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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004055
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】ガス検知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/16 20060101AFI20250106BHJP
   G01M 3/00 20060101ALI20250106BHJP
   G01M 3/08 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
G08B21/16
G01M3/00 D
G01M3/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024167776
(22)【出願日】2024-09-26
(62)【分割の表示】P 2020083341の分割
【原出願日】2020-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲蔭▼山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真二
(57)【要約】
【課題】ガス検知器が設置されている場所においても、ガス漏洩の発生の状況を確認することができるガス検知器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のガス検知器1は、地中に設けられた空間に設置され、ガスを検知するセンサユニット2と、センサユニット2に接続され、センサユニット2に隣接して設置される検知器本体3とを備え、センサユニット2が、ガスを検知し、検知された検知信号に基づいて、ガスのガス濃度を算出するように構成され、検知器本体3が、算出されたガス濃度をセンサユニット2から受け取り、算出されたガス濃度に基づいて、地中にガスが漏洩しているか否かを判定するように構成され、検知器本体3が、算出されたガス濃度および/またはガスが漏洩しているか否かの判定結果を、検知器本体3上で通知するとともに、検知器本体3の外部に送信するように構成されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に漏洩するガスを検知するためのガス検知器であって、
前記ガス検知器が、
地中に設けられた空間に設置され、前記ガスを検知するセンサユニットと、
前記センサユニットに接続され、前記センサユニットに隣接して設置される検知器本体と
を備え、
前記センサユニットが、前記ガスを検知し、検知された検知信号に基づいて、前記ガスのガス濃度を算出するように構成され、
前記検知器本体が、算出されたガス濃度を前記センサユニットから受け取り、前記算出されたガス濃度に基づいて、前記地中に前記ガスが漏洩しているか否かを判定するように構成され、
前記検知器本体が、前記算出されたガス濃度および/または前記ガスが漏洩しているか否かの判定結果を、前記検知器本体上で通知するとともに、前記検知器本体の外部に送信するように構成される、
ガス検知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設したガス管などからのガス漏洩を検出するために、たとえば特許文献1に開示されるようなガス検知器が用いられている。特許文献1のガス検知器は、地中に設けられたガス検知用孔部に設置され、地中に漏洩したガスを検知するガスセンサと、ガスセンサに接続され、ガスセンサに隣接して設置される検知器本体とを備えている。検知器本体は、ガスセンサにより得られた情報を処理して、検知器本体の外部の管理本部などに設置される装置本体に検知情報を無線で送信する。装置本体は、受信した検知情報に基づいて、実際のガス濃度を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-101705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のガス検知器では、ガス検知器が設置される場所から離れた場所に設置される装置本体によってガス濃度が算出されるために、ガス検知器が設置される場所でガス漏洩の状況を確認することができない。特に、ガス検知器の検知器本体の通信機能が損傷し、あるいは通信回線に不具合が生じた場合には、検知情報を装置本体に送信することができないので、実際のガス濃度を算出することすらできない。