(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004212
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】がんの処置のための抗TIGIT抗体の投薬レジメン
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20250106BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250106BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250106BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20250106BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20250106BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20250106BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/519
A61K31/337
A61K31/282
C07K16/28
A61K39/395 N
【審査請求】有
【請求項の数】53
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024178276
(22)【出願日】2024-10-10
(62)【分割の表示】P 2021523335の分割
【原出願日】2019-11-04
(31)【優先権主張番号】62/755,805
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,ミンメイ
(72)【発明者】
【氏名】チャータッシュ,エリオット・ケー
(72)【発明者】
【氏名】ヒーリー,ジェーン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ララ,マリカ
(72)【発明者】
【氏名】リー,トミー・ルオシ
(72)【発明者】
【氏名】マヤワラ,カピル
(72)【発明者】
【氏名】プレドユ,ラルカ・アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,シビル・エム・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ゾン,ジェン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】がんの処置のために有用な抗TIGIT抗体の投薬レジメン、特にプログラム死1タンパク質(PD-1)またはプログラム死リガンド1(PD-L1)に対する抗体および抗TIGIT抗体を投与することを含む組み合わせ治療における投薬レジメンを提供する。
【解決手段】患者に2.1mgから700mgの重鎖および軽鎖を含む抗TIGIT抗体を投与することを含む、患者においてがんを処置するための方法であって、軽鎖が特定配列の軽鎖CDRを含み、重鎖が特定配列の重鎖CDRを含む、前記方法とする。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に2.1mgから700mgの重鎖および軽鎖を含む抗TIGIT抗体を投与する
ことを含む、患者においてがんを処置するための方法であって、軽鎖が配列番号26、2
7および28の軽鎖CDRを含み、重鎖が配列番号29、30および31の重鎖CDRを
含む、前記方法。
【請求項2】
抗TIGIT抗体が、静脈内注入を介して投与される、請求項1の方法。
【請求項3】
患者が、2.1mgの抗TIGIT抗体を投与される、請求項1の方法。
【請求項4】
患者が、7mgの抗TIGIT抗体を投与される、請求項1の方法。
【請求項5】
患者が、21mgの抗TIGIT抗体を投与される、請求項1の方法。
【請求項6】
患者が、70mgの抗TIGIT抗体を投与される、請求項1の方法。
【請求項7】
患者が、200mgの抗TIGIT抗体を投与される、請求項1の方法。
【請求項8】
患者が、210mgの抗TIGIT抗体を投与される、請求項1の方法。
【請求項9】
患者が、700mgの抗TIGIT抗体を投与される、請求項1の方法。
【請求項10】
患者が、抗TIGIT抗体を1日目に、次いでその後は3週ごとに1回投与される、請
求項1から9のいずれか一項の方法。
【請求項11】
抗TIGIT抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25を含む重鎖可変
領域を含み、軽鎖は配列番号24を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1から10のいずれ
か一項の方法。
【請求項12】
抗TIGIT抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号23を含み、軽鎖は
配列番号22を含む、請求項1から11のいずれか一項の方法。
【請求項13】
抗TIGIT抗体が、31C6バリアントである、請求項1から10のいずれか一項の
方法。
【請求項14】
抗TIGIT抗体が、抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体またはそれらの抗原結
合性断片と共投与される、請求項1から13のいずれか一項の方法。
【請求項15】
抗TIGIT抗体が、抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体またはそれらの抗原結
合性断片と合剤化される、請求項1から13のいずれか一項の方法。
【請求項16】
抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片が、ヒトPD-1に特異的に結合し、ヒトP
D-L1のヒトPD-1への結合をブロックする、請求項14または15の方法。
【請求項17】
抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片がまた、ヒトPD-L2のヒトPD-1への
結合をブロックする、請求項16の方法。
【請求項18】
抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片が、(a)配列番号1、2および3の軽鎖C
DRならびに(b)配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む、請求項17の方法。
【請求項19】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可変領域
を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含む、請求項18の方法。
【請求項20】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可変領域
を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含む、請求項18の方法。
【請求項21】
抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブである、請求項17の方法。
【請求項22】
抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブバリアントである、請求項17の方法。
【請求項23】
抗PD-1抗体が、ニボルマブである、請求項14の方法。
【請求項24】
抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、デュルバルマブまたはアベルマブである、請求
項14の方法。
【請求項25】
抗PD-1抗体が、200mgで1日目に、次いでその後は3週ごとに1回、静脈内注
入を介して投与される、請求項18~24のいずれか一項の方法。
【請求項26】
抗PD-1抗体が、400mgで1日目に、次いでその後は6週ごとに1回、静脈内注
入を介して投与される、請求項18~24のいずれか一項の方法。
【請求項27】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含むヒト化抗PD-1抗体であって、ここで重鎖は
配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号1、2
および3の軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含み;ならびに抗TIGIT抗体が重鎖およ
び軽鎖を含むヒト化抗TIGIT抗体であって、ここで重鎖は配列番号29、30および
31の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号26、27および28の軽
鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含む、請求項14または15の方法。
【請求項28】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可変領域
を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含み;ならびに抗TIGIT抗体が重鎖
および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番
号24を含む軽鎖可変領域を含む、請求項14または15の方法。
【請求項29】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号10を含み、軽鎖は配
列番号5を含み;ならびに抗TIGIT抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列
番号23を含み、軽鎖は配列番号22を含む軽鎖可変領域を含む、請求項14または15
の方法。
【請求項30】
抗PD-1抗体が200mgで1日目に、次いでその後は3週ごとに1回、静脈内注入
を介して投与され、抗TIGIT抗体が200mgで1日目に、次いでその後は3週ごと
に1回、静脈内注入を介して投与される、請求項27~29のいずれか一項の方法。
【請求項31】
抗PD-1抗体が400mgで1日目に、次いでその後は6週ごとに1回、静脈内注入
を介して投与され、抗TIGIT抗体が200mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注
入を介して投与される、請求項27~29のいずれか一項の方法。
【請求項32】
抗PD-1抗体が200mgで1日目に、次いでその後は3週ごとに1回、静脈内注入
を介して投与され、抗TIGIT抗体が700mgで1日目に、次いでその後は3週ごと
に1回、静脈内注入を介して投与される、請求項27~29のいずれか一項の方法。
【請求項33】
抗PD-1抗体が400mgで1日目に、次いでその後は6週ごとに1回、静脈内注入
を介して投与され、抗TIGIT抗体が700mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注
入を介して投与される、請求項27~29のいずれか一項の方法。
【請求項34】
200mgの抗PD-1抗体が、200mgの抗TIGIT抗体と合剤化される、請求
項27~29のいずれか一項の方法。
【請求項35】
200mgの抗PD-1抗体が、700mgの抗TIGIT抗体と合剤化される、請求
項27~29のいずれか一項の方法。
【請求項36】
がんが、NSCLC、子宮頸がん、結腸直腸がん、胃がん、乳がん、卵巣がん、上皮が
ん、輸卵管がんまたは原発性腹膜癌よりなる群から選択される、請求項1から35のいず
れか一項の方法。
【請求項37】
がんが、NSCLCである、請求項36の方法。
【請求項38】
カルボプラチンおよびペメトレキセド、または(ii)カルボプラチンおよびパクリタ
キセルの組み合わせを投与することをさらに含む、請求項1から37のいずれかの方法。
【請求項39】
個体が、先行して抗PD-1もしくは抗PD-L1治療で処置されていない、または先
行して抗PD-1もしくは抗PD-L1治療を受けた際に進行性であると確認されている
、請求項1から38のいずれか一項の方法。
【請求項40】
200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、200mgの31
C6抗体または31C6バリアント、および薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成
物。
【請求項41】
200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、2.1から700
mgの31C6抗体または31C6バリアント、および薬学的に許容される添加剤を含む
、医薬組成物。
【請求項42】
400mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、2.1から700
mgの31C6抗体または31C6バリアント、および薬学的に許容される添加剤を含む
、医薬組成物。
【請求項43】
2.1mgの31C6抗体または31C6バリアントを含む、請求項41または42の
医薬組成物。
【請求項44】
7mgの31C6抗体または31C6バリアントを含む、請求項41または42の医薬
組成物。
【請求項45】
21mgの31C6抗体または31C6バリアントを含む、請求項41または42の医
薬組成物。
【請求項46】
70mgの31C6抗体または31C6バリアントを含む、請求項41または42の医
薬組成物。
【請求項47】
200mgの31C6抗体または31C6バリアントを含む、請求項41または42の
医薬組成物。
【請求項48】
210mgの31C6抗体または31C6バリアントを含む、請求項41または42の
医薬組成物。
【請求項49】
700mgの31C6抗体または31C6バリアントを含む、請求項41または42の
医薬組成物。
【請求項50】
31C6抗体または31C6バリアントが重鎖および軽鎖を含み、ここで軽鎖は配列番
号26、27および28の軽鎖CDRを含み、重鎖は配列番号29、30および31の重
鎖CDRを含む、請求項40~49のいずれかの医薬組成物。
【請求項51】
31C6抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25を含む重鎖可変領域
を含み、軽鎖は配列番号24を含む軽鎖可変領域を含む、請求項40~49のいずれかの
医薬組成物。
【請求項52】
31C6抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号23を含み、軽鎖は配列
番号22を含む軽鎖可変領域を含む、請求項40~49のいずれかの医薬組成物。
【請求項53】
請求項40~52の医薬組成物のいずれか、および使用のための説明書を含む、がんを
処置するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年11月5日に出願された米国仮特許出願第62/755805号
の利益を主張するものであり、この文献は参照によりその全体が本明細書中に組み込まれ
る。
【0002】
本発明の分野
本発明は、がんの処置のために有用な抗TIGIT抗体の投薬レジメン(dosing
regimen)に関する。詳細には、本発明は、プログラム死1タンパク質(PD-
1)またはプログラム死リガンド1(PD-L1)に対する抗体および抗TIGIT(I
gおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体、T cell immunore
ceptor with Ig and ITIM domains)抗体を投与するこ
とを含む組み合わせ治療における投薬レジメンに関する。
【背景技術】
【0003】
PD-1は、免疫制御および末梢性寛容の維持において重要な分子として認識されてい
る。PD-1は、ナイーブT細胞、B細胞およびNKT細胞上に中程度に発現し、リンパ
球、単球および骨髄系細胞上のT/B細胞受容体シグナル伝達によりアップレギュレート
される(1)。
【0004】
PD-1に対する2つの公知のリガンド、PD-L1(B7-H1)およびPD-L2
(B7-DC)は、様々な組織中に生じるヒトのがんにおいて発現する。例として卵巣が
ん、腎臓がん、結腸直腸がん、膵臓がん、肝臓がんおよびメラノーマの大規模サンプルセ
ットにおいて、PD-L1発現は、その後の処置にかかわらず、予後不良および全生存期
間の低減と相関することが示された(2-13)。同様に、腫瘍浸潤性リンパ球上でのP
D-1発現は、乳がんおよびメラノーマ中の機能障害T細胞を特徴付けること(14-1
5)、ならびに腎臓がんにおける予後不良と相関すること(16)が見出された。それゆ
えに、PD-L1を発現する腫瘍細胞は、PD-1を発現するT細胞と相互作用すること
でT細胞活性化を減弱して免疫サーベイランスを回避し、それによって腫瘍に対する免疫
応答障害に寄与することが提唱されている。
【0005】
PD-1とそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2のうちの1つまたは両方と
の間の相互作用を阻害するいくつかのモノクローナル抗体は、がんの処置について承認さ
れている。ペンブロリズマブは、プログラム細胞死1(PD1)受容体への高い結合特異
性を有する強力なヒト化免疫グロブリンG4(IgG4)mAbであり、それゆえにその
プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)およびプログラム細胞死リガンド2(PD-
L2)との相互作用を阻害する。前臨床のインビトロデータに基づくと、ペンブロリズマ
ブは、PD-1への高いアフィニティおよび強力な受容体ブロッキング活性を持つ。Ke
ytruda(登録商標)(ペンブロリズマブ)は、いくつかの適応症にわたって患者の
処置の適応がある。
【0006】
TIGIT(IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体)は、主として活
性化されたT細胞およびNK細胞上で発現する免疫調節性受容体である。TIGITは、
VSIG9;VSTM3;およびWUCAMとしても知られる。その構造は、1つの細胞
外免疫グロブリンドメイン、I型膜貫通領域および2つのITIMモチーフを示す。TI
GITは、T細胞上の正の免疫調節性受容体(CD226)および負の免疫調節性受容体
(TIGIT)ならびにAPC上に発現するリガンド(CD155およびCD112)か
らなる共刺激ネットワークの一部を形成する。TIGITの構造における重要な特徴は、
その細胞質側末端ドメイン中の免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)の存
在である。PD-1およびCTLA-4と同様に、TIGITの細胞質領域内のITIM
ドメインは、チロシンホスファターゼ、例えばSHP-1およびSHP-2などを、なら
びにその後の、T細胞受容体(TCR)サブユニット上の免疫受容体チロシンベース活性
化モチーフ(ITAM)内のチロシン残基の脱リン酸化をリクルートすると予測されてい
る。したがって、受容体-リガンドCD155およびCD112(腫瘍細胞またはTAM
Sが発現する)によるTIGITの連結は、TCRシグナル伝達の抑制およびT細胞活性
化に寄与し得て、これは有効な抗腫瘍免疫を開始するために必須である。それゆえに、T
IGITに特異的なアンタゴニスト抗体は、CD155およびCD112誘導性のT細胞
応答抑制を阻害し、抗腫瘍免疫を増強することができる。抗TIGIT抗体は、WO20
16/028656およびWO2017/030823中に記載されている。
【0007】
抗TIGIT抗体の単剤治療または抗PD-1もしくは抗PD-L1治療との組み合わ
せ治療のための薬剤投与レジメン(dosage regimen)の選択は、その物の
血清または組織代謝回転速度、症候のレベル、その物の免疫原性、抗薬物抗体エンドポイ
ント、および処置される個体中の標的細胞、組織または器官のアクセス性、同様に安全性
といったいくつかの要因に依存する。抗薬物抗体の形成は、治療的用量での薬物曝露を潜
在的に混乱させ、その後の輸注関連毒性を刺激し得る。加えて、抗TIGITおよび/ま
たは抗PD-1/抗PD-L1処置は、免疫を刺激して安全性に影響するサイトカイン放
出の可能性をもたらし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2016/028656
【特許文献2】WO2017/030823
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、2.1mg~700mgの抗TIGIT抗体31C6または31C6バリア
ントを投与することを含む、患者においてがんを処置するための方法を提供する。1つの
実施形態において、この方法は、抗PD-1または抗PD-L1抗体との共投与を含んで
もよい。1つの実施形態において、抗TIGIT抗体および抗PD-1抗体は、合剤化さ
れる。さらなる実施形態において、個体の腫瘍細胞は、PD-L1発現陽性である。1つ
の実施形態において、抗PD-1抗体は、PD-1のPD-L1およびPD-L2への結
合をブロックする。本発明はまた、2.1mgから700mgの抗TIGIT抗体31C
6または31C6バリアント、および200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズ
マブバリアントを含む医薬組成物を提供する。
【0010】
本発明のある態様は、患者に2.1mgから700mgの重鎖および軽鎖を含む抗TI
GIT抗体を投与することを含む、患者においてがんを処置するための方法であって、軽
鎖が配列番号26、27および28の軽鎖CDRを含み、重鎖が配列番号29、30およ
び31の重鎖CDRを含む、前記方法を提供する。
【0011】
方法の様々な実施形態において、抗TIGIT抗体は、静脈内注入を介して投与される
。
【0012】
方法の様々な実施形態において、患者は、約2.1mgから約700mgの抗TIGI
T抗体を投与される。方法の様々な実施形態において、患者は、約2.1mgの抗TIG
IT抗体を投与される。方法の様々な実施形態において、患者は、約7mgの抗TIGI
T抗体を投与される。方法の様々な実施形態において、患者は、約21mgの抗TIGI
T抗体を投与される。方法の様々な実施形態において、患者は、約70mgの抗TIGI
T抗体を投与される。方法の様々な実施形態において、患者は、約200mgの抗TIG
IT抗体を投与される。方法の様々な実施形態において、患者は、約210mgの抗TI
GIT抗体を投与される。方法の様々な実施形態において、患者は、約700mgの抗T
IGIT抗体を投与される。
【0013】
方法の様々な実施形態において、患者は、2.1mgの抗TIGIT抗体を投与される
。方法の様々な実施形態において、患者は、7mgの抗TIGIT抗体を投与される。方
法の様々な実施形態において、患者は、21mgの抗TIGIT抗体を投与される。方法
の様々な実施形態において、患者は、70mgの抗TIGIT抗体を投与される。方法の
様々な実施形態において、患者は、200mgの抗TIGIT抗体を投与される。方法の
様々な実施形態において、患者は、210mgの抗TIGIT抗体を投与される。方法の
様々な実施形態において、患者は、700mgの抗TIGIT抗体を投与される。
【0014】
方法の様々な実施形態において、患者は、抗TIGIT抗体を1日目に、次いでその後
は3週ごとに1回投与される。例えば、処置の持続期間は、数週または数ヶ月である。
【0015】
方法の様々な実施形態において、抗TIGIT抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで重
鎖は配列番号25を含む重鎖可変領域を含む。方法の様々な実施形態において、抗TIG
IT抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで軽鎖は配列番号24を含む軽鎖可変領域を含む
。方法の様々な実施形態において、抗TIGIT抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで重
鎖は配列番号25を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号24を含む軽鎖可変領域を
含む。
【0016】
方法の様々な実施形態において、抗TIGIT抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで重
鎖は配列番号23を含む。方法の様々な実施形態において、抗TIGIT抗体は重鎖およ
び軽鎖を含み、軽鎖は配列番号22を含む。方法の様々な実施形態において、抗TIGI
T抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号23を含み、軽鎖は配列番号22
を含む。
【0017】
方法の様々な実施形態において、抗TIGIT抗体は、31C6バリアントである。
【0018】
方法の様々な実施形態において、31C6バリアントは重鎖および軽鎖を含み、ここで
重鎖は配列番号25に対して80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性
を含む重鎖可変領域を含む。方法の様々な実施形態において、31C6バリアントは重鎖
および軽鎖を含み、軽鎖は配列番号24に対して80%、85%、90%、95%または
99%の配列同一性を含む軽鎖可変領域を含む。方法の様々な実施形態において、31C
6バリアントは重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25に対して80%、85
%、90%、95%または99%の配列同一性を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番
号24に対して80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を含む軽鎖可
変領域を含む。
【0019】
方法の様々な実施形態において、31C6バリアントは重鎖および軽鎖を含み、ここで
重鎖は配列番号23に対して80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性
を含む。方法の様々な実施形態において、31C6バリアントは重鎖および軽鎖を含み、
軽鎖は配列番号22に対して80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性
を含む。方法の様々な実施形態において、31C6バリアントは重鎖および軽鎖を含み、
ここで重鎖は配列番号23に対して80%、85%、90%、95%または99%の配列
同一性を含み、軽鎖は配列番号22に対して80%、85%、90%、95%または99
%の配列同一性を含む。
【0020】
方法の様々な実施形態において、抗TIGIT抗体は、抗PD-1抗体もしくは抗PD
-L1抗体またはそれらの抗原結合性断片と共投与される。
【0021】
方法の様々な実施形態において、抗TIGIT抗体は、抗PD-1抗体もしくは抗PD
-L1抗体またはそれらの抗原結合性断片と合剤化される。
【0022】
