされたときに、前記エジェクタピンが前記垂直端子を押動して前記成形品を前記第1金型から離型する構成であること
を特徴とする樹脂封止装置。
【請求項2】
前記第1金型は、前記挿通孔の周囲において前記リリースフィルムを吸引して張設する複数の吸引孔を有すること
を特徴とする請求項1記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記封止金型が型閉じされたときに、前記垂直端子が前記リリースフィルムを貫通してフィルム貫通孔を形成しながら前記挿通孔に挿通されると共に、前記フィルム貫通孔周縁の前記リリースフィルムが前記挿通孔と前記垂直端子との隙間に引き込まれて前記隙間が閉塞される構成であること
を特徴とする請求項2記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記挿通孔は、スリーブ部材に形成されており、
前記スリーブ部材は、前記第1金型の所定位置に設けられた嵌合孔に嵌合されていること
を特徴とする請求項3記載の樹脂封止装置。
【請求項5】
前記スリーブ部材は、前記挿通孔の前記第1端部が前記ワーク保持部に向けて徐々に拡径するテーパ面に形成されていること
を特徴とする請求項4記載の樹脂封止装置。
【請求項6】
前記吸引孔は、平面視において、少なくとも前記嵌合孔を挟んで相対する二箇所に設けられていること
を特徴とする請求項5記載の樹脂封止装置。
【請求項7】
いずれか一方が上型となり、他方が下型となる第1金型及び第2金型を有する封止金型を用いて、垂直端子が立設された構成を有するワークを封止樹脂により封止して成形品に加工する樹脂封止方法であって、
前記第1金型の金型面にリリースフィルムを供給して吸着するフィルム供給工程と、
前記第2金型に前記ワーク及び前記封止樹脂を保持するワーク・封止樹脂載置工程と、
前記封止金型を型閉じする型閉じ工程と、
前記封止金型を型開きする型開き工程と、
を備え、
前記型閉じ工程は、前記第1金型の挿通孔に前記垂直端子を挿通する工程を有し、
前記型開き工程は、前記挿通孔内を型開閉方向に移動可能なエジェクタピンが前記垂直端子を押動して前記成形品を前記第1金型から離型する工程を有すること
を特徴とする樹脂封止方法。
【請求項8】
前記型閉じ工程は、前記垂直端子を前記リリースフィルムに貫通させてフィルム貫通孔を形成しながら前記挿通孔に挿通すると共に、前記フィルム貫通孔周縁の前記リリースフィルムを前記挿通孔と前記垂直端子との隙間に引き込んで前記隙間を閉塞する工程を有すること
を特徴とする請求項7記載の樹脂封止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止装置及び樹脂封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材に電子部品が搭載されたワークを封止樹脂(以下、単に「樹脂」と称する場合がある)により封止して成形品に加工する樹脂封止装置及び樹脂封止方法の例として、トランスファ成形方式によるものが知られている。
【0003】
トランスファ成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる一対の封止領域(キャビティ)に所定量の樹脂を供給するポットを設けて、当該各封止領域に対応する位置にワークをそれぞれ配置して上型と下型とでクランプし、ポットからキャビティに樹脂を流し込む操作によって樹脂封止する技術である(特許文献1:特開2015-000520号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パワーデバイス等に採用されている垂直端子(基材又は電子部品より垂直に立設した電気的な端末の端子)が露出したワークを成形する方法として、液状樹脂をポッティングする方法がある。しかしながら、金型内で加圧をしないため、封止樹脂の成形形状を一定に保つのが困難であり、また、ボイドが発生し易く、成形品の信頼性が低いという課題があった。これに対して、垂直端子の周囲をクランプし、垂直端子を露出させた状態で樹脂モールドを行う方法がある。しかしながら、垂直端子の周りをせり上がるように樹脂バリが発生してしまい、垂直端子と周囲のクランプ部材との隙間を狭くすると成形品が金型から離型され難いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、垂直端子を搭載するワークを型開き時に確実に離型させることができる樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0008】
一実施形態に係る樹脂封止装置は、いずれか一方が上型となり、他方が下型となる第1金型及び第2金型を有する封止金型を用いて、垂直端子が立設された構成を有するワークを封止樹脂により封止して成形品に加工する樹脂封止装置であって、前記第1金型の金型面に吸着させるリリースフィルムを供給するフィルム供給機構を備え、前記第2金型は、前記ワークを保持するワーク保持部を有し、前記第1金型は、前記垂直端子が前記ワーク保持部に対向する第1端部から挿通される挿通孔と、前記挿通孔の第2端部から挿通され、前記挿通孔内を型開閉方向に移動可能なエジェクタピンと、を有し、前記封止金型が型閉じされたときに、前記垂直端子を前記挿通孔に挿通可能に前記エジェクタピンが退避し、前記封止金型が型開きされたときに、前記エジェクタピンが前記垂直端子を押動して前記成形品を前記第1金型から離型する構成であることを要件とする。
