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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025041237
(43)【公開日】2025-03-26
(54)【発明の名称】二軸引張試験機
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/02 20060101AFI20250318BHJP
   G01N 3/08 20060101ALI20250318BHJP
【FI】
G01N3/02 Z
G01N3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148411
(22)【出願日】2023-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】591287118
【氏名又は名称】学校法人日本工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 英男
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA01
2G061AB01
2G061AB09
2G061BA01
2G061CA01
2G061CB01
2G061CC03
2G061CC09
2G061DA01
2G061EA01
2G061EB05
(57)【要約】
【課題】荷重比一定での試験が実現でき、かつ安価・簡便な二軸引張試験機を提供する。
【解決手段】二軸引張試験機は、互いに直交する二軸の四方向に沿って試験片を引っ張る二軸引張試験機であって、前記試験片の四方向の部分を各別に保持する複数の保持部と、前記複数の保持部に各別に接続される複数の接続部と、前記複数の接続部に対してループ状に架け渡される架設部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する二軸の四方向に沿って試験片を引っ張る二軸引張試験機であって、
前記試験片の四方向の部分を各別に保持する複数の保持部と、
前記複数の保持部に各別に接続される複数の接続部と、
前記複数の接続部に対してループ状に架け渡される架設部と、を備える、
二軸引張試験機。
【請求項2】
前記複数の接続部に対して前記架設部が架け渡される角度は、任意の角度に変更可能とされる、
請求項1に記載の二軸引張試験機。
【請求項3】
前記二軸の一方の第1軸に沿う方向を第1軸方向とし、前記二軸の他方の第2軸に沿う方向を第2軸方向とし、前記試験片に荷重が負荷されるとき、前記架設部において前記第1軸方向の一部は前記試験片の引張方向に対して平行に延び、前記架設部において前記第2軸方向の一部は前記第1軸方向に対して角度θで延びており、
前記第1軸方向の荷重Fxと前記第2軸方向の荷重Fyとの比Fx:Fyは、
Fx:Fy=1:sinθで示される、
請求項1又は2に記載の二軸引張試験機。
【請求項4】
前記複数の保持部に各別に接続された複数のロードセルを更に備え、
前記四方向の中央から前記保持部、前記ロードセル、前記接続部の順に並んでいる、
請求項1又は2に記載の二軸引張試験機。
【請求項5】
前記複数の接続部の各々は、前記ロードセルを挟んで前記保持部とは反対側の位置に、前記架設部が架け渡される複数のプーリを備える、
請求項4に記載の二軸引張試験機。
【請求項6】
前記架設部のうち前記複数のプーリに架け渡された部分と、前記ロードセルと、前記保持部とは、前記四方向において同軸上に配置される、
請求項5に記載の二軸引張試験機。
【請求項7】
前記複数のプーリのうち前記ロードセルに最も近い位置に配置される第1プーリを支持する第1支持部と、
前記保持部及び前記第1支持部を前記四方向において直線上に案内するガイド部と、を更に備える、
請求項6に記載の二軸引張試験機。
【請求項8】
前記四方向に各別に配置される複数の前記第1支持部に接続されるパンタグラフ機構を更に備える、
請求項7に記載の二軸引張試験機。
【請求項9】
前記ガイド部を支持するベースプレートを更に備える、
請求項7に記載の二軸引張試験機。
【請求項10】
前記複数のプーリのうち前記第1プーリとは異なる位置に配置される第2プーリを支持する第2支持部を更に備え、
前記ベースプレートには、平面視で前記ガイド部と重ならない位置に、前記第2支持部を着脱可能に取付可能な複数の取付穴が形成される、
請求項9に記載の二軸引張試験機。
【請求項11】
前記架設部は、ロープである、
請求項1又は2に記載の二軸引張試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二軸引張試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
十字形状の試験片を引っ張ることにより引張り試験を行う二軸引張試験機が知られている。例えば、二軸引張試験機としては、応力比制御型二軸引張試験機及び変位比固定型二軸引張試験治具がある。
応力比制御型二軸引張試験機は、駆動源の油圧シリンダをフィードバック制御することで応力比一定とするものである(例えば、非特許文献1参照)。この応力比制御型二軸引張試験機は、試験終了まで応力比一定で測定でき、直線的な応力履歴を与えられるため、適切に材料の塑性特性の数式化に使うことができる。しかし、高精度な専用試験機であるため、高価である。
変位比固定型二軸引張試験治具は、単軸引張試験機に取り付けて荷重を加えることでアームが四方向にスライドするものである。この変位比固定型二軸引張試験治具は、駆動源をもたない治具なので安価である。しかし、試験片の腕部の伸び変形が生じるため、ひずみ比さえ一定にならず、この結果、応力比一定の試験も行うことができない。このため、実験データをそのまま塑性特性のモデルに使うことは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表WO2015/173915号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】サーボモータハイドロテック方式による二軸引張試験機の開発, S.MATSUMOTO, K.TASHIRO, A.MAZAKI, S.IKEDA, K.YOSHIDA, S.TAKAHASHI, T.KUWABARA, Journal of the JSTP vol.53 no.623 (2012-12) 1065
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の応力比制御型二軸引張試験機は、応力比一定(荷重比一定)で測定はできるが、専用試験機であり高価である。一方、変位比固定型二軸引張試験治具は、試験治具であり安価ではあるが、応力比やひずみ比を制御できない。そのため、荷重比一定での試験が実現でき、かつ安価・簡便な二軸引張試験機が望まれている。
【0006】
そこで本発明は、荷重比一定での試験が実現でき、かつ安価・簡便な二軸引張試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る二軸引張試験機は、互いに直交する二軸の四方向に沿って試験片を引っ張る二軸引張試験機であって、前記試験片の四方向の部分を各別に保持する複数の保持部と、前記複数の保持部に各別に接続される複数の接続部と、前記複数の接続部に対してループ状に架け渡される架設部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、荷重比一定での試験が実現でき、かつ安価・簡便な二軸引張試験機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る二軸引張試験機を単軸引張試験機に組み付けた状態を示す斜視図。
図2】第1実施形態に係る二軸引張試験機の斜視図。
図3】第1実施形態に係る二軸引張試験機の平面図。