方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトP
D-1に特異的に結合し、ヒトPD-L1のヒトPD-1への結合をブロックする。
【0023】
方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片はまた、ヒ
トPD-L2のヒトPD-1への結合をブロックする。
【0024】
方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片は、(a)
配列番号1、2および3の軽鎖CDRならびに(b)配列番号6、7および8の重鎖CD
Rを含む。方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体は、(a)配列番号1、2お
よび3の軽鎖CDRならびに(b)配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む31C6
バリアントである。
【0025】
方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖
は配列番号9を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含む。
【0026】
方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖
は配列番号10を含み、軽鎖は配列番号5を含む。例えば、抗PD-1抗体は、ペンブロ
リズマブである。方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体は、ペンブロリズマブ
バリアントである。方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体は、ニボルマブであ
る。方法の様々な実施形態において、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、デュルバル
マブまたはアベルマブである。
【0027】
方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体は、200mgで1日目に、次いでそ
の後は3週ごとに1回、静脈内注入を介して投与される。方法の様々な実施形態において
、抗PD-1抗体は、400mgで1日目に、次いでその後は6週ごとに1回、静脈内注
入を介して投与される。
【0028】
方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含むヒト化抗PD
-1抗体であって、ここで重鎖は配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む重鎖可変領
域を含み、軽鎖は配列番号1、2および3の軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含み;なら
びに抗TIGIT抗体は重鎖および軽鎖を含むヒト化抗TIGIT抗体であって、ここで
重鎖は配列番号29、30および31の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配
列番号26、27および28の軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含む。
【0029】
方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖
は配列番号9を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含み;
ならびに抗TIGIT抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25を含む重
鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号24を含む軽鎖可変領域を含む。
【0030】
方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖
は配列番号10を含み、軽鎖は配列番号5を含み;ならびに抗TIGIT抗体は重鎖およ
び軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号23を含み、軽鎖は配列番号22を含む軽鎖可変領
域を含む。
【0031】
方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体は200mgで1日目に、次いでその
後は3週ごとに1回、静脈内注入を介して投与され、抗TIGIT抗体は200mgで1
日目に、次いでその後は3週ごとに1回、静脈内注入を介して投与される。
【0032】
方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体は400mgで1日目に、次いでその
後は6週ごとに1回、静脈内注入を介して投与され、抗TIGIT抗体は200mgで3
週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投与される。
【0033】
方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体は200mgで1日目に、次いでその
後は3週ごとに1回、静脈内注入を介して投与され、抗TIGIT抗体は700mgで1
日目に、次いでその後は3週ごとに1回、静脈内注入を介して投与される。
【0034】
方法の様々な実施形態において、抗PD-1抗体は400mgで1日目に、次いでその
後は6週ごとに1回、静脈内注入を介して投与され、抗TIGIT抗体は700mgで3
週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投与される。
【0035】
方法の様々な実施形態において、200mgの抗PD-1抗体は、2.1mgから70
0mgの抗TIGIT抗体と合剤化される。例えば、200mgの抗PD-1抗体は、2
00mgの抗TIGIT抗体と合剤化される。
【0036】
方法の様々な実施形態において、200mgの抗PD-1抗体は、実施例に記載される
量の抗TIGIT抗体と合剤化される。方法の様々な実施形態において、200mgの抗
PD-1抗体は、7mgの抗TIGIT抗体と合剤化される。方法の様々な実施形態にお
いて、200mgの抗PD-1抗体は、21mgの抗TIGIT抗体と合剤化される。方
法の様々な実施形態において、200mgの抗PD-1抗体は、70mgの抗TIGIT
抗体と合剤化される。方法の様々な実施形態において、200mgの抗PD-1抗体は、
210mgの抗TIGIT抗体と合剤化される。方法の様々な実施形態において、200
mgの抗PD-1抗体は、200mgの抗TIGIT抗体と合剤化される。方法の様々な
実施形態において、200mgの抗PD-1抗体は、700mgの抗TIGIT抗体と合
剤化される。
【0037】
方法の様々な実施形態において、がんは、実施例に記載されるパートAまたはパートB
中に開示されるがんから選択される。方法の様々な実施形態において、がんは、NSCL
C、結腸直腸がん、子宮頸がん、胃がん、乳がん、卵巣癌、上皮癌、輸卵管癌または原発
性腹膜癌よりなる群からの少なくとも1つである。例えば、がんは、NSCLCである。
様々な実施形態において、対象または患者は、がんを持ち、少なくとも1つの乳がん遺伝
子(例えば、BRCA)を発現する。様々な実施形態において、がんまたは対象からの試
料には、あるレベルの少なくとも1つの乳がん遺伝子(BRCA)があること、または少
なくとも1つの乳がん遺伝子(BRCA)を発現することが見出される。様々な実施形態
において、少なくとも1つのBRCA遺伝子は、BRCA1またはBRCA2である。あ
る実施形態において、がんは、BRCA陰性である。例えば、がん(例えば、乳がんおよ
び卵巣がん)は、BRCA陰性がんである。ある実施形態において、がんは、BRCA陽
性である。
【0038】
様々な実施形態において、方法は、(i)カルボプラチンおよびペメトレキセド(5-
置換ピロロ[2,3-d]ピリミジン)または(ii)カルボプラチンおよびパクリタキ
セルの組み合わせを投与することをさらに含む。
【0039】
方法の様々な実施形態において、個体は、先行して抗PD-1もしくは抗PD-L1治
療で処置されていない、または先行して抗PD-1もしくは抗PD-L1治療を受けた際
に進行性であると確認されている。
【0040】
本発明のある態様は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアン
ト、抗TIGIT 31C6抗体または抗原結合性断片または31C6バリアント、およ
び薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物を提供する。様々な実施形態において、医
薬組成物は、約2.1mgから約700mgの31C6抗体または抗原結合性断片または
31C6バリアントを含む。様々な実施形態において、31C6抗体は、2.1mgから
700mgの抗TIGIT抗体31C6抗体または抗原結合性断片または31C6バリア
ントを含む。
【0041】
様々な実施形態において、医薬組成物は、2.1mgの抗TIGIT抗体を含む。様々
な実施形態において、医薬組成物は、7mgの抗TIGIT 31C6抗体または抗原結
合性断片または31C6バリアントを含む。様々な実施形態において、医薬組成物は、2
1mgの抗TIGIT 31C6抗体または抗原結合性断片または31C6バリアントを
含む。様々な実施形態において、医薬組成物は、70mgの抗TIGIT 31C6抗体
または抗原結合性断片または31C6バリアントを含む。様々な実施形態において、医薬
組成物は、200mgの抗TIGIT 31C6抗体または抗原結合性断片または31C
6バリアントを含む。方法の様々な実施形態において、医薬組成物は、210mgの抗T
IGIT 31C6抗体または抗原結合性断片または31C6バリアントを含む。方法の
様々な実施形態において、医薬組成物は、700mgの抗TIGIT 31C6抗体また
は抗原結合性断片または31C6バリアントを含む。
【0042】
本発明のある態様は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアン
ト、200mgの31C6抗体または31C6バリアント、および薬学的に許容される添
加剤を含む医薬組成物を提供する。
【0043】
方法の様々な実施形態において、31C6抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は
配列番号25を含む重鎖可変領域を含む。様々な実施形態において、31C6抗体は重鎖
および軽鎖を含み、軽鎖は配列番号24を含む軽鎖可変領域を含む。様々な実施形態にお
いて、31C6抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25を含む重鎖可変
領域を含み、軽鎖は配列番号24を含む軽鎖可変領域を含む。
【0044】
様々な実施形態において、31C6抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番
号23を含む。様々な実施形態において、31C6抗体は重鎖および軽鎖を含み、軽鎖は
配列番号22を含む。様々な実施形態において、抗TIGIT抗体は重鎖および軽鎖を含
み、ここで重鎖は配列番号23を含み、軽鎖は配列番号22を含む。
【0045】
様々な実施形態において、31C6抗体は、31C6バリアントである。
【0046】
様々な実施形態において、31C6バリアントは重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は
配列番号25に対して80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を含む
重鎖可変領域を含む。様々な実施形態において、31C6バリアントは重鎖および軽鎖を
含み、ここで軽鎖は配列番号24に対して80%、85%、90%、95%または99%
の配列同一性を含む軽鎖可変領域を含む。様々な実施形態において、31C6バリアント
は重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25に対して80%、85%、90%、
95%または99%の配列同一性を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号24に対し
て80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を含む軽鎖可変領域を含む
。
【0047】
様々な実施形態において、31C6バリアントは重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は
配列番号23に対して80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を含む
。様々な実施形態において、31C6バリアントは重鎖および軽鎖を含み、軽鎖は配列番
号22に対して80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を含む。様々
な実施形態において、31C6バリアントは重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番
号23に対して80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を含み、軽鎖
は配列番号22に対して80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を含
む。
【0048】
様々な実施形態において、抗TIGIT抗体は、ペンブロリズマブまたはペンブロリズ
マブバリアントと共投与されるように製剤化される。
【0049】
様々な実施形態において、抗TIGIT抗体は、ペンブロリズマブまたはペンブロリズ
マブバリアントと合剤化される。
【0050】
様々な実施形態において、ペンブロリズマブまたはそのペンブロリズマブバリアントは
、(a)配列番号1、2および3の軽鎖CDRならびに(b)配列番号6、7および8の
重鎖CDRを含む。様々な実施形態において、抗PD-1抗体は、(a)配列番号1、2
および3の軽鎖CDRならびに(b)配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む31C
6バリアントである。
【0051】
様々な実施形態において、ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは重鎖
および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号
4を含む軽鎖可変領域を含む。
【0052】
様々な実施形態において、ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは重鎖
および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号10を含み、軽鎖は配列番号5を含む。例えば
、抗PD-1抗体は、ペンブロリズマブである。様々な実施形態において、抗PD-1抗
体は、ペンブロリズマブバリアントである。様々な実施形態において、抗PD-1抗体は
、ニボルマブである。
【0053】
様々な実施形態において、ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは、静
脈内注入のために製剤化される。
【0054】
様々な実施形態において、ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは重鎖
および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む重鎖可変領
域を含み、軽鎖は配列番号1、2および3の軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含み;なら
びに31C6抗体は重鎖および軽鎖を含むヒト化抗TIGIT抗体であって、ここで重鎖
は配列番号29、30および31の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番
号26、27および28の軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含む。
【0055】
様々な実施形態において、ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは重鎖
および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号
4を含む軽鎖可変領域を含み;ならびに31C6抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで重
鎖は配列番号25を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖が配列番号24を含む軽鎖可変領域を
含む。
【0056】
様々な実施形態において、ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは重鎖
および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号10を含み、軽鎖は配列番号5を含み;ならび
に抗TIGIT抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号23を含み、軽鎖は
配列番号22を含む軽鎖可変領域を含む。本発明のある態様は、200mgのペンブロリ
ズマブまたはペンブロリズマブバリアント、2.1から700mgの31C6抗体または
31C6バリアント、および薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物を提供する。
【0057】
本発明のある態様は、400mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアン
ト、2.1から700mgの31C6抗体または31C6バリアント、および薬学的に許
容される添加剤を含む医薬組成物を提供する。
【0058】
様々な実施形態において、医薬組成物は、2.1mgの31C6抗体または31C6バ
リアントを含む。様々な実施形態において、医薬組成物は、7mgの31C6抗体または
31C6バリアントを含む。様々な実施形態において、医薬組成物は、21mgの31C
6抗体または31C6バリアントを含む。様々な実施形態において、医薬組成物は、70
mgの31C6抗体または31C6バリアントを含む。様々な実施形態において、医薬組
成物は、200mgの31C6抗体または31C6バリアントを含む。様々な実施形態に
おいて、医薬組成物は、210mgの31C6抗体または31C6バリアントを含む。様
々な実施形態において、医薬組成物は、700mgの31C6抗体または31C6バリア
ントを含む。
【0059】
医薬組成物の様々な実施形態において、31C6抗体または31C6バリアントは重鎖
および軽鎖を含む、ここで軽鎖は配列番号26、27および28の軽鎖CDRを含み、重
鎖は配列番号29、30および31の重鎖CDRを含む。
【0060】
医薬組成物の様々な実施形態において、31C6抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで
重鎖は配列番号25を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号24を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0061】
医薬組成物の様々な実施形態において、31C6抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで
重鎖は配列番号23を含み、軽鎖は配列番号22を含む軽鎖可変領域を含む。
【0062】
本発明のある態様は、本明細書中に記載される医薬組成物のいずれかを含む、がんを処
置するためのキットを提供する。様々な実施形態において、組成物は、使用のための説明
書をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】単剤治療アームおよび組み合わせ治療アームの両方からの31C6 抗TIGIT抗体の薬物動態学的データをプールして生成したプロット。算術平均濃度は、公称サンプリング時間を用いてプロットした。
【
図2A】各々、RECIST v1.1に従った試験責任医師の評価に基づく標的病変のベースラインからの最良パーセンテージ変化を使用した対象のウォーターフォールプロットを示す(ベースライン時に測定可能な疾患を有し、≧1の判定可能なベースライン後イメージング評価を有する患者において判定(31C6単剤治療についてn=25、31C6のペンブロリズマブとの組み合わせ治療についてn=41))。各バーは、個体対象を表す。組み合わせ治療についてのデータは、元々組み合わせに割り付けられた32名の患者と、単剤治療からクロスオーバーした9名の患者とを包含する。31C6単剤治療の場合、25%が何らかの減少を示し、4%が≧-30%の減少を示した。31C6およびペンブロリズマブの組み合わせ治療の場合、32%が何らかの減少を示し、24%が≧-30%の減少を示した。
【
図2B】各々、RECIST v1.1に従った試験責任医師の評価に基づく標的病変のベースラインからの最良パーセンテージ変化を使用した対象のウォーターフォールプロットを示す(ベースライン時に測定可能な疾患を有し、≧1の判定可能なベースライン後イメージング評価を有する患者において判定(31C6単剤治療についてn=25、31C6のペンブロリズマブとの組み合わせ治療についてn=41))。各バーは、個体対象を表す。組み合わせ治療についてのデータは、元々組み合わせに割り付けられた32名の患者と、単剤治療からクロスオーバーした9名の患者とを包含する。31C6単剤治療の場合、25%が何らかの減少を示し、4%が≧-30%の減少を示した。31C6およびペンブロリズマブの組み合わせ治療の場合、32%が何らかの減少を示し、24%が≧-30%の減少を示した。
【
図3A】各々、処置持続期間およびRECIST v1.1に従った試験責任医師の評価に基づく応答を示す、対象のプロットを示す。線の長さは、試験処置の最終投薬までの時間を表す。最良効果およびその後のPDまたは死亡までの時間のうち、いずれか早く発生したものが、各患者について示される。≧1のベースライン後イメージング評価があった患者のみが包含される。*は、単剤治療から組み合わせ治療にクロスオーバーした患者を表す。組み合わせ治療は、元々組み合わせに割り付けられた32名の患者と、31C6単剤治療からクロスオーバーした9名の患者とを包含する。
【
図3B】各々、処置持続期間およびRECIST v1.1に従った試験責任医師の評価に基づく応答を示す、対象のプロットを示す。線の長さは、試験処置の最終投薬までの時間を表す。最良効果およびその後のPDまたは死亡までの時間のうち、いずれか早く発生したものが、各患者について示される。≧1のベースライン後イメージング評価があった患者のみが包含される。*は、単剤治療から組み合わせ治療にクロスオーバーした患者を表す。組み合わせ治療は、元々組み合わせに割り付けられた32名の患者と、31C6単剤治療からクロスオーバーした9名の患者とを包含する。
【
図4】処置持続期間およびRECIST v1.1に従った試験責任医師の評価に基づく応答を示す、PD-1ナイーブNSCLC患者のプロットを示す。
【
図5A】処置持続期間およびRECIST v1.1に従った試験責任医師の評価に基づく応答を示す、PD-1不応性NSCLC患者のプロットを示す。患者は、実施例2に記載される、200mgの31C6抗体単剤治療(
図5A)または200mgの31C6抗体および200mgのペンブロリズマブの組み合わせ治療(
図5B)のいずれかを投与された。
【
図5B】処置持続期間およびRECIST v1.1に従った試験責任医師の評価に基づく応答を示す、PD-1不応性NSCLC患者のプロットを示す。患者は、実施例2に記載される、200mgの31C6抗体単剤治療(
図5A)または200mgの31C6抗体および200mgのペンブロリズマブの組み合わせ治療(
図5B)のいずれかを投与された。
【
図6】処置持続期間およびRECIST v1.1に従った試験責任医師の評価に基づく応答を示す、不応性卵巣患者のプロットを示す。データは、実施例1のパートA(31C6単剤治療)およびパートB(31C6のペンブロリズマブとの組み合わせ治療)に記載される処置についての結果をまとめている。
【
図7】処置持続期間およびRECIST v1.1に従った試験責任医師の評価に基づく応答を示す、PD-1ナイーブ乳がん患者のプロットを示す。患者は、実施例2に記載される、200mgの31C6とペンブロリズマブ(200mg)との組み合わせ治療で処置された。
【
図8】処置持続期間およびRECIST v1.1に従った試験責任医師の評価に基づく応答を示す、PD-1ナイーブCRC乳がん患者のプロットを示す。患者は、実施例2に記載される、200mgの31C6とペンブロリズマブ(200mg)との組み合わせ治療で処置された。
【
図9A】処置持続期間およびRECIST v1.1に従った試験責任医師の評価に基づく応答を示す、子宮頸部患者のプロットを示す。患者は、実施例2に記載される、200mg(
図9A)または700mg(
図9B)の31C6抗体と200mgのペンブロリズマブとの組み合わせ治療のいずれかを投与された。
【
図9B】処置持続期間およびRECIST v1.1に従った試験責任医師の評価に基づく応答を示す、子宮頸部患者のプロットを示す。患者は、実施例2に記載される、200mg(
図9A)または700mg(
図9B)の31C6抗体と200mgのペンブロリズマブとの組み合わせ治療のいずれかを投与された。
【発明を実施するための形態】
【0064】
略語 本発明の詳細な説明および例の全体を通じて、次の略語が用いられる:
ADA 抗薬物抗体
AE 有害事象
ALT アラニンアミノトランスフェラーゼ
ANC 好中球絶対数
aPTT 活性化部分トロンボプラスチン時間
ASaT 処置された全対象
ASCO 米国臨床腫瘍学会(American Society of
Clinical Oncology)
AST アスパルテートアミノトランスフェラーゼ
AUC 曲線下面積
BCG カルメット・ゲラン桿菌
β-hCG β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン
BOR 最良総合効果
BID 1日2回の投薬
CBR 臨床的有用率
CDR 相補性決定領域
CHO チャイニーズハムスター 卵巣
Cmax 最大濃度
Cmin 最小濃度
CNS 中枢神経系
CR 完全奏功
CRF 症例報告書
CSF コロニー刺激因子
CSR 臨床試験報告書
CT コンピュータ断層撮影
CTCAE 有害事象に関する共通用語基準
CTLA-4 細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4
D 次に低い用量までデ・エスカレーション
DCR 病勢コントロール率
DFS 無病生存期間
DILI 薬物性肝障害
DLT 用量制限毒性
DNA デオキシリボ核酸
DOR 奏功持続期間
DSDR 持続的病勢安定率
