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2025-41006ポリエチレンナフタレート樹脂組成物およびその成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025041006
(43)【公開日】2025-03-26
(54)【発明の名称】ポリエチレンナフタレート樹脂組成物およびその成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20250318BHJP
【FI】
C08L67/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148048
(22)【出願日】2023-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊與 直希
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CF081
4J002CF082
4J002EA066
4J002EE056
4J002EU026
4J002FD070
4J002FD096
4J002GN00
4J002GP00
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】耐擦傷性に優れ、かつそれよりなる成形品が波長選択的な吸収特性を有し、薄肉部であっても吸収特性が維持されるポリエチレンナフタレート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリエチレンナフタレート樹脂(A成分)100重量部に対して、(B)ポリブチレンナフタレート樹脂(B成分)を1~30重量部および(C)色剤(C成分)を0.055~1.3重量部含有する樹脂組成物であって、波長400~700nmにおける厚さ1mmに成形した成形品の厚さ方向の光線透過率の平均値が1.5%以下、波長1050~1100nmにおける厚さ1mmに成形した成形品および厚さ2mmに成形した成形品の厚さ方向の光線透過率の平均値が共に80%以上であり、かつポリカーボネート樹脂を含まないことを特徴とするレーザー溶接用途を除く樹脂組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリエチレンナフタレート樹脂(A成分)100重量部に対して、(B)ポリブチレンナフタレート樹脂(B成分)を1~30重量部および(C)色剤(C成分)を0.055~1.3重量部含有する樹脂組成物であって、波長400~700nmにおける厚さ1mmに成形した成形品の厚さ方向の光線透過率の平均値が1.5%以下、波長1050~1100nmにおける厚さ1mmに成形した成形品および厚さ2mmに成形した成形品の厚さ方向の光線透過率の平均値が共に80%以上であり、かつポリカーボネート樹脂を含まないことを特徴とする、レーザー溶接用途を除く樹脂組成物。
【請求項2】
C成分が、(C1)波長650nm未満に吸収極大を有する色剤(C1成分)および(C2)波長650~880nmに吸収極大を有する色剤(C2成分)からなる群より選ばれる少なくとも1種の色剤であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
C2成分がアントラキノン系色剤、フタロシアニン系色剤、ペリレン系色剤および複素環系色剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の色剤であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
300℃、1.2kgの条件で測定したメルトボリュームフローレートが18.0cm/10min未満であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
示差走査熱量計を使用し、降温速度10℃/minで測定した降温結晶化ピークの面積が1.0J/g未満であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形品。
【請求項7】
赤外線センサーを覆うカバー材料である請求項6に記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐擦傷性に優れ、かつそれよりなる成形品が波長選択的な吸収特性を有し、薄肉部であっても吸収特性が維持されるポリエチレンナフタレート樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人件費の高騰や人手不足を補うために生産工程の自動化を図るシステムとしてファクトリー・オートメーションが着目されている。これは従来人が行っていた作業をロボットに置き換えることで工程を無人化するものであるが、これらロボットや各種装置の制御には各種センサーが必要不可欠であり、高精度のセンサーへの需要が高まっている。光を用いたセンサーの場合、センシングには波長800~1100nm付近の近赤外線が一般的に使用される。但し、赤外線によるセンシングを行う際、可視光~近赤外線の光がノイズとなるため、センシングに用いる波長領域を透過させ、それ以下の波長領域の透過をカットするカバー材が必要となる。カバー材としては、ガラスおよび樹脂が用いられ、樹脂では透明材であるアクリル樹脂およびポリカーボネート樹脂などが一般的に用いられている。一方で、これらの透明樹脂は耐擦傷性が低く、カバー材として外装に置かれた場合、使用に伴って表面が傷付き、外観や赤外線透過能が損なわれてセンサー精度が低下するという問題があった。
【0003】
