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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025041830
(43)【公開日】2025-03-26
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20250318BHJP
【FI】
F16K31/04 K
F16K31/04 A
F16K31/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024227511
(22)【出願日】2024-12-24
(62)【分割の表示】P 2021116728の分割
【原出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成川 文太
(72)【発明者】
【氏名】林 晃弘
(57)【要約】
【課題】弁体の形状に依存せずに所望の流量特性を得ることができる電動弁を提供する。
【解決手段】制御装置200は、弁体の閉弁位置から全開位置まで順番に割り当てられたパルス番号に関するパルス番号情報と、パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関するステップ角度情報と、を格納している。制御装置200は、弁体移動命令に応じたパルス番号を取得して、パルス番号の順番に各パルス番号に対応するステップ角度でステッピングモーターを回転させる。弁体の基準位置から全開位置までの間に、第1区間と第2区間と第3区間とが設定される。第1区間にはフルステップ動作を1/nしたマイクロステップ動作のステップ角度が設定され、第2区間にはフルステップ動作を1/mしたマイクロステップ動作のステップ角度が設定され、第3区間には、フルステップ動作のステップ角度が設定される。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁口を有する弁本体と、前記弁口と対向して配置された弁体と、前記弁体を前記弁口との対向方向に移動させる駆動機構と、前記駆動機構を制御する制御装置と、を有する電動弁であって、
前記駆動機構が、ステッピングモーターを有し、前記ステッピングモーターの回転によって前記弁体を移動させ、
前記制御装置が、
前記弁体の基準位置から全開位置まで順番に割り当てられたパルス番号に関するパルス番号情報と、前記パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関するステップ角度情報と、を格納する記憶部と、
前記弁体の移動目標位置に関する弁体移動命令を外部装置から受信する通信部と、
前記弁体の現在位置から前記移動目標位置までに割り当てられた前記パルス番号を取得する演算部と、
前記弁体の前記現在位置から前記移動目標位置までに割り当てられた前記パルス番号の順番に各パルス番号に対応する前記ステップ角度で前記ステッピングモーターを回転させる回転制御部と、を有し、
前記ステッピングモーターにモータードライバが接続され、
前記回転制御部が、前記パルス番号に対応する前記ステップ角度情報を用いて取得した前記ステップ角度を前記モータードライバに入力して前記ステッピングモーターを回転させることを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記弁体の前記基準位置から前記全開位置までの間に、第1区間と第2区間と第3区間とが設定され、
前記第1区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第1角度が設定され、
前記第2区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第2角度が設定され、
前記第3区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第3角度が設定され、
前記第1角度と前記第2角度と前記第3角度とが互いに異なる、請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記第1角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作を1/nしたマイクロステップ動作におけるステップ角度であり、
前記第2角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作を1/mしたマイクロステップ動作におけるステップ角度であり、
前記第3角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作におけるステップ角度である、請求項2に記載の電動弁。
ただし、m、nは2以上の自然数であり、m≠nである。
【請求項4】
前記弁体が、前記弁口に向かうにしたがって径が小さくなる1つのテーパー面を有し、
前記弁体が前記第1区間、前記第2区間または前記第3区間にあるとき、前記テーパー面と前記弁口の内周面との隙間によって流量が決定される、請求項2または請求項3に記載の電動弁。
【請求項5】
前記弁体が前記第1区間にあるときのパルス速度が、前記弁体が前記第3区間にあるときのパルス速度のn倍であり、
前記弁体が前記第2区間にあるときのパルス速度が、前記弁体が前記第3区間にあるときのパルス速度のm倍である、請求項3に記載の電動弁。
【請求項6】
前記弁体の前記基準位置から前記全開位置までの間に、第1区間と第2区間とが設定され、
前記第1区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第1角度が設定され、
前記第2区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第2角度が設定され、
前記第1角度と前記第2角度とが異なる、請求項1に記載の電動弁。
【請求項7】
前記第1角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作を1/nしたマイクロステップ動作におけるステップ角度であり、
前記第2角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作におけるステップ角度である、請求項6に記載の電動弁。
ただし、nは2以上の自然数である。
【請求項8】
前記弁体が、前記弁口に向かうにしたがって径が小さくなる1つのテーパー面を有し、
前記弁体が前記第1区間または前記第2区間にあるとき、前記テーパー面と前記弁口の内周面との隙間によって流量が決定される、請求項6または請求項7に記載の電動弁。
【請求項9】
前記弁体が前記第1区間にあるときのパルス速度が、前記弁体が前記第2区間にあるときのパルス速度のn倍である、請求項7に記載の電動弁。
【請求項10】
弁口を有する弁本体と、前記弁口と対向して配置された弁体と、前記弁体を前記弁口との対向方向に移動させる駆動機構と、前記駆動機構を制御する制御装置と、を有する電動弁であって、
前記駆動機構が、ステッピングモーターを有し、前記ステッピングモーターの回転によって前記弁体を移動させ、
前記制御装置が、
前記弁体の基準位置から全開位置まで順番に割り当てられたパルス番号に関するパルス番号情報と、前記パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関するステップ角度情報と、を格納する記憶部と、
前記弁体の移動目標位置に関する弁体移動命令を外部装置から受信する通信部と、
前記弁体の現在位置から前記移動目標位置までに割り当てられた前記パルス番号を取得する演算部と、
前記弁体の前記現在位置から前記移動目標位置までに割り当てられた前記パルス番号の順番に各パルス番号に対応する前記ステップ角度で前記ステッピングモーターを回転させる回転制御部と、を有し、
前記記憶部が、
前記弁体の前記基準位置から前記全開位置まで順番に割り当てられたパルス番号に関する起動状態パルス番号情報と、前記起動状態パルス番号情報の前記パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関する起動状態ステップ角度情報と、
前記弁体の前記基準位置から前記全開位置まで順番に割り当てられたパルス番号に関する通常動作状態パルス番号情報と、前記通常動作状態パルス番号情報の前記パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関する通常動作状態ステップ角度情報と、を格納し、
前記制御装置が、
起動状態のときに前記起動状態パルス番号情報および前記起動状態ステップ角度情報を前記パルス番号情報および前記ステップ角度情報として用い、
前記起動状態のあとの通常動作状態のときに前記通常動作状態パルス番号情報および前記通常動作状態ステップ角度情報を前記パルス番号情報および前記ステップ角度情報として用いる、電動弁。
【請求項11】
前記制御装置が、前記起動状態のときに前記通信部が通常動作開始命令を外部装置から受信すると、前記通常動作状態に移行する、請求項10に記載の電動弁。
【請求項12】
前記制御装置が、前記起動状態のときに前記弁体が所定の起動完了位置に移動すると、前記通常動作状態に移行する、請求項10または請求項11に記載の電動弁。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、空気調和機の冷凍サイクルで用いられる電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、従来の電動弁を開示している。特許文献1の電動弁は、弁体と、ステッピングモーターと、を有している。弁体は、弁口と対向して配置されている。弁体は、ステッピングモーターの回転によって弁口との対向方向に移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-268030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した電動弁では、ステッピングモーターはパルスに応じて回転する。ステッピングモーターの1パルスあたりの回転角度(ステップ角度)は一定であり、1パルスあたりの弁体の移動量も一定である。そのため、電動弁の流量特性は弁体の形状に依存し、所望の流量特性を得るためには、流量特性に応じた形状を有する弁体を用いる必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、弁体の形状に依存せずに所望の流量特性を得ることができる電動弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電動弁は、弁口を有する弁本体と、前記弁口と対向して配置された弁体と、前記弁体を前記弁口との対向方向に移動させる駆動機構と、前記駆動機構を制御する制御装置と、を有する電動弁であって、前記駆動機構が、ステッピングモーターを有し、前記ステッピングモーターの回転によって前記弁体を移動させ、前記制御装置が、前記弁体の基準位置から全開位置まで順番に割り当てられたパルス番号に関するパルス番号情報と、前記パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関するステップ角度情報と、を格納する記憶部と、前記弁体の移動目標位置に関する弁体移動命令を外部装置から受信する通信部と、前記弁体の現在位置から前記移動目標位置までに割り当てられた前記パルス番号を取得する演算部と、前記弁体の前記現在位置から前記移動目標位置までに割り当てられた前記パルス番号の順番に各パルス番号に対応する前記ステップ角度で前記ステッピングモーターを回転させる回転制御部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記弁体の前記基準位置から前記全開位置までの間に、第1区間と第2区間と第3区間とが設定され、前記第1区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第1角度が設定され、前記第2区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第2角度が設定され、前記第3区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第3角度が設定され、前記第1角度と前記第2角度と前記第3角度とが互いに異なる、ことが好ましい。