DU 許容できない毒性用量
ECG 心電図
ECI 注目すべき有害事象(複数可)
ECOG 米国東海岸がん臨床試験グループ(Eastern Coope
rative Oncology Group)
eCRF 電子症例報告書
EMA 欧州医薬品庁
FAS 最大解析セット
ELISA 酵素結合イムノアッセイ
FBR 将来の生物医学研究(Future biomedical r
esearch)
FFPE ホルマリン固定パラフィン包埋
FR フレームワーク領域
FSH 卵胞刺激ホルモン
G3 CTCAE(有害事象グレーディングスケール)グレード3
GCP 臨床試験実施基準(Good Clinical Practi
ce)
GFR 糸球体濾過量
GGT γ-グルタミルトランスフェラーゼ
HBsAg B型肝炎表面抗原
HCV C型肝炎ウイルス
HIV ヒト免疫不全ウイルス
HRT ホルモン補充療法
IB 試験薬概要書
ICF 同意説明文書
ICH ハーモナイゼーション国際会議
iCPD iRECISTで確認された病勢進行
IEC 独立倫理委員会
Ig 免疫グロブリン
IgG 免疫グロブリンG
IHC 免疫組織化学または免疫組織化学的
IL インターロイキン
IM 筋肉内
INR 国際標準比
IO 免疫腫瘍剤
irAE 免疫関連有害事象
IRB 施設内審査委員会
iRECIST 免疫学的治療法評価のための改変RECIST 1.1
irRC 免疫関連効果判定基準
iSD iRECIST病勢安定
iUPD iRECISTで確認されていない病勢進行
IV 静脈内
IVRS 双方向音声応答システム
IWRS 統合ウェブ応答システム
LDH 乳酸デヒドロゲナーゼ
LFT 肝機能検査
mAb モノクローナル抗体
MASCC 多国籍がんサポーティブ・ケア協会(Multinationa
l Association of Supportive Care in Canc
er)
MRI 磁気共鳴イメージング
mRNA メッセンジャーリボ核酸
MSD メルク・シャープ・アンド・ドーム社(Merck Sharp
& Dohme Corp.)、メルク・アンド・カンパニー社(Merck & C
o., Inc.)の子会社
MSI マイクロサテライト不安定性
MTD 最大耐量
mTPI 改変毒性発現確率区間
NCBI 米国国立バイオテクノロジー情報センター
NCI 米国国立がん研究所
NK ナチュラルキラー
NOAEL 無毒性量
NSAID 非ステロイド性抗炎症剤
NSCLC 非小細胞肺がん
ORR 客観的奏効率
OS 全生存期間
OTC 市販薬
PBMC 末梢血単核細胞
PD 病勢進行
PD-1 プログラム死1
PD-L1 プログラム細胞死1リガンド1
PD-L2 プログラム細胞死1リガンド2
PFS 無増悪生存期間
PK 薬物動態(複数可)
PNA 肺炎
PP プロトコール適合
PR 部分奏功
PT プロトロンビン時間
PTT 部分トロンボプラスチン時間
Q2W 2週に1回の投薬
Q3W 3週に1回の投薬
QD 1日に1回の投薬
RECIST 固形がんにおける効果判定基準(Response Evalu
ation Criteria in Solid Tumors)
RECIST 1.1 固形がんにおける効果判定基準 バージョン1.1
RNA リボ核酸
RP2D フェーズ2推奨用量
SAE 重篤有害事象
SAP 統計解析計画書
SD 病勢安定
SGOT 血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ
SGPT 血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ
SNP 一塩基多型
SoA 活動スケジュール
sSAP 補足的統計解析計画書
TCR T細胞受容体
TIGIT IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体
TNBC トリプルネガティブ乳がん
TNF 腫瘍壊死因子
TSH 甲状腺刺激ホルモン
ULN 正常上限値
VH 免疫グロブリン重鎖可変領域
VK 免疫グロブリンカッパ軽鎖可変領域
WOCBP 妊娠の可能性がある女性
I.定義
本発明がより容易に理解され得るように、ある種の技術用語および科学用語が下に具体
的に定義される。本書類中のどこかで具体的に定義されないかぎり、本明細書中で用いら
れる全ての他の技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通例
的に理解される意味を持つ。
【0065】
添付の特許請求の範囲を包含する本明細書中で用いられるとき、言葉の単数形、例えば
「a」、「an」および「the」などは、その内容が明らかに他を指示しないかぎり、
それらの対応する複数形の言及を包含する。
【0066】
本明細書中で用いられるとき、「31C6バリアント」は、軽鎖CDRの外側の位置に
3個、2個または1個の保存的アミノ酸置換を持つことおよび重鎖CDRの外側に6個、
5個、4個、3個、2個または1個の保存的アミノ酸置換を持つことを除いて31C6(
下記およびWO2016/028656中に記載されており、この文献は参照によりその
全体が組み込まれる)中のものと実質的に同一である重鎖配列および軽鎖配列を含むモノ
クローナル抗体を意味し、例として、その変異位置はFR領域または定常領域の中にあり
、重鎖C末端のリジン残基欠失があってもよい。言い換えれば、31C6および31C6
バリアントは同一のCDR配列を含むが、それらの完全長軽鎖配列および重鎖配列におい
てそれぞれ3個または6個を超えない他の位置に保存的アミノ酸置換を持つため、互いに
異なる。31C6バリアントは、次の性質:ヒトTIGITへの結合アフィニティおよび
ヒトTIGITのヒトCD155およびヒトCD112への結合をブロックする能力に関
して31C6と実質的に同じである。
【0067】
「投与」とは、それが動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官または生物学的液体に
適用されるとき、その動物、ヒト、対象、細胞、組織、器官または生物学的液体への外来
性の医薬、治療薬、診断剤または組成物の接触をいう。細胞の処置は、細胞への試薬の接
触、同様に、液体が細胞と接触している場合にその液体への試薬の接触を包含する。用語
「対象」は、任意の生物、好ましくは動物、より好ましくは哺乳動物(例としてラット、
マウス、イヌ、ネコ、ウサギ)および最も好ましくはヒトを包含する。
【0068】
本明細書中で用いられるとき、用語「抗体」とは、所望の生物学的または結合活性を呈
する任意の形態の抗体をいう。それゆえに、これは最も広い意味で用いられ、具体的には
、限定されるものではないが、モノクローナル抗体(完全長のモノクローナル抗体を包含
する)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例として二重特異性抗体)、ヒト化抗体
、完全ヒト抗体、キメラ抗体およびラクダ化シングルドメイン抗体に及ぶ。「親抗体」は
、意図される使用のための抗体の改変に先立って、例えばヒト治療薬としての使用のため
の抗体のヒト化などに先立って、免疫系の抗原への曝露により得られる抗体である。
【0069】
一般的に、基本的な抗体構造単位はテトラマーを含む。各テトラマーは2つの同一のポ
リペプチド鎖ペアを包含し、各ペアは1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重
」鎖(約50~70kDa)を持つ。各鎖のアミノ末端部分は、主として抗原認識に関与
する約100から110アミノ酸残基以上の可変領域を包含する。重鎖のカルボキシ末端
部分は、主としてエフェクター機能に関与する定常領域を定義し得る。典型的に、ヒト軽
鎖は、カッパ軽鎖およびラムダ軽鎖に分類される。さらに、ヒト重鎖は典型的にミュー、
デルタ、ガンマ、アルファまたはイプシロンに分類され、それぞれ抗体のアイソタイプを
IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEと定義する。軽鎖および重鎖内で、可変領
域および定常領域は約12アミノ酸残基以上の「J」領域により連結されており、重鎖は
さらに約10アミノ酸残基の「D」領域も包含する。全般的に、Fundamental
Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed. Rav
en Press,N.Y.(1989)を参照されたい。
【0070】
各軽鎖/重鎖ペアの可変領域は、抗体結合部位を形成する。それゆえに、一般的に、イ
ンタクトな抗体は2つの結合部位を持つ。二機能性抗体または二重特異性抗体におけるも
のを除いて、2つの結合部位は、一般的に同じである。
【0071】
典型的に、重鎖および軽鎖両方の可変ドメインは、比較的保存されたフレームワーク領
域(FR)内に位置する相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる3つの高頻度可変領域を
含む。CDRは通常フレームワーク領域と並んでおり、特異的なエピトープへの結合を可
能にする。一般的に、N末端からC末端までに、軽鎖および重鎖両方の可変ドメインは、
FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各ドメイ
ンへのアミノ酸の割り当ては、一般に、Sequences of Proteins
of Immunological Interest,Kabat,et al.;N
ational Institutes of Health,Bethesda,Md
.;5th ed.;NIH Publ.No.91-3242(1991);Kaba
t(1978) Adv.Prot.Chem. 32:1-75;Kabat,et
al.,(1977) J.Biol.Chem. 252:6609-6616;Ch
othia,et al.,(1987) J.Mol.Biol. 196:901-
917またはChothia,et al.,(1989) Nature 342:8
78-883の定義に従う。
【0072】
本明細書中で用いられるとき、特に指示がないかぎり、「抗体断片」または「抗原結合
性断片」とは、抗体の抗原結合性断片、すなわち完全長抗体によって結合される抗原に特
異的に結合する能力を保持した抗体断片をいい、例として1または複数のCDR領域を保
持した断片をいう。抗原結合性断片の例としては、限定されるものではないが、Fab、
Fab’、F(ab’)2およびFv断片;ダイアボディ;リニア抗体;一本鎖抗体分子
、例としてsc-Fv;抗体断片から形成されるナノボディおよび多重特異性抗体が挙げ
られる。
【0073】
特定の標的タンパク質「に特異的に結合する」抗体は、他のタンパク質と比較してその
標的への優先的な結合を呈する抗体であるが、この特異性は絶対的な結合特異性を必要と
しない。抗体は、その結合が試料中の標的タンパク質の存在を、例として望まれない結果
、例えば偽陽性などを生じることなく決定するならば、その意図された標的に「特異的」
であると考えられる。本発明において有用な抗体またはその結合性断片は、非標的タンパ
ク質とのアフィニティーよりも少なくとも2倍強い、好ましくは少なくとも10倍強い、
より好ましくは少なくとも20倍強い、および最も好ましくは少なくとも100倍強いア
フィニティーを有して、標的タンパク質に結合する。本明細書中で用いられるとき、所与
のアミノ酸配列、例として成熟ヒトPD-1またはヒトPD-L1分子のアミノ酸配列を
含むポリペプチドに結合するがその配列を欠いたタンパク質に結合しない場合、抗体は、
その配列を含むポリペプチドに特異的に結合するといわれる。
【0074】
本明細書中で用いられる「カルボプラチン」とは、幅広い抗悪性腫瘍性スペクトルを有
する第二世代の白金化合物をいう。米国特許第10,421,770号、第8,377,
888号および第6,770,653号を参照されたい。カルボプラチンは、2つのアン
モニア基およびシクロブタン-ジカルボキシル残基が配位した白金原子を含有する。この
剤は、細胞内で活性化されて、求核性基、例えばDNA中のGCリッチ部位などに結合す
る反応性の白金錯体を形成することで、鎖内および鎖間のDNA架橋、同様にDNA-タ
ンパク質架橋を誘発する。これらのカルボプラチン誘発性のDNAおよびタンパク質への
影響は、アポトーシスおよび細胞増殖阻害をもたらす。この剤は、その親化合物であるシ
スプラチンと同様の殺腫瘍活性を有するが、より安定でより毒性が低い。カルボプラチン
アナログもまた、がんの処置のために投与され得る。米国特許公報第6548541B1
号を参照されたい。
【0075】
「キメラ抗体」とは、重鎖および/または軽鎖のある部分は特定の種(例としてヒト)
に由来する抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配
列と同一または相同であるが、鎖(複数可)の残部は別の種(例としてマウス)に由来す
る抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一ま
たは相同である抗体をいい、同様に、それらが所望の生物学的活性を呈するかぎり、かか
る抗体の断片をもいう。
【0076】
本明細書中で剤、例えばPD-1アンタゴニストまたはTIGITアンタゴニストなど
に対して用いられる「共投与」は、治療活性が重なるように剤を投与することを意味し、
必ずしも剤を対象に同時投与することを意味するものではない。剤は、投与前に物理的に
組み合わせても組み合わせなくてもよい。ある実施形態において、剤は、同時にまたはほ
ぼ同時に対象に投与される。例えば、別々のバイアル中に含有される抗PD-1抗体およ
び抗TIGIT抗体製剤は、溶液であるとき、同じ静脈内注入バッグまたは注射デバイス
中に入れて混合され得て、同時に患者に投与され得る。
【0077】
本明細書中で用いられる「合剤化される(co-formulated)」または「合
剤(co-formulation)」または「合剤(coformulation)」
または「合剤化される(coformulated)」とは、個別に製剤化および保管さ
れ、次いで投与前に混合されるまたは別々に投与されるよりもむしろ、一緒に製剤化され
て組み合わせ製品として単一のバイアルまたは容器(例えば注射デバイス)中に保管され
る、少なくとも2つの異なる抗体またはその抗原結合性断片をいう。1つの実施形態にお
いて、合剤は、2つの異なる抗体またはその抗原結合性断片を含有する。
【0078】
薬物動態学上の「定常状態」は、複数回の投薬による薬物濃度の何らかの蓄積が最大化
しており、全身性薬物曝露がその後の各用量の投与後に一定と考えられる期間であり;ペ
ンブロリズマブの特定の場合、定常状態は投与の約16週後以降に達成される。
【0079】
AUCss、Cavg,ssおよびCmin,ssは、薬物(例としてペンブロリズマ
ブ)投与後のヒトにおけるその薬物への全身性曝露の薬物動態学的測定値であり、典型的
には薬効のドライバーと考えられている。AUCssおよびCavg,ssは、投与間隔
にわたる平均的な曝露量を表すものであるが、単位の点で異なる。「Cmin,ss」は
、投与間隔の終了時、次の用量が投与される直前に観察される最小または最低(トラフ)
薬物濃度を表す。
【0080】
「Cmax,ss」は、その投与直後に観察される最大または最高(ピーク)薬物濃度
である。静脈内注入として投与されるペンブロリズマブの特定の場合において、注入終了
後すぐにピーク濃度になる。Cmax,ssは、典型的には安全性のドライバーと考えら
れる計量値(metric)である。
【0081】
「ヒト抗体」とは、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列のみを含む抗体をいう。ヒト抗
体は、マウス、マウス細胞またはマウス細胞に由来するハイブリドーマ中で産生された場
合はマウスの糖鎖を含有し得る。同様に、「マウス抗体」または「ラット抗体」とは、そ
れぞれマウスまたはラットの免疫グロブリン配列のみを含む抗体をいう。
【0082】
「ヒト化抗体」とは、非ヒト(例としてマウス)抗体からの配列、同様にヒト抗体から
の配列を含有する形態の抗体をいう。かかる抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最
小限の配列を含有する。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可
変ドメインの実質的に全てを含み、ここで非ヒト免疫グロブリンのそれに相当する高頻度
可変ループの全てまたは実質的に全て、およびFR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒ
ト免疫グロブリン配列のそれである。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc
)、典型的にヒト免疫グロブリンの少なくとも一部を含んでもよい。接頭辞「hum」、
「hu」または「h」は、ヒト化抗体を親の齧歯類抗体から区別することが必要なときに
抗体クローン名称に付加される。齧歯類抗体のヒト化形態は、一般に、親の齧歯類抗体と
同じCDR配列を含むが、アフィニティーを向上させるため、ヒト化抗体の安定性を向上
させるため、または他の理由のためにある種のアミノ酸置換が包含され得る。
【0083】
治療レジメン、例えば本明細書中に記載される組み合わせ治療などで処置されたがん患
者に言及するときの「抗腫瘍応答」は、少なくとも1つの肯定的な治療効果、例えばがん
細胞数の低減、腫瘍サイズの低減、末梢器官へのがん細胞の浸潤速度の低減、腫瘍転移も
しくは腫瘍増殖速度の低減、または無増悪生存などを意味する。がんにおける肯定的な治
療効果は、様々な方法で測定することができる(W.A.Weber,J.Null.M
ed. 50:1S-10S(2009);上のEisenhauer et al.を
参照されたい)。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される組み合わせ治療
への抗腫瘍応答は、RECIST 1.1基準、二次元irRCまたは一次元irRCを
用いて評価される。いくつかの実施形態において、抗腫瘍応答は、SD、PR、CR、P
FSまたはDFSのいずれかである。
【0084】
「二次元irRC」とは、Wolchok JD,et al. Guideline
s for the evaluation of immune therapy a
ctivity in solid tumors:immune-related r
esponse criteria. Clin Cancer Res. 2009;
15(23):7412-7420中に記載されている一連の基準をいう。これらの基準
は、標的病変の二次元腫瘍測定値を利用しており、各病変の最長直径と最長垂直直径を乗
算すること(cm2)によって得られる。
【0085】
「生物療法剤」は、腫瘍維持および/もしくは増殖を支持するまたは抗腫瘍免疫応答を
抑制する任意の生物学的経路におけるリガンド/受容体シグナル伝達をブロックする生物
学的分子、例えば抗体または融合タンパク質などを意味する。生物療法剤の分類としては
、限定されるものではないが、VEGF、EGFR、Her2/neu、他の増殖因子受
容体、CD20、CD40、CD-40L、CTLA-4、OX-40、4-1BBおよ
びICOSに対する抗体が挙げられる。
【0086】
「CBR」または「臨床的有用率」は、CR+PR+持続的SDを意味する。
【0087】
本明細書中で用いられる「CDR(単数形)」または「CDR(複数形)」は、特に指
示がないかぎり、Kabatナンバリングシステムを用いて定義される、免疫グロブリン
可変領域中の相補性決定領域(複数可)を意味する。
【0088】
「化学療法剤」は、がんの処置において有用な化学物質である。化学療法剤の分類とし
ては、限定されるものではないが、アルキル化剤、代謝拮抗剤、キナーゼ阻害剤、紡錘体
毒 植物アルカロイド、細胞傷害性/抗腫瘍性抗生物質、トポイソメラーゼ(topis
omerase)阻害剤、光増感剤、抗エストロゲン剤および選択的エストロゲン受容体
モジュレーター(SERM)、抗プロゲステロン剤、エストロゲン受容体ダウンレギュレ
ーター(ERD)、エストロゲン受容体アンタゴニスト、黄体形成ホルモン(leuti
nizing hormone)放出ホルモンアゴニスト、抗アンドロゲン剤、アロマタ
ーゼ阻害剤、EGFR阻害剤、VEGF阻害剤、異常な細胞増殖または腫瘍増殖にかかわ
る遺伝子の発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。本発明の処置
方法において有用な化学療法剤としては、細胞増殖抑制剤および/または細胞傷害剤が挙
げられる。
【0089】
「Chothia」は、Al-Lazikani et al.,JMB 273:9
27-948(1997)中に記載される抗体ナンバリングシステムを意味する。
【0090】
「を含むこと(comprising)」またはバリエーション、例えば「を含む(c
omprise)」、「を含む(comprises)」または「を含む(compri
sed of)」などは、明示的な言語または必然的な暗示のために文脈が他を必要とし
ないかぎり、本明細書および特許請求の範囲の全体を通じて包含的な意味で、すなわち、
述べられた特徴の存在を特定するが本発明の実施形態のいずれかの作用または有用性を実
質的に高め得るさらなる特徴の存在または追加を排除せずに用いられる。
【0091】
「保存的改変バリアント」または「保存的置換」とは、タンパク質の生物学的活性また
は他の所望の性質、例えば抗原アフィニティーおよび/または特異性などを変えることな
くしばしば変化させることができるような、タンパク質中のアミノ酸の、類似した特性(
例として電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、骨格構造および剛性など)を持つ他のアミ
ノ酸との置換をいう。当業者は、一般的に、ポリペプチドの非必須領域における単一のア
ミノ酸置換は生物学的活性を実質的に変えないことを認識する(例としてWatson
et al.(1987) Molecular Biology of the Ge
ne,The Benjamin/Cummings Pub.Co.,p.224(4
th Ed.)を参照されたい)。加えて、構造的または機能的に類似したアミノ酸の置
換は、生物学的活性を破壊する可能性が低い。例示的な保存的置換は、下の表1中に示さ
れる。
【0092】
【0093】
「から本質的になる(consists essentially of)」およびバ
リエーション、例えば「から本質的になる(consist essentially
of)」または「から本質的になること(consisting essentiall
y of)」などは、本明細書および特許請求の範囲の全体を通じて用いられるとき、任
意の列挙された要素または要素の群を含めること、および列挙された要素と類似したまた
は異なる、特定の薬剤投与レジメン(dosage regimen)、方法または組成
物の基本的なまたは新規の性質を実質的に変化させない他の要素を含めてもよいことを指
し示す。限定されない例として、列挙されたアミノ酸配列から本質的になるPD-1アン
タゴニストは、結合性化合物の性質に実質的に影響しない1または複数のアミノ酸をも包
含し得て、これは1または複数のアミノ酸残基の置換を包含する。
【0094】
「DCR」または「病勢コントロール率」は、CR+PR+SDを意味する。
【0095】
「診断用の抗PD-Lモノクローナル抗体」は、ある種の哺乳動物細胞の表面上に発現
する成熟形態の指定されたPD-L(PD-L1またはPDL2)に特異的に結合するm
Abを意味する。成熟PD-Lは、リーダーペプチドとも呼ばれる前分泌リーダー配列を
欠いている。用語「PD-L」および「成熟PD-L」は本明細書中で交換可能に用いら
れ、特に指示がないかぎり、または文脈から容易に明らかでないかぎり、同じ分子を意味
すると理解されるものである。
【0096】
本明細書中で用いられるとき、診断用の抗ヒトPD-L1 mAbまたは抗hPD-L
1 mAbとは、成熟ヒトPD-L1に特異的に結合するモノクローナル抗体をいう。成
熟ヒトPD-L1分子は、次の配列のアミノ酸19~290よりなる:
MRIFAVFIFMTYWHLLNAFTVTVPKDLYVVEYGSNMTIEC
KFPVEKQLDLAALIVYWEMEDKNIIQFVHGEEDLKVQHSS
YRQRARLLKDQLSLGNAALQITDVKLQDAGVYRCMISYGG
ADYKRITVKVNAPYNKINQRILVVDPVTSEHELTCQAEGY
PKAEVIWTSSDHQVLSGKTTTTNSKREEKLFNVTSTLRIN
TTTNEIFYCTFRRLDPEENHTAELVIPELPLAHPPNERTH
LVILGAILLCLGVALTFIFR LRKGRMMDVKKCGIQDTNS
KKQSDTHLEET(配列番号32)。
【0097】
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織切片におけるPD-L1発現の免
疫組織化学(IHC)検出のための診断用mAbとして有用な診断用の抗ヒトPD-L1
mAbの具体例は、20C3抗体および22C3抗体であり、これらはWO2014/
100079中に記載されている。下の表2に抗体22C3の特性を提供する。FFPE
組織切片におけるPD-L1発現のIHC検出に有用であると報告されている別の抗ヒト
PD-L1 mAb(Chen,B.J. et al.,Clin Cancer R
es 19:3462-3473(2013))は、Sino Biological,
Inc.から公的に入手可能なウサギ抗ヒトPD-L1 mAbである(中華人民共和国
、北京;カタログ番号10084-R015)。
【0098】
表2. モノクローナル抗体MEB037.22C3(22C3)の特性
【表2】
【0099】
本明細書中で用いられる「PD-L1」または「PD-L2」の発現は、細胞表面上の
指定されたPD-Lタンパク質または細胞もしくは組織内での指定されたPD-L mR
NAの何かしら検出可能なレベルの発現を意味する。PD-Lタンパク質の発現は、診断
用PD-L抗体を使用して、腫瘍組織切片のIHCアッセイにおいて、またはフローサイ
トメトリーにより検出され得る。
【0100】
あるいは、5個の腫瘍細胞によるPD-Lタンパク質の発現は、PETイメージングに
より、所望のPD-L標的に、例としてPD-L1またはPD-L2に特異的に結合する
結合剤(例として抗体断片、アフィボディなど)を用いて検出され得る。PD-L mR
NAの発現を検出して測定するための技術としては、RT-PCR、リアルタイム定量的
RT-PCR、RNAseqおよびNanostringプラットフォームが挙げられる
(J.Clin.Invest. 2017;127(8):2930-2940)。
【0101】
腫瘍組織切片のIHCアッセイにおいてPD-L1タンパク質発現を定量するためのい
くつかのアプローチが記載されている。例としてThompson,R.H.,et a
l.,PNAS 101(49);17174-17179(2004);Thomps
on,R.H.et al.,Cancer Res. 66:3381-3385(2
006);Gadiot,J.,et al.,Cancer 117:2192-22
01(2011);Taube,J.M. et al.,Sci Transl Me
d 4,127ra37(2012);およびToplian,S.L. et al.
