(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004072
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】航空電子差し込み式能動型光コネクタ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/42 20060101AFI20250106BHJP
B64F 5/40 20170101ALI20250106BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
G02B6/42
B64F5/40
H04J14/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024170199
(22)【出願日】2024-09-30
(62)【分割の表示】P 2019212858の分割
【原出願日】2019-11-26
(31)【優先権主張番号】16/216,834
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】トゥオン ケー.トロン
(72)【発明者】
【氏名】エリック ワイ.チャン
(72)【発明者】
【氏名】デニス ジー.コシンツ
(72)【発明者】
【氏名】キム クァン アン グエン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー ビー.パン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】組み込みのトランシーバを有するLRUの設計および再設計に関連する欠点を解消する。
【解決手段】1つ以上のチャネルを有するモジュール式であり、電気信号を光信号に変換し、逆もまた同様である差し込み式能動型光コネクタ(14)は、一方側に、列線交換ユニット(LRU)(10a)への差し込み式電気インターフェース(16)を有し、他方側に、航空機の光ファイバ配線束(20a、20b)への差し込み式光インターフェース(18)を有し、ラック搭載およびボルト固定LRUを含むさまざまな種類のLRUへと差し込むことができ、電気/光変換を完全に標準サイズの航空機コネクタ内で可能にするために充分な電子および光通信コンポーネントを含み、さまざまなデータ通信プロトコルに適応可能であり、シングルファイバまたはデュアルファイバのどちらの双方向データリンクにも使用される柔軟性を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタハウジングと、
前記コネクタハウジング内に収容された第1のプリント回路基板と、
前記第1のプリント回路基板に電気的に結合し、前記第1のプリント回路基板によって支持された第1の複数の電気コネクタと、
第1のレーザデバイスおよび第1のフォトディテクタを前記第1のプリント回路基板に電気的に結合させて備える第1の双方向光小組立品と、
前記第1のプリント回路基板に取り付けられ、前記第1の双方向光小組立品を収容するように構成された第1のレセプタクルおよび第1の光ケーブルを終端処理する第1の終端部の一端を受け入れるように構成された第2のレセプタクルを備える第1のハウジングとを備えており、
前記第1のレーザデバイスは、前記第1の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの第1の対に電気的に結合し、前記第1の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの前記第1の対を介して受信した電気信号に応答して、第1の光ファイバの端部へと前記第1のハウジングを通って光を送るように配置され、
前記第1のフォトディテクタは、前記第1の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの第2の対に電気的に結合し、前記第1の光ファイバの前記端部からの光の受信に応答して、前記第1の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの前記第2の対へと電気信号を送信するように配置されている、差し込み式能動型光コネクタ。
【請求項2】
前記第1の複数の電気コネクタは、電気ソケットである、請求項1に記載の差し込み式能動型光コネクタ。
【請求項3】
前記第1の双方向光小組立品は、前記第1のレーザデバイスおよび第1のフォトディテクタに光学的に結合した波長分割多重フィルタをさらに備える、請求項1または2に記載の差し込み式能動型光コネクタ。
【請求項4】
前記コネクタハウジング内に収容された第2のプリント回路基板と、
前記第2のプリント回路基板に電気的に結合し、前記第2のプリント回路基板によって支持された第2の複数の電気コネクタと、
第2のレーザデバイスおよび第2のフォトディテクタを前記第2のプリント回路基板に電気的に結合させて備える第2の双方向光小組立品と、
前記第2のプリント回路基板に取り付けられ、前記第2の双方向光小組立品を収容するように構成された第1のレセプタクルおよび第2の光ケーブルを終端処理する第2の終端部の一端を受け入れるように構成された第2のレセプタクルを備える第2のハウジングとをさらに備え、
前記第2のレーザデバイスは、前記第2の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの第1の対に電気的に結合し、前記第2の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの前記第1の対を介して受信した電気信号に応答して、第2の光ファイバの端部へと前記第2のハウジングを通って光を送るように配置され、
前記第2のフォトディテクタは、前記第2の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの第2の対に電気的に結合し、前記第2の光ファイバの前記端部からの光の受信に応答して、前記第2の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの前記第2の対へと電気信号を送信するように配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の差し込み式能動型光コネクタ。
【請求項5】
前記第1の双方向光小組立品は、
前記第1のレーザデバイスおよび第1のフォトディテクタに光学的に結合した第1の波長分割多重フィルタと、
前記第2のレーザデバイスおよび第2のフォトディテクタに光学的に結合した第2の波長分割多重フィルタと
をさらに備える、請求項4に記載の差し込み式能動型光コネクタ。
【請求項6】
前記コネクタハウジングの内側に配置されたゴムシールをさらに備え、前記ゴムシールは、前記第1および第2の終端部が前記第1および第2のハウジングにそれぞれ挿入されたときに前記第1および第2の光ファイバのそれぞれの一部分を囲むように構成されている、請求項4または5に記載の差し込み式能動型光コネクタ。
