(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025040746
(43)【公開日】2025-03-25
(54)【発明の名称】圧縮装置
(51)【国際特許分類】
B30B 5/04 20060101AFI20250317BHJP
B30B 9/32 20060101ALI20250317BHJP
【FI】
B30B5/04
B30B9/32 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147736
(22)【出願日】2023-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】土棟 志龍
(72)【発明者】
【氏名】小倉 佑太
(72)【発明者】
【氏名】三浦 寿己
【テーマコード(参考)】
4E090
【Fターム(参考)】
4E090AA05
4E090AB04
4E090BA02
4E090HA10
(57)【要約】
【課題】過度の圧縮から搬送コンベアの駆動部分を保護できる圧縮装置を提供する。
【解決手段】対象物を載置して搬送するとともに搬送方向の下流に向かうにしたがって間隔を狭くするように対向配置し対象物を圧縮するための第1コンベアおよび第2コンベアを有するコンベア部と、コンベア部は搬送方向と直交する幅方向にかけ渡した複数の桁材と、桁材に対して対象物側且つ搬送方向後方に向かって突出させるとともに、桁材に対して傾斜させて桁材との間に緩衝空間を設けた突起部と、を備える圧縮装置。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を載置して搬送するとともに搬送方向の下流に向かうにしたがって間隔を狭くするように対向配置し対象物を圧縮するための第1コンベアおよび第2コンベアを有するコンベア部と、
前記コンベア部は搬送方向と直交する幅方向にかけ渡した複数の桁材と、
前記桁材に対して対象物側且つ搬送方向後方に向かって突出させるとともに、前記桁材に対して傾斜させて前記桁材との間に緩衝空間を設けた突起部と、
を備えることを特徴とする圧縮装置。
【請求項2】
前記コンベア部の搬送方向の下流側に位置し、前記コンベア部で搬送された対象物を圧縮する第1ローラおよび第2ローラを有する圧縮部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧縮装置。
【請求項3】
前記コンベア部の搬送面17の搬送終端部に達した後行の突起部より、搬送側前方に位置する先行の突起部が有する傾斜面の法線は、前記第1ローラおよび前記第2ローラの中間部を向く、
ことを特徴とする請求項2に記載の圧縮装置。
【請求項4】
前記突起部のうち搬送方向に対して後行する前記突起部が搬送面17から離反を開始した時点で、搬送方向に対して先行する前記突起部は前記第1ローラと前記第2ローラの間に位置する、
ことを特徴とする請求項2に記載の圧縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は圧縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンボール箱である対象物を効率的に解体するために特許文献1に記載の装置がある。この装置は、搬入する搬入側が広く搬出側が狭くなるように配置された2基の搬送コンベヤと、この搬送コンベヤの搬出端の下流に設けられる一対の圧縮・搬出ローラを備えている。また、搬送コンベヤと圧縮・搬出ローラとの間にガイド板を設け、搬送コンベヤで搬送後の非圧縮物はガイド板を通過後に圧縮・搬出ローラに供給される。特許文献1の装置はスパイクや各溝状のスラットを設けることもできる、とされている。この場合には、搬送コンベヤでの対象物がスリップすることを防止することが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/161931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の搬送コンベヤで圧縮する場合に、作業者は上下に配置した搬送コンベヤの間に対象物を投入する。しかし、対象物であるダンボール箱には圧縮に適さない異物が混入されている場合や、圧縮対象であるにもかかわらず、すでに圧縮された後のダンボール箱が混入されている場合がある。この場合、スパイクや各溝状のスラットは過度に押圧され、搬送方向に対して垂直方向であるコンベアチェーン側に押圧される。しかし、スパイクやスラットは容易に変形ができないため、過度に押圧によってコンベアチェーンに圧力が生じ、コンベアチェーンの破損の原因となる場合がある。コンベアチェーンの交換作業は作業工程が多くなる場合があり、不稼働時間の発生は継続して作業したい作業者にとって不利益となる。
【0005】
したがって、本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、過度の圧縮から搬送コンベアの駆動部分を保護できる圧縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、対象物を載置して搬送するとともに搬送方向の下流に向かうにしたがって間隔を狭くするように対向配置し対象物を圧縮するための第1コンベアおよび第2コンベアを有するコンベア部と、コンベア部は搬送方向と直交する幅方向にかけ渡した複数の桁材と、桁材に対して対象物側且つ搬送方向後方に向かって突出させるとともに、桁材に対して傾斜させて桁材との間に緩衝空間を設けた突起部と、を備える圧縮装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、過度の圧縮から搬送コンベアの駆動部分を保護できる圧縮装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の第1実施例に係る圧縮装置の側面図であって、コンベア部、圧縮部の断面図である。
【
図2】この発明の第1実施例に係る圧縮装置の正面図である。
【
図3】この発明の第1実施例に係る圧縮装置の要部拡大図であって、搬送方向右手側の伝動系統を示す。
【
図4】この発明の第1実施例に係る圧縮装置の要部拡大図であって、搬送方向左側の伝動系統を示す。
【
図5】この発明の第1実施例に係る圧縮装置の圧縮工程1をあらわす説明図であって、第1コンベアの桁材の前端が搬送面の後端部に達した状態をあらわす。この桁材より搬送方向下流に位置する先行の桁材は搬送面から下降している状態をあらわす。
【
図6】この発明の第1実施例に係る圧縮装置の圧縮工程2をあらわす説明図であって、桁材の前端が搬送後端部に差し掛かり搬送面から下降を開始した状態をあらわす。
【
図7】この発明の第1実施例に係る圧縮装置の圧縮工程3をあらわす説明図であって、桁材の後端部及び突起部が搬送後端部に到達し下降を開始した状態をあらわす。
【