,New Eng.J Med. 366(26):2443-2454(2012)を
参照されたい。病理医により用いられる15のヘマトキシリン・エオシン染色を記載して
いるUS20170285037を参照されたい。
【0102】
1つのアプローチは、PD-L1発現が陽性または陰性であるというシンプルな二値エ
ンドポイントを使用するものであり、陽性の結果は、細胞表面膜染色の組織学的なエビデ
ンスを呈する腫瘍細胞のパーセンテージの点で定義される。腫瘍組織切片は、PD-L1
発現が全腫瘍細胞のうち少なくとも1%である場合にPD-L1発現陽性としてカウント
される。
【0103】
別のアプローチにおいて、腫瘍組織切片中のPD-L1発現は、腫瘍細胞中で、同様に
主にリンパ球を含む浸潤性免疫細胞中で定量される。膜染色を呈する腫瘍細胞および浸潤
性免疫細胞のパーセンテージは、<5%、5から9%、次いで10%ずつ増やして最大1
00%として別々に定量される。免疫浸潤物におけるPD-L1発現は、補正炎症スコア
(AIS)と呼ばれる半定量的測定値として報告され、これは、膜染色細胞のパーセント
に浸潤物の強度を乗算することにより決定され、無(0)、軽度(スコア1、リンパ球ほ
とんどなし)、中度(スコア2、リンパ組織球性凝集物による腫瘍の限局性浸潤)または
重度(スコア3、びまん性浸潤)として評点される。腫瘍組織切片は、AISが≧5の場
合、免疫浸潤物によりPD-L1発現陽性としてカウントされる。
【0104】
PD-L1 mRNAの発現レベルは、定量的RT-PCRにおいてしばしば用いられ
る1または複数の参照遺伝子のmRNA発現レベルと比較され得る。
【0105】
いくつかの実施形態において、腫瘍内の悪性細胞および/または浸潤性免疫細胞による
PD-L1の発現レベル(タンパク質および/またはmRNA)は、適切な対照によるP
D-L1の発現レベル(タンパク質および/またはmRNA)との比較に基づいて「過剰
発現」または「上昇」と決定される。例えば、対照のPD-L1タンパク質またはmRN
Aの発現レベルは、同タイプの非悪性細胞中で、または対応する正常組織からの切片中で
定量されるレベルであり得る。いくつかの好ましい実施形態において、腫瘍試料中のPD
-L1タンパク質(および/またはPD-L1 mRNA)が対照におけるものよりも少
なくとも10%、20%または30%多い場合、腫瘍試料中のPD-L1発現は上昇した
と決定される。
【0106】
「腫瘍割合スコア(TPS)」とは、細胞膜上でPD-L1を任意の強度(弱、中また
は強度)で発現している腫瘍細胞のパーセンテージをいう。線状の部分的または完全な細
胞膜の染色は、PD-L1陽性と解釈される。
【0107】
「単核炎症密度スコア(MIDS)」とは、腫瘍に浸潤または隣接しているPD-L1
を発現する単核炎症細胞(MIC)(腫瘍巣および隣接する支持間質内の小リンパ球、大
リンパ球、単球およびマクロファージ)数の腫瘍細胞の総数に対する比をいう。MIDS
は0から4までのスケールで記録され、0=なし;1=存在するが、100個の腫瘍細胞
あたり1個未満のMICである(<1%);2=100個の腫瘍細胞あたり少なくとも1
個のMICがあるが、10個の腫瘍細胞あたり1個未満のMICである(1~9%);3
=10個の腫瘍細胞あたり少なくとも1個のMICがあるが、腫瘍細胞よりもMICの数
は少ない(10~99%);4=腫瘍細胞と少なくとも同数のMICがある(≧100%
)。
【0108】
「組み合わせ陽性スコア(CPS)」とは、腫瘍巣および隣接する支持間質内のPD-
L1陽性腫瘍細胞およびPD-L1陽性単核炎症細胞(MIC)の数(分子)の、腫瘍細
胞の総数(分母;すなわちPD-L1陽性およびPD-L1陰性の腫瘍細胞数)に対する
比をいう。あらゆる強度、すなわち弱(1+)、中(2+)または強度(3+)のPD-
L1発現が陽性と考えられる。
【0109】
「PD-L1発現陽性」とは、少なくとも1%の腫瘍割合スコア、単核炎症密度スコア
または組み合わせ陽性スコア;AISが≧5;または適切な対照と比較した腫瘍内の悪性
細胞および/もしくは浸潤性免疫細胞によるPD-L1の発現レベル(タンパク質および
/またはmRNA)の上昇をいう。
【0110】
「DSDR」または「持続的病勢安定率」は、≧23週間のSDを意味する。
【0111】
本明細書中で用いられる「フレームワーク領域」または「FR」は、CDR領域を除い
た免疫グロブリン可変領域を意味する。
【0112】
本明細書中で用いられる「Kabat」は、Elvin A.Kabat((1991
) Sequences of Proteins of Immunological
Interest,5th Ed. Public Health Service,
National Institutes of Health,Bethesda,M
d.)により開発された免疫グロブリンのアラインメントおよびナンバリングシステムを
意味する。
【0113】
「抗TIGIT抗体」は、ヒトTIGITに特異的に結合するモノクローナル抗体を意
味する。ヒトTIGITは、以下のアミノ酸配列を含む:
MRWCLLLIWA QGLRQAPLAS GMMTGTIETT GNISAEK
GGS IILQCHLSST TAQVTQVNWE QQDQLLAICN ADL
GWHISPS FKDRVAPGPG LGLTLQSLTV NDTGEYFCIY
HTYPDGTYTGRIFLEVLESS VAEHGARFQI PLLGAMA
ATL VVICTAVIVV VALTRKKKAL RIHSVEGDLRRKSA
GQEEWS PSAPSPPGSC VQAEAAPAGL CGEQRGEDCA
ELHDYFNVLS YRSLGNCSFF TETG(配列番号33);Genba
nkアクセッション番号NP_776160.2のアミノ酸残基25~244(配列番号
33)も参照されたい(配列番号33のアミノ酸残基1~24はリーダーペプチドに相当
する)。
【0114】
「マイクロサテライト不安定性(MSI)」とは、腫瘍におけるDNAミスマッチ修復
欠損に関連したゲノム不安定性の形態をいう。Boland et al.,Cance
r Research 58,5258-5257,1998を参照されたい。1つの実
施形態において、MSI解析は、米国国立がん研究所(NCI)が推奨する5個のマイク
ロサテライトマーカーBAT25(GenBankアクセッション番号9834508)
、BAT26(GenBankアクセッション番号9834505)、D5S346(G
enBankアクセッション番号181171)、D2S123(GenBankアクセ
ッション番号187953)、D17S250(GenBankアクセッション番号17
7030)を用いて行うことができる。付加的なマーカー、例えば、BAT40、BAT
34C4、TGF-β-RIIおよびACTCを用いることができる。MSI解析のため
の市販のキットとしては、例えば、Promega MSIマルチプレックスPCRアッ
セイが挙げられる。
【0115】
「高頻度マイクロサテライト不安定性」または「マイクロサテライト高不安定性(MS
I-H)」とは、5個のNCIマーカーのうちの2個以上が不安定性を示す場合、または
全マーカーの≧30~40%が不安定性を実証する(すなわち挿入/欠失変異を持つ)場
合をいう。
【0116】
「低頻度マイクロサテライト不安定性」または「マイクロサテライト低不安定性(MS
I-L)」とは、5個のNCIマーカーのうちの1個が不安定性を示す場合、または全マ
ーカーの<30~40%が不安定性を呈する(すなわち挿入/欠失変異を持つ)場合をい
う。
【0117】
本明細書中で用いられる「非MSI-H結腸直腸がん」とは、マイクロサテライト安定
性(MSS)および低頻度MSI(MSI-L)の結腸直腸がんをいう。
【0118】
「マイクロサテライト安定性(MSS)」とは、5個のNCIマーカーのいずれも不安
定性を示さない(すなわち挿入/欠失変異を持たない)場合をいう。
【0119】
「ミスマッチ修復良好(pMMR)の結腸直腸がん」とは、IHCによるCRC腫瘍検
体におけるMMRタンパク質(MLH1、PMS2、MSH2およびMSH6)の正常な
発現をいう。MMR解析のための10個の市販のキットは、Ventana MMR I
HCアッセイを包含する。
【0120】
「ミスマッチ修復欠損(dMMR)の結腸直腸がん」とは、IHCによるCRC腫瘍検
体における1または複数のMMRタンパク質(MLH1、PMS2、MSH2およびMS
H6)の低発現をいう。
【0121】
本明細書中で用いられる「モノクローナル抗体」または「mAb」または「Mab」と
は、実質的に均一な抗体の集団をいい、すなわちその集団を構成する抗体分子のアミノ酸
配列は、少量存在し得る潜在的な自然発生変異を除いて15個、同一である。対照的に、
従来の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的に、それらの可変ドメイン、とりわけそ
れらのCDRの中に異なるアミノ酸配列を持つ数多くの異なる抗体を包含し、これらはし
ばしば異なるエピトープに対して特異的である。修飾語「モノクローナル」は、20の実
質的に均一な抗体集団から得られるものとしての抗体の特性を指し示し、何かしらの特定
の方法による抗体産生を必要とするものと解釈されるものではない。例えば、本開示に従
って用いられることになるモノクローナル抗体は、Kohler et al.(197
5) Nature 256:495により最初に記載されたハイブリドーマ法により作
製され得て、または組換えDNA法により作製され得る(例として米国特許第4,816
,567号を参照されたい)。「モノクローナル抗体」はまた、ファージ抗体ライブラリ
ーから、例えばClackson et al.(1991) Nature 352:
624-628およびMarks et al.(1991) J.Mol.Biol.
222:581-597中に記載される技術を用いて単離され得る。Presta(2
005) J.Allergy Clin.Immunol. 116:731も参照さ
れたい。
【0122】
「非レスポンダー患者」は、本明細書中に記載される組み合わせ治療での処置への特異
的な抗腫瘍応答に言及するとき、患者が抗腫瘍応答を呈さなかったことを意味する。
【0123】
「ORR」または「客観的奏効率」とは、いくつかの実施形態においてCR+PRをい
い、ORR(24週)とは、24週の抗がん処置後のコホート中の各患者においてirR
ECISTを用いて測定したCRおよびPRをいう。
【0124】
「患者」または「対象」とは、治療が望まれる、または臨床試験、疫学研究に参加して
いるもしくは対照として用いられる任意の単一の対象をいい、ヒト患者および哺乳動物患
畜、例えばウシ、ウマ、イヌおよびネコなどが挙げられる。
【0125】
「PD-1アンタゴニスト」とは、がん細胞上に発現したPD-L1が免疫細胞(T細
胞、B細胞またはNKT細胞)上に発現したPD-1に結合することをブロックし、好ま
しくはがん細胞上に発現したPD-L2が免疫細胞発現性のPD-1に結合することをも
ブロックする任意の化学物質または生物学的分子を意味する。PD-1およびそのリガン
ドの別名または同義語としては、PD-1についてはPDCD1、PD1、CD279お
よびSLEB2;PD-L1についてはPDCD1L1、PDL1、B7H1、B7-4
、CD274およびB7-H;ならびにPD-L2についてはPDCD1L2、PDL2
、B7-DC、BtdcおよびCD273が挙げられる。ヒト個体が処置される本発明の
処置方法、薬剤および使用のいずれかにおいて、PD-1アンタゴニストは、ヒトPD-
L1のヒトPD-1への結合をブロックし、好ましくはヒトPD-L1およびPD-L2
の両方のヒトPD-1への結合をブロックする。ヒトPD-1のアミノ酸配列は、NCB
I Locus No.NP_005009中に見出すことができる。ヒトPD-L1お
よびPD-L2のアミノ酸配列は、それぞれNCBI Locus No.NP_054
862およびNP_079515中に見出すことができる。
【0126】
本明細書中で用いられるとき、「ペンブロリズマブバリアント」は、軽鎖CDRの外側
の位置に3個、2個または1個の保存的アミノ酸置換を持つことおよび重鎖CDRの外側
に6個、5個、4個、3個、2個または1個の保存的アミノ酸置換を持つことを除いてペ
ンブロリズマブ中のものと実質的に同一である重鎖配列および軽鎖配列を含むモノクロー
ナル抗体を意味し、例として、その変異位置はFR領域または定常領域の中にあり、重鎖
C末端のリジン残基欠失があってもよい。言い換えれば、ペンブロリズマブおよびペンブ
ロリズマブバリアントは同一のCDR配列を含むが、それらの完全長軽鎖配列および重鎖
配列においてそれぞれ3個または6個を超えない他の位置に保存的アミノ酸置換を持つた
め、互いに異なる。ペンブロリズマブバリアントは、次の性質:PD-1への結合アフィ
ニティおよびPD-L1およびPD-L2の各々のPD-1への結合をブロックする能力
に関してペンブロリズマブと実質的に同じである。
【0127】
本明細書中で用いられるとき、用語「ペメトレキセド」は、5-置換ピロロ[2,3-
d]ピリミジンという名称の化合物を指す。詳細には、この用語は、非小細胞肺がんおよ
び悪性胸膜中皮腫といった様々ながんに対して抗がん効果を呈するマルチターゲットの葉
酸代謝拮抗剤を指す。ペメトレキセドは、葉酸代謝に関与する代謝産物の活性を阻害する
ことによって、非小細胞肺がんおよび悪性胸膜中皮腫といった様々ながんに対して抗がん
効果を呈する。ペメトレキセドのアナログおよびバリアントも用いられ得る。PCT公開
番号WO2014084651A1を参照されたい。
【0128】
本明細書中で用いられる「RECIST 1.1効果判定基準」は、応答が測定される
文脈に基づいて適切であるように、標的病変または非標的病変についてEisenhau
er et al.,E.A.et al.,Eur.J Cancer 45:228
-247(2009)中に規定される定義を意味する。
【0129】
「レスポンダー患者」は、本明細書中に記載される組み合わせ治療での処置への特異的
な抗腫瘍応答に言及するとき、患者が抗腫瘍応答を呈したことを意味する。
【0130】
「持続性奏功」は、本明細書中に記載される治療薬または組み合わせ治療での処置の休
止後の持続性治療効果を意味する。いくつかの実施形態において、持続性奏功は、その持
続期間が処置の持続期間と少なくとも同じ、または処置の持続期間より少なくとも1.5
、2.0、2.5もしくは3倍長い。
【0131】
タキソールは、卵巣癌、乳癌および肺癌といった多くのタイプのがんの処置のために用
いられる有用ながん化学療法剤である。タキソールは、タキソス・ブレバフォリオ(Ta
xus brevafolio)(タイヘイヨウイチイ)の樹皮に由来する天然物である
。タキソールは、有糸分裂の際に微小管の重合を阻害し、その後の細胞死をもたらす。タ
キソールは、乳がん、卵巣がんおよび肺がんといったがんに対する幅広い殺腫瘍活性スペ
クトルを示す(McGuire et al.,1996,N.Engld.J.Med
. 334:1-6;およびJohnson et al.,1996,J.Clin.
Ocol. 14:2054-2060)。タキソールは、これらの悪性腫瘍の治療にお
いてしばしば有効であるが、通常、最終的にタキソール抵抗性が発生するために治癒的で
はない。タキソールに対する細胞の抵抗性は、例えばP-糖タンパク質の発現増強、およ
びβ鎖の遺伝子変異によるチューブリン構造の変化または重合した微小管内のチューブリ
ン異性体の比率の変化などのメカニズムを包含し得る(Wahl et al.,199
6,Nature Medicine 2:72-79;Horwitz et al.
,1993,Natl.Cancer Inst. 15:55-61;Haber e
t al.,1995,J.Biol.Chem. 270:31269-31275;
およびGiannakakou et al.,1997,J.Biol.Chem.
272:17118-17125)。いくつかの腫瘍は、未知のメカニズムを通じてタキ
ソール抵抗性を獲得する。
【0132】
「組織切片」とは、組織試料の単一の部分または片、例として正常組織または腫瘍の試
料から切り出した組織の薄切片をいう。
【0133】
本明細書中で用いられるがんを「処置する」または「処置すること」は、本発明の治療
薬を、がんなどを持つまたはがんと診断された対象に、少なくとも1つの肯定的な治療効
果、例えばがん細胞数の低減、腫瘍サイズの低減、末梢器官へのがん細胞の浸潤速度の低
減、または腫瘍転移もしくは腫瘍増殖速度の低減などを達成するために投与することを意
味する。がんにおける肯定的な治療効果は、様々な方法で測定することができる(W.A
.Weber,J.Null.Med. 50:1S-10S(2009)を参照された
い)。例えば、腫瘍増殖抑制に関して、NCI標準によると、T/C≦42%が抗腫瘍活
性の最小レベルである。T/C<10%は、高い抗腫瘍活性レベルと考えられ、ここでT
/C(%)=処置された腫瘍体積の中央値/対照の腫瘍体積の中央値×100である。い
くつかの実施形態において、本明細書中に記載される組み合わせ治療への応答はRECI
ST 1.1基準またはirRC(二次元または一次元)を用いて評価され、本発明の組
み合わせによって達成される処置は、PR、CR、OR、PFS、DFSおよびOSのい
ずれかである。PFSは、「腫瘍無増悪期間(Time to Tumor Progr
ession)」とも呼ばれ、処置中および処置後のがんが増殖しない期間を指し示し、
患者がCRまたはPRを経験した時間、同様に患者がSDを経験した時間を包含する。D
FSとは、処置中および処置後の患者が疾患のない状態にある期間をいう。OSとは、ナ
イーブまたは未処置の個体または患者と比較した平均余命の延長をいう。いくつかの実施
形態において、本発明の組み合わせへの応答は、RECIST 1.1効果判定基準を用
いて評価されるPR、CR、PFS、DFS、ORまたはOSのいずれかである。がん患
者を処置するために有効である本発明の組み合わせについての処置レジメンは、例えば患
者の病態、年齢および体重、ならびに対象において抗がん応答を引き起こす治療の能力な
どの要因に応じて変わり得る。本発明の態様のうちのいずれかについての実施形態はあら
ゆる対象における肯定的な治療効果の達成に有効でないこともあるが、当該技術分野で知
られている任意の統計的検定、例えばStudentのt検定、chi2検定、Mann
およびWhitneyによるU検定、Kruskal-Wallis検定(H検定)、J
onckheere-Terpstra検定ならびにWilcoxon検定などにより決
定される統計的に有意な数の対象においては、そのようになる。
【0134】
用語「処置レジメン」、「投薬プロトコール」および「投薬レジメン」は、本発明の組
み合わせにおける各治療剤の用量および投与のタイミングを指すために交換可能に用いら
れる。
【0135】
がんと診断されたまたはがんを持つ疑いのある対象に適用される「腫瘍」とは、任意の
サイズの悪性または潜在的に悪性の新生物または組織塊をいい、原発性腫瘍および続発性
新生物を包含する。固形腫瘍は、通常は嚢胞または液体の領域を含有しない組織の異常増
殖物または塊である。異なるタイプの固形腫瘍が、それらを形成する細胞のタイプによっ
て命名されている。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫およびリンパ腫である。白血病(血液の
がん)は、一般に固形腫瘍を形成しない(National Cancer Insti
tute,Dictionary of Cancer Terms).