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、ガス検知器が設置されている場所においても、ガス漏洩の発生の状況を確認することができるガス検知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガス検知器は、地中に漏洩するガスを検知するためのガス検知器であって、前記ガス検知器が、地中に設けられた空間に設置され、前記ガスを検知するセンサユニットと、前記センサユニットに接続され、前記センサユニットに隣接して設置される検知器本体とを備え、前記センサユニットが、前記ガスを検知し、検知された検知信号に基づいて、前記ガスのガス濃度を算出するように構成され、前記検知器本体が、算出されたガス濃度を前記センサユニットから受け取り、前記算出されたガス濃度に基づいて、前記地中に前記ガスが漏洩しているか否かを判定するように構成され、前記検知器本体が、前記算出されたガス濃度および/または前記ガスが漏洩しているか否かの判定結果を、前記検知器本体上で通知するとともに、前記検知器本体の外部に送信するように構成されることを特徴とする。
【0007】
また、前記センサユニットおよび前記検知器本体の両方が、前記算出されたガス濃度を保存するメモリを備えることが好ましい。
【0008】
また、前記センサユニットが、前記ガスを検知するガスセンサと、前記ガスセンサを収容する筐体とを備え、前記筐体が、前記空間の鉛直方向の下側面を画定する前記地中の床面の上に立設されるように構成され、前記筐体が前記床面の上に立設されたときに、前記筐体の、前記床面に対向する位置には、前記ガスが前記筐体内に侵入可能な開口部と、前記開口部の周囲に前記床面側に突出する複数の脚部とが設けられ、前記複数の脚部の間には、前記ガスが通過する間隙が設けられることが好ましい。
【0009】
また、前記センサユニットが、前記筐体内に収容され、前記ガスセンサを制御するセンサ制御基板を備え、前記センサ制御基板は、前記センサ制御基板の一端側において、前記検知器本体と接続される検知器本体側ケーブルが接続され、前記センサ制御基板の他端側において、前記ガスセンサと接続されるガスセンサ側ケーブルが接続され、前記センサ制御基板は、前記筐体内において、前記検知器本体側ケーブルおよび前記ガスセンサ側ケーブルのみによって保持されることが好ましい。
【0010】
また、前記検知器本体が、前記地中に前記ガスが漏洩していると判定した場合に、前記ガスが漏洩していると判定した結果に関する情報を、予め登録した登録先に送信するように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ガス検知器が設置されている場所においても、ガス漏洩の発生の状況を確認することができるガス検知器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るガス検知器を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係るガス検知器を示すブロック図である。
図3図1のガス検知器のセンサユニットの外観を示す斜視図である。
図4図1のガス検知器のセンサユニットの筐体の内部の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係るガス検知器を説明する。ただし、以下の実施形態は一例にすぎず、本発明のガス検知器は、以下の実施形態に限定されることはない。
【0014】
本実施形態のガス検知器1は、地中に漏洩するガスを検知するために使用される。ガス検知器1は、たとえば、図1に示されるように、地中に埋設されたガス管Pの近傍に設けられたハンドホールHなどの、地面Gの下の地中に、所定期間にわたって設置されて、ガス管Pから漏洩する都市ガスを検知する。ただし、ガス検知器1は、地中に漏洩して検知する必要のあるガスであれば、都市ガスに限定されることはなく、都市ガス以外のガスも検知対象とすることができる。
【0015】
ガス検知器1が設置可能なハンドホールHは、図1に示されるように、ガス検知器1が設置される空間S1、S2を内部に有している。ハンドホールHは、たとえばガス管Pの工事を行なった後に、ガス管Pから漏洩するガスを所定期間にわたって検知するために、ガス管Pの近傍において地面Gに隣接した地中に設けられる。本実施形態では、空間S1、S2は、後述するセンサユニット2が設置される第1の空間S1と、後述する検知器本体3が設置される第2の空間S2とを含む。第1の空間S1は、第2の空間S2に隣接して第2の空間S2の下方に設けられ、第2の空間S2は、地面Gに隣接して地面Gの下方に設けられる。第2の空間S2の側方には、モルタルなどで構成される側壁W1が設けられ、第2の空間S2の上方には、第2の空間S2を閉鎖する上壁W2が設けられる。ガス検知器1は、空間S1、S2の鉛直方向の下側面を画定する地中の床面F1、F2(図示された例では土面)の上に設置される。ただし、ガス検知器1が設置される場所は、地面Gの下の地中に設けられた空間であればよく、ハンドホールHに限定されることはない。
【0016】