【請求項7】
光ファイバネットワークと、
複数の電子デバイスと、
前記複数の電子デバイスにそれぞれ取り付けられて電気的に結合し、それぞれが複数の電気コネクタを有している複数の嵌合コネクタと、
前記複数の嵌合コネクタにそれぞれ取り付けられて電気的に結合し、前記光ファイバネットワークに光学的に結合した複数の差し込み式能動型光コネクタと
を備えており、
前記複数の差し込み式能動型光コネクタの各々は、それぞれの第1の光電気双方向トランシーバと、それぞれの嵌合コネクタの前記電気コネクタにそれぞれ電気的に結合した複数の電気コネクタとを備える、データ伝送システム。
【請求項8】
前記複数の差し込み式能動型光コネクタの各々は、それぞれの第2の光電気双方向トランシーバをさらに備える、請求項7に記載のデータ伝送システム。
【請求項9】
前記光ファイバネットワークは、複数の光ファイバケーブルを備え、各々の差し込み式能動型光コネクタの前記第1および第2の光電気双方向トランシーバは、前記複数の光ファイバケーブルのうちのそれぞれの光ファイバケーブルに光学的に結合している、請求項8に記載のデータ伝送システム。
【請求項10】
前記電子デバイスは、列線交換ユニットである、請求項7~9のいずれか一項に記載のデータ伝送システム。
【請求項11】
前記列線交換ユニットは、航空機に組み込まれている、請求項10に記載のデータ伝送システム。
【請求項12】
前記第1の光電気双方向トランシーバは、レーザデバイスおよびフォトディテクタを備える、請求項7~11のいずれか一項に記載のデータ伝送システム。
【請求項13】
前記第1の光電気双方向トランシーバは、前記レーザデバイスおよび前記フォトディテクタに光学的に結合した波長分割多重フィルタをさらに備える、請求項12に記載のデータ伝送システム。
【請求項14】
前記第1の光電気双方向トランシーバは、
1つの嵌合コネクタのそれぞれの電気コネクタに電気的に結合した1対のデータ入力端子と、
前記1対のデータ入力端子と前記レーザデバイスとに電気的に結合したレーザドライバと
をさらに備える、請求項13に記載のデータ伝送システム。
【請求項15】
前記第1の光電気双方向トランシーバは、
前記1つの嵌合コネクタのそれぞれの電気コネクタに電気的に結合した1対のデータ出
力端子と、
前記1対のデータ出力端子と前記フォトディテクタとに電気的に結合したトランスインピーダンス増幅器と
をさらに備える、請求項14に記載のデータ伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において開示される技術は、広くには、電子コンポーネント間の通信を可能にする光ファイバネットワークに関する。とくには、本明細書において開示される技術は、光航空電子データバスによって互いに接続された電気航空電子システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高速航空電子データネットワークにおいて電気配線の代わりに光ファイバケーブルを使用することで、重量、コスト、電磁気の影響、および電気配線の組み込みの複雑さを、大幅に低減することが可能である。現代の航空機においては、列線交換ユニット(line
replaceable unit)(LRU)(航空電子コンピュータおよびセンサユニットなど)が、典型的には、他のLRUとの光ファイバ通信を可能にするためのトランシーバを収容するハウジングを含む。LRUハウジング上の光コネクタによって、外部の光ファイバケーブルをLRUに接続することができる。
【0003】
より具体的には、光航空電子データバスに接続された各々のLRUが、典型的には、他のLRUとの光ファイバ通信を可能にするために、電気光トランスミッタおよび光電気レシーバ(以下では、まとめて「光電気双方向トランシーバ」と称する)を有する光電気メディアコンバータを含む。電気光トランスミッタが、電気信号を光信号に変換し、光電気レシーバが、光信号を電気信号に変換する。LRUのハウジング上の光コネクタが、光ファイバケーブルのLRUへの接続を可能にする。
【0004】
さらに、典型的な航空機の組み立てプロセスは、LRUと航空機の配線束との間に製造の中断(インラインコネクタ)を必要とする。既存の光電気LRUがラックから取り外されると、光接点が塵埃および水分の環境に露出され、ラックへと再び差し込む前に清掃および検査が必要である。LRUが航空機の光ファイバとやり取りするために、供給業者は、新たなトランシーバ、光配線、および光コネクタを再設計してLRUに組み込む新たな能力を取得しなければならない。学習曲線は困難であり、光インターフェースを備える新たなLRUを設計し、製造し、保証を与えるためのコストは高い。さらに、新たなLRUの光学設計は、航空機の製造業者がLRUの内部については指示せず、航空機の配線への光インターフェースを定めることしかできないため、LRUおよび供給業者の間で一貫していない。
【0005】
光航空電子データバスによって互いに接続されるが、上述の欠点に悩まされることがない電気航空電子システムの設計が、トランシーバが組み込まれたLRUの設計および再設計に関するコストを排除するなど、種々さまざまな理由で有益であると考えられる。
【発明の概要】
【0006】
以下でかなり詳しく開示される主題は、1つ以上のチャネルを有するモジュール式であり、電気信号を光信号に変換し、逆もまた同様である差し込み式能動型光コネクタ(pluggable active optical connector)(以下では、「PAOC」)として機能するように構成された装置に関する。PAOCは、一方側に、列線交換ユニット(LRU)への差し込み式電気インターフェースを有し、この装置は、他方側に、航空機の光ファイバ配線束への差し込み式光インターフェースを有する。PAOCは、ラック搭載およびボルト固定LRUを含むさまざまな種類のLRUへと差し込むことができる。PAOCは、電気/光変換を完全に航空機コネクタ内で可能にするために充分な電子および光通信コンポーネントを含む。加えて、この装置は、さまざまなデータ通信プロトコルに適応可能であり、シングルファイバまたはデュアルファイバのどちらの双
方向データリンクにも使用される柔軟性を有する。この種の差し込み式能動型光コネクタは、組み込みのトランシーバを有するLRUの設計および再設計に関連する欠点を解消する。
【0007】
本明細書において使用されるとき、用語「差し込み式」は、第1のコンポーネントの能力を述べるための形容詞として使用される場合に、そのコンポーネントを第2のコンポーネントに結合させること、および後に第2のコンポーネントから切り離すことが、第1および第2のコンポーネントのうちの一方のコンポーネントの雄部分(例えば、ピンまたはプラグ)を第1および第2のコンポーネントのうちの他方のコンポーネントのそれぞれの雌部分(例えば、レセプタクルまたはソケット)へと挿入することによって可能であることを意味する。例えば、PAOCは、LRU嵌合コネクタの電気ソケットへと挿入される電気ピンを有することができ、あるいはPAOCは、LRU嵌合コネクタの電気ピンが挿入される電気ソケットを有することができる。どちらの場合も、PAOCはLRU嵌合コネクタ「へと差し込まれ」る。
