(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004199
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】誘導センサを用いてアンビル位置を検出するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B25B 21/02 20060101AFI20250106BHJP
B25B 23/14 20060101ALI20250106BHJP
B25B 23/151 20060101ALI20250106BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
B25B21/02 H
B25B23/14 610Z
B25B23/151 B
B25F5/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024177754
(22)【出願日】2024-10-10
(62)【分割の表示】P 2022574345の分割
【原出願日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】63/034,727
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/125,705
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598073073
【氏名又は名称】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ジェイコブ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】フィールドバインダー、ダグラス アール.
(72)【発明者】
【氏名】メルゲット、マクスウェル エル.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来技術の問題を解決する。
【解決手段】電動工具が、ハウジングと、ブラシレス直流(DC)モータと、ハンマー及びアンビルを備えるインパクト機構と、出力駆動装置と、位置センサと、コントローラとを備える。電動工具はまた、シャフト上に配置されたターゲットと、シャフト上でターゲットとアンビルとの間に配置された磁気シールドと、位置センサとを備える。位置センサは、誘導センサと、第1の送信回路トレースと、第1の受信回路トレースとを備える。コントローラは、アンビルの求められた位置に基づいて駆動角度を計算し、アンビルの駆動角度に基づいてブラシレスDCモータを制御するように構成される。
【選択図】
図19AB
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内のブラシレス直流(DC)モータであって、回転子と、固定子とを含み、前記回転子は、回転出力を生成するためにモータシャフトに結合される、前記ブラシレスDCモータと、
インパクト機構であって、
前記モータシャフトに結合されるハンマーと、
アンビルラグを含み、前記ハンマーからインパクトを受けるように構成される、アンビルと、を含む、
前記インパクト機構と、
前記アンビルに結合されるシャフトを含み、タスクを行うために回転するように構成される、出力駆動装置と、
前記シャフト上に位置決めされるターゲットと、
前記ターゲットと前記アンビルラグとの間で前記シャフト上に位置決めされ、前記アンビルラグを前記ターゲットから磁気的に遮断するように構成される、磁気シールドと、
前記ターゲットに近接して位置決めされる誘導センサを含む、位置センサであって、前記誘導センサは前記アンビルの位置を検出するように構成される、前記位置センサと、
前記位置センサに接続されるコントローラであって、
前記アンビルの判定される位置に基づいて前記インパクトによって引き起こされる前記アンビルの駆動角度を計算し、
前記アンビルの前記駆動角度に基づいて前記ブラシレスDCモータを制御する、
ように構成される、
前記コントローラと、を含む、
電動工具。
【請求項2】
前記誘導センサは、円周を有する半球部分を含む回路基板と、前記円周の約180°に沿って配置されるスパンを有する第1の送信回路トレースとを含む、請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記ターゲットは、当該電動工具の動作中に前記誘導センサの前記第1の送信回路トレースの前記スパンを通過するように構成される第1のターゲットラグを含む、請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記ターゲットは、前記第1のターゲットラグが当該電動工具の動作中に前記第1の送信回路トレースの前記スパンから出るにつれて、前記誘導センサの前記第1の送信回路トレースの前記スパンを通過し始めるように構成される、第2のターゲットラグを含む、請求項3に記載の電動工具。
【請求項5】
前記駆動角度を計算するために、前記コントローラは、
前記ハンマーと前記アンビルとの間の第1のインパクトの後に前記アンビルの第1の回転位置を判定し、
前記ハンマーと前記アンビルとの間の第2のインパクトの後に前記アンビルの第2の回転位置を判定し、
前記第1の回転位置および前記第2の回転位置に基づいて前記出力駆動装置が受ける駆動角を判定する、
ように構成される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項6】
前記アンビルの前記駆動角度に基づいて前記ブラシレスDCモータを制御するために、前記コントローラは、
前記アンビルの前記駆動角度が駆動角度閾値未満であるかどうかを判定し、
前記アンビルの前記駆動角度が前記駆動角度閾値未満であると判定することに応答して、検出されるインパクトについてのインパクトカウンタを増分し、
前記インパクトカウンタがインパクトカウンタ閾値に達したかどうかを判定し、
前記インパクトカウンタが前記インパクトカウンタ閾値に達したと判定することに応答して、前記ブラシレスDCモータの速度を減少させる、
ように構成される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項7】
前記駆動角度に基づいて前記ブラシレスDCモータを制御するために、前記コントローラは、
前記アンビルの前記駆動角度が駆動角度閾値未満であるかどうかを判定し、
前記アンビルの前記駆動角度が前記駆動角度閾値未満であると判定することに応答して、前記ブラシレスDCモータの速度を減少させる、
ように構成される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項8】
電動工具を制御する方法であって、
ブラシレス直流(DC)モータを駆動することであって、前記ブラシレスDCモータは、回転子と、固定子とを含み、前記回転子は、回転出力を生成するためにモータシャフトに結合される、前記ブラシレスDCモータを駆動することと、
前記モータシャフトに結合されるインパクト機構のハンマーによって、前記インパクト機構のアンビルにインパクトを与えて、前記アンビルに結合されるシャフトを含む出力駆動装置を回転させることと、
前記シャフト上に位置決めされるターゲットに近接して位置決めされる位置センサによって前記アンビルの位置を検知することであって、磁気シールドが前記ターゲットと前記アンビルとの間で前記シャフト上に位置決めされ、前記磁気シールドは前記アンビルのアンビルラグを前記ターゲットから磁気的に遮断するように構成される、前記検知することと、
前記アンビルの前記位置に基づいて前記アンビルの駆動角度を計算することと、
前記アンビルの前記駆動角度に基づいて前記ブラシレスDCモータを制御することと、を含む、
方法。
【請求項9】
前記位置センサは、誘導センサを含み、
前記誘導センサは、円周を有する半球部分を含む回路基板と、前記円周の約180°に沿って配置されるスパンを有する第1の送信回路トレースとを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アンビルの前記位置を検知することは、前記電動工具の動作中に前記誘導センサの第1の送信回路トレースのスパンを通過する前記ターゲットの第1のターゲットラグを検知することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アンビルの前記位置を検知することは、前記第1のターゲットラグが前記電動工具の動作中に前記第1の送信回路トレースから出るにつれて、第2のターゲットラグが前記誘導センサの前記第1の送信回路トレースの前記スパンを通過し始めるときに、前記第2のターゲットラグを検知することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記駆動角度を計算することは、
前記電動工具のハンマーと前記電動工具のアンビルとの間の第1のインパクトの後に前記アンビルの第1の回転位置を判定することと、
前記ハンマーと前記アンビルとの間の第2のインパクトの後に前記アンビルの第2の回転位置を判定することと、
前記第1の回転位置および前記第2の回転位置に基づいて前記出力駆動装置が受ける駆動角を判定することと、を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記アンビルの前記駆動角度に基づいて前記ブラシレスDCモータを制御することは、
前記アンビルの前記駆動角度が駆動角度閾値未満であるかどうかを判定することと、
前記アンビルの前記駆動角度が前記駆動角度閾値未満であると判定することに応答して、検出されるインパクトについてのインパクトカウンタを増分することと、
前記インパクトカウンタがインパクトカウンタ閾値に達したかどうかを判定することと、
前記インパクトカウンタが前記インパクトカウンタ閾値に達したと判定することに応答して、前記ブラシレスDCモータの速度を減少させることと、を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記駆動角度に基づいて前記ブラシレスDCモータを制御することは、
前記アンビルの前記駆動角度が駆動角度閾値未満であるかどうかを判定することと、
前記アンビルの前記駆動角度が前記駆動角度閾値未満であると判定することに応答して、前記ブラシレスDCモータの速度を減少させることと、を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項15】
ハウジングと、
前記ハウジング内のブラシレス直流(DC)モータであって、回転子と、固定子とを含み、前記回転子は、回転出力を生成するようにモータシャフトに結合される、前記ブラシレスDCモータと、
インパクト機構であって、
前記モータシャフトに結合されるハンマーと、
アンビルラグを含み、前記ハンマーからインパクトを受けるように構成される、アンビルと、を含む、
前記インパクト機構と、
前記アンビルに結合されるシャフトを含み、タスクを実行するように回転するように構成される、出力駆動装置と、
前記シャフト上に位置決めされるターゲットと、
前記ターゲットと前記アンビルラグとの間で前記シャフト上に位置決めされ、前記アンビルラグを前記ターゲットから磁気的に遮断するように構成される、磁気シールドと、
位置センサであって、
前記ターゲットに近接して位置決めされる誘導センサを含む、位置センサであって、前記誘導センサは前記アンビルの位置を検出するように構成される、前記位置センサと、
前記位置センサに結合されるコントローラであって、
第1の時間に前記位置センサから第1の位置信号を受信し、
第2の時間に前記位置センサから第2の位置信号を受信し、
前記第1の位置信号および前記第2の位置信号に基づいて前記アンビルの駆動角度を計算し、
前記アンビルの前記駆動角度に基づいて前記ブラシレスDCモータを制御する、
ように構成される、
前記コントローラと、を含む、
電動工具。
【請求項16】
前記誘導センサは、円周を有する半球部分を含む回路基板と、前記円周の約180°に沿って配置されるスパンを有する第1の送信回路トレースとを含む、請求項15に記載の電動工具。
【請求項17】
前記ターゲットは、当該電動工具の動作中に前記誘導センサの前記第1の送信回路トレースの前記スパンを通過するように構成される第1のターゲットラグを含む、請求項16に記載の電動工具。
【請求項18】
前記ターゲットは、前記第1のターゲットラグが当該電動工具の動作中に前記第1の送信回路トレースの前記スパンから出るにつれて、前記誘導センサの前記第1の送信回路トレースの前記スパンを通過し始めるように構成される、第2のターゲットラグを含む、請求項17に記載の電動工具。
【請求項19】
前記アンビルの前記駆動角度に基づいて前記ブラシレスDCモータを制御するために、前記コントローラは、
前記アンビルの前記駆動角度が駆動角度閾値未満であるかどうかを判定し、
前記アンビルの前記駆動角度が前記駆動角度閾値未満であると判定することに応答して、検出されるインパクトについてのインパクトカウンタを増分し、
前記インパクトカウンタがインパクトカウンタ閾値に達したかどうかを判定し、
前記インパクトカウンタが前記インパクトカウンタ閾値に達したと判定することに応答して、前記ブラシレスDCモータの速度を減少させる、
ように構成される、
請求項15に記載の電動工具。
【請求項20】
前記駆動角度に基づいて前記ブラシレスDCモータを制御するために、前記コントローラは、
前記アンビルの前記駆動角度が駆動角度閾値未満であるかどうかを判定し、
前記アンビルの前記駆動角度が前記駆動角度閾値未満であると判定することに応答して、前記ブラシレスDCモータの速度を減少させる、
ように構成される、
請求項15に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、2020年6月4日出願の米国仮特許出願第63/034,727号明細書及び2020年12月15日出願の米国仮特許出願第63/125,705号明細書の利益を主張するものであり、これら双方の米国仮特許出願の内容全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本明細書で説明される実施形態は、インパクト機構を備えた電動工具に関する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で説明される電動工具は、ハウジングと、ブラシレス直流(DC)モータと、インパクト機構と、出力駆動装置と、位置センサと、コントローラとを備える。ブラシレスDCモータはハウジング内にある。ブラシレスDCモータは、回転子と固定子とを備える。回転子は、回転出力を発生させるためにモータシャフトに結合される。インパクト機構は、モータシャフトに結合されたハンマーと、ハンマーからのインパクトを受けるように構成されたアンビルとを備える。出力駆動装置は、アンビルに結合され、タスクを行うために回転するように構成される。位置センサは、誘導センサと、第1の送信回路トレースと、第1の受信回路トレースとを備える。誘導センサは、送信回路トレース上で信号を注入し、第1の受信回路トレース上で第1の出力信号を検出して、アンビルの位置を求めるように構成される。コントローラは、位置センサに結合され、第1の出力信号に基づいてインパクトによって生じたアンビルの駆動角度を計算し、アンビルの駆動角度に基づいてブラシレスDCモータを制御するように構成される。
【0004】
本明細書で説明される方法は、ブラシレス直流(DC)モータを駆動することを含む。ブラシレスDCモータは、回転子と固定子とを備える。回転子は、回転出力を発生させるためにモータシャフトに結合される。本方法はまた、インパクト機構のアンビルに結合された出力駆動装置を回転させるために、モータシャフトに結合されたインパクト機構のハンマーによってインパクト機構のアンビルにインパクト印加することを含む。本方法はまた、位置センサによってアンビルの位置を検知することを含む。位置センサは、第1の送信回路トレースと、第1の受信回路トレースとを備える。検知することは、送信回路トレース上で信号を注入することと、第1の受信回路トレース上で第1の出力信号を検出することと、第1の出力信号に基づいてアンビルの位置を求めることとを含む。本方法はまた、アンビルの位置に基づいてアンビルの駆動角度を計算することと、駆動角度に基づいてブラシレスDCモータを制御することとを含む。
【0005】