ガス検知器1は、図1に示されるように、ガスを検知するセンサユニット2と、センサユニット2に接続される検知器本体3とを備える。センサユニット2と検知器本体3とは、通信ケーブル(検知器本体側ケーブル)4を介して接続される。通信ケーブル4としては、たとえばRS485ケーブルなどの公知の通信ケーブルを用いることができる。ただし、センサユニット2と検知器本体3とは、公知の無線通信システムによって接続されてもよい。
【0017】
センサユニット2は、図1に示されるように、地中に設けられた空間S1に設置されて、地中に漏洩するガスを検知する。センサユニット2は、ガスを検知し、検知された検知信号に基づいて、ガスのガス濃度を算出するように構成される。センサユニット2は、ガスを検知し、検知された検知信号に基づいて、ガスのガス濃度を算出するように構成されていれば、その具体的な構成は特に限定されない。センサユニット2は、本実施形態では、その構成を具現化するために、図2に示されるように、ガスを検知するガスセンサ21と、ガスセンサ21を制御するための制御部22とを備えている。センサユニット2はさらに、ガス濃度を保存するメモリ23を備えていてもよい。
【0018】
ガスセンサ21は、ガスを検知し、ガスの有無および/または濃度に対応する検知信号を出力する。ガスセンサ21は、図2に示されるように、制御部22に通信可能に接続され、検知信号を制御部22に送るように構成される。ガスセンサ21は、本実施形態では、公知の接触燃焼式ガスセンサにより構成される。接触燃焼式ガスセンサは、ガスが接触して燃焼することで抵抗値が変化するように構成される。ガスセンサ21は、たとえば公知のホイートストンブリッジ回路により構成される検知回路(図示せず)に接続されて、検知回路を介して制御部22に接続される。検知回路は、ガスセンサ21の抵抗値の変化を検出するためにガスセンサ21に接続され、ガスセンサ21の抵抗値の変化によって電位差の変化が生じるように構成される。検知回路は、ガスセンサ21の抵抗値の変化により生じる電位差の変化を、検知対象ガスの有無および/または濃度に対応した検知信号として出力する。検知回路は、本実施形態では、後述するセンサ制御基板24(図4参照)に設けられる。ただし、ガスセンサ21は、ガスの有無および/または濃度に対応する検知信号を出力することができれば、上記構成に限定されることはない。ガスセンサ21は、たとえば、半導体式ガスセンサや電気化学式ガスセンサなど、他の公知のガスセンサにより構成されてもよい。また、ガスセンサ21は、ホイートストンブリッジ回路とは異なる別の検知回路に接続されてもよい。
【0019】
ガスセンサ21は、ガス検知を常時行なう構成(常時駆動モード)とすることもでき、ガス検知を間歇的に行なう構成(間歇駆動モード)とすることもできる。ガス検知を常時行なうことで、詳細なガス検知を実現できる。また、ガス検知を間歇的に行なうことで、長い期間に亘って効率的にガス検知を行なうことができる。ガスセンサ21はさらに、常時駆動モードと間歇駆動モードとを切り替えることができるように構成されてもよい。
【0020】
制御部22は、ガスセンサ21を制御し、ガスセンサ21から出力される検知信号を受け取る。本実施形態では、制御部22は、検知回路を介してガスセンサ21を制御し、ガスセンサ21から検知回路を介して出力される検知信号を受け取る。制御部22は、本実施形態では、所定の時間間隔(たとえば10分間隔)をおいて、ガスセンサ21を動作させ、ガスセンサ21から検知信号を受け取る。制御部22は、受け取った検知信号に基づいてガス濃度を算出する。制御部22は、算出したガス濃度をメモリ23に記憶させ、および/または、算出したガス濃度を検知器本体3に送信する。制御部22は、たとえば公知の中央演算処理装置(CPU)などを用いて構成することができ、本実施形態では、後述するセンサ制御基板24(図4参照)に設けられる。
【0021】
メモリ23は、制御部22によって算出されたガス濃度を保存する。メモリ23は、算出されたガス濃度の元になる検知信号が得られた時間とともに、ガス濃度を保存してもよい。メモリ23は、本実施形態では、図2に示されるように、制御部22に通信可能に接続される。メモリ23は、たとえばフラッシュメモリなどの公知の不揮発性メモリにより構成することができ、本実施形態では、後述するセンサ制御基板24(図4参照)に設けられる。センサユニット2は、ガス濃度を検知器本体3に送信できないような事態が生じたとしても、ガス濃度をメモリ23に保存しておくことで、後から保存データを取り出して確認することができる。
【0022】