【0008】
差し込み式能動型光コネクタの種々の実施形態を、以下でかなり詳しく説明するが、それらの実施形態のうちの1つ以上は、以下の態様のうちの1つ以上を特徴とすることができる。
【0009】
以下で詳しく開示される主題の一態様は、コネクタハウジングと、コネクタハウジング内に収容されたプリント回路基板と、プリント回路基板に電気的に結合し、プリント回路基板によって支持された複数の電気コネクタと、レーザデバイスおよびフォトディテクタをプリント回路基板に電気的に結合させて備える双方向光小組立品と、プリント回路基板に取り付けられ、双方向光小組立品を収容するように構成された第1のレセプタクルおよび光ケーブルを終端処理する終端部の一端を受け入れるように構成された第2のレセプタクルを備えるハウジングと、を備える差し込み式能動型光コネクタである。第1のレーザデバイスは、第1の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの第1の対に電気的に結合し、第1の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの第1の対を介して受信した電気信号に応答して、第1の光ファイバの端部へとハウジングを通って光を送るように配置される。第1のフォトディテクタは、第1の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの第2の対に電気的に結合し、第1の光ファイバの端部からの光の受信に応答して、第1の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの第2の対へと電気信号を送信するように配置される。
【0010】
以下で詳しく開示される主題の別の態様は、光ファイバネットワークと、複数の電子デバイスと、前記複数の電子デバイスにそれぞれ取り付けられて電気的に結合し、それぞれが複数の電気コネクタを有している複数の嵌合コネクタと、複数の嵌合コネクタにそれぞれ取り付けられて電気的に結合し、光ファイバネットワークに光学的に結合した複数の差し込み式能動型光コネクタとを備えるデータ伝送システムであって、複数の差し込み式能動型光コネクタの各々は、それぞれの光電気双方向トランシーバと、それぞれの嵌合コネクタの電気コネクタにそれぞれ電気的に結合した複数の電気コネクタと、を備えるデータ伝送システムである。1つの提案される実施例によれば、電子デバイスは、航空機に組み込まれた列線交換ユニットである。
【0011】
以下で詳しく開示される主題のさらなる態様は、航空電子データ伝送システムを組み立てるための方法であって、(a)第1の複数の電気コネクタをプリント回路基板上の回路に接続するステップと、(b)光電気双方向トランシーバの光小組立品のレーザデバイスおよびフォトディテクタをプリント回路基板上の回路に接続するステップと、(c)航空機の機上の光ファイバネットワークの光ファイバケーブルの端部を、光電気双方向トランシーバの光小組立品に直面する位置に位置させるステップと、(d)第1の複数の電気コ
ネクタを航空機の機上の列線交換ユニットに取り付けられた嵌合コネクタの第2の複数の電気コネクタに接続するステップと、を含む方法である。
【0012】
直前の段落において述べた方法の一実施形態によれば、ステップ(c)は、終端部において光ファイバケーブルの端部を終端処理するステップと、光ファイバケーブルの端面が光電気双方向トランシーバの光小組立品に対して所定の距離の範囲内に位置し、光電気双方向トランシーバの光小組立品に光学的に結合するまで、終端部をプリント回路基板に取り付けられたハウジングの内部に挿入するステップとを含む。加えて、ステップ(d)は、第1の複数の電気コネクタを第2の複数の電気コネクタに整列させるステップと、第1および第2の複数の電気コネクタの整列を維持しつつ、プリント回路基板を列線交換ユニットに向かって移動させるステップとを含む。
【0013】
差し込み式能動型光コネクタの他の態様が、以下で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
これまでの箇所で論じた特徴、機能、および利点は、種々の実施形態において独立して達成可能であり、あるいはさらに他の実施形態において組み合わせられてもよい。種々の実施形態を、上述の態様および他の態様を例示する目的で、図面を参照して以下で説明する。この箇所で簡単に説明されるいずれの図も、縮尺どおりに描かれてはいない。
【0015】
【
図1】航空機の機上のデータ処理システムであって、光データ通信ネットワークを含むデータ処理システムの三次元切断図を表す略図である。
【
図2】LRU側コネクタと航空機側コネクタとが嵌合したときに光航空電子データバスの光ファイバケーブルに光学的に結合できる内部トランシーバを有する典型的な光電気LRUを表す略図である(
図2においてコネクタは未嵌合の状態で示されている)。
【
図3】LRU側コネクタと一実施形態による航空機側差し込み式能動型光コネクタとが嵌合したときにPAOCを介して光航空電子データバスの光ファイバケーブルからデータを受信し、光航空電子データバスの光ファイバケーブルへとデータを送信することができる電気LRUを表す略図である(
図3においてコネクタは未嵌合の状態で示されている)。
【
図4】1つの提案される実施例による光電気双方向トランシーバのいくつかのコンポーネントを特定するブロック図である。
【
図5】一実施形態による終端部/レセプタクル組立品の断面図を表す略図である。
【
図6】光ファイバを送信/受信TO缶に光学的に結合させる目的で
図5に示した終端部へと挿入することができる光ファイバケーブルの一部分の側面図を表す略図である。
【
図7-8】整列しているが未だ嵌合していないLRU嵌合コネクタおよび差し込み式能動型光コネクタの三次元の図をそれぞれ表す略図である。
【
図9A】
図7および
図8に示したLRU嵌合コネクタの側面図を表す略図である。
【
図9B】
図7および
図8に示した差し込み式能動型光コネクタの側面図を表す略図である。
【
図10A-11A】ハウジング(破線で示されている)を除く
図9Aに示したLRU嵌合コネクタの上面図および側面図をそれぞれ表す略図である。
【
図10B-11B】コネクタハウジング(破線で示されている)を除く
図9Bに示した差し込み式能動型光コネクタの上面図および側面図をそれぞれ表す略図である。
【
図12A】ハウジング(破線で示されている)を除く
図9Aに示したLRU嵌合コネクタの電気インターフェースの三次元の図を表す略図である。電気インターフェースを接続する配線も示されていない。
【
図12B】コネクタハウジング(破線で示されている)を除く
図9Bに示した差し込み式能動型光コネクタの組み立てられた内部コンポーネントの三次元の図を表す略図である。