図4】第1実施形態に係る二軸引張試験機の一部を拡大して示す斜視図。
図5】第1実施形態に係る二軸引張試験機の荷重比の設定例1を示す平面図。
図6】第1実施形態に係る二軸引張試験機の荷重比の設定例2を示す平面図。
図7】第1実施形態に係る二軸引張試験機の荷重比の設定例3を示す平面図。
図8】第1実施形態に係る二軸引張試験機の荷重比の設定例4を示す平面図。
図9】第2実施形態に係る二軸引張試験機の側面図。
図10】第2実施形態に係る二軸引張試験機の平面図。
図11】実施例1-4の荷重比一定の予察試験結果の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態においては、二軸引張試験機の一例として、単軸引張試験機に組み付けることで十字形状の試験片を引っ張り可能に構成された単軸駆動型二軸引張試験機の例を挙げて説明する。
【0011】
以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置や状態を意味するのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している配置や状態をも含むものとする。以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更して示す場合がある。
【0012】
<第1実施形態>
<単軸引張試験機>
まず、二軸引張試験機1が組み付けられる単軸引張試験機100について説明する。
図1は、第1実施形態に係る二軸引張試験機1を単軸引張試験機100に組み付けた状態を示す斜視図である。
図1に示すように、単軸引張試験機100は、二軸引張試験機1が組み付けられる試験機である。単軸引張試験機100は、上下方向(鉛直方向)に立設している。単軸引張試験機100は、基台101、支柱102及びクロスヘッド103を備える。
【0013】
以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。X方向は、試験機の幅方向に相当する。Y方向は、試験機の奥行方向に相当する。Z方向は、X方向及びY方向に直交する試験機の高さ方向(重力方向)に相当する。以下の説明では、X方向、Y方向及びZ方向のうち、図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(-)側として説明する。+Z側は重力方向の上側に相当し、-Z側は重力方向の下側に相当する。
【0014】
基台101は、直方体状を有する。基台101は、水平面に沿う上面を有する。
支柱102は、上下方向に立設している。支柱102は、基台101を挟んで一対設けられる。一対の支柱102の下部は、基台101に連結されている。
クロスヘッド103は、基台101の上方に配置される。クロスヘッド103は、一対の支柱102の間に配置される。クロスヘッド103は、上下方向に沿って移動可能に構成される。
【0015】
例えば、クロスヘッド103は、モータで駆動されるボールネジ機構等の駆動機構によって上下方向に移動可能に構成されても、油圧による駆動でもよい。図1においては、一対の支柱102のうちの一方(+X側の支柱102)、及び、クロスヘッド103を二点鎖線で示し、クロスヘッド103が上方に移動(上昇)する様子を矢印で示している。
【0016】
<二軸引張試験機>
次に、単軸引張試験機100に組み付けられる二軸引張試験機1について説明する。
図2は、第1実施形態に係る二軸引張試験機1の斜視図である。図3は、第1実施形態に係る二軸引張試験機1の平面図である。図4は、第1実施形態に係る二軸引張試験機1の一部を拡大して示す斜視図である。
図2から図4を併せて参照し、二軸引張試験機1は、互いに直交する二軸の四方向に沿って試験片10を引っ張る二軸引張試験機である。本実施形態では、互いに直交する二軸の四方向は、水平面に沿って互いに直交する方向である。以下、二軸の一方の第1軸に沿う方向を第1軸方向(X方向に相当)とし、二軸の他方の第2軸に沿う方向を第2軸方向(Y方向に相当)とする。以下、第1軸方向の一方を東(+X側に相当)、他方を西(-X側に相当)と称し、第2軸方向の一方を北(+Y側に相当)、他方を南(-Y側に相当)と称する場合がある。
【0017】
二軸引張試験機1は、試験片10の四方向の部分を各別に保持する複数の保持部2と、複数の保持部2に各別に接続される複数の接続部3と、複数の接続部3に対してループ状に架け渡される架設部4と、を備える。本実施形態では、試験片10の四方向の部分は、試験片10の四方向に延びる腕部である。なお、試験片10の四方向の腕部には、引っ張り時に試験片10において互いに直交する方向の荷重に対して、試験片10中央部以外が変形の抵抗とならないようにスリットが形成されていてもよい。この試験片形状は、JIS Z2257:2021に「十字形試験片を用いる金属板材の二軸引張試験方法」として規格化されている。
【0018】
二軸引張試験機1は、試験片10を載置するためのテーブル11を備える。テーブル11は、試験片10の四方向の部分と重なる四辺を有する矩形板状に形成されている。試験片10は、平面視で各腕部がテーブル11の各辺から四方向に突出するように配置される。試験片10の四方向の部分のうちテーブル11から突出した部分は、保持部2によって保持される。
【0019】
<保持部>
複数の保持部2は、試験片10の四方向の部分に対応して4個設けられる。本実施形態では、保持部2は、試験片10の腕部を保持するチャック機構である。保持部2は、試験片10の腕部を保持可能に構成されたチャック本体20と、チャック本体20の上部に配置されたハンドル21と、を備える。図4の例では、北側の保持部2が試験片10の北側の腕部を保持する様子を示す。
【0020】
チャック本体20は、試験片10の腕部を挟むように開口するU字形状を有する。ハンドル21は、使用者が操作可能な三又形状を有する。ハンドル21は、上下方向に沿う軸回りに回転可能に構成されている。
【0021】
例えば、ハンドル21を軸回りの一方に回転させることで、チャック本体20の開口を狭め、試験片10の腕部を保持することができる。一方、ハンドル21を軸回りの他方に回転させることで、チャック本体20の開口を広め、試験片10の腕部の保持を解除することができる。
【0022】
本実施形態では、複数の保持部2は、それぞれ同じチャック機構で構成される。なお、複数の保持部2の少なくとも一つは、異なるチャック機構で構成されてもよいし、チャック機構とは異なる保持機構で構成されてもよい。例えば、複数の保持部2の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0023】
<ロードセル>
二軸引張試験機1は、複数の保持部2に各別に接続された複数のロードセル5を更に備える。複数のロードセル5は、4個の保持部2に対応して4個設けられる。本実施形態では、ロードセル5は、柱状に形成されている。ロードセル5は、試験片10の腕部の延長線上に沿うように配置されている。図4の例では、北側のロードセル5が試験片10の北側の腕部の延長線上に配置される様子を示す。本実施形態では、試験片10の四方向の中央から、保持部2、ロードセル5、接続部3の順に並んでいる。
【0024】
本実施形態では、複数のロードセル5は、それぞれ同じロードセルで構成される。なお、複数のロードセル5の少なくとも一つは、異なるロードセルで構成されてもよい。例えば、複数のロードセル5の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0025】
<接続部>
複数の接続部3は、試験片10の四方向に対応して設けられる。複数の接続部3は、4個の保持部2に対応して設けられる。複数の接続部3の各々は、ロードセル5を挟んで保持部2とは反対側の位置に、架設部4が架け渡される複数のプーリ30を備える。図4の例では、ロードセル5を挟んで保持部2とは反対側の位置(北側)に、3個のプーリ30が設けられる様子を示す。なお、接続部3に含まれるプーリは、スライダの上を可動できる状態にあるので「動滑車」として機能し、これに対して他のプーリは装置に固定されているので「定滑車」として機能する。
