(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025041428
(43)【公開日】2025-03-26
(54)【発明の名称】計量装置、計量販売システム、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01G 19/414 20060101AFI20250318BHJP
【FI】
G01G19/414 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148728
(22)【出願日】2023-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】宮田 明広
(72)【発明者】
【氏名】北野 岬
(57)【要約】
【課題】計量装置において風袋引き操作を行わないで、商品の売価を算出することを可能とし、より利便性のある量り売りを実現する。
【解決手段】載置部21aと、載置部21aに載置された物品の重量を検出する重量検出部202と、重量検出部202により、物品の取引開始時の重量と重量変動後の重量の差分を物品の購入重量として算出する算出処理部204と、自らの装置識別情報、及び購入重量を送信データとしてコンソール3に対して送信する通信処理部209と備える計量装置2。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置部と、
前記載置部に載置された物品の重量を検出する重量検出手段と、
前記物品の取引開始時の重量と重量変動後の重量の差分を前記物品の購入重量として算出する算出処理手段と、
自らの装置識別情報、及び前記購入重量を送信データとして、所定の端末に対して送信する通信処理手段と、備える、
計量装置。
【請求項2】
センサからセンサ識別情報を取得するセンサ情報取得手段、をさらに備え、
前記通信処理手段は、前記送信データ及び前記センサ識別情報を関連付けて所定の端末に対して送信する、
請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記センサ識別情報毎に前記物品の単価を関連付けて記憶する情報記憶手段と、
前記センサ識別情報に関連付けられた前記物品の単価と前記購入重量に基づいて算出された前記物品の売価を表示する表示手段と、をさらに備える、
請求項2に記載の計量装置。
【請求項4】
所定の情報記憶媒体に保持されているユニークな会計識別情報を取得する会計識別情報取得手段、をさらに備え、
前記通信処理手段は、前記送信データと、前記会計識別情報とを関連付けて、所定の端末に対して送信する、
請求項1又は2に記載の計量装置。
【請求項5】
前記重量検出手段により前記物品の重量変動が検出された後、計量重量が安定した状態において、操作を完了する操作完了手段と、
前記重量検出手段により前記物品の重量変動が検出された後、計量重量が安定した状態において、前記操作完了手段が実行されない場合、一定時間の経過後に前記算出処理手段により算出された購入重量を初期化する初期化処理手段と、をさらに有する、
請求項1に記載の計量装置。
【請求項6】
前記重量検出手段により前記物品の重量変動が検出された後、計量重量が安定した状態において、操作を完了する操作完了手段と、
前記重量検出手段により前記物品の重量変動が検出された後、計量重量が安定した状態において、前記操作完了手段が実行されない場合、その旨を報知する報知処理手段と、をさらに備える、
請求項5記載の計量装置。
【請求項7】
前記操作完了手段は、所定の情報記憶媒体に保持されているユニークな会計識別情報を取得する操作である、
請求項5又は6に記載の計量装置。
【請求項8】
前記重量検出手段により、前記載置部に載置された物品の重量の増加を検出した場合、物品の購入重量を初期値にする初期化を行う初期化処理手段、をさらに有する、
請求項1又は2に記載の計量装置。
【請求項9】
載置部と、
前記載置部に載置された物品の重量を検出する重量検出手段と、
前記物品の取引開始時の重量と重量変動後の重量の差分を前記物品の購入重量として算出する算出処理手段と、
センサからセンサ識別情報を取得するセンサ情報取得手段、を備え、
前記センサ識別情報、及び前記購入重量を送信データとして、所定の端末に対して送信する通信処理手段と、備える、
計量装置。
【請求項10】
計量装置と情報処理端末とが通信可能に構成され、
前記計量装置は、
載置部と、
前記載置部に載置された物品の重量を検出する重量検出手段と、
前記物品の取引開始時の重量と重量変動後の重量の差分を前記物品の購入重量として算出する算出処理手段と、
センサからセンサ識別情報を取得するセンサ情報取得手段と、
自らの装置識別情報、前記センサ識別情報、及び前記購入重量を前記情報処理端末に対して送信する第一の通信処理手段と、備え、
前記情報処理端末は、
前記計量装置から、前記装置識別情報、前記センサ識別情報、及び前記購入重量を受信する第二の通信処理手段と、
前記装置識別情報と前記センサ識別情報に基づいて物品を特定する検索処理手段と、
特定した物品の単価と前記購入重量に基づいて算出された売価を表示する表示手段と、を備える、
計量販売システム。
【請求項11】
載置部に載置された物品の重量を検出する重量検出処理と、
前記物品の取引開始時の重量と重量変動後の重量の差分を前記物品の購入重量として算出する算出処理と、
自らの装置識別情報、及び前記購入重量を所定の端末に対して送信する通信処理と、をコンピュータに実行させる、
コンピュータプログラム。
【請求項12】
計量装置と情報処理端末とが通信可能に構成されたシステムにおいて、
前記計量装置に対し、
載置部に載置された物品の重量を検出する重量検出処理と、
前記物品の取引開始時の重量と重量変動後の重量の差分を前記物品の購入重量として算出する算出処理と、
センサからセンサ識別情報を取得するセンサ情報取得処理と、
自らの装置識別情報、前記センサ識別情報、及び前記購入重量を前記情報処理端末に対して送信する第一の通信処理と、実行させ、
前記情報処理端末に対し、
前記計量装置から、前記装置識別情報、前記センサ識別情報、及び前記購入重量を受信する第二の通信処理と、
前記装置識別情報と前記センサ識別情報に基づいて物品を特定する検索処理と、
特定した物品の単価と前記購入重量に基づいて算出された売価を表示する表示処理と、を実行させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を量り売りするための計量装置、計量システム、計量装置のコンピュータプログラム、及び計量システムのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケット等の店舗では、セルフ方式で商品を量り売りする販売態様がみられるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、量り売りでは、容器の重量(風袋)を総重量から差し引いた重量(NET重量、購入重量)に商品の単価を乗じて売価を算出する。しかし、容器の重量を減算する操作である風袋引きについては、操作漏れや操作間違いがある。また、様々な量り売りの方法が要求されている。
【0005】
そこで本発明は、計量装置において風袋引き操作を行わないで、商品の売価を算出することを可能とし、より利便性のある量り売りを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る計量装置は、載置部と、前記載置部に載置された物品の重量を検出する重量検出手段と、前記重量検出手段により、前記物品の取引開始時の重量と重量変動後の重量の差分を前記物品の購入重量として算出する算出処理手段と、自らの装置識別情報、及び前記購入重量を送信データとして、所定の端末に対して送信する通信処理手段と、備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る計量販売システムの装置構成の概要を示した概要図である。
【
図2】本上記計量販売システムのハードウェア構成を示したブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る計量装置を示した外観斜視図である。
【
図4】上記計量装置の表示・操作部を示した平面図である。
【
図5】上記計量装置の表示・操作部において表示されるステータスアイコンの例を示した図である。
【
図6】上記計量販売システムのソフトウェア構成を示したブロック図である。
【
図7】上記計量販売システムにおいて、物品情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
【
図8】上記計量販売システムにおいて、計量情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
【
図9】上記計量販売システムによって実行される処理の一例を示したシーケンス図である。
【
図10】上記計量販売システムを構成するコンソールにおいて実行される処理の一例を示した処理フロー図である。
【
図11】上記計量販売システムによって実行される処理の一例を示したシーケンス図である。
【
図12】上記コンソールにおいて実行される処理の一例を示した処理フロー図である。
【
図13】上記コンソール上に表示される画面の一例を示した図である。
【
図14】上記コンソール上に表示される画面の一例を示した図である。
【
図15】上記コンソール上に表示される画面の一例を示した図である。
【
図16】上記計量販売システムにおいて発行される会計用伝票の一例を示した図である。
【
図17】上記コンソール上に表示される画面の一例を示した図である。
【
図18】上記コンソール上に表示される画面の一例を示した図である。
【
図19】上記計量販売システムの変形例におけるソフトウェア構成を示したブロック図である。
【
図20】上記計量販売システムの変形例において、POS端末で実行される処理の流れを示した処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
●計量販売システム1の概要
以下、本発明の実施形態に係る計量装置、及び計量販売システムについて、図を参照して説明する。
図1に示す本実施形態に係る計量販売システム1は、顧客の操作に応じて物品を量り売りするためのシステムである。
本実施形態において、物品は店舗で顧客に提供される量り売り商品であって、より具体的には惣菜食品(調理品)、ドライフルーツなどの食品である。ただし、量り売りするのが好適な物品であれば、これらの物品に限られることはなく、飲料等の液体であってもよい。なお、本実施形態に係る計量販売システム1は、このような例に係る食品を物品として顧客に提供する場合に限らず、店舗側で所定の量の物品の供給を受ける場合にも使用できる。
【0009】
計量販売システム1は、複数の計量装置2、コンソール3、ストアコントローラ4、及びPOS端末5から構成され、それぞれは相互に通信可能に構成されている。
計量装置2は、ディスペンサ25により顧客に提供される物品を計量する装置である。この計量装置2は複数のディスペンサ25に接続、あるいは複数のディスペンサ25と一体的に構成されている一方、各ディスペンサ25により提供される物品に応じて売価の算出などの処理を実行する。なお、各計量装置2の機能や構造は同様である。
ディスペンサ25は、収容部251(
図3参照)内に物品を収めて保持している。このディスペンサ25は、店舗内で提供する物品の種類ごとに用意され、一のディスペンサ25によって一の物品が顧客に提供される。なお、図示されている複数のディスペンサ25の機能や構造はいずれも同様である。ただし、陳列棚26に設置されているディスペンサ25は、同様の機能を有していれば、異なる構造のものが配設されていてもよく、例えば一部のディスペンサ25のみ型番の古いタイプのもの(機能面では必要な機能を装備したもの)が採用されていたりしてもよい。
コンソール3は、各計量装置2から物品の計量情報等を取得すると共に、当該計量情報等に基づき、各ディスペンサ25によって顧客に提供された物品の会計を行うための処理を実行する情報処理端末の一例である。このコンソール3は、例えばPOS端末5で会計を実行するための会計用伝票を発行する。
ストアコントローラ4は、各端末や装置の上位の装置であり、計量販売システム1全体を制御する共に、種々のファイルを記憶、管理している。
【0010】
POS端末5は、顧客に対して提供した物品について会計処理を行う端末であり、商品たる物品を登録し、登録された物品の会計を実行する。このPOS端末5としては、顧客自ら商品登録と精算を行うフルセルフ式POS端末、店員が登録機で商品登録をし、顧客が精算機で精算を行うセミセルフ式POS端末など、種類を問わず各種のPOS端末が適用可能であり、既知のPOS端末が備える機能部を備えている。即ち、各種の情報を表示したり操作を行ったりするための表示・操作部、各種のコードを読み取って情報を取得する読取部、各種の決済媒体や現金による決済に対応する決済部、ストアコントローラ4等とのデータ通信を可能とする通信部などを備える。
POS端末5による会計処理は、その一例において、コンソール3によって発行された会計用伝票に基づいて行われる。また、会計処理の他の一例では、各計量装置2から会計情報が集約され、ストアコントローラ4に登録された情報に基づいて行われる。
【0011】
なお、本実施形態にかかわらず、コンソール3が釣銭釣札機やドロアと連動し、POS端末5と同様の機能を備え、コンソール3上で物品の会計処理が実行されるようになっていてもよい。
【0012】
この計量販売システム1では、一会計で販売される物品を所定の会計識別情報と関連付け、当該所定の会計識別情報に基づき、当該一会計で販売される物品の会計処理を実行できる。
即ち、顧客は、購入を希望する所定の物品を収容するディスペンサ25を操作して当該所定の物品の提供を受けると共に、提供を受けた所定の物品と会計識別情報を関連付ける操作を行う。顧客は、購入を希望する物品ごとにこの操作を行う。
【0013】
一会計を識別する会計識別情報は、会計ごとにユニークな情報であれば特に限定されず、店舗の会員コードのほか、ショッピングとは関係のない他用途のものを流用してもよい。また、顧客が計量販売システム1を利用する都度、当該顧客に対して発行するものであってもよい。
