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特開2025-40797制御システム、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025040797
(43)【公開日】2025-03-25
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20250317BHJP
【FI】
B25J9/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147826
(22)【出願日】2023-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】甲原 匠
(72)【発明者】
【氏名】川口 秀喜
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太
(72)【発明者】
【氏名】中尾 泰三
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707JU07
3C707KS21
3C707LS02
3C707LS04
(57)【要約】
【課題】ロボットの制御に要するデータ量の増大の抑制とロボットの制御とを両立させる。
【解決手段】移動経路上の複数の位置を示すことで移動経路を示す経路情報を取得し、取得した経路情報に基づいて制御対象の動作を制御する制御部、を備え、経路情報の示す各位置は操縦者による操作を受けて動作するロボットであり移動経路に沿って移動するロボットであり異なる2つの規則のいずれかひとつにしたがって自装置の位置情報を取得するロボットである操縦者ロボット、の得た位置情報の示す位置であり、2つの規則のひとつである第1規則は、操縦者に指示されたタイミング又は位置で位置情報を取得するという規則であり、2つの規則の他のひとつである第2規則は、所定の時間間隔で位置情報を取得するという規則であり、位置情報の取得において適用される規則は操縦者による切り替え指示にしたがって一方の規則から他方の規則へと切り替えられる制御システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象のロボットの移動経路を示す情報であって、前記移動経路上の複数の位置を前記制御対象が通過する順番とともに示すことで前記移動経路を示す情報である経路情報、を取得し、取得した前記経路情報に基づいて前記制御対象の動作を制御する制御部、
を備え、
前記経路情報の示す各位置は、操縦者による操作を受けて動作するロボットであり前記移動経路に沿って移動するロボットであり異なる2つの規則のいずれかひとつにしたがって自装置の位置情報を取得するロボットである操縦者ロボット、の得た各前記位置情報の示す位置であり、
前記2つの規則のひとつである第1規則は、前記操縦者に指示されたタイミング又は位置で前記位置情報を取得する、という規則であり、
前記2つの規則の他のひとつである第2規則は、所定の時間間隔で位置情報を取得する、という規則であり、
前記位置情報の取得において適用される前記規則は、前記操縦者による前記2つの規則間の切り替えの指示である切り替え指示にしたがって、2つの前記規則のうちの一方の規則から他方の規則へと切り替えられる、
制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1規則で得られた位置情報と前記第2規則で得られた位置情報との組み合わせに基づき、前記制御対象の動作を制御する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記経路情報が示す各位置情報について、前記第1規則で得られたものか前記第2規則で得られたものかの判定を行い、前記判定の結果に基づいて前記制御対象の動作を制御する、
請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記第2規則にしたがって得られる位置情報のうち前記切り替え指示によって前記規則が前記第1規則から前記第2規則へ切り替えられてから最初に取得される位置情報である開始位置情報以外の位置情報、の前記第2規則にしたがう取得のタイミングでは、前記位置情報にくわえて、前記位置情報が前記第2規則にしたがって取得されるまでの経過時間であって前記位置情報が前記第2規則にしたがって取得されるタイミングの直前の前記切り替え指示のタイミングからの経過時間、の情報である経過時間情報、も前記位置情報に対応付けて取得される、
請求項2に記載の制御システム。
【請求項5】
前記第2規則にしたがって前記位置情報が取得されるタイミングでは、前記位置情報にくわえて、前記位置情報が前記第2規則にしたがって取得されるまでの経過時間であって前記位置情報が前記第2規則にしたがって取得されるタイミングの直前の前記切り替え指示のタイミングからの経過時間、の情報である経過時間情報、も前記位置情報に対応付けて取得され、
前記制御部は、前記制御対象の動作を前記経路情報に基づいて制御する場合であって前記第1規則にしたがって得られた位置情報の示す位置に前記制御対象を移動させてから、引き続き、移動先の位置であって前記第2規則にしたがって得られた位置情報の示す位置に前記制御対象を移動させる場合には、前記移動先を示す前記位置情報に対応する前記経過時間情報、を用いずに、前記制御対象の動作を制御し、
前記制御部は、前記制御対象の動作を前記経路情報に基づいて制御する場合であって前記第2規則にしたがって得られた位置情報の示す位置に前記制御対象を移動させてから、引き続き、前記第2規則にしたがって得られた他の位置情報の示す位置に前記制御対象を移動させる場合には、前記他の位置情報に対応する前記経過時間情報を用いて、前記制御対象の動作を制御する、
請求項2に記載の制御システム。
【請求項6】
前記第2規則にしたがう取得のタイミングでは、前記位置情報にくわえて、前記位置情報が前記第2規則にしたがって取得されるまでの経過時間であって前記位置情報が前記第2規則にしたがって取得されるタイミングの直前の前記切り替え指示のタイミングからの経過時間、の情報である経過時間情報、も前記位置情報に対応付けて取得され、