【0008】
本発明において、前記第1角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作を1/nしたマイクロステップ動作におけるステップ角度であり、前記第2角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作を1/mしたマイクロステップ動作におけるステップ角度であり、前記第3角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作におけるステップ角度である、ことが好ましい。ただし、m、nは2以上の自然数であり、m≠nである。
【0009】
本発明において、前記弁体が、前記弁口に向かうにしたがって径が小さくなる1つのテーパー面を有し、前記弁体が前記第1区間、前記第2区間または前記第3区間にあるとき、前記テーパー面と前記弁口の内周面との隙間によって流量が決定される、ことが好ましい。
【0010】
本発明において、前記弁体が前記第1区間にあるときのパルス速度が、前記弁体が前記第3区間にあるときのパルス速度のn倍であり、前記弁体が前記第2区間にあるときのパルス速度が、前記弁体が前記第3区間にあるときのパルス速度のm倍である、ことが好ましい。
【0011】
本発明において、前記弁体の前記基準位置から前記全開位置までの間に、第1区間と第2区間とが設定され、前記第1区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第1角度が設定され、前記第2区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第2角度が設定され、前記第1角度と前記第2角度とが異なる、ことが好ましい。
【0012】
本発明において、前記第1角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作を1/nしたマイクロステップ動作におけるステップ角度であり、前記第2角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作におけるステップ角度である、ことが好ましい。ただし、nは2以上の自然数である。
【0013】
本発明において、前記弁体が、前記弁口に向かうにしたがって径が小さくなる1つのテーパー面を有し、前記弁体が前記第1区間または前記第2区間にあるとき、前記テーパー面と前記弁口の内周面との隙間によって流量が決定される、ことが好ましい。
【0014】
本発明において、前記弁体が前記第1区間にあるときのパルス速度が、前記弁体が前記第2区間にあるときのパルス速度のn倍である、ことが好ましい。
【0015】
本発明において、前記記憶部が、前記弁体の前記基準位置から前記全開位置まで順番に割り当てられたパルス番号に関する起動状態パルス番号情報と、前記起動状態パルス番号情報の前記パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関する起動状態ステップ角度情報と、前記弁体の前記基準位置から前記全開位置まで順番に割り当てられたパルス番号に関する通常動作状態パルス番号情報と、前記通常動作状態パルス番号情報の前記パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関する通常動作状態ステップ角度情報と、を格納し、前記制御装置が、起動状態のときに前記起動状態パルス番号情報および前記起動状態ステップ角度情報を前記パルス番号情報および前記ステップ角度情報として用い、前記起動状態のあとの通常動作状態のときに前記通常動作状態パルス番号情報および前記通常動作状態ステップ角度情報を前記パルス番号情報および前記ステップ角度情報として用いる、ことが好ましい。
【0016】
本発明において、前記制御装置が、前記起動状態のときに前記通信部が通常動作開始命令を外部装置から受信すると、前記通常動作状態に移行する、ことが好ましい。
【0017】
本発明において、前記制御装置が、前記起動状態のときに前記弁体が所定の起動完了位置に移動すると、前記通常動作状態に移行する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電動弁の制御装置は、弁体の基準位置から全開位置まで順番に割り当てられたパルス番号に関するパルス番号情報と、パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関するステップ角度情報と、を格納している。制御装置は、弁体の移動目標位置に関する弁体移動命令を外部装置から受信する。制御装置は、弁体の現在位置から移動目標位置までに割り当てられたパルス番号を取得する。そして、制御装置は、弁体の現在位置から移動目標位置までに割り当てられたパルス番号の順番に各パルス番号に対応するステップ角度でステッピングモーターを回転させる。このようにしたことから、電動弁は、弁体の基準位置から全開位置までに割り当てられたパルス毎に個別にステップ角度を設定可能であり、1パルスあたりの弁体の移動量(すなわち、弁口を流れる冷媒の流量の変化量)を調整することができる。そのため、電動弁において、弁体の形状に依存せずに所望の流量特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例に係る電動弁の断面図である。
図2図1の電動弁のステーターユニットの断面図である。
図3図1の電動弁の弁体が閉弁位置にあるときの弁体およびその近傍の拡大断面図である。
図4図1の電動弁の弁体が全開位置にあるときの弁体およびその近傍の拡大断面図である。
図5図1の電動弁における弁開度と流量との関係を示すグラフである。
図6図1の電動弁のマグネットローターとステーターとの位置関係を説明する図である。
図7図1の電動弁の機能ブロック図である。
図8図1の電動弁の制御装置に格納されたパルス番号情報およびステップ角度情報に関するテーブルを示す図である。
図9図8のテーブルに示す、閉弁位置から全開位置までに割り当てられたパルス番号と弁体の位置との関係を説明する図である。
図10図1の電動弁のステッピングモーターが図8のテーブルに基づいて回転したときの弁体の位置と流量との関係を示すグラフである。
図11図8のテーブルの変形例を示す図である。
図12図11のテーブルに示す、閉弁位置から全開位置までに割り当てられたパルス番号と弁体の位置との関係を説明する図である。
図13図1の電動弁のステッピングモーターが図11のテーブルに基づいて回転したときの弁体の位置と流量との関係を示すグラフである。
図14図8のテーブルの他の変形例を示す図である。
図15図14のテーブルに示す、閉弁位置から全開位置までに割り当てられたパルス番号と弁体の位置との関係を説明する図である。
図16図1の電動弁のステッピングモーターが図14のテーブルに基づいて回転したときの弁体の位置と流量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施例)
以下、本発明の一実施例に係る電動弁1について、図1図10を参照して説明する。電動弁1は、例えば、空気調和機の冷凍サイクルに組み込まれ、空気調和機の制御ユニット400からの命令に応じて動作する。制御ユニット400は、電動弁1の外部にある外部装置である。
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係る電動弁の断面図である。図2は、図1の電動弁のステーターユニットの断面図である。図3図4は、図1の電動弁の弁体およびその近傍の拡大断面図である。図3は、弁体が閉弁位置にある状態を示す。図4は、弁体が全開位置にある状態を示す。図5は、図1の電動弁における弁開度と流量との関係を示すグラフである。図6は、図1の電動弁のマグネットローターとステーターとの位置関係を説明する図である。図6Aは、マグネットローターの磁極とA相ステーターの極歯とが向かい合った状態を示す。図6Bは、マグネットローターの磁極とB相ステーターの極歯とが向かい合った状態を示す。図7は、図1の電動弁の機能ブロック図である。図8は、図1の電動弁の制御装置に格納されたパルス番号情報およびステップ角度情報に関するテーブルを示す図である。図9は、図8のテーブルに示す、閉弁位置から全開位置までに割り当てられたパルス番号と弁体の位置との関係を説明する図である。図10は、図1の電動弁のステッピングモーターが図8のテーブルに基づいて回転したときの弁体の位置と流量との関係を示すグラフである。
【0022】
図1図2に示すように、電動弁1は、弁本体10と、キャン20と、駆動機構30と、弁体40と、を有している。
【0023】
弁本体10は、アルミニウム合金などの金属製である。弁本体10は、本体部材11と、支持部材12と、接続部材13と、を有している。本体部材11は、直方体形状を有している。本体部材11は、弁室14と、流路15、16と、を有している。流路15は、弁室14に接続されている。流路16は、弁口17を介して弁室14に接続されている。弁口17は、弁室14において円環形状の弁座18に囲まれている。本体部材11の上面には、弁室14に通じる取付孔11aが形成されている。支持部材12は、円筒形状を有している。支持部材12は、本体部材11の取付孔11aにねじ構造で取り付けられている。支持部材12の上部は、本体部材11の上面から突出している。接続部材13は、円環板形状を有している。接続部材13の内周縁は、支持部材12の上端部に接合されている。
【0024】
キャン20は、ステンレスなどの金属製である。キャン20は、下端部が開口しかつ上端部が塞がれた円筒形状を有している。キャン20の下端部は、接続部材13の外周縁に接合されている。
【0025】
駆動機構30は、弁体40を上下方向(軸線L方向)に移動させる。駆動機構30は、マグネットローター31と、弁軸ホルダー32と、ガイドブッシュ33と、弁軸34と、永久磁石38と、ステーターユニット50と、を有している。
【0026】
