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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004185
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】多層生分解性フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/36 20060101AFI20250106BHJP
   B32B 27/26 20060101ALI20250106BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20250106BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20250106BHJP
   B65D 65/46 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
B32B27/36
B32B27/26
B32B27/20 Z
B65D65/40 D
B65D65/46
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024177280
(22)【出願日】2024-10-09
(62)【分割の表示】P 2021211234の分割
【原出願日】2017-06-13
(31)【優先権主張番号】102016000060486
(32)【優先日】2016-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】592081988
【氏名又は名称】ノバモント・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】NOVAMONT SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】ポンティ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ルッソ,クラウディオ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】様々な種類の包装用に適する多層生分解性フィルムに関し、高レベルの生分解と機械的特性に加え、良好な光透過性を兼ね備える生分解性フィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの第1層A及び少なくとも1つの第2層Bを含む多層生分解性フィルムに関し、前記層A及び層Bはそれぞれ組成が異なり、前記層Aは生分解性脂肪族及び/又は脂肪族-芳香族ポリエステル又はポリビニルアルコール又はそれらの共重合体を含み、前記層Bは、特定構造のポリエステルを含むポリマー組成物からなる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の層A及び少なくとも1つの第2の層Bを含む多層フィルムであって、前記層A及び層Bは互いに組成が異なり、前記層Aは、成分i~vの合計に対して:
i) 30~70重量%の、少なくとも1つの脂肪族-芳香族ポリエステル;
ii) 20~60重量%の、少なくとも1つの脂肪族ポリエステル;
iii) 1~20重量%の、少なくとも1つのポリヒドロキシアルカノエート;
iv) 0~5重量%の、イソシアネート、過酸化物、カルボジイミド、イソシアヌレート、オキサゾリン、エポキシ、無水物若しくはジビニルエーテル基又はそれらの混合物を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する少なくとも1つの化合物を含む少なくとも1つの架橋剤及び/又は鎖延長剤;
v) 0~10重量%の、少なくとも1つの充填剤;
を含み、前記層Bは:
i) 成分i~vの合計に対して30~95重量%の、次のa)及びb)を含む少なくとも1つのポリエステル:
a) 総ジカルボン酸成分に対して以下を含むジカルボン酸成分:
a1) 35~70モル%の少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸由来のユニット;
a2) 65~30モル%の少なくとも1つの飽和脂肪族ジカルボン酸由来のユニット;
a3) 0~5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪族ジカルボン酸由来のユニット;
b) 総ジオール成分に対して以下を含むジオール成分:
b1) 95~100モル%の少なくとも1つの飽和脂肪族ジオール由来のユニット;
b2) 0~5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪族ジオール由来のユニット;
ii) 成分i~vの合計に対して0.1~50重量%の、少なくとも1つの天然由来のポリマー、
iii) 成分i~vの合計に対して1~40重量%の、少なくとも1つのポリヒドロキシアルカノエート;
iv) 成分i~vの合計に対して0~15重量%の、少なくとも1つの無機充填剤;及び
v) 成分i~vの合計に対して0~5重量%の、イソシアネート、過酸化物、カルボジイミド、イソシアヌレート、オキサゾリン、エポキシド、無水物若しくはジビニルエーテル基又はそれらの混合物を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する少なくとも1つの化合物を含む少なくとも1つの架橋剤及び/又は鎖延長剤、
を含む、多層フィルム。
【請求項2】
前記層A中の脂肪族-芳香族ポリエステルが:
c) 総ジカルボン酸成分に対して以下を含むジカルボン酸成分:
c1) 35~70モル%の少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸由来のユニット;
c2) 65~30モル%の少なくとも1つの飽和脂肪族ジカルボン酸由来のユニット;及び
c3) 0~5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪族ジカルボン酸由来のユニット;及び
d) 総ジオール成分に対して以下を含むジオール成分:
d1) 95~100モル%の少なくとも1つの飽和脂肪族ジオール由来のユニット、及び
d2) 0~5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪族ジオール由来のユニット、
を含む、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項3】
前記成分c2の飽和脂肪族ジカルボン酸が、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、それらのC1~C24、好ましくはC1~C4のエステル、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの酸を少なくとも50モル%含む混合物を含む、請求項2に記載の多層フィルム。
【請求項4】
前記成分c2の飽和脂肪族ジカルボン酸が、アジピン酸、アゼライン酸又はそれらの混合物から選択される、請求項3に記載の多層フィルム。
【請求項5】
前記層B中のポリエステルの成分a2の飽和脂肪族ジカルボン酸が、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、それらのC1~C24、好ましくはC1~C4エステル、及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも1つの酸を少なくとも50モル%含む混合物を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の多層フィルム。
【請求項6】
前記成分a2の飽和脂肪族ジカルボン酸が、アジピン酸、アゼライン酸又はそれらの混合物から選択される、請求項5に記載の多層フィルム。
【請求項7】
規格ASTM D1003に従って測定され、90%より大きい透過率値、65%未満のヘイズ値及び20%以上の透明度によって特徴付けられる請求項1~6のいずれか1項に記載の多層フィルム。
【請求項8】
UNI11355に従う家庭堆肥化条件下で生分解性である請求項1~7のいずれか1項に記載の多層フィルム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の多層フィルムを含む包装材。
【請求項10】
商品輸送用の袋及び食品包装用の袋から選択される請求項9に記載の包装材。
【請求項11】
果実及び野菜用の請求項10に記載の袋。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか1つに記載の多層フィルムを含むマルチフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記述
本発明は多層生分解性フィルム、特に様々な種類の包装の製造の、特に商品を運ぶための袋及び食品包装のための袋、例えば果実及び野菜の為の袋での使用に適する多層生分解性フィルムに関する。高水準の機械的特性、特に高弾性率を有することに加え、前記フィルムはかなりの光透過性の特性を有する。
【背景技術】
【0002】
包装の製造、特に食品を包装するための袋、例えば果実及び野菜の為の袋は、良好な機械的特性と、例えば特に外部から内部に含まれた物体を確認することによる包装の使用を消費者に可能にする光透過性の特性のような消費者の為にポジティブな他の特性とを結合するフィルムの使用を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
生分解性包装の部門では、機械的及び光学的な問題に加えて、主要な使用の終わりに達すると、環境中に廃棄物を蓄積することなく分解しうる材料を利用する必要もある。これらの異なる特性を兼ね備える生分解性フィルムの開発は、実際は、お互いがしばしばとても矛盾する異なるニーズのバランス化を必要とする難題である。実際、機械的特性及び生分解性のための特定の基準は、それらの異なる特性に従ってフィルムの最終特性のそれぞれを共有する材料の組成物を利用することによって達成し得るが、高い光透過性の特性の成就は、前記組成物の異質の特性によって非常に多くの場合妨げられる。生分解性包装フィルムの製造業者にとって、このことは彼らが高レベルの機械的及び生分解生の特性並びに最適ではない光透過性の特性を有するフィルムを使うこと、又は逆に包装の光学特性と結びつく側面を利用して、それにより機械的及び生分解性の特性の観点からより劣った性能を受け入れるかどうかを決めなければならないことを意味する。
【0004】
それゆえ、もしそれらの対照的な要求のバランスを取ることが可能であるフィルム、それゆえ高レベルの生分解及び機械的特性、特に高弾性率、及びかなりの光透過性の特性によって特徴付けられるフィルムを開発することができたなら、このことは上記の現在の問題に打ち勝つことを可能にするだろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこの問題に取り組み、これらの異なる要求を適切にバランスをとることができる解決法を提供する。特に本発明は少なくとも1つの第1層A及び少なくとも1つの第2層Bを含む多層フィルムに関し、ここで、前記層A及び層Bがそれぞれ異なり、層Aは生分解性
脂肪族及び/又は脂肪族-芳香族ポリエステル又はポリビニルアルコール又はそれらの共重合体を含み、
そして層Bは:
i) 成分i-vの合計に対して30-95重量%、好ましくは50-85重量%の、次のa)及びb)を含む少なくとも1つのポリエステル:
a)総ジカルボン酸成分に対して:
a1) 35-70モル%、好ましくは40-60モル%、より好ましくは45-60モル%の少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸由来のユニット;
a2) 65-30モル%、好ましくは60-40モル%、より好ましくは55-40モル%の少なくとも1つの飽和脂肪族ジカルボン酸由来のユニット;
a3) 0-5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪族ジカルボン酸由来のユニット;
を含むジカルボン酸成分;
b) 総ジオール成分に対して:
b1) 95-100モル%の少なくとも1つの飽和脂肪族ジオール由来のユニット;
b2) 0-5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪族ジオール由来のユニット;
を含むジオール成分;