波長選択制御樹脂に関する検討は過去にも実施されている。吸収波長帯の異なる色剤を複数併用することで可視光領域~一部の近赤外領域をカットする技術が開示されている。(特許文献1、2参照)しかしながらこれらの樹脂組成物はポリカーボネート樹脂を主成分としており、カバー材として用いる上での耐擦傷性が不十分である。他の透明樹脂のひとつにポリエチレンナフタレート樹脂が挙げられる。ポリエチレンナフタレート樹脂はポリエチレンテレフタレート樹脂に比べ静置場での結晶化速度が遅いため、射出成形により容易に透明な成形品が得られる特徴があり、透明射出成形品用途に用いられている。しかしながら、成形条件によっては成形品の薄肉部やゲート部において白化する場合があり、安定した透明性の確保に課題がある。成形品の白化を抑制する手段としては、ポリエチレンナフタレート樹脂にポリエーテルイミド樹脂を添加する方法が開示されている。(特許文献3参照)しかしながら、これらの樹脂組成物の波長選択制御および耐擦傷性に関する検討はなされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-9222号公報
【特許文献2】特許第6658942号公報
【特許文献3】特開2021-152133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、耐擦傷性に優れ、かつそれよりなる成形品が波長選択的な吸収特性を有し、薄肉部であっても吸収特性が維持されるポリエチレンナフタレート樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成せんとして鋭意検討を重ねた結果、ポリエチレンナフタレート樹脂に、ポリブチレンナフタレート樹脂および色剤を特定量添加することにより、耐擦傷性に優れ、かつそれよりなる成形品が波長選択的な吸収特性を有し、薄肉部であっても吸収特性が維持されるポリエチレンナフタレート樹脂組成物を提供できることを見出し、上記課題を解決するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.(A)ポリエチレンナフタレート樹脂(A成分)100重量部に対して、(B)ポリブチレンナフタレート樹脂(B成分)を1~30重量部および(C)色剤(C成分)を0.055~1.3重量部含有する樹脂組成物であって、波長400~700nmにおける厚さ1mmに成形した成形品の厚さ方向の光線透過率の平均値が1.5%以下、波長1050~1100nmにおける厚さ1mmに成形した成形品および厚さ2mmに成形した成形品の厚さ方向の光線透過率の平均値が共に80%以上であり、かつポリカーボネート樹脂を含まないことを特徴とするレーザー溶接用途を除く樹脂組成物。
2.C成分が、(C1)波長650nm未満に吸収極大を有する色剤(C1成分)および(C2)波長650~880nmに吸収極大を有する色剤(C2成分)からなる群より選ばれる少なくとも1種の色剤であることを特徴とする前項1に記載の樹脂組成物。
3.C2成分がアントラキノン系色剤、フタロシアニン系色剤、ペリレン系色剤および複素環系色剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の色剤であることを特徴とする前項2に記載の樹脂組成物。
4.300℃、1.2kgの条件で測定したメルトボリュームフローレートが18.0cm/10min未満であることを特徴とする前項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
5.示差走査熱量計を使用し、降温速度10℃/minで測定した降温結晶化ピークの面積が1.0J/g未満であることを特徴とする前項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物。
6.前項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形品。
7.赤外線センサーを覆うカバー材料である前項6に記載の成形品。
【発明の効果】
【0008】
本発明の樹脂組成物は耐擦傷性に優れ、かつそれよりなる成形品が波長選択的な吸収特性を有し、薄肉部であっても吸収特性が維持されるポリエチレンナフタレート樹脂組成物であるため、それよりなる成形品は、自動車、産業機械、家庭用電気機械、カメラ等に搭載される赤外線センサーを覆うカバー材料として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、更に本発明の詳細について説明する。
【0010】
<A成分について>
本発明のA成分であるポリエチレンナフタレート樹脂は、ナフタレンジカルボン酸および/またはナフタレンジカルボン酸のエステル形成誘導体を主とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分を用いて製造することができる。A成分としてポリエチレンナフタレート樹脂を用いることによって、高い耐擦傷性を付与することができる。
【0011】
ナフタレンジカルボン酸成分としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸を主成分とするが、特性を損なわない範囲であれば、他のジカルボン酸を併用することができる。他のジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタン-4,4′-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4′-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4′-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸およびシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。他のジカルボン酸の使用量は全酸成分に対して好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下である。ナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,7-ナフタレンジカルボン酸ジメチルを主成分とするが、特性を損なわない範囲であれば、他のジカルボン酸のエステル形成性誘導体を併用することができる。他のジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタン-4,4′-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4′-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4′-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸の低級ジアルキルエステルおよびアジピン酸、セバシン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。他のジカルボン酸のエステル形成性誘導体の使用量は、全ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分に対して好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下である。
【0012】
また、少量のトリメリット酸のような三官能性以上のカルボン酸成分を用いてもよく、無水トリメリット酸のような酸無水物を少量用いてもよい。また、乳酸、グリコール酸のようなヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル等を少量用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。
【0013】
グリコール成分としてはエチレングリコールを主成分とするが、特性を損なわない範囲で他のグリコール成分を併用することができる。他のグリコール成分としては、例えば、1、4ブタンジオール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ネオペンチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ(オキシ)エチレングリコール、ポリ(オキシ)テトラメチレングリコール、ポリ(オキシ)メチレングリコール等のアルキレングリコールの1種若しくは2種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。さらに少量のグリセリンのような多価アルコール成分を用いてもよい。また少量のエポキシ化合物を用いてもよい。他のグリコール成分の使用量は、全グリコール成分に対して好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下である。
【0014】
上記のポリエチレンナフタレート樹脂は、従来公知の製造方法によって製造することができる。すなわちジカルボン酸成分とジオール成分とを直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、またはジカルボン酸ジメチルエステルとジオール成分とを反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。更に極限粘度数を増大させるために固相重合を行うことができる。
【0015】
上記のエステル交換反応、エステル化反応および重縮合反応時には、触媒および安定剤を使用することが好ましい。エステル交換触媒としてはMg化合物、Mn化合物、Ca化合物、Zn化合物、Ti化合物などが使用され、例えばこれらの酢酸塩、モノカルボン酸塩、アルコラートおよび酸化物などが挙げられる。またエステル化反応は触媒を添加せずに、ジカルボン酸およびジオールのみで実施することが可能であるが、後述の重縮合触媒の存在下に実施することもできる。重縮合触媒としては、Ge化合物、Ti化合物、Sb化合物などが使用可能であり、例えば二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムアルコラート、チタンテトラブトキサイド、チタンテトライソプロポキサイドおよび蓚酸チタンなどが挙げられる。安定剤としてはリン化合物を用いることが好ましい。好ましいリン化合物としては、リン酸およびそのエステル、亜リン酸およびそのエステル並びに次亜リン酸およびそのエステルなどが挙げられる。またエステル化反応時には、ジエチレングリコール副生を抑制するためにトリエチルアミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウムなどの水酸化第4級アンモニウムおよび炭酸ナトリウムなどの塩基性化合物を添加することもできる。また得られたポリエステル樹脂には、各種の安定剤および改質剤を配合することができる。
【0016】
A成分の固有粘度は0.5~1.0dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.55~0.95dl/gであり、さらに好ましくは0.6~0.85dl/gである。A成分の固有粘度が0.5dl/g未満では靭性に劣る場合があり、1.0dl/gを超えると射出成形時の流動性が不十分な場合がある。
【0017】
<B成分について>
本発明のB成分であるポリブチレンナフタレート樹脂は、ナフタレンジカルボン酸および/またはナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体を主とするジカルボン酸成分と、1,4-ブタンジオールを主成分とするグリコール成分を用いて製造することができる。
【0018】