【
図13】
図12Bに示した差し込み式能動型光コネクタの組み立てられた内部コンポーネントの側面図を表す略図である。
【
図14-15】
図12Bに示した差し込み式能動型光コネクタの組み立てられた内部コンポーネントの三次元の図をそれぞれ表す略図である。
【
図16】一実施形態による航空電子データ伝送システムを組み立てるための方法のステップを特定するフローチャートである。
【
図17】代案の実施形態に従ってLRU側コネクタおよび航空機側の差し込み式能動型光コネクタを短いジャンパケーブルを使用して電気的に結合させたときに光航空電子データバスの光ファイバケーブルからデータを受信することができ、光航空電子データバスの光ファイバケーブルへとデータを送信することができる電気LRUを表す略図である。単純にするために、ジャンパケーブルの嵌合する電気ピンおよびソケットは示されていない(コネクタおよびジャンパケーブルは
図17においては未嵌合の状態で示されている)。
【
図18】さらなる代案の実施形態に従ってLRU側コネクタとピグテールがエポキシによって固定された航空機側の差し込み式能動型光コネクタとが嵌合したときに光航空電子データバスの光ファイバケーブルからデータを受信することができ、光航空電子データバスの光ファイバケーブルへとデータを送信することができる電気LRUを表す略図である(コネクタは
図18においては未嵌合の状態で示されている)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下で図面を参照するが、図面において、類似する要素には、異なる図においても同じ参照番号が付されている。
【0017】
差し込み式能動型光コネクタの例示の実施形態が、以下でかなり詳しく説明される。しかしながら、実際の実施例のすべての特徴が本明細書において説明されるわけではない。そのような実際の実施形態の開発において、多数の実施例ごとの決定を、システム関連および事業関連の制約の順守など、実施例ごとにさまざまであると考えられる開発者の特定の目標を達成するために行わなければならないことを、当業者であれば理解できるであろう。さらに、そのような開発の苦労が、複雑かつ時間のかかるものであるかもしれないが、それでもなお本開示の恩恵を被る当業者にとって月並みな仕事にすぎないと考えられることを、理解できるであろう。
【0018】
航空機上の列線交換ユニットの間の光通信を可能にするための光ファイバネットワークの種々の実施形態が、例示の目的で、以下で詳しく説明される。しかしながら、本明細書に開示される光ファイバネットワークの実施例は、航空機の環境のみに限定されず、むしろ他の種類のビークルに搭載された光ファイバネットワークまたは他の種類の光ファイバネットワーク(例えば、長距離地上、データセンター、およびファイバ・トゥ・ザ・ホーム/オフィスの用途)においても利用可能である。
【0019】
光ファイバネットワークは、銅線のネットワークと比べて、より高速であり、より重量が軽く、電磁妨害を受けにくいという利点を有する。多数の型式の民間航空機が、サイズ、重量、および電力を減らすために、光ファイバネットワークを有している。航空電子システムにおいて通信を達成するために、複数の列線交換ユニット(LRU)を互いに接続することが一般的に行われている。例えば、ビークル(例えば、航空機)の前部の複数のLRUが、航空電子データバスを介してビークルの後部の複数のLRUに接続されている。
【0020】
図1が、航空機102を含むネットワーク環境100を示している。航空機102は、本明細書において開示されるコネクタを使用することができるプラットホームの一例である。
図1に示される例において、航空機102は、胴体108に取り付けられた右翼10
4および左翼106を有する。さらに、航空機102は、右翼104に取り付けられたエンジン110および左翼106に取り付けられたエンジン112を含む。さらに、航空機102は、機首領域114および尾部領域116を有する。尾部領域116は、右水平尾翼118、左水平尾翼120、および垂直尾翼122を含む。
【0021】
図1に示される航空機102は、光ファイバネットワーク126と、光ファイバネットワーク126に接続された(さらには、光学的に結合した)フライトデッキディスプレイ128、フライト制御コンピュータ130、および他のコンポーネントなどの複数のデバイス127とを備える機上データ通信および処理システム124をさらに含む。他の種類のデバイス127は、LRU132、134、136、138、140、142、144、146、および148の形態を取ることができる。これらのLRUは、さまざまな形態を取ることができる。例えば、LRUは、コンピュータ、センサ、機内エンターテイメントシステム、および他の適切な種類のデバイスであってよい。デバイス127は、内部において電気信号を使用し、したがって光ファイバネットワーク126によって伝えられる光信号は、典型的には、光電気メディアコンバータ(
図1には示されていない)を使用することによって電気信号に変換される。これらの光電気メディアコンバータ(以下では、「光電気双方向トランシーバ」)は、LRUの内部にあっても、外部にあってもよい。
【0022】
1つ以上の光電気トランシーバがLRUハウジングの内部に組み込まれたLRU(以下では、「光電気LRU」)の場合、光電気LRUを、LRUの支持および自動的な位置決めをもたらす機械的な組立品によって、航空機の機上のラックに取り付けることができる。各々の光電気LRUは、LRUハウジングに機械的に結合した嵌合コネクタによって光ファイバネットワーク126の光航空電子データバスに光学的に結合する内部の光電気双方向トランシーバを含む。嵌合コネクタは、航空機のシステムへの光接続およびLRUの構造的な支持を提供する。
【0023】
図2は、LRUハウジング12と、LRUハウジング12に機械的に結合し、LRUハウジング12内に収容されたバックプレーンコネクタ14と、光バックプレーンコネクタ14に機械的に結合したプリント回路基板8aと、LRUハウジング12に機械的に結合したLRU嵌合光コネクタ16とを有する典型的な光電気LRU10aを示す図である。
図2に示される例において、LRU嵌合光コネクタ16は、LRUハウジング12の内部かつバックプレーンコネクタ14の一方側に配置された光ファイバケーブル22aおよび22bのそれぞれの端部を終端処理する1対の終端部26aおよび26bを有する。光ファイバケーブル22aおよび22bの他端は、LRUハウジング12の内部かつバックプレーンコネクタ14の他方側の光ファイバケーブル24aおよび24bのそれぞれの端部に、それぞれの光コネクタ30aおよび30bによって光学的に結合する。光コネクタ30aおよび30bは、バックプレーンコネクタ14に添えられている。
【0024】
図2に示される光電気LRU10aは、プリント回路基板8aに搭載され、プリント回路基板8aに電気的に結合した1対の光電気双方向トランシーバ2aおよび2b(冗長性をもたらすために2つ)をさらに含む。光電気双方向トランシーバ2aおよび2bの各々は、電気光トランスミッタおよび光電気レシーバ(
