(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025041059
(43)【公開日】2025-03-26
(54)【発明の名称】凍結乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 11/04 20060101AFI20250318BHJP
F26B 5/06 20060101ALI20250318BHJP
【FI】
F26B11/04
F26B5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148116
(22)【出願日】2023-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】390008431
【氏名又は名称】高砂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】中村 寿樹
(72)【発明者】
【氏名】福島 柚佳
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA06
3L113AA07
3L113AB10
3L113AC24
3L113AC45
3L113AC63
3L113AC68
3L113BA02
3L113BA16
3L113BA36
3L113DA10
(57)【要約】
【課題】被処理物を迅速に乾燥させることができる凍結乾燥装置を提供することを課題とする。
【解決手段】凍結乾燥装置1は、自身の軸周りに回転可能であって、被処理物Wを凍結乾燥するための乾燥室203を有する筒状部2と、乾燥室203を減圧する真空ポンプ3と、乾燥室203と真空ポンプ3との間に配置され、減圧により被処理物Wから昇華した水蒸気を冷却、固化し、捕集するコールドトラップ4と、乾燥室203とコールドトラップ4との間に配置される摺動部5と、を備える。乾燥室203とコールドトラップ4とは、摺動部5を介して、隣接して配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の軸周りに回転可能であって、被処理物を凍結乾燥するための乾燥室を有する筒状部と、
前記乾燥室を減圧する真空ポンプと、
前記乾燥室と前記真空ポンプとの間に配置され、減圧により前記被処理物から昇華した水蒸気を冷却、固化し、捕集するコールドトラップと、
前記乾燥室と前記コールドトラップとの間に配置される摺動部と、
を備え、
前記乾燥室と前記コールドトラップとは、前記摺動部を介して、隣接して配置される凍結乾燥装置。
【請求項2】
前記被処理物は、前記乾燥室において、バッチ処理される請求項1に記載の凍結乾燥装置。
【請求項3】
さらに、前記筒状部を、軸が傾く方向に、傾動可能に支持する架台を備える請求項1に記載の凍結乾燥装置。
【請求項4】
前記筒状部の筒壁の内部には、熱媒体流路が区画され、
前記熱媒体流路は、前記被処理物を加熱する温媒と、前記被処理物を冷却する冷媒と、に共用化される請求項1に記載の凍結乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、医薬品や食品などの乾燥に用いられる凍結乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タンブラー型回転乾燥機(凍結乾燥装置)が開示されている。同文献のタンブラー型回転乾燥機は、回転可能な乾燥機本体を備えている。凍結乾燥処理時において、乾燥機本体内は、回転継手、外部排気管、排気用フレキシブルチューブ、コンデンサー、真空ポンプを経由して、減圧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乾燥機本体とコンデンサーとの間には、回転継手、外部排気管、排気用フレキシブルチューブが介装されている。凍結乾燥処理時においては、乾燥機本体内の被処理物から、水蒸気が発生する。当該水蒸気は、外部排気管、排気用フレキシブルチューブを経由して、コンデンサーに流入し、コンデンサーにおいて冷却、固化される。ここで、水蒸気は、外部排気管、排気用フレキシブルチューブ内を、体積の大きい気体のまま搬送される。このため、乾燥機本体内から迅速に水蒸気を排出することは困難である。すなわち、被処理物を迅速に乾燥させることは困難である。そこで、本開示の凍結乾燥装置は、被処理物を迅速に乾燥させることができる凍結乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するため、本開示の凍結乾燥装置は、自身の軸周りに回転可能であって、被処理物を凍結乾燥するための乾燥室を有する筒状部と、前記乾燥室を減圧する真空ポンプと、前記乾燥室と前記真空ポンプとの間に配置され、減圧により前記被処理物から昇華した水蒸気を冷却、固化し、捕集するコールドトラップと、前記乾燥室と前記コールドトラップとの間に配置される摺動部と、を備え、前記乾燥室と前記コールドトラップとは、前記摺動部を介して、隣接して配置されることを特徴とする。
【0006】