ナフタレンジカルボン酸成分としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸を主成分とするが、特性を損なわない範囲であれば、他のジカルボン酸を併用することができる。他のジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタン-4,4′-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4′-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4′-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸およびシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。他のジカルボン酸の使用量は全酸成分に対して好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。ナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,7-ナフタレンジカルボン酸ジメチルを主成分とするが、特性を損なわない範囲であれば、他のジカルボン酸のエステル形成性誘導体を併用することができる。他のジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタン-4,4′-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4′-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4′-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸の低級ジアルキルエステルおよびアジピン酸、セバシン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。他のジカルボン酸のエステル形成性誘導体の使用量は、全ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分に対して好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。
【0019】
また、少量のトリメリット酸のような三官能性以上のジカルボン酸成分を用いてもよく、無水トリメリット酸のような酸無水物を少量用いてもよい。また、乳酸、グリコール酸のようなヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル等を少量用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。
【0020】
グリコール成分としては1,4-ブタンジオールを主成分とするが、特性を損なわない範囲で他のグリコール成分を併用することができる。他のグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ネオペンチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ(オキシ)エチレングリコール、ポリ(オキシ)テトラメチレングリコール、ポリ(オキシ)メチレングリコール等のアルキレングリコールの1種もしくは2種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。さらに少量のグリセリンのような多価アルコール成分を用いてもよい。また少量のエポキシ化合物を用いてもよい。他のグリコール成分の使用量は、全グリコール成分に対して好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。
【0021】
かかるグリコール成分の使用量は、前記ジカルボン酸もしくはジカルボン酸のエステル形成性誘導体に対して1.1モル倍以上1.4モル倍以下であることが好ましい。グリコール成分の使用量が1.1モル倍に満たない場合にはエステル化あるいはエステル交換反応が十分に進行しない場合があり好ましくない。また、1.4モル倍を超える場合にも、理由は定かではないが反応速度が遅くなり、過剰のグリコール成分からテトラヒドロフラン等の副生物の発生量が大となる場合があり好ましくない。
【0022】
ポリブチレンナフタレート樹脂の製造においては、重合触媒としてチタン化合物が使用される。重合触媒として用いられるチタン化合物としては、テトラアルキルチタネートが好ましく、具体的にはテトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-sec-ブチルチタネート、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラ-n-ヘキシルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネートなどが挙げられ、これらの混合チタネートとして用いても良い。これらのチタン化合物のうち、特にテトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネートが好ましく、最も好ましいのはテトラ-n-ブチルチタネートである。チタン化合物の添加量は生成ポリブチレンナフタレート中のチタン原子含有量として、10ppm以上60ppm以下であることが好ましく、より好ましくは15ppm以上30ppm以下である。生成ポリブチレンナフタレート中のチタン原子含有量が60ppmを超える場合は、本発明の樹脂組成物の色調および熱安定性が低下する場合があるために好ましくない。一方チタン原子含有量が10ppm未満の場合には、良好な重合活性を得ることができず、充分な高い固有粘度のポリブチレンナフタレート樹脂を得ることができない場合があり好ましくない。本発明のポリブチレンナフタレート樹脂は、ナフタレンジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体を主とするジカルボン酸成分と1,4-ブタンジオールを主とするグリコール成分とをチタン化合物の存在下にてエステル化あるいはエステル交換反応工程と、それに続く重縮合反応工程とを経由して製造されることが好ましいが、エステル化あるいはエステル交換反応終了の際の温度が180℃以上220℃以下の範囲にあることが好ましく、180℃以上210℃以下であることがより好ましい。