マグネットローター31は、円筒形状を有している。マグネットローター31の外径は、キャン20の内径より若干小さい。マグネットローター31の外周面には、複数のN極および複数のS極が形成されている。複数のN極および複数のS極は、上下方向に延在している。複数のN極および複数のS極は、周方向に等角度間隔で交互に配置されている。本実施例において、マグネットローター31は、N極を12個有し、S極を12個有している。互いに隣り合うN極とS極との間の角度は、15度である。
【0027】
弁軸ホルダー32は、下端部が開口しかつ上端部が塞がれた円筒形状を有している。弁軸ホルダー32の上端部には支持リング35が固定されている。支持リング35は、マグネットローター31と弁軸ホルダー32とを連結している。弁軸ホルダー32の内周面には、雌ねじ32cが形成されている。
【0028】
ガイドブッシュ33は、基部33aと、弁軸支持部33bと、を有している。基部33aと弁軸支持部33bとは、円筒形状を有している。基部33aは、支持部材12に形成された嵌合孔12aに圧入されている。弁軸支持部33bの外径は、基部33aの外径より小さい。弁軸支持部33bの内径は、基部33aの内径と同じである。弁軸支持部33bは、基部33aの上端部に同軸に接続されている。弁軸支持部33bの外周面には、雄ねじ33cが形成されている。雄ねじ33cは、弁軸ホルダー32の雌ねじ32cと螺合される。ガイドブッシュ33は、支持部材12と結合されている。
【0029】
弁軸34は、大径部34aと、小径部34bと、を有している。大径部34aと小径部34bとは、円柱形状を有している。大径部34aの外径は、ガイドブッシュ33の内径よりわずかに小さい。小径部34bの外径は、大径部34aの外径より小さい。小径部34bは、大径部34aの上端部に同軸に接続されている。小径部34bは、弁軸ホルダー32を貫通している。小径部34bには、抜け止め用のプッシュナット36が取り付けられている。弁軸34は、ガイドブッシュ33の内側および支持部材12の内側に配置されている。弁軸34は、ガイドブッシュ33に上下方向に摺動可能に支持されている。弁軸34の下端部は、弁室14に配置されている。弁軸34は、大径部34aと小径部34bとの間に段部34cが形成されている。段部34cは、上方を向く円環状の平面である。弁軸ホルダー32と段部34cとの間には、閉弁ばね37が配置されている。閉弁ばね37は、圧縮コイルばねである。閉弁ばね37は、弁軸34を下方に向けて押している。
【0030】
永久磁石38は、キャン20の内側においてマグネットローター31の上方に配置されている。永久磁石38は、円環平板形状を有している。永久磁石38は、1つのN極と1つのS極とを有している。永久磁石38における直径で区画された一方の部分にN極が配置され、他方の部分にS極が配置されている。永久磁石38は、固定具39を介して支持リング35に固定されている。永久磁石38は、マグネットローター31とともに回転される。
【0031】
弁体40は、弁軸34の大径部34aの下端部に一体的に接続されている。弁体40は、弁室14に配置されている。弁体40は、弁口17と上下方向に対向している。弁体40は、弁口17に向かうにしたがって徐々に径が小さくなるテーパー面41を有している。テーパー面41は、弁軸34の大径部34aの下端部近傍から弁体40の先端40aまで軸線L方向に延在している。上下方向は、弁体40と弁口17との対向方向である。なお、弁体40は、テーパー角度が互いに異なる複数のテーパー面を有していてもよい。
【0032】
弁体40は、駆動機構30によって上下方向に移動される。弁体40の移動によって弁口17が開閉される。具体的には、弁体40は、テーパー面41が弁座18に接した閉弁位置P1(図3)から弁体40の先端40aの上下方向の位置が弁座18の上下方向の位置となる全開位置P2(図4)まで移動される。閉弁位置P1は、基準位置である。電動弁1において、テーパー面41と弁口17の内周面との間に形成される円環形状の隙間の大きさによって弁口17を流れる冷媒の流量が決まる。
【0033】
図5のグラフは、電動弁1における弁開度と流量との関係を示している。弁開度は、弁体40の弁座18に対する位置(閉弁位置P1からのリフト量)を示し、弁体40が閉弁位置P1にあるときを0%とし、全開位置P2にあるときを100%として、パーセンテージで示される。流量は、電動弁1(弁口17)を流れる冷媒の流量を示し、弁体40が閉弁位置P1にあるときのCv値を0%とし、全開位置P2にあるときのCv値を100%として、パーセンテージで示される。図5に示すように、電動弁1(弁体40)の基本的な流量特性は、弁開度に比例して流量が直線的に変化するリニア特性である。なお、弁体40は、基本的な流量特性がイコールパーセント特性となる形状などを有していてもよい。
【0034】
ステーターユニット50は、ステーター60と、ハウジング70と、ケース80と、メイン基板90と、サブ基板100と、磁気センサー110と、マイクロコンピューター120と、を有している。
【0035】
ステーター60は、円筒形状を有している。ステーター60は、A相ステーター61と、B相ステーター62と、合成樹脂製のモールド63と、を有している。
【0036】
A相ステーター61は、内周側に複数のクローポール型の極歯61a、61bを有している。極歯61aの先端は下方に向いており、極歯61bの先端は上方に向いている。極歯61aと極歯61bとは、周方向に等角度間隔で交互に配置されている。本実施例において、A相ステーター61は、極歯61aを12個有し、極歯61bを12個有している。互いに隣り合う極歯61aと極歯61bとの間の角度は、15度である。A相ステーター61のコイル61cが通電されると、極歯61aと極歯61bとは互いに異なる極性となる。
【0037】
B相ステーター62は、内周側に複数のクローポール型の極歯62a、62bを有している。極歯62aの先端は下方に向いており、極歯62bの先端は上方に向いている。極歯62aと極歯62bとは、周方向に等角度間隔で交互に配置されている。本実施例において、B相ステーター62は、極歯62aを12個有し、極歯62bを12個有している。互いに隣り合う極歯62aと極歯62bとの間の角度は、15度である。B相ステーター62のコイル62cが通電されると、極歯62aと極歯62bとは互いに異なる極性となる。
【0038】
A相ステーター61とB相ステーター62とは、同軸に配置されている。A相ステーター61とB相ステーター62とは、互いに接している。軸線L方向から見たときに互いに隣り合うA相ステーター61の極歯61aとB相ステーター62の極歯62aとの間の角度は、7.5度である。
【0039】
モールド63は、A相ステーター61およびB相ステーター62の内側に充填されている。また、モールド63は、極歯61a、61bおよび極歯62a、62bとともにステーター内周面60aを構成している。ステーター内周面60aの径は、キャン20の外周面の径と同じである。モールド63は、端子支持部64を有している。
【0040】
端子支持部64は、A相ステーター61およびB相ステーター62から横方向(軸線Lと直交する方向)に延びている。端子支持部64は、複数の端子65を支持している。複数の端子65は、端子支持部64の先端から横方向に突出している。複数の端子65は、A相ステーター61のコイル61cおよびB相ステーター62のコイル62cと接続されている。
【0041】
ステーター60の内側には、キャン20が配置される。ステーター60は、キャン20の内側に配置されたマグネットローター31とともにステッピングモーター66を構成する。
【0042】
ステッピングモーター66は、フルステップ動作およびマイクロステップ動作が可能である。フルステップ動作とは、1パルスの入力に対して、マグネットローター31を、磁極(N極、S極)がA相ステーター61の極歯61a、61bと向かい合う位置(図6Aに示す位置)から、磁極が当該極歯61a、61bの隣にあるB相ステーター62の極歯62a、62bと向かい合う位置(図6Bに示す位置)まで回転させる動作、または、図6Bに示す位置から図6Aに示す位置まで回転させる動作、である。図6A図6Bにおいて、基準となる磁極および極歯に黒丸を付している。本実施例において、フルステップ動作時の1パルスあたりの回転角度(ステップ角度)は、7.5度である。マイクロステップ動作とは、1パルスの入力に対して、フルステップ動作のステップ角度を等分割したステップ角度でマグネットローター31を回転させる動作である。マイクロステップ動作は、A相ステーター61のコイル61cの電流値とB相ステーター62のコイル62cの電流値とを細かく制御することにより行う。マイクロステップ動作時のステップ角度は、例えば、0.9375度(8分割)、1.875度(4分割)、または、1.5度(5分割)である。
【0043】
本実施例において、ステッピングモーター66は、弁体40が閉弁位置P1にある状態において、500パルス分のフルステップ動作(マグネットローター31の3750度の回転)を行うと弁体40が全開位置P2まで移動する。
【0044】
ハウジング70は、合成樹脂製である。ハウジング70は、射出成形されている。ハウジング70は、ステーター60を収容している。ハウジング70は、周壁部71と、上壁部72と、を有している。
【0045】
周壁部71は、円筒形状を有している。周壁部71における上下方向の中央部分には、ステーター60が埋め込まれている。周壁部71の内周面71aの径は、ステーター内周面60aの径と同じである。内周面71aは、ステーター内周面60aに段差なく連なっている。上壁部72は、ドーム形状を有している。上壁部72は、周壁部71の上端部に接続されている。周壁部71の内周面71a、上壁部72の内面72aおよびステーター内周面60aは、ステーターユニット50の内側空間74を形成している。内側空間74にはキャン20が配置される。周壁部71の下部73の内側には、支持部材12が配置されている。周壁部71の下部73と支持部材12との間には、円環形状の封止部材19が配置されている。封止部材19は、ゴム材などの弾性材料で構成されている。封止部材19は、内側空間74に水分が進入することを抑制する。
【0046】
ハウジング70は、サブ基板収容空間75を有している。サブ基板収容空間75は、横方向に延在している。サブ基板収容空間75は、内側空間74と隣り合っている。内側空間74とサブ基板収容空間75との間に隔壁76が配置されている。隔壁76は、内側空間74とサブ基板収容空間75とを区画している。
【0047】
ケース80は、合成樹脂製である。ケース80は、射出成形されている。ケース80は、ケース本体81と、蓋体82と、コネクタ83と、を有している。ケース本体81は、1つの側面(図1図2において右側の側面)が開口した直方体箱形状を有している。蓋体82は、平板形状を有している。蓋体82は、ケース本体81の側面の開口を塞いでいる。コネクタ83は、楕円筒形状を有している。コネクタ83は、ケース本体81の上部から横方向に延びている。ケース本体81とコネクタ83とは、一体的に形成されている。
【0048】
ケース本体81は、側壁部84を有している。側壁部84は、平板形状を有している。側壁部84は、蓋体82と横方向に間隔をあけて向かい合っている。側壁部84には、矩形状のケース開口84aが形成されている。ケース開口84aは、ハウジング70のサブ基板収容空間75と接続される。側壁部84におけるケース開口84aの周縁部が、ハウジング70と接合されている。