図3および図4を参照して、センサユニット2をさらに詳しく説明する。図3は、センサユニット2の外観を示す斜視図であり、図4は、センサユニット2の筐体25の内部の構造を示す斜視図である。センサユニット2は、ガスを検知する、上述したガスセンサ21と、ガスセンサ21を制御するためのセンサ制御基板24と、ガスセンサ21およびセンサ制御基板24を収容する筐体25とを備えている。本実施形態のガス検知器1では、ガスセンサ21を制御するためのセンサ制御基板24をセンサユニット2に設けることで、ガスセンサ21の抵抗値変化などの検知信号をセンサユニット2において測定することができる。たとえばガスセンサ21の検知信号を検知器本体3で測定するようにした場合、センサユニット2から検知器本体3にガスセンサ21の検知信号が送られる際に電圧降下などによって検知信号が劣化する可能性がある。本実施形態のガス検知器1では、センサユニット2において検知信号を測定することができるので、検知信号を検知器本体3に送信することによる検知信号の劣化を抑制することができ、ガスを精度よく検知することができる。センサユニット2はさらに、ガスセンサ21の上流側に配置されるフィルタ26を備えている。
【0023】
センサ制御基板24には、上述した検知回路、制御部22およびメモリ23(図2参照)が設けられる。センサ制御基板24は、図4に示されるように、センサ制御基板24の一端側において、検知器本体3と接続される検知器本体側ケーブル4が接続され、センサ制御基板24の他端側において、ガスセンサ21と接続されるガスセンサ側ケーブル27が接続される。センサ制御基板24は、検知器本体側ケーブル4を介して検知器本体3に通信可能に接続され、ガスセンサ側ケーブル27を介してガスセンサ21に通信可能に接続される。センサ制御基板24は、筐体25内において、検知器本体側ケーブル4およびガスセンサ側ケーブル27のみによって保持される。これにより、センサ制御基板24は、筐体25に固定されて保持される場合と比べて、設置や交換が容易になる。センサ制御基板24は、図4に示されるように、一端側および他端側において、衝撃を吸収することができる緩衝材24aが設けられている。これにより、センサ制御基板24は、たとえば筐体25内で揺動して壁面やガスセンサ21などに衝突したとしても、緩衝材24aにより衝撃が吸収されて、損傷を抑えることができる。なお、センサ制御基板24は、筐体25内に収容されていれば、上述した構成に限定されることはなく、筐体25に固定されていてもよい。
【0024】
筐体25は、本実施形態では、ガスセンサ21およびセンサ制御基板24とともに、フィルタ26を収容する。筐体25は、図1に示されるように、第1の空間S1の鉛直方向の下側面を画定する地中の床面F1の上に立設されるように構成される。図3にも示されるように、筐体25が床面F1の上に立設されたときに、筐体25の、床面F1に対向する位置には、ガスが筐体25内に侵入可能な開口部25aと、開口部25aの周囲に床面F1側に突出する複数の脚部25bとが設けられている。そして、複数の脚部25bの間には、ガスが通過する間隙25cが設けられる。筐体25は、脚部25bが床面F1に接するようにして、第1の空間S1内に立設されるが、このとき、開口部25aが床面F1によって塞がれることがないので、第1の空間S1の下側面に位置する床面F1から第1の空間S1内に侵入するガスだけでなく、第1の空間S1の側面から第1の空間S1内に侵入するガスも、間隙25cを通って開口部25aに到達して、筐体25内に侵入することができる。したがって、複数の脚部25bの間に間隙25cが設けられることによって、センサユニット2のガスに対する検知感度が向上する。ただし、筐体25には、必ずしも脚部25bが設けられていなくてもよい。その場合、たとえば筐体25の下面(床面F1に対向する位置)に設けられた開口部25aに加えて、筐体25の側面にガスが通過可能な孔が形成されていてもよい。
【0025】
筐体25は、ガスセンサ21、センサ制御基板24およびフィルタ26を収容することができればよく、その形状は特に限定されない。筐体25は、本実施形態では、図3に示されるように、ガスセンサ21、センサ制御基板24およびフィルタ26を収容するための空間を内部に有し、一方向に延びる略円筒状に形成されている。筐体25は、筐体25の延びる方向の一端側に検知器本体側ケーブル4が接続され、筐体25の延びる方向の他端側に開口部25aおよび脚部25bが設けられている。筐体25の内部には、開口部25aに面するようにフィルタ26が設けられ、フィルタ26から、筐体25の一端側に向かって、ガスセンサ21、ガスセンサ側ケーブル27、センサ制御基板24、検知器本体側ケーブル4が順に収容される。
【0026】
フィルタ26は、検知対象とするガス以外の成分の少なくとも一部がガスセンサ21内に侵入するのを抑制するために設けられる。フィルタ26は、本実施形態では、撥水フィルタおよび銀フィルタにより構成される。センサユニット2は、撥水フィルタを備えることにより、ガスセンサ21内に水や塵などの妨害成分が侵入するのを抑制し、銀フィルタを備えることにより、ガスセンサ21内に有機溶媒の揮発成分などの妨害成分が侵入するのを抑制する。
【0027】