【0009】
上記の実施形態によれば、垂直端子を搭載するワークを型開き時に確実に離型させることができる。
【0010】
また、前記第1金型は、前記挿通孔の周囲において前記リリースフィルムを吸引して張設する複数の吸引孔を有することが好ましい。
【0011】
また、前記封止金型が型閉じされたときに、前記垂直端子が前記リリースフィルムを貫通してフィルム貫通孔を形成しながら前記挿通孔に挿通されると共に、前記フィルム貫通孔周縁の前記リリースフィルムが前記挿通孔と前記垂直端子との隙間に引き込まれて前記隙間が閉塞される構成であることが好ましい。
【0012】
また、前記挿通孔は、スリーブ部材に形成されており、前記スリーブ部材は、前記第1金型の所定位置に設けられた嵌合孔に嵌合されていることが好ましい。
【0013】
また、前記スリーブ部材は、前記挿通孔の前記第1端部が前記ワーク保持部に向けて徐々に拡径するテーパ面に形成されていることが好ましい。
【0014】
また、前記吸引孔は、平面視において、少なくとも前記嵌合孔を挟んで相対する二箇所に設けられていることが好ましい。
【0015】
また、一実施形態に係る樹脂封止方法は、いずれか一方が上型となり、他方が下型となる第1金型及び第2金型を有する封止金型を用いて、垂直端子が立設された構成を有するワークを封止樹脂により封止して成形品に加工する樹脂封止方法であって、前記第1金型の金型面にリリースフィルムを供給して吸着するフィルム供給工程と、前記第2金型に前記ワーク及び前記封止樹脂を保持するワーク・封止樹脂載置工程と、前記封止金型を型閉じする型閉じ工程と、前記封止金型を型開きする型開き工程と、を備え、前記型閉じ工程は、前記第1金型の挿通孔に前記垂直端子を挿通する工程を有し、前記型開き工程は、前記挿通孔内を型開閉方向に移動可能なエジェクタピンが前記垂直端子を押動して前記成形品を前記第1金型から離型する工程を有することを要件とする。
【0016】
また、前記型閉じ工程は、前記垂直端子を前記リリースフィルムに貫通させてフィルム貫通孔を形成しながら前記挿通孔に挿通すると共に、前記フィルム貫通孔周縁の前記リリースフィルムを前記挿通孔と前記垂直端子との隙間に引き込んで前記隙間を閉塞する工程を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、垂直端子を搭載するワークを型開き時に確実に離型させることができる樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る樹脂封止装置の例を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る樹脂封止装置のプレス装置の例を示す側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る樹脂封止装置の封止金型の例を示す正面断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る樹脂封止装置の封止金型のキャビティ及びワーク保持部の例を示す正面断面図である。
【
図5】
図5Aは、
図4におけるV部の拡大図である。
図5Bは、嵌合孔、挿通孔及び吸引孔の例を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る樹脂封止方法の説明図である。
【
図14】
図14Aは、本発明の実施形態に係る樹脂封止装置及び樹脂封止方法において用いられるワークの例を示す斜視図である。
図14Bは、本発明の実施形態に係る樹脂封止装置及び樹脂封止方法において形成される成形品の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る樹脂封止装置1の例を示す平面図(概略図)である。尚、説明の便宜上、図中において矢印により樹脂封止装置1における左右方向(X方向)、前後方向(Y方向)、上下方向(Z方向)を示す。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
【0020】
本実施形態に係る樹脂封止装置1は、第1金型(本実施形態においては、上型)204及び第2金型(本実施形態においては、下型)206を備える封止金型202を用いて、ワーク(被成形品)Wの樹脂封止を行う装置である。以下、樹脂封止装置1として、第2金型206に設けられたワーク保持部205でワークWを保持し、対応する配置で第1金型204に設けられたキャビティ208(金型面204aを一部含む)をリリースフィルム(以下、単に「フィルム」と称する場合がある)Fで覆って、第1金型204と第2金型206とのクランプ動作を行い、ワークWを封止樹脂Rで封止するトランスファ成形方式による樹脂封止装置を例に挙げて説明する。尚、本実施形態においては、一つの第1金型204に二つのキャビティ208を設けると共に、一つの第2金型206に二つのワークWを配置して一括して樹脂封止を行い、成形品Wpを得る構成を例に挙げて説明する。但し、これに限定されるものではなく、上記構成を複数セット並設してもよい(不図示)。
【0021】
先ず、封止対象であるワークWは、
図14Aに示すように、基材Waに電子部品Wb及び垂直端子Wcが配設された構成を備えている(電子部品Wbに垂直端子Wcが配設される構成であってもよい)。一つの基材Waに配設される電子部品Wbの個数は、一つもしくは複数個(例えば、マトリクス状等)に設定され、一つのワークWに配設される垂直端子Wcの個数は、一つもしくは複数個(本実施形態においては、六個)に設定される。