「腫瘍量(tumor burden)」は、「腫瘍量(tumor load)」と
も呼ばれ、全身に分布した腫瘍物質の総量をいう。腫瘍量とは、リンパ節および骨髄を包
含する全身のがん細胞の総数または腫瘍(複数可)の全体サイズをいう。腫瘍量は、当該
技術分野で知られている種々の方法により、例として、対象から摘出した際に腫瘍(複数
可)の寸法を例としてキャリパーを用いて測定することにより、または体内にある間にイ
メージング技術、例として超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)または磁
気共鳴画像(MRI)スキャンを用いることなどによって、決定することができる。
【0136】
用語「腫瘍サイズ」とは、腫瘍の長さおよび幅として測定することができる腫瘍の全体
サイズをいう。腫瘍サイズは、当該技術分野で知られている種々の方法により、例として
、対象から摘出した際に腫瘍(複数可)の寸法を例としてキャリパーを用いて測定するこ
とにより、または体内にある間にイメージング技術、例として骨スキャン、超音波、CT
またはMRIスキャンを用いることなどによって、決定され得る。
【0137】
「一次元irRC」とは、Nishino M,Giobbie-Hurder A,
Gargano M,Suda M,Ramaiya NH,Hodi FS. Dev
eloping a Common Language for Tumor Resp
onse to Immunotherapy:Immune-related Res
ponse Criteria using Unidimensional meas
urements. Clin Cancer Res. 2013;19(14):3
936-3943中に記載されている一連の基準をいう。これらの基準は、各病変の最長
直径(cm)を利用する。
【0138】
本明細書中で用いられる「可変領域」または「V領域」は、異なる抗体間で配列が可変
であるIgG鎖のセグメントを意味する。これは、軽鎖中のKabat残基109および
重鎖中の113に及ぶ。
【0139】
PD-1アンタゴニストおよび抗TIGIT抗体
本発明の処置方法、薬剤および使用において有用なPD-1アンタゴニストとしては、
PD-1またはPD-L1に特異的に結合する、好ましくはヒトPD-1またはヒトPD
-L1に特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)またはその抗原結合性断片が挙
げられる。mAbはヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体であり得て、ヒト定常領域を
包含し得る。いくつかの実施形態において、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、Ig
G3およびIgG4定常領域よりなる群から選択され、好ましい実施形態において、ヒト
定常領域は、IgG1またはIgG4定常領域である。いくつかの実施形態において、抗
原結合性断片は、Fab、Fab’-SH、F(ab’)2、scFvおよびFv断片よ
りなる群から選択される。抗PD-1または抗PD-L1抗体は、CHO細胞において、
慣用的な細胞培養および回収/精製技術を用いて産生され得る。
【0140】
ヒトPD-1に結合し、本発明の処置方法、薬剤および使用において有用なmAbの例
は、US7488802、US7521051、US8008449、US835450
9、US8168757、WO2004/004771、WO2004/072286、
WO2004/056875およびUS2011/0271358中に記載されている。
本発明の処置方法、薬剤および使用においてPD-1アンタゴニストとして有用な特異的
な抗ヒトPD-1 mAbとしては、以下が挙げられる:
ペンブロリズマブ(MK-3475としても知られる)、WHO Drug Infor
mation,Vol.27,No.2,pages 161-162(2013)中に
記載されている構造を有し、表3中に示される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含むヒト化
IgG4 mAb;ニボルマブ(BMS-936558)、WHO Drug Info
rmation,Vol.27,No.1,pages 68-69(2013)中に記
載されている構造を有し、表3中に示される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含むヒトIg
G4 mAb;ヒト化抗体である、WO2008/156712中に記載されているh4
09A11、h409A16およびh409A17、ならびにMedImmuneにより
開発中のAMP-514。
【0141】
ヒトPD-L1に結合し、本発明の処置方法、薬剤および使用において有用なmAbの
例は、PCT公開番号WO2013/019906およびW02010/077634
A1、ならびに米国特許第8383796号中に記載されている。本発明の処置方法、薬
剤および使用においてPD-1アンタゴニストとして有用な特異的な抗ヒトPD-L1
mAbとしては、MPDL3280A、BMS-936559、MEDI4736、MS
B0010718C、ならびにWO2013/019906のそれぞれ配列番号24およ
び配列番号21の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗体が挙げられる。
【0142】
本発明の処置方法、薬剤および使用において有用な他のPD-1アンタゴニストとして
は、PD-1またはPD-L1に特異的に結合する、好ましくはヒトPD-1またはヒト
PD-L1に特異的に結合するイムノアドヘシン、例として、免疫グロブリン分子の定常
領域、例えばFc領域などと融合したPD-L1またはPD-L2の細胞外またはPD-
1結合部分を含有する融合タンパク質が挙げられる。PD-1に特異的に結合する免疫接
着分子の例は、WO2010/027827およびWO2011/066342中に記載
されている。本発明の処置方法、薬剤および使用においてPD-1アンタゴニストとして
有用な特異的融合タンパク質としては、PD-L2-FC融合タンパク質でありヒトPD
-1に結合するAMP-224(B7-DCIgとしても知られる)が挙げられる。
【0143】
本発明の処置方法、薬剤および使用のいくつかの好ましい実施形態において、PD-1
アンタゴニストは、(a)軽鎖CDR 配列番号1、2および3、ならびに(b)重鎖C
DR 配列番号6、7および8を含むモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片であ
る。
【0144】
本発明の処置方法、薬剤および使用の他の好ましい実施形態において、PD-1アンタ
ゴニストは、ヒトPD-1に特異的に結合し、かつ(a)配列番号9またはそのバリアン
トを含む重鎖可変領域、および(b)配列番号4またはそのバリアントを含む軽鎖可変領
域を含むモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片である。重鎖可変領域配列のバリ
アントは、フレームワーク領域中(すなわちCDRの外側)に最大で17個の保存的アミ
ノ酸置換を持つことを除いて参照配列と同一であり、好ましくはフレームワーク領域中に
10個未満、9個未満、8個未満、7個未満、6個未満または5個未満の保存的アミノ酸
置換を持つ。軽鎖可変領域配列のバリアントは、フレームワーク領域中(すなわちCDR
の外側)に最大で5個の保存的アミノ酸置換を持つことを除いて参照配列と同一であり、
好ましくはフレームワーク領域中に4個未満、3個未満または2個未満の保存的アミノ酸
置換を持つ。
【0145】
本発明の処置方法、薬剤および使用の別の好ましい実施形態において、PD-1アンタ
ゴニストは、ヒトPD-1に特異的に結合し、かつ(a)配列番号10を含む重鎖および
(b)配列番号5を含む軽鎖を含むモノクローナル抗体である。
【0146】
本発明の処置方法、薬剤および使用のなお別の好ましい実施形態において、PD-1ア
ンタゴニストは、ヒトPD-1に特異的に結合し、かつ(a)配列番号12を含む重鎖お
よび(b)配列番号11を含む軽鎖を含むモノクローナル抗体である。
【0147】
上の処置方法、薬剤および使用の全てにおいて、PD-1アンタゴニストは、PD-L
1のPD-1への結合を阻害し、好ましくはPD-L2のPD-1への結合をも阻害する
。上の処置方法、薬剤および使用のいくつかの実施形態において、PD-1アンタゴニス
トは、PD-1またはPD-L1に特異的に結合し、PD-L1のPD-1への結合をブ
ロックするモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片である。1つの実施形態におい
て、PD-1アンタゴニストは、重鎖および軽鎖を含む抗PD-1抗体であって、ここで
重鎖および軽鎖はそれぞれ配列番号10および配列番号5中のアミノ酸配列を含む。
【0148】
下の表3は、本発明の処置方法、薬剤および使用における使用のための例示的な抗PD
-1 mAbのアミノ酸配列のリストを提供する。
【0149】
【0150】
特許請求の範囲に記載の発明において用いられる抗TIGIT抗体は、ヒト抗体、ヒト
化抗体またはキメラ抗体であり得て、ヒト定常領域を包含し得る。いくつかの実施形態に
おいて、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4定常領域よりな
る群から選択され、好ましい実施形態において、ヒト定常領域は、IgG1またはIgG
4定常領域である。
【0151】
1つの実施形態において、抗TIGIT抗体は、31C6である。別の実施形態におい
て、抗TIGIT抗体は、31C6バリアントである。31C6抗体は、2つの重鎖およ
び2つの軽鎖を含有するモノクローナル抗体であり、ここで各重鎖は配列番号23のアミ
ノ酸配列を含み、各軽鎖は配列番号22のアミノ酸配列を含む。
【0152】
31C6:以下のアミノ酸配列を含む軽鎖免疫グロブリン:DIQMTQSPSSLS
ASVGDRVTITCRASEHIYSYLSWYQQKPGKVPKLLIYNAK
TLAEGVPS RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQHH
FGSPLTFGQGTRLEIKRTVAAPSVFIFPPSD EQLKSGTA
SVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKD
STYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFN
RGEC(配列番号22);および以下のアミノ酸配列を含む重鎖免疫グロブリン:EV
QLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSSYVMHWVRQAPG
QGLEWIGYIDPYNDGA YAQKFQGRVTLTSDKSTSTAYME
LSSLRSEDTAVYYCARGGPYGWYFDVWGQGTTV TVSSAS
TKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWN
SGALTSGVHTFPAV LQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTY
ICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGP
SVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWY
VDGVEVHNAKTKPREQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEY
KCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLP PSRDEL
TKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVL
DSDGSFFLYSKLTV DKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYT
QKSLSLSPGK(配列番号23);または以下のアミノ酸配列を含む軽鎖免疫グロ
ブリン可変ドメイン:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASEHIY
SYLSWYQQKPGKVPKLLIYNAKTLAEGVPSRFSGSGSGTD
FTLTISSLQPEDVATYYCQHHFGSPLTFGQGTRLEIK(配列
番号24(下線はCDR));および以下のアミノ酸配列を含む重鎖免疫グロブリン:E
VQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSSYVMHWVRQAP
GQGLEWIGYIDPYNDGAYAQKFQGRVTLTSDKSTSTAYME
LSSLRSEDTAVYYCARGGPYGWYFDVWGQGTTVTVSS(配列
番号25(下線はCDR));または以下のCDRを含む:
CDR-L1:RASEHIYSYLS(配列番号26);
CDR-L2:NAKTLAE(配列番号27);
CDR-L3:QHHFGSPLT(配列番号28);
CDR-H1:SYVMH(配列番号29);
CDR-H2:YIDPYNDGAKYAQKFQG(配列番号30);および
CDR-H3:GGPYGWYFDV(配列番号31)
本発明の処置方法、薬剤および使用のいくつかの好ましい実施形態において、抗TIG
IT抗体は、(a)配列番号26、30、27および28の軽鎖CDRならびに(b)配
列番号29、30および31の重鎖CDRを含む。
【0153】
本発明の処置方法、薬剤および使用の他の好ましい実施形態において、抗TIGIT抗
体は、(a)配列番号25を含む重鎖可変領域またはそのバリアント、および(b)配列
番号24を含む軽鎖可変領域またはそのバリアントを含む。重鎖可変領域配列のバリアン
トは、フレームワーク領域中(すなわちCDRの外側)に最大で17個の保存的アミノ酸
置換を持つことを除いて参照配列と同一であり、好ましくはフレームワーク領域中に10
個未満、9個未満、8個未満、7個未満、6個未満または5個未満の保存的アミノ酸置換
を持つ。軽鎖可変領域配列のバリアントは、フレームワーク領域中(すなわちCDRの外
側)に最大で5個の保存的アミノ酸置換を持つことを除いて参照配列と同一であり、好ま
しくはフレームワーク領域中に4個未満、3個未満または2個未満の保存的アミノ酸置換
を持つ。このようなバリアントの例は、国際特許公開番号WO2016/028656に
記載されている(例えば、国際特許公開番号WO2016/028656の配列番号12
4~133および149~150を参照されたい)。
【0154】
本発明の処置方法、薬剤および使用の別の好ましい実施形態において、抗TIGIT抗
体は、(a)配列番号23を含む重鎖、および(b)配列番号22を含む軽鎖を含む。本
発明の処置方法、薬剤および使用の別の好ましい実施形態において、抗TIGIT抗体は
、(a)配列番号25を含む重鎖可変領域、および(b)配列番号24を含む軽鎖可変領
域を含む。
【0155】
1つの実施形態において、抗PD-1もしくは抗TIGIT抗体または抗原結合性断片
は、重鎖定常領域、例としてヒト定常領域、例えばγ1、γ2、γ3もしくはγ4ヒト重
鎖定常領域またはそれらのバリアントなどを含む。別の実施形態において、抗PD-1も
しくは抗TIGIT抗体または抗原結合性断片は、軽鎖定常領域、例としてヒト軽鎖定常
領域、例えばラムダもしくはカッパヒト軽鎖領域またはそれらのバリアントなどを含む。
限定されない例として、ヒト重鎖定常領域はγ1であることができ、ヒト軽鎖定常領域は
カッパであることができる。別の実施形態において、ヒト重鎖定常領域はγ4であること
ができ、ヒト軽鎖定常領域はカッパであることができる。代替的実施形態において、抗体
のFc領域は、Ser228Pro変異を有するγ4である(Schuurman,J
et.al.,Mol.Immunol. 38:1-8,2001)。
【0156】
いくつかの実施形態において、異なる定常ドメインが、本明細書中に提供されるCDR
に由来するヒト化VL領域およびVH領域に付加され得る。例えば、本発明の抗体(また
は断片)の特定の用途がエフェクター機能の変化を求めるものである場合、ヒトIgG1
以外の重鎖定常ドメインが用いられ得て、またはハイブリッドIgG1/IgG4が利用
され得る。例えばヒトIgG4定常ドメインが用いられ得る。本発明は、IgG4定常ド
メインを含む抗PD-1抗体または抗TIGIT抗体およびそれらの抗原結合性断片の使
用を包含する。1つの実施形態において、IgG4定常ドメインは、EUシステムで22
8位に、KABATシステムで241位に相当する位置においてネイティブのヒトIgG
4定常ドメイン(Swiss-Protアクセッション番号P01861.1)と異なる
ものであることができ、ここで、適切な鎖内ジスルフィド結合形成を妨げる可能性のある
Cys106とCys109(EUシステムでCys226位およびCys229位に、
KABATシステムでCys239位およびCys242位に相当する)の間の潜在的な
鎖間ジスルフィド結合を防ぐため、ネイティブのSer108はProで置き換えられる
。Angal et al.(1993) Mol.Imunol. 30:105を参
照されたい。
【0157】
方法、使用および薬剤
1つの態様において、本発明は、抗TIGIT抗体2.1mgから700mgを投与す
ることを含む、患者においてがんを処置する方法であって、抗TIGIT抗体が(a)配
列番号26、27および28の軽鎖CDRならびに(b)配列番号29、30および31
の重鎖CDRを含む、前記方法を提供する。1つの態様において、抗TIGIT抗体は、
静脈内注入を介して投与される。別の態様において、本発明は、抗TIGIT抗体2.1
mgから700mgを抗PD-1または抗PD-L1抗体と共投与することを含む、患者
においてがんを処置する方法であって、抗TIGIT抗体が(a)配列番号26、27お
よび28の軽鎖CDRならびに(b)配列番号29、30および31の重鎖CDRを含む
、前記方法を提供する。1つの実施形態において、抗PD-1抗体は、PD-1のPD-
L1およびPD-L2への結合をブロックする。1つの実施形態において、2.1mgか
ら700mgの抗TIGIT抗体が投与される。様々な実施形態において、2.1mg、
7mg、21mg、70mg、200mg、210mgまたは700mgの抗TIGIT
抗体が投与される。別の実施形態において、200~700mgの抗TIGIT抗体が投
与される。別の実施形態において、200~700mgの抗TIGIT抗体が投与される
。別の実施形態において、200mgまたは210mgの抗TIGIT抗体が投与される
。1つの態様において、抗TIGIT抗体は、静脈内注入を介して投与される。別の態様
において、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、静脈内注入を介して投与される。
さらなる実施形態において、抗TIGIT抗体および抗PD-1抗体または抗PD-L1
抗体はいずれも、静脈内注入を介して投与される。
【0158】
さらなる態様において、本発明は、静脈内注入を介して、個体に、200mgのペンブ
ロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび200mgの抗TIGIT抗体31
C6または31C6バリアントを含む組成物を投与することを含む、患者においてがんを
処置するための方法を提供する。別の態様において、本発明は、静脈内注入を介して、個
体に、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび210m
gの抗TIGIT抗体31C6または31C6バリアントを含む組成物を投与することを
含む、患者においてがんを処置するための方法を提供する。1つの実施形態において、組
成物は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび200
~700mgの抗TIGIT抗体31C6または31C6バリアントを含む。1つの実施
形態において、組成物は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリア
ントおよび700mgの抗TIGIT抗体31C6または31C6バリアントを含む。
【0159】
別の実施形態において、本発明は、がんを処置するための、抗PD-1または抗PD-
L1抗体と組み合わせて用いるための抗TIGIT抗体を含む薬剤であって、抗TIGI
T抗体が2.1mgから700mgで投与される、前記薬剤を提供する。1つの実施形態
において、抗TIGIT抗体は、静脈内注入を介して投与される。別の実施形態において
、本発明は、がんを処置するための、抗TIGIT抗体および抗PD-1抗体を含む薬剤
を提供する。1つの実施形態において、薬剤は、200mgのペンブロリズマブまたはペ
ンブロリズマブバリアントおよび200mgの抗TIGIT抗体31C6または31C6
バリアントを含む。別の実施形態において、薬剤は、200mgのペンブロリズマブまた
はペンブロリズマブバリアントおよび700mgの31C6または31C6バリアントを
含む。
【0160】
なおさらなる実施形態において、本発明は、個体においてがんを処置するための薬剤の
製造における抗TIGIT抗体および抗PD-1または抗PD-L1抗体の使用を提供す
る。1つの実施形態において、薬剤は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリ
ズマブバリアントおよび200mgの抗TIGIT抗体31C6または31C6バリアン
トを含む。別の態様において、薬剤は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリ
ズマブバリアントおよび700mgの31C6または31C6バリアントを含む。なおさ
らなる実施形態において、本発明は、個体においてがんを処置するための薬剤の製造にお
ける抗TIGIT抗体の使用であって、抗TIGIT抗体2.1mgが抗PD-1抗体2
00mgと共投与される、前記使用を提供する。1つの実施形態において、抗TIGIT
抗体および抗PD-1抗体の各々は、静脈内注入を介して投与される。
【0161】
前述の方法、薬剤および使用において、1つの実施形態において、抗PD-1抗体およ
び抗TIGIT抗体は、合剤化される。1つの実施形態において、200mgのペンブロ
リズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび200mgの抗体31C6または31
C6バリアントを含有する合剤化製品が、静脈内注入のために用いられる。1つの実施形
態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび3
00mgの抗体31C6または31C6バリアントを含有する合剤化製品が、静脈内注入
のために用いられる。1つの実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペ
ンブロリズマブバリアントおよび400mgの抗体31C6または31C6バリアントを
含有する合剤化製品が、静脈内注入のために用いられる。別の実施形態において、200
mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび500mgの抗体31
C6または31C6バリアントを含有する合剤化製品が、静脈内注入のために用いられる
。別の実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリア
ントおよび600mgの抗体31C6または31C6バリアントを含有する合剤化製品が
、静脈内注入のために用いられる。別の実施形態において、200mgのペンブロリズマ
ブまたはペンブロリズマブバリアントおよび700mgの抗体31C6または31C6バ
リアントを含有する合剤化製品が、静脈内注入のために用いられる。
【0162】
本発明はまた、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、2
00mgの抗体31C6または31C6バリアント、および1または複数の薬学的に許容
される添加剤を含む医薬組成物を提供する。1つの実施形態において、医薬組成物は、2
00mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、300mgの抗体31
C6または31C6バリアント、および1または複数の薬学的に許容される添加剤を含む
。1つの実施形態において、医薬組成物は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブ
ロリズマブバリアント、400mgの抗体31C6または31C6バリアント、および1
または複数の薬学的に許容される添加剤を含む。別の実施形態において、医薬組成物は、
200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、500mgの抗体3
1C6または31C6バリアント、および1または複数の薬学的に許容される添加剤を含
む。さらなる実施形態において、医薬組成物は、200mgのペンブロリズマブまたはペ
ンブロリズマブバリアント、600mgの抗体31C6または31C6バリアント、およ
び1または複数の薬学的に許容される添加剤を含む。さらなる実施形態において、医薬組
成物は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、700mg
の抗体31C6または31C6バリアント、および1または複数の薬学的に許容される添
加剤を含む。
【0163】
前述の方法、薬剤および使用において、別の実施形態において、抗PD-1または抗P
D-L1抗体および抗TIGIT抗体は、共投与される。1つの実施形態において、20
0mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび200mgの抗体3
1C6または31C6バリアントが、1日目に、次いでその後は3週ごとに、静脈内注入
を介して共投与される。1つの実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたは
ペンブロリズマブバリアントおよび300mgの抗体31C6または31C6バリアント
が、1日目に、次いでその後は3週ごとに1回、静脈内注入を介して共投与される。1つ
の実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント
および400mgの抗体31C6または31C6バリアントが、1日目に、次いでその後
は3週ごとに1回、静脈内注入を介して共投与される。別の実施形態において、200m
gのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび500mgの31C6ま
たは31C6バリアントが、1日目に、次いでその後は3週ごとに1回、静脈内注入を介
して共投与される。別の実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブ
ロリズマブバリアントおよび600mgの抗体31C6または31C6バリアントが、1
日目に、次いでその後は3週ごとに1回、静脈内注入を介して共投与される。さらなる実
施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよ
び700mgの抗体31C6または31C6バリアントが、1日目に、次いでその後は3
週ごとに1回、静脈内注入を介して共投与される。
【0164】
前述の方法、薬剤および使用において、1つの実施形態において、400mgのペンブ
ロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは1日目に、次いでその後は6週ごとに、
および200mgの抗体31C6または31C6バリアントは1日目に、次いでその後は
週に1回、各々静脈内注入を介して投与される。1つの実施形態において、400mgの
ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは1日目に、次いでその後は6週ご
とに1回、および300mgの抗体31C6または31C6バリアントは1日目に、次い
でその後は3週ごとに1回、各々静脈内注入を介して投与される。1つの実施形態におい
て、400mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは1日目に、次い
でその後は6週ごとに1回、および400mgの抗体31C6または31C6バリアント
は1日目に、次いでその後は3週ごとに1回、各々静脈内注入を介して投与される。別の
実施形態において、400mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは
