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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025040895
(43)【公開日】2025-03-25
(54)【発明の名称】固定式洗車装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20250317BHJP
【FI】
B60S3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147981
(22)【出願日】2023-09-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年2月28日に神奈川中央交通株式会社横浜営業所にて公開 〔刊行物等〕令和5年3月24日に神奈川中央交通株式会社相模原営業所にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大雄
(72)【発明者】
【氏名】青木 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 治幸
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 健太
(72)【発明者】
【氏名】丸田 和将
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026AA04
3D026AA12
3D026AA25
3D026AA34
3D026AA57
(57)【要約】
【課題】回転ブラシや車両の破損を防止可能な固定式洗車装置を提供する。
【解決手段】
走行する車両に対して洗浄処理を行う洗車装置であって、トップブラシを備え、トップブラシに所定の程度を超える負荷がかかった場合にトップブラシを上昇させ、所定時間下降させない。また、複数の検出素子を有する車両検出手段を備え、車両検出状態にある検出素子のうちもっとも高い位置にある素子とトップブラシの位置関係が所定の条件を満たすとき、トップブラシを上昇させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する車両に対して洗浄処理を行う洗車装置であって、
門型状に形成された本体部と、トップブラシと、前記トップブラシを駆動させる駆動手段と、前記駆動手段に掛かる負荷を検出する負荷検出手段と、制御部を備え、
前記制御部は、車両洗浄時において、前記駆動手段に掛かる負荷に基づき前記トップブラシを昇降制御し、
前記負荷検出手段が所定の程度を超える負荷を検出した場合に前記トップブラシを上昇させ、所定時間下降させないことを特徴とする洗車装置。
【請求項2】
前記制御部は、第一の負荷基準に基づき前記トップブラシを昇降制御して前記車両を洗浄し、第二の負荷基準を超える負荷を検出した場合に前記トップブラシを上昇させ、所定時間下降させないことを特徴とする請求項1に記載の洗車装置。
【請求項3】
前記制御部は、第二の負荷基準を超える負荷を検出した場合に、第一の負荷基準に基づく前記トップブラシの昇降速度よりも速く前記トップブラシを昇降させることを特徴とする請求項2に記載の洗車装置。
【請求項4】
走行する車両に対して洗浄処理を行う洗車装置であって、
門型状に形成された本体部と、トップブラシと、前記トップブラシを駆動させる駆動手段と、前記車両の上面形状を検出する車形検出手段と、制御部を備え、
前記車形検出手段は複数の検出素子を有し、
前記制御部は、前記車形検出手段で検出した前記車両の上面形状に基づき前記トップブラシを昇降制御し、
前記車両を検出している前記検出素子のうちもっとも高い位置にある前記検出素子と前記トップブラシの位置関係が所定の条件を満たすとき前記トップブラシを上昇させることを特徴とする洗車装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記車両を検出している前記検出素子のうちもっとも高い位置にある前記検出素子と前記トップブラシの位置を比較し、前記トップブラシが低い位置にある場合前記トップブラシを上昇させることを特徴とする請求項4に記載の洗車装置
【請求項6】
走行する車両に対して洗浄処理を行う洗車装置であって、
門型状に形成された本体部と、トップブラシと、案内灯を備え、
前記本体部は相対する脚部を有し、該脚部の間を車両が通行可能であり、
前記案内灯は前記脚部の相対する面のいずれか一方に設けられており、取り付け位置が前記トップブラシよりも前記本体部の退車路側であることを特徴とする洗車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定式洗車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実開昭61-192965(以下、特許文献1とする)や特開平7-329737(以下、特許文献2とする)には、固定式洗車装置が記載されている。固定式洗車装置は地面に固定された洗車装置であって、自ら走行する車両に回転ブラシを当接させたり、洗浄水を吹き付けたりすることで洗浄処理を行う。
【0003】