【0022】
基材Waの例として、樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状の部材が挙げられる。基材Waの形状は、長方形状(短冊状)、正方形状、円形状等である。また、電子部品Wbの例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。また、垂直端子Wcの例として、ピン端子(リードピン)等が挙げられる。垂直端子Wcの形状は、円柱状、角柱状、ワイヤー(線)状等である。
【0023】
基材Waに電子部品Wbを配設(搭載)する方法の例として、ワイヤーボンディング実装、フリップチップ実装等による方法が挙げられる。あるいは、樹脂封止後に成形品Wpから基材(ガラス製や金属製のキャリアプレート)Waを剥離する構成の場合には、熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品Wbを貼付ける方法もある。
【0024】
本実施形態においては、封止樹脂Rとして、タブレット型(例えば、円柱状)の熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等であるが、これに限定されない)が用いられる。尚、封止樹脂Rは、上記の状態に限定されるものではなく、円柱状以外の形状であってもよく、エポキシ系熱硬化性樹脂以外の樹脂であってもよい。
【0025】
また、フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。
【0026】
続いて、本実施形態に係る樹脂封止装置1の概要について説明する。
図1に示すように、樹脂封止装置1は、ワークW及び封止樹脂Rの供給等を行う供給ユニット100A、ワークWを封止樹脂Rによって樹脂封止して成形品Wpへの加工等を行うプレスユニット100B、成形品Wpの収納等を行う収納ユニット100Cを主要構成として備えている。一例として、
図1中のX方向に沿って、供給ユニット100A、プレスユニット100B、プレスユニット100B、収納ユニット100Cの順に配置されている。但し、上記の構成に限定されるものではなく、ユニット内の機器構成やユニット数(特に、プレスユニット数)、ユニットの配置順等を変更することができる。また、上記以外のユニットを備える構成とすることもできる(いずれも不図示)。
【0027】
また、樹脂封止装置1は、各ユニットにおける各機構の作動制御等を行う制御部150が供給ユニット100Aに配置されている(他のユニットに配置される構成としてもよい)。
【0028】
また、樹脂封止装置1は、各ユニット間を跨いでガイドレール300が直線状に設けられており、ワークW及び封止樹脂Rを搬送する搬送装置(第1ローダ)302、並びに成形品Wpを搬送する搬送装置(第2ローダ)304が、ガイドレール300に沿って所定のユニット間を移動可能に設けられている。但し、上記の構成に限定されるものではなく、ワークW、封止樹脂R、及び成形品Wpを搬送する共通の(一つの)搬送装置(ローダ)を備える構成としてもよい(不図示)。また、搬送装置は、ローダに代えて、ロボットハンド等を備える構成としてもよい。
【0029】
(供給ユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備える供給ユニット100Aについて詳しく説明する。
【0030】
供給ユニット100Aは、複数のワークWが収納されるワーク供給マガジン102を備えている。ここで、ワーク供給マガジン102には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられる。ワーク供給マガジン102から取出されたワークWは、ワークテーブル104上に載置される。
【0031】
また、供給ユニット100A(他のユニットとしてもよい)は、ワークテーブル104の側方位置において、封止樹脂Rを供給する樹脂供給部112を備えている。樹脂供給部112には、公知のホッパー、フィーダ等が用いられる。樹脂供給部112から供給された複数個(一例として、四個の場合を例に挙げているが、これに限定されるものではなく、あるいは、単数でもよい)の封止樹脂Rは、樹脂テーブル114の所定位置に保持される。
【0032】
ワークテーブル104に載置されたワークW及び樹脂テーブル114に保持された封止樹脂Rは、第1ローダ302に保持され、プレスユニット100Bへ搬送されて封止金型202の所定位置にセットされる。本実施形態において、ワークWは、第2金型206のワーク保持部205に載置され、封止樹脂Rは、第2金型206のポット240に収容される(工程の詳細については後述する)。
【0033】
第1ローダ302の構成例として、左右方向に沿って二列並設されてそれぞれ一個のワークWを保持可能なワーク保持部302A、302Bが設けられている。また、二列のワーク保持部302A、302Bの間の位置に、複数個(一例として、四個の場合を例に挙げているが、これに限定されるものではなく、あるいは、単数でもよい)の封止樹脂Rを前後方向に沿って保持可能な樹脂保持部302Cが設けられている。尚、ワーク保持部302A、302B、及び樹脂保持部302Cには、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成や吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成等)が用いられる(不図示)。
