(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025042173
(43)【公開日】2025-03-27
(54)【発明の名称】回転センサ一体型軸受の取付構造
(51)【国際特許分類】
F16C 41/00 20060101AFI20250319BHJP
F16C 35/00 20060101ALI20250319BHJP
F16C 19/52 20060101ALI20250319BHJP
F16C 19/04 20060101ALI20250319BHJP
F16C 35/06 20060101ALI20250319BHJP
G01P 3/46 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
F16C41/00
F16C35/00
F16C19/52
F16C19/04
F16C35/06 Z
G01P3/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149027
(22)【出願日】2023-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】小柴 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】野元 宣寿
(72)【発明者】
【氏名】杉万 朋治
(72)【発明者】
【氏名】寺谷 貴一
(72)【発明者】
【氏名】村松 俊紀
(72)【発明者】
【氏名】平栗 征一
【テーマコード(参考)】
3J117
3J217
3J701
【Fターム(参考)】
3J117AA03
3J117AA10
3J117CA06
3J117DA02
3J117DB07
3J117HA04
3J217JA02
3J217JA13
3J217JA24
3J217JA38
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3J217JB14
3J217JB25
3J217JC10
3J701AA02
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA54
3J701BA56
3J701BA78
3J701FA23
3J701FA26
3J701FA46
3J701GA60
(57)【要約】
【課題】回転センサ一体型軸受において、センサステータの位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受をハウジングに容易に取り付ける。
【解決手段】取付構造X1は、軸受2及びセンサステータ3が一体となった回転センサ一体型軸受1をハウジング5に取り付ける構造である。ハウジング5には、ピン穴5eが設けられている。センサステータ3は、ピン穴5eに圧入されるノックピン37を備えている。回転センサ一体型軸受1は、軸受2の外輪22がハウジング5に嵌め込まれることによって又は軸受2の内輪21が回転軸6に嵌め込まれることによって、及び、ノックピン37がピン穴5eに圧入されることによって、ハウジング5に取り付けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を支持する軸受に対して、前記回転軸の回転を検出する回転センサのセンサステータが取り付けられた回転センサ一体型軸受をハウジングに取り付ける取付構造であって、
前記ハウジングには、ピン穴が設けられ、
前記センサステータは、前記ピン穴に圧入されるノックピンを備え、
前記軸受と前記センサステータとは、前記軸受の中心線に沿って互いに押し付けられることによって互いを連結させる連結構造によって連結され、
前記ノックピン及び前記ピン穴は前記軸受の前記中心線に沿って延在し、
前記回転センサ一体型軸受は、前記軸受の外輪が前記ハウジングに嵌め込まれることによって又は前記軸受の内輪が前記回転軸に嵌め込まれることによって、及び、前記ノックピンが前記ピン穴に圧入されることによって、前記ハウジングに取り付けられる、回転センサ一体型軸受の取付構造。
【請求項2】
前記連結構造は、
前記外輪の内径面に設けられた凹部と、
一方の端部が前記センサステータに取り付けられると共に他方の端部が前記外輪の内側に配置され、前記外輪と前記センサステータとを連結する連結部と、
によって構成され、
前記連結部における前記他方側の端部には、前記外輪の前記凹部に嵌まり込む凸部が設けられ、
前記連結部における前記他方側の端部は、前記軸受の径方向の内側に可撓可能に構成されている、請求項1に記載の回転センサ一体型軸受の取付構造。
【請求項3】
前記ノックピンは、前記センサステータに備えられたコネクタ部に設けられている、又は、前記センサステータに備えられたコイルを保持するインシュレータに設けられている、請求項1又は2に記載の回転センサ一体型軸受の取付構造。
【請求項4】
回転軸を支持する軸受に対して、前記回転軸の回転を検出する回転センサのセンサステータが取り付けられた回転センサ一体型軸受をハウジングに取り付ける取付構造であって、
前記センサステータを前記ハウジングに固定するボルトを備え、
前記ハウジングには、前記ボルトに係合する第1ボルト穴が設けられ、
前記センサステータには、前記ボルトが通される第2ボルト穴が設けられ、
前記回転センサ一体型軸受は、前記軸受の外輪が前記ハウジングに嵌め込まれることによって又は前記軸受の内輪が前記回転軸に嵌め込まれることによって、及び、前記第2ボルト穴に通された前記ボルトが前記第1ボルト穴に係合させられることによって、前記ハウジングに取り付けられる、回転センサ一体型軸受の取付構造。
【請求項5】
前記第2ボルト穴は、前記センサステータに備えられたコネクタ部に設けられている、又は、前記センサステータに備えられたコイルを保持するインシュレータに設けられている、請求項4に記載の回転センサ一体型軸受の取付構造。
【請求項6】
前記センサステータは、前記第2ボルト穴内に設けられ、前記ボルトが通される筒状のカラーを備える、請求項4又は5に記載の回転センサ一体型軸受の取付構造。
【請求項7】
回転軸を支持する軸受に対して、前記回転軸の回転を検出する回転センサのセンサステータが取り付けられた回転センサ一体型軸受をハウジングに取り付ける取付構造であって、
前記センサステータは、前記軸受の外輪よりも径方向の外側に延在する延在部を備え、
前記ハウジングには、前記延在部が嵌め込まれる切欠部が設けられ、
前記軸受の回転方向において、前記延在部の外面と前記切欠部の内面との間には、これらの隙間を埋める弾性変形可能な弾性部材が設けられ、
前記回転センサ一体型軸受は、前記軸受の外輪が前記ハウジングに嵌め込まれることによって又は前記軸受の内輪が前記回転軸に嵌め込まれることによって、及び、前記延在部の前記外面と前記切欠部の前記内面との間に前記弾性部材が設けられた状態で前記切欠部に前記延在部が嵌め込まれることによって、前記ハウジングに取り付けられる、回転センサ一体型軸受の取付構造。
【請求項8】
前記延在部は、前記センサステータに備えられたコネクタ部であり、
前記弾性部材は、前記コネクタ部の外周面に取り付けられたOリングによって構成されている、請求項7に記載の回転センサ一体型軸受の取付構造。
【請求項9】
回転軸を支持する軸受に対して、前記回転軸の回転を検出する回転センサのセンサステータが取り付けられた回転センサ一体型軸受をハウジングに取り付ける取付構造であって、
前記センサステータは、前記軸受の外輪よりも径方向の外側に延在する延在部を備え、
前記ハウジングには、前記延在部が嵌め込まれる切欠部が設けられ、
前記回転センサ一体型軸受は、前記軸受の外輪が前記ハウジングに嵌め込まれることによって又は前記軸受の内輪が前記回転軸に嵌め込まれることによって、及び、前記切欠部に前記延在部が圧入されることによって、前記ハウジングに取り付けられる、回転センサ一体型軸受の取付構造。
【請求項10】
前記延在部において前記軸受の回転方向の両側の端部には、前記延在部よりも強度が高い高強度部材がそれぞれ設けられ、
前記高強度部材は、前記切欠部の内面に当接している、請求項9に記載の回転センサ一体型軸受の取付構造。
【請求項11】
回転軸を支持する軸受に対して、前記回転軸の回転を検出する回転センサのセンサステータが取り付けられた回転センサ一体型軸受をハウジングに取り付ける取付構造であって、
前記センサステータと前記ハウジングとを挟み込むクリップを備え、
前記センサステータは、前記軸受の外輪よりも径方向の外側に延在する延在部を備え、
前記ハウジングには、前記延在部が嵌め込まれる切欠部が設けられ、
前記クリップは、前記延在部の外面のうち前記軸受の回転方向の一方側の部位が前記切欠部の内面に当接するように、前記延在部と前記ハウジングとを挟み込み、
