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特開2025-4060粒子発泡部品を製造する装置の動作を制御する方法
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  • 特開-粒子発泡部品を製造する装置の動作を制御する方法 図1
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  • 特開-粒子発泡部品を製造する装置の動作を制御する方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004060
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】粒子発泡部品を製造する装置の動作を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/60 20060101AFI20250106BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
B29C44/60
B29C44/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024168385
(22)【出願日】2024-09-27
(62)【分割の表示】P 2022574126の分割
【原出願日】2021-06-02
(31)【優先権主張番号】102020114781.3
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】521544713
【氏名又は名称】ジークフリート ホフマン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュッツ,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,パトリック
(57)【要約】      (修正有)
【課題】粒子発泡部品を製造する装置の動作を制御する方法を提供する。
【解決手段】装置(1)が、動作中に少なくとも1つの目標値について制御可能な少なくとも1つの機能ユニットを備え、少なくとも1つの選択基準に従って、複数の制御パラメータセットが保存されたデータ記憶ユニット(6)から制御パラメータセットを選択するステップであって、前記複数の制御パラメータセットには何れも、前記装置(1)の少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための少なくとも1つの制御パラメータが含まれる、選択するステップと、前記装置(1)の動作を制御するために、特に対応する制御パラメータセットにより影響を受ける前記装置(1)の機能ユニットの動作を制御するために、選択された少なくとも1つの制御パラメータセットを適応するステップと、により特徴付けられる方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子発泡部品を製造するための装置(1)の動作を制御する方法であって、前記装置(1)が、動作中に少なくとも1つの目標値について制御可能な少なくとも1つの機能ユニットを備え、
・前記装置(1)のパラメータに関する選択基準、前記装置(1)を用いて実行されるべき製造プロセスのパラメータに関する選択基準、および前記装置(1)を用いて処理されるべきプラスチック粒子材料のパラメータに関する選択基準、の提供を行うステップと、
・提供された選択基準に従って、データ記憶ユニット(6)から制御パラメータセットを選択するステップであって、前記制御パラメータセットには、前記装置(1)の少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための複数の制御パラメータが含まれ、
前記データ記憶ユニットには、前記装置(1)のパラメータと、前記装置(1)を用いて実行されるべき製造プロセスのパラメータと、前記装置(1)を用いて処理されるべきプラスチック粒子材料のパラメータと、を何れもが含む複数の制御パラメータセットが保存され、前記複数の制御パラメータセットには何れも、前記装置(1)の少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための複数の制御パラメータが含まれる、選択するステップと、
・前記装置(1)の動作を制御するために、対応する制御パラメータセットにより影響を受ける前記装置(1)の機能ユニットの動作を制御するために、選択された少なくとも1つの制御パラメータセットを適応するステップと、
を含み、
前記制御パラメータセットに含まれる前記複数の制御パラメータがそれぞれ、PID制御器のPパラメータ、Dパラメータ、およびIパラメータの何れかであって、
前記複数の制御パラメータセットが何れも所定数の所定の制御パラメータを含み、制御されるべき少なくとも1つの変数に係る特定の制御応答を定めていることを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記装置(1)の質量および/もしくは慣性、または前記装置(1)に関連付けられる金型(2)の質量および/もしくは慣性、ならびに/または、
前記装置(1)の、または前記装置(1)に関連付けられる金型(2)の、熱的特性、とりわけ熱容量、ならびに/または、
前記装置(1)のプロセスチャンバーの容積、とりわけ前記装置(1)に関連付けられる金型(2)の成形キャビティ(2.3)の容積、ならびに/または、
プロセスチャンバーの幾何形状、とりわけ前記装置(1)に関連付けられる金型(2)の成形キャビティ(2.3)の幾何形状、
が前記装置(1)のパラメータとして使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記装置(1)を用いて実行されるべき製造プロセスのパラメータとして、少なくとも1つの化学的および/または物理的なプロセスパラメータ、とりわけ、プロセス温度、プロセス圧力、プロセス湿度、プロセス雰囲気および/またはサイクル数、が使用されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記装置(1)を用いて処理されるべきプラスチック粒子のパラメータとして、少なくとも1つの化学的および/または物理的な材料パラメータ、とりわけ、化学組成、粒子のサイズおよび/または形状、密度、温度、水分量、流動特性、とりわけ輸送流における流動特性、が使用されることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記データ記憶ユニット(6)に保存された少なくとも1つの制御パラメータセットを変更または適合させることにより特徴付けられる請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの制御パラメータセットが、
前記装置(1)の少なくとも1つの機能ユニットに係る、制御パラメータとしての動作パラメータに関して選択され、および/または、
前記装置(1)を用いて実行されるべき製造プロセスに係る、制御パラメータとしてのプロセスパラメータに関して選択される、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
高レベルの目標値設定に関して少なくとも1つの制御パラメータセットが選択されることを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記機能ユニットの可動に取付けられた機能部分の動きパラメータ、および/または、前記装置(1)の少なくとも1つの機能ユニットの駆動装置の駆動パラメータ、特に実際の位置パラメータ、が前記装置(1)の少なくとも1つの機能ユニットの動作パラメータとして使用されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1の状態、とりわけ第1の向きおよび/または位置に移行可能であって、また少なくとも1つの別の状態、とりわけ少なくとも1つの別の向きおよび/または位置に移行可能な、少なくとも1つのアクチュエータ要素を備える作動装置が、前記装置(1)の機能ユニットとして使用されることを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
プロセス媒体を、前記装置(1)のプロセスチャンバーに、場合によっては加圧された方法で、導入するため、とりわけ前記装置(1)あるいはこのような装置に関連付けられた金型(2)の成形キャビティに導入するための圧力制限装置(2.5)を形成する作動装置、が使用されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
制御パラメータセットが、目標値について制御されるべき化学的なパラメータおよび/または物理的なパラメータ、特に前記装置(1)のプロセスチャンバー内の圧力および/または温度および/または湿度、の制御のために選択されることを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記選択、とりわけユーザーによる選択が、手動で行われ、および/または、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実装された選択装置を用いて少なくとも一部が自動的に行われることを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