【0014】
この会計識別情報は、会計用記憶媒体Mに記憶されていてもよい。会計用記憶媒体Mは、会計識別情報を保持した情報記憶媒体であり、例えばRFIDタグ、電子タグ、NFCによって実現される。これらの情報記憶媒体は、各種のカードや携帯端末に取り付けられたり内蔵されたりしていてもよい。また、会計識別情報はバーコードや二次元コード等に適宜にコード化されて所定の媒体に印刷あるいは所定の媒体上で表示されるようになっていてもよい。また、会計用記憶媒体Mとしてのカードは、店舗でのショッピングや計量販売システム1に専用のものであってもよいし、例えば交通系ICカードその他各種の電子マネーによる決済を可能とするICカードやIC付きクレジットカードなど、他用途のものを用いてもよい。なお、このようなカードを用いる場合には、ICカードに記録されているユーザIDやカード識別番号などのユニークな識別情報を会計識別情報として利用できる。電子マネーによる決済を可能とするICカードやクレジットカードであれば、POS端末5による決済時にも利用できて便利である。ただし、このように各種のカードに記録されているユニークな識別情報を会計識別情報として利用する場合、改変不能に記録されているのが好適である。
【0015】
このような構成により、会計識別情報が会計に用いられる場合には、計量装置2は会計用記憶媒体Mから会計識別情報を取得し、これにより会計識別情報と顧客に提供した物品の情報の関連付けが行われる。そして、顧客に対して提供した物品の会計は、当該会計識別情報と関連付けられた物品の情報に基づいて行うことができる。
【0016】
●計量装置とディスペンサの外観構成
図2は、本実施形態に係る計量販売システム1のハードウェア構成を示し、
図3は、より具体的に実現された計量装置2とディスペンサ25の外観構成の一例を示している。
なお、本実施形態では、計量装置2とディスペンサ25を別体として観念しているが、ディスペンサ25が計量装置2の一部を構成するものとしてもよい。また、本実施形態では、一つの計量装置2に対して二つのディスペンサ25が接続しているところ、三つ以上のディスペンサ25を接続してもよい。
【0017】
ディスペンサ25と計量装置2は、陳列棚26に複数、設置されている。
ディスペンサ25は、物品を収容する収容部251、収容部251内の物品の排出操作を行うための操作部252、収容部251内の物品を排出する排出口253を有する。
【0018】
収容部251は、物品を収容する中空の容器であり、内部に一定量の物品を収容できる。この収容部251は、ディスペンサ25に一体的に設けられていてもよいし、所定の取付機構により着脱可能に構成されていてもよい。収容部251がディスペンサ25に一体的に設けられている場合には、予め設けた所定の開口部から収容部251内へ物品を補充できるようになっているとよい。また、収容部251がディスペンサ25に着脱可能に構成されている場合には、物品を収容した収容部251を取り替えることにより、ディスペンサ25に物品を補充できるようになっていてもよい。この場合、収容部251の交換に応じて物品の消費期限の管理等を行うようにしてもよく、例えば、賞味・消費日、賞味・消費期間、日付、補充量等の情報をコンソール3に入力してもよい。入力された情報はラベルにして発行し、収容部251に貼付したり、管理伝票に貼付しておいたりしてもよい。
【0019】
本実施形態に係る操作部252は、排出口253を開閉する開閉機構と連動した円形状のレバーで構成されており、操作部252を一の方向に回転させると排出口253が開いて物品が排出され、逆方向に回転させると排出口253が閉じて物品の排出が規制される。ただし、ディスペンサ25の構成は本実施形態に限られず、顧客の操作を受けて任意の量の物品を顧客に提供できるようになっていればよい。
【0020】
顧客は、物品の提供を受ける場合、所望の物品が収容されたディスペンサ25を選び、ディスペンサ25の排出口253の下方にカップや袋、瓶等の容器を添える。そして、操作部252を操作して、排出口253を開放する。これに応じて、収容部251内に収容されていた物品が容器に供給される。
顧客は、所望の量の物品が容器に供給されると、操作部252を操作して排出口253を閉じる。操作部252は、顧客が手を離すと排出口253を閉塞するように戻るようになっていてもよい。
なお、物品がディスペンサ25から容器に供給されている間、計量装置2の表示・操作部23には後述のとおり、顧客に提供された物品の販売重量、単価、及び販売価格が表示されており、顧客は物品の供給量を把握しながら操作部252を操作できる。
【0021】
操作部252には、操作部252の動きを検出可能なセンサ254が設けられており、これにより物品を顧客に提供する操作が実行されたか否かを検知できる。センサ254は、例えば傾斜センサあるいはモーションセンサなどで実現されるが、操作部252の構成に合わせて当該操作部252の動きを検出可能なものが適宜に採用される。センサ254又はディスペンサ25と計量装置2は、計量装置2がセンサ254から情報を取得可能となるように接続されており、後述するようにセンサ254が保持するセンサ識別情報やセンサ254の検出値などが計量装置2に出力される。
【0022】
●計量装置2のハードウェア構成
計量装置2は、ディスペンサ25から容器に供給された物品を計量すると共に、売価を算出して表示する。
この計量装置2は、
図2に示されるように、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの記憶装置を備え、インターフェース回路を介して計量部21、会計識別情報取得部22、表示・操作部23、及び通信部24と接続している。
【0023】
計量部21は、物品の重量を計測する。
図3に示されるように、計量部21は、秤皿と、物品を載置する載置部21aを備えている。この載置部21aは秤皿の上に設けられており、ディスペンサ25を支持する形状からなる。物品は通常、ディスペンサ25の収容部251に入れられて載置部21a上に載置されており、計量部21は、ディスペンサ25ごと載置部21a上に載置されている物品の重量を計測する。
【0024】
この計量部21は、例えばロードセル211とAD変換機212を備え、ロードセル211による重量検出方式で載置部21a上の物品の重量を計測する。
AD変換機212はロードセル211から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号への変換においては、重量値を適切に取得できる範囲を設定した上で、0点と最大秤量の値を記録する。デジタルデータに変換された値は、表示・操作部23上に重量(計量値)として表示される。
なお、物品が取り出された後の載置部21a上の物品の総質量に係る情報は記録され、連続する次の操作では、当該総重量が物品を取り出す前の総重量とみなされる。
【0025】
会計識別情報取得部22は、会計に会計用記憶媒体Mを用いる場合に、当該会計用記憶媒体Mから会計識別情報を取得する機能部である。この会計識別情報取得部22は、会計用記憶媒体Mにおける会計識別情報の格納又は保持の態様に応じたものによって実現される。例えば、会計用記憶媒体Mがカードであって、会計識別情報がバーコードや二次元コードにコード化されて印刷されている場合には、会計識別情報取得部22は、バーコードリーダやコード読取可能なCCDカメラ等によって実現される。また、会計識別情報がRFIDタグに格納されている場合には、会計識別情報取得部22はタグリーダによって実現される。またNFC通信可能な携帯端末に会計識別情報が格納されている場合には、会計識別情報取得部22はNFCリーダによって実現される。
なお、
図1、
図3などでは会計識別情報取得部22を図示していないが、計量装置2には、会計識別情報取得部22として、表示・操作部23上の所定の位置にコード読取部が設けられたり、別途CCDカメラやバーコードリーダなどが接続されたりする。
【0026】
なお、会計識別情報取得部22による会計識別情報の取得は、後述する重量検出部202により物品の重量変動が検出された後、計量重量が安定したことを条件として実行されるようになっていてもよい。即ち、顧客に物品が提供され、重量変動が収まって計量重量が安定すると、物品の提供が終わったものとみなし、この段階に至って会計識別情報の取得を顧客に要求するようになっていてもよい。この場合、会計識別情報の取得要求は、操作の完了ボタンの押下等、操作完了の操作を要求するものであり、会計識別情報の取得は操作の完了を受け付ける機能を有することになる。
また、重量検出部202により物品の重量変動が検出された後、計量重量が安定すると、会計用記憶媒体Mをリーダ等にかざすことを要求するなど、会計識別情報の取得を顧客に要求し、要求に応じて会計識別情報を取得すると、当該会計識別情報が計量情報と共にコンソール3へ送信されるようになっていてもよい。このとき、コンソール3へ送信される計量情報について、物品の重量は最終的な計量値であってもよい。また、会計識別情報取得後であっても、会計識別情報の取得あるいは計量重量が安定したタイミングから一定時間内に再度、計量重量が変動した場合には、変動後の計量値をコンソール3に対して更新情報として送信し、先にコンソール3に送信されていた計量値が更新されるようになっていてもよい。変動後の計量値を送信する場合には、先に取得した会計識別情報と共に変動後の計量値をコンソール3に対して送信してもよいし、変動後の計量値のみを送信し、一定時間内において先に送信されていた会計識別情報に関連付けられていた計量値が更新されるようになっていてもよい。また、会計識別情報の取得、改めて完了ボタン等、操作の完了を指示する操作が受け付けられた後、会計識別情報と計量情報がコンソール3に対して送信されるようになっていてもよい。
【0027】
表示・操作部23は、各種の情報を表示する表示手段、及び各種の操作を受け付ける操作受付手段を構成する。表示・操作部23は例えば、液晶パネルなどの表示部とメカキーなどの操作部によって実現したり、表示部と操作部とを一体的に構成したタッチパネル式ディスプレイによって実現したりできる。
この表示・操作部23には例えば、
図4に示されるように、計量部21によって計量される物品の情報を表示する領域が設けられている。例えば、購入重量表示領域23-1、総重量表示領域23-2、物品の単価表示領域23-3、及び物品の購入重量に応じた当該物品の販売価格(売価)を表示する販売価格表示領域23-4のように構成し得る。このほか、計量操作におけるステータスを表示するステータス表示領域23-5、所定の操作を受け付けるための操作ボタン23-6を備えてもよい。
【0028】
購入重量表示領域23-1に表示される物品の購入重量は、載置部21a上に載置されたディスペンサ25から顧客に提供された物品の重量であり、顧客に販売する物品の重量である。この物品の購入重量は、ディスペンサ25内の物品総重量から減算された重量であり、直近の総重量と重量変化が検出された後の総重量の差分である。
総重量表示領域23-2に表示される物品の総重量は、計量部21によって計量された載置部21a上の物品の計量値である。この総重量は、物品がディスペンサ25の収容部251に収められている場合には、当該ディスペンサ25の重量を風袋引きした重量とすることもできるし、当該ディスペンサ25又は収容部251の重量を含んだものとすることもできる。
単価表示領域23-3に表示される物品の単価は、後述する単価情報記憶部2Bに保持しているデータに基づいている。ただし、コンソール3から取得して表示させるものであってもよい。
販売価格表示領域23-4に表示される販売価格は、物品の購入重量と単価に基づいて、後述する算出処理部204によって算出されたものである。ただし、他の実施形態においては、販売価格はコンソール3によって算出されたものであってもよい。
【0029】
ステータス表示領域23-5には、載置部21a上の物品の重量変化や操作に基づいたステータスを示すアイコンが表示される。
具体的に、計量装置2は、計量重量(計量値)が変動している状態(「重量変動状態」と称することがある)では、
図5(a)の例に示すアイコンにより、重量変動状態である旨を表示・操作部23にて報知する。
また、計量装置2は、計量重量(計量値)が安定している状態(「重量安定状態」と称することがある)では、
図5(b)の例に示すアイコンにより、重量安定状態である旨を表示・操作部23にて報知する。この
図5(b)に示すアイコンは、重量変動状態から重量安定状態に移行した際に、
図5(a)の例に示すアイコンから切り替わって表示される。
また、計量装置2は、顧客による購入重量の確定操作後の状態(「確認操作後状態」と称することがある)では、
図5(c)の例に示すアイコンにより、確定操作後状態である旨を表示・操作部23にて報知する。なお、確定操作後状態は、例えば、販売価格等を消去するまで継続し、販売価格等を消去する際に終了する。
また、会計に会計用記憶媒体Mを用いる場合において、
図5(d)の例に示すアイコンにより、会計識別情報の取得要求を顧客に報知する。例えば、会計用記憶媒体Mを会計識別情報取得部22にかざすことを顧客に要求する。なお、会計識別情報の取得中や取得後、あるいは会計識別情報をコンソール3に送信する処理の完了といった段階に合わせて、
図5(d)に示すアイコンを点灯、点滅、ブランクと態様を切り替えてもよい。また、会計識別情報の送信後に、
図5(c)に示すアイコンを表示させ、会計識別情報の取得と送信が完了したことを報知してもよい。
【0030】
操作ボタン23-6は、各種の操作を決定したり選択したりするためのボタンであり、例えば物品の購入重量の確定操作を行うための確定操作ボタン等を構成する。なお、購入重量の確定操作は、顧客が計量装置2での操作を完了する操作完了手段を構成し、これに応じて顧客はコンソール3の操作に移る。
【0031】
なお、表示・操作部23に別途インジケータを設け、ゼロリセットが行われたこと、メンテナンスモードの終了、メンテナンスモードで重量が0gにセットされることを示すようにしてもよい。
また、計量装置2に会計識別情報取得部22を設ける場合、表示・操作部23上にタグのリーダライタ等で実現される会計識別情報取得部22を設け、所定の処理段階において会計用記憶媒体Mを表示・操作部23上にかざすことを促すガイダンスやステータスアイコンを表示・操作部23上に表示するようにしてもよい。また、会計用記憶媒体Mをかざす位置を示す表記(マーク)を表示・操作部23上に設けてもよい。このような表記(マーク)は例えば、操作ボタン23-6の位置に、あるいは当該操作ボタン23-6に代えて設けてもよい。