前記回転センサ一体型軸受は、前記軸受の外輪が前記ハウジングに嵌め込まれることによって又は前記軸受の内輪が前記回転軸に嵌め込まれることによって、及び、前記クリップによって前記延在部と前記ハウジングとが挟み込まれることによって、前記ハウジングに取り付けられる、回転センサ一体型軸受の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転センサ一体型軸受をハウジングに取り付ける取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、回転軸の回転を検出する回転センサが記載されている。ここで、このような回転センサでは、回転軸の回転を検出するセンサステータの位置がずれると、回転の検出精度が低下する。このため、特許文献1に記載された回転センサでは、ハウジングに対してセンサステータのステータコアを複数のボルトによって固定することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、回転センサのセンサステータと軸受とを一体化して、回転センサ一体型軸受とすることが考えられる。この回転センサ一体型軸受をハウジングに取り付けられる場合、一般的な軸受と同様に、外輪の外径面をハウジングの嵌込部に嵌め込むことが考えられる。しかしながら、軸受の外輪にクリープが生じると、軸受に取り付けられたセンサステータも回転してしまう。これにより、回転センサ一体型軸受において、回転軸の回転の検出精度が低下することが考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、回転センサ一体型軸受において、センサステータの位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受をハウジングに容易に取り付けることが可能な取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転センサ一体型軸受の取付構造は、[1]「回転軸を支持する軸受に対して、前記回転軸の回転を検出する回転センサのセンサステータが取り付けられた回転センサ一体型軸受をハウジングに取り付ける取付構造であって、前記ハウジングには、ピン穴が設けられ、前記センサステータは、前記ピン穴に圧入されるノックピンを備え、前記軸受と前記センサステータとは、前記軸受の中心線に沿って互いに押し付けられることによって互いを連結させる連結構造によって連結され、前記ノックピン及び前記ピン穴は前記軸受の前記中心線に沿って延在し、前記回転センサ一体型軸受は、前記軸受の外輪が前記ハウジングに嵌め込まれることによって又は前記軸受の内輪が前記回転軸に嵌め込まれることによって、及び、前記ノックピンが前記ピン穴に圧入されることによって、前記ハウジングに取り付けられる、回転センサ一体型軸受の取付構造。」であってもよい。
【0007】
この取付構造では、軸受の外輪がハウジングに嵌め込まれて固定される又は軸受の内輪が回転軸に嵌め込まれて固定されると共に、センサステータがノックピンによってもハウジングに固定される。これにより、この取付構造では、回転センサ一体型軸受において、センサステータの位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受をハウジングに容易に取り付けることができる。
【0008】
また、この取付構造において、軸受とセンサステータとは、軸受の中心線に沿って互いに押し付けられることによって互いを連結させる連結構造によって連結される。ノックピン及びピン穴の延在方向は、軸受の中心線に沿って延在している。つまり、センサステータと軸受とを連結するときの押し付け方向と、回転センサ一体型軸受をハウジングに取り付けるためにノックピンをピン穴に差し込む方向と、が互いに同じである。
【0009】
このため、この取付構造では、軸受とセンサステータとを連結する工程と、センサステータをハウジングに取り付ける工程とを、一つの工程で行うことができる。このように、この取付構造では、回転センサ一体型軸受の組み立て及びハウジングへの組み付けを容易に行うことができる。
【0010】
本発明の回転センサ一体型軸受の取付構造は、[2]「前記連結構造は、前記外輪の内径面に設けられた凹部と、一方の端部が前記センサステータに取り付けられると共に他方の端部が前記外輪の内側に配置され、前記外輪と前記センサステータとを連結する連結部と、によって構成され、前記連結部における前記他方側の端部には、前記外輪の前記凹部に嵌まり込む凸部が設けられ、前記連結部における前記他方側の端部は、前記軸受の径方向の内側に可撓可能に構成されている、上記[1]に記載の回転センサ一体型軸受の取付構造。」であってもよい。この取付構造では、センサステータに取り付けられた連結部が径方向の内側に可撓可能となっている。これにより、この取付構造では、軸受とセンサステータとが軸受の中心線に沿って互いに押し付けられることによって、凸部を径方向の内側に移動させることができる。そして、この取付構造では、連結部の凸部を外輪の凹部に嵌め込むことができる。
【0011】
本発明の回転センサ一体型軸受の取付構造は、[3]「前記ノックピンは、前記センサステータに備えられたコネクタ部に設けられている、又は、前記センサステータに備えられたコイルを保持するインシュレータに設けられている、上記[1]又は[2]に記載の回転センサ一体型軸受の取付構造。」であってもよい。この場合、この取付構造では、センサステータのうち、コネクタ部又はインシュレータをノックピンによってハウジングに固定することができる。
【0012】
本発明に係る回転センサ一体型軸受の取付構造は、[4]「回転軸を支持する軸受に対して、前記回転軸の回転を検出する回転センサのセンサステータが取り付けられた回転センサ一体型軸受をハウジングに取り付ける取付構造であって、前記センサステータを前記ハウジングに固定するボルトを備え、前記ハウジングには、前記ボルトに係合する第1ボルト穴が設けられ、前記センサステータには、前記ボルトが通される第2ボルト穴が設けられ、前記回転センサ一体型軸受は、前記軸受の外輪が前記ハウジングに嵌め込まれることによって又は前記軸受の内輪が前記回転軸に嵌め込まれることによって、及び、前記第2ボルト穴に通された前記ボルトが前記第1ボルト穴に係合させられることによって、前記ハウジングに取り付けられる、回転センサ一体型軸受の取付構造。」である。
【0013】
この取付構造では、軸受の外輪がハウジングに嵌め込まれて固定される又軸受の内輪が回転軸に嵌め込まれて固定されると共に、センサステータがボルトによってもハウジングに固定される。これにより、この取付構造では、回転センサ一体型軸受において、センサステータの位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受をハウジングに容易に取り付けることができる。
【0014】
本発明の回転センサ一体型軸受の取付構造は、[5]「前記第2ボルト穴は、前記センサステータに備えられたコネクタ部に設けられている、又は、前記センサステータに備えられたコイルを保持するインシュレータに設けられている、上記[4]に記載の回転センサ一体型軸受の取付構造。」であってもよい。この場合、この取付構造では、回転軸の回転を検出するステータコアにボルト穴を設けることなく、コネクタ部又はインシュレータを用いてセンサステータをハウジングに取り付けることができる。
【0015】
本発明の回転センサ一体型軸受の取付構造は、[6]「前記センサステータは、前記第2ボルト穴内に設けられ、前記ボルトが通される筒状のカラーを備える、上記[4]又は[5]に記載の回転センサ一体型軸受の取付構造。」であってもよい。この場合、この取付構造では、ボルトが取り付けられたときに、ボルトがセンサステータを締め付ける力をカラーによって受け止めることができる。これにより、この取付構造では、センサステータにおけるボルトの取付部分が破損することを抑制できる。
【0016】
本発明の回転センサ一体型軸受の取付構造は、[7]「回転軸を支持する軸受に対して、前記回転軸の回転を検出する回転センサのセンサステータが取り付けられた回転センサ一体型軸受をハウジングに取り付ける取付構造であって、前記センサステータは、前記軸受の外輪よりも径方向の外側に延在する延在部を備え、前記ハウジングには、前記延在部が嵌め込まれる切欠部が設けられ、前記軸受の回転方向において、前記延在部の外面と前記切欠部の内面との間には、これらの隙間を埋める弾性変形可能な弾性部材が設けられ、前記回転センサ一体型軸受は、前記軸受の外輪が前記ハウジングに嵌め込まれることによって又は前記軸受の内輪が前記回転軸に嵌め込まれることによって、及び、前記延在部の前記外面と前記切欠部の前記内面との間に前記弾性部材が設けられた状態で前記切欠部に前記延在部が嵌め込まれることによって、前記ハウジングに取り付けられる、回転センサ一体型軸受の取付構造。」であってもよい。