また、特許第4022331号公報(以下、特許文献3とする)には、移動式洗車装置が記載されている。移動式洗車装置は車輪や車輪駆動用モータを有し、停止した車両を跨ぐようにして移動しながら、その車両に回転ブラシを当接させたり、洗浄水を吹き付けたりすることで洗浄処理を行う。
【0004】
固定式洗車装置は洗車装置用のレールの敷設などが必要ないことから、移動式洗車装置と比較して設置が容易である。このような特徴から、固定式は、中型自動車や大型自動車を洗浄するための洗車装置に特に適した方式である。中型自動車や大型自動車を洗浄するための洗車装置は、小型自動車や普通自動車を洗浄するための洗車装置よりも本体寸法が大きくなる傾向にあり、設置容易性が求められるためである。また、固定式洗車装置は洗浄処理中に車両に自走させるため、全長が長い車両など多種多様な車両を洗浄することができ、この点においても中型自動車や大型自動車を洗浄する目的に適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61-192965号公報
【特許文献2】特開平7-329737号公報
【特許文献3】特許第4022331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、固定式洗車装置は自走する車両に対して洗浄処理を施すため、洗浄処理中に車両が変則的な動きをした場合、例えば回転ブラシと車両が衝突し、回転ブラシや車両が破損するおそれがある。
【0007】
本発明の一目的は、回転ブラシや車両の破損を防止可能な固定式洗車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一解決手段に係る洗車装置は、走行する車両に対して洗浄処理を行う洗車装置であって、門型状に形成された本体部と、トップブラシと、前記トップブラシを駆動させる駆動手段と、前記駆動手段に掛かる負荷を検出する負荷検出手段と、制御部を備え、前記制御部は、車両洗浄時において、前記駆動手段に掛かる負荷に基づき前記トップブラシを昇降制御し、前記負荷検出手段が所定の程度を超える負荷を検出した場合に前記トップブラシを上昇させ、所定時間下降させないことを一特徴とする。
【0009】
また、本発明の一解決手段に係る洗車装置は、走行する車両に対して洗浄処理を行う洗車装置であって、門型状に形成された本体部と、トップブラシと、前記トップブラシを駆動させる駆動手段と、前記車両の上面形状を検出する車形検出手段と、制御部を備え、前記車形検出手段は複数の検出素子を有し、前記制御部は、前記車形検出手段で検出した前記車両の上面形状に基づき前記トップブラシを昇降制御し、前記車両を検出している前記検出素子のうちもっとも高い位置にある前記検出素子と前記トップブラシの位置関係が所定の条件を満たすとき前記トップブラシを上昇させることを一特徴とする。
【0010】
また、本発明の一解決手段に係る洗車装置は、走行する車両に対して洗浄処理を行う洗車装置であって、門型状に形成された本体部と、トップブラシと、案内灯を備え、前記本体部は相対する脚部を有し、該脚部の間を車両が通行可能であり、前記案内灯は前記脚部の相対する面のいずれか一方に設けられており、取り付け位置が前記トップブラシよりも前記本体部の退車路側であることを一特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一解決手段によれば、回転ブラシや車両の破損を防止可能な固定式洗車装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る洗車装置10の模式的な正面図である。
図2図1に示す洗車装置10の模式的な側面図である。
図3図1に示す洗車装置10が有するトップブラシ20の駆動機構を示す図である。
図4図1に示す洗車装置10が有するサイドブラシ40a・40bの駆動機構を示す図である。
図5図1に示す洗車装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
図6】トップブラシ20の動作の一例を示す図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る洗車装置200の模式的な正面図である。
図8図7に示す洗車装置200の模式的な側面図である。
図9図7に示す洗車装置200の制御系の構成を示すブロック図である。
図10】車両C2とトップブラシ20と車形センサ220の位置関係を示す図である。
図11】本発明の他の実施形態に係る洗車装置300の模式的な正面図である。
図12図11に示す洗車装置300の模式的な側面図である。
図13】キャビンB洗浄中における車両C3と本体部301の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらは互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0014】
(第一実施形態)
図面をもとに本発明の一実施形態について説明する。図1は洗車装置10の模式的な正面図、図2は洗車装置10の模式的な側面図である。洗車装置10は車両を洗浄する処理機能を備えている。本実施形態に係る洗車装置10は大型車両(以下、車両Cとする)を洗浄することができる。なお、本説明において大型車両とは、箱車・バス・平ボディ・トレーラーといった、普通自動車よりも高い車高を有する車両を指す。
【0015】
(本体部)