ii) 成分i-vの合計に対して0.1-50重量%、好ましくは5-40重量%の少なくとも1つの天然由来のポリマー;
iii) 成分i-vの合計に対して1-40重量%、好ましくは2-30重量%の少なくとも1つのポリヒドロキシアルカノエート;
iv) 成分i-vの合計に対して0-15重量%の少なくとも1つの無機充填剤;
v) 成分i-vの合計に対して0-5重量%、好ましくは0-0.5重量%のイソシアネート、過酸化物、カルボジイミド、イソシアヌレート、オキサゾリン、エポキシド、無水物又はジビニルエーテル基およびそれらの混合物を含む2つの及び/又はそれより多い官能基を有する少なくとも1つの化合物を含む少なくとも1つの架橋剤及び/又は鎖延長剤
を含む。
【0006】
本発明による多層フィルムの1つの特別な特性は、その層構造が脂肪族-芳香族及び/又は脂肪族生分解性ポリエステル又はポリビニルアルコール又それらの共重合体を含む少なくとも1つの層(層A)、及び成分i-vを含むポリマー組成物を含む少なくとも1つの層 (層B)を含むことである。驚くべきことに、物質のこの組み合わせを有する多層フィルムは非常に良好な機械的、生分解性及び光学的な特性を有し、それは様々な種類の包装を生産するための適切さを与えることが見いだされた。
特に、本発明による多層フィルムの層Bは、産業堆肥化条件下及びより好ましくはUNI11355標準に従う家庭堆肥化で、フィルムに急速な生分解性を与えることができる連続層及び分散層を構造上含む。前記フィルムは高レベルの機械的特性もまた有し、極端に薄い;もし、例えば、高さ50cm以下、横幅40cm以下(ガセットの有無に関わらず)の袋の形態およびこの場合の袋は取っ手幅が5から3cmの間である取っ手を有し、薄さが15μm及びより好ましくは12μm未満の袋の場合は、その袋はジョギング試験の条件下で少なくとも3kg、さらにより好ましくは少なくとも4kgの重量を支える能力がある。例として、手動ジョギング試験の1種は、何らかの裂傷を起こすことなく連続して10回地面から袋を40cm持ち上げていると考えられる。個々の層Bの構造は、例えばHDPEのような、包装の生産に広く使われる非生分解性物質の特性よりも有意に悪い光学特性を有するが、本発明による多層フィルムは、同時に層Bの生分解性の特性(産業堆肥化及びより好ましくは家庭堆肥化能力及び/又は嫌気生活を含む処理に先行する機械的な混合プロセスにおける分散性)を維持しながら、その構造、少なくとも1つの層A及び少なくとも1つの層Bの組み合わせを提供する構造のためHDPEのそれと似た光学特性を有する。特に本多層フィルムは90%以上の、好ましくは91%以上の光学透過性、65%以下、好ましくは55%以下のヘイズ(Haze)、及び20%以上の、好ましくは40%以上の透明度を有する。
【0007】
本発明は様々な種類の包装、特に前記多層フィルムを含む商品の輸送のための袋及び食品包装、例えば食品及び野菜の為の袋に関する。
【0008】
本発明による多層フィルムは少なくとも1つの層A及び少なくとも1つの層Bを含み、好ましくはA/B及びA/B/Aから選ばれた相互配列によって特徴付けられた。
【発明を実施するための形態】
【0009】
層A
層Aに関する限りは、これは少なくとも1つの脂肪族及び/又は脂肪族-芳香族ポリエステル又はポリビニルアルコール又はそれらの共重合体を含む。脂肪族-芳香族ポリエステルの場合、これは好ましくは次のc)及びd)を含む:
c)総ジカルボン酸成分に対して:
c1) 35-70モル%、好ましくは40-60モル%、より好ましくは45-60モル%の少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸由来のユニット;
c2) 65-30モル%、好ましくは60-40モル%、より好ましくは55-40モル%の少なくとも1つの飽和脂肪族ジカルボン酸由来のユニット;
c3) 0-5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪族ジカルボン酸由来のユニット;
を含むジカルボン酸成分;
d)総ジオール成分に対して:
d1) 95-100モル%の少なくとも1つの飽和脂肪族ジオール由来のユニット:
d2) 0-5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪族ジオール由来のユニット
を含むジオール成分。
【0010】
成分c1中の芳香族ジカルボン酸は好ましくはフタル酸タイプの芳香族ジカルボン酸から選ばれ、好ましくはテレフタル酸、又はイソフタル酸、より好ましくはテレフタル酸及び複素環式ジカルボキシル芳香族化合物、好ましくは2,5-フランジカルボン酸、2,4-フランジカルボン酸、2,3-フランジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸、より好ましくは2,5-フランジカルボン酸、それらのエステル、塩、及び混合物から選ばれる。前記芳香族ジカルボン酸の好ましい実施形態は:
- 1から99モル%、好ましくは5から95モル%、及びより好ましくは10から80モル%のテレフタル酸、そのエステル又は塩;
- 99から1モル%、好ましくは95から5モル%、及びより好ましくは90から20モル%の2,5-フランジカルボン酸、そのエステル又は塩
を含む。
【0011】
成分c2中の飽和脂肪族ジカルボン酸は好ましくは飽和C2-C24、好ましくはC4-C13、より好ましくはC4-C11のジカルボン酸から選ばれ、それらのC1-C24、好ましくはC1-C4、アルキルエステル、それらの塩及びその混合物から選ばれる。好ましくは飽和脂肪族ジカルボン酸はコハク酸、2-エチルコハク酸、グルタル酸、2-メチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸及びそれらのC1-24アルキルエステルから選ばれる。本発明の好ましい実施形態において、飽和脂肪族ジカルボン酸は、少なくとも50モル%、好ましくは60モル%以上、より好ましくは65モル%以上の、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、それらのC1-C24、好ましくはC1-C4、エステル及びその混合物を含む混合物を含む。好ましい実施形態において、前記混合物はアジピン酸とアゼライン酸を含むか又はからなり、アジピン酸及びアゼライン酸の合計に対してアゼライン酸を5から40モル%、より好ましくは10から35モル%の間の量でアゼライン酸を含む。
【0012】
成分c3中の不飽和脂肪族ジカルボン酸は好ましくはイタコン酸、フマル酸、4-メチレン-ピメリン酸、3,4-ビス(メチレン)ノナン二酸、5-メチレン-ノナン二酸、それらのC1-C24、好ましくはC1-C4、アルキルエステル、それらの塩及びその混合物から選ばれる。本発明の好ましい実施形態において、不飽和脂肪族ジカルボン酸は、少なくとも50モル%の、より好ましくは60モル%より多い、より好ましくは65モル%より多いイタコン酸、及びそのC1-C24、好ましくはC1-C4、エステルを含む混合物を含む。より好ましくは、不飽和脂肪族ジカルボン酸はイタコン酸からなる。
【0013】
成分d1中の飽和脂肪族ジオールに関する限りは、これらは好ましくは1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,4-シクロハクサン(haxane)ジメタノール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジアンヒドロソルビトール、ジアンヒドロマンニトール、ジアンヒドロイジトール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンメタンジオール、ジアルキレングリコール及び分子量100-4000を有するポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等及びそれらの混合物から選ばれる。好ましいジオール成分は、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールから選ばれる少なくとも50モル%の1つ以上のジオールを含む。より好ましくはジオール成分は1,4-ブタンジオールを含むか、またはからなる。
【0014】
d2成分中の不飽和脂肪酸ジオールに関する限りは、これらは好ましくはシス 2-ブテン-1,4-ジオール、トランス2-ブテン-1,4-ジオール、2-ブチン-1,4-ジオール、シス2-ペンテン-1,5-ジオール、トランス2-ペンテン1,5ジオール、2-ペンチン1,5ジオール、シス 2-ヘキセン-1,6-ジオール、トランス2-ヘキセン-1,6-ジオール、2-ヘキシン-1,6-ジオール、シス3-ヘキセン-1,6-ジオール、トランス3-ヘキセン-1,6-ジオール、3-ヘキシン-1,6-ジオールから選ばれる。
【0015】
脂肪族ポリエステルの場合、これは好ましくは次のe)及びf)を含む:
e)総ジカルボキシル成分に対して:
e1) 95-100モル%の少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸由来のユニット;
e2) 0-5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪酸ジカルボン酸由来のユニット;
を含むジカルボキシル成分;
f)総ジオール成分に対して:
f1) 95-100モル%の少なくとも1つの飽和脂肪族ジオール由来のユニット;
f2) 0-5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪族ジオール由来のユニット;
を含むジオール成分。
【0016】
成分e1中の飽和脂肪族ジカルボン酸は好ましくは、飽和C2-C24、好ましくはC4-C13、より好ましくはC4-C11のジカルボン酸、それらC1-C24、好ましくはC1-C4、アルキルエステル、それらの塩及びその混合物から選ばれる。好ましくは、飽和脂肪族ジカルボン酸はコハク酸、2-エチルコハク酸、グルタル酸、2-メチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸及びそれらのC1-24アルキルエステルから選ばれる。
【0017】
成分e2中の不飽和脂肪族ジカルボン酸は好ましくは、イタコン酸、フマル酸、4-メチレン-ピメリン酸、3,4-ビス(メチレン)ノナン二酸、5-メチレン-ノナン二酸、それらのC1-C24、好ましくはC1-C4、アルキルエステル、それらの塩及びその混合物から選ばれる。本発明の好ましい実施形態では、不飽和脂肪酸ジカルボン酸は少なくとも50モル%の、好ましくは60モル%より多い、より好ましくは65モル%より多い、イタコン酸及びそのC1-C24、好ましくはC1-C4、エステルを含む混合物を含む。より好ましくは、不飽和脂肪族ジカルボン酸はイタコン酸からなる。
【0018】
成分f1中の飽和脂肪族ジオールに関する限りは、これらは好ましくは1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1.5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1.7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジアンヒドロソルビトール、ジアンヒドロマンニトール、ジアンヒドロイジトール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンメタンジオール、ジアルキレングリコール及び分子量100-4000を有するポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等及びその混合物から選ばれる。好ましくは、ジオール成分は少なくとも50モル%の1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールから選ばれる1つ以上のジオールを含む。より好ましくは、ジオール成分は1,4-ブタンジオールを含むか又はからなる。
【0019】
成分f2中の不飽和脂肪族ジオールに関する限り、これらは好ましくはシス2-ブテン-1,4-ジオール、トランス2-ブテン-1,4-ジオール、2-ブチン-1,4-ジオール、シス2-ペンテン-1,5-ジオール、トランス2-ペンテン1,5ジオール、2-ペンチン1,5ジオール、シス2-ヘキセン-1,6-ジオール、トランス2-ヘキセン-1,6-ジオール、2-ヘキシン-1,6-ジオール、シス3-ヘキセン-1,6-ジオール、トランス3-ヘキセン-1,6-ジオール、3-ヘキシン-1,6-ジオールから選ばれる。