本明細書で説明される電動工具は、ハウジングと、ブラシレス直流(DC)モータと、インパクト機構と、出力駆動装置と、ターゲットと、磁気シールドと、位置センサと、コントローラとを備える。ブラシレスDCモータはハウジング内にある。ブラシレスDCモータは、回転子と固定子とを備える。回転子は、回転出力を発生させるためにモータシャフトに結合される。インパクト機構は、モータシャフトに結合されたハンマーと、ハンマーからのインパクトを受けるように構成されたアンビルとを備える。出力駆動装置は、アンビルに結合され、タスクを行うために回転するように構成されたシャフトを備える。ターゲットは、シャフト上に配置される。磁気シールドは、シャフト上でターゲットとアンビルとの間に配置される。位置センサは、ターゲットに近接して配置された誘導センサと、第1の送信回路トレースと、第1の受信回路トレースとを備える。誘導センサは、第1の送信回路トレース上で信号を注入し、第1の受信回路トレース上で第1の出力信号を検出して、アンビルの位置を求めるように構成される。コントローラは、位置センサに結合され、アンビルの求められた位置に基づいてインパクトによって生じたアンビルの駆動角度を計算し、アンビルの駆動角度に基づいてブラシレスDCモータを制御するように構成される。
【0006】
本明細書で説明される方法は、ブラシレス直流(DC)モータを駆動することを含む。ブラシレスDCモータは、回転子と固定子とを備える。回転子は、回転出力を発生させるためにモータシャフトに結合される。本方法はまた、インパクト機構のアンビルに結合されたシャフトを備える出力駆動装置を回転させるために、モータシャフトに結合されたインパクト機構のハンマーによってインパクト機構のアンビルにインパクト印加することと、シャフト上に配置されたターゲットに近接して配置された位置センサによってアンビルの位置を検知することとを含む。磁気シールドが、シャフト上でターゲットとアンビルとの間に配置される。位置センサは、第1の送信回路トレースと、第1の受信回路トレースとを備える。検知することは、第1の送信回路トレース上で信号を注入することと、第1の受信回路トレース上で第1の出力信号を検出することと、第1の出力信号に基づいてアンビルの位置を求めることとを含む。本方法はまた、アンビルの位置に基づいてアンビルの駆動角度を計算することと、アンビルの駆動角度に基づいてブラシレスDCモータを制御することとを含む。
【0007】
本明細書で説明されるインパクト電動工具は、ハウジングと、ブラシレス直流(DC)モータと、インパクト機構と、出力駆動装置と、ターゲットと、位置センサと、コントローラとを備える。ブラシレスDCモータはハウジング内にある。ブラシレスDCモータは、回転子と固定子とを備える。回転子は、回転出力を発生させるためにモータシャフトに結合される。インパクト機構は、モータシャフトに接続されたハンマーと、ハンマーからのインパクトを受けるように構成されたアンビルとを備える。出力駆動装置は、アンビルに結合され、タスクを行うために回転するように構成されたシャフトを備える。ターゲットは、シャフト上に配置される。位置センサは、ターゲットに近接して配置された誘導センサと、第1の送信回路トレースと、第1の受信回路トレースとを備える。誘導センサは、第1の送信回路トレース上で信号を注入し、第1の受信回路トレース上で第1の出力信号を検出するように構成される。コントローラは、位置センサに結合され、位置センサから、第1の時間に位置センサからの第1の位置信号を受信し、第2の時間に位置センサからの第2の位置信号を受信し、第1の位置信号及び第2の位置信号に基づいてアンビルの駆動角度を計算し、アンビルの駆動角度に基づいてブラシレスDCモータを制御するように構成される。
【0008】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されているか、又は以下の図面に図示している構造の詳細及びコンポーネントの配置に本発明の用途を限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々なやり方で実践すること、又は行うことが可能である。また、本明細書において用いられる語法及び専門用語は説明を目的としたものであり、限定と見なされるべきではないことを理解されたい。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」又は「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、その後に列挙されている項目及びそれらの均等物、並びに追加の項目を包含することを意図する。「装着された(mounted)」、「接続された(connected)」及び「結合された(coupled)」という用語は、広義に用いられ、直接的な装着、接続、結合、及び間接的な装着、接続、結合の両方を包含している。更に、「接続された」及び「結合された」は、物理的又は機械的な接続又は結合に限定されず、直接的又は間接的にかかわらず、電気的な接続又は結合を含むことができる。
【0009】
複数のハードウェア及びソフトウェアベースの装置、並びに複数の異なる構造上の構成要素を利用して、本発明を実施し得ることに留意されたい。更に、後段で説明するように、図面に示されている具体的な構成は、本発明の実施形態を例示することを意図しており、他の代替的な構成が可能であることを意図している。「プロセッサ」「中央処理装置」及び「CPU」という用語は、特に記載のない限り、同じ意味で使用されている。「プロセッサ」又は「中央処理装置」若しくは「CPU」という用語が、特定の機能を実行するユニットを識別するものとして用いられる場合、特に記載のない限り、これらの機能は、単一のプロセッサ、又は並列プロセッサ、直列プロセッサ、タンデムプロセッサ若しくはクラウド処理/クラウドコンピューティング構成を含む任意の形態で配置された複数のプロセッサによって行うことが可能であることを理解されたい。
【0010】
様々な実施形態の他の態様は、詳細な説明及び添付の図面を検討すれば明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態による通信システムを示す。
【
図5】電動工具を含む通信システムの概略図を示す。
【
図6-11】通信システムの外部装置のユーザインターフェースの例示的なスクリーンショットを示す。
【
図12A-12B】一実施形態によるインパクトドライバのインパクト機構を示す。
【
図13A-16B】一実施形態によるインパクトドライバのハンマー及びアンビルの例示的な動作を示す。
【
図17】電動工具を制御するための第1の例示的な実装形態のフローチャートを示す。
【
図18】電動工具を制御するための第2の例示的な実装形態のフローチャートを示す。
【
図20】アンビル位置の関数として
図19Aのアンビル位置センサの出力を示す。
【
図22A-22B】アンビルシャフト上に配置されたターゲットと、ターゲットとアンビルラグとの間に配置された磁気シールドとを備えるアンビルアセンブリの一実施形態を示す。
【
図23A-23B】シールドなしの設計を有するアンビルアセンブリの一実施形態を示す。
【
図23C-23D】シールドされた設計を有するアンビルアセンブリの一実施形態を示す。
【
図24A】工具長さを長くし、アンビルを延長し、シールドを厚くしたアンビルアセンブリの一実施形態を示す。
【
図24B-24C】工具長さを更に長くし、アンビルを延長し、シールド及びターゲット構造の外径を小さくしたアンビルアセンブリの一実施形態を示す。
【
図25A-25B】ターゲットとアンビルラグとの間に溝を有するアンビルアセンブリの一実施形態を示す。
【
図26A-26C】アンビルアセンブリのターゲット構造の様々な実施形態を示す。
【
図27A-27B】オーバーモールドされたターゲット及びプレス加工されたインサートを有するアンビルアセンブリの一実施形態を示す。
【
図28A-28B】ターゲットのための個々の構成要素又は一体化された構成要素を有するアンビルアセンブリの一実施形態を示す。
【
図29】ターゲットとアンビル回転センサとの間に空隙を有するアンビルアセンブリの一実施形態を示す。
【
図30A】インパクト時のスライドを防止するための単一の戻り止めを有する圧入構造を有するアンビルアセンブリの一実施形態を示す。
【
図30B-30C】ターゲット外径を小さくし、ラグ高さを大きくしたアンビルを示す。
【
図31】ハンマーに誘発される干渉を最小化する空隙サイズを実現するためにラグ厚さを大きくしたアンビルアセンブリの一実施形態を示す。
【
図32A-32B】ハンマーが干渉を誘発する能力を最小化する空隙を実現するために、シールドを除去し、ラグ厚さを大きくしたアンビルアセンブリの別の実施形態を示す。
【
図33A-33C】アンビルアセンブリの異なるラグ形状の一実施形態を示す。
【
図34A-34B】ハンマーをセンサ検知から遮断するシールドを有するアンビルアセンブリの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、通信システム100を示している。通信システム100は、電動工具装置102と、外部装置108とを含んでいる。各電動工具装置102(例えば、バッテリ駆動式インパクトドライバ102a及び電動工具バッテリパック102b)及び外部装置108は、互いの通信範囲内にある間、無線で通信することができる。各電動工具装置102は、電動工具の状態、電動工具の動作上の統計値、電動工具の識別情報、格納済みの電動工具の使用情報、電動工具のメンテナンスデータなどを通信することができる。したがって、外部装置108を用いて、ユーザは、格納された電動工具の使用データ又は電動工具のメンテナンスデータにアクセスすることができる。この工具データにより、ユーザは、電動工具装置102がどのように使用されてきたか、メンテナンスが推奨されているか、又は過去に実施されてきたかどうかを特定し、誤作動しているコンポーネント又はある特定の性能問題の他の理由を識別することができる。外部装置108はまた、電動工具構成のためのデータを電動工具装置102に送信し、ファームウェアを更新し、又はコマンド(例えば、作業灯の点灯)を送信することができる。外部装置108はまた、ユーザが電動工具装置102のための動作パラメータ、安全パラメータを設定し、ツールモードなどを選択することを可能にしている。
【0013】
外部装置108は、例えば、(図示のような)スマートフォン、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、又は電動工具装置102と無線通信し、ユーザインターフェースを提供することが可能な別の電子装置であってもよい。外部装置108は、ユーザインターフェースを提供し、ユーザが工具情報にアクセスし、相互作用することを可能にする。外部装置108は、動作パラメータを決定し、機能を有効化又は無効化するなどのユーザ入力を受け付けることができる。外部装置108のユーザインターフェースは、ユーザが電動工具の動作を制御及びカスタマイズするのに使い易いインターフェースを提供する。
【0014】
外部装置108は、電動工具装置102の無線通信インターフェース又はモジュールに対応した通信インターフェースを備える。外部装置108の通信インターフェースは、無線通信コントローラ(例えば、Bluetooth(登録商標)モジュール)、又は同様のコンポーネントを含んでいてもよい。外部装置108は、したがって、電動工具装置102に関連するデータへのアクセスをユーザに許可し、ユーザが電動工具装置102のコントローラと相互作用することができるようにユーザインターフェースを提供する。
【0015】
加えて、
図1に示すように、外部装置108はまた、電動工具装置102から取得された情報を、ネットワーク114によって接続されたリモートサーバ112と共有することもできる。リモートサーバ112は、外部装置108から取得されるデータを格納するため、ユーザに追加の機能及びサービスを提供するため、又はそれらの組み合わせのために用いられてもよい。一実施形態では、リモートサーバ112に情報を格納することにより、ユーザが、複数の異なる場所から情報にアクセスすることが可能になる。別の実施形態では、リモートサーバ112は、様々なユーザから、ユーザの電動工具装置に関する情報を収集し、異なる電動工具から取得された情報に基づいて、ユーザに統計値又は統計的尺度を提供してもよい。例えば、リモートサーバ112は、経験から得られた電動工具装置102の効率、電動工具装置102の典型的な使用法、並びに電動工具装置102の他の関連する特性及び/又は尺度に関する統計値を提供してもよい。ネットワーク114は、例えば、インターネット、セルラーデータネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、又はそれらの組み合わせに接続するための様々なネットワーキング要素(ルータ、ハブ、スイッチ、移動通信用中継塔、有線接続、無線接続等)を含み得る。いくつかの実施形態では、電動工具装置102は、追加の無線通信インターフェースを介して、又は電動工具装置102が外部装置108と通信するために用いるのと同じ無線通信インターフェースで、サーバ112と直接通信するよう構成されてもよい。
【0016】
電動工具装置102は、1つ又は複数の特定のタスク(例えば、穿孔、切断、締結、押圧、潤滑剤塗布、サンディング、加熱、研削、曲げ、成形、インパクト付与、研磨、照明など)を実行するよう構成される。例えば、インパクトレンチは、(例えば、ビットを駆動するために)回転出力を発生させるタスクに関連付けられる。
【0017】
図2は、電動工具装置102の一例であるインパクトドライバ104を示している。インパクトドライバ104は、システム100内で動作する様々なタイプの電動工具を代表したものである。したがって、システム100におけるインパクトドライバ104に関する説明は、インパクト機構を備えた他の電動工具(例えば、インパクトレンチ及びインパクティングアングルドライバ)及び他の適切な電動工具など、他のタイプの電動工具にも同様に適用可能である。
図2に示すように、インパクトドライバ104は、上部本体202と、ハンドル204と、バッテリパック受入部206と、モードパッド208と、出力駆動装置210と、トリガ212と、作業灯217と、正逆セレクタ219とを備える。インパクトドライバ104のハウジング(例えば、本体202及びハンドル204)は、耐久性のある軽量のプラスチック材料で構成される。駆動装置210は、金属(例えば、鋼)で構成される。インパクトドライバ104の駆動装置210は、ソケットである。しかしながら、他の電動工具は、他の電動工具に関連するタスクのために特別に設計された異なる駆動装置210を有することができる。バッテリパック受入部206は、インパクトドライバ104に電力を供給するバッテリパック(例えば、
図1の102b)を受け入れ、結合するよう構成される。バッテリパック受入部206は、バッテリパックを固定する機構と係合する接続構造と、バッテリパックをインパクトドライバ104に電気的に接続する端子台とを備える。モードパッド208は、ユーザがインパクトドライバ104のモードを選択することを可能にし、現在選択されているインパクトドライバ104のモードをユーザに表示する。このことについては後で詳述する。
【0018】
図3Aに示すように、インパクトドライバ104はまた、モータ214を備える。モータ214は、駆動装置210を作動させ、駆動装置210が特定のタスクを実行することを可能にする。一次電源(例えば、バッテリパック)215が、インパクトドライバ104に結合し、モータ214に通電するための電力を供給する。モータ214は、トリガ212の位置に基づいて通電される。トリガ212が押し込まれると、モータ214が通電され、トリガ212が解放されると、モータ214は通電を停止される。図示の実施形態では、トリガ212は、ハンドル204の長さに対して部分的に下方に延びるが、他の実施形態では、トリガ212は、ハンドル204の全長にわたって下方に延びてもよいし、インパクトドライバ104上の他の場所に配置されてもよい。トリガ212は、トリガ212が工具ハウジングに対して移動するようにハンドル204に移動可能に結合される。トリガ212は、トリガスイッチ213と係合可能であるプッシュロッドに結合される(