図8】この発明の第1実施例に係る圧縮装置の圧縮工程4をあらわす説明図であって、桁材の後端部及び突起部が搬送面から下がり始めた状態をあらわす。
【
図9】この発明の第1実施例に係る圧縮装置の圧縮工程5をあらわす説明図であって、桁材の後端部及び突起部が搬送面から下がった状態で、この桁材より搬送方向上流に位置する第1コンベアの後行の桁材の前端部が搬送面後端部に到達した状態をあらわす。
【
図10】この発明の第1実施例に係る圧縮装置の圧縮工程6をあらわす説明図であって、工程全体をあらわす。
【
図11】この発明の第1実施例に係る圧縮装置の要部拡大図であって、コンベア部の搬送方向終端部を示す。
【
図12】この発明の第2実施例に係る圧縮装置の要部拡大図であって、コンベア部の搬送方向終端部を示す。
【
図13】この発明の第3実施例に係る圧縮装置の突起部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明に係る圧縮装置Aの一実施例である第1実施例について、
図1乃至
図11に基づき説明する。圧縮装置Aが圧縮する対象物Wは具体的には箱状物である段ボール箱を想定する。圧縮装置Aは、コンベア部Bを有する。
【0010】
コンベア部Bは、対象物Wを載置して搬送するとともに
図1以下に図示するように、第1コンベア11および第2コンベア21を有する。第1コンベア11および第2コンベア21は、搬送方向の下流に向かうにしたがって間隔を狭くするように対向配置し対象物Wを圧縮する。第1コンベア11と第2コンベア21は搬送方向後方に向かうにしたがって、徐々に互いの距離を狭めるように配置する。第1コンベア11と第2コンベア21で挟まれた対象物Wを、搬送方向に対する下流である後方に向かうにしたがって徐々に圧縮する。
【0011】
第1コンベア11および第2コンベア21は、それぞれ、互いに平行な始端側回転軸12と後端側回転軸13に巻き付けたチェーン14、互いに平行な始端側回転軸22と後端側回転軸23に巻き付けたチェーン24を、搬送方向に対する回転軸の幅方向両端部に配置させる。チェーン14、チェーン24にスラットと呼ばれる桁材15、桁材25を搬送方向に向かって連続的に装着して第1コンベア11および第2コンベア21を構成する。第1コンベア11および第2コンベア21は、それぞれ、搬送方向と直交する幅方向にかけ渡した複数の桁材15、桁材25とを備える。
【0012】
第1コンベア11および第2コンベア21はスラットコンベアと呼ばれることもある。第1コンベア11は、
図1、
図10等に図示するように、始端側(始端部)11Aを下方に位置させ、搬送方向の下流側である後端側(後端部)11Bを始端側11Aより上方に位置させることで、第2コンベア21と対向する側であって第1コンベア11上面の搬送面17である載置面の始端側11Aに載置した対象物Wを上方且つ後端側に搬送する。
【0013】
第2コンベア21は、第1コンベア11の上方側に位置し、搬送方向の後端側(後端部)21Bを始端側(始端部)21Aより下方に位置させる。第2コンベア21の第1コンベア11に対向する面は押圧面27として機能し、第1コンベア11の載置面と同様に後方に向かって移動する。
【0014】
第1コンベア11の載置面上で上方に向かって移動する対象物Wを、第2コンベア21の押圧面27で押圧することで1次圧縮をおこなう。第1コンベア11と第2コンベア21は同速度で周回することで、対象物Wを載置面対してほぼ上下方向に押し潰す。第1コンベア11と第2コンベア21は、対象物Wに対して引き裂く作用をさせることがないので、対象物Wを余計に引き裂くことなく圧縮させ、紙粉や紙片等の屑の発生を抑制する。
【0015】
圧縮部Cについて、説明する。圧縮部Cは、
図1以下に図示するように、コンベア部Bの搬送方向の下流側に位置し、対向して設置する第1ローラ31および第2ローラ41を有する。第1ローラ31および第2ローラ41は、コンベア部Bで搬送された対象物Wを圧縮する。
【0016】
コンベア部Bで1次圧縮された対象物Wは、搬送方向の下流側に位置した圧縮部Cで2次圧縮される。圧縮部Cは、第1コンベア11の後端側回転軸13と同じ高さかやや高い位置に配置した円筒状の第1ローラ31と、第1ローラ31より上方であって、第2コンベア21の後端側回転軸23と同じ高さかやや低い位置に配置した円筒状の第2ローラ41を有する。第1ローラ31の回転軸33は第2ローラ41の回転軸43と平行であって、回転軸33及び回転軸43は、始端側回転軸12、始端側回転軸22、後端側回転軸13、後端側回転軸23の、それぞれに対しても平行に配置する。なお、説明において、回転軸33及び回転軸34は回転軸芯33及び回転軸芯34と呼称することも有る。
【0017】
第1ローラ31と第2ローラ41の互いの間隔は、第1コンベア11と第2コンベア21の互いの後端部で挟まれる間隔より狭くなるように配置することで2次圧縮をおこなう。より詳細には、第1ローラ31と第2ローラ41の間隔は、第1コンベア11が有する桁材15と第2コンベア21が有する桁材25間で形成する最小の間隔より狭く設けることで、1次圧縮より高い圧縮率で圧縮する2次圧縮をおこなう。
第1ローラ31は第1コンベア11の後端に、第2ローラ41は第2コンベア21の後端にそれぞれ近接させて配置しているので、コンベア部Bで1次圧縮後の対象物Wを圧縮部Cに向かって円滑に供給できる。
【0018】
第1ローラ31と第2ローラ41のそれぞれの外周であって円周方向には、凸状部32、凸状部42を等間隔に配置している。凸状部32、凸状部42を含めた第1ローラ31と第2ローラ41のそれぞれの回転半径は、互いの回転半径と重なり合うように配置する。また、第1ローラ31と第2ローラ41の凸状部32、凸状部42は互いに干渉しないように、第1ローラ31と第2ローラ41の円周方向に位置をずらしながら配置する。
【0019】
34は、第1ローラ31の回転径、44は第2ローラ41の回転径であり、
図5乃至
図9に表されているように、回転径34と回転径44は互いに重なり合う。
すなわち、圧縮部Cを通過する対象物Wは上下の両方向から交互に凸状部32、凸状部42で押圧される。第1ローラ31と第2ローラ41の凸状部32、凸状部42による2次圧縮で、搬送方向に対して、上方から凸状部42で押圧した状態と、下方から凸状部32で押圧した状態を交互に形成することで、対象物Wを搬送方向に対して矩形波状に圧縮成形する。このように圧縮することで、もとの形状に戻ろうとする方向である上下方向に圧縮された面同士による面方向の摩擦が起きるので、対象物Wの上部と下部を効果的に密着させ、圧縮された対象物Wがもとの形状に戻ろうとするスプリングバックを抑制する。
【0020】
図1以下に図示するように、第1ローラ31は第1コンベア11の始端部11Aより高い位置に配置し、第1コンベア11の搬送方向は搬送方向下流に向かうにしたがって上方に向かうように傾斜させることによって、コンベア部B及び圧縮部Cの下方に空間を設ける。空間には第1ローラ31から第1コンベア11の始端側11Aに向かって下方に傾斜するスロープ51を設ける。