乾燥室とコールドトラップとの間には、摺動部が配置されている。乾燥室とコールドトラップとは、当該摺動部を介して、隣り合わせに配置されている。言い換えると、コールドトラップは、乾燥室の直近に配置されている。このため、被処理物から昇華した水蒸気を、迅速に固化させることができる。したがって、乾燥室とコールドトラップとが離間して配置されている場合と比較して、被処理物を迅速に乾燥させることができる。
【0007】
(1-1)上記(1)の構成において、前記乾燥室を減圧する際の前記コールドトラップの冷却温度は、-30℃以下に設定される構成とする方がよい。本構成によると、冷却温度が-30℃を上回る場合と比較して、到達真空度を高く(圧力を低く)することができる。
【0008】
(1-2)上記いずれかの構成において、前記乾燥室を減圧する際の前記乾燥室の圧力は、600Pa以下に設定される構成とする方がよい。本構成によると、圧力が600Paを上回る場合と比較して、凍結乾燥中に被処理物を液化させることなく昇華させることができる。
【0009】
(1-3)上記いずれかの構成において、前記乾燥室に配置され、前記被処理物を撹拌する撹拌部材を備える構成とする方がよい。本構成によると、筒状部の回転に加えて、撹拌部材の撹拌により、被処理物を動かすことができる。このため、被処理物を迅速に乾燥させることができる。
【0010】
(2)上記いずれかの構成において、前記乾燥室において、前記被処理物は、バッチ処理される構成とする方がよい。仮に、被処理物が連続処理される場合、乾燥室(筒状部)の上流端(被処理物を連続して供給するための供給口)、下流端(被処理物を連続して排出するための排出口)は、常時開口している。したがって、乾燥室を減圧するのは困難である。これに対して、本構成によると、被処理物は、バッチ処理(定量ずつ被処理物を凍結乾燥させる処理)される。このため、乾燥室を簡単に減圧することができる。
【0011】
また、仮に、被処理物が連続処理される場合、次から次に、連続的に未乾燥の被処理物が乾燥室に搬入される。このため、乾燥室において、一定量の蒸発が、不可避的かつ連続的に発生する。凍結乾燥の最終段階では、被処理物をほぼ絶乾状態(絶対乾燥状態。被処理物内部の自由水が除去された状態。被処理物から水分が蒸発しなくなる状態)まで乾燥するために、所定の真空度(例えば100Pa以下)まで乾燥室を減圧する。この際、上述の「一定量の蒸発」が、乾燥室の減圧を阻害してしまう。これに対して、本構成によると、被処理物は、バッチ処理される。このため、乾燥室を、簡単に、所定の真空度まで減圧することができる。
【0012】
(3)上記いずれかの構成において、さらに、前記筒状部を、軸が傾く方向に、傾動可能に支持する架台を備える構成とする方がよい。本構成によると、筒状部の傾動に伴い、乾燥室において、被処理物を、容易に軸方向に移動させることができる。
【0013】
(4)上記いずれかの構成において、前記筒状部の筒壁の内部には、熱媒体流路が区画され、前記熱媒体流路は、前記被処理物を加熱する温媒と、前記被処理物を冷却する冷媒と、に共用化される構成とする方がよい。本構成によると、温媒用の熱媒体流路と冷媒用の熱媒体流路とが各々独立して配置されている場合と比較して、凍結乾燥装置の構造を簡単化することができる。
【0014】
(4-1)上記(4)の構成において、前記温媒、前記冷媒として用いられる温度調整可能な熱媒体を備える構成とする方がよい。本構成によると、同一の熱媒体を、温媒、冷媒として使い分けることができる。
【0015】
(4-2)上記(4-1)の構成において、前記熱媒体の温度調整範囲は、-40℃以上60℃以下である構成とする方がよい。本構成によると、凍結乾燥時に、工程に応じて、熱媒体の温度を-40℃から60℃の範囲で調整することができる。
【0016】
(4-3)上記(4)ないし(4-2)のいずれかの構成において、さらに、前記熱媒体流路に前記熱媒体(前記温媒、前記冷媒)を供給する熱媒体供給部を備え、前記摺動部は、第一回転継手と、第二回転継手と、を有し、前記第一回転継手は、前記乾燥室と前記コールドトラップとを気密的に連結し、前記第二回転継手は、前記熱媒体流路と前記熱媒体供給部とを気密的に連結し、前記第一回転継手と前記第二回転継手とは分離可能である構成とする方がよい。
【0017】
仮に、二つの継手(第一回転継手、第二回転継手)が一体不可分の場合を想定する。この場合、片方の継手だけに不具合が生じた場合であっても双方の継手を同時に交換する必要がある。このため、メンテナンス費用が高騰化してしまう。この点、本構成によると、第一回転継手と第二回転継手とは分離可能である。このため、二つの継手(第一回転継手、第二回転継手)のうち、不具合が生じた継手だけを、交換することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示の凍結乾燥装置によると、被処理物を迅速に乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第一実施形態の凍結乾燥装置の右側面図である。
【
図2】
図2は、同凍結乾燥装置の揺動状態の模式図である。
【
図3】
図3は、同凍結乾燥装置の部分断面図である。
【
図6】
図6は、同凍結乾燥装置の摺動部の分解斜視図である。
【
図7】
図7は、同摺動部の第一回転継手の分解斜視図である。
【
図8】
図8は、同摺動部の第二回転継手(継手側フランジを除く)の分解斜視図である。
【
図9】