【0049】
メイン基板90は、電子部品が実装されるプリント基板である。メイン基板90は、ケース80の内側に上下方向に沿って配置されている。メイン基板90における側壁部84側の面には、基板コネクタ91が配置されている。メイン基板90には、マイクロコンピューター120が実装されている。メイン基板90には、ステーター60の複数の端子65が接続されている。
【0050】
サブ基板100は、電子部品が実装されるプリント基板である。サブ基板100は、ハウジング70のサブ基板収容空間75に横方向に沿って配置されている。サブ基板100は、メイン基板90に対して直角に配置されている。サブ基板100の一方の端部100aは、メイン基板90の近傍に配置されている。サブ基板100の他方の端部100bは、ハウジング70の隔壁76の近傍に配置されている。
【0051】
サブ基板100の一方の端部100aには、基板端子101が配置されている。基板端子101は、メイン基板90の基板コネクタ91に接続される。サブ基板100は、基板端子101および基板コネクタ91を介してメイン基板90に接続される。
【0052】
磁気センサー110は、回転角度センサーである。磁気センサー110は、サブ基板100の他方の端部100bに配置されている。磁気センサー110は、キャン20および隔壁76を介して永久磁石38と横方向に向かい合っている。磁気センサー110は、永久磁石38が生じる磁界の向き(すなわち、永久磁石38とともに回転するマグネットローター31の回転角度)に応じた信号を出力する。
【0053】
マイクロコンピューター120は、例えば、中央演算装置、不揮発性メモリ、作業用メモリ、通信モジュール、モータードライバなどを1つのパッケージに集積した組み込み機器用のマイクロコンピューターである。マイクロコンピューター120は、電動弁1の制御を司る制御装置200として機能する。不揮発性メモリ、作業用メモリ、通信モジュールおよびモータードライバは、個別の電子部品であって、マイクロコンピューター120に外部接続されるものであってもよい。
【0054】
図7に示すように、制御装置200は、記憶部210と、通信部220と、演算部230と、回転制御部240と、を有している。不揮発性メモリは、記憶部210を構成する。中央演算装置は、不揮発性メモリに格納されたプログラムを実行し、通信部220、演算部230および回転制御部240として機能する。作業用メモリは、弁体40の現在位置Pcなどの変数を一時的に格納する。通信モジュールは、コネクタ83に接続された図示しないケーブルを介して空気調和機の制御ユニット400と接続されている。モータードライバは、ステッピングモーター66(A相ステーター61のコイル61cおよびB相ステーター62のコイル62c)と接続されている。
【0055】
記憶部210は、例えば、図8に示すテーブル310を格納している。テーブル310は、区間情報領域311と、パルス番号情報領域312と、ステップ角度情報領域313と、を有している。
【0056】
区間情報領域311には、弁体40の閉弁位置P1から全開位置P2までの間に設定された区間に関する情報が設定される。区間情報領域311には、区間に関する情報として「第1区間」、「第2区間」、「第3区間」が設定されている。
【0057】
パルス番号情報領域312には、弁体40の閉弁位置P1から全開位置P2までに昇順で割り当てられたパルス番号に関する情報(パルス番号情報)が設定される。パルス番号情報領域312には、パルス番号情報としてパルス番号「1」~「1500」が設定されている。また、区間情報領域311の「第1区間」には、パルス番号「1」~「800」が割り当てられ、「第2区間」には、パルス番号「801」~「1200」が割り当てられ、「第3区間」には、パルス番号「1201」~「1500」が割り当てられている。
【0058】
図9に、弁体40の位置とパルス番号との関係を示す。閉弁位置P1から全開位置P2までに弁体40の位置「0」~「1500」が昇順で設定されている。そして、位置「0」~「1500」の間隔部分に対してパルス番号「1」~「1500」が割り当てられている。位置「0」と位置「1」との間隔部分にパルス番号「1」が割り当てられており、位置「1」と位置「2」との間隔部分にパルス番号「2」が割り当てられており、以降も同様である。例えば、弁体40が位置「1」にある場合、弁体40を位置「0」に移動させるにはパルス番号「1」に係る情報が用いられ、弁体40を位置「2」に移動させるにはパルス番号「2」に係る情報が用いられる。
【0059】
ステップ角度情報領域313は、パルス番号情報領域312に設定されたパルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関する情報(ステップ角度情報)が設定される。ステップ角度情報領域313には、ステップ角度情報として、フルステップ動作におけるステップ角度の分割数が設定される。ステップ角度情報領域313には、パルス番号「1」~「800」に対応して「8」が設定され、パルス番号「801」~「1200」に対応して「4」が設定され、パルス番号「1201」~「1500」に対応して「1」が設定されている。つまり、「第1区間」のステップ角度(第1角度)として、7.5度/8=0.9375度が設定され、「第2区間」のステップ角度(第2角度)として、7.5度/4=1.875度が設定され、「第3区間」のステップ角度(第3角度)として、7.5度/1=7.5度が設定されている。ステッピングモーター66は、第1区間、第2区間および第3区間において互いに異なるステップ角度を有している。なお、ステップ角度情報として、ステップ角度を示す数値が設定されていてもよい。
【0060】
記憶部210は、パルス番号情報およびステップ角度情報をテーブル形式で格納しているが、数式などの他の形式で格納していてもよい。
【0061】
電動弁1は、ステッピングモーター66(マグネットローター31)がテーブル310に基づいて回転されることにより、図10に示す流量特性を有する電動弁として動作する。
【0062】
通信部220は、通信モジュールを通じて制御ユニット400と通信する。通信部220は、各種命令を制御ユニット400から受信して演算部230に転送する。通信部220は、電動弁1の各種状態を演算部230や回転制御部240から取得して制御ユニット400に送信する。通信部220は、制御ユニット400から弁体移動命令を受信する。弁体移動命令は、弁体40の移動目標位置Ptに関する情報を含んでいる。移動目標位置Ptは、弁開度として指定される。なお、移動目標位置Ptは、弁体40の現在位置Pcからの相対的な移動距離(パルス数など)として指定されてもよい。弁体の現在位置Pcは作業用メモリに格納される。
【0063】
電動弁1において、制御ユニット400が指定する弁開度0[%]~100[%]は、弁体40の位置「0」~「1500」に対応している。そして、弁体40の現在位置Pcを示す番号が移動目標位置Ptを示す番号より小さいとき、ステッピングモーター66の回転方向は弁体40が弁座18から離れる方向(開弁方向)である。弁体40の現在位置Pcを示す番号が移動目標位置Ptを示す番号より大きいとき、ステッピングモーター66の回転方向は弁体40が弁座18に近づく方向(閉弁方向)である。
【0064】
演算部230は、各種演算を行う。演算部230は、通信部220が弁体移動命令を受信すると、弁体移動命令の移動目標位置Ptが指定する弁開度に対応する弁体40の位置を取得する。演算部230は、例えば、弁開度が10[%]のとき、移動目標位置Ptとして位置「150」を取得し、弁開度が50[%]のとき、移動目標位置Ptとして位置「750」を取得し、弁開度が90[%]のとき、移動目標位置Ptとして位置「1350」を取得する。
【0065】
そして、演算部230は、弁体40の現在位置Pc(始点)と移動目標位置Pt(終点)との間にあるパルス番号を取得する。例えば、演算部230は、現在位置Pcが位置「0」であり移動目標位置Ptが位置「150」であるとき、パルス番号「1」~「150」を取得する。演算部230は、現在位置Pcが位置「150」であり移動目標位置Ptが位置「750」であるとき、パルス番号「151」~「750」を取得する。演算部230は、現在位置Pcが位置「750」であり移動目標位置Ptが位置「300」であるとき、パルス番号「750」~「301」を取得する。
【0066】
また、演算部230は、磁気センサー110が出力した信号に基づいてマグネットローター31の回転角度を取得する。
【0067】
回転制御部240は、弁体40の現在位置Pcから移動目標位置Ptまでに割り当てられたパルス番号の順番でテーブル310から各パルス番号に対応するステップ角度情報を1つずつ取得する。そして、回転制御部240は、ステップ角度情報を用いてステップ角度を算出し、パルス、ステップ角度および回転方向をモータードライバに入力してステッピングモーター66を回転させる。
【0068】
回転制御部240において、弁体40が第1区間にあるときのパルス速度が、弁体40が第3区間にあるときのパルス速度の8倍に設定されている。回転制御部240において、弁体40が第2区間にあるときのパルス速度が、弁体40が第3区間にあるときのパルス速度の4倍に設定されている。パルス速度は、1秒間に入力されるパルスの数(PPS)で示される。本実施例において、弁体40が第1区間にあるときのパルス速度は1000[PPS]であり、弁体40が第2区間にあるときのパルス速度は500[PPS]であり、弁体40が第3区間にあるときのパルス速度は125[PPS]である。
【0069】
また、回転制御部240は、弁体移動命令の成否判定を行う。具体的には、回転制御部240は、現在位置Pcから移動目標位置Ptまでに割り当てられた各パルス番号に対応するステップ角度を積算したマグネットローター31の回転角度を、演算部230が磁気センサー110の信号に基づいて取得したマグネットローター31の回転角度と比較する。これら回転角度が一致した場合、回転制御部240は、通信部220を介して弁体移動命令が成功したことを示す情報を命令実行結果として制御ユニット400に送信する。これら回転角度が一致しない場合、回転制御部240は、通信部220を介して弁体移動命令が失敗したことを示す情報を命令実行結果として制御ユニット400に送信する。
【0070】
電動弁1において、支持部材12、弁口17、キャン20、マグネットローター31、弁軸ホルダー32、ガイドブッシュ33、弁軸34、弁体40(テーパー面41)、ステーター60(A相ステーター61、B相ステーター62)は、それぞれの中心軸が軸線Lに一致する。
【0071】
次に、電動弁1の動作の一例について説明する。
【0072】
電動弁1の制御装置200は、電源が投入されると起動状態になる。制御装置200は、起動状態において、初期化処理を行う。制御装置200は、弁体40を閉弁位置P1に移動させたあと、通常動作状態に移行する。このとき、弁体40の現在位置Pcは、閉弁位置P1(弁体40の位置「0」)である。通常動作状態において、制御装置200は、制御ユニット400からの命令を待つ。制御ユニット400は、電動弁1が図10に示す流量特性を有するものと認識している。
【0073】