洗車装置10は本体部11を備えている。本体部11は脚部12a・12bおよび梁部13を有している。脚部12a・12bは例えばアンカーボルトで地面G上に固定され、地面G上に起立するよう設けられている。梁部13は脚部12a・12bの上部に設けられている。これにより、本体部11には車両Cが通り抜け可能な空間Sが形成されている。空間Sの広さ(すなわち脚部12a・12bの間隔や梁部13の高さ)は洗浄処理対象となる車両の仕様などに基づき適宜設定するとよい。
【0016】
脚部12a・12bには車両センサ14が設けられている。車両センサ14は空間Sに車両が進入したことを検出することができる位置に設けられる。センサの検出方式には例えば透過型を用いるとよい。
【0017】
(トップブラシ)
洗車装置10は、脚部12a・12bの起立方向(車両Cの車高方向、鉛直方向)に可動するトップブラシ20を備えている。トップブラシ20は回転しながら空間Sで昇降することができる。
【0018】
図3は洗車装置10が備えるトップブラシ20の駆動機構を示す図である。洗車装置10は、回転軸21と、キャリア22a・22bと、レール23a・23bと、モータ39を有している。レール23aは脚部12aに収容されている。レール23bは脚部12bに収容されている。キャリア22aはレール23aに取り付けられており、回転軸21の一端と接続されている。キャリア22bはレール23bに取り付けられており、回転軸21の他端と接続されている。モータ39はキャリア22a・22bのいずれか一方に設けられている。回転軸21は回動可能にキャリア22a・22bと接続されており、モータ39の正逆転駆動に伴い回転する。
【0019】
洗車装置10は、チェーン24a・24bと、スプロケット25a・25bと、スプロケット26a・26bと、回転軸27を有している。スプロケット25aは脚部12aの上部に設けられている。スプロケット26aは脚部12aの下部に設けられている。スプロケット25bは脚部12bの上部に設けられている。スプロケット26bは脚部12bの下部に設けられている。チェーン24aは上端と下端が無端状に接続されており、スプロケット25aとスプロケット26aに取り付けられている。チェーン24bは上端と下端が無端状に接続されており、スプロケット25bとスプロケット26bに取り付けられている。回転軸27は脚部12a・12bの上部に位置するスプロケット同士(スプロケット25aと25b)を連結している。
【0020】
洗車装置10は、モータ28と、スイッチ29と、スイッチ30を有している。モータ28はスプロケット25a・25b・26a・26bのいずれかに取り付けられており、正逆転駆動に伴い取り付けられたスプロケットを回転させることができる。スプロケットの回転はチェーン24a・24bおよび回転軸27により各スプロケットに伝達される。各スプロケットおよびチェーン24a・24bの回転により、キャリア22a・22bはレール23a・23b上で昇降移動する。このようにしてトップブラシ20は回転しながら空間Sで昇降することができる。スイッチ29およびスイッチ30は脚部12a・12bのいずれか一方における、キャリア22aまたは22bの昇降限界位置に設けられている。スイッチ29およびスイッチ30はキャリア22aまたは22bとの接触によりスイッチングして、そのキャリアが昇降限界位置にあることを検出する。
【0021】
(サイドブラシ)
洗車装置10は、脚部12a・12b間で水平方向(車両Cの車幅方向)に可動するサイドブラシ40a・40bを備えている。サイドブラシ40a・40bは回転しながら空間Sで開閉動作することができる。
【0022】
図4は洗車装置10が備えるサイドブラシ40a・40bの駆動機構を示す図である。洗車装置10は、回転軸41a・41bと、キャリア42a・42bと、レール43と、モータ44a・44bを有している。レール43は梁部13に収容されている。キャリア42aはレール43に取り付けられており、回転軸41aの上端と接続されている。キャリア42bはレール43に取り付けられており、回転軸41bの上端と接続されている。モータ44aはキャリア42aに、モータ44bはキャリア42bにそれぞれ設けられている。回転軸41aは回動可能にキャリア42aに接続されており、モータ44aの正逆転駆動に伴い回転する。同様に、回転軸41bは回動可能にキャリア42bに接続されており、モータ44bの正逆転駆動に伴い回転する。
【0023】
洗車装置10は、チェーン45と、スプロケット46a・46bと、チェーン47と、スプロケット48a・48bを有している。スプロケット46aは脚部12aの上部に設けられている。スプロケット46bは脚部12bの上部に設けられている。チェーン45は上端と下端が無端状に接続されており、スプロケット46aとスプロケット46bに取り付けられている。スプロケット48aは脚部12bの上部に設けられている。スプロケット48bは脚部12bの上部に設けられている。チェーン47は上端と下端が無端状に接続されており、スプロケット48aとスプロケット48bに取り付けられている。
【0024】