図9は、第二実施形態の凍結乾燥装置の径方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の凍結乾燥装置の実施の形態について説明する。
【0021】
<第一実施形態>
図1に、本実施形態の凍結乾燥装置の右側面図を示す。
図2に、同凍結乾燥装置の揺動状態の模式図を示す。
図3に、同凍結乾燥装置の部分断面図(傾動床の上側部分の前後方向断面図)を示す。
図4に、
図3のIV-IV方向断面図を示す。
図5に、
図3の枠V内の拡大図を示す。
図6に、同凍結乾燥装置の摺動部の分解斜視図を示す。
図7に、同摺動部の第一回転継手の分解斜視図を示す。
図8に、同摺動部の第二回転継手(継手側フランジを除く)の分解斜視図を示す。
【0022】
[凍結乾燥装置の構成]
まず、本実施形態の凍結乾燥装置の構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態の凍結乾燥装置1は、筒状部2と、真空ポンプ3と、コールドトラップ4と、摺動部5と、被処理物供給部60と、被処理物搬入部61と、熱媒体供給部62と、冷媒供給部63と、架台9と、を備えている。
【0023】
(架台9)
図1、
図2に示すように、架台9は、後述する筒状部2を、筒状部2の軸(筒軸)Dが傾く方向に、傾動可能に支持している。架台9は、固定台90と、傾動床91と、傾動床駆動部(油圧シリンダ)92と、搬入部支持部93と、筒状部支持部94と、を備えている。
【0024】
図1に示すように、固定台90は、天板900と、脚部901と、を備えている。脚部901は、天板900を下側から支持している。傾動床91は、平板状であって、天板900の上側に配置されている。傾動床91は、第一揺動軸Aを介して、天板900に揺動可能に連結されている。傾動床駆動部92は、脚部901と、傾動床91と、の間に介装されている。傾動床駆動部92は、第二揺動軸Bを介して、脚部901に揺動可能に連結されている。傾動床駆動部92は、第三揺動軸Cを介して、傾動床91に揺動可能に連結されている。
図2に示すように、傾動床駆動部92が伸縮し第三揺動軸Cの位置が変化することにより、傾動床91は、第一揺動軸Aを中心に、揺動可能である。すなわち、傾動床91は、前傾状態(前端が後端より低い状態)Hから後傾状態(後端が前端より低い状態)Kまでの範囲で傾動(第一揺動軸Aを中心とする揺動)可能である。
【0025】
図1、
図3に示すように、搬入部支持部93は、傾動床91の上面に配置されている。搬入部支持部93は、前後二つの軸受930を備えている。筒状部支持部94は、傾動床91の上面に配置されている。筒状部支持部94は、前後二つのローラー装置940を備えている。
【0026】
図1、
図3、
図4に示すように、後側のローラー装置940は、左右二つのローラー部940aを備えている。右側のローラー部940aは、前後二つの軸受940bと、ローラー940cと、を備えている。ローラー940cは、前後二つの軸受940bの間に配置されている。ローラー940cは、前後二つの軸受940bにより、自身の軸周りに回転可能である。
【0027】
図4に示すように、後側のローラー装置940において、左側のローラー部940aの構成は、上述の右側のローラー部940aの構成と、同じである。
図3に示すように、前側のローラー装置940の構成は、後側のローラー装置940の構成と、同じである。
【0028】
(筒状部2)
図1、
図3、
図4に示すように、筒状部2は、筒壁20と、蓋壁21と、筒状部側フランジ22と、前後二つのタイヤ23と、を備えている。筒壁20は、筒状であって、前後方向(軸方向。傾動床91と平行な方向)に延在している。筒壁20は、外周壁200と内周壁201とを備えている。内周壁201は、外周壁200の径方向(筒状部2の軸Dを中心とする径方向)内側に配置されている。
【0029】
図4に示すように、内周壁201の径方向内側には、被処理物(被乾燥物)Wを凍結乾燥するための、乾燥室203が区画されている。被処理物Wは、乾燥室203においてバッチ処理される。外周壁200と内周壁201との間(筒壁20の内部)には、乾燥室203の温度を調整するための、熱媒体流路202が区画されている。
【0030】
図3に示すように、蓋壁21は、円板状であって、筒壁20の前端(軸方向一端)に着脱可能に配置されている。蓋壁21は、筒壁20の前端開口を覆っている。蓋壁21は、筒壁20の前端開口を、開閉可能である。
【0031】
図3に示すように、筒状部側フランジ22は、円板状であって、筒壁20の後端(軸方向他端)に配置されている。筒状部側フランジ22は、筒壁20の後端開口に固定されている。
図5に示すように、筒状部側フランジ22の径方向中心には、筒状部側連通孔220が開設されている。
【0032】
図3に示すように、前後二つのタイヤ23は、外周壁200の外周面から径方向外側に突設されている。
図4に示すように、後側のタイヤ23は、後側のローラー装置940の左右二つのローラー部940a(具体的にはローラー940c)に、回転可能に載置されている。同様に、前側のタイヤ23は、前側のローラー装置940の左右二つのローラー部940a(具体的にはローラー940c)に、回転可能に載置されている。前後二つのタイヤ23つまり筒状部2は、自身の軸D周りに回転可能である。