【0026】
北側の3個のプーリ30の各々は、上下方向に沿う軸回りに回転可能に構成されている。また、南側の3個のプーリ30の各々も、上下方向に沿う軸回りに回転可能に構成されている(図3参照)。一方、東側及び西側の各々では、1個のプーリ30が上下方向に沿う軸回りに回転可能に構成されている(図3参照)。なお、東西南北に配置されるプーリ30の数は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0027】
<架設部>
本実施形態では、架設部4は、ロープである。ロープは、所定位置で端部同士が結ばれることにより、ループ状(言い換えると、閉じた環状、閉回路状)に形成されている。例えば、ロープは、合成繊維で形成されていても、金属製のワイヤーでもよい。ただし、ロープは、結束状態で利用するため、十分な結束強度を持つように選定する。なお、ロープの態様(形成材料、選定方法等)は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0028】
本実施形態では、複数の接続部3に対して架設部4が架け渡される角度は、任意の角度に変更可能とされる。これにより、複数の接続部3に対して架設部4が架け渡される位置を任意に変更することで、様々な荷重比の試験を行うことができる。
【0029】
<第1支持部>
二軸引張試験機1は、複数のプーリ30のうちロードセル5に最も近い位置に配置される第1プーリ30(本実施形態では図2に示すプーリ30-3,30-9,30-15,30-21)を支持する第1支持部40を更に備える。第1プーリ30は、試験片10の四方向に対応して4個(各方向に1個ずつ)設けられる。第1支持部40は、4個の第1プーリ30に対応して4個(各第1プーリ30に1個ずつ)設けられる。
【0030】
第1支持部40は、水平面に沿う板状の水平部分41と、鉛直面に沿う板状の鉛直部分42と、を含んで構成されている(図4参照)。第1支持部40の水平部分41は、第1プーリ30を支持する部分である。第1支持部40の鉛直部分42は、ロードセル5の保持部2とは反対側の端部が取り付けられる部分である。なお、第1支持部40の構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0031】
<ガイド部>
二軸引張試験機1は、保持部2及び第1支持部40を四方向において直線上に案内するガイド部50を更に備える。ガイド部50は、試験片10の四方向に対応して4個(各方向に1個ずつ)設けられる。本実施形態では、ガイド部50は、試験片10の四方向に対して平行かつ直線状に延びるリニアガイドである。ガイド部50が延びる方向の全長は、保持部2、ロードセル5及び第1支持部40を足し合わせた長さよりも長い。
【0032】
ガイド部50は、移動部分であるキャリッジ51,52と、キャリッジ51,52を移動可能に支持するレール53と、を含んで構成されている(図4参照)。保持部2、ロードセル5及び第1支持部40は、キャリッジ51,52を介してレール53上を一体に移動可能に構成されている。図4の例では、北側の保持部2が2個のキャリッジ51,52の一方(-Y側のキャリッジ51)に支持され、北側の第1支持部40が2個のキャリッジ51,52の他方(+Y側のキャリッジ52)に支持されている様子を示す。
【0033】
本実施形態では、複数のガイド部50は、それぞれ同じリニアガイドで構成される。なお、複数のガイド部50の少なくとも一部は、異なるリニアガイドで構成されてもよいし、リニアガイドとは異なるガイド機構で構成されてもよい。例えば、複数のガイド部50の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0034】
<パンタグラフ機構>
二軸引張試験機1は、四方向に各別に配置される複数の第1支持部40に接続されるパンタグラフ機構60を更に備える。パンタグラフ機構60は、平行リンク機構を備え、平面視で菱形の部分を収縮可能に構成される。第1支持部40は、水平面に沿う板状の水平部分の外側に突出する平面視で台形状の台形部分43を含んで構成されている(図4参照)。パンタグラフ機構60は、各第1支持部40の台形部分43に対し、上下方向に沿う軸回りに回転可能に取り付けられている。パンタグラフ機構60は、テーブル11の中央部に対し、上下方向に沿う軸回りに回転可能に取り付けられている。
【0035】
パンタグラフ機構60は、北側及び南側の第1支持部40同士、並びに、東側及び西側の第1支持部40同士をつなぐように一対設けられる。図4の例では、一方のパンタグラフ機構60が北側の第1支持部40につながれている様子を示す。パンタグラフ機構60により、直線状の対向する二方向の変位を、試験片中央を中心にして均等に生じさせることができる。
【0036】
<ベースプレート>
二軸引張試験機1は、ガイド部50を支持するベースプレート6を更に備える(図3参照)。ベースプレート6は、平面視矩形の板状を有する。ベースプレート6には、平面視でガイド部50と重ならない位置に、第2支持部70を着脱可能に取付可能な複数の取付穴7が形成される。ベースプレート6は、ボルト等の締結部材を介して、基台101に固定されている。
【0037】
<第2支持部>
二軸引張試験機1は、複数のプーリ30のうち第1プーリ30とは異なる位置に配置される第2プーリ30(本実施形態では図2に示すプーリ30-8,30-10,30-20,30-22)を支持する第2支持部70を更に備える。図4の例では、平面視でガイド部50と重ならない位置に、2個の第2支持部70が設けられる。図4の例では、第2支持部70は、直方体のブロック状に形成されている。第2支持部70の上部中央は、第2プーリ30が取り付けられる部分である。
【0038】
第2支持部70の角部は、ボルト等の締結部材を介してベースプレート6に固定される部分である。例えば、第2支持部70の角部の貫通孔にボルトを挿通し、ベールプレートの取付穴7(雌ねじ部)にボルトの雄ねじ部を螺合することで、第2支持部70をベースプレート6に固定することができる。なお、第2支持部70の構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0039】
<上部構造>
二軸引張試験機1は、単軸引張試験機100の上部に組み付けられる上部構造80を備える(図2参照)。上部構造80は、クロスヘッド103に組み付けられるクロスヘッド103側の構造である。上部構造80は、クロスヘッド103に沿って延びる上部プレート81と、上部プレート81の延在方向の両端に各別に取り付けられる複数の上部支持部82と、を含んで構成されている。
【0040】
上部プレート81は、ボルト等の締結部材を介して、クロスヘッド103の下部に固定される。クロスヘッド103側には、X方向に沿う軸回りに回転可能に構成された4個の上部プーリ30(第2プーリの一例、本実施形態では図2に示すプーリ30-1,30-5,30-13,30-17)が設けられる。上部支持部82は、4個の上部プーリ30に対応して4個設けられる。図の例では、上部プレート81の延在方向の両端に各別に2個(合計4個)の上部支持部82が設けられる。
【0041】
図の例では、上部支持部82は、水平面に沿う板状の水平部分と、鉛直面に沿う板状の鉛直部分と、を含むL字のブロック状に形成されている。上部支持部82の水平部分は、上部プレート81の延在方向の端部に固定される部分である。上部支持部82の鉛直部分は、上部プーリ30を支持する部分である。なお、上部支持部82の構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0042】
