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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025040466
(43)【公開日】2025-03-25
(54)【発明の名称】自動車用ウェザーストリップ
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/248 20160101AFI20250317BHJP
   B60J 10/84 20160101ALI20250317BHJP
   B60J 10/26 20160101ALI20250317BHJP
【FI】
B60J10/248
B60J10/84
B60J10/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147290
(22)【出願日】2023-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】李 志▲煥▼
(72)【発明者】
【氏名】山咲 知也
(72)【発明者】
【氏名】久我 始
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA01
3D201BA01
3D201CA03
3D201DA09
3D201DA10
3D201DA26
3D201DA31
3D201DA36
(57)【要約】
【課題】ドア閉じ性の悪化を抑制しつつ、水圧を利用して支持壁により突起部をドアパネルに押し付ける力を付与して中空シール部のシール性能を高めて車内への水の侵入を抑制し得る自動車用ウェザーストリップを提供する。
【解決手段】車体のドア開口縁に沿って形成されたフランジ部05に取り付けられ、車内側側壁23と車外側側壁24とを有する取付基部22と、車外側側壁の外面に一体に設けられ、ドアに弾接する中空シール部26と、該中空シール部の内部に設けられ、車内側シール部29と車外側シール部30に分ける直線状の支持壁31と、を備え、車外側シール部の外面に設けられた第1突起部32と反対側の外面に水圧が掛かった際に、この水圧によって支持壁を介して第1突起部に、ドアパネル06に対する押付け力を付与する構成とした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のドア開口縁に沿って形成されたフランジ部に取り付けられ、車内側側壁と車外側側壁及び当該両側壁を連結する連結壁とを有する取付基部と、前記車外側側壁の外面に一体に設けられ、ドア閉時に、ドアパネルが弾接する中空シール部と、を備えた自動車用ウェザーストリップであって、
前記中空シール部の内部に、前記車外側側壁側の車内側シール部と中空シール部の先端部側に有し、前記ドアパネルが当接する車外側シール部とに仕切る直線状の支持壁を設け、
前記中空シール部の外面であって、前記支持壁の一方の端部が結合された部位の外面に、ドア閉時に、前記ドアパネルが当接する突起部を設け、
前記車外側シール部の前記突起部と反対側の外面に水圧が掛かった際に、この水圧によって前記支持壁を介して前記突起部に、前記ドアパネルに対する押付け力を付与する構成としたことを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用ウェザーストリップであって、
前記支持壁は、前記中空シール部の内面に結合された車内側の一端部から車外側の前記一方の端部である他端部の方向へ前記車外側側壁から離れるように傾斜状に形成されていることを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
【請求項3】
請求項1に記載された自動車用ウェザーストリップであって、
前記中空シール部の外面であって、前記突起部よりも車外側シール部の先端側の外面に、ドア閉時に、ドアパネルが当接する第2突起部を設けたことを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
【請求項4】
請求項1に記載された自動車用ウェザーストリップであって、
前記中空シール部は、一端部が前記車外側側壁の前記連結壁近傍に結合されていると共に、他端部が前記車外側側壁の前記取付基部の開口部付近の端部に結合され、前記一端部側の外面に、先端部が前記連結壁の外面に当接するリップ部を有することを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側のドア開口部の周縁に装着されて、ドアの周縁部に弾接して車室内外をシールする自動車用ウェザーストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のドア開口部における従来の自動車用ウェザーストリップ(以下、単にウェザーストリップと称する。)としては、以下の特許文献1に記載したものが知られている。