制御装置200は、例えば、弁開度90[%]を指定する移動目標位置Ptを含む弁体移動命令を制御ユニット400から受信すると、移動目標位置Ptとして位置「1350」を取得する。そして、制御装置200は、現在位置Pcから移動目標位置Ptまでに割り当てられたパルス番号「1」~「1350」を取得する。
【0074】
制御装置200は、テーブル310に基づいて、パルス番号「1」~「1350」に対応するステップ角度を算出する。制御装置200は、現在位置Pcを示す番号(位置「0」)が移動目標位置Ptを示す番号(位置「1350」)より小さいため、回転方向を「開弁方向」とする。制御装置200は、パルス、ステップ角度および回転方向をモータードライバに入力してステッピングモーター66(マグネットローター31)を回転させる。マグネットローター31とともに弁軸ホルダー32が回転する。弁軸ホルダー32の雌ねじ32cとガイドブッシュ33の雄ねじ33cとのねじ送り作用により、弁軸ホルダー32が上方に移動する。弁軸ホルダー32とともに弁軸34が上方に移動して弁体40が弁座18から離れる。
【0075】
制御装置200は、第1区間(パルス番号「1」~「800」)では1000[PPS]でパルスを入力し、第2区間(パルス番号「801」~「1200」)では500[PPS]でパルスを入力し、第3区間(パルス番号「1201」~「1350」)では125[PPS]でパルスを入力する。また、制御装置200は、パルス番号「1」~「1350」までのパルス番号に対応するステップ角度を積算する。
【0076】
制御装置200は、パルス番号「1」~「1350」に対応するステップ角度でのステッピングモーター66の回転が終了すると、現在位置Pcとして、位置「1350」を作業用メモリに格納する。また、制御装置200は、弁体移動命令の成否判定を行う。具体的には、制御装置200は、ステップ角度を積算して得たマグネットローター31の回転角度と、磁気センサー110の信号に基づいて得たマグネットローター31の回転角度と、を比較する。これら回転角度が一致した場合、制御装置200は、弁体移動命令が成功したことを示す情報を命令実行結果として制御ユニット400に送信する。これら回転角度が一致しない場合、制御装置200は、弁体移動命令が失敗したことを示す情報を命令実行結果として制御ユニット400に送信する。そして、制御装置200は、制御ユニット400からの次の命令を待つ。
【0077】
次に、制御装置200は、例えば、弁開度50[%]を指定する移動目標位置Ptを含む弁体移動命令を制御ユニット400から受信すると、移動目標位置Ptとして位置「750」を取得する。そして、制御装置200は、現在位置Pcから移動目標位置Ptまでに割り当てられたパルス番号「1350」~「751」を取得する。
【0078】
制御装置200は、テーブル310に基づいて、パルス番号「1350」~「751」に対応するステップ角度を算出する。制御装置200は、現在位置Pcを示す番号(位置「1350」)が移動目標位置Ptを示す番号(位置「750」)より大きいため、回転方向を「閉弁方向」とする。制御装置200は、パルス、ステップ角度および回転方向をモータードライバに入力してステッピングモーター66(マグネットローター31)を回転させる。マグネットローター31とともに弁軸ホルダー32が回転する。弁軸ホルダー32の雌ねじ32cとガイドブッシュ33の雄ねじ33cとのねじ送り作用により、弁軸ホルダー32が下方に移動する。弁軸ホルダー32とともに弁軸34が下方に移動して弁体40が弁座18に近づく。
【0079】
制御装置200は、第3区間(パルス番号「1350」~「1201」)では125[PPS]でパルスを入力し、第2区間(パルス番号「1200」~「801」)では500[PPS]でパルスを入力し、第1区間(パルス番号「800」~「751」)では1000[PPS]でパルスを入力する。また、制御装置200は、パルス番号「1350」~「751」までのパルス番号に対応するステップ角度を積算する。
【0080】
制御装置200は、パルス番号「1350」~「751」に対応するステップ角度でのステッピングモーター66の回転が終了すると、現在位置Pcとして、位置「751」を作業用メモリに格納する。また、制御装置200は、弁体移動命令の成否判定を行い、弁体移動命令の命令実行結果を制御ユニット400に送信する。そして、制御装置200は、制御ユニット400からの次の命令を待つ。以降、制御装置200は、受信した命令に応じた動作を行う。
【0081】
本実施例に係る電動弁1は、弁口17を有する弁本体10と、弁口17と対向して配置された弁体40と、弁体40を上下方向に移動させる駆動機構30と、駆動機構30を制御する制御装置200と、を有している。駆動機構30が、ステッピングモーター66を有しており、ステッピングモーター66の回転によって弁体40を移動させる。制御装置200が、記憶部210と、通信部220と、演算部230と、回転制御部240と、を有している。記憶部210は、弁体40の閉弁位置P1から全開位置P2まで昇順に割り当てられたパルス番号に関するパルス番号情報と、パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関するステップ角度情報と、を格納する。通信部220は、弁体40の移動目標位置Ptに関する弁体移動命令を制御ユニット400から受信する。演算部230は、弁体40の現在位置Pcから移動目標位置Ptまでに割り当てられたパルス番号を取得する。回転制御部240は、弁体40の現在位置Pcから移動目標位置Ptまでに割り当てられたパルス番号の順番に各パルス番号に対応するステップ角度でステッピングモーター66を回転させる。
【0082】
このようにしたことから、電動弁1は、弁体40の閉弁位置P1から全開位置P2までに割り当てられたパルス毎に個別にステップ角度を設定可能であり、1パルスあたりの弁体40の移動量(すなわち、弁口17を流れる冷媒の流量の変化量)を調整することができる。そのため、電動弁1において、弁体の形状に依存せずに所望の流量特性を得ることができる。
【0083】
また、電動弁1において、弁体40の閉弁位置P1から全開位置P2までの間に、第1区間と第2区間と第3区間とが設定されている。第1区間に割り当てられたパルス番号に対応するステップ角度に、第1角度(0.9375度)が設定されている。第2区間に割り当てられたパルス番号に対応するステップ角度に、第2角度(1.875度)が設定されている。第3区間に割り当てられたパルス番号に対応するステップ角度に、第3角度(7.5度)が設定されている。そして、第1角度と第2角度と第3角度とが互いに異なる。このようにすることで、電動弁1が、1パルスあたりの流量の変化量が異なる3つの区間を有する流量特性を得ることができる。電動弁1は、弁開度が比較的小さい範囲において流量を精密に制御できる。
【0084】
また、第1角度が、ステッピングモーター66のフルステップ動作を1/n(n=8)したマイクロステップ動作におけるステップ角度である。第2角度が、ステッピングモーター66のフルステップ動作を1/m(m=4)したマイクロステップ動作におけるステップ角度である。そして、第3角度が、ステッピングモーター66のフルステップ動作におけるステップ角度である。このようにすることで、電動弁1が、比較的簡易な構成によって、1パルスあたりの流量の変化量が異なる3つの区間を有する流量特性を得ることができる。
【0085】
また、弁体40が、弁口17に向かうにしたがって径が小さくなるテーパー面41を有している。そして、弁体40が第1区間、第2区間または第3区間にあるとき、テーパー面41と弁口17の内周面との隙間によって流量が決定される。このようにすることで、電動弁1が、比較的簡易な形状の弁体40を用いて、1パルスあたりの流量の変化量が異なる3つの区間を有する流量特性を得ることができる。
【0086】
また、弁体40が第1区間にあるときのパルス速度(第1区間パルス速度)が、弁体40が第3区間にあるときのパルス速度(第3区間パルス速度)の8倍である。そして、弁体40が第2区間にあるときのパルス速度(第2区間パルス速度)が、第3区間パルス速度の4倍である。このようにすることで、電動弁1は、第1区間、第2区間および第3区間において、弁体40の移動速度を同じにすることができる。これにより、第1区間、第2区間および第3区間においてパルス速度を同じにした場合に比べて、弁体40を閉弁位置P1から全開位置P2までより速く移動させることができる。
【0087】
なお、電動弁1は、現在位置Pcから移動目標位置Ptに第1区間が含まれている場合に、第1区間における弁体40の移動に係るパルス数が所定の基準パルス数(例えば、100)を超えるとき、第1区間パルス速度を第3区間パルス速度の8倍とし、基準パルス数以下とき、第1区間パルス速度を第3区間パルス速度と同じにしてもよい。同様に、電動弁1は、現在位置Pcから移動目標位置Ptに第2区間が含まれている場合に、第2区間における弁体40の移動に係るパルス数が基準パルス数を超えるとき、第2区間パルス速度を第3区間パルス速度の4倍とし、基準パルス数以下とき、第2区間パルス速度を第3区間パルス速度と同じにしてもよい。このようにすることで、第1区間または第2区間において弁体40の移動量が大きいときは弁体40を高速で移動させて、流量の切り換えにかかる時間を短くできる。また、第1区間または第2区間において弁体40の移動量が小さいときは弁体40を低速で移動させて、流量を緩やかに切り換えることができる。
【0088】
なお、電動弁1は、1パルスあたりの流量の変化量が異なる3つの区間を有する流量特性を有するものであるが、テーブル310を適宜設定することにより、イコールパーセント特性など、他の流量特性を有していてもよい。
【0089】
(変形例)
次に、上述した電動弁1の変形例である電動弁1A、1Bについて、図11図16を参照して説明する。
【0090】
図11は、図8のテーブルの変形例を示す図である。図12は、図11のテーブルに示す、閉弁位置から全開位置までに割り当てられたパルス番号と弁体の位置との関係を説明する図である。図13は、図1の電動弁のステッピングモーターが図11のテーブルに基づいて回転したときの弁体の位置と流量との関係を示すグラフである。図14は、図8のテーブルの他の変形例を示す図である。図15は、図14のテーブルに示す、閉弁位置から全開位置までに割り当てられたパルス番号と弁体の位置との関係を説明する図である。図16は、図1の電動弁のステッピングモーターが図14のテーブルに基づいて回転したときの弁体の位置と流量との関係(流量特性)を示すグラフである。図16において、一点鎖線のグラフが起動状態での流量特性を示し、実線のグラフが通常動作状態での流量特性を示す。図16の位置「650」~「1900」において、一点鎖線と実線とを上下にずらして記載しているが、実際には互いに一致している。
【0091】
上述した電動弁1は、制御装置200の記憶部210に格納された図8に示すテーブル310に基づいてステッピングモーター66を回転させる。そして、電動弁1は、テーブル310に代えて図11に示すテーブル320を有することにより、流量特性の異なる電動弁1Aとなる。電動弁1Aのハードウエア構成は、電動弁1と同じである。
【0092】
