(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025040344
(43)【公開日】2025-03-24
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20250314BHJP
【FI】
H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147224
(22)【出願日】2023-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】粟津 正志
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA32
5E316CC02
5E316CC04
5E316CC09
5E316CC32
5E316CC34
5E316CC37
5E316CC38
5E316CC39
5E316DD33
5E316EE08
5E316EE39
5E316HH24
(57)【要約】
【課題】信頼性が高いプリント配線板の提供。
【解決手段】プリント配線板の製造方法は、第一導体層を形成することと、前記第一導体層を被覆する層間絶縁層を形成することと、前記層間絶縁層上に第二導体層を形成することと、を含み、前記層間絶縁層の形成が、前記第一導体層を被覆する樹脂フィルムを積層することと、前記樹脂フィルムを硬化させることと、前記樹脂フィルム上の凹凸を検知することと、検知した凹部に未硬化樹脂を充填することと、前記未硬化樹脂を硬化させることを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一導体層を形成することと、
前記第一導体層を被覆する層間絶縁層を形成することと、
前記層間絶縁層上に第二導体層を形成することと、
を含むプリント配線板の製造方法であって、
前記層間絶縁層の形成が、
前記第一導体層を被覆する樹脂フィルムを積層することと、
前記樹脂フィルムを硬化させることと、
前記樹脂フィルム上の凹凸を検知することと、
検知した凹部に未硬化樹脂を充填することと、
前記未硬化樹脂を硬化させることを含む。
【請求項2】
請求項1に記載にプリント配線板の製造方法であって、
自動光学検査により前記凹凸を検知する。
【請求項3】
第一導体層を形成することと、
前記第一導体層を被覆する層間絶縁層を形成することと、
前記層間絶縁層上に第二導体層を形成することと、
を含むプリント配線板の製造方法であって、
前記層間絶縁層の形成が、
前記第一導体層を被覆する樹脂フィルムを積層することと、
前記樹脂フィルムを硬化させることと、
前記樹脂フィルムと絶縁層及び前記絶縁層上に形成される前記第一導体層との間並びに前記樹脂フィルム内の空隙を検知することと、
検知した前記空隙に向けて前記樹脂フィルムに貫通孔を形成することと、
前記空隙及び前記貫通孔に未硬化樹脂を充填することと、
前記未硬化樹脂を硬化させることを含む。
【請求項4】
請求項3に記載にプリント配線板の製造方法であって、
自動光学検査により前記空隙を検知する。
【請求項5】
請求項1又は請求項3に記載にプリント配線板の製造方法であって、
レーザの照射により前記未硬化樹脂を硬化させる。
【請求項6】
請求項1又は請求項3に記載にプリント配線板の製造方法であって、
前記未硬化樹脂の硬化後、硬化樹脂の表面を平坦にすることを含む。
【請求項7】
請求項1又は請求項3に記載にプリント配線板の製造方法であって、
前記未硬化樹脂は、前記樹脂フィルムを形成する樹脂と同じ樹脂である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示する技術は、プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基体上に所定のパターンで配置された配線層と、配線層を覆う層間絶縁層とを含む半導体装置が開示されている。この半導体装置の層間絶縁層は、基体上に所定のパターンで配置される応力緩和絶縁層と、配線層および前記応力緩和絶縁層を覆い、かつ、流動性絶縁体から形成される平坦化絶縁層と、含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年のプリント配線板では、層間絶縁層の層厚を薄くする傾向がある。フィルム状の絶縁材料で層厚が薄い層間絶縁層を形成する場合、製造時に層間絶縁層の表面に凹凸が発生しやすくなる。また、層間絶縁層の内部に空隙が発生しやすくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、
