IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NTN株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025040866
(43)【公開日】2025-03-25
(54)【発明の名称】無人航空機の充電ステーション
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250317BHJP
   E04H 6/44 20060101ALI20250317BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20250317BHJP
   B64U 80/25 20230101ALI20250317BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
E04H6/44
H02J7/00 303C
H02J7/00 303B
H02J7/35 A
B64U80/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147935
(22)【出願日】2023-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】赤川 充
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503AA06
5G503AA07
5G503BB01
5G503FA03
(57)【要約】
【課題】自然エネルギーで発電した電力を無人航空機に充電可能で、かつ防犯性の高い充電ステーションを提供する。
【解決手段】この充電ステーション(1)は、太陽光発電装置および風力発電装置の少なくとも一方を有する発電設備(5)と、前記発電設備(5)で発電した電力を蓄電する蓄電池(6)と、前記発電設備(5)によって発電された電力を前記蓄電池(6)に入力させ、この蓄電池(6)の電力を充電装置(8)に出力させる制御を行う制御装置(7)と、前記蓄電池(6)および前記制御装置(7)を収容する筐体(2)とを備える。前記筐体(2)に開閉部(12)が設けられており、前記充電装置(8)が前記開閉部(12)または前記筐体(2)の内部に設けられており、前記充電装置(8)に着陸した無人航空機(10)が、前記開閉部(12)が閉じることにより前記筐体(2)の内部に収容される。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機の充電が可能な充電装置を備えた充電ステーションであって、
太陽光発電装置および風力発電装置の少なくとも一方を有する発電設備と、
前記発電設備で発電した電力を蓄電する蓄電池と、
前記発電設備によって発電された電力を前記蓄電池に入力させ、この蓄電池の電力を前記充電装置に出力させる制御を行う制御装置と、
前記蓄電池および前記制御装置を収容する筐体と、を備え、
前記筐体に開閉部が設けられており、
前記充電装置が前記開閉部または前記筐体の内部に設けられており、
前記充電装置に着陸した前記無人航空機が、前記開閉部が閉じることにより前記筐体の内部に収容される、
充電ステーション。
【請求項2】
請求項1に記載の充電ステーションにおいて、前記開閉部が側壁または上壁に設けられている充電ステーション。
【請求項3】
請求項1または2に記載の充電ステーションにおいて、前記筐体の内部に、前記開閉部に面する防護柵が設けられている充電ステーション。
【請求項4】
請求項1または2に記載の充電ステーションにおいて、前記筐体が搬送可能なコンテナである充電ステーション。
【請求項5】
請求項1または2に記載の充電ステーションにおいて、前記開閉部の開閉操作と、前記無人航空機、前記発電設備、前記蓄電装置および前記充電装置の状態監視と、前記無人航空機の充電操作とを前記筐体の外部から行なう通信装置を有する充電ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然エネルギーで発電した電力を無人航空機に充電可能で、かつ防犯性の高い充電ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
ドローン等の無人航空機の飛行距離や飛行時間は搭載するバッテリーに依存する。飛行距離や飛行時間を延長する手段として、太陽光発電装置を利用した充電システムを飛行場所に設ける方法がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-044169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、無人航空機の着陸ポートの上部が開放しているため、充電中に盗難等の危険がある。また、太陽光パネルの施工を伴うため、設置が容易ではなく、輸送も困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、充電中に無人航空機の盗難等の危険がなく、設置が容易で、かつ輸送が可能な無人航空機の充電ステーションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る充電ステーションは、無人航空機の充電が可能な充電装置を備えた充電ステーションであって、太陽光発電装置および風力発電装置の少なくとも一方を有する発電設備と、前記発電設備で発電した電力を蓄電する蓄電池と、前記発電設備によって発電された電力を前記蓄電池に入力させ、この蓄電池の電力を前記充電装置に出力させる制御を行う制御装置と、前記蓄電池および前記制御装置を収容する筐体と、を備え、前記筐体に開閉部が設けられており、前記充電装置が前記開閉部または前記筐体の内部に設けられており、前記充電装置に着陸した前記無人航空機が、前記開閉部が閉じることにより前記筐体の内部に収容される。
【0007】
この構成によれば、自然エネルギーで発電した電力を無人航空機に充電可能である。また、前記開閉部が閉じることで、前記無人航空機が前記筐体の中に収容されるため、前記無人航空機の盗難、いたずらを抑制することができ防犯性に優れる。