電動弁1Aにおいて、記憶部210は、図11に示すテーブル320を格納している。テーブル320は、区間情報領域321と、パルス番号情報領域322と、ステップ角度情報領域323と、を有している。
【0093】
区間情報領域321には、弁体40の閉弁位置P1から全開位置P2までの間に設定された区間に関する情報が設定される。区間情報領域321には、区間に関する情報として「第2区間」、「第1区間」が設定されている。
【0094】
パルス番号情報領域322には、弁体40の閉弁位置P1から全開位置P2までに昇順で割り当てられたパルス番号に関する情報(パルス番号情報)が設定される。パルス番号情報領域322には、パルス番号情報としてパルス番号「1」~「1500」が設定されている。また、区間情報領域321の「第2区間」には、パルス番号「1」~「250」が割り当てられ、「第1区間」には、パルス番号「251」~「1500」が割り当てられている。
【0095】
図12に、弁体40の位置とパルス番号との関係を示す。閉弁位置P1から全開位置P2までに弁体40の位置「0」~「1500」が昇順で設定されている。そして、位置「0」~「1500」の間隔部分に対してパルス番号「1」~「1500」が割り当てられている。
【0096】
ステップ角度情報領域323は、パルス番号情報領域322に設定されたパルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関する情報(ステップ角度情報)が設定される。ステップ角度情報領域323には、ステップ角度情報として、フルステップ動作におけるステップ角度の分割数が設定される。ステップ角度情報領域323には、パルス番号「1」~「250」に対応して「1」が設定され、パルス番号「251」~「1500」に対応して「5」が設定される。つまり、「第2区間」のステップ角度(第2角度)として、7.5度/1=7.5度が設定され、「第1区間」のステップ角度(第1角度)として、7.5度/5=1.5度が設定されている。ステッピングモーター66は、第2区間および第1区間において互いに異なるステップ角度を有している。
【0097】
電動弁1Aは、ステッピングモーター66(マグネットローター31)がテーブル320に基づいて回転されることにより、図13に示す流量特性を有する電動弁として動作する。
【0098】
電動弁1Aにおいて、制御ユニット400が指定する弁開度0[%]~100[%]は、弁体40の位置「0」~「1500」に対応している。
【0099】
回転制御部240において、弁体40が第1区間にあるときのパルス速度が、弁体40が第2区間にあるときのパルス速度の5倍に設定されている。電動弁1Aにおいて、弁体40が第1区間にあるときのパルス速度は625[PPS]であり、弁体40が第2区間にあるときのパルス速度は125[PPS]である。
【0100】
次に、電動弁1Aの動作の一例について説明する。
【0101】
電動弁1Aの制御装置200は、電源が投入されると起動状態になる。制御装置200は、起動状態において、初期化処理を行う。制御装置200は、弁体40を閉弁位置P1に移動させたあと、通常動作状態に移行する。このとき、弁体40の現在位置Pcは、閉弁位置P1(弁体40の位置「0」)である。通常動作状態において、制御装置200は、制御ユニット400からの命令を待つ。制御ユニット400は、電動弁1Aが図13に示す流量特性を有するものと認識している。
【0102】
制御装置200は、例えば、弁開度90[%]を指定する移動目標位置Ptを含む弁体移動命令を制御ユニット400から受信すると、移動目標位置Ptとして位置「1350」を取得する。そして、制御装置200は、現在位置Pcから移動目標位置Ptまでに割り当てられたパルス番号「1」~「1350」を取得する。
【0103】
制御装置200は、テーブル320に基づいて、パルス番号「1」~「1350」に対応するステップ角度を算出する。制御装置200は、現在位置Pcを示す番号(位置「0」)が移動目標位置Ptを示す番号(位置「1350」)より小さいため、回転方向を「開弁方向」とする。制御装置200は、パルス、ステップ角度および回転方向をモータードライバに入力してステッピングモーター66を回転させる。これにより、弁体40が弁座18から離れる。
【0104】
制御装置200は、第2区間(パルス番号「1」~「250」)では125[PPS]でパルスを入力し、第1区間(パルス番号「251」~「1350」)では625[PPS]でパルスを入力する。また、制御装置200は、パルス番号「1」~「1350」までのパルス番号に対応するステップ角度を積算する。
【0105】
制御装置200は、パルス番号「1」~「1350」に対応するステップ角度でのステッピングモーター66の回転が終了すると、現在位置Pcとして、位置「1350」を作業用メモリに格納する。また、制御装置200は、弁体移動命令の成否判定を行い、弁体移動命令の命令実行結果を制御ユニット400に送信する。そして、制御装置200は、制御ユニット400からの次の命令を待つ。
【0106】
次に、制御装置200は、例えば、弁開度10[%]を指定する移動目標位置Ptを含む弁体移動命令を制御ユニット400から受信すると、移動目標位置Ptとして位置「150」を取得する。そして、制御装置200は、現在位置Pcから移動目標位置Ptまでに割り当てられたパルス番号「1350」~「151」を取得する。
【0107】
制御装置200は、テーブル320に基づいて、パルス番号「1350」~「151」に対応するステップ角度を算出する。制御装置200は、現在位置Pcを示す番号(位置「1350」)が移動目標位置Ptを示す番号(位置「150」)より大きいため、回転方向を「閉弁方向」とする。制御装置200は、パルス、ステップ角度および回転方向をモータードライバに入力してステッピングモーター66(マグネットローター31)を回転させる。これにより、弁体40が弁座18に近づく。
【0108】
制御装置200は、第1区間(パルス番号「1350」~「251」)では625[PPS]でパルスを入力し、第2区間(パルス番号「250」~「151」)では125[PPS]でパルスを入力する。また、制御装置200は、パルス番号「1350」~「151」までのパルス番号に対応するステップ角度を積算する。
【0109】
制御装置200は、パルス番号「1350」~「151」に対応するステップ角度でのステッピングモーター66の回転が終了すると、現在位置Pcとして、位置「150」を作業用メモリに格納する。また、制御装置200は、弁体移動命令の成否判定を行い、弁体移動命令の命令実行結果を制御ユニット400に送信する。そして、制御装置200は、制御ユニット400からの次の命令を待つ。以降、制御装置200は、受信した命令に応じた動作を実行する。
【0110】
電動弁1Aは、上述した電動弁1と同様の作用効果を奏する。
【0111】
また、電動弁1Aにおいて、弁体40の閉弁位置P1から全開位置P2までの間に、第1区間と第2区間とが設定されている。第1区間に割り当てられたパルス番号に対応するステップ角度に、第1角度(1.5度)が設定されている。第2区間に割り当てられたパルス番号に対応するステップ角度に、第2角度(7.5度)が設定されている。そして、第1角度と前記第2角度とが異なる。このようにすることで、電動弁1Aが、1パルスあたりの流量の変化量が異なる2つの区間を有する流量特性を得ることができる。電動弁1Aは、弁開度が比較的大きい範囲において流量を精密に制御できる。
【0112】
また、第1角度が、ステッピングモーター66のフルステップ動作を1/n(n=5)したマイクロステップ動作におけるステップ角度である。第2角度が、ステッピングモーター66のフルステップ動作におけるステップ角度である。このようにすることで、電動弁1Aが、比較的簡易な構成によって、1パルスあたりの流量の変化量が異なる2つの区間を有する流量特性を得ることができる。
【0113】
また、弁体40が、弁口17に向かうにしたがって径が小さくなるテーパー面41を有している。そして、弁体40が第1区間または第2区間にあるとき、テーパー面41と弁口17の内周面との隙間によって流量が決定される。このようにすることで、電動弁1Aが、比較的簡易な形状の弁体40を用いて、1パルスあたりの流量の変化量が異なる2つの区間を有する流量特性を得ることができる。
【0114】
また、弁体40が第1区間にあるときのパルス速度が、弁体40が第2区間にあるときのパルス速度の5倍である。このようにすることで、電動弁1Aは、第1区間および第2区間において、弁体40の移動速度を同じにすることができる。これにより、第1区間および第2区間においてパルス速度を同じにした場合に比べて、弁体40を閉弁位置P1から全開位置P2までより速く移動させることができる。
【0115】
電動弁1は、図8に示すテーブル310に代えて図14に示すテーブル330、340を有することにより、流量特性の異なる電動弁1Bとなる。電動弁1Bのハードウエア構成は、電動弁1と同じである。
【0116】
電動弁1Bにおいて、記憶部210は、図14に示すテーブル330、340を格納している。テーブル330は、電動弁1Bの起動直後の起動状態で用いられる。テーブル340は、電動弁1Bの起動状態のあとの通常動作状態で用いられる。
【0117】
テーブル330は、区間情報領域331と、パルス番号情報領域332と、ステップ角度情報領域333と、を有している。
【0118】
区間情報領域331には、弁体40の閉弁位置P1から全開位置P2までの間に設定された区間に関する情報が設定される。区間情報領域331には、区間に関する情報として「第2区間」、「第1区間」が設定されている。
【0119】
パルス番号情報領域332には、弁体40の閉弁位置P1から全開位置P2までに昇順で割り当てられたパルス番号に関する情報(パルス番号情報)が設定される。パルス番号情報領域332には、パルス番号情報としてパルス番号「401」~「1900」が設定されている。また、区間情報領域331の「第2区間」には、パルス番号「401」~「650」が割り当てられ、「第1区間」には、パルス番号「651」~「1900」が割り当てられている。
【0120】
ステップ角度情報領域333は、パルス番号情報領域332に設定されたパルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関する情報(ステップ角度情報)が設定される。ステップ角度情報領域333には、ステップ角度情報として、フルステップ動作におけるステップ角度の分割数が設定される。ステップ角度情報領域333には、パルス番号「401」~「650」に対応して「1」が設定され、パルス番号「651」~「1900」に対応して「5」が設定されている。つまり、「第2区間」のステップ角度(第2角度)として、7.5度/1=7.5度が設定され、「第1区間」のステップ角度(第1角度)として、7.5度/5=1.5度が設定されている。
【0121】
テーブル340は、区間情報領域341と、パルス番号情報領域342と、ステップ角度情報領域343と、を有している。
【0122】
区間情報領域341には、弁体40の閉弁位置P1から全開位置P2までの間に設定された区間に関する情報が設定される。区間情報領域341には、区間に関する情報として「第2区間」、「第1区間」が設定されている。
【0123】