【0020】
層A中の前記脂肪族及び/又は脂肪族-芳香族ポリエステルのMn分子量は好ましくは≧20000、より好ましくは≧40000である。分子量の多分散度指数、Mw/Mnに関する限りは、これは、代わりに、好ましくは1.5から10の間、より好ましくは1.6から5の間、更により好ましくは1.8から2.7の間である。
Mn及びMw分子量はGel Permeation Chromatography(GPC)を用いて測定されうる。決定はクロマトグラフィーシステムを40℃に維持し、連続した2つのカラム一式(混合多孔性を有する粒子径5μm 及び3μm)、屈折率検出器、クロロホルムを溶離液(流速0.5 ml/min)として、ポリスチレンを参照標準として用いて行われうる。
【0021】
層A中の前記脂肪族及び/又は脂肪族-芳香族ポリエステルの末端の酸性基含量は好ましくは100meq/kg未満、好ましくは60 meq/kg未満、及びより好ましくは40meq/kg未満である。
末端の酸性基含量は次のように測定されうる:1.5-3gのポリエステルを100mlのフラスコ中に60mlのクロロホルムと共に入れる。ポリエステルが完全に溶けた後、25mlの2-プロパノールを加え、そして次いで1mlの脱イオン水を分析前にすぐに加える。そのように得られた溶液を、前もって標準化されたエタノール中のNaOH溶液に対して滴定する。滴定の終点を決めるために適切な指示器、例えば非水性溶媒中の酸-塩基滴定用のガラス電極等を用いる。末端の酸性基含量はエタノール中のNaOH溶液の消費に基づいた次の式:
末端の酸性基含量(meq/kgポリマー)=[(Veq-Vb)・T]・1000/P
ここで:Veq=試料の滴定の終点のエタノール中のNaOHのml;
Vb=ブランク滴定中のpHが9.5に達する為に必要なエタノール中のNaOH溶液のml;
T=moles/litreとして表されるエタノール中のNaOH溶液の濃度;
P=試料のグラム重量
を用いて計算される。
【0022】
好ましくは、層A中の前記脂肪族及び/又は脂肪族-芳香族ポリエステルは0.3dl/g以上(25℃でCHCl3中の0.2g/dl濃度の溶液用のUbbelohde 粘度計を用いて測定した)、好ましくは0.3から2dl/gの間、より好ましくは0.4から1.1dl/gの間のインヘレント粘度を有する。
【0023】
層A中の前記脂肪族及び/又は脂肪族-芳香族ポリエステルは生分解性である。生分解性ポリマーによる本発明の意味は、規格EN13432による生分解性ポリマーを意味する。
【0024】
層A中の前記脂肪族及び/又は脂肪族-芳香族ポリエステルは当該技術によって知られているいずれかの方法で合成されうる。特に、有利には、重縮合反応を用いて得られ得る。
【0025】
有利には、合成プロセスは適切な触媒の存在下で行われうる。適切な触媒としては、例えばスズの有機金属の、例えばスズ酸誘導体、チタン化合物、例えばチタン酸オルトブチル、アルミニウム化合物、例えばトリイソプロピルアルミニウム、アンチモン及び亜鉛及びジルコニウムの化合物及びその混合物が挙げられる。
【0026】
本発明の別の実施形態では、層A中の前記脂肪族ポリエステルはヒドロキシ酸のポリエステル、好ましくはポリ-ε-カプロラクトンである。
層A中の前記の少なくとも1つの脂肪族及び/又は脂肪族-芳香族ポリエステルは、有利には、1つ以上の他の成分と混合される。この場合、層Aは少なくとも1つの脂肪族及び/又は脂肪族-芳香族ポリエステル又はポリビニルアルコール又はそれらの共重合体、及び好ましくは前記脂肪族及び/又は脂肪族-芳香族ポリエステルと同じではない1つ以上のポリマー、又は生分解性であってもなくてもよい、合成又は天然由来の前記ポリビニルアルコール又はそれらの共重合体、及び好ましくは1つ以上の他の成分を含む組成物を含む。
【0027】
生分解性であるかないかに関わらない、合成又は天然由来の、前記脂肪族及び/又は脂肪族-芳香族ポリエステル又は前記ポリビニルアルコール又はそれらの共重合体と同じではないポリマーに関する限りは、これらは有利には、ポリヒドロキシアルカノエート、ビニルポリマー、ポリエステル i.以外の二酸ジオールポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリカーボネート及びそれらの混合物からなる群から選ばれる。
非生分解性ポリマーの場合、これらは、最終産物の生分解性に有意な効果を及ぼさないような量で明らかに存在する。
【0028】
層A中の前記組成物の好ましい実施形態は、前記脂肪族及び/又は脂肪族-芳香族ポリエステル又は前記ポリビニルアルコール又はそれらの共重合体に加えて、層Aの総量に対して1から40重量%の間及びより好ましくは5から30重量%の間の、少なくとも1つのポリヒドロキシアルカノエート、より好ましくは乳酸のポリエステル、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸-吉草酸、ポリヒドロキシ酪酸-プロパン酸、ポリヒドロキシ酪酸-ヘキサン酸、ポリヒドロキシ酪酸-デカン酸、ポリヒドロキシ酪酸-ドデカン酸、ポリヒドロキシ酪酸-ヘキサデカン酸、ポリヒドロキシ酪酸-オクタデカン酸、ポリ-3-ヒドロキシ酪酸-4-ヒドロキシ酪酸からなる群から選ばれるポリヒドロキシアルカノエートを含む。好ましくは、前記ポリヒドロキシアルカノエートは少なくとも80重量%の1つ以上の乳酸のポリエステルを含む。
乳酸ポリエステルの好ましい実施形態はポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、ポリ-D-L-乳酸ステレオ複合体、50モル%より多い前記乳酸ポリエステル又はその混合物を含む共重合体からなる群から選ばれる。
少なくとも95重量%の50000 より大きいMw分子量、50から500Pa.sの間の、好ましくは100-300Pa.s(T=190℃、剪断率=1000s-1、D=1mm、L/D=10でASTM D3835標準に従って測定した)のずり粘度を有するL-乳酸又はD-乳酸又はその組み合わせ由来の繰り返しのユニットを含む乳酸ポリエステルが特に好ましい。
本発明の特に好ましい実施形態では、乳酸ポリエステルは少なくとも95重量%のL乳酸由来のユニット、≦5%のD乳酸由来の繰り返しのユニットを含み、135-180℃の範囲内の融点、55-65℃の範囲内のガラス転移温度(Tg) 及び1-50g/10minの範囲内のMFR(190℃及び2.16kgでのISO1133-1標準に従って測定された)を有する。これらの特性を有する乳酸ポリエステルの市販の例は例えばIngeoTM Biopolymer 4043D、3251D及び6202D型の製品である。
【0029】
ビニルポリマーの中で好ましいのは、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸エチルビニル及びポリエチレンビニルアルコール、ポリスチレン、塩化ビニルポリマー及びポリアクリレートである。
塩化ビニルポリマーの中で、ここに含まれるのを意図するものは、塩化ポリビニルに加えて、塩化ポリビニリデン、塩化ポリエチレン、ポリ(塩化ビニル-酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル-エチレン)、ポリ(塩化ビニル-プロピレン)、ポリ(塩化ビニル-スチレン)、ポリ(塩化ビニル-イソブチレン)及び塩化ポリビニルが50モル%より多いに相当する共重合体である。前記ポリマーはランダム、ブロック又は交互の共重合体でありうる。
【0030】
本発明による組成物中のポリアミドに関する限りは、これらは好ましくはポリアミド6及び6,6,ポリアミド9及び9,9、ポリアミド10及び10,10、ポリアミド11及び11,11、ポリアミド12及び12,12及びこれらの6/9,6/10,6/11及び6/12型の組み合わせ、これらの混合物及びランダム及びブロックの両方の共重合体からなる群から選ばれる。
【0031】
好ましくは、本発明による組成物のポリカーボネートはポリアルキレンカーボネート、より好ましくはポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリブチレンカーボネート、これらの混合物及びランダム及びブロック共重合体からなる群から選ばれる。
【0032】
ポリエーテルでは、好ましいものはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、これらの共重合体及び70000から500000の分子量を有するこれらの混合物からなる群から選ばれるものである。
【0033】
層A中の脂肪族及び/又は脂肪族-芳香族ポリエステルと同じではない二酸ジオールポリエステルに関する限りは、これらは好ましくは次のg)及びh)を含む:
g)総ジカルボン酸成分に対して:
g1) 20-100モル%の少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸由来のユニット、
g2) 0-80モル%の少なくとも1つの飽和脂肪族ジカルボン酸由来のユニット、
g3) 0-5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪族ジカルボン酸由来のユニット
を含むジカルボン酸成分
h)総ジオール成分に対して:
h1) 95-100モル%の少なくとも1つの飽和脂肪族ジオール由来のユニット;
h2) 0-5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪族ジオール由来のユニット
を含むジオール成分。
好ましくは、芳香族ジカルボン酸g1、飽和脂肪族ジカルボン酸g2、不飽和脂肪族ジカルボン酸g3、飽和脂肪族ジオールh1及び不飽和脂肪族ジオールh2は本発明による層A中の脂肪族-芳香族ポリエステルに対する前記のものから選ばれる。
【0034】
少なくとも1つの架橋剤及び/又は鎖延長剤は、加水分解に対する安定性を向上するために層Aの組成物中にもまた存在しうる。前記架橋剤及び/又は鎖延長剤はイソシアネート、過酸化物、カルボジイミド、イソシアヌレート、オキサゾリン、エポキシ、無水物又はジビニルエーテル基又はそれらの混合物を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する化合物から選ばれる。好ましくは、架橋剤及び/又は鎖延長剤はイソシアネート基を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する少なくとも1つの化合物を含む。より好ましくは、架橋剤及び/又は鎖延長剤はイソシアネートを含む2つ及び/又は多数の官能基を有する1つ以上の化合物を少なくとも25重量%含む。イソシアネート基を含む2つ及び/又は多数の官能基とエポキシ基を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する化合物を含む混合物、更に好ましくは、少なくとも75重量%のイソシアネート基を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する化合物を含むことが特に好ましい。
【0035】
イソシアネート基を含む2つ及び多数の官能基を有する化合物は、好ましくはp-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタン-ジイソシアネート、1,3-フェニレン-4-クロロジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4-ジフェニレンジイソシアネート、3,3'-ジメチル-4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、3-メチル-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエステルジイソシアネート、2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、2,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル2,4-シクロヘキシルジイソシアネート、1-メチル2,6-シクロヘキシルジイソシアネート、ビス-(イソシアネートシクロヘキシル)メタン、2,4,6-トルエントリイソシアネート、2,4,4-ジフェニルエーテルトリイソシアネート、ポリメチレン-ポリフェニル-ポリイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、3,3'ジトリレン-4,4-ジイソシアネート、4,4-メチレンビス(2-メチル-フェニルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,2-シクロヘキシレンジイソシアネート及びそれらの混合物から選ばれる。イソシアネート基を含む化合物の好ましい実施形態は4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0036】