【0032】
また、計量装置2は、重量変動状態、重量安定状態及び確定操作後状態以外の状態では、表示・操作部23に何も表示しない、もしくは背景色のみを表示するものとしてもよい。例えば、計量重量(計量値)が変動する前の状態(「取引開始前状態」又は「待機状態」と称することがある)や、次取引の準備(販売価格等の消去等)を行っている状態(「取引終了前状態」と称することがある)では、表示・操作部23に何も表示しない、もしくは背景色のみを表示するものとしてもよい。
また、表示・操作部23は、バックライトが点灯するようになっていてもよい。さらにこの場合、重量変動の検出に応じてバックライトを点灯させたり、操作完了に応じて、又は操作完了後の一定時間の点灯を経て消灯させたりしてもよい。
これにより、電力消費量を抑え、ひいては環境維持に貢献する。
【0033】
このように、計量装置2には、物品の購入重量、総質量、単価、及び販売価格などが表示されるため、顧客はこれらの情報を把握しながら計量装置2から物品の提供を受けることができる。
【0034】
通信部24は、各端末や装置との接続を実現する一又は複数の通信手段によって実現される。例えば、コンソール3との相互接続は、有線又は無線のLANによって実現される。
なお、通信部24が有線LANによって実現される場合、計量装置2の電源は、外部電源と接続するコンソール3からPoE(Power over Ethernet)給電によって確保してもよい。ただし、このことは計量装置2が直接、外部電源と接続して、あるいは内部バッテリーによって給電することを妨げるものではない。
【0035】
なお、計量装置2はこのほか、スピーカやサインランプといった報知部を備えていてもよい。
報知部は例えば、顧客の操作によってディスペンサ25から物品が排出されている状態において、ディスペンサ25から顧客に提供された物品の重量が予め指定された重量に近づいたときに、音や光を発してその旨を報知することができる。この場合、音や光は、物品の重量が予め指定された重量に近づくに連れて態様が変わっていってもよい。また、顧客が所望する量を予め指定重量として設定しておき、音声により、「もう少しで指定重量です」、「少しずつ出してください」といったメッセージを発してもよい。
【0036】
なお、指定重量は、例えば計量装置2に設けたテンキーによって設定できるようにしてもよい。即ち、重量を検出していない状態においてテンキーで置数が入力されると、重量を表示する表示・操作部23に数値を点滅表示する等、検出値を表示する態様と変えて表示し、物品の提供が開始されると実重量に表示を切り替える。また、コンソール3で物品と重量を指定して物品を購入する際なども、計量装置2からコンソール3に重量データを送信すればコンソール3側で同様の報知を実現できる。
また、指定重量の場合と同様、販売価格を指定し、当該販売価格に応じて報知や案内を行うこともできる。指定重量と指定販売価格の両方を設定できるようにする場合には、指定重量と指定販売価格の別を選択できる操作子を設けるとよい。
また、予め設定される重量値ごと、例えば20gごと(20g,40g,60g・・・)に計量値を音声案内(報知)してもよい。当該計量値の報知は、システム全体に共通の固定値でもよいし、高価な商品などの特定の商品のみ、あるいは商品単位で設定できるようになっていてもよい。音声案内のパターンも、開始重量を設定後は所定間隔で報知するようになっていてもよく、例えば20gで最初の報知を行い、以後は10g単位で報知するようになっていてもよい。
【0037】
●計量装置2のソフトウェア構成
計量装置2は
図6に示すように、ソフトウェア資源として、識別情報記憶部2A、単価情報記憶部2B、センサ情報取得部201、重量検出部202、検索処理部203、算出処理部204、初期化処理部205、単価取得処理部206、報知処理部207、表示・操作制御部208、及び通信処理部209を備える。
【0038】
識別情報記憶部2Aは、ディスペンサ25に収容されている物品を特定可能な情報を記憶している。本実施形態において、この識別情報記憶部2Aには、例えばセンサ254のセンサ識別情報、各センサ254を備えるディスペンサ25によって提供される物品の物品識別情報、計量装置2ごとにユニークな装置識別情報が記憶されている。
【0039】
センサ識別情報は、計量販売システム1においてユニークなものであってもよいし、計量装置2ごとにユニークなものであってもよい。計量装置2は、自らに接続しているディスペンサ25が備えるセンサ254のセンサ識別情報を保持している。
【0040】
装置識別情報は、所定の計量装置2を識別可能な情報であり、各計量装置2は自らの装置識別情報を識別情報記憶部2Aに保持している。この装置識別情報は、例えばAD変換機212が保持し、当該AD変換機212を識別可能な変換機識別情報によって構成することもできる。
また、装置識別情報は、計量装置2が別途設けたDIPスイッチ等で設定できるようになっていてもよい。
【0041】
計量装置2と当該計量装置2に接続されたディスペンサ25ごとに扱う物品は予め設定されており、識別情報記憶部2Aでは、センサ識別情報、所定の物品の物品識別情報、及び装置識別情報が関連付けて記憶されている。これにより、センサ識別情報と装置識別情報から物品を特定できる。また、センサ識別情報と装置識別情報は、計量装置2からコンソール3に提供され、これによりコンソール3は所定の計量装置2によって計量された物品を特定できる。
なお、物品識別情報は、物品ごとにユニークな情報であり、例えばPLUコードによって構成される。
【0042】
なお、上述の構成にかかわらず、ディスペンサ25ごとに一の物品が扱われることから、センサ254のセンサ識別情報と物品識別情報とを関連付けた情報を保持しておけば、センサ識別情報から一の物品を特定することができる。
また、識別情報記憶部2Aは、計量装置2とコンソール3との間のネットワーク上に存する中継器が備え、当該中継器がコンソール3に装置識別情報を送信するようになっていてもよい。
また、計量装置2からコンソール3に対しては、センサ識別情報と装置識別情報に代えて、又はセンサ識別情報と装置識別情報に加えて、当該センサ識別情報と装置識別情報によって特定された物品の物品識別情報を送信することもできる。
【0043】
単価情報記憶部2Bは、顧客に提供される物品ごとの単価情報を記憶した記憶部である。この単価情報記憶部2Bには例えば、物品識別情報と物品の単価が相互に関連付けて記憶されている。計量装置2は、この単価情報を参照して、計量された物品の購入重量に応じた販売価格を算出することができる。
なお、識別情報記憶部2Aにおいてセンサ識別情報と物品識別情報が関連付けて記憶され、単価情報記憶部2Bにおいて物品識別情報と単価情報が関連付けて記憶されているため、センサ識別情報から単価情報が特定されるが、センサ識別情報に直接、単価情報が関連付けられていてもよい。
【0044】
センサ情報取得部201は、ディスペンサ25のセンサ254からセンサ識別情報を取得する。センサ254は、顧客によって操作部252が操作されると検出処理部2541によりこれを検出し、識別情報記憶部2Aに保持する自らのセンサ識別情報を出力処理部2542により計量装置2に出力する。センサ情報取得部201は、センサ254から出力されたセンサ識別情報を取得し、これにより計量装置2は操作されたディスペンサ25を特定できる。
【0045】
重量検出部202は、計量部21を制御して、載置部21aに載置された物品の重量を検出し、これにより重量の変化や重量の安定を検出する。また、検出値に基づいて載置部21aに載置された物品の計量値を得る。
計量装置2は、この重量検出部202によって載置部21a上の物品の重量変化を検出した後、重量の安定を検出すると、これにより物品の購入重量が確定し、操作が完了したものとみなしてもよい。そして、計量装置2はコンソール3に対し、物品を提供したディスペンサ25のセンサ254、即ち物品の提供により重量変化を検出したセンサ254のセンサ識別情報、自らの装置識別情報、及び購入重量に係る計量情報を送信する。
【0046】
なお、計量装置2は、載置部21a上の物品の重量変化を検出した後、重量の安定を検出すると共に、顧客による確定操作の実行を受け付けたことを条件として、物品の購入重量が確定したものとみなしてもよい。
また、会計に会計識別情報が用いられる場合には、計量装置2は、載置部21a上の物品の重量変化を検出した後、重量の安定を検出すると共に、会計識別情報取得部22により会計識別情報を取得したことを条件として、物品の購入重量が確定したものとみなしてもよい。
また、重量安定の検出をまたずに、確定操作の実行を受け付けられるようになっていてもよく、この場合、重量安定を検出する前に確定操作を受け付けると、その後に重量の安定を検出したタイミングで確定操作後の処理に移るようにしてもよい。
【0047】
検索処理部203は、識別情報記憶部2Aを参照して、センサ情報取得部201により取得したセンサ識別情報に関連付けられた物品を特定する。物品の特定に応じて、単価情報記憶部2Bを参照すれば、特定した物品の単価を特定できる。また、センサ識別情報に単価情報を直接関連付けている場合には、センサ情報取得部201により取得したセンサ識別情報から直接、単価を特定できる。
【0048】
算出処理部204は、ディスペンサ25の操作により顧客に提供された物品の購入重量に基づいた販売価格を算出する。
本実施形態では、ディスペンサ25ごとに一の会計が終了した後の総重量が保持され、当該総重量は、顧客が物品の提供を受ける前の物品の計量結果に係る第一の計量値となる。算出処理部204は、顧客に物品を提供すると、第一の計量値から、物品を提供した後の物品の計量結果に係る第二の計量値を減算し、第三の計量値を算出する。第一の計量値と第二の計量値はそれぞれ、物品の取引開始時の重量、物品の提供による重量変動後の重量であり、この差分、即ち前回から減少した重量である第三の計量値は、顧客に提供した物品の購入重量とみなすことができる。
【0049】
算出処理部204は、物品の単価に購入重量を乗算して物品の販売価格を算出する。なお、上述した第一の計量値及び第二の計量値それぞれに応じた物品の販売価格を算出し、この差分を物品の販売価格とすることもできる。
物品の提供前後における差分を物品の購入重量とするため、風袋引きの操作が必要なく、顧客にかかる操作の負担が少なくて済む。その結果、物品を顧客に提供するのに要する時間も短くなり、順番待ちも生じにくい。また、操作負担が少ない分、操作に起因した計量ミスを減らすことができる。
【0050】
初期化処理部205は、所定のタイミングや操作に応じて、載置部21a上の物品の重量に基づいた購入重量を初期値に初期化(消去)する処理を実行する。
この初期化処理部205による初期化処理の一例では、重量検出部202によって載置部21a上の物品の総重量が増加したことを検出した場合に、物品の購入重量を初期値(0g)にする初期化を行う。本実施形態では、載置部21a上の物品の総重量から減算された重量を購入重量とするが、物品の交換や補充、一旦顧客に提供した物品が戻された場合には直近の計量値から重量が増加することになる。そこで、物品の総重量の増加に応じて物品の購入重量を初期化することで、これに続いて実行される会計処理を適切なものとすることができる。
【0051】
なお、載置部21a上の物品の総重量から減算された重量を購入重量とする本実施形態では、総重量が増加すると購入重量は負の値となることから、購入重量が負の値となったことを検出したことを契機として物品の購入重量を初期化してもよい。このような場合に物品を戻すときは物品の状態確認が必要となるため、総重量の増加を検出するとこれをエラーとして店員に報知し、店員が所定の操作や権限認証を行うことを条件としてエラーが解除されると、現在の重量を総重量としてマイナスの購入重量が初期化されるようになっていてもよい。
また、物品の重量が増加した場合、購入重量は負の値になるが、表示部には「ERROR」などのメッセージを表示し、購入重量ではない旨を表示するとよい。また、この場合において、他の例では非表示(空白)や「0円」表示をしてもよい。
【0052】
また、重量検出部202によって載置部21a上の物品の総重量が増加したことを検出した場合において、増加した重量が所定値以上である場合に購入重量を初期化するようにしてもよい。これにより例えば、増加した重量が所定値以上であれば物品の補充があったとみなして購入重量を初期化し、所定値以下であれば報知処理部207により店員に報知を行うといったように運用してもよい。
【0053】
また、物品の提供等により、重量検出部202が載置部21a上の物品の減少を検出し、当該減少分が購入重量として算出された場合においても、その後、未操作の状態で一定時間が経過したときは、算出処理部204により算出した購入重量を初期化してもよい。
なお、購入重量を初期化するまでに、後述する報知処理部207による報知を行い、その上で未操作の状態が一定時間経過した場合に購入重量を初期化するようにしてもよい。購入重量が消去されると、次客の操作を受付可能な状態となる。
また、未操作の状態とは、例えば上述した物品の購入重量の確定操作が実行されない状態であり、所定の確定ボタンが押下されない、あるいは会計識別情報が取得されない状態が続いたときに購入重量を初期化してもよい。
また、上述の未操作状態での一定時間は、計量装置2が重量変動後に重量安定を検出した時から起算してもよい。
【0054】
購入重量を初期化する場合には、初期化する購入重量の情報と共に、購入重量を初期化する旨の通知をコンソール3やストアコントローラ4等に送信し、歩留管理を行えるようにしてもよい。具体的には、物品を特定可能な物品識別情報等と、未精算フラグなどを送信データとしてコンソール3に対して送信する。これにより、コンソール3は未精算の物品の重量データを管理できる。なお、このように計量装置2からコンソール3に対して送信される情報、あるいは送信された情報にタイムスタンプを発行するなどして発生日時を把握可能とすれば、歩留管理としてさらに有用である。また、会計に会計識別情報を用いる場合には、会計識別情報の値を「Null」とした計量情報をコンソール3に送信し、購入重量を消去したことを通知するようにしてもよい。