第一導体層を形成することと、
前記第一導体層を被覆する層間絶縁層を形成することと、
前記層間絶縁層上に第二導体層を形成することと、
を含むプリント配線板の製造方法であって、
前記層間絶縁層の形成が、
前記第一導体層を被覆する樹脂フィルムを積層することと、
前記樹脂フィルムを硬化させることと、
前記樹脂フィルム上の凹凸を検知することと、
検知した凹部に未硬化樹脂を充填することと、
前記未硬化樹脂を硬化させることを含む。
【0006】
本開示の一態様では、第一導体層を被覆する樹脂フィルムを硬化させた後、樹脂フィルム上の凹凸を検知し、検知した凹部に未硬化樹脂を充填し、充填した未硬化樹脂を硬化させる。これにより樹脂フィルム上の凹部が埋められる。樹脂フィルム上の凹部が埋められることによって、プリント配線板の凹部に起因する層間ショートの発生が抑制される。すなわち、本開示の一態様によれば、信頼性の高いプリント配線板を製造することができる。
【0007】
本開示の他の態様は、
第一導体層を形成することと、
前記第一導体層を被覆する層間絶縁層を形成することと、
前記層間絶縁層上に第二導体層を形成することと、
を含むプリント配線板の製造方法であって、
前記層間絶縁層の形成が、
前記第一導体層を被覆する樹脂フィルムを積層することと、
前記樹脂フィルムを硬化させることと、
前記樹脂フィルムと絶縁層及び前記絶縁層上に形成される前記第一導体層との間並びに前記樹脂フィルム内の空隙を検知することと、
検知した前記空隙に向けて前記樹脂フィルムに貫通孔を形成することと、
前記空隙及び前記貫通孔に未硬化樹脂を充填することと、
前記未硬化樹脂を硬化させることを含む。
【0008】
本開示の他の態様では、第一導体層を被覆する樹脂フィルムを硬化させた後、樹脂フィルムと絶縁層及び第一導体層との間並びに樹脂フィルム内の空隙を検知し、検知した空隙に向けて樹脂フィルムに貫通孔を形成し、空隙及び貫通孔に未硬化樹脂を充填し、充填した未硬化樹脂を硬化させる。これにより樹脂フィルムと絶縁層及び第一導体層との間並びに樹脂フィルム内の空隙が埋められる。空隙が埋められることによって、プリント配線板の空隙に起因する層間ショートの発生が抑制される。すなわち、本開示の他の態様によれば、信頼性の高いプリント配線板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は実施形態の製造方法を用いて製造されるプリント配線板を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2はプリント配線板の製造工程において、第一導体層を樹脂フィルムで被覆する工程を説明するための断面図である。
【
図3】
図3は硬化させた樹脂フィルム上の凹凸を検知する工程を説明するための断面図である。
【
図4】
図4は
図3において検知した凹部に未硬化樹脂を充填する工程を説明するための断面図である。
【
図5】
図5は
図4において充填した未硬化樹脂を硬化させる工程を説明するための断面図である。
【
図6】
図6は
図5において硬化させた樹脂の表面を平坦化させる工程を説明するための断面図である。
【
図7】
図7は硬化させた樹脂フィルムと絶縁層及び第一導体層との間並びに樹脂フィルム内の空隙を検知する工程を説明するための断面図である。
【
図8】
図8は検知した空隙に向けて樹脂フィルムに貫通孔を形成する工程を説明するための断面図である。
【
図9】
図9は
図8において検知した空隙及び貫通孔に未硬化樹脂を充填する工程を説明するための断面図である。
【
図10】
図10は
図9において充填した未硬化樹脂を硬化させる工程を説明するための断面図である。
【
図11】
図11は
図10において硬化させた樹脂の表面を平坦化させる工程を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施形態の一例を詳細に説明する。
各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0011】
図1は実施形態の製造方法を用いて製造されるプリント配線板20を模式的に示す断面図である。
図1に示されるように、プリント配線板20は、絶縁層22を備える。また、プリント配線板20は、第一導体層24と、層間絶縁層26と、第二導体層28と、を備える。
【0012】
絶縁層22は樹脂を用いて形成される。絶縁層22は例えばシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層22は例えばガラスクロス等の補強材を含んでもよい。絶縁層22は、第一面22A(図中の上面)と第一面22Aと反対側の第二面22B(図中の下面)を有する。