【0003】
図1は本発明及び従来の自動車用ウェザーストリップが適用される自動車の斜視図、図4はドア開状態における従来の自動車用ウェザーストリップを示す図1のA-A線断面図、図5はドア閉時における従来の自動車用ウェザーストリップを示す図1のA-A線断面図である。
【0004】
この公報記載の従来のウェザーストリップ1は、図1及び図4に示すように、自動車01の車体における例えばフロントドア02のドア開口部03の周縁に沿って形成された複数の金属パネル04を重ね合わせてなるフランジ部05に取り付けられている。なお、リアドア02´のドア開口部03´の周縁部にも同じ構造のウェザーストリップ1´が設けられているが、以下では、フロントドア02側のドア開口部03に取り付けられたウェザーストリップ1について説明する。
【0005】
このウェザーストリップ1は、図4及び図5に示すように、前記フランジ部05の先端部に挿入嵌合し、車内側側壁3と車外側側壁4及び両側壁3、4を連結する連結壁5とを有する逆U字形状の取付基部2と、該取付基部2の車外側側壁4の外面に一体に設けられ、フロントドア02の閉時に、該フロントドア02の周縁部のドアパネル06が弾接するスポンジゴム材の中空シール部6と、を有している。
【0006】
前記取付基部2は、車外側側壁4の内面に前記フランジ部05の車外側側面に当接する複数の突状部7が一体に設けられている。一方、車内側側壁3の連結壁5と反対側の下端部内面には、保持リップ8が車外側側壁4方向へ突設されており、前記各突状部7と保持リップ8によって前記フランジ部05に挟持状態で保持されるようになっている。
【0007】
前記中空シール部6は、ドア閉時において、フロントドア02のドアパネル06の押圧力によって撓み変形しつつ弾接するようになっており、内部にはブリッジ9が横断するように設けられている。このブリッジ9は、自由状態で断面ほぼく字形状に折曲形成されて、一端部9aが取付基部2の車外側側壁4の開口端寄りに結合され、他端部9bが中空シール部6の外側壁のうち、ドア閉時にフロントドア02のドアパネル06のメイン当たり面を避けた隣接する傾斜面に対応する部位に結合されている。
【0008】
したがって、ドア閉時には、図5に示すように、中空シール部6の外側壁にフロントドア02のドアパネル06が圧接するが、このとき、ブリッジ9は、さらにV字形状に屈曲変形して他端部9bの外側壁への結合部は常に傾斜面の方に当接することからブリッジ9の座屈荷重が小さくなりフロントドア02の閉じ性が高められるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000-142266号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記従来の自動車用ウェザーストリップにあっては、前述したように、フロントドア02の閉時に、中空シール部6にフロントドア02のドアパネル06が圧接すると、この圧接力によってブリッジ9はほぼV字形状に折れ曲がって中空シール部6に対する原形状への弾性反力が十分に付与されないようになっている。このため、中空シール部6は、ドアパネル06に対する圧接力が小さくなって十分なシール圧が得られない。
【0011】
この結果、例えば、洪水による河川の氾濫などの自然災害時に、道路が冠水して自動車01の各ドア02、02´下部が水に浸ってしまった場合において、この水圧が中空シール部6の下部外面に掛かると、該中空シール部6とドアパネル06との間に隙間が発生して車内に水が侵入するおそれがある。
【0012】
本発明は、前記従来の自動車用ウェザーストリップの技術的課題に鑑みて案出されたもので、通常時におけるドア閉じ性の悪化を抑制しつつ、車両のドアの下部が水に浸って、この水圧が中空シール部に掛かった場合には、この水圧を利用して支持壁による突起部のドアパネルに対する押付け力が大きくなってシール性能の向上が図れる自動車用ウェザーストリップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願請求項1に記載の発明は、車体のドア開口縁に沿って形成されたフランジ部に取り付けられ、車内側側壁と車外側側壁及び当該両側壁を連結する連結壁とを有する取付基部と、前記車外側側壁の外面に一体に設けられ、ドア閉時に、該ドアパネルが弾接する中空シール部と、を備えた自動車用ウェザーストリップであって、
前記中空シール部の内部に、前記車外側側壁側の車内側シール部と中空シール部の先端部側に有し、前記ドアパネルが当接する車外側シール部とに仕切る直線状の支持壁を設け、前記中空シール部の外面であって、前記支持壁の一方の端部が結合された部位の外面に、ドア閉時に前記ドアパネルが当接する突起部を設け、