当該エステル化反応又はエステル交換反応終了の際の温度が220℃を超える場合には反応速度は大きくなるが、テトラヒドロフラン等の副生物が多くなる場合があり好ましくない。また、180℃未満では反応が進行しなくなる場合がある。エステル化あるいはエステル交換反応により得られた反応生成物(ビスグリコールエーテルおよび/またはその低重合体)は当該反応生成物をポリブチレンナフタレート樹脂の融点以上270℃以下の温度において0.4kPa(3Torr)以下の減圧下で重縮合させることが好ましい。重縮合反応温度が270℃を超える場合にはむしろ反応速度が低下して、着色も大となるので好ましくない。
【0023】
A成分に対して相溶性を有するポリブチレンナフタレート樹脂を添加することで、耐擦傷性および透明性を維持しつつ成形品の薄肉部における白化を効果的に抑制できる。
【0024】
B成分の含有量は、A成分100重量部に対して1~30重量部であり、好ましくは2~25重量部であり、より好ましくは3~20重量部である。B成分の含有量が1重量部未満の場合、薄肉部における近赤外領域の光線透過率が低下する。一方、30重量部を超えると耐擦傷性が低下する。
【0025】
<C成分について>
本発明のC成分である色剤は、染料(有機、無機)、顔料(有機、無機)等から選択することができ、本発明が目的とする樹脂組成物を得ることができる限り特に制限されることはなく、具体的には、本発明の樹脂組成物よりなる波長400~700nmにおける厚さ1mmに成形した成形品の厚さ方向の光線透過率の平均値が1.5%以下、波長1050~1100nmにおける厚さ1mmに成形した成形品および厚さ2mmに成形した成形品の厚さ方向の光線透過率の平均値が共に80%以上となるように適宜選択できる。このような波長選択性を持たせるための実施形態の一つとして、C成分が波長650nm未満に吸収極大を有する色剤(C1成分)および波長650~880nmに吸収極大を有する色剤(C2成分)からなる群より選ばれる少なくとも1種の色剤であることが好ましい。色剤としては、染料の方が粒子の表面での光乱反射がないため、染料を用いることが好ましい。染料系色剤としては、例えば、アントラキノン系色剤、ペリノン系色剤、ペリレン系色剤、メチン系色剤、アゾ系色剤、キノリン系色剤、フタロシアニン系色剤、スクアリリウム系色剤および複素環系色剤などが挙げられる。その中でも、耐熱性の高いアントラキノン系色剤、フタロシアニン系色剤、ペリレン系色剤および複素環系色剤がより好ましく、アントラキノン系色剤、ペリレン系色剤および複素環系色剤が特に好ましい。
【0026】
C成分の含有量は、A成分100重量部に対して0.055~1.3重量部であり、0.08~1.0重量部であることが好ましく、0.1~0.5重量部であることがより好ましい。C成分の含有量が0.055重量部未満の場合、波長400~700nmにおける十分なカット特性が得られない。一方、1.3重量部を超えると樹脂組成物の耐擦傷性が悪化する。
【0027】
<樹脂組成物の特性について>
本発明における樹脂組成物は、300℃、1.2kgの条件で測定したメルトボリュームフローレートが18.0cm/10min未満であることが好ましく、16.0cm/10min未満であることがより好ましく、14.0cm/10min未満であることが特に好ましい。なお、メルトボリュームフローレートの下限は特に限定されないが、5.0cm/10min以上であることが好ましい。メルトボリュームフローレートはJIS K 7210に従って、10分間に押出された試料の容積で表わされる。この値が18.0cm/10minを超えると、耐擦傷性が低下する場合がある。メルトボリュームフローレートの調整方法は特に限定されないが、例えばA成分、B成分およびC成分の配合割合、溶融混練時のスクリュー回転数、吐出量、成形温度、混練時間を適宜調整することによって達成される。
【0028】
本発明における樹脂組成物は、示差走査熱量計を使用し、降温速度10℃/minで測定した降温結晶化ピークの面積が1.0J/g未満であることが好ましく、0.5J/g未満であることがより好ましく、0.2J/g未満であることがさらに好ましく、降温結晶化ピークが観測されないことが特に好ましい。降温結晶化ピークの面積が1.0J/gを超える樹脂組成物は配向結晶化による白化が発生しやすいため、薄肉部における近赤外領域の光線透過率が低下する場合がある。上記を達成するための手段は特に限定されないが、使用するA成分およびB成分の分子量、含有するエステル交換触媒、重合触媒、安定剤の種類、含有量、重合反応条件、重合反応槽の洗浄方法等を適宜調整することによって達成される。ここでいう降温結晶化ピークの面積とは、示差走査熱量計(NETZSCH製 DSC214)を使用し、樹脂組成物4~7mgを昇温速度20℃/minで25~35℃から300℃まで昇温し、等温で5分間保持し、100℃/min以上の速度で25~35℃まで急冷し、昇温速度10℃/minで300℃まで再度昇温し、等温で5分間保持し、降温速度10℃/minで25~35℃まで降温した際の130~250℃の範囲における熱流曲線に現れる発熱ピークの面積を指す。
【0029】
(その他の成分について)
本発明における樹脂組成物は、実質的にポリカーボネート樹脂を含まない。なお、「実質的に含まない」とは、A成分100重量部に対し、ポリカーボネート樹脂の含有量が0.3重量部以下であることを示す。ここで言うポリカーボネート樹脂とは、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものであって、主鎖中にカーボネート結合を有する高分子量体のことを指す。用いる二価フェノールは特に制限されず、代表的なものとしてはビスフェノールAが挙げられる。樹脂組成物中にポリカーボネート樹脂が含まれると、耐擦傷性が悪化する。