【0055】
また、物品の交換時、一旦、載置部21a上のディスペンサ25内から物品が除かれ、その後ゼロリセットの操作が行われた場合において、改めて物品がディスペンサ25に補充されたことを重量変化によって検出すると、ゼロリセット後の最初の購入重量を自動的に0gとするように初期化してもよい。
【0056】
また、物品の購入重量を初期値とする初期化処理は、コンソール3からの要求に応じて実行することもできる。
また、初期化処理部205による処理の実行に合わせて、後述する単価取得処理部206によって物品の単価情報を取得するようにしてもよい。
【0057】
単価取得処理部206は、所定のタイミングでコンソール3やストアコントローラ4など、物品の単価情報を保持する端末あるいは装置から当該単価情報を取得する。単価情報の取得は例えば、識別情報記憶部2A又は単価情報記憶部2Bに記憶されている物品識別情報と共に、当該物品識別情報によって識別される物品の単価情報の取得要求をコンソール3などに送信することによって実行され、単価情報の供給を受けると、当該単価情報は単価情報記憶部2Bに登録される。
【0058】
単価取得処理は例えば、載置部21a上の物品の総重量の増加等に応じた購入重量の初期化、計量重量のゼロリセット、電源ONなどが行われたときに実行されるものであってもよい。また、計量装置2が物品の単価に係る情報を保持していない場合において重量変化が検出されたときに、計量装置2からコンソール3に対し、物品識別情報と共に物品の単価に係る情報の取得を要求するようにしてもよい。
【0059】
また、コンソール3側の保守画面において計量装置2を指定した単価情報の送信要求が受け付けられたり、物品情報記憶部3Aに記憶されている単価情報が変更されたりしたときにコンソール3側から計量装置2に対して単価情報が送信されるようになっていてもよい。
【0060】
また、計量装置2の単価情報記憶部2Bに記憶されている単価情報とコンソール3側の物品情報記憶部3Aに記憶されている単価情報の異同を判定すると共に、異なる場合には単価情報の登録に問題があることをコンソール3上あるいは別途設けたサインライト等の報知手段で報知してもよい。この場合には、コンソール3から計量装置2に対して物品の単価情報を送信するか否かの確認画面をポップアップまたは全画面重畳させて表示させたり、設定画面(データ更新画面)へ移動させたりして、管理者等に単価情報の更新を実行させるようにしてもよい。
【0061】
また、計量販売システム1の起動時、計量装置2からコンソール3に問い合せをさせ、コンソール3から各計量装置2に対し、各計量装置2によって提供される物品の単価に係る情報を送信するようにしてもよい。また、計量販売システム1の起動時に限らず、メンテナンス画面や計量装置2からの操作によって物品識別情報を指定し、コンソール3から所定の計量装置2に当該物品識別情報に対応する物品の単価を送信させてもよい。また、計量装置2が単価情報を保持せず、コンソール3や他のクラウドサーバ、ストアコントローラ4等の上位端末が単価情報を保持する場合、重量検出部202が重量変動を検出する都度、単価情報の取得要求と共に、センサ識別情報と装置情報、又はセンサ識別情報を当該上位端末に送信し、当該上位端末から、センサ識別情報と装置情報、又はセンサ識別情報に関連付けられた単価情報を取得するものとしてもよい。
【0062】
報知処理部207は、物品の購入重量を確定する確定操作が実行されない場合、例えば、計量装置2が重量変動後に重量安定を検出し、その後に確定操作が実行されないまま一定時間が経過した場合にこれを報知する。
物品の購入重量を確定する確定操作は、例えば、所定の確定ボタンを押下(タッチ)する操作である。また、会計に会計識別情報を用いる場合には、会計用記憶媒体Mの読み取り等、会計識別情報の取得が確定操作を構成するようになっていてもよい。また、会計に会計識別情報を用いる場合であっても、会計識別情報の取得後、改めて所定の確定ボタンを押下するなどの操作を要求し、当該操作が確定操作を構成するようになっていてもよい。
【0063】
報知は、顧客に続く操作の実行を促したり、店舗の管理者等に状況を知らせたりするものである。その態様としては例えば、表示・操作部23上に状況を報知するメッセージやアイコンなどを表示させたり、画面を明滅させたりしてもよい。また、別途設けたサインランプやスピーカによりサインの点灯・点滅、ブザー音の音声出力を行ったりしてもよい。また、計量装置2と通信可能に構成されたコンソール3やストアコントローラ4等に情報を送信し、コンソール3やストアコントローラ4の操作者等に報知するようにしてもよい。
なお、報知処理部207は、重量安定を検出した後、一定時間の経過を待つことなく即時に確定操作の実行を促す報知を行ってもよい。
【0064】
表示・操作制御部208は、表示・操作部23を制御して各種の情報を表示・操作部23に表示させたり、表示・操作部23から入力された操作や情報を受け付けたりする。本実施形態において、表示・操作部23に表示させる情報には、上述のとおり物品の総重量、物品の購入重量、単価、販売価格などがある。
【0065】
通信処理部209は、通信部24によりコンソール3や上位のストアコントローラ4等とデータの送受信を実行する機能部であり、所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実現する。
計量装置2はこの通信処理部209により、コンソール3に対し、計量部21による計量結果として顧客に提供された物品の購入重量に係る情報を送信ないしは出力することができる。この際、計量装置2は例えば、重量変化を検出したセンサ254のセンサ識別情報、自らの装置識別情報、及び物品の購入重量を関連付けて計量情報としてコンソール3に送信することができる。なお、会計に会計識別情報が用いられる場合には会計識別情報も合わせて送信することができる。
【0066】
なお、計量装置2がコンソール3に対して、計量情報を送信するタイミングは例えば、計量部21において購入重量が計量され、且つ重量検出部202が載置部21a上の物品の重量の安定を検出したことを条件として、この条件が整ったタイミングとすることができる。この条件は各種の設定が可能であり、重量安定の検出と顧客による確定操作が条件となっていてもよいし、会計識別情報が用いられる場合には、物品の重量の安定を検出に加えて、会計識別情報取得部22により会計識別情報を取得したことが条件となっていてもよい。
【0067】
また、通信処理部209により、物品の購入重量に係る情報と共に、顧客に対して提供した物品を特定するための情報としてコンソール3に送信される情報は、計量販売システム1の実施形態に応じて異なる。
第一例においては、通信処理部209はコンソール3に対し、センサ識別情報、装置識別情報、及び物品識別情報を送信してもよい。この第一例においては、計量装置2から物品識別情報が送信されるため、コンソール3側では、当該物品識別情報に基づいて物品を特定することもできるし、センサ識別情報及び/又は装置識別情報と物品識別情報を関連付けた情報を保持しておけば、センサ識別情報及び/又は装置識別情報に基づいて物品識別情報を特定することもできる。
第二例において、通信処理部209はコンソール3に対し、センサ識別情報、物品識別情報を送信してもよい。この第二例においても第一例と同様、計量装置2から物品識別情報が送信されるため、コンソール3側では、当該物品識別情報に基づいて物品を特定することができる。また、センサ識別情報と物品識別情報を関連付けた情報を保持しておけば、センサ識別情報に基づいて物品識別情報を特定することもできる。
第三例においては、通信処理部209はコンソール3に対し、センサ識別情報及び装置識別情報を送信してもよい。この第三例においては、センサ識別情報及び装置識別情報と物品識別情報を関連付けた情報を保持しておけば、センサ識別情報及び装置識別情報に基づいて物品識別情報を特定することができる。例えば、一の計量販売システム1を構成する計量装置2ごとにユニークな装置識別情報と、計量装置2ごとにユニークなセンサ識別情報を用いれば、当該装置識別情報とセンサ識別情報に物品識別情報を関連付けた情報を保持しておくことで、計量装置2に接続する複数のディスペンサ25により複数の物品を扱い、且つ、各物品の単価が異なる場合においても、装置識別情報とセンサ識別情報から物品、さらにはその単価を特定できる。また、計量装置2ごとに単価の同じ物品を扱う場合には、装置識別情報と物品識別情報を関連付けた情報を保持しておくことで、装置識別情報のみにより物品、さらにはその単価を特定できる。
第四例において、通信処理部209はコンソール3に対し、センサ識別情報のみを送信してもよい。複数の物品を扱う場合に、一の計量販売システム1を構成するセンサ254ごとにユニークなセンサ識別情報を用い、当該センサ識別情報と物品識別情報を関連付けた情報を保持しておけば、センサ識別情報から物品識別情報を特定することができる。また、計量販売システム1として一の物品のみを扱う場合には、センサ識別情報に物品の単価等の情報を関連付けておけば、物品を特定するまでもなく、当該単価に基づいて販売価格を算出できる。
【0068】
なお、上述した計量装置2が有するソフトウェア資源は、適宜の設計によりいずれかのハードウェア資源に分散又は集約させることができるし、ハードウェア資源も物理的に一体をなす装置あるいは別体をなす装置として構成することもできる。また、計量に関わる重量検出部202やデータの入出力及びデータの通信処理を行うための機能を除き、計量装置2が備えるものとした上述のソフトウェア資源をクラウドサーバ等に保持させた上、データの処理を当該クラウドサーバ等に担わせ、計量装置2は計量と表示・操作部23上でのデータの入出力のみを実行するように構成してもよい。
【0069】
●コンソール3のハードウェア構成
コンソール3は、所定の情報の入出力を実行すると共に、計量装置2から顧客に提供された物品の会計用伝票を発行する装置である。このコンソール3は、計量装置2から、顧客に提供した物品に関する情報を取得し、これに応じて当該顧客に提供した物品を販売するための情報が印刷された会計用伝票を発行する。
【0070】
コンソール3は、
図2に示されるように、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置を備え、インターフェース回路を介して会計識別情報取得部31、表示・操作部32、及び通信部33と接続している。さらに、会計用伝票を発行する発行部34が専用ケーブルを介して接続されている。ただし、他の例においては、発行部34は他のハードウェアと一体的に構成されていてもよい。
【0071】
会計識別情報取得部31は、計量装置2が備える会計識別情報取得部22と同様、会計用記憶媒体Mから会計識別情報を取得するための機能部であり、会計用記憶媒体Mにおける会計識別情報の格納又は保持の態様に応じて、バーコードリーダ、コード読取可能なCCDカメラ、タグリーダ、NFCリーダ等によって実現される。
なお、
図1では会計識別情報取得部31を図示していないが、コンソール3には、会計識別情報取得部31が適宜の位置に設けられたり、接続されたりしている。なお、コンソール3の表示・操作部32上の所定の位置にかざされた会計用記憶媒体Mから会計識別情報を読み取るようにする場合には、当該所定の位置に対応して会計識別情報取得部31を設けると共に、当該所定の位置に、会計用記憶媒体Mをかざすように案内するマークを付したり、表示したりするとよい。
【0072】
表示・操作部32は、タッチパネル式ディスプレイ等によって実現され、顧客に対して物品の計量結果や販売価格等の各種情報を表示し、この点においては情報の表示手段を構成する。また、表示・操作部32は、顧客から各種の操作を受け付けることもでき、この点においては操作部を構成する。
この表示・操作部32では、例えば、顧客が購入する物品の単価と購入重量に基づいて算出された売価が表示される。また、この表示・操作部32により、顧客から会計伝票の発行要求操作を受け付けたりする。
【0073】
通信部33は、各端末や装置との接続を実現する一又は複数の通信手段によって実現される。計量装置2との相互接続は例えば、有線又は無線のLANによって実現される。
【0074】
発行部34は、後述する印刷情報生成部304によって生成された印刷情報を所定の媒体に印刷して会計用伝票を生成し、
図1に示す発行口34aから当該会計用伝票を排出する。
なお、会計用伝票は、紙媒体のものであってもよいし、物品を入れる容器等に貼付可能なラベルであってもよい。
【0075】
なお、コンソール3はこのほか、物品の販売態様や適宜の仕様により、スキャナ部や音声出力部、タグ読書部などを備えていてもよい。
【0076】
スキャナ部は、各種の情報を光学的に読み取る機能部であり、所定の情報をコード化した一次元コード又は二次元コードを読み取る。
これにより、例えば、物品を識別可能な物品識別情報や会計情報を二次元コードにコード化し、コード化された情報を読み取ることで情報を取得できる。
【0077】
音声出力部は、所定の情報を音声により出力する。これにより、例えば、音声ガイダンス等を出力したり、エラー音や操作音を出力したりできる。
【0078】
タグ読書部は、非接触型ICタグに対して情報の読み書きを実行する。非接触型ICタグの一例は、RFID(radio frequency identifier)タグであり、タグ読書部は、非接触型ICタグとの間で、電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信によって情報の読み書きを実行する。
これにより、例えば、非接触型IDタグに、物品を入れる容器の重量に係る情報、あるいは当該容器を識別する容器識別情報を書き込んでおき、当該非接触型IDを組み込んだラベルを容器に貼付しておく。そして、タグ読書部によって、顧客がディスペンサ25から供給した物品を入れる容器の重量に係る情報、あるいは当該容器を識別する容器識別情報を読み込んで、容器の会計に必要な情報を取得するようにしてもよい。
【0079】
●コンソール3のソフトウェア構成
コンソール3は
図6に示されるように、ソフトウェア資源として、物品情報記憶部3A、設定情報記憶部3B、計量情報記憶部3C、検索処理部301、算出処理部302、表示・操作制御部303、印刷情報生成部304、通信処理部305を備え、さらに通信処理部305は発行処理部306との通信を確立している。