図3A参照)。トリガ212がユーザによって押し込まれると、トリガ212は、ハンドル204に向けて第1の方向に移動する。トリガ212がユーザによって解放されると、トリガ212は、(例えば、ばねにより)付勢され、ハンドル204から離れる第2の方向に移動するようになっている。トリガ212がユーザによって押し込まれると、プッシュロッドはトリガスイッチ213を作動させ、トリガ212がユーザによって解放されると、トリガスイッチ213は作動を停止する。他の実施形態では、トリガ212は電気トリガスイッチ213に結合される。このような実施形態では、トリガスイッチ213は、例えば、トランジスタを含んでいてもよい。加えて、このような電気トリガスイッチの実施形態の場合には、トリガ212は、機械的スイッチを作動させるプッシュロッドを含まなくてもよい。むしろ、電気トリガスイッチ213は、例えば、工具ハウジング又は電気トリガスイッチ213に対するトリガ212の相対位置に関する情報を中継する位置センサ(例えば、ホール効果センサ)によって作動されてもよい。トリガスイッチ213は、トリガ212の位置を示す信号を出力する。いくつかの例では、信号はバイナリであり、トリガ212が押し込まれたか解放されたかのどちらか一方を示す。他の例では、信号は、トリガ212の位置をより正確に示す。例えば、トリガスイッチ213は、トリガ212が押し込まれる程度に応じて0から5ボルトまで変化するアナログ信号を出力してもよい。例えば、0V出力はトリガ212が解放されたことを示し、1V出力はトリガ212が20%押し込まれたことを示し、2V出力はトリガ212が40%押し込まれたことを示し、3V出力はトリガ212が60%押し込まれたことを示し、4V出力はトリガ212が80%押し込まれたことを示し、そして、5Vはトリガ212が100%押し込まれたことを示す。しかしながら、これらは単なる例に過ぎず、代替的な閾値(及び代替的な閾値の数)が押し込み精度の様々な勾配を提供するために使用されてもよい。トリガスイッチ213によって出力される信号は、アナログであってもデジタルであってもよい。
【0019】
また、
図3Aに示すように、インパクトドライバ104はまた、スイッチングネットワーク216と、センサ218と、インジケータ220と、バッテリパックインターフェース222と、電力入力ユニット224と、コントローラ226と、無線通信コントローラ250と、バックアップ電源252とを備える。バックアップ電源252は、いくつかの実施形態では、コイン形電池バッテリ(
図4)又は他の同様の交換可能な小型の電源を含む。バッテリパックインターフェース222は、コントローラ226に結合され、バッテリパック215に結合される。バッテリパックインターフェース222は、インパクトドライバ104をバッテリパック215とインターフェースする(例えば、機械的、電気的、及び通信可能に接続する)ように構成され、動作可能な機械的な構成要素(例えば、バッテリパック受入部206)と、電気的な構成要素との組み合わせを含む。バッテリパックインターフェース222は、電力入力ユニット224に結合される。バッテリパックインターフェース222は、バッテリパック215から受け取った電力を電力入力ユニット224に伝送する。電力入力ユニット224は、バッテリパックインターフェース222を介して受け取った、無線通信コントローラ250及びコントローラ226への電力を調整又は制御するためのアクティブコンポーネント及び/又はパッシブコンポーネント(例えば、電圧ステップダウンコントローラ、電圧変換器、整流器、フィルタなど)を備える。
【0020】
スイッチングネットワーク216により、コントローラ226は、モータ214の動作を制御することが可能になる。概して、トリガスイッチ213の出力によって示されるようにトリガ212が押し込まれると、電流が、バッテリパックインターフェース222からスイッチングネットワーク216を介してモータ214に供給される。トリガ212が押し込まれない場合、電流は、バッテリパックインターフェース222からモータ214に供給されない。
【0021】
トリガスイッチ213からの作動信号をコントローラ226が受信したことに応じて、コントローラ226は、スイッチングネットワーク216を作動させて、モータ214に電力を供給する。スイッチングネットワーク216は、モータ214が利用できる電流の量を制御し、これにより、モータ214の速度及びトルク出力を制御する。スイッチングネットワーク216は、多数の電界効果トランジスタ(「FET」)、バイポーラトランジスタ、又は他のタイプの電気スイッチを含み得る。例えば、スイッチングネットワーク216は、コントローラ226からパルス幅変調(「PWM」)信号を受信してモータ214を駆動する6-FETブリッジを含んでいてもよい。
【0022】
センサ218は、コントローラ226に結合され、コントローラ226にインパクトドライバ104又はモータ214の様々なパラメータを示す様々な信号を伝達する。センサ218は、例えば1つ又は複数の電圧センサ、1つ又は複数の温度センサ、及び1つ又は複数のトルクセンサなどの他のセンサの中でも、1つ又は複数のホールセンサ218aと、1つ又は複数の電流センサ218bと、1つ又は複数のアンビル位置センサ218cとを備える。各ホールセンサ218aは、モータの回転子の磁石がホールセンサの面を横切って回転する場合の指標(例えば、パルス)などのモータフィードバック情報をコントローラ226に出力する。ホールセンサ218aからのモータフィードバック情報に基づいて、コントローラ226は、回転子の位置、速度、及び加速度を特定することができる。モータフィードバック情報及びトリガスイッチ213からの信号に応じて、コントローラ226は、制御信号を送信して、スイッチングネットワーク216を制御して、モータ214を駆動する。例えば、スイッチングネットワーク216のFETを選択的に有効及び無効にすることによって、バッテリパックインターフェース222から受け取る電力を、モータ214の固定子コイルに選択的に印加してその回転子を回転させる。モータフィードバック情報は、コントローラ226によって用いられて、スイッチングネットワーク216への制御信号の適切なタイミングを確保し、場合によっては、閉ループフィードバックを提供して、モータ214の速度を所望のレベルになるよう制御する。
【0023】
インジケータ220もまたコントローラ226に結合され、コントローラ226から制御信号を受信して、電源をオンにしたりオフにしたりする、又はそれ以外の方法で、インパクトドライバ104の異なる状態に基づく情報を伝達する。インジケータ220は、例えば、1つ又は複数の発光ダイオード(「LED」)又は表示画面を含む。インジケータ220は、インパクトドライバ104の状態、又はインパクトドライバ104に関連付けられた情報を表示するように構成され得る。例えば、インジケータ220は、測定されたインパクトドライバ104の電気的特性、インパクトドライバ104の状態、電動工具のモード(例えば、後で論じるようなモード)などを表示するように構成されてもよい。インパクトドライバ220はまた、可聴の出力又は触覚的な出力を通してユーザに情報を伝達する要素を備えてもよい。
【0024】
上述のように、コントローラ226は、インパクトドライバ104の様々なモジュール又はコンポーネントに電気的及び/又は通信可能に接続される。いくつかの実施形態では、コントローラ226は、コントローラ226及び/又はインパクトドライバ104内のコンポーネント及びモジュールに電力、動作制御、及び保護を提供する複数の電気及び電子コンポーネントを備える。例えば、コントローラ226は、とりわけ、処理ユニット230(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、電子プロセッサ、電子コントローラ、又は別の適切なプログラム可能なデバイス)、メモリ232、入力ユニット234、及び出力ユニット236を備える。処理ユニット230(本明細書では、電子プロセッサ230)は、とりわけ、制御ユニット240と、算術ロジックユニット(「ALU」)242と、複数のレジスタ244(
図3Aでは一群のレジスタとして示されている)とを備える。いくつかの実施形態では、コントローラ226は、レジスタ転送レベル(「RTL」)設計プロセスを通して開発されたチップなどの、半導体(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ[「FPGA」]半導体)チップ上に部分的に又は完全に実装されている。
【0025】
メモリ232は、例えば、プログラム格納区域とデータ格納区域とを含む。プログラム格納区域及びデータ格納区域は、読み取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)(例えば、ダイナミックRAM[「DRAM」]、同期DRAM[「SDRAM」]など)、電気的消去可能なプログラム可能読み取り専用メモリ(「EEPROM」)、フラッシュメモリ、ハードディスク、セキュアデジタル(「SD」)カード、又は他の適切な磁気デバイス、光学デバイス、物理的デバイス、若しくは電子メモリデバイスなど、異なるタイプのメモリの組み合わせを含むことができる。電子プロセッサ230は、メモリ232に接続され、メモリ232(例えば、実行中にRAM232)、ROM232(例えば、一般に永続的に)、又は別のメモリ若しくはディスクなどの別の非一時的コンピュータ可読媒体)に格納されたソフトウェア命令を実行する。インパクトドライバ104の実装形態に含まれるソフトウェアは、コントローラ226のメモリ232に(例えば、プログラム格納区域に)格納され得る。ソフトウェアは、例えば、ファームウェア、1つ又は複数のアプリケーション、プログラムデータ、フィルタ、規則、1つ又は複数のプログラムモジュール、及び他の実行可能命令を含む。コントローラ226は、メモリから、とりわけ、本明細書に記載の制御プロセス及び方法に関する命令を取得し、実行するように構成される。コントローラ226はまた、動作データ、工具のタイプを識別する情報、特定の工具の一意識別子、及びインパクトドライバ104の動作又は維持に関連する他の情報を含む電動工具の情報をメモリ232に格納するように構成される。電流レベル、モータ速度、モータ加速度、モータの方向、インパクトの数などの工具使用情報は、センサ218によって出力されたデータから取り込まれたり推測されたりし得る。そして、このような電動工具の情報は、ユーザによって外部装置108を用いてアクセスされ得る。他の構造では、コントローラ226は、追加的な、より少ない又は異なるコンポーネントを備える。
【0026】
無線通信コントローラ250は、コントローラ226に結合される。図示の実施形態では、空間を節約し、モータ214の磁気活動がインパクトドライバ104と外部装置108との間の無線通信に影響を与えないことを確保するために、無線通信コントローラ250は、インパクトドライバ104の下方付近に配置される(
図2を参照)。特定の例として、いくつかの実施形態では、無線通信コントローラ250はモードパッド208の下に配置される。
【0027】
図3Bに示すように、無線通信コントローラ250は、無線送受信機及びアンテナ254と、メモリ256と、電子プロセッサ258と、リアルタイムクロック(「RTC」)260とを備える。無線送受信機及びアンテナ254は協働して、外部装置108及び電子プロセッサ258に対して無線メッセージを送信及び受信する。メモリ256は、電子プロセッサ258によって実施される命令を格納することができる、且つ/又はインパクトドライバ104と外部装置108などとの間の通信に関連するデータを格納してもよい。無線通信コントローラ250の電子プロセッサ258は、インパクトドライバ104と外部装置108との間の無線通信を制御する。例えば、無線通信コントローラ250に関連付けられた電子プロセッサ258は、到来する及び/又は発信されるデータをバッファリングし、コントローラ226と通信し、無線通信で使用する通信プロトコル及び/又は設定を決定する。
【0028】
図示の実施形態では、無線通信コントローラ250は、Bluetooth(登録商標)コントローラである。Bluetooth(登録商標)コントローラは、Bluetooth(登録商標)プロトコルを採用している外部装置108と通信する。したがって、図示の実施形態では、外部装置108及びインパクトドライバ104は、データを交換する際には、互いの通信範囲内(すなわち、近く)にある。他の実施形態では、無線通信コントローラ250は、異なるタイプの無線ネットワーク上で他のプロトコル(例えば、Wi-Fi(登録商標)、セルラープロトコル、プロプライエタリプロトコルなど)を使用して通信する。例えば、無線通信コントローラ250は、インターネットなどのWAN又はLANを通じてWi-Fi(登録商標)を介して通信するように構成されてもよいし、ピコネットを通じて(例えば、赤外線通信又は近距離通信(「NFC」)を使用して)通信するように構成されてもよい。無線通信コントローラ250を介した通信は、インパクトドライバ104と外部装置/ネットワーク108との間で交換されるデータを第三者から保護するために暗号化されてよい。
【0029】
無線通信コントローラ250は、電動工具コントローラ226からデータを受信して、その情報を送受信機及びアンテナ254を介して外部装置108に中継するように構成される。同様に、無線通信コントローラ250は、送受信機及びアンテナ254を介して外部装置108からの情報(例えば、コンフィギュレーション及びプログラミング情報)を受信して、その情報を電動工具コントローラ226に中継するように構成される。
【0030】
RTC260は、他の電動工具コンポーネントとは独立に時間をインクリメントし且つ維持する。RTC260は、バッテリパック215がインパクトドライバ104に接続されているときにはバッテリパック215から電力を受け取り、バッテリパック215がインパクトドライバ104に接続されていないときにはバックアップ電源252から電力を受け取る。独立して動力供給されるクロックとしてRTC260を有することは、(後にエクスポートするためにメモリ232に格納される)操作データのタイムスタンプ付与及びセキュリティ機能を可能にし、それにより、ロックアウト時間がユーザによって設定され、RTC260の時間が設定されたロックアウト時間を超えると、工具はロックアウトされる。
【0031】
メモリ232は、一意バイナリ識別子(UBID)、情報交換標準コード(American Standard Code for Information Interchange、ASCII)シリアル番号、ASCIIニックネーム、及び小数カタログ番号を含む、インパクトドライバ104の様々な識別情報を格納する。UBIDは、工具のタイプを一意に識別し、且つ各インパクトドライバ104に一意シリアル番号を提供する。いくつかの実施形態では、インパクトドライバ104を一意に識別するための追加的又は代替的な技法が使用される。
【0032】
図4は、モードパッド208のより詳細な図を示している。モードパッド208は、インパクトドライバ104の外面にあり、インパクトドライバ104を異なる操作モード間で切り替えできるようにするユーザインターフェースである。モードパッド208は、モード選択スイッチ290と、モードインジケータ294a~eを有するモードインジケータLEDブロック292とを備え、各モードインジケータ294a~eは、LED296a~e(
図3A参照)のうちの1つと、表示記号298a~e(例えば、「1」、「2」、「3」、「4」、及び無線電波記号)のうちの関連する1つとを含む。LED296が有効にされると、関連する表示記号298が点灯する。例えば、LED296aが有効にされると、(表示記号298aを示す)「1」が点灯する。
【0033】
インパクトドライバ104は、各モードがモードインジケータ294a~eのうちの異なる1つと関連付けられた、5つの選択可能なモード(モード1、モード2、モード3、モード4、及び適応モード)を有する。モード選択スイッチ290は、押し下げのたびに5つの選択可能なモードを通じて循環する押しボタンである(例えば、モード1、モード2、モード3、モード4、適応モード、モード1、モード2など)。適応モードは、表示記号298e(無線電波記号)によって表される。適応モードでは、ユーザは、以下に更に詳細に記載するように、外部装置108を介してインパクトドライバ104を構成することができる。他の実施形態では、インパクトドライバ104は、より多い又はより少ないモードを有し、モード選択スイッチ290は、例えば、スライドスイッチ、回転スイッチなどの、異なるタイプのスイッチであってよい。
【0034】
図5を参照すると、モード1、2、3、及び4はそれぞれ、メモリ232の(モード)プロファイルバンク302に保存された、モードプロファイルコンフィギュレーションデータブロック(「モードプロファイル」)300a~dにそれぞれ関連付けられる。各モードプロファイル300は、(例えば、トリガ212を押し込んだ後に)ユーザによって作動されたときの工具104の動作を定めるコンフィギュレーションデータを含む。例えば、特定のモードプロファイル300は、他の動作特性の中でも、モータの速度、モータを停止させるとき、作業灯217の持続時間及び強度を指定することができる。適応モードは、メモリ232に保存される一時モードプロファイル300eと関連付けられる。同様にメモリ232に格納されるのは、ツール操作データ304であり、ツール操作データ304は、例えば、(例えば、センサ218を介して得られる)インパクトドライバ104の使用に関する情報、インパクトドライバ104のメンテナンスに関する情報、電動工具トリガイベント情報(例えば、トリガが押し込まれたか否か、いつ押し込まれたか、押し込み量)を含む。