【0021】
突起部16、突起部26について説明する。
図5乃至
図9および
図11に示されるように、第1コンベア11に設けた桁材15、に対して、突起部16は、桁材15の後端部から、対象物W側且つ搬送方向後方に向かって突出させるとともに、桁材15に対して傾斜させて搬送方向の後方に位置する桁材15の前端部を覆うように配置する。第2コンベア21に設けた桁材25に対して、突起部26は、桁材25の後端部から、対象物W側且つ搬送方向後方に向かって突出させるとともに、桁材25に対して傾斜させて搬送方向の後方に位置する桁材25の前端部を覆うように配置する。
【0022】
突起部16,26は搬送方向に間隔を開けて、桁材15,25に対して複数配置する。
例えば、コンベア部Bを構成する第1コンベア11において、搬送面17の搬送終端部11Bに達した後行の突起部16より、搬送側前方に位置する先行の突起部16が有する
図6に図示する傾斜面の法線161は、第1ローラ31および第2ローラ41の中間部を向く。突起部16、突起部26のうち搬送方向に対して後行する突起部が搬送面17から離反を開始した時点で、搬送方向に対して先行する突起部16、突起部26は第1ローラ31と第2ローラ41の間に位置する。
【0023】
第1実施例において突起部16、突起部26は桁材15、桁材25の搬送方向に対する幅とほぼ同幅に設けており、第1コンベア11の場合の突起部16は搬送面17の上方であって搬送方向後方に向かって突出させ、第2コンベア21の場合の突起部26は押圧面27の下方であって、搬送方向後方に向かって突出させる。つまり、突起部16、突起部26は設置する桁材15、桁材25に対して鈍角を形成して配置する。
【0024】
突起部16、突起部26はコンベア部Bの桁材15、桁材25に対して間隔を置いて設置する。第1実施例では、搬送方向に並べて配置した桁材15、桁材25に対して、1個づつ間を開けて等間隔に配置している。その他にも、一例として突起部16、突起部26は、間隔を開ける桁材15、桁材25は2個以上に設けた等間隔に配置すること、全ての桁材15、桁材25に配置すること、複数の桁材15,25に連続して配置した後に1個の桁材15,25分の間を開けて配置することとしてもよく、配置順序に限定はない。突起部16、突起部26の配置は被圧縮物である対象物Wの状況や圧縮する環境等によって、自由に調整、変更が可能である。
【0025】
突起部16、突起部26は、1次圧縮をする過程で、対象物Wを部分的に楔状の凹部を形成させて押し潰す効果と、圧縮部Cに送り込む効果がある。詳細には、押し潰す対象物Wである段ボールが硬い材質で形成された物や、分厚く形成されたような押し潰し難いものでも、突起部16、突起部26を対象物Wに食い込ませることで効果的に1次圧縮させる。また、桁材15、桁材25の前後幅程度の比較的小さい対象物Wであっても、突起部16、突起部26で引っ掛けるように圧縮部Cに放擲させて送り込む効果がある。
【0026】
このため、全ての桁材15、桁材25に突起部16、突起部26を配置した場合は、押し潰し難い対象物Wが多い場合に使用すると効果的に1次圧縮できる。また、小形の対象物Wが多い場合に使用すると、対象物Wはコンベア部Bの終端部11Bから落下することなく、効果的に圧縮部Cに送り込むことができる。また、上記の押し潰し難い対象物Wの場合、圧縮時に紙片や紙粉等の屑が発生しやすい。このため、突起部16、突起部26をすべての桁材に配置することで、桁材15、桁材25の前端部を覆って、屑がチェーン14及びチェーン24の側へ侵入することを防止できる。
【0027】
これに対し、大形且つ柔らかい材質の対象物Wであった場合、押し潰しや圧縮部Cへの送り込みが容易であることから、全ての桁材15、桁材25に突起部16、突起部26に設置する必要はなく、2個以上の桁材25を隔てて配置することでも1次圧縮の達成が可能である。また、対象物Wからの屑の発生が少ない場合が多く、突起部16、突起部26をすべての桁材に配置せずとも、チェーン14及びチェーン24の側へ屑の侵入を防止できる。つまり、突起部16、突起部26を減らすことで、コンベア部Bの構成を簡略化することができる。
【0028】
図示する第1実施例のように、桁材15、桁材25を1個づつ隔てて配置した場合は、上記の対象物Wの特性が中間値程度の場合、つまり上記した対象物Wの例に対して比較的中間程度の硬さや大きさである場合に使用するとよい。つまり、第1実施例では標準的な構成とし、上記中間的な対象物Wが多い場合に使用するとよい。
さらに、圧縮する対象物Wの特性が不規則で決まっていない場合は、複数の桁材15、桁材25を連続して配置した後に1個の桁材15、桁材25分の間を開けて配置するようにすると、構成を簡略化しつつ、1次圧縮と圧縮部Cへの送り込みを効率化できる。
上記のように、桁材15、桁材25に配置する突起部16、突起部26は、対象物Wの特性、圧縮装置の使用環境、作業者が希望構成に応じて、自由に変更・調整させることができる。
【0029】
突起部16は、第1コンベア11において、搬送方向に対する直後に位置する桁材15、桁材25の前端部の上方を覆っている。また、第2コンベア21においては、搬送方向に対する直後に位置する桁材15、桁材25の前端部の下方を覆っている。これによって、コンベア部Bでの1次圧縮時に対象物Wから発生した屑が、第1コンベア11に設置した桁材15、桁材25同士の隙間から落下することを防ぎ、対象物Wから上方に舞い上がった屑が、第2コンベア21に設置した桁材15、桁材25同士の隙間から上方に侵入することを防ぐことが可能である。
したがって、屑が第1コンベア11及び第2コンベア21の内周部に落下または侵入することを防止できるので、コンベア部Bをメンテナンスするために、圧縮装置Aの稼働を停止させる頻度を抑制でき、効率的な圧縮に寄与できる。
【0030】
さらに、突起部を桁材15、桁材25に対して鈍角状に傾斜させているので、特に第1コンベア11の場合において、搬送終端11Bに達した桁材15、桁材25および突起部16、突起部26が反転して始端部11Aに向かう際に、突起部16、突起部26および桁材15、桁材25上に落下した屑が突起部に引っ掛かることなく落下できる。
第1実施例の場合、直角から45度後方に寝かせた135度の鈍角となるように傾斜を設定しているが、120から150度程度の鈍角であればよい。
【0031】