洗車装置10は、モータ49a・49bを有している。モータ49aはスプロケット46aに取り付けられており、正逆転駆動に伴いスプロケット46aを回転させることができる。モータ49bはスプロケット48bに取り付けられており、正逆転駆動に伴い取りスプロケット48bを回転させることができる。スプロケット46aの回転はチェーン45によりスプロケット46bに伝達される。同様に、スプロケット48bの回転はチェーン47によりスプロケット48aに伝達される。スプロケット46a・46bおよびチェーン45の回転により、キャリア42aはレール43上で水平移動する。同様に、スプロケット48a・48bおよびチェーン47の回転により、キャリア42bはレール43上で水平移動する。このようにしてサイドブラシ40a・40bは回転しながら空間Sで開閉動作することができる。
【0025】
(散水ノズル)
洗車装置10は散布ノズルを複数備えている。散布ノズルは給水源と接続されており、空間Sに洗浄水を散布することができる。散布ノズルは本体部11において適宜取り付け位置を設定可能なため図示しない。散布ノズルの位置や数は空間Sの広さなどに応じて決めるとよい。
【0026】
(制御部)
洗車装置10は制御部50と記憶部51を備えている。図5は洗車装置10の制御系の構成を示すブロック図である。制御部50は例えばCPUから構成されている。記憶部51は、例えばRAM、ROM、外部メモリなどから構成されている。記憶部51は洗車装置10の機能に係る種々のプログラムや、洗浄処理の一連の流れを記憶している。制御部50は記憶部51に記憶されているプログラムや処理を実行することができる。
【0027】
制御部50は、車両センサ14と、記憶部51と、後述する操作部70と、トップブラシ20の駆動機構と、サイドブラシ40の駆動機構と、給水弁65と接続されている。
【0028】
記憶部51には、トップブラシ20やサイドブラシ40などのブラシを車両Cに接触させたときにブラシにかかる負荷から、ブラシと車両Cの接触状態を判断するための負荷しきい値が記憶されている。負荷しきい値は、例えばブラシの駆動に係るモータの電流値や電圧値、トルク値、周波数値などについて設定するとよい。本実施形態においては、各ブラシの回転動作に係るモータ39・44a・44bの電流値に負荷しきい値を設定し、各モータの電流値からブラシにかかる負荷を検出する場合について説明する。
【0029】
制御部50は、トップブラシ20の回転動作に係るモータ39の電流値を検出する機能(電流検出機能52)と、モータ39を制御する機能(回転制御機能53)と、トップブラシ20の昇降動作に係るモータ28を制御する機能(昇降制御機能54)を備えている。
【0030】
また、制御部50は、サイドブラシ40の回転動作に係るモータ44a・44bの電流値を検出する機能(電流検出機能55)と、モータ44a・44bを制御する機能(回転制御機能56)と、サイドブラシ40の開閉動作に係るモータ49a・49bを制御する機能(開閉動作制御機能57)を備えている。
【0031】
このほか、制御部50は給水弁65を制御し、散水ノズルからの給水開始・停止を制御する機能(給水制御機能58)を備えている。給水弁は給水源と散水ノズルを繋ぐ管路の途中に設けられる。管路の構造や給水弁の位置は散水ノズルの位置や数などに応じて適宜設定するとよい。
【0032】
(操作部)
洗車装置10は操作部70を備えている。操作部70は複数のボタンを有している。洗車装置10の利用者は、操作部70のボタンを操作することで、制御部50に洗浄処理の非常停止などの指示を出すことができる。本実施形態において操作部70は脚部12bに設けられているものとして説明するが、操作部70は本体部11と別個に設けられてもよい。操作部70はボタン式でなくタッチパネル式であってもよい。
【0033】
(洗浄動作)
このように構成される洗車装置10の洗浄動作について説明する。
【0034】
非洗浄時において、トップブラシ20は梁部13に収容されている。サイドブラシ40aは脚部12aに収容されており、サイドブラシ40bは脚部12bに収容されている。
【0035】
洗車装置10の利用者は、まず、脚部12a・12b間の空間Sへ車両Cを移動させる。車両センサ14が車両Cを検出したら、制御部50は記憶部51に記憶された洗浄処理シーケンスを実行する。利用者がボタン操作などで洗車開始の受付処理をする必要がないことから、洗車装置10は効率よく洗浄処理を行うことができる。
【0036】
車両センサ14が車両Cを検出したら、制御部50は散水ノズルから散水を開始するとともに、トップブラシ20とサイドブラシ40a・40bを回転させつつ車両Cに接近させる。すなわち、モータ28を制御してトップブラシ20を下降させ、モータ49a・49bを制御してサイドブラシ40a・40bを互いに接近させる。
【0037】
ブラシの駆動に伴い、制御部50の電流検出機能52・55は各ブラシの回転駆動に係るモータ(モータ39・44a・44b)の電流値を監視する。ブラシが車両Cに接触すると回転駆動に係るモータに負荷がかかり、電流検出機能52・55で検出される電流値が大きくなる。ブラシが車両Cに強く当てられるほどモータにかかる負荷は大きくなり、電流検出機能52・55で検出される電流値も大きくなる。そこで、制御部50は検出される電流値が記憶部51に記憶された負荷しきい値以下になるようブラシの昇降・開閉に係るモータ(モータ28・49a・49b)を制御する。制御部50のこうした制御により、洗車装置10は適正圧で各ブラシを車両Cにあてることができ、各ブラシの破損が防止される。
【0038】