【0035】
外部装置108は、コアアプリケーションソフトウェア312と、ツールモードプロファイル314と、一時コンフィギュレーションデータ316と、ツールインターフェース318と、受信されたツール識別子(「ID」)322及び受信されたツール使用データ324を含むツールデータ320(例えば、ツール操作データ)とを格納するメモリ310を備える。外部装置108は、電子プロセッサ330と、タッチスクリーンディスプレイ332と、外部無線通信コントローラ334とを更に備える。電子プロセッサ330及びメモリ310は、インパクトドライバ104のコントローラ226と同様のコンポーネントを有するコントローラの部分であってもよい。タッチスクリーンディスプレイ332は、外部装置108がユーザに視覚データを出力して、ユーザのタッチ入力を受け付けることを可能にする。図示していないが、外部装置108は、更なるユーザ入力装置(例えば、ボタン、ダイヤル、トグルスイッチ、及び音声制御のためのマイクロフォン)と、更なるユーザ出力(例えば、スピーカ及び触覚フィードバック要素)とを備えてもよい。加えて、いくつかの場合では、外部装置108は、タッチスクリーン入力機能のないディスプレイを有し、ボタン、ダイヤル、及びトグルスイッチなどの他の入力装置を介して、ユーザ入力を受け付ける。外部装置108は、例えば、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)プロトコルを使用して、外部無線通信コントローラ334を介して無線通信コントローラ250と無線通信する。外部無線通信コントローラ334は、更に、ネットワーク114を介してサーバ112と通信する。外部無線通信コントローラ334は、ネットワーク114を介して外部装置108と電動工具104の無線通信コントローラ250又はサーバ112との間の無線通信を可能にする少なくとも1つの送受信機を備える。いくつかの場合では、外部無線通信コントローラ334は、2つの別個の無線通信コントローラを含み、1つの無線通信コントローラは、(例えば、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)通信を使用して)無線通信コントローラ250と通信するためのものであり、1つの無線通信コントローラは、(例えば、Wi-Fi(登録商標)又はセルラー通信を使用して)ネットワーク114を介して通信するためのものである。
【0036】
サーバ112は、ネットワークインターフェース342を使用してネットワーク114を介して外部装置108と通信する電子プロセッサ340を備える。ネットワークインターフェース342、ネットワーク114、及び外部無線通信コントローラ334の間の通信リンクは、様々な有線及び無線通信経路、様々なネットワークコンポーネント、及び様々な通信プロトコルを含むことができる。サーバ112は、ツールプロファイルバンク346及びツールデータ348を含むメモリ344を更に備える。
【0037】
外部装置108に戻ると、コアアプリケーションソフトウェア312は、電子プロセッサ330によって実行されて、タッチスクリーンディスプレイ332上にグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成して、ユーザがインパクトドライバ104及びサーバ112と相互作用することを可能にする。いくつかの実施形態では、ユーザは、外部装置108を使用してソフトウェアアプリケーションのリポジトリ(例えば、「アプリストア」又は「アプリマーケットプレイス」)にアクセスして、「アプリ」と呼ばれ得るコアアプリケーションソフトウェア312を特定してダウンロードすることができる。いくつかの実施形態では、ツールモードプロファイル314、ツールインターフェース318、又はその両方は、例えば、「アプリ」をダウンロードすることが、コアアプリケーションソフトウェア312、ツールモードプロファイル314、及びツールインターフェース318をダウンロードすることを含むように、コアアプリケーションソフトウェア312とバンドルされてもよい。いくつかの実施形態では、アプリは、外部装置108上のウェブブラウザを使用してウェブサイトからダウンロードすることなど、他の技法を使用して取得される。以下の説明から明らかになるように、少なくともいくつかの実施形態では、外部装置108上のアプリは、多数の異なるタイプの工具を制御し、アクセスし、且つ/或いは相互作用するための単一のエントリポイントをユーザに提供する。この手法は、例えば、工具の各タイプに、又は関連するタイプの工具の小さなグループに一意のアプリを有することとは対照的である。
【0038】
図6は、タッチスクリーンディスプレイ332上のGUIの「近くのデバイス」の画面350を示している。「近くのデバイス」の画面350は、外部装置108の無線通信範囲内にある電動工具102(例えば、特定の場所にある電動工具)を識別し且つ通信可能にペアリングするために使用される。例えば、ユーザが「スキャン」入力352を選択したことに応じて、外部無線通信コントローラ334は、電動工具102によって使用される無線電波通信スペクトルをスキャンし、無線通信範囲内にあり、アドバタイズしている(例えば、それらのUBID及び他の限定的な情報をブロードキャストしている)任意の電動工具102を識別する。そうすると、アドバタイズしている識別された電動工具102は、「近くのデバイス」の画面350に列挙される。
図6に示すように、スキャンに応じて、アドバタイズしている3つの電動工具102(アドバタイズしているツール354a~c)が、識別されたツールリスト356に列挙される。いくつかの実施形態では、電動工具102が既に異なる外部装置と通信可能にペアリングされている場合、電動工具102はアドバタイズしておらず、よって、電動工具102が外部装置108の近く(無線通信範囲内)にあるとしても、識別されたツールリスト356には列挙されない。外部装置108は、接続可能な状態にある工具354とペアリングされるように動作可能である。外部装置108は、アドバタイズしている工具354が接続可能な状態にあるか或いはアドバタイズしている状態にあるかについての、識別されたツールリスト356において視覚的状態表示358を提供する。例えば、工具の視覚的状態表示358は、工具が接続可能な状態にあるときには1つの色で表示され、工具が接続可能な状態にないときには他の色で表示されてもよい。工具354から受信されるUBIDは、各工具354の工具タイプを識別するために外部装置108によって使用され、それぞれの視覚的状態表示358は、工具のタイプに関連付けられたアイコン又はサムネイル画像(例えば、アドバタイズしている工具354aに関して示すように、Wi-Fi(登録商標)アイコンが重なったインパクトドライバのサムネイル画像)を含んでもよい。
【0039】
「近くのデバイス」の画面350から、ユーザは、識別されたツールリスト356から工具354の1つを選択して、選択された工具354と通信可能にペアリングすることができる。外部装置108が通信することができる各タイプの電動工具354は、ツールインターフェース318内に格納された関連するツールグラフィカルユーザインターフェース(ツールインターフェース)を含む。通信可能にペアリングされると、コアアプリケーションソフトウェア312は、(例えば、UBIDを使用して)ツールインターフェース318にアクセスして、ペアリングされるツールのタイプについての適用可能なツールインターフェースを取得する。次に、タッチスクリーンディスプレイ332は、適用可能なツールインターフェースを示す。ツールインターフェースは、ユーザがツール操作データを取得すること、ツールを設定すること、又はそれらの両方を行うことを可能にする、一連の画面を含む。ツールインターフェースのいくつかの画面及びオプションは、異なるツールタイプの多数のツールインターフェースに共通するが、一般に、各ツールインターフェースは、関連付けられたツールのタイプに特有な画面及びオプションを含む。インパクトドライバ104では、ユーザ入力ボタン、トリガ、スイッチ、及びダイヤルのための空間が限られている。しかしながら、外部装置108及びタッチスクリーンディスプレイ332は、インパクトドライバ104の操作を変更するために、インパクトドライバ104に追加的な機能性及びコンフィギュレーションをマップする能力をユーザに提供する。よって、事実上、外部装置108は、インパクトドライバ104のための拡張されたユーザインターフェースを提供し、工具上の物理的なユーザインターフェースコンポーネントを通じて他の方法で可能であったり望ましかったりするものよりも更に進んだ、インパクトドライバ104のカスタマイズ及びコンフィギュレーションを提供する。拡張されたユーザインターフェースの態様及び利益を更に説明する例を以下に示す。
【0040】
図7は、電動工具104がインパクトドライバであるときのツールインターフェースのホーム画面370を示している。ホーム画面370は、Wi-Fi(登録商標)アイコンが重なっていない状態でリスト356に示すサムネイル又はアイコン358と同じであってよい、特定のペアリングされた電動工具(例えば、インパクトドライバ104)についてのアイコン371を含む。ホーム画面370はまた、ユーザが外部装置108とペアリングされたインパクトドライバ104との間の通信可能なペアリングを解除できるようにする切断入力372も含む。ホーム画面370は、4つの選択可能なオプション、すなわち、ツールコントロール374、プロファイルの管理376、ツールの識別378、及び工場出荷時の設定にリセット379を更に含む。ツールの識別378を選択することにより、ペアリングされた電動工具104が、作業灯217を点滅させること、インジケータ220の光、LED296を点滅させること、インジケータ220のスピーカを使用して可聴ビープ音を鳴らすこと、及び/又はモータ214を使用してツールを振動させることのような、ユーザに知覚可能な表示を提供することを要求するコマンドがペアリングされたインパクトドライバ104に送信される。これにより、ユーザは、外部装置108と通信する特定の工具を識別することができる。
【0041】
ツールコントロール374を選択することにより、頂部380a及び底部380bを含む、
図8A及び
図8Bのコントロール画面380などのツールインターフェースのコントロール画面が表示される。一般に、表示されるコントロール画面は、特定のタイプのプロファイルに依存する。換言すれば、一般に、各タイプのモードプロファイルは、特定のコントロール画面を有する。各コントロール画面は、まとめて見たときにモードプロファイルを形成する、特定のカスタマイズ可能なパラメータを有する。外部装置108上に表示される特定のコントロール画面は、ツールコントロール374の選択後では、インパクトドライバ104の現在選択されているモードプロファイル(例えば、モードプロファイル300a~eのうちの1つ)である。このために、ツールコントロールオプション374の選択後、外部装置108は、インパクトドライバ104に対してモードプロファイル300a~eのうちの現在選択されているモードプロファイルを要求して受信する。外部装置108は、モードプロファイル300a~eのうちの選択されたモードプロファイルのモードプロファイルタイプを認識し、そのモードプロファイルタイプに適切なコントロール画面を生成し、受信されたモードプロファイル300からの設定にしたがって様々なパラメータ設定を入力する。
【0042】
インパクトドライバ104が適応モードで動作するとき、外部装置108のコントロール画面380に表示されている現在選択されているモードプロファイルは、一時モードプロファイル300eとして外部装置108に格納される。加えて、インパクトドライバ104が適応モードにあるとき、インパクトドライバ104は、一時モードプロファイル300eにしたがって動作する。一時モードプロファイル300e内のプロファイルデータのソース(及びコントロール画面380上に表示されているもの)は変化する。最初に、モード選択スイッチ290を介して適応モードに入った後、(モード1と関連付けられる)モードプロファイル300aは、インパクトドライバ104の一時モードプロファイル300eにコピーされる。よって、ユーザがモード選択スイッチ290を使用してインパクトドライバ104を適応モードに入らせた後に、インパクトドライバ104は、最初に、トリガを引かれると、あたかもモード1(モードプロファイル300a)が現在選択されているかのように動作する。加えて、コントロール画面380が一時モードプロファイル300eとして保存されたモードプロファイルを表示すると、一時モードプロファイル300eにコピーされたばかりのモードプロファイル300aに関連する情報(モードプロファイルタイプ及びモードプロファイルパラメータ)がコントロール画面380上に示される。
【0043】
いくつかの実施形態では、最初に適応モードに入り、コントロール画面380に入力するために外部装置108に(一時モードプロファイル300eとして)提供されると、別のモードプロファイル300(例えば、300b~d)が一時モードプロファイル300eにコピーされる。更に他の実施形態では、ツールコントロール374を選択すると表示されるコントロール画面380は、特定のタイプの工具のためのデフォルトプロファイルデータを備えるデフォルトコントロール画面であり、外部装置108は、インパクトドライバ104からプロファイルデータを最初に取得しない。これらの場合、デフォルトモードプロファイルはインパクトドライバ104に送信され、一時モードプロファイル300eとして保存される。
【0044】
更に、インパクトドライバ104が適応モードにあると仮定すると、ツールコントロール374の選択後、外部装置108がコントロール画面(例えば、コントロール画面380)を最初にロードした後に、ユーザは、一時ファイルのために新しいプロファイルのソースを選択してもよい。例えば、モードプロファイルボタン400のうちの1つ(例えば、モード1、モード2、モード3、又はモード4)を選択した後に、関連付けられたモードプロファイル300a~dが一時モードプロファイル300eとして保存され、外部装置108に送信され、(モードプロファイルタイプ及びモードプロファイルパラメータにしたがって)コントロール画面に入力される。加えて、インパクトドライバ104が適応モードにあると仮定すると、ユーザは、セットアップセレクタ401を使用してモードプロファイルタイプを選択してもよい。セットアップセレクタ401の選択後、特定のタイプのペアリングされたインパクトドライバ104についての利用可能なプロファイルのリスト(プロファイルリスト)402が示される(例えば、
図9を参照)。プロファイルリスト402は、ツールプロファイル314から及び/又はネットワーク114を介してツールプロファイルバンク346から得られるプロファイル404を含む。これらの列挙されるプロファイル404は、以下により詳細に記載するように、デフォルトプロファイル(カスタム駆動制御プロファイル404a及びコンクリートアンカープロファイル404b)と、ユーザによって以前に生成されて保存されたカスタムプロファイル(例えば、乾式壁ねじプロファイル404c及びデッキモード404d)とを含むことができる。ツールプロファイル404のうちの1つの選択後、選択されたプロファイル404及びそのデフォルトパラメータは、外部装置108のコントロール画面380に示され、現在設定されているようなプロファイル404がインパクトドライバ104に送信され、一時モードプロファイル300eとして保存される。したがって、更にトリガを引いた後に、インパクトドライバ104は、ツールプロファイル404のうちの選択された1つにしたがって動作する。
【0045】
表示記号298e(
図4)が点灯していることによって示されるように、適応モードがインパクトドライバ104で現在選択されているとき、ユーザは、コントロール画面380を使用してインパクトドライバ104を設定する(例えば、一時モードプロファイル300eのパラメータの一部を変更する)ことができる。インパクトドライバ104が、表示記号298a~dのうちの1つによって示されるように、他の4つのツールモードのうちの1つにあるとき、インパクトドライバ104は、コントロール画面380を介して現在設定可能でない。例えば、
図10には、電動工具(例えば、インパクトドライバ104)が現在適応モードにないときのコントロール画面381が示されている。ここで、コントロール画面381は、コントロール画面380と類似するが、電動工具(例えば、インパクトドライバ104)が適応モードにないことを示すメッセージ382を含み、無線記号384が、電動工具(例えば、インパクトドライバ104)が適応モードにないことの更なる表示として、グレーアウトされて示されている。したがって、インパクトドライバ104が適応モードになく、ユーザがモードプロファイルボタン400のうちの1つを選択すると、インパクトドライバ104は、ユーザによって選択された関連付けられたモードのモードプロファイル300を提供するが、選択されたモードプロファイルで一時モードプロファイル300eを上書きしない。よって、インパクトドライバ104のモードプロファイル300は、インパクトドライバ104が適応モードにないときには更新されない。