【0033】
(真空ポンプ3)
図3に示すように、真空ポンプ3は、傾動床91の上面に配置されている。真空ポンプ3は、乾燥室203を減圧可能である。乾燥室203と真空ポンプ3との間には、「乾燥室203→後述の冷却室41→真空ポンプ3」という経路を辿る排気経路Eが形成されている。
【0034】
(コールドトラップ4)
図3に示すように、コールドトラップ4は、乾燥室203と真空ポンプ3との間に配置されている。コールドトラップ4は、減圧により被処理物Wから昇華した水蒸気を冷却、固化(凝華)する。コールドトラップ4は、ハウジング40と、冷却室41と、冷却配管42と、脚部44と、を備えている。
【0035】
図1、
図3に示すように、脚部44は、傾動床91の上面に配置されている。ハウジング40は、脚部44の上側に配置されている。ハウジング40は、箱状を呈している。
図5に示すように、ハウジング40の前壁400には、トラップ側連通孔400aが開設されている。冷却室41は、ハウジング40の内部に配置されている。
図3に示すように、冷却配管42は、冷却室41に配置されている。冷却配管42は、前後方向に延在する螺旋状(コイル状)を呈している。冷却配管42の内部には、冷媒流路420が配置されている。
【0036】
(摺動部5)
図3、
図5に示すように、摺動部5は、筒状部2(乾燥室203)と、コールドトラップ4(冷却室41)と、の間に配置されている。乾燥室203と冷却室41とは、摺動部5を介して、隣接して配置されている。
図5、
図6に示すように、摺動部5は、第一回転継手50と、第二回転継手51と、を備えている。
【0037】
(第一回転継手50)
図3、
図5、
図7に示すように、第一回転継手50は、回転側(筒状部2の回転に伴い回転する側)の乾燥室203と、固定側(筒状部2が回転しても回転しない側)の冷却室41と、を気密的に連結している。第一回転継手50は、第一回転側インナー部材500と、第一固定側アウター部材501と、前後二つの軸受502と、前後二つのシールリング503と、を備えている。
【0038】
第一回転側インナー部材500は、筒状部2の筒状部側フランジ22の後面(筒状部側連通孔220の孔縁部分)に固定されている。第一回転側インナー部材500は、筒状であって、前後方向に延在している。第一回転側インナー部材500の後端は、コールドトラップ4のハウジング40の前壁400のトラップ側連通孔400aに挿入されている。
【0039】
第一固定側アウター部材501は、第一回転側インナー部材500の径方向外側に配置されている。第一固定側アウター部材501は、トラップ側連通孔400aの孔縁部分に、気密的に固定されている。第一固定側アウター部材501は、筒状であって、前後方向に延在している。
【0040】
第一固定側アウター部材501の内周面には、前後二つの環状の軸受収容溝501aと、前後二つの環状のシールリング収容溝501bと、が凹設されている。前後二つの軸受収容溝501aは、第一固定側アウター部材501の前後方向両端に配置されている。軸受収容溝501aには、環状の軸受502が収容されている。軸受502は、第一固定側アウター部材501に対して、第一回転側インナー部材500を、回転可能に支持している。
【0041】
前後二つのシールリング収容溝501bは、前後二つの軸受収容溝501aの前後方向中間に配置されている。シールリング収容溝501bには、環状のシールリング503が収容されている。シールリング503は、第一固定側アウター部材501に固定され、第一回転側インナー部材500に摺接している。シールリング503は、第一固定側アウター部材501と第一回転側インナー部材500との隙間を、封止している。
【0042】
(第二回転継手51)
図3、
図5、
図8に示すように、第二回転継手51は、回転側の熱媒体流路202と、固定側の熱媒体供給部62と、を気密的に連結している。第二回転継手51は、第二固定側インナー部材510と、第二回転側アウター部材511と、前後二つの軸受512と、前後三つのシールリング513と、継手側フランジ514と、を備えている。
【0043】
第二固定側インナー部材510は、第一固定側アウター部材501の外周面に環装されている。第二固定側インナー部材510は、筒状であって、前後方向に延在している。第一固定側アウター部材501つまり第一回転継手50は、第二固定側インナー部材510つまり第二回転継手51の径方向内側に、配置されている。第二回転継手51の径方向内側から第一回転継手50を抜き出すことにより、第一回転継手50と第二回転継手51とは、簡単に分離可能である。すなわち、第一回転継手50と第二回転継手51とは、各々独立してメンテナンス(修理、交換など)可能である。
【0044】
第二固定側インナー部材510の外周面には、環状の熱媒体供給溝510aと、環状の熱媒体排出溝510bと、前後三つの環状のシールリング収容溝510cと、が凹設されている。これらの溝は、前後方向に交互に並んでいる。具体的には、これらの溝は、前側から後側に向かって、「シールリング収容溝510c→熱媒体供給溝510a→シールリング収容溝510c→熱媒体排出溝510b→シールリング収容溝510c」の順に並んでいる。このように、熱媒体供給溝510aの前後方向両側には、二つのシールリング収容溝510cが配置されている。同様に、熱媒体排出溝510bの前後方向両側には、二つのシールリング収容溝510cが配置されている。