突起部16、突起部26の桁材15、桁材25に対する突起高さは桁材15、桁材25の搬送方向の長さに対して、1/2以下となるのが望ましい。あるいは、桁材15、桁材25が最接近する距離の1/3以下が望ましい。このようにすることで突起部16、突起部26の1次圧縮に対する強度を確保しさらに互いの干渉を避けながらも、1次圧縮において局所的に対象物Wを押し付けるように圧縮させることができる。また、突起部16、突起部26を桁材15、桁材25に対して鈍角状に傾斜させているので、対象物Wに対して楔状または山状に押圧する。したがって、例えば90度の直角に突起部16、突起部26を形成した場合に比較して、突起部16、突起部26が極小範囲で対象物Wに突き刺さることで対象物Wが裂けて、紙粉や紙片の屑の発生を抑制できる。
第1コンベア11と第2コンベア21に配した突起部16、突起部26は、必ずしも互いの位置が線対称的に一致しなくてもよく、上記効果に変化はない。
【0032】
また、突起部16、突起部26を桁材15、桁材25に対して鈍角状に傾斜させているので、搬送方向終端部11Bに達した状態であっても、突起部16、突起部26先端が設置する桁材15、桁材25より搬送面17側の近い位置に配置できる。つまり、終端部11Bに達した突起部16、突起部26の先端が1次圧縮後の対象物Wを支えることができるので、コンベア部Bの終端11Bに沿って巻き込まれることを防止し、圧縮部Cに供給することができる。1次圧縮から2次圧縮への供給を効率的に実施させることが可能である。
【0033】
駆動系統について説明する。コンベア部B、圧縮部Cの回転駆動はモータ81が発生させる回転動力を伝達することによっておこなわれる。第1実施例に即して説明すると、モータ81は圧縮部Cの下部に位置させる。
図3に図示するように、圧縮部Cの第1ローラ31とモータ81の搬送方向下流に向かって右端部にそれぞれスプロケット82を配し、チェーン83を巻き付ける。さらに、第1ローラ31と第1コンベア11の終端部11Bの搬送方向下流に向かって右端部にスプロケット82を配し、チェーン83を巻き付ける。
【0034】
これによって、モータ81と、第1ローラ31と第1コンベア11は連動して駆動する。また、第1ローラ31と第2ローラ41のそれぞれ搬送方向に向かって左端部に同径のギヤ84を配置し噛合させることで、互いが同回転で回転する。第2ローラ41と第2コンベア21の終端部21Bの搬送方向に向かって左端部にスプロケット82を配し、チェーン83を巻き付ける。コンベア部B、圧縮部Cの駆動は、1つのモータ81によって、すべて連動して行われる。
【0035】
搬送速度は、コンベア部Bの搬送面17の移動速度、圧縮部Cの凸状部32、凸状部42を含む回転外周速度は同等に設ける。コンベア部Bの突起部16、突起部26の移動速度について、搬送面17は直線移動のため桁材15、桁材25と同速度で移動するが、終端部11Bおよび始端部11Aの折り返し部分は、桁材15、桁材25の折り返し半径より突起部16、突起部26の先端部の半径が大きいため、突起部16、突起部26先端の移動速度は桁材15、桁材25より大きくなる。
【0036】
搬送経路、搬送面17等について説明する。ここで、第1コンベア11の搬送面17に載置した対象物Wは、搬送方向下流に向かうにしたがって上方に移動し、第1コンベア11の終端11Bに達すると圧縮部Cに向かってほぼ水平方向に向きを変えて移動するような搬送経路を辿る。なお、コンベア部Bにおける搬送面17とは第1コンベア11の搬送部分の上面部であって直線部分、終端部11Bとはこの直線部分が終了し搬送向きを反転させる部分、始端部11Aとは終端部11Bから折り返したコンベアが搬送面17の再度直線部分に折り返す部分のことを指す。
【0037】
屑回収部Dについて説明する。
図1、
図10に図示するように、コンベア部Bおよび圧縮部Cの下方には空間を設け、この空間に屑回収部Dを設ける。屑回収部Dはスロープ51と、回収箱53を有している。空間は、第1コンベア11を傾斜させて配置したことによって、第1コンベア11の後端部と第1ローラ31下方に大きく空間を確保できる。スロープ51は傾斜させた傾斜板であって、上端部を第1ローラ31の搬送方向後端側より後方に位置させ、第1ローラ31の下端位置と同程度の高さに設ける。
【0038】
スロープ51は、2次圧縮された対象物Wが圧縮部Cから水平方向に排出されることを阻害せず、且つ、圧縮部Cを通過する2次圧縮後の対象物Wから屑が落下したとしても、この屑を受け止めることができる。スロープ51は第1コンベア11の始端側11Aに向かうにつれて下方に傾斜させる。このため、コンベア部Bと圧縮部Cの間から落下した屑を、スロープ51の中間部で受け止めることができる。第1実施例において、スロープ51の下端は第1コンベア11の中間部下方に位置する。スロープ51は、コンベア部Bおよび圧縮部Cで圧縮させる際に発生した紙片や紙粉等の屑を受け止めるとともに、下方に滑落させる。
【0039】
スロープ51の下端の下方には回収箱53を配置する。回収箱53は引出し状に形成された容器であり、スロープ51を滑落した屑は回収箱53に集められ、圧縮装置から引き出すことで、回収することができる。さらに、第1実施例では補助スロープ52を設けている。補助スロープ52は、上端側を第1コンベア11の始端側11Aに配置し、下端を第1コンベア11の中間部下方に位置させている。補助スロープ52によって、第1コンベア11始端部11Aから発生し落下した屑を受け止めるとともに滑落させる。
【0040】
空間があることで、スロープ51は水平面からの傾斜角度を大きく確保することが可能であり、第1実施例においては40°以上を確保している。このため、スロープ51で受け止めた屑は滑落しやすくなり、効率的に回収箱53に集めることができる。また、コンベア部Bと圧縮部Cの下方の空間にスロープ51を配置できるので、スロープ51を圧縮装置A外に設置する必要がなく、圧縮装置A全体をコンパクトに構成できる。
【0041】
第1コンベア11の先端部側にはローラコンベア71を配置する。ローラコンベア71は小径の円筒ローラを平行に間隔を開けて複数配置したコンベアであり、駆動力は持たない。すなわち、ローラコンベア71上に配置した対象物Wは、円筒ローラの円周方向に移動可能となる。第1実施例での円筒ローラは第1コンベア11始端部11Aに向かって徐々に低くなるように配置することで、ローラコンベア71の上方側である始端側11Aに対象物Wを載置すると、対象物Wは自重によってローラコンベア71上を移動し、第1コンベア11の始端部11Aに到達できる。そして、第1コンベア11が対象物Wを搬送方向下流に搬送し、コンベア部Bで1次圧縮したのちに圧縮部Cに到達して2次圧縮する。このようにすることで、対象物Wを圧縮装置に載置する際に、作業者が駆動するコンベア部Bに接近せずともコンベア部Bに対象物Wを載置することができる。
【0042】
図1、
図10に図示するように、圧縮部Cの搬送方向下流側には、開口部61を設ける。圧縮された対象物Wは開口部61を通過して排出される。開口部61には排出シュート63を設け、排出シュート63先端側に配置した収納箱64に貯留する。なお、開口部61には、回動自在なフラップ62を設けており、対象物Wが通過時には、このフラップ62を対象物Wが押し除けるようにして回動させることで、開口部61が開口される。対象物Wが無通過時には自重により下方に回動し、開口部61を塞ぐ。