【0017】
この取付構造では、軸受の外輪がハウジングに嵌め込まれて固定される又は軸受の内輪が回転軸に嵌め込まれて固定されると共に、センサステータの延在部がハウジングに設けられた切欠部に嵌め込まれる。また、この延在部の外面と切欠部の内面との間には弾性部材が設けられている。弾性部材が設けられていることにより、軸受の回転方向において、ハウジングに対するセンサステータのがたつきが抑制される。このように、この取付構造では、回転センサ一体型軸受において、センサステータの位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受をハウジングに容易に取り付けることができる。
【0018】
本発明の回転センサ一体型軸受の取付構造は、[8]「前記延在部は、前記センサステータに備えられたコネクタ部であり、前記弾性部材は、前記コネクタ部の外周面に取り付けられたOリングによって構成されている、上記[7]に記載の回転センサ一体型軸受の取付構造。」であってもよい。この場合、この取付構造では、コネクタ部に取り付けられたOリングによって、ハウジングに対するセンサステータのがたつきを容易に抑制できる。
【0019】
本発明の回転センサ一体型軸受の取付構造は、[9]「回転軸を支持する軸受に対して、前記回転軸の回転を検出する回転センサのセンサステータが取り付けられた回転センサ一体型軸受をハウジングに取り付ける取付構造であって、前記センサステータは、前記軸受の外輪よりも径方向の外側に延在する延在部を備え、前記ハウジングには、前記延在部が嵌め込まれる切欠部が設けられ、前記回転センサ一体型軸受は、前記軸受の外輪が前記ハウジングに嵌め込まれることによって又は前記軸受の内輪が前記回転軸に嵌め込まれることによって、及び、前記切欠部に前記延在部が圧入されることによって、前記ハウジングに取り付けられる、回転センサ一体型軸受の取付構造。」であってもよい。
【0020】
この取付構造では、軸受の外輪がハウジングに嵌め込まれて固定される又は軸受の内輪が回転軸に嵌め込まれて固定されると共に、センサステータの延在部がハウジングに設けられた切欠部に圧入されている。センサステータの延在部がハウジングの切欠部に圧入されることにより、ハウジングに対するセンサステータのがたつきが抑制される。このように、この取付構造では、回転センサ一体型軸受において、センサステータの位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受をハウジングに容易に取り付けることができる。
【0021】
本発明の回転センサ一体型軸受の取付構造は、[10]「前記延在部において前記軸受の回転方向の両側の端部には、前記延在部よりも強度が高い高強度部材がそれぞれ設けられ、前記高強度部材は、前記切欠部の内面に当接している、上記[9]に記載の回転センサ一体型軸受の取付構造。」であってもよい。この場合、延在部が軸受の回転方向の力を受けたときに、強度が高い高強度部材がハウジングの切欠部の内面に押し付けられる。これにより、この取付構造では、延在部に軸受の回転方向の力が加わった場合であっても、延在部が破損することを抑制できる。
【0022】
本発明の回転センサ一体型軸受の取付構造は、[11]「回転軸を支持する軸受に対して、前記回転軸の回転を検出する回転センサのセンサステータが取り付けられた回転センサ一体型軸受をハウジングに取り付ける取付構造であって、前記センサステータと前記ハウジングとを挟み込むクリップを備え、前記センサステータは、前記軸受の外輪よりも径方向の外側に延在する延在部を備え、前記ハウジングには、前記延在部が嵌め込まれる切欠部が設けられ、前記クリップは、前記延在部の外面のうち前記軸受の回転方向の一方側の部位が前記切欠部の内面に当接するように、前記延在部と前記ハウジングとを挟み込み、前記回転センサ一体型軸受は、前記軸受の外輪が前記ハウジングに嵌め込まれることによって又は前記軸受の内輪が前記回転軸に嵌め込まれることによって、及び、前記クリップによって前記延在部と前記ハウジングとが挟み込まれることによって、前記ハウジングに取り付けられる、回転センサ一体型軸受の取付構造。」であってもよい。
【0023】
この取付構造では、軸受の外輪がハウジングに嵌め込まれて固定される又は軸受の内輪が回転軸に嵌め込まれて固定されると共に、センサステータの延在部がクリップによってハウジングに設けられた切欠部の内面に押し付けられている。また、クリップは、延在部の外面のうち軸受の回転方向の一方側の部位が切欠部の内面に当接するように、延在部とハウジングとを挟み込んでいる。つまり、クリップは、軸受の回転方向の力がセンサステータに加わった場合であっても、センサステータの位置がずれないようにセンサステータをハウジングに固定している。このように、この取付構造では、回転センサ一体型軸受において、センサステータの位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受をハウジングに容易に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の種々の態様によれば、回転センサ一体型軸受において、センサステータの位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受をハウジングに容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る回転センサ一体型軸受の取付構造に用いられる回転センサ一体型軸受を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、回転センサ一体型軸受をハウジングに取り付ける様子を示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、回転センサ一体型軸受の取付構造を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、回転センサ一体型軸受の取付構造を示す正面図である。
【
図7】
図7は、
図6のVII-VII線に沿った断面図である。。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る回転センサ一体型軸受の取付構造に用いられる回転センサ一体型軸受を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、回転センサ一体型軸受の取付構造を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、回転センサ一体型軸受の取付構造を示す上面図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態の変形例に係る回転センサ一体型軸受の取付構造に用いられる回転センサ一体型軸受を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、回転センサ一体型軸受の取付構造を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、回転センサ一体型軸受の取付構造を示す上面図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態に係る回転センサ一体型軸受の取付構造に用いられる回転センサ一体型軸受を示す正面図である。
【
図15】
図15は、回転センサ一体型軸受を示す側面図である。
【
図16】
図16は、回転センサ一体型軸受の取付構造を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、回転センサ一体型軸受の取付構造を示す正面図である。
【
図18】
図18は、第4実施形態に係る回転センサ一体型軸受の取付構造に用いられる回転センサ一体型軸受を示す斜視図である。
【
図20】
図20は、回転センサ一体型軸受の取付構造を示す斜視図である。
【
図21】
図21は、回転センサ一体型軸受の取付構造を示す正面図である。
【
図22】
図22は、第5実施形態に係る回転センサ一体型軸受の取付構造に用いられる回転センサ一体型軸受を示す斜視図である。
【
図24】
図24は、回転センサ一体型軸受の取付構造を示す斜視図である。
【
図25】
図25は、回転センサ一体型軸受の取付構造において、クリップ周りを拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
(第1実施形態)
回転センサ一体型軸受の取付構造の第1実施形態について説明する。
図1及び