【0080】
物品情報記憶部3Aは、物品の名称や単価など、計量装置2における被計量物たる物品の基本情報を記憶する記憶部である。
この物品情報記憶部3Aに記憶されるデータ項目には例えば、
図7に示されるように、物品識別情報、物品名、計量区分、単価、単位重量が含まれる。
なお、物品情報記憶部3Aに記憶されている情報は、ストアコントローラ4や店舗外に存在するクラウドサーバ等から受信するものであってもよい。
【0081】
ここで、計量区分は、計量に関する区分である。
計量区分「0」は、「不定貫」に対応する計量区分である。不定貫とは、予め設定した単位重量(本実施形態では「100g」)当りの単価と、販売する重量(計量値)とに基づいて販売価格が決定される販売方法である。計量区分「0(不定貫)」の物品については、販売価格の決定に際し、販売する重量が必要になる。
【0082】
計量区分「0(不定貫)」であるときは、単価欄には、単位重量当りの単価が記憶され、単位重量欄には、単位重量が記憶されている。例えば、物品識別情報「SH001」の物品(物品名「AAA」)の場合、100g当りの単価が250円である旨が記憶されている。従って、物品名「AAA」の物品は、例えば、計量値が50gであれば販売価格は125円となり、計量値が200gであれば販売価格は500円となる。
【0083】
計量区分「1」は、「定貫」に対応する計量区分である。定貫とは、予め設定した単位数量(本実施形態では「1個」)当りの単価と、単位重量から換算される販売数量とに基づいて販売価格が決定される販売方法である。
なお、計量区分「1(定貫)」の物品については、当該物品の単位重量(単位数量である1個の重量)と計量値とから、当該物品の数量を算出あるいは推定し、算出あるいは推定した当該物品の数量と単位数量当りの単価とから販売価格が決定されるため物品の計量が必要である。
また、個体の重量誤差はカウンティングスケール等に備えている精度補正機能を用いてもよい。
【0084】
計量区分「1(定貫)」であるときは、単価欄には、単位重量(すなわち数量「1」)当りの単価が記憶され、単位重量欄には、数量「1」に相当する単位重量が記憶されている。例えば、物品識別情報「SH103」の商品(商品名「ABC」)の場合、1個(重量80g)当りの単価が90である旨が記憶されている。従って、商品名「ABC」の物品は、例えば、計量値が85g程度であれば販売価格は1個分の90円となり、計量値が150g程度であれば販売価格は2個分の180円となる。
【0085】
設定情報記憶部3Bは、計量装置2の装置識別情報及び/又はセンサ254のセンサ識別情報と物品識別情報を関連付けて記憶している。この設定情報記憶部3Bを参照することにより、装置識別情報及び/又はセンサ識別情報に基づき、所定のディスペンサ25によって提供され、計量装置2によって計量された物品を特定することができる。
なお、センサ識別情報は物品ごとにユニークであって、物品識別情報とは一対一で対応していてもよい。この場合、設定情報記憶部3Bにおいて、センサ識別情報と物品識別情報とを関連付けて記憶しておけば、計量装置2から受信したセンサ識別情報に基づき、顧客に提供された物品を特定することができる。
また、センサ識別情報は、計量装置2ごとにユニークなものであってもよい。この場合、設定情報記憶部3Bにおいて、センサ識別情報、装置識別情報、及び物品識別情報が関連付けて記憶されていれば、計量装置2から受信した装置識別情報とセンサ識別情報に基づき、顧客に提供された物品を特定することができる。
また、本実施形態においては、物品情報記憶部3A及び設定情報記憶部3Bを設けたが、設定情報記憶部3Bにおいて、計量装置2の装置識別情報及び/又はセンサ254のセンサ識別情報に直接、物品の単価情報が関連付けられていてもよい。
【0086】
計量情報記憶部3Cは、計量装置2から送信された計量情報を記憶する記憶部である。
この計量情報記憶部3Cには、計量装置2において顧客に提供した物品の計量情報として少なくとも、互いに関連付けられた装置識別情報、センサ識別情報、及び購入重量に係る情報が記憶されている。さらに、会計に会計識別情報が用いられる場合には、
図8に示されるように、互いに関連付けられた会計識別情報、装置識別情報、センサ識別情報、購入重量に係る情報が記憶されている。
なお、この計量情報記憶部3Cにはこのほか、会計に必要な情報として、顧客に提供した容器に係る情報なども記憶できる。また、物品の単価と購入重量に基づいた販売価格が登録されてもよい。この販売価格は、計量装置2の算出処理部204によって算出されたものであってもよいし、コンソール3の算出処理部302によって算出されたものであってもよい。
【0087】
検索処理部301は、設定情報記憶部3Bを参照して、顧客に提供された物品を特定する。この検索処理部301は、例えば、センサ識別情報が計量装置2ごとにユニークなものである場合には、計量装置2から受信した装置識別情報及びセンサ識別情報に基づいて物品を特定できる。また、センサ識別情報が物品ごとにユニークなものである場合には、計量装置2から受信したセンサ識別情報に関連付けられた物品を特定できる。
【0088】
算出処理部302は、各種の数値データに基づいて、所定の値を算出する処理を実行する。
この算出処理部302は例えば、物品情報記憶部3A及び計量情報記憶部3Cを参照して、物品の購入重量と単価から顧客に提供した物品の販売価格を算出する。会計識別情報が用いられる場合には、所定の会計識別情報に基づき、一会計で購入される物品の販売価格を算出する。
なお、物品の提供に際して顧客に有料の容器を提供した場合には、合計の販売価格の算出において当該容器の購入費用を加算することもできる。
また、物品の購入重量に基づいた物品の販売価格は、計量装置2においても算出されるため、最終的な物品の販売価格の算出において、当該計量装置2において算出された物品の算出価格を用いてもよい。
【0089】
また、算出処理部302は、顧客に提供された物品が複数ある場合、例えば所定の会計識別情報に関連付けられた物品が複数ある場合において、複数の物品の販売価格を合算した販売価格を算出することができる。
【0090】
表示・操作制御部303は、表示・操作部32を制御して、各種の情報を表示・操作部32に表示させたり、表示・操作部23から入力された操作や情報を受け付けたりする。表示させる情報には、物品の名称や単価といった物品情報記憶部3Aに記憶されている情報、購入重量として計量装置2から受信した物品の販売重量、算出処理部302によって算出された物品の販売価格といった情報が含まれる。また、表示・操作制御部303は、これらの情報が適宜に加工、編集され、選択可能な情報として構成されたもの、販売する商品の内容の確認操作を受け付ける操作子や、物品の登録完了を受け付け、これにより会計用伝票の発行要求を受け付ける操作子なども表示・操作部32に表示させる。
【0091】
印刷情報生成部304は、会計用伝票に印刷する内容に係る印刷情報を生成する。このとき生成される印刷情報には少なくとも、算出処理部302によって算出された物品の販売価格に係る情報のほか、物品情報記憶部3Aに記憶されている物品の名称等の情報、計量装置2による物品の計量結果に係る情報等、物品の会計に必要な情報が含まれる。
この印刷情報生成部304によって生成された印刷情報は発行処理部306に出力される。
なお、印刷情報、あるいは当該印刷情報に含まれる会計情報は、一次元あるいは二次元のシンボルコードにコード化することができる。
【0092】
通信処理部305は、所定の通信プロトコルに従い、発行処理部306とのデータの送受信、及び計量装置2とデータの送受信を実行する。
コンソール3はこの通信処理部305により、計量装置2から装置識別情報、センサ識別情報及び物品の購入重量を関連付けた計量情報を受信したり、発行処理部306に対して印刷情報を出力したりすることができる。
なお、通信処理部305はさらに、上位のストアコントローラ4等と、有線又は無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)等によるデータの送受信を実行するものであってもよい。また、インターネット等のネットワークを介して、外部のサーバとのデータの送受信を実行するものであってもよい。
【0093】
発行処理部306は、発行部34を制御して、印刷情報生成部304によって生成された印刷情報を所定の媒体に印刷させ、会計用伝票を発行させる。なお、発行処理部306はこのほか、物品の管理等において必要なラベルやレシート等を発行させることもできる。
【0094】
コンソール3はこれらの機能部のほか、表示・操作部32に展開するGUIのレイアウト等に関する設定ファイルなども備える。
【0095】
なお、上述したコンソール3が有するソフトウェア資源は、適宜の設計によりいずれかのハードウェア資源に分散又は集約させることができるし、ハードウェア資源も物理的に一体をなす装置あるいは別体をなす装置として構成することもできる。また、コンソール3は、シンクライアント形式の端末として構成されていてもよく、この場合、上述したソフトウェア資源はクラウドサーバが保持し、コンソール3は表示・操作部32上でデータの入出力を実行する。
【0096】
●処理の流れ1
本実施形態に係る計量販売システム1において、顧客に物品が提供される際に実行される処理の一例について説明する。
なお、店舗側では、計量販売システム1の使用前に、ディスペンサ25によって顧客に提供される物品について、センサ識別情報、装置識別情報、物品識別情報などを関連付けて設定しておく。
【0097】
図9は、顧客がディスペンサ25を操作して物品の提供を受け、その情報が計量装置2からコンソール3に送信されるまでの処理の流れを示している。
顧客は、所望の物品が収められたディスペンサ25を操作して所望量の物品を所定の容器に供給させる(S101)。センサ254は、顧客による操作部252の操作を変位により検出すると(S102)、センサ識別情報を計量装置2に出力する(S103)。
【0098】
計量装置2は検索処理部203により、センサ254から取得したセンサ識別情報に基づき、識別情報記憶部2Aを参照して物品を特定した上、単価情報記憶部2Bに記憶されている当該物品の単価を表示・操作部23に表示する(S104)。
【0099】
計量装置2は、重量検出部202により計量装置2の載置部21a上の物品の重量変化を検出する(S105)。また、計量装置2は重量変化の検出処理(S105)や後述する重量安定の検出処理(S109)などと並行して、計量部21により物品の重量を計量しており(S106)、算出処理部204が計量値に基づいて物品の購入重量を算出すると、表示・操作部23に当該購入重量が表示される(S107)。また、算出処理部204により当該購入重量と物品の単価に基づいて販売価格が算出されると、表示・操作部23に当該販売価格が表示される(S108)。
【0100】
重量検出部202は、物品の提供により重量変動が検出された後、載置部21a上の物品の重量が安定したことを検出すると(S109)、購入重量の確定をまって(S110)、センサ識別情報、装置識別情報、及び購入重量に係る情報を計量情報としてコンソール3に送信する(S111)。計量情報を受信したコンソール3では、当該計量情報が登録される(S112)。
【0101】
なお、物品の重量が安定した後においても、購入重量の確定操作が実行されるまでは、顧客は改めてディスペンサ25を操作して、所望の量の物品を容器に供給してもよい。
また、購入重量の確定(S110)は、例えば所定の操作ボタンの押下等の操作によるものであってもよいし、重量安定の検出(S109)を購入重量の確定とみなしてもよく、これにより顧客による計量装置2での操作が完了することになる。
また、計量装置2は、装置識別情報、センサ識別情報、及び購入重量に係る計量情報をコンソール3に対して送信すると、初期化処理部205によって販売重量を初期化する。これにより、表示・操作部23は元の状態(待機画面)に戻り、次の取り引きを受付可能に待機する。
【0102】
続いて、
図10は、計量装置2での操作を終えた顧客が、コンソール3により会計伝票の発行を受ける際の処理の流れを示している。
コンソール3は、計量装置2から装置識別情報、センサ識別情報、及び購入重量を含む計量情報を受け付けると、検索処理部301により物品情報記憶部3Aを参照して、顧客に提供された物品を特定する(S201)。また、算出処理部302は、特定した物品の単価に係る情報と購入重量に基づいて販売価格を算出する(S202)。
なお、容器の購入があった場合には容器の費用を加算すると共に、消費税等も算出して最終的な販売価格を算出する。
【0103】
販売価格が算出されると、表示・操作制御部303は表示・操作部32に会計用伝票を発行する物品の選択・確認を促す選択・確認画面を表示させる(S203)。選択・確認画面には、会計の済んでいない物品を選択・確認するための操作子や、物品の種類や名称、販売価格といった物品の情報が表示されており、顧客は所定の物品に対応付けられた操作子を選択、押下する(S204)。
なお、操作子は、例えば物品ごとに設けられたプリセットボタンであり、プリセットボタンには物品のイメージ画像などが表示されていてもよい。
また、選択・確認画面では、物品の品番を入力して、操作子により示された物品以外の物品の情報を呼び出せるようになっていてもよい。また、操作子を物品のカテゴリや部門、分類に応じて分けて表示してもよく、このような態様は複数の操作子が表示される場合に所定の操作子が見つけやすく便利である。
【0104】
顧客によって物品の選択・確認操作が行われると(S204)、表示・操作制御部303は表示・操作部32に伝票発行画面を表示させる(S205)。伝票発行画面には、会計用伝票の発行操作を受け付けるための操作子が表示されており、顧客は当該操作子によって会計用伝票の発行を要求する(S206)。
なお、上述した選択・確認画面上の操作子が会計用伝票の発行操作を要求する操作子を兼ねてもよく、この場合、顧客が所定の物品の選択・確認を行う操作子を選択、押下することにより会計用伝票の発行が要求される。
また、伝票発行画面には、適宜キャンセルボタンが設けられていてもよい。キャンセルボタンが押下された場合には、画面は物品の選択・確認画面に戻り、操作者は物品の選択・確認をやり直すことができる。