【0045】
シールリング収容溝510cには、環状のシールリング513が収容されている。シールリング513は、第二固定側インナー部材510に固定され、第二回転側アウター部材511に摺接している。シールリング513は、第二固定側インナー部材510と第二回転側アウター部材511との隙間を、封止している。
【0046】
第二固定側インナー部材510の筒壁内部には、インナー側熱媒体供給孔510dと、インナー側熱媒体排出孔510eと、が形成されている。インナー側熱媒体供給孔510dは、第二固定側インナー部材510の後端面と、熱媒体供給溝510aの溝底面と、を連結している。インナー側熱媒体排出孔510eは、第二固定側インナー部材510の後端面と、熱媒体排出溝510bの溝底面と、を連結している。インナー側熱媒体供給孔510dとインナー側熱媒体排出孔510eとは、中心角180°(中心は
図1に示す軸D。以下同様)だけずれて(径方向に対向して)配置されている。
【0047】
第二回転側アウター部材511は、第二固定側インナー部材510の径方向外側に配置されている。第二回転側アウター部材511は、筒状であって、前後方向に延在している。第二回転側アウター部材511の内周面には、前後二つの環状の軸受収容溝511aが凹設されている。前後二つの軸受収容溝511aは、第二回転側アウター部材511の前後方向両端(三つのシールリング収容溝510cの前後方向外側)に配置されている。軸受収容溝511aには、環状の軸受512が収容されている。軸受512は、第二固定側インナー部材510に対して、第二回転側アウター部材511を、回転可能に支持している。
【0048】
第二回転側アウター部材511の筒壁内部には、アウター側熱媒体供給孔511dと、アウター側熱媒体排出孔511eと、が形成されている。アウター側熱媒体供給孔511dは、筒壁を径方向に貫通している。アウター側熱媒体供給孔511dの径方向内端は、熱媒体供給溝510aに連通している。アウター側熱媒体排出孔511eは、筒壁を径方向に貫通している。アウター側熱媒体排出孔511eの径方向内端は、熱媒体排出溝510bに連通している。アウター側熱媒体供給孔511dとアウター側熱媒体排出孔511eとは、中心角180°だけずれて(径方向に対向して)配置されている。
【0049】
図5に示すように、継手側フランジ514は、円環板状を呈している。継手側フランジ514は、第二回転側アウター部材511の前端面に固定されている。継手側フランジ514と筒状部側フランジ22とは、複数の連結部材(スペーサー付きのボルト)99により、連結されている。
【0050】
(被処理物供給部60)
図3に示すように、被処理物供給部(ホッパー)60は、脚部600を介して、傾動床91の上面に配置されている。被処理物供給部60は、筒状部2の前側に配置されている。被処理物供給部60には、処理前の被処理物Wが貯留されている。
【0051】
(被処理物搬入部61)
図3に示すように、被処理物搬入部(スクリューフィーダー)61は、筒状部2の前側に配置されている。被処理物搬入部61は、供給配管98を介して、被処理物供給部60の下側に連なっている。被処理物搬入部61の回転軸(軸Dと同軸)は、搬入部支持部93の二つの軸受930により、回転可能に支持されている。被処理物搬入部61の後側部分は、蓋壁21を貫通して、乾燥室203に挿入されている。被処理物搬入部61は、被処理物供給部60から流下した被処理物Wを、乾燥室203に搬送している。
【0052】
(熱媒体供給部62)
図3に示すように、熱媒体供給部62は、傾動床91の上面に配置されている。熱媒体供給部62は、第二回転継手51を介して、熱媒体流路202に熱媒体(温媒、冷媒)を供給する。熱媒体供給部62は、温度調整部(図略、熱交換器など)、液送部(図略、ポンプなど)を備えている。温度調整部は、熱媒体の温度を、所定の温度に調整可能である。液送部は、熱媒体を圧送可能である。
【0053】
図3、
図5に示すように、熱媒体供給部62と熱媒体流路202との間には、「熱媒体供給部62→第二回転継手51(詳しくは、インナー側熱媒体供給孔510d→熱媒体供給溝510a→アウター側熱媒体供給孔511d)→熱媒体流路202→第二回転継手(詳しくは、アウター側熱媒体排出孔511e→熱媒体排出溝510b→インナー側熱媒体排出孔510e)→再び熱媒体供給部62」という経路(循環路)を辿る熱媒体経路Fが形成されている。
【0054】
(冷媒供給部63)
図3に示すように、冷媒供給部63は、傾動床91の上面に配置されている。冷媒供給部63は、冷媒流路420に冷媒を供給する。冷媒供給部63は、温度調整部(図略、熱交換器など)、液送部(図略、ポンプなど)を備えている。温度調整部は、冷媒の温度を所定の温度に調整可能である。液送部は、冷媒を圧送可能である。冷媒供給部63と冷媒流路420との間には、「冷媒供給部63→冷媒流路420→再び冷媒供給部63」という経路(循環路)を辿る冷媒経路Gが形成されている。
【0055】
[凍結乾燥方法]
次に、本実施形態の凍結乾燥装置を用いた凍結乾燥方法について説明する。凍結乾燥方法は、供給工程と、凍結工程と、減圧工程と、復圧工程と、排出工程と、を有している。供給工程においては、