【0043】
圧縮工程について、1次圧縮および2次圧縮の工程を搬送順に説明する。
【0044】
(1) 作業者等によって、対象物Wをローラコンベア71の始端部に載置する。
【0045】
(2) 対象物Wが自重によってローラコンベア71上を移動し、ローラコンベア71終端部に達する。
【0046】
(3) 対象物Wの前端下部が第1コンベア11の始端部11Aに到達し、第1コンベア11の桁材15および突起部16に引っ掛かり、対象物Wは第1コンベア11の周回動とともに搬送面17に載置される。
【0047】
(4) 第1コンベア11の周回動によって、対象物Wが第1コンベア11の搬送方向下流に移動する。
【0048】
(5) 第1コンベア11の搬送下流に移動すると、上方に位置した第2コンベア21の押圧面27と第1コンベア11の搬送面17によって、対象物Wの前端側から徐々に押圧され1次圧縮を開始する。第1コンベア11と第2コンベア21は同速度で周回しているので、対象物Wはあたかも上から押されるかのように圧縮される。1次圧縮は桁材15、桁材25および突起部16、突起部26によっておこなわれ、突起部16、突起部26が接触する部分の対象物Wは局所的に突き刺さるように押されることで、搬送方向に間隔を置いた楔状の凹部が形成される。
【0049】
(6) 対象物Wが第1コンベア11の終端部11Bおよび第2コンベア21の終端部21Bに達すると、1次圧縮が完了する。1次圧縮完了後、対象物Wはコンベア部Bに押し出されるようにして圧縮部Cに供給される。
【0050】
(7) 対象物Wをコンベア部Bの終端部11B、終端部21Bから圧縮部Cに供給する様子を詳細に説明する。説明において、特に指示がない限り第1コンベア11に着目して説明する。また、搬送前後の位置関係を明確にするために、先行する突起部16をT1、突起部16の直後に位置する突起部16をT2と呼称する。
圧縮工程1は先行する突起部T1がコンベア部Bの終端部11Bに達し、搬送面17から離れて折り返そうとしている状態であり、突起部T1で対象物Wの前端側の1次圧縮が完了した状態である。後行の突起部T2はまだ搬送面17に位置して対象物Wを圧縮している途中である。
圧縮装置の圧縮工程1をあらわす説明図である
図5に図示するように、第1コンベア11の後方の突起部T2が取り付けられる桁材15の前端が搬送面17の後端部に達した状態である。突起部T2の直前に位置する先行の桁材15は搬送面17から下降している。このとき、先行の突起部T1の傾斜面は、第1ローラ31および第2ローラ41の中間部を向いていて、
図5に図示する側面視で先行の突起部T1の傾斜面を基準にした法線(仮想線)161は、第1ローラ31および第2ローラ41のそれぞれの回転軸33、43の間を通り、突起部T1の先端部が搬送面17の近傍に位置している。
【0051】
(8) 圧縮工程2は、
図6に図示するように、後行の突起部T2を取り付ける桁材15、桁材25の前端が終端部11B、終端部21Bに達した状態であり、後行の突起部T2は搬送面17に位置にしていて、突起部T2での1次圧縮が継続されている。先行の突起部T1は第1コンベア終端部11Bで折り返し移動中であって、搬送面17からさらに離反するように下降をしている。
このとき、先行の突起部T1の傾斜面は、まだ第1ローラ31および第2ローラ41の中間部を向いている。換言すれば、
図6に図示する先行の突起部T2の傾斜面を基準にした法線(仮想線)161は、第1ローラ31および第2ローラ41のそれぞれの回転軸33、43の間を通る。したがって、突起部T1の先端が上方である第2コンベア21側に立った状態となることによって、終端部11Bに位置した突起部T1の先端部は搬送面17の近傍に位置でき、自重で垂れ下がる対象物Wの搬送方向前端部を上方に持ち上げるように支える。搬送面17から搬送方向後方であって搬送面17から離れた位置にある桁材15があっても、この桁材15に取り付けた突起部T1の先端が搬送面17の近傍に位置できる。つまり、対象物Wが終端部11Bに位置した突起部T1の先端に支えられるようにして、対象物Wの搬送方向前端が第1コンベア11終端部11Bの周回運動に沿って向かうことを防ぐ。
【0052】
(9) 圧縮工程3は、
図7に図示するように、後行の突起部T2が終端部11Bに達し、突起部T2での1次圧縮が完了した状態を示している。先行の突起部T1は折り返し移動を継続し、搬送面17からさらに離反するように下降をしている。ここで、先行の突起部T1はさらに下降するため、対象物Wの先端部から離反を開始する。しかし、先行の突起部T1の先端は第1ローラの回転軸33より上方に位置しているため、対象物Wの先端部が垂れ下がった場合は、まだ突起部T1で支えることが可能な状態である。この工程での対象物Wが突起部T1の先端から離反するか突起部T1の先端で支持するかは、対象物Wの軟弱度合いによるが、少なくとも、対象物Wの搬送方向前端が第1コンベア11終端部11Bの周回運動に沿うことを防ぐことが可能である。
【0053】
(10) 圧縮工程4では、
図8に図示するように、後行の突起部T2が第1コンベア11の終端部11Bに達し、反転運動を開始した状態を示している。このとき、突起部T2が第1コンベア11の終端部11Bで直線運動から円運動に切り替わるため、桁材15の移動速度より突起部T2の先端の移動速度が速くなる。このため、突起部T2が突起部T2の後方にまだ存在する対象物Wを引っ張るようにしながら、第1ローラ31および第2ローラ41の間に投げつけるように対象物Wに作用する。
【0054】
このようにすることで、対象物Wの前端は第1ローラ31に達する。対象物Wの前端は、上記圧縮工程2~3で下方に向くことを抑制されているので、後行の突起部T2および桁材15、桁材25に押されることによって、第1ローラ31の回転軸芯33より上方、つまり、第1ローラ31および第2ローラ41のそれぞれの回転軸芯33、43の間に位置できる。この例示では、第1ローラ31の回転軸芯33より上方の外周部である回転径34に対象物Wの前端が到達している。
【0055】
(11) 圧縮工程5は、
図9に図示するように、上記圧縮工程4によって、対象物Wの前端が第1ローラ31の外周部の周回方向が搬送方向後方側に向かった部分に到達し、第1ローラ31で第1ローラ31と第2ローラ41の間に向かって引き込みを開始した状態である。第1コンベアの後行の桁材15及びこの桁材15に取り付けられる後行の突起部T2は搬送面17から下降している。
第1ローラ31および第2ローラ41のそれぞれの回転軸芯33、43の間に対象物Wの前端が位置できるので、第1ローラ31は回転による摩擦で対象物Wの前端を、第1ローラ31と第2ローラ41の間に向かって引き込むことができる。さらに、第1ローラ31には凸状部32があるため、対象物Wの前端部を引っ掛けやすく、より円滑に第1ローラ31と第2ローラ41の間に向かって対象物Wを引き込むことができる。