【0046】
再び
図8A及び
図8Bを参照すると、インパクトドライバ104が適応モードにあり、ユーザがホーム画面上のツールコントロール374を選択すると、ユーザは、ツールインターフェースのコントロール画面を使用してインパクトドライバ104のプロファイルデータを設定することができる。例えば、コントロール画面380を介して、ユーザは、インパクトドライバ104の一時モードプロファイル300eの現在のプロファイルデータを設定することができる。図示のように、ユーザは、速度テキストボックス390又は速度スライダ391を介して始動速度を調整することができ、速度テキストボックス392又は速度スライダ393を介して仕上げ速度を調整することができ、スライダ394を介して速度を低下させるのに必要な回転又はインパクトを変えることができ、スライダ395a、作業灯テキストボックス395b、及び「常時点灯」トグル395cを用いて作業灯持続時間を調整することができ、作業灯輝度オプション396を介して作業灯強度を調整することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、外部装置108及びインパクトドライバ104は、一時モードプロファイル300eのライブ更新を可能にする。ライブ更新を行うときに、パラメータへの変更は、後続の保存ステップ又は作動が外部装置108のGUI上で又は電動工具上でユーザによって行われることを必要とすることなく、コントロール画面380上で行われるため、インパクトドライバ104の一時モードプロファイル300eが更新される。換言すれば、ライブ更新を行うとき、外部装置108は、一時モードプロファイル300eを保存するユーザ入力に応じてというよりもむしろ、パラメータのうちの1つを変更するユーザ入力を受け付けたことに応じて、インパクトドライバ104上の一時モードプロファイル300eを更新する。例えば、
図8Aに関して、インパクトドライバ104の始動速度は毎分2900回転(RPM)に設定される。ライブ更新を行うとき、ユーザが、速度スライダ391を横切って自分の指をドラッグして、速度スライダ391を左にスライドさせ、次に、新しい速度に達した後に、外部装置108のタッチスクリーンディスプレイ332から自分の指を離す場合、外部装置108は、新しく選択された始動速度をインパクトドライバ104に送信して、ユーザの指が画面から離されるときに、ユーザによるボタンの更なる押し下げ又は他の作動を必要とすることなく、一時モードプロファイル300eを更新する。ライブ更新は、速度を低下させるのに必要な回転又はインパクト、及び作業灯パラメータなど、コントロール画面380上の他のパラメータにも適用可能である。ライブ更新は、パワーツール(例えば、インパクトドライバ104)の迅速なカスタマイズを可能にするため、ユーザは、より少ないキーの押し下げ回数で、様々なプロファイルパラメータを迅速にテストし且つ調整し得る。ライブ更新とは対照的に、いくつかの実施形態では、速度スライダ391を新しい速度にスライドさせた後、ユーザは、一時モードプロファイル300e上で始動速度パラメータの更新を有効にするために、保存ボタン(例えば、
図10の保存ボタン408)を押さなければならない。
【0048】
ユーザはまた、コントロール画面(例えば、コントロール画面380)を介して設定されたモードプロファイルをインパクトドライバ104に保存することもできる。より詳細には、ユーザは、プロファイルバンク302内のモードプロファイル300a~dのうちの1つを、コントロール画面上で指定されるようなモードプロファイルで上書きすることができる。コントロール画面308を介してユーザによって生成されたモードプロファイルを保存するために、ユーザは、保存ボタン408を選択する。
図11に示すように、保存ボタンを押すことにより、コアアプリケーションソフトウェアに保存プロンプト410を生成させ、保存プロンプト410は、生成されたモードプロファイルに名前を付けることをユーザに要求し、また生成されたモードプロファイルでモードプロファイル300a~dのうちのどれを上書きするのかをモードラベル414のうちの1つを選択することによって指定することをユーザに要求する。(モードラベル414のうちの1つ選択し、保存ボタン412を選択する)ユーザ入力に応じて、外部装置108は、生成されたモードプロファイルをインパクトドライバ104に送信する。電子プロセッサ230は、生成されたモードプロファイルを受信し、ユーザによって上書きするように指定されたプロファイルバンク302中のモードプロファイル300を生成されたモードプロファイルで上書きする。例えば、
図11において、ユーザは、生成されたモードプロファイルに「デッキモード」と名前を付けて、電子プロセッサ230が(モード「1」と関連付けられた)モードプロファイル300aを生成された「デッキモード」モードプロファイルで上書きすることを指定している。いくつかの実施形態では、ユーザは、保存ボタン412を選択する前に多数のモードラベル414を選択することによって、2つ以上のモードプロファイル300a~dを生成されたモードプロファイルで上書きすることを選択することができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、保存ボタン412を選択する前にモードラベル414のいずれも選択しないことによって、モードプロファイル300a~eのいずれも、生成されたモードプロファイルで上書きしないことを選択することができる。そのような実施形態では、生成されたモードプロファイルは、インパクトドライバ104上ではなく、サーバ112上のプロファイルバンク346中に保存される。あるプロファイル(古いプロファイル)を他のプロファイル(新しいプロファイル)で上書きすることは、例えば、古いプロファイルを格納していたメモリ内の場所に新しいプロファイルを格納することにより、古いプロファイルを消去して、メモリ内の古いプロファイルを新しいプロファイルと置換することを含んでもよいし、新しいプロファイルをメモリ内の他の場所に格納して、プロファイルポインタが古いプロファイルを有するメモリ内のアドレスの代わりに新しいプロファイルを有するメモリ内のアドレスを指すよう更新することを含んでもよい。
【0049】
上述のように、いくつかの実施形態では、外部装置108は、インパクトドライバ104が適応モードにない限り、プロファイル300のデータを上書きすることができない(
図10を参照)。この態様は、ユーザがインパクトドライバ104を適応モードに置かない限り、インパクトドライバ104を現在操作しているユーザとは別の潜在的に悪意のある個人がインパクトドライバ104のツールパラメータを調整することを防止する。よって、インパクトドライバ104のユーザは、他者が他の4つのモードのうちの1つにあるインパクトドライバ104を操作することによってパラメータを調整するのを防止することができる。いくつかの実施形態では、この態様を実施するために、ハードウェア又はファームウェアベースのインターロックが、インパクトドライバ104が適応モードにない限り、電子プロセッサ230によるプロファイルバンク302への書き込みを防止する。更に、インパクトドライバ104が動作しているとき、ハードウェア又はファームウェアベースのインターロックは、電子プロセッサ230によるプロファイルバンク302への書き込みを防止する。電子プロセッサ230は、トリガ212の押し込み又はモータが回転していることを示すホールセンサからの出力に基づいて、インパクトドライバ104が動作していることを検出し得る。よって、インパクトドライバ104が適応モードにあるときでさえも、インパクトドライバ104が現在動作している場合、電子プロセッサ230は、インパクトドライバ104が適応モードにあり、外部装置108が(例えば、ユーザが保存ボタン408を選択したことに応じて)生成されたプロファイルをインパクトドライバ104に伝達するときでさえも、プロファイルバンク302を更新せず、或いはプロファイルバンク302に書き込まない。
【0050】
更に、いくつかの実施形態では、電子プロセッサ230は、無線通信コントローラ250を介して、インパクトドライバ104が現在動作しているか否かを示す信号を外部装置108に出力する。そうすると、外部装置108は、無線記号384が(例えば、赤色に)色を変更する又は点滅することと、インパクトドライバ104が現在作動しているときのメッセージを表示することとのうちの少なくとも一方を通じて、ユーザに指示を提供する。更に、インパクトドライバ104が現在動作しているという表示を外部装置108が受信した場合、コントロール画面を介してパラメータを更新する機能は、
図10のコントロール画面381と同様に防止される。
【0051】
図7に戻ると、ホーム画面370上で工場出荷時の設定にリセット379を選択することにより、外部装置108は、ツールモードプロファイル314から又はサーバ112上のツールプロファイルバンク346からデフォルトモードプロファイルを取得し、デフォルトプロファイルをインパクトドライバ104に提供し、そうすると、インパクトドライバ104はプロファイルバンク302をデフォルトモードプロファイルで上書きする。
【0052】
ホーム画面370は、ツールインターフェース318のすべて、多く、又はいくつかについてルックアンドフィールが類似していてもよいが、アイコン371は、外部装置108がペアリングされる特定の電動工具に基づいて特定のツールインターフェースに関してカスタマイズされ得る。更に、アイコンの下に列挙されるオプションは、「データを取得する」オプションを加えてよく、「データを取得する」オプションは、ユーザが外部装置108上での表示のための工具からの操作データを選択し且つ取得すること及び/又はツールデータ348の部分としての格納のためにサーバ112に送信することを可能にする。加えて、特定の工具が外部装置108によって設定されることが意図されない場合、ツールコントロール374及びプロファイルの管理376オプションは、ホーム画面370に含まれなくてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、モード選択スイッチ290とは別個の適応モードスイッチがインパクトドライバ104に設けられる。例えば、LED296e(
図3A)は、組み合わせLED-押しボタンスイッチであってよく、それにより、組み合わせLED-押しボタンスイッチを最初に押した後、インパクトドライバ104は適応モードに入り、組み合わせLED-押しボタンスイッチを2回目に押した後、インパクトドライバ104は、インパクトドライバ104が最初の押し下げの前にあったモード(例えば、モード1)に戻る。この場合、モード選択スイッチ290は、モード1~4を循環してもよいが、適応モードは循環しない。更に、トリガを引くこと及び/又は特定の位置(例えば、ニュートラル位置)に正逆セレクタ219を配置することの特定の組み合わせにより、インパクトドライバ104を適応モードに入れたり適応モードから出したりすることができる。
【0054】
モードプロファイル(例えば、プロファイル300)の概念に戻ると、モードプロファイル300は、1つ又は複数のパラメータを含む。例えば、
図8A及び
図8Bに戻ると、図示のモードプロファイルは、コンクリートアンカープロファイルであり、以下のパラメータ、すなわち、始動速度、仕上げ速度、速度を低下させるのに必要な回転又はインパクト、及び複数の作業灯パラメータを有する。外部装置108のコントロール画面上でのカスタマイズのために利用可能な特定のパラメータは、モードプロファイルタイプに基づいて変わる。
【0055】
ツールインターフェース318のコントロール画面は、ユーザが特定のパラメータに関して入力できる値に対して制限値を設けている。例えば、
図8Aでは、始動速度は、第1の事前に規定された閾値を超えて、又は第2の事前に規定された閾値未満には設定できない(例えば、2900RPMの最大閾値未満、又は360RPMの最小閾値未満には設定できない)。インパクトドライバ104は、例えば、メモリ232に格納されて、電子プロセッサ230によって実行されるファームウェア内に制限値チェックモジュールを更に含む。プロファイルバンク302内に保存するために外部装置108から新しいプロファイルを受信するとき、制限値チェックモジュールは、各機能の各パラメータが最大及び最小の制限値(又は閾値範囲)内にあること又はさもなければ特定のパラメータのための有効な値であることを確認する。例えば、制限値チェックモジュールは、コンクリートアンカープロファイルのために設定される始動速度が第1の事前に規定された閾値と第2の事前に規定された閾値との範囲(例えば、360RPM~2900RPM)内にあることを確認する。いくつかの場合では、制限値チェックモジュールは、電動工具の現在のプロファイルの機能のパラメータ値が、トリガを引くごとに許容可能な制限値内にあることを確認する。制限値チェックを実行するために、ファームウェアは、例えば表に格納された、各機能のパラメータ並びに適用可能な最大及び最小の閾値(又は制限値)のリストを含んでよく、電子プロセッサ230は、表データとの比較を実行して、パラメータ値が許容可能な制限値内にあるか否かを判定するように動作可能である。制限値チェックモジュールは、悪意を持って生成された又は壊されたプロファイル、機能、及びパラメータ値から保護する追加的なセキュリティ層を提供する。
【0056】
パラメータ値が許容可能な範囲外にあると制限値チェックモジュールによって判定された後、コントローラ226は、(タッチスクリーンディスプレイ332上にテキストで表示され得る)エラーを示す警告メッセージを外部装置108に出力し、インジケータ220を駆動させ、LED296a~eのうちの1つ又は複数を駆動させ、モータを振動させ、或いはそれらの組み合わせを行うように動作可能である。
【0057】
ツールインターフェース318のいくつかのコントロール画面には、パラメータ支援ブロックが設けられる。パラメータ支援ブロックは、作業因子入力を含み、作業因子入力は、ユーザが、電動工具の動作対象のワークピースに関する詳細(例えば、材料のタイプ、厚さ、及び/又は硬度)、電動工具によって駆動される締結具に関する詳細(例えば、材料のタイプ、ねじの長さ、ねじの直径、ねじのタイプ、及び/又はねじ頭のタイプ)、並びに/或いは電動工具の出力ユニットに関する詳細(例えば、鋸ブレードのタイプ、鋸ブレード歯の数、ドリルビットのタイプ、及び/又はドリルビットの長さ)を指定することを可能にする。例えば、コンクリートアンカープロファイルコントロール画面380は、
図8A及び
図8Bに示すように、パラメータ支援ブロック805を含む。パラメータ支援ブロック805は、作業因子入力を含み、作業因子入力は、ユーザが、アンカーのタイプ(例えば、ウェッジ又はドロップイン)、アンカーの長さ、アンカーの直径、及びコンクリートの強度(例えば、ポンド毎平方インチ(PSI))を指定することを可能にする。例えば、パラメータ支援ブロック805を選択することによって、パラメータ支援画面が生成され、ユーザは、パラメータ支援画面上で、タッチスクリーンディスプレイ332を使用して値を循環させることによって、作業因子入力のそれぞれを指定することができる。作業因子入力の入力完了後、外部装置108は、プロファイルのパラメータを調整する。例えば、
図8A及び
図8Bでは、速度パラメータを低下させるために必要な始動速度パラメータ、仕上げ速度パラメータ、及び回転(又は、様々な実施形態において、インパクト)の値は、パラメータ支援ブロック805の作業因子入力に基づいて外部装置108によって調整される。必要に応じて、ユーザは(例えば、
図8A及び
図8Bに示すGUI上のスライダを使用して)パラメータの一部又は全部を更に調整することができる。異なるパラメータ支援ブロックが、異なるプロファイルタイプのために設けられ、各パラメータ支援ブロックは、特定のプロファイルタイプに適切な作業因子入力を含んでよい。更に、コントロール画面380上のパラメータの1つ又は複数の制限値(又は閾値)は、パラメータ支援ブロック805の作業因子入力に基づいて外部装置108によって調整されてよい。例えば、始動速度パラメータに関してユーザによって選択可能な最大速度は、パラメータ支援ブロック805のコンクリート強度入力に基づいて調整されてよい。
【0058】
