(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025040971
(43)【公開日】2025-03-25
(54)【発明の名称】インク印刷ヘッドの故障した印刷ノズルを補償する方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20250317BHJP
【FI】
B41J2/01 205
B41J2/01 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024157643
(22)【出願日】2024-09-11
(31)【優先権主張番号】10 2023 124 582.1
(32)【優先日】2023-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten-Anlage 52-60, D-69115 Heidelberg, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】502009657
【氏名又は名称】ガルス・フェルト・リュッシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100210099
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 太介
(72)【発明者】
【氏名】クラリッサ ベンツィン
(72)【発明者】
【氏名】アニカ カンパー
(72)【発明者】
【氏名】エミリア ゲープ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン ヴァイガート
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ケーラー
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA06
2C056EA07
2C056EA08
2C056EC70
2C056EC72
2C056EC75
2C056EC77
2C056ED01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】故障したノズルまたは正しく印刷しないノズルの補償をさらに改善する
【解決手段】搬送方向で搬送される被印刷物に印刷像を印刷するためのインク印刷ヘッドの故障した印刷ノズルを補償する本発明による方法であって、印刷像(9)を、少なくとも2つの互いに異なる印刷液滴体積で印刷し、異なる印刷液滴体積のうちの1つは、最大の印刷液滴体積であって、少なくとも1つの補償ノズル(5)、すなわち故障したノズル(4)の隣接ノズルは、最大の印刷液滴体積よりも大きな補償液滴体積を有する補償液滴を印刷する方法において、補償液滴を生成するための頻度を設定し、設定された頻度が維持され、補償ノズル(5)によって印刷される、互いに連続する補償液滴が、この場合、搬送方向で互いに所定の最小間隔を有するように、補償ノズル(5)を駆動制御することを特徴とする方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向で搬送される被印刷物に印刷像を印刷するためのインク印刷ヘッドの故障した印刷ノズルを補償する方法であって、前記印刷像(9)を、少なくとも2つの互いに異なる印刷液滴体積で印刷し、前記異なる印刷液滴体積のうちの1つは、最大の印刷液滴体積であって、少なくとも1つの補償ノズル(5)、すなわち前記故障したノズル(4)の隣接ノズルは、前記最大の印刷液滴体積よりも大きな補償液滴体積を有する補償液滴を印刷する方法において、
補償液滴を生成するための頻度を設定し、設定された前記頻度が維持され、前記補償ノズル(5)によって印刷される、互いに連続する前記補償液滴が、この場合、搬送方向で互いに所定の最小間隔を有するように、前記補償ノズル(5)を駆動制御することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記印刷ヘッド(2)について、持続的に印刷することができる持続液滴体積を設定し、かつ前記補償液滴は、前記持続液滴体積よりも大きな補償液滴体積で印刷される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法を、前記印刷像(9)のために必要なピクセルの少なくとも90%または少なくとも95%が置かれるトーン値以上で行う、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記方法を、少なくとも50%または少なくとも55%または少なくとも65%のトーン値以上で行う、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記頻度Hを、パーセント値として設定し、この場合、H=P/Pmaxであって、この場合、Pは、置くべき補償液滴の数であり、Pmaxは、搬送方向(7)でその都度、最大限置くことができる補償液滴の数である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念の特徴を有するインク印刷ヘッドの故障した印刷ノズルを補償する方法に関する。