【0034】
上記搬送装置の変形例として、X及びY方向に移動する第1ローダ302に代えて、X方向に移動してユニット間の搬送を行う搬送装置(ローダ)と、Y方向に移動して第2金型206への搬入及びセットを行う搬送装置(ローダ)とを別個に備える構成としてもよい(不図示)。
【0035】
(プレスユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備えるプレスユニット100Bについて詳しく説明する。
【0036】
プレスユニット100Bは、開閉される一対の金型(例えば、合金工具鋼からなる複数の金型ブロック、金型プレート、その他の部材等が組み付けられたもの)を有する封止金型202を備えている。また、封止金型202を開閉駆動してワークWを樹脂封止するプレス装置250を備えている。一例として、プレス装置250を一台備える構成としているが、複数台備える構成としてもよい(不図示)。プレスユニット100Bに設けられるプレス装置250の側面図(概略図)を
図2に示し、封止金型202の正面断面図(概略図)を
図3に示す。また、封止金型202のキャビティ208及びワーク保持部205の正面断面図(概略図)を
図4に示す。
【0037】
ここで、プレス装置250は、
図2に示すように、一対のプラテン254、256と、一対のプラテン254、256が架設される複数のタイバー252と、プラテン256を可動(昇降)させる駆動装置等を備えて構成されている。具体的に、当該駆動装置は、駆動源(例えば、電動モータ)260及び駆動伝達機構(例えば、ボールねじやトグルリンク機構)262等を備えて構成されている(但し、これに限定されるものではない)。本実施形態では、鉛直方向において上方側のプラテン254を固定プラテン(タイバー252に固定されるプラテン)とし、下方側のプラテン256を可動プラテン(タイバー252に摺動可能に保持されて昇降するプラテン)として設定している。但し、これに限定されるものではなく、上下逆に、すなわち上方側を可動プラテン、下方側を固定プラテンに設定してもよく、あるいは、上方側、下方側共に可動プラテンとして設定してもよい(いずれも不図示)。
【0038】
一方、封止金型202は、
図3に示すように、プレス装置250における上記一対のプラテン254、256間に配設される一対の金型として、第1金型204及び第2金型206を備えている。本実施形態においては、鉛直方向における上方側が第1金型(上型)204であり、下方側が第2金型(下型)206である。すなわち、第1金型204が上方側のプラテン(本実施形態においては、固定プラテン254)に組み付けられ、第2金型206が下方側のプラテン(本実施形態においては、可動プラテン256)に組み付けられている。この第1金型204と第2金型206とが相互に接近・離反することで型閉じ・型開きが行われる(鉛直方向(上下方向)が型開閉方向となる)。
【0039】
また、本実施形態においては、一例として、ロール状のフィルムFを封止金型202の内部へ搬送(供給)するフィルム供給機構211が設けられている。尚、フィルムFは、ワークWの構成に応じ、ロール状に代えて短冊状のものが用いられる場合がある。
【0040】
次に、封止金型202の第2金型(下型)206について詳しく説明する。第2金型206は、
図3及び
図4に示すように、モールドベース212、チェイスブロック216、クランプブロック220等を備え、これらが組付けられて構成されている。一例として、チェイスブロック216は、モールドベース212の上に固定されており、モールドベース212は、可動プラテン256の上に固定されている。
【0041】
ここで、第2金型206には、封止樹脂Rが収容される筒状のポット240が前後方向に沿って複数個(一例として、四個の場合を例に挙げているが、これに限定されるものではなく、あるいは、単数でもよい)設けられている。ポット240は、チェイスブロック216及びクランプブロック220に連続する貫通孔として形成されている。また、ポット240内には、公知のトランスファ機構(不図示)により、プランジャ242が押動されて、ポット240内の封止樹脂Rがキャビティ208(後述)内へ供給される。
【0042】
また、第2金型206には、チェイスブロック216の上に固定されたクランプブロック220に囲われる配置で、一個もしくは複数個のワークWを保持するワーク保持部205が設けられている。より具体的には、ポット240を左右方向に挟む配置で二つのワーク保持部205(第1ワーク保持部205A及び第2ワーク保持部205B)が設けられている。このワーク保持部205は、一例として、吸引装置に連通する吸引路(孔や溝等)を有している(いずれも不図示)。具体的には、吸引路の一端が第2金型206の金型面206aに通じ、他端が第2金型206外に配設される吸引装置と接続される。これにより、吸引装置を駆動させて吸引路からワークWを吸引し、金型面206a(ここでは、ワーク保持部205)にワークWを吸着させて保持することが可能となる。上記の吸着保持機構に代えて、もしくは吸着保持機構と共に、ワークWの外周を挟持する保持爪を備える構成としてもよい(不図示)。尚、一つの第2金型206に設けられるワーク保持部205の形状や個数は、ワークWの形状や個数に応じて適宜設定される(一つもしくは複数個)。
【0043】