図2には示されていない)を含む。光電気双方向トランシーバ2aが、光ファイバケーブル24aの他端に光学的に結合し、光電気双方向トランシーバ2bが、光ファイバケーブル24bの他端に光学的に結合している。
【0025】
図2は、光電気LRU10aの外部の位置において光ファイバネットワークの光ファイバケーブル20aおよび20bのそれぞれの端部を終端処理する1対の終端部28aおよび28bを有する航空機ハーネス光コネクタ18をさらに示している。LRU嵌合光コネクタ16と航空機ハーネス光コネクタ18とが嵌合すると、光電気LRU10aの外部の
光ファイバケーブル20aおよび20bが、光電気LRU10aの内部の光電気双方向トランシーバ2aおよび2bにそれぞれ光学的に結合する。
【0026】
図2に示される構成によれば、光電気双方向トランシーバ2aおよび2bは、プリント回路基板8aに搭載され、各々のLRU内に配置された関連の光ファイバケーブルおよび光コネクタは、異なる供給業者によってさまざまにカスタマイズされる。このような構成は、曲げ半径を制御するためのファイバ管理装置およびLRUインターフェースにおける光コネクタも必要とする。
【0027】
図2に示される光電気LRU10aとは対照的に、
図3は、電気LRU10bの外部の差し込み式能動型光コネクタ32によって光ファイバケーブル20aおよび20bに光学的に結合した電気LRU10b(内部に光電気トランシーバを有していない)を示している。本明細書において使用されるとき、用語「能動型」は、光コネクタが光電子コンポーネント(例えば、光電気双方向トランシーバ)を有していることを意味する。本明細書に開示される差し込み式能動型光コネクタ(PAOC)は、内部の光電気トランシーバを有さない電気LRUと一緒に使用されるように設計されている。
【0028】
図3に示される電気LRU10bは、LRUハウジング12と、LRUハウジング12の内部に取り付けられたプリント回路基板8aと、LRUハウジング12に機械的に結合したLRU嵌合電気コネクタ34とを有する。
図3に示される例において、LRU嵌合電気コネクタ34は、配線束側の複数の電気ピン62と、LRU側の電気配線64とを有する電気インターフェースである。電気配線64に対する電気ピン62の1対1の対応が存在する。各々の電気ピン62は、光ファイバネットワークを介して他のLRUから受信され、あるいは他のLRUへと送信される情報を表す電気信号を運ぶ複数の並列な電気導体を形成するように、それぞれの電気配線64に電気的に導通可能に接続される。
【0029】
図3は、電気LRU10bの外部の位置において配線束組立品の光ファイバケーブル20aおよび20bのそれぞれの端部を終端処理する1対の終端部28aおよび28bを有する差し込み式能動型光コネクタ32をさらに示している。差し込み式能動型光コネクタ32は、LRU嵌合電気コネクタ34と差し込み式能動型光コネクタ32との嵌合時に複数の電気ピン62を受け入れるためのLRU側の複数の電気ソケット60を有するコネクタハウジング38を含む。差し込み式能動型光コネクタ32は、1対の双方向光電気トランシーバ(
図3には示されていないが、
図4に示される構造を各々が有することができる)をさらに含む。LRU嵌合電気コネクタ34と差し込み式能動型光コネクタ32とが嵌合すると(
図3は嵌合していない状態のこれらのコンポーネントを示している)、電気LRU10bは、電気ソケット60およびプリント回路基板(
図3には示されていない)を介して、差し込み式能動型光コネクタ32に組み込まれた光電気双方向トランシーバに電気的に結合する。
【0030】
図4が、1つの提案される実施例による光電気双方向トランシーバ2のいくつかのコンポーネントを特定するブロック図である。光電気双方向トランシーバ2は、光電気双方向トランシーバ2が、同じ光ファイバケーブル28(
図4には示されていないが、
図8の光ファイバ20aまたは20bを参照)を介して、第1の波長λ1を有する光を送信し、第1の波長λ1とは異なる第2の波長λ2を有する光を受信するシングルファイバ全二重双方向トランシーバの設計を有する。光電気双方向トランシーバ2は、プリント回路基板40に取り付けられた双方向(bidirectional)光小組立品(optical
sub-assembly)4(以下では、「OSA4」)を含む。プリント回路基板40は、プリント回路基板40に搭載された種々の電気コンポーネントと、電気コンポーネントを互いに接続し、さらには端子へと接続するプリント回路とをさらに有する。
【0031】
図4に示される2波長シングルファイバ光電気双方向トランシーバ2は、レーザデバイス44およびフォトディテクタ48を含む。レーザデバイス44は、送信電気信号線(
図4には示されていない)を介する該当の列線交換ユニット(図示されていない)からの差動送信信号のデータ入力端子56における受信に応答して、レーザドライバ42によって波長λ1の光を発するように駆動される(本明細書において使用されるとき、コヒーレントなレーザ光の文脈における用語「波長」は、狭いスペクトル幅を有するレーザ光の中心波長を意味する)。レーザドライバ42は、それらの電気差動信号をレーザデバイス44によって送信されるべきデータを表す電気デジタル信号へと変換する電気回路を備える。反対に、フォトディテクタ48は、波長λ2の光を受信して、その検出光を電気信号へと変換し、電気信号を、ディテクタ信号を増幅するトランスインピーダンス増幅器50と、出力信号のデジタル化を行う制限増幅器52とを含む受信回路へともたらす。受信回路は、これらの電気信号を、受信データを表すデジタル電気差動受信信号へと変換する。電気差動受信信号は、データ出力端子54および
図4には示されていない受信電気信号線を介して、列線交換ユニット内の他の回路へと伝えられる。
【0032】
図4に示される例において、双方向トランシーバ2は、レーザデバイス44およびフォトディテクタ48を含む。レーザデバイス44を、高い光出力および低いモード雑音のためのシングルモード分布帰還型レーザ、マルチモードファブリペロー型レーザ、または垂直共振器面発光レーザで実現することができる。フォトディテクタ48を、高い受信感度をもたらすために高応答性p型-真正-n型(PIN)フォトダイオードまたはアバランシェフォトダイオードで実現することができる。
図4に示される双方向トランシーバ2は、光ファイバ(
図4には示されていないが、
図8の光ファイバ20aまたは20bを参照)の末端を受け入れるようなサイズおよび構成のLCレセプタクルをさらに含む。
【0033】