図8Aに示すように、コンクリートアンカープロファイルのパラメータは、単一のツール操作(締結)の異なる段階(又はゾーン)で適用可能である同じパラメータタイプ(モータ速度)の2つのユーザ調整可能パラメータを含む。例えば、コンクリートアンカープロファイルでは、コントロール画面380は、締結動作の始動段階及び駆動段階中の始動モータ速度並びに締結動作の最終/仕上げ段階中の仕上げ速度を指定するユーザの選択を受け付けるように動作可能である。コントローラ226は、以下により詳細に説明するように、締結動作の異なる段階がいつ起こり、異なる段階の間でいつ移行するかを判定する。いくつかの実施形態では、コンクリートアンカープロファイルの様々な段階において、コントローラ226は、トリガ212が少なくとも部分的に押し込まれている限り、トリガ212の押し込み量とは無関係にユーザが選択した速度でモータ214を駆動する。換言すれば、様々な実施形態によれば、モータ214の速度は、トリガ212の押し込み量に基づいて変化しない。他の実施形態では、コンクリートアンカープロファイルにおいてユーザが選択した速度は、最大速度値として扱われる。したがって、これらの実施形態では、モータ214の速度は、トリガ212の押し込み量に基づいて変化するが、コントローラ226は、モータ214が様々な段階についてユーザが選択した速度を超えないことを確保する。
【0059】
コンクリートアンカープロファイルは、コンクリート内にアンカーを打ち込むためにインパクトドライバ104を使用する場合など、石工事の用途での使用のためにインパクトドライバ104で実施され得る。コンクリートアンカープロファイルを使用することにより、コンクリートアンカー間の再現性を改善することができ、またトルクのかけ過ぎ又は打ち込み速度の出し過ぎによるアンカーの破損を(例えば、アンカーが打ち継ぎ目内に入ったことを検知することにより)減らすことができる。いくつかの他の打ち込み用途とは異なり、コンクリートに打ち込む場合、インパクトドライバ104は、ほぼすぐにインパクト印加を開始し得る。したがって、アンカーが打ち継ぎ目内に入ったか否かは、インパクトドライバ104がインパクト印加を開始したときの検出だけでは判定することができない(すなわち、インパクトドライバ104は動作全体にわたってインパクト印加し得るため)。コンクリートアンカープロファイルにより、コントローラ226は、アンカーが打ち継ぎ目内に入ったことを検出し、これに応じて、モータ速度を仕上げ速度に低下させることができる。
【0060】
特に、コンクリートアンカープロファイルで動作するとき、コントローラ226は、最初に、ユーザによって設定された始動速度で動作するようにモータ214を制御することができる。次いで、コントローラ226は、以下により詳細に説明するように、モータ214の回転の特性を監視し、インパクトドライバ104でインパクト印加が行われているか否かを判定する。特定のモータ回転特性が検出された後、コントローラ226は、モータ214を低速(すなわち、仕上げ速度)で動作させるように制御する。いくつかの実施形態では、外部装置108は、仕上げ速度が始動速度未満であるように制限する。例えば、コントロール画面380aで始動速度が2000RPMに設定される場合、外部装置108は、仕上げ速度が2000RPM以上の値に設定されることを防止し得る。
【0061】
コントローラ226は、出力駆動装置210の推定位置を計算する角度検出方法に基づいて、モータ214の速度を調整する。例えば、コントローラ226は、例えば、加速度の変化、瞬間的な電流の量若しくは電流の変化、マイクを用いたインパクト音、加速度計を用いたインパクト振動の検出に基づいて、インパクトドライバ104でインパクト印加が行われたことを検出する。コントローラ226は、インパクト検出されるたびにコントローラ226がインクリメントするインパクトカウンタ(例えば、メモリ232上のソフトウェアの実行によって実施される)を使用してもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ226は、ホールセンサ218aのうちの1つ又は複数を使用して、各インパクトが発生したときのシャフトの回転位置を含むモータ214のシャフトの回転位置を監視する。いくつかの実施形態では、コントローラ226は、アンビル回転センサ218cを使用して、駆動装置210の回転位置を監視する。
【0062】
図12A及び
図12Bは、インパクトドライバ104のインパクト機構の一例であるインパクト機構1200を示している。インパクトドライバ104のインパクト機構1200の設計に基づいて、モータ214は、インパクト間で少なくとも所定の度数(すなわち、インパクト機構1200の場合は180度)回転する。インパクト機構1200は、外側に延びるラグ1207を有するハンマー1205と、外側に延びるラグ1215を有するアンビル1210とを備える。アンビル1210は、出力駆動装置210に結合される。いくつかの実施形態では、出力駆動装置210は、別の出力シャフトを駆動するギヤボックスとインターフェースするためのギヤボックス出力を備える。
図12A及び
図12Bは、ヘリカルベベルギヤボックス出力を示しているが、ストレートベベル、スパイラルベベルなど、他のタイプのギヤボックス出力が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ギヤボックス出力は省略され、出力駆動装置210は直接ワークピースとインターフェースする。例えば、出力駆動装置210は、
図2に示すようなソケット、チャック、又は他の適切なタイプのワークピースインターフェースであってもよい。動作中、アンビル1210がある量の抵抗に遭遇したとき、例えば締結具をワークピースに打ち込むとき、インパクト印加が行われる。この抵抗があった場合、ハンマー1205は回転を続ける。ハンマー1205の背面側に結合されたばねにより、ハンマー1205は軸方向に後退してアンビル1210から係脱する。係脱されると、ハンマー1205は、軸方向及び回転方向の両方に前進して、アンビル1210に再び係合する(すなわち、インパクト印加する)。インパクト機構1200を動作させると、ハンマーラグ1207がアンビルラグ1215に180度ごとにインパクト印加する。したがって、インパクトドライバ104がインパクト印加する場合、ハンマー1205はアンビル1210を伴わずに180度回転し、アンビル1210にインパクト印加し、その後アンビル1210と共にある量回転した後にこの工程を繰り返す。インパクト機構1200の機能についての詳細については、例えば、2014年3月14日出願の米国特許出願第14/210,812号明細書で論じられたインパクト機構を参照されたく、同米国特許出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。180度ごとにアンビルラグ1215にインパクト印加する2つのハンマーラグ1207が示されているが、様々な実施形態によれば、2つ以上のハンマーラグ1207を使用することができ、これにより分離角度が変わる(例えば、120度ごとにアンビルラグ1215にインパクト印加する3つのハンマーラグ)。
【0063】
コントローラ226は、ホールセンサ218aのうちの1つ又は複数を用いてインパクト間のモータ214のシャフトの回転角度を監視することにより、又はアンビル位置センサ218cを用いてアンビル位置を監視することにより、ハンマー1205とアンビル1210とがどの程度一緒に回転したかを求めることができる。例えば、インパクトドライバ104がより軟らかい打ち継ぎ目にアンカーを打ち込む場合、ハンマー1205はインパクト間で225度回転し得る。この225度の例では、45度の回転はハンマー1205とアンビル1210とが互いに係合した状態を含み、180度の回転はハンマーラグ1207が再びアンビル1210にインパクト印加する前にハンマー1205のみが回転する状態を含む。
図13~
図16は、動作の異なる段階におけるハンマー1205及びアンビル1210のこの例示的な回転を示している。
【0064】
図13A及び
図13Bは、それぞれ、第1のタイミング(例えば、ハンマーラグ1207A、1207Bがアンビル1210のラグ1215から係脱した直後(すなわち、ハンマー1205及びアンビル1210の双方によるインパクト印加及び係合回転が生じた後))におけるアンビル1210及びハンマー1205の回転位置を示している。
図13Aは、第1のタイミングにおけるアンビル1210の第1の回転アンビル位置を示している。
図13Bは、第1のタイミング(例えば、ハンマーラグ1207A及び1207Bがアンビル1210から軸方向に後退し始めたとき)におけるハンマー1205の第1の回転ハンマー位置を示している。ハンマー1205が軸方向に後退してアンビル1210から係脱した後、ハンマー1205は(
図13Bの矢印で示すように)回転を続ける一方、アンビル1210は第1の回転アンビル位置に留まる。
図14A及び
図14Bは、それぞれ、第2のタイミング(例えば、第1のインパクトの瞬間)におけるアンビル1210及びハンマー1205の回転位置を示している。
図14Aに示すように、アンビル1210は、第2のタイミングにおいて第1の回転アンビル位置に留まる。
図14Bに示すように、ハンマー1205は、第2の回転ハンマー位置まで180度回転している(
図14Bの矢印、及び
図13Bから
図14Bへのハンマーラグ1207A及び1207Bの位置の変化で示すように)。
【0065】
ハンマーラグ1207A及び1207Bとアンビルラグ1215との間のインパクト時に、ハンマー1205とアンビル1210とは(
図15A及び
図15Bの矢印で示すように)同じ回転方向に一緒に回転し、これにより、例えばコンクリートにアンカーを打ち込むために出力駆動装置210に供給されるトルクが発生する。
図15A及び
図15Bは、それぞれ、第3のタイミング(例えば、ハンマー1205が軸方向に後退して再びアンビル1210から係脱した後)におけるアンビル1210及びハンマー1205の回転位置を示している。一例として、
図15A及び
図15Bでは、第3のタイミングにおいて、ハンマー1205は第3の回転ハンマー位置にあり、アンビル1210は駆動角度1505で示すように第1の回転アンビル位置から約45度離れた第2の回転アンビル位置にある。駆動角度1505は、出力駆動装置210がイベント間で回転した度数に対応する、アンビル1210がイベント間(例えば、移動のない期間の間又はインパクト間)で回転した度数を示している。
【0066】
上記のように、ハンマー1205がアンビル1210から係脱した後、ハンマー1205は(
図16Bの矢印で示すように)回転し続ける一方、アンビル1210は同じ回転位置に留まる。
図16A及び
図16Bは、それぞれ、第4のタイミング(例えば、第2のインパクトの瞬間が発生している)におけるアンビル1210及びハンマー1205の回転位置を示している。
図16Aに示すように、アンビル1210は、第4のタイミングにおいて第2の回転アンビル位置に留まる。
図16Bに示すように、ハンマー1205は、第3の回転ハンマー位置から第4の回転ハンマー位置まで180度回転している。
図14B(すなわち、第1のタイミング(例えば、第1のインパクトの瞬間が発生したとき))に対して、ハンマー1205は225度回転している(すなわち、前回のインパクトの後、アンビル1210と係合した状態で45度、アンビル1210から係脱した状態で180度)。上記の例示的な目的のために具体的な回転の度数が使用されているが、具体的な回転の度数は変わり得ることを理解されたい。
【0067】
前述のように、コントローラ226は、インパクトがいつ発生するかを監視してもよく、モータ214のシャフトの位置を監視してもよい。この情報を用いて、コントローラ226は、出力駆動装置210が経た駆動角度1505(すなわち、出力駆動装置210が回転した度数)を求めることができる。例えば、コントローラ226は、各インパクトが発生したときを検出し、シャフトの回転位置を記録してもよい。その後、コントローラ226は、インパクト間でシャフトが回転した度数を求めることができる。コントローラ226は、シャフトが回転した度数から180度を減じて、出力駆動装置210が経た駆動角度1505を計算することができる。
【0068】
これにより、計算された駆動角度1505は、アンカーが打ち込まれている打ち継ぎ目の特性を示し、モータ214を制御するために使用され得る。例えば、駆動角度1505が小さいほど打ち継ぎ目が硬く(すなわち、硬い打ち継ぎ目の方が軟かい打ち継ぎ目よりもアンカーの回転が小さい)、逆の場合も同じである。よって、小さい駆動角度(例えば、10度未満)は、アンカーが着座しており、もはやコンクリートに打ち込まれる必要がないことを示し得る。したがって、所定の回数を超えるインパクトにおいて駆動角度1505が所定の角度閾値(例えば、10度)未満である場合、コントローラ226は、モータ214を低速で動作するように制御してもよいし、モータ214をオフにしてもよい。
【0069】
先に述べたように、また
図8A及び
図8Bに示すように、GUIのコントロール画面380において、コンクリートアンカープロファイルは、ユーザから、アンカーのタイプ(例えば、ウェッジ又はドロップイン)、アンカーの長さ、アンカーの直径、及びコンクリートの強度(例えば、ポンド毎平方インチ(PSI))のうちの1つ又は複数を受け付けるためのパラメータ支援ブロック805を含む。外部装置108は、パラメータ支援ブロック805においてユーザ入力を受け付けたことに応じて、コンクリートアンカープロファイルのパラメータ(例えば、始動速度、仕上げ速度、速度を低下させるために必要な回転又はインパクトの数)を調整する。外部装置108は、パラメータ支援ブロック805におけるユーザ入力に対応するパラメータ値を含むルックアップテーブルを用いて、パラメータを調整してもよい。必要に応じて、ユーザは(例えば、
図8A及び
図8Bに示すGUI上のスライダを使用して)先に説明したように各パラメータを更に調整することができる。加えて、ユーザは、先に説明したように、コントロール画面380bで作業灯のパラメータを調整することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、
図8Aのコントロール画面380上でユーザによって選択可能な最大始動速度(例えば、2900RPM)は、コントローラ226のインパクトを検出する能力に基づいて決定される。例えば、高速時には、インパクトによって生じるモータ加速度の変化は認識できるほど大きくないため、コントローラ226はインパクトが発生していることを検出できない場合がある。よって、ユーザによって選択可能な最大始動速度は、ユーザがコントロール画面380に表示される最大始動速度を選択してもコントローラ226が依然としてインパクトを検出できるように十分に低く設定されてもよい。
【0071】
更に、様々な実施形態において、仕上げ速度はユーザによって調整可能ではない。むしろ、仕上げ速度は、パラメータ支援ブロック805の作業因子入力に基づいて外部装置108によって設定される。加えて、外部装置108は、パラメータ支援ブロック805におけるユーザ入力に基づいて駆動角度閾値パラメータを決定してもよい。駆動角度が駆動角度閾値未満である場合、コントローラ226は、以下でより詳細に説明するように、インパクトのカウントを開始することができる。インパクトドライバ104は、例えば、上述した外部装置108に対するユーザの保存操作に応じて、指定されたパラメータを含むコンクリートアンカープロファイルを受信する。
【0072】
図17は、インパクトドライバ104でコンクリートアンカープロファイルを実施する方法1700のフローチャートを示している。ブロック1702において、無線通信コントローラ250は、コンクリートアンカープロファイルのパラメータを外部装置108から受信する。例えば、パラメータは、例えば
図8A及び
図8Bに関して本明細書で先に説明したように設定され提供されるコンクリートアンカープロファイルの一部として受信される。ブロック1705において、コントローラ226は、トリガ212が押し込まれたと判定し、本明細書で先に説明したように、モータ214を始動させる。ブロック1710において、コントローラ226は、モータ速度を始動速度(すなわち、第1の速度)に設定する(又は、本明細書で先に説明したように最大速度を始動速度として設定した状態でトリガ212が押し込まれた量に応じてモータ速度を設定する)。ブロック1715において、コントローラ226は、本明細書で先に説明したように、インパクトドライバ104がインパクト印加しているか否かを判定するために、モータ特性を監視する。インパクトドライバ104がインパクト印加していない場合、方法1700はブロック1715に留まり、コントローラ226はインパクトドライバ104がインパクト印加しているか否かを判定するためにモータ特性の監視を継続する。つまり、方法1700は、インパクト工具がインパクト印加するまで、ブロック1715でループし得る。コントローラ226が、インパクトドライバ104がインパクト印加していると判定した場合、ブロック1720において、コントローラ226は、(例えば、インパクトが検出されるたびにシャフトの回転位置を監視することによって)本明細書で先に説明したように、出力駆動装置210が経る駆動角度1505を計算する。例えば、コントローラ226は、ハンマー1205とアンビル1210との間の第1のインパクト時にモータシャフトの第1の回転モータシャフト位置を求め(例えば、