【0105】
コンソール3は、顧客から受け付けた会計用伝票の発行要求に応じて、印刷情報生成部304により、会計用伝票に印刷する内容に係る印刷情報を生成する(S207)。さらに、発行処理部306は、発行部34により当該生成された印刷情報に基づいた会計用伝票を発行する(S208)。これにより、一の取り引きが完了する。
【0106】
なお、本実施形態にかかわらず、計量装置2から計量情報を受け付けると、物品の特定や販売価格の算出を行って、操作子による操作を介在させることなく会計用伝票を発行することもできる。
また、会計用伝票の取り忘れを防ぐために、コンソール3に取り忘れを防止するためのセンサを取り付け、取り忘れを報知してもよい。
また、会計用伝票を用いた物品の会計処理は、POS端末5の仕様又は運用によって、店員が顧客から会計用伝票を受け取って実行することもできるし、顧客が自ら行うこともできる。
また、計量装置2において物品の重量の検出値が安定しないまま顧客が会計識別情報を計量装置2に取得させようとした場合、あるいは計量過程で物品の総質量の増加を検出した場合等においては、これを不正操作等として検知し、アラートを出力するようにしてもよい。
【0107】
●処理の流れ2
本実施形態に係る計量販売システム1において、顧客に物品が提供される際に実行される処理の他の一例として、物品の会計に会計識別情報が用いられる例を
図11により説明する。
なお、
図11において、ディスペンサ25での処理を省略しているが、ディスペンサ25では
図9を参照して説明したのと同様の操作が行われる。また、
図9と同様の符号を付した処理については、
図9と同様の処理が実行される。
【0108】
店舗側は物品の提供において適宜、会計用記憶媒体Mを用意する。会計識別情報は、タグに格納してこれらのツールに備えさせたり、シンボルコードにコード化してこれらのツールに貼付したりしてもよい。なお、顧客が所持するカード等を会計用記憶媒体Mとして利用する場合には、顧客は店舗側で用意した会計用記憶媒体Mを利用しなくてもよい。
【0109】
計量装置2では、
図9を参照して説明した既述の処理と同様、従量の安定を検出するまでの処理(S101~S109)が実行される。そして、計量装置2は、重量検出部202により載置部21a上の物品の重量が安定したことを検出すると(S109)、会計識別情報の取得をまって(S301)、センサ識別情報、装置識別情報、購入重量、及び会計識別情報に係る情報を計量情報としてコンソール3に送信する(S302)。ここでは、会計識別情報取得部22による会計識別情報の取得が物品の購入重量の確定操作となっている。計量情報を受信したコンソール3では、当該計量情報が登録される(S303)。
【0110】
なお、計量装置2では、装置識別情報、センサ識別情報、購入重量、及び会計識別情報に係る計量情報をコンソール3に対して送信すると、初期化処理部205によって販売重量が初期化される。これにより、表示・操作部23は元の状態(待機画面)に戻り、次の取り引きを受付可能に待機する。顧客は、所望の商品をまだすべて取り終えていない場合(S304)、所望の物品ごとに各物品が収められているディスペンサ25で同様の操作を行い、所望の物品全てについて操作を終えると、計量装置2での操作を終了し、コンソール3での操作に移る。
【0111】
続いて、
図12は、
図11に示したとおりに計量装置2での操作を終えた顧客が、コンソール3により会計伝票の発行を受ける際の処理の流れを示している。
なお、コンソール3では、計量装置2から、物品識別情報、購入重量、及び会計識別情報が関連付けられた計量情報を受信すると、これを計量情報記憶部3Cに登録している。このとき、既に同一の会計識別情報に関連付けられた情報がある場合には、当該同一の会計識別情報に対し、新たに受け付けた計量情報を関連付けて登録する。
【0112】
コンソール3は、会計識別情報取得部31により顧客から会計識別情報を取得すると(S401)、物品情報記憶部3A及び計量情報記憶部3Cを参照して、算出処理部302により、当該会計識別情報に関連付けられた物品の販売重量に応じた販売価格を算出する(S402)。即ち、物品ごとに、単価に販売重量を乗算して販売価格を求めると共に、一の会計識別情報に関連付けられた全ての物品の個別の販売価格を合算する。さらに、容器の購入があった場合には容器の費用を加算すると共に、消費税等も算出して最終的な販売価格を算出する。
なお、物品ごとの販売価格や最終的な販売価格は、会計識別情報を取得する前に予め算出処理部302によって算出されていてもよい。
【0113】
販売価格が算出されると、以降は
図10を参照して説明したのと同様の処理が実行される。即ち、表示・操作制御部303により表示・操作部32に伝票発行画面が表示される(S203)。伝票発行画面には、会計用伝票の発行操作を受け付けるための操作子が表示されており、顧客は当該操作子によって会計用伝票の発行を要求する(S204)。コンソール3は、これに応じて、印刷情報生成部304により会計用伝票に印刷する内容に係る印刷情報を生成し(S205)、発行処理部306は、発行部34により当該生成された印刷情報に基づいた会計用伝票を発行する(S206)。
なお、本実施形態にかかわらず、操作子による操作を介在させることなく、会計識別情報の取得に応じて、会計用伝票を発行することもできる。
会計用伝票の発行を受けた顧客は、POS端末5により当該会計用伝票に基づいた会計処理を受け、これにより物品の購入を終える。
【0114】
なお、本実施形態に係る計量装置2により実行される処理について、本実施形態では、重量検出部202によって計量装置2上の物品の重量変化が検出した後、重量の安定を検出すると共に、会計識別情報取得部22により会計識別情報を取得したことをもって、計量情報をコンソール3に送信した。ただし、会計識別情報の取得後、操作完了ボタンの押下に応じてコンソール3に計量情報を送信するようにしてもよい。この場合には、一旦会計識別情報を取得しても、操作完了ボタンが押下されるまでは、顧客は購入する物品を追加することができる。
【0115】
●画面と会計用伝票の例
本実施形態において、コンソール3に表示される画面及びその遷移の一例を
図13乃至
図15に示す。
図13は、コンソール3の待機画面を示している。なお、この
図13に示す画面の例では、会計用記憶媒体MとしてICタグを備えたICカードが用いられることを前提としており、ICタグには会計識別情報が格納されている。なお、規格によりカードを識別するためのカード識別番号を用いてもよい。
待機画面には、会計識別情報を要求するメッセージとして、「カードをタッチしてください」というメッセージが表示されている。また、同じ画面上には、会計用記憶媒体MであるICカードのタッチエリアG11が表示されている。タッチエリアG11には会計識別情報取得部31が設けられており、ICカードをタッチさせると、会計識別情報取得部31がICカードと通信を行って会計識別情報を取得する。
【0116】
図14は、コンソール3が会計識別情報を取得したときに表示される確認画面を示している。
確認画面には、顧客から取得した会計識別情報に関連付けられた物品の情報を表示する計量情報表示エリアG12が設けられている。計量情報表示エリアG12には、会計識別情報に関連付けられた物品であって、顧客に提供された物品ごとの情報として、物品の名称、単価、販売重量、販売価格が表示されている。また、物品の点数と物品ごとの販売価格の合計が表示されている。これらの情報は、会計識別情報に基づいて物品情報記憶部3Aや計量情報記憶部3Cから抽出されたり、抽出された情報から算出処理部302によって算出されたりしたもの(販売価格や合計)である。
また、画面の下方には、会計用伝票の発行を要求する操作子G13が設けられている。計量情報表示エリアG12の情報を確認した顧客は、内容に問題がなければこの操作子G13を押下して会計用伝票の発行を受ける。
【0117】
なお、計量情報表示エリアG12における物品の表示について、会計用伝票を発行した後、会計用伝票を正しい物品に貼付できるよう、物品を示す項目ごとに物品のイメージ画像を表示したり、各物品を想起させる色彩を背景色として表示したりしてもよい。また、物品は物品識別情報が出力された順でソートされていてもよい。
また、
図14の例では、操作子G13の押下によって複数物品について会計用伝票が一括発行されるが、これにかかわらず、物品ごとに会計用伝票の発行を要求する操作子を設け、物品ごとの会計用伝票を発行できるようにしてもよい。
【0118】
図14において、操作子G13が押下されると、これに応じて発行処理部306が発行部34より会計用伝票を発行させる。
図15は、このようにして会計用伝票が発行された際に表示される画面の一例を示しており、会計用伝票の受け取りと会計へ移ることを顧客に促すメッセージが表示されている。
顧客が発行口34aから排出された会計用伝票を受け取ると、これを検知したコンソール3の画面は待機画面に戻る。
【0119】
図16は、コンソール3によって発行される会計用伝票の例を示している。
いずれの例でも、顧客の購入対象の物品ごとに、物品の名称、単価、販売重量、販売価格が表示されている。
図16(a)では、顧客の購入対象の全物品の情報がまとめてバーコードにコード化され、印刷されている。POS端末5は、このバーコードを読み取るとことで、顧客の購入対象の全物品の情報を一括して取得できる。
図16(b)では、顧客の購入対象の物品ごとに情報がバーコードにコード化されて、印刷されている。POS端末5は、物品ごとにバーコードを読み取り、物品の情報を取得する。この例では、物品ごとにバーコードが生成されているため、物品ごとに会計対象から削除する処理(返品処理)も簡単に行える。
図16(c)では、
図16(a)の例のバーコードに代えて、情報が二次元コードにコード化され、印刷されている。二次元コードの場合には、物品ごとの情報を合わせてコード化しておくことができ、POS端末5で全物品の情報を取得した後、POS端末5上で物品ごとに訂正や取り消しの操作を行うこともできる。
【0120】
なお、このほか、
図16(a)に示した会計用伝票と
図16(b)に示した会計用伝票を合わせた会計用伝票を発行してもよい。この場合、会計においては
図16(a)に示した会計用伝票の部分を用い、物品ごとの返品処理では
図16(b)に示した会計用伝票の部分を用いてもよい。
【0121】
以上の本実施形態に係る計量販売システム1によれば、計量装置2において風袋引き操作を行わないで、商品の売価を算出することが可能となり、より利便性のある量り売りを実現できる。
また、一の計量装置2において複数物品の単品管理できる。
また、会計に会計識別情報を用いる場合には、単価設定の異なる複数の物品の計量情報を所定の会計識別情報に関連付けて集約することができる。その結果、一会計単位で会計用伝票を発行でき、顧客一人当たりの買い物に要する時間を減らし、店舗運営も効率化される。また、会計用伝票の発行に至る操作もが簡便であるため、顧客が各計量装置2で操作に戸惑うことなく、次の顧客等に気を使って適量を購入できないといったこともない。さらに、POS端末5における会計操作についても、一の会計用伝票に基づいて情報を取得するだけでよいので簡便である。一の顧客が会計用伝票の発行を受けるのを待つことなく、同時に複数の顧客が計量操作を行える。
【0122】
●異常操作に対する処理
次に、ディスペンサ25において適切でない操作(異常操作)が行われた場合の処理について説明する。なお、以下に説明する処理の例にかかわらず、異常操作が行われると、計量装置2上でエラー表示を行い、処理を中断することもできる。
【0123】
まず、異常操作の一例として、二つのディスペンサ25が接続し、二つのセンサ254(例えば、「センサ254-1」と「センサ254-2」とする)のセンサ識別情報を取得し得る計量装置2において、二つのセンサ254-1,254-2のセンサ識別情報を続けて取得した後、物品の提供による重量変動から物品の購入重量の確定操作に至った場合、もしくは、一のセンサ254-1(又は254-2)のセンサ識別情報を取得した後、重量変動後にもう一方のセンサ254-2(又は254-1)のセンサ識別情報を取得した場合について、以下のような処理を行ってもよい。
【0124】
即ち、先にセンサ識別情報を取得したセンサ254-1(又は254-2)あるいは後にセンサ識別情報を取得したセンサ254-2(又は254-1)のいずれかを優先させるものとして、検索処理部203により優先したセンサ254のセンサ識別情報に関連付けられた物品を特定する。特定した後は通常の処理と同様、当該特定した物品の単価や、当該単価と購入重量から算出した売価を表示・操作部32に表示したり、計量情報をコンソール3に送信したりする。コンソール3に送信する情報には、計量情報に加え、操作ログなどの情報を含めてもよい。
【0125】
なお、この場合、重量変動を検出する前にセンサ識別情報を取得した場合と、重量変動を検出した後に他方のセンサ識別情報を取得した場合で優先するセンサ254を異ならせてもよい。ただし、重量変動後にセンサ識別情報を取得する場合は「不正」の可能性が高く、重量変動前に取得したセンサ識別情報を優先するほうが適切と考えられる。
また、複数取得したセンサ識別情報に対応するセンサ254のうち、いずれのセンサ254を優先するかの基準は、例えば各センサ254に関連付けられている物品の単価によるものとしてもよく、設定により単価の高い方、又は単価の低い方を優先するようになっていてもよい。
【0126】
また、この場合、コンソール3へ送信する計量情報は、計量装置2が優先的に特定したセンサ254に関する計量情報のみとしてもよい。
ただし、顧客に最終的に選択する機会を与えるために、センサ識別情報を取得したセンサ254-1とセンサ254-2に対応した計量情報の両方をコンソール3に送信し、コンソール3ではそれぞれに対応した操作子を選択可能に表示してもよい。なお、計量装置2上の複数のセンサ254が顧客の操作を検出した場合には、例えば、上述した処理S304などにおいて、提供を受ける物品を選択するための画面を表示して顧客に物品を選択させてもよい。セルフ式のPOS端末のみで精算処理を行う運用(店舗)では、顧客が複数の物品を選択する時点で店員呼び出しを行うようにして店員が確認するものとしてもよい。また、精算処理に有人のPOS端末を用いる場合には、POS端末側で状況を報知すると共に物品を選択する画面等を表示して、最終的な購入商品を選択、確定させ、これに応じて売価を確定するようにしてもよい。このように複数の物品から所定の物品の選択が必要となった状態を判定するためにも、かかる状態が発生したことを識別可能なフラグが計量装置2からコンソール3に送信されるデータに含まれるようになっているとよい。