図2に示されるように、第1実施形態における取付構造X1は、回転センサ一体型軸受1をハウジング5に取り付ける。取付構造X1は、回転センサ一体型軸受1及びハウジング5を備えている。回転センサ一体型軸受1は、軸受2、センサステータ3、及び連結部4を備えている。
【0028】
軸受2は、ハウジング5に対して回転軸6を回転可能に支持する(
図2参照)。回転軸6は、例えば、ハイブリッド自動車又は電気自動車の電動モータ又はモータジェネレータの回転軸であってもよい。以下、軸受2の中心線Aに平行な方向を軸方向といい、中心線Aに垂直な方向を径方向といい、中心線Aに平行な方向から見た場合に中心線Aを中心とする円周に沿った方向を周方向という。つまり、径方向とは、軸受2の径方向である。周方向とは、軸受2の回転方向である。
【0029】
軸受2は、内輪21、外輪22、及び複数の玉23を備えている。内輪21は、円環状に形成されている、内輪21の内径面21aには、回転軸6が嵌め込まれる。内輪21の外径面21bには、周方向に沿って円環状に延在する内輪軌道面21cが形成されている。内輪軌道面21cは、玉23に対応した形状に形成されている。
【0030】
外輪22は、円環状に形成されている。外輪22の内径面22aには、周方向に沿って円環状に延在する外輪軌道面22cが形成されている。外輪軌道面22cは、玉23に対応した形状に形成されている。外輪22の外径面22bは、ハウジング5の嵌込部5aに嵌め込まれる。また、外輪22の内径面22aには、係合溝(凹部)22dが形成されている。本実施形態において、係合溝22dは、周方向に沿って円環状に延在している。係合溝22dは、外輪軌道面22cよりもセンサステータ3側に設けられている。
【0031】
複数の玉23の各々は、球状に形成されている。複数の玉23は、内輪軌道面21cと外輪軌道面22cとの間に配置されている。複数の玉23は、保持器により保持されていてもよい。このように、軸受2は、内輪21、外輪22、及び複数の玉23を有する玉軸受として構成されている。但し、軸受2は、玉軸受に限定されず、他のタイプの転がり軸受であってもよい。
【0032】
センサステータ3は、軸方向において軸受2に隣接して設けられている。センサステータ3は、回転軸6の回転を検出する回転センサのステータとして機能する。本実施形態において、センサステータ3は、回転軸6に設けられたロータ7とによって、回転センサとしてのレゾルバを構成する。センサステータ3は、ロータ7の径方向の外側に、径方向隙間(ギャップ)Cを介して配置されている。ロータ7は、回転軸6とともに回転する。ロータ7は、回転によってセンサステータ3との径方向隙間Cが変化するように、周方向にわたって外径寸法を異ならせた非円形形状を呈している。回転軸6の回転とともにロータ7が一体的に回転し、センサステータ3に設けられたティース32とロータ7との径方向隙間Cが変化する。これにより、センサステータ3は、ティース32に巻かれたコイル35によって回転軸6の回転角に応じた電圧を得ることができる。
【0033】
より詳細には、センサステータ3は、ステータコア31、複数のティース32、第1インシュレータ33、第2インシュレータ(インシュレータ)34、及び複数のコイル35を備えている。ステータコア31は、略円環状を呈している。複数のティース32は、ステータコア31の内周面から径方向の内側に向けて突出している。複数のティース32は、周方向に沿って互いに所定の間隔を空けて並べて設けられている。ステータコア31及びティース32は、電磁鋼板によって構成されている。また、ステータコア31及びティース32は、軸方向において複数の電磁鋼板を積層することによって構成されていてもよい。
【0034】
第1インシュレータ33及び第2インシュレータ34は、ステータコア31及びティース32を挟み込むようにして設けられている。コイル35は、第1インシュレータ33及び第2インシュレータ34を介してティース32に巻かれている。つまり、コイル35は、第1インシュレータ33及び第2インシュレータ34によって保持されている。複数のコイル35は、周方向に沿って互いに所定の間隔を空けて並べて設けられている。上述したように、コイル35は、ティース32とロータ7との径方向隙間Cの変化に応じた電圧を発生させることによって、回転軸6に設けられたロータ7の回転を検出する。第1インシュレータ33及び第2インシュレータ34は、それぞれ絶縁性を有する樹脂材料(合成樹脂等)によって形成されている。第1インシュレータ33及び第2インシュレータ34は、ティース32とコイル35とを電気的に絶縁する。本実施形態において、第2インシュレータ34は、第1インシュレータ33よりも軸受2側に設けられている。
【0035】
また、センサステータ3には、コネクタ部36が備えられている。本実施形態においてコネクタ部36は、第2インシュレータ34に設けられている。コネクタ部36は、径方向の外側に向って突出し、外輪22よりも径方向の外側に延在している。コネクタ部36には、コイル35に接続された端子が複数設けられている。なお、コネクタ部36は、径方向外側に向って突出するように設けられることに限定されない。例えば、コネクタ部36は、第1インシュレータ33から軸方向に沿って突出するように設けられていてもよい。
【0036】
コネクタ部36は、複数の端子と、複数の端子を支持するコネクタ本体部と、を含んで構成されている。例えば、コネクタ本体部は、第2インシュレータ34と同様に、絶縁性を有する樹脂材料によって形成されている。回転軸6の回転に伴ってコイル35によって得られた回転角に応じた電圧は、コネクタ部36に設けられた端子を介してセンサステータ3外に導出され、回転軸6の回転角の検出に用いられる。
【0037】
連結部4は、軸受2とセンサステータ3とを連結する。これにより、センサステータ3は、連結部4を介して軸受2に支持(保持)される。このように、回転センサ一体型軸受1では、連結部4によって、軸受2に対してセンサステータ3が取り付けられている。本実施形態において、連結部4は、軸受2の外輪22とセンサステータ3とを連結する。連結部4は、一例として、金属材料によって形成されている。但し、連結部4は、金属以外の材料によって形成されていてもよい。連結部4は、環状を呈しており、周方向に沿って並ぶ複数のコイル35の外側に配置されている。
【0038】
連結部4は、第1係合部(凸部)41、第2係合部42、及び本体部43を備えている。本体部43は、環状を呈する略筒状の部材である。本体部43の内径及び外径は、内輪21の外径よりも大きく、外輪22の内径よりも小さい径となっている。本体部43は、テーパ状を呈していてもよい。
【0039】
第1係合部41は、本体部43における軸受2側の端部に設けられている。第1係合部41は、軸受2の外輪22に係合する。第1係合部41は、本体部43から径方向の外側に向って突出する形状を呈している。なお、本実施形態において、第1係合部41は、突出方向の先端部が円弧状に折り返されている。また、本実施形態において、第1係合部41は、周方向に沿って互いに所定の間隔を空けて3つ設けられている(
図3参照)。但し、第1係合部41の数は、3つに限定されない。例えば、第1係合部41は、周方向の全域にわたって設けられていてもよい。また、第1係合部41は、周方向に沿って互いに不等間隔で並ぶように設けられていてもよい。連結部4は、第1係合部41が外輪22の係合溝22dに嵌め込まれることによって、外輪22に係合する。
【0040】
第2係合部42は、本体部43におけるセンサステータ3側の端部に設けられている。第2係合部42は、センサステータ3に係合する。本実施形態において、第2係合部42は、センサステータ3の第2インシュレータ34に係合する。例えば、第2係合部42は、センサステータ3の樹脂部分である第2インシュレータ34に埋め込まれることによって、第2インシュレータ34に取り付けられていてもよい。
【0041】
このように、連結部4の一方の端部に設けられた第2係合部42が、センサステータ3の第2インシュレータ34に取り付けられる。連結部4の他方の端部に設けられた第1係合部41は、外輪22の内側に配置される。第1係合部41は、外輪22の係合溝22dに嵌まり込む。これにより、軸受2とセンサステータ3とは、連結部4によって互いに連結される。なお、連結部4における第1係合部41が設けられた側の端部は、径方向の内側に向かって可撓可能に構成されている。つまり、第1係合部41は、連結部4が撓むことによって、径方向の内側に移動することができる。
【0042】
ここで、連結部4が取り付けられたセンサステータ3と軸受2とは、軸受2の中心線Aに沿って互いに押し付けられることによって連結される。軸受2とセンサステータ3とが連結される際に、連結部4の第1係合部41は、外輪22の内径面22aと外輪22のセンサステータ3側の端面との角部22eに当接させられる。本実施形態において、第1係合部41は、円弧状を呈している。このため、角部22eに当接させられたときに第1係合部41は、径方向の内側に移動する。