なお、本発明の樹脂組成物は、本発明の趣旨に反しない範囲で、酸化防止剤、離型剤等の各添加剤を含むことが出来る。
【0030】
<酸化防止剤>
本発明の樹脂組成物は酸化防止剤として、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物およびチオエーテル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤を含むことができる。酸化防止剤を配合することにより、成形加工時の色相や流動性が安定するだけでなく、耐加水分解性の向上にも効果がある。
【0031】
酸化防止剤の含有量は、A成分100重量部に対して、0.01~2重量部が好ましく、より好ましくは0.03~1重量部、さらに好ましくは0.05~0.5重量部である。酸化防止剤の含有量が0.01重量部より少ない場合は酸化防止効果が不足し、成形加工時の色相や流動性が不安定になるだけでなく、耐加水分解性も悪化する場合がある。また、かかる含有量が2重量部よりも多い場合、酸化防止剤由来の反応成分などがかえって耐加水分解性を悪化させてしまう場合がある。
【0032】
また、前記ヒンダードフェノール系化合物とホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、チオエーテル系化合物のいずれか2種類以上を組み合わせて使用することが好ましい。ヒンダードフェノール系化合物とホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、チオエーテル系化合物のいずれか2種類以上を組み合わせて使用することで、安定剤としての相乗効果が発揮され、より成形加工時の色相、流動性の安定化、耐加水分解性の向上に効果がある。
【0033】
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えば各成分、並びに任意に他の成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する方法を挙げることができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練およびペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式ニ軸押出機が好ましい。他に、各成分、並びに任意に他の成分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法も取ることもできる。
【0034】
<成形体について>
本発明の樹脂組成物を用いてなる成形体は、上記の如く製造されたペレットを成形して得ることができる。好適には、射出成形、押出成形により得られる。射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、多色成形、サンドイッチ成形および超高速射出成形等を挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。押出成形においては、丸棒を押出成形しその後円盤状に切削加工することにより成形体を得る方法や、厚肉シートを押出成形しその後所定の形状に打ち抜き加工することにより成形体を得ることができる。
【実施例0035】
以下、実施例により本発明を実施する形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、諸物性の評価は以下の方法により実施した。
【0036】
[樹脂組成物の評価]
(1)耐擦傷性
下記方法で得られたペレットを160℃で5時間乾燥した後に射出成形機(東芝機械(株)製 EC130SXII―4Y)によりシリンダー温度305℃、金型温度80℃の条件にて射出成形を行い、厚み2mm、幅および長さが50mmの板状試験片を得た。この試験片に対して、往復動摩擦試験機(トライボギアTYPE-40、新東科学(株)製)を用いて荷重0.5kg、速度100mm/s、1500往復の条件で、表面を帆布で覆った直径10mmのSUS304製金属球を圧子として摺動試験を行った。試験後の摺動面について、摺動方向と直交する方向に対して表面粗さ形状測定機(SURFCOM NEX001 SD2-12、(株)東京精密製)を用いてJIS-01/13に従い算術平均粗さRaを求めた。試験は3回行い、それらの平均値をその組成物の耐擦傷性の指標とした。算術平均粗さは0.15μm以下であることが必要である。
【0037】
(2)光線透過率
下記方法で得られたペレットを160℃で5時間乾燥した後に射出成形機(東芝機械(株)製 EC130SXII―4Y)によりシリンダー温度305℃、金型温度80℃の条件にて射出成形を行い、厚み1mmおよび2mm、幅50mm、長さ25mmの板状試験片を得た。この試験片について、紫外可視近赤外分光光度計(V-770、日本分光(株)製)を用い、波長300~2500nmの範囲の分光光線透過率を1nmピッチで測定した。得られた分光スペクトルより、波長400~700nmおよび波長1050~1100nmの光線透過率の平均値を算出した。
【0038】
(3)メルトボリュームフローレート
下記方法で得られたペレットを使用して、JIS K 7210に従って、300℃、1.2kgの条件で測定した。
【0039】
(4)降温結晶化ピークの面積
示差走査熱量計(NETZSCH製 DSC214)を用い、下記方法で得られたペレット4~7mgを昇温速度20℃/minで25~35℃から300℃まで昇温し、等温で5分間保持し、100℃/min以上の速度で25~35℃まで急冷し、昇温速度10℃/minで300℃まで再度昇温し、等温で5分間保持し、降温速度10℃/minで25~35℃まで降温した際の130~250℃の範囲における熱流曲線に現れる発熱ピークの面積を求めた。なお、発熱ピークが観測されない場合はNDと記載した。