二軸引張試験機1は、単軸引張試験機100の下部に組み付けられる下部構造90を備える(図2参照)。下部構造90は、ベースプレート6に組み付けられるベースプレート6側の構造である。下部構造90は、上述した保持部2、ロードセル5及び接続部3等の他、X方向両端側に配置される複数の下部支持部91,92,93を含んで構成されている。
【0043】
ベースプレート6側には、上述したプーリ30の他、12個の下部プーリ30(第2プーリの一例、本実施形態では図2に示すプーリ30-2,30-4,30-6,30-7,30-11,30-12,30-14,30-16,30-18,30-19,30-23,30-24)が設けられる。12個の下部プーリ30には、X方向に沿う軸回りに回転可能に構成された4個の下部プーリ30(本実施形態では図2に示すプーリ30-6,30-12,30-18,30-24)と、Y方向に沿う軸回りに回転可能に構成された4個の下部プーリ30(本実施形態では図2に示すプーリ30-2,30-4,30-14,30-16)と、上下方向に沿う軸回りに回転可能に構成された4個の下部プーリ30(本実施形態では図2に示すプーリ30-7,30-11,30-19,30-23)と、が含まれる。下部支持部91,92,93は、12個の下部プーリ30に対応して複数設けられる。本実施形態では、10個の下部支持部91,92,93が設けられる。
【0044】
図の例では、10個の下部支持部91,92,93には、X方向に沿う軸回りに回転可能に構成された4個の下部プーリ30(本実施形態では図2に示すプーリ30-6,30-12,30-18,30-24)に対応する4個の下部支持部91(以下「中間支持部91」ともいう。)と、Y方向に沿う軸回りに回転可能に構成された4個の下部プーリ30(本実施形態では図2に示すプーリ30-2,30-4,30-14,30-16)に対応する4個所の支持部を有する2個の下部支持部92(以下「中央支持部92」ともいう。)と、上下方向に沿う軸回りに回転可能に構成された4個の下部プーリ30(本実施形態では図2に示すプーリ30-7,30-11,30-19,30-23)に対応する4個の下部支持部93(以下「角側支持部93」ともいう。)と、が含まれる。
【0045】
中間支持部91は、中央支持部92と角側支持部93との間に配置される。図の例では、中間支持部91は、水平面に沿う板状の水平部分と、鉛直面に沿う板状の鉛直部分と、を含むL字のブロック状に形成されている。中間支持部91の水平部分は、ボルト等の締結部材を介してベースプレート6に固定される部分である。中間支持部91の鉛直部分は、下部プーリ30(本実施形態では図2に示すプーリ30-6,30-12,30-18,30-24)を支持する部分である。なお、中間支持部91の構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0046】
中央支持部92は、ベースプレート6上のY方向中央に配置される。図の例では、中央支持部92は、水平面に沿う板状の水平部分と、鉛直面に沿う板状の鉛直部分と、を含むT字のブロック状に形成されている。中央支持部92の水平部分は、ボルト等の締結部材を介してベースプレート6に固定される部分である。中央支持部92の鉛直部分の+Y側及び-Y側の2個所部分は、下部プーリ30(本実施形態では図2に示すプーリ30-2,30-4,30-14,30-16)を支持する部分である。なお、中央支持部92の構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0047】
角側支持部93は、ベースプレート6上の角側に配置される。図の例では、角側支持部93は、直方体のブロック状に形成されている。角側支持部93の角部は、ボルト等の締結部材を介してベースプレート6に固定される部分である。角側支持部93の上部中央は、下部プーリ30(本実施形態では図2に示すプーリ30-7,30-11,30-19,30-23)を支持する部分である。なお、角側支持部93の構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0048】
<架設部(ロープ)の配置>
本実施形態では、上部構造80に4個のプーリ30、下部構造90に20個のプーリ30の合計24個のプーリ30が設けられる。以下、複数のプーリ30に対し1から24の通し番号を付して、ロープの配置の一例を説明する。以下の例では、ロープは、プーリ30-1とプーリ30-24との間で両端が結ばれるものとする。すなわち、ロープは、プーリ30-1とプーリ30-24との間を始点及び終点(本実施形態では図2に示す始端及び終端を示す点P)として、プーリ30-1からプーリ30-24の順に架け渡されるものとする。
【0049】
図2を参照し、ロープは、始端Pからプーリ30-1(東側かつ-Y側の上部支持部82に支持された上部プーリ30に相当)に向かって上方に延びる。その後、ロープは、プーリ30-1の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-2(東側の中央支持部92の-Y側に支持された下部プーリ30に相当)に向かって下方に延びる。その後、ロープは、プーリ30-2の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-3(東側の第1支持部40に支持された第1プーリ30に相当)に向かって-X方向に延びる。その後、ロープは、プーリ30-3の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-4(東側の中央支持部92の+Y側に支持された下部プーリ30に相当)に向かって+X方向に延びる。
【0050】
その後、ロープは、プーリ30-4の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-5(東側かつ+Y側の上部支持部82に支持された上部プーリ30に相当)に向かって上方に延びる。その後、ロープは、プーリ30-5の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-6(東側かつ+Y側の中間支持部91に支持された下部プーリ30に相当)に向かって下方に延びる。
【0051】
その後、ロープは、プーリ30-6の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-7(北東側の角側支持部93に支持された下部プーリ30に相当)に向かって+Y方向に延びる。その後、ロープは、プーリ30-7の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-8(北側かつ+X側の第2支持部70に支持された第2プーリ30に相当)に向かって-X方向かつ+Y方向の斜めに延びる。
【0052】
その後、ロープは、プーリ30-8の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-9(北側の第1支持部40に支持された第1プーリ30に相当)に向かって-Y方向に延びる。その後、ロープは、プーリ30-9の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-10(北側かつ-X側の第2支持部70に支持された第2プーリ30に相当)に向かって+Y方向に延びる。
【0053】
その後、ロープは、プーリ30-10の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-11(北西側の角側支持部93に支持された下部プーリ30に相当)に向かって-X方向かつ-Y方向の斜めに延びる。その後、ロープは、プーリ30-11の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-12(西側かつ+Y側の中間支持部91に支持された下部プーリ30に相当)に向かって-Y方向に延びる。
【0054】