ユーザーにより選択された制御パラメータセットの適応が、手動で行われ、および/または、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実装された選択装置を用いて少なくとも一部が自動的に行われることを特徴とする請求項1~12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記装置(1)の少なくとも1つの機能ユニットの動作の制御に関連し、また少なくとも1つの目標値を記述する目標値情報であって、特に目標値関数または目標値曲線の形態をとる目標値情報の特定と、
前記装置(1)の動作を制御するための前記目標値情報の適応、特に、対応する前記目標値情報により影響を受ける前記装置(1)の前記機能ユニットの動作を制御するための、前記目標値情報の適応と、
により特徴付けられる請求項1~13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記目標値情報が、対応する前記目標値情報により記述される目標値の測定プロセスにより判断される情報に基づいて、および/または、対応する前記目標値情報により記述される目標値の計算プロセスおよび/またはシミュレーションプロセスにより判断される情報に基づいて、および/または、外部データベースから取得された情報に基づいて、判断されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記装置(1)の作動の際に少なくとも1つの制御パラメータセットの少なくとも1つの制御パラメータを適合化させることにより適合化された制御パラメータセットを生成し、前記適合化された制御パラメータセットを前記データ記憶ユニット(6)に保存する、ことを特徴とする請求項1~15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記制御パラメータセットが、少なくとも1つの分類基準に従って分類されて前記データ記憶ユニット(6)に保存されることを特徴とする請求項1~16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
粒子発泡部品を製造する装置(1)であって、
・動作中に少なくとも1つの目標値について制御可能な少なくとも1つの機能ユニットと、
・前記装置(1)の動作を制御するため、特に対応する制御パラメータセットにより影響を受ける前記装置(1)の前記機能ユニットの動作を制御するために、データ記憶ユニット(6)から選択された少なくとも1つの制御パラメータセットを適応するための少なくとも1つの制御装置(5)と、
を備え、
前記少なくとも1つの制御パラメータセットには何れも、前記装置(1)のパラメータと、前記装置(1)を用いて実行されるべき製造プロセスのパラメータと、前記装置(1)を用いて処理されるべきプラスチック粒子材料のパラメータと、が含まれ、
前記少なくとも1つの制御パラメータセットに、それぞれがPID制御器のPパラメータ、Dパラメータ、およびIパラメータの何れかである複数の制御パラメータが含まれ、
前記少なくとも1つの制御パラメータセットが、所定数の所定の制御パラメータを含み、制御されるべき少なくとも1つの変数に係る特定の制御応答を定めていることを特徴とする、
装置(1)。
【請求項19】
粒子発泡部品を製造する装置(1)の動作を制御するシステムであって、
・動作中に少なくとも1つの目標値について制御可能な少なくとも1つの機能ユニットを備える、粒子発泡部品を製造する少なくとも1つの装置(1)と、
・前記装置(1)のパラメータと、前記装置(1)を用いて実行されるべき製造プロセスのパラメータと、前記装置(1)を用いて処理されるべきプラスチック粒子材料のパラメータと、を何れもが含む複数の制御パラメータセットが保存される少なくとも1つのデータ記憶ユニット(6)であって、前記複数の制御パラメータセットには何れも、前記装置(1)の少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための複数の制御パラメータが含まれる、少なくとも1つのデータ記憶ユニット(6)と、
・前記装置(1)の動作を制御するため、特に対応する前記制御パラメータセットにより影響を受ける前記装置(1)の機能ユニットの動作を制御するために、前記データ記憶ユニット(6)から選択された少なくとも1つの制御パラメータセットを適応するための少なくとも1つの制御装置(5)と、
を備え、
前記制御パラメータセットに含まれる前記複数の制御パラメータがそれぞれ、PID制御器のPパラメータ、Dパラメータ、およびIパラメータの何れかであって、
前記複数の制御パラメータセットが何れも所定数の所定の制御パラメータを含み、制御されるべき少なくとも1つの変数に係る特定の制御応答を定めている、
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は少なくとも1つの粒子発泡部品を製造する装置の動作を制御するための方法に関し、当該装置は、作動中に少なくとも1つの目標値について制御可能な少なくとも1つの機能ユニットを備える。
【背景技術】
【0002】
膨張可能もしくは膨張したプラスチック粒子材料からなる膨張可能もしくは膨張したプラスチック粒子を処理することにより粒子発泡部品を製造する方法および装置は、複数の様々な実施形態で従来技術より基本的に知られている。
【0003】
典型的な装置に関する動作の制御はこれまで基本的に、標準化された制御パラメータセットに基づいて行われており、これには、圧力制御装置またはこのような装置に割り当てられた作動装置などの対応する装置の、少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための、少なくとも1つの所定の制御パラメータが含まれている。この制御パラメータセットは、具体的なプラントエンジニアリング構成またはプロセスエンジニアリング構成とは独立して定められ、すなわち例えば、対応する装置に関する金型のサイズとは独立し、圧力や温度等の特定のプロセスパラメータとは独立して定められ、またその後、対応する装置の動作を制御するために使用される。
【0004】
標準化された好適な制御パラメータセットは通常、様々な金型やプロセスステップに使用できるようにして選択されるが、典型的な装置の動作制御は、例えば、様々な金型サイズ、プロセスパラメータ、等を考慮し、標準化された好適な制御パラメータセットを基にして、改善可能な制御パラメータを使用して定期的に行われ、これは例えば、制御プロセスが実質的に遅延して行われるからである。
【0005】
本発明の目的は、粒子発泡部品を製造する装置の動作制御のためにこれと比較して改善された方法を特定することである。
【発明の概要】
【0006】
この目的は独立請求項の保護主題により達成され、すなわち特に独立する請求項1に係る方法により達成される。従属請求項は、独立請求項の保護主題に関する可能な実施形態に関する。
【0007】
本発明の第1の態様は、粒子発泡部品を製造するための装置の動作を制御する方法に関し、当該装置には、動作中に少なくとも1つの目標値について制御可能な少なくとも1つの機能ユニットが備えられる。本方法はしたがって、粒子発泡部品を製造するための装置に係る、動作中に少なくとも1つの目標値について制御可能な少なくとも1つの機能ユニットの動作の制御を可能にする制御方法である。
【0008】
本方法にしたがって制御可能であるか、または制御される装置は、粒子発泡部品を製造するために、少なくとも1つの膨張可能もしくは膨張したプラスチック粒子材料(「プラスチック粒子材料」)からなる膨張可能もしくは膨張したプラスチック粒子(「プラスチック粒子」)を処理するように構成されており、このようなプラスチック粒子材料としては例えば、膨張可能および/もしくは膨張したポリプロピレン(PPまたはEPP)、膨張可能および/もしくは膨張したポリアミド(PAまたはEPA)、膨張可能および/もしくは膨張したポリスチレン(PSまたはEPS)、および膨張可能および/もしくは膨張した熱可塑性エラストマー(TPE)などが挙げられる。このような装置は特に、粒子発泡部品を製造するため、少なくとも1つのプラスチック粒子材料からなるプラスチック粒子を処理するための一以上のワークプロセスを実行するように実装することができる。特定のワークプロセスを実行するため、本装置は作動中に少なくとも1つの目標値について制御可能な一以上の機能ユニットを備える。
【0009】
作動中に少なくとも1つの目標値について制御可能な本装置の機能ユニットの具体例としては、第1の状態、とりわけ第1の向きおよび/または位置に移行可能であって、また少なくとも1つの別の状態、とりわけ少なくとも1つの別の向きおよび/または位置に移行可能な、少なくとも1つのアクチュエータ要素を備える作動装置である。関連する作動装置は、圧力制限装置もしくは弁装置またはこのような装置の構成要素を構成することができる。
【0010】
「ワークプロセス」との用語には、基本的に本装置を使用して実行可能なあらゆるプロセスが含まれ、このプロセスは粒子発泡部品を製造するための、少なくとも1つのプラスチック粒子材料からなるプラスチック粒子の処理に直接的に或いは間接的に関するものである。以下に示される通り、ワークプロセスは特に、プラスチック粒子の(実際の)処理、とりわけプラスチック粒子の結合、が実行され、製造されるべき粒子発泡部品が形成される処理ステップ、または大量のプラスチック粒子を提供し、とりわけ処理ステップで処理されるべき大量のプラスチック粒子を提供する提供プロセス、または、大量のプラスチック粒子、とりわけ処理ステップで処理されるべき大量のプラスチック粒子が、搬送ラインに沿って搬送される搬送プロセス、または、大量のプラスチック粒子、とりわけ処理ステップで処理されるべき大量のプラスチック粒子が、金型の成形キャビティに流し込まれる充填プロセス、である。
【0011】