【0013】
第一導体層24は、絶縁層22上に配置される。具体的には、第一導体層24は絶縁層22の第一面22A上に配置される。第一導体層24はプリント配線板20の第一配線パターン(言い換えると、第一導体回路パターン)を形成する。第一導体層24は、導電性を有する材料を用いて形成される。導電性を有する材料は、例えば、金属材料である。金属材料としては、例えば、銅、金、銀、ニッケル、アルミニウム、またはこれらを用いた合金が挙げられる。
【0014】
層間絶縁層26は、第一導体層24上に配置される。具体的には、第一導体層24の上面と絶縁層22の第一面22Aに配置される。言い換えると、層間絶縁層26は、第一導体層24を被覆する。層間絶縁層26は熱硬化性樹脂によって構成される。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。なお、層間絶縁層26は光硬化性樹脂によって構成されてもよい。層間絶縁層26は例えばシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層22は例えばガラスクロス等の補強材を含んでもよい。
【0015】
第二導体層28は、層間絶縁層26上に配置される。具体的には、第二導体層28は層間絶縁層26の表面26S上に配置される。層間絶縁層26の表面26Sは、層間絶縁層26の絶縁層22に対して反対側の面である。第二導体層28はプリント配線板20の第二配線パターン(言い換えると、第二導体回路パターン)を形成する。第二導体層28は、第一導体層24と同様の材料を用いて形成される。第二配線パターンは、例えば、層間絶縁層26を貫通する貫通導体(図示省略)を用いて第一配線パターンと電気的に接続される。
【0016】
次に本実施形態のプリント配線板の製造方法について説明する。なお、本実施形態の製造方法では、一例としてプリント配線板20を製造する。またプリント配線板の製造方法としてはセミアディティブ法、フルアディティブ法を用いることができる。
【0017】
まず、
図2に示されるように、絶縁層22の第一面22A上に第一導体層24を形成する。
【0018】
次に、第一導体層24を被覆する層間絶縁層26を形成する。ここで層間絶縁層26は以下の工程を得て形成される。
【0019】
(積層工程)
まず、
図2に示されるように、第一導体層24を被覆する樹脂フィルム26Fを第一導体層24の上面及び絶縁層22の第一面22A上に積層する。なお樹脂フィルム26Fは層間絶縁層26を構成する材料である。
【0020】
(第一硬化工程)
次に、
図3に示されるように、第一導体層24上に積層された樹脂フィルム26Fを硬化させる。例えば、加熱炉(例えば電気炉)からの熱によって樹脂フィルム26Fを硬化させてもよい。なお、本実施形態では、加熱の際に樹脂フィルム26F上に凹凸が生じ、硬化後の樹脂フィルム26F上に凹部50(
図3参照)が形成されている。
【0021】
(検知工程)
次に、樹脂フィルム26F上の凹凸を検知する。自動光学検査により樹脂フィルム26F上の凹凸を検知してもよい。
【0022】
(充填工程)
次に、
図4に示されるように、凹部50を検知した場合、検知した凹部50に未硬化樹脂52を充填する。未硬化樹脂52は、樹脂フィルム26Fを形成する樹脂と同じ樹脂を用いることが好ましい。また凹部50への未硬化樹脂52の充填方法としては、凹部50近傍までノズル(図示省略)の先端を近づけ、該ノズルから未硬化樹脂52を凹部50へ充填する方法でもよいし、未硬化樹脂52をノズル先端から凹部50へ向けて射出して未硬化樹脂52を凹部50へ充填する方法でもよい。また、その他の方法で未硬化樹脂52を凹部50へ充填してもよい。なお、凹部50に対する未硬化樹脂52の充填量は、凹部50を全て埋められる量よりも多めに設定することが好ましい。
【0023】
(第二硬化工程)
次に、
図5に示されるように、凹部50に充填された未硬化樹脂52を硬化させる。例えば、レーザの照射により未硬化樹脂52を硬化させてもよい。なお、
図5中の二点鎖線は、樹脂で埋められた凹部50を示している。本実施形態では、凹部50に対して未硬化樹脂52の充填量が多いため、硬化樹脂54の表面が凸状に盛り上がる。
【0024】
(平坦化工程)
次に、
図6に示されるように、未硬化樹脂52の硬化後、硬化樹脂54の凸状に盛り上がった表面を平坦にする。また硬化樹脂54の表面を平坦化する方法としては、例えば、硬化樹脂54の表面を削る削り部材を用いることにより硬化樹脂54の表面を機械的に削り平坦化させる方法でもよいし、レーザの照射により硬化樹脂54の表面を光学的に削り平坦化させる方法でもよい。また、その他の方法で硬化樹脂54の表面を削り平坦化させてもよい。