その後、ロープは、プーリ30-12の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-13(西側かつ+Y側の上部支持部82に支持された上部プーリ30に相当)に向かって上方に延びる。その後、ロープは、プーリ30-13の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-14(西側の中央支持部92の+Y側に支持された下部プーリ30に相当)に向かって下方に延びる。
【0055】
その後、ロープは、プーリ30-14の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-15(西側の第1支持部40に支持された第1プーリ30に相当)に向かって+X方向に延びる。その後、ロープは、プーリ30-15の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-16(西側の中央支持部92の-Y側に支持された下部プーリ30に相当)に向かって-X方向に延びる。
【0056】
その後、ロープは、プーリ30-16の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-17(西側かつ-Y側の上部支持部82に支持された上部プーリ30に相当)に向かって上方に延びる。その後、ロープは、プーリ30-17の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-18(西側かつ-Y側の中間支持部91に支持された下部プーリ30に相当)に向かって下方に延びる。
【0057】
その後、ロープは、プーリ30-18の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-19(南西側の角側支持部93に支持された下部プーリ30に相当)に向かって-Y方向に延びる。その後、ロープは、プーリ30-20(南側かつ-X側の第2支持部70に支持された第2プーリ30に相当)に向かって+X方向かつ-Y方向の斜めに延びる。
【0058】
その後、ロープは、プーリ30-20の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-21(南側の第1支持部40に支持された第1プーリ30に相当)に向かって+Y方向に延びる。その後、ロープは、プーリ30-21の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-22(南側かつ+X側の第2支持部70に支持された第2プーリ30に相当)に向かって-Y方向に延びる。
【0059】
その後、ロープは、プーリ30-22の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-23(南東側の角側支持部93に支持された下部プーリ30に相当)に向かって+X方向かつ+Y方向の斜めに延びる。その後、ロープは、プーリ30-23の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-24(東側かつ-Y側の中間支持部91に支持された下部プーリ30に相当)に向かって+Y方向に延びる。
【0060】
その後、ロープは、プーリ30-24の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-1に向かって上方に延びる途中(プーリ30-1とプーリ30-24との間)まで延びる。ロープは、プーリ30-1とプーリ30-24との間(所定位置の一例)で端部同士が結ばれることにより、ループ状に形成される。本実施形態では、ロープがプーリ30-1とプーリ30-24との間の始点から終点に至るまで上下方向、X方向及びY方向並びに斜め方向に行き来することで、ループを構成する。なお、ロープには、クロスヘッド103の上昇で引張力を付与する。
【0061】
本実施形態では、架設部4のうち複数のプーリ30に架け渡された部分と、ロードセル5と、保持部2とは、四方向において同軸上に配置される。図の例では、ロープのうち第1プーリ30(本実施形態では図2に示すプーリ30-3,30-9,30-15,30-21)に架け渡されて2本に分かれた部分は、互いに平行であり、かつ、側面視(水平方向から見て)でロードセル5及び保持部2の各々の中心線と同軸上に配置されている。
【0062】
<荷重比の設定例>
図5は、第1実施形態に係る二軸引張試験機1の荷重比の設定例1を示す平面図である。図6は、第1実施形態に係る二軸引張試験機1の荷重比の設定例2を示す平面図である。図7は、第1実施形態に係る二軸引張試験機1の荷重比の設定例3を示す平面図である。図8は、第1実施形態に係る二軸引張試験機1の荷重比の設定例4を示す平面図である。
図5から図8を併せて参照し、二軸の一方の第1軸に沿う方向を第1軸方向(X方向)とし、二軸の他方の第2軸に沿う方向を第2軸方向(Y方向)とする。試験片10に荷重が負荷されるとき、架設部4において第1軸方向の一部は試験片10の引張方向に対して平行に延び、架設部4において第2軸方向の一部は第1軸方向に対して角度θで延びている。第1軸方向の荷重Fxと第2軸方向の荷重Fyとの比Fx:Fyは、Fx:Fy=1:sinθで示される。
【0063】
図5の設定例1は、角度θが約90°の例である。この場合、比Fx:Fyは、実質的にFx:Fy=1:1で示される。
図6の設定例2は、角度θが約30°の例である。この場合、比Fx:Fyは、実質的にFx:Fy=2:1で示される。
図7の設定例3は、角度θが約14.7°の例である。この場合、比Fx:Fyは、実質的にFx:Fy=4:1で示される。
図8の設定例4は、角度θが約48°の例である。この場合、比Fx:Fyは、実質的にFx:Fy=4:3で示される。
このように、Fx:Fy=1:sinθで示される関係により、様々な荷重比を簡単に設定することができる。
【0064】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の二軸引張試験機1は、互いに直交する二軸の四方向に沿って試験片10を引っ張る二軸引張試験機である。二軸引張試験機1は、試験片10の四方向の部分を各別に保持する複数の保持部2と、複数の保持部2に各別に接続される複数の接続部3と、複数の接続部3に対してループ状に架け渡される架設部4と、を備える。
この構成によれば、架設部4が複数の接続部3に対してループ状に架け渡されることで、架設部4の張力により試験片10の四方向に引張力を発生させた場合、一周して張力が一定となる。すなわち、架設部4の張力は任意の位置で一定になる。加えて、新たな駆動源を必要としないため、安価である。したがって、荷重比一定での試験が実現でき、かつ安価・簡便な二軸引張試験機1を提供することができる。
【0065】
本実施形態では、複数の接続部3に対して架設部4が架け渡される角度は、任意の角度に変更可能とされる。
この構成によれば、複数の接続部3に対して架設部4が架け渡される位置を任意に変更することで、様々な荷重比の試験を行うことができる。
【0066】
本実施形態では、二軸の一方の第1軸に沿う方向を第1軸方向とし、二軸の他方の第2軸に沿う方向を第2軸方向とする。試験片10に荷重が負荷されるとき、架設部4において第1軸方向の一部は試験片10の引張方向に対して平行に延び、架設部4において第2軸方向の一部は第1軸方向に対して角度θで延びている。第1軸方向の荷重Fxと第2軸方向の荷重Fyとの比Fx:Fyは、Fx:Fy=1:sinθで示される。
この構成によれば、Fx:Fy=1:sinθで示される関係により、様々な荷重比を簡単に設定することができる。
【0067】
本実施形態では、二軸引張試験機1は、複数の保持部2に各別に接続された複数のロードセル5を更に備える。四方向の中央から保持部2、ロードセル5、接続部3の順に並んでいる。
この構成によれば、四方向の中央から保持部2、ロードセル5、接続部3の順に並ぶ配置により、四方向にコンパクトな配置とすることができる。
【0068】