パルス番号情報領域342には、弁体40の閉弁位置P1から全開位置P2までに昇順で割り当てられたパルス番号に関する情報(パルス番号情報)が設定される。パルス番号情報領域342には、パルス番号情報としてパルス番号「1」~「1900」が設定されている。また、区間情報領域341の「第2区間」には、パルス番号「1」~「150」が割り当てられ、「第1区間」には、パルス番号「151」~「1900」が割り当てられている。
【0124】
ステップ角度情報領域343は、パルス番号情報領域342に設定されたパルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関する情報(ステップ角度情報)が設定される。ステップ角度情報領域343には、ステップ角度情報として、フルステップ動作におけるステップ角度の分割数が設定される。ステップ角度情報領域343には、パルス番号「1」~「150」に対応して「1」が設定され、パルス番号「151」~「1900」に対応して「5」が設定されている。つまり、「第2区間」のステップ角度(第2角度)として、7.5度/1=7.5度が設定され、「第1区間」のステップ角度(第1角度)として、7.5度/5=1.5度が設定されている。
【0125】
図15に、弁体40の位置とパルス番号との関係を示す。図15において、起動状態における閉弁位置P1、全開位置P2、第1区間および第2区間を一点鎖線で示し、通常動作状態における閉弁位置P1、全開位置P2、第1区間および第2区間を実線で示す。起動状態で用いられるテーブル330に対応して、閉弁位置P1から全開位置P2までに弁体40の位置「400」~「1900」が昇順で設定されている。そして、位置「400」~「1900」の間隔部分に対してパルス番号「401」~「1900」が割り当てられている。また、通常動作状態で用いられるテーブル340に対応して、閉弁位置P1から全開位置P2までに弁体40の位置「0」~「1900」が昇順で設定されている。そして、位置「0」~「1900」の間隔部分に対してパルス番号「1」~「1900」が割り当てられている。
【0126】
テーブル330のパルス番号情報領域332に設定されたパルス番号情報およびステップ角度情報領域333に設定されたステップ角度情報は、起動状態パルス番号情報および起動状態ステップ角度情報である。テーブル340のパルス番号情報領域342に設定されたパルス番号情報およびステップ角度情報領域343に設定されたステップ角度情報は、通常動作状態パルス番号情報および通常動作状態ステップ角度情報である。起動状態パルス番号情報にはパルス番号「401」~「1900」が設定され、通常動作状態パルス番号情報にはパルス番号「1」~「1900」が設定されている。そのため、起動状態パルス番号情報と通常動作状態パルス番号情報とは、互いに異なる。また、起動状態パルス番号情報のパルス番号「401」~「650」には起動状態ステップ角度情報として「1」が割り当てられ、起動状態パルス番号情報のパルス番号「651」~「1900」には起動状態ステップ角度情報として「5」が割り当てられている。また、通常動作状態パルス番号情報のパルス番号「1」~「150」には通常動作状態ステップ角度情報として「1」が割り当てられ、通常動作状態パルス番号情報のパルス番号「151」~「1900」には通常動作状態ステップ角度情報として「5」が割り当てられている。そのため、起動状態ステップ角度情報と通常動作状態ステップ角度情報とは、互いに異なる。なお、起動状態パルス番号情報と通常動作状態パルス番号情報とが同じで、起動状態ステップ角度情報と通常動作状態ステップ角度情報とが互いに異なるものであってもよい。
【0127】
電動弁1Bにおいて、演算部230は、通信部220が通常動作開始命令を制御ユニット400から受信すると、起動状態から通常動作状態に移行する。起動状態において、制御ユニット400が指定する弁開度0[%]~100[%]は、弁体40の位置「400」~「1900」に対応している。通常動作状態において、制御ユニット400が指定する弁開度0[%]~100[%]は、弁体40の位置「0」~「1900」に対応している。そして、演算部230は、起動状態および通常動作状態において、通信部220が弁体移動命令を受信すると、弁体移動命令の移動目標位置Ptが指定する弁開度に対応する弁体40の位置を取得する。演算部230は、起動状態において、例えば、弁開度が10[%]のとき、移動目標位置Ptとして位置「550」を取得し、弁開度が50[%]のとき、移動目標位置Ptとして位置「1150」を取得し、弁開度が80[%]のとき、移動目標位置Ptとして位置「1600」を取得する。演算部230は、通常動作状態において、例えば、弁開度が10[%]のとき、移動目標位置Ptとして位置「190」を取得し、弁開度が50[%]のとき、移動目標位置Ptとして位置「950」を取得し、弁開度が80[%]のとき、移動目標位置Ptとして位置「1520」を取得する。
【0128】
次に、電動弁1Bの動作の一例について説明する。
【0129】
電動弁1Bの制御装置200は、起動状態においてテーブル330を用いてステッピングモーター66を回転させ、通常動作状態においてテーブル340を用いてステッピングモーター66を回転させる。
【0130】
電動弁1Bの制御装置200は、電源が投入されると起動状態になる。制御装置200は、起動状態において、初期化処理を行う。制御装置200は、弁体40を閉弁位置P1に移動させる。このとき、弁体40の現在位置Pcは、閉弁位置P1(弁体40の位置「400」)である。起動状態において、制御装置200は、制御ユニット400からの命令を待つ。制御ユニット400は、電動弁1Bが起動状態において図16の一点鎖線で示す流量特性を有し、通常動作状態において図16の実線で示す流量特性を有するものと認識している。
【0131】
制御装置200は、例えば、弁開度80[%]を指定する移動目標位置Ptを含む弁体移動命令を制御ユニット400から受信すると、移動目標位置Ptとして位置「1600」を取得する。そして、制御装置200は、現在位置Pcから移動目標位置Ptまでに割り当てられたパルス番号「401」~「1600」を取得する。
【0132】
制御装置200は、テーブル330に基づいて、パルス番号「401」~「1600」に対応するステップ角度を算出する。制御装置200は、現在位置Pcを示す番号(位置「400」)が移動目標位置Ptを示す番号(位置「1600」)より小さいため、回転方向を「開弁方向」とする。制御装置200は、パルス、ステップ角度および回転方向をモータードライバに入力してステッピングモーター66を回転させる。これにより、弁体40が弁座18から離れる。
【0133】
制御装置200は、第2区間(パルス番号「401」~「650」)では125[PPS]でパルスを入力し、第1区間(パルス番号「651」~「1600」)では625[PPS]でパルスを入力する。また、制御装置200は、パルス番号「401」~「1600」までのパルス番号に対応するステップ角度を積算する。
【0134】
制御装置200は、パルス番号「401」~「1600」に対応するステップ角度でのステッピングモーター66の回転が終了すると、現在位置Pcとして、位置「1600」を作業用メモリに格納する。また、制御装置200は、弁体移動命令の成否判定を行い、弁体移動命令の命令実行結果を制御ユニット400に送信する。そして、制御装置200は、制御ユニット400からの次の命令を待つ。
【0135】
次に、制御装置200は、通常動作開始命令を制御ユニット400から受信すると、起動状態から通常動作状態に移行する。通常動作状態に移行することにより、制御装置200は、テーブル330に代えてテーブル340を用いる。
【0136】
次に、制御装置200は、例えば、弁開度50[%]を指定する移動目標位置Ptを含む弁体移動命令を制御ユニット400から受信すると、移動目標位置Ptとして位置「950」を取得する。そして、制御装置200は、現在位置Pcから移動目標位置Ptまでに割り当てられたパルス番号「1600」~「951」を取得する。
【0137】
制御装置200は、テーブル340に基づいて、パルス番号「1600」~「951」に対応するステップ角度を算出する。制御装置200は、現在位置Pcを示す番号(位置「1600」)が移動目標位置Ptを示す番号(位置「950」)より大きいため、回転方向を「閉弁方向」とする。制御装置200は、パルス、ステップ角度および回転方向をモータードライバに入力してステッピングモーター66を回転させる。これにより、弁体40が弁座18に近づく。
【0138】
制御装置200は、第1区間(パルス番号「1600」~「951」)では625[PPS]でパルスを入力する。また、制御装置200は、パルス番号「1600」~「951」までのパルス番号に対応するステップ角度を積算する。
【0139】
制御装置200は、パルス番号「1600」~「951」に対応するステップ角度でのステッピングモーター66の回転が終了すると、現在位置Pcとして、位置「951」を作業用メモリに格納する。また、制御装置200は、弁体移動命令の成否判定を行い、弁体移動命令の命令実行結果を制御ユニット400に送信する。そして、制御装置200は、制御ユニット400からの次の命令を待つ。
【0140】
次に、制御装置200は、例えば、弁開度0[%]を指定する移動目標位置Ptを含む弁体移動命令を制御ユニット400から受信すると、移動目標位置Ptとして位置「0」を取得する。そして、制御装置200は、現在位置Pcから移動目標位置Ptまでに割り当てられたパルス番号「950」~「1」を取得する。
【0141】
制御装置200は、テーブル340に基づいて、パルス番号「950」~「1」に対応するステップ角度を算出する。制御装置200は、現在位置Pcを示す番号(位置「950」)が移動目標位置Ptを示す番号(位置「0」)より大きいため、回転方向を「閉弁方向」とする。制御装置200は、パルス、ステップ角度および回転方向をモータードライバに入力してステッピングモーター66を回転させる。これにより、弁体40が弁座18に接する。
【0142】
制御装置200は、第1区間(パルス番号「950」~「151」)では625[PPS]でパルスを入力し、第2区間(パルス番号「150」~「1」)では125[PPS]でパルスを入力する。また、制御装置200は、パルス番号「950」~「1」までのパルス番号に対応するステップ角度を積算する。
【0143】
制御装置200は、パルス番号「950」~「1」に対応するステップ角度でのステッピングモーター66の回転が終了すると、現在位置Pcとして、位置「0」を作業用メモリに格納する。また、制御装置200は、弁体移動命令の成否判定を行い、弁体移動命令の命令実行結果を制御ユニット400に送信する。そして、制御装置200は、制御ユニット400からの次の命令を待つ。以降、制御装置200は、受信した命令に応じた動作を実行する。
【0144】
電動弁1Bは、上述した電動弁1および電動弁1Aと同様の作用効果を奏する。
【0145】
また、記憶部210が、テーブル330とテーブル340とを格納している。制御装置が、起動状態のときにテーブル330に設定されたパルス番号情報およびステップ角度情報(起動状態パルス番号情報および起動状態ステップ角度情報)を用い、通常動作状態のときにテーブル340に設定されたパルス番号情報およびステップ角度情報(通常動作状態パルス番号情報および通常動作状態ステップ角度情報)を用いる。このようにすることで、電動弁1Bは、動作中に流量特性を変更することができ、電動弁1Bが組み込まれるシステムの要求により柔軟に対応できる。
