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  • -電池パックおよび電池パックの製造方法 図1
  • -電池パックおよび電池パックの製造方法 図2
  • -電池パックおよび電池パックの製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025040823
(43)【公開日】2025-03-25
(54)【発明の名称】電池パックおよび電池パックの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/238 20210101AFI20250317BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20250317BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20250317BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20250317BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20250317BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20250317BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20250317BHJP
【FI】
H01M50/238
H01M50/293
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6554
H01M10/653
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147867
(22)【出願日】2023-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 重行
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031BB03
5H031KK01
5H040AA03
5H040AA28
5H040AS07
5H040AY05
5H040AY08
5H040JJ03
(57)【要約】
【課題】部品点数を削減することができる電池パックおよび電池パックの製造方法を提供すること。
【解決手段】電池パックは、電池セルと、電池セルが接着剤により接合されている底板を有するケースと、を備え、底板が、接着剤塗布領域以外の部分に変形可能部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと、
前記電池セルが接着剤により接合されている底板を有するケースと、
を備え、
前記底板は、接着剤塗布領域以外の部分に変形可能部を有する、
電池パック。
【請求項2】
前記接着剤は、熱伝導性接着剤である請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
予め定めた接着剤塗布領域以外の部分に変形可能部を有する底板に、接着剤を塗布するステップと、
前記接着剤を塗布した前記底板に電池セルを載置するステップと、
前記底板の下から治具を押し付けることにより、前記電池セルと前記底板との間の前記接着剤を押し広げながら、前記電池セルと前記底板とを接合するステップと、
を含む電池パックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池パックおよび電池パックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱交換器を電池に当てるようにハウジングの底に配置された少なくとも一つの弾性要素を備える電池パックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016-535423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示された構成では、弾性要素を別途設ける必要があるため、部品点数が増えてしまう。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、部品点数を削減することができる電池パックおよび電池パックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電池パックは、電池セルと、前記電池セルが接着剤により接合されている底板を有するケースと、を備え、前記底板が、接着剤塗布領域以外の部分に変形可能部を有する。
【0007】
本開示に係る電池パックの製造方法は、予め定めた接着剤塗布領域以外の部分に変形可能部を有する底板に、接着剤を塗布するステップと、前記接着剤を塗布した前記底板に電池セルを載置するステップと、前記底板の下から治具を押し付けることにより、前記電池セルと前記底板との間の前記接着剤を押し広げながら、前記電池セルと前記底板とを接合するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る電池パックによれば、底板自体に変形可能部が設けられているため、弾性要素を別途設ける必要がなくなり、部品点数を削減することができる。また、本開示に係る電池パックの製造方法によれば、電池セルと底板との間の接着剤を均一に押し広げて薄塗りを行うことができるため、コスト低減や冷却効果の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る電池パックの構成の一例を示す概略図である。
図2図2は、実施形態に係る電池パックの製造方法における電池セル接合ステップの一例を示す概略図である。
図3図3は、実施形態に係る電池パックの製造方法における電池セル接合ステップの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態に係る電池パックおよび電池パックの製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
(電池パック)