処理ステップの一部として、少なくとも1つの作動媒体またはプロセス媒体を適応または使用することができる。作動媒体またはプロセス媒体はとりわけ、液体、蒸気、または気体のエネルギー担体媒体とすることができ、すなわち例えば、流体、特に水、蒸気、すなわち特に、過熱蒸気、またはガスなどであり、装置が作動する過程で、エネルギー、すなわち特に、熱エネルギー、運動エネルギーを吸収または放出する。
【0012】
本方法に係る全ての実施形態において、制御は原則的に、制御ループの実行として理解されるべきであって、この中で目標値を記述する目標値情報(参照変数)が、実際の値を記述する実際の値の情報(制御変数)と比較され、各々の実際の値の情報により記述される実際の値と、各々の目標値情報により記述される目標値との比較から、特定の実際の値と特定の目標値との差を記述する差分情報が決定され、この差分情報からさらに、操作される変数を記述する被操作変数情報が決定され、この被操作変数情報が、差分情報によって記述される、実際の値と特定の目標値との差分、を最小化する。
【0013】
ここにおいて本装置の動作の制御は、制御されるべき或いは制御されている本装置の動作パラメータまたは制御変数、すなわち例えば、プラントエンジニアリングパラメータもしくはプロセスエンジニアリングパラメータ、に影響を与えることを目的としており、これにより一以上の目標値が守られ、またかく乱の影響下または外乱変数の下であっても一以上の目標値が可能となるようになっている。
【0014】
このような動作パラメータまたはこのような制御変数の例としては例えば、プロセス流体を流すことのできる、および/もしくは、プロセス流体を充填することのできる、プロセスチャンバーの内部圧、ならびに/または、プラスチック粒子を流すことのできる、および/もしくは、プラスチック粒子を充填することのできる、プロセスチャンバーの内部圧、である。他のプラントエンジニアリングパラメータまたはプロセスエンジニアリングパラメータを、動作パラメータまたは制御変数として使用することも、勿論可能である。
【0015】
このような装置の動作に係る本方法による制御は通常、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実装された制御装置により実行される。好適な制御装置はしたがって、このような装置の動作を制御するように構成されている。好適な制御装置は、一以上の制御パラメータに基づいて制御を実行することができ、したがって一以上の制御パラメータを有することができる。制御装置の一例としては、P成分、D成分、I成分を有し、または制御パラメータとしてのPパラメータ、Dパラメータ、Iパラメータを有する、PID制御装置(PID制御器)が挙げられる。
【0016】
以下に本方法に係る各ステップを詳細に説明する。
【0017】
本方法の第1ステップでは、少なくとも1つの選択基準に従って、データ記憶ユニットからの制御パラメータセットの選択が実行され、前記制御パラメータセットには、本装置の少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための少なくとも1つの制御パラメータが含まれ、前記データ記憶ユニットには複数の制御パラメータセットが保存または記憶され、前記複数の制御パラメータセットは何れも、本装置の少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための少なくとも1つの制御パラメータを含む。本方法の第1ステップでは、少なくとも1つの選択基準を使用して、データ記憶ユニットに保存または記憶された複数の制御パラメータセットから少なくとも特定の制御パラメータセットの選択が行われ、前記複数の制御パラメータセットは何れも、本装置の少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための少なくとも1つの制御パラメータを含む。
【0018】
本方法によれば、複数の制御パラメータセットが、適当なデータ記憶ユニットからこのように提供され、またデータ記憶ユニットに保存または記憶された制御パラメータセットから、少なくともある特定の制御パラメータセットを、一以上の選択基準に従って、選択することができる。データ記憶ユニットに記憶または保存され、またこれによりデータ記憶ユニットから提供される制御パラメータセットは、通常、何れも所定数の所定の制御パラメータを含むため、制御されるべき少なくとも1つの変数に係る特定の制御応答を定めている。特に、データ記憶ユニットに保存または記憶される制御パラメータセットにはそれぞれ、例えばP成分、D成分、およびI成分、またはPパラメータ、Dパラメータ、およびIパラメータとすることができる、少なくとも3つの制御パラメータが含まれる。
【0019】
本装置の各ワークプロセスに対して、少なくとも1つの専用の制御パラメータセットを選択することが可能である。しかし、本装置の複数のワークプロセスに対して、少なくとも1つの制御パラメータセットを選択することもまた想定可能である。
【0020】
好適な少なくとも1つの制御パラメータセットの選択はしたがって、通常は対応する装置の特定のワークプロセスを実行する前に実行される。とりわけ、好適な少なくとも1つの制御パラメータセットの選択は、対応する装置のセットアップの際に行うことができる。
【0021】
本方法の第2ステップでは、選択された少なくとも1つの制御パラメータセットを適応して本装置の動作制御が行われ、特に、対応する制御パラメータセットにより影響を受ける本装置の機能ユニットの動作の制御が行われる。本方法の第2ステップでは、したがって、第1ステップで選択された少なくとも1つの制御パラメータセットを適応して本装置1の動作の制御、特に、対応する制御パラメータセットにより影響を受ける本装置の機能ユニットの動作の制御が行われるため、選択された前記少なくとも1つの制御パラメータセットを、対応する制御パラメータセットにより影響を受ける本装置の機能ユニットの動作を制御するための基準として受け取ることができる。これは例えば、対応する制御パラメータセットにより影響を受ける本装置の機能ユニットの動作を制御するために、本装置の各機能ユニットの動作を制御するための制御装置によって、選択された少なくとも1つの制御パラメータセットがデータ処理されるようにして、実行することができる。
【0022】
本方法はしたがって、制御パラメータセットまたは制御パラメータが、少なくとも1つのプラントエンジニアリング構成もしくはプロセスエンジニアリング構成に対して意図的に選択可能となり、すなわち例えば、特定の金型サイズ、特定のプロセスパラメータ等に対して意図的に選択可能となるという点で特徴付けられ、また少なくとも1つのプラントエンジニアリング構成もしくはプロセスエンジニアリング構成について通常は定められた選択基準に基づいて、データ記憶ユニットから少なくとも所定の制御パラメータセットが選択され、またこれが対応する制御パラメータセットにより影響を受ける本装置1(一以上の)機能ユニットの動作のための基準として受け取られるという点で特徴付けられる。本方法によれば、特定の制御パラメータセットの意図的な選択によって、特定のプラントエンジニアリング構成またはプロセスエンジニアリング構成について、個別的なまたはオーダーメイドの制御応答を実現することができる。応答反応、すなわち特に、本方法にしたがって制御されているか、または制御されるべき装置の特定の制御タスク、またはこのような装置の機能ユニットの特定の制御タスクに関連して、制御装置がどのように振舞うのかという点については、特定のプラントエンジニアリング構成またはプロセスエンジニアリング構成について好適な少なくとも1つの制御パラメータセットを意図的に選択し、また選択された制御パラメータセットを適宜適応することによって、大幅に改善することができ、したがって粒子発泡部品を製造する装置の動作を制御するための全体的に改善された方法が存在するようになっている。
【0023】
本方法によれば、制御パラメータセットを選択する前に、少なくとも1つの選択基準の提供または策定を行うことができる。ここでは例えば、本装置のパラメータに関する、および/または、本装置を用いて実行されるべき製造プロセスのパラメータに関する、および/または、本装置を用いて処理されるべきプラスチック粒子材料のパラメータに関する、選択基準を使用することができ、すなわちとりわけこの選択基準を提供または策定することができる。第1ステップで行われる少なくとも1つの制御パラメータセットの選択はしたがって、例えば、本装置のパラメータ、および/または、本装置を用いて実行されるべき製造プロセスのパラメータ、および/または、本装置を用いて処理されるべきプラスチック粒子材料のパラメータ、を考慮して実行することができる。これにより本装置の動作の制御、すなわち特に、対応する制御パラメータセットにより影響を受ける本装置の特定の一または複数の機能ユニットの動作の制御が可能となり、この制御は特定のプラントエンジニアリング構成またはプロセスエンジニアリング構成に関して適合するように実現されるものである。
【0024】