【0025】
上記のようにして層間絶縁層26が形成される。層間絶縁層26が形成された後は、層間絶縁層26上に第二導体層28を形成する。
【0026】
層間絶縁層26上に第二導体層28が形成されることによりプリント配線板20の製造が完了する。
【0027】
次に本実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、第一導体層24を被覆する樹脂フィルム26Fを硬化させた後、樹脂フィルム26F上の凹凸を検知し、検知した凹部50に未硬化樹脂52を充填し、充填した未硬化樹脂52を硬化させる。これにより樹脂フィルム26F上の凹部50が埋められる。樹脂フィルム26F上の凹部50が埋められることによって、例えば、凹部50を残している構成と比べて、プリント配線板20の凹部50に起因する層間ショートの発生が抑制される。すなわち、本実施形態のプリント配線板の製造方法によれば、信頼性の高いプリント配線板を製造することができる。
【0028】
また本実施形態では、自動光学検査により樹脂フィルム26F上の凹凸を検知するため、例えば、作業者が目視で樹脂フィルム26F上の凹凸を検知する場合と比べて、検査にかかる時間を短縮することができる。
【0029】
また本実施形態では、レーザの照射により未硬化樹脂52を硬化させるため、例えば、加熱炉を通して未硬化樹脂52を硬化させる場合と比べて、短時間で未硬化樹脂52を硬化させることができる。
【0030】
また本実施形態では、未硬化樹脂52の硬化後、硬化樹脂54の表面を平坦にするため、例えば、硬化樹脂54の表面を平坦にしない場合と比べて、第二導体層28を所定の位置に所定の形状で層間絶縁層26の表面26Sに形成することができる。
【0031】
また本実施形態では、未硬化樹脂52として樹脂フィルム26Fを形成する樹脂と同じ樹脂を用いるため、硬化後の硬化樹脂54と樹脂フィルム26Fの物性が同じになり、例えば、物性が異なる場合と比べて、硬化樹脂54と樹脂フィルム26Fとの間に不具合が生じにくい。
【0032】
次に本実施形態のプリント配線板の製造方法の他の実施例について説明する。他の実施例では、層間絶縁層の形成方法が、前述の実施例と異なる。なお、他の実施例は、前述の実施例と同様に、一例としてプリント配線板20を製造するものである。
【0033】
他の実施例では以下の工程を経て層間絶縁層26が形成される。
【0034】
(積層工程)
まず、
図2に示されるように、第一導体層24を被覆する樹脂フィルム26Fを第一導体層24の上面及び絶縁層22の第一面22A上に積層する。なお樹脂フィルム26Fは層間絶縁層26を構成する材料である。
【0035】
(第一硬化工程)
次に、
図7に示されるように、第一導体層24上に積層された樹脂フィルム26Fを硬化させる。例えば、加熱炉(例えば電気炉)からの熱によって樹脂フィルム26Fを硬化させてもよい。なお、本実施形態では、加熱の際に樹脂フィルム26Fと絶縁層22との間に隙間が生じ、硬化後の樹脂フィルム26Fと絶縁層22との間に空隙60(
図7参照)が形成されている。
【0036】
(検知工程)
次に、樹脂フィルム26Fと絶縁層22及び第一導体層24との間、並びに、樹脂フィルム26F内の空隙を検知する。自動光学検査により樹脂フィルム26Fと絶縁層22及び第一導体層24との間、並びに、樹脂フィルム26F内の空隙を検知してもよい。
【0037】
(貫通孔形成工程)
次に、
図8に示されるように、空隙60を検知した場合、検知した空隙60に向けて樹脂フィルム26Fに貫通孔62を形成する。樹脂フィルム26Fに対する貫通孔62の形成方法は、例えば、ドリル等の切削工具を用いて樹脂フィルム26Fに貫通孔62を形成する方法でもよいし、レーザの照射により樹脂フィルム26Fに貫通孔62を形成する方法でもよい。また、その他の方法で貫通孔62を形成してもよい。
また空隙60が樹脂フィルム26Fと絶縁層22との間にある場合は、貫通孔62の最大長さは、樹脂フィルム26Fの厚み以下とすることが好ましい。このように設定することで貫通孔62が絶縁層22に形成されるのを抑制することができる。
また空隙60が樹脂フィルム26Fと第一導体層24との間にある場合は、貫通孔62の最大長さは、樹脂フィルム26Fの厚みと第一導体層24の厚みとの差分以下とすることが好ましい。このように設定することで貫通孔62が第一導体層24に形成されるのを抑制することができる。