前記制御部は、前記制御対象の動作を前記経路情報に基づいて制御する場合であって前記第1規則にしたがって得られた位置情報である直前位置情報の示す位置に前記制御対象を移動させてから、引き続き、移動先の位置であって前記第2規則にしたがって得られた位置情報の示す位置に前記制御対象を移動させる場合には、前記直前位置情報の示す位置から前記移動先まで前記制御対象を所定の速度で移動させる、
請求項2に記載の制御システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記直前位置情報が示す位置と、前記移動先の位置との間を補完する位置を示す位置情報を生成する、
請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記直前位置情報が示す位置と、前記移動先との間の距離が所定の距離以上であるか否かを判定する距離判定処理を実行し、
前記制御部は、前記距離判定処理によって所定の距離以上であると判定された場合、前記距離判定処理によって所定の距離以上ではないと判定された場合よりも遅い速度で、前記直前位置情報が示す位置から前記移動先まで、前記制御対象を移動させる、
請求項6に記載の制御システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記移動先の示す位置で得られた経過時間情報の示す時間が経過したタイミングに、前記制御対象が前記直前位置情報の示す位置である移動元から前記移動先に到達する、ことが可能か否かの判定を、前記移動元について得られた位置情報及び経過時間情報と前記移動先について得られた位置情報及び経過時間情報とに基づいて行い、前記判定によって到達できないと判定された場合に、到達できないことを示す情報を所定の出力先に出力させる、
請求項6に記載の制御システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1規則にしたがって得られた位置情報が示す位置と、前記第2規則にしたがって得られた位置情報が示す位置と、を識別可能に所定の表示先に表示させる、
請求項1から9のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記第2規則にしたがって得られた位置情報の示す移動経路が直線である場合、前記第2規則にしたがって得られた位置情報の示す移動経路が直線であることを所定の出力先に出力させる、
請求項1から9のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項12】
前記所定の時間間隔の代わりに所定の距離間隔を用いる、
請求項1から9のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項13】
前記操縦者ロボットは前記制御対象そのものである、
請求項1から9のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項14】
制御対象のロボットの移動経路を示す情報であって、前記移動経路上の複数の位置を前記制御対象が通過する順番とともに示すことで前記移動経路を示す情報である経路情報、を取得し、取得した前記経路情報に基づいて前記制御対象の動作を制御する制御ステップ、
を有し、
前記経路情報の示す各位置は、操縦者による操作を受けて動作するロボットであり前記移動経路に沿って移動するロボットであり異なる2つの規則のいずれかひとつにしたがって自装置の位置情報を取得するロボットである操縦者ロボット、の得た各前記位置情報の示す位置であり、
前記2つの規則のひとつである第1規則は、前記操縦者に指示されたタイミング又は位置で前記位置情報を取得する、という規則であり、
前記2つの規則の他のひとつである第2規則は、所定の時間間隔で位置情報を取得する、という規則であり、
前記位置情報の取得において適用される前記規則は、前記操縦者による前記2つの規則間の切り替えの指示である切り替え指示にしたがって、2つの前記規則のうちの一方の規則から他方の規則へと切り替えられる、
制御方法。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか一項に記載の制御システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人の安全性、作業の効率改善を目的に、人の作業をロボットに代替させる技術開発が行われている。ロボットにより作業を代替させるために、ロボットにあらかじめ動きを記憶させるティーチングが行われる。簡潔な作業であれば動作は少ないデータ量で再現できるが、複雑な作業を再現するには大容量のデータを保存する必要があるため、記憶媒体の容量によって記憶できる最大動作数が制限される。この課題を解決するためには、データ量増大を抑制することが望ましい。そこでデータ量を抑制する手法として、以下に示す技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-106011号公報
【特許文献2】国際公開第2022/071588号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、いずれもロボットの制御に要するデータ量の増大の抑制とロボットの制御との両立が難しい場合があった。例えば、特許文献1では、ロボットを任意の位置にとどまらせることのできない技術である。また、例えば特許文献2では、間引きがあるために、変化量の小さな移動を再生することができない。このようにいずれの技術も、データ量の削減の結果、ロボットが充分に制御されない技術であった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、ロボットの制御に要するデータ量の増大の抑制とロボットの制御とを両立させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、制御対象のロボットの移動経路を示す情報であって、前記移動経路上の複数の位置を前記制御対象が通過する順番とともに示すことで前記移動経路を示す情報である経路情報、を取得し、取得した前記経路情報に基づいて前記制御対象の動作を制御する制御部、を備え、前記経路情報の示す各位置は、操縦者による操作を受けて動作するロボットであり前記移動経路に沿って移動するロボットであり異なる2つの規則のいずれかひとつにしたがって自装置の位置情報を取得するロボットである操縦者ロボット、の得た各前記位置情報の示す位置であり、前記2つの規則のひとつである第1規則は、前記操縦者に指示されたタイミング又は位置で前記位置情報を取得する、という規則であり、前記2つの規則の他のひとつである第2規則は、所定の時間間隔で位置情報を取得する、という規則であり、前記位置情報の取得において適用される前記規則は、前記操縦者による前記2つの規則間の切り替えの指示である切り替え指示にしたがって、2つの前記規則のうちの一方の規則から他方の規則へと切り替えられる、制御システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロボットの制御に要するデータ量の増大の抑制とロボットの制御とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の制御システムの概要を説明する説明図。