【0043】
つまり、センサステータ3に取り付けられた連結部4の第1係合部41が、中心線Aに沿って外輪22の角部22eに押し付けられる。これにより、第1係合部41は、径方向の内側に移動する。第1係合部41(センサステータ3)がさらに軸受2側に押し付けられることにより、第1係合部41は、係合溝22dの位置に到達すると共に係合溝22d内において径方向の外側に移動する。これにより、第1係合部41と係合溝22dとが係合する。
【0044】
このように、軸受2とセンサステータ3とは、軸受2の中心線Aに沿って互いに押し付けられることによって互いを連結させる連結構造Bによって連結される。この連結構造Bは、外輪22の係合溝22dと、撓むことによって第1係合部41を径方向の内側に移動させることが可能な連結部4と、によって構成される。
【0045】
なお、本実施形態では、円弧状の第1係合部41が角部22eに当接させられることによって、第1係合部41が径方向の内側に移動する場合を例に説明した。第1係合部41を径方向の内側に移動させる構成(構造)は、この構成に限定されない。例えば、角部22eは、第1係合部41が押し付けられたときに第1係合部41を径方向の内側に移動させるテーパ形状を呈していてもよい。また、例えば、第1係合部41は、円弧状に形成されていることに限定されず、径方向の内側に移動可能なように傾斜した面を有していてもよい。
【0046】
さらに、センサステータ3は、
図1、
図3及び
図4に示されるように、ノックピン37を備えている。ノックピン37は、ハウジング5に設けられたピン穴5e(
図7参照)に圧入される。本実施形態において、ノックピン37は、第2インシュレータ34に設けられている。本実施形態において、第2インシュレータ34は、径方向の外側に張り出す張出部34aを有している。張出部34aは、コネクタ部36とは異なる位置に設けられ、コネクタ部36とは異なる方向に突出している。本実施形態において、ノックピン37は、第2インシュレータ34の張出部34aに設けられている。ノックピン37は、張出部34aから、軸受2が設けられる側に対して反対側に向けて突出している。ノックピン37は、中心線Aに沿って延在している。ノックピン37は、樹脂材料によって形成されていてもよい。この場合、ノックピン37は、張出部34aと一体に成形されていてもよい。つまり、ノックピン37は、張出部34aを有する第2インシュレータ34と一体に成形されていてもよい。但し、ノックピン37の材質は樹脂材料であることに限定されない。また、ノックピン37は、第2インシュレータ34と一体に成形されていることに限定されない。ノックピン37は、張出部34aとは別体として設けられていてもよい。この場合、ノックピン37は、張出部34aに対して適宜の方法によって取り付けられていればよい。
【0047】
図3に示されるように、ハウジング5には、嵌込部5a、収容部5b、第1切欠部(切欠部)5c、第2切欠部5d、及びピン穴5e(
図7参照)、が設けられている。なお、
図3では、ハウジング5の形状が略直方体状となっているが、ハウジング5の形状は図示された形状に限定されない。他の図においてもハウジング5の形状は図示された形状に限定されない。嵌込部5aには、軸受2の外輪22の外径面22bが嵌め込まれる。嵌込部5aは、外輪22の外径面22bに当接する嵌込面5aaを有している。嵌込面5aaは、略円筒状を呈している。嵌込部5aの嵌込面5aaは、中心線Aに沿って延在している。ここでは、軸受2の外輪22は、嵌込部5aに圧入されている。
【0048】
収容部5bは、嵌込部5aよりも奥側の位置に設けられている。収容部5bは、回転センサ一体型軸受1のセンサステータ3を収容する。第1切欠部5cは、嵌込部5a及び収容部5bから、径方向の外側に向かって延在する形状を呈している。第1切欠部5cには、センサステータ3のコネクタ部36が嵌め込まれる。
【0049】
第2切欠部5dは、嵌込部5a及び収容部5bから、径方向の外側に向かって延在する形状を呈している。第2切欠部5dは、第1切欠部5cとは異なる位置に設けられている。第2切欠部5d内には、センサステータ3の張出部34aが嵌め込まれる。ピン穴5eは、第2切欠部5dの奥側の面に設けられている(
図7参照)。ピン穴5eは、中心線Aに沿って延在している。ピン穴5eには、センサステータ3に設けられたノックピン37が圧入される。
【0050】
次に、回転センサ一体型軸受1をハウジング5に取り付ける取付構造X1について説明する。
図5~
図7に示されるように、取付構造X1において、回転センサ一体型軸受1は、軸受2の外輪22がハウジング5の嵌込部5aに嵌め込まれることによって、ハウジング5に取り付けられる。さらに、取付構造X1において、回転センサ一体型軸受1は、センサステータ3のノックピン37はハウジング5のピン穴5eに圧入される(差し込まれる)ことによって、ハウジング5に取り付けられる。
【0051】
以上のように、この取付構造X1では、軸受2の外輪22がハウジング5の嵌込部5aに嵌め込まれて固定されると共に、センサステータ3がノックピン37によってもハウジング5に固定される。つまり、ノックピン37によってセンサステータ3もハウジング5に固定されている。このため、センサステータ3に対して軸受2の回転方向の力が加わった場合であっても、センサステータ3の位置ずれが抑制される。これにより、取付構造X1では、回転センサ一体型軸受1において、センサステータ3の位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受1をハウジング5に容易に取り付けることができる。
【0052】
なお、センサステータ3の回転を抑制する観点から、センサステータ3は、ノックピン37を1本だけ備えていればよい。これにより、回転センサ一体型軸受1は、センサステータ3の構成の簡素化及び取付性の向上を図ることができる。但し、ノックピン37の本数は1本に限定されない。センサステータ3を強固に固定する観点から、ノックピン37は複数設けられていてもよい。また、ノックピン37が設けられる位相(周方向の位置)は、限定されない。
【0053】
この取付構造X1において、軸受2とセンサステータ3とは、軸受2の中心線Aに沿って互いに押し付けられることによって互いを連結させる連結構造Bによって連結される。また、ノックピン37及びピン穴5eの延在方向は、軸受2の中心線Aに沿って延在している。つまり、センサステータ3と軸受2とを連結するときの押し付け方向と、回転センサ一体型軸受1をハウジング5に取り付けるためにノックピン37をピン穴5eに圧入する方向と、が互いに同じである。
【0054】
このため、この取付構造X1では、軸受2とセンサステータ3とを連結する工程と、センサステータ3をハウジング5に取り付ける工程とを、一つの工程で行うことができる。つまり、
図3に示されるように、ハウジング5に対して、連結部4が取り付けられたセンサステータ3と、軸受2との位置を合わせる。そして、センサステータ3を間に挟みつつ、軸受2をハウジング5に押し付ける。この押し付けにより、軸受2とセンサステータ3とが連結部4によって連結されつつ、ノックピン37がピン穴5eに差し込まれる。これにより、回転センサ一体型軸受1の組み立て、及び回転センサ一体型軸受1のハウジング5への取り付けが完了する。このように、この取付構造X1では、回転センサ一体型軸受1の組み立て及びハウジング5への組み付けを容易に行うことができる。
【0055】
軸受2とセンサステータ3とは、連結構造Bによって互いに連結される。連結構造Bを構成する連結部4は、第1係合部41側の端部が径方向の内側に可撓可能となっている。これにより、この取付構造X1は、軸受2とセンサステータ3とが軸受2の中心線Aに沿って互いに押し付けられることによって、第1係合部41を径方向の内側に移動させることができる。そして、取付構造X1は、第1係合部41を外輪22の係合溝22dに嵌め込むことができる。
【0056】
ノックピン37は、センサステータ3に備えられた第2インシュレータ34の張出部34aに設けられている。これにより、取付構造X1では、センサステータ3のうち、第2インシュレータ34をノックピン37によってハウジング5に固定することができる。
【0057】