図14Bのハンマー1205の第2の回転ハンマー位置を参照)、ハンマー1205とアンビル1210との間の第2のインパクト時にモータシャフトの第2の回転モータシャフト位置を求める(例えば、
図16Bのハンマー1205の第4の回転ハンマー位置を参照)ことによって駆動角度1505を計算し得る。次いで、コントローラ226は、モータシャフトの第1の回転モータシャフト位置及び第2の回転モータシャフト位置に基づいて出力駆動装置が経た駆動角度を求め得る。例えば、コントローラ226は、第2の回転モータシャフト位置と第1の回転モータシャフト位置との間の差を求めて、所定の角度を減じてもよい。所定の角度は、ある期間(例えば、インパクト間、又はアンビル1210から係脱してからアンビル1210にインパクト印加するまでの期間)の間にハンマー1205が経る回転の量を示してもよい。例えば、
図12A及び
図12Bに示され、
図13A~
図16Bに関して説明したインパクト機構1200を参照すると、所定の角度は180度であり得る。しかしながら、ハンマーがアンビルから係脱してからアンビルにインパクト印加するまでに減る回転の量(そしてつまりは所定の角度)は、所与のインパクト機構のハンマー及びアンビルのラグの数及び位置など、インパクト機構の構成に応じて変わる。例えば、ハンマーが、180度離れた2つのラグではなく、それぞれが90度離れた4つのラグを備え、アンビル1210と共に動作する場合、ハンマーは、180度の回転ではなく、アンビルから係脱してからアンビルにインパクト印加するまでに90度の回転を経る。この例では、所定の角度は90度である。ハンマー及びアンビルには、それぞれ様々な数のラグを使用でき、ハンマーには2個及び4個のラグ、アンビルには2個のラグが単なる例として使用されたものである。
【0073】
ブロック1725において、コントローラ226は、駆動角度1505が駆動角度閾値未満であるか否かを判定する。駆動角度1505が駆動角度閾値未満である場合、ブロック1730において、コントローラ226はインパクトカウンタをインクリメントする(例えば、コントローラ226がメモリ232に格納されたソフトウェアを実行することによって実施される)。ブロック1735において、コントローラ226は、インパクトカウンタが、モータ214が速度を低下させるべきときを示すために設定されたインパクトの数(「インパクトカウンタ閾値」)に等しいか否かを判定する。インパクトカウンタがインパクトカウンタ閾値に等しくない場合、方法1700はブロック1720に戻り、インパクト間の駆動角度1505の計算を継続する。インパクトカウンタがインパクトカウンタ閾値に等しい場合、コントローラ226は、モータ速度を仕上げ速度に設定する。再びブロック1725を参照すると、駆動角度1505が駆動角度閾値以上である場合、方法1700はブロック1745に進む。ブロック1745において、コントローラ226は、インパクトカウンタをリセットし、その後、ブロック1720に戻って、インパクト間の駆動角度1505の計算を継続するように進む。代替的な実施形態では、ブロック1725において駆動角度1505が駆動角度閾値未満ではないとコントローラ226が判定した場合にインパクトカウンタがリセットされないように、ブロック1745は実行されないこともある。このような実施形態では、方法1700は、駆動角度1505が駆動角度閾値未満であると判定されるまで、ブロック1725に留まる。
【0074】
方法1700のブロックは、
図17において順次特定の順序で示されているが、いくつかの実施形態では、ブロックの1つ又は複数が並行して実施されたり、示されたものとは異なる順序で実施されたり、バイパスされたりする。いくつかの実施形態では、インパクトドライバ104は、工具の製造時にパラメータを含むコンクリートアンカープロファイルを受信して格納する(ブロック1702)。いくつかの実施形態では、工具の製造時にブロック1702で受信されるパラメータは、有線接続を介して受信される。加えて、ブロック1725、1730、1735、1740、及び1745は、ブロック1720で求めた駆動角度に基づいてコントローラ226がモータ214を制御する一例である。
【0075】
図18は、インパクトドライバ104の制御を実施する方法1800のフローチャートを示している。ブロック1802において、無線通信コントローラ250は、制御プロファイルのパラメータを外部装置108から受信する。例えば、ブロック1802において、パラメータは、例えば
図8A及び
図8Bに関連して本明細書で先に説明したように設定され提供されるコンクリートアンカープロファイルの一部として受信される。いくつかの実施形態では、パラメータは、モータ始動速度からモータ仕上げ速度への移行に関連付けられた回転の総数を含む。
【0076】
ブロック1805において、コントローラ226は、トリガ212が押し込まれたことを判定し、本明細書で先に説明したように、モータ214を始動させる。ブロック1810において、コントローラ226は、モータ速度を第1の速度(例えば、始動速度)に設定する(又は、本明細書で先に説明したように最大速度を始動速度として設定した状態でトリガ212が押し込まれる量に応じてモータ速度を設定する)。ブロック1815において、コントローラ226は、本明細書で先に説明したように、インパクトドライバ104がインパクト印加しているか否かを判定するために、モータ特性を監視する。インパクトドライバ104がインパクト印加していない場合、方法1800はブロック1815に留まり、コントローラ226はインパクトドライバ104がインパクト印加しているか否かを判定するためにモータ特性の監視を継続する。
【0077】
コントローラ226が、インパクトドライバ104がインパクト印加していると判定した場合、ブロック1820において、コントローラ226は、(例えば、インパクトが検出されるたびにアンビルの回転位置を監視することによって)本明細書で先に説明したように、出力駆動装置210が経る駆動角度1505を計算する。例えば、コントローラ226は、ハンマー1205とアンビル1210との間の第1のインパクト時にアンビルの第1の回転アンビル位置を求め(例えば、
図14Bのハンマー1205の回転位置を参照)、ハンマー1205とアンビル1210との間の第2のインパクト時にアンビルの第2の回転アンビル位置を求める(例えば、
図16Bのハンマー1205の回転位置を参照)ことによって駆動角度1505を計算し得る。次いで、コントローラ226は、第1の回転アンビル位置及び第2の回転アンビル位置に基づいて出力駆動装置が経た駆動角度を求め得る。例えば、コントローラ226は、第2の回転アンビル位置と第1の回転アンビル位置との間の差を求めて、所定の角度を減じてもよい。第1の回転アンビル位置及び第2の回転アンビル位置が使用されているが、様々な実施形態に応じて第1のハンマー位置及び第2のハンマーの位置が代わりに使用されてもよい。所定の角度は、アンビル1210から係脱してからアンビル1210にインパクト印加するまでにハンマー1205が経る回転の量を示してもよい。例えば、
図12A及び
図12Bに示され、
図13A~
図16Bに関して説明したインパクト機構1200を参照すると、所定の角度は180度であり得る。しかしながら、ハンマーがアンビルから係脱してからアンビルにインパクト印加するまでに減る回転の量(そしてつまりは所定の角度)は、所与のインパクト機構のハンマー及びアンビルのラグの数及び位置など、インパクト機構の構成に応じて変わる。例えば、ハンマーが、180度離れた2つのラグではなく、それぞれが90度離れた4つのラグを含み、アンビル1210と共に動作する場合、ハンマーは、180度の回転ではなく、アンビルから係脱してからアンビルにインパクト印加するまでに90度の回転を経る。この例では、所定の角度は90度である。先に説明したように、ラグの数は限定されるものではなく、具体的な値は単なる例として使用されたものである。
【0078】
ブロック1825において、コントローラ226は、駆動角度を累積して、例えば、トリガが押し込まれたときから測定された回転カウントを求める。ブロック1830において、コントローラ226は、回転カウントが回転閾値よりも大きいか否かを判定する。例えば、累積された回転カウントと駆動角度との和が回転閾値を超える場合、ブロック1830の条件が満たされる。回転カウント又は回転閾値のいずれか一方又は両方は、整数値であってもよいし、他の値(例えば、少数値)であってもよいを含んでもよい。回転カウントが回転閾値を超えない場合、方法1800はブロック1820にループして戻り、インパクト間の駆動角度1505の計算を継続する。回転カウントが回転閾値を超える場合、コントローラ226は、ブロック1835においてモータ速度を第2の速度(例えば、仕上げ速度)に設定する。いくつかの実施形態では、仕上げ速度は、所定の数の回転が満たされたときにモータ214の停止を実施するために、プロファイルにおいてゼロに設定されてもよい。
【0079】
方法1800のブロックは、
図18において順次特定の順序で示されているが、いくつかの実施形態では、ブロックの1つ又は複数が並行して実施されたり、示されたものとは異なる順序で実施されたり、バイパスされたりする。いくつかの実施形態では、インパクトドライバ104は、工具の製造時にパラメータを含む制御プロファイルを受信して格納する(ブロック1802)。いくつかの実施形態では、工具の製造時にブロック1802で受信されるパラメータは、有線接続を介して受信される。加えて、ブロック1825、1830、及び1835は、ブロック1820で決定された駆動角度に基づいてコントローラ226がモータ214を制御する一例である。
【0080】
図18の例では、コントローラ226は、累積された回転カウントを用いて、モータ速度を仕上げ速度に低下させるときを判定する。回転カウントの使用は、
図17で説明した駆動角度閾値未満のインパクトの数の手法に代えて、又は組み合わせて採用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラ226は、回転カウントに応じて又は駆動角度閾値に応じてモータ速度を仕上げ速度に低下させる。
【0081】
方法1700、1800はまた、他の締結用途のためにも実施され得る。例えば、方法1700、1800は、木材、乾式壁、又は他の基材にねじ又は他の締結具を締結するために使用されるインパクトドライバ又はレンチで実施され得る。
【0082】
図19Aは、電動工具102のアンビル位置センサ218cを示している。アンビル位置センサ218cは、誘導センサ1905、送信回路トレース1910、第1の受信回路トレース1915、及び第2の受信回路トレース1920を支持する、又はこれらに関連付けられたプリント回路基板1900を備える。誘導センサ1905は、送信回路トレース1910に電流を注入して、磁界を発生させる。
図12に見られるように、アンビル1210は、アンビル1210を回転させるためにハンマー1205上のラグ1207によって係合されるラグ1215を備える。アンビル1210が回転すると、ラグ1215は、送信回路トレース1910への信号の注入により発生した磁界を通過する。アンビル1210のラグ1215には、渦電流が発生する。渦電流は磁場を発生させ、磁場は受信回路トレース1915、1920を通過する。受信回路トレース1915、1920において誘導された電流が、誘導センサ1905によって、受信回路トレース1915、1920に対するアンビルラグ1215の位置を求めるために使用される。
【0083】
いくつかの実施形態では、受信回路トレース1915、1920は形状が正弦波状であるが90°ずらされているため、アンビル1210が回転するとき、受信回路トレース1915、1920の一方の電圧は正弦波となり、他方の受信回路トレース1915、1920の電圧は余弦波となる。次いで、2つの受信トレース1915、1920の電圧出力は、コントローラ226によって、受信回路トレースに対するアンビル1210の位置(例えば、回転角度)を求めるために使用され得る。いくつかの実施形態では、角度は、コントローラ226によって、逆正接関数
【数1】
を使用して生成される。いくつかの実施形態では、アンビル位置センサ218cは、アンビルラグ1215の位置の検出において約0.15°の分解能を実現し、98%超の検出精度を有する。
【0084】
図20は、アンビル回転角度の関数として
図19Aのアンビルセンサの出力を示している。
図19Aに示す実施形態では、プリント回路基板1900は、(例えば、プリント回路基板1900の円周の約半分にわたって)約180°のトレースを備える。他の実施形態では、送信及び受信のためのトレースがプリント回路基板1900の略全面(例えば、プリント回路基板1900の円周の約360°)にわたって延びる。いくつかの実施形態では、ターゲットの長さ(例えば、アンビルラグ1215)は、受信回路トレース1915、1920の周期長の約20~50%である。
【0085】
いくつかの実施形態では、アンビル位置センサ218cは、
図19Bに示すように、単一の受信回路トレース1915を備える。単一の受信回路トレース1915を使用することにより、プリント回路基板アセンブリ(PCBA)のフットプリントが削減される。いくつかの実施形態では、コントローラ226は、角度を求めるために逆三角関数を使用するが、アンビル位置センサ218cの出力は非線形である。2つの受信回路トレース1915、1920を使用することにより、空隙及び隣接するコンポーネントの干渉に対するロバスト性が高まる。
【0086】
図21A~
図21Cは、アンビル位置センサ218cを支持するためのアンビル1210の近くに位置する電動工具102の本体部分2100を示している。本体部分2100は、リング部分2105と、リング部分2105から延びるトレイ部分2110とを備える。リング部分2105は、
図19A及び
図19Bに示すプリント回路基板1900を受け入れるための第1の凹部2115と、アンビルスラスト支持部2122のスラスト支持面2120と、開口部2125とを画定する。駆動装置210は、開口部2125を通って延び、スラスト支持面は、動作中にアンビル1210に係合する。開口部2125は、クリアランス2140を提供し得る。ワイヤ配線2150が、ボートの外径にボートとギヤケース内径との間に設けられてもよい。トレイ部分2110は、ハンマーセンサ2160が取り付けられ得る第2の凹部2130を画定する。上述のように、ハンマーセンサ2160は、ハンマー1205とアンビル1210との間のインパクトを検出する。例えば、ハンマーセンサ2160は、軸方向の位置、加速度、音、又は振動を測定してインパクトを検出することができる。
【0087】
図17及び
図18に関連して、アンビル位置センサ218cによって測定された角度は、ハンマー1205とアンビル1210との間のインパクトの結果として生じる駆動角度を計算するために使用される。プリント回路基板1900上の回路トレース1910、1915、1920のラジアル方向のスパンは、アンビル1210の構成に応じて変わり得る。2つのラグ1215を有するアンビル1210の場合、第2のラグ1215は、第1のラグ1215が離れると回路トレース1910、1915、1920によって覆われるスパンに入るため、スパンは約180度であり得る。よって、第1のラグ1215は、アンビル1210の回転経路の第1の部分の間、アンビル位置センサ218cとインターフェースし、第2のラグ1215は、アンビル1210の回転経路の第2の部分の間、アンビル位置センサ218cとインターフェースする。より多くのラグ1215が存在する場合、アンビル位置センサ218cにはより小さいスパンが使用され得る。
【0088】
図22A及び
図22Bは、出力駆動装置210のシャフト2220上に配置されたターゲット2210と、ターゲット2210とアンビルラグ1215との間に配置された磁気シールド2230とを備えるアンビルアセンブリ2200の一実施形態を示している。磁気シールド2230は、例えば、空気よりも大きい透磁率(例えば、1.26×10
-6ヘンリー/メートル[「H/m」]よりも大きい)を有する材料で作られる。いくつかの実施形態では、磁気シールド2230は、1×10