例えば、本装置の質量および/または慣性、または本装置に関連付けられる金型の質量および/または慣性を、本装置のパラメータとして使用することができる。したがって、本装置または、本装置に関連付けられる金型の質量および/または慣性に基づいて、所定の制御パラメータセットの選択を行うことができる。場合によっては或いは追加で、例えば本装置または、本装置に関連付けられる金型の熱的特性、とりわけ熱容量を、本装置のパラメータとして使用することができる。したがって、本装置または、本装置に関連付けられる金型の熱的特性、とりわけ熱容量に基づいて、所定の制御パラメータセットの選択を行うことができる。場合によっては或いは追加で、例えば本装置のプロセスチャンバーの容積を、本装置のパラメータとして使用することができる。したがって、本装置のプロセスチャンバーの容積に基づいて、所定の制御パラメータセットの選択を行うことができる。場合によっては或いは追加で、本装置のプロセスチャンバーの幾何形状(とりわけこれは、本装置のプロセスチャンバーの中に、プロセスチャンバーを介して、またはプロセスチャンバーの外への、流入特性、および/または、貫流特性、および/または流出特性の観点から適応される)を、本装置のパラメータとして使用することもできる。したがって、本装置のプロセスチャンバーの幾何形状に基づいて、所定の制御パラメータセットの選択を行うことができる。本装置のプロセスチャンバーは全ての実施形態において、例えば、本装置に関連付けられた金型の成形キャビティ、対応する金型に関連付けられ、金型の成形キャビティにプロセス流体を導入することができる蒸気チャンバー等のプロセス流体供給装置、または、本装置に関連付けられ、特に本装置の金型に関連付けられたプラスチック粒子導入装置および/またはプロセス流体導入装置に係るプラスチック粒子ラインおよび/またはプロセス流体ライン、とすることができる。
【0025】
少なくとも1つの化学的および/または物理的なプロセスパラメータ、とりわけ、プロセス温度、プロセス圧力、プロセス湿度、プロセス雰囲気および/またはサイクル数は、本装置を用いて実行されるべき製造プロセスのパラメータとして使用することができる。したがって、少なくとも1つの化学的および/または物理的なプロセスパラメータおよび/またはサイクル数に基づいて、所定の制御パラメータセットの選択を行うことができる。
【0026】
少なくとも1つの化学的および/または物理的な材料パラメータ、とりわけ、化学組成、粒子のサイズおよび/または形状、密度、温度、水分量、流動特性、とりわけ搬送または輸送流における流動特性は、本装置を用いて処理されるべきプラスチック粒子のパラメータとして使用することができる。したがって、少なくとも1つの化学的および/または物理的な材料メータに基づいて、所定の制御パラメータセットの選択を行うことができる。
【0027】
本方法によれば、少なくとも1つの制御パラメータセットが選択される前、場合によっては少なくとも1つの選択基準が提供される前に、データ記憶ユニットの提供を行うことができ、データ記憶ユニットには複数の制御パラメータセットが保存または記憶され、複数の制御パラメータセットは何れも、本装置の少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための少なくとも1つの制御パラメータを含む。
【0028】
本方法にはまた、データ記憶ユニットに記憶または保存される少なくとも1つの制御パラメータセットを変更または適合化させることが含まれる場合がある。本方法によれば、データ記憶ユニットに記憶または保存された少なくとも1つの制御パラメータセットの変更または適合化を行うことができ、および/または、変更または適合された制御パラメータセットをデータ記憶ユニットに保存または記憶することができる。したがって、例えば、特定のプロセスパラメータの測定値もしくはセンサー値、特定の機能ユニットの摩耗の兆候、などに基づいて、またはこれらを考慮して、適切な変更または適合を行うことができる。適切な測定値またはセンサー値は、本方法にしたがって制御されるべき本装置の動作から取得することができ、或いは粒子発泡部品を製造するための別の装置、特に本方法にしたがって制御されるべき本装置と同一または類似するように構成された粒子発泡部品製造装置から取得することができる。また適切な測定値またはセンサー値は、少なくとも1つのローカルデータベースユニットもしくはグローバルデータベースユニットから取得可能であって、場合によっては外部データも使用して、データ記憶ユニットに記憶または保存された少なくとも1つの制御パラメータセットを変更または適合することができる、ということを考えることができる。したがって、幾つかのプラントエンジニアリング構成もしくはプロセスエンジニアリング構成に関する個々の或いはオーダーメイドの制御応答の実現に関しては、制限がない。
【0029】
本方法によれば、少なくとも1つの制御パラメータセットを、保存または記憶することができ、またこれにしたがって選択または適応することができ、当該セットは、本装置の少なくとも1つの機能ユニットに係る、制御パラメータとしての動作パラメータに関するものであって、および/または、本装置を用いて実行されるべき少なくとも1つのワークプロセスに係る、制御パラメータ(以下の第1制御パラメータセット)としてのプロセスパラメータに関するものである。動作中に制御される本装置の機能ユニットの具体的な実装に応じて、適当な動作パラメータを、例えば、機能ユニットにより生成可能な力または動力、またはこれにより生じる機能ユニットの動作とすることができる。したがって、例えば、力および/または動力の生成または、本装置の機能ユニットの動きは、第1制御パラメータセットに基づいて具体的に制御することができる。したがって、可動に取付けられた機能ユニットもしくはそのようなユニットの機能部分の、少なくとも1つの動きパラメータもしくは動き関数もしくは、例えば、勾配状に成長する特性曲線、および/または、機能ユニットの、もしくはこのようなユニットの駆動装置の、駆動パラメータもしくは、例えば、勾配状に成長する駆動関数、とりわけ実際の位置パラメータは、本装置の少なくとも1つの機能ユニットの動作パラメータとして使用することができる。好適な駆動パラメータまたは好適な駆動関数にはまた、作動中に制御可能な機能ユニットについて所定の電力が伴うか、或いは電力消費が伴う場合がある。これに関連して想定されることは、例えば、駆動装置または搬出装置の駆動出力もしくは搬出出力、例えば、スクリューコンベヤ、吐出ポンプ、等の駆動出力もしくは搬出出力であって、例えばこれは対応する第1制御パラメータセットにより制御することができ、ここにおいて2つの動力レベルの間、例えば、2つのスピードの間でこの初期のランプ(Ramp: 勾配部分)が実行される。
【0030】
代替的に或いは追加で、本方法に従って、高レベルの目標値設定(以下の第2制御パラメータセット)に関する少なくとも1つの制御パラメータセットを、データ記憶ユニットに保存または記憶し、またこれにしたがって選択しまた適応させることができる。このような制御パラメータセットはしたがって、本装置の機能ユニットの実際の動作を制御するように機能するのではなく、本装置の機能ユニットの動作を実際に制御するための基準として取得される高レベル目標値設定を制御するように機能する。
【0031】
したがって、本装置の金型の成形キャビティ内の圧力制御の具体例は、実際の値と目標値との間に圧力差がある場合に、本装置の機能ユニットの一例としての圧力制限装置に対して、特にソフトウェアのみに基づく第2制御パラメータセットを用いて高レベル目標値設定が定義され、また例えば、圧力制限装置の動作の実際の制御、すなわち例えば、圧力制限装置の可動に取付けられた圧力制限部の動作の実際の制御を、第1制御パラメータセットを用いて実行することができる。作動中に制御可能な、駆動装置または搬出装置の形態をとる本装置の機能ユニットの上記の例に関連して、実際の値から目標値へと制御が行われる運動状態は、例えば、対応する第2制御パラメータセットを用いて高レベルに定義することができ、また駆動装置または搬出装置の実際の制御は、対応する第2制御パラメータセットにより、例えば高レベルで定義することができ、また駆動装置または搬出装置の実際の動作は、最初の第2制御パラメータセットを用いた力学状態セットに基づいて、対応する第1制御パラメータセットを用いて制御することができる。
【0032】
原則として、本方法はしたがって、動作中に制御可能な本装置の少なくとも1つの機能ユニットの動作制御に影響を与え、また少なくとも1つの目標値を記述する目標値情報であって、特に例えば圧力に依存する、温度に依存する、または時間に依存する目標値関数または目標値曲線の形態をとる目標値情報と、この特定の目標値情報により影響を受ける本装置の機能ユニットを操作するためもしくはその動作を制御するための目標値情報の適応と、からなる少なくとも1つの項目の設定を含むことができる。例えば、本装置の金型の成形キャビティを、プラスチック粒子および/またはプロセス流体で急速に充填することなど、例えばスピードが重要な幾つかのワークプロセスについては、制御の一時的な回避が可能である。これはとりわけ繰り返しのワークプロセス、例えば適当な充填プロセスなどに対して実行することができる。
【0033】
目標値情報の関連する項目は例えば、特定の目標値情報により記述される目標値の測定プロセスにより判断される情報に基づいて判断することができ、および/または、特定の目標値情報により記述される目標値の計算プロセスおよび/またはシミュレーションプロセスにより判断される情報に基づいて判断することができ、および/または、外部データベースから取得された情報に基づいて判断することができる。好適な計算プロセスおよび/またはシミュレーションプロセスは、プラントエンジニアリングパラメータもしくはプロセスエンジニアリングパラメータに基づいて実行することができる。
【0034】
上記の通り、少なくとも1つのアクチュエータ要素を備える作動装置を使用することができ、この少なくとも1つのアクチュエータ要素は、第1の状態、とりわけ第1の向きおよび/または位置に移行可能であって、また少なくとも1つの別の状態、とりわけ少なくとも1つの別の向きおよび/または位置に、移行可能である。このような作動装置は、例えば、駆動装置とすることができるか、もしくはこのような装置の一部を構成することができ、弁装置などの圧力制限装置であるかもしくはこのような装置の一部を構成することができ、工具装置であるかまたはこのような装置等の一部を構成することができる。
【0035】