なお、本実施形態において、ノックピン37は、第2インシュレータ34の張出部34aに設けられていた。ノックピン37が設けられる部位は、これに限定されない。例えば、ノックピン37は、コネクタ部36に設けられていてもよい。この場合、取付構造X1は、センサステータ3のうち、コネクタ部36をノックピン37によってハウジング5に固定することができる。ノックピン37がコネクタ部36に設けられる場合、このノックピン37は、樹脂材料によって形成され、コネクタ部36と一体に成形されていてもよい。但し、このノックピン37の材質は樹脂材料であることに限定されない。また、このノックピン37は、コネクタ部36と一体に成形されていることに限定されない。このノックピン37は、コネクタ部36とは別体として設けられていてもよい。この場合、ノックピン37は、コネクタ部36に対して適宜の方法によって取り付けられていればよい。
【0058】
(第2実施形態)
回転センサ一体型軸受の取付構造の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る回転センサ一体型軸受の取付構造X2は、
図8及び9に示されるように、回転センサ一体型軸受1Aをハウジング5Aに取り付ける。取付構造X2は、回転センサ一体型軸受1A、ハウジング5A、及びボルト10を備えている。
図8に示されるように、回転センサ一体型軸受1Aは、軸受2、センサステータ3A、及び連結部4(
図10参照)を備えている。軸受2及び連結部4は、第1実施形態において説明した構成と同様である。
【0059】
センサステータ3Aは、第1実施形態に係るセンサステータ3の張出部34a及びノックピン37を備えていない。また、センサステータ3Aは、第1実施形態に係るコネクタ部36に代えて、構成の異なるコネクタ部36Aを備えている。センサステータ3Aにおいて、他の構成は第1実施形態に係るセンサステータ3と同様である。
【0060】
コネクタ部36Aは、第1実施形態に係るコネクタ部36と同様に、コイル35に接続された端子が複数設けられている。センサステータ3Aには、ボルト10が通されるコネクタボルト穴(第2ボルト穴)36aが設けられている。本実施形態において、コネクタボルト穴36aは、センサステータ3Aのコネクタ部36Aに設けられている。コネクタボルト穴36aは、コネクタ部36Aのコネクタ本体部に形成されている。コネクタボルト穴36aは、コネクタ部36Aの端子部分を避けて、樹脂によって形成された部位(コネクタ本体部)に形成されている。コネクタボルト穴36aは、軸受2の中心線Aに沿って延在している。
【0061】
図9及び10に示されるように、ハウジング5Aは、第1実施形態に係るハウジング5の第2切欠部5d及びピン穴5eを備えていない。ハウジング5Aには、第1実施形態に係るハウジング5と同様に、嵌込部5a、収容部5b、及び第1切欠部5cが設けられている。さらに、ハウジング5Aには、第1切欠部5cが設けられた部位の奥側の面にハウジングボルト穴(第1ボルト穴)5fが設けられている(
図10参照)。ハウジングボルト穴5fは、軸受2の中心線Aに沿って延在している。ハウジングボルト穴5fは、ボルト10に係合する。
【0062】
ボルト10は、センサステータ3Aをハウジング5Aに固定する。ボルト10は、センサステータ3Aのコネクタボルト穴36aに通される。ボルト10の先端部は、ハウジング5Aのハウジングボルト穴5fに係合する。ボルト10は、ボルト10の頭部によってコネクタ部36Aを押さえ付けることによって、コネクタ部36Aをハウジング5Aに固定する。
【0063】
次に、回転センサ一体型軸受1Aをハウジング5Aに取り付ける取付構造X2について説明する。
図9及び10に示されるように、取付構造X2において、回転センサ一体型軸受1Aは、軸受2の外輪22がハウジング5Aの嵌込部5aに嵌め込まれることによって、ハウジング5Aに取り付けられる。さらに、取付構造X2において、回転センサ一体型軸受1Aは、センサステータ3Aのコネクタボルト穴36aに通されたボルト10がハウジングボルト穴5fに係合させられることによって、ハウジング5Aに取り付けられる。
【0064】
以上のように、取付構造X2では、軸受2の外輪22がハウジング5Aの嵌込部5aに嵌め込まれて固定されると共に、センサステータ3Aがボルト10によってもハウジング5Aに固定される。これにより、この取付構造X2では、回転センサ一体型軸受1Aにおいて、センサステータ3Aの位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受1Aをハウジング5Aに容易に取り付けることができる。
【0065】
なお、センサステータ3Aの回転を抑制する観点から、センサステータ3Aは、ボルト10を1本だけ備えていればよい。これにより、回転センサ一体型軸受1Aは、センサステータ3Aの構成の簡素化及び取付性の向上を図ることができる。但し、ボルト10の本数は1本に限定されない。センサステータ3Aを強固に固定する観点から、ボルト10は複数設けられていてもよい。また、ボルト10が設けられる位相(周方向の位置)は、限定されない。
【0066】
ボルト10が通されるコネクタボルト穴36aは、センサステータ3Aのコネクタ部36Aに設けられている。これにより、取付構造X2では、回転軸6の回転を検出するステータコア31にボルト穴を設けることなく、コネクタ部36Aを用いてセンサステータ3Aをハウジング5Aに取り付けることができる。
【0067】
なお、センサステータ3Aは、コネクタボルト穴36a内に設けられた筒状のカラーを備えていてもよい。このカラーには、ボルト10が通される。このカラーは、樹脂材料によって形成されたコネクタ部36Aのコネクタ本体部と一体に成形されていてもよい。このカラーは、ボルト10の延在方向の長さ(つまりコネクタボルト穴36aが設けられる部分のコネクタ部36Aの厚み)以上の長さを有していると良い。この場合、取付構造X2では、ボルト10が取り付けられたときに、ボルト10がコネクタ部36Aを締め付ける力をカラーによって受け止めることができる。これにより、取付構造X2では、センサステータ3Aにおけるボルト10の取付部分が破損することを抑制できる。
【0068】
ない、コネクタボルト穴36aは、環状でなくてもよい。例えば、コネクタボルト穴36aは、穴の縁の一部が切り欠かれた形状を呈していてもよい。例えば、コネクタボルト穴36aは、穴の縁の一部が解放した略U字状を呈していてもよい。このように、コネクタボルト穴36aは、完全な円形の穴であることに限定されない。本実施形態において、コネクタボルト穴36aとは、ボルト10の周囲の少なくとも一部を包囲する形状を含む。
【0069】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態の変形例について説明する。第2実施形態では、ボルト10が通されるコネクタボルト穴36aがコネクタ部36Aに設けられていた。
図11に示されるように、本変形例では、ボルト10が通されるボルト穴が、第2インシュレータ34に設けられている。
【0070】
本変形例に係る回転センサ一体型軸受1Aaは、第1実施形態に係る回転センサ一体型軸受1のノックピン37に代えて、張出部34aにインシュレータボルト穴(第2ボルト穴)34bが設けられている。回転センサ一体型軸受1Aaにおいて、その他の構成は第1実施形態に係る回転センサ一体型軸受1と同様である。インシュレータボルト穴34bは、第2インシュレータ34に設けられた張出部34aに設けられている。インシュレータボルト穴34bは、軸受2の中心線Aに沿って延在(貫通)している。
【0071】
図12及び13に示されるように、本変形例に係るハウジング5Aaは、第1実施形態に係るハウジング5のピン穴5eに代えて、ハウジングボルト穴(第1ボルト穴)5gが設けられている。なお、
図13は、ハウジングボルト穴5g周りを示すために、ハウジング5Aaの一部部分が破断された図となっている。ハウジング5Aaに設けられたハウジングボルト穴5gは、回転センサ一体型軸受1Aaがハウジング5Aaに取り付けられたときに、インシュレータボルト穴34bに対向する位置に設けられている。ここでは、ハウジングボルト穴5gは、張出部34aが嵌め込まれるハウジング5Aaの第2切欠部5dの奥側の面に設けられている。
【0072】
ハウジングボルト穴5gは、軸受2の中心線Aに沿って延在している。ハウジングボルト穴5gは、ボルト10に係合する。ボルト10は、センサステータ3Aaをハウジング5Aaに固定する。ボルト10は、センサステータ3Aaのインシュレータボルト穴34bに通される。ボルト10の先端部は、ハウジング5Aaのハウジングボルト穴5gに係合する。ボルト10は、ボルト10の頭部によって張出部34aを押さえ付けることによって、センサステータ3Aaをハウジング5Aaに固定する。
【0073】
次に、回転センサ一体型軸受1Aaをハウジング5Aaに取り付ける取付構造X2aについて説明する。