過酸化物基を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する化合物に関する限りは、これらは好ましくは過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化イソノナノイル、ジ-(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、過酸化t-ブチル、過酸化ジクミル、α,α-ジ(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(-ブチルペルオキシ)ヘキサン、過酸化t-ブチルクミル、過酸化ジ-t-ブチル、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシ-3-イン、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキソナン、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート及びその混合物から選ばれる。
【0037】
本発明による組成物中で好ましく用いられるカルボジイミド基を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する化合物は、ポリ(シクロオクチレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-ジメチレンシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(エチレンカルボジイミド)、ポリ(ブチレンカルボジイミド)、ポリ(イソブチレンカルボジイミド)、ポリ(ノニレンカルボジイミド)、ポリ(ドデシレンカルボジイミド)、ポリ(ネオペンチレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-ジメチレンフェニレンカルボジイミド)、ポリ(2,2',6,6'-テトライソプロピルジフェニレンカルボジイミド)(Stabaxol(登録商標)D)、ポリ(2,4,6-トリイソプロピル-1,3-フェニレンカルボジイミド) (Stabaxol(登録商標)P-100)、ポリ(2,6ジイソプロピル-1,3-フェニレンカルボジイミド) (Stabaxol(登録商標)P)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(4,4'-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンカルボジイミド)、ポリ(p-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(3,3'-ジメチル-4,4'-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(イソフォロンカルボジイミド)、ポリ(クメンカルボジイミド)、p-フェニレンビス(エチルカルボジイミド)、1,6-ヘキサメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,8-オクタメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,10-デカメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,12ドデカメチレンビス(エチルカルボジイミド)及びその混合物から選ばれる。
【0038】
本発明による組成物中に有利に用いられうるエポキシ基を含む2つ及び多数の官能基を有する化合物の例は、エポキシ化油及び/又はスチレン-グリシジルエーテル-メチルメタクリレート又はグリシジルエーテル-メチルメタクリレートからの全てのポリエポキシドであり、それらは1000から10000の間の分子量の範囲内含まれ、そして1分子当たり1から30、及び好ましくは5から25の間の範囲のエポキシド数を有し、基中の選択されたエポキシドは:ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、1,2-エポキシブタン、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、イソプレンジエポキシド、及び脂環式ジエポキシド、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリシジル2-メチルフェニルエーテル、グリセロールプロポキシラトトリグリシジルエーテル(propoxylatotriglycidyl ether)、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、メタ-キシレンジアミドのテトラグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテル又はビスフェロールA及びその混合物を含む。
【0039】
イソシアネート、過酸化物、カルボジイミド、イソシアヌレート、オキサゾリン、エポキシ、無水物及び例えばこれら上記のもののようなジビニルエーテル基を含む2つ及び多数の官能基を有する化合物と共に、触媒が反応基の反応性を向上するためにもまた使われうる。ポリエポキシドの場合、脂肪酸の塩、より好ましくはステアリン酸カルシウム及び亜鉛が好ましく使われうる。
【0040】
本発明の層A中の組成物のための架橋剤及び/又は鎖延長剤の特に好ましい実施形態は、イソシアネート基、好ましくは4,4-ジフェニルメタン-ジイソシアネート、及び/又はカルボジイミド基を含む、及び/又はエポキシ基を含む化合物、好ましくはスチレン-グリシジルエーテル-メチルメタクリレート型の化合物を含む。
【0041】
充填剤はまた、層Aの組成物中に層Aの総量に対して10重量%まで存在しうる。
【0042】
本発明による多層フィルムの層Aの組成物はデンプンを含まない。
【0043】
上記の成分に加えて、層A中の組成物は、好ましくは可塑剤、UV安定化剤、潤滑剤、核化剤、界面活性剤、帯電防止剤、顔料、難燃剤、相溶化剤、リグニン、有機酸、抗酸化剤、抗カビ剤、ワックス、プロセス補助剤、及び好ましくはビニルポリマー、上記の脂肪族-芳香族ポリエステルではない二酸ジオールポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ尿酸又はポリカーボネートからなる群から選ばれるポリマー成分からなる群から選ばれる少なくとも1つの他の化合物もまた含む。
【0044】
可塑剤に関する限りは、好ましくは、本発明による層Aの組成物中に、水、2から22の炭素原子を有するポリオール、フタラート、例えばジイソノニルフタラート等、トリメリテート、例えば好ましくはn-オクタノール及びn-デカノールを含む群から選ばれるC4-C20モノアルコールとトリメリット酸とのエステル、及び次の構造を有する脂肪族エステルを含む群から選ばれる、1つ以上の可塑剤が存在する:
R1-O- C(O)-R4-C(O)-[-O-R2-O-C(O)-R5-C(O)-]m-O-R3
ここで、
R1はH、C1-C24型の直線及び枝分かれした飽和及び不飽和アルキル残基、C1-C24モノカルボン酸でエステル化されたポリオール残基を含む1つ以上の基から選ばれ;
R2は-CH2-C(CH3)2-CH2-及びC2-C8アルキレン基を含み、そして少なくとも50モル%の前記-CH2-C(CH3)2-CH2-基を含む;
R3はH、C1-C24型の直線及び枝分かれした飽和及び不飽和アルキル残基、C1-C24モノカルボン酸でエステル化されたポリオール残基を含む1つ以上の基から選ばれ;
R4及びR5は同じか又は異なって、1つ以上のC2-C22、好ましくはC2-C11、より好ましくはC4-C9アルキレンを含み、そして少なくとも50モル%のC7アルキレンを含む。
【0045】
mは1から20の間、好ましくは2-10、より好ましくは3-7の数である。好ましくは、前記エステルにおいて、R1及び/又はR3基の少なくとも1つは、好ましくは総R1及び/又はR3基の量に対して≧10モル%、より好ましくは≧20モル%、更により好ましくは≧25モル%の量を含み、ステアリン酸、パルミチン酸、9-ケトステアリン酸、10-ケトステアリン酸及びその混合物からなる群から選ばれた少なくとも1つのC1-C24モノカルボン酸でエステル化されたポリオール残基を含む。この型の脂肪族エステルの例は、Italian Patent Application MI2014A000030及びPCT Application PCT/EP2015/050336、PCT/EP2015/050338中に記載されている。
【0046】
層A中に存在するとき選択される可塑剤は、好ましくは層A自身の組成物の総重量に対して10重量%までで存在する。
【0047】
潤滑剤は好ましくは脂肪酸のエステル及び金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸アセチルから選ばれる。好ましくは本発明による層Aの組成物は層Aの組成物の総重量に対して1重量%まで、より好ましくは0.5重量%までの潤滑剤を含む。
【0048】
核化剤の例はサッカリンのナトリウム塩、ケイ酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、チタン酸カルシウム、窒化ホウ素、イソタクティックポリプロピレン、又は低分子量PLAを含む。これらの添加剤は、好ましくは、組成物の総重量に対して10重量%まで、及びより好ましくは2から6重量%の間の量が加えられる。顔料ももし必要であれば加えられ得、例えば二酸化チタン、クレー、銅フタロシアニン、二酸化チタン、ケイ酸塩、酸化鉄及び水酸化鉄、カーボンブラック及び酸化マグネシウムである。これらの添加剤は好ましくは10重量%まで加えられる。
【0049】
本発明による多層フィルムの層Aの好ましい実施形態は成分i.-v.の合計に対して:
i) 30-70重量%の少なくとも1つの脂肪族-芳香族ポリエステル;
ii) 20-60重量%の少なくとも1つの脂肪族ポリエステル;
iii) 1-20重量%の少なくとも1つのポリヒドロキシアルカノエート;
iv) イソシアネート、過酸化物、カルボジイミド、イソシアヌレート、オキサゾリン、エポキシ、無水物又はジビニルエーテル基及びそれらの混合物を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する少なくとも1つの化合物を含む、0-5重量%、好ましくは0-0.5%の少なくとも1つの架橋剤及び/又は鎖延長剤;
v) 0-10重量%、好ましくは0-5%の少なくとも1つの充填剤
を含む。
【0050】
本発明による多層フィルムの層Aの好ましい実施形態は成分i.-v.の合計に対して:
i) 60-100重量%の少なくとも1つの脂肪族-芳香族ポリエステル;
ii) 0-20重量%の少なくとも1つの脂肪族ポリエステル;
iii) 0-40重量%の少なくとも1つのポリヒドロキシアルカノエート;
iv) イソシアネート、過酸化物、カルボジイミド、イソシアヌレート、オキサゾリン、エポキシ、無水物又はジビニルエーテル基及びそれらの混合物を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する少なくとも1つの化合物を含む、0-5重量%、好ましくは0-0.5%の少なくとも1つの架橋剤及び/又は鎖延長剤;
v) 0-10重量%、好ましくは0-5%の少なくとも1つの充填剤
を含む。
【0051】
本発明による多層フィルムの層Aの好ましい実施形態は成分i.-v.の合計に対して:
i) 0-20重量%の少なくとも1つの脂肪族-芳香族ポリエステル;
ii) 60-100重量%の少なくとも1つの脂肪族ポリエステル;
iii) 0-40重量%の少なくとも1つのポリヒドロキシアルカノエート;
iv) イソシアネート、過酸化物、カルボジイミド、イソシアヌレート、オキサゾリン、エポキシ、無水物又はジビニルエーテル基及びそれらの混合物を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する少なくとも1つの化合物を含む、0-5重量%、好ましくは0-0.5%の少なくとも1つの架橋剤及び/又は鎖延長剤;