【0056】
また、
図9に図示する圧縮工程5において、後行の突起部T2の傾斜面に対する法線161は、第1ローラ31と第2ローラ41の間に向かっているため、圧縮部Cに向かって対象物Wを放擲するように作用する。したがって、より効率的にコンベア部Bの終端部11B、終端部21Bから圧縮部Cに対象物Wを供給することができる。またこの効果により、対象物Wが小さいもの(例えば第1コンベア終端部11Bから圧縮部Cに到達できる程度の大きさ)でも、コンベア部Bの終端部11B、終端部21Bから、容易に圧縮部Cに供給することができる。
【0057】
(12) 対象物Wの前端が第1ローラ31と第2ローラ41の間に達すると、
図10に図示するように、2次圧縮を開始する(圧縮工程6)。2次圧縮では、第1ローラ31と第2ローラ41の外周部によって1次圧縮した対象物Wをさらに圧縮するとともに、第1ローラ31と第2ローラ41のそれぞれが有した凸状部32、凸状部42によって上下方向から交互に互い違いに押圧される。凸状部32、凸状部42による圧縮で、対象物Wは矩形波状に形成され、スプリングバックを抑制することができる。
【0058】
(13) 1次圧縮および2次圧縮時に発生した紙片や紙粉等の屑は、コンベア部Bおよび圧縮部Cの回転とともにスロープ上に落下し、回収箱53に収集される。
【0059】
(14) 圧縮部Cで2次圧縮された対象物Wは、排出シュート63を介して収納箱64に回収される。収納箱64内の対象物Wは矩形波状に形成されていることから、スプリングバックが抑制され、収納箱64内で嵩を増すことを防ぐ。したがって、収納箱64内に効率的に圧縮された対象物Wを貯留させることができる。
【0060】
第2実施例を説明する。第2実施例を説明する
図12で使用する符号は、第1実施例と構成が類似または異なる場合に第1実施例と類似または異なる符号を使用し、第1実施例と同様の構成である場合は同一に符合を用いて説明する。
【0061】
第2実施例では桁材15,25に対する突起部16a,26aの配置位置が第1実施例と異なる。第1実施例での突起部16,26は、
図5乃至
図9および
図11に代表されるように、突起部16,26を配置した桁材15,25の搬送方向に対する直後に位置する桁材15,25の前端部の対象物W側の面を覆っているものとして説明した。しかし、第2実施例での突起部16a,26aは、突起部16a,26aを配置した桁材15,25の搬送方向に対する直後に位置する桁材15,25の搬送方向前端部の対象物W側の面を覆わないように構成する。詳細には、突起部16a,26aと、突起部を配置した桁材15,25の搬送方向下流側の対象物W側の面Faとの間に緩衝空間Saを確保するように、桁材15,25と突起部16a,26aを配置する。その他の構成は第1実施例と同様に構成し、説明は第1実施例と異なる部分に着目しておこなう。さらに、第2実施例を適用したコンベア部Bは、
図12に示すように終端部に着目して説明をおこなう。始端部側のコンベア部Bは終端部の構成に準じるため、詳細な説明および図示を省略する。
【0062】
作業者が段ボール箱等の対象物Wをコンベア部Bの始端部に投入し、第1コンベア11と第2コンベア21とで挟むようにして圧縮する場合に、対象物Wの内部には圧縮に適さない非圧縮物である異物が混入している場合がある。第2実施例での突起部16a,26aは第1実施例と同様に、1次圧縮をする過程で対象物Wを部分的に楔状の凹部を形成させて押し潰す効果がある。しかし、第1コンベア11と第2コンベア21の間に異物があった場合に、過度にチェーン14,24側に押圧される。
【0063】
図12に示すように、突起部16a,26aは搬送方向の下流側に向かって傾斜させているので、桁材15,25側に設けた緩衝空間Sa側に倒れるように変形することができる。突起部16a,26aの変形の度合いは異物の大きさに依存する。なお、説明する突起部16a,26aは金属製の素材で構成し、変形とは塑性変形のことを示す。突起部16a,26aは、搬送方向に対する幅全体で変形してもよいし、幅に対する一部が変形してもよい。一部が変形する場合、幅方向のいずれかの位置でもよいし、変形箇所が複数あってもよい。
【0064】
突起部16a,26aの後端は直後に位置する桁材15、25の搬送方向前端部の対象物W側の面を覆わないように構成するので、突起部16a,26aの最大変形は桁材15、25と突起部16a,26aの傾斜面が接するまで変形が可能である。つまり、変形した突起部16a,26aは、桁材15,25の搬送面側の面Faよりチェーン14,24側に位置できない。
【0065】
この点において、第1実施例の場合と比較して説明する。特に、搬送方向の始端部11Aや終端部11Bの折り返し部で、突起部が変形した場合を想定して説明する。
図11に示す第1実施例の突起部16,26は、取り付ける桁材15,25の搬送方向に対する下流側直後に位置する桁材15,25との間で、緩衝空間Sを確保しているともいえる。
図11の二点鎖線部で示すように、コンベア部Bの始端部11Aや終端部11Bの折り返し部で、第1実施例の突起部16,26が緩衝空間S側に向かって変形すると、変形した突起部16,26が取り付けられる桁材15,25の搬送面側に向いた面Fより、チェーン14,24側に位置することが可能な状態である。このため、コンベア部Bの搬送方向が折り返し部で向きを変えた後に、桁材15,25の移動向きがコンベア部Bの直線部に位置した場合、突起部16,26の後端が直後に位置する桁材15,25を押圧する状態となる。したがって、チェーン14,24が押圧され、チェーン14,24を構成するリンクが捻じれたまま移動することによって、負荷が生じやすい。
【0066】
これに対して、
図12に示す第2実施例の突起部16a,26aは、変形した突起部16a,26aが桁材の搬送面側の面Faよりチェーン14,24側に位置できないので、コンベア部Bの搬送方向が折り返し部で向きを変えた後に、桁材15,25がコンベア部Bの移動向きが直線部に位置した場合でも、突起部16a,26aの後端が直後に位置する桁材15,25を押圧せず、チェーン14,24に負荷をかけない。
【0067】
上記説明したように、第2実施例の突起部16a,26aは異物によって変形を生じたとしても、チェーン14,24に負担をかけることがない。コンベア部Bが過度に押圧されたとしても、突起部16a,26aが突起部16a,26aが取り付く桁材15,25との緩衝空間Sa側に向かって変形して、チェーン14,24を過度の押圧から保護する。そして、変形した突起部16a,26a自体が緩衝空間Saを通過し、取り付く桁材15,25に対して接するまで変形を許容することで、後行の桁材15,25に対して押圧しない。突起部16a,26aが最大に変形した後に搬送方向に周回動作を継続したとしても、チェーン14,24に対して負担をかけないので、チェーン14,24の交換頻度を低下させることができる。装置全体としても、難易度が高いチェーン14,24等の駆動部品のメンテナンス頻度を低下させることができる。結果、圧縮装置Aの不稼働時間の発生を抑制できる。