-4H/mより大きい透磁率を有する材料で作られる。いくつかの実施形態では、磁気シールド2230は炭素鋼で作られる。他の実施形態では、磁気シールド2230は、フェライト又は他の適切な磁性材料で作られる。いくつかの実施形態では、ターゲット2210は、シャフト2220の外側の突起2240など、シャフト2220に取り付けられるリング部材である。いくつかの実施形態では、ターゲット2210は、締まり嵌めを介して、又は接着剤を介して固定される。ターゲット2210は、アンビル位置センサ218Cとインターフェースするためのラジアル表面2260を有するターゲットラグ2250を備える。
【0089】
図22Aを参照すると、ターゲットラグ2250のラジアル表面2260は、アンビル位置センサ218Cに隣接して配置される。磁気シールド2230は、ターゲットラグ2250をアンビルラグ1215及びハンマーラグ1207A、1207Bから磁気的に遮断して、インパクト及び回転時にハンマーラグ1207A、1027Bがアンビルラグ1215に近接して位置することによって生じる磁気干渉を軽減させる。プリント回路基板1900上の回路トレース1910、1915、1920のラジアル方向のスパンは、ターゲット2210及びターゲットラグ2250の構成に応じて変わり得る。2つのターゲットラグ2250を有するターゲット2210の場合、第2のターゲットラグ2250は、第1のターゲットラグ2250が離れると回路トレース1910、1915、1920によって覆われるスパンに入るため、スパンは約180度であり得る。よって、第1のターゲットラグ2250は、アンビル1210の回転経路の第1の部分の間、アンビル位置センサ218cとインターフェースし、第2のターゲットラグ2250は、アンビル1210の回転経路の第2の部分の間、アンビル位置センサ218cとインターフェースする。より多くのターゲットラグ2250が存在する場合、アンビル位置センサ218cにはより小さいスパンが使用され得る。他の実施形態では、180度~360度のセンサスパンが使用される。
【0090】
アンビルは、シールドされていない(シールドなし)でも、シールドされていても(例えば、
図22A及び
図22Bの2230を使用)よい。シールドされていないアンビルのセンサ出力は、シールドされたアンビルに比べて、位置を求めるための信号のロバスト性が低くなり得る。例えば、ハンマーがアンビルに対して静止位置にあるとき、シールドされた設計は、シールドされていない設計よりもロバスト性の高い信号(例えば、より大きな信号強度、より大きな信号対雑音比など)を提供する。センサの出力は、アンビルの位置(度数)と関係がある。シールドされたセンサの出力は、例えば、理想的な性能に対して99%の精度であり得る。
図23Aに示すように、シールドされていない設計では、コイルはアンビル上のラグ3102又はターゲットを直接検知する。コイル3104の幾何学的形状はラグのインボリュート形状に最適化されており、送信機は180度の測定範囲を超えて延びて、アンビルラグがコイル3106に出る/入ることができる。
【0091】
図23C及び
図23Dに示すように、シールドされた設計では、コイルはアンビルに追加された追加的なターゲット3108を検知する。標準コイルの正弦・余弦の幾何学的形状が、寸法並びに従来のコイル3110及びターゲット3112の幾何学的形状に基づいて選択されており、追加的な長さなしでコイルに入る/出るターゲットを考慮し得る。
【0092】
アンビルの追加的な異なる実施形態に関連して、例えば、アンビルの3つ以上の異なるカテゴリが存在してもよい。例えば、第1のカテゴリは、理想的なターゲットを有する2つ以上の部品設計を含み得る。このような実施形態では、ターゲット及びシールドが追加的な構成要素としてアンビルに加えられる。第1のカテゴリの利点は、構成要素ごとに独自のプロセスを使用することができ、アンビルの質量を減らすことができということである。例えば、薄肉のターゲット及びシールドのインサート成形プロセス又はプレス加工を使用することができ、これにより慣性を持たせずに性能が維持される。しかしながら、課題であるのは嵌合するインターフェースどうし摩耗であり、特に、大きい振動及び慣性負荷が繰り返しの相対運動を発生させる場合である。第1のカテゴリでは、ラグの性能を保持し、センサのための理想的なターゲットを作成し、シールドを提供するために理想的な幾何学的形状が追加され得る。
【0093】
第2のカテゴリは、理想的なターゲットを有する単一部品設計を含み得る。単一部品設計は、部品を少ない製造プロセスで作ることができる、及び/又はプレスすることもできるため、有利である。第2のカテゴリでは、嵌め合う部品どうしの摩耗の問題はないが、慣性負荷及び複雑な断面厚さにより熱処理が困難(例えば、焼き割れ、過剰浸炭、反りなどが発生する)になり得る。加えて、一般にアンビルには慣性が加わり、慣性はトルク出力に影響を与え得る。加えて、インパクトイベントにおける遠心力に由来する慣性負荷が加わり得る。第2のカテゴリでは、ラグの性能を保持し、センサのための理想的なターゲットを作成し、シールドを提供するために理想的な幾何学的形状が追加され得る。
【0094】
第3のカテゴリは、直接ラグ測定による単一部品設計を含み得る。追加的な特徴(例えば、シールドなど)なしで従来のアンビルを使用することができる。ハンマーが対処不能な干渉を起こす場合、ラグの厚さを厚くして、インパクト時のハンマーの位置をセンサから遠ざけることで、慣性が加えられる。いくつかの実施形態では、ハンマーは、ラグ自体よりもセンサから2~3倍離れた距離にある。第3のカテゴリでは、インボリュートラグの場合のように非線形のエッジが非線形の信号を発生させ、これは、上記のようにファームウェアによって対処される。直線ラグを使用することもでき、回転軸に直交する場合は線形信号を実現することができる。
【0095】
アンビルの3つのカテゴリの様々な実施形態を以下に説明する。例えば、
図24Aに示すように、アンビルアセンブリ3200は、シャフト3201の長さの増加に由来して工具長を増加させたものを含む。アンビルアセンブリ3200の延長端3202は、アンビル位置センサをハンマーから遮蔽するシールド3204が厚くなっているため、工具の長さを延ばす。シールド3204の存在により、過剰浸炭及び脆性コアの形成のリスクが最小化される。アンビルアセンブリ3200は、応力を低減するためにターゲット部分3208間の遷移領域3206により大きな半径を含んでもよく、クエンチプロセス中の割れを回避するために均一な厚さを提供する。
【0096】
図24B及び
図24Cに示すように、別の実施形態によれば、アンビルアセンブリ3300は、工具長を更に増加させてもよい(例えば、シャフト3301及びアンビルの延長端3302のうちの1つ又は複数の長さを増加させることによって)。図示の実施形態では、ターゲット構造3304の外径が小さくされる。シールド及びターゲット構造3304のサイズを小さくすることにより、アンビルに追加の歪みを生じるターゲット構造3304の慣性の影響が低減される。
【0097】
図25A及び
図25Bに示すように、アンビルアセンブリ3400は、ワンピースのアンビル設計においてターゲット3410とシールド3460のためのラグ3450との間に溝3402を備える。溝により、スパイラル保持リングのような成形リングが組み付けられて、シールドとして組み立てられて機能することができる。成形リングのシールドは、軸方向には保持されるが回転はしないため、インパクトイベント時に成形リングの薄肉部に急激な遠心力による負荷がかかることがない。また、アンビルアセンブリ3400の外径が小さくなり得る。
【0098】
図26A~
図26Cは、それぞれ、シールド/ターゲット構造3502、3602、及び3702の3つの異なるデザイン3500、3600、及び3700を示している。
図26Aに示すように、ターゲット3502は、複数の湾曲した突起3506(例えば、湾曲した四角形)を境界とする凹部3504を有してもよい。しかしながら、
図26Bのターゲット3602の凹部の境界形状(例えば、湾曲した菱形)など、他の形状を境界に用いてもよい。
図26Cは、シールド構造3702が、ターゲット3704をプレス加工されたシールド形体3702内の所定の位置にインサート成形又はポッティングさせることができる一実施形態を示している。
【0099】
図27A及び
図27Bは、ターゲット構造がシャフト3804上をスライドし、スナップリング3812で所定の位置に保持されるプレス加工されたインサート3804を有するプラスチックオーバーモールド3802を含むアンビルアセンブリ3800を示している。
図27Bは、ターゲットとシールドとアンビルとを嵌合させるためのスナップリング3812の変形形態を示している。例えば、
図27Bに示すように、D型フラット3812A、サイクロイド3812B、スプライン3812C、スター3812D、ヘキサゴン3812E、デカゴン3812E、又はインボリュートを使用して、スナップリングをアンビルに固定できる。
【0100】
図28A及び
図28Bは、アンビルアセンブリ3800のターゲット3815が、個々の構成要素3820(
図28A)又は保持機能を有する一体型ピース3825(
図28B)とすることができるため、角度の保持の強度がより大きいことを示している。
【0101】
図29は、シールド、ターゲットホルダ、ターゲット、アンビル回転センサ、ターゲットとアンビル回転センサとの間に形成される空隙、及びアンビル回転センサに対するシールド距離を有するアンビルアセンブリ3800を示している。いくつかの実施形態では、シールド距離は空隙の少なくとも2倍である。
【0102】
図30Aは、アンビルシールド3901を備えるアンビルアセンブリ3900を示している。アンビルシールド3901は、例えば、2.5mm未満の厚さを有する。アンビルシード3901は、アンビル3902に対して圧入される。アンビルシールド3901は、ターゲット3903に対して単一の外径とターゲット3903間の空間とを有する。アンビル3902には、インパクト時のスライドを防止するための平坦な戻り止め3904が設けられる。戻り止め3904は、アルミニウム又は他の低質量であるが導電性の材料で作ることができる。
図30B及び
図30Cに示すように、ターゲット3902の外径3903(両矢印)を小さくし、シールド3901を除去し、ラグ3904の高さを大きくしてもよい。
【0103】
図30B及び
図30Cは、ターゲット3902とアンビルラグ3904とを備える別のアンビルアセンブリ3950を示している。アンビルアセンブリ3950は、ターゲット3902の外径3903を小さくされている。アンビルラグ3904の幅を大きくされて、ハンマーとアンビル回転センサとの間の距離を長くしている。
図30B及び
図30Cの実施形態では、アンビルラグ3904の幅が大きくなっているため、シールドは含まない。
【0104】
図31は、ターゲットからアンビル回転センサまでの距離と比較して、ハンマーからアンビル回転センサまでの2~3倍の距離を実現するために増加したラグ4002の厚さを有するアンビルアセンブリ4000を示しており、このことによりハンマーが干渉を誘発する能力が最小化される。このインボリュートラグ4002は、アンビル回転センサによって直接検知され得るが、ターゲット4004のエッジ(このシナリオでは直接ラグ4002の一部である)のため、入るラグAと出るラグBとのコイルカバレッジの変化率は非ゼロである。このラグカバレッジの割合の変化により、非線形な信号出力が発生するが、上記のようにソフトウェアで補正することができる。
【0105】
図32A及び
図32Bは、ターゲットからアンビル位置センサまでの距離と比較したときに、ハンマーとアンビル回転センサとの間の距離の2~3倍の配分を実現するために増加したラグ厚を含むシールドなしのアンビルアセンブリ4100を示しており、これによりハンマーが干渉を誘発する能力が最小化される。しかしながら、アンビルアセンブリ4100は、ターゲット4102にウェッジ形状を用いており、コイルの総カバレッジが一定であるため、出力センサ信号の線形性を向上させる点で、アンビルアセンブリ4000とは異なる。線形信号を生成するために、コイルをカバーするターゲットの量が一定であることが意図される。コイルは例えば180度にわたっており、2つのターゲット形体4102A、4102Bは180度で対向している。ターゲット4102のエッジは直線的であるため、ラグAからラグBまで360回転を繰り返すと、ラグの入るときと出るときとでカバレッジの変化率は0となる。これはインボリュートラグと対照的であり得る。インボリュートラグでは、センサに入り、出るラグのエッジが非線形であることにより、ラグが検知ゾーンに入り、出ることでターゲットによるコイルのカバレッジがわずかに変化するため、センサ信号が非線形になる。ターゲット4102のエッジによって形成されるベクトルは、回転軸に直交する。垂直であるラグ面を有する従来の正方形ラグ形状とは対照的に、ベクトルは回転軸と交差しないため、回転しながらセンサ上のターゲットカバレッジが変化する。
【0106】
図33A~
図33Cは、アンビルの形状が異なる場合の出力センサ信号への影響を示している。
図33Aは、正方形ラグアンビル4202を示している。ラグの形状が正方形であるため、ターゲット/コイルカバレッジの変化率は非ゼロであり、これにより出力センサ信号に非線形性が生じる。
図33Bは、インボリュートラグ4204を示している。インボリュートラグもまた、ターゲット/コイルカバレッジの変化率は非ゼロであり、これにより出力センサ信号に非線形性が生じる。しかしながら、インボリュートラグは正方形ラグよりも生じる非直線性が少ない。
図33Cは、ターゲットによるセンサの少なくとも一部の一定のカバレッジを含むラグ4206(例えば、ラグ4100)を示している。上述のように、常にターゲットによるセンサのなんらかのカバレッジがあることにより、アンビルの回転に伴うセンサのカバレッジの変化はゼロを維持できる。
【0107】
図34A及び
図34Bは、アンビル回転センサが検出するための一貫した幾何学的形状を提供するターゲット4002を備える別のアンビル4000を示している。2つのターゲット4002が180度のカバレッジを提供する。1つのターゲットが出ると、別のターゲットが同じ速度で範囲に入るはずである。シールド4004が、アンビル回転センサからハンマーを遮蔽して、干渉を回避する。
図34Bに示すように、ターゲットとアンビル回転センサとの間の空隙距離は、シールド4004からアンビル回転センサまでの距離が、ターゲットからアンビル回転センサまでの距離の少なくとも2倍となるようにサイズを定められる。いくつかの実施形態では、アンビル回転センサとシールドとの間の距離は一定である。
【0108】
いくつかの実施形態は、締結具の着座を検出し、計算された出力回転角度に基づいてモータの駆動パラメータ(すなわち、速度)を変更するためにモータの出力駆動装置の出力回転角度を計算する方法を提供する。
【0109】
いくつかの実施形態は、更に、締結具の着座を検出し、計算された出力回転角度に基づいてモータの駆動パラメータ(すなわち、速度)を変化させるためのモータの出力駆動装置の出力回転角度を推測するために、インパクトドライバ又はレンチでのインパクト間にモータのシャフトによって回転可能に移動した角度距離を検出する方法を提供する。
【0110】
いくつかの実施形態は、更に、所定の角度閾値に到達したときに、モータの駆動パラメータを変更するために、モータの出力駆動装置の出力回転角度を検出する方法を提供する。
【0111】
いくつかの実施形態では、アンビルは熱処理(例えば、浸炭)される。アンビルが浸炭処理される場合、過酷なインパクト環境下でのアンビルの耐摩耗性及び強度が向上する。ターゲット及びシールドの構造に応じて、浸炭が行われ得る。幾何学的形状が有用な解決策になり得る、又は炭素の吸収を避けるために薄肉部分をマスキングすることもできる。或いは、薄肉部分を排除することもできる。このことはまた、焼き割れに対するロバスト性を向上させることができる。高周波焼入れにより望ましい硬度が実現され得るが、不均一な断面(例えば、単一構成要素のアンビル/シールド/ターゲットの設計)により複雑である。浸炭は、四方八方からアンビルケースが生成され、より軟かい延性コアが排除されることで、インパクト負荷で破断する可能性がある。このリスクを排除するために、t>2c且つw>cが確保される、及び/又は、熱処理中の表面浸炭を防ぐために、表面にマスク(メッキ又は仮止めペーストなど)が塗布され、ここで、tはコア全体の幅、c、はケース層の幅、wはケース層を除いたコア全体の残り部分である。
【0112】
よって、本明細書で説明される実施形態は、とりわけ、インパクト印加による駆動角度に基づいてインパクト機構を備えた電動工具を制御するためのシステム及び方法を提供する。本発明の様々な特徴及び利点は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【外国語明細書】