センサユニット2に接続される検知器本体3は、算出されたガス濃度をセンサユニット2から受け取り、算出されたガス濃度に基づいて、地中にガスが漏洩しているか否かを判定するように構成される。そして、検知器本体3は、算出されたガス濃度および/またはガスが漏洩しているか否かの判定結果を、検知器本体3上で通知するとともに、検知器本体3の外部に送信するように構成される。このように検知器本体3が、算出されたガス濃度および/またはガスが漏洩しているか否かの判定結果を、検知器本体3の外部に送信するだけでなく、検知器本体3上で通知することができるので、たとえ検知器本体3の外部への送信機能に不具合が生じていたとしても、ガス検知器1が設置されている場所において、ガス漏洩の発生の状況を確認することができる。
【0028】
さらに、検知器本体3は、以下でも詳しく述べるように、地中にガスが漏洩していると判定した場合に、ガスが漏洩していると判定した結果に関する情報を、予め登録した登録先に送信するように構成されてもよい。ガスが漏洩していると判定した結果に関する情報には、ガスが漏洩していることを登録先に警告するためのアラートや、そのときのガス濃度、時間などが含まれる。登録先は、ガスが漏洩していると判定した結果に関する情報を受け取ることで、ガス漏洩の対策を迅速に講じることができる。
【0029】
検知器本体3は、図1に示されるように、センサユニット2に隣接して設置される。検知器本体3は、本実施形態では、センサユニット2が設置される地中の第1の空間S1に隣接して設けられた第2の空間S2の鉛直方向の下側面を画定する地中の床面F2の上に載置されて、第2の空間S2内に設置される。ただし、検知器本体3は、センサユニット2に接続されて、センサユニット2の近傍に設置されていれば、必ずしも地中の空間S2内に設置される必要はなく、たとえば地面Gの上など、地中以外の空間に設置されてもよい。
【0030】
検知器本体3は、上述したように、ガス濃度からガス漏洩の有無を判定し、ガス濃度および/または判定結果を、検知器本体3上で通知するとともに、検知器本体3の外部に送信できるように構成されていればよく、その具体的な構成は特に限定されない。検知器本体3は、本実施形態では、上記構成を具現化するために、図2に示されるように、制御部31、通信部32、通知部33、メモリ34および電源35を備えている。
【0031】
制御部31は、センサユニット2によって算出されたガス濃度をセンサユニット2から受信する。制御部31は、受信したガス濃度に基づいて、地中にガスが漏洩しているか否かを判定する。制御部31は、たとえば、ガス濃度が所定の閾値よりも低い場合は、地中にガスが漏洩していないと判定し、ガス濃度が所定の閾値よりも高い場合は、地中にガスが漏洩していると判定する。制御部31は、ガス濃度および/または判定結果を、通知部33によって通知するとともに、通信部32によって検知器本体3の外部に送信する。制御部31は、ガス濃度および/または判定結果をメモリ34に記憶させることもできる。
【0032】
制御部31は、所定期間(たとえば24時間)に亘って地中にガスが漏洩していないと判定した場合には、所定期間(たとえば24時間)が経過したのちに、所定期間内に測定されてメモリ34に保存されたガス濃度をまとめて検知器本体3の外部(たとえば管理本部などの予め登録した登録先(定期登録先))に送信する。これにより、登録先は、所定期間に亘るガス濃度の推移を確認でき、地中にガスが漏洩していないことを確認できる。このとき、制御部31は、通知部33によってガス濃度および/または判定結果を通知するように構成されていてもよい。これにより、ガス検知器1が設置されている場所においても、ガス濃度および/または判定結果を確認することができる。
【0033】
また、制御部31は、地中にガスが漏洩していると判定した場合には、その時に、ガスが漏洩していると判定した結果に関する情報を、検知器本体3の外部の管理本部などの予め登録した登録先(定期登録先)だけでなく、管理者の携帯端末などの予め登録した登録先(緊急登録先)に送信する。これにより、登録先は、ガスが漏洩しているという情報をリアルタイムで知ることができ、ガス漏洩に対する対策を迅速に講じることができる。また、制御部31は、地中にガスが漏洩していると判定した場合には、通知部33によってガス濃度および/または判定結果を通知するように構成される。これにより、たとえ検知器本体3の外部への送信機能に不具合が生じていたとしても、ガス検知器1が設置されている場所において、ガス漏洩の発生の状況を確認することができる。
【0034】
通信部32は、ガス濃度および/または判定結果を含む情報を検知器本体3の外部に無線で送信する。通信部32は、ガス濃度および判定結果以外にも、ガスを検知した際の時間や気温などを送信してもよいし、電源の残量を示す情報を送信してもよい。通信部32は、図2に示されるように、制御部31に通信可能に接続され、制御部31の指示を受けて、たとえば予め登録された登録先に情報を送信するように構成される。通信部32は、検知器本体3の外部に情報を無線で送信することができれば、その通信方式は特に限定されることはなく、たとえばLTE通信方式により情報を送信できるように構成される。また、通信部32は、その送信形態も特に限定されることはなく、たとえば電子メールにより情報を送信することができる。