図4に示される光電気双方向トランシーバ2は、或る波長λ1のレーザデバイス44からの光信号を通過させ、別の波長λ2の受信光信号をフォトディテクタ48に向かって反射させる波長分割多重(WDM)フィルタ46を光学的前端に備えているため、シングルファイバ動作が可能である。光電気双方向トランシーバ2の内部のWDMフィルタ46は、高クロストーク分離技術によって設計された波長選択帯域通過フィルタである。このような分離を使用することで、その場のレーザデバイス44からの光信号Aが、同じ双方向トランシーバ内のフォトディテクタ48によって検出されることがなく、フォトディテクタ48によって検出される光信号Bが、レーザデバイス44によって受信されることがないように保証される。
【0034】
図4に示される光電気双方向トランシーバ2は、プリント回路基板40に取り付けられた光小組立品4をさらに含む。光小組立品4は、終端処理された光ファイバを受け入れるLCレセプタクル75と、終端処理された光ファイバに光学的に結合させられる光コンポーネントを収容する第2のレセプタクルとを含む2つの一体に形成されたレセプタクルからなるハウジング(以下では、「OSAハウジング」)を有する。
【0035】
図5に見られるように、OSAハウジング74は、終端部28の第1の端部92を受け入れるようなサイズとされた第1の円柱形通路96を有するLCレセプタクル75と、(第1の円柱形通路96の直径よりも大きい直径を有する)第2の円柱形通路98を有する光コンポーネントレセプタクル73とを含む。OSAハウジング74の光コンポーネントレセプタクル73は、レーザデバイス44、WDMフィルタ46、およびフォトディテクタ48を収容する送信/受信トランジスタアウトライン(TO)缶72を受け入れるようなサイズを有する。LCレセプタクル75および光コンポーネントレセプタクル73を、一体に形成することができ、あるいは互いに堅固に取り付けることができる。
【0036】
終端部28は、本体90および第2の端部94をさらに備える。終端部28の第2の端
部94は、
図6に示される光ファイバケーブル20の鞘付きの部分86を受け入れる円柱形ケーブル通路76を有する。終端部28の本体90および第1の端部92は、光ファイバケーブル20の光ファイバ88の鞘なしの部分を受け入れる共通の円柱形ファイバ通路78を有する。したがって、
図6に示される光ファイバケーブル20の各部分が、
図5に断面にて示されている終端部28へと挿入されたならば、光ファイバ88の端面が、送信/受信TO缶72内に形成されたウインドウ(
図5には示されていない)に組み込まれたレンズに整列および直面すると考えられる。この物理的構成が、レーザデバイス44およびフォトディテクタ48(
図4を参照)を光ファイバ88(
図6を参照)に光学的に結合させる。OSAハウジング74は、金属材料(例えば、ステンレス鋼)で作られる。終端部28を、半剛体の熱可塑性材料または金属材料(例えば、ステンレス鋼)で製作することができる。1つの市販の光ファイバケーブル20は、ポリマーコアとフッ素化ポリマーによる被覆とを備える光ファイバ88、およびポリエチレン製の鞘86を含む。
【0037】
図7および
図8は、一実施形態による光ファイバネットワークを電気LRUへと接続するためのコネクタシステム6について、それぞれの三次元の図を表す略図である。コネクタシステム6は、整列しているが未だ嵌合していない状態で
図7および
図8に示されているLRU嵌合コネクタ34および差し込み式能動型光コネクタ32を含む。
図9Aが、LRU嵌合コネクタ34の側面図を表す略図であり、
図9Bが、差し込み式能動型光コネクタ32の側面図を表す略図である。
図7、
図8、
図9A、および
図9Bに見られるように、LRU嵌合コネクタ34は、ハウジング35を含み、差し込み式能動型光コネクタ32は、コネクタハウジング38を含む。ハウジング35および38は、既存の航空機の規格ARINC 801に規定の要件に従ったサイズおよび形状を有する(ARINC 801の仕様は、民間航空機における使用に適した光ファイバ相互接続コンポーネントの寸法、性能、および品質保証基準、ならびにファイバ相互接続組立品の試験手順を扱う)。ハウジング35および38の各々は、光ファイバを差し込むことができる開口部を有する。
【0038】
加えて、ハウジング35および38は、種々の電気インターフェースコンポーネントを通すためのそれぞれの開口部一式を有する。
図7に最もよく見られるように、LRU嵌合コネクタ34は、LRU嵌合コネクタ34のLRU側に、複数の外部電気配線64を含む。電気配線64は、LRU嵌合コネクタ34の入力/出力プリント回路基板8bに電気的に接続される。
図8に最もよく見られるように、LRU嵌合コネクタ34は、LRU嵌合コネクタ34の航空機側に、複数の電気ピン62をさらに含む。電気ピン62は、差し込み式能動型光コネクタ32に組み込まれた対応する複数の電気ソケット60(
図7に示されている)に電気的に結合する(例えば、差し込まれる)ように構成される。差し込み式能動型光コネクタ32のコネクタハウジング38は、電気ソケット60に整列したLRU側の複数の開口部と、光ファイバネットワークのそれぞれの光ファイバケーブル20aおよび20bを通すことができる航空機側の1対の開口部とを有する。LRU嵌合コネクタ34および差し込み式能動型光コネクタ32を、複数の電気ピン62を対応する複数の電気ソケット60へと挿入することによって電気的に結合させることができる。
【0039】
図10Aおよび
図11Aが、ハウジング(破線で示されている)を除いた状態の
図9Aに示したLRU嵌合コネクタの上面図および側面図をそれぞれ表す略図である。
図10Aおよび
図11Aに見られるように、各々の電気配線64は、それぞれの第1の電気コネクタ82、それぞれの電気配線84、およびそれぞれの第2の電気コネクタ80によって対応する電気ピン62に電気的に接続される。各々の第1の電気コネクタ82は、それぞれの電気配線84の一端をそれぞれの電気配線64に接続し、各々の第2の電気コネクタ80は、それぞれの電気配線84の他端をそれぞれの電気ピン62に接続する。
図12Aが、ハウジング35(破線で示されている)を除いた状態のLRU嵌合コネクタ34の電気インターフェースの三次元の図を表す略図である。電気インターフェースを接続する電気配線84も、図示されていない。
【0040】
図10B、
図11B、および
図12Bが、コネクタハウジング(破線で示されている)を除いた状態の
図9Bに示した差し込み式能動型光コネクタ32の組み立てられた内部コンポーネントを示す上面図、側面図、および三次元の図をそれぞれ表す略図である。差し込み式能動型光コネクタ32の内部コンポーネントとして、電気ソケット60を介してLRUと電気的に通信する1対のプリント回路基板68および70が挙げられる。差し込み式能動型光コネクタ32の内部コンポーネントとして、プリント回路基板68に取り付けられた第1のOSAハウジング74aおよびプリント回路基板70に取り付けられた第2のOSAハウジング74bがさらに挙げられる。第1および第2のLCレセプタクル74aおよび74bの各々は、
図5に示したOSAハウジング74と同じ構造を有することができる。さらに、差し込み式能動型光コネクタ32の内部コンポーネントとして、第1の光ファイバケーブル20aを終端処理する第1の終端部28aおよび第2の光ファイバケーブル20bを終端処理する第2の終端部28bが挙げられる。第1および第2の終端部28aおよび28bの各々は、