前記車外側シール部の前記突起部と反対側の外面に水圧が掛かった際に、この水圧によって前記支持壁を介して前記突起部に、前記ドアパネルに対する押付け力を付与する構成としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本願請求項1に記載の発明によれば、中空シール部に水圧が掛からない通常時におけるドア閉じ性の悪化を抑制しつつ、中空シール部に水圧が掛かった際には、支持壁による突起部のドアパネルに対する押付け力が大きくなってシール性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明及び従来の自動車用ウェザーストリップが適用される自動車の斜視図である。
図2】ドア開状態における本発明に係る自動車用ウェザーストリップの実施形態を示す図1のA-A線断面図である。
図3】ドア閉時における本実施形態の自動車用ウェザーストリップの図1のA-A線断面図である。
図4】ドア開状態における従来の自動車用ウェザーストリップを示す図1のA-A線断面図である。
図5】ドア閉時における従来の自動車用ウェザーストリップを示す図1のA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る自動車用ウェザーストリップの実施形態を図面に基づいて説明する。このウェザーストリップは、前記従来のものと同じく、車体のフロントドアとリアドアのドア開口部の周縁に取り付けられるものに適用されているが、以下では、説明の便宜上、フロントドア02のドア開口部03の周縁部に取り付けられたものについて説明する。
【0017】
図2はドアの開状態における本発明に係る自動車用ウェザーストリップの実施形態を示す図1のA-A線断面図、図3はドア閉時における本実施形態の自動車用ウェザーストリップの図1のA-A線断面図である。
【0018】
ウェザーストリップ21は、前述したように、図1に示す自動車01のフロントドア02のドア開口部03の周縁に沿って形成されたフランジ部05に取り付けられている。このフランジ部05は、例えば3枚の金属パネル04を重ね合わせて、長手方向で断続的にスポット溶接などによって結合されている。
そして、本実施形態のウェザーストリップ21は、図2及び図3に示すように、前記フランジ部05に嵌合し、車内側側壁23と車外側側壁24及びこの両側壁23,24を連結する連結壁25とを有する逆U字形状の取付基部22と、当該取付基部22の車外側側壁24の外面に一体に設けられ、例えばフロントドア02の閉時に、該フロントドア02の周縁部に設けられたドアパネル06が弾接する中空シール部26と、を有している。
【0019】
前記取付基部22は、剛性を確保するために硬質ゴム材あるいは硬質樹脂材によって一体に成形され、内部に断面U字形状の金属製の芯材22aが埋設されている。また、取付基部22は、車内側側壁23の内面に上下2段の保持リップ23a、23bが車外側側壁24の方向に向かって突設されていると共に、車外側側壁24の内面に車内側側壁23の方向に向かって突出した3つの突状部24a及び車外側側壁24の内面の図中最下端部にスポンジ材の1つの保持リップ24bが一体に設けられている。
【0020】
したがって、取付基部22をフランジ部05に嵌着した際には、前記2つの保持リップ23a、23bの各先端部と3つの突状部24a及び1つの保持リップ24bの各先端部が、フランジ部05の車内側面と車外側側面を挟持状態に弾接して取付基部22がフランジ部05に保持されるようになっている。
【0021】
また、取付基部22の連結壁25と車内側側壁23との間には、車内側に向けて延びるカバーリップ27が一体に設けられている。このカバーリップ27は、車内側から車内側側壁23方向に延びたドアトリムやガーニッシュなどの内装材28の先端部を覆っている。
【0022】
そして、前記中空シール部26は、自由状態の図2に示すように、スポンジ材によって一体に形成されて、車外側側壁24の外面に一体に結合された両端部26a、26bから先端部26cにかけて先細り状に形成されている。前記中空シール部26は、一端部26aが車外側側壁24の図2中、下端部付近に結合されている一方、他端部26bが車外側側壁24の連結壁25付近に結合されている。
【0023】
また、中空シール部26の内部には、当該中空シール部26を両端部26a、26b側の車内側シール部29と先端部26c側の車外側シール部30に仕切る直線状の支持壁31が設けられている。すなわち、この支持壁31は、中空シール部26と同じくスポンジゴム材によって形成され、フロントドア02が開かれた際の自由状態では、図2に示すように、中空シール部26の内部中央位置に内部を横切る形で直線状の長板状に形成されていると共に、ウェザーストリップ21に長手方向に沿って延設されている。支持壁31は、中空シール部26を、内部ほぼ中央位置から両端部26a、26b側の車内側シール部29と、フロントドア02の閉時にドアパネル06が弾接する先端部26c側の車外側シール部30に仕切る形に配置されている。
【0024】