洗車装置10の利用者は、散水とブラシ洗浄が始まったら車両Cを低速で前進させる。これにより、車両Cの上面と側面が車両Cの前後にわたり水とブラシで洗浄される。なお、車両Cを移動させる適切なタイミングや速度は、音声等により報知してもよい。
【0039】
車両Cが本体部11を通り抜けたら、車両センサ14は車両不検出状態となる。車両センサ14が車両不検出状態となったら、制御部50は散水を停止し、各ブラシを非洗浄時の位置へ戻す。以上で洗車装置10の洗浄動作は終了となる。
【0040】
(破損防止制御)
ブラシで車両を洗浄している際、車両が不意に加速するなどした場合、車両とブラシがぶつかり、車両やブラシに過剰な負荷がかかることが想定される。そこで、ブラシの上昇・開閉に係る負荷しきい値とは別個のしきい値を設け、その別個のしきい値を超えるブラシへの負荷を検出した場合には、過剰な負荷による車両やブラシの破損を防止する制御をするとよい。
【0041】
図6(a)は洗浄時のトップブラシ20の動作の一例を示す図である。上面に複数の突起物(P1、P2、P3)を有する車両Cを洗浄する場合、トップブラシ20は例えばT1の軌道で動くよう制御される。
【0042】
トップブラシ20が突起物P1に接触すると、電流検出機能52で検出されるモータ39の電流値が大きくなる。そうして負荷しきい値を超える電流値が検出されたら、制御部50はトップブラシ20を上昇させ、車両Cから離れさせる。いったんトップブラシ20が車両Cから離れると、モータ39にかかる負荷が減り、電流検出機能52で検出されるモータ39の電流値が無負荷時の値に近くなる。そこで、制御部50は再びトップブラシ20を車両Cに接近させる。このようにして、トップブラシ20は車両Cの突起物P1、P2、P3の形状に沿って駆動される。
【0043】
ところが、トップブラシ20が突起物の手前にあるときに運転手が誤って車両Cを加速させてしまったり、そもそも車両Cの前進速度が早すぎたりする場合、トップブラシ20と車両Cに過剰な負荷がかかり得る。例えばトップブラシ20が突起物P2の手前にあるときに車両Cが加速して、突起物P2がトップブラシ20に食い込んだ場合、トップブラシ20と車両Cの突起物P2には過剰な負荷がかかる。この負荷により、モータ39からは、例えば記憶部51に記憶された負荷しきい値を大幅に超える電流値が検出される。
【0044】
こうしたトップブラシ20や車両Cへの過剰な負荷は、例えばトップブラシ20や車両Cの突起物の疲労破損を招くおそれがある。特に大型車両は、バスの空調設備をはじめ、上面に複数の突起物がある場合が多く、その突起物をブラシ洗浄するたびにトップブラシ20や車両Cには過剰な負荷がかかるおそれがある。そこで、通常のブラシの昇降・開閉に係る負荷しきい値とは別個のしきい値を記憶部51に記憶させ、そのしきい値を超える負荷を検出した場合には所定の時間ブラシを下降しない(または閉じない)ように制御するとよい。以降、ブラシの昇降・開閉に係る負荷しきい値とは別個のしきい値を「破損防止しきい値」として説明する。
【0045】
図6(b)はこのような制御を行う場合のトップブラシ20の動作の一例を示す図である。前記の通り、トップブラシ20が突起物P1に接触したら、電流検出機能52で検出されるモータ39の電流値は大きくなる。そうして負荷しきい値を超える電流値が検出されたら、制御部50はトップブラシ20を上昇させ、車両Cから離れさせる。いったんトップブラシ20が車両Cから離れると、モータ39にかかる負荷が減り、電流検出機能52で検出されるモータ39の電流値が無負荷時の値に近くなる。そこで、制御部50は再びトップブラシ20を車両Cに接近させる。
【0046】
トップブラシ20が突起物P2に接触したところで、車両Cの運転手が誤って前進速度を上げたものとする。この場合、突起物P2がトップブラシ20に食い込み、トップブラシ20と車両Cの突起物P2には過剰な負荷がかかる。この負荷により、モータ39からは破損防止しきい値を超える電流値が検出される。
【0047】
破損防止しきい値を超える電流値が検出されたら、制御部50の昇降制御機能54はトップブラシ20を上昇させ、車両Cから離れさせる。トップブラシ20を車両Cから離れさせることにより、トップブラシ20や車両Cにかかっていた負荷を低減することができる。そして、トップブラシ20が車両Cから離れ、電流検出機能52で検出されるモータ39の値が無負荷時の値に近くなっても、トップブラシ20を車両Cに接近させない。すなわち、昇降制御機能54によりトップブラシ20を下降させず、電流値に基づいた上昇の制御を行う。破損防止しきい値を超える電流値が検出された場合には、このような状態を所定の時間(例えば6秒間)継続させるとよい。所定時間経過後に再びトップブラシ20を車両Cに接近させる制御を行うとよい。
【0048】
このような処理を行うことにより、ブラシが突起物の間に何度も入り込むことを防ぐことができる。これにより、突起物の洗浄に伴いブラシや車両Cに過剰な負荷がかかる事態が減り、ブラシや車両Cの破損が防止される。運転手の不規則な加速によりブラシや車両が破損するおそれを低減することができる。前進速度が速すぎる車両等に対しても接触回数が少なく済み、ブラシや車両Cの破損が防止される。
【0049】