図3に示す被処理物搬入部61を駆動し、被処理物供給部60から乾燥室203に、処理前(乾燥前)の被処理物Wを搬送する。被処理物Wは、定量だけ乾燥室203に供給される。次に、供給配管98に配置された供給バルブ(図略)を閉め、被処理物供給部60と乾燥室203との連通を遮断する。
【0056】
凍結工程においては、まず、
図1、
図3に示すローラー装置940を駆動し、筒状部2を自身の軸D周りに回転させる。並びに、
図2に示すように、傾動床91つまり筒状部2を、前傾状態Hから後傾状態Kまでの範囲で、揺動させる。次に、筒状部2を回転、揺動させたまま、熱媒体経路Fを介して、低温の熱媒体(冷媒)を熱媒体流路202に供給し、乾燥室203を所定温度まで冷却する。被処理物Wは、筒状部2の複雑な動きに応じて、乾燥室203を移動しながら、速やかに凍結する。
【0057】
減圧工程においては、まず、冷媒経路Gを介して、冷媒を冷媒流路420に供給し、冷却室41を所定温度まで冷却する。次に、排気経路Eに配置された減圧バルブ(図略)を開き、真空ポンプ3を駆動し、排気経路Eを介して、所定圧力まで乾燥室203を減圧する。
【0058】
低温下での減圧により、凍結状態の被処理物Wからは水蒸気が発生する(昇華)。すなわち、被処理物Wは乾燥する。被処理物Wから発生した水蒸気は、コールドトラップ4において、冷却配管42に付着し、冷却され、固化(凝華)する。すなわち、水蒸気は氷になる。なお、水蒸気以外の非凝縮性ガス(空気など)は、コールドトラップ4を通過し、真空ポンプ3から排気される。
【0059】
続いて、熱媒体供給部62の温度調整部が熱媒体を加熱し(温媒化し)、乾燥室203の温度を、氷点を上回る温度まで、上昇させる。並びに、所定圧力まで乾燥室203をさらに減圧する。すなわち、被処理物Wの残留水分をさらに蒸発させる。
【0060】
復圧工程においては、筒状部2の動き(回転、揺動)を停止し、図示しないガス供給配管を介して、乾燥室203に乾燥空気(あるいは不活性ガス)を導入する。すなわち、乾燥室203の圧力を大気圧に戻す。排出工程においては、筒状部2を
図2に示す前傾状態Hに変化させ、蓋壁21を筒状部2から取り外す。そして、乾燥室203から処理後(乾燥後)の被処理物Wを取り出す。
【0061】
[作用効果]
次に、本実施形態の凍結乾燥装置の作用効果について説明する。
図5に示すように、乾燥室203と摺動部5とコールドトラップ4とは、前後方向に一列に並んでいる。乾燥室203とコールドトラップ4との間には、摺動部5が配置されている。摺動部5は、コールドトラップ4に対する筒状部2の回転を確保するために、必須である。乾燥室203とコールドトラップ4とは、当該摺動部5を介して、隣り合わせに配置されている。言い換えると、コールドトラップ4は、乾燥室203の直近に配置されている。このため、被処理物Wから昇華した水蒸気を、迅速に固化させることができる。したがって、乾燥室203とコールドトラップ4とが離間して配置されている場合と比較して、被処理物Wを迅速に乾燥させることができる。また、乾燥室203とコールドトラップ4との間には、摺動部5のみが配置されている。このため、乾燥室203とコールドトラップ4との間の距離を最短化することができる。
【0062】
図5、
図6に示す第一回転継手50は、減圧対象である乾燥室203と、冷却室41と、を連結している。このため、第一回転継手50には、高い気密性が要求される。他方、第二回転継手51は、熱媒体流路202と、熱媒体供給部62と、を連結している。このため、第二回転継手51には、第一回転継手50ほどの高い気密性は、要求されない。
【0063】
仮に、二つの継手(第一回転継手50、第二回転継手51)が一体不可分の場合を想定する。この場合、片方の継手だけに不具合が生じた場合であっても双方の継手を同時に交換する必要がある。このため、メンテナンス費用が高騰化してしまう。とりわけ、低気密性の第二回転継手51のみ不具合が生じた場合は、第二回転継手51のみならず、高気密性の第一回転継手50までも交換する必要があり、メンテナンス費用が高騰化してしまう。
【0064】
この点、
図5、
図6に示すように、本実施形態の凍結乾燥装置1によると、第二回転継手51の径方向内側から第一回転継手50を抜き出すことにより、第一回転継手50と第二回転継手51とを、簡単に分離することができる。すなわち、第一回転継手50と第二回転継手51とは、各々独立してメンテナンス(修理、交換など)可能である。このため、二つの継手(第一回転継手50、第二回転継手51)のうち、不具合が生じた継手だけを、交換することができる。
【0065】
図5に示すように、二つの継手は、径方向に積層されている。すなわち、二つの継手は、前後方向(軸方向)同位置に配置されている。このため、二つの継手が前後方向にずれて配置されている形態(勿論、この形態も本開示の技術的範囲に含まれる)と比較して、摺動部5の前後方向長さを短縮化することができる。
【0066】
減圧工程において、コールドトラップ4の冷却温度(冷却室41の温度)は、-30℃以下に設定されている。このため、冷却温度が-30℃を上回る場合と比較して、到達真空度を高く(圧力を低く)することができる。