【0002】
技術分野
本発明の技術分野は、グラフィック工業分野であり、その中でも特に、平らな基材への、産業的な、つまり高生産性のインク印刷(インクジェット)の分野であり、すなわち、好適には紙、厚紙、板紙、プラスチック、金属または複合材料から成る、シート状、ウェブ状、フィルム状またはラベル状の被印刷物に-ノズルから吐出される-液状インクから成る極めて微細な液滴を画像に従って被着する分野であって、この場合、吐出しないノズルまたはエラー吐出するノズルは、例えばその隣接ノズルによって補償され、これにより印刷エラーが回避される。
【背景技術】
【0003】
インクジェット印刷ヘッドは、通常、個々に制御可能な複数のノズルを有している。ノズルは、通常、被印刷物搬送方向に対して平行に(またはやや傾けられて)1つのノズル列内にまたは複数のノズル列内に配置されている。各ノズルは、その駆動制御時に、1つ以上のインク滴を生成する。ノズルが永続的に駆動制御されると、ノズルは、インク色の可視線を被印刷物に印刷する。一方で、例えば、硬化したインクによりノズル開口が詰まっているために1つのノズルが故障している場合に、または1つのノズルが液滴を斜めにまたは霧状にしか吐出しない場合に、やはり可視の明るい線(英語では「missing nozzle」、「missing line」または「white line」と称される)が生じることがある。望ましくない結果として、被印刷物の色、大抵は白地が、線として印刷像に透けて見える。さらに、例えば、故障ノズルが過剰に補償された場合には、暗い可視線(英語では「darkline」とも称される)が存在することがある。
【0004】
高品質の印刷製品における「white lines(ホワイトライン)」は、顧客によって許容されないので、産業分野においては、印刷しないまたはエラー印刷を行うこのようなノズルは補償されなければならない。公知の方法では、印刷ヘッドノズルの特性を利用して、印刷ヘッドノズルの駆動制御に応じて種々異なる大きさの液滴を形成することができる。このようにして、より大きな補償液滴、すなわち、より多量のインク体積を有する補償液滴を生成し、その余剰インクによって、「ホワイトライン」を完全に埋める、または少なくとも肉眼ではもはや欠陥とは認識されない程度に埋めるために、(欠陥ノズルの「右側および左側の」)隣接ノズルを利用することができる。
【0005】
この分野で用いられる略語MNCは、「missing nozzle compensation」を、またはより一般的には「malfunctioning nozzle compensation」を意味し、すなわち、印刷しない印刷ノズルまたはエラー印刷を行う印刷ノズルの補償を意味する。
【0006】
印刷しないまたはエラー印刷を行うこのノズルを、もしくはノズル列内におけるノズルの各位置を識別するために、この目的で構成されたテストパターンを印刷し、これを、例えばカメラで撮影し、撮影された画像をコンピュータで評価することが既に公知である。この場合、補償すべきであると認識されたノズルのために、補償の程度、例えば低補償または高補償を決定する補償強度を規定することができる。
【0007】
独国特許出願公開第102015220716号明細書には、インクジェット印刷システムにおいて欠落した印刷ノズルを制御コンピュータにより自動的に補償する方法であって、以下のステップ、すなわち:特定の材料の組み合わせに対してテストフォームを印刷するステップと;テストフォームの印刷を評価し、局所的な面積密度に応じて0~1の値をとる複数の補償確率から成るルックアップテーブルを作成するステップと;欠落した印刷ノズルを検出するステップと;印刷ノズルが欠落した箇所において補償すべき目標液滴のサイズを、印刷データから読み出すステップと;欠落した印刷ノズルの箇所において、局所的な面積密度を計算するステップと;計算された局所的な面積密度を用いて、ルックアップテーブルから補償確率を読み出すステップと;補償すべきピクセルのそれぞれ右隣と左隣のピクセルについて、0~1の疑似乱数を計算するステップと;補償すべきピクセルの右隣および左隣のピクセルにそれぞれ属する疑似乱数が、ルックアップテーブルから読み出された補償確率よりも小さければ、右隣および左隣のピクセルの液滴サイズを増大するステップと;印刷ノズルが欠落した箇所において補償すべきすべての目標液滴に対し、隣り合う液滴サイズを計算し、変更された液滴サイズを印刷データに適用するステップと;変更された印刷データを用いて印刷ジョブを実行するステップとを含む方法が開示されている。