また、支持壁31は、図2に示す中空シール部26の自由状態において、中空シール部26の内面にそれぞれ結合された車内側の一端部31aから一方の端部である車外側の他端部31bまで傾斜状に形成されている。つまり、支持壁31は、一端部31aから他端部31bまでが、車外側側壁24の外面とほぼ平行な線Pを基準として車外側側壁24から離れる方向へ所定角度θで傾斜状に形成されている。
【0025】
また、中空シール部26の外面には、支持壁31の他端部31bが結合された部位に第1突起部32が一体に設けられていると共に、この第1突起部32と同一平面でかつ先端部26c側に第2突起部33が一体に設けられている。この第1、第2突起部32,33は、中空シール部26と同じスポンジゴム材によって横断面ほぼ三角形状に形成されていると共に、中空シール部26の長手方向に沿って平行に延びて、それぞれの頂部が同じ高さに設定されている。
【0026】
そして、中空シール部26は、図3に示すように、フロントドア02の閉時に、ドアパネル06が先端部26c側の車外側シール部30の一辺30a側の外面に弾接して該車外側シール部30が潰れ変形すると、前記第1突起部32と第2突起部33が一緒にドアパネル06の外面に弾接するようになっている。
【0027】
また、図3に示すフロントドア02が閉されて状態で、例えば、洪水などの自然災害時において、道路が冠水して自動車01の各ドア02、02´の下部が水に浸かり、この水圧W(図中細い黒矢印)が車外側シール部30の他辺30bの外面に掛かると、この水圧Wによって、前記支持壁31には、図3中、太い黒矢印で示すような第1突起部32をドアパネル06の外面方向への押し付ける力が作用するように構成されている。
【0028】
また、中空シール部26は、他端部26b側の外面に、先端部34aが前記連結壁25の外面に当接したリップ部34が一体に設けられている。このリップ部34と中空シール部26の他端部26bとの間には、空間部35が形成されている。リップ部34は、図3に示すように、フロントドア02の閉時に、中空シール部26の先端部26c側(車外側シール部30側)が潰れ変形すると、先端部34aが連結壁25の外面に当接して突っ張ることにより、中空シール部26の一端部26aから支持壁31の直線的な姿勢を保持するようになっている。
〔本実施形態に係るウェザーストリップの作用効果〕
以下、本実施形態に係るウェザーストリップ21の作用効果について説明する。
【0029】
本実施形態に係るウェザーストリップ21は、図2に示す中空シール部26の自由状態から、図3に示すように、フロントドア02の閉時において、ドアパネル06が中空シール部26の車外側シール部30に弾接して潰れ変形させると該車外側シール部30の一辺30aと第1、第2突起部32、33がドアパネル06の外面に弾接した状態になる。
【0030】
この通常の状態では、直線状の支持壁31から第1突起部32に対する押圧力、つまり、第1突起部32によるドアパネル06の外面に対する大きな押付け力が作用しない。このため、フロントドア02の閉時におけるドア閉じ性の悪化を抑制できる。
【0031】
また、このフロントドア02の閉時の状態で、例えば、洪水などによる河川の氾濫によって道路が冠水し、自動車01の各ドア、02、02´の下部が水に浸された場合には、この水圧Wが、図3の細い矢印に示すように、中空シール部26の車外側シール部30の他辺30bの外面に掛かる。そうすると、この水圧Wによって支持壁31には、図3の太い矢印で示すように、第1突起部32にドアパネル06方向への押付け力が作用する。このため、第1突起部32によるドアパネル06の外面に対する圧接力(シール圧)が大きくなってシール性が高くなる。これによって、自動車01の各ドア02、02´の下部に浸った水は、とりわけ、第1突起部32によるドアパネル06に対する強い圧接力と共に、この周辺の車外側シール部30の一辺30aや第2突起部33によってシールされて、車内への侵入が効果的に阻止される。
【0032】
特に、本実施形態では、支持壁31を車内側から車外方向へ傾斜状に形成したことによって、各ドア02、02´の下部に浸った水圧Wが車外側シール部30の他辺30bの外面に掛かった際に、この水圧Wが中空シール部26の一端部26aを介して支持壁31の一端部31aから他端部31b側の第1突起部32方向へ作用し易くなる。このため、第1突起部32は、ドア閉状態にあるドアパネル06の外面に対する押付け力が大きくなって水密性が向上することから、十分なシール圧を確保できる。この結果、車内への水の侵入をさらに効果的に阻止することが可能になる。
【0033】
また、本実施形態では、車外側シール部30の外面に第1突起部32の他に第2突起部33を設けたことから、車体のドア開口縁のフランジ部05に対するウェザーストリップ21の取付精度や車体の組付精度などにバラツキなどが発生しても、フロントドア02の閉時には、第1突起部32と第2突起部33がドアパネル06の外面に圧接して二重のシールにより前記バラツキを吸収することから、安定したシール性能を確保できる。