また、本実施形態においては、第2金型206を所定温度に加熱する第2金型加熱機構(不図示)が設けられている。この第2金型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御部150によって加熱の制御が行われる。一例として、ヒータは、モールドベース212に内蔵され、第2金型206全体及びポット240内の封止樹脂Rに熱を加える構成となっている。当該ヒータによって、第2金型206が所定温度(例えば、100℃~300℃)となるように加熱される。
【0044】
次に、封止金型202の第1金型(上型)204について詳しく説明する。第1金型204は、
図3及び
図4に示すように、モールドベース210、ガイドブロック213、チェイスブロック214、クランプブロック218等を備え、これらが組合されて構成されている。一例として、チェイスブロック214は、周縁部をガイドブロック213に囲われて固定されると共に、モールドベース210に立設された複数のサポートピラー228によって支持されている。また、ガイドブロック213は、モールドベース210の下面に固定されており、モールドベース210は、固定プラテン254の下面に固定されている。
【0045】
ここで、第1金型204には、第2金型206のポット240の直上位置(ここでは、直上における所定広さの領域を指す)に、チェイスブロック214(ここでは、チェイスブロック214に固定される部材を含む)に対して固定されて、下面にカル246及び当該カル246に連通するランナー247(の一部)が穿設されたカルブロック244が設けられている。さらに、ランナー247に連通し、ワークWの所定部位(電子部品Wb及び垂直端子Wcが配設された部位)が収容されるキャビティ208が設けられている。また、ランナー247とキャビティ208との境界位置(境界領域)がゲート248と称される箇所となる。
【0046】
本実施形態に係るキャビティ208は、チェイスブロック214の下に固定されたクランプブロック218に囲われて配置されるキャビティブロック226の下面に穿設されている。より具体的には、第2金型206の二つのワーク保持部205(第1ワーク保持部205A及び第2ワーク保持部205B)の位置に対応して、平面視でカルブロック244を挟んで左右方向(もしくは前後方向)の両側にそれぞれキャビティ208(第1キャビティ208A及び第2キャビティ208B)が配設されている。これらのワーク保持部205A、205B、及びキャビティ208A、208Bが、一つのポット240とこれに対応するカル246、ランナー247、ゲート248によって樹脂封止が行われる一組の構成単位となっている。本実施形態においては、当該構成単位が複数組、前後方向(もしくは左右方向)に並設される構成となっている。但し、これらの構成に限定されるものではなく、ワーク保持部205及びキャビティ208が、カルブロック244に対して左右方向(もしくは前後方向)の一方側にのみ配設される構成としてもよい(不図示)。また、上記の構成単位が一組のみ配設される構成としてもよい(不図示)。
【0047】
クランプブロック218の下面や、キャビティブロック226のキャビティ208凹部コーナー等には、吸引装置に連通する吸引路(孔や溝等)が設けられている(不図示)。これにより、フィルム供給機構211から供給されたフィルムFを、キャビティ208の凹部内面を含む金型面204aに吸着させて保持することができる。また、型閉じをして樹脂封止を行う際にキャビティ208内の脱気を行う金型構造としてもよい。
【0048】
キャビティブロック226には、
図5Aに示すように、所定位置に嵌合孔402が形成されている。ここでいう「所定位置」とは、第2金型206のワーク保持部205に保持されたワークWの垂直端子Wcに対応した位置である。嵌合孔402には、スリーブ部材404が嵌合されており、当該スリーブ部材404には、挿通孔406が形成されている。挿通孔406は、型閉じ時に垂直端子Wcが挿通される(ワーク保持部205に対向する第1端部406aから挿通される)逃げ孔となり、また、後述するエジェクタピン230の挿通路となる。尚、キャビティブロック226に直接挿通孔406を設ける構成であれば、必ずしもスリーブ部材404を用いる必要はない。また、挿通孔406の周囲には、
図5Bに示すように、金型面204aに吸着保持されたフィルムFをさらに吸引して張設する吸引孔408が所定間隔で複数個設けられている。
【0049】
本実施形態に係る樹脂封止装置1は、封止金型202が型閉じされるとき、垂直端子Wcが第1金型204の金型面204aに張設されたフィルムFを貫通してフィルム貫通孔Faを形成しながら挿通孔406に挿通される。それと共に、フィルム貫通孔Fa周縁のフィルムFが挿通孔406と垂直端子Wcとの隙間に引き込まれて当該隙間が閉塞される構成である。これにより、垂直端子Wcと挿通孔406との隙間への封止樹脂Rの漏出を防止し、成形品Wpの樹脂バリ(特に、垂直端子Wc周辺の樹脂のせり上がり)の発生を防止することができる。
【0050】
ここで、スリーブ部材404は、嵌合孔402に対して着脱可能に構成されていてもよい。これにより、ワークWの垂直端子Wcの種類や形状に応じてスリーブ部材404を交換することで、挿通孔406の径や内面形状等を変更することができる。また、ミスショット時における第1金型204の清掃性を向上することができる。
【0051】