【0008】
独国特許出願公開第102018201674号明細書には、修正網目スクリーン像を使用する、コンピュータによる非正常な印刷ノズルの補整を伴って、インクジェット印刷機において印刷プロセスを実施する方法であって、印刷されるべき印刷像に対して網目スクリーン像を作成する網目スクリーン化プロセスの後に、非正常な印刷ノズルを、隣接している印刷ノズルの増大したインク塗布によって補整する方法において、隣接している印刷ノズルに対して、コンピュータによって、少なくとも1つの修正網目スクリーン像が事前に計算され、修正網目スクリーン像が、隣接している印刷ノズルの少なくとも1つのコラムにおいて、網目スクリーン化プロセスにおいて作成された網目スクリーン像と置き換わり、印刷プロセスがインクジェット印刷機においてこの修正された網目スクリーンによって実施されることを特徴とする方法が開示されている。
【0009】
(達成可能なカラースペースの拡大の範囲内で)印刷可能な最大のトーン値を特定する際には、このトーン値が、可能性のあるノズルの故障時に補償可能であり、補償する場合には、補償するノズルが、補償のために通常生じるより大きなインク体積によって、過負荷により同様に故障することがないように留意することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような従来技術に対する本発明の課題は、特に達成可能なカラースペースを拡大しながら、故障したノズルまたは正しく印刷しないノズルの補償をさらに改善することができ、これにより印刷品質をさらに向上させることができる、従来技術に対する改善を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は本発明によれば、請求項1記載の方法により解決される。
【0012】
本発明の有利なしたがって好適な発展形態は、従属請求項ならびに詳細な説明および図面から明らかとなる。
【0013】
搬送方向で搬送される被印刷物に印刷像を印刷するためのインク印刷ヘッドの故障した印刷ノズルを補償する本発明による方法であって、印刷像を、少なくとも2つの互いに異なる印刷液滴体積で印刷し、異なる印刷液滴体積のうちの1つは、最大の印刷液滴体積であって、少なくとも1つの補償ノズル、すなわち故障したノズルの隣接ノズルは、最大の印刷液滴体積よりも大きな補償液滴体積を有する補償液滴を印刷する方法は、補償液滴を生成するための頻度を設定し、設定された頻度が維持され、補償ノズルによって印刷される、互いに連続する補償液滴が、この場合、搬送方向で互いに所定の最小間隔を有するように、補償ノズルを駆動制御することにより優れている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の有利な構成および作用
本発明により、有利には、特に達成可能なカラースペースを拡大しながら、故障したノズルまたは正しく印刷しないノズルの補償をさらに改善することができ、これにより印刷品質をさらに向上させることができる。
【0015】
本発明により、カラースペースを拡大することができ、この場合、印刷しないまたはエラー印刷する印刷ノズルによって生じる可能性のある印刷エラーを効果的に補償することができ、同時に、補償ノズル自体が持続的に過負荷されることがなく故障することがないように考えられている。
【0016】
「印刷像を、少なくとも2つの互いに異なる印刷液滴体積で印刷し」という特徴は、例えば、印刷像の印刷の際に、小さな液滴(S)、中間の液滴(M)、および大きな液滴(L)が使用され、この場合、印刷されるインク体積は、2ピコリットル、4ピコリットル、および6ピコリットルの範囲にあってよいということを意味している。
【0017】
「異なる印刷液滴体積のうちの1つは、最大の印刷液滴体積であって」という特徴は、例えば、最大体積のL液滴が、印刷時に使用される最大のインク滴であるということを意味している。
【0018】
「少なくとも1つの補償ノズルは、最大の印刷液滴体積よりも大きな補償液滴体積を有する補償液滴を印刷する」という特徴は、例えば、補償液滴が、L液滴よりも大きいことを、すなわち、例えば、約6ピコリットルよりも大きな液滴体積を有していることを意味している。
【0019】
「補償液滴を生成するための頻度を設定し」という特徴は、例えば、頻度の値を、印刷ヘッドもしくは補償工程のための制御装置にデジタルで格納することを意味している。
【0020】
「設定された頻度が維持されるように、補償ノズルを駆動制御する」という特徴は、例えば、(欠落した故障したノズルの左側または右側の)補償ノズルが、設定された頻度に相当する頻度で補償液滴を搬送方向で置くことを意味している。