本実施形態では、複数の接続部3の各々は、ロードセル5を挟んで保持部2とは反対側の位置に、架設部4が架け渡される複数のプーリ30を備える。
この構成によれば、複数のプーリ30に対して架設部4が架け渡されることで、架設部4の張力を円滑に作用させることができる。
【0069】
本実施形態では、架設部4のうち複数のプーリ30に架け渡された部分と、ロードセル5と、保持部2とは、四方向において同軸上に配置される。
この構成によれば、架設部4のうち複数のプーリ30に架け渡された部分とロードセル5と保持部2とが四方向において異なる軸上に配置される場合と比較して、試験片10の四方向に引張力を安定して発生させることができる。
【0070】
本実施形態では、二軸引張試験機1は、複数のプーリ30のうちロードセル5に最も近い位置に配置される第1プーリ30を支持する第1支持部40と、保持部2及び第1支持部40を四方向において直線上に案内するガイド部50と、を更に備える。
この構成によれば、保持部2及び第1支持部40がガイド部50によって四方向に直線上に案内されることで、試験片10の四方向に引張力をより安定して発生させることができる。
【0071】
本実施形態では、二軸引張試験機1は、四方向に各別に配置される複数の第1支持部40に接続されるパンタグラフ機構60を更に備える。
この構成によれば、パンタグラフ機構60により、互いに対向する二組の保持部2の等変位を保障することができる。
【0072】
本実施形態では、二軸引張試験機1は、ガイド部50を支持するベースプレート6を更に備える。
この構成によれば、ガイド部50がベースプレート6で支持されることで、試験片10の四方向に引張力をより安定して発生させることができる。
【0073】
本実施形態では、二軸引張試験機1は、複数のプーリ30のうち第1プーリ30とは異なる位置に配置される第2プーリ30を支持する第2支持部70を更に備える。ベースプレート6には、平面視でガイド部50と重ならない位置に、第2支持部70を着脱可能に取付可能な複数の取付穴7が形成される。
この構成によれば、複数の取付穴7の任意の穴に第2支持部70を取り付けることで、様々な荷重比の試験を簡単に行うことができる。
【0074】
本実施形態では、架設部4は、ロープである。
この構成によれば、ループ状に架け渡される構成を簡単に実現することができる。
【0075】
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態に係る二軸引張試験機201の側面図である。図10は、第2実施形態に係る二軸引張試験機201の平面図である。図10においては、クロスヘッド103等の図示を省略している。
以下、図9及び図10を参照しつつ、第2実施形態に係る二軸引張試験機201について説明する。図9及び図10に示す構成において、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0076】
二軸引張試験機201は、試験片10の四方向の部分を各別に保持する複数の保持部2と、複数の保持部2に各別に接続された複数のロードセル5と、複数の保持部2に各別に接続され且つ複数のプーリ30を有する複数の接続部3と、複数のプーリ30に対してループ状に架け渡される架設部4と、複数のプーリ30のうちロードセル5に最も近い位置に配置される第1プーリ30(本実施形態では図10に示すプーリ30-6,30-9,30-12,30-18)を支持する第1支持部40と、四方向に各別に配置される複数の第1支持部40に接続されるパンタグラフ機構60と、ベースプレート6と、複数のプーリ30のうち第1プーリ30とは異なる位置に配置される第2プーリ30(本実施形態では図10に示すプーリ30-4,30-5,30-7,30-8,30-10,30-11,30-13,30-14)を支持する第2支持部270と、を備える。本実施形態では、第2支持部270は、平面視で矩形状のベースプレート6の各辺に沿うように延びている。
【0077】
二軸引張試験機201は、クロスヘッド103に組み付けられるクロスヘッド103側の上部構造280を備える。上部構造280は、クロスヘッド103の延在方向の中央側に取り付けられる複数の上部支持部281を含んで構成されている。クロスヘッド103側には、Y方向に沿う軸回りに回転可能に構成された2個の上部プーリ30(第2プーリ30の一例、本実施形態では図10に示すプーリ30-2,30-16)が設けられる。上部支持部281は、2個の上部プーリ30に対応して2個設けられる。
【0078】
二軸引張試験機201は、単軸引張試験機100の下部を構成する基台101及び二軸引張試験機201を構成するベースプレート6の各々に組み付けられる下部構造290を備える。下部構造290は、上述した保持部2、ロードセル5及び接続部3等の他、基台101に取り付けられる複数の下部支持部291を含んで構成されている。基台101側には、X方向に沿う軸回りに回転可能に構成された4個の下部プーリ30(第2プーリ30の一例、本実施形態では図10に示すプーリ30-1,30-3,30-15,30-17)が設けられる。下部支持部291は、4個の下部プーリ30に対応して4個設けられる。
【0079】
本実施形態では、上部構造280(クロスヘッド103側)に2個のプーリ30、下部構造290(基台101及びベースプレート6側)に16個のプーリ30の合計18個のプーリ30が設けられる。以下、複数のプーリ30に対し1から18の通し番号を付して、ロープの配置の一例を説明する。以下の例では、ロープは、プーリ30-1とプーリ30-18との間で両端が結ばれるものとする。すなわち、ロープは、プーリ30-1とプーリ30-18との間を始点及び終点(本実施形態では図10に示す始端及び終端を示す点P)として、プーリ30-1からプーリ30-18の順に架け渡されるものとする。
【0080】
図10を参照し、ロープは、始端Pからプーリ30-1(北東側かつ-X側の下部支持部291に支持された下部プーリ30に相当)に向かって+Y方向に延びる。その後、ロープは、プーリ30-1の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-2(北東側の上部支持部281に支持された上部プーリ30に相当)に向かって上方に延びる。その後、ロープは、プーリ30-2の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-3(北東側かつ+X側の下部支持部291に支持された下部プーリ30に相当)に向かって下方に延びる。その後、ロープは、プーリ30-3の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-4(北側の第2支持部270の+X側に支持された第2プーリ30に相当)に向かって-Y方向に延びる。
【0081】
その後、ロープは、プーリ30-4の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-5(東側の第2支持部270の+Y側に支持された第2プーリ30に相当)に向かって+X方向かつ-Y方向の斜めに延びる。その後、ロープは、プーリ30-5の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-6(東側の第1支持部40に支持された第1プーリ30に相当)に向かって-X方向かつ-Y方向の斜めに延びる。
【0082】
その後、ロープは、プーリ30-6の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-7(東側の第2支持部270の-Y側に支持された第2プーリ30に相当)に向かって+X方向かつ-Y方向の斜めに延びる。その後、ロープは、プーリ30-7の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-8(南側の第2支持部270の+X側に支持された第2プーリ30に相当)に向かって-X方向かつ-Y方向の斜めに延びる。