本方法に係る全ての実施形態について、少なくとも1つの制御パラメータセットのとりわけユーザーによる選択は、手動で行うことが可能であり、および/または、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実装された選択装置を用いて、少なくとも一部が自動化された方法で、場合によっては完全に自動化された方法で、実行することができる、ということが適応される。好適に一部が自動化され、場合によっては完全に自動化された、対応する制御パラメータセットの選択はしたがって、対応する装置の、少なくとも一部が自動化され、場合によっては完全に自動化された動作についても可能である。特定の制御パラメータセットを適切に選択するために、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実装されたユーザーインターフェースおよび/またはデータインターフェースを使用することができる。対応するユーザーインターフェースおよび/またはデータインターフェースは、制御装置、データ記憶ユニット、または外部データ処理装置の一部を構成することができる。例えば、ユーザーのスマートフォン、タブレット、ノートPCなどの携帯端末は、外部データ処理装置としても理解することができる。
【0036】
さらに本方法に係る全ての実施形態について、ユーザーにより選択された制御パラメータセットの適応は、手動で行うことができ、および/または、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実装された選択装置を用いて、少なくとも一部が自動化された方法で、場合によっては完全に自動化された方法で、実行することができる、ということが適応される。好適に一部が自動化され、場合によっては完全に自動化された、対応する制御パラメータセットの適応はしたがって、少なくとも一部が自動化され、場合によっては完全に自動化された本装置の動作についても可能である。
【0037】
さらに本方法に係る全ての実施形態について、制御パラメータセットは、少なくとも1つの分類基準に従って分類されてデータ記憶ユニットに保存もしくは記憶することができ、または保存もしくは記憶することができるようになるであろう、ということが適応される。制御パラメータセットは、少なくとも1つの分類基準に従うデータベースの意味で少なくとも1つの分類基準にしたがって分類されてデータ記憶ユニットの中に存在することができ、これにより特定のプラントおよびプロセスの工学的な構成に対して適切な制御パラメータセットを簡単に特定することが可能となるため、一以上の制御パラメータセットを簡単に選択することができる。分類は一以上の分類基準を基にして行うことができる。この場合、(選択基準と同様にして)例えば、本装置のパラメータに関する分類基準、ならびに/または、本装置を用いて実行されるべき製造プロセスに関するプラントエンジニアリングパラメータ、および/もしくは、プロセスエンジニアリングパラメータに関する分類基準、ならびに/または、本装置を用いて加工されるべき粒子発泡材料のパラメータに関する分類基準、を使用することができる。ワークプロセスの情報および/または目標値の情報を分類基準と同様にして使用することができる。
【0038】
さらに本方法に係る全ての実施形態について、好適なデータ記憶ユニットは、クラウドストレージなどのあらゆるローカルデータ記憶ユニットまたはグローバルデータ記憶ユニットとすることができる。本方法によれば、内部データ記憶ユニットを使用することができる。このようなデータ記憶ユニットは通常少なくとも所定の装置に固定されて関連付けられており、内部データ記憶ユニットに保存された制御パラメータセットが本装置に直接的に割り当て可能となっている。代替的にあるいは追加で外部データ記憶ユニットを使用することができる。このような外部データ記憶ユニットは通常、所定の装置に固定されて関連付けられてはおらず、外部データ記憶ユニットに保存された制御パラメータセットは、本装置と外部データ記憶ユニットとの間のデータ接続を介して、装置に割り当てることができる。データ記憶ユニットは、全ての実施形態において、一以上の揮発性または不揮発性のデータメモリを備えることができる。
【0039】
本発明の第2の態様は、粒子発泡部品を製造するための装置に関する。当該装置は、成形機とも呼ばれる場合があるが、動作中に少なくとも1つの目標値について制御可能な少なくとも1つの機能ユニットと、複数の制御パラメータセットが保存される少なくとも1つのデータ記憶ユニットであって、前記複数の制御パラメータセットには何れも、本装置の少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための少なくとも1つの制御パラメータが含まれている、少なくとも1つのデータ記憶ユニットと、前記データ記憶ユニットから選択され、本装置の動作を制御し、特に対応する制御パラメータセットにより影響を受ける本装置の機能ユニットの動作を制御するための、少なくとも1つの制御パラメータ、を適応するための少なくとも1つの制御装置と、を備える。上記の通り、外部データ記憶ユニットをデータ記憶ユニットとして使用することも可能であって、これが本装置の任意選択的なコンポーネントを表すようにすることができる。
【0040】
本発明の第3の態様は、粒子発泡部品を製造する装置の動作を制御するシステムに関し、前記装置は動作中に少なくとも1つの目標値について制御可能な少なくとも1つの機能ユニットを備える。本システムは、粒子発泡部品を製造し、動作中に少なくとも1つの目標値について制御可能な少なくとも1つの機能ユニットを備える、少なくとも1つの装置と、複数の制御パラメータセットが保存される少なくとも1つのデータ記憶ユニットであって、前記複数の制御パラメータセットには何れも、本装置の少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための少なくとも1つの制御パラメータが含まれている、少なくとも1つのデータ記憶ユニットと、前記データ記憶ユニットから選択され、本装置の動作を制御し、本装置の動作を制御するため、特に対応する制御パラメータセットにより影響を受ける本装置の機能ユニットの動作を制御するための、少なくとも1つの制御パラメータセット、を適応するための少なくとも1つの制御装置と、を備える。
【0041】
本装置は、複数の装置の動作制御を実行するように、または様々な装置の個々の機能ユニット、幾つかの機能ユニット、または全部の機能ユニットの動作制御を実行するように構成することができる。特定の装置または機能ユニットの動作制御は、互いに独立してまたは従属的に行うことができる。
【0042】
本発明の第1の態様に係る方法に関連付けられるすべての実施態様は、本発明の第2の態様に係る装置に対して、および/または、本発明の第3の態様に係るシステムに対しても同様に適応され、この逆もまた真である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明は、図面の例示的な実施形態に基づいてより詳細に説明される。これらは以下を示す。
【0044】
図1図1は粒子発泡部品を製造するための実施形態に係る装置の概略図である。
図2図2は実施形態に係る制御装置の概略図である。
図3図3は実施形態に係る制御装置の概略図である。
図4図4は実施形態に係る弁のストロークの制御に関する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は粒子発泡部品を製造する実施形態に係る装置1の概略図を示す。
【0046】
成形機とも呼ばれる本装置1は、粒子発泡部品を製造するため、少なくとも1つの膨張可能もしくは膨張したプラスチック粒子材料からなる膨張可能もしくは膨張したプラスチック粒子を処理するように構成される。本装置1はここにおいて、粒子発泡部品を製造するため、少なくとも1つのプラスチック粒子材料からなるプラスチック粒子を処理する一以上のワークプロセスを実行するように構成されている。
【0047】
「ワークプロセス」との用語には、基本的に本装置1を使用して実行可能なあらゆるプロセスが含まれ、このプロセスは粒子発泡部品を製造するため、少なくとも1つのプラスチック粒子材料からなるプラスチック粒子の処理に直接的に或いは間接的に関するものである。ワークプロセスは特に、プラスチック粒子の(実際の)処理、とりわけプラスチック粒子の結合、が実行され、製造されるべき粒子発泡部品が形成される処理ステップ、または大量のプラスチック粒子を提供し、とりわけ処理ステップで処理されるべき大量のプラスチック粒子を提供する提供プロセス、または、大量のプラスチック粒子、とりわけ処理ステップで処理されるべき大量のプラスチック粒子が、搬送ラインに沿って搬送される搬送プロセス、または、大量のプラスチック粒子、とりわけ処理ステップで処理されるべき大量のプラスチック粒子が、本装置1の金型2の成形キャビティ2.3に流し込まれる充填プロセス、である。
【0048】
処理ステップの一部として、少なくとも1つの作動媒体またはプロセス媒体を適応または使用することができる。作動媒体またはプロセス媒体はとりわけ、液体、蒸気、または気体のエネルギー担体媒体とすることができ、すなわち例えば、液体、特に水、蒸気、すなわち、特に過熱蒸気、またはガスなどであり、これらは、装置の動作において、エネルギー、すなわち特に熱エネルギー、運動エネルギーを吸収または放出する。
【0049】
特定のワークプロセスを実行するために、本装置1は一以上の機能ユニットを備えており、これらは作動中に少なくとも1つの目標値について制御可能である。
【0050】