【0008】
本発明の充電ステーションにおいて、前記開閉部が側壁または上壁に設けられていても良い。
【0009】
この構成によれば、筐体を設置する環境に合わせて開閉部の位置を自由に選択することができる。
【0010】
本発明の充電ステーションにおいて、前記筐体の内部に、前記開閉部に面する防護柵が設けられていても良い。
【0011】
この構成によれば、前記開閉部が開いた状態の時に、人や動物等が前記筐体の内部に侵入することを防護柵によって防ぐことができ、防犯性に優れる。
【0012】
本発明の充電ステーションにおいて、前記筐体が搬送可能なコンテナであっても良い。
【0013】
この構成によれば、前記筐体をトラック等で輸送可能であるため、設置および撤去時の作業が容易になる。
【0014】
本発明の充電ステーションにおいて、前記開閉部の開閉操作と、前記無人航空機、前記発電設備、前記蓄電装置および前記充電装置の状態監視と、前記無人航空機の充電操作とを前記筐体の外部から行なう通信装置を有していても良い。
【0015】
この構成によれば、前記無人航空機および前記充電ステーションの状態監視および操作が遠隔地から可能であるため、前記充電ステーションの利用者の利便性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の充電ステーションによれば、充電中に無人航空機の盗難等の危険がなく、充電ステーションの設置が容易で、かつ輸送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る充電ステーションを示す斜視図である。
図2A】同実施形態に係る充電ステーションの動作を示す斜視図である。
図2B】同実施形態に係る充電ステーションの内部を示す側面図である。
図3A】同実施形態に係る充電ステーションの動作を示す縦断面図である。
図3B図3Aの動作完了時を示す縦断面図である。
図4A】本発明の第2の実施形態に係る充電ステーションを示す斜視図である。
図4B】同実施形態に係る充電ステーションを示す側面図である。
図5A】本発明の第3の実施形態に係る充電ステーションを示す斜視図である。
図5B】同実施形態に係る充電ステーションの内部を示す側面図である。
図6A】本発明の第3の実施形態に係る充電ステーションの動作を示す縦断面図である。
図6B図6Aの動作完了時を示す縦断面図である。
図7A】本発明の第4の実施形態に係る充電ステーションを示す斜視図である。
図7B】同実施形態に係る充電ステーションを示す側面図である。
図8】本発明の第5の実施形態に係る充電ステーションを示す斜視図である。
図9A】本発明の第5の実施形態に係る充電ステーションの動作を示す縦断面図である。
図9B図9Aの動作完了時を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る充電ステーション1について説明する。
図1に示すように、充電ステーション1は、内部に人や無人航空機等を収容する筐体2によって形成されている。筐体2の上面、もしくは上面と側面には、太陽光発電装置を構成する太陽光パネル3が設けられている。筐体2の側面には、風力発電装置を構成する風車4が設けられている。これら太陽光パネル3および風車4は筐体2から取り外し可能な構造となっており、発電設備5を構成する。太陽光パネル3と風車4の一方、特に風車4は設けなくても良い。このように、発電設備5は、太陽光発電装置3と風力発電装置4の少なくとも一方を備えている。充電ステーション1の筐体2内には、太陽光パネル3、図2Bに示す風車4および蓄電池6の電気的制御を行う制御装置7と、蓄電池6および図2Aの無人航空機10を充電するための充電装置8が設けられている。図2Bの制御装置7は、例えば、発電設備5で発電された交流電力を蓄電池6において蓄電可能な直流電力に変換するAC/DCコンバータ等を備えている。無人航空機10への給電は、図2Aの充電装置8からの無線給電または接触給電のどちらでも良い。
【0019】
図2Aに示すように、この充電ステーション1は、一側壁12を形成する開閉部12aを開いて一側壁12の内面を上にして支線14と支柱15を用いて筐体2の高い位置で保持する。これにより、筐体2の一側面が開口する。開閉部12aの内面に無人航空機10の充電装置8が設けられている。充電装置8は、複数設けられていても良い。開閉しない他の側壁には、出入口20が設けられていても良い。
【0020】
筐体2の開閉部12aの充電装置8に無人航空機10が着陸した状態で、太陽光および/または風力で発電した電力をその場で無人航空機10に供給し、無人航空機10の充電を行うことができる。
【0021】
図2Bに示すように、筐体2内における開閉部12aに対向する箇所に防護柵(フェンス)11が設けられている。フェンス11は、筐体2の内部から取り外し可能な構造となっている。
【0022】
筐体2内における開閉部12aに対向する箇所にフェンス11を設けることで、筐体2の側面が開口しても、筐体2内に人や動物等が侵入するのを防止することができる。また、フェンス11は、筐体2の外部から取り外すことができないため、制御装置7、蓄電池6の盗難やいたずら、感電等のリスクを減らすことができる。
【0023】
充電ステーション1の筐体2は、柱と梁で構成されたコンテナであることが好ましい。この構成によれば、筐体2はトラックや貨物船で輸送に耐える強度を確保することができるため、無人航空機10の需要地変化に合わせて容易に移動させることができる。
【0024】
図3Aに示すように、開閉部12aは、充電装置8に接地した無人航空機10が筐体2の内部に収容されるように閉じる構成となっている。図3Bは、開閉部12aが閉じた状態を示している。
【0025】
無人航空機10が筐体2の内部に収容される構成とすることで、無人航空機10の充電中に無人航空機10の盗難、いたずらを抑制することができ防犯性に優れる。また、筐体2内に収容した無人航空機10の点検やメンテナンスが容易になる。
【0026】