【0068】
第2実施例の突起部16a,26aは、変形した突起部16a,26aを桁材15,25から取り外して交換することができるので、作業者は容易にメンテナンス作業ができる。なお、突起部16a,26aの交換は、突起部16a,26aが取り付いた桁材15,25ごと交換することでも達成できる。
【0069】
第2実施例で示す突起部16a,26aの搬送方向下流側に向いた傾斜面の法線と、圧縮部Cの第1ローラ31および第2ローラ41に対する位置関係によってなされる効果は、第1実施例で示したものと同等の効果を発揮する。したがって、突起部16a,26aによって圧縮された対象物Wを圧縮部Cに受け渡すことを容易にできる。
【0070】
第3実施例を説明する。第3実施例を説明する
図13で使用する符号は、第1実施例と構成が類似または異なる場合に第1実施例と類似または異なる符号を使用し、第1実施例と同様の構成である場合は同一に符合を用いて説明する。
【0071】
第3実施例での突起部16,26は、第1突起部16b,26bと第2突起部16c,26cで構成する。なお、第1突起部16b,26bおよび第2突起部16c,26cの桁材15,25に対する搬送方向に対する設置位置は、第1実施例で説明した位置関係でもよいし、第2実施例で説明した実施例でもよい。
【0072】
第1突起部16b,26bは複数の桁材15,25に配置された突起部であって、互いに搬送方向の上流方向または下流方向に隣接するように、複数連続して配置する。第1突起部16b,26bは複数の桁材15,25に対して搬送方向に沿って間隔を置いて複数配置することで第1突起群16g,26gを形成する。実施例での第1突起群16g,26gは、搬送方向に並べて配置した桁材15,25に対して、搬送方向に1個づつ互いに間隔を置いて5個の第1突起部16b,26bを隣接配置することで第1突起群16g,26gを形成する。第1コンベア11においては、第1突起部16bを複数まとめることで第1突起群16gと形成し、第2コンベア21においては、第1突起部26bを複数まとめることで第1突起群26gを形成する。
【0073】
図示する第3実施例の第1突起部16b,26bは、搬送方向に沿って連続的に配置される桁材15,25に対して、1つの桁材を飛ばした次の桁材15,25に配置する。そして、互いに隣接した5つの第1突起部16b,26bで、1つの第1突起群16g,26gを形成する。しかし、この例には及ばず、第1突起群16g,26gを形成する第1突起部16b,26bの個数は複数であればよく、その個数に限定はない。また、第1突起群16g,26gを形成する第1突起部16b,26bの個数や間隔は、圧縮装置の使用や形態に応じて自由に変更することができる。
【0074】
そのほか、前記したように、第1突起部16b,26bは、間隔を開ける桁材15,25は2個以上に設けた等間隔に配置すること、全ての桁材15,25、に配置することもできるので、配置する第1突起部16b,26bの個数と桁材15,25の数に関連はない。
【0075】
第1突起群16g,26gの搬送方向に対して上流または下流に配置する桁材15,25に第2突起部16c,26cを配置する。第2突起部16c,26cを配置する桁材15,25は、第1突起群16g,26gの上流または下流に隣接する桁材15,25でもよいし、1以上の桁材15,25を挟んで配置される桁材15,25に配置してもよい。第3実施例では、第1突起群16g,26gに挟まれた第2突起部16c,26cの配置が1つとなるように配置しているが、複数であってもよい。
【0076】
上記配置にすることで、第1突起群16g,26gと第2突起部16c,26cはコンベア部Bの搬送方向に対して交互に隣接して複数配置される。つまり、第1突起群16g,26gで構成する第1突起部16b,26bの個数は、第2突起部16c,26cの個数より多くなる。第1コンベア11または第2コンベア21に配置する第2突起部16c,26cの数は、第1突起部16b,26bの個数に対して1/3乃至1/6程度にすることが望ましい。第3実施例での第2突起部16c,26cの個数は、第1突起部16b,26bに対して1/5となるように設けている。
【0077】
第1突起群16g,26g内の第1突起部16b,26bには第1着色が施され、第2突起部16c,26cには第2着色が施される。第1突起部16b,26bに施される第1着色は、第2突起部16c,26cに施される第2着色とは異なるように着色がされている。さらに、第1着色と第2着色は互いに異なる色で着色する。そして、第2着色が施された第2突起部16c,26cは、第1着色が施された第1突起部16b,26bの個数に対して少ない。したがって、コンベア部を視認した場合に、搬送方向下流に向かって移動する第2突起部16c,26cは、第1着色で着色する複数の第1突起部16b,26bからなる第1突起群16g,26gに対して、明らかに目立つようになる。
【0078】
第2着色で着色する第2突起部16c,26cの個数は、第1着色で着色する第1突起部16b,26bの個数より明らかに少ない。コンベア部Bで搬送方向に移動する第2突起部16c,26cは見かけ上、第2突起部16c,26cを目立たせることができる。
【0079】
また、作業者が搬送方向の上流側の投入口である第1コンベア11の始端部11A側に位置してコンベア部を視認した場合に、作業者は第1コンベア11および第2コンベア21に配置される第2突起部16c,26cを複数、視認することができる。したがって、コンベア部Bで搬送方向下流に向かって移動する第2突起部16c,26cを視認できる機会を向上させることができる。
【0080】
第3実施例では、投入口に位置する作業者が視認できる第2突起部16c,26cの個数は3としている。つまり、第1コンベア11においては3個の第2突起部16cが視認できるし、第2コンベア21においては3個の第2突起部26cが視認できる。しかも、第1コンベア11および第2コンベア21が搬送方向に移動中であっても、第1コンベア11および第2コンベア21のそれぞれにおいて、作業者は常に3個の第2突起部16c,26cを視認が可能である。もちろん、この個数は例示であるので、圧縮装置Aの仕様、形態、第1突起群16g,26gを構成する第1突起部16b,26bの個数と第2突起部16c,26cの個数に応じて、自由に変更することができる。
【0081】