図12及び13に示されるように、取付構造X2aにおいて、回転センサ一体型軸受1Aaは、軸受2の外輪22がハウジング5Aaの嵌込部5aに嵌め込まれることによって、ハウジング5Aaに取り付けられる。さらに、取付構造X2aにおいて、回転センサ一体型軸受1Aaは、センサステータ3Aaのインシュレータボルト穴34bに通されたボルト10がハウジングボルト穴5gに係合させられることによって、ハウジング5Aaに取り付けられる。
【0074】
以上のように、取付構造X2aでは、軸受2の外輪22がハウジング5Aの嵌込部5aに嵌め込まれて固定されると共に、センサステータ3Aaがボルト10によってもハウジング5Aaに固定される。これにより、この取付構造X2aでは、回転センサ一体型軸受1Aaにおいて、センサステータ3Aaの位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受1Aaをハウジング5Aaに容易に取り付けることができる。
【0075】
ボルト10が通されるインシュレータボルト穴34bは、第2インシュレータ34の張出部34aに設けられている。これにより、取付構造X2aでは、回転軸6の回転を検出するステータコア31にボルト穴を設けることなく、第2インシュレータ34を用いてセンサステータ3Aaをハウジング5Aaに取り付けることができる。
【0076】
なお、センサステータ3Aaは、第2実施形態と同様に、インシュレータボルト穴34b内に設けられた筒状のカラーを備えていてもよい。このカラーは、樹脂材料によって形成された第2インシュレータ34の張出部34aと一体に成形されていてもよい。このカラーは、ボルト10の延在方向の長さ(つまり張出部34aの厚み)以上の長さを有していると良い。この場合、取付構造X2aでは、ボルト10が取り付けられたときに、ボルト10が張出部34aを締め付ける力をカラーによって受け止めることができる。これにより、取付構造X2aでは、センサステータ3Aaにおけるボルト10の取付部分が破損することを抑制できる。
【0077】
第2実施形態に係るコネクタボルト穴36aと同様に、インシュレータボルト穴34bは、環状であることに限定されない。また、張出部34aのうち、インシュレータボルト穴34bが形成される部位が金属材料によって形成されていてもよい。つまり、張出部34aは、インシュレータボルト穴34bを有する金属材料が一体に成形された構成であってもよい。第2実施形態と同様に、ボルト10は複数設けられていてもよい。
【0078】
(第3実施形態)
回転センサ一体型軸受の取付構造の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る回転センサ一体型軸受の取付構造X3は、
図14及び16に示されるように、回転センサ一体型軸受1Bをハウジング5Bに取り付ける。取付構造X3は、回転センサ一体型軸受1B、ハウジング5B、及び弾性部材11を備えている。
図14及び15に示されるように、回転センサ一体型軸受1Bは、軸受2、センサステータ3B、及び連結部4を備えている。軸受2及び連結部4は、第1実施形態において説明した構成と同様である。
【0079】
センサステータ3Bは、第1実施形態に係るセンサステータ3の張出部34a及びノックピン37を備えていない。センサステータ3Bにおいて、他の構成は第1実施形態に係るセンサステータ3と同様である。
【0080】
弾性部材11は、弾性変形可能な部材である。本実施形態において、弾性部材11は、一例としてOリングによって構成されている。弾性部材11は、センサステータ3Bに設けられた延在部に取り付けられる。この延在部は、軸受2の外輪22よりも径方向の外側に延在している。本実施形態では、この延在部として、コネクタ部36が用いられる。弾性部材11は、コネクタ部36の外周面を囲むように、コネクタ部36に取り付けられている。
【0081】
図16及び17に示されるように、ハウジング5Bは、第1実施形態に係るハウジング5の第2切欠部5d及びピン穴5eを備えていない。ハウジング5Bには、第1実施形態に係るハウジング5と同様に、嵌込部5a、収容部5b、及び第1切欠部5cが設けられている。
【0082】
次に、回転センサ一体型軸受1Bをハウジング5Bに取り付ける取付構造X3について説明する。
図16及び17に示されるように、取付構造X3において、回転センサ一体型軸受1Bは、軸受2の外輪22がハウジング5Bの嵌込部5aに嵌め込まれることによって、ハウジング5Bに取り付けられる。さらに、取付構造X3において、回転センサ一体型軸受1Bは、コネクタ部36に弾性部材11が取り付けられた状態で第1切欠部5cにコネクタ部36が嵌め込まれることによって、ハウジング5Bに取り付けられる。
【0083】
弾性部材11は、
図17に示されるように、軸受2の回転方向Yにおいて、コネクタ部36の外面と第1切欠部5cの内面との間に配置される。そして、弾性部材11は、軸受2の回転方向Yにおいて、コネクタ部36の外面と第1切欠部5cの内面との隙間を埋めている。
【0084】
以上のように、取付構造X3では、軸受2の外輪22がハウジング5Bの嵌込部5aに嵌め込まれて固定されると共に、センサステータ3Bのコネクタ部36がハウジング5Bに設けられた第1切欠部5cに嵌め込まれる。また、コネクタ部36の外面と第1切欠部5cの内面との間には弾性部材11が設けられている。弾性部材11が設けられていることにより、軸受2の回転方向Yにおいて、ハウジング5Bに対するセンサステータ3Bのがたつきが抑制される。このように、取付構造X3では、回転センサ一体型軸受1Bにおいて、センサステータ3Bの位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受1Bをハウジング5Bに容易に取り付けることができる。
【0085】
軸受2の回転方向Yにおける、コネクタ部36の外面と第1切欠部5cの内面との隙間を埋める弾性部材11として、Oリングが用いられる。この場合、取付構造X3では、コネクタ部36に取り付けられた弾性部材11としてのOリングによって、ハウジング5Bに対するセンサステータ3Bのがたつきを容易に抑制できる。
【0086】
なお、弾性部材11は、Oリングであることに限定されない。弾性部材11は、軸受2の回転方向Yにおいて、コネクタ部36の外面と第1切欠部5cの内面との間に配置されていればよい。例えば、弾性部材11は、コネクタ部36の外面と第1切欠部5cの内面との隙間のうち、軸受2の回転方向Yの一方側と、他方側とにそれぞれ配置されていてもよい。つまり、弾性部材11は、2つ設けられていてもよい。
【0087】
また、弾性部材11は、コネクタ部36と第1切欠部5cとの隙間に設けられることに限定されない。例えば、外側に向かって延在するコネクタ部36以外の延在部と、ハウジングに設けられた切欠部との隙間に設けられてもよい。
【0088】
(第4実施形態)
回転センサ一体型軸受の取付構造の第4実施形態について説明する。第4実施形態に係る回転センサ一体型軸受の取付構造X4は、
図18及び20に示されるように、回転センサ一体型軸受1Cをハウジング5Cに取り付ける。取付構造X4は、回転センサ一体型軸受1C、ハウジング5Cを備えている。
図18及び19に示されるように、回転センサ一体型軸受1Cは、軸受2、センサステータ3C、及び連結部4を備えている。軸受2及び連結部4は、第1実施形態において説明した構成と同様である。
【0089】
センサステータ3Cは、第1実施形態に係るセンサステータ3の張出部34a及びノックピン37を備えていない。センサステータ3Cは、第1実施形態に係るコネクタ部36に代えて、コネクタ部(延在部)36Cを備えている。センサステータ3Cにおいて、他の構成は第1実施形態に係るセンサステータ3と同様である。
【0090】
コネクタ部36Cは、高強度部材12及び高強度部材13を備えている。高強度部材12及び13は、コネクタ部36Cよりも強度が高い。ここでは、高強度部材12及び13は、コネクタ部36Cのコネクタ本体部よりも強度が高い。例えば、高強度部材12及び13は、樹脂材料によって構成されたコネクタ本体部よりも強度が高い金属材料によって構成されていてもよい。
【0091】
高強度部材12及び13は、コネクタ部36Cにおいて軸受2の回転方向Yの両側の端部に、それぞれ設けられている。高強度部材12及び13は、軸受2の回転方向Yにおいて、コネクタ部36Cのコネクタ本体部よりも僅かに突出していると良い。
【0092】
図20及び21に示されるように、ハウジング5Cは、第1実施形態に係るハウジング5の第2切欠部5d及びピン穴5eを備えていない。ハウジング5Cには、第1実施形態に係るハウジング5と同様に、嵌込部5a、収容部5b、及び第1切欠部5cが設けられている。第1切欠部5cには、高強度部材12及び13を備えるコネクタ部36が圧入される。
【0093】