図5に示した終端部28と同じ構造を有することができる。終端部28aの末端がOSAハウジング74aへと挿入されると、光ファイバケーブル20aは、OSAハウジング74a内に収容された送信/受信TO缶72(
図5を参照)の内部の光コンポーネントに光学的に結合する。同様に、終端部28bの末端がOSAハウジング74bへと挿入されると、光ファイバケーブル20bは、OSAハウジング74b内に収容された送信/受信TO缶72(
図5を参照)の内部の光コンポーネントに光学的に結合する。各々のTO缶72の内部の双方向トランシーバの光コンポーネントとして、
図4に示したとおりのレーザデバイス44、フォトディテクタ48、およびWDMフィルタ46が挙げられる。
図13が、
図12Bに示した差し込み式能動型光コネクタ32の組み立てられた内部コンポーネントの側面図を示している一方で、
図14および
図15が、
図12Bに示した差し込み式能動型光コネクタ32の組み立てられた内部コンポーネントのそれぞれの三次元の図を示している。
【0041】
図16が、1つの提案される実施例による航空電子データ伝送システムを組み立てるための方法150のステップを特定するフローチャートである。方法150は、挙げられているステップを矢印によって示される順序で実行する。しかしながら、別の実施例においては、ステップを別の順序に従って実行することも可能である。次の段落における以下の説明は、
図16に矢印によって示されている順序で方法150のステップを説明する。しかしながら、種々のステップの別の並びも適宜説明される。
【0042】
図16を参照すると、第1の複数の電気コネクタが、プリント回路基板上の回路へと接続される(ステップ152)。ステップ152の後に、光電気双方向トランシーバのレーザデバイスおよびフォトディテクタが、プリント回路基板上の回路へと接続される(ステップ154)(代案においては、ステップ154をステップ152の前に実行してもよい)。ステップ154の後に、航空機の機上の光ファイバネットワークの光ファイバケーブルの端部が、終端部において終端処理される(ステップ156)(代案においては、ステップ156をステップ154の前に実行してもよい)。ステップ156の後に、終端部が、光ファイバケーブルの端面が光電気双方向トランシーバから指定の距離の範囲内かつ光電気双方向トランシーバに直面する位置に位置するまで、プリント回路基板に取り付けられたレセプタクルの内部に挿入される(ステップ158)。ステップ158の後で、第1の複数の電気コネクタが、航空機の機上の列線交換ユニットに取り付けられた嵌合コネクタの第2の複数の電気コネクタに整列させられる(ステップ160)。ステップ160の後に、プリント回路基板が、第1および第2の複数の電気コネクタの整列を維持しつつ、列線交換ユニットに向かって動かされる(ステップ162)ことにより、第1の複数の電気コネクタが第2の複数の電気コネクタに接続される(代案においては、ステップ160および162をステップ158の前に実行してもよい)。
【0043】
差し込み式能動型光コネクタ32を、差し込み式能動型光コネクタ32の電気ピン配列の定義に従った電気インターフェースを有するLRUへと直接差し込むことができる。異なる電気コネクタおよびピン配列の定義(2つのコネクタからの電気ピンが必要である、など)を有するLRUを受け入れるために、差し込み式能動型光コネクタ32を、LRUの付近でレールに取り付けることができ、短い電気配線ハーネスを異なるコネクタに適応させることができる。
【0044】
図17は、代案の実施形態に従って2つのLRU側コネクタ34aおよび34bが短いジャンパケーブル66を使用して航空機側の差し込み式能動型光コネクタ32に電気的に結合したときに光航空電子データバスの光ファイバケーブル20aおよび20bからデータを受信することができ、光航空電子データバスの光ファイバケーブル20aおよび20bへとデータを送信することができる電気LRU10bを表す略図である。コネクタ34a、34b、および32、ならびにジャンパケーブル66は、
図17においては未嵌合の状態で示されている。ジャンパケーブル66は、一端の一般的な(非準拠の)コネクタ(既存の種類のLRUコネクタと嵌合する任意の種類であってよいため、図示されていない)と、他端の差し込み式能動型光コネクタ32に嵌合する特定のコネクタとを有する電気ケーブルである。
【0045】
より短くてより単純なモジュールをもたらす代案は、差し込み式の光接点を短い長さの光ピグテールで置き換える(ファイバをOSAにエポキシで恒久的に固定する)ことである。ピグテールによる代案の欠点は、ピグテールファイバ自体の不具合が、モジュール全体の廃棄につながりかねないことである。
【0046】
図18は、さらなる代案の実施形態に従ってLRU側コネクタ34とピグテール58aおよび58bがエポキシによって固定された航空機側の差し込み式能動型光コネクタ32とが嵌合したときに光航空電子データバスの光ファイバケーブル20aおよび20bからデータを受信することができ、光航空電子データバスの光ファイバケーブル20aおよび20bへとデータを送信することができる電気LRU10bを表す略図である。コネクタは、
図18においては未嵌合の状態で示されている。ピグテールは、レセプタクルコネクタを必要とせずにOSA4(
図18には示されていないが、
図4を参照)に(エポキシによって)恒久的に整列させて取り付けられた光ファイバケーブルである(抜き差しの必要がなく、したがってOSA接続に終端部が存在しない)。航空機のインライン接続のためのピグテールの他端には終端部(図には示されていない)が存在する。
【0047】
差し込み式能動型光コネクタを、種々の実施形態に関連して説明したが、本明細書の教示から外れることなく、その要素について、さまざまな変更が可能であり、均等物による置き換えが可能であることを、当業者であれば理解できるであろう。さらに、本明細書に開示の考え方および実施化を個々の状況に合わせるために、多数の修正が可能である。したがって、特許請求の範囲によって保護される主題は、開示された実施形態に限られない。
【0048】
以下で述べられる方法の請求項を、そこに記載されるステップの一部またはすべての特定の実行順序を示す条件を請求項の文言が明示的に指定または宣言していない限り、それらのステップがアルファベット順(請求項におけるアルファベットでの記載は、あくまでも先行して記載されたステップを参照する目的で使用されているにすぎない)または記載されている順番で実行されることを要件としていると解釈してはならない。方法の請求項について、2つ以上のステップのいずれかの部分を同時または交互に実行することを、そのような解釈を妨げる条件を請求項の文言が明示的に宣言していない限り、除外すると理解してはならない。
【0049】
注記:以下の付記は、本開示のさらなる態様を説明する。
【0050】