作動中に少なくとも1つの目標値について制御可能な、本装置1の機能ユニットの具体例は作動装置であって、作動装置は、第1の状態、特に第1の向きおよび/または位置に移行可能な少なくとも1つのアクチュエータ要素であって、少なくとも1つの別の状態、特に少なくとも1つの別の向きおよび/または位置に移行可能なアクチュエータ要素、を備えている。対応する作動装置は以下に詳細に説明する圧力制限装置2.5を形成することができるか、またはこのような装置の一部を形成する。
【0051】
本装置1は例示的な部品として上記の金型2を備え、金型2は、図示しない駆動装置を介して互いに可動に取付けられる2つの成形体2.1,2.2を備えており、前記駆動倒置は金型1を、図1に図示の閉鎖位置と、図1に図示しない開放位置に移行させるためのものである。閉鎖位置では、この2つの成形体2.1,2.2が、明白に成形キャビティ3を区切りまたは定めている。
【0052】
成形キャビティ3は、粒子発泡部品を製造するため、純粋に概略的に図示されている充填装置4により、本装置1を用いて処理される一以上の膨張可能もしくは膨張したプラスチック粒子材料からなる膨張可能もしくは膨張したプラスチック粒子で充填することができる。
【0053】
成形体2.1,2.2には、管状のまたは管のような形状の開口部2.4が設けられ、ここを通って本装置の動作中に、通常の温度制御プロセス流体、例えば蒸気または高温蒸気などを、成形キャビティ2.3の中に導入することができ、これにより成形キャビティ2.3の中に注がれたプラスチック粒子を互いに結合させ、製造されるべき粒子発泡部品が形成される。
【0054】
プロセス流体は、本装置1のプロセスチャンバーの一例として、例えば蒸気発生器の形態をとるプロセス流体発生装置8から、本装置1に提供される。プロセス流体発生装置8は、生成したプロセス流体をプロセス流体供給装置3に提供するように構成され、プロセス流体供給装置3は例えば、本装置1のプロセスチャンバーの別の例としての、金型2の成形キャビティ2.3に関わる蒸気チャンバーの形態をとる。プロセス流体供給装置3は金型2を少なくとも部分的に取り囲み、開口部2.4と連通することができる。対応するプロセス流体発生装置8は、本装置1の純粋な機能的部品または構造的な部分を構成することができる。
【0055】
プロセス流体供給装置3および/または開口部2.4は、圧力制限装置2.5(これらは例えば弁装置として具体的に形成可能であるか、またはこのような装置を有するものである)に関連付けられており、ここから特定の圧力レベルを、プロセス流体供給装置3および/または成形キャビティ2.3の内部に設定することができる。上記の通り、圧力制限装置2.5は、動作中に少なくとも1つの目標値について制御可能な、本装置1の例示的な機能ユニットを表している。
【0056】
原則的に、適当な圧力制限装置2.5を配置することで、ここから本装置1に係る後続の少なくとも1つのプロセスチャンバーの内部で、圧力を設定できるようになっており、図示の配置は単に例示のためのものであると理解されるべきである。とりわけ、開口部2.4に関連付けられる圧力制限装置2.5は、任意選択的なものとして理解されるべきである。
【0057】
本装置1は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実装される制御装置5を備える。制御装置5は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実装される一以上の制御器を備えることができる。制御装置5は、本装置1の機能ユニットの動作を制御するように構成されており、これら機能ユニットは作動中に、一以上の制御パラメータを基にして、少なくとも1つの目標値について制御可能となっている。制御装置5はしたがって、例えば圧力制限装置2.5の動作を制御するように構成されており、圧力制限装置は上記の通り、本装置1の例示的な機能ユニットを表しており、作動中に少なくとも1つの目標値について制御可能となっている。
【0058】
制御装置5は例えば、P成分、D成分、I成分を有し、または制御パラメータとしてのPパラメータ、Dパラメータ、Iパラメータを有する、PID制御装置(PID制御器)として構成することができる。
【0059】
図1に図示の本装置1は、粒子発泡部品を製造する少なくとも1つの装置1の動作を制御するための、本装置1より上位にあるシステム7の一部を構成することができる。
【0060】
図1に例示的に図示された本装置1の構成を利用して、粒子発泡部品を製造する装置1の動作を制御するための方法が実行される。対応する方法の例示的な実施形態を以下の例を用いて説明する。
【0061】
本方法はしたがって、粒子発泡部品を製造する図1に図示の装置1の動作を制御するように機能し、本装置1は、作動中に少なくとも1つの目標値について制御可能な少なくとも1つの機能ユニットを備える。本方法はしたがって、粒子発泡部品を製造する装置1の少なくとも1つの機能ユニットの動作を制御可能な制御方法であって、当該ユニットは作動中に少なくとも1つの目標値について制御可能である。
【0062】
ここにおいて本装置1の動作の制御は、制御されるべき或いは制御されている本装置1の動作パラメータまたは制御変数、すなわち例えばプラントもしくはプロセスエンジニアリングパラメータに影響を与えることを目的としており、これにより一以上の目標値が守られ、またかく乱の影響下または外乱変数の下であっても目標値が可能となるようになっている。関連する動作パラメータまたは制御変数の具体例としては例えば、本装置1のプロセスチャンバーの内部圧、すなわち本装置1の金型2の成形キャビティ2.3の内部圧である。他のプラントもしくはプロセスエンジニアリングパラメータを動作パラメータまたは制御変数として使用することも、勿論可能である。
【0063】
本方法の例示的な実施形態に係る各ステップを以下に詳細に説明する。
【0064】
本方法の第1ステップでは、少なくとも1つの選択基準に従って、データ記憶ユニット6からの制御パラメータセットの選択が実行され、前記制御パラメータセットには、本装置1の少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための少なくとも1つの制御パラメータが含まれ、前記データ記憶ユニット6には複数の制御パラメータセットが保存または記憶され、前記複数の制御パラメータセットは何れも、本装置1の少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための少なくとも1つの制御パラメータを含む。本方法の第1ステップでは、少なくとも1つの選択基準を使用して、データ記憶ユニット6に保存または記憶された複数の制御パラメータセットから少なくとも特定の制御パラメータセットの選択が行われ、前記複数の制御パラメータセットは何れも、本装置1の少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための少なくとも1つの制御パラメータを含む。本方法によれば、複数の制御パラメータセットが対応するデータ記憶ユニット6からこのように提供され、またこのデータ記憶ユニット6から提供される制御パラメータセットから少なくともある特定の制御パラメータセットを、一以上の選択基準に従って、選択する可能性がある。データ記憶ユニット6に記憶または保存され、またこれによりデータ記憶ユニットから提供される制御パラメータセットは、通常、何れも所定の数を有する所定の制御パラメータを含むため、制御されるべき少なくとも1つの制御変数、例えば、本装置1のプロセスチャンバー内部の圧力などについて、特定の制御応答を定めている。本装置1の各ワークプロセスに対して、少なくとも1つの専用の制御パラメータセットを選択することが可能である。しかし、本装置1の複数のワークプロセスに対して、少なくとも1つの制御パラメータセットを選択することもまた想定可能である。
【0065】
少なくとも1つの制御パラメータセットのとりわけユーザーによる選択は、手動で行うことが可能であり、および/または、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実装された選択装置を用いて、少なくとも一部が自動化された方法で、場合によっては完全に自動化された方法で、実行することができる。好適に一部が自動化され、場合によっては完全に自動化された、対応する制御パラメータセットの選択はしたがって、対応する装置の、少なくとも一部が自動化され、場合によっては完全に自動化された動作についても可能である。特定の制御パラメータセットを適切に選択するために、全ての場合において、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実装されたユーザーインターフェースおよび/またはデータインターフェースを使用することができる。対応するユーザーインターフェースおよび/またはデータインターフェースは、制御装置、データ記憶ユニット、または外部データ処理装置の一部を構成することができる。例えば、ユーザーのスマートフォン、タブレット、ノートPCなどの携帯端末は、外部データ処理装置としても理解することができる。
【0066】
好適な少なくとも1つの制御パラメータセットの選択はしたがって、通常は対応する装置1の特定のワークプロセスを実行する前に実行される。とりわけ、好適な少なくとも1つの制御パラメータセットの選択は、対応する装置1のセットアップの際に行うことができる。
【0067】
好適なデータ記憶ユニット6は、クラウドストレージなどのあらゆるローカルデータ記憶ユニットまたはグローバルデータ記憶ユニットとすることができる。本装置1に固定されて関連付けられている内部データ記憶ユニット6を本方法に従って使用することができ、内部データ記憶ユニット6に保存された制御パラメータセットが本装置1に直接的に割り当て可能になるように使用することができる。代替的にあるいは追加で、何れの装置1にも固定されて関連付けられていない外部データ記憶ユニット6を使用することができ、これにより外部データ記憶ユニット6に保存された制御パラメータセットを、本装置1と外部データ記憶ユニット6との間のデータ接続を介して装置に割り当てることができる。