次に、回転センサ一体型軸受1Cをハウジング5Cに取り付ける取付構造X4について説明する。
図20及び21に示されるように、取付構造X4において、回転センサ一体型軸受1Cは、軸受2の外輪22がハウジング5Cの嵌込部5aに嵌め込まれることによって、ハウジング5Cに取り付けられる。さらに、取付構造X4において、回転センサ一体型軸受1Cは、高強度部材12及び13を備えるコネクタ部36が第1切欠部5cに圧入されることによって、ハウジング5Cに取り付けられる。軸受2の回転方向Yにおいて、高強度部材12及び13は、第1切欠部5cの内面にそれぞれ当接している。
【0094】
以上のように、取付構造X4では、軸受2の外輪22がハウジング5Cの嵌込部5aに嵌め込まれて固定されると共に、センサステータ3Cのコネクタ部36Cがハウジング5Cに設けられた第1切欠部5cに圧入されている。センサステータ3Cのコネクタ部36Cがハウジング5Cの第1切欠部5cに圧入されることにより、ハウジング5Cに対するセンサステータ3Cのがたつきが抑制される。このように、取付構造X4では、回転センサ一体型軸受1Cにおいて、センサステータ3Cの位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受1Cをハウジング5Cに容易に取り付けることができる。
【0095】
コネクタ部36Cには、軸受2の回転方向Yの両端部に高強度部材12及び13がそれぞれ設けられている。この場合、コネクタ部36が軸受2の回転方向Yの力を受けたときに、強度が高い高強度部材12及び13がハウジング5Cの第1切欠部5cの内面に押し付けられる。これにより、取付構造X4では、コネクタ部36Cに軸受2の回転方向Yの力が加わった場合であっても、コネクタ部36が破損することを抑制できる。
【0096】
なお、本実施形態においてコネクタ部36Cは、高強度部材12及び13を備えていた。これに限定されず、コネクタ部36Cは、高強度部材12及び13を備えない構成であってもよい。つまり、高強度部材12及び13を備えないコネクタ部36Cが、ハウジング5Cの第1切欠部5cに圧入されてもよい。この場合であっても、取付構造X4では、回転センサ一体型軸受1Cにおいて、センサステータ3Cの位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受1Cをハウジング5Cに容易に取り付けることができる。
【0097】
(第5実施形態)
回転センサ一体型軸受の取付構造の第5実施形態について説明する。第5実施形態に係る回転センサ一体型軸受の取付構造X5は、
図22及び24に示されるように、回転センサ一体型軸受1Dをハウジング5Dに取り付ける。取付構造X5は、回転センサ一体型軸受1D、ハウジング5D、及びクリップ14を備えている。
図22及び23に示されるように、回転センサ一体型軸受1Dは、軸受2、センサステータ3D、及び連結部4を備えている。軸受2及び連結部4は、第1実施形態において説明した構成と同様である。
【0098】
センサステータ3Dは、第1実施形態に係るセンサステータ3の張出部34a及びノックピン37を備えていない。センサステータ3Dは、第1実施形態に係るコネクタ部36に代えて、コネクタ部36Dを備えている。センサステータ3Dにおいて、他の構成は第1実施形態に係るセンサステータ3と同様である。
【0099】
コネクタ部36Dには、コネクタクリップ穴36bが設けられている。コネクタクリップ穴36bは、軸受2の中心線Aに沿って延在している。例えば、コネクタクリップ穴36bは、コネクタ部36Dにおける軸受2の回転方向Yの一方側の端部近傍に設けられている。
【0100】
図24及び25に示されるように、ハウジング5Dは、第1実施形態に係るハウジング5の第2切欠部5d及びピン穴5eを備えていない。ハウジング5Cには、第1実施形態に係るハウジング5と同様に、嵌込部5a、収容部5b、及び第1切欠部5cが設けられている。さらに、ハウジング5Dには、第3切欠部5hが設けられている。第3切欠部5hは、軸受2の回転方向Yにおいて、第1切欠部5cに隣接して設けられている。軸受2の中心線Aに沿った方向において、第3切欠部5hの深さは、第1切欠部5cよりも浅い。第3切欠部5hの奥側の面には、ハウジングクリップ穴5jが設けられている。ハウジングクリップ穴5jは、軸受2の中心線Aに沿って延在している。
【0101】
クリップ14は、センサステータ3Dとハウジング5Dとを挟み込む。クリップ14は、略U字状を呈している。クリップ14は、コネクタ部36Dの外面のうち軸受2の回転方向Yの一方側の部位が第1切欠部5cの内面に当接するように、コネクタ部36Dとハウジング5Dとを挟み込む。
【0102】
具体的には、本実施形態においてクリップ14の一方の端部は、ハウジング5Dのハウジングクリップ穴5jに差し込まれる。クリップ14の他方の端部は、コネクタ部36Dのコネクタクリップ穴36bに差し込まれる。クリップ14は、ハウジングクリップ穴5j側にコネクタ部36Dを引き寄せるようにして、コネクタ部36Dとハウジング5Dとを挟み込む。これにより、コネクタ部36Dは、軸受2の回転方向Yにおいて、第1切欠部5cの内面のうちハウジングクリップ穴5jに近い側の内面に押し付けられる。
【0103】
次に、回転センサ一体型軸受1Dをハウジング5Dに取り付ける取付構造X5について説明する。
図24及び25に示されるように、取付構造X5において、回転センサ一体型軸受1Dは、軸受2の外輪22がハウジング5Dの嵌込部5aに嵌め込まれることによって、ハウジング5Dに取り付けられる。さらに、取付構造X5において、回転センサ一体型軸受1Dは、第1切欠部5cに嵌め込まれたコネクタ部36Dとハウジング5Dとがクリップ14によって挟み込まれることによって、ハウジング5Dに取り付けられる。軸受2の回転方向Yにおいて、コネクタ部36の外面は、ハウジングクリップ穴5jが設けられた側の第1切欠部5cの内面に押し付けられている。
【0104】
以上のように、取付構造X5では、軸受2の外輪22がハウジング5Dの嵌込部5aに嵌め込まれて固定されると共に、センサステータ3Dのコネクタ部36がクリップ14によってハウジング5Dに設けられた第1切欠部5cの内面に押し付けられている。また、クリップ14は、コネクタ部36の外面のうち軸受2の回転方向Yの一方側の部位が第1切欠部5cの内面に当接するように、コネクタ部36Dとハウジング5Dとを挟み込んでいる。つまり、クリップ14は、軸受2の回転方向Yの力がセンサステータ3Dに加わった場合であっても、センサステータ3Dの位置がずれないようにセンサステータ3Dをハウジング5Dに固定することができる。このように、取付構造X5では、回転センサ一体型軸受1Dにおいて、センサステータ3Dの位置ずれを抑制しつつ、回転センサ一体型軸受1Dをハウジング5Dに容易に取り付けることができる。
【0105】
さらに、他の例として、回転センサ一体型軸受の軸受の外輪がハウジングに対して回転方向に回転(位置ずれ)しないように、ハウジングの嵌込部に外輪を嵌め込んでもよい。具体的には、例えば、外輪の外径面に凸部を設け、ハウジングの嵌込部に設けられた凹部に凸部の位置を合わせつつ、外輪がハウジングの嵌込部に嵌め込まれていてもよい。この場合、ハウジングに対して軸受の外輪の位置がずれることが抑制されるため、軸受に取り付けられたセンサステータの位置ずれも抑制される。なお、例えば、外輪は、ボルトによってハウジングに固定されていてもよい。
【0106】
第1実施形態では、軸受2の外輪22がハウジング5の嵌込部5aに圧入されていた。これに限定されず、軸受2の内輪21が、回転軸6の外周面に圧入されていてもよい。つまり、回転センサ一体型軸受1の軸受2は、ハウジング5に回転可能に支持された回転軸6を介して、ハウジング5に取り付けられている。他の実施形態及び変形例についても同様に、軸受2の内輪21が、回転軸6の外周面に圧入されていてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1,1A~1D,1Aa…回転センサ一体型軸受、2…軸受、3,3A~3D,3Aa…センサステータ、4…連結部、5,5A~5D,5Aa…ハウジング、5c…第1切欠部(切欠部)、5e…ピン穴、5f…ハウジングボルト穴(第1ボルト穴)、5g…ハウジングボルト穴(第2ボルト穴)、6…回転軸、10…ボルト、11…弾性部材(Oリング)、12,13…高強度部材、14…クリップ、21…内輪、22…外輪、22d…係合溝(凹部)、34b…インシュレータボルト穴(第2ボルト穴)、36,36A,36C…コネクタ部(延在部)、36a…コネクタボルト穴(第2ボルト穴)、34…第2インシュレータ(インシュレータ)、37…ノックピン、41…第1係合部(凸部)、A…中心線、B…連結構造、X1~X5,X2a…取付構造。