【0127】
なお、このように複数のセンサ254の情報をコンソール3に送信する場合を想定した管理番号を設け、当該管理番号をコンソール3に送信するようにしてもよい。即ち、センサ254-1又はセンサ254-2単独の情報をコンソール3に送信する場合にはそれぞれのセンサ識別情報に対応した管理番号を用い、センサ254-1とセンサ254-2の両方の情報をコンソール3に送信する場合には所定の管理番号を用いるようにすれば、センサ254-1とセンサ254-2それぞれに応じて2つのデータを送信する必要がなくなる。例えば、センサ254―1が重量変動を検出した場合は管理番号を「1」、センサ254-2が重量変動を検出した場合は管理番号を「2」、センサ254-1及び254-2のいずれもが重量変動を検出した場合は管理番号を「3」とし、検出した重量変動に応じた管理番号を販売重量と共に計量装置2からコンソール3に送信する。コンソール3は、管理番号とこれに対応するセンサ254の情報を予め保持しておき、計量装置2から受信した管理番号が「3」であった場合には、センサ254-1及びセンサ254―2に関連付けられた物品を特定する。そして、物品にごとに単価と購入重量に応じた販売金額を算出しておけば、いずれかの物品を選択する場合に好適である。
ただし、一の計量装置2に対して3つ以上のセンサ254が関連付けられるなど、コンソール3に送信するセンサ254の検出状態のパターンが多くなる場合には管理番号も多くなってしまうため、管理番号を用いず、センサ254ごとの情報をコンソール3に送信するようにするのも合理的である。
【0128】
また、物品の重量変動後にセンサ識別情報を取得する場合は、前述のように不正の可能性が高いため、単価の高価な物品に関連付けられたセンサ254のセンサ識別情報、あるいは先にセンサ識別情報を取得したセンサ254のセンサ識別情報を優先して取り扱うものとして、当該優先して取り扱うセンサ識別情報を装置識別情報や購入重量と共にコンソール3に送信するようにしてもよい。
【0129】
また、物品の重量変動の前後に2つ目のセンサ識別情報を取得した場合には、計量装置2でエラーを報知し、操作を一時停止させてもよい。その場合、顧客は店員を呼ぶか、放置することになる。
なお、このような状況が生じたことを示す通知をコンソール3へ送信してもよい。さらに、当該通知を受信したコンソール3から、店員が操作する他の装置や端末に同様の通知を送信するようにしてもよい。店員が操作する装置や端末は、例えばスマートフォンやタブレット端末、店内のPOSレジスタ、POSの監視端末、店内のモニタなどであり、これらの端末において店員が状況を認識できるように情報を出力すればよい。なお、情報の出力は、画面におけるメッセージの表示、音声による案内など、各種の態様によることができる。
【0130】
また、コンソール3において発行される会計用伝票やその他のPOS用ラベルまたはPOSレシートに、このような状況が生じたことを示す情報を印字してもよい。印字する場合、このような情報は、所定のマークや文字列であってもよいし、シンボルコードにコード化されたもの、あるいはエラー区分を含むバーコードにコード化されたものであってもよい。シンボルコード等にコード化して印字した場合には、POS端末5で該シンボルコード等を読み取ることで、異常な操作が発生した可能性があることを示すポップアップやガイダンス表示がPOS端末5上で行われるようになっていてもよい。これにより店員が状況を把握できるので、間違いがあれば物品やその売価を修正登録して取り引きを終えることができる。
【0131】
●在庫管理/販売量管理
次に、計量販売システム1において、ディスペンサ25に収容している物品の在庫(残量)や販売した販売重量などを管理する場合の処理について説明する。
まず、物品の販売処理が適切に完了しなかった場合の歩留(損害)管理について、例えば物品の販売重量の確定操作が所定の確定ボタンの押下(タッチ)による場合には、一定時間確定操作が実行されないことを契機として、又は特殊な操作で購入重量を「0」にする操作が実行されたことを契機として、計量情報と共に物品の廃棄又は紛失(販売以外の重量減少)が生じた旨を認識可能なデータをコンソール3に送信する。また、物品の販売重量の確定操作が会計識別情報の取得による場合には、エラーが識別できるコードやユニークなIDを計量情報と共にコンソール3に送信する。これにより、物品の提供に伴う歩留(損害)を管理できる。
【0132】
また、コンソール3で取引処理が完了すると、顧客に提供した物品の販売重量を含む販売用データに基づき、予め保持しておいたディスペンサ25内の物品の残量から物品の販売重量を減算していけば、現時点における物品の残量を把握し、物品ごとに補充等の報知を行うことができる。
具体的には、物品の補充を行うと、コンソール3に表示させた物品の補充重量入力画面において、物品識別情報、装置識別情報、又はセンサ識別情報と共に、物品の補充重量と補充日を入力する。これに応じて、それまでの物品の残量に物品の補充重量を加算し、現時点における残量が求められる。そして、物品を顧客に提供する処理等が完了するたびに、コンソール3において物品の販売重量や廃棄重量を残量から減算することで、現在の残量が算出される。
【0133】
また、物品の補充が必要なものとして報知する残量の設定に関しては、システム全体で一律の重量割合を設定してもよいし、物品ごとに個別の重量割合を設定してもよい。いずれの場合でも、補充を完了したときに所定のボタンを押下するなど、ディスペンサ25が満杯であることを示す設定又は操作を行うようにし、そのときの重量を基準として残量が該重量の所定割合(例えば10%)に達すると、補充が必要であることを報知してもよい。また、システム全体で及び物品の両方に設定がある場合には、物品ごとの重量割合を優先するものとし、物品に設定がない場合はシステム全体での設定を採用してもよい。なお、このように重量割合を設定する場合には基準重量を設定する手間があるが、他の例では、システム全体で報知の基準となる在庫重量を設定してもよい。例えば、現在の物品の重量(=コンソール3側等で記憶している理論在庫重量)が300gよりも少なくなった時に補充の必要性を報知するようにしてもよい。この場合も、物品ごとに基準となる在庫重量を設定してもよく、物品に設定がある場合には物品の設定を優先するようにしてもよい。
【0134】
また、物品の補充重量を入力し、在庫管理のごとく、規定の残量(基本在庫重量)に応じて状況を報知することも可能である。ただし、より簡易的な方法として、所定期間における物品の販売重量を合算した値、あるいは取引回数が閾値を超えると状況を報知するようにしてもよい。このような報知は、報知対象の物品の売れ行きがよく、補充の必要性があるということを店員に認識させる点でも有効である。
また、補充の際に賞味・消費期限を設定し、残期間の設定により物品の交換時期を報知するようにしてもよい。
また、当日の物品の販売量が設定値を超えると、物品の補充を必要とする蓋然性が高いため、その旨を報知してもよい。
【0135】
なお、補充重量の入力に代えて、物品をディスペンサ25に補充する操作中、又は操作後に所定の特殊操作によって計量装置2から物品の現在重量を取得し、これを現在の残量として扱ってもよい。なお、顧客に物品を提供する通常操作のモードにおいては、計量装置2に載置されている物品の総重量が必要となるので、上記所定の特殊操作から通常操作に戻る場合、一旦、購入重量を0にしてからの取り引きを再開させるとよい。
【0136】
また、報知の態様は、例えば計量装置2の表示・操作部23を点滅させたり、通常の待機状態ではブランクとなっているステータス表示領域(例えば、上述したステータス表示領域23-5)に補充を促すアイコンを表示させたりするものであってもよい。このように計量装置2上で報知を行う場合には、コンソール3から計量装置2に対して表示の指示を送信する必要があるところ、コンソール3において補充操作を受け付けたことを契機として、ステータス変更の指示を送信してもよい。また、前述の特殊操作から通常操作に戻るときにもステータス変更の指示を送信してもよい。
また、コンソール3上で報知を行う場合は、表示・操作部32の背景画面の表示態様を変え、所定の表示領域に補充が必要な物品を表示したり、補充が必要な物品を通常の表示態様とは変えて表示したりしてもよい。補充操作画面へ移行する場合は、対象の物品のプリセットボタンをタッチ(選択)することで物品ごとの補充捜査画面に遷移してもよいし、一旦、メニュー画面に戻り補充操作画面へ移動した上で物品を指定し、上述の補充重量の入力を行うようになっていてもよい。
【0137】
なお、計量装置2での計量操作の際、物品がこぼれてしまったり、供給された物品をキャンセルしたりする場合に、購入重量の確定操作が完了していないと購入重量が表示されたままとなり、次の客が操作できない。そのため、このような場合には店員コードを認証し、店員の権限で操作完了を行えるようにするとよい。これにより、このような誤操作等が会計対象から除外されるし、店員コードに関連付けられた計量実績を廃棄管理(歩留管理)としても管理でき、管理上も便利である。
また、計量操作完了後のキャンセルについては、客が店員へ申告するのに応じて、POS端末5で申告された物品(総品)と重量の返品処理を実行、管理すればよい。
【0138】
●他の実施形態1
計量販売システム1は、他の実施形態(以下、上述した計量販売システム1と区別して「計量販売システム6」とする)において、コンソール3に会計用伝票を発行させることなく、コンソール3に会計処理のための情報を参照可能に表示させることでPOS端末5による会計処理を可能とさせられる。
以下では、会計に会計識別情報を用いる場合を例に説明する。
【0139】
この実施形態においても、計量販売システム6は計量販売システム1と同様、計量装置2、コンソール3、ストアコントローラ4、POS端末5によって構成される。ただし、上述した計量販売システム1では、計量装置2で物品の計量操作を行った客の利便や動線を念頭に、会計用伝票を発行するコンソール3は計量装置2のそばに設置されるのが好適であったが、本実施形態ではPOS端末5による会計処理の際、上記のとおりコンソール3に会計処理のための情報を参照可能に表示させるため、コンソール3はPOS端末5のそばに設置されるのが好適である。
【0140】
本実施形態では例えば、店員がPOS端末5を操作する場合、顧客は計量装置2での計量操作を終えると、店員に会計用記憶媒体Mを渡し、会計を要求する。店員は、顧客から会計用記憶媒体Mを受け取ると、コンソール3に当該会計用記憶媒体Mから会計識別情報を取得させ、コンソール3の表示・操作部32上に会計処理のための画面を出力させる。
【0141】
図17は、そのような会計用の情報の出力画面の一例を示している。画面には、顧客から取得した会計識別情報に関連付けられた物品の情報を表示する計量情報表示エリアG21が設けられている。計量情報表示エリアG21には、
図14において説明した計量情報表示エリアG12と同様、会計識別情報に関連付けられた物品であって、顧客に提供された物品ごとの情報として、物品の名称、単価、販売重量、販売価格などが表示されている。
【0142】
一方、本実施形態では、物品ごとに会計対象から削除するための操作子G22が設けられている。この操作子G22が押下されると、対象の物品が削除され、会計対象から外される。この場合、対象物品の削除に応じてコード表示エリアG23に表示されているバーコードが更新される。
なお、物品のごとの削除処理は、店員のみに権限をもたせてもよい。また、操作子G22の押下の後、削除操作を確認するためのモーダルウィンドウを展開させた上、改め削除の要求を受け付けることによって削除処理を実行するようにしてもよい。また、操作子G22を表示する構成に代えて、物品ごとの指定を受け付けて取消操作を受け付けられるようにしてもよい。
【0143】
画面の下方には、画面上に出力されている情報を取得するための会計用シンボルコードを表示するコード表示エリアG23が設けられており、この例ではバーコードが表示されている。POS端末5が備えるハンディスキャナやバーコードリーダ等により、当該コード表示エリアG23に表示されているバーコードを読み取ると、POS端末5はコード化されていた物品の情報を取得できる。このとき取得できる物品の情報には少なくとも、購入対象の物品の販売価格の合計など、最終的な会計に必要な情報が含まれる。
【0144】
画面の最下部には、物品の増量や追加購入の要望があった際に、一旦操作を取りやめるための操作子G24が設けられている。操作子G24が押下されると、一旦操作は取りやめとなり、顧客は計量装置2を操作して物品を追加等する。
【0145】
図18は、コンソール3の表示・操作部32上に表示される会計用の情報の出力画面の他の例である。
この例では、
図17の例と異なり、物品の情報を取得するための会計用シンボルコードを表示するコード表示エリアG26は二次元コードが表示されている。二次元コードの場合には、物品ごとの情報を合わせてコード化しておくことができ、POS端末5で全物品の情報を取得した後、POS端末5上で物品ごとに訂正や取り消しの操作を行うこともできる。そのため、この
図18の例では、
図17の例における計量情報表示エリアG21に相当する計量情報表示エリアG25において、物品を会計対象から削除するための操作子G22に相当する操作子が設けられていない。ただし、このことは、
図18の例において操作子G22に相当する操作子を設けることを否定するものではない。
【0146】
本実施形態に係る計量販売システム6によれば、会計用伝票を発行しないため、ペーパーレス化することができる。また、会計用伝票の発行操作が不用意なるため、顧客の操作負担を軽減することができる。また、計量販売システム6において、POS端末5が別システムで稼働した場合であっても、売上登録や返品(キャンセル)処理なども円滑に行える。