実施形態に係る電池パックの構成について、図1を参照しながら説明する。実施形態に係る電池パックは、例えばハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)等に搭載される車載用の電池パックである。
【0012】
実施形態に係る電池パック1は、電池セル2と、ケース5と、冷却器6と、を備えている。
【0013】
電池セル2は、充放電可能な二次電池である。この電池セル2は、二つの端子3,4を備えている。端子3,4のうちの一方は正極端子であり、他方は負極端子である。なお、電池パック1は、電池セル2に代えて、電池セル2が直列または並列に接続された電池モジュールを備えていてもよい。
【0014】
ケース5は、底板(ロアケース)51と、上板(アッパーカバー)52と、側面部材53と、を備えている。底板51は、金属製の薄板で構成されている。この底板51の上面には、電池セル2が接着剤7により接合されている。また、底板51の下面には、冷却器6が接着剤8により接合されている。また、これらの接着剤7,8は、熱伝導性接着剤である。このように、接着剤7,8として熱伝導性接着剤を用いることにより、放熱効果を向上させることができる。
【0015】
底板51は、予め定めた接着剤7,8の塗布領域(以下、「接着剤塗布領域」という)以外の部分に、変形可能部511を有している。この変形可能部511は、断面が波状に形成されている。
【0016】
このように、底板51に変形可能部511を設けることにより、剛性の低い薄板で構成された底板51の剛性が更に低下する。これにより、後記する電池パックの製造方法の電池セル接合ステップにおいて、電池セル2によって接着剤7を押し広げる際に、底板51が変形しやすくなり、当該底板51の上面が電池セル2の下面になつきやすくなる。その結果、接着剤7の厚さを均一化することができるとともに、接着剤7を薄塗りすることができる。
【0017】
上板52は、金属製の薄板で構成されている。側面部材53の内部には、当該側面部材53を底板51に固定するための締結部材54が設けられている。
【0018】
冷却器6は、電池セル2から発生した熱を外部に放熱するための部材である。この冷却器6は、板状に形成されており、接着剤8を介して底板51の下面に接合されている。
【0019】
(電池パックの製造方法)
実施形態に係る電池パックの製造方法について、図2および図3を参照しながら説明する。実施形態に係る電池パックの製造方法は、接着剤塗布ステップと、電池セル載置ステップと、電池セル接合ステップと、冷却器接合ステップを含む。
【0020】
(接着剤塗布ステップ)
接着剤塗布ステップでは、図2に示すように、底板51の上に接着剤7を塗布する。この底板51は、上記のように、予め定めた接着剤塗布領域以外の部分に、波状の変形可能部511を有している。
【0021】
(電池セル載置ステップ)
電池セル載置ステップでは、接着剤塗布ステップで接着剤7を塗布した底板51の上に、電池セル2を載置する。
【0022】
(電池セル接合ステップ)
電池セル接合ステップでは、図2および図3に示すように、底板51の下から押し潰し治具9を押し付けることにより、電池セル2と底板51との間の接着剤7を押し広げながら(押し潰しながら)、電池セル2と底板51とを接合する。
【0023】
ここで、電池パックのケースの底板は、薄板が一般的であり剛性が低いため、底板の平面度を確保することが難しい。そのため、平板状の底板に電池セルを接合する場合、電池セルと底板との接着面の接着剤の厚さが不均一となったり、あるいは厚塗りとなったりすることにより、冷却性能が低下するおそれがある。
【0024】
一方、実施形態に係る底板51は、接着剤塗布領域以外の部分に変形可能部511が設けられている。そのため、電池セル接合ステップにおいて、電池セル2によって接着剤7を押し広げる際に、底板51が変形しやすくなり、当該底板51の上面が電池セル2の下面になつきやすくなる。その結果、接着剤7の厚さを均一化することができるとともに、接着剤7を薄塗りすることができる。
【0025】
(冷却器接合ステップ)
冷却器接合ステップでは、接着剤8を塗布した冷却器6を底板51の下に接合する。
【0026】
以上説明した実施形態に係る電池パックによれば、底板51自体に変形可能部511が設けられているため、弾性要素を別途設ける必要がなくなり、部品点数を削減することができる。また、実施形態に係る電池パックの製造方法によれば、電池セル2と底板51との間の接着剤7を均一に押し広げて薄塗りを行うことができるため、コスト低減や冷却効果の向上を図ることができる。更に、実施形態に係る電池パックおよび電池パックの製造方法によれば、接着剤7,8として熱伝導性接着剤を用いることにより、放熱効果を向上させることができる。
【0027】
また、実施形態に係る電池パックおよび電池パックの製造方法では、底板51に変形可能部511を設けることにより、薄板からなる底板51の剛性を更に低下させる。これにより、電池パック1の製造(組付け)時に、押し潰し治具9によって底板51の下方から荷重を加えることにより、底板51の平面(接着剤塗布領域)に接する接着剤7を均一に押し潰すことが可能となる。その結果、上記のように接着剤7の薄塗りを行うことができ、原価、質量を低減させながら、熱抵抗が下がった分で冷却性能を引き上げることができる。
【0028】
また、実施形態に係る電池パックおよび電池パックの製造方法では、電池パック1の製造(組付け)時に発生する歪を、波状の変形可能部511によって吸収することができるため、底板51の平面度を向上させることができる。接着剤7の薄塗りを行うことができ、原価、質量を低減させながら、熱抵抗が下がった分で冷却性能を引き上げることができる。
【0029】
更なる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わし、かつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 電池パック
2 電池セル
3,4 端子
5 ケース
51 底板(ロアケース)
511 変形可能部
52 上板(アッパーカバー)
53 側面部材
54 締結部材
6 冷却器
7,8 接着剤
9 押し潰し治具
図1
図2
図3