また空隙60が樹脂フィルム26F内にある場合は、貫通孔62の最大長さは、貫通孔62の最大長さは、樹脂フィルム26Fの厚みと第一導体層24の厚みとの差分以下とすることが好ましい。このように設定することで貫通孔62が第一導体層24に形成されるのを抑制することができる。これにより貫通孔62が絶縁層22に形成されるのも抑制することができる。
【0038】
(充填工程)
次に、
図9に示されるように、検知した空隙60及び貫通孔62に未硬化樹脂64を充填する。未硬化樹脂64は、樹脂フィルム26Fを形成する樹脂と同じ樹脂を用いることが好ましい。また空隙60及び貫通孔62への未硬化樹脂64の充填方法としては、貫通孔62近傍までノズル(図示省略)の先端を近づけ、該ノズルから未硬化樹脂64を貫通孔62及び空隙60へ充填する方法でもよいし、未硬化樹脂64をノズル先端から貫通孔62へ向けて射出して未硬化樹脂64を貫通孔62及び空隙60へ充填する方法でもよい。また、その他の方法で未硬化樹脂64を貫通孔62及び空隙60へ充填してもよい。なお、空隙60及び貫通孔62に対する未硬化樹脂64の充填量は、空隙60及び貫通孔62を全て埋められる量よりも多めに設定することが好ましい。
【0039】
(第二硬化工程)
次に、
図10に示されるように、貫通孔62及び空隙60に充填された未硬化樹脂64を硬化させる。例えば、レーザの照射により未硬化樹脂64を硬化させてもよい。なお、
図10中の二点鎖線は、樹脂で埋められた貫通孔62を示している。本実施形態では、空隙60及び貫通孔62に対して未硬化樹脂64の充填量が多いため、硬化樹脂66の表面が凸状に盛り上がる。
【0040】
(平坦化工程)
次に、
図11に示されるように、未硬化樹脂64の硬化後、硬化樹脂66の凸状に盛り上がった表面を平坦にする。また硬化樹脂66の表面を平坦化する方法としては、例えば、硬化樹脂66の表面を削る削り部材を用いることにより硬化樹脂66の表面を機械的に削り平坦化させる方法でもよいし、レーザの照射により硬化樹脂66の表面を光学的に削り平坦化させる方法でもよい。また、その他の方法で硬化樹脂66の表面を削り平坦化させてもよい。
【0041】
上記のようにして層間絶縁層26が形成される。
【0042】
次に本実施形態の他の実施例の作用について説明する。なお、前述した実施形態の実施例と同一の構成によって得られる作用については、他の実施例でも得られるため、説明を省略する。
【0043】
本実施形態の他の実施例では、第一導体層24を被覆する樹脂フィルム26Fを硬化させた後、樹脂フィルム26Fと絶縁層22及び第一導体層24との間並びに樹脂フィルム26F内の空隙60を検知し、検知した空隙60に向けて樹脂フィルム26Fに貫通孔62を形成し、空隙60及び貫通孔62に未硬化樹脂64を充填し、充填した未硬化樹脂64を硬化させる。これにより樹脂フィルム26Fと絶縁層22及び第一導体層24との間並びに樹脂フィルム26F内の空隙60が埋められる。空隙60が埋められることによって、プリント配線板20の空隙60にめっき液等が入り込むことに起因する層間ショートの発生が抑制される。すなわち、本実施形態の他の実施例によれば、信頼性の高いプリント配線板20を製造することができる。
【0044】
前述の実施形態では、樹脂フィルム26F上に凹部50が形成される場合と、樹脂フィルム26Fと絶縁層22及び第一導体層24との間並びに樹脂フィルム26F内のいずれかに空隙60が形成される場合について説明したが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、樹脂フィルム26F上、樹脂フィルム26Fと絶縁層22及び第一導体層24との間、並びに、樹脂フィルム26F内の少なくとも二箇所以上に凹部50又は空隙60が形成されてもよい。この場合には、本実施形態の実施例及び他の実施例で用いる製造方法で凹部又は空隙を埋めることで、森羅性の高いプリント配線板20を製造することができる。
【0045】
前述の実施形態のプリント配線板20は、絶縁層22上に第一導体層24、層間絶縁層26、第二導体層28が積層されているが、本開示はこの構成に限定されない。第二導体層28上に層間絶縁層と導体層が交互に複数層積層されてもよい。この場合には、層間絶縁層の形成のたびに凹部及び/又は空隙を自動光学検査により検知し、凹部及び/又は空隙を樹脂で埋めてもよい。
【0046】
本開示のプリント配線板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。
【符号の説明】
【0047】
20 プリント配線板
22 絶縁層
24 第一導体層
26 層間絶縁層
26F 樹脂フィルム
26S 表面
28 第二導体層
50 凹部
52 未硬化樹脂
54 硬化樹脂
60 空隙
62 貫通孔
64 未硬化樹脂
66 硬化樹脂