1日目に、次いでその後は6週ごとに1回、および500mgの抗体31C6または31
C6バリアントは1日目に、次いでその後は3週ごとに1回、各々静脈内注入を介して投
与される。別の実施形態において、400mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマ
ブバリアントは1日目に、次いでその後は6週ごとに1回、および600mgの抗体31
C6または31C6バリアントは1日目に、次いでその後は3週ごとに1回、各々静脈内
注入を介して投与される。別の実施形態において、400mgのペンブロリズマブまたは
ペンブロリズマブバリアントは1日目に、次いでその後は6週ごとに1回、および700
mgの抗体31C6または31C6バリアントは1日目に、次いでその後は3週ごとに1
回、各々静脈内注入を介して投与される。
【0165】
本発明の抗体、組成物および方法により処置され得るがんとしては、限定されるもので
はないが、心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、筋腫、横紋筋腫
、線維腫、脂肪腫および奇形腫;肺:気管支原性癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大
細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中
皮腫;消化器:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫
、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カ
ルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カルポジ肉腫
(Karposi’s sarcoma)、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線
維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫) 結腸直腸;尿生殖路:
腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上
皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胚性癌、
奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:
肝癌(肝細胞癌)、胆管細胞癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨:骨原性肉
腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ
腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、オステオクロンフローマ(os
teochronfroma)(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、コンド
ロミクソフィブローマ(chondromyxofibroma)、類骨骨腫および巨細
胞腫瘍;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、
髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果
体腫]、多形神経膠芽腫、乏突起膠細胞腫、シュワン腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、
脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(
子宮頸癌、前腫瘍性子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌
、未分類癌]、卵胞顆粒膜細胞腫瘍(granulosa thecal cell t
umor)、セルトリ・ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部
(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、
ブドウ状横紋筋肉腫(胚性横紋筋肉腫)、輸卵管(癌腫)、乳房;血液学:血液(骨髄性
白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性
疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群);白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性
白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫
、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、骨髄腫およびバ
ーキットリンパ腫(Burkett’s lymphoma)を包含するリンパ系の造血
器腫瘍;急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群および前骨髄球性白血病を包含
する骨髄系の造血器腫瘍;線維肉腫および横紋筋肉腫を包含する間葉起源の腫瘍;星状細
胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫およびシュワン腫を包含する中枢および末梢神経系の腫瘍
;ならびにメラノーマ、皮膚(非メラノーマ)がん、中皮腫(細胞)、精上皮腫、奇形癌
、骨肉腫、色素性乾皮症(xenoderoma pigmentosum)、角化棘細
胞腫(keratoctanthoma)、甲状腺濾胞がんおよびカポジ肉腫を包含する
他の腫瘍が挙げられる。1つの実施形態において、前述の(forgoing)がんは、
進行性、切除不能または転移性である。1つの実施形態において、患者は、抗PD-1ま
たは抗PD-L1治療に不応性である。
【0166】
1つの実施形態において、本発明の抗体、組成物および方法により処置され得るがんと
しては、限定されるものではないが、肺がん、膵臓がん、結腸がん、結腸直腸がん、骨髄
性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、甲状腺がん、
骨髄異形成症候群、膀胱癌、表皮癌、メラノーマ、乳がん、前立腺がん、頭頸部がん、卵
巣がん、脳がん、間葉起源のがん、肉腫、奇形癌腫(tetracarcinoma)、
神経芽細胞腫、腎臓癌、肝癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫および甲状腺未分化癌
が挙げられる。
【0167】
別の実施形態において、本発明の抗体、組成物および方法により処置され得るがんとし
ては、限定されるものではないが、頭頸部扁平上皮がん、胃がん、胃および/または胃-
食道接合部の腺癌、腎細胞がん、輸卵管がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、ならびに結腸
直腸がんが挙げられる。1つの実施形態において、結腸直腸がん、胃がん、胃および/も
しくは胃-食道接合部(GEJ)の腺癌、または子宮内膜がんは、非マイクロサテライト
高不安定性(非MSI-H)またはミスマッチ修復良好(pMMR)である。1つの実施
形態において、頭頸部扁平上皮がんを有する患者は、抗PD-1または抗PD-L1処置
不応性である。1つの実施形態において、結腸直腸がんは、切除不能または転移性(ステ
ージIV)である。
【0168】
別の実施形態において、本発明の抗体、組成物および方法により処置され得るがんとし
ては、血液悪性腫瘍、限定されるものではないが、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、形質転換DLBCL、グレーゾーンリ
ンパ腫、ダブルヒットリンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫(PMBCL)または低悪性
度非ホジキンリンパ腫(iNHL)(例えば、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、粘膜関
連リンパ組織リンパ腫または小リンパ球性リンパ腫)が挙げられる。1つの実施形態にお
いて、ホジキンリンパ腫を有する患者は、抗D-1または抗PD-L1処置不応性である
。
【0169】
さらなる実施形態において、本発明の抗体、組成物および方法により処置され得るがん
としては、腎細胞癌、腎盂、輸尿管、膀胱または尿道の尿路上皮癌、メラノーマ、胃腺癌
、GEJ腺癌、非小細胞肺がんおよび膀胱がんよりなる群から選択されるがんが挙げられ
る。1つの実施形態において、前述の(forgoing)がんは、進行性、切除不能ま
たは転移性である。
【0170】
1つの実施形態において、非小細胞肺がんは、進行性またはステージIVである。別の
実施形態において、メラノーマは、進行性またはステージIIIである。1つの実施形態
において、患者は、抗PD-1または抗PD-L1治療に不応性である。
【0171】
1つの実施形態において、ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび
31C6または31C6バリアントを含有する合剤化製品が用いられる。さらなる実施形
態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび2
00mgの31C6または31C6バリアントを含有する合剤化製品が用いられる。別の
実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントお
よび700mgの31C6または31C6バリアントを含有する合剤化製品が用いられる
。
【0172】
さらなる実施形態において、がんは非小細胞肺がんであり、患者は腫瘍活性化上皮増殖
因子受容体(EGFR)または急速進行性線維肉腫Bアイソフォーム(B-Raf)の変
異を欠き、かつ未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)またはc-ros癌遺伝子1(ROS
1)の遺伝子再構成を欠く。さらなる実施形態において、がんは非小細胞肺がんであり、
腫瘍は扁平上皮の組織像を持つ。
【0173】
組み合わせ治療はまた、1または複数の付加的な治療剤を含み得る。付加的な治療剤は
、例として、化学療法剤、生物療法剤、免疫原性剤(例えば、弱毒化がん細胞、腫瘍抗原
、抗原提示細胞、例えば腫瘍由来抗原または核酸でパルスされた樹状細胞など、免疫刺激
性サイトカイン(例えば、IL-2、IFNα2、GM-CSF)、および免疫刺激性サ
イトカイン、例えば限定されるものではないがGM-CSFなどをコードする遺伝子をト
ランスフェクトされた細胞)であり得る。付加的な治療剤の具体的な投薬量および投薬ス
ケジュールはさらに変えることができ、最適用量、投薬スケジュールおよび投与経路は用
いられている具体的な治療剤に基づいて決定される。
【0174】
化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロスファミドなど
;アルキルスルホネート類、例えばブスルファン、イムプロスルファンおよびピポスルフ
ァンなど;アジリジン類、例えばベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メ
ツレドーパ(meturedopa)およびウレドーパ(uredopa)など;アルト
レタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホ
ラミドおよびトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を
包含するエチレンイミン類およびメチラメラミン類(methylamelamine)
;アセトゲニン類(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成アナロ
グのトポテカンを包含する);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのア
ドゼレシン、カルゼルシンおよびビセレシン合成アナログを包含する);クリプトフィシ
ン類(とりわけクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオ
カルマイシン(合成アナログ、KW-2189およびCBI-TMIを包含する);エリ
ュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン;ナイトロジェ
ンマスタード類、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cho
lophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、
メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレ
ドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロスウレア類(nit
rosurea)、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン
、ニムスチン、ラニムスチンなど;抗生物質、例えばエンジイン系抗生物質(例としてカ
リケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンファイI1、
例としてAgnew,Chem.Intl.Ed.Engl.,33:183-186(
1994)を参照されたい;ダイネマイシンAを包含するダイネマイシン;ビスホスホネ
ート類、例えばクロドロネートなど;エスペラミシン;同様にネオカルチノスタチン発色
団および関連の色素タンパク質であるエンジイン系抗生物質クロモモフォア(chrom
omophore))、アクラシノマイシン類(aclacinomysin)、アクチ
ノマイシン、オートラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシ
ン類、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(cam
inomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノ
ルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン
(モルフォリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ
-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを包含する)、エピルビシン、エソルビ
シン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン類、例えばマイトマイシンCな
ど、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ポトフィ
ロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(que
lamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ス
トレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなど;代謝拮
抗剤、例えばメトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)など;葉酸アナ
ログ、例えばデノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートな
ど;プリンアナログ、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオ
グアニンなど;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリ
ジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビ
ン、フロクスウリジンなど;アンドロゲン類、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモ
スタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど;抗副腎剤、例
えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなど;葉酸補充剤(folic ac
id replenisher)、例えばフロリン酸(frolinic acid)な
ど;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル
;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート(edatraxa
te);デホファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン;エルホル
ミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド
;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド類、例
えばメイタンシンおよびアンサミトシン類など;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピ
ダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサント
ロン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジ
ン;プロカルバジン;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌ
アゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセ
ン類(特にT-2毒素、ベラクリンA(verracurin A)、ロリジンAおよび
アングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニト
ール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノ
シド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド類、例としてパク
リタキセルおよびドセタキセル;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メ
ルカプトプリン;メトトレキセート;白金アナログ、例えばシスプラチンおよびカルボプ
ラチンなど;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミト
キサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキ
セート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11
;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);
レチノイド類、例えばレチノイン酸など;カペシタビン;ならびに上のいずれかの薬学的
に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。また、腫瘍に対するホルモン作用を制御
または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン
、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェ
ン、LY117018、オナプリストンおよびトレミフェン(フェアストン)を包含する
抗エストロゲン剤および選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)など;副
腎におけるエストロゲン産生を制御する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤
、例えば4(5)-イミダゾール類、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール、エキセ
メスタン、フォルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール、レトロゾールおよびアナスト
ロゾールなど;ならびに抗アンドロゲン剤、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミ
ド、リュープロリドおよびゴセレリンなど;ならびに上のいずれかの薬学的に許容される
塩、酸または誘導体も挙げられる。
【0175】
本発明の組み合わせ治療における各治療剤は、標準的な医薬実務に従って、単独で、ま
たは治療剤と1もしくは複数の薬学的に許容されるキャリア、担体、添加剤および希釈剤
とを含む薬剤(本明細書中で医薬組成物ともいう)中で投与され得る。
【0176】
本発明の組み合わせ治療における各治療剤は、同時に(すなわち同じ薬剤中で)、同時
期に(すなわち任意の順番で一方を投与した直後に他方を投与する別々の薬剤中で)また
は任意の順番で逐次的に投与され得る。逐次投与は、組み合わせ治療における治療剤が異
なる剤形である(1つの剤が錠剤またはカプセルで、別の剤が滅菌された液体である)と
き、および/または異なる投薬スケジュールで投与されるとき、例として、化学療法剤が
少なくとも1日1回投与され、生物療法剤がより低頻度で、例えば週に1回、2週に1回
または3週に1回などで投与されるときに、とりわけ有用である。
【0177】
いくつかの実施形態において、抗TIGIT抗体は、抗PD-1抗体または抗PD-L
1抗体の投与の前に投与され、一方、他の実施形態において、抗TIGIT抗体は、抗P
D-1抗体または抗PD-L1抗体の投与の後に投与される。別の実施形態において、抗
TIGIT抗体は、抗PD-15抗体または抗PD-L1抗体と同時期に投与される。
【0178】
いくつかの実施形態において、組み合わせ治療における治療剤のうちの少なくとも1つ
は、剤が同じがんを処置するための単剤治療として用いられるときに典型的に使用される
ものと同じ薬剤投与レジメン(dosage regimen)(用量、頻度、および処
置の持続期間)を用いて投与される。他の実施形態において、患者が受ける、組み合わせ
治療における治療剤のうちの少なくとも1つの総量は、剤が単剤治療として用いられると
きよりも少なく、例として用量がより少なく、投薬がより低頻度であり、および/または
処置の持続期間がより短い。
【0179】
本発明の組み合わせ治療における各低分子治療剤は、経口的に、または静脈内、筋肉内
、腹腔内、皮下、直腸、局所および経皮といった投与経路で非経口的に投与することがで
きる。本発明の組み合わせ治療は、腫瘍を摘出するための手術の前または後に用いられ得
て、放射線治療の前、最中または後に用いられ得る。
【0180】
いくつかの実施形態において、本発明の組み合わせ治療は、先行して生物療法剤または
化学療法剤で処置されていない、すなわち、処置未経験の患者に投与される。他の実施形
態において、組み合わせ治療は、生物療法剤または化学療法剤での先の治療の後に持続性
奏功を達成することに失敗した、すなわち処置を経験した患者に投与される。
【0181】
本発明の組み合わせ治療は、典型的には、触診によって、または当該技術分野で周知の
イメージング技術、例えばMRI、超音波またはCATスキャンなどによって発見するの
に十分な大きさの腫瘍を処置するために用いられる。本発明の組み合わせ治療は、PD-
L1およびPD-L2のうちの一方または両方について検査で陽性となる、好ましくはP
D-L1発現について検査で陽性となるがんを持つヒト患者に投与することができる。い
くつかの好ましい実施形態において、PD-L1発現は、診断用抗ヒトPD-L1抗体ま
たはその抗原結合性断片を用いて、患者から摘出された腫瘍試料のFFPEまたは凍結組
織切片に対するIHCアッセイにおいて検出される。典型的に、患者の医師は、抗PD-
1抗体または抗PD-L1抗体および抗TIGIT抗体での処置の開始前に患者から摘出
された腫瘍組織試料中のPD-L1発現を決定するための診断検査をオーダーするが、医
師が処置開始後の任意の時点で、例えば処置サイクルの完了後などに初回またはその後の
診断検査をオーダーする可能性があることも想像される。1つの実施形態において、PD
-L1発現は、PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイによって測定さ
れる。別の実施形態において、患者のPD-L1発現についての単核炎症密度スコアは≧
2である。別の実施形態において、患者のPD-L1発現についての単核炎症密度スコア
は≧3である。別の実施形態において、患者のPD-L1発現についての単核炎症密度ス
コアは≧4である。別の実施形態において、患者のPD-L1発現についての腫瘍割合ス
コアは≧1%である。別の実施形態において、患者のPD-L1発現についての腫瘍割合
スコアは20≧10%である。別の実施形態において、患者のPD-L1発現についての
腫瘍割合スコアは≧20%である。別の実施形態において、患者のPD-L1発現につい
ての腫瘍割合スコアは≧30%である。さらなる実施形態において、患者のPD-L1発
現についての組み合わせ陽性スコアは≧1%である。さらなる実施形態において、患者の
PD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアは1から20%の間である。さらなる実
施形態において、患者のPD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアは≧2%である
。さらなる実施形態において、患者のPD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアは
≧5%である。いっそうさらなる実施形態において、患者のPD-L1発現についての組
み合わせ陽性スコアは≧10%である。さらなる実施形態において、患者のPD-L1発
現についての組み合わせ陽性スコアは≧15%である。いっそうさらなる実施形態におい
て、患者のPD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアは≧20%である。
【0182】
本発明の1つの好ましい実施形態において、組み合わせ治療における抗PD-1抗体は
ニボルマブであり、1mg/kg Q2W、2mg/kg Q2W、3mg/kg Q2
W、5mg/kg Q2W、10mg Q2W、1mg/kg Q3W、2mg/kg
Q3W、3mg/kg Q3W、5mg/kg Q3Wおよび10mg/kg Q3Wよ
りなる群から選択される用量で静脈内投与される。
【0183】
本発明の別の好ましい実施形態において、組み合わせ治療における抗PD-1抗体はペ
ンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントであり、液体薬剤で、1mg/kg
Q2W、2mg/kg Q2W、3mg/kg Q2W、5mg/kg Q2W、10m
g/kg Q2W、1mg/kg Q3W、2mg/kg Q3W、3mg/kg Q3
W、5mg/kg Q3W、10mg/kg Q3Wおよびこれらの用量のいずれかの一
律用量等価物、すなわち、例えば200mg Q3Wなどよりなる群から選択される用量
で投与される。いくつかの実施形態において、ペンブロリズマブは、10mM ヒスチジ
ンバッファー pH 5.5中の25mg/ml ペンブロリズマブ、7%(w/v)ス
クロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80を含む液体薬剤として提供される。
他の実施形態において、ペンブロリズマブは、約125から約200mg/mLのペンブ
ロリズマブまたはその抗原結合性断片;約10mM ヒスチジンバッファー;約10mM
L-メチオニンまたは薬学的に許容されるその塩;約7%(w/v)スクロース;およ
び約0.02%(w/v)ポリソルベート80を含む液体薬剤として提供される。
【0184】
本発明のいくつかの実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片は、
4週または6週ごとに1回で12週間以上、患者に投与される。他の実施形態において、
抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片は、6週ごとに1回で16週間以上、18週間