本実施形態において、スリーブ部材404は、円筒状に形成されているが、嵌合孔402の形状に応じて角筒状やその他の筒状等とすることができる。尚、スリーブ部材404は、挿通孔406の第1端部406aがワーク保持部205に向けて徐々に拡径するテーパ面404aに形成されている。これにより、取付け位置や垂直度の精度が低いワークWの垂直端子Wcの先端ズレを型閉じ時に矯正し、第1端部406aから挿通孔406内へ正確に導くことができる。スリーブ部材404は、封止金型202と同じ材料(例えば、合金工具鋼等)で形成されているが、その他の材料(例えば、樹脂材料等)から形成されていてもよい。
【0052】
また、吸引孔408は、平面視において、少なくとも嵌合孔402を挟んで相対する二箇所(本実施形態においては、角度90[°]をなすように配置された四箇所)に設けられている。これにより、挿通孔406周縁のフィルムFを張設できるため、型閉じ時にフィルム貫通孔Faを形成し易くすることができる。換言すれば、フィルムFが貫通されず(フィルム貫通孔Faが形成されず)、フィルムFが垂直端子Wcに追従して垂直端子Wcと挿通孔406との隙間に過剰に引込まれるのを防止することができる。また、成形時に封止樹脂Rがフィルム貫通孔Faを介して当該フィルム貫通孔Faと金型面204aとの隙間に入り込むことを防止することができると共に、成形後の型開き時にフィルムFと成形品Wpとを確実に離型することができる。
【0053】
ここで、本実施形態に特徴的な構成として、第1金型204には、型開きと共に成形品Wpを第1金型204から離型させるエジェクタ機構が設けられている。エジェクタ機構は、エジェクタピン230、エジェクタピンプレート232、リテーナプレート234、スプリング236、段付きボルト237及びリターンピン238を備えている。一例として、エジェクタピン230の一端側(上側)は、拡径部の基端部となっていて、エジェクタピンプレート232とリテーナプレート234とに挟まれており、他端側(下側)は、挿通孔406内を型開閉方向に移動可能に挿通されている(第2端部406bから挿通孔406に挿通されている)。また、エジェクタピンプレート232の上よりザグリが施され、段付きボルト237の雄ねじ部がチェイスブロック214に螺合固定されている。段付きボルト237の周囲にはスプリング236が挿入され、段付きボルト237の頭の拡径部とザグリとの間でスプリング236が弾発しているため、エジェクタピンプレート232が常に型閉じ方向(下方向)に付勢されており、チェイスブロック214と当接することになる。尚、段付きボルト237は、カラー、ワッシャー及びボルトに代用することが可能である。リターンピン238の一端側(上側)は、拡径部の基端部となっていて、エジェクタピンプレート232に固定され先端(下側)がチェイスブロック214を挿通し、金型面204aより突出している。
【0054】
上記のエジェクタ機構によれば、型閉じ時においては、リターンピン238が第1金型204の金型面204aより突出しているため、第2金型206の金型面206aに当接し、突出量だけエジェクタピンプレート232が押し上げられる。これにより、第2金型206のワーク保持部205に保持されたワークWの垂直端子Wcを挿通孔406(第1端部406a)に対して挿通可能な状態とすることができる。一方、型開き時においては、スプリング236の付勢によって、エジェクタピンプレート232及びリテーナプレート234と共に、エジェクタピン230が型閉じ方向へ(挿通孔406の第1端部406aへ向かって)移動する。これにより、樹脂封止が完了した成形品Wpの垂直端子Wcを押動して、成形品Wpを第1金型204から確実に離型することができる。しかしながら、型開き時にリターンピン238が突出する構成では、フィルムFが突出量だけ伸ばされるという問題が生じる。それを避けるために、変形例として、リターンピン238の下端部を第1金型204の金型面204aと同一面にし、第2金型206に設けられた突上げピン(可動機構(不図示)により、型閉じ時において第1金型204側に押動される)(不図示)がリターンピン238を突上げることで、エジェクタピンプレート232及びリテーナプレート234と共に、エジェクタピン230が型開き方向へ(挿通孔406の第2端部406bへ向かって)移動する構成としてもよい。
【0055】
また、本実施形態においては、第1金型204を所定温度に加熱する第1金型加熱機構(不図示)が設けられている。この第1金型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御部150によって加熱の制御が行われる。一例として、ヒータは、モールドベース210に内蔵され、第1金型204全体、並びにキャビティ208及び樹脂流路246、247、248内に充填される溶融状態の封止樹脂Rに熱を加える構成となっている。当該ヒータによって、第1金型204が所定温度(例えば、100℃~300℃)となるように加熱される。
【0056】
(収納ユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備える収納ユニット100Cについて詳しく説明する。
【0057】
プレスユニット100Bで成形された成形品Wp(不要樹脂部分が含まれた状態)は、第2ローダ304に保持されて封止金型202から搬出され、収納ユニット100Cへ搬送される。尚、第2ローダ304における成形品Wpの保持機構には、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成や吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成等)が用いられる(不図示)。