破損防止しきい値を超えた電流値が電流検出機能52で検出された場合には、洗浄時のブラシ駆動速度よりも速い速度でブラシを車両Cから離れさせてもよい。例えば突起物P2の位置において電流検出機能52が破損防止しきい値を超える電流値を検出したら、昇降制御機能54により通常のトップブラシ20の昇降速度よりも速い速度でトップブラシ20を上昇させてもよい。このような処理を行うことにより、不規則な加速をする車両や前進速度が早すぎる車両からいち早くトップブラシ20を退避させ、トップブラシ20や車両Cに掛かる負荷を低減することができる。これにより、ブラシや車両Cの破損が防止される。
【0050】
これまでトップブラシ20の動作をもとに説明したが、同様の処理をサイドブラシ40について行ってもよい。例えば電流検出機能55でサイドブラシ40a・40bの回転動作に係るモータ44a・44bの電流値を監視し、モータ44aで破損防止しきい値を超える電流が検出された場合には、サイドブラシ40aを車両Cから離れさせ、所定時間車両Cに接近させない制御をしてもよい。このような処理を行うことにより、側面に複数の突起物を有する車両Cを洗浄する際に、サイドブラシ40や車両Cの突起物の破損を防止することができる。
【0051】
しかしながら、前記したブラシ破損防止の処理は特に大型車両の上面を洗浄するにあたって好適である。大型車両の中でもバスは車内空調設備やダクトが屋根面に設けられることが多く、車体上面に複数の突起物を備える場合が多い。大型車両の上面を洗浄するにあたって前記した破損防止の処理を行えば、効果的にトップブラシ20や車両Cの破損を防止することができる。
【0052】
破損防止しきい値の具体的な値は、通常のブラシ昇降駆動に係る負荷しきい値よりも高い数値(より大きな負荷を示す数値)として適宜設定可能である。また、負荷しきい値とは別個のパラメータに破損防止しきい値を設定してもよい。例えば負荷しきい値をモータの電流値に設定し、破損防止しきい値をモータのトルク値や電圧、回転数などに設定してもよい。
【0053】
(第二実施形態)
本発明の他の実施形態として、車形センサ220を有する洗車装置200について説明する。図7は洗車装置200の模式的な正面図、図8は洗車装置200の模式的な側面図である。洗車装置200は車形センサ220で車両の形状情報を取得し、その情報に基づきトップブラシ20を駆動する機能を備えている。
【0054】
(本体部)
洗車装置200は本体部201を備えている。本体部11は脚部202a・202bおよび梁部203を有している。脚部202a・202bはアンカーボルトで地面G上に固定され、地面G上に起立するよう設けられている。梁部203は脚部202a・202bの上部に設けられている。
【0055】
洗車装置200はトップブラシ20と、エンコーダ211を備えている。エンコーダ211はトップブラシ20の昇降動作に係るモータ28の回転数を検出する。トップブラシ20はモータ28の回転により昇降させられるため、トップブラシ20の位置はモータ28の回転数に換算することができる。
【0056】
洗車装置200は車形センサ220を備えている。車形センサ220は透過型の光電センサであり、発光素子221と受光素子222を有している。発光素子221は脚部202のいずれか一方側に設けられている。受光素子222は発光素子221と対向するように設けられている。受発光素子221および受光素子222は、本体部201の高さ方向に沿って所定の距離間隔(例えば25cm間隔)で複数設けられている。発光素子221と受光素子222は一対ずつ同じ高さに配置されており、その間に水平な光軸が形成される。
【0057】
車形センサ220はトップブラシ20よりも車両の進入路側に設けられているため、トップブラシ20と車両C2の接触に先んじて車両C2を検出する。
【0058】
(制御部)
洗車装置200は制御部250を備えている。洗車装置200は制御部250と記憶部251を備えている。制御部250は例えばCPUから構成されている。記憶部251は、例えばRAM、ROM、外部メモリなどから構成されている。記憶部251は洗車装置200の機能に係る種々のプログラムや、洗浄処理の一連の流れを記憶している。制御部250は記憶部251に記憶されているプログラムや処理を実行することができる。
【0059】
図9は洗車装置200の制御系の構成を示すブロック図である。制御部250は、車両センサ14と、記憶部251と、トップブラシ20の駆動機構と、給水弁65と、エンコーダ211と、車形センサ220と接続されている。
【0060】
記憶部251には、トップブラシ20を車両C2に接触させたときにブラシにかかる負荷から、トップブラシ20と車両C2の接触状態を判断するための負荷しきい値が記憶されている。本実施形態においても、トップブラシ20の回転動作に係るモータ39の電流値に負荷しきい値を設定し、モータ39の電流値からブラシにかかる負荷を検出する場合について説明する。
【0061】
制御部250はトップブラシ20の回転動作に係るモータ39の電流値を検出する機能(電流検出機能52)と、モータ39を制御する機能(回転制御機能53)と、トップブラシ20の昇降動作に係るモータ28を制御する機能(昇降制御機能252)と、給水開始・停止を制御する機能(給水制御機能58)を備えている。
【0062】
昇降制御機能252は負荷しきい値に基づきトップブラシ20を昇降制御する機能のほか、車形センサ220から得られる車形情報とエンコーダ211から得られるモータ28の回転数に基づきトップブラシ20を昇降制御する機能を有している。昇降制御機能252は車形情報のみを参照してトップブラシ20を昇降制御するよう構成してもよい。