充電ステーション1は、遠隔地から充電ステーション1の操作が可能な通信装置を有している。通信手段は、3G、LTE、5G、LPWA、Wi-FiおよびWi-SUN等の地上ネットワークを使った無線通信、衛星等を使った非地上ネットワーク通信、または光ケーブル等の有線通信のいずれでも良い。
【0027】
充電ステーション1に通信装置を搭載することで、遠隔地から筐体2の開閉操作と、無人航空機10、発電設備5、蓄電池6および充電装置8の状態監視と、無人航空機10の充電操作とが、筐体の外部から可能となり、充電ステーション1の利用者の利便性が向上する。
【0028】
充電装置8に、充電装置8の側面を囲む壁や、固定バー等で無人航空機10を抑える機構を設けても良い。この構成によれば、無人航空機10の給電中に、充電装置8から無人航空機10が離れることを防ぐことができる。
【0029】
充電ステーション1は、無人航空機10が正常に充電装置8に着陸したことを確認するため、感圧センサや光電センサ等のセンシング機器や監視カメラを有していても良い。
【0030】
無人航空機10を筐体2に収容する際に人や動物等の立ち入りがないことを確認するため、感圧センサや光電センサ等のセンシング機器や監視カメラを有していても良い。また、異常感知時、遠隔地からでも注意喚起できるようにスピーカーやモニタ等で警告できるようにしても良い。
【0031】
なお、太陽光や風力(以下、自然エネルギーと称する場合がある)で発電した電力は、無人航空機10の充電に加え、筐体2の開閉装置、通信装置、照明、エアコン等への給電も可能とする。自然エネルギーに加え、系統電源の併用も可能とし、制御装置7を介して充電装置8から無人航空機10への給電および充電ステーション内の照明やエアコン等への給電を可能としても良い。また、充電ステーション1は、災害等で系統電源が途絶した場合、自動的に自然エネルギーへ切り替える機能を有していても良い。
【0032】
以上の構成によると、無人航空機10の充電中および充電待機中のいずれの場合も太陽光および/または風力で発電することができる。また、電源を確保することが困難な未電化地域において、新たに電柱、送電線を設置する工事を行う必要がないため、設置工事が簡単で、工事費用のコスト低減を図ることができる。
【0033】
<他の実施形態について>
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0034】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る充電ステーション1について図4Aおよび図4Bと共に説明する。図4Aに示すように、この充電ステーション1は、一側壁12の一部が開閉部12aとして上方に開いて開口し、この開閉部12aの内面に無人航空機10の充電装置8が設けられている。同側壁12の開口しない部分には、出入口20が設けられていても良い。
【0035】
図4Bに示すように、本実施形態に係る充電ステーション1によれば、第1の実施形態に係る充電ステーション1(図2B)と比較して、開閉部12aの面積が小さくなるため、開閉機構やフェンス11にかかるコストを低減することができる。
【0036】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る充電ステーション1について図5Aおよび図5Bと共に説明する。図5Aに示すように、この充電ステーション1は、一側壁12の全体が開閉部12aとして下方に開閉する。一側壁12が開口した状態で、開閉部12aの上側となる内面に無人航空機10の充電装置8が設けられている。
【0037】
図6Aに示すように、本実施形態に係る充電ステーション1によれば、第1および第2の実施形態に係る充電ステーション1(図3B)と比較して、開閉部12aの開閉機構が簡易になるため、より安価な充電ステーション1を提供することができる。図6Bは、開閉部12aが閉じた状態を示している。
【0038】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態に係る充電ステーション1について図7Aおよび図7Bと共に説明する。図7Aに示すように、この充電ステーション1は、一側壁12の一部が開閉部12aとして下方に開いて開口する。一側壁12の一部が開口した状態で、開閉部12aの上側となる内面に無人航空機10の充電装置8が設けられている。
【0039】
図7Bに示すように、本実施形態に係る充電ステーション1によれば、第3の実施形態に係る充電ステーション1(図5B)と比較して、開閉部12aの面積が小さくなるため、開閉機構やフェンス11にかかるコストを低減することができる。
【0040】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態に係る充電ステーション1について図8図9Aおよび図9Bと共に説明する。図8に示すように、この充電ステーション1は、筐体2の上壁22が開口する構造となっている。
【0041】
図9Aおよび図9Bに示すように、上壁22の一部である開閉部22aの両面に、太陽光パネル3が設けられている。筐体2内における開閉部22aに対向する箇所、すなわち筐体2内の上面近傍にフェンス11が設けられており、フェンス11の上面には無人航空機10の充電装置8が設けられている。無人航空機10は、このフェンス11上面の充電装置8に着陸する。開閉部22aは、開いた状態で支柱15に支持される。
【0042】
本実施形態に係る充電ステーション1によれば、開閉部22aの両面に、太陽光パネル3が設けられているので、開閉部22aを閉じた場合、開いた場合のいずれの場合も、太陽光パネル3が受光し、発電することができる。
【0043】
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
1…充電ステーション
2…筐体
3…太陽光パネル
4…風車
5…発電設備
6…蓄電池
7…制御装置
8…充電装置
10…無人航空機
11…防護柵(フェンス)
12a,22a…開閉部
14…支線
15…支柱
20…出入口
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B