【0067】
減圧工程において、乾燥室203の圧力は、600Pa以下に設定されている。このため、圧力が600Paを上回る場合と比較して、凍結乾燥中に被処理物Wを液化させることなく昇華させることができる。
【0068】
仮に、被処理物Wが連続処理される場合、
図3に示す筒状部2の上流端(被処理物Wを連続して供給するための供給口)、下流端(被処理物Wを連続して排出するための排出口)は、常時開口している。したがって、減圧工程において、乾燥室203を減圧するのは困難である。これに対して、本実施形態の凍結乾燥装置1によると、供給工程において、被処理物Wは、定量ずつ乾燥室203に搬入される。その後の工程(凍結工程、減圧工程、復圧工程、排出工程)においても、被処理物Wは定量ずつ処理される。すなわち、被処理物Wは、バッチ処理される。このため、減圧工程において、乾燥室203を簡単に減圧することができる。
【0069】
図2に示すように、架台9は、筒状部2を、軸Dが傾く方向に、傾動可能に支持している。このため、筒状部2の傾動に伴い、乾燥室203において、被処理物Wを、容易に軸方向(軸Dの延在方向)に移動させることができる。
【0070】
図3、
図4に示すように、内周壁201の内周面は、平滑面である。すなわち、内周面には、凹凸が形成されていない。この点においても、筒状部2の傾動に伴い、被処理物Wを、容易に軸方向に移動させることができる。また、
図3、
図4に示すように、架台9は、筒状部2を、軸D周りに回転可能に支持している。このため、筒状部2の回転に伴い、被処理物Wを、容易に周方向に移動させることができる。このように、乾燥室203において、被処理物Wは、軸方向や周方向に移動する。このため、被処理物Wが静置乾燥される場合と比較して、減圧工程において、被処理物Wの上面が水蒸気層(膜)により覆われにくい。したがって、減圧時間つまり乾燥時間を短縮化することができる。
【0071】
図3、
図4に示すように、筒状部2の筒壁20の内部には、熱媒体流路202が区画されている。熱媒体流路202は、被処理物Wを加熱する温媒と、被処理物Wを冷却する冷媒と、に共用化されている。このため、温媒用の熱媒体流路と冷媒用の熱媒体流路とが各々独立して配置されている場合(勿論、この場合も本開示の技術的範囲に含まれる)と比較して、凍結乾燥装置1の構造を簡単化することができる。また、熱媒体流路202に供給される熱媒体は、温媒、冷媒兼用である。すなわち、熱媒体は、熱媒体供給部62の温度調整部における温度調整(加熱、冷却)により、温媒または冷媒として使い分けられる。このため、温媒、冷媒が各々専用である場合(勿論、この場合も本開示の技術的範囲に含まれる)と比較して、凍結乾燥装置1の構造を簡単化することができる。また、熱媒体流路202の熱媒体の温度は、-40℃以上60℃以下の温度調整範囲で、調整可能である。このため、当該温度調整範囲内において、熱媒体の温度を、温媒用の温度と、冷媒用の温度と、に切り替えて設定することができる。
【0072】
凍結乾燥装置1はバッチ式である。また、減圧工程において、乾燥室203を回転、傾動可能である。このため、被処理物Wの全体をまんべんなく乾燥させることができる。したがって、被処理物Wを均質化することができる。
【0073】
<第二実施形態>
本実施形態の凍結乾燥装置と、第一実施形態の凍結乾燥装置との相違点は、乾燥室に撹拌部材が配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
図9に、第二実施形態の凍結乾燥装置の径方向断面図を示す。なお、
図4と対応する部位については、同じ符号で示す。
図9の断面は、
図3、
図4に示すIV-IV方向断面に対応している。
【0074】
図9に示すように、乾燥室203には、中心角45°ずつ離間して、複数の撹拌部材(撹拌フィン)201aが配置されている。撹拌部材201aは、内周壁201の内周面から径方向内側に立設されている。撹拌部材201aは、前後方向に延在している。
【0075】
本実施形態の凍結乾燥装置1と、第一実施形態の凍結乾燥装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の凍結乾燥装置1は、撹拌部材201aを備えている。このため、筒状部2の回転に伴い、被処理物Wを掻き上げることができる。また、掻き上げた被処理物Wを、被処理物Wの自重を利用して、落下させることができる。このため、被処理物Wを迅速に乾燥させることができる。また、被処理物Wを簡単に均質化することができる。
【0076】
<その他>
以上、本開示の凍結乾燥装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0077】
図1に示す真空ポンプ3、被処理物供給部60、熱媒体供給部62、冷媒供給部63の配置場所は特に限定しない。これらの部材は、傾動床91に配置しても、配置しなくてもよい。例えば、これらの部材のうち少なくとも一つの部材を、工場の床面(固定台90が配置されている床面)などに配置してもよい。ハウジング40の形状は特に限定しない。方形状、円筒状、多角形筒状などであってもよい。ハウジング40は、内部に冷却室41を確保可能な容器であればよい。
【0078】