【0063】
制御部250は、車形センサ220を駆動し、発光素子221・受光素子222間に光軸を形成する機能(車形センサ駆動機能253)を有している。
【0064】
(洗浄動作)
このように構成される洗車装置200の洗浄動作について説明する。
【0065】
洗車装置200の利用者は、まず、脚部202a・202b間の空間Sへ車両C2を移動させる。車両センサ14が車両C2を検出したら、制御部250は記憶部251に記憶された洗浄処理シーケンスを実行する。
【0066】
車両センサ14が車両C2を検出したら、制御部250は散水ノズルから散水を開始するとともに、トップブラシ20を回転させつつ車両C2に接近させる。すなわち、モータ28を制御してトップブラシ20を下降させる。さらに、制御部250は車形センサ220を駆動し、発光素子221・受光素子222間に光軸を形成する。
【0067】
トップブラシ20の駆動に伴い、制御部250はトップブラシ20の回転駆動に係るモータ39の電流値を監視する。制御部250は検出される電流値が記憶部251に記憶された負荷しきい値以下になるようトップブラシ20の昇降動作に係るモータ28を制御する。制御部250のこうした制御により、洗車装置200は適正圧でトップブラシ20を車両Cにあてることができ、トップブラシ20の破損が防止される。
【0068】
洗車装置200の利用者は、散水とブラシ駆動が始まったら車両C2を低速で前進させる。これにより、車両C2の上面と側面が車両C2の前後にわたり水とブラシで洗浄される。
【0069】
車両C2が本体部201を通り抜けたら、車両センサ14は車両不検出状態となる。車両センサ14が車両不検出状態となったら、制御部250は散水を停止し、トップブラシ20を非洗浄時の位置へ戻す。以上で洗車装置200の洗浄動作は終了となる。
【0070】
(突起物退避処理)
図10は車両C2とトップブラシ20と車形センサ220の位置関係を示す図である。トップブラシ20で車両C2を洗浄している際、車両C2が不意に加速するなどした場合、車両C2とブラシがぶつかり、車両C2やブラシに過剰な負荷が与えられることが想定される。例えばトップブラシ20が車両上面の突起物の手前にあるときに運転手が誤って車両C2を加速させてしまうと、トップブラシ20に突起物が食い込み、車両C2とトップブラシ20に過剰な負荷がかかりうる。
【0071】
そこで、トップブラシ20が後々突起物に当たりうる位置にあることを検出し、トップブラシ20をあらかじめ退避させるとよい。すなわち、遮光状態となっている受光素子222のうちもっとも高い位置にある素子(図10中においては素子222L)の位置とトップブラシ20の位置を監視し、遮光されている素子222Lとトップブラシ20が所定の位置関係にある場合、トップブラシ20を上昇させ、車両C2から離れさせるとよい。
【0072】
このような突起物退避処理を行うことにより、不規則な加速をする運転手によりトップブラシ20が破損させられるおそれを低減することができる。前進速度が速い車両等に対しても事前に突起物からトップブラシ20を退避させられるため、トップブラシ20や車両C2の破損が防止される。
【0073】
突起物退避処理を行い、遮光状態となっている受光素子222のうちもっとも高い位置にある素子222Lとトップブラシ20の所定の位置関係が解消されたら、再びトップブラシ20を車両C2に接近させるとよい。このような処理を行うことにより、トップブラシ20や車両C2の破損を防止しつつ、車両上面の洗い残しを少なくすることができる。
【0074】
例えば素子222Lに対してトップブラシ20の方が低い位置にある場合には突起物退避処理を行うとよい。素子222Lの高さに任意の値(例えば300mm)を加えた高さとトップブラシ20の高さを比較して、トップブラシ20の高さの方が値として低い場合に突起物退避処理を行うようにしてもよい。素子222Lの高さとトップブラシ20の高さの差が所定の数値範囲内(例えば―150mm~150mm)にある場合に突起物退避処理を行うようにしてもよい。
【0075】
なお、トップブラシ20の高さの基準は回転軸の位置としてもよいし、毛の先端部分の位置としてもよい。
【0076】
(第三実施形態)
本発明の他の実施形態として、案内灯310を有する洗車装置300について説明する。図11は洗車装置300の正面図、図12は洗車装置300の側面図である。洗車装置300は本体部301を備えている。本体部301は脚部302a・302bおよび梁部303を有している。
【0077】
(案内灯)
本体部301は脚部302a・302bのいずれか一方にLEDなどの光源を有する案内灯310・311・312を備えている。案内灯310は本体部301の正面側(すなわち洗車装置300の入車路側)に設けられている。案内灯311は本体部301の門内における退車路側に設けられている。案内灯312は本体部302の背面側(すなわち洗車装置300の退車路側)に設けられている。
【0078】
(制御部)
洗車装置300は制御部350と記憶部351を備えている。制御部350は案内灯310・311・312と接続されている。記憶部351は各案内灯の点灯・消灯や発光色の制御に係る条件を記憶している。制御部350は記憶部351に記憶された条件に基づき各案内灯の点灯・消灯や発光色を制御することができる。