以上、20週間以上、24週間以上、28週間以上、30週間以上、32週間以上、36
週間以上、40週間以上、42週間以上、44週間以上、48週間以上、52週間以上、
54週間以上、56週間以上、60週間以上、64週間以上、66週間以上、68週間以
上、72週間以上、76週間以上、78週間以上、80週間以上、84週間以上、88週
間以上または90週間以上、患者に投与される。他の実施形態において、抗PD-1抗体
またはその抗原結合性断片は、6週ごとに400mgで投与される。
【0185】
いくつかの実施形態において、選択された用量のペンブロリズマブは、IV注入によっ
て投与される。1つの実施形態において、選択された用量のペンブロリズマブは、IV注
入によって、25から40分の間、または約30分の時間をかけて投与される。
【0186】
いくつかの実施形態において、患者は、少なくとも24週間、例として、8回の3週サ
イクルの組み合わせ治療で処置される。いくつかの実施形態において、組み合わせ治療で
の処置は、患者がPDまたはCRのエビデンスを呈するまで続けられる。
【0187】
本開示の薬学的に許容される添加剤としては、例えば、溶媒、増量剤、緩衝剤、浸透圧
調節剤および保存剤が挙げられる(例として、Pramanick et al.,Ph
arma Times,45:65-77,2013を参照されたい)。いくつかの実施
形態において、医薬組成物は、溶媒、増量剤、緩衝剤および浸透圧調節剤のうちの1また
は複数として機能する添加剤を含み得る(例として、生理食塩水中の塩化ナトリウムは水
性媒体および浸透圧調節剤の両方として働き得る)。本開示の医薬組成物は、非経口投与
に適している。
【0188】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、溶媒として水性媒体を含む。好適な媒体
としては、例えば滅菌水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水およびリンガー液が挙げら
れる。いくつかの実施形態において、組成物は等張である。
【0189】
医薬組成物は、増量剤を含み得る。増量剤は、医薬組成物が投与前に凍結乾燥されると
きにとりわけ有用である。いくつかの実施形態において、増量剤は、凍結乾燥もしくは噴
霧乾燥中のおよび/または保存中の活性剤の安定化および分解防止の助けとなる保護剤で
ある。好適な増量剤は、糖類(単糖、二糖および多糖)、例えばスクロース、ラクトース
、トレハロース、マンニトール、ソルビタール、グルコースおよびラフィノースなどであ
る。
【0190】
医薬組成物は、緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、加工中、保存中、任意選択で再構成中の
活性剤の分解を阻害するようにpHをコントロールする。好適なバッファーとしては、例
えば、酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩または硫酸塩を含む塩が挙げられる。他の好適なバ
ッファーとしては、例えば、アミノ酸、例えばアルギニン、グリシン、ヒスチジンおよび
リジンなどが挙げられる。緩衝剤は、さらに塩酸または水酸化ナトリウムを含み得る。い
くつかの実施形態において、緩衝剤は、組成物のpHを4から9の範囲内で維持する。い
くつかの実施形態において、pHは、4、5、6、7または8(下限)より高い。いくつ
かの実施形態において、pHは、9、8、7、6または5(上限)より低い。すなわち、
pHは、約4から9の範囲内であって、その下限は上限より低い。
【0191】
医薬組成物は、浸透圧調節剤を含み得る。好適な浸透圧調節剤としては、例えばグルコ
ース、グリセロール、塩化ナトリウム、グリセリンおよびマンニトールが挙げられる。
【0192】
医薬組成物は、保存剤を含み得る。好適な保存剤としては、例えば抗酸化剤および抗菌
剤が挙げられる。一方、好ましい実施形態において、医薬組成物は滅菌条件下で調製され
て使い切りの容器中にあり、それゆえに保存剤を含むことを必要としない。
【0193】
いくつかの実施形態において、PD-1アンタゴニストとして抗PD-1抗体を含む薬
剤は、液体製剤として提供され得て、または使用前に凍結乾燥粉末を注射用滅菌水で再構
成することによって調製され得る。WO2012/135408は、本発明における使用
に適したペンブロリズマブを含む液体および凍結乾燥薬剤の調合剤を記載している。いく
つかの実施形態において、ペンブロリズマブを含む薬剤は、4mlの溶液中に約100m
gのペンブロリズマブを含有するガラスバイアルで提供される。1mLの溶液は各々25
mgのペンブロリズマブを含有し、L-ヒスチジン(1.55mg)、ポリソルベート8
0(0.2mg)、スクロース(70mg)および注射用水USP中で製剤化される。溶
液は、IV注入のために希釈を必要とする。
【0194】
いくつかの実施形態において、抗TIGIT抗体を含む薬剤は、液体製剤として提供さ
れ得て、または使用前に凍結乾燥粉末を注射用滅菌水で再構成することによって調製され
得る。1つの実施形態において、液体製剤は、約10~100mg/mLの抗TIGIT
抗体;約7%(w/v)のスクロース;約0.02%(w/v)のポリソルベート80;
pHが約5.8~6.0の約10mMのL-ヒスチジンバッファー;および約10mMか
ら約15mMのL-メチオニンを含む。
【0195】
本明細書中に記載される薬剤は、第一の容器および第二の容器および添付文書を含むキ
ットとして提供され得る。第一の容器はPD-1アンタゴニストを含む薬剤を少なくとも
1用量含有し、第二の容器は抗TIGIT抗体を含む2.1~700mgの薬剤を含有し
、添付文書またはラベルは薬剤を用いて患者のがんを処置するための説明を含む。第一の
容器および第二の容器は、同じもしくは異なる形状(例としてバイアル、シリンジおよび
ボトル)であり得て、および/または同じもしくは異なる材料(例としてプラスチックま
たはガラス)であり得る。キットはさらに、薬剤の投与に有用であり得る他の材料、例え
ば希釈剤、フィルター、IVバッグおよびライン、針およびシリンジなどを含み得る。キ
ットのいくつかの好ましい実施形態において、PD-1アンタゴニストは抗PD-1抗体
であり、説明は、その薬剤はIHCアッセイによるPD-L1発現についての検査で陽性
となるがんを持つ患者の処置における使用が意図されると述べている。
【0196】
本発明のこれらのおよび他の態様は、下に列挙される例示的な具体的実施形態も含めて
、本明細書中に含有される教示から明らかである。
【0197】
本発明の例示的な具体的実施形態
1. 患者に2.1mgから700mgの重鎖および軽鎖を含む抗TIGIT抗体を投与
することを含む、患者においてがんを処置するための方法であって、軽鎖が配列番号26
、27および28の軽鎖CDRを含み、重鎖が配列番号29、30および31の重鎖CD
Rを含む、前記方法。
【0198】
2. 抗TIGIT抗体が、静脈内注入を介して投与される、実施形態1の方法。
【0199】
3. 患者が、2.1mgの抗TIGIT抗体を投与される、実施形態1の方法。
【0200】
4. 患者が、7mgの抗TIGIT抗体を投与される、実施形態1の方法。
【0201】
5. 患者が、21mgの抗TIGIT抗体を投与される、実施形態1の方法。
【0202】
6. 患者が、70mgの抗TIGIT抗体を投与される、実施形態1の方法。
【0203】
7. 患者が、200mgの抗TIGIT抗体を投与される、実施形態1の方法。
【0204】
8. 患者が、210mgの抗TIGIT抗体を投与される、実施形態1の方法。
【0205】
9. 患者が、700mgの抗TIGIT抗体を投与される、実施形態1の方法。
【0206】
10. 患者が、抗TIGIT抗体を1日目に、次いでその後は3週ごとに1回投与され
る、実施形態1から9のいずれか1つの方法。
【0207】
11. 重鎖が配列番号25を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖が配列番号24を含む軽鎖
可変領域を含む、実施形態1から10のいずれか1つの方法。
【0208】
12. 抗TIGIT抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号23を含み、
軽鎖は配列番号22を含む、実施形態1から11のいずれか1つの方法。
【0209】
13. 抗TIGIT抗体が、31C6バリアントである、実施形態1から10のいずれ
か一項の方法。
【0210】
14. 抗TIGIT抗体が、抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体またはそれらの
抗原結合性断片と共投与される、実施形態1から13のいずれか1つの方法。
【0211】
15. 抗TIGIT抗体が、抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体またはそれらの
抗原結合性断片と合剤化される、実施形態1から13のいずれか1つの方法。
【0212】
16. 抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片が、ヒトPD-1に特異的に結合し、
ヒトPD-L1のヒトPD-1への結合をブロックする、実施形態14または15の方法
。
【0213】
17. 抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片がまた、ヒトPD-L2のヒトPD-
1への結合をブロックする、実施形態16の方法。
【0214】
18. 抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片が、(a)配列番号1、2および3の
軽鎖CDRならびに(b)配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む、実施形態17の
方法。
【0215】
19. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可
変領域を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態18の方法。
【0216】
20. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号10を含み、軽
鎖は配列番号5を含む、実施形態18の方法。
【0217】
21. 抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブである、実施形態17の方法。
【0218】
22. 抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブバリアントである、実施形態17の方法。
【0219】
23. 抗PD-1抗体が、ニボルマブである、実施形態14の方法。
【0220】
24. 抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、デュルバルマブまたはアベルマブである
、実施形態14の方法。
【0221】
25. 抗PD-1抗体が、200mgで1日目に、次いでその後は3週ごとに1回、静
脈内注入を介して投与される、実施形態18~24のいずれか1つの方法。
【0222】
26. 抗PD-1抗体が、400mgで1日目に、次いでその後は6週ごとに1回、静
脈内注入を介して投与される、実施形態18~24のいずれか1つの方法。
【0223】
27. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含むヒト化抗PD-1抗体であって、ここで
重鎖は配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号
1、2および3の軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含み;ならびに抗TIGIT抗体が重
鎖および軽鎖を含むヒト化抗TIGIT抗体であって、ここで重鎖は配列番号29、30
および31の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号26、27および2
8の軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含む、実施形態14または15の方法。
【0224】
28. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可
変領域を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含み;ならびに抗TIGIT抗体
が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は
配列番号24を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態14または15の方法。
【0225】
29. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号10を含み、軽
鎖は配列番号5を含み;ならびに抗TIGIT抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖
は配列番号23を含み、軽鎖は配列番号22を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態14ま
たは15の方法。
【0226】
30. 抗PD-1抗体が200mgで1日目に、次いでその後は3週ごとに1回、静脈
内注入を介して投与され、抗TIGIT抗体が200mgで1日目に、次いでその後は3
週ごとに1回、静脈内注入を介して投与される、実施形態27~29のいずれか1つの方
法。
【0227】
31. 抗PD-1抗体が400mgで1日目に、次いでその後は6週ごとに1回、静脈
内注入を介して投与され、抗TIGIT抗体が200mgで3週ごとに1回、1日目に静
脈内注入を介して投与される、実施形態27~29のいずれか1つの方法。
【0228】
32. 200mgの抗PD-1抗体が、200mgの抗TIGIT抗体と合剤化される
、実施形態27~29のいずれか1つの方法。
【0229】
33. がんが、NSCLC、結腸直腸がん、胃がん、乳がん、子宮頸がん、卵巣癌、上
皮癌、輸卵管癌または原発性腹膜癌よりなる群から選択される、実施形態1から32のい
ずれか1つの方法。attribution 臨床試験
34. がんが、NSCLCである、実施形態33の方法。
【0230】
35. (i)カルボプラチンおよびペメトレキセド、または(ii)カルボプラチンお
よびパクリタキセルの組み合わせを投与することをさらに含む、実施形態34の方法。
【0231】
36. 個体が、先行して抗PD-1もしくは抗PD-L1治療で処置されていない、ま
たは先行して抗PD-1もしくは抗PD-L1治療を受けた際に進行性であると確認され
ている、実施形態1から35のいずれか1つの方法。
【0232】
37. 200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、200mg
の31C6または31C6バリアント、および薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組
成物。
【0233】
38. 対象/患者においてがんを処置するための薬剤の製造における、重鎖および軽鎖
を含む抗TIGIT抗体の使用であって、ここで軽鎖は配列番号26、27および28の
軽鎖CDRを含み、重鎖は配列番号29、30および31の重鎖CDRを含む、前記使用
。
【0234】
39. 抗TIGIT抗体が、静脈内注入のために製剤化される、および/または静脈内
注入によって投与される、実施形態38の使用。
【0235】
40. 患者が、2.1mgの抗TIGIT抗体を投与される、実施形態38または39
の使用。
【0236】
41. 患者が、7mgの抗TIGIT抗体を投与される、実施形態38または39の使
用。
【0237】
42. 患者が、21mgの抗TIGIT抗体を投与される、実施形態38または39の
使用。
【0238】
43. 患者が、70mgの抗TIGIT抗体を投与される、実施形態38または39の
使用。
【0239】
44. 患者が、200mgの抗TIGIT抗体を投与される、実施形態38または39
の使用。
【0240】
45. 患者が、210mgの抗TIGIT抗体を投与される、実施形態38または39
の使用。
【0241】
46. 患者が、700mgの抗TIGIT抗体を投与される、実施形態38または39
の使用。
【0242】
47. 患者が、抗TIGIT抗体を1日目に、次いでその後は3週ごとに1回投与され
る、実施形態38から46のいずれか1つの使用。
【0243】
48. 重鎖が配列番号25を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖が配列番号24を含む軽鎖
可変領域を含む、実施形態1から10のいずれか1つの使用。
【0244】
49. 抗TIGIT抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号23を含み、
軽鎖は配列番号22を含む、実施形態38から48のいずれか1つの使用。
【0245】
50. 抗TIGIT抗体が、31C6バリアントである、実施形態38から47のいず
れか一項の使用。
【0246】
51. 抗TIGIT抗体が、抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体またはそれらの
抗原結合性断片と共投与される、実施形態38から50のいずれか1つの使用。
【0247】
52. 抗TIGIT抗体が、抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体またはそれらの
抗原結合性断片と合剤化される、実施形態38から50のいずれか1つの使用。
【0248】
53. 抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片が、ヒトPD-1に特異的に結合し、
ヒトPD-L1のヒトPD-1への結合をブロックする、実施形態51または52の使用
。
【0249】
54. 抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片がまた、ヒトPD-L2のヒトPD-
1への結合をブロックする、実施形態53の使用。
【0250】
55. 抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片が、(a)配列番号1、2および3の
軽鎖CDRならびに(b)配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む、実施形態54の
使用。
【0251】
56. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可
変領域を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態55の使用。
【0252】
57. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号10を含み、軽
鎖は配列番号5を含む、実施形態56の使用。
【0253】
58. 抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブである、実施形態51から54のいずれか
の使用。
【0254】
59. 抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブバリアントである、実施形態51から54
のいずれかの使用。
【0255】
60. 抗PD-1抗体が、ニボルマブである、実施形態51または52の使用。
【0256】
61. 抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、デュルバルマブまたはアベルマブである
、実施形態14の方法。
【0257】
62. 抗PD-1抗体が、200mgで1日目に、次いでその後は3週ごとに1回、静
脈内注入を介して投与される、実施形態55~58のいずれか1つの使用。
【0258】
63. 抗PD-1抗体が、400mgで1日目に、次いでその後は6週ごとに1回、静
脈内注入を介して投与される、実施形態55~58のいずれか1つの使用。
【0259】
64. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含むヒト化抗PD-1抗体であって、ここで
重鎖は配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号
1、2および3の軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含み;ならびに抗TIGIT抗体が重
鎖および軽鎖を含むヒト化抗TIGIT抗体であって、ここで重鎖は配列番号29、30
および31の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号26、27および2
8の軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含む、実施形態51または52の使用。
【0260】
65. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可
変領域を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含み;ならびに抗TIGIT抗体
が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は
配列番号24を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態51または52の使用。
【0261】
66. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号10を含み、軽
鎖は配列番号5を含み;ならびに抗TIGIT抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖
は配列番号23を含み、軽鎖は配列番号22を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態51ま
たは52の使用。
【0262】
67. 抗PD-1抗体が200mgで1日目に、次いでその後は3週ごとに1回、静脈
内注入を介して投与され、抗TIGIT抗体が200mgで1日目に、次いでその後は3
週ごとに1回、静脈内注入を介して投与される、実施形態64から66のいずれか1つの
使用。
【0263】
68. 抗PD-1抗体が400mgで1日目に、次いでその後は6週ごとに1回、静脈
内注入を介して投与され、抗TIGIT抗体が200mgで3週ごとに1回、1日目に静
脈内注入を介して投与される、実施形態64から66のいずれか1つの使用。
【0264】
69. 200mgの抗PD-1抗体が、200mgの抗TIGIT抗体と合剤化される
、実施形態64から66のいずれか1つの使用。
【0265】
70. がんが、NSCLC、結腸直腸がん、胃がん、乳がん、子宮頸がん、卵巣がん、
上皮がん、輸卵管がんまたは原発性腹膜癌よりなる群から選択される、実施形態38から
69のいずれか1つの使用。
【0266】
71. がんが、NSCLCである、実施形態70の使用。
【0267】
72. (i)カルボプラチンおよびペメトレキセド、または(ii)カルボプラチンお
よびパクリタキセルの組み合わせの使用をさらに含む、実施形態38から71のいずれか
の使用。
【0268】
73. 個体が、先行して抗PD-1もしくは抗PD-L1治療で処置されていない、ま
たは先行して抗PD-1もしくは抗PD-L1治療を受けた際に進行性であると確認され
ている、実施形態38から72のいずれか1つの使用。
【0269】
一般的方法
分子生物学における標準的方法は、Sambrook,Fritsch and Ma
niatis(1982&1989 2nd Edition,2001 3rd Ed
ition) Molecular Cloning,A Laboratory Ma
nual,Cold Spring Harbor Laboratory Press
,Cold Spring Harbor,NY;Sambrook and Russ
ell(2001) Molecular Cloning,3rd ed.,Cold
Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spr
ing Harbor,NY;Wu(1993) Recombinant DNA,V
ol.217,Academic Press,San Diego,CA)に記載され
ている。標準的な方法はまた、Ausbel,et al.(2001) Curren
t Protocols in Molecular Biology,Vols.1-
4,John Wiley and Sons,Inc.New York,NY中にも
出ており、これは細菌細胞におけるクローニングおよびDNA突然変異誘発(Vol.1
)、哺乳動物細胞および酵母におけるクローニング(Vol.2)、複合糖質およびタン
パク質の発現(Vol.3)およびバイオインフォマティクス(Vol.4)を記載して
いる。
【0270】
免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離および結晶化を包含するタンパク
質精製方法は、記載されている(Coligan,et al.(2000) Curr
ent Protocols in Protein Science,Vol.1,J
ohn Wiley and Sons,Inc.,New York)。化学分析、化
学修飾、翻訳後修飾および融合タンパク質の生産、タンパク質のグリコシル化は、記載さ
れている(例としてColigan,et al.(2000) Current Pr
otocols in Protein Science,Vol.2,John Wi
ley and Sons,Inc.,New York;Ausubel,et al
.(2001) Current Protocols in Molecular B
iology,Vol.3,John Wiley and Sons,Inc.,NY
,NY,pp.16.0.5-16.22.17;Sigma-Aldrich,Co.
(2001) Products for Life Science Researc
h,St.Louis,MO;pp.45-89;Amersham Pharmaci
a Biotech(2001) BioDirectory,Piscataway,
N.J.,pp.384-391を参照されたい)。ポリクローナル抗体およびモノクロ
ーナル抗体の生産、精製および断片化は、記載されている(Coligan,et al
.(2001) Current Protcols in Immunology,V
ol.1,John Wiley and Sons,Inc.,New York;H
arlow and Lane(1999) Using Antibodies,Co
ld Spring Harbor Laboratory Press,Cold S
pring Harbor,NY;上のHarlow and Lane)。リガンド/
受容体相互作用の特性評価のための標準的技術は、利用可能である(例としてColig
an,et al.(2001) Current Protocols in Imm
unology,Vol.4,John Wiley,Inc.,New Yorkを参
照されたい)。
【0271】
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体およびヒト化抗体は、調製することができる
(例としてSheperd and Dean(eds.) (2000) Monoc
lonal Antibodies,Oxford Univ.Press,New Y
ork,NY;Kontermann and Dubel(eds.) (2001)
Antibody Engineering,Springer-Verlag,Ne
w York;Harlow and Lane(1988) Antibodies
A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor L
aboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,pp
.139-243;Carpenter,et al.(2000) J.Immuno
l. 165:6205;He,et al.(1998) J.Immunol. 1
60:1029;Tang et al.(1999) J.Biol.Chem. 2
74:27371-27378;Baca et al.(1997) J.Biol.