【0035】
通知部33は、ガス検知器1のユーザが認識できるように、ガス濃度および/または判定結果を検知器本体3上でユーザに通知する。通知部33は、図2に示されるように、制御部31に通信可能に接続され、制御部31の指示を受けて、ガス検知器1のユーザにガス濃度および/または判定結果を通知する。通知部33は、ガス検知器1のユーザがガス濃度および/または判定結果を認識することができれば、その通知方法は特に限定されることはない。通知部33は、本実施形態では、たとえば、図1に示されるように、ガス濃度を視覚的に通知するディスプレイ33a、判定結果を聴覚的に通知するスピーカ33b、判定結果を視覚的に通知するランプ33cなどにより具現化できる。たとえば、地中にガスが漏洩していないと判定された場合には、スピーカ33bは、音を発しないことでユーザに通知し、ランプ33cは、消灯することでユーザに通知する。また、地中にガスが漏洩していると判定された場合には、スピーカ33bは、警告音を発することでユーザに通知し、ランプ33cは、点灯することでユーザに通知する。
【0036】
メモリ34は、センサユニット2により算出されたガス濃度を保存する。メモリ34は、算出されたガス濃度の元になる検知信号が得られた時間とともに、ガス濃度を保存してもよい。また、メモリ34は、制御部31によって地中にガスが漏洩しているか否かを判定した結果を保存してもよい。メモリ34は、本実施形態では、図2に示されるように、制御部31に通信可能に接続される。メモリ34は、たとえばフラッシュメモリなどの公知の不揮発性メモリにより構成することができる。検知器本体3が、ガス濃度(および任意で判定結果)を保存するメモリ34を備えることにより、ガス濃度(および任意で判定結果)を検知器本体3の外部に送信できないような事態が生じても、後から保存データを取り出して確認することができる。特に、本実施形態では、センサユニット2もガス濃度を保存するメモリ23を備えており、通信ケーブル4が通信不良であってもセンサユニット2内にもガス濃度を保存することができるので、より確実に地中のガスの漏洩状況を監視することができる。
【0037】
メモリ34は、算出されたガス濃度および/またはガスが漏洩しているか否かの判定結果に関する情報を送信する送信先(登録先)の情報を保存することもできる。登録先としては、たとえば、地中にガスが漏洩しているか否かの判定結果にかかわらず情報を送信する定期登録先(管理本部のパソコンなど)、地中にガスが漏洩していると判定した場合に情報を送信する緊急登録先(管理者の携帯端末など)が例示される。登録先の情報としては、登録先の氏名または名称、登録先のメールアドレスなどが例示される。
【0038】
本実施形態のガス検知器1では、上述したように、算出されたガス濃度を保存するために、センサユニット2および検知器本体3の両方にそれぞれメモリ23、34が設けられている。しかし、ガス検知器1は、ガス濃度を保存することができれば、センサユニット2および検知器本体3のいずれか一方にのみメモリが設けられていてもよいし、センサユニット2および検知器本体3とは別の外部にメモリが設けられていてもよい。センサユニット2および検知器本体3のいずれか一方にのみメモリが設けられる場合には、ユーザにより確認しやすいという観点から、検知器本体3にメモリが設けられることが好ましい。
【0039】
電源35は、検知器本体3の構成要素に対する電力の供給源である。電源35は、本実施形態では、図2に示されるように、制御部31に電力を供給し、通信部32、通知部33およびメモリ34に電力を供給する。電源35は、本実施形態では、センサユニット2にも電力を供給する。ただし、センサユニット2は、電源35から電力供給を受けることなく、センサユニット2自身が電源を有していてもよい。また、電源35は、本実施形態では電池などの内部電源により構成されるが、外部電源によって構成されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 ガス検知器
2 センサユニット
21 ガスセンサ
22 制御部
23 メモリ
24 センサ制御基板
24a 緩衝材
25 筐体
25a 開口部
25b 脚部
25c 間隙
26 フィルタ
27 ガスセンサ側ケーブル
3 検知器本体
31 制御部
32 通信部
33 通知部
33a ディスプレイ
33b スピーカ
33c ランプ
34 メモリ
35 電源
4 通信ケーブル(検知器本体側ケーブル)
F1 第1の床面
F2 第2の床面
G 地面
H ハンドホール
P ガス管
S1 第1の空間
S2 第2の空間
W1 側壁
W2 上壁
図1
図2
図3
図4