図2】実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図3】実施形態における制御装置の実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
図4】変形例におけるティーチングの際の処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態〕
図1は、実施形態における制御システム100の概要を説明する説明図である。制御システム100は、ロボット1と制御装置2とを備える。ロボット1は、産業用ロボット等のロボットであって、制御装置2の制御対象である。制御装置2は、制御装置を制御する。制御装置2は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ91とメモリ92とを備える制御部21を備え、プログラムを実行する。
【0010】
制御部21は、制御処理を実行する。制御処理は、事前に行われたティーチングの結果に基づいて制御対象の動作を制御する処理である。ここで、事前に行われるティーチングの例を説明する。
【0011】
<ティーチングについて>
ティーチングは、制御対象に予め動きを記憶させる処理である。より具体的には、ティーチングとは、ロボットを移動させることで、移動中の所定のタイミングで、そのタイミングを示す情報とともに制御対象の位置と姿勢とを所定の記憶装置に記憶させる処理である。ティーチングの際のロボットの移動の経路が、経路情報の示す移動経路である。したがって、ティーチングとは、制御対象の移動経路を示す経路情報を少なくとも取得する処理である。
【0012】
このようにティーチングとは経路情報を少なくとも得る処理であるので、ティーチング結果は少なくとも経路情報を含む。なお、経路情報は、より具体的には、移動経路上の複数の位置を、制御対象が通過する順番とともに示すことで、制御対象の移動経路を示す情報である。なおティーチングでは、経路情報にくわえて、さらに、移動経路上の複数の上記位置ごとに、制御対象の姿勢の情報が得られてもよい。
【0013】
なお、ティーチングに用いられるロボット(以下「操縦者ロボット」という。)は、操縦者による操作を受けて動作するロボットであり移動経路に沿って移動するロボットであり異なる2つの規則のいずれかひとつにしたがって自装置の位置情報を取得するロボットである。操縦者ロボットの得た各位置情報の示す位置が経路情報の示す各位置である。操縦者ロボットは、制御対象そのものであってもよいし、制御対象とは異なる他のロボットであってもよい。
【0014】
<異なる2つの規則について>
上述した異なる2つの規則について説明する。2つの規則のひとつ(以下「第1規則」という。)は、操縦者に指示されたタイミング又は位置でその位置の位置情報を取得する、という規則である。2つの規則の他のひとつ(以下「第2規則」という。)は、所定の時間間隔又は距離間隔の予め定められたいずれか一方で位置情報を取得する、という規則である。いいかえれば、第2規則は、所定の時間間隔で位置情報を取得する、という規則であってもよいし、所定の時間間隔の代わりに所定の距離間隔を用いて、所定の距離間隔で位置情報を取得する、という規則であってもよい。以下、説明の簡単のため、第2規則が所定の時間間隔で位置情報を取得する、という規則である場合を例に説明を行う。
【0015】
上述の2つの規則について、経路情報の取得の際(すなわちティーチングの際)に適用される規則は、操縦者による2つの規則間の切り替えの指示(以下「切り替え指示」という。)にしたがい、2つの規則のうちの一方の規則から他方の規則へと切り替えられる。切り替え指示は、例えば、ティーチングの際に操縦者ロボットに入力される。切り替え指示は、例えば、操縦者ロボットを制御する装置(以下「ティーチング制御装置」という。)に入力されてもよい。ティーチング制御装置に切り替え指示が入力される場合、ティーチング制御装置の制御を受けて操縦者ロボットは切り替え指示にしたがう動作を行う。なお、切り替え指示のタイミングとは、切り替え指示が操縦者ロボット又はティーチング制御装置に入力されるタイミングである。
【0016】
ここで、第1規則にしたがって得られる位置情報と第2規則にしたがって得られる位置情報との違いを、制御対象の作業が塗装である場合を例に説明する。なお、塗装を例にするのは説明の簡単のためであり、制御対象が短い移動距離で移動しながら作業を行う必要のあるものであれば、塗装でなくてもよく、例えば3次元形状の物体の曲面溶接であってもよい。なお、図1の例において、図1の自動車9は制御対象による作業の対象の一例である。
【0017】
塗装の例で説明すれば、第2規則で位置情報が取得される経路というのは、ティーチング後に制御対象が塗装対象への塗装を行う経路である。図1の例における位置P2から位置P3に向かう曲線で示される経路が第2規則で位置情報が取得される経路の一例である。位置P2から位置P3に向かう曲線で示される経路は、自動車9に近いことからもわかるように、制御対象による塗装が行われる経路である。
【0018】
一方第1規則で位置情報が取得される経路というのは、塗装の開始のために待機場所から制御対象が移動する経路や塗装の終了後に待機場所へと制御対象が移動する経路、である。図1の例における図1の位置P1は所定の待機場所の一例であり、位置P1から位置P2に向かう直線の経路と、位置P3から位置P1に向かう直線の経路とが、第1規則で位置情報が取得される経路の一例である。