【0034】
さらに、前記リップ部34は、フロントドア02の閉時に、中空シール部26の車外側シール部30側が潰れ変形すると、先端部34aが連結壁25の上面に当接して突っ張ることから中空シール部26の一端部26aから支持壁31の直線的な姿勢を保持する。この結果、前記水圧Wを、支持壁31を介して第1突起部32に伝達し易くなる。
【0035】
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、自動車としては一般の乗用車の他に、ハッチバック型やスライドドア型の乗用車などの車両にも適用可能である。
【0036】
また、支持壁31は、その材質を軟質スポンジゴムに代えて僅かに硬質なスポンジゴムや樹脂材とすることも可能であり、また車両の仕様や大きさなどに応じて肉厚などを適宜変更することも可能である。
【0037】
さらに、中空シール部の車外側シール部に掛かる水圧としては、洪水などの自然災害により自動車01が水に浸る場合などの他に、例えば洗車水の水圧なども含まれる。
【0038】
以上説明した実施形態に基づく自動車用ウェザーストリップとしては、例えば、以下に述べる態様のものがある。
【0039】
その一つの態様としては、車体のドア開口縁に沿って形成されたフランジ部に取り付けられ、車内側側壁と車外側側壁及び当該両側壁を連結する連結壁とを有する取付基部と、前記車外側側壁の外面に一体に設けられ、ドア閉時に、該ドアパネルが弾接する中空シール部と、を備えた自動車用ウェザーストリップであって、
前記中空シール部の内部に、前記車外側側壁側の車内側シール部と、中空シール部の先端部に有し、前記ドアパネルが当接する車外側シール部とに分ける直線状の支持壁を設け、前記中空シール部の外面であって、前記支持壁の一方の端部が結合された部位の外面に、ドア閉時に前記ドアパネルが当接する突起部を設け、前記車外側シール部の前記突起部と反対側の外面に水圧が掛かった際に、この水圧によって前記支持壁を介して前記突起部に、前記ドアパネルに対する押付け力を付与することを特徴としている。
【0040】
この発明の態様によれば、例えば、自動車のドアの下部が水に浸って、ウェザーストリップに水圧が掛かると、つまり、中空シール部の車外側シール部の突起部と反対側の外面に水圧が掛かると、この水圧によって支持壁を介して突起部にドアパネルの方向への押付け力が作用する。このため、突起部によるドアパネルに対する圧接力が大きくなってシール性が高くなることから、車内への水の侵入を効果的に阻止することができる。
【0041】
一方、水圧が車外側シール部に掛からない通常時には、直線状の支持壁から突起部に対する押圧力、つまり、突起部によるドアパネルに対する大きな押付け力が作用しないことから、ドア閉じ性の悪化を抑制できる。
【0042】
さらに好ましくは、前記支持壁は、前記中空シール部の内面に結合された車内側の一端部から車外側の前記一方の端部である他端部の方向へ前記車外側側壁から離れるように傾斜状に形成されている。
【0043】
この発明の態様によれば、支持壁を車内側から車外方向へ車外側側壁から離れるように傾斜状に形成したことよって、水圧が車外側シール部の突起部と反対側の外面に掛かった際に、この圧力が支持壁の一端部側から他端部の突起部の方向へ作用する。このため、突起部は、ドア閉状態にあるドアパネルに対する押付け力が大きくなって水密性が向上することから、十分なシール圧を確保できる。
【0044】
さらに好ましくは、前記中空シール部の外面であって、前記突起部よりも車外側シール部の先端側の外面に、ドア閉時に、ドアパネルに当接する第2突起部を設けた。
【0045】
この発明の態様によれば、車体のドア開口縁のフランジ部に対するウェザーストリップの取付精度などにバラツキなどが発生しても、ドア閉時には、2つの突起部がドアパネルに圧接して二重のシール性が得られることから、安定したシール性能を確保できる。
【0046】
さらに好ましくは、前記中空シール部の車内側シール部は、一端部が前記車外側側壁の前記連結壁近傍に結合されていると共に、他端部が前記車外側側壁の前記取付基部の開口部側の端部に結合され、前記一端部側の外面に、先端部が前記連結壁の外面に当接するリップ部を有している。
【符号の説明】
【0047】
01…自動車
02…フロントドア
03…車体開口部
05…フランジ部
06…ドアパネル
21…自動車用ウェザーストリップ
22…取付基部
23…車内側側壁
24…車外側側壁
25…連結壁
26…中空シール部
26a・26b…両端部
26c…先端部
29…車内側シール部
30…車外側シール部
31…支持壁
31a…一端部
31b…他端部(一方の端部)
32…第1突起部
33…第2突起部
34…リップ部
34a…先端部
図1
図2
図3
図4
図5