【0068】
制御パラメータセットは、少なくとも1つの分類基準に従って分類されたデータ記憶ユニット6に保存もしくは記憶することができ、または保存もしくは記憶することができるようになるであろう。制御パラメータセットは、少なくとも1つの分類基準に従うデータベースの意味でこのように分類されたデータ記憶ユニット6の中に存在することができ、これにより特定のプラントおよびプロセスの工学的な構成に対して適切な制御パラメータセットを簡単に特定することが可能となるため、一以上の制御パラメータセットを簡単に選択することができる。分類は一以上の分類基準を基にして行うことができる。この場合、(選択基準と同様にして)例えば、本装置1のパラメータに関する分類基準、ならびに/または、本装置1を用いて実行されるべき製造プロセスに関するプラント、および/もしくは、プロセスエンジニアリングパラメータに関する分類基準、ならびに/または、本装置1を用いて加工されるべきプラスチック粒子材料のパラメータに関する分類基準、を使用することができる。ワークプロセスの情報および/または目標値の情報を分類基準と同様にして使用することができる。
【0069】
本方法の第2ステップでは、選択された少なくとも1つの制御パラメータセットを適応して本装置1の動作の制御が行われ、すなわち特に、対応する制御パラメータセットにより影響を受ける本装置1の機能ユニットの動作の制御が行われる。本方法の第2ステップでは、したがって、第1ステップで選択された少なくとも1つの制御パラメータセットを適応して本装置1の動作の制御、すなわち特に、対応する制御パラメータセットにより影響を受ける本装置1の機能ユニットの動作の制御が行われ、したがって選択された少なくとも1つの制御パラメータセットを、対応する制御パラメータセットにより影響を受ける本装置1の機能ユニットの動作を制御するための基準として受け取ることができる。これは例えば、対応する制御パラメータセットにより影響を受ける本装置1の機能ユニットの動作を制御するための制御装置5によって、選択された少なくとも1つの制御パラメータセットがデータ処理されるようにして、実行することができる。
【0070】
選択された制御パラメータセットは、ユーザーが手動で適応することができ、および/または、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実装された選択装置を用いて、少なくとも一部が自動化された方法で、場合によっては完全に自動化された方法で、適応することができる。好適に一部が自動化され、場合によっては完全に自動化された、対応する制御パラメータセットの適応はしたがって、本装置1に関する少なくとも一部が自動化され、場合によっては完全に自動化された動作についても可能である。
【0071】
本方法はしたがって、制御パラメータセットまたは制御パラメータが、少なくとも1つのプラントもしくはプロセスエンジニアリング構成に対して意図的に選択可能となり、すなわち例えば、特定の金型サイズ、特定のプロセスパラメータ等に対して意図的に選択可能となるという点で特徴付けられ、また少なくとも1つのプラントもしくはプロセスエンジニアリング構成について通常は定められた選択基準に基づいて、データ記憶ユニット6から少なくとも1つの所定の制御パラメータセットが選択され、またそれぞれの制御パラメータセットにより影響を受ける本装置1の(一以上の)機能ユニットの動作のための基準として受け取られるという点で特徴付けられる。本方法によれば、特定の制御パラメータセットを意図的に選択することによって、特定のプラントまたはプロセスエンジニアリング構成に関する、個別的なまたはオーダーメイドの制御応答を実現することができる。応答反応、すなわち特に、本方法にしたがって制御されているか、または制御されるべき機能ユニットの特定の制御タスクに関連して、制御装置がどのように振舞うのかという点については、特定のプラントまたはプロセスエンジニアリング構成について好適な少なくとも1つの制御パラメータセットを意図的に選択し、また選択された制御パラメータセットを適宜適応することによって、大幅に改善することができる。
【0072】
本方法によれば、制御パラメータセットを選択する前に、少なくとも1つの選択基準の提供または策定を行うことができる。ここでは例えば、本装置1のパラメータに関する、および/または、本装置1を用いて実行されるべき製造プロセスのパラメータに関する、および/または、本装置1を用いて処理されるべきプラスチック粒子材料のパラメータに関する、選択基準を使用することができ、すなわちとりわけ選択基準を提供または策定することができる。第1ステップで行われる少なくとも1つの制御パラメータセットの選択はしたがって、例えば、本装置1のパラメータ、および/または、本装置1を用いて実行されるべき製造プロセスのパラメータ、および/または、本装置1を用いて処理されるべきプラスチック粒子材料のパラメータを考慮して実行することができる。これにより本装置1の動作の制御、すなわち特に、対応する制御パラメータセットにより影響を受ける本装置1の特定の一または複数の機能ユニットの動作の制御の実現化が促進され、この制御は特定のプラントまたはプロセスエンジニアリング構成に関して適合するものである。
【0073】
例えば、本装置1または、本装置1に関連付けられる金型2の質量および/または慣性を、本装置のパラメータとして使用することができる。したがって、本装置1または、本装置1に関連付けられる金型2の質量および/または慣性に基づいて、一定の制御パラメータセットの選択を行うことができる。場合によっては或いは追加で、例えば熱的特性、とりわけ本装置1または、本装置1に関連付けられる金型2の熱容量を、本装置1のパラメータとして使用することができる。したがって、熱的な特性、とりわけ本装置1または、本装置1に関連付けられる金型2の熱容量に基づいて、一定の制御パラメータセットの選択を行うことができる。場合によっては或いは追加で、例えばプロセスチャンバーの容積、すなわち例えば、本装置1の成形キャビティ2.3の容積を、本装置1のパラメータとして使用することができる。したがって、本装置1のプロセスチャンバーの容積に基づいて、一定の制御パラメータセットの選択を行うことができる。場合によっては或いは追加で、本装置1のプロセスチャンバーの幾何形状(とりわけこれは、本装置1のプロセスチャンバーの中に、プロセスチャンバーを介して、またはプロセスチャンバーの外への、流入特性、および/または、貫流特性、および/または流出特性の観点から適応される)を、本装置1のパラメータとして使用することもできる。したがって、本装置1のプロセスチャンバーの幾何形状に基づいて、一定の制御パラメータセットの選択を行うことができる。本装置1のプロセスチャンバーは全ての実施形態において、例えば、本装置1に関連付けられた金型2の成形キャビティ2.3、本装置1の金型に関連付けられた蒸気チャンバー等のプロセス流体供給装置3、または、本装置1の金型に関連付けられたプラスチック粒子案内装置および/またはプロセス流体案内装置に係るプラスチック粒子ラインおよび/またはプロセス流体ライン、とすることができる。
【0074】
少なくとも1つの化学的および/または物理的なプロセスパラメータ、とりわけ、プロセス温度、プロセス圧力、プロセス湿度、プロセス雰囲気および/またはサイクル数は、本装置1を用いて実行されるべきワークプロセスまたは製造プロセスのパラメータとして使用することができる。したがって、少なくとも1つの化学的および/または物理的なプロセスパラメータおよび/またはサイクル数に基づいて、一定の制御パラメータセットの選択を行うことができる。
【0075】
少なくとも1つの化学的および/または物理的な材料パラメータ、とりわけ化学組成、粒子のサイズおよび/または形状,密度、温度、水分含量、流動特性、特に搬送流もしくは輸送流における流動特性は、本装置1を用いて処理されるべきプラスチック粒子のパラメータとして使用することができる。したがって、少なくとも1つの化学的および/または物理的な材料パラメータに基づいて、一定の制御パラメータセットの選択を行うことができる。
【0076】
本方法によれば、少なくとも1つの制御パラメータセットが選択される前、場合によっては少なくとも1つの選択基準が提供される前に、好適なデータ記憶ユニット6の提供を行うことができ、ここにおいて各々が本装置1の少なくとも1つの機能ユニットの動作を少なくとも1つの目標値について制御するための少なくとも1つの制御パラメータを含む複数の制御パラメータセットが、保存または記憶される。
【0077】
本方法にはまた、データ記憶ユニット6に記憶または保存される少なくとも1つの制御パラメータセットを変更または適合させることが含まれる場合がある。本方法によれば、データ記憶ユニット6に記憶または保存された少なくとも1つの制御パラメータセットの変更または適合を行うことができ、および/または、変更または適合された制御パラメータセットをデータ記憶ユニット6の中に保存または記憶することができる。したがって、例えば特定のプロセスパラメータの測定値またはセンサー値、本装置1の特定の機能ユニットの摩耗の兆候などに基づいて、またはそれらを考慮して、適切な変更または適合を行うことができる。適切な測定値またはセンサー値は、本方法にしたがって制御されるべき本装置1の動作から取得することができ、或いは粒子発泡部品を製造する別の装置、特に本方法にしたがって制御されるべき本装置1と同一または類似するように構成された粒子発泡部品製造装置の動作から取得することができる。また適切な測定値またはセンサー値は、少なくとも1つのローカルもしくはグローバルデータベースユニットから取得可能であって、場合によっては外部データを使用して、データ記憶ユニット6に記憶または保存された少なくとも1つの制御パラメータセットを変更可能または適合可能となっている、ということを考えることができる。したがって、幾つかのプラントもしくはプロセスエンジニアリング構成に関する個々の或いはオーダーメイドの制御応答の実現に関しては限定されない。