v) 0-10重量%、好ましくは0-5%の少なくとも1つの充填剤
を含む。
【0052】
層B
層Bに関する限りは、これは:
i) 成分i.-v.の合計に対して30-95重量%、好ましくは50-85重量%の、次のa)及びb)を含む少なくとも1つのポリエステル:
a)、総ジカルボン酸成分に対して:
a1) 35-70モル%、好ましくは40-60モル%、より好ましくは45-60モル%の少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸由来のユニット;
a2) 70-35モル%、好ましくは60-40モル%、より好ましくは55-40モル%の、少なくとも1つの飽和脂肪族ジカルボン酸由来のユニット;
a3) 0-5モル%の不飽和脂肪族ジカルボン酸由来のユニット;
を含むジカルボン酸成分;
b)総ジオール成分に対して:
b1) 95-100モル%の少なくとも1つの飽和脂肪族ジオール由来のユニット;
b2) 0-5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪族ジオール由来のユニット;
を含むジオール成分;
ii) 成分i.-v.の合計に対して0.1-50重量%、好ましくは5-40重量%の少なくとも1つの天然由来のポリマー、
iii) 成分i.-v.の合計に対して1-40重量%、好ましくは2-30重量%の少なくとも1つのポリヒドロキシアルカノエート;
iv) 成分i.-v.の合計に対して0-15重量%の少なくとも1つの無機充填剤;
v) 成分i.-v.の合計に対して0-5重量%、好ましくは0-0.5重量%の、イソシアネート、過酸化物、カルボジイミド、イソシアヌレート、オキサゾリン、エポキシド、無水物及びジビニルエーテル基及びそれらの混合物を含む2及び/又は多数の官能基を有する少なくとも1つの化合物を含む少なくとも1つの架橋剤及び/又は鎖延長剤
を含む。
【0053】
ポリエステルiの成分a1中の芳香族ジカルボン酸は、好ましくは、フタル酸型の芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸又はイソフタル酸、より好ましくはテレフタル酸及び複素環式ジカルボン芳香族化合物、好ましくは2,5-フランジカルボン酸、2,4-フランジカルボン酸、2,3-フランジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸、より好ましくは2,5-フランジカルボン酸、それらのエステル、塩及び混合物から選ばれる。前記芳香族ジカルボン酸の好ましい実施形態は:
-1から99モル%、好ましくは5から95モル%、及びより好ましくは10から80モル%のテレフタル酸、そのエステル又は塩;
-99から1モル%、好ましくは95から5モル%、及びより好ましくは90から20モル%の2,5- フランジカルボン酸、そのエステル又は塩
を含む。
【0054】
ポリエステルiの成分a2中の飽和脂肪族ジカルボン酸は好ましくは飽和C2-C24、好ましくはC4-C13、より好ましくはC4-C11ジカルボン酸、それらC1-C24、好ましくはC1-C4、アルキルエステル、それらの塩及びそれらの混合物から選択される。好ましい飽和脂肪族ジカルボン酸はコハク酸、2-エチルコハク酸、グルタル酸、2-メチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラッシル酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸およびそれらのC1-24アルキルエステルから選ばれる。本発明の飽和脂肪族ジカルボン酸の好ましい実施形態は、少なくとも50モル%、好ましくは60モル%以上、より好ましくは65モル%より多い、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、それらのC1-C24、好ましくはC1-C4エステル、及びそれらの混合物を含む混合物を含む。前記混合物の特に好ましい実施形態はアジピン酸及びアゼライン酸を含むか又はからなり、そしてアジピン酸及びアゼライン酸の合計に対して5から40モル%の間、より好ましくは10及び35モル%の間の量のアゼライ
ン酸を含む。
【0055】
ポリエステルiの成分a3中の不飽和脂肪族ジカルボン酸は、好ましくは、イタコン酸、フマル酸、4-メチレンピメリン酸、3,4-ビス(メチレン)ノナン二酸、5-メチレン-ノナン二酸、それらのC1-C24、好ましくはC1-C4、アルキルエステル、それらの塩及びそれらの混合物から選ばれる。本発明の不飽和脂肪族ジカルボン酸の好ましい実施形態は、少なくとも50モル%、好ましくは60モル%より多い、より好ましくは65モル%より多いイタコン酸及びそのC1-C24、好ましくはC1-C4、エステルを含む混合物を含む。より好ましくは不飽和脂肪族ジカルボン酸はイタコン酸を含む。
【0056】
ポリエステルiの成分b1中の飽和脂肪族ジオールに関する限りは、これらは好ましくは、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジアンヒドロソルビトール、ジアンヒドロマンニトール、ジアンヒドロイジトール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンメタンジオール、ジアルケングリコール及び分子量100-4000を有するポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びそれらの混合物等から選ばれる。好ましいジオール成分は1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールから選択される少なくとも50モル%の1つ以上のジオールを含む。より好ましくはジオール成分は1,4-ブタンジオールを含むか、又はからなる。
【0057】
ポリエステルiの成分b2中の不飽和脂肪族ジオールに関する限りは、これらは好ましくはシス2-ブテン-1,4-ジオール、トランス2-ブテン-1,4-ジオール、2-ブチン-1,4-ジオー
ル、シス2-ペンテン1,5ジオール、トランス2-ペンテン1,5-ジオール、2-ペンチン1,5-ジオール、シス2-ヘキセン-1,6-ジオール、トランス2-ヘキセン-1,6-ジオール、2-ヘキシン-1,6-ジオール、シス3-ヘキセン-1,6-ジオール、トランス3-ヘキセン-1,6-ジオール、3-ヘキシン-1,6-ジオールから選ばれる。
【0058】
層B中のポリエステルiのMn分子量は好ましくは≧20000、より好ましくは≧40000である。分子量の多分散性指数、Mw/Mnに関する限りは、これは、代わりに、好ましくは1.5から10の間、より好ましくは1.6から5の間、及び更により好ましくは1.8から2.7の間である。
Mn及びMw分子量はGel Permeation Chromatography(GPC)を用いて測定されうる。決定はクロマトグラフィーシステムを40℃に維持し、連続した2つのカラム一式(混合多孔性を有する粒子径5μm 及び3μm)、屈折率検出器、クロロホルムを溶離液(流速0.5 ml/min)として、ポリスチレンを参照標準として用いて行われうる。
【0059】
層B中のポリエステルiの末端の酸性基含量は好ましくは100meq/kg未満、好ましくは60 meq/kg未満、及びより好ましくは40meq/kg未満である。
末端の酸性基含量は層Aの脂肪族-芳香族ポリエステルに対して記載された方法を用いて測定されうる。
【0060】
好ましい層B中のポリエステルiは0.3dl/g以上(25℃でCHCl3中の0.2g/dl濃度の溶液用のUbbelohde 粘度メーターを用いて測定した)、好ましくは0.3から2dl/g、より好ましくは0.4から1.1dl/gの間のインヘレント粘度を有する。
【0061】
好ましくは、層B中の前記ポリエステルiは生分解性である。生分解性ポリマーによる本発明の意味は、規格EN13432による生分解性であるポリマーを意味する。
【0062】
層B中の前記ポリエステルiは当該技術で知られているいずれかの方法によって合成されうる。特に、有利には、重縮合反応を用いて得られ得る。
【0063】
有利には、合成プロセスは適切な触媒の存在下で行われうる。適切な触媒としては、例えばスズの有機金属の、例えばスズ酸誘導体、チタン化合物、例えばチタン酸オルトブチル、アルミニウム化合物、例えばトリイソプロピルアルミニウム、アンチモン及び亜鉛及びジルコニウムの化合物及びそれらの混合物が挙げられる。
【0064】
層Bの組成物は成分i.-v.の合計に対して0.1-50重量%、好ましくは5-40重量%の少なくとも1つの天然由来のポリマーを含む。層Bの組成物において、天然由来のポリマー(成分ii)は有利にはデンプン、キチン、キトサン、アルギネート、グルテンのようなタンパク質、ゼイン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、天然ゴム、ロジン酸及びそれらの誘導体から選ばれる。好ましくは、層Bの組成物中の天然由来のポリマーはデンプンである。
【0065】
デンプンという用語は全ての型のデンプン、すなわち小麦粉、天然デンプン、加水分解デンプン、分解デンプン、ゼラチン化デンプン、可塑化デンプン、熱可塑性デンプン、複合デンプンを含むバイオフィラー又はそれらの混合物を意味する。特に本発明に適するのは例えばジャガイモ、トウモロコシ、タピオカ、及びエンドウ豆由来のデンプンである。
容易に分解される能力があるか、又は高い初期分子量を有するデンプン、例えばジャガイモ又はトウモロコシデンプン等は、特に有利であると示される。
デンプンはそれ自体、又は化学的に改変された形態、例えば0.2から2.5の間の置換度を有するデンプンエステル、デンプンヒドロキシプロピル又は脂肪鎖で改変されたデンプンの形態等で存在しうる。
【0066】
分解デンプンの場合、特許EP-0118240及びEP-0327505に含まれる教示がここで参照され、偏光下の光学顕微鏡で所謂「モルティーズクロス(Maltese crosses)」及びフェーズコントラスト下の光学顕微鏡で所謂「ゴースト」から実質的に自由であるようなそのような方法で処理されたデンプンそれ自体を意味する。
有利には、デンプンは110から250℃の間、好ましくは130-180℃の間の温度、好ましくは0.1から7 MPa、好ましくは0.3-6MPaの圧力の押し出しプロセスで分解され、好ましくは前記押し出しの間に0.1kWh/kgより大きい比エネルギーを提供する。
デンプンの分解は、好ましくは、水及び2から22の炭素原子を有するポリオールから選ばれる1つ以上の可塑剤がデンプンの重量に対して1-40重量%の存在下に生じる。水に関する限りは、これはデンプン中に自然に存在するものでもよい。ポリオールのうちで、これらは2から6の炭素原子を含む1から20のヒドロキシル基を有するポリオール、それらのエーテル、チオエーテル及び有機及び無機エステルが好まれる。ポリオールの例は、グリセリン、ジグリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ポリグリセロールエトキシレート、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ソルビトールモノ酢酸、ソルビトール二酢酸、ソルビトールモノエトキシレート、ソルビトールジエトキシレート、及びそれらの混合物である。好ましい実施形態では、デンプンはグリセロール又はグリセロールを含む可塑剤の混合物の存在下で分解され、より好ましくは2から0重量%の間のグリセロールを含む。本発明による分解及び架橋デンプンは好ましくはデンプン
の重量に対して1から40重量%の間の可塑剤を含む。
【0067】
存在するとき、層Bの組成物中にデンプンは、好ましくは、円形もしく楕円形の断面、又はいずれにしても楕円に似た断面を有する粒子の形態で、それは粒子の長軸を用いた測定で1ミクロン以下の算術平均直径、より好ましくは、0.5μm未満の平均直径を有する。
【0068】
層Bの組成物は、成分i.-v.の合計に対して1-40重量%、好ましくは2-30重量%の少なくとも1つのポリヒドロキシアルカノエート(成分iii)を含み、好ましくは乳酸のポリエステル、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリヒドロキシブチラート、ポリヒドロキシブチラート-バレラート、ポリヒドロキシブチラートプロパノエート、ポリヒドロキシブチラート-ヘキサノエート、ポリヒドロキシブチラート-デカノエート、ポリヒドロキシブチラート-ドデカノエート、ポリヒドロキシブチラート-ヘキサデカノエート、ポリヒドロキシブチラート-オクタデカノエート、ポリ-3-ヒドロキシブチラート-4-ヒドロキシブチラートからなる群から選ばれる。好ましくは、前記ポリヒドロキシアルカノエートは少なくとも80重量%の1つ以上の乳酸のポリエステルを含む。