【0021】
「補償ノズルによって印刷される、互いに連続する補償液滴が、この場合、搬送方向で互いに所定の最小間隔を有する」という特徴は、例えば、設定された頻度が50%の場合は、可能な補償液滴が1つおきに置かれ、設定された頻度が33%の場合は、可能な補償液滴が2つおきに置かれ、設定された頻度が25%の場合は、可能な補償液滴が3つおきに置かれることを意味している。したがって補償液滴は規則的に、すなわち互いに等間隔で、特に確率論的な分布なしに印刷される。これにより、インクの流れ特性も改善されるので、障害となるホワイトラインは良好に埋められる。
【0022】
印刷方向での補償ピクセルの設置は、本発明によれば、設定された頻度を考慮して行われ、この頻度には、置くべき補償ピクセル間に最小間隔を維持するという要件が補足される。これについての一例:50%の頻度が設定される場合、正確に1つおきのピクセルが補償液滴で印刷され、これにより補償ピクセルの最小間隔は、常に1つのピクセルである。
【0023】
別の要件としては、有利には、-補償されるべきノズルが、画像内の局所的に補償すべき箇所にピクセルを置かない場合でも-隣接ノズルによって局所的に補償されるということであってよい。逆に考察すると、これは、頻度に従った補償ピクセルの設置は、網目スクリーンの使用(これは従来技術である)により行われるのではないことを意味していて;印刷像においてピクセルが存在し、典型的には微視的に1つの構造における網目スクリーンによってピクセルが置かれるところに、その代わりに、より大きな補償液滴が置かれることも意味している。補償ピクセルの設置の頻度も、統計的にランダムなアルゴリズムによって制御される(これも従来技術である)のではなく、印刷方向における補償ピクセル間の最小の可能な間隔が求められる。したがって、補償ピクセル間に部分的により大きなまたは小さな間隔が生じることがある。
【0024】
したがって、本発明により以下のことが可能である:補償すべき最も暗いトーン値を、従来技術におけるよりも暗く選択することができ、インクジェット印刷機のカラースペースを拡大することができる。
【0025】
本発明によれば、液滴が互いに所定の間隔を維持しているならば、インク印刷ヘッドのスペックによるよりも大きな液滴を印刷することができ、これによりスペックにより規定されたノズルごとの単位時間あたりインクの最大量が超過されることはない。
【0026】
発明の発展形態
以下に、本発明の好適な発展形態(略して、発展形態)を記載する。
【0027】
一発展形態は、印刷ヘッドについて、持続的に印刷することができる持続液滴体積を設定し、かつ補償液滴は、持続液滴体積よりも大きな補償液滴体積で印刷されることにより有利であり得る。持続液滴体積は、通常、印刷ヘッドのスペックの範囲内で設定される。印刷ヘッドのこのようなメーカー側の制限は、有利には、補償液滴体積によって、確かに短時間、僅かな数の液滴に関して超過されるが、これは印刷ヘッドの損傷が生じないように行われる。したがって、本来許容されているインク量スペックを(すなわち、その量が永続的に置かれるならば)上回る体積を補償液滴のために選択することができ、例えば、このような補償液滴を有するピクセルを1つおきに(または2つおきにまたは3つおきに等)置くことができる。これにより、1つの領域に相対的に多量のインクを被着することができ、インクのないエラーを含む印刷像面を、印刷方向に対して横方向で(補償)インク滴によってカバーし、エラーを解消することができる。
【0028】
一発展形態は、当該方法を、印刷像のために必要なピクセルの少なくとも90%または少なくとも95%が置かれるトーン値以上で行うことにより有利であり得る。
【0029】
一発展形態は、当該方法を、少なくとも50%または少なくとも55%または少なくとも65%のトーン値以上で行うことにより有利であり得る。
【0030】
一発展形態は、頻度Hを、パーセント値として設定し、この場合、H=P/Pmaxであって、この場合、Pは、置くべき補償液滴の数であり、Pmaxは、搬送方向でその都度、最大限置くことができる補償液滴の数であることにより有利であり得る。
【0031】
上記の技術分野、発明および発展形態の段落および後続の実施例の段落に開示された特徴および特徴の組み合わせは、-互いに任意の組み合わせで-本発明の別の有利な発展形態をなす。
【0032】
発明の実施例および図面
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明による方法の好適な実施例を実施する際の装置を示す図である。
【
図2】本発明による方法の好適な実施例を実施する際の装置を示す図である。
【0034】
図1および