【0078】
本方法によれば、少なくとも1つの制御パラメータセットをデータ記憶ユニット6の中に保存または記憶することができ、またこれにしたがって選択または適応することができ、当該セットは、本装置の少なくとも1つの機能ユニットに係る、制御パラメータとしての動作パラメータに関するものであって、および/または、本装置1を用いて実行されるべき少なくとも1つのワークプロセスに係る、制御パラメータ(以下の第1制御パラメータセット)としてのプロセスパラメータに関するものである。動作中に制御される本装置1の機能ユニットの具体的な実装に応じて、対応する動作パラメータは、例えば、機能ユニットにより生成可能な力または動力、またはこれにより生じる機能ユニットの動作とすることができる。結果として、例えば、力および/または動力の生成または、本装置1の機能ユニットの動作は、第1制御パラメータセットに基づいて具体的に制御することができる。したがって、可動に取付けられた機能ユニットもしくはそのようなユニットの機能部分の、少なくとも1つの動きパラメータもしくは動き関数もしくは、例えば、勾配状に成長する特性曲線、および/または、機能ユニットの、もしくはこのような機能ユニットの駆動装置の、駆動パラメータもしくは、例えば、勾配状に成長する駆動関数、とりわけ実際の位置パラメータは、本装置1の少なくとも1つの機能ユニットの動作パラメータとして使用することができる。対応する駆動パラメータまたは対応する駆動関数にはまた、作動中に制御可能な機能ユニットについて特定の電力が伴うか、或いは電力消費が伴う場合がある。これに関連して想定されることは、例えば、駆動装置または搬出装置の駆動出力もしくは搬出出力、例えば、コンベヤ・スクリュー、吐出ポンプ、等の駆動出力もしくは搬出出力であって、例えばこれは対応する第1制御パラメータセットにより制御することができ、ここにおいて2つの動力レベルの間、例えば、2つのスピードの間で、この初期のランプ(Ramp: 勾配部分)が実行される。
【0079】
代替的に或いは追加で、高レベル目標値設定(以下の第2制御パラメータセット)に関する少なくとも1つの制御パラメータセットを、本方法に従ってデータ記憶ユニットに保存または記憶し、これにしたがって選択しまた適応させることができる。第1制御パラメータセットとは対照的に、第2制御パラメータセットはしたがって、本装置1の機能ユニットの実際の動作を制御するように機能するのではなく、本装置1の特定の機能ユニットの動作を実際に制御するための基準として取得される高レベル目標値設定を実行するように機能する。
【0080】
したがって、本装置1の金型2の成形キャビティ2.3内の圧力制御の具体例は、実際の値と目標値との間に圧力差がある場合に、特にソフトウェアのみに基づく第2制御パラメータセットによって、本装置1の機能ユニットの一例としての圧力制限装置2.5に対する高レベル目標値設定が定義され、また例えば、圧力制限装置2.5の動作、すなわち例えば、圧力制限装置2.5の可動に取付けられた圧力制限部の動作を、第1制御パラメータセットを介して実行することができる。作動中に制御可能な、駆動装置または搬出装置の形態をとる本装置1の機能ユニットの上記の例に関連して、実際の値から目標値へと制御が行われる運動状態は、例えば、対応する第2制御パラメータセットを介して高レベルに定義することができ、また駆動装置または搬出装置の実際の制御は、対応する第2制御パラメータセットにより、例えば高レベルで定義することができ、また駆動装置または搬出装置の実際の動作は、最初の第2制御パラメータセットによる力学状態セットに基づいて、対応する第1制御パラメータセットにより制御することができる。
【0081】
原則として、本方法はしたがって、動作中に制御可能な本装置1の機能ユニットの動作の制御に影響を与え、また少なくとも1つの目標値を記述する目標値情報であって、特に目標値関数または目標値曲線の形態をとる目標値情報と、この特定の目標値情報により影響を受ける本装置1の機能ユニットの動作を制御するための目標値情報の適応と、からなる少なくとも1つの項目の設定を含むことができる。例えば、本装置1の金型2の成形キャビティ2.3を、プラスチック粒子および/またはプロセス流体で急速に充填することなど、これに関して例えばスピードのみが決定的である、幾つかのワークプロセスについては、このようにして制御の一時的な回避が可能である。これはとりわけ繰り返しのワークプロセス、例えば対応する充填プロセスなどに対して実行することができる。
【0082】
目標値情報の関連する項目は例えば、特定の目標値情報により記述される目標値の測定プロセスにより判断される情報に基づいて判断することができ、および/または、特定の目標値情報により記述される目標値の計算および/またはシミュレーションプロセスにより判断される情報に基づいて判断することができ、および/または、外部データベースから取得された情報に基づいて判断することができる。対応する計算および/またはシミュレーションプロセスは、プラントもしくはプロセスエンジニアリングパラメータに基づいて実行することができる。対応する目標値情報は、適応可能な場合にとりわけ逐次的に適用した後に、データ記憶ユニット6に保存または記憶することができる。
【0083】
図2、3は何れも例示的な実施形態に係る制御装置5の概略図を表している。
【0084】
図2に図示の例示的な実施形態からまず、制御装置5が、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実装された第1制御器5.1を具備することができることが明らかであって、この文脈で圧力制限装置2.5について例示的に言及すると、第1制御器5.1は本装置1の機能ユニットの動作を制御するための基準として、高レベルの目標値設定に関する対応する第2制御パラメータセットを取得し、また制御装置5は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実装された第2制御器5.2を具備することでき、この文脈で例示的に圧力制限装置2.5の可動に取付けられた圧力制限部の位置について言及すると、第2制御器5.2は本装置1の対応する機能ユニットの動作を制御するための基準として、本装置1の機能ユニットの動作パラメータに関連する、制御パラメータとしての対応する第1制御パラメータセットを取得する。
【0085】
図2に図示の例示的な実施形態では、第1制御器5.1の出力部が第2制御器5.2の入力部に接続されている。第2制御器5.2の出力部は被制御システムを表すボックスに接続されている。
【0086】
矢印P1は、動作が制御されるべき圧力制限装置5の圧力制限部の実際の位置を表す信号が、第2制御器5.2の入力部に戻る、ことを表している。
【0087】
矢印P2は、圧力制限装置5の制御により生じる実際の圧力を表す信号が、第1制御器5.1の入力部に戻ること、を表している。
【0088】
かく乱変数は例として矢印P3およびP4により表され、さらに矢印P3は例えば、例として、本装置1のプロセスチャンバーにおける漏れ等により生じた実際の圧力に関するかく乱変数を表しており、また矢印P4は例えば、圧力制限装置2.5の摩耗等により生じた機械的な故障に関するかく乱変数を表している。
【0089】
図3に図示の例示的な実施形態に基づけば、目標値を設定する際に、制御器5.1を一時的に停止させることができることが明らかであって、この目標値設定は上記の通り、例えば時間、圧力、温度等などの特定のパラメータの関数とすることができる。制御器5.1の一時的な停止はしたがって、目標値の設定が行われる時間に行われる。この制御器5.1の一時的な停止は、図3に点線で制御器5.1を表しているボックスを示すことにより図示されている。
【0090】
このために図4には、2つのグラフを用いて、例示的な実施形態に係る圧力制限装置2.5の、可動に取付けられた圧力制限部のバルブストロークの制御に係る概略図が示されている。
【0091】
上側のグラフでは、本装置1のプロセスチャンバーの内部圧曲線、例えば本装置1の金型2の成形キャビティ2.3の内部圧曲線が、x軸上にプロットされ、また時間がy軸上にプロットされている。ここにおいて点線は圧力に対する目標値設定を表しており、実線は例によって実際の圧力の値を表している。
【0092】
下側のグラフにおいて、本装置1のプロセスチャンバーの内部圧、すなわち例えば、本装置1の金型2の成形キャビティ2.3の内部圧と相関性のある、圧力制限装置2.5の、可動に取付けられた圧力制限部のストローク曲線が、x軸上にプロットされ、また時間がy軸上にプロットされている。ここにおいて点線は圧力制限部のストロークに対する目標値設定を表しており、実線は例によって、圧力制限部の実際のストロークの値を表している。
【0093】
ここにおいて圧力制限装置2.5の動作制御は、時間tおよび時間tにより定められた第1期間に、まず少なくとも1つの目標値を表す目標値情報に基づいて、とりわけ目標値関数または目標値曲線の形態をとる情報に基づいて行われる。本装置1の特定のプロセスチャンバーの内部圧の急速な上昇をこのようにして実現することができる。したがって、この第1期間では、圧力制限装置2.5の動作制御は一時的に省略される。
【0094】
時間tと時間tの間の第2期間では、圧力制限装置2.5の動作制御が、制御パラメータセットを基にして行われる。
図1
図2
図3
図4