【0058】
上記搬送装置の変形例として、X及びY方向に移動する第2ローダ304に代えて、X方向に移動してユニット間の搬送を行う搬送装置(ローダ)と、Y方向に移動して封止金型202からの搬出を行う搬送装置(ローダ)とを別個に備える構成としてもよい(不図示)。
【0059】
収納ユニット100Cは、第2ローダ304によって搬送された成形品Wpを載置する成形品テーブル122と、成形品テーブル122上に載置された成形品Wpから不要樹脂部分を除去するディゲート機構124と、を備えている。不要樹脂部分が除去された成形品Wpは、複数の成形品Wpが収納される収納マガジン126に収納される。ここで、収納マガジン126には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられる。
【0060】
(樹脂封止動作)
続いて、上記樹脂封止装置1を用いて実施される本実施形態に係る樹脂封止方法の工程について説明する。ここでは、一個の第1金型(上型)204に二組のキャビティ208を設けると共に、一個の第2金型(下型)206に二個のワークWを並列配置して一括して樹脂封止を行い、成形品Wpを得る構成を例に挙げる。但し、この構成に限定されるものではなく、一個のワークWを配置もしくは複数個のワークWを前後左右に行列に並列配置して、樹脂封止する構成としてもよい。
図6~
図13は、各工程の説明図であって、
図3と同方向の正面断面図として図示する。
【0061】
先ず、第1準備工程を実施する。第1準備工程は、以下の工程を有している。第1金型加熱機構により第1金型204を所定温度(例えば、100℃~300℃)に調整して加熱する加熱工程(第1金型加熱工程)を実施する。また、第2金型加熱機構により第2金型206を所定温度(例えば、100℃~300℃)に調整して加熱する加熱工程(第2金型加熱工程)を実施する。また、フィルム供給機構211を作動させて新しいフィルムFを供給して、第1金型204におけるキャビティ208の内面を含む金型面204aの所定領域を覆うように吸着させるフィルム供給工程を実施する。フィルム供給工程は、嵌合孔402の内周面と、スリーブ部材404の外周面と、の間に設けられた吸引孔408からフィルムFを吸引して張設する工程を有する。
【0062】
第1準備工程と前後して、もしくは並行して、第2準備工程を実施する。第2準備工程は、以下の工程を有している。公知のプッシャ(不図示)によって、ワーク供給マガジン102からワークWを一つずつ搬出し、ワークテーブル104の上面に載置する工程を実施する(尚、公知のピックアップ機構等を併用してもよい)。また、公知のフィーダやエレベータ等(不図示)によって、樹脂供給部112から円筒状のタブレットの封止樹脂Rを一つずつ搬出し、樹脂テーブル114の所定位置に複数個(一例として、四個)の封止樹脂Rを保持する工程を実施する。
【0063】
第2準備工程の後に、第1ローダ302にワークW及び封止樹脂Rを保持するワーク・封止樹脂ピックアップ工程を実施する。具体的には、第1ローダ302をワークテーブル104の直上に移動させる。次いで、ワークテーブル104を上昇させ(もしくは、第1ローダ302を下降させ)、ワーク保持部302A、302BによってワークWを保持する(本実施形態においては、ワーク保持部302A、302Bがそれぞれ一個のワークWを保持する)。次いで、第1ローダ302を樹脂テーブル114の直上に移動させる。次いで、樹脂テーブル114を上昇させ(もしくは、第1ローダ302を下降させ)、樹脂保持部302Cによって封止樹脂Rを保持する(本実施形態においては、樹脂保持部302Cが四個の封止樹脂Rを保持する)。
【0064】
ワーク・封止樹脂ピックアップ工程の後に、封止金型202内へワークW及び封止樹脂Rを搬送し、第2金型206の所定位置で保持するワーク・封止樹脂載置工程を実施する。具体的には、複数個(本実施形態においては、二個)のワークW及び複数個(本実施形態においては、四個)の封止樹脂Rを保持した第1ローダ302を封止金型202内に移動する。次いで、第2金型206における各ワーク保持部205(本実施形態においては、ワーク保持部205A、205B)にそれぞれワークWを保持(載置)すると共に、第2金型206における複数個(本実施形態においては、四個)のポット240にそれぞれ封止樹脂Rを保持(収容)する(
図6参照)。尚、搬送途中において、第1ローダ302に設けられたヒータ(不図示)によってワークWや封止樹脂Rを予備加熱する工程(予備加熱工程)を実施してもよい。
【0065】
ワーク・封止樹脂載置工程の後に、封止金型202を型閉じする型閉じ工程を実施する。具体的には、駆動源260及び駆動伝達機構262を駆動して可動プラテン256を上方へ移動し、第2金型206を第1金型204に向かって(すなわち、上方へ)移動する。ここで、第1金型204のリターンピン238が第2金型206の金型面206aに当接して押し上げられる(もしくは、第2金型206に突上げピンを有する場合(前記変形例)は、第2金型206の突上げピンが第1金型204のリターンピン238を突上げる)ことで、エジェクタピンプレート232及びリテーナプレート234と共に、エジェクタピン230が型開き方向へ(挿通孔406の第2端部406bへ向かって)移動する。また、並行して、第2金型206のワーク保持部205に保持されたワークWの垂直端子WcがフィルムFを貫通してフィルム貫通孔Faを形成すると共に、第1金型204の挿通孔406(第1端部406a)に対して垂直端子Wcが挿通される(