【0040】
[実施例1-11、実施例13、比較例1-5]
表1で示した含有量に従って、A成分およびB成分をタンブラーを用いて混合したものおよびC成分を第1供給口より二軸押出機に供給し、温度300℃、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練押出してペレット化した。ここで第1供給口とは根元の供給口のことである。二軸押出機は、径30mmΦのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX30α-31.5BW-2V)を使用した。
【0041】
[実施例12]
二軸押出機のスクリュー回転数を300rpmとした以外は、実施例1と同様にして溶融混練押出してペレット化した。
【0042】
[参考例1]
二軸押出機の押出温度を280℃とした以外は、実施例1と同様にして溶融混練押出してペレット化した。
【0043】
本発明の実施例および比較例には、以下の材料を使用した。
(A成分)
A-1:製造例Iで得られたポリエチレンナフタレート樹脂
<製造例I>
ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100重量部およびエチレングリコール60重量部を酢酸コバルト四水和物0.010重量部(10ミリモル%)および酢酸マンガン四水和物0.030重量部(30ミリモル%)の存在下、常法によりエステル交換反応させ、メタノール溜出20分後に三酸化アンチモン0.012重量部(10ミリモル%)を添加し、エステル交換反応終了前に正リン酸0.020重量部(50ミリモル%)を添加し、次いで295℃、高真空下重縮合反応を行い固有粘度0.51dl/gのポリエチレンナフタレート樹脂を得た。得られたポリエチレンナフタレート樹脂を、温度227℃、真空度0.5Torrの条件にて8時間固相重合を行い固有粘度が0.68dl/gのポリエチレンナフタレート樹脂を得た。
A-2:製造例IIで得られたポリエチレンナフタレート樹脂
<製造例II>
ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100重量部およびエチレングリコール60重量部を酢酸コバルト四水和物0.010重量部(10ミリモル%)および酢酸マンガン四水和物0.036重量部(36ミリモル%)の存在下、常法によりエステル交換反応させ、メタノール溜出20分後に三酸化アンチモン0.027重量部(23ミリモル%)を添加し、エステル交換反応終了前に正リン酸0.020重量部(50ミリモル%)を添加し、次いで295℃、高真空下重縮合反応を行い固有粘度0.50dl/gのポリエチレンナフタレート樹脂を得た。得られたポリエチレンナフタレート樹脂を、温度227℃、真空度0.5Torrの条件にて8時間固相重合を行い固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンナフタレート樹脂を得た。
A-3(比較例):ポリカーボネート樹脂:パンライトL-1225WX(帝人(株)製、粘度平均分子量:19,700)
【0044】
(B成分)
B-1:製造例IIIで得られたポリブチレンナフタレート樹脂
<製造例III>
2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル315.0部、1.4-ブタンジオール200、0部、テトラーn-ブチルチタネート0.062部をエステル交換反応槽に入れ、エステル交換反応槽が210℃となるように昇温しながら150分間エステル交換反応を行なった。ついで得られた反応生成物を重縮合反応槽に移して重縮合反応を開始した。重縮合反応は常圧から0.13kPa(1torr)以下まで40分かけて除々に重縮合反応層内を減圧し、同時に所定の反応温度260℃まで昇温し、以降は重縮合反応温度が260℃、圧力が0.13kPa(1torr)の状態を維持して140分間重縮合反応を行なった。140分が経過した時点で重縮合反応を終了してポリブチレンナフタレート樹脂をストランド状に抜き出し、水冷しながらカッターを用いてチップ状に切断した。次に、得られたポリブチレンナフタレート樹脂を温度213℃、圧力0.13kPa(1Torr)以下の条件にて8時間固相重合を行い固有粘度が1.05dl/gのポリブチレンナフタレート樹脂を得た。
【0045】
(C1成分)
C1-1:NUBIAN BLACK PC-5857(オリヱント化学工業(株)製、吸収極大波長599nm)
(C2成分)
C2-1:フタロシアニン系色剤FDR-004(山田化学工業(株)製、吸収極大波長720nm)
C2-2:アントラキノン系色剤SDO-7(有本化学工業(株)製、吸収極大波長676nm)
C2-3:アントラキノン系色剤SDO-11(有本化学工業(株)製、吸収極大波長761nm)
C2-4:複素環系色剤SDO-C33(有本化学工業(株)製、吸収極大波長847nm)
C2-5:ペリレン系色剤Lumogen IR-765(BASFジャパン(株)製、吸収極大波長769nm)
【0046】
【表1】
【0047】
<実施例1~13>
本請求の範囲内にある組成物であるため、耐擦傷性に優れ、かつ波長選択的な吸収特性を有し、薄肉部であっても吸収特性が維持される成形体を得ることができた。
<比較例1>
B成分の含有量が下限未満のため、厚み1mmにおける波長1050~1100nmでの光線透過率の平均値が低い結果であった。
<比較例2>
B成分の含有量が上限を上回るため、耐擦傷性に劣る結果であった。
<比較例3>
C成分の含有量が下限未満のため、波長400~700nmでの光線透過率の平均値が高い結果であった。
<比較例4>
C成分の含有量が上限を上回るため、耐擦傷性に劣る結果であった。
<比較例5>
ポリカーボネート樹脂を含んだ樹脂組成物であるため、耐擦傷性に劣る結果であった。
<参考例1>
A成分がポリカーボネート樹脂であるため、耐擦傷性に劣る結果であった。