図2はそれぞれ、本発明による方法の好適な実施例を実施する際の装置を示している。互いに相応する特徴には、図面において同じ符号が付与されている。
【0035】
図1は、いわゆるホワイトラインを補償するための隣接する3つの例A、BおよびCを示しており、この場合、中央の例Bは本発明に相当する。
【0036】
複数の印刷ヘッド2によるインク印刷用の印刷機1が示されており、これらの印刷ヘッドは、(好適には1色のインク、例えばC、M、YまたはKの印刷用の)好適には1つの印刷バーとして相並んで配置されている。各印刷ヘッド2は、複数の印刷ノズル3を有している(例として、それぞれ3つの印刷ノズル3のみが示されている)。図示された3つの印刷ノズル3のうちの真ん中の印刷ノズルは、テストのために遮断されたノズルであり、したがってこれは、欠落したまたは故障したノズルをシミュレートしている。このノズルもしくは生じたホワイトライン11の左右に隣接する両ノズル5は、補償ノズル5として機能する。
【0037】
印刷機1は、搬送方向7で搬送される被印刷物6を印刷する。印刷ヘッド2もしくは印刷バーは、横方向8で互いに隣接して配置されていて、印刷ヘッド2の下方を通して移動させられる被印刷物6に、好適には上方からインク滴を印刷する。この場合、印刷像9または少なくとも1つの印刷コントロールエレメント9が被印刷物6上に生成される。テスト目的で、印刷像/印刷コントロールエレメント9は、(横方向のハッチングによって)示されているように、フルトーン画像またはフルトーンエレメントに相当してよい。
【0038】
印刷工程および特に補償を制御するために、印刷機1は、制御装置20を有している。
【0039】
すべての例A、BおよびCついて、次の仮定が成り立つ。すなわち、画像9またはエレメント9のトーン値は、100%置かれたピクセルから成る;補償されるべきノズル4は、それぞれテストのためにオフにされている(つまりこのノズルは印刷しない、もしくはホワイトライン11を生じさせる);隣接ピクセル10は、搬送方向7に対して横方向でオフにされたノズル4に隣接する隣接ノズル5によって、原則的に、通常の100%のトーン値のピクセルよりも大きな体積を有する液滴で印刷されるように置かれる。
【0040】
A(従来技術による):オフにされたノズル4の左右にすべて、補償ピクセル10が置かれている。補償ピクセル10の液滴体積はヘッドスペック内であり、この体積を有する各ピクセルを置くことができる。
【0041】
B(本発明による方法):補償ピクセル10は、オフにされたノズル4の左右に所定の頻度で置かれていて、この場合、ピクセル10の間隔は最小に保持される。補償ピクセル10の液滴体積は、ヘッドスペック外であり、この体積を有するピクセルを最大で100%未満の規定された頻度で置くことができる。図示した例では、頻度は33%であり、これは、ホワイトライン11の左右に補償のために、2つおきにピクセル10が置かれることを意味している。
【0042】
C(従来技術による):補償ピクセル10は、オフにされたノズル4の左右に所定の頻度で置かれていて、この場合、設置は、確率論的に頻度に従って行われ、この場合、補償ピクセル10の間隔は、確率論的に変化する。補償ピクセル10の液滴体積は、ヘッドスペック外であり、この体積を有するピクセル10を最大で100%未満の規定された頻度で置くことができる。図示した例では、頻度は同じく33%である。
【0043】
例Bおよび例Cにおいて塗布される両(補償)インク体積は、-搬送方向7で補償の区間にわたって見て-互いに同じである。
【0044】
図2は、いわゆるホワイトライン11を補償するための隣接する3つの本発明による例B1、B2およびB3を示している。
【0045】
3つの例は、原則的には互いに異なるものではない。しかしながら、各例には異なる頻度が設定されている:例B1では50%の頻度(1つおきにピクセルが置かれる)、例B2では33%の頻度(2つおきにピクセルが置かれる)、および例B3では25%の頻度(3つおきにピクセルが置かれる)が設定されている。補償ノズル5により印刷された連続する補償液滴10はこの場合、互いに最小の間隔A(例B3にのみ例として示されている)を搬送方向で有していることがわかる。液滴10もしくは対応するピクセル10のいずれも、最小の間隔Aよりも大きな(搬送方向で前後に配置される「隣接する」補償液滴に対する)間隔を有していない。
【符号の説明】
【0046】
1 印刷機
2 印刷ヘッド、印刷バー
3 ノズル
4 欠落したまたは故障したノズル
5 補償ノズル/隣接ノズル
6 被印刷物
7 搬送方向
8 横方向
9 印刷像、特にテスト印刷像、または印刷コントロールエレメント
10 (被印刷物上の)補償ピクセルもしくは補償液滴
11 ホワイトライン
20 制御装置
A 間隔
【外国語明細書】