【0019】
図1の例でわかるように塗装が行われる経路は直線ではない場合も多い。すなわち、曲がっている。そして、直線であれば2点が指定されていればよいが曲線は2点では指定できない。そのため、塗装が行われる経路は、直線の経路よりも移動経路が細かく指示される必要がある。したがって、塗装対象への塗装の際は制御対象が短い移動距離で移動しながら作業が行われる必要がある。しかしながら、短い移動距離で位置情報を取得することは第1規則での位置情報の取得だとユーザの負担が大きい。そこで、第2規則での位置情報の取得が行われる。
【0020】
一方、単に所定の待機場所からの移動、あるいは、所定の待機場所への移動を行う場合、その移動の間に制御対象が作業を行うことはないので、所定の待機場所と移動先あるいは移動元との2点が指定されていればよい。
【0021】
したがって、第1規則での位置情報の取得であってもユーザの負担はそれほど大きくない。また、単に待機場所からの移動、あるいは、待機場所への移動を行う経路の位置情報の取得に、第2規則を用いる場合、2点で十分であるにも関わらずより多くの位置の位置情報が取得されるため、データ量が不要に増大してしまう。そのため、単に所定の待機場所からの移動、あるいは、所定の待機場所への移動を行う経路の位置情報の取得では、第2規則よりも第1規則による位置情報の取得が行われる。
【0022】
すなわち、第2規則にしたがって位置情報が取得される場合、第1規則にしたがって位置情報が取得される場合よりも、短い距離又は時間の間隔で位置情報が取得される。このようなティーチングの利用場面の違いが第1規則にしたがって得られる位置情報と、第2規則にしたがって得られる位置情報とにはある。
【0023】
このような違いがあるため、制御部21は、移動元から第1規則で得られた位置情報の示す位置まで制御対象が移動する場合と、移動元から第2規則で得られた位置情報の示す位置まで制御対象が移動する場合とで異なる制御を行ってもよい。例えば第1規則で得られた位置情報の示す位置までの制御対象の移動の場合、その移動速度は、その制御対象の最大の移動速度等の所定の速度で移動が行われればよい。そのため、制御部21は、第1規則で得られた位置情報の示す位置までの制御対象の移動では、制御対象の最大の移動速度等の所定の速度で制御対象を移動させる。以下、第1規則で得られた位置情報の示す位置までの制御対象の移動の移動速度を、第1移動速度という。
【0024】
一方、第2規則で得られた位置情報の示す位置までの制御対象の移動の場合、短い移動距離で移動しながらの作業を制御対象が行うため、静止できずに通りすぎる可能性が所定の可能性よりも小さい移動速度である必要がある。そのため、第2規則で得られた位置情報の示す位置までの制御対象の移動の移動速度(以下「第2移動速度」という。)は、必ずしも第1移動速度と同じ移動速度である必要はない。第2移動速度は、例えば、制御対象の最大の移動速度よりも遅い。
【0025】
このように、制御部21による制御対象の制御は、第1規則で得られた位置情報の位置までの移動と、第2規則で得られた位置情報の位置までの移動と、で必ずしも同じではない。なお、制御部21による第1規則で得られた位置情報の位置までの制御対象の移動の制御と、第2規則で得られた位置情報の位置までの制御対象の移動の制御との違いは、必ずしも速度の違いだけある必要はない。
【0026】
ここまでの説明で開示されたように、制御処理において制御部21は、第1規則で得られた位置情報と第2規則で得られた位置情報とを用いて、制御対象の動作を制御してもよい。例えば、制御処理において制御部21は、第1規則で得られた位置情報と第2規則で得られた位置情報との組み合わせに基づき、制御対象の動作を制御する。
【0027】
このように組み合わせを用いる場合、組み合わせの仕方に応じた制御対象の制御が可能になる。
【0028】
制御処理において制御部21は、例えば判定処理を行い、判定処理の結果に基づいて、制御対象の動作を制御してもよい。判定処理は、経路情報が示す各位置情報について、第1規則で得られたものか第2規則で得られたものかの判定を行う処理である。
【0029】
このような場合、経路情報が示す各位置情報について第1規則で得られたものか第2規則で得られたものかをユーザが判定せずとも制御部21が自動で判定する。そのため、第1規則で得られた位置情報と第2規則で得られた位置情報との組み合わせが制御対象の制御に用いられる場合に、ユーザは組み合わせたい位置情報がどちらの規則で得られたものかを気にすることなく、組み合わせを作ることが可能である。
【0030】
<時間に関する情報の取得>
ところで、ティーチングでは経路情報だけが取得される必要はない。ティーチングでは、例えば時間に関する情報が取得されてもよい。また、上述したように制御部21による第1規則で得られた位置情報の位置までの制御対象の移動の制御と、第2規則で得られた位置情報の位置までの制御対象の移動の制御との違いは、必ずしも速度の違いだけである必要はない。
【0031】
制御部21による第1規則で得られた位置情報の位置までの制御対象の移動の制御と第2規則で得られた位置情報の位置までの制御対象の移動の制御との違いは、ティーチングにおいて時間に関する情報も取得される場合には、その時間に関する情報にも基づく違いであってもよい。
【0032】
そこで、時間の取得と取得された時間を用いた制御との組み合わせの例をいくつか示し、各例に応じた制御部21による制御の例を示す。
【0033】
<<時間の取得と取得された時間を用いた制御との組み合わせの第1の例>>
時間の取得と取得された時間を用いた制御との組み合わせの第1の例を説明する。第2規則にしたがって得られる位置情報のうち開始位置情報以外の位置情報、の第2規則にしたがうティーチングの際の取得のタイミングでは、位置情報にくわえて、経過時間情報も位置情報に対応付けて取得されてもよい。第1規則にしたがうティーチングでは、位置情報の取得は行われても、経過時間情報は取得されない。したがって第1規則にしたがって得られた位置情報は、経過時間情報には対応付けられていない。
【0034】