なお、会計識別情報を用いない場合でも、コンソール3が計量装置2から計量情報を受信するのに応じて、あるいは計量時に別途発行した識別情報に基づいてコンソール3から所定の計量情報を呼び出し、コンソール3の表示・操作部32上に当該計量情報に基づいた会計処理のための画面を出力させて同様の処理を行うことができる。
【0147】
●他の実施形態2
計量販売システム1は、他の実施形態(以下、上述した計量販売システム1、6と区別して「計量販売システム7」とする)において、
図18に示されるように、上述した計量販売システム1におけるコンソール3を欠いて構成され、相互に通信可能に構成された計量装置2、ストアコントローラ8、及びPOS端末5の間でのデータのやり取りにより、POS端末5による会計処理を可能とする。
以下では、会計に会計識別情報を用いる場合を例に説明する。
【0148】
本実施形態に係るストアコントローラ8は少なくとも、上述した計量販売システム1に係るコンソール3が備えた物品情報記憶部3A、設定情報記憶部3B、計量情報記憶部3C、検索処理部301、算出処理部302、及び通信処理部305それぞれの機能部と同様の機能を実行する物品情報記憶部8A、設定情報記憶部8B、計量情報記憶部8C、検索処理部801、算出処理部802、通信処理部805を備え、コンソール3が実行した処理の一部を実行する。即ち、物品の計量操作を終えた計量装置2から装置識別情報、センサ識別情報、物品の販売重量、及び会計識別情報を関連付けた計量情報を受け付けると共にこれらの情報を計量情報記憶部8Cに記憶し、POS端末5からの要求に応じてこれらの情報に適宜の編集や処理を加えてPOS端末5に供給する。
【0149】
本実施形態における計量装置2において実行される操作や処理は計量販売システム1の場合と同様である。ただし、計量装置2は上述のとおり、物品の計量操作を終えた顧客から会計識別情報を受け付けると、物品識別情報、物品の販売重量、及び会計識別情報関連付けた計量情報をストアコントローラ8に対して出力する。
【0150】
図20は、本実施形態に係る計量販売システム7において、POS端末5によって実行される処理の流れを示している。
POS端末5は、バーコードリーダやタグリーダ等、会計識別情報を取得するための機能部により会計用記憶媒体Mから会計識別情報を取得する(S501)。そして、ストアコントローラ8に対し、当該会計識別情報を関連付けられた物品の販売価格等、計量情報記憶部8Cに記憶されている情報の取得を要求し、これを得する(S502)。
これにより、POS端末5は、物品の販売価格を会計処理対象に加え、他に登録した物品等と共に会計処理を実行し、精算を完了する(S503)。
【0151】
なお、物品の販売重量と単価に応じて販売価格の算出は、ストアコントローラ8が実行し、POS端末5は算出された物品の販売価格を取得して会計対象の合計額に加えるものとしてもよいし、POS端末5がストアコントローラ8から物品ごとの販売重量と単価情報を取得すると共に販売重量に単価を乗じて販売価格を算出し、当該算出した販売価格を会計対象の合計額に加えるようにしてもよい。
【0152】
また、さらに別の実施形態においては、本実施形態においてストアコントローラ8が備えた機能部や実行した処理をPOS端末5に担わせることもでき、この場合には計量装置2とPOS端末5によって処理が完結する。
【0153】
本実施形態に係る計量販売システム7によっても、会計用伝票を発行することなく、データのやり取りのみで一連の操作や処理を完了することができ、ペーパーレス化を図ることができる。
また、計量装置2における計量情報がストアコントローラ8に集約、管理されるため、会計処理を行った後であっても、物品の購入日や消費期限などを表示した伝票イメージを専用アプリ等から閲覧可能にすることもできる。具体的には、会計識別情報として用いられた会員IDを当該専用アプリ機能に設定しておけば、データの関連付けが可能となり、簡単に閲覧できる。一般的に流通している家計簿アプリ等と連動することも可能である。
なお、会計識別情報を用いない場合でも、ストアコントローラ8が計量装置2から計量情報を受信するのに応じて、あるいは計量時に別途発行した識別情報に基づいてストアコントローラ8から所定の計量情報を呼び出し、コンソール3の表示・操作部32上に当該計量情報に基づいた会計処理のための画面を出力させて同様の処理を行うことができる。
【0154】
なお、以上の本実施形態に係る計量販売システム1、6、7において、顧客に有料の容器を提供する場合には、コンソール3は、当該容器を顧客に販売するために必要な容器情報記憶部を備える。容器情報記憶部に記憶されるデータ項目には例えば、容器識別情報、容器重量情報、容器価格情報が含まれる。容器識別情報は、容器を識別可能な情報であって、例えば、マイ容器(顧客が持参する容器)、店舗容器S(店舗で提供されるSサイズの容器)、店舗容器M(店舗で提供されるMサイズの容器)、店舗容器L(店舗で提供されるLサイズの容器)のそれぞれを識別可能な情報である。
これらの容器に係る情報により、顧客に容器を提供する場合に、容器に応じた価格を販売価格に含めることができる。なお、容器が顧客に提供される場合、容器の選択は例えば、顧客が計量操作を終えた後にコンソール3やPOS端末5上で行うことができる。
【0155】
また、顧客が所持するスマートフォンなどの顧客端末に格納された専用のアプリケーションプログラムにより、物品の登録から会計に至る処理を実行可能とする場合には、コンソール3と顧客端末を近距離通信で接続して会計情報を送信することも可能である。近距離通信による接続は例えば、ワンタイムの情報を付加した接続情報をシンボルコード化してコンソール3の表示・操作部32に表示させ、シンボルコードを顧客端末のカメラによって撮影することで認証を行う。
【0156】
また、以上の各実施形態について、各機能部は矛盾を生じない範囲で適宜に組み合わせたり、各機能部を本実施形態とは異なる端末や装置に備えさせたりすることができる。また、各機能部によって実行される処理の順序についても、矛盾を生じない範囲で変更することができる。
【0157】
●他の実施形態3
上述した各実施形態においては、一の計量装置2に複数のディスペンサ25が関連付けられていたが、他の実施形態においては、一の計量装置2に対して一のディスペンサ25を取り付け、計量装置2とディスペンサ25一対一で関連付けられるように構成することができる。
この場合、計量装置2と物品が一対一で関連付けられることになるため、センサ254を設けずとも、重量検出部202によって重量を検出することによって、一意に特定される物品が提供されたことを認識できる。また、センサ254を設けるか否かにかかわらず、計量装置2の装置識別情報と物品識別情報の関連付けを設定しておけば、計量装置2からコンソール3に対して装置識別情報を送信するだけで、設定情報を参照して、当該装置識別情報から顧客に提供された物品を特定し、管理できる。
【0158】
なお、一の計量装置2に対して複数のディスペンサ25が取り付けられ、計量装置2とディスペンサ25が一対複数で関連付けられる場合であっても、各ディスペンサ25により提供される物品の単価が同一の場合(物品が同じであってもよいし、物品が異なっていてもよい)であれば、上記と同様に装置識別情報と単価を関連付けておけば、装置識別情報のみに基づいて、適切な販売重量を算出できる。
【0159】
●実施形態総括
本発明は、物品を量り売りするための計量装置、計量システム、計量装置のコンピュータプログラム、及び計量システムのコンピュータプログラムに関する。
【0160】
近年、スーパーマーケット等の店舗では、セルフ方式で商品を量り売りする販売態様がみられるようになってきている(例えば、特開2013-108817号公報参照)。
【0161】
通常、量り売りでは、一の商品に対して一の単価が定められているため、複数の商品を個別管理することは難しく、仮に実現しようとしても、少なくとも一の計量装置で個々の商品や在庫を管理することは困難である。
【0162】
そこで本発明は、計量装置において風袋引き操作を行わないで、商品の売価を算出することを可能とし、より利便性のある量り売りを実現することを目的の一つとする。
【0163】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る計量装置は、載置部と、前記載置部に載置された物品の重量を検出する重量検出手段と、前記物品の取引開始時の重量と重量変動後の重量の差分を前記物品の購入重量として算出する算出処理手段と、自らの装置識別情報、及び前記購入重量を送信データとして、所定の端末に対して送信する通信処理手段と、備える。
【0164】
センサからセンサ識別情報を取得するセンサ情報取得手段、をさらに備え、前記通信処理手段は、前記送信データ及び前記センサ識別情報を関連付けて所定の端末に対して送信するものとしてもよい。
【0165】
前記センサ識別情報毎に前記物品の単価を関連付けて記憶する情報記憶手段と、前記センサ識別情報に関連付けられた前記物品の単価と前記購入重量に基づいて算出された前記物品の売価を表示する表示手段と、をさらに備えるものとしてもよい。
【0166】
所定の報記憶媒体に保持されているユニークな会計識別情報を取得する会計識別情報取得手段、をさらに備え、前記通信処理手段は、前記送信データと、前記会計識別情報とを関連付けて、所定の端末に対して送信するものとしてもよい。
【0167】
前記重量検出手段により前記物品の重量変動が検出された後、計量重量が安定した状態において、操作を完了する操作完了手段と、前記重量検出手段により前記物品の重量変動が検出された後、計量重量が安定した状態において、前記操作完了手段が実行されない場合、一定時間の経過後に前記算出処理手段により算出された購入重量を初期化する初期化処理手段と、をさらに有するものとしてもよい。
【0168】
前記重量検出手段により前記物品の重量変動が検出された後、計量重量が安定した状態において、操作を完了する操作完了手段と、前記重量検出手段により前記物品の重量変動が検出された後、計量重量が安定した状態において、前記操作完了手段が実行されない場合、その旨を報知する報知処理手段と、をさらに備えるものとしてもよい。
【0169】
前記操作完了手段は、所定の情報記憶媒体に保持されているユニークな会計識別情報を取得する操作であるものとしてもよい。
【0170】
前記重量検出手段により、前記載置部に載置された物品の重量の増加を検出した場合、物品の購入重量を初期値にする初期化を行う初期化処理手段、をさらに有するものとしてもよい。
【0171】
本発明の別の観点に係る計量装置は、載置部と、前記載置部に載置された物品の重量を検出する重量検出手段と、前記物品の取引開始時の重量と重量変動後の重量の差分を前記物品の購入重量として算出する算出処理手段と、センサからセンサ識別情報を取得するセンサ情報取得手段、を備え、前記センサ識別情報、及び前記購入重量を送信データとして、所定の端末に対して送信する通信処理手段と、備える。
【0172】
本発明の別の観点に係る計量販売システムは、計量装置と情報処理端末とが通信可能に構成され、前記計量装置は、載置部と、前記載置部に載置された物品の重量を検出する重量検出手段と、前記物品の取引開始時の重量と重量変動後の重量の差分を前記物品の購入重量として算出する算出処理手段と、センサからセンサ識別情報を取得するセンサ情報取得手段と、自らの装置識別情報、前記センサ識別情報、及び前記購入重量を前記情報処理端末に対して送信する第一の通信処理手段と、備え、前記情報処理端末は、前記計量装置から、前記装置識別情報、前記センサ識別情報、及び前記購入重量を受信する第二の通信処理手段と、前記装置識別情報と前記センサ識別情報に基づいて物品を特定する検索処理手段と、特定した物品の単価と前記購入重量に基づいて算出された売価を表示する表示手段と、を備える。
【0173】
本発明の別の観点に係るコンピュータプログラムは、載置部に載置された物品の重量を検出する重量検出処理と、前記物品の取引開始時の重量と重量変動後の重量の差分を前記物品の購入重量として算出する算出処理と、自らの装置識別情報、及び前記購入重量を所定の端末に対して送信する通信処理と、をコンピュータに実行させる。
【0174】
本発明の別の観点に係るコンピュータプログラムは、計量装置と情報処理端末とが通信可能に構成されたシステムにおいて、前記計量装置に対し、載置部に載置された物品の重量を検出する重量検出処理と、前記物品の取引開始時の重量と重量変動後の重量の差分を前記物品の購入重量として算出する算出処理と、センサからセンサ識別情報を取得するセンサ情報取得処理と、自らの装置識別情報、前記センサ識別情報、及び前記購入重量を前記情報処理端末に対して送信する第一の通信処理と、実行させ、前記情報処理端末に対し、前記計量装置から、前記装置識別情報、前記センサ識別情報、及び前記購入重量を受信する第二の通信処理と、前記装置識別情報と前記センサ識別情報に基づいて物品を特定する検索処理と、特定した物品の単価と前記購入重量に基づいて算出された売価を表示する表示処理と、を実行させる。
【0175】
なお、前記計量装置及び前記計量販売システムに所定の処理を実行させるコンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【0176】
以上の本実施形態に係る計量装置及び計量販売システムによれば、計量装置において風袋引き操作を行わないで、商品の売価を算出することを可能とし、より利便性のある量り売りを実現する。
【符号の説明】
【0177】
1 :計量販売システム
2 :計量装置
2A :識別情報記憶部
2B :単価情報記憶部
21 :計量部
21a :載置部
22 :会計識別情報取得部
23 :表示・操作部
24 :通信部
25 :ディスペンサ
201 :センサ情報取得部
202 :重量検出部
203 :検索処理部
204 :算出処理部
205 :初期化処理部
206 :単価取得処理部
207 :報知処理部
208 :操作制御部
209 :通信処理部
252 :操作部
253 :排出口
254 :センサ
3 :コンソール
3A :物品情報記憶部
3B :設定情報記憶部
3C :計量情報記憶部
31 :会計識別情報取得部
32 :表示・操作部
33 :通信部
34 :発行部
301 :検索処理部
302 :算出処理部
303 :操作制御部
304 :印刷情報生成部
305 :通信処理部
306 :発行処理部
4 :ストアコントローラ
5 :POS端末
M :会計用記憶媒体