図5に示す摺動部5の構成は特に限定しない。第一回転継手50と第二回転継手51とが別々の場所に配置されていてもよい。例えば、第一回転継手50だけが、乾燥室203とコールドトラップ4との間に配置されていてもよい。
【0079】
図5に示す乾燥室203と摺動部5とコールドトラップ4との並置方向は特に限定しない。前後方向(
図5参照)であっても、あるいは径方向であってもよい。乾燥室203と摺動部5とコールドトラップ4とを径方向に並置する場合、一例として、
図5に示す前壁400のトラップ側連通孔400aを大径化し、当該トラップ側連通孔400aに筒状部2の後端部を挿入してもよい。そして、トラップ側連通孔400aの内周面と筒状部2の外周面との環状の隙間(径方向隙間)に、摺動部5を配置してもよい。この場合であっても、乾燥室203とコールドトラップ4とは、摺動部5を介して、隣接して配置されている。
【0080】
第一回転継手50に対する第二回転継手51の環装状態は特に限定しない。第一回転継手50と第二回転継手51とが連結されていなくてもよい。あるいは、連結部材(ボルト、スクリュー、クランプなど)により、第一回転継手50と第二回転継手51とが連結されていてもよい。この場合であっても、連結部材を取り外すことにより、第一回転継手50と第二回転継手51とを簡単に分離することができる。
【0081】
図2に示す筒状部2は傾動しなくてもよい。すなわち、架台9が、筒状部2を傾動不可能に支持していてもよい。傾動不可能な場合、筒状部2の軸Dの延在方向は特に限定しない。水平方向であっても、水平方向および垂直方向に対して交差する方向であってもよい。
図4に示す筒状部2の筒壁20の形状は特に限定しない。円筒状、多角形(四角形、五角形、六角形、八角形など)筒状などであってもよい。乾燥室203に、
図9に示す撹拌部材(撹拌フィン)201a以外の部材を配置してもよい。例えば、筒状部2の回転に応じて転動する転動部材を、乾燥室203に配置してもよい。
【0082】
図3に示す熱媒体経路Fを流れる温媒、冷媒兼用の熱媒体、冷媒経路Gを流れる冷媒の種類は特に限定しない。熱媒体としては、気体では空気、窒素など、液体ではシリコンオイル、不凍液(エチレングリコール)、エタノールなどを用いることができる。冷媒としては、シリコンオイル、液体窒素、エタノール、メタノール、ノンフロン冷媒(イソブタン、エチレン、メタン)などを用いることができる。
【0083】
凍結工程は、凍結乾燥装置1の外部で行ってよい。すなわち、予め凍結済みの被処理物Wを乾燥室203に搬入し、乾燥させてもよい。この場合、凍結乾燥方法は、凍結工程、供給工程、減圧工程、復圧工程、排出工程の順に実行される。
【0084】
熱媒体供給部62の温度調整部の使用方法は特に限定しない。減圧工程においては、低温下での減圧により、凍結状態の被処理物Wからは水蒸気が発生する(昇華)。すなわち、被処理物Wは乾燥する。ここで、昇華(氷→水蒸気)は吸熱反応である。昇華熱により、乾燥室203の温度は低下してしまう。この際、熱媒体供給部62の温度調整部が、乾燥室203の温度低下に応じて、熱媒体を加熱してもよい。すなわち、昇華熱による温度低下を相殺可能な熱エネルギーを、熱媒体を介して、乾燥室203に供給してもよい。
【0085】
被処理物Wの種類は特に限定しない。薬品(人間用医薬品、動物用医薬品、試薬、農薬、肥料、害虫駆除薬など)、食品(果物、穀物、人間用食品、動物用食品など)、工業原料、廃棄物などであってもよい。被処理物Wの性状は特に限定しない。粉状、粒状、塊状、あるいはこれらの混合状態などであってもよい。乾燥室203、冷却室41の圧力、温度、雰囲気は特に限定しない。被処理物Wを所望のレベルまで乾燥できればよい。
【符号の説明】
【0086】
1:凍結乾燥装置、2:筒状部、20:筒壁、200:外周壁、201:内周壁、201a:撹拌部材、202:熱媒体流路、203:乾燥室、21:蓋壁、22:筒状部側フランジ、220:筒状部側連通孔、23:タイヤ、3:真空ポンプ、4:コールドトラップ、400:前壁、400a:トラップ側連通孔、5:摺動部、9:架台、40:ハウジング、41:冷却室、42:冷却配管、420:冷媒流路、44:脚部、50:第一回転継手、500:第一回転側インナー部材、501:第一固定側アウター部材、501a:軸受収容溝、501b:シールリング収容溝、502:軸受、503:シールリング、51:第二回転継手、510:第二固定側インナー部材、510a:熱媒体供給溝、510b:熱媒体排出溝、510c:シールリング収容溝、510d:インナー側熱媒体供給孔、510e:インナー側熱媒体排出孔、511:第二回転側アウター部材、511a:軸受収容溝、511d:アウター側熱媒体供給孔、511e:アウター側熱媒体排出孔、512:軸受、513:シールリング、514:継手側フランジ、60:被処理物供給部、600:脚部、61:被処理物搬入部、62:熱媒体供給部、63:冷媒供給部、90:固定台、900:天板、901:脚部、91:傾動床、92:傾動床駆動部、93:搬入部支持部、930:軸受、94:筒状部支持部、940:ローラー装置、940a:ローラー部、940b:軸受、940c:ローラー、98:供給配管、A:第一揺動軸、B:第二揺動軸、C:第三揺動軸、D:軸、E:排気経路、F:熱媒体経路、G:冷媒経路、H:前傾状態、K:後傾状態、W:被処理物