開始位置情報は、第2規則にしたがって得られる位置情報のうち切り替え指示によって上述の規則が第1規則から第2規則へ切り替えられてから最初に取得される位置情報である。したがって開始位置情報は、例えば、第1規則にしたがう位置情報の取得が終わり、第2規則での位置情報の取得の指示があってから初めて第2規則にしたがって取得された位置情報である。言い換えれば、開始位置情報は、第1規則による位置情報の取得が行われていた状態から第2規則による位置情報の取得が行われる状態への切り替えが行われて以降、最初に第2規則による位置情報の取得が行われる位置である。規則が第1規則から第2規則へ切り替えられてから最初というタイミングは、切り替え指示があったタイミングと同時であってもよい。
【0035】
経過時間情報は、経過時間情報の付与先の位置情報が第2規則にしたがって取得されるまでの経過時間であって、その位置情報が第2規則にしたがって取得されるタイミングの直前の切り替え指示のタイミング、からの経過時間の情報である。言い換えれば、注目タイミング以前であって最も注目タイミングに近い切り替え指示のタイミングを時間原点とする時間軸、における注目タイミングの時間である。注目タイミングは、経過時間情報の付与先の位置情報が第2規則にしたがって取得されるタイミングである。
【0036】
ところで、開始位置情報は経過時間情報を含まない。上述したように、第1規則にしたがって得られた位置情報は時間の情報に対応付けられていない。開始位置情報もまた時間の情報を含まない。したがって、開始位置情報は第2規則で得られてはいるが、得られたデータだけに着目すれば、第1規則で得られた情報である。
【0037】
このような場合、制御部21は、経過時間情報が位置情報に対応付けて取得された位置までの移動においては、その経過時間情報が示す時間にしたがうように制御対象を移動させる。一方経過時間情報が位置情報に対応付けて取得されてはいない位置までの移動においては、第1移動速度と同じ速度で移動させる。
【0038】
これにより、経過時間情報によって制御対象の移動速度の実質的な制御が行われるので、高い制御性が実現される。
【0039】
開始位置情報が示す位置で経過時間情報が位置情報に対応付けて取得されないことの奏する効果を説明する。それにあたり、切り替え指示の前に第1規則終了指示の入力がない場合には、開始位置情報の示す位置においても経過時間情報が取得されるティーチング(以下「比較対象ティーチング」という。)について検討する。なお、第1規則終了指示は、第1規則での情報の取得を終えたことを示す情報である。第1規則終了指示は、ユーザによって切り替え指示の入力先に入力される。
【0040】
比較対象ティーチングの場合、ユーザは人であるため、第1規則終了指示を前提としたティーチングの実行をユーザが計画していたとしても、第1規則終了指示をユーザが入力し忘れたまま切り替え指示を入力してしまう場合がある。その結果、開始位置情報においても経過時間情報が取得されてしまい、ユーザの想定する移動速度とは異なる速度で、制御対象が移動してしまう。このように、ティーチング条件を満たすティーチングは問題がある。
【0041】
一方、時間の取得と取得された時間を用いた制御との組み合わせの第1の例では、第1規則終了条件の入力が切り替え指示の前に無かった場合であっても、上記の問題が生じない。このように、ティーチングが比較対象ティーチングである場合であって第1規則終了指示を前提としたティーチングの実行をユーザが計画している場面において、時間の取得と取得された時間を用いた制御との組み合わせの第1の例の方が、ユーザの操作ミスによるティーチングの失敗のリスクを軽減することができる。
【0042】
<<時間の取得と取得された時間を用いた制御との組み合わせの第2の例>>
時間の取得と取得された時間を用いた制御との組み合わせの第2の例を説明する。第2の例もまた、第2規則にしたがって位置情報が取得されるタイミングでは、位置情報にくわえて、経過時間情報も位置情報に対応付けて取得される。すなわち、上述の開始位置情報以外の位置情報についてだけでなく、開始位置情報についても、それが取得される位置において経過時間情報も取得されてもよい。
【0043】
このような場合、制御部21は、第1の場合と第2の場合とで異なる制御を実行してもよい。第1の場合は、制御対象の動作を経路情報に基づいて制御する場合であって、第1規則にしたがって得られた位置情報の示す位置に制御対象を移動させてから、引き続き、移動先の位置であって第2規則にしたがって得られた位置情報の示す位置に制御対象を移動させる場合、である。
【0044】
第2の場合は、制御対象の動作を経路情報に基づいて制御する場合であって第2規則にしたがって得られた位置情報の示す位置に制御対象を移動させてから、引き続き、第2規則にしたがって得られた他の位置情報の示す位置に制御対象を移動させる場合、である。
【0045】
なお、第1規則にしたがう位置情報の取得の際には、時間の情報は取得されない。
【0046】
第1の場合、制御部21は、移動先を示す位置情報に対応する経過時間情報を用いずに、制御対象の動作を制御する。具体的には、制御部21は、移動先まで、第1移動速度と同じ速度で移動させる。第2の場合、制御部21は、上記の他の位置情報に対応する経過時間情報を用いて制御対象の動作を制御する。具体的には、上記他の位置情報の示す位置までの移動においては、他の位置情報に対応する経過時間情報が示す時間にしたがうように制御対象を移動させる。なお、経過時間情報が位置情報に対応付けて取得されてはいない位置までの移動については、制御部21は、第1移動速度と同じ速度で移動させる。
【0047】
これにより、第2の場合に経過時間情報による制御対象の移動速度の実質的な制御が行われることで高い制御性が実現されるとともに、第1の場合の制御により、待機場所を出てから作業をして待機場所に戻るまでの1サイクル等の作業に要する時間を短くすることができる。
【0048】
<<時間の取得と取得された時間を用いた制御との組み合わせの第3の例>>
時間の取得と取得された時間を用いた制御との組み合わせの第3の例を説明する。第2規則にしたがって得られる位置情報、の第2規則にしたがうティーチングの際の取得のタイミングでは、位置情報にくわえて、経過時間情報も位置情報に対応付けて取得されてもよい。すなわち、上述の開始位置情報以外の位置情報についてだけでなく、開始位置情報についても、それが取得される位置において経過時間情報も取得されてもよい。
【0049】