【0083】
その後、ロープは、プーリ30-8の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-9(南側の第1支持部40に支持された第1プーリ30に相当)に向かって+Y方向に延びる。その後、ロープは、プーリ30-9の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-10(南側の第2支持部270の-X側に支持された第2プーリ30に相当)に向かって-Y方向に延びる。
【0084】
その後、ロープは、プーリ30-10の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-11(西側の第2支持部270の-Y側に支持された第2プーリ30に相当)に向かって-X方向かつ+Y方向の斜めに延びる。その後、ロープは、プーリ30-11の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-12(西側の第1支持部40に支持された第1プーリ30に相当)に向かって+X方向かつ+Y方向の斜めに延びる。
【0085】
その後、ロープは、プーリ30-12の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-13(西側の第2支持部270の+Y側に支持された第2プーリ30に相当)に向かって-X方向かつ+Y方向の斜めに延びる。その後、ロープは、プーリ30-13の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-14(北側の第2支持部270の-X側に支持された第2プーリ30に相当)に向かって+X方向かつ+Y方向の斜めに延びる。
【0086】
その後、ロープは、プーリ30-14の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-15(北西側かつ-X側の下部支持部291に支持された下部プーリ30に相当)に向かって+Y方向に延びる。その後、ロープは、プーリ30-15の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-16(北西側の上部支持部281に支持された上部プーリ30に相当)に向かって上方に延びる。
【0087】
その後、ロープは、プーリ30-16の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-17(北西側かつ+側の下部支持部291に支持された下部プーリ30に相当)に向かって下方に延びる。その後、ロープは、プーリ30-17の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-18(北側の第1支持部40に支持された第1プーリ30に相当)に向かって下方に延びる。
【0088】
その後、ロープは、プーリ30-18の外周に沿って湾曲した後、プーリ30-1に向かって+Y方向に延びる途中(プーリ30-1とプーリ30-18との間)まで延びる。ロープは、プーリ30-1とプーリ30-18との間(所定位置の一例)で端部同士が結ばれることにより、ループ状に形成される。本実施形態では、ロープがプーリ30-1とプーリ30-18との間の始点から終点に至るまで上下方向、X方向及びY方向並びに斜め方向に行き来することで、ループを構成する。なお、ロープには、クロスヘッド103の上昇で引張力を付与する。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の二軸引張試験機201の構成によれば、架設部4が複数の接続部3に対してループ状に架け渡されることで、架設部4の張力により試験片10の四方向に引張力を発生させた場合、一周して張力が一定となる。すなわち、架設部4の張力は任意の位置で一定になる。加えて、新たな駆動源を必要としないため、安価である。したがって、荷重比一定での試験が実現でき、かつ安価・簡便な二軸引張試験機201を提供することができる。
【0090】
以上説明した実施形態によれば、ロープはプーリ30を介して張力付与の向きを自在に変えることができる。そのため、ロープが複数のプーリ30に架け渡されることで一つのループを形成することで、あらゆる場所で均一な張力の付与を保証することができる。加えて、汎用の単軸引張試験機100に実施形態に係る二軸引張試験機1,201を組み込むことで、新たな駆動源を用意する必要はない。更に、プーリ30に架け渡されるロープの角度θによって、軸に与える引張力を無段階で自在に変更することができる。以上のように実施形態によれば、ループ状態にした一本のロープへの張力負荷により均一な張力を保証し、ループへの巻き付け角度(プーリ30の設置位置)によって張力比を無段階に変更することができる。また、従来の簡易型二軸引張試験機に対し、変位比一定ではないので、適切な二軸応力試験が実施できる。更に、汎用の引張試験機に組み込めるため、新たな設備投資を必要としない。
【0091】
<変形例>
上述した実施形態では、複数の接続部に対して架設部が架け渡される角度は、任意の角度に変更可能とされる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、複数の接続部に対して架設部が架け渡される角度は、所定の角度に固定されていてもよい。例えば、複数の接続部に対して架設部が架け渡される位置の少なくとも一部は、定位置に固定されていてもよい。例えば、複数の接続部に対して架設部が架け渡される角度や位置は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0092】
上述した実施形態では、二軸の一方の第1軸に沿う方向を第1軸方向とし、二軸の他方の第2軸に沿う方向を第2軸方向とし、試験片に荷重が負荷されるとき、架設部において第1軸方向の一部は試験片の引張方向に対して平行に延び、架設部において第2軸方向の一部は第1軸方向に対して角度θで延びており、第1軸方向の荷重Fxと第2軸方向の荷重Fyとの比Fx:Fyは、Fx:Fy=1:sinθで示される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、二軸引張試験機の荷重比の設定態様(例えば、数式等の関係)は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0093】
上述した実施形態では、二軸引張試験機は、複数の保持部に各別に接続された複数のロードセルを更に備え、四方向の中央から保持部、ロードセル、接続部の順に並んでいる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、保持部とロードセルとの間、及び/又は、ロードセルと接続部との間に他の部材が配置されていてもよい。
【0094】
上述した実施形態では、複数の接続部の各々は、ロードセルを挟んで保持部とは反対側の位置に、架設部が架け渡される複数のプーリを備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、複数の接続部の各々は、複数のプーリの少なくとも一部に替えて、又は、プーリと共にピンを備えていてもよい。例えば、架設部が架け渡される部材は、プーリ以外の回転体であってもよい。より強度が必要な場合は、架設部を金属製のチェーンとしてもよいし、プーリをスプロケットとしてもよい。例えば、架設部が架け渡される態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0095】
上述した実施形態では、架設部のうち複数のプーリに架け渡された部分と、ロードセルと、保持部とは、四方向において同軸上に配置される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、架設部のうち複数のプーリに架け渡された部分とロードセルと保持部とは、四方向において異なる軸上に配置されていてもよい。例えば、架設部のうち複数のプーリに架け渡された部分とロードセルと保持部との配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0096】