好ましい乳酸ポリエステルの実施形態はポリ-L乳酸、ポリ-D-乳酸、ポリ-D-L-乳酸ステレオ複合体、50モル%より多い前記乳酸ポリエステルを含む共重合体、又はそれらの混合物を含む群から選ばれる。
特に好ましい乳酸ポリエステルは、少なくとも95重量%の、50000より大きい Mw分子量、ずり粘度が50から500Pa.sの間、好ましくは100-300Pa.s(T=190℃、剪断率=1000s-1、D=1mm、L/D=10でASTM D3835標準に従って測定した)を有するL-乳酸又はD-乳酸又はその組み合わせ由来の繰り返しユニットを含む。
【0069】
本発明の特に好ましい実施形態では、乳酸ポリエステルは少なくとも95重量%のL乳酸由来のユニット、≦5%のD乳酸由来の繰り返しユニットを有し、135-180℃の範囲内の融点、55-65℃の範囲内のガラス転移温度(Tg) 及び1-50g/10minの範囲内のMFR(190℃及び2.16kgでのISO1133-1標準に従って測定された)を含む。これらの特性を有する乳酸ポリエステルの市販の例は、例えばIngeoTM Biopolymer 4043D、3251D及び6202D型の製品である。
【0070】
層Bの組成物中に、成分i.-v.の合計に対して0-15重量%の少なくとも1つの無機充填剤(成分iv)が存在し、それは好ましくはカオリン、バライト粉、クレー、タルク、カルシウム及びマグネシウム、鉄及び鉛の炭酸塩、水酸化アンモニウム、珪藻土、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、マイカ、二酸化チタン、ウォラストナイトから選択される。
【0071】
本発明の好ましい実施形態において、層Bの組成物中の無機充填剤はタルク、炭酸カルシウムまたはそれらの混合物を含み、粒子の長軸に関しての測定で10ミクロン未満の算術平均直径を有する粒子の形態で存在する。前記平均算術直径によって特徴付けられない上記の型の充填剤は、それらを含む物体の産業堆肥化の間に崩壊性の特性が有意に低下することを実際に明らかにした。
層Bの組成物中に、加水分解の安定性を高めるために、成分i.-v.の合計に対して0から5重量%、好ましくは0-0.5重量%の少なくとも1つの架橋剤及び/又は鎖延長剤(成分v.) もまた存在する。
【0072】
前記架橋剤及び/又は鎖延長剤はイソシアネート、過酸化物、カルボジイミド、イソシアヌレート、オキサゾリン、エポキシ、無水又はジビニルエーテル基又はそれらの混合物を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する化合物から選ばれる。好ましい架橋剤及び/又は鎖延長剤はイソシアネートを含む2つ及び/又は多数の官能基を有する少なくとも1つの化合物を含む。より好ましい架橋剤及び/又は鎖延長剤はイソシアネート基を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する少なくとも25重量%の1つ以上の化合物を含む。特に好ましくは、イソシアネート基を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する化合物と、エポキシ基を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する化合物との混合物であり、さらにより好ましくは少なくとも75重量%の、イソシアネート基を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する化合物を含む。
【0073】
イソシアネート基を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する化合物は、好ましくはp-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタン-ジイソシアネート、1,3-フェニレン-4-クロロジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4-ジフェニレンジイソシアネート、3,3'-ジメチル-4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、3-メチル-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエステルジイソシアネート、2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、2,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル2,4-シクロヘキシルジイソシアネート、1-メチル2,6-シクロヘキシルジイソシアネート、ビス-(イソシアネートシクロヘキシル)メタン、2,4,6-トルエントリイソシアネート、2,4,4-ジフェニルエーテルトリイソシアネート、ポリメチレン-ポリフェニル-ポリイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、3,3'ジトリレン-4,4-ジイソシアネート、4,4'-メチレンビス(2-メチルフェニルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,2-シクロヘキシレンジイソシアネートおよびそれらの混合物から選ばれる。イソシアネート基を含む化合物の好ましい実施形態は4,4-ジフェニルメタン-ジイソシアネートである。
【0074】
過酸化物基を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する化合物に関する限りは、これらは好ましくは過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化イソノナノイル、ジ-(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、過酸化t-ブチル、過酸化ジクミル、α,α-ジ(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、過酸化t-ブチルクミル、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシ-3-イン、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキソナン、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート及びそれらの混合物から選ばれる。
【0075】
本発明による組成物中で好ましく用いられるカルボジイミド基を含む2つ及び/又は多数の官能基を有する化合物は、ポリ(シクロオクチレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-ジメチレンシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(エチレンカルボジイミド)、ポリ(ブチレンカルボジイミド)、ポリ(イソブチレンカルボジイミド) 、ポリ(ノニレンカルボジイミド)、ポリ(ドデシレンカルボジイミド)、ポリ(ネオペンチレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-ジメチレンフェニレンカルボジイミド)、ポリ(2,2',6,6'-テトライソプロピルジフェニレンカルボジイミド)(Stabaxol(登録商標)D)、ポリ(2,4,6-トリイソプロピル-1,3-フェニレンカルボジイミド) (Stabaxol(登録商標)P-100)、ポリ(2,6ジイソプロピル-1,3-フェニレンカルボジイミド) (Stabaxol(登録商標)P)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(4,4'-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンカルボジイミド)、ポリ(p-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(3,3'-ジメチル-4,4'-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(イソフォロンカルボジイミド)、ポリ(クメンカルボジイミド)、p-フェニレンビス(エチルカルボジイミド)、1,6-ヘキサメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,8-オクタメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,10-デカメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,12ドデカメチレンビス(エチルカルボジイミド)及びその混合物から選ばれる。
【0076】
本発明による組成物中に有利に用いられうるエポキシ基を含む2つ及び多数の官能基を有する化合物の例は、エポキシ化油及び/又はスチレン-グリシジルエーテル-メチルメタクリレート又はグリシジルエーテル-メチルメタクリレート由来の全てのポリエポキシドであり、1000から10000の間の分子量の範囲内が含まれ、そして1分子当たり1から30、及び好ましくは5及び25の範囲のエポキシド数を有し、基中の選択されたエポキシドはジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、1,2-エポキシブタン、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、イソプレンジエポキシド、及び脂環式ジエポキシド、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリシジル2-メチルフェニルエーテル、グリセロールプロポキシラトトリグリシジルエーテル(propoxylatotriglycidyl ether)、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、メタ-キシレンジアミド及びジグリシジルエーテル又はビスフェロールAのテトラグリシジルエーテル及びその混合物を含む。
【0077】
例えばこれら上記のイソシアネート、過酸化物、カルボジイミド、イソシアヌレート、オキサゾリン、エポキシ、無水物及びジビニルエーテル基を含む2つ及び多数の官能基を有する化合物と共に、触媒が反応基の反応性を向上するためにもまた使われうる。ポリエポキシドの場合、脂肪酸の塩、より好ましくはステアリン酸カルシウム及びステアリン酸亜鉛が好んで使われうる。
【0078】
本発明の層B中の組成物のための架橋剤及び/又は鎖延長剤の特に好ましい実施形態は、イソシアネート基を含む化合物、好ましくは4,4-ジフェニルメタン-ジイソシアネート、及び/又はカルボジイミド基を含む化合物、及び/又はエポキシ基を含む化合物、好ましくはスチレン-グリシジルエーテル-メチルメタクリレート型を含む化合物を含む。
層B中の、上記の成分i.-v.に加えて、1つ以上の他の化合物もまた有利には存在する。この場合、層Bは成分i.-v.を含む組成物、及び好ましくは、場合により1つ以上の他の成分と共に、生分解性であってもなくてもよい、合成又は天然由来の成分i., ii.及びiii.と同じではない、1つ以上のポリマーを含む。
【0079】
生分解性であってもなくてもよい、合成又は天然由来の成分i., ii.及びiii.と同じで
はないポリマーに関する限りは、それらは有利には、ビニルポリマー、ポリエステルi.と同様ではない二酸ジオールポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリカーボネート及びそれらの混合物から選ばれる。
【0080】
ビニルポリマーのうち、好ましいものはポリエチレン、ポリプロピレン、それらの共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸エチルビニル及びポリエチレンビニルアルコール、ポリスチレン、塩素化ビニルポリマー、ポリアクリレートである。
塩素化ビニルポリマーのうち、本明細書中に含まれると意図されるものは塩化ポリビニルに加えて、塩化ポリビニリデン、塩化ポリエチレン、ポリ(塩化ビニル-酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル-エチレン)、ポリ(塩化ビニル-プロピレン)、ポリ(塩化ビニル-スチレン)、ポリ(塩化ビニル-イソブチレン)及び塩化ポリビニルが50モル%より多くを表す共重合体である。前記ポリマーはランダム、ブロック又は交互共重合体でありうる。