時間の取得と取得された時間を用いた制御との組み合わせの第3の例において制御部21は、第1規則にしたがって得られた位置情報の示す位置間の移動と、第1規則にしたがって得られた位置情報の示す位置から開始位置情報の示す位置までの移動とについては、第1移動速度で制御対象を移動させる。
【0050】
第1規則にしたがって得られた位置情報の示す位置から開始位置情報の示す位置までの移動における移動元を示す情報を、以下、直前位置情報という。
【0051】
時間の取得と取得された時間を用いた制御との組み合わせの第3の例において制御部21は、開始位置情報の示す位置から開始位置情報の示す位置以外の経過時間情報が位置情報に対応付けて取得された位置までの移動においては、その経過時間情報が示す時間にしたがうように制御対象を移動させる。
【0052】
開始位置情報が示す位置で経過時間情報が用いられないことの奏する効果を説明する。それにあたり、上述の比較対象ティーチングについて検討する。
【0053】
比較対象ティーチングの場合、ユーザは人であるため、第1規則終了指示を前提としたティーチングの実行をユーザが計画していたとしても、第1規則終了指示をユーザが入力し忘れたまま切り替え指示を入力してしまう場合がある。その結果、開始位置情報においても経過時間情報が取得されてしまい、ユーザの想定する移動速度とは異なる速度で、制御対象が移動してしまう。このように、ティーチング条件を満たすティーチングは問題がある。
【0054】
一方、時間の取得と取得された時間を用いた制御との組み合わせの第3の例では、第1規則終了条件の入力が切り替え指示の前に無かった場合であっても、上記の問題が生じない。このように、ティーチングが比較対象ティーチングである場合であって第1規則終了指示を前提としたティーチングの実行をユーザが計画している場面において、時間の取得と取得された時間を用いた制御との組み合わせの第3の例の方が、ユーザの操作ミスによるティーチングの失敗のリスクを軽減することができる。
【0055】
<ハードウェア構成の一例>
図2は、実施形態における制御装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。制御装置2は、上述したように制御部21を備え、プログラムを実行する。制御装置2は、プログラムの実行によって制御部21、インタフェース部22及び記憶部23を備える装置として機能する。
【0056】
より具体的には、プロセッサ91が記憶部23に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ92に記憶させる。プロセッサ91が、メモリ92に記憶させたプログラムを実行することによって、制御装置2は、制御部21、インタフェース部22及び記憶部23を備える装置として機能する。
【0057】
制御部21は、例えば制御処理を行う。制御部21は、例えば制御装置2が備える各機能部の動作を制御する。制御部21は、例えばインタフェース部22を介して、制御対象を制御する。制御部21は、例えばインタフェース部22を介して、制御部21は、例えば記憶部23の記憶する情報を取得する。記憶部23の記憶する情報を取得する処理は、具体的には、読み出しである。
【0058】
インタフェース部22は、制御装置2を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。インタフェース部22は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。外部装置は、例えば制御対象である。このような場合、インタフェース部22は、制御対象との通信によって制御対象を制御する。
【0059】
外部装置は、例えばティーチングの結果の送信元の装置である。このような場合、インタフェース部22は、ティーチングの結果の送信元の装置との通信により、ティーチングの結果を取得する。
【0060】
インタフェース部22は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。インタフェース部22は、これらの入力装置を制御装置2に接続するインタフェースとして構成されてもよい。このように、インタフェース部22は、入力装置、有線又は無線、を介して制御装置2に対する各種情報の入力を受け付ける。なお、ティーチングの結果は必ずしも通信インタフェースに入力される必要はなく、入力装置に入力されてもよい。
【0061】
インタフェース部22は、各種情報を出力する。インタフェース部22は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。インタフェース部22は、これらの表示装置を制御装置2に接続するインタフェースとして構成されてもよい。インタフェース部22は、例えばインタフェース部22に入力された情報を出力する。
【0062】
記憶部23は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置(non-transitory computer-readable recording medium)を用いて構成される。記憶部23は制御装置2に関する各種情報を記憶する。記憶部23は、例えば制御対象の制御に必要な情報を記憶する。記憶部23は、例えば制御部21の動作により生じた各種情報を記憶する。記憶部23は、例えばインタフェース部22が取得した情報を記憶する。記憶部23は、例えば、ティーチングの結果を記憶する。
【0063】
図3は、実施形態における制御装置2の実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。制御部21が、ティーチングの結果を取得する(ステップS101)。次に制御部21が、ステップS101で得たティーチングの結果に基づいて、制御対象を制御する(ステップS102)。
【0064】
このように構成された実施形態における制御装置2は、第1規則と第2規則とに基づいて得られた位置情報を含む情報に基づいて、制御対象の制御を行う。そのため、制御装置2は、ロボットの制御に要するデータ量の増大の抑制とロボットの制御とを両立させることができる。
【0065】
また、このように構成された実施形態の制御システム100は、制御装置2を備える。そのため、制御装置2は、ロボットの制御に要するデータ量の増大の抑制とロボットの制御とを両立させることができる。