A1。データ伝送システムを組み立てるための方法であって、
(a)第1の複数の電気コネクタをプリント回路基板上の回路に接続するステップと、
(b)光電気双方向トランシーバの光小組立品のレーザデバイスおよびフォトディテクタを前記プリント回路基板上の前記回路に接続するステップと、
(c)航空機の機上の光ファイバネットワークの光ファイバケーブルの端部を、前記光電気双方向トランシーバの前記光小組立品に直面する位置に位置させるステップと、
(d)前記第1の複数の電気コネクタを前記航空機の機上の列線交換ユニットに取り付けられた嵌合コネクタの第2の複数の電気コネクタに接続するステップと
を含む方法。
【0051】
A2。ステップ(d)は、前記第2の複数の電気コネクタを前記第1の複数の電気コネクタへとそれぞれ挿入するステップを含む、付記A1に記載の方法。
【0052】
A3。ステップ(d)は、
前記第1の複数の電気コネクタを前記第2の複数の電気コネクタに整列させるステップと、
前記第1および第2の複数の電気コネクタの整列を維持しつつ、前記プリント回路基板を前記列線交換ユニットに向かって移動させるステップと
を含む、付記A1またはA2に記載の方法。
【0053】
A4。前記プリント回路基板は、前記第1および第2の複数の電気コネクタの一方が前記第1および第2の複数の電気コネクタの他方へと完全に挿入されるまで前記列線交換ユニットに向かって移動させられる、付記A1~A3のいずれかに記載の方法。
【0054】
A5。ステップ(c)は、
終端部において前記光ファイバケーブルの前記端部を終端処理するステップと、
前記光ファイバケーブルの端面が前記光電気双方向トランシーバの前記光小組立品のウインドウに指定の距離の範囲内で直面するまで、前記終端部を前記プリント回路基板に取り付けられたレセプタクルの内部に挿入するステップと
を含む付記A1~A4のいずれかに記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタハウジングと、
前記コネクタハウジング内に収容された第1のプリント回路基板と、
前記第1のプリント回路基板に電気的に結合し、前記第1のプリント回路基板によって支持された第1の複数の電気コネクタと、
第1のレーザデバイスおよび第1のフォトディテクタを前記第1のプリント回路基板に電気的に結合させて備える第1の双方向光小組立品と、
前記第1の光ケーブルを終端処理する第1の終端部と、
前記第1のプリント回路基板に取り付けられ、前記第1の双方向光小組立品を収容するように構成された第1のレセプタクルおよび前記第1の終端部の一端を受け入れるように構成された第2のレセプタクルを備える第1のハウジングとを備えており、
前記第1のレーザデバイスは、前記第1の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの第1の対に電気的に結合し、前記第1の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの前記第1の対を介して受信した電気信号に応答して、第1の光ファイバの端部へと前記第1のハウジングを通って光を送るように配置され、
前記第1のフォトディテクタは、前記第1の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの第2の対に電気的に結合し、前記第1の光ファイバの前記端部からの光の受信に応答して、前記第1の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの前記第2の対へと電気信号を送信するように配置されており、
前記第1の終端部は、第1の端部、本体、および第2の端部を含み、
前記第1の端部および前記本体は、前記第1の光ケーブルの光ファイバの鞘なしの部分を受け入れる共通のファイバ通路を有しており、
前記第2の端部は、前記第1の光ケーブルの鞘付きの部分を受け入れるケーブル通路を有しており、
前記第2のレセプタクルは、前記第1の終端部の前記第1の端部が貫通する第1の円柱形通路を有しており、
前記第1のレセプタクルは、前記第1の円柱形通路の直径よりも大きな直径を有する第2の円柱形通路を有しており、
前記第2の円柱形通路は、前記第1の双方向光小組立品を収容している、差し込み式能動型光コネクタ。
【請求項2】
前記第1の複数の電気コネクタは、電気ソケットである、請求項1に記載の差し込み式能動型光コネクタ。
【請求項3】
前記第1の双方向光小組立品は、前記第1のレーザデバイスおよび第1のフォトディテクタに光学的に結合した波長分割多重フィルタをさらに備える、請求項1または2に記載の差し込み式能動型光コネクタ。
【請求項4】
前記コネクタハウジング内に収容された第2のプリント回路基板と、
前記第2のプリント回路基板に電気的に結合し、前記第2のプリント回路基板によって支持された第2の複数の電気コネクタと、
第2のレーザデバイスおよび第2のフォトディテクタを前記第2のプリント回路基板に電気的に結合させて備える第2の双方向光小組立品と、
前記第2のプリント回路基板に取り付けられ、前記第2の双方向光小組立品を収容するように構成された第1のレセプタクルおよび第2の光ケーブルを終端処理する第2の終端部の一端を受け入れるように構成された第2のレセプタクルを備える第2のハウジングとをさらに備え、
前記第2のレーザデバイスは、前記第2の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの第1の対に電気的に結合し、前記第2の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの前記第1の対を介して受信した電気信号に応答して、第2の光ファイバの端部へと前記第2のハウジングを通って光を送るように配置され、
前記第2のフォトディテクタは、前記第2の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの第2の対に電気的に結合し、前記第2の光ファイバの前記端部からの光の受信に応答して、前記第2の複数の電気コネクタのうちの電気コネクタの前記第2の対へと電気信号を送信するように配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の差し込み式能動型光コネクタ。
【請求項5】
前記第1の双方向光小組立品は、
前記第1のレーザデバイスおよび第1のフォトディテクタに光学的に結合した第1の波長分割多重フィルタと、
前記第2のレーザデバイスおよび第2のフォトディテクタに光学的に結合した第2の波長分割多重フィルタと
をさらに備える、請求項4に記載の差し込み式能動型光コネクタ。
【請求項6】
前記第1の双方向光小組立品は、
前記第1のレセプタクル内に配置されており、前記第1のレーザデバイスと、前記第1のフォトディテクタと、前記波長分割多重フィルタとを含み、かつウィンドウを有する缶と、
前記ウィンドウに組み込まれたレンズとをさらに備える、請求項3に記載の差し込み式能動型光コネクタ。
【外国語明細書】