【0081】
本発明による組成物中のポリアミドに関する限りは、これらは好ましくはポリアミド6及び6,6,ポリアミド9及び9,9、ポリアミド10及び10,10、ポリアミド11及び11,11、ポリアミド12及び12,12及びこれらの6/9,6/10,6/11及び6/12型の組み合わせ、これらの混合物及びその両方のランダム及びブロック共重合体を含む群から選ばれる。
【0082】
本発明による組成物の好ましいポリカーボネートは、ポリアルキレンカーボネート、より好ましくはポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリブチレンカーボネート、これらの混合物及びランダム及びブロック共重合体を含む群から選ばれる。
【0083】
ポリエーテルのうち、好ましいものはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、これらの共重合体及び70000から500000の分子量を有するこれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0084】
層B中のポリエステルi.と同じではない二酸ジオールポリエステルに関する限りは、これらは好ましくは:
i)総ジカルボン酸成分に対して:
i1) 20-100モル%の少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸由来のユニット、
i2) 0-80モル%の少なくとも1つの飽和脂肪族ジカルボン酸由来のユニット、
i3) 0-5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪族ジカルボン酸由来のユニット;
を含むジカルボン酸成分;
j)総ジオール成分に対して:
j1) 95-100モル%の少なくとも1つの飽和脂肪族ジオール由来のユニット;
j2) 0-5モル%の少なくとも1つの不飽和脂肪族ジオール由来のユニット
を含むジオール成分;
を含む。
【0085】
前記ポリエステルのための好ましい芳香族ジカルボン酸i1、飽和脂肪族ジカルボン酸i2、不飽和脂肪族ジカルボン酸i3、飽和脂肪族ジオールj1及び不飽和脂肪族ジオールj2は、本発明による層B中のポリエステルiに対する上記のものから選ばれる。
【0086】
上記の成分に加えて、層B中の組成物は好ましくは可塑剤、UV安定化剤、潤滑剤、核化剤、界面活性剤、帯電防止剤、顔料、難燃剤、相溶化剤、リグニン、有機酸、抗酸化剤、抗カビ剤、ワックス、プロセス補助剤、及び好ましくはビニルポリマー、上記の脂肪族-芳香族ポリエステルではない二酸ジオールポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ尿素又はポリカーボネートからなる群から選ばれるポリマー成分からなる群から選ばれる少なくとも1つの他の化合物もまた含む。
【0087】
可塑剤に関する限りは、上記の分解デンプンの製造に対して好ましく用いられる可塑剤に加えて、本発明による層Bの組成物中、好ましくはフタレート、例えばジイソノニルフタラート、トリメリテート、例えば好ましくはn-オクタノール及びn-デカノールを含む群から選ばれるC4-C20モノアルコールとトリメリット酸とのエステル等、及び次の構造を有する脂肪族エステルからなる群から選ばれる1つ以上の可塑剤が存在する:
R1-O- C(O)-R4-C(O)-[-O-R2-O-C(O)-R5-C(O)-]m-O-R3
ここで、
R1はH、C1-C24型の直線及び枝分かれした飽和及び不飽和アルキル残基、C1-C24モノカルボン酸でエステル化されたポリオール残基を含む1つ以上の基から選ばれ;
R2は-CH2-C(CH3)2-CH2-及びC2-C8アルキレン基を含み、そして少なくとも50モル%の前記-CH2-C(CH3)2-CH2-基を含む;
R3はH、C1-C24型の直線及び枝分かれした飽和及び不飽和アルキル残基、C1-C24モノカルボン酸でエステル化されたポリオール残基を含む1つ以上の基から選ばれ;
R4及びR5は同じか又は異なって、1つ以上のC2-C22、好ましくはC2-C11、より好ましくはC4-C9アルキレンを含み、そして少なくとも50モル%のC7アルキレンを含む。
【0088】
mは1から20、好ましくは2-10、より好ましくは3-7の数である。好ましくは、前記エステルにおいて、R1及び/又はR3基の少なくとも1つは、好ましくは総R1及び/又はR3基の量に対して≧10モル%、より好ましくは≧20モル%、更により好ましくは≧25モル%の量を含み、ステアリン酸、パルミチン酸、9-ケトステアリン酸、10-ケトステアリン酸及びそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1つのC1-C24モノカルボン酸でエステル化されたポリオール残基を含む。この型の脂肪族エステルの例は、Italian Patent Application MI2014A000030及びPCT Application PCT/EP2015/050336、PCT/EP2015/050338中に記載されている。
【0089】
層B中に存在するとき、選択した可塑剤は、好ましくは層B自身の組成物の総重量に対して10重量%までで存在する。
【0090】
潤滑剤は好ましくは脂肪酸のエステル及び金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸アセチル等から選ばれる。
好ましくは本発明による層Bの組成物は層Bの組成物の総重量に対して1重量%まで、より好ましくは0.5重量%までの潤滑剤を含む。
【0091】
核化剤の例はサッカリンのナトリウム塩、ケイ酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、チタン酸カルシウム、窒化ホウ素、イソタクティックポリプロピレン、又は低分子量PLAを含む。これらの添加剤は、好ましくは、組成物の総重量に対して10重量%まで、及びより好ましくは2から6重量%の間の量が加えられる。
【0092】
顔料ももし必要であれば加えられ得、例えば二酸化チタン、クレー、銅フタロシアニン、ケイ酸塩、酸化鉄及び水酸化鉄、カーボンブラック及び酸化マグネシウムである。これらの添加剤は好ましくは10重量%まで加えられる。
【0093】
好ましくは、本発明による多層フィルムの層A及び/又はBのポリエステルは、少なくとも10モル%の再生可能な起源の芳香族ジカルボン酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸及び/又はジオールを含む。本発明によれば、再生可能な起源と考えられうる製品は、本質的に、ヒトの生命の時間スケールで再生可能及び無尽蔵である供給源から得られるものであり、そしてその使用が次世代による天然資源の利用可能性に悪影響を与えない結果であるものである。再生可能な起源のモノマーの例は、セバシン酸、コハク酸、2,5-フランジカルボン酸、アゼライン酸、1,4-ブタンジオールである。
【0094】
本発明による多層フィルムは少なくとも1つの層A及び少なくとも1つの層Bを含み、好ましくは前記層A及び層Bがそれぞれ異なる、A/B及びA/B/Aから選ばれる相関によって特徴付けられる。本発明による多層フィルムは、有利には、1つ以上の層A及び1つ以上の層Bならびに、更なる層、例えば結合層又はバリア層等、又は金属フィルムを含む。本発明による多層フィルムにおいて、層Aの全体と層Bの全体との間の比は0.05から1.2の間である。好ましくは、本発明による多層フィルムにおいて、層Aの全体と層Bの全体との間の比は0.1から0.6の間である。本発明による多層フィルムは、A/B及び好ましくはA/B/A型の層の配列を有し、A層の厚みの合計はB層の厚さ未満であり、好ましくはB/2未満であり、そしてより好ましくはB/3未満である合計の厚さを有する。本発明による多層フィルムは有利には、50ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン未満、さらにより好ましくは13ミクロン未満の合計の厚みを有する。
層の厚みは、有利には、液体窒素中の破断面を電子顕微鏡を用いて測定されうる。
けれども、層A及びBに対して中間位置の配列の更なる層(配列A/C/B、ここでCは更なる層)又は非-中間位置の更なる層(配列A/B/C又はC/A/B、ここでCは更なる層)もまた存在しうる。
【0095】
本発明による多層フィルムは当該技術として知られているいずれかの方法、例えば同時押し出し成形、コーティング/塗布、又はラミネーションの方法によって生産されうる。本発明による多層フィルムの好ましい実施形態は、好ましくは気泡膜成形プロセスを伴う同時押し出し法を通して得られ得る。
本発明による多層フィルムの生産のための、例えば同時押し出し成形及び膜成形のための装置及び特定のプロセスの条件は、多層フィルムを生産する為に意図される組成物及び層の数による。成分及び層の特定の組み合わせの結果、本発明による多層フィルムは、高レベルの生分解性の特性、機械的特性、特に高弾性率、及びかなりの光透過性の特性の間の最適なバランスを与える特性を有する。このことは、前記多層フィルムを含む広大な範囲の物品、例えば様々な種類の包装、特に商品を運ぶための袋及び食品包装のための袋、例えば果実及び野菜の為の袋等の生産のために特に適するフィルムを提供する。
【0096】
光学的性質に関する限りは、本発明による多層フィルムが上記の適用の為に特に適することを可能にする、90%より大きい、より好ましくは91%以上より大きい透過率の値、65%未満、より好ましくは55%未満のヘイズ値及び20%以上、より好ましくは40%以上の透明度(ASTM D1003規格によって測定した)が特に好ましい。
【0097】
本発明による多層フィルムはUNI11355による家庭堆肥化条件下で生分解性である。好ましくは、前記多層フィルムは、15ミクロン未満、好ましくは13ミクロン未満の総厚さによって特性付けられるとき、UNI1135に従う家庭堆肥化条件下で生分解性である。
【0098】
本発明による多層フィルムは、強い機械的特性を伴う低温での高い一定の分解性のおかげでマルチングフィルムの製造の用途への適用が見いだされ、それゆえ使用後に取り除く必要無しに、地面を守る、例えば雑草の生長を妨げ及び水の消費を減らす、それらの働きを効果的に遂行する能力がある。
好ましくは、本発明による組成物を含む前記マルチングフィルムの分解は28±2℃の温度で、地中で起こり、そして分解の程度は定期的な観測を通して目で見えて決められ得る。好ましくは、本発明による多層フィルムは180日後にはもはや目に見えなくなるであろう。
【0099】
ここで、本発明を制限することを意図しない多数の実施例に基づいて、本発明が説明されるだろう。
【実施例0100】
例1-A/B配列を有する2層フィルム
組成物A(層A)の製造:総ジカルボン酸成分に対して47.5モル%のテレフタル酸含量、11g/10分(190℃、2.16 kg) のMFR及び50 meq/kgの酸性度を有する29.7 kg/hのポリ(ブチレン アジピン酸-コ-ブチレンテレフタル酸)、58g/10分(190℃、2.16kg)のMFRの 9.1 k/hのIngeo 3251Dポリ乳酸(''PLA'')、10重量%のJoncryl ADR4368CS(スチレン-グリシジルエーテル-メチルメタクリル酸共重合体)及び90重量%のIngeo 40403Dポリ乳酸(''PLA'') を含む1.0 kg/hのマスターバッチ、Crodaによって製造された10重量%のCrodamide SR Bead及び90重量%のポリ(ブチレン アジピン酸-コ-ブチレンテレフタル酸) を含む0.2 kg/hのマスタ
ーバッチを次の条件下:
スクリュー直径(D)=58 mm;
L/D=36;
スクリュー回転速度=140 rpm;
熱プロファイル=60-150-180-210x-4-150x2℃;
処理量:40kg/h;
ゾーン10から8内の真空脱気
で操作するOMCEBV60/36二軸押出機に供給した。
【0101】