上述した実施形態では、二軸引張試験機は、複数のプーリのうちロードセルに最も近い位置に配置される第1プーリを支持する第1支持部と、保持部及び第1支持部を四方向において直線上に案内するガイド部と、を更に備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、二軸引張試験機は、ガイド部を備えていなくてもよい。例えば、ガイド部の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0097】
上述した実施形態では、二軸引張試験機は、四方向に各別に配置される複数の第1支持部に接続されるパンタグラフ機構を更に備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、二軸引張試験機は、パンタグラフ機構を備えていなくてもよい。例えば、パンタグラフ機構の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0098】
上述した実施形態では、二軸引張試験機は、ガイド部を支持するベースプレートを更に備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、二軸引張試験機は、ベースプレートを備えていなくてもよい。例えば、ガイド部は、単軸引張試験機の基台に支持されていてもよい。例えば、ベースプレートの設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0099】
上述した実施形態では、二軸引張試験機は、複数のプーリのうち第1プーリとは異なる位置に配置される第2プーリを支持する第2支持部を更に備え、ベースプレートには、平面視でガイド部と重ならない位置に、第2支持部を着脱可能に取付可能な複数の取付穴が形成される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ベースプレートには、複数のプーリが取り付けられていてもよい。例えば、ベースプレートには、複数の取付穴の少なくとも一部に替えて、又は、取付穴と共にピンが設けられていてもよい。例えば、複数のプーリ及び/又はピンの任意の位置のプーリ及び/又はピンに架設部を架け渡すことで、様々な荷重比の試験を行うことが可能に構成されていてもよい。例えば、様々な荷重比の試験を行うための構成対応は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0100】
本実施形態では、架設部は、ロープである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、架設部は、ケーブルやチェーン等、ロープ以外の部材でもよい。例えば、架設部は、可撓性を有しており、試験荷重(最大荷重)に耐えうる部材で構成されていればよい。例えば、架設部の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であり、上述した実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0102】
(付記1)
互いに直交する二軸の四方向に沿って試験片を引っ張る二軸引張試験機であって、
前記試験片の四方向の部分を各別に保持する複数の保持部と、
前記複数の保持部に各別に接続される複数の接続部と、
前記複数の接続部に対してループ状に架け渡される架設部と、を備える、
二軸引張試験機。
【0103】
(付記2)
前記複数の接続部に対して前記架設部が架け渡される角度は、任意の角度に変更可能とされる、
付記1に記載の二軸引張試験機。
【0104】
(付記3)
前記二軸の一方を第1軸方向とし、前記二軸の他方を第2軸方向とし、前記試験片に荷重が負荷されるとき、前記架設部において前記第1軸方向の一部は前記試験片の引張方向に対して平行に延び、前記架設部において前記第2軸方向の一部は前記第1軸方向に対して角度θで延びており、
前記第1軸方向の荷重Fxと前記第2軸方向の荷重Fyとの比Fx:Fyは、
Fx:Fy=1:sinθで示される、
付記1又は2に記載の二軸引張試験機。
【0105】
(付記4)
前記複数の保持部に各別に接続された複数のロードセルを更に備え、
前記四方向の中央から前記保持部、前記ロードセル、前記接続部の順に並んでいる、
付記1から3の何れかに記載の二軸引張試験機。
【0106】
(付記5)
前記複数の接続部の各々は、前記ロードセルを挟んで前記保持部とは反対側の位置に、前記架設部が架け渡される複数のプーリを備える、
付記4に記載の二軸引張試験機。
【0107】
(付記6)
前記架設部のうち前記複数のプーリに架け渡された部分と、前記ロードセルと、前記保持部とは、前記四方向において同軸上に配置される、
付記5に記載の二軸引張試験機。
【0108】
(付記7)
前記複数のプーリのうち前記ロードセルに最も近い位置に配置される第1プーリを支持する第1支持部と、
前記保持部及び前記第1支持部を前記四方向において直線上に案内するガイド部と、を更に備える、
付記6に記載の二軸引張試験機。
【0109】
(付記8)
前記四方向に各別に配置される複数の前記第1支持部に接続されるパンタグラフ機構を更に備える、
付記7に記載の二軸引張試験機。
【0110】
(付記9)
前記ガイド部を支持するベースプレートを更に備える、
付記7又は8に記載の二軸引張試験機。
【0111】
(付記10)
前記複数のプーリのうち前記第1プーリとは異なる位置に配置される第2プーリを支持する第2支持部を更に備え、
前記ベースプレートには、平面視で前記ガイド部と重ならない位置に、前記第2支持部を着脱可能に取付可能な複数の取付穴が形成される、
付記9に記載の二軸引張試験機。
【0112】
(付記11)
前記架設部は、ロープである、
付記1から10の何れかに記載の二軸引張試験機。
【実施例0113】
以下、本発明の上記実施形態に係る二軸引張試験機について、実施例を示して具体的に説明する。なお、下記の実施例は、本発明が適用された具体的な一例であり、本発明を限定するものではない。
【0114】
図11は、実施例1-4の荷重比一定の予察試験結果の説明図である。図11において、縦軸はX方向の平均荷重Fx、横軸はY方向の平均荷重Fyをそれぞれ示す。また、図11において、十字試験片に作用する各矢印方向FはX方向の一方(東側)への荷重、FはX方向の他方(西側)への荷重、FはY方向の一方(北側)への荷重、FはY方向の他方(南側)への荷重をそれぞれ示す。
【0115】
(実施例1-4)
実施例1-4の荷重比一定の予察試験は、上述した第1実施形態に係る二軸引張試験機1(図1から図4参照)を用いた。
実施例1は荷重比Fx:Fy=1:1、実施例2は荷重比Fx:Fy=4:3、実施例3は荷重比Fx:Fy=2:1、実施例4は荷重比Fx:Fy=4:1とした。
【0116】
(評価結果)
実施例1-4の各々において、最大荷重を1kNとし、十字試験片に二軸引張力を加え、設定した荷重比が実現できるかを確認した。
図11に示すように、計画した設計値と実験値とは概ね一致することを確認した。結果、開発した二軸引張試験機で、設定した荷重比の試験(荷重比一定の試験)を行うことができることを確認した。
【符号の説明】
【0117】
1…二軸引張試験機、2…保持部、3…接続部、4…架設部、5…ロードセル、6…ベースプレート、7…取付穴、10…試験片、30…プーリ、40…第1支持部、50…ガイド部、60…パンタグラフ機構、70…第2支持部、201…二軸引張試験機、270…第2支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11