着色の例を示す。まず、第1着色と第2着色は互いの彩度且つ明度が異なるようにすることができる。この場合、彩度および明度の対比は互いに可及的に大きく乖離することが望ましい。例えば、第1着色と第2着色うち、いずれか一方を彩度が高く鮮やかな明瞭な色であって明度が高い明るい色とし、他方を彩度が低くくすんだ色であって明度が低い暗い色とすることもできる。具体的な色を使用して説明すると、第1着色をやや白みがかった明るい青色で構成し、第2着色を黒色または限りなく黒色に近い青色とすることが挙げられる。また、いずれか一方を彩度が高く鮮やかな明瞭な色であって明度が低い暗い色とし、他方を彩度が低くくすんだ色であって明度が高い色とすることもできる。具体的な色を使用して説明すると、第1着色をやや黒みがかった明るい青色で構成し、第2着色を白色または限りなく白色に近い青色とすることが挙げられる。なお、例で示した第1着色と第2着色の配色は互いに逆となってもよい。なお、説明に用いた色は一例であり、例示の色に限定するものではない。
【0082】
第1着色と第2着色は互いの彩度のみが異なるようにすることもできる。この場合、彩度の対比は互いに可及的に大きく乖離することが望ましい。例えば、第1着色と第2着色うち、いずれか一方を彩度が高く鮮やかな明瞭な色とし、他方を彩度が低くくすんだ色とすることもできる。具体的な色を使用して説明すると、第1着色を明るい青色で構成し、第2着色を黒色または白色またはこれらに近い青色とすることが挙げられる。なお、例で示した第1着色と第2着色の配色は互いに逆となってもよい。なお、説明に用いた色は一例であり、例示の色に限定するものではない。
【0083】
第1着色と第2着色の互いの明度は異なるように設けることもできる。この場合、明度の対比は互いに可及的に大きく乖離することが望ましい。例えば、第1着色と第2着色うち、いずれか一方を明度が高い明るい色とし、他方を明度が低い暗い色とすることもできる。具体的な色を使用して説明すると、第1着色を白色または白色に近い青色で構成し、第2着色を黒色または黒色に近い青色とすることが挙げられる。なお、例で示した第1着色と第2着色の配色は互いに逆となってもよいし、例示の色に限定するものではない。
【0084】
第1着色と第2着色の互いの彩度は異なるものであって、一方を有彩色で構成し、他方を無彩色で構成することもできる。例えば、第1着色と第2着色うち、いずれか一方をわずかでも色味がある色で着色し、他方を色白色または灰色または黒色のような色味がない色で着色することもできる。具体的な色を使用して説明すると、第1着色を僅かでも色彩がある明暗を問わない青色で構成し、第2着色を白色または灰色または黒色とすることが挙げられる。なお、例で示した第1着色と第2着色の配色は互いに逆となってもよい。なお、説明に用いた色は一例であり、例示の色に限定するものではない。
【0085】
第1着色と第2着色の互いの色相は異なるように設けることもできる。この場合、互いの色相の対比関係は、色相環上の対比で互いに補色となる関係であることが望ましい。例えば、具体的な色を使用して説明すると、第1着色を青色又はこれに近い系統の色相で着色を施し、第2着色を橙色またはこれに近い系統の色とすることが挙げられる。なお、例で示した第1着色と第2着色の配色は互いに逆となってもよく、補色の関係であれば使用する色味に限定はない。
【0086】
第1着色と第2着色の互いの色調は異なるように設けることもできる。この場合、互いの色調は、明度や彩度の対比で互いに大きく異なる色調であることが望ましい。例えば、第1着色を純色に近い色で構成する色相で着色を施し、第2着色の彩度を低く構成したような黒色または白色に近い色調の色とすることが挙げられる。同様に、第1着色の明度を下げた色相で着色を施し、第2着色の明度を高く構成したような色調の色とすることもできる。この場合、第1着色と第2着色の配色は、色相環上の色で同系色でなくてもよい。
【0087】
例示したように、第1着色と第2着色を大きく異なるように構成することによって、第1着色と第2着色は互いと対比した場合に目立つことができる。コンベア部Bに配置する第1突起部16b,26bからなる第1突起群16g,26gと第2突起部16c,26cは、互いに異なる色で着色する。第1着色が施される第1突起群16g,26gを構成する第1突起部16b,26bの個数に対して、第2着色が施される第2突起部16c,26cの個数は少ないため、第2突起部16c,26cの着色が目立つことができる。このため、搬送方向に移動する第2突起部16c,26cの様子が、搬送方向上流の対象物Wの投入口側に位置する作業者からでもはっきりと視認できる。したがって、作業者が圧縮装置Aの稼働状態をコンベア部Bの視認のみで容易に認識することができる。
【0088】
第1着色と第2着色によって、圧縮装置Aの操作部(図示なし)または表示部(図示なし)または報知部(図示なし)の確認によらず、コンベア部Bのみの視認で動作状況が判断できる。したがって、作業者による操作部、表示部、報知部等での確認動作がされないような人為的なミスが発生したとしても、コンベア部Bの動作状況を容易に判断できる。また、第1着色と第2着色を大きく異なるように着色を施すので、仮に作業者が視力や聴力等の身体能力の弱者であった場合であって、尚且つ、上記確認動作の人為的ミスが発生した場合であっても、圧縮装置Aの運転状態をコンベア部Bの視認のみで容易に判断させることができる。
【0089】
図示はしないが、変形例として、隣接する複数の第2突起部16c,26cで第2突起群16h,26h構成することもできる。この場合、第2突起群16h,26h内の第2突起部16c,26cの個数を、第1突起群16g,26g内の第1突起部16b,26bの個数より少なくすることで、第1突起群16g,26gに対して第2突起群16h,26hを目立たせることができる。
【0090】
また、第2突起群16h,26hを設けた場合に、第2突起群16h,26h内の第2突起部16c,26cの個数は、第1突起群16g,26g内の第1突起部16b,26bの個数と同数とすることもできる。この場合、第1突起群16g,26g内の第1突起部16b,26bの個数と第2突起群16h,26h内の第2突起部16c,26cの個数は、比較的多く構成し、好ましくは、少なくとも5以上で構成することが望ましい。このようにすることで、コンベアBの搬送駆動によって、作業者が視認する第1着色と第2着色が交互に高頻度に入れ替わるように移動しない。したがって、作業者が第1着色と第2着色によって幻惑されることがない。コンベア部Bの直線部を視認した状態で、いずれか一方の突起群の個数が他方の突起群の個数より、見かけ上、多いことが望ましい。つまり、第1着色と第2着色が交互に高頻度に入れ替わるように移動しないので、作業者が幻惑されることを抑制できる。
【符号の説明】
【0091】
11 第1コンベア
12 第2コンベア
15 桁材
16 突起部
16a 突起部
16b 第1突起部
16c 第2突起部
16g 第1突起群
25 桁材
26 突起部
26a 突起部
26b 第2突起部
26c 第2突起部
26g 第1突起群
31 第1ローラ31
41 第2ローラ41
A 圧縮装置
B コンベア部
C 圧縮部
W 対象物(箱状物、段ボール)