そのように得られた顆粒は7g/10分のMFR(190℃、2.16kg 、ISO標準1133-1''プラスチック-メルトマスフローレート(MFR)の決定及び熱可塑性のメルトボリュームフローレート(MVR) -パート1:標準方法''に基づく)を有していた。組成物B(層B)の製造:アジピン酸及びアゼライン酸の合計に対して30モル%のアゼライン酸含量及び総ジカルボン酸成分に対して48.3モル%のテレフタル酸含量、5g/10分(190℃、2.16kg) のMFR及び47 meq/kgの酸性度を有する28.3 kg/h のポリ(ブチレンアジピン酸-コ-ブチレンアゼライン酸-コ-ブチレンテレフタル酸)、2.7g/10分のMFR (190℃、2.16kg)の1.4kg/hmIngeo 4043Dポリ乳酸(''PLA'')、 16kg/hの熱可塑性トウモロコシデンプン、Anderson Development Companyによって製造された0.1kg/hのAlmatex PD-4440、Crodaによって製造された0.1 kg/hのCroamide ER マイクロビーズ及びNisshinbo Chemical Inc.によって製造された0.1kg/hのCarbodilite HMV15CAを次の条件下:
スクリュー直径(D)=58 mm;
L/D=36;
スクリュー回転速度=160 rpm;
熱プロファイル=60-150-180-210x-4-150x2℃;
処理量:46.1kg/h;
ゾーン10から8内の真空脱気
で操作するOMC EBV60/36二軸押出機に供給した。
【0102】
そのように得られた顆粒は2.4g/10分のMFR(160℃、5 kg 、ISO標準1133-1''プラスチック-メルトマスフローレート(MFR)の決定及び熱可塑性のメルトボリュームフローレート(MVR) -パート1:標準方法''に基づく)を有していた。
【0103】
次いで、組成物A及び組成物Bを、同時押出機にA/B配置を有する二層インフレーションフィルムを形成するために同時に供給した。この目的の為に、組成物Aを、直径35mm及び30のL/Dのスクリューを有し100-170x4温度プロファイルを用い、13rpmで作動する押出し機に処理量3.3kg/hで供給した。同時に、組成物Bを2つの押出機を通して供給し、第1の押出機は、80-154x4温度プロファイルを有し12rpmで作動する30のL/Dで直径35mmのスクリューによって特徴付けられ、3.3kg/hで操作し、そして第2の押出機は、80-145x4温度プロファイルを有し74rpmで作動する30のL/Dで直径40mmのスクリューによって特徴付けられ、そして28.3kg/hの処理量で操作した。溶融するとすぐ、2つの組成物を0.9mmのギャップ及び170℃でセットしたL/D 9を有する動時押し出し成形ブローヘッドで融合し、ブロー比4.5及び延伸比20.2で操作するフィルム成形プロセスに多層構造物を供給した。
そのようにして得られたフィルム(計10ミクロン、層A10%、層B90%)、は次いで、機械的、及び光学的特性(表1)の観点から特徴付けられた。
【0104】
例2-A/B/A配列を有する2層フィルム
例1に従い組成物A及び組成物Bを、A/B/A配置を有する三層インフレーションフィルムを形成するために同時押出機に同時に供給した。この目的として、組成物Aを100-170x4温度プロファイルを有し14rpmで作動する30のL/Dで直径35mmのスクリューを有する第1の押出機に3.3kg/hの処理量で供給し、そして100-170x4温度プロファイルを有し13rpmで作動する30のL/Dで直径35mmのスクリューによって特徴付けられる第2の押出機に3.3kg/hの処理量で供給した。組成物Bを80-154x4温度プロファイルを有し74rpmで作動する30のL/Dで直径40mmのスクリューを有する押出機に28.3kg/hの処理量で供給した。溶融するとすぐ、2つの組成物を0.9mmのギャップ及び170℃でセットしたL/D 9を有する動時押し出し成形ブローヘッドで融合し、ブロー比4.5及び延伸比20.2で操作するフィルム成形プロセスに多層構造物を供給した。
そのようにして得られたフィルム(計10ミクロン、層A20%、二層の間に均一に分布、層B80%)、は次いで、機械的、及び光学的特性(表1)の観点から特徴付けられた。
【0105】
例3(比較)組成物Bを含む単層フィルムの製造
例1に従い組成物BをB/B/B配置を有する単層インフレーションフィルムを形成するために同時押出機に同時に供給した。この目的としては、組成物Bを100-145x4温度プロファイルを有し18rpmで作動する30のL/Dで直径35mmのスクリューを有する第1の押出機に2.8kg/hの処理量で供給し、そして80-145x4温度プロファイルを有し63rpmで作動する30のL/Dで直径40mmのスクリューによって特徴付けられる第2の押出機に24.3kg/hの処理量で供給し、そして100-145x4温度プロファイルを有し18rpmで作動する30のL/Dで直径35mmのスクリューによって特徴付けられる第3の押出機に2.8kg/hの処理量で供給した。同時押し出し成形ブローヘッドは0.9mmのギャップ及び145℃でセットした9のL/Dを有し、ブロー比4.5及び延伸比20.2で操作するフィルム成形プロセスに単層構造物を供給した。
そのようにして得られたフィルム(計10ミクロン、層B100%)、は次いで、機械的、及び
光学的特性(表1)の観点から特徴付けられた。
【0106】
例4-A/B/A配列を有する2層フィルム
組成物A(層A)の製造:総ジカルボン酸成分に対して47.5モル%のテレフタル酸含量、11g/10分(190℃、2.16 kg)のMFR及び50 meq/kgの酸性度を有する31.4 kg/hのポリ(ブチレン アジピン酸-コ-ブチレン テレフタル酸)、58g/10分(190℃、2.16 kg)のMFR の7.6kg/hのIngeo 3251Dポリ乳酸(''PLA'')、10重量%のJoncryl ADR4368CS(スチレン-グリシジルエーテル-メチルメタクリル酸共重合体)及び90%のIngeo 4043D ポリ乳酸(''PLA'')を含む0.8kg/hのマスターバッチ、Crodaによって製造された10重量%のCrodamide SR ビーズ及び90重量%のポリ(ブチレン アジピン酸-コ-ブチレン テレフタル酸)を含む0.2 kg/hのマスターバッチを 例1の層Aのために明記した条件下で操作するOMCEBV60/36型二軸押出機に供給した。
そのようにして得られた顆粒は7.5g/10分のMFR(190℃、2.16 kg、ISO1133-1標準に基づく)を有した。
【0107】
例4に従う組成物A及び例1に従う組成物BをA/B/A配列を有する3層インフレーションフィルムを形成するための同時押出機に同時に供給した。この目的としては、組成物Aを60-170x4温度プロファイルを有し11rpmで作動する30のL/Dで直径35mmのスクリューを有する第1の押出機に2.9kg/hの処理量で供給し、60-170x4温度プロファイルを有し11rpmで作動する30のL/Dで直径35mmのスクリューによって特徴付けられる第2の押出機に2.9kg/hの処理量で供給した。組成物Bは80-145x4温度プロファイルを有し64rpmで作動する30のL/Dで直径40mmのスクリューを有する押出機に24.2kg/hで供給した。溶融するとすぐ、2つの組成物を0.9mmのギャップ及び170℃でセットしたL/D 9を有する同時押し出し成形ブローヘッドで融合し、ブロー比4.5及び延伸比20.2で操作するフィルム成形プロセスに多層構造物を供給した。
そのようにして得られたフィルム(計10ミクロン、二層の間に均一に分布した層A20%、層B80%)、は次いで、機械的、及び光学的特性(表1)の観点から特徴付けられた。
【0108】
例5-A/B/A配列を有する2層フィルム-
組成物A(層A)の製造:3.7 g/1分(150℃、2.16 kg)のMFR及び25 meq/Kgの酸性度の16 Kg/h ポリ(ブチレンセバシン酸)、総ジカルボン酸成分に対して47.5モル%のテレフタル酸含量、5.1 g/10分(190℃、2.16 kg) のMFR及び37 meq/Kgの酸性度を有する20 kg/h ポリ(ブチレンアジピン酸-コ-ブチレンテレフタル酸)、2.5 g/10分(190℃、2.16kg) のMFRの4 kg/hのIngeo 4043Dポリ乳酸(''PLA'')、Crodaによって製造された0.1kg/hのCrodamide ER
マイクロビーズを次の条件下:
スクリュー直径(D)=58 mm;
L/D=36;
スクリュー回転速度=160 rpm;
熱プロファイル=60-120-160x5-150x2℃;
処理量:40.1kg/h;
ゾーン10から8内の真空脱気
で操作するOMC EBV60/36型二軸押出機に供給した。
そのように得られた顆粒は6g/10分のMFR(190℃、2.16 kg、ISO標準1133-1''プラスチック-メルトマスフローレート(MFR)の決定及び熱可塑性のメルトボリュームフローレート(MVR) -パート1:標準方法''に従う)を有した。
【0109】
例5に従う組成物A及び例1に従う組成物BをA/B/A配列を有する3層インフレーションフィルムを形成するための同時押出機に同時に供給した。この目的のために組成物Aを、60-125x4温度プロファイルを有し11rpmで作動する30のL/Dで直径35mmのスクリューを有する押出機に2.8kg/hの処理量で供給した。組成物Bを、80-145x4温度プロファイルを有し66rpmで作動する30のL/Dで直径40mmのスクリューによって特徴付けられる押出機に供給した。溶融するとすぐ、2つの組成物を0.9mmのギャップ及び145℃でセットしたL/D 9を有する同時押し出し成形ブローヘッドで融合し、ブロー比4.5及び延伸比20.2で操作するフィルム成形プロセスに多層構造物を供給した。
そのようにして得られたフィルム(計10ミクロン、層A20%、層B80%)、は次いで、機械的、及び光学的特性(表1)の観点から特徴付けられた。
【0110】
例6-A/B/A配列を有する2層フィルム
組成物A(層A)の製造: 6g/10分のMFR (190℃、2.16kg)及び46 meq/kgの酸性度の、総ジカルボン酸成分に対して25モル%のアゼライン酸含量を有するポリ(ブチレンコハク酸-コ-ブチレンアゼライン酸)。
【0111】
例6に従う組成物A及び例1に従う組成物BをA/B/A配列を有する3層インフレーションフィルムを形成するための同時押出機に同時に供給した。この目的として、組成物Aを60-120x4温度プロファイルを有し12rpmで作動する30のL/Dで直径35mmのスクリューを有する第1の押出機に2.8kg/hの処理量で供給し、60-120x4温度プロファイルを有し12rpmで作動する30のL/Dで直径35mmのスクリューによって特徴付けられる第2の押出機に2.8kg/hの処理量で供給した。組成物Bを80-145x4温度プロファイルを有し63rpmで作動する30のL/Dで直径40mmのスクリューを有する押出機に24.3kg/hの処理量で供給した。溶融するとすぐ、2つの組成物を0.9mmのギャップ及び145℃でセットしたL/D 9を有する同時押し出し成形ブローヘッドで融合し、ブロー比4.5及び延伸比16.8で操作するフィルム成形プロセスに多層構造物を供給した。
そのようにして得られたフィルム(計12ミクロン、二層の間に均一に分布した層A20%、層B80%)、は次いで、機械的、及び光学的特性(表1)の観点から特徴付けられた。
【0112】
例7-A/B/A配列を有する2層フィルム
組成物A(層A)の製造: 3.9g/10分のMFR (190℃、2.16kg)及び33 meq/kgの酸性度の、総ジカルボン酸成分に対して47.5モル%のテレフタル酸含量を有するポリ(ブチレン アジピン酸酸-コ-ブチレンテレフタル酸)。
【0113】
例7に従う組成物A及び例1に従う組成物BをA/B/A配列を有する3層インフレーションフィルムを形成するための同時押出機に同時に供給した。この目的として、組成物Aを60-145x4温度プロファイルを有し16rpmで作動する30のL/Dで直径35mmのスクリューを有する第1の押出機に2.8kg/hの処理量で供給し、60-145x4温度プロファイルを有し16rpmで作動する30のL/Dで直径35mmのスクリューによって特徴付けられる第2の押出機に2.8kg/hの処理量で供給した。組成物Bを80-145x4温度プロファイルを有し63rpmで作動する30のL/Dで直径40mmのスクリューを有する押出機に24.3kg/hの処理量で供給した。溶融するとすぐ、2つの組成物を0.9mmのギャップ及び145℃でセットしたL/D 9を有する同時押し出し成形ブローヘッドで融合し、ブロー比3.6及び延伸比25.2で操作するフィルム成形プロセスに多層構造物を供給した。
そのようにして得られたフィルム(計10ミクロン、二層の間に均一に分布した層A20%、
層B80%)、は次いで、機械的、及び光学的特性(表1)の観点から特徴付けられた。
【0114】
【表1】