図7及び
図8参照)。第2金型206の移動は、ワークW(基材Wa)に対して第1金型204のキャビティブロック226が当接し、ワークWをクランプした状態となるまで行われる(
図9及び
図10参照)。ここで、第2金型206のフィルム貫通孔Fa周縁のフィルムFが挿通孔406と垂直端子Wcとの隙間に引き込まれて当該隙間が閉塞された状態となる。
【0066】
型閉じ工程の後に、ワークWを封止樹脂Rにより封止して成形品Wpに加工する樹脂封止工程を実施する。具体的には、トランスファ駆動機構を作動させて、プランジャ242を第1金型204の方向へ押動し、溶融した封止樹脂Rを第1金型204のカル246に押し当て、当該カル246に連通するランナー247等を通過させて、キャビティ208内へ圧送する(
図11及び
図12参照)。これにより、封止樹脂Rが熱硬化して樹脂封止(トランスファ成形)が完了する。
【0067】
樹脂封止工程の後に、封止金型202を型開きする型開き工程(使用済みのフィルムFとの分離も含む)を実施する。具体的には、駆動源260及び駆動伝達機構262を駆動して可動プラテン256を下方へ移動し、第2金型206を第1金型204から離反させる。離反時に、金型面204aまで埋没していたリターンピン238がスプリング236の付勢力によって突出することにより、エジェクタピン230が垂直端子Wcを押し出して確実に離型することができる(
図13参照)。もしくは、第2金型206に突上げピンを有する場合(前記変形例)は、離反時に、第2金型206の突上げピンによる第1金型204のリターンピン238の突上げが解放されることで、スプリング236の型閉じ方向への付勢力によって、エジェクタピンプレート232及びリテーナプレート234と共に、エジェクタピン230が型閉じ方向へ(挿通孔406の第1端部406aへ向かって)移動し、樹脂封止が完了した成形品Wpの垂直端子Wcを押動して、成形品Wpを第1金型204から離型する。突上げピンを設ける理由は、離型タイミングを型開きとは別に設定することができる点にある。
【0068】
型開き工程の後に、第2ローダ304によって、成形品Wp(本実施形態においては、カル部、ランナー部、ゲート部等の不要樹脂部分を含み、それらを介して二個のワークWが連結された状態)を封止金型202内から搬出し、成形品テーブル122へ搬出する成形品搬出工程を実施する。また、成形品搬出工程の後に、もしく並行して、フィルム供給機構211を作動させて、使用済みのフィルムFを封止金型202内から送り出し、新しいフィルムFを封止金型202内へ送り込んでセットするフィルム供給工程を実施する。
【0069】
成形品搬出工程の後に、ディゲート機構124において成形品Wpからカル部、ランナー部、ゲート部等の不要樹脂部分を除去するディゲート工程を実施する。次いで、公知のプッシャ等(不図示)によって、成形品Wp(不要樹脂部分が除去された状態)を一つずつ収納マガジン126へ搬入する工程を実施する。尚、これらの工程の前に、成形品Wpのポストキュアを行う工程を実施してもよい。
【0070】
以上が樹脂封止装置1を用いて行う樹脂封止方法の主要工程である。但し、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。
【0071】
以上説明した通り、本発明によれば、垂直端子を搭載するワークを型開き時に確実に離型させることができる樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することができる。
【0072】
尚、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。上記の実施形態においては、樹脂封止工程の型閉じ時にワークWの垂直端子WcによってフィルムFにフィルム貫通孔Faを形成するが、予めフィルム貫通孔Faが形成されたフィルムを使用することもできる(フィルム貫通孔Faを形成する機構を配置してもよい)。また、フィルムFを第1金型204に吸着した後に、垂直端子WcによってフィルムFにフィルム貫通孔Faを形成する前に穴あけ専用治具(不図示)を用いてフィルムFにフィルム貫通孔Faを形成してもよい。これにより、特に、垂直端子Wcの先端形状が先細りする形状(例えば、錐状や砲丸状等)ではない場合において、フィルムFが貫通されず(フィルム貫通孔Faが形成されず)、フィルムFが垂直端子Wcに追従して垂直端子Wcと挿通孔406との隙間に過剰に引込まれるのを防止することができる。
【0073】
また、上記の実施形態においては、トランスファ成形方式による樹脂封止装置及び樹脂封止方法を例に挙げて説明したが、圧縮成形方式による樹脂封止装置及び樹脂封止方法にも適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 樹脂封止装置
100A 供給ユニット
100B プレスユニット
100C 収納ユニット
202 封止金型
204 第1金型
206 第2金型
230 エジェクタピン
402 嵌合孔
404 スリーブ部材
406 挿通孔
408 吸引孔
F リリースフィルム
R 封止樹脂
W ワーク
Wa 基材
Wb 電子部品
Wc 垂直端子