【0146】
また、制御装置200が、起動状態のときに通常動作開始命令を制御ユニット400から受信すると、通常動作状態に移行する。このようにすることで、制御装置200の動作状態を制御ユニット400によって変更できる。そのため、制御装置200が自律的に動作状態を変更する場合に比べて、制御ユニット400が把握している制御装置200の動作状態と、制御装置200の実際の動作状態と、の不一致を防止できる。
【0147】
なお、制御装置200が、起動状態のときに弁体40が所定の起動完了位置(例えば、図16における位置「650」)に移動すると、自律的に通常動作状態に移行してもよい。
【0148】
電動弁1は、駆動機構30においてマグネットローター31の回転を減速することなく用いる直動式の電動弁であったが、本発明は、マグネットローターの回転を減速する減速機構を有する駆動機構を有する電動弁に適用することもできる。
【0149】
上記に本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例の構成に限定されるものではない。前述の実施例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨に反しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0150】
1、1A、1B…電動弁、10…弁本体、11…本体部材、11a…取付孔、12…支持部材、12a…嵌合孔、13…接続部材、14…弁室、15…流路、16…流路、17…弁口、18…弁座、19…封止部材、20…キャン、30…駆動機構、31…マグネットローター、32…弁軸ホルダー、32c…雌ねじ、33…ガイドブッシュ、33a…基部、33b…弁軸支持部、33c…雄ねじ、34…弁軸、34a…大径部、34b…小径部、34c…段部、35…支持リング、36…プッシュナット、37…閉弁ばね、38…永久磁石、39…固定具、40…弁体、40a…先端、41…テーパー面、50…ステーターユニット、60…ステーター、60a…ステーター内周面、61…A相ステーター、61a…極歯、61b…極歯、61c…コイル、62…B相ステーター、62a…極歯、62b…極歯、62c…コイル、63…モールド、64…端子支持部、65…端子、66…ステッピングモーター、70…ハウジング、71…周壁部、71a…内周面、72…上壁部、72a…内面、73…下部、74…内側空間、75…サブ基板収容空間、76…隔壁、80…ケース、81…ケース本体、82…蓋体、83…コネクタ、84…側壁部、84a…ケース開口、90…メイン基板、91…基板コネクタ、100…サブ基板、100a…端部、100b…端部、101…基板端子、110…磁気センサー、120…マイクロコンピューター、200…制御装置、210…記憶部、220…通信部、230…演算部、240…回転制御部、310…テーブル、311…区間情報領域、312…パルス番号情報領域、313…ステップ角度情報領域、320…テーブル、321…区間情報領域、322…パルス番号情報領域、323…ステップ角度情報領域、330…テーブル、331…区間情報領域、332…パルス番号情報領域、333…ステップ角度情報領域、340…テーブル、341…区間情報領域、342…パルス番号情報領域、343…ステップ角度情報領域、400…制御ユニット、L…軸線、P1…閉弁位置、P2…全開位置、Pc…現在位置、Pt…移動目標位置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-12-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁口を有する弁本体と、前記弁口と対向して配置された弁体と、前記弁体を前記弁口との対向方向に移動させる駆動機構と、前記駆動機構を制御する制御装置と、を有する電動弁であって、
前記駆動機構が、ステッピングモーターを有し、前記ステッピングモーターの回転によって前記弁体を移動させ、
前記制御装置が、
前記弁体の基準位置から全開位置まで順番に割り当てられたパルス番号に関するパルス番号情報と、前記パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関するステップ角度情報と、を格納する記憶部と、
前記弁体の移動目標位置に関する弁体移動命令を外部装置から受信する通信部と、
前記弁体の現在位置から前記移動目標位置までに割り当てられた前記パルス番号を取得する演算部と、
前記弁体の前記現在位置から前記移動目標位置までに割り当てられた前記パルス番号の順番に各パルス番号に対応する前記ステップ角度で前記ステッピングモーターを回転させる回転制御部と、を有し、
前記弁体の前記基準位置から前記全開位置までの間に、第1区間と第2区間と第3区間とが設定され、
前記第1区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第1角度が設定され、
前記第2区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第2角度が設定され、
前記第3区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第3角度が設定され、
前記第1角度と前記第2角度と前記第3角度とが互いに異なり、
前記第1角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作を1/nしたマイクロステップ動作におけるステップ角度であり、
前記第2角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作を1/mしたマイクロステップ動作におけるステップ角度であり、
前記第3角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作におけるステップ角度であり、
前記弁体が前記第1区間にあるときのパルス速度が、前記弁体が前記第3区間にあるときのパルス速度のn倍であり、
前記弁体が前記第2区間にあるときのパルス速度が、前記弁体が前記第3区間にあるときのパルス速度のm倍である、電動弁。
ただし、m、nは2以上の自然数であり、m≠nである。
【請求項2】
前記弁体が、前記弁口に向かうにしたがって径が小さくなる1つのテーパー面を有し、
前記弁体が前記第1区間、前記第2区間または前記第3区間にあるとき、前記テーパー面と前記弁口の内周面との隙間によって流量が決定される、請求項に記載の電動弁。
【請求項3】
弁口を有する弁本体と、前記弁口と対向して配置された弁体と、前記弁体を前記弁口との対向方向に移動させる駆動機構と、前記駆動機構を制御する制御装置と、を有する電動弁であって、
前記駆動機構が、ステッピングモーターを有し、前記ステッピングモーターの回転によって前記弁体を移動させ、
前記制御装置が、
前記弁体の基準位置から全開位置まで順番に割り当てられたパルス番号に関するパルス番号情報と、前記パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関するステップ角度情報と、を格納する記憶部と、
前記弁体の移動目標位置に関する弁体移動命令を外部装置から受信する通信部と、
前記弁体の現在位置から前記移動目標位置までに割り当てられた前記パルス番号を取得する演算部と、
前記弁体の前記現在位置から前記移動目標位置までに割り当てられた前記パルス番号の順番に各パルス番号に対応する前記ステップ角度で前記ステッピングモーターを回転させる回転制御部と、を有し、
前記弁体の前記基準位置から前記全開位置までの間に、第1区間と第2区間とが設定され、
前記第1区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第1角度が設定され、
前記第2区間に割り当てられた前記パルス番号に対応する前記ステップ角度に、第2角度が設定され、
前記第1角度と前記第2角度とが異なり、
前記第1角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作を1/nしたマイクロステップ動作におけるステップ角度であり、
前記第2角度が、前記ステッピングモーターのフルステップ動作におけるステップ角度であり、
前記弁体が前記第1区間にあるときのパルス速度が、前記弁体が前記第2区間にあるときのパルス速度のn倍である、電動弁。
ただし、nは2以上の自然数である。
【請求項4】
前記弁体が、前記弁口に向かうにしたがって径が小さくなる1つのテーパー面を有し、
前記弁体が前記第1区間または前記第2区間にあるとき、前記テーパー面と前記弁口の内周面との隙間によって流量が決定される、請求項に記載の電動弁。
【請求項5】
弁口を有する弁本体と、前記弁口と対向して配置された弁体と、前記弁体を前記弁口との対向方向に移動させる駆動機構と、前記駆動機構を制御する制御装置と、を有する電動弁であって、
前記駆動機構が、ステッピングモーターを有し、前記ステッピングモーターの回転によって前記弁体を移動させ、
前記制御装置が、
前記弁体の基準位置から全開位置まで順番に割り当てられたパルス番号に関するパルス番号情報と、前記パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関するステップ角度情報と、を格納する記憶部と、
前記弁体の移動目標位置に関する弁体移動命令を外部装置から受信する通信部と、
前記弁体の現在位置から前記移動目標位置までに割り当てられた前記パルス番号を取得する演算部と、
前記弁体の前記現在位置から前記移動目標位置までに割り当てられた前記パルス番号の順番に各パルス番号に対応する前記ステップ角度で前記ステッピングモーターを回転させる回転制御部と、を有し、
前記記憶部が、
前記弁体の前記基準位置から前記全開位置まで順番に割り当てられたパルス番号に関する起動状態パルス番号情報と、前記起動状態パルス番号情報の前記パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関する起動状態ステップ角度情報と、
前記弁体の前記基準位置から前記全開位置まで順番に割り当てられたパルス番号に関する通常動作状態パルス番号情報と、前記通常動作状態パルス番号情報の前記パルス番号のそれぞれに対応するステップ角度に関する通常動作状態ステップ角度情報と、を格納し、
前記制御装置が、
起動状態のときに前記起動状態パルス番号情報および前記起動状態ステップ角度情報を前記パルス番号情報および前記ステップ角度情報として用い、
前記起動状態のあとの通常動作状態のときに前記通常動作状態パルス番号情報および前記通常動作状態ステップ角度情報を前記パルス番号情報および前記ステップ角度情報として用いる、電動弁。
【請求項6】
前記制御装置が、前記起動状態のときに前記通信部が通常動作開始命令を外部装置から受信すると、前記通常動作状態に移行する、請求項に記載の電動弁。
【請求項7】
前記制御装置が、前記起動状態のときに前記弁体が所定の起動完了位置に移動すると、前記通常動作状態に移行する、請求項または請求項に記載の電動弁。