【0079】
(洗浄動作)
このように構成される洗車装置300の洗浄動作について説明する。
【0080】
洗車装置300の利用者は、まず、脚部302a・302b間の空間Sへ被洗浄車両C3を移動させる。車両センサ14が車両C3を検出したら、制御部350は記憶部351に記憶された洗浄処理シーケンスを実行する。
【0081】
車両センサ14が車両C3を検出したら、洗車装置300は各案内灯で車両C3の運転手に停止するよう指示し、散水ノズルから散水を開始する。サイドブラシ40a・40bを回転させつつ閉じて、車両C3の前面を洗浄する。さらに、トップブラシ20を回転させつつ車両Cに下降させて、車両C3の上面を洗浄する。
【0082】
案内灯310は本体部301の前面に設けられているため、この時車両C3の運転手は案内灯310や311を視認することができる。なお、停止の指示は、例えば各案内灯を赤く点滅させることで行うとよい。
【0083】
車両C3の前面を洗浄したら、洗車装置300はサイドブラシ40a・40bを開き、案内灯310・311を青く点灯させることで車両C3に前進を促す。車両C3が前進している間、サイドブラシ40a・40bは車両C3の側面を、トップブラシ20は車両C3の上面を洗浄する。
【0084】
車両C3が本体部301を通り抜けたら、車両センサ14は車両不検出状態となる。車両センサ14が車両不検出状態となったら、制御部350は散水を停止し、各ブラシを非洗浄時の位置へ戻す。以上で洗車装置300の洗浄動作は終了となる。車両C3の運転手は、洗車装置300の洗浄動作が終了したことを案内灯312の発光色などで知ることができる。
【0085】
(破損防止報知)
洗浄時に車両C3の自走速度が早すぎる場合や、運転手が誤って車両C3を加速させた場合、トップブラシ20や車両C3の突起物などに負荷がかかることは前記した通りである。そこで、制御部350が負荷しきい値や破損防止しきい値を超える負荷を検出したことを、案内灯を用いて運転手に報知するとよい。このような処理を行い、運転手に停止を促すことで、トップブラシ20や車両C3にかかる負荷を低減し、トップブラシ20や車両C3の破損を防止することができる。
【0086】
トラックのキャビン周辺(例えば車両C3においてはキャビンB周辺)は特に起伏が多い箇所で、キャビンB周辺を洗浄する際にはトップブラシ20に頻繁に負荷がかかることが想定される。例えばキャビンとコンテナの段差にトップブラシ20が引っ掛かり、トップブラシ20や車両C3に過剰な負荷がかかる場合などが想定される。そのため、キャビン洗浄中において車両C3の運転手から見やすい位置に案内灯を設けるとよい。運転手に的確に停止を促すことができ、トップブラシ20や車両C3の破損を効果的に防止することができる。
【0087】
図13はキャビンB洗浄中における車両C3と本体部301の位置関係を示す図である。キャビンB洗浄中において車両C3は本体部301内(空間S内)に位置するので、案内灯311を本体部301内に設けるとよい。この際、案内灯311を本体部301の入車路側に設けると、ミラーを畳んでいる場合や死角となる場合などに案内灯311が見落とされるおそれがある。そこで、運転手が案内灯311を直接視認できるよう、案内灯311を本体部301の退出路側に設けるとよい。このようにして案内灯311をキャビンB洗浄中において運転手から見やすい位置に設けることで、トップブラシ20や車両C3の破損を効果的に防止することができる。
【0088】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0089】
例えば第一実施形態で説明した洗車装置10に車形センサ220を搭載し、破損防止しきい値によるトップブラシ20の上昇制御と、突起物退避処理によるトップブラシ20の上昇制御を組み合わせて用いてもよい。複数の対策を組み合わせることにより、より確実にトップブラシ20や車両Cの破損を防止することができる。
【0090】
同様に、第三実施形態で説明した案内灯も、他の実施形態で説明した洗車装置に搭載可能である。例えば第二実施形態として説明した洗車装置200に、第三実施形態で説明した案内灯310・311・312を搭載してもよい。その場合、例えば遮光状態となっている受光素子222のうちもっとも高い位置にある素子の位置よりトップブラシ20が低い位置にあること(すなわち突起物退避制御に係る条件が満たされたこと)を検出したら、案内灯を黄色に発行させたり点滅させたりすることで運転手に減速を促すとよい。トップブラシ20が突起物などにぶつかることを未然に防ぐことができ、トップブラシ20や車両Cの破損が防止される。
【0091】
キャビンBとコンテナの高低差により、キャビンB周辺では突起物退避制御に係る条件が満たされやすい。そのため、トップブラシ20がキャビンB周辺を洗浄している際に運転手が目視しやすい位置に設けられる案内灯311は、特にトップブラシ20や車両C3のような車両の破損防止に効果的である。
【符号の説明】
【0092】
10 洗車装置
11 本体部
20 トップブラシ
39 モータ
50 制御部
52 電流検出機能
54 昇降制御機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13