Chem. 272:10678-10684;Chothia et al.(198
9) Nature 342:877-883;Foote and Winter(1
992) J.Mol.Biol. 224:487-499;米国特許第6,329,
511号を参照されたい)。
【0272】
ヒト化への代替法は、ファージ上にディスプレイされたヒト抗体ライブラリーまたはト
ランスジェニックマウスにおけるヒト抗体ライブラリーを用いることである(Vaugh
an et al.(1996) Nature Biotechnol. 14:30
9-314;Barbas(1995) Nature Medicine 1:837
-839;Mendez et al.(1997) Nature Genetics
15:146-156;Hoogenboom and Chames(2000)
Immunol.Today 21:371-377;Barbas et al.(2
001) Phage Display:A Laboratory Manual,C
old Spring Harbor Laboratory Press,Cold
Spring Harbor,New York;Kay et al.(1996)
Phage Display of Peptides and Proteins:A
Laboratory Manual,Academic Press,San Di
ego,CA;de Bruin et al.(1999) Nature Biot
echnol. 17:397-399)。
【0273】
抗原の精製は、抗体作製に必要ではない。動物に目的抗原を有する細胞を免疫すること
ができる。脾臓細胞を次いで免疫動物から分離し、脾臓細胞をミエローマ細胞株と融合す
ることでハイブリドーマを生産することができる(例としてMeyaard et al
.(1997) Immunity 7:283-290;Wright et al.
(2000) Immunity 13:233-242;上のPreston et
al.;Kaithamana et al.(1999) J.Immunol. 1
63:5157-5164を参照されたい)。
【0274】
抗体は、例として低分子量の薬物分子、酵素、リポソーム、ポリエチレングリコール(
PEG)とコンジュゲートさせることができる。抗体は、治療薬、診断薬、キットまたは
他の目的のために有用であり、例として色素、放射性同位体、酵素、または金属、例とし
て金コロイドと結合した抗体を包含する(例としてLe Doussal et al.
(1991) J.Immunol. 146:169-175;Gibellini
et al.(1998) J.Immunol. 160:3891-3898;Hs
ing and Bishop(1999) J.Immunol. 162:2804
-2811;Everts et al.(2002) J.Immunol. 168
:883-889を参照されたい)。
【0275】
蛍光活性化細胞分取(FACS)を包含するフローサイトメトリー法は、利用可能であ
る(例としてOwens,et al.(1994) Flow Cytometry
Principles for Clinical Laboratory Pract
ice,John Wiley and Sons,Hoboken,NJ;Givan
(2001) Flow Cytometry,2nd ed.;Wiley-Lis
s,Hoboken,NJ;Shapiro(2003) Practical Flo
w Cytometry,John Wiley and Sons,Hoboken,
NJを参照されたい)。例として診断用試薬としての使用のための、核酸プライマーおよ
びプローブを包含する核酸、ポリペプチドならびに抗体の修飾に適した蛍光試薬は、利用
可能である(Molecular Probes(2003) Catalogue,M
olecular Probes,Inc.,Eugene,OR;Sigma-Ald
rich(2003) Catalogue,St.Louis,MO)。
【0276】
免疫系の組織学の標準的方法は、記載されている(例としてMuller-Harme
link(ed.) (1986) Human Thymus:Histopatho
logy and Pathology,Springer Verlag,New Y
ork,NY;Hiatt,et al.(2000) Color Atlas of
Histology,Lippincott,Williams,and Wilki
ns,Phila,PA;Louis,et al.(2002) Basic His
tology:Text and Atlas,McGraw-Hill,New Yo
rk,NYを参照されたい)。
【0277】
例として抗原性断片、リーダー配列、タンパク質フォールディング、機能的ドメイン、
グリコシル化部位および配列アラインメントを決定するためのソフトウェアパッケージお
よびデータベースは、利用可能である(例としてGenBank,Vector NTI
(登録商標) Suite(Informax,Inc,Bethesda,MD);G
CG Wisconsin Package(Accelrys,Inc.,San D
iego,CA);DeCypher(登録商標)(TimeLogic Corp.,
Crystal Bay,Nevada);Menne,et al.(2000) B
ioinformatics 16:741-742;Menne,et al.(20
00) Bioinformatics Applications Note 16:
741-742;Wren,et al.(2002) Comput.Methods
Programs Biomed. 68:177-181;von Heijne(
1983) Eur.J.Biochem. 133:17-21;von Heijn
e(1986) Nucleic Acids Res. 14:4683-4690を
参照されたい)。
【実施例0278】
実施例1:進行性固形腫瘍における抗TIGIT抗体の臨床試験
この試験は、抗TIGIT抗体である31C6の単剤治療(パートA、アーム1)およ
びペンブロリズマブと組み合わせた31C6(パートA、アーム2)の多施設共同の非盲
検用量漸増試験であった。試験のパートBは、単剤治療として、およびペンブロリズマブ
と組み合わせて用いられたときの31C6抗体のフェーズ2推奨用量を推定するための用
量確認フェーズである。進行性の固形腫瘍を有する参加者における、単剤治療として、お
よびペンブロリズマブと組み合わせて用いられたときの31C6抗体の抗腫瘍活性は、パ
ートBにおいて、非ランダム化試験デザインで判定された。パートBは、組み合わせにお
ける31C6抗体の2つの用量を、プログラム死1(PD-1)処置ナイーブがんを有す
る参加者において、1:1ランダム化試験デザインを用いて判定した。
【0279】
試験のパートAの際、対象は、2つの処置アームのうちの1つに割り付けられた:
アーム1:単剤治療として31C6漸増用量2.1mg、7mg、21mg、70mg、
210mgおよび700mgを3週ごと(Q3W)、静脈内注入(IV)による。
【0280】
アーム2:ペンブロリズマブ(200mg Q3W) IVと組み合わせて、31C6漸
増用量2.1mg、7mg、21mg、70mg、210mgおよび700mgを3週ご
と(Q3W) IV。
【0281】
パートAは、RECISTに従って測定可能な疾患を持ち、ECOG PS 0-1で
あった、臨床的に有効な処置がない転移性固形腫瘍を有する成人を包含し;先行するCT
LA-4、PD-1またはPD-L1阻害剤での処置は、AEのために中止されたのでな
ければ認められた。用量漸増は、改変毒性発現確率区間デザインに従い、目標とする用量
制限毒性率を約30%とした。ペンブロリズマブは200mg Q3Wで投与された。抗
TIGIT 31C6抗体は、2.1mgから700mgで投与された。抗TIGIT抗
体およびペンブロリズマブは、35サイクル、または進行、耐えられない毒性、もしくは
試験責任医師もしくは患者の決定があるまで与えられた。用量漸増の際、各用量で最低3
名の患者が必要であった。用量漸増および確認は、いずれかの用量レベルで14名の患者
が処置された後、完了した。主要エンドポイントは、単剤治療としての、およびペンブロ
リズマブと組み合わせた抗TIGIT抗体31C6の安全性 耐容性であり、これはそれ
ぞれのフェーズ2推奨用量(RP2D)を確立するためのものである。副次的エンドポイ
ントは、単剤治療としての、およびペンブロリズマブと組み合わせた抗TIGIT抗体3
1C6のPK、抗TIGIT抗体31C6と共に与えられるペンブロリズマブのPK、な
らびに単剤治療としての、およびペンブロリズマブと組み合わせた抗TIGIT抗体31
C6のORR(RECIST v1.1、試験責任医師によるレビュー)である。
【0282】
パートBは、ペンブロリズマブと組み合わせた31C6の用量確認である。加えて、拡
大コホートは、単剤治療としてのおよびペンブロリズマブと組み合わせた31C6の抗腫
瘍有効性を評価した。試験の拡大部への組み入れは、次のがんを有する対象にオープンで
あった:
- PD-1/PD-L1阻害剤処置不応性NSCLC、
- PD-1/PD-L1阻害剤ナイーブNSCLC、
- 結腸直腸がん
- 乳がん
- 卵巣上皮癌、輸卵管癌、または原発性腹膜癌。
【0283】
試験のパートAについてのベースライン特性は、次の表:ベースライン特性:表4(デ
ータカットオフ日:2018年8月16日)に示される。
【0284】
表4.ベースライン特性(データカットオフ日:2018年8月16日)
【表4】
【0285】
表5.ベースライン特性(データカットオフ日:2018年8月16日)
【表5】
【0286】
結果:
このファースト・イン・ヒューマン(first-in-human)の試験において
、単剤治療として、およびペンブロリズマブ(200mg)と組み合わせて与えられた3
1C6 抗TIGIT抗体は、良好に耐容され、試験された全ての用量にわたって管理可
能な安全性があった。用量決定はDLTなしで完了し、処置関連の死亡者はいなかった。
図1に、単剤治療アームおよび組み合わせ治療アームの両方からのPKデータを記載する
。単剤治療について、患者の状況は次のとおりであった:処置中2名、処置中止32名(
病勢進行27名、医師の決定2名、および離脱3名)。13名の患者は、ペンブロリズマ
ブでの組み合わせ治療にクロスオーバーした。
【0287】
抗TIGIT 31C6およびペンブロリズマブの組み合わせについて、予め指定した
各用量レベルについての用量漸増は完了した。DLTは観察されなかった。組み合わせ治
療での患者の状況は次のとおりであった:処置中7名、処置中止27名(病勢進行25名
、医師の決定1名、および離脱1名)。有害事象の概略を下に載せる:
表6:有害事象の概略
【表6】
【0288】
【0289】
加えて、重度の前処置を受けた集団において、複数の腫瘍タイプにわたって、とりわけ
組み合わせ治療の有望な抗腫瘍活性が観察された。詳細には、31C6単剤治療のみで3
%のORRおよび35%のDCRが観察され、31C6およびペンブロリズマブの組み合
わせ治療については19%のORRおよび47%のDCRが観察された。単剤治療から組
み合わせ治療にクロスオーバーした患者において、奏功が観察された。
図2Aおよび
図2
Bに、標的病変のベースラインからの最良パーセンテージ変化(RECIST v1.1
、試験責任医師によるレビュー)を示す。
図3Aおよび
図3Bに、処置持続期間および応
答(RECIST v1.1、試験責任医師によるレビュー)の図を示す。抗腫瘍活性(
RECIST v1.1、試験責任医師によるレビュー)の概略は、下に示される:
表8:抗腫瘍活性
【表8】
【0290】
BRCA野生型卵巣がんを有する75歳の高齢女性患者において部分奏効が観察された
。この患者は先行して4ラインの化学療法を受けていたが、抗PD-1または抗PD-L
1療法は先行して受けていなかった。この患者は31C6 抗TIGIT抗体2.1mg
の単剤治療を受け、RECISTに従ってPDが文書に記録され、その後、2.1mgの
31C6 抗TIGIT抗体+200mgのペンブロリズマブの組み合わせ治療にクロス
オーバーした。クロスオーバーから9週後に部分奏効が観察された。詳細には、腫瘍体積
が85%減少し、全ての病変(腸間膜沈着物、リンパ節(傍大動脈、腸骨、子宮頸部))
のサイズが縮小した。奏効は13ヶ月時点で継続していた。処置は発疹のため中止された
。
【0291】
実施例2:
フェーズI試験のパートB
上の実施例1に記載されているフェーズI試験のパートBのデザインは、次のとおりで
ある:
表9:フェーズ1試験のパートBのデザイン
【表9】
【0292】
加えて、次の組み合わせを続行中である:
扁平上皮PD1ナイーブNSCLCにおける31C6+ペンブロリズマブ+カルボプラチ
ンおよびパクリタキセル(タキソール)
非扁平上皮PD1ナイーブNSCLCにおける31C6+ペンブロリズマブ+カルボプラ
チン
扁平上皮PD1ナイーブNSCLCにおける31C6+ペンブロリズマブ+カルボプラチ
ンおよびタキソール
結果:
安全性の概要
2019年9月時点で、31C6およびペンブロリズマブの副作用プロファイルはペン
ブロリズマブ単独と同等であることが観察された。副作用率は、31C6単剤治療処置と
31C6およびペンブロリズマブの組み合わせ治療処置との間で同様であった。副腎機能
不全および輸注反応は、ペンブロリズマブ反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)よ
りも高い割合で発生した。表10の概要を参照されたい。
【0293】
表10. 副腎機能不全および輸注反応の概要
【表10】
【0294】
例えば200mgなどの用量を投与された患者は直線的なクリアランス値を示すことが
観察され、これはパートAのデータにおける先の知見と一致していた(200mg:CL
=0.49L/日およびt1/2=9.9日;700mg:CL=0.48L/日および
t1/2=9.4日)。また、PKの変動も解析され、一貫した結果を示した(CLのC
V=46%)。
【0295】
有効性
抗腫瘍活性は、パートB. PD-1ナイーブNSCLCにおいて試験された異なる患
者群において解析された。
【0296】
ナイーブNSCLC患者において奏功が観察され、これを
図4および表11に示す(R
ECIST v1.1、試験責任医師によるレビュー)。ORRデータは、全てのPD-
L1レベルを有する患者を組み入れ、より処置ラインが進行しているにもかかわらず、3
1C6およびペンブロリズマブの組み合わせが対照より高いことを示している。1または
複数のラインの治療を先行して受け、TPSが≧1%であった、KN-010に組み入れ
られたNSCLC対象において、ORRは18%であった。
【0297】
表11. PD-1ナイーブNSCLCにおける試験責任医師によるRECIST1.1
による最良総合効果
【表11】
【0298】
KN-010:100%のptsがTPS≧1、29%のptsが3L+
ペンブロ+31C6:52%のptsがTPS≧1、60%の対象が3L+
加えて、31C6抗体(200mg)単剤治療、または31C6(200mg)および
ペンブロリズマブ(200m)の組み合わせ治療のいずれかで処置されたPD-1不応性
NSCLCを有する対象における試験責任医師によるRECIST1.1による最良効果
を示すデータが得られた。表12を参照されたい。単剤治療の活性は選択されていないP
D1不応性NSCLCにおいて観察され、また顕著なORR結果も観察された。単剤治療
の奏功は、CRを含め、知られたものであった。31C6抗体(200mg)の単剤治療
のORR結果は、組み合わせ治療の結果と同様であった。
【0299】
表12. 31C6単独、またはペンブロリズマブとの組み合わせで処置されたPD-1
不応性NSCLCを有する対象における試験責任医師によるRECIST1.1による最
良総合効果
【表12】
【0300】
31C6でのPD-1不応性NSCLC対象の83%が3L+
31C6(200mg)単独、またはペンブロリズマブ(200mg)との組み合わせ
治療で処置されたPD-1不応性NSCLCを有する対象における奏功持続期間データを
、表13、ならびに
図5Aおよび5Bに示す。
【0301】
表13. 31C6(200mg)+ペンブロリズマブで処置されたPD-1不応性NS
CLCを有する対象における奏功持続期間
【表13】
【0302】
卵巣がん
卵巣がん患者群(パートAおよびパートB)についての有効性データの概要を
図6およ
び表14に示す。PD1ナイーブ卵巣がん(プラチナベースの治療に抵抗性である)対象
の群において、ORRが19%(n=27)であることが観察された。PD-L1陽性腫
瘍において、さらなる強化が観察された(CPS1、ORR 40%)。奏効までの平均
時間は3.5±2.3ヶ月、DORの中央値は4.1~11.2+ヶ月であった。
【0303】
表14. 卵巣がん患者についての試験責任医師によるRECIST1.1による最良総
合効果
【表14】
【0304】
ペンブロ+31C6:(対象の74%が3L+);3名の確認されたレスポンダーが3L
+、全てのレスポンダーがBRCA陰性。
【0305】
パートB中の白金製剤抵抗性の卵巣がん患者のコホート(n=20)において、用量漸
増で卵巣がん対象に(全7例のうち)2例の客観的奏効が観察された後、予備的な有効性
を試験した。31C6抗体およびペンブロリズマブの組み合わせ治療(パートAおよびB
)で処置された卵巣がんを有する対象において、ORRは19%(5/27)で、DOR
は4.2-11.4+ヶ月であった。27名の卵巣患者のうち、14名の対象についてP
D-L1データが利用可能であった。31C6抗体で処置された卵巣患者からのPD-L
1陽性(CPS1)腫瘍において、ORRは40%(2/5)であったのに対し、ペンブ
ロリズマブ単剤治療で処置されたPD-L1+卵巣がん対象においては14%であったこ
とが観察された。注目すべきことに、この試験における全ての卵巣レスポンダーは、BR
CA陰性であった。それゆえに、何らかの特定の治療またはメカニズムに制限されるもの
ではないが、有効性および耐容性に基づいて、31C6抗体の単剤治療、および31C6
抗体とペンブロリズマブとの組み合わせ治療は、アンメットニーズの高いこの集団におい
て、化学療法を必要としない非常に魅力的な処置の選択肢となる可能性がある。
【0306】
乳がん
この試験の場合、ファーストラインの患者がいなかったため、2L+、PD-1/L-
1を経験した全ての患者の組み入れが認められた。これらの患者について、次の特性:1
件のDLT(発熱性好中球減少症)が確認され、10名の患者のうち7名が試験に残った
。中止した患者の特性は次のとおりであった:1名の患者が臨床的にPD、2名の患者が
AE[PNA(関連なし)、G3 LFT上昇(io(すなわち31C6抗体およびペン
ブロリズマブ)+ペメトレキセド)に関連あり]。この試験において、10名の試験対象
患者がスキャンを受け、全員が1回のみスキャンを受けた(SD 7名、PR 2名、P
D 1名)。この乳がん試験のデータを
図7および表15に示す。
【0307】
表15. 31C6(200mg)およびペンブロリズマブで処置したPD-1ナイーブ
乳房患者のデータ
【表15】
【0308】
CRC乳房患者の付随的データが
図8および表16にある。
【0309】
表16. 31C6(200mg)およびペンブロリズマブで処置したPD-1ナイーブ
CRC乳がん患者のデータ
【表16】
【0310】
子宮頸がん
データカットオフ時点で、200mgおよび700mgの用量で、それぞれ7名および
8名の患者が試験に残っている。データを、
図9Aおよび9B、ならびに表17に示す。
この初期の時点では、ペンブロリズマブを使用した200mgと700mgの31C6組
み合わせ処置アームの間で、有効性および安全性に大きな差はない。
【0311】
表17. 200mgまたは700mgの31C6抗体およびペンブロリズマブに対して
ランダム化された子宮頸がん患者のデータ
【表17】
【0312】
結論として、抗体31C6の単剤治療は良好に耐容されることが観察された。いずれの
副作用も許容されるものであり、ペンブロリズマブと組み合わせた31C6抗体について
観察された副作用プロファイルは、ペンブロリズマブの単剤治療について観察された結果
と同様であった。用量およびPKデータの点では、31C6抗体の半減期は約10日であ
ることが観察された。通常のPK変動が観察され、観察されたADA発生は10~20%
であった。用量の多くが有利な結果を示したが、200mgの予備的なRP2Dは依然と
して有利である。データは、抗体処置の曝露が投薬間隔の全体にわたって維持されたこと
を示している。最初のデータは、ランダム化用量比較において200mgおよび700m
gの31C6抗体の同等の安全性/有効性を示している。有利な有効性データのなかで、
単剤治療としての31C6抗体で、また31C6抗体およびペンブロリズマブ両方を使用
した組み合わせ治療でNSCLC(PD-1ナイーブおよびPD-1不応性)患者および
卵巣がん患者を処置することについて、臨床上有効性の顕著なシグナルが観察された。最
も重要なことに、31C6抗体での処置(いずれも単剤治療および組み合わせ治療の一部
として)が、試験された各々のがんにおいて抗腫瘍活性を持つというエビデンスがあった
。例えば、PD-1不応性NSCLC患者において単剤治療の抗腫瘍活性が観察された。
データには、31C6単剤治療チェーンで処置した患者におけるCR、および重鎖におけ
る113が含まれた。
【0313】
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