【0066】
(変形例)
なお、制御部21は、上記第3の場合における移動元(すなわち直前位置情報の示す位置)から上記第3の場合における移動先へと制御装置を移動させる前に、補完位置情報生成処理を実行してもよい。補完位置情報生成処理は、上記第3の場合における移動元と上記第3の場合における移動先との間を補完する位置を示す位置情報(以下「補完位置情報」という。)を生成する処理である。補完位置情報の生成後、制御部21は、上記第3の場合における移動元から上記第3の場合における移動先への制御対象の移動にあたり、制御装置を、補完位置情報の示す位置に移動させながら移動先へと移動させる。さらに、制御部21は、各位置で、制御装置を停止させる。そのため、補完位置情報を生成し、それを制御対象の制御に用いることで、ユーザの予期しない高速で制御対象が移動してしまう可能性を低減することができる。
【0067】
なお、制御部21は、距離判定処理を実行してもよい。距離判定処理は、上記第3の場合における移動元と、上記第3の場合における移動先との間の距離が所定の距離以上であるか否かを判定する。距離判定処理によって所定の距離以上であると判定された場合、制御部21は、距離判定処理によって所定の距離以上ではないと判定された場合よりも遅い速度で、上記第3の場合における移動元から上記第3の場合における移動先まで、制御対象を移動させる。なお、距離判定処理によって所定の距離以上ではないと判定された場合の速度は予め定められた速度である。なお、距離判定処理によって所定の距離以上であると判定された場合の速度は、距離判定処理によって所定の距離以上ではないと判定された場合の速度よりも遅い、予め定められた速度である。
【0068】
上述したように、第3の場合、制御部21は、上記第3の場合における移動先で得られた経過時間情報の示す時間が経過したタイミングに、制御対象が上記第3の場合における移動元の示す位置から上記第3の場合における移動先に到達するように、制御対象の移動を制御する。そこで制御部21は、移動可否判定処理を実行してもよい。移動可否判定処理は、上記第3の場合における移動先で得られた経過時間情報の示す時間が経過したタイミングに、制御対象が上記第3の場合における移動元の示す位置から上記第3の場合における移動先に到達する、ことが可能か否かの判定を行う処理である。
【0069】
移動可否判定処理は、具体的には、制御対象の被取得移動速度Vが、制御対象の移動可能速度として予め定められた速度よりも大きい場合には移動不可と判定し、そうではない場合には移動可能と判定する処理である。被取得移動速度Vは、移動元と移動先との間の距離Lを、移動必要時間Tで割り算した値である。距離Lは移動元の位置座標と移動先の位置座標とから得られる。移動必要時間Tは、移動先で得られた経過時間情報の示す時間から移動元で得られた経過時間情報の示す時間を引き算した値である。したがって、移動可否判定処理は、移動元について得られた位置情報及び経過時間情報と移動先について得られた位置情報及び経過時間情報とに基づいて、移動元から移動先への制御対象の移動が可能か否かを判定する処理である。
【0070】
制御部21は、移動可否判定処理によって到達できない、と判定された場合に、到達できないことを示す情報を所定の出力先に出力させる。なお、所定の出力先は、例えばインタフェース部22である。所定の出力先は、必ずしも制御装置2が備える必要はなく、インタフェース部22を介して制御部21が制御可能な、制御装置2とは異なる外部の出力装置であってもよい。出力の方法は、例えば画像又は動画の表示であってもよいし、音声の出力であってもよい。
【0071】
移動可否判定処理の実行とそれに基づく制御の実行とにより、ユーザの予期しない高速で制御対象が移動してしまう可能性を低減することができる。
【0072】
なお、制御部21は、識別表示処理を実行してもよい。識別表示処理は、第1規則にしたがって得られた位置情報が示す位置と、第2規則にしたがって得られた位置情報が示す位置と、を識別可能に所定の表示先に表示させる処理である。なお、所定の表示先は、例えばインタフェース部22の備える表示装置である。所定の表示先は、必ずしも制御装置2が備える必要はなく、インタフェース部22を介して制御部21が制御可能な、制御装置2とは異なる外部の表示装置であってもよい。
【0073】
識別表示処理の実行により、各位置について制御対象の移動を主目的として位置情報が取得された位置なのか、塗装等の作業を主目的として位置情報が取得された位置なのか、をユーザが知ることが容易になる。
【0074】
制御部21は、指定変換処理を実行してもよい。指定変換処理は、識別表示処理によって表示された位置であって第2規則にしたがって得られた位置情報の示す位置(以下「表示第2位置」という。)が、ユーザによって指定された場合に、表示第2位置について得られた情報を第1規則にしたがって得られた情報に変換する処理である。表示第2位置について得られた情報を第1規則にしたがって得られた情報に変換することについて、より具体的に説明する。表示第2位置については第2規則で得られているので位置情報及び経過時間情報が得られている。
【0075】
上記の変換とは、制御部21による制御対象の移動の制御の際に、この表示第2位置を第1規則にしたがって位置情報が得られた位置として制御部21が処理するように、情報を変換することを意味する。したがって、例えば、表示第2位置について得られていた位置情報及び経過時間情報のうち経過時間情報が削除される処理が上記の変換の一例である。なお、指定変換処理におけるユーザによる指定は、ユーザが表示第2位置を指定する処理であればどのような処理であってもよいが、例えばユーザがインタフェース部22を介して表示第2位置を示す情報を入力する処理である。
【0076】
なお、制御部21は、直線経路通知処理を実行してもよい。直線経路通知処理は、第2規則にしたがって得られた位置情報の示す移動経路が直線である場合、第2規則にしたがって得られた位置情報の示す移動経路が直線であることを所定の出力先に出力させる処理である。なお、所定の出力先は、例えばインタフェース部22である。所定の出力先は、必ずしも制御装置2が備える必要はなく、インタフェース部22を介して制御部21が制御可能な、制御装置2とは異なる外部の出力装置であってもよい。出力の方法は、例えば画像又は動画の表示であってもよいし、音声の出力であってもよい。
【0077】
直線経路通知処理の実行により、第2規則によって得られた位置情報が直線を示す場合に、それら位置情報を第1規則によって得られた位置情報に変換することで、データ量が削減される。なぜなら、経過時間情報の削除や、経過時間情報と位置情報とを対応付ける情報の削除が行われるからである。
【0078】
なお、操縦者ロボットは制御対象そのものであってもよい。このような場合、制御装置2は、ティーチング中に得られる各種情報を、ティーチング中に取得してもよい。
【0079】
<ティーチングの際の処理の一例>
図4は、変形例におけるティーチングの際の処理の一例を示すフローチャートである。なお、図4の例において操縦者はコントローラを操作することで、操縦者ロボットを制御して、位置情報を得る。以下説明の簡単のため、制御装置2のインタフェース部22が操縦者の操作するコントローラを備える場合であって、制御装置2の制御部21がインタフェース部22を介して操縦者ロボットを制御する場合であって、制御部21による操縦者ロボットの制御は、コントローラを介した操縦者の指示により行われる場合を例に説明を行う。したがって、図4の例において操縦者ロボットは、制御対象そのものである。
【0080】
コントローラは、第1ボタン、第2ボタン、第3ボタン及び第4ボタンの少なくとも4種類の押下可能なボタンを備える。第1ボタンは、押下された場合、制御部21が、記憶部23等の所定の記憶装置への、ティーチングを実行することを示す情報(以下「記録進行情報」という。)の記録を実行する。第2ボタンは、押下された場合であって記録進行情報が記憶部23等の所定の記憶装置に記録済みである場合、制御部21が、ティーチングを実行しないことを示す情報(以下「記録停止情報」という。)で記録進行情報を上書きする。第3ボタンは、押下されている間のみ、第2規則にしたがい位置情報を含む各種情報の取得が実行される、ボタンである。
【0081】
各種情報は、位置情報の他は、例えば姿勢の情報であってもよいし、時間の情報であってもよい。第4ボタンは、押下された場合に位置情報を含む各種情報が取得され、新たに押下されるまでは新たな各種情報の取得が行われない、ボタンである。各種情報は、位置情報の他は、例えば姿勢の情報であってもよいし、時間の情報であってもよい。すなわち、第3ボタンは第2規則にしたがう位置情報を含む各種情報の取得を実行させ、第4ボタンは第1規則にしたがう位置情報を含む各種情報の取得を実行させるボタンである。
【0082】
それでは、図4のフローチャートの各処理を説明する。なお、図4のフローチャートは所定の周期で繰り返される。制御部21は、ティーチングを実行するか否かを判定する(ステップS201)。具体的には、記憶部23等の所定の記憶装置に、記録進行情報が記録されているか否かを判定し、記録されている場合に、ティーチングを実行すると判定する。
【0083】
一方、記録進行情報が記録されていない場合、制御部21は、ティーチングを実行しないと判定する。記録進行情報が記録されていない場合、とは、記録進行情報及び記録停止情報が記録されていない場合と、記録進行情報は記録されていないが記録停止情報が記録されている場合とのいずれかである。
【0084】
ティーチングを実行しないと判定された場合(ステップS201:NO)、処理が終了する。一方、ティーチングを実行すると判定された場合(ステップS201:YES)、制御部21は、第3ボタンが押下中か否かを判定する(ステップS202)。第3ボタンが押下中である場合(ステップS202:YES)、それは、第2規則にしたがって位置情報を取得する状態であるので、制御部21は操縦者ロボットを制御して、第2規則にしたがって各種情報を取得する(ステップS203)。
【0085】
各種情報は、少なくとも位置情報を含む情報である。各種情報は、図4の例では、データ識別子が含まれる。データ識別子は、取得された一群のデータを、他の一群のデータと区別するための識別子である。図4の例の各種情報は、規則識別子と、位置情報と、姿勢の情報と、時間の情報と、を含む。規則識別子は、情報を得た規則が第1規則であるか第2規則であるかを示す識別子である。上述の一群のデータとは、図4の例でいえば、規則識別子と、位置情報と、姿勢の情報と、時間の情報と、の集合である。なお、時間の情報は、例えば上述の経過時間情報、である。
【0086】
ステップS203の次にステップS201の処理に戻る。
【0087】
一方、第3ボタンが押下中ではない場合(ステップS203:NO)、制御部21は、第4ボタンが押下されたか否かを判定する(ステップS204)。第4ボタンが押下されていない場合(ステップS204:NO)、ステップS201の処理に戻る。
【0088】
一方、第4ボタンが押下された場合(ステップS204:YES)、それは第1規則にしたがって位置情報を含む各種情報を取得することの指示であるので、制御部21は操縦者ロボットを制御して、第1規則にしたがって各種情報を取得する(ステップS205)。
【0089】
なお、各種情報は、データ識別子と、規則識別子と、位置情報と、姿勢の情報と、を含む。ステップS203の場合と異なり、規則が第1規則であるので、時間の情報は各種情報に含まれない。なお、ステップS203における規則識別子は、情報が第2規則にしたがって得られたことを示し、ステップS205における識別子は、情報が第1規則にしたがって得られたことを示す。
【0090】
ステップS205の次にステップS201の処理に戻る。
【0091】
なお、制御システム100と制御装置2とのそれぞれの各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0092】
なお、制御装置2は、ネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。この場合、制御装置2が備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。
【0093】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0094】
100…制御システム、 1…ロボット、 2…制御装置、 21…制御部、 22…インタフェース部、 23…記憶部、 91…プロセッサ、 92…メモリ
図1
図2
図3
図4